本実施形態の照明用バトンは、複数の接続部と、複数の電流計測部と、位置検出部とを含む。複数の接続部は、識別情報と器具情報とを有するとともに所定の問合せ信号を受信すると応答信号を出力する複数の照明器具の電源ケーブルがそれぞれ接続される。複数の電流計測部は、前記複数の接続部にそれぞれ対応して設けられ、その対応する接続部に接続された照明器具に流れる電流を計測する。位置検出部は、電流が計測された前記電流計測部の情報から、その電流計測部に対応する接続部に接続された照明器具の位置情報を検出する。
本実施形態の照明システムは、上記照明用バトンと、この照明用バトンに接続された照明器具の調光を制御する調光卓とを含む。
以下、図面を参照して、本実施形態の照明用バトン及びこのバトンを用いた照明システムについて説明する。
(第1の実施形態)
はじめに、第1の実施形態について、図1〜図4を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態における照明システム100の全体構成を示すブロック図である。照明システム100は、調光卓10と、ハブ20と、複数系統(図では2系統)の照明用バトン30−1,30−2とを含む。調光卓10に、ハブ20を介して各照明用バトン30−1,30−2を並列に接続することで、照明システム100が構築される。調光卓10とハブ20との間、及びハブ20と各照明用バトン30−1,30−2との間は、イーサネットプロトコルを使用したLAN51で接続される。
各系統の照明用バトン30−1,30−2は、同一構成である。このため、ここでは第1系統の照明用バトン30−1(以下では、バトン30と称する)について説明し、他の系統の照明用バトン30−2については、説明を省略する。
バトン30は、バトン制御部31と、DMXノード32と、表示器インターフェース33と、位置検出部34とを備える。またバトン30は、照明器具の接続部35と電流計測部36とを備える。接続部35と電流計測部36とは1対1で対応しており、その数はDMXノード32の第2の通信ポートの数に対応する。本実施形態では、DMXノード32の第2の通信ポートの数を“4”とする。このため、照明器具の接続部35と電流計測部36とは、それぞれ4つずつ設けられている。そこで以下では、接続部35及び電流計測部36について個々に説明する場合には符号35,36にA〜Dを付し、それ以外はA〜Dを付さない。
各接続部35は、それぞれDMXケーブルの差込口351と、電源ケーブルの差込口352と、表示器353とを含む。各差込口351は、それぞれDMXノード32の第2の通信ポートに、RDMプロトコルに対応した通信ケーブル37によって接続される。各差込口352は、それぞれ電流計測部36を介して外部の電源50に、電源ライン38によって接続される。表示器353は、例えば7セグメント表示器であり、インターフェース33に、信号ライン39によって接続される。
差込口351は、通信方式としてRMX、RDMプロトコルに対応した照明器具40のDMXケーブル41を接続可能である。差込口352は、同照明器具40の電源ケーブル42を接続可能である。表示器353は、同照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表示可能である。
DMXアドレスは、照明器具40を遠隔操作するために、各照明器具40に対して一意に割り当てられるチャネル番号である。DMXアドレスは、スタートビットとストップビットとに挟まれた8ビットからなるチャネルが512チャネルまで多重化された構成を1フレームとするDMX信号の1つのチャネルを特定する番号に相当する。すなわち、DMX信号のチャネル番号「1」はDMXアドレス「1」を表し、チャネル番号「2」はDMXアドレス「2」を表し、チャネル番号「512」はDMXアドレス「512」を表す。
DMXアドレスが割り当てられた照明器具40は、DMX信号を受信した際にチャネルがいくつ到来したかをスタートビットの数でカウントする。そして、自らに設定されたDMXアドレスの数までカウントすると、照明器具40は、そのスタートビットからストップビットまでの8ビットデータをチャネルデータとして取り込む。例えばDMXアドレス「10」が設定された照明器具40であれば、スタートビットの数を“10”までカウントすると、その後のストップビットまでの8ビットデータを取り込む。因みに、DMXアドレスのスタートアドレスとは、照明器具40が使用するDMXアドレスの先頭アドレスである。
照明器具40は、例えばLEDを光源に用いたLED照明器具である。照明器具40は、バトン30を介して入力される制御信号に応じて遠隔操作により点灯、消灯、調光等が可能である。制御信号は、チャネルデータに含まれる。すなわち照明器具40は、自らに設定されたDMXアドレスを基にDMX信号から取り込んだチャネルデータによって点灯、消灯、調光等を行う。
照明器具40は、上記DMXアドレスの他、UID、スロット数、器具情報等を記憶するための記憶部を有する。UIDは、照明器具40自体に予め設定される固有の識別情報である。スロット数は、照明器具が使用するDMXアドレスの数を示す情報である。器具情報は、器具の種類、ワット数等の情報を含む。照明器具40は、記憶部に記憶した情報を、DMX、RDMプロトコルに従ってバトン30に送信可能である。
なお、図1では、異なる系統のバトン30−1,30−2にそれぞれ設けられた接続部35とその接続部35に対応する照明器具40とを区別するために、第1のバトン30−1に設けられた接続部35に対しては符号A〜Dを付し、各接続部35A〜35Dにそれぞれ対応する照明器具40に対しても符号A〜Dを付して表わす。同様に、第2のバトン30−2に設けられた接続部35に対しては符号E〜Hを付し、各接続部35E〜35Hにそれぞれ対応する照明器具40に対しても符号E〜Hを付して表わす。
電流計測部36は、電源ライン38を流れる電流を計測する。このような電流計測部36としては、例えばZCT(零相変流器)またはCT(変流器)を用いることができる。
バトン制御部31は、バトン30の全体を制御するもので、図2に示すハードウェアを備える。すなわちバトン制御部31は、プロセッサ311、プログラムメモリ312、データメモリ313、通信インターフェース314、通信部としてのノードインターフェース315、I/Oポート316及び受信回路317を備える。
プロセッサ311は、例えばCPU(Central Processing Unit)を主体とする。プロセッサ311は、プログラムに従って各部を制御することで、バトン30の機能を実現させる。
プログラムメモリ312は、例えばROM(Read Only Memory)を主体とする。プログラムメモリ312には、上記プロセッサ311が実行するプログラムが格納される。
データメモリ313は、例えばRAM(Random Access Memory)を主体とする。データメモリ313に対しては、バトン30の機能に必要なデータの書込み及び読出しがプロセッサ311によって行われる。
通信インターフェース314には、各照明器具40を遠隔操作するための調光卓10が、LAN51及びハブ20を介して接続される。通信インターフェース314は、調光卓10との間でイーサネットプロトコルによる通信処理を実行する。
ノードインターフェース315には、DMXノード32が接続される。ノードインターフェース315は、照明器具40に対する信号をDMXノード32に出力する。照明器具40に対する信号は、照明器具40に対する問合せ信号、照明器具40の点灯、消灯、調光等を指令する制御信号等を含む。ノードインターフェース315は、DMXノード32からの信号を受信する。DMXノード32からの信号は、上記問合せ信号に対する応答信号、照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレス、スロット数、UID、器具情報等のデータ信号等を含む。I/Oポート316には、表示器インターフェース33が接続される。I/Oポート316は、表示器インターフェース33との間で、表示器353に対する表示データを送受信する。
受信回路317には、位置検出部34が接続される。受信回路317は、位置検出部34から出力される位置検出信号を受信する。位置検出信号については、後述する。
DMXノード32は、イーサネットプロトコルをDMX、RDM信号のプロトコルに変換するための変換部として機能する。具体的にはDMXノード32は、単一の第1の通信ポートと複数(本実施形態では4とする)の第2の通信ポートとを有する。第1の通信ポートは、バトン制御部31と接続され、このバトン制御部31との間で、イーサネットプロトコルにしたがってデータ信号を送受信する。第2の通信ポートは、それぞれ接続部35の差込口351に接続され、各差込口351に接続される照明器具40との間で、DMX、RDMプロトコルにしたがってDMX信号を送受信する。DMXノード32は、第1の通信ポートで受信したイーサネットプロトコルの信号をDMX、RDMプロトコルの信号に変換して第2の通信ポートから出力する。またDMXノード32は、第2の通信ポートで受信したDMX、RDMプロトコルの信号をイーサネットプロトコルの信号に変換して第1の通信ポートから出力する。
表示器インターフェース33は、信号ライン39を介して接続される複数(本実施形態では4とする)の表示器353に対して、それぞれ表示データを出力する。表示データは、主として、照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表す。
位置検出部34は、各電流計測部36でそれぞれ計測される電流信号を取り込む。位置検出部34は、電流信号を計測した電流計測部36の情報から、バトン30に接続された照明器具40の設置位置情報を検出する。位置検出部34は、照明器具40の設置位置情報をバトン制御部31に通知する。
設置位置情報は、照明器具40が設置されている位置を表す情報である。設置位置は、照明器具40の電源ケーブル42が接続されている接続部35に対応した電流計測部36の識別情報に対応付けられた情報によって表される。例えば図1のシステム例において、照明器具40Aの電源ケーブル42は、接続部35Aの差込口352に接続されている。この場合、照明器具40Aの設置位置情報は、電流計測部36Aの識別情報に対応付けられた情報となる。同様に、照明器具40Bの電源ケーブル42は、接続部35Bの差込口352に接続されているので、照明器具40Bの設置位置情報は、電流計測部36Bの識別情報に対応付けられた情報となる。各電流計測部36の識別情報に対応付けられた情報は、位置検出部34に設定されている。
かかる構成のバトン30は、バトン制御部31のデータメモリ313に、図3に示すデータ構造の照明器具テーブル60を形成する。照明器具テーブル60は、バトン30に接続された照明器具40毎に、制御に必要な情報を1レコードとして記憶するための領域を有する。制御に必要な情報は、図3に示すように、前述したUID、器具情報、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び設置位置情報の各情報を含む。
照明器具テーブル60は、調光卓10からバトン制御部31に対して更新コマンドが配信されると、バトン制御部31により照明器具40毎に制御に必要な情報が登録される。
なお、ユーザがバトン30に照明器具40を接続する際には、照明器具40の電源ケーブル42を接続部35の差込口352に接続する。このため、バトン30に接続可能な照明器具40の台数は、接続部35の数に制約される。ただし、照明器具40のDMXケーブル41については、必ずしも全てを接続部35の差込口351に接続する必要はない。例えば図1に示すように、一方のバトン30(30−1)について、ユーザは、照明器具40AのDMXケーブル41を、その照明器具40Aの電源ケーブル42が接続された接続部35Aの差込口351に接続する。しかし、照明器具40BのDMXケーブル41について、ユーザは、照明器具40Aが備えるDMXケーブルの差込口に接続し、その照明器具40Bの電源ケーブル42が接続された接続部35Bの差込口351には接続しない。同様に、ユーザは、照明器具40CのDMXケーブル41を、その照明器具40Cの電源ケーブル42が接続された接続部35Cの差込口351に接続する。しかし、照明器具40DのDMXケーブル41について、ユーザは、照明器具40Cが備えるDMXケーブルの差込口に接続し、その照明器具40Dの電源ケーブル42が接続された接続部35Dの差込口351には接続しない。
他方のバトン30(30−2)について、ユーザは、照明器具40EのDMXケーブル41を、その照明器具40Eの電源ケーブル42が接続された接続部35Eの差込口351に接続する。またユーザは、照明器具40FのDMXケーブル41を、その照明器具40Fの電源ケーブル42が接続された接続部35Fの差込口351に接続する。しかし、照明器具40GのDMXケーブル41について、ユーザは、照明器具40Fが備えるDMXケーブルの差込口に接続し、その照明器具40Fの電源ケーブル42が接続された接続部35Fの差込口351には接続しない。同じく、照明器具40HのDMXケーブル41について、ユーザは、照明器具40Gが備えるDMXケーブルの差込口に接続し、その照明器具40Hの電源ケーブル42が接続された接続部35Hの差込口351には接続しない。
このように、照明システム100においては、照明器具40Aと照明器具40B、照明器具40Cと照明器具40D、あるいは照明器具40Fと照明器具40Gと照明器具40Hというように、複数の照明器具40を直列的に接続する、いわゆるカスケード接続を許容する。
さて、調光卓10からバトン制御部31に対して更新コマンドが配信されると、プロセッサ311は、図4の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。この情報処理は、プログラムメモリ312に記憶されたプログラムに基づくものである。
先ずプロセッサ311は、ステップS1として、バトン30に接続された照明器具40の情報を収集する。
具体的にはプロセッサ311は、ノードインターフェース315を介して照明器具40の情報要求コマンドを送信する。この情報要求コマンドは、ノードインターフェース315からDMXノード32を経由して、バトン30に接続された照明器具40に送信される。その際、接続部35に接続された照明器具40Aだけでなく、この照明器具40Aに対してカスケード接続された他の照明器具40B,40C,40Dに対しても、情報要求コマンドは送信される。
情報要求コマンドを受信した照明器具40の制御部は、記憶部に記憶したUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数、器具情報を含む応答コマンドを返信する。この応答コマンドは、DMXノード32を経由してバトン制御部31に送信される。
バトン制御部31のプロセッサ311は、応答コマンドを受信する毎に、その応答コマンドから照明器具40のUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報を抽出する。そしてプロセッサ311は、抽出したUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報を照明器具テーブル60に登録する。かくして、照明器具テーブル60には、バトン30に接続された各照明器具40のUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報が登録される。
次に、プロセッサ311は、ステップS2として、照明器具テーブル60に登録されたDMXアドレスのスタートアドレスが重複していないか確認する。DMXアドレスのスタートアドレスが重複していない場合、DMXアドレスのスタートアドレスの再設定は必要としない。しかし、複数の照明器具の間でDMXアドレスのスタートアドレスが重複している場合には、DMXアドレスのスタートアドレスの再設定が必要となる。
プロセッサ311は、ステップS3としてDMXアドレスのスタートアドレスの再設定が必要か否かを判定する。再設定が必要な場合(S3でYES)、プロセッサ311は、ステップS4としてDMXアドレスが重複しないようにDMXアドレスのスタートアドレスの再設定を行う。
例えばプロセッサ311は、先ず、照明器具テーブル60に登録されたデータレコードについて、スロット数を踏まえた上で、UIDの昇順に一意のDMXアドレス“1”,“2”,“3”,…を順番に割り当てる。このケースでは、すべての照明器具40のスロット数は1である。仮に、すべての照明器具40のスロット数が5であるならば、UIDの昇順に一意のDMXアドレス“1”,“6”,“11”,…を順番に割り当てる。次いでプロセッサ311は、照明器具テーブル60から1つのUIDとそのUIDに割り当てられたDMXアドレスのスタートアドレスとを選択する。そしてプロセッサ311は、ノードインターフェース315を介してそのUIDとDMXアドレスのスタートアドレスとを含む設定コマンドを送信する。この設定コマンドは、ノードインターフェース315からDMXノード32を経由して、各接続部35に接続された照明器具40に送信される。その際、接続部35に接続された照明器具40に対してカスケード接続された他の照明器具40に対しても、設定コマンドは送信される。
設定コマンドを受信した照明器具40の制御部は、コマンドに含まれるUIDが記憶部に記憶するUIDと一致するか確認する。一致しない場合、制御部は、設定コマンドを破棄する。一致する場合、制御部は、コマンドに含まれるDMXアドレスのスタートアドレスを記憶部に上書き保存する。また制御部は、正常終了の応答コマンドを返信する。この応答コマンドは、DMXノード32を経由してバトン制御部31に送信される。バトン制御部31のプロセッサ311は、応答コマンドを受信したならば、照明器具テーブル60から次のUIDとそのUIDに割り当てられたDMXアドレスのスタートアドレスとを選択する。そしてプロセッサ311は、そのUIDとDMXアドレスのスタートアドレスとを含む設定コマンドを送信する。以後、プロセッサ311は、照明器具テーブル60に登録した最後のUIDとDMXアドレスのスタートアドレスとを含む設定コマンドを送信し、これに対する応答コマンドを受信するまで、同様の処理を繰り返し実行する。
こうして、DMXアドレスのスタートアドレスの再設定が行われるか、再設定の必要がない場合(S3でNO)、プロセッサ311は、ステップS5として、照明器具40の位置検出を行う。具体的にはプロセッサ311は、照明器具テーブル60に登録されたDMXアドレスのスタートアドレスのうちいずれか1つのアドレスが割り当てられた照明器具40に対して点灯を制御する制御信号を生成する。そしてプロセッサ311は、この制御信号を、ノードインターフェース315を介して送信する。
この制御信号は、DMXノード32で受信される。そして、DMXノード32の作用により制御信号がDMX信号に変換されて、各照明器具40に配信される。各照明器具40の制御部は、DMX信号から自らのDMXアドレスに相当するチャネル番号のチャネルデータを検出する。そしてチャネルデータが点灯を制御するデータであるとき、制御部は、照明器具40を点灯させる。したがって、照明システム100では、バトン30に接続された複数の照明器具40のうち、いずれか1つの照明器具40が点灯動作する。
点灯動作する照明器具40に対しては、電源50から電源ライン38及び電源ケーブル42を介して電流が流れる。したがって、点灯動作した照明器具40の電源ケーブル42が接続された差込口352に対応する電流計測部36において、電流信号が計測される。その結果、位置検出部34において、電流信号を計測した電流計測部36の情報から、バトン30に接続された照明器具40の設置位置情報が検出される。そして、この設置位置情報がバトン制御部31に通知される。
しかして、バトン制御部31のプロセッサ311は、位置検出部34から通知を受けた設置位置情報を照明器具テーブル60に登録する。このとき、プロセッサ311は、点灯を制御した照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスに関連付けて設置位置情報を登録する。
プロセッサ311は、照明器具テーブル60に登録された各DMXアドレスのスタートアドレスとスロット数とに基づいて個別に点灯を制御する制御信号を生成する。そしてプロセッサ311は、この制御信号をDMXノード32に送信して、位置検出部34から通知を受けた設置位置情報を照明器具テーブル60に登録する処理を繰り返し実行する。
プロセッサ311は、ステップS6として、設置位置情報の検出を終了したか否かを確認する。照明器具テーブル60に保存された全てのレコードに設置位置情報が登録された場合、プロセッサ311は、設置位置情報の検出が終了したと判断する(S6でYES)。プロセッサ311は、ステップS7として、各接続部35の表示器353に対し、その接続部35に対応した照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表示させる。具体的にはプロセッサ311は、照明器具テーブル60に登録された設置位置情報で特定される電流計測部36に対応した接続部35の表示器353に、その設置位置情報に関連付けられたDMXアドレスのスタートアドレスを表示させる。
例えば今、図1に示すように、一方のバトン30(30−1)について、接続部35Aの差込口352に照明器具40Aの電源ケーブル42が接続され、接続部35Bの差込口352に照明器具40Bの電源ケーブル42が接続され、接続部35Cの差込口352に照明器具40Cの電源ケーブル42が接続され、接続部35Dの差込口352に照明器具40Dの電源ケーブル42が接続されたとする。この場合において、照明器具40AのDMXケーブル41は、接続部35Aの差込口351に接続されるが、照明器具40BのDMXケーブル41は、照明器具40Aが備えるDMXケーブルの差込口に接続される。同様に、照明器具40CのDMXケーブル41は、接続部35Cの差込口351に接続されるが、照明器具40DのDMXケーブル41は、照明器具40Cが備えるDMXケーブルの差込口に接続される。
このように、照明器具40Aと照明器具40B及び照明器具40Cと照明器具40Dがカスケード接続されていたとしても、バトン30−1のバトン制御部31では、照明器具40Aについては、当該照明器具40Aが点灯したときの電流を検出した電流計測部36Aの識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Bについては、当該照明器具40Bが点灯したときの電流を検出した電流計測部36Bの識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Cについては、当該照明器具40Cが点灯したときの電流を検出した電流計測部36Cの識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Dについては、当該照明器具40Dが点灯したときの電流を検出した電流計測部36Dの識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。
すなわち、バトン30−1に接続された全ての照明器具40A,40B,40C,40DのDMXアドレスのスタートアドレスに関連付けて、当該照明器具40A,40B,40C,40Dの設置位置情報が照明器具テーブル60に登録される。
したがって、調光卓10からバトン制御部31に照明器具40の設置位置情報を問い合わせて、バトン制御部31により照明器具40の設置位置情報の応答を調光卓10が受け取ることで、照明システム100によれば、調光卓10の操作により、照明器具40の設置位置情報を把握した上でバトン30−1に接続された各照明器具40A,40B,40C,40Eの調光を制御することができる。具体的には、調光卓10が前もって取得した照明器具40のUIDを元に、バトン制御部31に照明器具40の設置位置情報を問い合わせる。そして、バトン制御部31は、照明器具テーブル60を参照し、UIDに対応した設置位置情報を抽出し、設置位置情報を調光卓10に送付する。かくして、調光卓10は前もって取得した照明器具40のUIDを元に、照明器具40の設置位置情報を取得することができる。このため、調光卓10の操作により、照明器具40の設置位置情報を把握した上でバトン30−1に接続された各照明器具40A,40B,40C,40Eの調光を制御することができる。
このような作用効果は、他方のバトン30(30−2)30−2についても同様である。すなわち他方のバトン30−2では、接続部35Eの差込口352に照明器具40Eの電源ケーブル42が接続され、接続部35Fの差込口352に照明器具40Fの電源ケーブル42が接続され、接続部35Gの差込口352に照明器具40Gの電源ケーブル42が接続され、接続部35Hの差込口352に照明器具40Hの電源ケーブル42が接続されている。また、照明器具40EのDMXケーブル41は、接続部35Eの差込口351に接続され、照明器具40FのDMXケーブル41は、接続部35Fの差込口351に接続される。しかし、照明器具40GのDMXケーブル41は、照明器具40Fが備えるDMXケーブルの差込口に接続され、照明器具40HのDMXケーブル41は、照明器具40Gが備えるDMXケーブルの差込口に接続される。
このように、照明器具40Fと照明器具40Gと照明器具40Hとがカスケード接続されていたとしても、バトン30−2のバトン制御部31では、照明器具40Eについては、当該照明器具40Eが点灯したときの電流を検出した電流計測部36E(不図示)の識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Fについては、当該照明器具40Eが点灯したときの電流を検出した電流計測部36F(不図示)の識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Gについては、当該照明器具40Gが点灯したときの電流を検出した電流計測部36G(不図示)の識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。照明器具40Hについては、当該照明器具40Hが点灯したときの電流を検出した電流計測部36H(不図示)の識別情報に対応付けられた情報が設置位置情報として照明器具テーブル60に登録される。
すなわち、バトン30−2に接続された全ての照明器具40E,40F,40G,40HのDMXアドレスに関連付けて、当該照明器具40E,40F,40G,40Hの設置位置情報が設定される。
したがって、照明システム100によれば、調光卓10からバトン制御部31に照明器具40の設置位置情報を問い合わせて、バトン制御部31により照明器具40の設置位置情報の応答を調光卓10が受け取ることで、調光卓10の操作により、照明器具40の設置位置情報を把握した上でバトン30−2に接続された各照明器具40E,40F,40G,40Hの調光を制御することができる。具体的には、調光卓10が前もって取得した照明器具40のUIDを元に、バトン制御部31に照明器具40の設置位置情報を問い合わせる。そして、バトン制御部31は、照明器具テーブル60を参照し、UIDに対応した設置位置情報を抽出し、設置位置情報を調光卓10に送付する。かくして、調光卓10は前もって取得した照明器具40のUIDを元に、照明器具40の設置位置情報を取得することができる。このため、調光卓10の操作により、照明器具40の設置位置情報を把握した上でバトン30−2に接続された各照明器具40E,40F,40G,40Hの調光を制御することができる。
かくして本実施形態によれば、照明器具のカスケード接続に対応し得る照明システム100及びこのシステム100で用いられる照明用バトン30を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図5を用いて説明する。
なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図5は、第2の実施形態におけるバトン300の構成を示すブロック図である。バトン300は、バトン制御部31と、DMXノード32と、表示器インターフェース33と、位置検出部34とを備える。またバトン300は、照明器具が接続される第1の接続部35と第2の接続部45とを備える。さらにバトン300は、電流計測部36を備える。
第1の接続部35と第2の接続部45との数は、DMXノード32の第2の通信ポートの数に対応する。本実施形態では、DMXノード32の第2の通信ポートの数を“4”とする。このため、第1の接続部35と第2の接続部45とは、それぞれ4つずつ設けられている。そこで以下では、第1の接続部35と第2の接続部45について個々に説明する場合には符号35,45にA〜Dを付し、それ以外はA〜Dを付さない。また、電流計測部36の数は第1の接続部35と第2の接続部45とを合計した数に相当する。そこで以下では、第1の接続部35A〜35Dにそれぞれ対応する電流計測部36について個々に説明する場合には符号36にA,C,E,Gを付す。また、第2の接続部45A〜45Dにそれぞれ対応する電流計測部36について個々に説明する場合には符号36にB,D,F,Hを付す。それ以外はA〜Hを付さない。
第1の接続部35は、それぞれDMXケーブルの差込口351と、電源ケーブルの差込口352と、表示器353とを含む。各差込口351は、それぞれDMXノード32の第2の通信ポートに、RDMプロトコルに対応したDMXケーブル37によって接続される。各差込口352は、それぞれ電流計測部36A,36C,36E,36Gを介して外部の電源50に、電源ライン38によって接続される。表示器353は、例えば7セグメント表示器であり、表示器インターフェース33に、信号ライン39によって接続される。
第2の接続部45は、それぞれ電源ケーブルの差込口352と、表示器353とを含む。各差込口352は、それぞれ電流計測部36B,36D,36F,36Hを介して外部の電源50に、電源ライン38によって接続される。表示器353は、例えば7セグメント表示器であり、表示器インターフェース33に、信号ライン39によって接続される。
第1の接続部35において、差込口351は、通信方式としてRDMプロトコルに対応した照明器具40のDMXケーブル41を接続可能である。第1及び第2の接続部35,45において、差込口352は、同照明器具40の電源ケーブル42を接続可能である。表示器353は、同照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表示可能である。
かかる構成のバトン300においては、図5に示すように、第1の接続部35A,35B,35C,35Dに対しては、照明器具40A,40C,40E,40GのDMXケーブル41と電源ケーブル42とをそれぞれ差込口351,352に接続する。第2の接続部45A,45B,45C,45Dに対しては、照明器具40B,40D,40F,40Hの電源ケーブル42を差込口352に接続する。照明器具40B,40D,40F,40HのDMXケーブル41は、第1の接続部35に接続された別の照明器具40A,40C,40E,40Gが備えるDMXケーブルの差込口に接続する。すなわち図5において、照明器具40Aと照明器具40B、照明器具40Cと照明器具40D、照明器具40Eと照明器具40F、および照明器具40Gと照明器具40Hとが、それぞれカスケード接続される。
さて、この第2の実施形態においても、調光卓10からバトン制御部31に対して更新コマンドが配信されると、プロセッサ311は、図4の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。この処理により、バトン制御部31では、各照明器具40A〜40HのUID及び器具情報と、各照明器具40A〜40Hに対して重複しないように割り当てられた一意のDMXアドレスのスタートアドレスと、その照明器具40A〜40Hを点灯させた際に流れた電流を計測した電流計測部36A〜36Hの情報から位置検出部34で検出された設置位置情報とが登録された照明器具テーブル60が作成される。
したがって、第2の実施形態においても、バトン300に接続された全ての照明器具40A〜40HのDMXアドレスのスタートアドレスに関連付けて、当該照明器具40A〜40Hの設置位置情報が設定されるので、調光卓10の操作により、バトン300に接続された各照明器具40A〜40Hの調光を制御することができる。
このように第2の実施形態においても、照明器具40のカスケード接続に対応し得る照明システム100及びこのシステム100で用いられるバトン300を提供することができる。しかも、そのバトン300に対して接続可能な照明器具40の台数は、DMXノード32の第2の通信ポートの数に制約される第1の接続部35の数に、DMXノード32の第2の通信ポートの数に制約されない第2の接続部45の数を加えた数となる。したがって、DMXノード32の第2の通信ポートの数を超える照明器具40を接続できるので、照明効果をより一層高めることができる。
なお、バトン300においては、第1の接続部35と第2の接続部45の数を同数としたが、同数である必要はない。例えば第1の接続部35に対して第2の接続部45の数を整数倍としてもよい。また、必ずしも整数倍である必要はなく、少なくとも第2の接続部45が1以上備えられていれば、DMXノード32の第2の通信ポートの数を超える照明器具40を接続できるという作用効果を奏し得る。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図6〜図8を用いて説明する。
なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図6は、第3の実施形態における照明システム200の全体構成を示すブロック図である。照明システム200は、調光卓10と、ハブ20と、制御装置としての全体制御部70と、DMXノード32と、複数系統(図では4系統)の照明用バトン301−1,301−2,301−3,301−4(ただし、照明用バトン301−3及び301−4は図示せず)とを含む。調光卓10に、ハブ20を介して各照明用バトン301−1,301−2,301−3,301−4を並列に接続するとともに、調光卓10に、ハブ20を介して全体制御部70を接続し、さらに全体制御部70にDMXノード32を接続することで、照明システム200が構築される。調光卓10とハブ20との間、ハブ20と各照明用バトン301−1,301−2,301−3,301−4との間、ハブ20と全体制御部70との間、及び全体制御部70とDMXノード32との間は、イーサネットプロトコルを使用したLAN51で接続される。
各系統の照明用バトン301−1,301−2,301−3,301−4は、同一構成である。このため、ここでは第1系統の照明用バトン301−1(以下では、バトン301と称する)について説明し、他の系統の照明用バトン301−2〜301−4については、説明を省略する。
バトン301は、バトン制御部31と、表示器インターフェース33と、位置検出部34とを備える。またバトン301は、照明器具の接続部55と電流計測部36とを備える。接続部55と電流計測部36とは1対1で対応しており、その数は任意である。本実施形態では、接続部55と電流計測部36との数を“4”とする。そこで以下では、接続部55及び電流計測部36について個々に説明する場合には符号55,36にA〜Dを付し、個々を集約して説明する場合にはA〜Dを付さない。
各接続部55は、それぞれ電源ケーブルの差込口352と、表示器353とを含む。各差込口352は、それぞれ電流計測部36を介して外部の電源50に、電源ライン38によって接続される。表示器353は、例えば7セグメント表示器であり、表示器インターフェース33に、信号ライン39によって接続される。差込口352は、通信方式としてRDMプロトコルに対応した照明器具40の電源ケーブル42を接続可能である。表示器353は、同照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表示可能である。
なお、図6では、異なる系統のバトン301−1,301−2にそれぞれ設けられた接続部55とその接続部55に対応する照明器具40とを区別するために、第1のバトン301−1に設けられた接続部55に対しては符号A〜Dを付し、各接続部55A〜55Dにそれぞれ対応する照明器具40に対しても符号A〜Dを付して表わす。同様に、第2のバトン301−2に設けられた接続部55に対しては符号E〜Hを付し、各接続部55E〜55Hにそれぞれ対応する照明器具40対しても符号E〜Hを付して表わす。
全体制御部70は、照明システム200の全体を制御するもので、図7に示すハードウェアを備える。すなわち全体制御部70は、プロセッサ701、プログラムメモリ702、データメモリ703、通信インターフェース704及び通信部としてのノードインターフェース705を備える。
プロセッサ701は、例えばCPUを主体とする。プロセッサ701は、プログラムに従って各部を制御することで、照明システム200の機能を実現させる。
プログラムメモリ702は、例えばROMを主体とする。プログラムメモリ702は、上記プロセッサ701が実行するプログラムが格納される。
データメモリ703は、例えばRAMを主体とする。データメモリ703に対しては、照明システム200の機能に必要なデータの書込み及び読出しがプロセッサ701によって行われる。
通信インターフェース704には、各照明器具40を遠隔操作するための調光卓10が、LAN51及びハブ20を介して接続される。通信インターフェース704は、調光卓10との間でイーサネットプロトコルによる通信処理を実行する。
ノードインターフェース705には、DMXノード32が接続される。ノードインターフェース705は、照明器具40に対する信号をDMXノード32に出力する。照明器具40に対する信号は、照明器具40に対する問合せ信号、照明器具40の点灯、消灯、調光等を指令する制御信号等を含む。またノードインターフェース705は、DMXノード32からの信号を受信する。DMXノード32からの信号は、照明器具40からの応答信号、照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレス、スロット数、UID、器具情報等のデータ信号等を含む。
かかる構成の照明システム200は、全体制御部70のデータメモリ703に、図8に示すデータ構造の照明器具テーブル80を形成する。照明器具テーブル80は、バトン301に接続された照明器具40毎に、制御に必要な情報を1レコードとして記憶するための領域を有する。制御に必要な情報は、図8に示すように、UID、器具情報、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数、バトンID及び設置位置情報の各情報を含む。
バトンIDは、各系統のバトン301(301−1、301−2,301−3,301−4)に対して割り当てられた固有の識別情報であり、バトン制御部31の不揮発性メモリ(例えばプログラムメモリ312)に予め設定されている。
照明器具テーブル80は、調光卓10から全体制御部70に対して更新コマンドが配信されると、全体制御部70により照明器具40毎に制御に必要な情報が登録される。
なお、ユーザがバトン301に照明器具40を接続する際には、ユーザは、照明器具40の電源ケーブル42を接続部55の差込口352に接続する。このため、1系統のバトン301に接続可能な照明器具40の台数は、接続部55の数に制約される。一方、1系統のバトン301に接続された照明器具40のDMXケーブル41については、ユーザは先ず、いずれか1つの照明器具40(図6では40A)のDMXケーブル41を、DMXノード32の第2の通信ポートに接続する。次いでユーザは、この照明器具40Aが備えるDMXケーブルの差込口に、次段の照明器具40(図6では40B)のDMXケーブル41を接続する。以後、ユーザは同様にして、照明器具40Bが備えるDMXケーブルの差込口に、次段の照明器具40(図6では40C)のDMXケーブル41を接続し、この照明器具40Cが備えるDMXケーブルの差込口に、次段の照明器具40(図6では40D)のDMXケーブル41を接続する。すなわちユーザは、照明器具40A,40B,40C,40Dをカスケード接続する。
さて、調光卓10から全体制御部70に対して更新コマンドが配信されると、プロセッサ701は、図4の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。この情報処理は、プログラムメモリ702に記憶されたプログラムに基づくものである。
先ずプロセッサ701は、ステップS1として、各系統のバトン301にそれぞれ接続された照明器具40の情報を収集する。
具体的にはプロセッサ701は、ノードインターフェース705を介して照明器具40の情報要求コマンドを送信する。この情報要求コマンドは、ノードインターフェース705からDMXノード32を経由して、各バトン301に接続された照明器具40に送信される。その際、DMXノード32の第2の通信ポートに接続された照明器具40A,40Eだけでなく、これらの照明器具40A,40Eに対してカスケード接続された他の照明器具40B,40C,40D,40F,40G,40Hに対しても、情報要求コマンドは送信される。
情報要求コマンドを受信した照明器具40の制御部は、第1の実施形態で説明したように、記憶部に記憶したUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数、器具情報を含む応答コマンドを返信する。この応答コマンドは、DMXノード32を経由して全体制御部70に送信される。
全体制御部70のプロセッサ701は、応答コマンドを受信する毎に、その応答コマンドから照明器具40のUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報を抽出する。そしてプロセッサ701は、抽出したUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報を照明器具テーブル80に登録する。かくして、照明器具テーブル80には、各バトン30にそれぞれ接続された各照明器具40のUID、DMXアドレスのスタートアドレス、スロット数及び器具情報が登録される。
次に、プロセッサ701は、第1の実施形態と同様にステップS2として、照明器具テーブル80に登録されたDMXアドレスのスタートアドレスが重複していないか確認する。そしてプロセッサ701は、ステップS3としてDMXアドレスのスタートアドレスの再設定が必要か否かを判定する。再設定が必要な場合(S3でYES)、プロセッサ701は、ステップS4としてDMXアドレスが重複しないようにDMXアドレスのスタートアドレスの再設定を行う。
DMXアドレスのスタートアドレスの再設定が行われるか、再設定の必要がない場合(S3でNO)、プロセッサ701は、ステップS5として、照明器具40の位置検出を行う。この位置検出処理も、第1の実施形態と略同様である。すなわちプロセッサ701は、照明器具テーブル80に登録されたDMXアドレスのうちいずれか1つのアドレスが割り当てられた照明器具40に対して点灯を制御する制御信号を生成する。そしてプロセッサ701は、この制御信号を、ノードインターフェース705を介して送信する。
この制御信号は、DMXノード32の作用によりDMX信号に変換されて、各照明器具40に配信される。したがって、照明システム200では、各バトン301にそれぞれ接続された照明器具40のうち、いずれか1つの照明器具40が点灯動作する。
点灯動作する照明器具40に対しては、電源50から電源ライン38及び電源ケーブル42を介して電流が流れる。したがって、点灯動作した照明器具40の電源ケーブル42が接続された差込口352に対応する電流計測部36において、電流信号が計測される。その結果、電流信号を検出した電流計測部36を含むバトン301の位置検出部34において、照明器具40の設置位置情報が検出される。そして、この設置位置情報が、そのバトン301のバトン制御部31に通知される。
制御信号を送信した全体制御部70のプロセッサ701は、ハブ20を介して接続される各バトン301のバトン制御部31を監視する。そして位置検出部34から設置位置情報の通知を受けたバトン制御部31を検出すると、プロセッサ701は、そのバトン制御部31からバトンIDと設置位置情報とを取得する。しかして、プロセッサ701は、バトン制御部31から取得したバトンIDと設置位置情報とを照明器具テーブル80に登録する。このとき、プロセッサ701は、点灯を制御した照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスに関連付けてバトンIDと設置位置情報とを登録する。
プロセッサ701は、照明器具テーブル80に登録された各DMXアドレスのスタートアドレスについて個別に点灯を制御する制御信号を生成する。そしてプロセッサ701は、この制御信号をDMXノード32に送信して、バトン制御部31から取得したバトンIDと設置位置情報とを照明器具テーブル80に登録する処理を繰り返し実行する。
プロセッサ701は、ステップS6として、照明器具テーブル80に保存された全てのレコードにバトンIDと設置位置情報とが登録されたか確認する。登録された場合(S6でYES)、プロセッサ311は、ステップS7として、各バトン301のそれぞれの接続部55の表示器353に対し、その接続部55に対応した照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスを表示させる。
具体的にはプロセッサ311は、照明器具テーブル80に登録されたDMXアドレスのスタートアドレス、バトンID及び設置位置情報を含む表示制御データを各バトン301のバトン制御部31に送信する。バトン制御部31は、表示制御データを解析して自らのバトンIDが設定されたDMXアドレスのスタートアドレスと設置位置情報との対データを検出する。そしてバトン制御部31は、設置位置情報で特定される電流計測部36に対応した接続部35の表示器353に、その設置位置情報と対になったDMXアドレスのスタートアドレスを表示させる。
このように、複数の照明器具40がカスケード接続される複数のバトン301を備えた照明システム200においても、全体制御部70の機能により、全ての照明器具40のDMXアドレスのスタートアドレスに関連付けて、当該照明器具40が接続されたバトン301のバトンIDと設置位置情報とが照明器具テーブル80に登録される。
したがって照明システム200は、調光卓10から全体制御部70にバトンIDと照明器具40の設置位置情報を問い合わせて、全体制御部70によりバトンIDと照明器具40の設置位置情報の応答を調光卓10が受け取ることで、調光卓10の操作により、バトンIDと照明器具40の設置位置情報を把握した上でバトン301に接続された各照明器具40の調光を制御することができる。具体的には、調光卓10が前もって取得した照明器具40のUIDを元に、全体制御部70にバトンIDと照明器具40の設置位置情報を問い合わせる。そして、全体制御部70は、照明器具テーブル80を参照し、UIDに対応したバトンIDと設置位置情報を抽出し、バトンIDと設置位置情報を調光卓10に送付する。かくして、調光卓10は前もって取得した照明器具40のUIDを元に、バトンIDと照明器具の設置位置情報を取得することができる。このため、調光卓10の操作により、バトンIDと照明器具40の設置位置情報を把握した上で各バトン301に接続された各照明器具40の調光を制御することができる。
かくして第3の実施形態においても、照明器具のカスケード接続に対応し得る照明システム200及びこのシステム200で用いられるバトン301を提供することができる。
しかも、バトン301に着眼すると、第1,第2の実施形態のバトン30,300と比べた場合にDMXノード32を含まない。DMXノード32は、バトン301の外部にある。なおかつ、第2の通信ポートの数(本実施形態では4)のバトン301までは、1つのDMXノード32で兼用できる。このため、システム全体のコストを低減できる効果を奏する。
なお、第3の実施形態の照明システム200では、ハブ20とDMXノード32との間に全体制御部70を介在させたが、ハブ20とDMXノード32とを直接接続し、全体制御部70は、調光卓10と並列になるようにハブ20に接続してもよい。
この発明は、前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、位置検出部34において、点灯動作時の電流信号を計測した電流計測部36の情報と未点灯動作時の電流信号を計測した電流計測部36の情報から、バトン30に接続された照明器具40の設置位置情報が検出されるとしてもよい。
また例えば、照明器具テーブル60、80を調光卓10に搭載し、全体制御部70やバトン制御部31が行っている各照明器具40の情報の取得、回収した各照明器具40の情報の照明器具テーブル60、80への登録、各照明器具40の設置位置情報の取得及び、設置位置情報の照明器具テーブル60、80への登録を調光卓10が行えるとしてもよい。すなわち、問合せ信号の送信及び応答信号の受信を行う通信部と、上記通信部で受信した応答信号から問合せ信号送信先の照明器具40の識別情報(UID)と器具情報とを取得し、これらの識別情報(UID)及び器具情報と位置検出部34で検出された照明器具40の設置位置情報とを関連付けて記憶部である照明器具テーブル60、80に登録する制御部とを、調光卓10が備えた照明システムであってもよい。
さらに例えば、通信プロトコルは前記実施形態のものに限定されるものではなく、本発明が意図する機能を果たすことができるのであれば、他のプロトコルを使用してもよい。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。