JP2013227457A - 環状エステルの開環重合触媒及び環状エステルの開環重合方法 - Google Patents

環状エステルの開環重合触媒及び環状エステルの開環重合方法 Download PDF

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祐正 中山
Takeshi Shiono
毅 塩野
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Abstract

【課題】環状エステルを開環重合して得られる高分子の分子量分布が狭く、且つ、工業的な製造にも適し得る環状エステルの開環重合触媒及び環状エステルの開環重合方法を提供する。
【解決手段】環状エステルの開環重合触媒は、ルイス酸として式1で表される化合物及びルイス塩基として式2で表される化合物を含み、環状エステルの開環重合反応を促進する。

(式1中、Xは、フェニル基又は水素がハロゲンで置換されたフェニル基を表し、式2中、Yは、フェニル基、又は、水素がアルキル基で置換されたフェニル基を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、環状エステルの開環重合触媒及び環状エステルの開環重合方法に関する。
ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどの汎用性高分子材料は、主に石油を原料として製造されている。しかし、石油資源の枯渇や環境破壊の観点から、他の原料から高分子材料を製造することが模索され、例えば、ポリ−L−乳酸等の生分解性高分子材料などが注目されている。
ポリ−L−乳酸(poly−L−lactic acid)(以下、PLLAと記す)は、トウモロコシなどの植物にふくまれるデンプン等を原料として乳酸発酵を経て化学合成される植物由来のポリマーである。PLLAが分解する際に発生する炭酸ガスは、もともと植物が成長するために大気中から吸収したものであるので、カーボンニュートラルな性質を有する。
PLLAの合成では、L−乳酸の直接重縮合による方法、L−乳酸の脱水縮合により生成する乳酸オリゴマーを解重合して環状二量体であるL−ラクチドを合成した後、その開環重合を行う方法がある。前者による合成では高分子量体が得られにくいことから、工業的には後者による合成が行われている。
L−ラクチド等の環状エステルの開環重合では、開環重合触媒が用いられる。開環重合触媒として、一般的に、オクチル酸スズ等の触媒が用いられてきた(例えば、特許文献1〜3)。しかし、生成したポリマーの分子量分布がブロード化し、分散度(Mw/Mn)が1.2〜1.8程度である。
また、非特許文献1では、アルミ系のサレン錯体が用いられている。この開環重合触媒を用いると、得られるポリマーの分散度が1.07であることが報告されている。
特開平10−158371号公報 特開平11−60713号公報 特開平11−255870号公報
Paul A. Cameron, Dhanjay Jhurry, Vernon C. Gibson, Andrew J. P. White, David J. Williams, Susannah Williams、「Controlled polymerization of lactides at ambient temperature using [5-Cl-salen]AlOMe」、Macromol. Rapid Commun. 20, p.616-618 (1999)
非特許文献1で用いられているサレン錯体の合成は、工程数が多く煩雑であり、容易に得られるものではない。このため、工業的に環状エステルを開環重合させて高分子材料を製造するには、適しているものとはいえない。
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環状エステルを開環重合して得られる高分子の分子量分布が狭く、且つ、工業的な製造にも適し得る環状エステルの開環重合触媒及び環状エステルの開環重合方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る環状エステルの開環重合触媒は、
ルイス酸として式1で表される化合物及びルイス塩基として式2で表される化合物を含み、
(式1中、Xは、フェニル基又は水素がハロゲンで置換されたフェニル基を表し、式2中、Yは、フェニル基、又は、水素がアルキル基で置換されたフェニル基を表す。)
環状エステルの開環重合反応を促進する、
ことを特徴とする。
また、前記ルイス酸がAl(Cであることが好ましい。
また、ルイス塩基がトリメシチルホスフィン又はトリフェニルホスフィンであることが好ましい。
前記ルイス酸の1当量以上の前記ルイス塩基を含むことが好ましい。
本発明の第2の態様に係る環状エステルの開環重合方法は、
環状エステルに本発明の第1の態様に係る環状エステルの開環重合触媒を添加し、
開始剤としてアルコールを添加し、前記環状エステルを開環重合させる、
ことを特徴とする。
また、前記環状エステルとしてL−ラクチドを用い、ポリ−L−乳酸を重合してもよい。
また、前記開始剤の50当量以上の前記環状エステルを用いることが好ましい。
本発明に係る開環重合触媒では、環状エステルの開環重合を促進し、得られる高分子の分散度が1.1程度と分子量分布が狭い。そして、開環重合触媒は容易に合成することが可能であるため、工業的な製造にも適し得る。
L−LAの開環重合における反応メカニズムを説明する図である。 生成したPLLAの収率と数平均分子量の関係を示すグラフである。
本実施の形態に係る開環重合触媒及びこれを用いた環状エステルの開環重合方法について説明する。
開環重合触媒は、ルイス酸として式1で表される化合物とルイス塩基として式2で表される化合物とを含む。
式1中、Xは、フェニル基又は水素がハロゲンで置換されたフェニル基を表す。ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)で置換されたフェニル基は、水素原子の一部がハロゲンに置換されていても、全てが置換されていてもよい。
また、式2中、Yは、フェニル基、又は、水素がアルキル基で置換されたフェニル基を表す。アルキル基で置換されたフェニル基は、水素原子の一部がアルキル基に置換されていても、全てが置換されていてもよい。また、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数が1〜6であることが好ましく、炭素数が1〜3であることがより好ましい。好適なアルキル基として、例えば、メチル基が挙げられる。
ルイス酸として、かさ高いものであることが好ましく、例えば、ペンタフルオロフェニルアルミニウム(Al(C)が挙げられる。Al(Cは、例えば、以下のようにして容易に得られる。ペンタフルオロフェニルホウ素(B(C)に、トリメチルアルミニウム(Al(CH)を加えて反応させる。反応は、室温で2時間程度攪拌して行えばよい。これを真空乾燥等で乾燥させ、得られた固体をテトラヒドロフラン及びヘキサンに溶解させる。そして、得られた溶液を再結晶させることで、Al(Cが得られる。
一方のルイス塩基についても、かさ高いものであることが好ましく、例えば、トリメシチルホスフィン(trimesitylphosphine:MesP)、トリフェニルホスフィン(triphenylphosphine:PhP)が挙げられる。上記MesP、PhPは、一般的に販売されているものを用いればよい。
開環重合触媒として、上記のルイス酸とルイス塩基を用い、環状エステルの開環重合方法について説明する。ここでは、環状エステルとしてL−ラクチド(以下、L−LA、或いは、L−LAモノマーとも記す)、開始剤としてベンジルアルコール(以下、R−OHとも記す)を用い、ポリ−L−乳酸(以下、PLLAとも記す)を合成する例について説明する。
まず、L−LAに、ルイス酸を加える。続いて、この混合物にルイス塩基を加える。更に、この混合物にベンジルアルコールを加える。そして、所定温度(例えば、100℃程度)で所定時間(例えば、24時間程度)攪拌することで、L−LAが開環重合する。
L−LAの開環重合について、図1に示す反応メカニズムを参照し詳細に説明する。まず、ルイス酸(以下、LAとも記す)にL−LAモノマーのカルボニル基が配位する。L−LAモノマーのカルボニル基は正電荷を帯びているが、ルイス酸に配位することによって、ルイス酸がカルボニル基の電子対を引き付けるので、カルボニル基の正電荷がより強まる。
一方、ルイス塩基(以下、LBとも記す)は、R−OHの水酸基に配位する。ルイス塩基の非共有電子対が水酸基のプロトンを引っ張るので、R−OHの水酸基の負電荷が強まる。
そして、負電荷が強まった水酸基の酸素が、正電荷が強まったL−LAモノマーのカルボニル基の炭素に作用する。これにより、L−LAモノマーのカルボニル基が結合している炭素とこの炭素の隣の酸素との結合が切れやすくなり、開環する。そして、開環し、直鎖状になったモノマー(以下、直鎖状LAモノマーと記す)の一方の末端の酸素にはR−OHの−Hが結合し、他方の末端の炭素には、R−OHの−ORが結合する。
続いて、ルイス酸は新たなL−LAモノマーのカルボニル基に配位する。上記と同様に、L−LAモノマーのカルボニル基の正電荷が強まる。
また、ルイス塩基は、開環して直鎖状LAモノマーの末端に生じた水酸基に配位する。これにより、末端の水酸基の負電荷が強まる。
この直鎖状LAモノマーの末端の負電荷が強まった水酸基が、正電荷が強まったL−LAモノマーのカルボニル基の炭素に作用して、L−LAモノマーのカルボニル基が結合している炭素とこの炭素に結合している酸素との結合が切れやすくなり、開環する。L−LAモノマーが開環し、先に開環した直鎖状LAモノマーのO−H結合の間に入り込むように結合する。これにより、2つのL−LAモノマーが直鎖状に連なり重合した二量体が生じることとなる。
そして、上記の反応が順次生じることで、L−LAモノマーが順次開環して重合してゆき、高分子量体であるPLLAが合成される。
化学反応の原則としては、LA及びLBが混在した場合、LAとLBによる複合体が形成されてしまい、LA、LBはともに活性点を失い、それぞれ触媒としての機能を果たさなくなると考えられている。しかし、本実施の形態に係るLAとLBを組み合わせて用いる場合、上述のようにそれぞれの協奏的作用が発揮される。本実施の形態に係るLAとLBとの組み合わせにおいて複合体が形成されにくい原因は明かではないが、いずれも配位子が大きくかさ高いことから、立体障害により複合体が形成されないか形成されても容易に解離するものと考えられる。
また、本実施の形態に係るLAはモノマーであるL−LAに配位し、生成されたポリマー主鎖中のカルボニル基にはほぼ配位し難い。この原因についても定かではないが、LAの配位子とポリマー鎖が大きいため、立体障害によるものと考えられる。このため、リビング重合的に重合が停止せずに進行するので直鎖状のPLLAが得られ、得られたPLLAの分散度(Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量))が1に近い値になるものと考えられる。
また、リビング重合系では、停止反応や連鎖移動反応などの副反応を伴わない。リビング重合では、モノマーが消費された後に、モノマーを再添加することで、さらに重合を進行させることができる。このため、当初のモノマーを重合して消費された後に、異なるモノマーを再添加して重合させることで、ブロック共重合体を合成することも可能である。
上記の実施の形態では、環状エステルとして、L−ラクチドを例にとり説明したが、環状エステルとしては、開環重合し得るものであればよく、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、β−エチル−δ−バレロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン、ω−ペンタデカラクトンなどラクトン類およびグリコリド、ラクチドといったラクチド類が挙げられる。
また、ルイス酸とルイス塩基との配合比は、後述の実施例より、ルイス酸に対してルイス塩基が1当量以上であることが好ましい。ルイス酸がルイス塩基に対して過剰に配合すると、生成されるポリマーの収率が低くなる。
また、ルイス酸は、環状エステルに対して1/100当量程度添加すればよい。
また、環状エステルと開始剤との配合割合について、環状エステルを開始剤の50当量以上とすることが好ましい。
種々のルイス酸、ルイス塩基の組み合わせ、種々の合成条件により、L−LAの開環重合を試み評価した。
以下の合成例で使用した試薬並びに得られたポリマー等の測定機器等について記す。
H NMRスペクトルの測定には、JNM−LA400スペクトロメーター(日本電子株式会社製)を用いた。生成したポリマーの分子量及び分散度は、GPCシステム SC−8010(東ソー株式会社製))を用いて測定した。
テトラヒドロフラン(THF)及びヘキサンは、使用する前に、窒素雰囲気下、モレキュラーシーブス3Aで乾燥し脱気して用いた。トルエンはNa/ベンゾフェノンから蒸留により精製した。L−ラクチド(L−LA)及び1,2,2,6,6−pentamethylpiperidine(PMP)は、シグマアルドリッチ ジャパン株式会社製、Tris(pentafluorophenyl)borane/toluene 13.6wt%(B(C)は、東ソー株式会社製、Tri−tert−butylphosphine((t−Bu)P)、trimesitylphosphine((Mes)P)及びtriphenylphosphine(PhP)は、和光純薬株式会社製、Tricyclohexylphosphine(CyP)は東京化成工業株式会社製、Trimethylaluminium/n−hexane 1.05mol/L(AlMe)は関東化学株式会社製のものを用いた。
tris(pentafluorophenyl)aluminium・THF(Al(C・THF)は以下のように合成して用いた(Lee, C. H.; Lee, S. J.; Park, J. W.; Kim, K. H.; Lee, B. Y.; Oh, J. S. J. Mol. Catal. A:? Chem. September, 1998参考)。室温にて、B(C(11mL,2.1mmol)にAlMe(2mL,2.1mmol)を加えて得られた溶液を2時間攪拌した。そして、真空乾燥により溶媒を蒸発させて、緑白色の固体(938.1mg,1.776mmol)を得た。得られた固体を以下のように再結晶させた。THF(5mL)及びヘキサン(25mL)中に60℃で得られた固体を溶解させ、この溶液をフリーザーで2日間冷却した後に析出した固体を減圧乾燥することにより蒸発させて、白色透明の結晶(483.7mg,0.915mmol)を得た。以下に、上記のAl(C・THFの合成手順を示す。
得られた白色透明の結晶がAl(C・THFであることを確認するために、元素分析及びH NMR測定を行った。元素分析の結果を表1に示す。
表1から、計算値と実測値が非常に近い値を示しており、得られた白色透明の結晶がAl(C・THFであることを確認した。この固体をトルエンで希釈し、LAとして以下の合成に用いた。
(L−LAの開環重合)
まず、ルイス酸(LA)として上記で合成したAl(C・THF、ルイス塩基(LB)として市販のMesPを用い、ルイス酸とルイス塩基との種々の配合比にて、L−LA(モノマー、Mとも記す)の開環重合によりPLLAを生成し、ルイス酸とルイス塩基との配合比の影響について検証した。
以下のスキーム1に従い、L−LAの開環重合を行った。まず、トルエンにL−LAを加えた溶液に、LAのトルエン溶液を加えた。続いて、この混合物に、MesPのトルエン溶液を加えた。最後に、ベンジルアルコール(開始剤、Iとも記す)のトルエン溶液を加えた。これを100℃で所定時間攪拌して、開環重合させた。攪拌後、反応溶液をメタノールに注いで反応を停止させ、生成した沈殿物を遠心分離し、真空乾燥してポリマーを得た。
表2に、それぞれのLAとLBとの配合割合、そのほかの合成条件、並びに、測定結果を示す。
表2より、LAとしてAl(C・THF、LBとしてMesPを組み合わせた場合、L−LAの重合に対して高い活性を示した。LA:LBが1:2(Run1)及び1:1(Run2)の場合、凡そ90%の収率でPLLAが得られた。そして、分散度も1.1程度と良好な結果が得られた。
一方で、LAがLBに対して過剰に存在する場合(Run3)では、収率が約4.6%と低かった。以上の結果から、LBがLAに対して過剰に存在しても重合にはほぼ影響せず、LAに対してLBを1当量以上配合すればよいことがわかる。また、LA或いはLBのみの場合では、全くPLLAが得られず、LA及びLB双方を用いることで、PLLAを合成可能であることを確認した。
続いて、重合時間の影響について検証した。種々の重合時間にして、上記スキーム1と同様にしてL−LAの開環重合を行った。表3に、合成時間、そのほかの合成条件、並びに、測定結果を示す。
表3から、重合時間が長くなるにつれてPLLAの収量が増え、更に分子量も高くなっていることがわかる。そして、いずれの条件でも、分散度は1〜1.1程度と、分子量分布が狭い範囲で推移していることがわかる。
続いて、モノマーに対する開始剤の配合比を異ならせるとともに、上記スキーム1と同様にしてL−LAの開環重合を行い、モノマーに対する開始剤の配合割合の影響について検証した。表4にモノマーと開始剤の配合割合、そのほかの合成条件、並びに、測定結果を示す。
表4を見ると、この反応条件では、モノマー/開始剤が200当量までの場合(Run8,2,9)、得られるPLLAの収率も高く、モノマー/開始剤が大きくなるにつれて分子量も伸びている。本系ではモノマー:触媒の比が一定でも、モノマー:開始剤の比によって、生成されるポリマーの分子量を制御できるイモータル重合の挙動を示すことがわかった。
続いて、LAとしてAl(Cを用い、種々のLBとの組み合わせにおける影響について検証した。5種類のLBを用い、スキーム1と同様にしてL−LAの開環重合を行った。表5に用いたLB、そのほかの合成条件、並びに、測定結果を示す。
LBとして、PhPを用いた場合(Run2)及びMesPを用いた場合(Run12)では、得られたPLLAの収率が90%前後、分散度が1.1前後と良好であった。また、LBとして、CyPを用いた場合(Run13)では、得られたPLLAの収率は90%程度と良好であったが、分散度は1.46とややブロード化していた。また、LBとして、(t−Bu)Pを用いた場合(Run14)及びPMPを用いた場合(Run15)では、全くPLLAが得られない結果となった。
LBの種類によって重合が進行しない理由について、定かではないが、塩基性の高さが関係しているものと考えられる。表5に、用いたLBのpKaを示しているが、(t−Bu)P及びPMPは、このなかでも高いpKaを有しており、特に塩基性が強いことがわかる。これらのLBでは、強塩基性のために、LAと複合体を形成してしまい、活性点が失われたことで開始剤を活性化するに至らず、重合が進行しなかったものと考えられる。
続いて、LAとしてB(Cを用い、種々のLBとの組み合わせにおける影響について検証した。
下記のスキーム2にしたがって、LAとしてB(C、LBとして(t−Bu)Pを用いてL−LAの重合を試みた。具体的には、トルエン(5ml)に(t−Bu)P(13.6wt%,0.15ml)及びB(C(0.176mol/L,0.2ml)を添加した混合物をL−LA(0.5g,3.47mmol)に加えた。次に、この混合溶液に、メタノール(1.41μL)のトルエン溶液を加え、攪拌してL−LAの開環重合を試み、その後、メタノールに注いだ。
また、(t−Bu)Pに代えて、LBとしてMesP、PMPを用い、スキーム3同様にしてL−LAの重合を試みた。表6に用いたLB、合成温度、合成時間の条件を示す。
いずれの合成においても、メタノール不溶生成物は得られず、ルイス酸としてB(Cを用いても、L−LAの開環重合はできなかった。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。ルイス酸性は、B(CよりAl(Cの方が低いことが報告されている(Lee, C. H.; Lee, S. J.; Park, J. W.; Kim, K. H.; Lee, B. Y.; Oh, J. S. J. Mol. Catal. A: Chem. September, 1998参考)。ルイス酸性の高いB(Cでは、LBと複合体を形成して失活していることが考えられる。
続いて、ブロック共重合体の生成可能性について、L−LAを二段階に分けて添加し、合成することにより検証した。
下記のスキーム3にしたがい、L−LAの開環重合を行った。トルエンにL−LAを加えた溶液に、LA(Al(C)のトルエン溶液を加えた。続いて、この混合物に、LB(MesP)のトルエン溶液を加えた。そして、ベンジルアルコールのトルエン溶液を加え、24時間これを攪拌して、開環重合させた。その後、更に、L−LAのトルエン溶液を加え、24時間攪拌し、開環重合を進行させた。攪拌後、反応溶液をメタノールに注いで反応を停止させ、生成した沈殿物を遠心分離し、真空乾燥してポリマーを得た。
表7に、そのほかの合成条件、並びに、測定結果を示す。
L−LAを2段階に分けて添加し、重合を行った場合(Run25)、生成したPLLAの収率は73.8%とやや低くなってしまったが、これは、おそらく系の粘度上昇のためと考えられる。しかし、1段階でL−LAを添加した重合で生成した場合(Run2)のポリマーの分子量よりも、大きい分子量のポリマーが生成するとともに、分散度が1.08と狭い分子量分布を保っていたことから、この系はリビング重合系であることが示された。これにより、ブロック共重合体の合成が可能であることがわかった。
以上説明したように、開環重合触媒では、環状エステルの開環重合を促進し、得られるポリマーの分散度が1.1程度と良好である。そして、開環重合触媒は容易に合成することが可能である。このため、環状エステルの開環重合によるPLLA等の高分子材料の工業的な製造への応用が期待される。

Claims (7)

  1. ルイス酸として式1で表される化合物及びルイス塩基として式2で表される化合物を含み、
    (式1中、Xは、フェニル基又は水素がハロゲンで置換されたフェニル基を表し、式2中、Yは、フェニル基、又は、水素がアルキル基で置換されたフェニル基を表す。)
    環状エステルの開環重合反応を促進する、
    ことを特徴とする環状エステルの開環重合触媒。
  2. 前記ルイス酸がAl(Cである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の環状エステルの開環重合触媒。
  3. ルイス塩基がトリメシチルホスフィン又はトリフェニルホスフィンである、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の環状エステルの開環重合触媒。
  4. 前記ルイス酸の1当量以上の前記ルイス塩基を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の環状エステルの開環重合触媒。
  5. 環状エステルに請求項1乃至4のいずれか一項に記載の環状エステルの開環重合触媒を添加し、
    開始剤としてアルコールを添加し、前記環状エステルを開環重合させる、
    ことを特徴とする環状エステルの開環重合方法。
  6. 前記環状エステルとしてL−ラクチドを用い、ポリ−L−乳酸を重合する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の環状エステルの開環重合方法。
  7. 前記開始剤の50当量以上の前記環状エステルを用いる、
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の環状エステルの開環重合方法。
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