JP2016505641A - 溶液条件を調整することによる活性化炭素を使用したタンパク質混合物からの1種のタンパク質の選択的除去 - Google Patents

溶液条件を調整することによる活性化炭素を使用したタンパク質混合物からの1種のタンパク質の選択的除去 Download PDF

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Abstract

本発明は、特定タイプの炭素質物質を組み込み、所望のタンパク質生成物の収率に有害な影響を及ぼさずに、特定の望ましくない不純物の効率的および選択的除去を生じさせる新規の改良されたタンパク質精製法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、全内容が本明細書に参照により全体として組み込まれる2013年2月26日出願の米国特許仮出願第61/769269号明細書の優先権の恩典を主張するものである。
本出願は、溶液条件を調整することにより望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物から1種のタンパク質を分離するための活性化炭素の使用に関する。
活性化炭素は、以前よりエアフィルタ(例えば、米国特許第6413303号明細書を参照されたい。)、ガス精製(例えば、米国特許第7918923号明細書を参照されたい。)、カフェイン除去(例えば、米国特許第4481223号明細書を参照されたい。)、金の精製(例えば、米国特許第5019162号明細書を参照されたい。)、燃料精製(例えば、米国特許出願公開第2006/0223705号明細書を参照されたい。)、血液潅流(例えば、米国特許第4048064号明細書を参照されたい。)、中毒および過量摂取の治療(例えば、米国特許第4453929号明細書を参照されたい。)、下水処理(例えば、米国特許第8329035号明細書を参照されたい。)、汚染浄化(例えば、米国特許第4770715号明細書を参照されたい。)、地下水修復(例えば、米国特許第6116816号明細書を参照されたい。)、自動車燃料系からの揮発性有機化合物の捕捉(例えば、米国特許第7044112号明細書を参照されたい。)、化学的浄化(例えば、米国特許第4906445号明細書を参照されたい。)、蒸留アルコール飲料精製(例えば、米国特許出願公開第2007/0248730号明細書を参照されたい。)、糖の脱色(例えば、米国特許第2082425号明細書を参照されたい。)、レスピレータ(例えば、米国特許第5714126号明細書を参照されたい。)、ガスマスク(例えば、米国特許第4992084号明細書を参照されたい。)、化学戦争防護服(例えば、米国特許第7877819号明細書を参照されたい。)および浄水方法(例えば、米国特許第7537695号明細書を参照されたい。)において使用されてきた。
さらに、活性化炭素は、低分子不純物、例えば脂肪酸およびビリルビンを血清アルブミンから除去するために使用されてきた(例えば、Chen et al.,J.Biol.Chem.,242:173−181(1967);Nakano et al.,Anal Biochem.,129:64−71(1983);Nikolaev et al.,Int.J.Art.Org.,14:179−185(1991)を参照されたい。)。活性化炭素はさらに、植物ウイルスの精製中に顔料ならびに宿主タンパク質、プロテアーゼおよびリボヌクレアーゼを除去するために使用されてきた(例えば、Price,Am.J.Botany,33:45−54(1946);Corbett,Virology,15:8−15(1961);McLeana et al.,Virology,31:585−591(1967)、米国特許出願公開第2006/0281075号明細書を参照されたい。)。
さらに、活性化炭素は、プラスミドDNAから低分子量プラスミドフラグメントを除去するために有用であると以前に記載されている。例えば、Kim et al.,J.Biosci.Bioeng.110:608−613(2010)を参照されたい。
米国特許第6413303号明細書 米国特許第7918923号明細書 米国特許第4481223号明細書 米国特許第5019162号明細書 米国特許出願公開第2006/0223705号明細書 米国特許第4048064号明細書 米国特許第4453929号明細書 米国特許第8329035号明細書 米国特許第4770715号明細書 米国特許第6116816号明細書 米国特許第7044112号明細書 米国特許第4906445号明細書 米国特許出願公開第2007/0248730号明細書 米国特許第2082425号明細書 米国特許第5714126号明細書 米国特許第4992084号明細書 米国特許第7877819号明細書 米国特許第7537695号明細書 米国特許出願公開第2006/0281075号明細書
Chen et al.,J.Biol.Chem.,242:173−181(1967) Nakano et al.,Anal Biochem.,129:64−71(1983) Nikolaev et al.,Int.J.Art.Org.,14:179−185(1991) Price,Am.J.Botany,33:45−54(1946) Corbett,Virology,15:8−15(1961) McLeana et al.,Virology,31:585−591(1967) Kim et al.,J.Biosci.Bioeng.110:608−613(2010)
本発明は、少なくとも一部には、選択的に除去すべきタンパク質の等電点に近い溶液条件を使用すると、活性化炭素を使用して少なくとも2種のタンパク質を含有する混合物から1種のタンパク質を選択的に除去できるという驚くべき予想外の発見に基づいている。
一部の実施形態では、少なくとも2種のタンパク質を含むサンプルから1種のタンパク質を選択的に除去するための方法であって:(a)少なくとも2種のタンパク質を含むサンプルを提供する工程;(b)サンプルの溶液pHを、このpHが選択的に除去すべきタンパク質の等電点の2.0pH単位以内にあるように調整する工程;(c)サンプルを活性化炭素と接触させる工程であって、活性化炭素が選択的に除去すべきタンパク質に結合する工程;および(d)活性化炭素をサンプルから除去する工程であって、これによりサンプルから活性化炭素結合タンパク質の選択的除去を生じさせる工程を含む方法が提供される。
一部の実施形態では、サンプルから1種のタンパク質を選択的に除去するための方法で使用される溶液pHは、本明細書中に記載されるように、選択的に除去すべきタンパク質の等電点の1.0pH単位以内にある。
一部の実施形態では、標的タンパク質および少なくとも1種の望ましくないタンパク質を含むサンプル中の関心標的タンパク質の純度を増加させる方法であって:(a)標的タンパク質および少なくとも1種の望ましくないタンパク質を含むサンプルを提供する工程;(b)サンプルの溶液pHを、このpHが少なくとも1種の望ましくないタンパク質の等電点の2.0pH単位以内にあるように調整する工程;(c)サンプルを活性化炭素と接触させる工程であって、活性化炭素が少なくとも1種の望ましくないタンパク質に結合する工程;および(d)サンプルから少なくとも1種の望ましくないタンパク質に結合した活性化炭素を除去する工程であって、これによりサンプル中の標的タンパク質の純度を増加させる工程を含む方法が提供される。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるように、標的タンパク質および少なくとも1種の望ましくないタンパク質を含有するサンプル中で標的タンパク質の純度を増加させるための方法において使用される溶液pHは、望ましくないタンパク質の等電点の1.0pH単位以内にある。
一部の実施形態では、少なくとも1種の望ましくないタンパク質は、タンパク質不純物である。
一部の実施形態では、標的タンパク質は、免疫グロブリンタンパク質、例えば抗体である。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。他の実施形態では、抗体は、ポリクローナル抗体である。
一部の実施形態では、標的タンパク質は、非免疫グロブリンタンパク質である。
一部の実施形態では、少なくとも2種のタンパク質を含有するサンプルは、細胞培養に由来する水溶液である。
一部の実施形態では、細胞培養は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養である。
細胞培養サンプルの他の例には、HeLa細胞、NTH 3T3細胞、BHK細胞、VERO細胞、CV−1細胞、NS/0細胞、COS細胞、ベビーハムスター腎細胞、マウス骨髄腫、ハイブリドーマ細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、両生類細胞、ヒト細胞、マウス細胞、ラット細胞、イヌ細胞、サル細胞、ヤギ細胞、ブタ細胞、ウシ細胞、ウマ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ウサギ細胞、トリ細胞、サル細胞、ハムスター細胞、非ヒト哺乳類細胞が含まれるがこれらに限定されない。
一部の実施形態では、タンパク質含有サンプルは、全細胞培養供給物であってよい。他の実施形態では、細胞培養は、活性化炭素と接触させる前に最初に浄化および/または精製される。浄化法には、遠心分離、沈降、深層もしくはスクリーンろ過、凝集剤を用いた錯化およびpH変化が含まれるがこれらに限定されない。
一部の他の実施形態では、サンプルは、ヒト、動物もしくは植物組織または動物体液、例えばヒト血液もしくは血漿、ヒト組織、動物血液、ヤギ乳、牛乳、哺乳類乳、動物器官、動物組織、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物および鶏卵に由来してよい。
さらに他の実施形態では、タンパク質サンプルは、アミノ酸もしくは低分子ペプチドから化学合成によって生成される。
一部の実施形態では、サンプルは、サンプルを本明細書に記載の方法にかける前に、1つ以上の精製工程もしくは精製法にかけられる。このような精製工程もしくは精製法には、結合および溶出もしくはフロースルー様式のいずれかで作動させられるカラムおよび/またはメンブレンクロマトグラフィ;結晶化;2相および3相分配法;ならびにろ過が含まれるがこれらに限定されない。
活性化炭素を使用した、溶液pHがチトクロムCの等電点に近い場合のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの混合物(重量比で1:1)由来のチトクロムCの選択的除去、およびこの逆に、溶液pHがα−ラクトアルブミンの等電点に近い場合のα−ラクトアルブミンの選択的除去を明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。X軸は溶液pHを図示し、Y軸は活性化炭素を用いた処理後のタンパク質混合物中のタンパク質のパーセンテージを図示している。 静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を使用した、チトクロムCおよび標的タンパク質(即ち、モノクローナル抗体(MAbI))を含有する混合物から除去されたチトクロムCの対数減少値(LRV)を明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。混合物は、5.0mg/mLのMAbIおよび1mg/mLのチトクロムC(200,000ppm)を含有していた。図3に図示したように、活性化炭素を使用したチトクロムCの最適除去は、溶液pHがpH10.0から10.5でチトクロムCの等電点に最も近い場合に観察される。X軸は溶液pHを図示し、Y軸はチトクロムCのLRVを図示している。 静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を使用した、α−ラクトアルブミンおよび標的タンパク質(即ち、モノクローナル抗体(MAbI))を含有する混合物から除去されたα−ラクトアルブミンの対数減少値(LRV)を明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。混合物は、5.0mg/mLのMAbIおよび1mg/mLのα−ラクトアルブミン(200,000ppm)を含有していた。図3に図示したように、活性化炭素を使用したα−ラクトアルブミンの最適除去は、溶液pHがpH4.8でα−ラクトアルブミンの等電点に最も近い場合に観察される。X軸は溶液pHを図示し、Y軸はα−ラクトアルブミンのLRVを図示している。 静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を使用した、リゾチームおよび標的タンパク質(即ち、モノクローナル抗体(MAbI))を含有する混合物から除去されたリゾチームの対数減少値(LRV)を明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。溶液は、5.0mg/mLのMAbIおよび1.0mg/mLのリゾチーム(200,000ppm)を含有していた。図4に図示したように、最大量のリゾチームは、溶液pHが11.2から11.3のリゾチームの等電点に最も近いpH9.0で除去される。X軸は溶液pHを図示し、Y軸はリゾチームのLRVを図示している。 静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を使用した、BSAおよび標的タンパク質(即ち、モノクローナル抗体(MAbI))を含有する混合物から除去されたBSAの対数減少値(LRV)を明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。溶液は、5.0mg/mLのMAbIおよび0.5mg/mLのBSA(100,000ppm)を含有していた。図5に図示したように、最大量のBSAは、溶液pHが4.9のBSAの等電点に最も近いpH5.0で除去される。X軸は溶液pHを図示し、Y軸はBSAのLRVを図示している。 望ましくないタンパク質が、望ましくないタンパク質の等電点からほど遠い溶液pHで活性化炭素に通して流動させた場合は効率的に除去されないことを明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。このグラフは、5.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび0.5mg/mLのチトクロムCの溶液がpH4.0で活性化炭素のカラムを通過させられた後に収集された12.5mLのフラクション中のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの濃度を示している。低濃度のチトクロムCおよび高濃度のα−ラクトアルブミンはどちらも、これらがカラムに進入した比とほぼ同一の比でカラムから溶出された。図6に示したように、pH10.0から10.5のチトクロムCの等電点からほど遠いpH4.0では、活性化炭素はチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの溶液からのチトクロムCの効率的除去を生じさせない。X軸はα−ラクトアルブミンの装填量(kg/L)を図示している;左のY軸はチトクロムCの濃度(g/L)を図示し、右のY軸はα−ラクトアルブミンの濃度(g/L)を図示している。 望ましくないタンパク質が、望ましくないタンパク質の等電点に近い溶液pHで活性化炭素に通して流動させられた場合は極めて効率的に除去されることを明示するための代表的な実験の結果を図示するグラフである。このグラフは、5.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび0.5mg/mLのチトクロムCの溶液がpH9.0で活性化炭素のカラムを通過させられた後に収集された12.5mLのフラクション中のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの濃度を示している。チトクロムCは、活性化炭素1L当たり1.09kgのα−ラクトアルブミンが装填されるまでカラムを貫通しなかった。図7で明示したように、活性化炭素は、pH10.0から10.5のチトクロムCの等電点に近いpH9.0でα−ラクトアルブミンの溶液からのチトクロムCの優れた除去を提供した。X軸はα−ラクトアルブミンの装填量(kg/L)を図示している;左のY軸はチトクロムCの濃度(g/L)を図示し、右のY軸はα−ラクトアルブミンの濃度(g/L)を図示している。
本発明は、選択的に除去すべきタンパク質の等電点に近い溶液条件下で活性化炭素を使用して、少なくとも2種のタンパク質の混合物から1種のタンパク質を選択的に除去するための新規で改良された方法を提供する。
活性化炭素は、以前から水浄化方法において使用されてきた。さらに、活性化炭素は、低分子不純物、例えば脂肪酸およびビリルビンを血清アルブミンから除去するために使用されてきた(例えば、Chen et al.,J.Biol.Chem.,242:173−181(1967);Nakano et al.,Anal Biochem.,129:64−71(1983);Nikolaev et al.,Int.J.Art.Org.,14:179−185(1991)を参照されたい。)。活性化炭素はさらに、植物ウイルスの精製中に顔料ならびに宿主タンパク質、プロテアーゼおよびリボヌクレアーゼを除去するために使用されてきた(例えば、Price,Am.J.Botany,33:45−54(1946);Corbett,Virology,15:8−15(1961);McLeana et al.,Virology,31:585−591(1967)を参照されたい。)。
さらに、本明細書に全体として参照により組み込まれる2012年8月2日に出願の米国特許出願第13/565463号明細書は、関心生体分子(例えば、抗体)を含有するサンプルからタンパク質不純物(例えば、宿主細胞タンパク質)およびDNAを除去するために他の媒質と組み合わせた活性化炭素の使用について記載している。
従って、一般に、活性化炭素は溶液中の分子(例えば、水サンプル中の不純物)に非特異的に結合すると報告されている。
本発明は、少なくとも一部には、溶液のpHが選択的に除去すべきタンパク質の等電点に近くなるように溶液条件を調整することにより、2種以上のタンパク質を含有する混合物から1種のタンパク質を選択的に除去するために活性化炭素を使用できるという予想外の驚くべき所見に基づいている。
本明細書の実施例において明示したように、活性化炭素は、2種以上のタンパク質の混合物からの1種のタンパク質の選択的除去のために使用できる。さらに、本明細書に記載した実施例において明示したように、タンパク質の除去度は、pH条件を変更することによって操作できる。さらに、活性化炭素は、本明細書に記載したように、標的タンパク質および1種以上の望ましくないタンパク質を含有する溶液中の標的タンパク質の純度を増加させるために使用でき、このときこの1種以上の望ましくないタンパク質は活性化炭素を使用して選択的に除去されて標的タンパク質が後に残され、これによりサンプル中の標的タンパク質の純度が増加させられる。
本明細書に記載した一部の実施形態では、活性化炭素は、タンパク質の混合物から1種のタンパク質を選択的に除去するためにフロースルー精製様式で使用される。
本開示をより容易に理解できるように、最初に所定の用語について定義する。追加の定義については、詳細な説明を通して記載する。
I.用語の定義
本明細書で使用する用語「炭素質物質」は、炭素から構成される、または炭素を含有する任意の物質を意味する。一部の実施形態では、本発明による方法において使用する炭素質物質は、活性炭素もしくは活性化炭素である。一部の実施形態では、活性化炭素は、活性炭を含む。一部の実施形態では、活性化炭素は、線維性媒質中に組み込まれる。線維性媒質は、湿式堆積法および乾式堆積法を含む、当分野において公知の多数の方法によって製造できる。線維性媒質は、典型的には活性化炭素、繊維成分および場合により結合剤を含んでいる。線維性媒質の繊維成分は、合成物質、例えばポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル;天然物質、例えばセルロース;または半合成物質、例えばセルロースエステルから製造できる。
本明細書で互換的に使用する用語「活性炭素」もしくは「活性化炭素」は、細孔構造を増強する工程にかけられている炭素質物質を意味する。活性化炭素は、超高表面積を備える多孔質固体である。これらは、石炭、木材、ココナツの殻、堅果の殻および泥炭を含む様々な起源に由来してよい。活性化炭素は、これらの物質から、調節雰囲気下での加熱を含む物理的活性化、または強酸、塩基もしくは酸化剤を使用する化学的活性化を使用して製造できる。活性化法は、活性化炭素に不純物除去の高い能力を与える高表面積を備える多孔質構造を生じる。活性化法は、表面の酸性度を制御するために修飾できる。
典型的な活性化法は、炭素源、例えば樹脂廃棄物、石炭、石炭コークス、石油コークス、褐炭、ポリマー物質、パルプおよび紙を含むリグノセルロース物質、パルプ製造からの残留物、木材(木材チップ、おがくずおよび木粉など)、堅果殻(アーモンドの殻およびココナツの殻など)、仁ならびに果物の種(オリーブおよびサクランボの種など)を熱工程(例えば、酸化ガスを用いる。)または化学工程(例えば、リン酸もしくは金属塩、例えば塩化亜鉛を用いる。)にかける工程を含んでいる。炭素の脱色および気体吸着能力における改良を生じさせた、リン酸(HPO)を用いた木材をベースとする炭素の化学的活性化を含む典型的な方法は、米国再発行特許発明第31093号明細書に開示されている。さらに、米国特許第5162286号明細書は、特に緻密で相当に高い(30%)リグニン含量を含有する木材をベースとする物質、例えば堅果殻、果物の種および仁のリン酸活性化について教示している。リグノセルロース物質のリン酸活性化は、さらにまた米国特許第5204310号明細書において、高活性および高密度の炭素を調製する工程としても考察されている。この段落に列挙した特許各々の教示は、本明細書に全体として参照により組み込まれる。
大多数の他の吸着物質とは対照的に、活性化炭素は、相当に弱いファンデルワールス力もしくはロンドン分散力を使用して分子と相互作用すると考えられている。典型的な市販の活性化炭素製品は、当分野において周知の方法である窒素吸着に基づくブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)法によって測定される少なくとも300m/gの表面積を示す。
活性炭素もしくは活性化炭素は液体および気体を精製するため、ならびに不純物への結合によって他の不純物から組み換え発現抗体を精製するための工程において以前から使用されてきたが、活性炭素もしくは活性化炭素は、選択的に除去すべきタンパク質の特性に基づく溶液条件を使用することによって2種以上のタンパク質の混合物から1種のタンパク質を選択的に除去するためには以前には使用されていなかった。結果として、2種以上のタンパク質の混合物から1種のタンパク質を選択的に除去することによって、除去されなかったタンパク質の純度が増加する。
一部の実施形態では、2種以上のタンパク質の混合物は、選択的に除去すべき少なくとも1種のタンパク質および本明細書に記載の方法を使用して精製すべきまた別のタンパク質を含んでいる。一般に、混合物中の1種以上の他のタンパク質の選択的除去後に残留するタンパク質の純度は、他のタンパク質の選択的除去後に増加する。純度が増加させられるタンパク質は、標的タンパク質と呼ばれる。標的タンパク質は、免疫グロブリンタンパク質もしくは非免疫グロブリンタンパク質であってよい。一部の実施形態では、標的タンパク質は、免疫グロブリンタンパク質、例えばモノクローナル抗体である。
下記は、本発明によって精製できるタンパク質の例である。上で考察したように、一部の実施形態では、標的タンパク質は、モノクローナル抗体である。標的タンパク質の他の例には、組み換えヒト成長ホルモン、組み換えヒトインスリン、組み換え卵胞刺激ホルモン、組み換え第VII因子(抗血友病因子)、組み換えヒトエリスロポイエチン、組み換え顆粒球コロニー刺激因子、組み換えα−ガラクトシダーゼa、組み換えイヅロニダーゼ、組み換えガルスルファーゼ、組み換えドルナーゼα、組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子、組み換えヒトインターフェロン、組み換えインスリン様成長因子1および組み換えアスパラギナーゼを含むがこれらに限定されない組み換えタンパク質が含まれる。
本発明の他の実施形態では、標的タンパク質は、ヒト血液もしくは他の生理学的流体に由来するタンパク質である。このようなタンパク質の例には、免疫グロブリンGおよびM、第VIII因子、第IX因子、アンチトロンビンIIIおよびα−I−アンチトリプシンが含まれるがこれらに限定されない。
用語「免疫グロブリン」、「Ig」もしくは「IgG」または「抗体」(本明細書では互換的に使用される。)は、2本の重鎖および2本の軽鎖からなる塩基性の4本のポリペプチド鎖を有するタンパク質であって、上記鎖は、例えば、特異的に抗原に結合する能力を有する鎖間ジスルフィド結合によって安定化されているタンパク質を意味する。用語「一本鎖免疫グロブリン」、「一本鎖抗体」(本明細書では互換的に使用される。)は、1本の重鎖および1本の軽鎖からなる2本のポリペプチド鎖構造を有するタンパク質であって、上記鎖は、例えば、特異的に抗原に結合する能力を有する鎖間ペプチドリンカーによって安定化されているタンパク質を意味する。用語「ドメイン」は、例えば、β−プリーツシートおよび/または鎖間ジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループ(例えば、3から4個のペプチドループを含む。)を含む重鎖もしくは軽鎖ポリペプチドの球状領域を意味する。ドメインはさらに本明細書では、「定常」ドメインの場合には様々なクラスメンバーのドメイン内の配列変化の相対的欠如、または「可変」ドメインの場合には様々なクラスメンバーのドメイン内の有意な変化に基づいて「定常」もしくは「可変」と呼ばれる。抗体もしくはポリペプチド「ドメイン」は、当分野では抗体もしくはポリペプチド「領域」と互換的に呼ばれることが多い。抗体軽鎖の「定常」ドメインは、「軽鎖定常領域」、「軽鎖定常ドメイン」、「CL」領域もしくは「CL」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体重鎖の「定常」ドメインは、「重鎖定常領域」、「重鎖定常ドメイン」、「CH」領域もしくは「CH」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体軽鎖の「可変」ドメインは、「軽鎖可変領域」、「軽鎖可変ドメイン」、「VL」領域もしくは「VL」ドメインと互換的に呼ばれる。抗体重鎖の「可変」ドメインは、「重鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VH」領域もしくは「VH」ドメインと互換的に呼ばれる。
免疫グロブリンもしくは抗体は、モノクローナルもしくはポリクローナルであってよく、単量体形もしくは重合体形、例えば五量体形で存在するIgM抗体および/または単量体形、二量体形もしくは多量体形で存在するIgA抗体で存在してよい。免疫グロブリンもしくは抗体は、さらに多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)を含むことができる。
用語「Fc領域」および「Fc領域含有タンパク質」は、このタンパク質が免疫グロブリンの重鎖および/または軽鎖定常領域もしくは定常ドメイン(上で規定したCHおよびCL領域)を含有することを意味する。「Fc領域」を含有するタンパク質は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能を有することができる。「Fc領域」、例えばCH/CH領域は、親和性リガンド、例えばプロテインAもしくはこの機能的変異体に選択的に結合できる。一部の実施形態では、Fc領域含有タンパク質は、プロテインAまたはこの機能的誘導体、変異体もしくはフラグメントに特異的に結合する。他の実施形態では、Fc領域含有タンパク質は、プロテインGもしくはプロテインLに、またはこれらの機能的誘導体、変異体もしくはフラグメントに特異的に結合する。
上で考察したように、一部の実施形態では、標的タンパク質は、Fc領域含有タンパク質、例えば免疫グロブリンである。一部の実施形態では、Fc領域含有タンパク質は、また別のポリペプチドもしくはこのフラグメントに融合した免疫グロブリンのFc領域を含む組み換えタンパク質である。
一般に、免疫グロブリンもしくは抗体は、関心「抗原」に向けられる。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾病もしくは疾患に苦しんでいる哺乳類への抗体の投与はこの哺乳類における治療的利益を生じさせることができる。
本明細書では互換的に使用する用語「モノクローナル抗体」もしくは「Mab」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ちこの集団内の個別抗体は、少量で存在する可能性がある、考えられる天然型突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一抗原部位に向けられて、高度に特異的である。さらに、典型的には様々な決定因子(エピトープ)に向けられた様々な抗体を含む従来型(ポリクローナル)抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一決定因子に向けられる。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特性を意味しており、任意の特定方法による抗体の生成を必要とすると見なすべきではない。例えば、本発明によって使用できるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製でき、または組み換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号明細書を参照されたい。)によって作製できる。「モノクローナル抗体」は、さらにClackson et al.,Nature 352:624−628(1991)およびMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載された技術を使用して抗体ファージライブラリーから単離することができる。
モノクローナル抗体はさらに、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一もしくは同種である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含むことができるが、他方鎖の残余は、また別の種に由来するか、またはまた別の抗体クラスもしくはサブクラスならびにこのような抗体のフラグメントに属する抗体内の対応する配列と、これらが所望の生物学的活性を示す限り同一もしくは同種である(米国特許第4816567号明細書;およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984)を参照されたい。)。
本明細書で使用した場合の用語「超可変領域」は、抗原結合に対して責任を有する抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、「相補的決定領域」もしくは「CDR」由来のアミノ酸残基(即ち、軽鎖可変ドメイン内の残基24から34(L1)、50から56(L2)および89から97(L3)ならびに重鎖可変ドメイン内の残基31から35(H1)、50から65(H2)および95から102(H3);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))および/または「超可変ループ」由来のこれらの残基(即ち、軽鎖可変ドメイン内の残基26から32(L1)、50から52(L2)および91から96(L3)ならびに重鎖可変ドメイン内の残基26から32(H1)、53から55(H2)および96から101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含んでいる。「フレームワーク」もしくは「FR」残基は、本明細書で定義した超可変領域以外の可変ドメイン残基である。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。大部分については、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が非ヒト種(ドナー抗体)、例えば所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギもしくは非ヒト霊長類由来の超可変領域残基で置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体では見いだされない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全部もしくは実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR領域の全部もしくは実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列の超可変ループに対応する、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含むことになる。ヒト化抗体は、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域である免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含んでいてよい。これ以上の詳細については、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照されたい。
本明細書で互換的に使用される用語「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を意味する。これらの用語には、プリンおよびピリミジン塩基または他の天然型、化学的もしくは生化学的修飾、非天然型もしくは誘導体型ヌクレオチド塩基を含む一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリッドまたはポリマーが含まれる。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびホスフェート基(典型的には、RNAもしくはDNA内で見いだされる場合と同様の)または修飾もしくは置換された糖もしくはホスフェート基を含むことができる。さらに、二本鎖ポリヌクレオチドは、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド産物から相補的ストランドを合成して適切な条件下でこれらのストランドをアニーリングする工程、または適切なプライマーを備えるDNAポリメラーゼを用いて相補的ストランドを新規に合成する工程のいずれかによって入手することができる。核酸分子は、例えば遺伝子もしくは遺伝子フラグメント、1つ以上のエクソン、1つ以上のイントロン、mRNA、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマーなどの多数の異なる形態を取ることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ、ウラシル、他の糖類および連結基、例えばフルオロリボースおよびチオエートならびにヌクレオチド分岐鎖を含むことができる。本発明で使用する「DNA」もしくは「ヌクレオチド配列」には、塩基のA、T、CおよびGだけではなく、さらにこれらのアナログもしくはこれらの塩基の修飾形のいずれか、例えばメチル化ヌクレオチド、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電性結合およびチオエート、糖アナログの使用ならびに修飾および/または代替の骨格構造、例えばポリアミドもまた含まれる。
本明細書で使用する用語「溶液」、「組成物」もしくは「サンプル」は、2種以上のタンパク質の混合物を意味するが、このときタンパク質の一方は精製されるべき標的タンパク質もしくは関心タンパク質であり、また別の1つ以上のタンパク質は望ましくなく、本明細書に記載した方法を使用して選択的に除去される。一部の実施形態では、サンプルは、細胞培養供給物、例えば、2種以上のタンパク質を含有する哺乳類細胞培養(例えば、CHO細胞)由来の供給物を含んでいる。しかし、サンプルは、関心タンパク質もしくは標的タンパク質を製造するために使用される非哺乳類発現系もまた含んでいる。
本明細書で使用する用語「非哺乳類発現系」は、治療用タンパク質を生成するために使用される全ての宿主細胞もしくは有機体を意味するが、このとき宿主細胞もしくは有機体は非哺乳類起源の宿主細胞もしくは有機体である。関心タンパク質もしくは標的タンパク質を製造するために使用される非哺乳類発現系の例には、酵母、例えばサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピチア・パストリス(Pichia pastoris)、細菌、例えばエシェリキア・コリ(Escherichia coli)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、ブレビバシラス・コシネンシス(Brevibacillus choshinensis)、昆虫細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞および藻類細胞が含まれる。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」は、一般に約10個を超えるアミノ酸を有するペプチドおよびタンパク質を意味する。本明細書で互換的に使用する用語「関心タンパク質」および「標的タンパク質」は、2種以上のタンパク質もしくはポリペプチドの混合物から、混合物中の他のタンパク質もしくはポリペプチドの選択的除去によって精製されなければならないタンパク質もしくはポリペプチドを意味する。
本明細書で互換的に使用する用語「精製する工程」、「純度を増加させる工程」、「分離する工程」もしくは「単離する工程」は、混合物中の1種以上の他のタンパク質に対する標的タンパク質の比率を、本明細書に記載した方法を使用して混合物から1種以上の他のタンパク質を選択的に除去する工程によって増加させる工程を意味する。典型的には、標的タンパク質の純度は、標的タンパク質を含有するサンプル中に存在する1種以上の他のタンパク質の除去後に、50%、または60%、または70%、または80%、または90%以上増加する。
本明細書で互換的に使用する用語「選択的に除去する工程」および「選択的除去」は、2種以上のタンパク質の混合物から1種のタンパク質を、混合物を炭素質物質(例えば、活性化炭素)に、除去されるタンパク質の等電点の約2.0pH単位以内にあるpH条件下で曝露させる工程によって除去する工程を意味する。従って、本明細書に記載した様々な実施形態では、活性化炭素は2種以上のタンパク質の混合物に、除去することが望ましいタンパク質の等電点に近いpH条件下で加えられ、これにより結果として活性化炭素がこのタンパク質に結合する。活性化炭素は、この後に混合物から除去され、これにより結果として結合タンパク質の除去が生じる。
本明細書で互換的に使用する用語「フロースルー法」、「フロースルー様式」および「フロースルークロマトグラフィ」は、少なくとも1種の潜在的成分が炭素質媒質(例えば、活性化炭素)に結合する間にサンプル中の少なくとも1種の生成物が炭素質媒質に通して流動させられることが意図される生成物分離技術を意味する。
フロースルーすることが意図されるサンプルは、一般に「移動相」と呼ばれている。「フロースルー様式」は、一般に、アイソクラチック作業(即ち、この間に移動相の組成物が変化させられない方法)である。フロースルーのために使用される媒質は、通常は、標的タンパク質分子を含有する同一バッファ溶液を用いて前平衡化される。精製後、媒質は、生成物回収率を上昇させるために追加量の同一バッファを用いてフラッシュできる。
用語「バッファ」は、この酸塩基共役体成分の作用によるpH変化に抵抗する溶液を意味する。本明細書に記載した方法において使用できる様々なバッファは、Biological Systems,Gueffroy,D.,ed.Calbiochem Corporation(1975)の中のBuffers.A Guide for the Preparation and Use of Buffersに記載されている。様々なバッファは様々な範囲のpHを維持するが、例えばリン酸バッファは通常は6.0から8.0の間のpHに対して使用されるが、より高いpHに対してはホウ酸バッファを使用でき、より低いpHに対しては炭酸バッファを使用できる。当業者であれば、維持すべきpHに依存して、使用するために好適なバッファを容易に同定することができよう。本発明による方法において使用できるバッファの非限定的な例には、MES、MOPS、MOPSO、Tris、HEPES、リン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、炭酸、ホウ酸およびアンモニウムバッファならびにこれらの組み合わせが含まれる。
用語「洗浄バッファ」もしくは「平衡化バッファ」は、本明細書では互換的に使用され、タンパク質の混合物を炭素質物質と接触させる前に炭素質物質を洗浄もしくは再平衡化するために使用されるバッファを意味する。
用語「導電率」は、水溶液が2つの電極間で電流を伝導する能力を意味する。溶液中では、電流は、イオン輸送によって流動する。このため、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると、この溶液はより高い導電率を有することになる。導電率についての測定単位は、1センチメートル当たりのミリシーメンス数(mS/cmもしくはmS)であり、市販されている導電率計(例えば、Orion社により販売されている。)を使用して測定できる。溶液の導電率は、この中のイオン濃度を変化させることによって変化させることができる。例えば、緩衝剤の濃度および/または溶液中の塩(例えば、NaClもしくはKCl)の濃度を変化させると、所望の導電率を達成することができる。好ましくは、様々なバッファの濃度は、下記の実施例におけるように所望の導電率を達成するために修飾される。
ポリペプチドの「pI」もしくは「等電点」は、ポリペプチドの正電荷が負電荷と均衡するpHを意味する。pIは、ポリペプチドの付着炭水化物のアミノ酸残基もしくはシアル酸残基の正味電荷から計算できる、または当分野において周知の以下の方法:等電点電気泳動法ゲル、キャピラリー等電点電気泳動法ゲル、クロマトフォーカシング、等電沈殿法およびイオン交換クロマトグラフィの1つ以上を使用して決定できる。
II.本明細書に記載した方法において使用するための典型的な炭素質物質
本発明による方法では、所定の炭素質物質、例えば活性化炭素は、タンパク質の選択的除去のために使用される。活性化炭素は、極めて高表面積を備える多孔質固体であると説明できる。一部の実施形態では、活性化炭素は、活性炭を含む。活性化炭素は、石炭、木材、ココナツの殻、堅果の殻および泥炭を含むがこれらに限定されない様々な起源に由来してよい。活性化炭素は、これらの物質から、調節雰囲気下での加熱を含む物理的活性化または強酸、塩基もしくは酸化剤を使用する化学的活性化を用いて製造できる。活性化法は、活性化炭素に不純物除去のためのより高い能力を与える高表面積を備える多孔質構造を生じる。活性化法は、表面の酸性を制御するために修飾できる。
活性化炭素は、極めて様々な商業的供給源から入手でき、多数の等級および形式で提供される。活性化炭素の商業的供給業者の一部には、例えば、MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド;Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル;Calgon Carbon社、米国ペンシルベニア州ピッツバーグなどの会社が含まれる。
本明細書に記載した一部の実施形態では、活性化炭素は、本明細書に記載したセルロース含有線維性媒質中に組み込まれる。
本発明による方法において使用可能な市販で入手できる活性化炭素物質には、Nuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド);Nuchar SA 20(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド);Nuchar SN(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド);Nuchar WV−B 30(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド);RGC Powder活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド);Norit Darco KB−G活性化炭素(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);Norit CGP Super活性化炭素(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);Norit A Supra USP(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);Norit E Supra USP(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);Norit C GRAN(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);Norit SX Ultra(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル);およびChemviron Pulsorb PGC活性化炭素(Chemviron Carbon社、ベルギー国フェルイ)が含まれるがこれらに限定されない。
活性化炭素の2つの主要形式は、粉末状および顆粒状である。粉末状活性化炭素は小さくて通常は1mm径未満の粒子を含有しており、最も一般的には液体精製のために使用される。顆粒状活性化炭素は、より大きな粒径を有し、結果としてより小さな表面積を有するので、拡散速度がより迅速な気体精製での使用のために好ましい。
消費者用途(例えば、水、食品、飲料および医薬品の精製)における活性化炭素の使用に伴う安全性についての重要な検討事項は、抽出可能な化合物の減少および制御である。飲料水および食品接触用途のために意図される活性化炭素は、通常は、水への全ての間接的添加物をカバーする安全性規格ANSI/NSF規格61を遵守して製造される。さらに、ASTM標準試験方法D6385は、活性化炭素中の酸抽出物含量を灰化工程によって計算する工程について記載しており、活性化炭素由来の抽出物のレベルについて試験して最小限に抑えるために使用できよう。
ある範囲の活性化炭素のタイプは、様々な用途に利用できる。例えば、MeadWestVaco Corp.社は、これらの能力、表面酸性度、標的分子への細孔接近可能性および企図される用途が相違する、少なくとも12タイプの粉末状活性化炭素を供給している。一般には、活性化炭素の不純物除去の能力を最大化することが望ましい。
本明細書に記載した一部の実施形態では、活性化炭素は、セルロース媒質中に組み込まれる。
III.精製工程における炭素質物質の使用
以下では、少なくとも2種のタンパク質を含有する溶液から1種のタンパク質を選択的に除去するために使用できる1つの一般的手順について記載する。
一部の実施形態では、本明細書に記載した方法を用いて選択的に除去すべきタンパク質は、活性化炭素を含む混合物の静的処理によって除去できる望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物である。少なくとも2種のタンパク質を含有する溶液のpHは、選択的に除去すべきタンパク質もしくはタンパク質不純物の等電点の2.0pH単位もしくは1.0pH単位以内にあるpHに調整される。pHは、この溶液への酸もしくは塩基の添加によって調整できる。溶液pHは、さらにまた所望の溶液pHを有するバッファを用いた溶液の希釈または所望の溶液pHを有するバッファ中へのこの溶液の透析もしくは透析ろ過によって調整することもできる。活性化炭素は、引き続いて、乾燥形または水溶液中に懸濁させたかのいずれかでpH調整溶液に加えられる。この溶液は、次に、48時間までの期間にわたり活性化炭素と相互作用させられる。活性化炭素は、好ましくは、タンパク質不純物吸着速度を最大化するために溶液中に懸濁させたまま保持される。この溶液は、溶液容器の運動、またはマグネチックスターバーを用いた溶液の撹拌または機械的撹拌器を用いた溶液の撹拌によってかき混ぜることができる。
活性化炭素は、次に、活性化炭素が選択的に除去すべきタンパク質に結合している溶液から分離される。結合活性化炭素は、溶液をろ過し、溶液ろ液を回収することによって分離できる。または、結合活性化炭素は、溶液を遠心分離することによって、または結合活性化炭素を沈降させて上清溶液を回収することによって分離できる。遠心分離または沈降後に微粒子が上清中に残留している場合は、これらはろ過によって除去できる。残留溶液は、減少したレベルの選択的に除去されるタンパク質を含有している。
また別の実施形態では、少なくとも2種のタンパク質を含有する溶液から1種のタンパク質を選択的に除去するために下記の手順を使用できる。
少なくとも2種のタンパク質を含有する溶液のpHは、選択的に除去するのが望ましいタンパク質の等電点の2.0pH単位以内もしくは1.0pH単位以内にあるpHに調整される。pHは、この溶液への酸もしくは塩基の添加によって調整されてよい。溶液pHは、さらに所望のpHを有するバッファを用いた溶液の希釈によって調整することもできる。さらに、溶液pHは、所望のpHを有するバッファ中への溶液の透析または透析ろ過によって調整することもできる。
一部の実施形態では、クロマトグラフィデバイス、例えばカラムに、活性化炭素の水性スラリーが装填される。活性化炭素は、デバイス内、例えばカラム内に、乾燥粉末として装填することもでき、この後水溶液で湿潤化される。しかし、時には、カラムが乾燥充填されている場合、活性化炭素粒子から、または活性化炭素粒子間で小さな気泡を除去するのは困難であることがある。カラムは次に、タンパク質を含有する溶液と同一pHを有するバッファを用いて平衡化される。次にこの溶液は、引き続いて活性化炭素カラムを、15秒間から10.0分間の間のカラム滞留時間を生じさせる流速で通過させられる。次に、活性化炭素を使用して選択的に除去されたタンパク質を含有しない、または減少したレベルのタンパク質を含有するカラムからの溶出液が収集される。
様々な実施形態では、選択的に除去すべきタンパク質に結合している活性化炭素は、標的タンパク質を含有するサンプルからろ過もしくは遠心分離によって、または遠心分離およびろ過両方の組み合わせによって除去することができる。
タンパク質の混合物を用いて開始時点に、混合物中のタンパク質全部の等電点は、この混合物を等電点電気泳動法ゲルもしくはキャピラリー等電点電気泳動法にかけることによって容易に決定できる。錯体混合物のさらなる分解は、これらの等電点および次にこれらのサイズの両方によりタンパク質を分離する二次元ゲル電気泳動法による分析によって達成することができる。この情報に基づくと、本明細書に記載するように、活性化炭素を使用する場合に、溶液条件を調整することにより、標的タンパク質以外のタンパク質を除去することができる。
以下では限定的と見なすべきではない実施例によって本発明を詳細に例示する。本出願を通して引用した全ての参考文献、特許および公表特許出願ならびに図面の全内容は、本明細書に参照により組み込まれる。
[実施例1]
活性化炭素を用いて、重量で1:1の溶液からチトクロムCもしくはα−ラクトアルブミンのどちらかを選択的に除去するために溶液pHを利用する
この代表的な実施例は、最初は混合物中に同等濃度で存在する2種のタンパク質の混合物から、出発溶液のpHを操作することにより活性化炭素を使用して1種のタンパク質を選択的に除去できることを明示する。この実験では、チトクロムCもしくはα−ラクトアルブミンいずれかの選択的除去は、選択的に除去することが望ましいタンパク質の等電点の近傍にある溶液pHを使用して活性化炭素を用いて得た。
チトクロムCもしくはα−ラクトアルブミンの重量で1:1の溶液を下記で記載するような静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素により処理した。
重量で1:1のタンパク質ストック溶液は、牛乳由来の200mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)およびウマ心臓由来の200mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号041M7008V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)を100mLの水に溶解させることにより調製した。ストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0の各々に対して3本の15mL遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0の各々に対して3本の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。次に適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0、5.0、6.0については50mM酢酸またはpH7.0、8.0、9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。次に、2.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび2.0mg/mLのチトクロムCを含有する2.5mLの1:1タンパク質ストック溶液を各遠心管に加えた。生じた溶液は、1.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび1.0mg/mLのチトクロムCを有していた。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を引き続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう任意の活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは、逆相HPLC(機器:Agilent 1290 UPLC、カラム:Higgins Analytical Targa C18、移動相:溶媒A−MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B−100%アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、流量:1mL/分、グラジエント:0から15分間、5%から95%B、カラムを再平衡化するためのポストタイム:10分間、UV検出器の波長:230nm(リファレンス波長:550nm、温度:25℃)。タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定された面積に基づいて計算した。
下記の表Iに要約して図1に図示したように、この実験は、溶液pHが除去すべきタンパク質の等電点に近くなるように溶液pHを調整することにより、異なる等電点を備える2種のタンパク質から構成される溶液から単一タンパク質を選択的に除去することが可能であることを明示している。例えば、たまたまα−ラクトアルブミンの等電点に近いpH4.0で活性化炭素を用いた重量で1:1のタンパク質溶液の処理後は、溶液中のチトクロムCの組成は50%から77%に濃縮されたが、溶液中のα−ラクトアルブミンの組成は50%から23%に減少した。
これとは逆に、たまたまチトクロムCの等電点に近いpH9.0で活性化炭素を用いた重量で1:1のタンパク質溶液の処理は、α−ラクトアルブミンの溶液組成を50%から100%に濃縮させるが、他方チトクロムCの溶液組成は50%から0%に減少する。
図1は、静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いた処理後の、1.0mg/mLのチトクロムCおよび1.0mg/mLのα−ラクトアルブミン(50%:50%の比率)から構成される溶液中のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンのパーセンテージ組成を図示している。図示したように、活性化炭素は、溶液pHがチトクロムCの10.0から10.5の等電点に近い場合はチトクロムCを選択的に除去し、溶液pHがα−ラクトアルブミンの4.8の等電点に近い場合はα−ラクトアルブミンを選択的に除去する。このグラフは、活性化炭素が、除去すべきタンパク質の等電点に溶液pHが近い場合にはこのタンパク質を選択的に除去できるという予想外の結果を示している。
Figure 2016505641
[実施例2]
チトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの両方を含有する溶液からのチトクロムCの選択的除去
この代表的な実施例は、望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物は、出発溶液のpHを望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物の等電点に近くなるように操作すると、活性化炭素を使用して標的タンパク質を含有する溶液から選択的に除去できることを明示している。この実験では、チトクロムCの等電点に近い溶液pHを選択することにより活性化炭素を用いてチトクロムCを選択的および効率的に除去できることを明示するために、数多くのタンパク質不純物の濃度に類似する可能性がある100,000ppmのチトクロムCを含有するα−ラクトアルブミン溶液を静的条件下のpH4.0もしくは9.0で活性化炭素を用いて処理した。
溶液は、牛乳由来の400mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)、ウマ心臓由来の40mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号84H7135、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)および40mLの水から調製した。このタンパク質ストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0および9.0について3本の15mL遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0および9.0について3本の別個の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。次に適切なpH(pH4.0については50mM酢酸、pH9.0については50mMのTris)の2.5mLのバッファを各遠心管に加えた。続いて、水中に10.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび1.0mg/mLのチトクロムCを有する2.5mLのタンパク質ストック溶液を各遠心管に加えた。これは5.0mg/mLのα−ラクトアルブミン、0.5mg/mLのチトクロムCおよび25mMのバッファ濃度を備える溶液を生じた。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルを逆相HPLC(機器:Agilent 1290 UPLC、カラム:Higgins Analytical Targa C18、移動相:溶媒A−MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B−100%アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、流量:1mL/分、グラジエント:0から15分間、5%から95%B、カラムを再平衡化するためのポストタイム:10分間、UV検出器の波長:230nm(リファレンス波長:550nm、温度:25℃)によって分析した。タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定された面積に基づいて計算した。
表IIの結果によって明示したように、モデルタンパク質不純物として使用したチトクロムCは、チトクロムCの等電点(pI:10.0から10.5)に近いpH9.0で、チトクロムCおよびα−ラクトアルブミンを含有する溶液から選択的および効率的に除去された。これとは対照的に、チトクロムCの等電点からほど遠いpH4.0では、溶液から極めて少量のチトクロムCしか除去されない。
従って、関心標的タンパク質を含有する溶液中に存在する可能性がある任意のタンパク質不純物を除去するためには、このタンパク質不純物の等電点に近いpHを有する溶液に活性化炭素を加えることによって類似の分離法を実施できよう。
Figure 2016505641
[実施例3]
チトクロムCの溶液からのα−ラクトアルブミンタンパク質の選択的除去
この代表的な実施例は、出発溶液のpHが望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物の等電点近くにされた場合は、さらにまた別の望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物を、活性化炭素を使用して、標的タンパク質を含有する溶液から選択的に除去できることを明示している。実施例2とは対照的に、ここで除去すべきモデル不純物はα−ラクトアルブミンである。この実験では、α−ラクトアルブミンタンパク質の等電点に近い溶液pHを選択することによって活性化炭素を用いてα−ラクトアルブミンを選択的および効率的に除去できることを明示するために、100,000ppmのα−ラクトアルブミンを含有するチトクロムC溶液を静的条件下のpH4.0もしくは9.0で活性化炭素を用いて処理した。
溶液は、ウマ心臓由来の400mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号84H7135、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)、牛乳由来の40mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)および40mLの水から調製した。このタンパク質ストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0および9.0について3本の15mL遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0および9.0について3本の別個の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。続いて、適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0については50mM酢酸、pH9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。これに続いて各遠心管に、水中に10.0mg/mLのチトクロムCおよび1.0mg/mLのα−ラクトアルブミンを有する2.5mLのタンパク質ストック溶液を添加すると、5.0mg/mLのチトクロムC、0.5mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび25mMのバッファ濃度を備える溶液が生じた。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは逆相HPLC(機器:Agilent 1290 UPLC、カラム:Higgins Analytical Targa C18、移動相:溶媒A−MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B−100%アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、流量:1mL/分、グラジエント:0から15分間、5%から95%B、カラムを再平衡化するためのポストタイム:10分間、UV検出器の波長:230nm(リファレンス波長:550nm、温度:25℃)によって分析した。タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定された面積に基づいて計算した。
表IIIで明示したように、α−ラクトアルブミンタンパク質は、α−ラクトアルブミンの等電点(pI4.8)に近いpH4.0でチトクロムCおよびα−ラクトアルブミン両方を含有する溶液から選択的および効率的に除去された。これとは対照的に、α−ラクトアルブミンの等電点からほど遠いpH9.0では極めて少量のα−ラクトアルブミンしか除去されない。
従って、実施例2および3はどちらも、溶液pHが活性化炭素を用いて除去すべきタンパク質の等電点に近い場合は、活性化炭素を用いて溶液から1種のタンパク質を選択的および効率的に除去できることをさらに確証した。この所見は、新規および予想外の両方であり、溶液から1種の特異的タンパク質を除去する、またはタンパク質の混合物から1種のタンパク質を除去することが所望である多数の様々な例において使用できる。
Figure 2016505641
[実施例4]
モノクローナル抗体を含有する混合物から1種のタンパク質を除去するための最適溶液pH
この代表的な実施例は、出発溶液のpHが不純物の等電点の近くにされると、活性化炭素を使用して標的タンパク質としてのモノクローナル抗体を含有する溶液からモデルタンパク質不純物を選択的に除去できることを明示している。溶液pHがチトクロムCの等電点に近い場合に、活性化炭素を使用してチトクロムCをこの溶液から選択的および効率的に除去できることを明示するために、MAbIモノクローナル抗体および200,000ppmのチトクロムCを含有する溶液を静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理した。
透析チュービング(標準RC透析トライアルキット、Spectra/Por(R)1−3、3.5K MWCO、54mm FLAT WIDTH、製品番号:132725、Spectrum Laboratories社、米国90220カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス)を用いてバッファ塩を除去するために、MAbIモノクローナル抗体の10.0mg/mL溶液を水中に透析した。透析したMABI溶液の一部分は、次にAmicon Ultra−15遠心分離フィルタ装置(3kDa、カタログ番号:UFC900324、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)を使用して濃縮した。この溶液の濃縮部分を透析したMABI溶液の残りと再結合すると、10.0mg/mLの濃度を備えるストック溶液が得られた。MAbIストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
ウマ心臓由来の200mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号041M7008V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)を100mLの10.0mg/mLのMABI溶液中に溶解させた。ストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について3本の15mL遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について3本の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0、5.0、6.0については50mM酢酸またはpH7.0、8.0、9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。10.0mg/mLのMAbIおよび2mg/mLのチトクロムCを含有する2.5mLのストック溶液を各遠心管に加えた。生じた溶液は、5.0mg/mLのMAbI、1.0mg/mLのチトクロムCおよび25mMのバッファ濃度を有した。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を引き続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう任意の活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは、分析的サイズ排除クロマトグラフィ(機器:Agilent 1260 HPLC;カラム:Tosoh BiosciencesTSK−Gel Super SW3000;移動相:0.2Mリン酸ナトリウム(pH7.0);流量:0.35mL/分、アイソクラチックグラジエント、15分間のランタイム;UV検出器の波長:230nm;温度:25℃)によって分析した。各タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定されたA230面積に基づいて計算した。
この実施例は、表IVおよび図2に要約したように、このケースでは不純物であるチトクロムCは、溶液pHがチトクロムCの等電点に近い場合にモノクローナル抗体含有溶液から効率的および選択的に除去されるという予想外の所見を明示している。従って、溶液のpHがチトクロムCの等電点(即ち、pI10.0から10.5)に近い9.0である場合は、0.9LRVのチトクロムCが除去された。これとは対照的に、チトクロムCの等電点からほど遠いpH4.0では、活性化炭素によって0.01LRVのチトクロムCしか除去されなかった。
図2に示したグラフは、静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理されたモノクローナル抗体(MAbI)溶液から除去されたチトクロムCの対数減少値(LRV)を図示している。チトクロムCの最大量は、溶液pHが10.0から10.5のチトクロムCの等電点に最も近いpH9.0で除去される。このグラフは、溶液pHが除去すべきタンパク質の等電点に近い場合は、活性化炭素がモノクローナル抗体溶液から1種のタンパク質を最も効率的に除去するという予想外の所見を例示している。
従って、この実施例は、不純物の等電点に近くなるように溶液pHを操作することによって、活性化炭素を使用すると関心タンパク質を含有する溶液からタンパク質不純物を除去できるという新規で予想外の所見を明示している。
Figure 2016505641
[実施例5]
モノクローナル抗体を含有する溶液から1種のタンパク質を除去するための最適溶液pH
この代表的な実施例は、出発溶液のpHが望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物の等電点近くにされると、活性化炭素を使用して標的タンパク質としてのモノクローナル抗体を含有する溶液から望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物を選択的に除去できることを明示している。実施例4とは対照的に、ここでのモデル不純物はα−ラクトアルブミンである。
α−ラクトアルブミンの等電点に近くなるように溶液のpHを操作することによって、活性化炭素を使用すると、さらにまた関心タンパク質(即ち、このケースではモノクローナル抗体)を含有する溶液からまた別のタンパク質(即ち、α−ラクトアルブミン)を選択的および効率的に除去できることを明示するために、モノクローナル抗体および200,000ppmのα−ラクトアルブミンを含有する溶液を静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理した。
MAbIモノクローナル抗体の10.0mg/mL溶液は、透析チュービング(標準RC透析トライアルキット、Spectra/Por(R)1−3、3.5K MWCO、54mm FLAT WIDTH、製品番号:132725、Spectrum Laboratories,Inc.、米国90220カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス)を用いてバッファ塩を除去するために水中に透析した。透析したMABI溶液の一部分は、次にAmicon Ultra−15遠心分離フィルタ装置(3kDa、カタログ番号:UFC900324、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)を使用して濃縮した。この溶液の濃縮部分を透析したMABI溶液の残りと再結合すると、10.0mg/mLの濃度を備えるストック溶液が得られた。MABIストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
牛乳由来の200mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)を100mLの10.0mg/mLのMABI溶液中に溶解させた。ストック溶液を0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について3本の15mL遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH値4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0の各々について3本の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。続いて、適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0、5.0、6.0については50mM酢酸またはpH7.0、8.0、9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。10.0mg/mLのMABIおよび2.0mg/mLのα−ラクトアルブミンを含有する2.5mLのストック溶液を続いて各遠心管に加えた。生じた溶液は、5.0mg/mLのMABI、1mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび25mMのバッファ濃度を有した。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルを分析的サイズ排除クロマトグラフィ(機器:Agilent 1260 HPLC;カラム:Tosoh BiosciencesTSK−Gel Super SW3000;移動相:0.2Mリン酸ナトリウム(pH7.0);流量:0.35mL/分、アイソクラチックグラジエント、ランタイム:15分間;UV検出器の波長:230nm;温度:25℃)によって分析した。各タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定されたA230面積に基づいて計算した。
表Vおよび図3に要約したこの実施例は、実施例4と一緒に、望ましくないタンパク質の等電点に近くなるように溶液pHを単純に調整することによって、関心タンパク質(このケースではモノクローナル抗体)を含有する溶液中に存在する実際的にあらゆる望ましくないタンパク質(このケースではα−ラクトアルブミン)を選択的および効率的に除去するために、活性化炭素を使用できることを明示している。この場合には、溶液pHのpHがα−ラクトアルブミンの等電点に近い場合に、α−ラクトアルブミンは、モノクローナル抗体を含有する溶液から選択的および効率的に除去された。例えば、溶液のpHがα−ラクトアルブミンの等電点(pI4.8)に近いpH5.0である場合に、0.57LRVのα−ラクトアルブミンが除去された。これとは対照的に、α−ラクトアルブミンの等電点からほど遠いpH9.0では、活性化炭素によって0.12LRVのα−ラクトアルブミンしか除去されなかった。
図3に示したグラフは、静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理されたモノクローナル抗体(MAbI)溶液から除去されたα−ラクトアルブミンの対数減少値(LRV)を図示している。図示したように、溶液pHが4.8のα−ラクトアルブミンの等電点に最も近いpH5.0で最大量のα−ラクトアルブミンが除去された。このグラフは、溶液pHが除去すべきタンパク質の等電点に近い場合に活性化炭素がモノクローナル抗体溶液から1種のタンパク質を最も効率的に除去するという予想外の所見を示している。
Figure 2016505641
[実施例6]
モノクローナル抗体を含有する混合物から1種のタンパク質を除去するための最適溶液pH
この代表的な実施例は、出発溶液のpHが望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物の等電点の近くにされた場合は、活性化炭素を使用して標的タンパク質としてのモノクローナル抗体を含有する溶液から望ましくないタンパク質もしくはモデルタンパク質不純物を選択的に除去できることを明示している。実施例4および5とは対照的に、ここでのモデル不純物はリゾチームである。
溶液pHがリゾチームの等電点に近い場合に活性化炭素を使用するとリゾチームをこの溶液から選択的および効率的に除去できることを明示するために、MAbIモノクローナル抗体および200,000ppmのリゾチームを含有する溶液を静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理した。
MAbIモノクローナル抗体の10.0mg/mL溶液は、透析チュービング(標準RC透析トライアルキット、Spectra/Por(R)1−3、3.5K MWCO、54mm FLAT WIDTH、製品番号:132725、Spectrum Laboratories社、米国90220カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス)を用いてバッファ塩を除去するために水中に透析した。透析したMABI溶液の一部分は、次にAmicon Ultra−15遠心分離フィルタ装置(3kDa、カタログ番号:UFC900324、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)を使用して濃縮した。この溶液の濃縮部分を透析したMABI溶液の残りと再結合すると、10.0mg/mLの濃度を備えるストック溶液が得られた。MABIストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
ニワトリ卵白由来の80mgのリゾチーム(SDS−PAGEにより≧98%、製品番号L4919、ロット番号100M1897V1、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)を40mLの10.0mg/mLのMABI溶液中に溶解させた。ストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について1本の遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について別個の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0、5.0、6.0については50mM酢酸またはpH7.0、8.0、9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。10.0mg/mLのMABIおよび2mg/mLのリゾチームを含有する2.5mLのストック溶液を各遠心管に加えた。生じた溶液は、5.0mg/mLのMABI、1.0mg/mLのリゾチームおよび25mMのバッファ濃度を有した。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を引き続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう任意の活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは、分析的サイズ排除クロマトグラフィ(機器:Agilent 1260 HPLC;カラム:Tosoh BiosciencesTSK−Gel Super SW3000;移動相:0.2Mリン酸ナトリウム(pH7.0);流量:0.35mL/分、アイソクラチックグラジエント、ランタイム:15分間;UV検出器の波長:230nm;温度:25℃)によって分析した。各タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定されたA230面積に基づいて計算した。
この実施例は、表VIおよび図4に要約したように、溶液pHがリゾチームの等電点に近い場合に、このケースでは不純物であると分類されるリゾチームがモノクローナル抗体含有溶液から効率的および選択的に除去されるという予想外の所見を明示している。従って、溶液のpHがリゾチームの等電点(即ち、pI11.2から11.3)に近い9.0である場合は、0.47LRVのリゾチームが除去された。これとは対照的に、リゾチームの等電点からほど遠いpH4.0では、活性化炭素によって0.08LRVのリゾチームしか除去されなかった。
図4に示したグラフは、静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理されたモノクローナル抗体(MAbI)溶液から除去されたリゾチームの対数減少値(LRV)を図示している。図示したように、溶液pHが11.2から11.3のリゾチームの等電点に最も近いpH9.0で最大量のリゾチームが除去される。このグラフは、溶液pHが除去すべきタンパク質の等電点に近い場合に活性化炭素がモノクローナル抗体溶液から1種のタンパク質を最も効率的に除去するという予想外の所見を明示している。
従って、この実施例は、実施例4および5と一緒に、不純物の等電点に近くなるように溶液pHを操作することによって、活性化炭素を使用すると関心タンパク質を含有する溶液からタンパク質不純物を除去できるという新規で予想外の所見を明示している。
Figure 2016505641
[実施例7]
モノクローナル抗体を含有する混合物から1種のタンパク質を除去するための最適溶液pH
この代表的な実施例は、出発溶液のpHがタンパク質不純物の等電点近くにされると、活性化炭素を使用して標的タンパク質としてのモノクローナル抗体を含有する溶液からモデルタンパク質不純物を選択的に除去できることを明示している。実施例4、5および6とは対照的に、本実施例で使用したモデル不純物はBSAである。
溶液pHがBSAの等電点に近い場合に活性化炭素を使用してBSAをこの溶液から選択的および効率的に除去できることを明示するために、MAbIモノクローナル抗体および100,000ppmのBSAを含有する溶液を静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理した。
MAbIモノクローナル抗体の10.0mg/mL溶液は、透析チュービング(標準RC透析トライアルキット、Spectra/Por(R)1−3、3.5K MWCO、54mm FLAT WIDTH、製品番号:132725、Spectrum Laboratories社、米国90220カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス)を用いてバッファ塩を除去するために水中に透析した。透析したMABI溶液の一部分は、次にAmicon Ultra−15遠心分離フィルタ装置(3kDa、カタログ番号:UFC900324、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)を使用して濃縮した。この溶液の濃縮部分を透析したMABI溶液の残りと再結合すると、10.0mg/mLの濃度を備えるストック溶液が生じた。MABIストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
ウシ血清由来の40mgのアルブミン(SDS−PAGEにより≧98%、製品番号A7906、ロット番号SLBC0647V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)を40mLの10.0mg/mLのMABI溶液中に溶解させた。ストック溶液を0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について1本の遠心管に10mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バージニア州リッチモンド)を装填した。pH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0について別個の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0、5.0、6.0については50mM酢酸またはpH7.0、8.0、9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。10.0mg/mLのMABIおよび1mg/mLのBSAを含有する2.5mLのストック溶液を各遠心管に加えた。生じた溶液は、5.0mg/mLのMABI、0.5mg/mLのBSAおよび25mMのバッファ濃度を有した。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を引き続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう任意の活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは、分析的サイズ排除クロマトグラフィ(機器:Agilent 1260 HPLC;カラム:Tosoh BiosciencesTSK−Gel Super SW3000;移動相:0.2Mリン酸ナトリウム(pH7.0);流量:0.35mL/分、アイソクラチックグラジエント、15分間のランタイム;UV検出器の波長:230nm;温度:25℃)によって分析した。各タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定されたA230面積に基づいて計算した。
この実施例は、表VIIおよび図5に要約したように、このケースではタンパク質不純物として使用されるBSAは、溶液pHがBSAの等電点に近い場合にモノクローナル抗体含有溶液から効率的および選択的に除去されることを明示している。従って、溶液のpHがBSAの等電点(即ち、pI4.9)に近いpH5.0である場合は、0.40LRVのBSAが除去された。これとは対照的に、BSAの等電点からほど遠いpH9.0では、活性化炭素によって0.06LRVのBSAしか除去されなかった。
図5に示したグラフは、静的条件下のpH4.0、5.0、6.0、7.0、8.0および9.0で活性化炭素を用いて処理されたモノクローナル抗体(MAbI)溶液から除去されたBSAの対数減少値(LRV)を図示している。図示したように、最大量のBSAは、溶液pHが4.9のBSAの等電点に最も近いpH5.0で除去された。このグラフは、溶液pHが除去すべきタンパク質の等電点に近い場合に活性化炭素がモノクローナル抗体溶液から1種のタンパク質を最も効率的に除去するという予想外の結果を支持している。
従って、この実施例は、実施例4、5および6と一緒に、不純物の等電点に近くなるように溶液pHを操作することによって、活性化炭素を使用して関心タンパク質を含有する溶液からタンパク質不純物を除去できるという新規で予想外の所見を明示している。
Figure 2016505641
[実施例8]
数種の異なるタイプの活性化炭素を使用したα−ラクトアルブミン溶液からのチトクロムCタンパク質の選択的除去
この代表的な実施例は、本明細書に記載した方法が数種の異なるタイプの活性化炭素を使用して上首尾で実施できることを明示する。
モデルタンパク質不純物として使用される100,000ppmのチトクロムCを含むα−ラクトアルブミンの溶液は、pH4.0およびpH9.0で数種の異なるタイプの活性化炭素を用いて処理した。この実施例は、タンパク質不純物の等電点に近い溶液pHを選択することによって、数種の異なるタイプの活性化炭素を使用すると標的タンパク質を含有するサンプルからタンパク質不純物を選択的および効率的に除去できることを明示している。
溶液は、牛乳由来の800mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)、ウマ心臓由来の80mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号84H7135、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)および80mLの水を使用して調製した。水中の10.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび1.0mg/mLのチトクロムCからなるタンパク質ストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0およびpH9.0両方での3本の15mL遠心管に10mgのMeadWestVaco Nuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation米国バージニア州リッチモンド)、10mgのNorit Darco KB−G活性化炭素(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル)または10mgのNorit CGP Super活性化炭素(Norit Americas社、米国テキサス州マーシャル)のいずれかを装填した。pH4.0および9.0について3本の別個の15mL遠心管は、活性化炭素を含まない対照として使用した。適切なpHの2.5mLのバッファ(pH4.0については50mM酢酸、pH9.0については50mMのTris)を各遠心管に加えた。水中に10.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび1.0mg/mLのチトクロムCを有する2.5mLのタンパク質ストック溶液を各遠心管に加えた。これは5.0mg/mLのα−ラクトアルブミン、0.5mg/mLのチトクロムCおよび25mMのバッファ濃度を備える溶液を生じた。遠心管を20時間にわたり回転させた。
遠心管を引き続いて遠心分離にかけ、溶液中に懸濁したままで残留するであろう任意の活性化炭素粒子を除去するために、上清溶液を0.22ミクロンメンブレン(Millex−GV 0.22ミクロンフィルタ装置Durapore PVDFメンブレン、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。サンプルは逆相HPLC(機器:Agilent 1290 UPLC、カラム:Higgins Analytical Targa C18、移動相:溶媒A−MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B−100%アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、流量:1mL/分、グラジエント:0から15分間、5%から95%B、カラムを再平衡化するためのポストタイム:10分間、UV検出器の波長:230nm(リファレンス波長:550nm、温度:25℃)によって分析した。タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定された面積に基づいて計算した。
この実施例は、表VIIIに要約したように、本明細書でモデル不純物として使用されたチトクロムCは、試験した3種の異なるタイプの活性化炭素を使用してチトクロムCの等電点(pI10.0から10.5)に近いpH9.0でα−ラクトアルブミンを含有する溶液から選択的および効率的に除去できることを明示している。これとは対照的に、試験した全3つのタイプの活性化炭素のケースでは、チトクロムCの等電点からほど遠いpH4.0ではα−ラクトアルブミン溶液から極めて少量のチトクロムCしか除去されない。従って、この実施例は、活性化炭素がタンパク質不純物を除去する能力は特定タイプの活性化炭素に限定されず、一般に様々な異なる活性化炭素タイプに適用されることを明示している。
Figure 2016505641
[実施例9]
活性化炭素の充填カラムを貫流したα−ラクトアルブミン溶液からのチトクロムCタンパク質の選択的除去
この代表的な実施例は、本明細書に記載した方法がデバイス内に充填された活性化炭素を使用してフロースルー動的モードで実施できることを明示している。本明細書で明示したように、動的フロースルー条件下で望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物の等電点に近い溶液pHを選択することによって、活性化炭素を使用すると、標的タンパク質を含有するサンプルから望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物を選択的および効率的に除去できる。
溶液は、牛乳由来の1,500mgのα−ラクトアルブミン(PAGEにより≧85%、製品番号L5385、ロット番号110M7003V、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)、ウマ心臓由来の150mgのチトクロムC(SDS−PAGEにより≧95%、製品番号C2506、ロット番号84H7135、Sigma−Aldrich Corporation社、米国63103ミズーリ州セントルイス)および150mLの水を使用して調製した。水中の10.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび1.0mg/mLのチトクロムCからなるタンパク質ストック溶液は、次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
pH4.0のストック溶液は、pH4.0の5.0mg/mLのα−ラクトアルブミン、0.5mg/mLのチトクロムCおよび25mMアセテートを含む溶液を得るために、水中のストック溶液の60mL部分をpH4.0の60mLの50mM酢酸ナトリウムと混合することによって調製した。pH9.0のストック溶液は、pH9.0の5.0mg/mLのα−ラクトアルブミン、0.5mg/mLのチトクロムCおよび25mMのTrisを含む溶液を得るために、水中のストック溶液の60mL部分をpH9.0の60mLの50mMのTrisと混合することによって調製した。ストック溶液を次に0.22μmメンブレン(Stericup−GP 0.22μm Millipore Express PLUSメンブレン、250mL、カタログ番号:SCGPU02RE、EMD Millipore Corporation社、米国01821マサチューセッツ州ビルリカ)に通してろ過した。
2本のガラス製クロマトグラフィカラム(Omnifit Benchmark Column 10mm/100mm、直径10mm、長さ100mm、SKU:006BCC−10−10−AF、Diba Industries、米国06810コネチカット州ダンベリー)に水中でスラリー化した200mgのNuchar HD活性化炭素(MeadWestVaco Corporation社、米国バーモント州リッチモンド)を装填すると、0.8mLの充填カラム量が得られた。カラムは、活性化炭素スラリー内に水性バッファを貫流させることによって充填した。1本のカラムはpH4.0の25mM酢酸ナトリウムを用いて平衡化し、第2のカラムはpH9.0の25mMのTrisを用いて平衡化した。
pH4.0もしくはpH9.0の100mLのストック溶液を適切に平衡化させた活性化炭素カラムに0.4mL/分で通過させると、活性化炭素カラム内での2.0分間の滞留時間が生じ、この後に12.5mLのバッファ(pH4.0の25mM酢酸ナトリウム、pH9.0の25mMのTris)を通過させた。12.5mLの9つのフラクションを収集した。個々のフラクションおよび全9つのプールサンプルを逆相HPLC分析にかけた。サンプルは逆相HPLC(機器:Agilent 1290 UPLC、カラム:Higgins Analytical Targa C18、移動相:溶媒A−MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B−100%アセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(HPLCグレード)、流量:1mL/分、グラジエント:0から15分間、5%から95%B、カラムを再平衡化するためのポストタイム:10分間、UV検出器の波長:230nm(リファレンス波長:550nm、温度:25℃)によって分析した。タンパク質の回収率は、HPLCピーク内で測定された面積に基づいて計算した。
表IXおよび表Xならびに図6および7に要約したように、この実施例の結果は、フロー条件下で望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物の等電点に近い溶液pHを選択することによって、活性化炭素を使用すると標的タンパク質を含有するサンプルから望ましくないタンパク質もしくはタンパク質不純物を選択的および効率的に除去できることを明示している。この実施例でモデルタンパク質不純物として使用したチトクロムCの活性化炭素を使用したα−ラクトアルブミンを含有する溶液からのフロースルー除去は、溶液pHに高度に依存していた。pH4.0では、チトクロムCは、α−ラクトアルブミンと一緒に最初のフラクションを貫通した。これとは対照的にpH9.0では、チトクロムCの貫通は、カラムに活性化炭素1L当たり1.09kgのα−ラクトアルブミンが装填されてしまった第7フラクションまで観察されなかった。個別フラクションのプールから計算されたα−ラクトアルブミンの総回収率はpH4.0では88%に過ぎなかったが、pH9.0では94%であった。溶液がpH4.0で活性化炭素カラムを通過した後、α−ラクトアルブミンと比較したチトクロムCの濃度は100,000ppmから106,125ppmへ増加したので、結果としてチトクロムCのLRVは−0.03となった。これとは対照的に、溶液がpH9.0で活性化炭素カラムを通過した後は、α−ラクトアルブミンと比較したチトクロムCの濃度は100,000ppmから10,584ppmへ有意に減少し、結果としてチトクロムCのLRVは0.98となった。この実施例は、フロー条件下で活性化炭素を使用したサンプル中の標的タンパク質の純度を増加させるために理想的な溶液pHは、サンプルから除去すべきタンパク質不純物もしくは望ましくないタンパク質の等電点に近い溶液pHであることを明示している。
図6は、5.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび0.5mg/mLのチトクロムCの溶液がpH4で活性化炭素のカラムを通過した後に収集された12.5mLのフラクション中のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの濃度を図示している。このグラフは、フロー条件下で活性化炭素を用いた処理によるα−ラクトアルブミンからのチトクロムCの除去は、4.0の溶液pHがチトクロムCの10.0から10.5の等電点からほど遠いために効果がないことを明示している。
図7は、5.0mg/mLのα−ラクトアルブミンおよび0.5mg/mLのチトクロムCの溶液がpH9で活性化炭素のカラムを通過した後に収集された12.5mLのフラクション中のチトクロムCおよびα−ラクトアルブミンの濃度を図示している。このグラフは、フロー条件下で活性化炭素を用いた処理によるα−ラクトアルブミンからのチトクロムCの除去は、9.0の溶液pHがチトクロムCの10.0から10.5の等電点に近いために効果的であることを明示している。
Figure 2016505641
Figure 2016505641
本明細書は、これにより参照により組み込まれる本明細書の中で引用された参考文献の教示を参照すると最も完全に理解される。本明細書内の実施形態は、本発明における実施形態の例示を提供するものであり、この範囲を限定すると見なすべきではない。当業者であれば、多数の他の実施形態が本発明によって含まれることを容易に認識できよう。全ての刊行物および発明は、参照により全体として組み込まれる。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾する、または不整合である場合には、本明細書があらゆるこのような資料に優先される。本明細書でのいずれかの参考文献の言及は、このような参考文献が本発明にとっての先行技術であると容認するものではない。
他に指示しない限り、特許請求の範囲を含む本明細書で使用した成分の量、細胞培養、治療条件などを表示する全ての数値は、全ての場合に用語「約」によって修飾されると理解すべきである。従って、別途反対のことが指示されない限り、数的パラメータは近似値であり、本発明によって得ようと努められた所望の特性に依存して変動する可能性がある。他に特に指示されない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、この一連内の各要素を意味すると理解すべきである。当業者であれば、ルーチンの実験以上のものを使用せずに本明細書に記載した本発明の特定の実施形態の多数の同等物を認識できる、または確認できるであろう。このような同等物は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
本発明の多数の修飾および変更は、当業者には明白であるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく加えることができる。本明細書に記載した特定の実施形態は、例示するためにのみ提供されるもので限定することは決して意図していない。本明細書および実施例は例示のためだけであり、本発明の真の範囲および精神は下記の特許請求の範囲によって指示されることが意図されている。

Claims (18)

  1. 少なくとも2種のタンパク質を含むサンプルから1種のタンパク質を選択的に除去する方法であって:
    (a)少なくとも2種のタンパク質であって、このうちの1種は選択的に除去されなければならないタンパク質を含むサンプルを提供する工程;
    (b)サンプルの溶液pHを、pHが選択的に除去すべきタンパク質の等電点の2.0pH単位以内になるように調整する工程;
    (c)サンプルを活性化炭素と接触させる工程であって、活性化炭素が選択的に除去されるタンパク質に結合する工程;および
    (d)活性化炭素をサンプルから除去する工程、
    を含み、これによりサンプルから活性化炭素結合タンパク質の選択的除去を生じさせる方法。
  2. 標的タンパク質および少なくとも1種の望ましくないタンパク質を含むサンプル中の標的タンパク質の純度を増加させる方法であって:
    (a)標的タンパク質および少なくとも1種の望ましくないタンパク質を含むサンプルを提供する工程;
    (b)サンプルの溶液pHを、pHが少なくとも1種の望ましくないタンパク質の等電点の2.0pH単位以内になるように調整する工程;
    (c)サンプルを活性化炭素と接触させる工程であって、活性化炭素が少なくとも1種の望ましくないタンパク質に結合する工程;
    (d)活性化炭素をサンプルから除去する工程であって、活性化炭素は少なくとも1種の望ましくないタンパク質に結合している工程
    を含み、これによりサンプル中の標的タンパク質の純度が増加する方法。
  3. pHが選択的に除去すべきタンパク質の等電点の1.0pH単位以内にある、請求項1に記載の方法。
  4. pHは少なくとも1種の望ましくないタンパク質の等電点の1.0pH単位以内にある、請求項2に記載の方法。
  5. 選択的に除去されるタンパク質は、タンパク質不純物である、請求項1に記載の方法。
  6. 少なくとも1種の望ましくないタンパク質は、タンパク質不純物である、請求項2に記載の方法。
  7. 標的タンパク質は、免疫グロブリンである、請求項2に記載の方法。
  8. 免疫グロブリンは、モノクローナル抗体である、請求項7に記載の方法。
  9. 免疫グロブリンは、ポリクローナル抗体である、請求項7に記載の方法。
  10. 除去する工程は、ろ過もしくは遠心分離を含む、請求項1または2に記載の方法。
  11. 標的タンパク質は、組み換えタンパク質である、請求項2に記載の方法。
  12. 標的タンパク質の純度は、少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%以上増加する、請求項2に記載の方法。
  13. サンプルは、細胞培養供給物を含む、請求項1または2に記載の方法。
  14. 細胞培養供給物は、CHO細胞培養供給物である、請求項13に記載の方法。
  15. サンプルは、哺乳類発現系において発現したタンパク質を含む、請求項1または2に記載の方法。
  16. サンプルは、非哺乳類発現系において発現したタンパク質を含む、請求項1または2に記載の方法。
  17. サンプルは、調整する工程の前に浄化工程にかけられる、請求項1または2に記載の方法。
  18. 浄化工程は、遠心分離、沈降、深層もしくはスクリーンろ過、凝集剤を用いた錯化およびpH変化からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
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