JP2016509892A - 空気透過層と、アッパー配列の下側周辺領域内の空気透過部分とを有する履き物 - Google Patents

空気透過層と、アッパー配列の下側周辺領域内の空気透過部分とを有する履き物 Download PDF

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Abstract

履き物(10)がアッパー配列(20)とソール(30)とを含んでおり、アッパー配列(20)がアッパー材料(12)と、空気透過層(16)と、少なくとも1つの水蒸気透過性機能層(18)とを含み、アッパー材料(12)が下側周辺領域内に少なくとも1つの空気透過部分(14)を含み、空気透過層(16)がソール(30)の上方のソール側で、アッパー配列(20)の下側領域内に配置されており、空気透過層(16)が水蒸気透過性であり、少なくとも水平方向の空気の通過を許す三次元構造を有しており、そして少なくとも1つの水蒸気透過性機能層(18)がアッパー材料(12)の内側に、且つ空気透過層(16)の上方に配置されている。少なくとも1つの空気透過部分(14)は空気透過層(16)が外部周囲と連通するのを可能にして、空気が外部周囲と空気透過層(16)との間で交換されるようになっており、前記空気透過部分(14)はさらに、水蒸気透過性機能層(18)が外部周囲と連通するのを可能にして、水蒸気が機能層(18)の内側から外部周囲へ搬送されるようになっている。少なくとも空気透過層(16)の上方に位置する、空気透過部分(14)の領域内で、空気透過部分(14)と機能層(18)との間に水蒸気透過性第1保護層(22)が配置されており、第1保護層(22)は、空気透過部分(14)を通って侵入する粒子から機能層(18)を保護するように構成されている。

Description

本発明は、アッパー配列とソールとを含む履き物であって、アッパー配列がアッパー材料と、空気透過層と、少なくとも1つの水蒸気透過性機能層とを含み、アッパー材料が下側周辺領域内に少なくとも1つの空気透過部分を含み、空気透過層がソールの上方のソール側で、アッパー配列の下側領域内に配置されており、空気透過層が水蒸気透過性であり、少なくとも水平方向の空気の通過を許す三次元構造を有しており、そして少なくとも1つの水蒸気透過性機能層が該アッパー材料の内側に、且つ空気透過層の上方に配置されている、履き物に関する。より具体的には、本発明は、履き物の気候に対する快適さを改善するために、足裏の下の通気、及び足の下の層を通した水蒸気の除去を伴う履き物の実施態様を記述する。
以前において、靴は、皮革のような靴ソール材料を使用する結果として、ソール領域内に通気性(breathability)とも呼ばれるある程度の水蒸気透過性を有するとともに、ソール領域が水透過性であるという欠点があった。或いは靴は、防水材料、例えばゴム又はゴム様プラスチックから形成されたアウトソールを使用する結果としてソール領域内では防水性且つ水蒸気不透過性であるとともに、足底領域内に湿分が蓄積するおそれがあるという欠点があった。
最近では、ソールに貫通孔を形成し、そして貫通孔を防水性の水蒸気透過膜で被覆することによって、足裏領域が防水性且つ水蒸気透過性である靴が作成されている。この場合、外部から靴内部へ水が浸透することはないが、しかし足裏領域に形成された湿分は靴内部から外方へ向かって逃げることができる。2つの異なる解決手段がここで追求されている。すなわちソールは鉛直方向貫通孔を備えており、これらの貫通孔を通して水蒸気を靴内部からソールの歩行面へ案内することができ、或いはソールは水平方向チャネルを備えていて、これらのチャネルを通って、アウトソールの上方に蓄積された水蒸気がソールの側方周辺を通って逃れることができる。
ソールが鉛直方向貫通孔を有する第1解決手段の例は、例えば欧州特許出願公開第0382904号明細書に示されている。ソールが歩行面に対して平行に延びる水平方向通気チャネルを有する第2解決手段の例は、例えば欧州特許出願公開第0479183号明細書から公知である。
米国特許出願公開第2011/0167677号明細書に開示された靴は、空気透過性スペーサ構造によって画定された、足裏の下の通気スペースを有している。このスペーサ構造は靴外部への水蒸気の効率的な搬送を可能にする。具体的には、この靴の実施態様はアッパー配列とソールとを有しており、アッパー配列は外側アッパー材料と、ソールの上方のソール側でアッパー配列の下側領域内に配置された空気透過層とを有している。空気透過層は、少なくとも水平方向の空気の通過を可能にする三次元構造を有している。外側アッパー材料は、ソール側で下側周辺領域内に少なくとも1つの空気通過開口を有している。この空気通過開口によって空気透過層と靴の外部環境とを連通することができるので、外部環境と空気透過層との間で空気を交換することができる。こうして、例えば空気透過層を通した対流空気交換によって、空気透過層の上方に位置するアッパー配列領域から熱及び水蒸気を除去することができる。
空気通過開口の領域内では、アッパー材料は空気透過層の上方の所定のスペースで終わっている。このスペースでは空気透過層は結合材料で延長されており、結合材料はシームによってアッパー材料に結合されていて、空気透過性材料として実現されることによって、空気透過層の周辺側面と空気透過層のレベルの、履き物の外部との間で空気交換が可能になる。
このような靴の実施態様では、防水性且つ水蒸気透過性のアッパー機能層を備えたアッパーライニング積層体と、防水性且つ水蒸気透過性のアッパーボトム機能層を備えたアッパーボトム積層体とが、アッパー配列内に設けられているので、靴のアッパー領域及びアッパーボトム領域の両方に水蒸気透過性と同時に防水性が達成される。
この解決手段における少なくとも1つの空気通過開口は、安定性の観点から空気通過開口を特に大きくすることができないアウトソールに形成されるのではなく、外側アッパー材料の下側周囲領域内にソール側で形成されているので、空気交換量の増大、ひいては水蒸気除去能力の向上のための状況が既に達成されている。
しかしながら、履き物空気交換能力、及び水蒸気除去能力をさらに向上させることが必要な場合がある。
本発明の態様によれば、アッパー配列とソールとを含む履き物であって、アッパー配列がアッパー材料と、空気透過層と、少なくとも1つの水蒸気透過性機能層とを含み、アッパー材料が下側周辺領域内に少なくとも1つの空気透過部分を含み、空気透過層がソールの上方のソール側で、アッパー配列の下側領域内に配置されており、空気透過層が水蒸気透過性であり、少なくとも水平方向の空気の通過を許す三次元構造を有しており、そして少なくとも1つの水蒸気透過性機能層がアッパー材料の内側に、且つ空気透過層の上方に配置されている、履き物が提供される。少なくとも1つの空気透過部分は空気透過層が外部周囲と連通するのを可能にして、空気が外部周囲と空気透過層との間で交換されるようになっており、前記空気透過部分はさらに、水蒸気透過性機能層が外部周囲と連通するのを可能にして、水蒸気が機能層の内側から外部周囲へ搬送されるようになっている。少なくとも空気透過層の上方に位置する、少なくとも1つの空気透過部分の領域内で、前記少なくとも1つの空気透過部分と前記機能層との間に水蒸気透過性第1保護層が配置されており、第1保護層は、空気透過部分を通って侵入する粒子から機能層を保護するように構成されている。
少なくとも1つの空気透過部分は空気透過層が外部周囲と連通するのを可能にして、空気が外部周囲と空気透過層との間で交換されるようになっており、空気透過部分はさらに、水蒸気透過性機能層が外部周囲と連通するのを可能にして、水蒸気が機能層の内側から外部周囲へ搬送されるようになっているので、空気交換及び水蒸気除去のためのアッパー配列における領域が増大する結果、履き物の空気交換能力及び水蒸気除去能力を改善することができる。これと同時に、空気透過層の上方の、空気透過部分と機能層との間に第1保護層が設けられていることにより、典型的には繊細な膜を含む機能層は、空気交換及び水蒸気除去のためのアッパー配列における領域が増大するにもかかわらず、空気透過部分を通って侵入し得る粒子の侵入から保護される。
本発明の1実施態様によれば、少なくとも1つの空気透過部分が、アッパー材料に少なくとも1つの空気通過開口を含み、空気通過開口が空気透過性第2保護層を含む。アッパー材料に空気通過開口を設けることにより、アッパー材料における空気交換及び水蒸気除去のための領域を著しく増大させることができ、これと同時に、例えば背後に配置された層、具体的には機能層を外部の衝撃、例えば石の形態を成す大型粒子などから効果的に保護するように、第2保護層を選択することができる。
少なくとも1つの空気通過開口は、従来技術と比較して相対的に広く、例えば、空気透過層のボトムよりも上方の少なくとも1つの空気通過開口の総面積は少なくとも500mm2、好ましくは少なくとも1000mm2、より好ましくは少なくとも1500mm2、さらにより好ましくは少なくとも2000mm2である。具体的には実際の例では、少なくとも1つの開口の総面積は少なくとも3000mm2であることが好ましい。空気通過開口が複数の場合には、総面積は、個々の空気通過開口の面積の和を含む。
1実施態様によれば、第2保護層の空気透過率は100 Paの圧力差で少なくとも100 l/m2/secである。具体的には、実際の例では、第2保護層の空気透過率は100 Paの圧力差で少なくとも1800 l/m2/secである。例えば第2保護層は網様構造を有しており、粒子、具体的には石に対する保護機能を有するように構成されている。
別の実施態様によれば、少なくとも1つの空気透過部分は少なくとも1種の空気透過性材料から形成されている。例えば空気透過部分は、アッパー材料と同じ又は類似の材料から形成されてよい。例えば履き物を高い空気透過性を必要とするスポーツシューズとして実現する際には、アッパー材料及び空気透過部分は、それぞれ網様構造を含んでよい。更なる実施態様によれば、アッパー材料はコンベンショナルなアッパー材料、例えば布地又は皮革と、高空気透過性アッパー材料とを含んでよく、この空気透過性材料は空気透過部分を形成することになる。
本発明の1実施態様によれば、第1保護層は、織布、不織布、フェルト、ニット、多孔質材料、無孔質材料、発泡材料及びメッシュ様材料、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。
空気透過層とアッパー材料の空気透過部分との組み合わせに基づいて履き物通気性が高められる。空気透過部分はそのサイズにより機能層のより大きい面積を外部に晒し、従って履き物全体の通気性が高められる。
種々の実施態様では、空気透過部分の下側領域の少なくとも一部が空気透過層のボトムにグルーラスティング(glue lasting)によって締め付けられる。この実施態様では、空気透過層はまたラスティング・インソール又は集成インソールとして機能し、このインソールには空気透過部分及びアッパー材料がアッパー配列を閉じるために締め付けられる。
更なる実施態様によれば、アッパー配列は、空気透過層の下側に配置されたインソール・エレメントを含み、1つの実施態様では、インソール・エレメントは空気透過部分の下側領域に例えば接着剤で組み付けられる。アッパー材料の下側周辺領域のうちの少なくとも1つがインソール・エレメントに組み付けられる。例えばアッパー材料の下側周辺領域は、インソール・エレメントのボトムにグルーラスティングによって締め付けられ、このインソール・エレメントは空気透過層の下に位置決めされた集成インソールとして機能する。
別の変更形において、アッパーは空気透過層の下側にグルーラスティングによって締め付けられる。また、アッパー及び/又は空気透過部分を締め付ける数多くの他の方法、例えば製靴業界において用いられる別の方法であるシュトローベル法(Strobel)が可能である。
本発明の変更形では、第1保護層は、ソールの上方のアッパー配列の下側領域内に配置されている。例えば、第1保護層は、水蒸気透過性機能層と空気透過層との間に配置されている。このように、第1保護層は、空気透過層に面するアッパー配列のソール側に、そして空気透過部分の領域内で空気透過層の上方に位置する周辺領域に配置されている。例えば、第1保護層は第1保護層の内面及び外面上に付着手段、具体的には不連続分布の接着剤を備えている。
第1保護層は、機能層の下面の少なくとも大部分を被覆するように配置することができる。第1保護層は、少なくとも側方で上方に向かって空気透過部分の領域内に延びていてもよい。第1保護層はアッパー機能層とアッパーボトム機能層とのシーリング領域を完全に又は部分的に被覆していてもよく、アッパーの下側領域内のアッパー機能層の被覆部分を超えていてもよい。第1保護層は、靴着用時の外部又は内部の影響又は衝撃から機能層を有利に保護する。
別の実施態様によれば、第1保護層はアッパー配列の周辺領域内でのみ延びている。従って、第1保護層は空気透過部分の領域内の、空気透過層の上方の周辺領域内にだけ配置されている。例えば、第1保護層は第1保護層の内面上に付着手段、具体的には不連続分布の接着剤を備えている。
本発明の1実施態様によれば、第1保護層は第2保護層とは異なる。
第1保護層の水蒸気透過率(MVTR)は少なくとも4mg/cm2/hであることが好ましい。
第1保護層は、ダスト、小型粒子、及び摩耗、及び/又は穿刺損傷から機能層を保護するように構成されている。このことは、履き物の長時間の利用を保証する。それというのも機能層内に含まれる繊細な膜が、空気透過部分を通って侵入又は作用し得る外部の影響から保護されるからである。
本発明の変更形において、アッパー配列は空気透過層の上方のレベルで、少なくとも1つの空気透過部分と機能層との間に配置された少なくとも1つの粒子バリア層を含む。
例えば、空気不透過性であってよいこのような粒子バリア層は、より大きい又はより小さい粒子、例えば石、泥などが機能層及びアッパー材料及び/又は空気透過層の間のスペース内に蓄積するのを防止する点で付加的な保護を可能にする。粒子バリア層は空気透過層のすぐ上方のレベルに配置されていてよいが、しかしアッパー材料の方向に空気透過層に対してより高い位置に配置されていてもよい。こうして、このような粒子により機能層を損傷する潜在的リスクは低減される。
例えば、粒子バリア層はストリップの形態を有していてよい。ストリップは周囲の少なくとも一部、具体的には空気透過部分が配置された部分に沿って長手方向に配置されるか、或いは靴のほぼ全周にわたって配置されていてよい。粒子バリア層は、アッパー配列の水平ボトムと鉛直部分との間の靴の周囲領域において空気透過層の上方に位置する領域を被覆し、且つ/又はこの領域内に配置されていてよい。この領域で靴は、地面を踏むときの鉛直方向運動に際して石や他の粒子と接触することがある。粒子バリア層は第1保護層に付着させることができる。
例えば粒子バリア層は、空気透過部分の内面と接触するように配置される。例えば空気透過部分は粒子バリア層を第1保護層の方向に押し付ける。
機能層はアッパー機能層及び/又はアッパーボトム機能層であってよい。アッパーボトム機能層は具体的には、足の下から、上方に向かってアッパー配列の側部へ至る領域まで延びている。一例としては、アッパー機能層とアッパーボトム機能層とを互いに結合することによりソックス様機能層配列を形成することができる。機能層をアッパー集成体の部分としてどのように形成するかは他の多様なプロセスがあってよい。
種々の実施態様では、履き物はアッパー配列のアッパー領域内に配置された水蒸気透過性アッパー機能層と、アッパー配列のボトム領域内に配置された水蒸気透過性アッパーボトム機能層とを含んでいる。これら2つの機能層は同一であることが可能であり、或いはむしろ区別可能に異なった材料であることも可能である。
本発明の1実施態様によれば、履き物は、少なくとも1つの機能層を含むソックス様機能層ブーティを含む。このようなソックス様機能層ブーティにおいて、少なくとも部分的にアッパー機能層によってアッパー領域が形成され、アッパーボトム機能層によってボトム領域が形成される。このようなブーティは通常、いくつかの機能層部分から縫い合わされる。縫合個所は、シームを水密シーリング式ストリップで接着され、こうして水密にされる。
種々の実施態様において、空気透過層はアッパーボトム機能層の下に位置している。
種々の実施態様において、少なくとも1つの機能層が防水性である。
図面を参照しながら、本発明の更なる実施態様及び特徴を以下に説明する。本発明を変更形によってさらに説明する。
図1は、アッパー材料中にいくつかの空気透過部分を有する履き物の1実施態様を示す側面図である。 図2は、本発明による履き物の1実施態様を示す断面図である。 図3は、図2の実施態様の部分を示す斜視三次元図である。 図4は、本発明による履き物の別の実施態様を示す断面図である。 図5は、本発明による履き物のさらに別の実施態様を示す断面図である。 図6は、本発明による履き物のさらに別の実施態様を示す断面図である。 図7は、第1保護層のデザインの模範的実施態様を示す平面図である。
図1は靴10の形態を成す履き物の1実施態様を示している。靴はアッパー配列20と、アッパー配列20の下端領域に取り付けられたソール30とを有している。アッパー配列20は通常、履き口を有している。この履き口からレース領域がアッパー配列の前足領域の方向に延びている。アッパー配列20の下側領域内では、複数の空気透過部分14が、アッパー配列20の周辺部分の周りに配置されている。靴のトウ(つま先)領域に概ね相当する前足領域の前部分、及びヒール部分には、この実施態様では空気透過部分14は設けられていない。空気透過部分14はこの実施態様では、アッパー配列20の残りの周辺領域の周りに、概ね同じ間隔を置いて分配され、任意の適宜の形状で形成されている。
図2及び3は、本発明の1実施態様による模範的な履き物を示す断面図である。具体的には、図2はアッパー配列20と、アッパー配列20に取り付けられたソール30とを有している。ソール30はアウトソール又はトレッド41とミッドソール42とを含む。ソール30は図示のような複合ソールとして設けられていてよく、或いは1つの材料片として設けられていてもよい。アッパー配列20に対するソール30の付着は、アッパー配列20に対してソール30をセメント固定することによって行うことができる。靴は射出成形、又はアッパーに対するソールの他の付着法によってアッパー配列20にソール30を付着させることによって製造してもよい。ソール30の材料は防水性であり、典型的には水蒸気不透過性であり、そしてあらゆる種類のゴム、発泡材料、硬化材料、及び熱可塑性材料を含むあらゆる種類のプラスチック、並びに天然材料、例えば皮革、又はソール及び任意のソール層を形成するために一般に使用される他の材料であってよい。
アッパー配列20はアッパー材料12を有している。アッパー材料の内側には、第1層複合材料が位置している。例えば、第1層複合材料として積層体が設けられている(以下では「第1積層体」とも呼ばれる)。この積層体は(内側から外側へ)、水蒸気透過性であるがしかし防水性ではないアッパーライニング布地層17と、膜の形態を有してよい機能層18と、水蒸気透過性であり接着剤の浸透を可能にする支持メッシュ構造(例えばナイロン)を有する、機能層18のための支持層19とを含む。機能層18は防水性であり、且つ水蒸気透過性であり、例えばePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)膜、又はPU(ポリウレタン)膜であることが好ましい。機能層18は多孔質構造を有してよく、多層製品、例えばePTFE+PU被膜、又は表面処理されたePTFE層であってよい。層17,18及び19によって形成された第1積層体は主に足の甲及び側面の全体を覆うことができる。
機能層は上述の実施形に限定されるのではなく、より多くの又はより少ない層、他の膜、及び靴にとって同じ結果を得る、膜の代わりの他の解決手段から成ることもできる。このことはまた膜を一体化する他の方法、並びにプラズマ耐久性撥水(DWR:Durable Water Repellent)処理のような処理、及び/又は、靴を防水性であるとともに通気性にして上述の空気通過を許す、他の代わりの解決手段を含む。
アッパー材料12は水蒸気透過性であってよく、例えば皮革、ポリアミド、又は他の材料、又はこれらの組み合わせから形成されてよい。これはアッパー配列の目に見える外側部分である。アッパー材料12は層17,18,19を備えた第1積層体を取り囲む。アッパー材料及び第1積層体は、足を受容できるように基本的には同じ形状を有している。アッパー材料12と第1積層体とは、アッパー材料12と第1積層体との組み合わせの防水性及び水蒸気透過性を維持する形で、必要な場所で互いに付着させられる。
図2及び図3の実施態様によれば、アッパー配列20のボトム領域内には第2層複合材料がさらに設けられている。例えば、第2層複合材料として積層体が設けられている(以下では「第2積層体」とも呼ばれる)。この積層体は第1積層体と基本的に同じ層構造、すなわち(内側から外側へ):水蒸気透過性であるがしかし防水性ではないボトム・ライニング布地層17と、好ましくは防水性であり水蒸気透過性の機能層18、例えばePTFE膜又は複合膜と、機能層18のための支持層19、例えば支持メッシュ構造(例えばナイロン)とを含む。
第1積層体の下端部と第2積層体の周縁部とは、少なくとも1つのシーム9、例えばStrobelシーム又は類似のものによって互いに付着させられる。この少なくとも1つのシーム9はシームテープ15を使用して防水シーリングされる。シームテープは、例えば特別のシーム・シーリング機械を使用して、足とは反対に向いたシーム側に貼り付けられる。アッパー配列20の部分として第1積層体と第2積層体とによって形成された完成済ライニング構造は、機能層ブーティと呼ばれる防水性ソックス様構造である。
このようなブーティは通常いくつかの積層体部分から縫い合わさる。縫合個所は、防水シーム・シーリング式ストリップで接着され、こうして防水性にされる。アッパー配列20は従って防水性且つ水蒸気透過性であり、そしてソール30を付加した後、防水性且つ水蒸気透過性の靴10が提供される。
一般に、機能層18のアッパー部分とボトム部分とは機能層ブーティの共通部分であってよく、或いは、互いにシーリングされた別個の機能層部分であってもよい。機能層18のアッパー部分及びボトム部分はそれぞれ、上記のように多層機能層積層体、例えば2枚の布地の間に埋め込まれた機能層を備えた三層型の機能層積層体の部分であってよい。布地は通常、それぞれ1つの布地層であってよい。
種々の実施態様では、機能層は、このような履き物製品に適用可能な任意の他の形態又は方法で一体化されてよい。
図2及び3にさらに示されているように、機能層18のボトム部分に向かう方向で水蒸気透過性である、少なくとも空気透過性の層16(他の機能を有してもよい)が、ソール30の上方の、アッパー配列20の下側領域に配置されている。空気透過層16は、少なくとも水平方向の空気通過を可能にする構造を有している。具体的には、空気透過層16は機能層18のボトム部分の下に位置している。ソール側に位置するアッパー材料12の下端領域は、ラスティング接着剤25(図3に示されている)によって、集成インソールとして役立つインソール・エレメント32のボトムに、ラスティング端部121としてグルーラスティングされるか又は付着させられる。インソール・エレメント32は、接着剤25によって空気透過層16の下側に接着される。
1つの具体的な実施態様では、第2積層体の下方、具体的には空気透過層の下方にインソールが位置決めされる。インソールは集成インソール又はラスティング・インソールの構造を有していてよい。この構造に、アッパー材料の端部及び空気透過部分が折り重ねられ、ラスト(靴型)に取り付けられたときにアッパー配列を閉じるためにこれらはインソールの下側に固定され、そのあとで、閉じられたアッパー配列の下側にソールが付着させられる。インソール及び空気透過層の底面は、例えばラスティング・グルー又は同等のもので接着することによって互いに固定される。インソールは所望の剛性、硬度、又は他の特性に応じて、種々のタイプの材料から形成することができる。1実施態様では、インソールは20gの不織布の層を含む100%のポリアミドから形成されており、非通気性である。インソールはトウ領域では2.2mm、ヒール領域では4.0mmの総厚を有していてよく、イタリア国Limena在Stilflex社から商業的に入手可能である。インソールは安全靴のための穿刺保護のような他の機能を有することもできる。また、インソールは極めて軟質であってよく、接着剤以外の手段、例えば縫合(一般的なStrobel構造において用いられる)によって付着させられてよい。
別個のインソール・エレメント32がない別の実施態様(図示せず)では、空気透過層16はラスティング・インソールとして作用してもよい。このラスティング・インソールには、アッパー材料12のラスティング縁部121がラスティング接着剤によって付着させられる。別個のインソール32を使用する代わりに、所定の変更形では、空気透過層16のボトム又は下側支持面を必要に応じて相当に安定にして、ラスティング縁部121をこの底部に付着させ得るようにすることも可能である。このような実施態様では、空気透過層16は付加的にインソールの機能を担う。
別の実施態様(図示せず)では、ソール上のアッパー材料12の下端領域は、縫合シーム(例えばStrobelシーム)によってインソールに結合されてよい。空気透過層をアッパー集成体の下側領域に一体化する他の方法を用いてもよい。
さらに図1,2及び3に示されているように、アッパー材料12は下側周辺領域に空気透過部分14を含んでいる。これらの空気透過部分のうちの1つがそれぞれの側で図2及び3に示されている。大まかに言えば、空気透過部分14のそれぞれは空気透過層16が外部周囲と連通するのを可能にして、空気が外部周囲と空気透過層16との間で交換されるようになっている。さらに、空気透過部分14のそれぞれはさらに、水蒸気透過性機能層18が外部周囲と連通するのを可能にして、水蒸気が機能層18の内側(すなわち足に面した側)から外部周囲へ搬送されるようになっている。
図2及び3の実施態様によれば、空気透過部分14のそれぞれは、アッパー材料12に形成された少なくとも1つの空気通過開口24を含む。空気通過開口24は、空気通過開口24を被覆する空気透過第2保護層26を含む。例えば、第2保護層26は縫い目13によってアッパー材料12に結合されてよい。空気通過開口24の領域内では、アッパー材料12の代わりに、第2保護層26が設けられている。図3に示されているように、空気通過開口24を含むアッパー材料12の下側部分は、第2保護層26に被せられており、アッパー材料12の上側部分に付着させられている。アッパー材料12のラスティング縁部121と同様に、第2保護層26はラスティング縁部261を含む。ラスティング縁部261はラスティング接着剤25(図3)によって、インソール・エレメント32の下側に付着させられる。ラスティング接着剤25は第2保護層26を貫通し、これによりアッパー材料12のラスティング端部121にも付着する。
第2保護層26は例えば高い空気透過率、ひいては高い水蒸気透過率を有する布地材料から形成されたガーゼ又はメッシュによって形成される。第2保護層26は対応する空気通過開口26の外側又は内側に配置することができる。各空気通過開口26にはその保護層26が貼り付けられていてよい。他の実施態様では、第2保護層は共通の保護カバーストリップとして空気通過開口26のいくつか又は全てに貼り付けられて、保護カバーストリップが相応の数の空気通過開口26にわたって延びるようになっていてよい。保護カバーストリップは、ラスティング縁部の少なくとも一部になることも可能である。
本発明の1実施態様では、1つ又は2つ以上の空気通過開口24の総面積は少なくとも500mm2、好ましくは少なくとも1000mm2、より好ましくは少なくとも1500mm2、さらにより好ましくは少なくとも2000mm2、さらにより好ましくは少なくとも3000mm2である。第2保護層26の空気透過率は100 Paの圧力差で少なくとも100 l/m2/secであることが好ましい。具体的な実施形では、第2保護層26が網様構造を有しており、大型の粒子、具体的には石の侵入に対する保護機能を有するように構成されている。この方法では、高い水蒸気透過率を、外部衝撃に対する好適な保護機能及び安定化機能と組み合わせてよい。
さらに図2及び3に示されているように、少なくとも空気透過層16の上方に位置する、それぞれの空気透過部分14の領域内で、空気透過部分14のそれぞれと機能層18との間に、水蒸気透過性であり且つ好ましくは撥水性の第1保護層22が配置されている。第1保護層22は、空気透過部分14を通って侵入するおそれがある粒子から機能層18を保護するように構成されている。第1保護層22は、織布、不織布、フェルト、ニット、多孔質材料、無孔質材料、発泡材料及びメッシュ様材料、又はこれらの組み合わせから成る材料群から選択されると有利である。1実施態様では、第1保護層22は、疎水性になるように処理することができる不織布フェルト材料から形成されてよい。
第1保護層22は任意には、例えば不連続な接着剤の塗布を用いて、通気性が維持されるように第2積層体と連携させられる。例えば、第1保護層22は任意には、第2積層体、すなわちメッシュの形態を有してよいアッパーボトム支持層、及び機能層と、材料スタック全体の通気性を維持する接着剤ドット又は接着剤粒子によって層の開放構造を通して連携させられる。
図2及び3の実施態様において、第1保護層22は、ソール30に面するアッパー配列20のボトム領域内に水平方向に延びており、水蒸気透過性機能層18と空気透過層16との間に位置している。さらに、第1保護層22はこの実施態様では第1保護層22の内面及び外面上に不連続分布の接着剤23、例えば接着剤ドット23を備えている。
第1保護層は、ソールに向いたアッパーボトム機能層の下面の少なくとも大部分を被覆するように配置することができる。第1保護層は少なくとも部分的に側方で上方に向かって、ラストのエッジの周りに延び、少なくとも図示の開口領域内に延びてよい。第1保護層はシームテープを完全又は部分的に被覆してもよく、そしてシームテープを超えて、第1積層体の下端部の少なくとも一部、具体的には空気透過部分におけるアッパー機能層を被覆してもよい。第1保護層は、上記のような膜の形態を成してよいアッパーボトム機能層を、下側に配置された空気透過層(下でより詳細に述べる)との摩擦から保護するので有利である。それというのも特に接着剤ドットが設けられていなければ、歩行中に空気透過層と機能層との間に相対運動が生じることがあるからである。第1保護層は、空気透過部分を通して直接又は間接に機能層に作用する外部衝撃から機能層を保護するのに適した構造を有することもできる。
ISO 14268 (03-2013)に従って測定された第1保護層の水蒸気透過率(MVTR)は、少なくとも4mg/cm2/hであることが好ましい。好ましい実施態様では、第1保護層22のMVTRは少なくとも25mg/cm2/hである。
1実施態様では、第1保護層22は、積層体の支持層19によって形成されてよい。
第1保護層22の主要な機能は、空気透過部分14を通って侵入し得る粒子、具体的にはダスト及び小型粒子から、そしてまた、アッパー材料12及び第2保護層を通って作用し得る摩耗から機能層18を保護することである。
図4には、本発明による別の実施態様が断面図で示されている。図4に基づく実施態様が図2及び3に基づく実施態様とは異なるのは、空気透過部分14のうちの1つ又は2つ以上が少なくとも1種の空気透過性材料から形成されている点である。この実施態様では、空気透過部分14は、空気透過性アッパー材料部分12によって少なくとも部分的に形成されている。例えば、このようなアッパー材料部分12は、高い空気透過率を可能にする開いた間隙又はボイドを備えた網様構造を有している。それでもなお、このようなアッパー材料12は、基底層、具体的には機能層18のための、粒子、具体的には石に対する保護機能を依然として提供する。例えば、前記空気透過性のアッパー材料部分12は、履き口領域を取り囲む表面全体にわたって、又はその表面の部分だけにわたって、具体的には空気透過層16に隣接してその上方に位置する周辺領域内で、空気透過性の網様構造を有していてよい。具体的な実施態様では、アッパー材料12は図2及び3の実施態様に基づく第2保護層26と同じ又は同様の材料から形成されてよい。
この実施態様では、空気透過部分14を形成するアッパー材料12の空気透過率は少なくとも空気透過部分の領域内で、100 Paの圧力差で少なくとも100 l/m2/secである。
図4の実施態様に基づく履き物のその他の構成部分は図2及び3の実施態様と同じなので、上記の対応する説明が参照される。
図5は本発明によるさらに別の実施態様を示す断面図である。やはりここでも、履き物は図2及び3の実施態様と類似している。図2及び3の実施態様とは異なる点として、図5の実施態様によれば、第1保護層22がアッパー配列20の周辺領域内にしか延びていない。換言すれば、第1保護層22は機能層18のボトム部分と空気透過層16との間で、ソール30に面するアッパー配列20のボトム領域内には延びず、アッパー配列20の周辺領域内にだけ延びている。第1保護層22は第1保護層22の内面上に、付着手段23、具体的には不連続分布の接着剤を備えていると有利である。第1保護層22のための材料に関しては、図2及び3を参照しながら上述したものと同じ材料を使用することができる。
図示のように、第1保護層22はアッパー配列20のボトム領域内に延びて、これが空気透過層16の上面の周縁にだけ接触し、機能層18のボトム部分と空気透過層16との間のスペースを閉じるようになっていてよい。その結果、空気透過部分14を通って侵入するいかなる粒子も、機能層18のボトム部分と空気透過層16との間に入ることが防止される。この領域において、第1保護層22は上方の層構造、この例では第1積層体、第2積層体、及び/又はシームテープ15に、具体的には接着剤23によって付着させられることが好ましい。
図6を参照すると、本発明による履き物のさらに別の実施態様が断面図で示されている。ここでも、前述の実施態様と同じ符号を有する構成部分は、これらの実施態様において同じ又は同様のものであり、ここで再び詳述することはしない。
上記構成部分に加えて、この実施態様における履き物のアッパー配列20は、空気透過層16の上方のレベルで、それぞれの空気透過部分14と機能層18との間に配置された粒子バリア層28を含む。例えば粒子バリア層28は、空気透過層16の上方の側方クオータ内に配置される。例えば粒子バリア層28は第1保護層22に、例えば接着剤(図示せず)によって付着させられる。その他方の側では、粒子バリア層28は、空気透過部分14の内面と接触するように配置されてよい。例えば、第2保護層26又はアッパー材料12はそれぞれ、粒子バリア層28が第1保護層22の表面上に押し付けられるように配置されてよい。こうして、粒子バリア層28は、いかなる開いたスペース又はギャップも間に存在することなしに、アッパー材料12及び/又は第2保護層26に保持される。
1実施態様によれば、粒子バリア層28は空気不透過性である。従って粒子バリア層28を、やはり空気不透過性であるシームテープ15の領域内に配置し、ひいては空気不透過領域を、空気透過層16のすぐ上のアッパー配列20の角度付き周辺領域だけに制限すると有利である。
全ての実施態様において、履き物の内側と外部周囲との間の空気交換を特に効果的にするために、空気透過部分14は空気透過層16の鉛直方向厚さよりも著しく大きい、アッパー配列の鉛直方向領域内にまで延びる鉛直方向の延びを有している。
1つ又は2つ以上の空気透過部分は(下側シャフトの全周にわたって延びる空気透過性材料によって形成される空気通過開口20に関して、米国特許出願公開第2011/0167677号明細書の図4に概略的に示されている原理に基づいて)連続的であるか、又は本明細書の図1の例に示されているように不連続的であってよい。空気透過性の第2保護層(図2及び3)を含む少なくとも1つの空気通過開口の実施態様では、第2保護層26はそれぞれの開口24に別個に付着させることができ、或いは、アッパー配列の周辺に沿って同時に複数の開口24を被覆する1つの材料片の形態を成すこともできる。1実施態様によれば、第2保護層26は、米国特許出願公開第2011/0167677号明細書の符号210で示された結合材料に相当するものであってよい。
ソール30は多層集成体として構成することができ、又はゴム又はゴム様弾性プラスチック、例えばエラストマーが含まれる防水性材料を備えた1つの材料片から形成することもできる。しかしながら、ソール30は、水蒸気透過性材料、例えば皮革から成っていてもよい。ソール30は、アッパー配列20に接着される予め製作されたソールであるか、或いはアッパー配列20上に成形されるソールであってよい。ソール30のボトムに位置する、トレッド41として示されたこのソールの歩行面は通常、溝パターンを備えており、これにより、靴の滑り止め特性を改善する異形成形突起を形成する。
第1保護層22は耐久性のある水蒸気透過層であって、摩耗及び穿刺損傷から機能層(より具体的にはブーティ積層体)を保護する層であることが好ましい。第1保護層22は通気性全体を高めるために空気透過性であることも好ましい。第1保護層22は、少なくとも空気透過層16に面した領域内で空気透過性であると有利である。
第1保護層には、疎水性処理及び/又は疎油性処理を施すことができる。第1保護層は、織布材料、不織布(フェルト)材料、ニット、多孔質/無孔質材料、発泡材料及びメッシュ様材料、又はこれらの組み合わせから成る材料群から選択することができる。第1保護層22は、ソックス様ブーティの形状に適合するように可撓性材料から選択することができる。
1つの例では、第1保護層は、フルオロポリマーを使用して疎水性処理された不織布ポリエステル材料から形成することができる。第1保護層の布地重量(textile weight)は≧100g/m2、好ましくは120g/m2であり、DIN EN ISO 14268に基づく水蒸気透過率(MVTR)は、>25mg/cm2/hである。さらに、第1保護層はISO 12947に基づいてマーチンデール乾式摩耗>5000動作を示す。
1具体例において、第1保護層は、VELA TECHNOLOGIES S.r.l.社から入手可能な、厚さ0.5±0.1mm、及び重量110g/m2±10%の撥水性100%ポリエステル・フェルトである。
第1保護層22は任意には、例えば不連続な接着剤塗布を用いて、通気性全体が維持されるように機能層集成体に付着させられる。例えば第1保護層22は任意には、層配列の通気性に影響を及ぼさない接着剤ドット又は接着材粒子によって付着させられる。
図7は、第1保護層22のデザインの模範的実施態様を示す平面図である。この実施態様では、第1保護層22は、一種の翼形状として形成され得る周囲部分221〜224を有している。具体的には周囲部分221〜224は、第1保護層22の周囲に設けられた、部分221〜224を互いに仕切るそれぞれの切り込み220によって形成されてよい。第1保護層22をこのように形成することは、機能層集成体(ブーティ)に第1保護層22を皺なしに(foldfree manner)付着させるために、そして集成体又はブーティの形状に第1保護層22を一致させるために有利な場合がある。
(「スペーサ材料」としても機能し、スペーサ材料と呼ぶこともある)空気透過層16に関しては、足下機能層(機能層18のボトム部分)及び第1保護層22を外部環境と接続する、耐久性のある高空気透過領域を提供する材料が選択される。
例えば、空気透過層16のために、疎水性の水蒸気透過性三次元布地材料が使用されてよい。空気透過層16は通気層として作用する。空気透過層16は鉛直方向及び水平方向において水蒸気透過性であることが好ましい。少なくとも水平方向で、空気透過層16はある程度の空気流をその構造に基づいて可能にする。
空気透過層16の下面は水蒸気透過性でない場合がある。この実施態様では、空気透過層16は水平方向及び鉛直方向に空気透過性且つ水蒸気透過性である。空気透過層16の上面は上記のように上方の層に、これらの層の通気性を依然として維持するように、例えば不連続な接着剤を使用して付着させることができる。
具体例では、空気透過層16は、Tylex社から入手可能な厚さ6.5mm、重量980g/m2、及び幅110cmの100%PES材料(物品番号D0082_03)から形成される。
空気透過層16は原則的に、もし存在するならばインソール・エレメント32の形状に相当する。
ここに使用される粒子バリア層28は、具体的には空気透過層16の上方に位置する側方クオータ内に配置された、第1保護層22とアッパー材料との間の保護境界層であることが好ましい。1実施態様に基づく粒子バリア層28は空気不透過性である。これは水蒸気透過性であってよい。粒子バリア層28はシームテープ15の側方の広がり、又は相応の対面層に、例えば接着剤、例えば接着テープ、又は対面層の他の部分上に設けられたものと同じ接着剤を使用して固定することができる。これは通気性又は非通気性の形で行われてよい。粒子バリア層28はストリップの形態を有していてよく、履き物の周囲の少なくとも一部に沿って長手方向に配置されていてよい。粒子バリア層28は連続ストリップとして形成されてよく、履き物の周辺の広がりに沿って配置された複数のストリップを含んでもよい。粒子バリア層28は、空気透過層16の上方に位置する、アッパー配列20の角度付き周辺領域を被覆してよく、且つ/又はこの領域内に配置されてよい。例えば、粒子バリア層16は付着手段、例えば接着剤又は接着テープを、粒子バリア層の内面に、好ましくは粒子バリア層の内面だけに備えている。
例えば、粒子バリア層28は、下記特性を有する材料から形成される:
− 材料:独立気泡発泡体(EVA(エチレンビニルアセテート)及び/又はPE(ポリエチレン))
− 内側に粘着性ホットメルト剤を備える
− 厚さ:DIN EN ISO 5084に従って3.0±0.5mm
− 幅:8±2mm
− 密度:30〜80kg/m3,ISO 845
1具体例では、幅10mm、厚さ3mm、及び密度40g/m3のPE接着テープの形態を成す粒子バリア層を、供給元Trocellen S.P.A.から使用することができる。
第2保護層26に関しては、1実施態様によれば、アッパー配列内の耐久性の高空気透過性保護層を提供する網様構造(メッシュとも呼ばれる)が使用される。網様構造は、空気透過層(スペーサ材料)及び機能層積層体を外部環境に接続する。
ISO 9237に従って空気透過率>1800 l/m2s(100Pa)の材料を使用することが好ましく、この材料はポリアミド、例えばポリアミド6.6(ナイロン)から成るニット、好ましくはワープニットから形成される。このようなニットは、ほつれを生じないことが有利である。第2保護層は疎水性処理される。
第2保護層26は開口24の領域内でアッパー材料12の下端部に取って代わり、ラスティング力に起因してアッパー材料12の下端部を著しく変形させることのない機械ラスティングを可能にする。これは開口24が形状及び位置を維持することを保証する。第2保護層26は、縫合又はシーム13、又は溶着(超音波、ホットプレート、高周波)、及び/又はオーバーインジェクション、或いはそれぞれの開口24を取り囲む又は開口の周囲部分内に配置された塗布溶液によって、アッパー材料12に付着させることができる。
一例では、第2保護層は、メラミン樹脂の二重処理による100%ポリアミドから形成されており、厚さ1.2mm、重量390/400g/m2(±10%)、及びISO 9237に基づく空気透過率約3000 l/m2であってよい。このような層は例えばPanatex S.P.A.から商業的に入手可能である。
本明細書中に使用される接着剤に関して、下記実施態様が用いられる。すなわち、接着剤23は好ましくは低被覆率の格子ロールで第1保護層22に不連続的に塗布され、空気透過層16との耐久性の結合をもたらす一方で、被覆されていないランド領域を通して湿分の搬送を可能にする。アタクチック・ポリプロピレン及び/又はホットメルト樹脂である接着剤材料が使用されてよい。
上述のように、アッパー材料12の下側部分及び/又は第2保護層26は、ラスティング・グルーを使用してインソール・エレメント32の下側に付着させられることが好ましい。このことは機械ラスティング法を用いて行われてよい。この方法はアッパー配列20を製造する際の最終工程である。次いでソール又はソール集成体30をアッパー配列20に、ソール接着剤を塗布することによってセメント固定する。ソール接着剤は、インソール32の下側の表面全体及びラスティング縁部エッジ121,261にわたって塗布される。ソール集成体30の上面全体にソール接着剤を塗布してもよい。別の実施態様において、ソール30はアッパー配列20上に射出成形されてもよい。
記載の実施態様ではラスティング・バージョンだけを考察したが、本発明はこれに限定されることはなく、あらゆる他のバージョン、例えばアッパー配列を閉じるためにシュトローベルシームを用いるバージョンに適用することもできる。さらに、上、ボトム、上方、下、鉛直、水平などの用語が本明細書で使用されるときには、これは特定の図面を参照して述べるものであり、通常の使用時の、又は地面に置かれたときの履き物に関連したものとして理解されるべきである。

Claims (21)

  1. a) アッパー配列(20)とソール(30)と
    を含む履き物(10)であって、
    b) 該アッパー配列(20)がアッパー材料(12)と、空気透過層(16)と、少なくとも1つの水蒸気透過性機能層(18)とを含み、
    b.1) 該アッパー材料(12)が下側周辺領域内に少なくとも1つの空気透過部分(14)を含み、
    b.2) 該空気透過層(16)が該ソール(30)の上方のソール側で、該アッパー配列(20)の下側領域内に配置されており、該空気透過層(16)が水蒸気透過性であり、少なくとも水平方向の空気の通過を許す三次元構造を有しており、そして
    b.3) 該少なくとも1つの水蒸気透過性機能層(18)が該アッパー材料(12)の内側に、且つ該空気透過層(16)の上方に配置されており;
    c) 該少なくとも1つの空気透過部分(14)は該空気透過層(16)が外部周囲と連通するのを可能にして、空気が該外部周囲と該空気透過層(16)との間で交換されるようになっており、前記空気透過部分(14)はさらに、該水蒸気透過性機能層(18)が該外部周囲と連通するのを可能にして、水蒸気が該機能層(18)の内側から該外部周囲へ搬送されるようになっており;そして
    d) 少なくとも前記空気透過層(16)の上方に位置する、該少なくとも1つの空気透過部分(14)の領域内で、前記少なくとも1つの空気透過部分(14)と前記機能層(18)との間に水蒸気透過性第1保護層(22)が配置されており、該第1保護層(22)は、該空気透過部分(14)を通って侵入する粒子から該機能層(18)を保護するように構成されている、
    履き物。
  2. 前記少なくとも1つの空気透過部分(14)が、アッパー材料(12)に少なくとも1つの空気通過開口(24)を含み、前記空気通過開口(24)が空気透過性第2保護層(26)を含む、請求項1に記載の履き物(10)。
  3. 前記少なくとも1つの空気通過開口(24)の総面積は少なくとも500mm2、好ましくは少なくとも1000mm2、より好ましくは少なくとも1500mm2、さらにより好ましくは少なくとも2000mm2、さらにより好ましくは少なくとも3000mm2である、請求項2に記載の履き物(10)。
  4. 前記第2保護層(26)の空気透過率は100 Paの圧力差で少なくとも100 l/m2/secである、請求項2又は3に記載の履き物(10)。
  5. 前記第2保護層(26)が網様構造を有しており、粒子、特には石に対する保護機能を有するように構成されている、請求項2から4までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  6. 前記少なくとも1つの空気透過部分(14)が、少なくとも1つの空気透過性材料(12)から形成されている、請求項1に記載の履き物(10)。
  7. 前記第1保護層(22)は、織布、不織布、フェルト、ニット、多孔質材料、無孔質材料、発泡材料及びメッシュ様材料、又はこれらの組み合わせから成る材料群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  8. 前記アッパー配列(20)が、前記空気透過層(16)の下側に配置されたインソール・エレメント(32)を含み、該インソール・エレメントは、前記アッパー材料(12)の下側周辺領域(121)及び前記空気透過部分(14)の下側領域のうちの少なくとも一方に組み付けられている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  9. 前記第1保護層(22)は、前記ソール(30)に面する前記アッパー配列(20)のボトム領域内に延びており、前記水蒸気透過性機能層(18)と前記空気透過層(16)との間に位置している、請求項1から8までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  10. 前記第1保護層(22)が該第1保護層(22)の内面及び外面上に付着手段(23)、特には不連続分布の接着剤を備えている、請求項9に記載の履き物(10)。
  11. 前記第1保護層(22)が前記アッパー配列(20)の周辺領域内にのみ延びている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  12. 前記第1保護層(22)が該第1保護層(22)の内面上に付着手段(23)、特には不連続分布の接着剤を備えている、請求項11に記載の履き物(10)。
  13. 前記第1保護層(22)が前記第2保護層(26)とは異なる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  14. 前記第1保護層(22)の水蒸気透過率MVTRが少なくとも4mg/cm2/hである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  15. 前記第1保護層(22)は、ダスト、小型粒子、及び摩耗から前記機能層(18)を保護するように構成されている、請求項1から14までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  16. 前記アッパー配列(20)が、前記空気透過層(16)の上方のレベルで、前記少なくとも1つの空気透過部分(14)と前記機能層(18)との間に配置された少なくとも1つの粒子バリア層(28)を含む、請求項1から15までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  17. 前記粒子バリア層(28)が前記空気透過部分(14)の内面と接触するように配置されている、請求項16に記載の履き物(10)。
  18. 前記粒子バリア層(28)が空気不透過性である、請求項16又は17に記載の履き物(10)。
  19. 前記粒子バリア層(28)が前記第1保護層(22)に付着させられている、請求項16から18までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  20. 前記少なくとも1つの機能層(18)を含むソックス様機能層ブーティを有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
  21. 前記少なくとも1つの機能層(18)が防水性である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の履き物(10)。
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