JP2016224348A - 画像形成装置及び画像形成システム - Google Patents

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Abstract

【課題】DC帯電方式を採用する場合に、簡単な操作で帯電横スジを抑制しつつ転写ゴーストを抑制する設定を行うことを可能とする画像形成装置及び画像形成システムを提供する。【解決手段】DC帯電方式を採用し、被転写体7に担持されて転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が転写部T1にあり転写手段5に電圧が印加されている状態で転写部T1を通過した表面にトナー像が形成される感光体1を有する画像形成装置100は、転写部T1に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段121、111と、照射手段10が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段121、112と、画像を出力する際に載り量調整手段と光量調整手段との両方を動作させることを設定する設定部204と、を有する構成とする。【選択図】図5

Description

本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置、及び画像形成装置と情報端末機器においてプリンタドラバにより実行される制御装置とを備えた画像形成システムに関するものである。
近年、電子写真方式の画像形成装置としては、複数色又はフルカラーの画像を形成可能なカラー画像形成装置が普及してきている。カラー画像形成装置の構成としては、例えば、各色ごとに設けられた感光体を1列に配置し、各感光体上に形成された各色のトナー像を中間転写体や記録材担持体に担持された記録材といった被転写体上に順次重ね合わせて転写するタンデム型がある。
また、電子写真方式の画像形成装置における感光体を帯電処理する方式としては、感光体の表面に近接又は接触させた帯電部材に電圧を印加して帯電処理する方式が広く用いられるようになっている。電源の低圧化が図れ、オゾン発生量が少ないなどの長所を有しているからである。なかでも、帯電部材に直流電圧のみを印加して感光体を帯電させる「DC帯電方式」は、帯電部材に直流電圧と交流電圧との重畳電圧を印加して感光体を帯電させる「AC帯電方式」と比べて、ランニングコスト及びイニシャルコストの面で有利である。これは、DC帯電方式では、AC帯電方式と比べて、感光体への放電量が低いため感光体の表面の削れが少なく感光体の長寿命化が図れること、またAC電源が必要ないことなどによる。
しかしながら、「DC帯電方式」は、一般に、「AC帯電方式」と比べて、感光体の表面電位の均一性(帯電均一性)が劣る。これは、DC帯電方式では、AC帯電方式において得られる交流電圧により感光体の表面電位の差を均す効果が得られないからである。具体的には、DC帯電方式では、AC帯電方式よりも、所謂「転写ゴースト」が生じやすい。「転写ゴースト」とは、転写部において感光体の表面にトナーが有ったか無かったかで転写工程後の感光体に表面電位の差が生じ、帯電部でもその差が均されないことにより、帯電工程後の感光体に帯電ムラが生じて画像濃度ムラが生じる現象である。
この転写ゴーストに対して、転写工程の後、帯電工程の前に、感光体の表面に前露光装置で光(除電光)を照射し、感光体の表面電位を0V近傍で揃えて電位ムラを低減する技術が知られている(特許文献1)。
特開2002−189400号公報
転写ゴーストは、転写部において電気的な抵抗体となるトナーの量が多い場合に顕著となる。例えば、タンデム型の画像形成装置では、被転写体の移動方向の上流側の画像形成部の転写部で被転写体上に形成された2次色のトナー像が下流側の画像形成部の転写部を通過することで当該下流側の画像形成部で発生する転写ゴーストが目立ちやすい。特に、その2次色のトナー像が2色ベタ画像の場合には、転写ゴーストが目立ちやすい。イエローとマゼンタのトナーが重なったレッドのベタ画像が、より下流側で形成されるシアンやブラックのハーフトーン画像に転写ゴーストを発生させる場合などである。
ここで、上述のように、前露光装置により感光体の表面に光を照射することで、転写ゴーストを抑制することができる。しかし、この場合、特にDC帯電方式では、ハーフトーン画像などで感光体の表面電位の不均一性に起因する感光体の長手方向(周方向に直交する方向)のスジ状の濃度ムラ画像(帯電横スジ)が発生しやすくなることがある。これは、感光体の表面電位をより均一にするために、前露光装置が照射する光の光量(前露光光量)を増大させると顕著となる。
図12を参照して、帯電横スジについて更に説明する。ここでは、ドラム型の感光体(感光ドラム)1と、感光ドラム1に接触して配置されたローラ型の帯電部材(帯電ローラ)2と、を有する画像形成装置を例にする。図12(a)は、帯電横スジが発生しない場合、図12(b)は帯電横スジが発生しやすい場合の模式図である。感光ドラム1の表面の移動方向において感光ドラム1と帯電ローラ2との接触部の上流側、下流側には、それぞれ感光ドラム1と帯電ローラ2との間の空隙である上流ギャップ部G1、下流ギャップ部G2が形成される。図12(a)に示すように、上流ギャップ部G1で、ある距離をあけて対向する感光ドラム1と帯電ローラ2との電位差によって放電が発生すると、電荷が感光ドラム1の表面上に維持され、これが感光ドラム1の帯電電位となる。しかし、図12(b)に示すように、上流ギャップ部G1における放電で発生した帯電電位が下流ギャップ部G2に到達するまでに低下(暗減衰)すると、下流ギャップ部G2において微小で不安定な放電が再度行われる場合がある。これが帯電電位を乱す原因となり、結果として画像に帯電横スジとして現れて画像不良となる。
この上流ギャップ部G1と下流ギャップ部G2との間で起こる暗減衰は、帯電工程の前に前露光装置により感光ドラム1の表面に光を照射すると発生しやすくなる。これは、前露光装置により感光ドラム1の表面に光を照射すると、特にその照射する光の光量が一定以上大きい場合に、感光ドラム1の感光層内に残留フォトキャリアが発生しやすくなり、感光ドラム1の帯電電位を低下させやすくなるからであると考えられる。また、感光ドラム1に光を長期にわたり照射し続けると、感光ドラム1の光劣化により、暗減衰がより発生しやすくなる。
したがって、DC帯電方式を採用する場合に、帯電横スジを抑制しつつ、転写ゴーストを抑制できることが望まれる。
また、転写ゴーストは、通常は、上述のような一定の条件を満たす場合(2次色のベタ画像に続いてハーフトーン画像が形成される場合など)にのみ生じ易くなる。したがって、画像形成装置の動作設定は、通常は、転写ゴーストを抑制することを重視した設定とはなっていないことが多い。あるいは、通常の設定よりも更に、転写ゴーストの抑制側に設定を変更することが望まれることがある。そのため、所望に応じて、簡単な操作で、転写ゴーストを抑制する動作設定に変更できることが望まれる。
したがって、本発明の目的は、DC帯電方式を採用する場合に、簡単な操作で帯電横スジを抑制しつつ転写ゴーストを抑制する設定を行うことを可能とする画像形成装置及び画像形成システムを提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置及び画像形成システムにて達成される。要約すれば、第1の本発明は、回転可能な感光体と、直流電圧が印加されて帯電部において前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電の後に前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されて転写部において前記感光体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写部より下流側かつ前記帯電部より上流側で前記感光体の表面に光を照射する照射手段と、を有し、前記感光体は、前記感光体又は前記被転写体に担持されて前記転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が前記転写部にあり前記転写手段に電圧が印加されている状態で前記転写部を通過した表面に、トナー像が形成される画像形成装置において、前記転写部に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段と、前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段と、画像を出力する際に前記載り量調整手段と前記光量調整手段との両方を動作させることを設定する設定部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
また、第2の本発明は、画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能に接続された機器においてプリンタドライバにより実行される、前記画像形成装置に画像情報と画像出力動作の設定情報とを供給する制御装置と、を有する画像形成システムであって、前記画像形成装置は、回転可能な感光体と、直流電圧が印加されて帯電部において前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電の後に前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されて転写部において前記感光体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写部より下流側かつ前記帯電部より上流側で前記感光体の表面に光を照射する照射手段と、を有し、前記感光体は、前記感光体又は前記被転写体に担持されて前記転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が前記転写部にあり前記転写手段に電圧が印加されている状態で前記転写部を通過した表面に、トナー像が形成されるものである画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記転写部に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段と、前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段と、を有し、前記制御装置は、前記画像形成装置により画像を出力する際に前記載り量調整手段と前記光量調整手段との両方を動作させることを設定する設定部を有することを特徴とする画像形成システムである。
本発明によれば、DC帯電方式を採用する場合に、簡単な操作で帯電横スジを抑制しつつ転写ゴーストを抑制する設定を行うことが可能となる。
画像形成装置の模式的な断面図である。 帯電ローラの層構成及び感光ドラムの層構成を示す模式的な断面図である。 画像形成装置の動作シーケンス図である。 システム構成を示す概略ブロック図である。 画像形成装置の操作部の表示の一例を示す模式図及び転写ゴースト抑制モードの制御態様を示すブロック図である。 実施例1の動作を説明するためのフローチャート図である。 プリンタドラバの操作画面と画像形成装置の操作部の表示の一例を示す模式図及び転写ゴースト抑制モードの制御態様を示すブロック図である。 実施例2の動作を説明するためのフローチャート図である。 実施例3の動作を説明するためのフローチャート図である。 転写ゴーストが発生した画像の一例を示す模式図である。 転写ゴーストの発生メカニズムを説明するための模式図である。 帯電横スジの発生メカニズムを説明するための模式図である。
以下、本発明に係る画像形成装置及び画像形成システムを図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の模式的な断面図である。画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4のステーションSY、SM、SC、SKを有する。各ステーションSY、SM、SC、SKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する。これらの4つのステーションは一定の間隔をおいて一列に配置されている。
なお、本実施例では、各ステーションSY、SM、SC、SKの基本的な構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。また、第1、第2、第3、第4のステーションSY、SM、SC、SK又はその要素を区別して説明する場合に、各ステーションSで形成するトナー像の色に対応して、「Y」、「M」、「C」、「K」を語頭につけて説明することがある。
ステーションSは、像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。また、ステーションSは、感光ドラム1の周囲に配置された、次の各プロセス機器を有する。まず、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。また、露光手段としての露光装置3が配置されている。また、現像手段としての現像装置4が配置されている。また、一次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。また、照射手段(光除電手段)としての前露光装置10が配置されている。また、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。
また、画像形成装置100は、各ステーションSの各感光ドラム1と対向するように配置された、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7を有する。中間転写ベルト7は、複数の支持ローラとしての駆動ローラ71、テンションローラ72及び二次転写対向ローラ73に、所定のテンションをもって巻回されている。中間転写ベルト7の内周面(裏面)側において、各感光ドラム1と対向する位置に、上述の一次転写ローラ5がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)T1を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面(表面)側において、二次転写対向ローラ73と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラ73に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置30が配置されている。
本実施例では、感光ドラム1は、直径30mm、長手方向(回転軸線方向)の長さが330mmの、負帯電性の有機感光体(OPC)である。図2に示すように、感光ドラム1は、アルミニウム製のシリンダ(導電性ドラム基体)1pの表面に、光の干渉を抑え上層の接着性を向上させる下引き層1qと、光電荷発生層1rと、電荷輸送層1sと、の3層を下から順に塗布して構成されている。感光ドラム1は、駆動装置(図示せず)によって、通常200mm/sのプロセススピード(周速度)で図中矢印R1方向に回転駆動される。
回転する感光ドラム1の表面は、帯電ローラ2により、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に略均一に帯電処理される。このとき、帯電ローラ2には、帯電電源(高圧電源回路)20から帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。帯電電源20は、直流電圧発生回路21と、直流電圧増幅回路22と、を有する。本実施例では、各ステーションSの各帯電ローラ2に印加する直流電圧は、それぞれに対応して設けられた直流電圧発生回路21により発生される。また、各ステーションSの各帯電ローラ2に印加される直流電圧値の大きさは、それぞれに対応して設けられた直流電圧増幅回路22により調整される。このように、本実施例では、感光ドラム1を帯電処理する方式としてDC帯電方式が採用されている。本実施例では、帯電バイアスは−1300Vの直流電圧であり、現像位置における感光ドラム1上の帯電電位(暗部電位)VDは−700Vである。
本実施例では、帯電ローラ2は、長手方向(回転軸線方向)の長さが320mmであり、図2に示すように、芯金(支持部材)2pの外周に、下層2qと、中間層2rと、表層2sと、の3層を下から順に積層して構成されている。下層2qは、帯電音を低減するための発泡スポンジ層である。表層2sは、感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。より具体的には、本実施例では、帯電ローラ2の仕様は下記の通りである。
芯金2p:直径6mmのステンレス丸棒
下層2q:カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ω、層厚3.0mm
中間層2r:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102〜105Ω、層厚700μm
表層2s:フッ素化合物の樹脂に酸化錫とカーボンを分散、体積抵抗値107〜1010Ω、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm
帯電ローラ2は、押圧ばね2tによって感光ドラム1の回転中心方向に付勢され、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接されて、感光ドラム1と帯電ローラ2との接触部である帯電ニップaを形成する。そして、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に伴い従動して図中矢印R2方向に回転する。本実施例では、帯電ローラ2の全体の体積抵抗値は1.0×105Ωである。感光ドラム1の回転方向において、感光ドラム1上の帯電ローラ2によって帯電処理される位置が帯電部である。帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転方向において帯電ニップaの上流側と下流側とに形成される、感光ドラム1と帯電ローラ2との間の空隙の少なくとも一方で発生する放電によって、感光ドラム1の表面を帯電処理する。ただし、便宜上、帯電ニップaにおいて感光ドラム1の表面が帯電処理されるものと擬制して説明することがある。
帯電処理された感光ドラム1は、露光装置3によって画像情報に応じて走査露光される。本実施例では、露光装置3は、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。露光装置3は、画像読み取り装置などのホスト処理装置から入力される画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力する。レーザ光は、帯電処理された感光ドラム1の表面を走査露光し、感光ドラム1上に入力された画像信号に応じた静電潜像(静電像)を形成する。本実施例では、感光ドラム1上のレーザ光が照射された明部電位VLは−200Vである。
感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置4により現像剤としてのトナーを用いて現像(可視化)される。各現像装置4Y、4M、4C、4Kには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。現像装置4は、感光ドラム1と対向する現像位置にトナーを搬送する、現像剤担持体としての現像ローラを有する。現像ローラには、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した現像バイアス(現像電圧)が印加される。具体的には、本実施例では、現像バイアスは、−550Vの直流電圧と、ピーク間電圧Vppが1800V、周波数が8kHzの交流電圧と、が重畳された振動電圧である。本実施例では、露光装置3と現像装置4とで、帯電処理された後の感光ドラム1にトナー像を形成するトナー像形成手段が構成される。
感光ドラム1に形成されたトナー像は、一次転写部T1において、一次転写ローラ5の作用により、図中矢印R3方向に回転駆動されている中間転写ベルト7上に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、一次転写電源(図示せず)から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の直流電圧である一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加される。本実施例では、一次転写バイアスは、一次転写時に各一次転写ローラ5(一次転写部T1)に流れる一次転写電流が約20μAになるように設定される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各ステーションSY、SM、SC、SKの感光ドラム1に形成された各色のトナー像が、各一次転写部T1において、中間転写ベルト7上に順次重ね合わせるようにして転写される。これにより、中間転写ベルト7上に、フルカラー画像用の多重トナー像が形成される。
中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ8の作用により、記録用紙などの記録材Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ8には、二次転写電源(図示せず)から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の直流電圧である二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加される。記録材Pは、記録材給送装置において搬送ローラ11などによって中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合うようにして二次転写部T2に搬送される。
トナー像が転写された記録材Pは、中間転写ベルト7から分離されて、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、定着ローラ9aと加圧ローラ9bとの間の定着ニップ部において記録材Pを挟持して搬送することで、記録材Pを加熱及び加圧する。これにより、トナー像は溶融されて混合された後に記録材P上に定着(固着)される。トナー像が定着された記録材Pは、画像形成装置100の装置本体の外部(機外)に排出される。
感光ドラム1の回転方向において一次転写部T1より下流側かつ帯電部aより上流側で感光ドラム1の表面に光を照射するように、照射手段(光除電手段)としての前露光装置10が配置されている。前露光装置10は、一次転写部T1を通過した後の感光ドラム1の表面に残存する電荷の少なくとも一部を除去する。本実施例では、前露光装置10は、複数のLEDを感光ドラム1の回転軸方向に整列させたアレイ状光源(以下、単に「LED」ともいう。)を有して構成されている。前露光装置10が感光ドラム1の表面に照射する光の光量(前露光光量)は、LEDに印加する電圧を制御して調整することができる。本実施例では、前露光装置10は、光源波長が400nm〜800nmにピークを有し、感光ドラム1の表面における光量(前露光光量)を0Lux・sec〜40Lux・secの範囲で制御可能である。また、本実施例では、感光ドラム1が完全に除電されるには、35Lux・secが必要である。
一次転写後に感光ドラム1の表面に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1の表面から除去されて回収される。また、二次転写後に中間転写ベルト7の表面に残留したトナー(二次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置30によって中間転写ベルト7の表面から除去されて回収される。
2.動作シーケンス
図3は、画像形成装置100の動作シーケンス図である。
a.初期回転動作(前多回転工程)
初期回転動作は、画像形成装置100の起動時の準備動作期間(始動動作期間、起動動作期間、ウォーミング期間)である。初期回転動作では、画像形成装置100の電源スイッチのオンにより、感光ドラム1が回転駆動され、また定着装置9の所定温度への立ち上げなどの所定のプロセス機器の準備動作が実行される。
b.印字準備回転動作(前回転工程)
印字準備回転動作は、画像形成装置100にプリント信号(画像出力動作の開始信号)が入力されてから実際に印字工程が開始されるまでの間の準備動作期間である。初期回転動作中にプリント信号が入力されたときには、印字準備回転動作は初期回転動作に引き続いて実行される。プリント信号の入力がないときには、初期回転動作の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて、感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置100はプリント信号が入力されるまでスタンバイ状態に保たれる。そして、プリント信号が入力されると、印字準備回転動作が実行される。
c.印字工程(画像形成工程、作像工程)
印字工程は、感光ドラム1へのトナー像の形成、トナー像の一次転写、二次転写、トナー像の記録材Pへの定着などが実際に行われている期間である。より詳細には、帯電、露光、現像、一次転写、二次転写、定着の各工程がなされる各位置において印字工程のタイミングは異なる。連続印字(連続プリント)モードの場合は、上記の印字工程が所定の設定プリント枚数n(図3の例ではn=3)分繰り返して実行される。
d.紙間工程
紙間工程は、連続印字モードにおいて、一の記録材Pの後端部が転写位置を通過した後、次の記録材Pの先端部が転写位置に到達するまでの間の、転写位置における記録材Pが無い期間に対応する期間である。
e.後回転動作
後回転動作は、最後の記録材Pの印字工程が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光ドラム1を回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。
f.スタンバイ(待機)状態
所定の後回転動作が終了すると、メインモータの駆動が停止されて感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置100は次のプリント信号が入力されるまでスタンバイ状態に保たれる。1枚だけのプリントの場合は、そのプリント終了後、画像形成装置100は後回転動作を経てスタンバイ状態になる。スタンバイ状態において、プリント信号が入力されると、画像形成装置100は印字準備回転動作に移行する。
上記cの印字工程時が画像形成時であり、上記aの初期回転動作、上記bの印字準備回転動作、上記dの紙間工程、上記eの後回転動作が非画像形成時である。また、一のプリント信号による、単一又は複数の記録材Pに対する、上述の印字準備回転動作、印字工程、紙間工程、後回転動作などを含む一連の動作を画像出力動作(ジョブ)ともいう。
3.画像形成システム
図4は、本実施例における画像形成装置100及びパーソナルコンピュータ(以下「PC」ともいう。)300を備えた画像形成システム400の概略ブロック図である。
画像形成装置100は、その装置本体内に、上述の各ステーションS、中間転写ベルト7、定着装置9などを含む、記録材Pに画像を形成して出力するための主要な構成要素であるプリンタエンジン110を有する。また、画像形成装置100は、その装置本体内に、画像形成装置100の動作全体を制御する制御部120を有する。制御部120は、制御手段としてのCPU、記憶手段としての電子的なメモリ(ROM、RAM)などを有して構成されている。本実施例における転写ゴースト抑制モードに係るより詳細な制御態様については後述する。また、画像形成装置100は、画像出力動作の開始指示や画像出力動作の動作設定の入力、あるいは情報の表示を行うための操作部(操作パネル)200を有する。また、画像形成装置100には、図示しない画像読み取り装置(イメージスキャナ)が設けられている。
画像形成装置100には、情報端末機器としてのPC300が接続されている。本実施例では、PC300は、通信手段としての、LANケーブル302、画像形成装置100上のインターフェース130及びPC300上のインターフェース320を介して、画像形成装置100と通信可能に接続されている。画像形成装置100とPC300とは、有線通信手段に限らず、無線通信手段によって接続されていてもよい。
PC300は、その主要な構成要素であるコンピュータ本体310を有する。コンピュータ本体310は、演算処理装置や記憶部を有して構成される一般的なコンピュータであってよく、基本オペレーティングシステム(OS)によって動作するものとする。また、PC300は、表示部としてのLCDディスプレイなどのディスプレイ301と、キーボードやマウスなどの入力部304と、を有する。そして、PC300には、基本OS上で動作する、ワードプロセッサや画像処理ソフトなどの任意のアプリケーションソフトウェア(アプリケーションプログラム)311がインストールされている。また、PC300には、基本OS上で動作する、プリンタドライバ(ドライバプログラム)312がインストールされている。プリンタドライバ312は、画像形成装置100の制御部120に画像出力動作に係る命令(画像情報と画像出力動作の設定情報)を伝達して画像形成装置100を動作させる。
このようなシステム構成において、画像形成装置100は、複写機として画像読み取り装置で読み取った原稿画像のコピーを行うことができると共に、プリンタとしてPC300から入力された画像情報に応じたプリントを行うことができる。
4.転写ゴースト
図10は、転写ゴーストが発生した画像の一例を模式的に示している。同図の例では、Y(イエロー)とM(マゼンタ)のトナーを重ね合わせたR(レッド)のベタ画像を形成した後にC(シアン)のHT(ハーフトーン)画像を形成した場合に、Rのベタ画像の感光ドラム1の一周後に、CのHT画像が薄くなる現象が発生している。
図11を参照して、この現象について更に説明する。図11(a)は、各ステーションSY、SM、SC、SKの構成を簡易化して模式的に示している。また、図11(b)は、CステーションSCの感光ドラム1Cにおける、一次転写部T1Cを通過した後の表面電位(以下「転写後電位」ともいう。)と、帯電部aに到達する直前の表面電位(以下「帯電前電位」ともいう。)を示している。図11(b)の縦軸は、マイナス電位の絶対値が大きいほど高い値となるように示されている。
図11(a)のように、YステーションSYとMステーションSMで形成されたRのベタ画像が中間転写ベルト7で搬送され、CステーションSCの一次転写部T1Cに到達する。すると、図11(b)のように、Rのベタ画像が有る部分では、Rのベタ画像が無い部分に比べて、同じ一次転写バイアスを印加した場合、感光ドラム1Cの転写後電位がマイナス側に高くなってしまう。これは、Rのベタ画像のトナーが電気的な抵抗体となり、同じ一次転写バイアスを印加した際の一次転写電流が小さくなり、感光ドラム1Cの転写後電位が落ち切らないことが原因である。その後、感光ドラム1Cの表面は帯電ローラ2Cによって帯電処理されるが、この転写後電位の段差の履歴が、帯電部aを通過した後の感光ドラム1Cの表面電位(以下「帯電後電位」ともいう。)にも残ったままになり、CのHT画像にムラとして発生する。これが「転写ゴースト」である。
このように、タンデム型では、転写ゴーストは、中間転写ベルト7の移動方向上流側のステーションSで中間転写ベルト7に転写されたトナーが下流側のステーションSの一次転写部T1で感光ドラム1の転写後電位に段差を発生させることで起きる現象である。この場合、転写ゴーストは、上流側のステーションSで中間転写ベルト7に乗せられたトナー量が多ければ多いほど顕著に発生しやすい。したがって、例えば2次色の画像であるYとMのトナーで形成されたRの画像が、CやKの画像に影響する。また、同様に、2次色の画像であるYとCのトナーで形成されたG(グリーン)の画像又はMとCのトナーで形成されたB(ブルー)の画像が、それぞれKの画像に影響しやすい。
上述の転写後電位の段差は、前露光装置10Cによって感光ドラム1Cの表面に光を照射することで低減することができる。このとき、図11(b)の左側のように、前露光装置10Cの前露光光量が小さいと、Rのベタ画像が有る部分の電位が下がる量が少なく、帯電前電位の段差が大きくなる。その結果、転写ゴーストが画像に発生しやすい。これに対して、図11(b)の右側のように、前露光装置10Cの前露光光量が大きいと、Rのベタ画像が有る部分の電位が0V付近まで落ちるので、帯電前電位の段差は小さくなる。その結果、転写ゴーストは画像に発生しにくい。しかしながら、前述のように、前露光装置10Cの前露光光量を一定以上大きくすると、「帯電横スジ」が発生しやすくなる。
表1は、本実施例における、2次色の最大のトナー載り量(以下「2次色最大載り量」ともいう。)と、転写ゴーストと、2次色の鮮やかさと、の関係を示している。ここで、2次色最大載り量としては、一例として、中間転写ベルト7の移動方向において1番目のYステーションSYと2番目のMステーションSMで形成されたRの画像の中間転写ベルト7上におけるトナーの載り量の合計を示している。本実施例では、Rの2次色最大載り量は1.0(mg/cm2)と設定し、この2次色最大載り量1.0(mg/cm2)を200%として表している。転写ゴーストは、図10に示すような試験画像を出力し、目視で観察して主観評価し、発生しなかった場合を○、発生したが実用上問題無いレベルのものを△、実用上問題となり得るレベルで発生したものを×と判定した。また、2次色の鮮やかさは、図10に示すような試験画像を出力し、目視で観察して主観評価し、十分に鮮やかなものを○、若干鮮やかさが劣るものの実用上問題無いレベルのものを△、実用上問題となり得るレベルまで鮮やかさが低下したものを×と判定した。2次色最大載り量は、YとMのトナー像を形成する際の露光装置3の露光量を変更することで調整することができる。
また、表2は、本実施例における、前露光光量と、転写ゴーストと、帯電横スジと、の関係を示している。ここで、前露光光量は、中間転写ベルト7の移動方向において3番目のCステーションSC及び4番目のKステーションSKの前露光光量の値である。帯電横スジは、感光ドラム1の寿命(本実施例では3万枚)までに、帯電横スジが発生しない場合を○、帯電横スジがわずかに発生するが実用上問題無いレベルのものを△、帯電横スジが実用上問題となり得るレベルで発生したものを×と判定した。なお、露光光量は、一般に、感光体の表面(単位面積あたり)に照射される単位時間あたりの光量で定義される。
本実施例の画像形成装置100における、調整される前の通常の設定(基本設定、Ref設定)では、Rの2次色最大載り量は200%、前露光光量は帯電横スジが感光ドラム1の寿命内で発生しない10Lux・secである。表1の結果は、CステーションSC及びKステーションSKの前露光光量の値を10Lux・secとして得られたものである。また、表2の結果は、Rの2次色最大載り量を200%として得られたものである。なお、この通常の設定は、常温常湿環境下における設定であるものとする。
表1のように、Rの2次色最大載り量を小さくしていくと、C、KステーションSC、SKの一次転写部T1において電気的な抵抗体となるトナーが少なくなり、一次転写バイアスを印加した時に一次転写電流が流れやすくなり、転写ゴーストが軽減される。ただし、Rの2次最大載り量を小さくしていくと、R自体の色の鮮やかさが低下してしまう。
また、表2のように、前露光光量を大きくしていくと、C、KステーションSC、SKの感光ドラム1C、1Kにおいて、Rのベタ画像が有る部分の電位と、Rのベタ画像が無い部分の電位と、の間の電位差が少なくなり、転写ゴーストが軽減される。ただし、C、KステーションSC、SKでは、前露光光量を通常の設定よりも大きく設定している分、感光ドラム1の寿命内で帯電横スジが発生しやすくなってしまう。
Rの2次色最大載り量を減少させることと、C、KステーションSC、SKの前露光光量を増加させることとは、両方とも転写ゴーストの抑制に有効である。しかし、これらの片方では、転写ゴーストの抑制と、上述の画像不具合(2次色の鮮やかさの低下、帯電横スジ)の抑制と、を両立することが困難であった。
表3は、2次色最大載り量を減少させることと、C、KステーションSC、SKの前露光光量を増加させることと、を同時に行った場合の、2次色最大載り量と、前露光光量と、転写ゴーストと、2次色の鮮やかさと、帯電横スジと、の関係を示している。
表3からわかるように、図10のような画像において転写ゴーストを抑制するためには、2次色最大載り量を200%から160%にし、かつ、C、KステーションSC、SKの前露光光量を10Lux・secから20Lux・secにすることが好ましい。これにより、Rの鮮やかさを著しく落とさず、かつ、帯電横スジを感光ドラム1の寿命内で実用上問題ないレベルに抑制しつつ転写ゴーストを抑制することができる。
なお、表1、表3では、R(YとM)の2次色最大載り量に注目して説明したが、上述のようにG(YとC)、B(MとC)の2次色最大載り量についても、それぞれKステーションSKにおいて転写ゴーストを発生させ得る。したがって、本実施例では、後述する転写ゴースト抑制モードで2次色最大載り量を減少させる場合は、上記Rの2次色最大載り量と同様に、G、Bといった他の2次色最大載り量も減少させる。
5.転写ゴースト抑制モード
上述の検討結果に基づいて、画像形成装置100は、2次色最大載り量を減少させることと、C、KステーションSC、SKの前露光光量を増加させることと、を同時に行う転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行できるようになっている。特に、本実施例では、ユーザが、画像形成装置100の装置本体に設けられた操作部200から画像出力動作(コピー)を実行させる際に、操作部200から任意に転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させる場合について説明する。ユーザは、転写ゴーストが出そうな画像を出力する場合、又は画像を出力して転写ゴーストが発生した場合などに、所望に応じて転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させることができる。
本実施例では、転写ゴースト抑制モードでは、2次色最大載り量の設定を通常の設定である200%から160%に減少させ、C、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を通常の設定である10Lux・secから20Lux・secに増加させる。
図5(a)〜(c)を参照して、画像形成装置100の操作部(操作パネル)200について説明する。図5(a)は、操作部200の外観を示す模式図である。操作部200は、設定された情報に基づき画像出力動作(コピー)を画像形成装置100に実行させるためのスタートボタン201を有する。また、操作部200は、入力部及び表示部としてのタッチパネル式のディスプレイ202を有する。ユーザは、ディスプレイ202に表示されたボタンに触れて該ボタンを選択することによって、画像出力動作の各種設定を行うことができる。
図5(b)は、ディスプレイ202に表示される初期画面の一例を示す。図5(b)に示すように、初期画面には、画像出力動作の各種設定をユーザが行うことを可能にする各種設定ボタン203が設けられている。図5(c)は、図5(b)の各種設定ボタン203をユーザが選択することによってディスプレイ202に表示される各種設定画面の一例を示す。図5(c)に示すように、各種設定画面には、転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させるか否かを選択するための転写ゴースト抑制モード設定ボタン(以下「モード設定ボタン」ともいう。)204が設けられている。ユーザがモード設定ボタン204により転写ゴースト抑制モードをONと設定すると、前述のような転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作が可能となる。ユーザは、図5(c)のモード設定ボタン204で転写ゴースト抑制モードをONと設定した後に、図5(a)のスタートボタン201を押下することにより、画像形成装置100に転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させることができる。
図5(d)は、本実施例における転写ゴースト抑制モードに係る制御態様を示すブロック図である。操作部200において転写ゴースト抑制モードをONとすると、制御部120のCPU121によって、露光装置3Y〜3Kの光量を調整する露光制御装置111と、前露光装置10Y〜10Kの光量を調整する前露光制御装置112とが作動する。本実施例では、上述のように、転写ゴースト抑制モードがONとされると、露光制御装置111は、Y、M、CステーションSY、SM、SCにおいて形成される2次色の最大のトナー載り量(2次色最大載り量)を減少させるように作動する。また、本実施例では、上述のように、転写ゴースト抑制モードがONとされると、前露光制御装置112は、C、KステーションSC、SKの前露光光量を増加させるように作動する。本実施例では、CPU121と露光制御装置111とで、下流側の一次転写部に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段が構成される。また、本実施例では、CPU121と前露光制御装置112とで、下流側の画像形成部の前露光光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段が構成される。また、モード設定ボタン204は、画像を出力する際に載り量調整手段と光量調整手段との両方を動作させる設定を同時に行う設定部の一例である。
図6は、本実施例の動作を説明するためのフローチャート図である。図6(a)はユーザによる手順、図6(b)はCPU121による手順を示す。なお、図6のフローチャートは、転写ゴースト抑制モードの選択に関連する動作に注目した概略手順を示すものであり、その他の任意に適用され得る多くの手順は省略されている。
図6(a)に示すように、ユーザは、画像形成装置100で画像を出力した際に(S101)、転写ゴーストが発生したと判断した場合(S102)、操作部200において転写ゴースト抑制モードを選択し(S103)、再度画像を出力させる(S104)。この際、ユーザは、上述のように、操作部200のディスプレイ202に設けられた各種設定ボタン203をONとし、また各種設定画面の中のモード設定ボタン204をONとする。最初に出力した画像に転写ゴーストが発生していないと判断した場合は、ユーザは何もする必要がない。なお、ユーザは、予め転写ゴーストが発生しやすい画像パターンであると判断して、初めから転写ゴースト抑制モードで画像出力動作を実行させることもできる。
図6(b)に示すように、CPU121は、操作部200でモード設定ボタン204がONされると(S201)、2次色最大載り量と前露光光量の設定を転写ゴースト抑制モードの設定に変更する(S202)。つまり、CPU121の指示で、露光制御装置111が2次色最大載り量の設定を200%から160%に減少させ、かつ、前露光制御装置112がC、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を10Lux・secから20Lux・secに増加させる。その後、CPU121は、スタートボタン201がONされると(S203)、画像出力動作を実行させる(S204)。
以上のように、本実施例によれば、上流側のステーションSで形成された2次色のトナー像によって下流側のステーションSで形成されるハーフトーン画像などに発生する転写ゴーストを抑制することができる。また、本実施例によれば、転写ゴーストを抑制するために、2次色最大載り量を減少させる設定と、前露光光量を増加させる設定とを同時に行うことができる。そのため、ユーザがこれら2つの設定を別々に行う必要がなく、簡単な操作で転写ゴーストを抑制することが可能となる。また、本実施例によれば、2次色の鮮やかさの低下や帯電横スジなどの画像の不具合を抑制しつつ、転写ゴーストを抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一又は実施例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、画像形成装置100に設けられた操作部200から転写ゴースト抑制モードを選択する場合について説明した。これに対して、本実施例では、PC300から画像形成装置100に画像出力動作(プリント)を実行させる際に、転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させる場合について説明する。PC300は、画像形成装置100と通信可能に接続され、画像形成装置100と共に画像形成システム400を構成する機器(情報端末機器、周辺機器)の一例である。また、PC300において、プリンタドライバ312によって実行される、画像形成装置100に画像情報と画像出力動作の設定情報とを送信する制御装置が構成される。
実施例1と同様に、本実施例では、転写ゴースト抑制モードでは、2次色最大載り量の設定を200%から160%に減少させ、C、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を10Lux・secから20Lux・secに増加させる。
図7(a)は、本実施例における画像形成システム400の概略図である。本実施例では、PC300は、画像形成装置100とLANケーブル302で接続されている。PC300は、PC300にインストールされたアプリケーションソフトウェア311(図4)などにより、ディスプレイ301に画像を表示させることができる。また、PC300は、PC300にインストールプリンタドライバ312(図4)により、画像形成装置100に対し画像出力動作(プリント)を命令することができる。つまり、PC300は、例えば上記ディスプレイ301に表示された画像の画像情報と画像出力動作の設定情報とを、画像形成装置100に設けられた制御部120のCPU121に、LANケーブル302を通して送信することができる。そして、本実施例では、プリンタドライバ312は、画像出力動作の設定情報として、プリント枚数、記録材Pのサイズなどを指定する情報の他、転写ゴースト抑制モードを指定する情報をCPU121に送信できる。
図7(a)には、本実施例における、PC300にインストールされたプリンタドライバ312によってPC300のディスプレイ301に表示される操作画面の一例が示されている。図7(a)に示すように、本実施例では、プリンタドライバ312の操作画面に、画像形成装置100に転写ゴースト抑制モードを起動させるための転写ゴースト抑制モード設定ボタン(モード設定ボタン)303が設けられている。モード設定ボタン303は、PC300が有する、プリンタドライバ312により提供される設定部の一例である。実施例1の場合と同様、この設定部は、画像形成装置100により画像を出力する際に載り量調整手段と光量調整手段との両方を動作させる設定を同時に行うものである。なお、図7(a)には図示されていないが、プリンタドライバ312は、複数のシートからなる操作画面をPC300のディスプレイに表示させる。そして、その複数のシートに、上記モード設定ボタン303が設けられたシートの他、プリント枚数、記録材Pのサイズなどを指定するボタン、画像出力動作の開始を指示するボタンなどが設けられたシートが含まれている。
図7(b)は、本実施例における転写ゴースト抑制モードに係る制御態様を示すブロック図である。プリンタドライバ312において転写ゴースト抑制モードをONとすると、制御部120のCPU121によって、露光装置3Y〜3Kの光量を調整する露光制御装置111と、前露光装置10Y〜10Kの光量を調整する前露光制御装置112が作動する。本実施例では、実施例1と同様に、転写ゴースト抑制モードがONとされると、露光制御装置111は、Y、M、CステーションSY、SM、SCにおいて形成される2次色の最大のトナー載り量(2次色最大載り量)を減少させるように作動する。また、本実施例では、実施例1と同様に、転写ゴースト抑制モードがONとされると、前露光制御装置112は、C、KステーションSC、SKの前露光光量を増加させるように作動する。
図8は、本実施例の動作を説明するためのフローチャート図である。図8(a)はユーザによる手順、図8(b)はプリンタドライバ312による手順、図8(c)は画像形成装置100に設けられた制御部120のCPU121による手順を示す。なお、図8のフローチャートは、転写ゴースト抑制モードの選択に関連する動作に注目した概略手順を示すものであり、その他の任意に適用され得る多くの手順は省略されている。
図8(a)に示すように、ユーザは、PC300において、アプリケーションソフトウェア311などにより、出力したい画像をディスプレイ301に表示させる(S301)。また、ユーザは、アプリケーションソフトウェア311からプリンタドライバ312を起動させて(S302)、プリンタドライバ312によりその画像を画像形成装置100に出力させる(S303)。そして、ユーザは、画像形成装置100で画像を出力した際に転写ゴーストが発生したと判断した場合(S304)、プリンタドライバ312により転写ゴースト抑制モードを選択し(S305)、再度画像形成装置100にその画像を出力させる(S306)。
図8(b)に示すように、プリンタドライバ312は、アプリケーションソフトウェア311から起動されると、PC300のディスプレイ301に操作画面を表示させる(S401)。そして、プリンタドライバ312は、操作画面のモード設定ボタン303がONされると(S402)、転写ゴースト抑制モードONの命令を、LANケーブル302を通してCPU121に伝達する(S403)。また、プリンタドライバ312は、操作画面で画像出力の実行がONされると(S404)、画像出力動作の開始の命令を、LANケーブル302を通してCPU121に伝達する(S405)。
図8(c)に示すように、CPU121は、PC300から転写ゴースト抑制モードONの信号を受け取ると(S501)、そのジョブのみ画像形成装置100における転写ゴースト抑制モードをONとする(S502)。そして、CPU121は、2次色最大載り量と前露光光量の設定を転写ゴースト抑制モードの設定に変更する(S503)。つまり、CPU121の指示で、露光制御装置111が2次色最大載り量の設定を200%から160%に減少させ、かつ、前露光制御装置112がC、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を10Lux・secから20Lux・secに増加させる。その後、CPU121は、PC300から画像出力動作開始の信号が入力されると(S504)、画像出力動作を実行させる(S505)。また、CPU121は、そのジョブが終了した後に、画像形成装置100における転写ゴースト抑制モードをOFFに戻す(S506)。なお、転写ゴースト抑制モードを自動的にOFFに戻す制御は、画像形成装置100(CPU121、露光制御装置111、前露光制御装置112など)にプログラムされていてもよいし、プリンタドライバ312にプログラムされていてもよい。
以上のように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、次のような効果が得られる。本実施例では、PC300のプリンタドライバ312から、ジョブごとに転写ゴースト抑制モードをONとすることが可能である。したがって、画像形成装置100に転写ゴースト抑制モードの設定は残らない。そのため、例えば後続の転写ゴーストが発生しない画像パターンの画像出力動作に、先の画像出力動作における転写ゴースト抑制モードの設定が影響することはない。また、本実施例では、転写ゴースト抑制モードをユーザがOFFにする必要は無い。そのため、転写ゴースト抑制モードをOFFにする時間が省くことができ、また転写ゴースト抑制モードをOFFし忘れることも防止できる。したがって、簡単な操作で、転写ゴーストが発生しやすい画像パターンのジョブのみ、転写ゴースト抑制モードを動作させることができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一又は実施例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、実施例2と同様に、PC300から画像形成装置100に画像出力動作(プリント)を実行させる際に、転写ゴースト抑制モードでの画像出力動作を実行させる場合について説明する。ただし、本実施例では、画像形成装置100において、既に2次色最大載り量の設定、C、KステーションSC、SKの前露光光量の設定が通常の設定(基本設定)から変更されている点が実施例2とは異なる。
画像形成装置100において、転写ゴーストの他の画像不良を抑制する目的で、2次色のトナー載り量の設定が変えられていたり、前露光光量の設定が変えられていたりする場合がある。次のような目的で、ユーザやサービス担当者などの操作者が画像形成装置100において2次色のトナー載り量や前露光光量の設定を変更している場合が考えられる。例えば、細線が一次転写部で飛び散ってしまう現象を抑えるために、2次色のトナー載り量を減らすように設定を変更していることが考えられる。また、例えば、感光ドラム1の光電荷発生層1rの膜厚ムラによるゴーストを抑えるために前露光光量を増加するように設定を変更していることが考えられる。
そこで、本実施例では、画像形成装置100における設定によらず、プリンタドライバ312による設定を優先して転写ゴースト抑制モードに移行するようにする。また、転写ゴースト抑制モードでのジョブが終了した後には、2次色載り量、前露光光量の設定を当該ジョブの前に既にされていた画像形成装置100における設定に自動的に戻す。
図9は、本実施例の動作を説明するためのフローチャート図である。図9は、本実施例における画像形成装置100に設けられた制御部120のCPU121による手順を示す。ユーザによる手順、プリンタドライバ312による手順は、それぞれ実施例2で説明した図8(a)、図8(b)と同じである。
図9に示すように、CPU121は、PC300から転写ゴースト抑制モードONの信号を受け取ると(S601)、そのジョブのみ画像形成装置100における転写ゴースト抑制モードをONとする(S602)。そして、CPU121は、画像形成装置100における設定によらず、2次色最大載り量と前露光光量の設定を転写ゴースト抑制モードの設定に変更する(S603)。つまり、画像形成装置100における設定によらず、CPU121の指示で、露光量制御装置111は2次色最大載り量の設定を160%とし、かつ、前露光制御装置112はC、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を20Lux・secとする。その後、CPU121は、PC300から画像出力動作開始の信号が入力されると(S604)、画像出力動作を実行させる(S605)。また、CPU121は、そのジョブが終了した後に、2次色最大載り量及びC、KステーションSC、SKの前露光光量の設定を、そのジョブを開始する前の画像形成装置100における設定に戻す(S606)。なお、2次色最大載り量及び前露光光量の設定を自動的に戻す制御は、画像形成装置100(CPU121、露光制御装置111、前露光制御装置112など)にプログラムされていてもよいし、プリンタドライバ312にプログラムされていてもよい。
以上のように、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、次のような効果が得られる。本実施例では、プリンタドライバ312からの転写ゴースト抑制モードの設定を画像形成装置100における設定より優先するようにする。つまり、画像形成装置100における設定によらず、一時的にプリンタドライバ312で設定された転写ゴースト抑制モードの設定(通常の設定よりも2次色最大載り量を減少させ、前露光光量を増加する)に自動的に変更させる。そして、そのジョブの終了後には、2次色最大載り量、前露光光量の設定をそのジョブの前の画像形成装置100における設定に自動的に戻す。これにより、複雑な設定のやり直しを行うことなく、他のユーザや画像に転写ゴースト抑制モードの設定が影響することを防止して、転写ゴーストを抑制したいユーザや画像にのみ転写ゴースト抑制モードを適用できる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、Y、M、C、Kの4色のトナー像を形成する画像形成装置を例に説明したが、トナーの色の数や種類はこれに限定されるものではない。例えば、Y、M、Cの3色のトナー像を形成する画像形成装置、Y、M、C、Kに代えて又は加えてこれら以外の色(透明を含む)のトナー像を形成する画像形成装置であっても、本発明は適用できる。この場合でも、上流側のステーションで形成される2次色のトナー像の2次色最大載り量を減少させ、かつ、下流側のステーションの前露光光量を増加させることで、上述の実施例と同様に転写ゴーストを抑制する効果が得られる。
また、上述の実施例では、Y、M、C、Kの順にトナー像を形成する画像形成装置を例として説明したが、形成するトナー像の色の順番はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施例では2次色が一次転写部に搬送されてくるC、Kステーションの前露光光量を増加させる場合を例とした。しかし、例えばY、C、M、Kの順でトナー像が形成される場合は、3番目のMステーション、4番目のKステーションの前露光光量を増加させればよい。
また、上述の実施例では、被転写体として中間転写体を有する中間転写方式を採用した画像形成装置を例として説明したが、本発明は直接転写方式の画像形成装置にも適用することができる。直接転写方式の画像形成装置は、上述の実施例における中間転写体の代わりに、被転写体としての記録材を担持して搬送する記録材担持体を有する。記録材担持体としては、上述の実施例における中間転写ベルトと同様の無端状のベルトで構成された記録材担持ベルトなどが使用される。そして、例えば、各画像形成部の感光体と記録材担持体とが接触する転写部において、上述の実施例における一次転写ローラと同様の転写ローラなどの作用で、各感光体から記録材担持ベルト上の記録材にトナー像が順次に重ね合わせて転写される。その後、記録材は、トナー像が定着された後に、画像形成装置の装置本体から排出される。このような画像形成装置においても、記録材へのトナー像の転写に関して、上述の実施例の場合と同様の転写ゴーストの課題が生じ得る。したがって、このような画像形成装置においても、各画像形成部の動作に関し、上述の実施例と同様の転写ゴースト抑制モードを適用することで、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施例では、画像形成装置へ画像情報と画像出力動作の設定情報を出力する情報端末機器がパーソナルコンピュータである場合を例として説明したが、情報端末機器はこれに限定されるものではない。他の情報端末機器としては、例えば、タブレット型のコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラ、スキャナなどが挙げられる。
また、上述の実施例では、2次色最大載り量、前露光光量の設定は、一例として常温常湿環境の場合の設定であるものとして説明した。画像形成装置では、低温低湿環境、常温常湿環境、高温高湿環境など、環境に応じて各種設定を異ならせることがある。2次色最大載り量、前露光光量についても、環境に応じて設定(通常の設定(基本設定)、転写ゴースト抑制モードの設定を含む)を異ならせることができる。その場合でも、同じ環境下において、転写ゴースト抑制モードでは、通常の設定(基本設定)よりも2次色最大載り量を減少させ、かつ、下流側の画像形成部の前露光光量を増加させればよい。
また、転写ゴースト抑制モードにおいて、基準となる値として現在の設定値よりも2次色最大載り量を減少させ、かつ、下流側の画像形成部の前露光光量を増加させるようにしてもよい。ユーザが一旦出力された画像に生じた転写ゴーストを確認した上で転写ゴースト抑制モードをONにする場合など、調整の基準となる値を現在の設定とすることで好結果が得られる場合がある。2次色最大載り量、前露光光量を、多段階に変更できるようになっていてもよい。
また、上述の実施例では、転写ゴースト抑制モードにおいて、被転写体の移動方向に沿って配置された少なくとも3個の画像形成部における1番目と2番目を除く画像形成部の少なくとも一つである3番目と4番目の画像形成部における前露光光量を増加させた。これは、前述のように、転写ゴーストが下流側の画像形成部において発生する現象であり、また前露光光量を増加させることによって転写ゴーストの他の画像不具合(帯電横スジ)が発生する場合があるからである。しかし、上記他の画像不具合などの不都合が許容し得るレベルである場合、制御の簡易化などのために所望に応じて全ての画像形成部の前露光光量を増加させることも可能である。
また、これまで説明したように、本発明は、タンデム型の画像形成装置において、上流側のステーションで被転写体上に形成された2次色のトナー像によって下流側のステーションで形成される画像に発生する転写ゴーストを抑制するのに非常に有効である。これに対し、斯界にて周知のように、1個の感光体から被転写体(中間転写体又は記録材担持体に担持された記録材)上に繰り返しトナー像を転写して被転写体上に多重トナー像を形成する画像形成装置がある。この画像形成装置においても、被転写体上に担持されて転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が転写部にあり転写手段に電圧が印加されている状態で転写部を通過した感光体の表面を、再度帯電させてトナー像を形成することがある。この場合も、タンデム型の画像形成装置について上述したのと同様の転写ゴーストが、感光体の1周後の画像などに生じ得る。したがって、この画像形成装置においても、先に被転写体上に形成される2次色のトナー像の2次色最大載り量を減少させ、かつ、前露光光量を増加させる転写ゴースト抑制モードを適用することで、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。この場合、転写ゴースト抑制モードでは、3色目以降のトナー像の形成に供される感光体の表面に対する前露光光量のみを増加させることができる。さらに、斯界にて周知のように、1個の感光体上に繰り返しトナー像を形成して感光体上に多重トナー像を形成した後に、それを記録材に一括して転写する画像形成装置がある。この画像形成装置においても、感光体上に担持されて転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が転写部にあり転写手段に電圧が印加されている状態で転写部を通過した感光体の表面を、再度帯電させてトナー像を形成することがある。この場合も、タンデム型の画像形成装置について上述したのと同様の転写ゴーストが、感光体の1周後の画像などに生じ得る。したがって、この画像形成装置においても、先に感光体上に形成される2次色のトナー像の2次色最大載り量を減少させ、かつ、前露光光量を増加させる転写ゴースト抑制モードを適用することで、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施例では、前露光装置は全てのステーションに設置されており、下流側のC、Kステーションの前露光光量を調整する場合について説明した。しかし、上流側のY、Mステーションの前露光装置は、感光ドラムに固有のゴーストの影響が無ければ、必ずしも設置する必要はない。例えば、上述の実施例における画像形成装置の基本構成に即して言えば、Y、Mステーションの前露光装置10Y、10Mが設置されておらず、C、Kステーションの前露光装置10C、10Kが設置されている構成としてもよい。斯かる構成においても、上述の実施例と同様の転写ゴースト抑制モードを適用することで、転写ゴーストを抑制する効果が得られる。
また、上述の実施例では、前露光装置は、複数のLEDを感光ドラムの回転軸方向に整列させたアレイ状光源を有するものであった。しかし、前露光装置の構成はこれに限定されるものではなく、光源と、導波手段としてのライトガイドと、を備えたものなど、利用可能なものを任意に用いることができる。
また、上述の実施例では、転写ゴースト抑制モードにおいて、前露光光量を、0より大きい第1の光量(基本設定など)から、第1の光量よりも大きい第2の光量に変更する場合について説明した。しかし、これに限定されるものではなく、転写ゴースト抑制モードにおいて、前露光光量を、0(基本設定など)から、0よりより大きい光量に変更するようにしてもよい。つまり、照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させることには、0から0より大きい光量に増加させることも含まれる。
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体などとしての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。なお、本発明は、上述の実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが供給されたプログラムコードを読み出して実行することで達成される場合を含む。したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性のメモリなどがある。その他、プログラムの供給方法としては、ホームページからコンピュータプログラム(圧縮された自動インストール機能を有するものも含む)のファイルをハードディスクなどの記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、上述の実施例の機能が実現される他、次のようにしても実現され得る。つまり、コンピュータが読み出したプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても実現される。さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれることがある。この場合、その書き込まれたプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても実現される。
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
7 中間転写ベルト
5 1次転写ローラ
100 画像形成装置
110 プリンタエンジン
120 制御部
200 操作部
300 パーソナルコンピュータ
311 アプリケーションソフトウェア
312 プリンタドライバ
400 画像形成システム

Claims (10)

  1. 回転可能な感光体と、直流電圧が印加されて帯電部において前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電の後に前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されて転写部において前記感光体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写部より下流側かつ前記帯電部より上流側で前記感光体の表面に光を照射する照射手段と、を有し、前記感光体は、前記感光体又は前記被転写体に担持されて前記転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が前記転写部にあり前記転写手段に電圧が印加されている状態で前記転写部を通過した表面に、トナー像が形成される画像形成装置において、
    前記転写部に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段と、
    前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段と、
    画像を出力する際に前記載り量調整手段と前記光量調整手段との両方を動作させることを設定する設定部と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記感光体、前記帯電手段、前記トナー像形成手段、前記転写手段及び前記照射手段を備えた画像形成部を所定の画像形成部としたとき、該所定の画像形成部は、前記被転写体の移動方向に沿って配置され各々電圧が印加される転写手段により感光体から前記被転写体にトナー像を転写させる少なくとも3個の画像形成部のうちの、前記被転写体の移動方向における1番目と2番目の画像形成部を除く画像形成部の少なくとも一つであり、
    前記光量調整手段は、前記少なくとも3個の画像形成部のうち前記所定の画像形成部における前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記2次色のトナー像の最大のトナー載り量の前記基準となる値は、当該画像形成装置の基本設定の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記光量の前記基準となる値は、当該画像形成装置の基本設定の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 画像形成装置と、前記画像形成装置と通信可能に接続された機器においてプリンタドライバにより実行される、前記画像形成装置に画像情報と画像出力動作の設定情報とを供給する制御装置と、を有する画像形成システムであって、
    前記画像形成装置は、回転可能な感光体と、直流電圧が印加されて帯電部において前記感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電の後に前記感光体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、電圧が印加されて転写部において前記感光体から被転写体にトナー像を転写させる転写手段と、前記感光体の回転方向において前記転写部より下流側かつ前記帯電部より上流側で前記感光体の表面に光を照射する照射手段と、を有し、前記感光体は、前記感光体又は前記被転写体に担持されて前記転写部に搬送されてきた2次色のトナー像が前記転写部にあり前記転写手段に電圧が印加されている状態で前記転写部を通過した表面に、トナー像が形成されるものである画像形成システムにおいて、
    前記画像形成装置は、前記転写部に搬送される2次色のトナー像の最大のトナー載り量を基準となる値よりも減少させる載り量調整手段と、前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させる光量調整手段と、を有し、
    前記制御装置は、前記画像形成装置により画像を出力する際に前記載り量調整手段と前記光量調整手段との両方を動作させることを設定する設定部を有することを特徴とする画像形成システム。
  6. 前記感光体、前記帯電手段、前記トナー像形成手段、前記転写手段及び前記照射手段を備えた画像形成部を所定の画像形成部としたとき、該所定の画像形成部は、前記被転写体の移動方向に沿って配置され各々電圧が印加される転写手段により感光体から前記被転写体にトナー像を転写させる少なくとも3個の画像形成部のうちの、前記被転写体の移動方向における1番目と2番目の画像形成部を除く画像形成部の少なくとも一つであり、
    前記光量調整手段は、前記少なくとも3個の画像形成部のうち前記所定の画像形成部における前記照射手段が照射する光の光量を基準となる値よりも増加させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
  7. 前記2次色のトナー像の最大のトナー載り量の前記基準となる値は、当該画像形成装置の基本設定の値であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成システム。
  8. 前記光量の前記基準となる値は、当該画像形成装置の基本設定の値であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像形成システム。
  9. 前記画像形成装置において設定されている前記2次色のトナー像の最大のトナー載り量と前記光量の設定によらず、前記設定部による前記載り量調整手段及び前記光量調整手段を動作させる設定が優先されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の画像形成システム。
  10. 前記設定部による設定により前記載り量調整手段及び前記光量調整手段を動作させて行う画像の出力が終了した後に、前記画像形成装置における前記2次色のトナー像の最大のトナー載り量と前記光量の設定が、前記載り量調整手段及び前記光量調整手段を動作させる前に前記画像形成装置において設定されていた設定に戻されることを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の画像形成システム。
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