以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の要部構成例を示す概略図である。図1において、100は、複写機、レーザプリンタ、デジタル複合機等の電子写真式を採用した画像形成装置である。なお、図1では、画像形成装置100の主な構成要素を中心に模式化して示している。
画像形成装置100は、ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer )等の各種端末装置から送信される画像データ、スキャナ等の原稿読取装置によって読み取られた画像データ等の画像データに基づく画像を、画像形成媒体上に形成する機能を有している。画像形成装置100による画像形成は、静電潜像担持体に画像データに基づく静電潜像を形成して、現像剤を供給することにより静電潜像を現像し、用紙P等の画像形成媒体に転写して画像を形成することにより行われる。
以降の説明においては、画像形成に際し、現像剤としてトナーのみからなる一成分現像剤を用いる非磁性一成分現像方式に適用した例を説明するが、現像方式はこれに限るものではない。例えば、トナー及びキャリアを有する二成分系の現像剤を用いる現像方式であっても良い。また、カラー画像を形成する画像形成装置100について例示するが、モノクロ画像の専用機に適用することも可能である。
画像形成装置100は、用紙Pを供給する供給部20と、供給された用紙Pを搬送する搬送部30と、搬送される用紙Pに画像データに基づくトナー画像を転写して画像を形成する画像形成部40と、形成された画像を用紙Pに定着させる定着部50とを備えている。
供給部20は、用紙Pを供給する供給トレイを備え、供給トレイに載置された用紙Pを搬送部30に供給する。
搬送部30は、駆動ローラ31と、従動ローラ32と、搬送ベルト33とを備え、無端状の搬送ベルト33が駆動ローラ31と従動ローラ32との間に張架された構成となっている。そして、駆動ローラ31が回転することにより、図1中矢印Zで示す方向に搬送ベルト33を動作させ、供給部20から供給された用紙Pを画像形成部40を介して定着部50へ搬送する。搬送過程において、用紙Pには、画像形成部40による画像が形成される。
画像形成部40は、イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用及び黒色画像用の画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bを有し、搬送される用紙P上に、画像データに基づく各色の画像を転写する。なお、画像形成部40の詳細については、後述する。
定着部50は、加熱ローラ51及び加圧ローラ52を備え、これらが当接する定着ニップ部にて、搬送部30により搬送される用紙Pを受け付ける。そして、定着ニップ部にて、用紙Pに転写されている画像に対し、熱圧着することにより、用紙Pに画像を定着させる。
次に、画像形成部40について詳述する。画像形成部40において、各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bは、供給部20から定着部50へ、イエロー画像形成ステーション40Y、マゼンタ画像形成ステーション40M、シアン画像形成ステーション40C、そして黒色画像形成ステーション40Bの順で配置されている。即ち、画像形成装置100は、連設された画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bにより、用紙P上に夫々の色の画像を転写するタンデム方式となっている。そして、各色の画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bは、各色に対応する画像データに基づいて、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒色のトナー画像を形成して、用紙P上に転写する。
これら各色の画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bは、トナーの種類以外は、実質的に同一の構成を有している。そこで、図1における各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bが備える構成部品に対する参照符号については、イエロー画像形成ステーション40Yのみについて記載している。そして、他の各画像形成ステーション40M、40C、40Bの構成部品に対する参照符号については、イエロー画像形成ステーション40Yを参照するものとし、その記載を省略する。
なお、本実施形態の画像形成ステーション部40では、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒色の4色の画像を形成する構成について説明しているが、特にこれら4色に限定するものではない。例えば、シアン及びマゼンタと同一の色相で濃度がより低いライトシアン(LC)及びライトマゼンタ(LM)を加えた6色のトナー画像を形成する構成であっても良い。
各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bは、夫々表面に静電潜像が形成される静電潜像担持体として感光体41を備えている。各感光体41は略円柱のドラム形状をなし、回転自在に軸支されており、図示しない駆動手段及び制御手段によって、図中矢印Rで示す所定方向に回転駆動されるように制御されている。また、各感光体41は、円柱の側面、即ち周方向の表面にOPC(Organic Photoconductor;有機光導電体)等の感光性材料を有している。
各感光体41は、搬送部30により搬送される用紙Pに対してトナー像を転写すべく、搬送ベルト33の上方に、搬送方向と回転軸の軸方向とが直角をなすように配置されている。また、各感光体41の周囲には、周方向に沿って、帯電装置42、露光装置43、現像装置1、転写ローラ44及びクリーニング装置45が夫々配置されている。
帯電装置42は、感光体41の周方向の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、感光体41の上方でその外周面に近接して配置されている。なお、本実施の形態では、接触型のローラ方式の帯電ローラを使用する形態を説明するが、チャージャー型、ブラシ方式、イオン放出帯電方式等の他の方式の帯電装置を用いるようにしても良い。
露光装置43は、感光体41の回転方向における帯電装置42の下流側に、感光体41の外周面に近接して配置されている。露光装置43は、図示しない画像処理部から出力された画像データに基づいて、帯電装置42にて帯電された感光体41の周方向の表面に、レーザ光を照射して露光することにより、感光体41の表面に画像データに応じた静電潜像を書き込む機能を有する。
なお、各露光装置43は、各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bに応じて、イエロー、マゼンタ、シアン又は黒色に夫々対応する画像データが入力されることにより、対応する色に応じた静電潜像をそれぞれ形成する。露光装置43としては、レーザ照射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)、EL、LED等の発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(例えば、書込みヘッド)等の装置を使用することができる。
現像装置1は、感光体41の回転方向における露光装置43の下流側に、感光体41の外周面に近接して配置されている。現像装置1は、現像剤であるトナーを担持する現像剤担持体として現像ローラ10を有し、現像ローラ10を回転自在に軸支している。現像ローラ10は、感光体41と近接するように配置されており、感光体41と近接する領域は、担持しているトナーを感光体41へ供給する現像領域となる。現像ローラ10は、図示しない駆動手段及び制御手段により回転することで、担持しているトナーを現像領域へ搬送し、感光体41へ供給する。現像装置1が感光体41へトナーを供給することにより、露光装置43によって感光体41表面に形成された静電潜像を現像してトナー像(可視像)を形成する。
なお、各現像装置1には、各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bの画像形成に応じて、イエロー、マゼンタ、シアン又は黒色のトナーが収容されている。これらのトナーは、帯電した感光体41の表面電位と同極性に帯電したトナーを含んでいる。感光体41の表面電位の極性及び使用するトナーの帯電極性は、正負を問わないが、本実施の形態では負極性(マイナス)であるものとして以降の説明を行う。
転写ローラ44は、搬送ベルト33の下方に配置され、搬送ベルト33を介して感光体41と対向している。転写ローラ44は、感光体41上に形成されたトナー像を、搬送ベルト33にて搬送される用紙Pの表面に転写する機能を有し、トナーの帯電極性とは、逆の極性、即ち本実施の形態では正極性(プラス)のバイアス電圧が印加される。
クリーニング装置45は、感光体41の回転方向における転写ローラ44の下流側に、感光体41の外周面に近接して配置されている。クリーニング装置45は、用紙Pへのトナー画像転写後に、感光体41の外周面上に残存しているトナーの除去及び回収を行う機能を有する。
このように構成された画像形成装置100では、搬送部30により搬送される用紙Pに対し、各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bを通過する際に、各色のトナー像が順次用紙Pに転写される。これにより、各色のトナー像が用紙P上に重畳して転写され、用紙P上に所望のフルカラーのトナー像が形成される。こうしてトナー像が転写された用紙Pは、定着部50によってトナー像の定着処理が行われた後に、図示しない排紙トレイに送出される。
次に、現像装置1の構成例について具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る現像装置1の構成例を示す概略図である。画像形成部40の各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bが備える現像装置1は、前述の現像ローラ10の他、供給ローラ11、層規制部材12、電位差付与手段13、可変電位差付与手段14、電位差変更手段15、動作状況取得手段16及び計時手段17を備えている。
現像装置1は、内蔵する現像ローラ10と感光体41とが現像領域を介して近接するように配置される。現像ローラ10から感光体41へトナーを供給する現像領域は、現像ギャップと呼ばれる空隙であり、図示しないギャップ保持材により150〜500μmに保持されている。現像ローラ10は、矢印R10で示すように図2に向かって左回りに回転し、矢印Rで示すように右回りに回転する感光体41へ、担持しているトナーを供給する。現像ローラ10は、表面粗Raが0.3〜0.6μm程度のアルミニウム等の材質にて形成されている。
供給ローラ11は、円柱状をなし、中心軸に位置する回転軸部にて回転自在に軸支されており、矢印R11にて示すように図2に向かって左回りに回転し、トナーを現像ローラ10へ供給する。供給ローラ11と現像ローラ10とが接触するニップ部では、両方のローラから押圧されており、ニップ部において供給ローラ11から現像ローラ10へトナーの供給が行われる。供給ローラ11は、回転軸部となる金属シャフトの周囲に円柱状に形成されたポリウレタン発泡フォームを用いて構成されているため、ニップ部では、0.2〜1.0mmの食い込みが発生する。なお、供給ローラ11に対しては、現像装置1が備えるトナー槽内を撹拌し、かつ撹拌したトナーを搬送する撹拌ローラによりトナーが供給される。
供給ローラ11から現像ローラ10へ供給されたトナーは、現像ローラ10の表面にトナー層を形成する。層規制部材12は、現像ローラ10の表面に形成されたトナー層の層厚を一定に規制する機能を有している。
図3は、本発明の実施の形態1に係る現像装置1が備える層規制部材12の構成例を示す概略図である。図3は、図2に示された現像ローラ10及び層規制部材12を拡大して示したものである。層規制部材12は、細長い簿板状をなす導電性支持部材12aと、板状をなし、弾性を有する絶縁性材料で形成される弾性部材12bとを備えている。導電性支持部材12aは、一端を現像装置1の筐体に固定され、他端に弾性部材12bを固着している。弾性部材12bは、一方の面で導電性支持部材12aに支持され、他方の面で現像ローラ10に担持されたトナーに接する。導電性支持部材12aは、例えば、厚さ0.08〜0.20mm程度のリン青銅、SUS等の金属を用いて形成される簿板である。弾性部材12bは、厚さ1〜2mm程度のウレタン等の弾性ゴムを用いて板状に形成される。なお、弾性部材12bは、現像ローラ10との最近接位置より、現像ローラ10の回転方向の下流側で厚みが大きくなるように成型されている。
図3に示すように、弾性部材12bは、現像ローラ10との最近接位置であるニップ部より、現像ローラ10の回転方向の下流側で厚みが大きくなっている。このような形状に成型することで、後述するように、現像ローラ10と、層規制部材12の導電性支持部材12aとの間で電位差が生じるような電圧を印加した場合に、ニップ部より下流側で現像ローラ10と弾性部材12b表面との電位差が小さくなる。これにより、下流側でのトナー溜まりの発生を抑制し、トナーの均一性を維持することが可能となる。
また、弾性部材12bを絶縁性材料を用いて形成することにより、導電性材料を用いて形成した場合と比べ、トナーを電気的に引き付ける力が弱くなる。よって、層規制部材12へのトナーの融着を抑制することが可能となる。
図2に戻り、電位差付与手段13は、現像ローラ10及び供給ローラ11並びに層規制部材12の導電性支持部材12aに対し、感光体41等の他の部材との間で電位差Vdを付与するバイアス電源である。電位差付与手段13は、電圧を印加する電源及びその付属回路、又は外部から印加される電圧を制御する回路にて構成される。なお、図2の例では、現像ローラ10及び供給ローラ11には同電位が印加されているが、現像ローラ10及び供給ローラ11間で一定電位差を設けるようにしても良い。供給ローラ11側にマイナスの電位を加えると、負帯電のトナーは現像ローラ10側へ移行しやすくなるため、供給ローラ11から現像ローラ10へのトナーの供給量を多くする効果がある。一方、供給ローラ11側にプラスの電位を加えると、負帯電のトナーは現像ローラ10から供給ローラ11側へ移行しやすくなるので、現像ローラ11からのトナーの引き剥がしが増える。供給ローラ11のトナー引き剥がし能力が不足し画像にゴーストが現れるような場合には、ゴースト低減に効果がある。
可変電位差付与手段14は、現像ローラ10及び供給ローラ11と、層規制部材12の導電性支持部材12aとの間で電位差ΔVbを生じさせる機能を有し、電圧を印加する電源及びその付属回路、又は外部から印加される電圧を制御する回路にて構成される。なお、可変電位差付与手段14により与えられる電位差は、一定ではなく可変である。
電位差変更手段15は、可変電位差付与手段14により印加する電圧を変更させる回路、プログラム等の機構である。電位差変更手段15は、動作状況取得手段16から得られる画像の形成状況、形成枚数、トナーの規制回数等の動作状況、計時手段17から得られる各種経過時間等の情報に基づいて、可変電位差付与手段14により与える電位差を変更する。
なお、電位差付与手段13、可変電位差付与手段14、電位差変更手段15、動作状況取得手段16及び計時手段17は、各画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bに夫々設けるようにしてもよいが、全ての画像形成ステーション40Y、40M、40C、40Bに共通して用いられる一の回路、プログラム等の機構として設ける様にしても良い。また、共通して用いられる一の機構として実装する場合、現像装置1の筐体内に組み込むのではなく、画像形成装置100内で現像装置1の筐体外に配置するようにしても良い。また、例えば、動作状況を現像装置1の筐体外に配置された機構で検出する場合、現像装置1の筐体内に組み込まれ、検出された動作状況又はこれに基づく命令を受信する機構を動作状況取得手段16等の機構とみなすようにしても良い。
このように構成された現像装置1では、供給ローラ11により搬送されたトナーがニップ部で現像ローラ10と摺擦され、これによりトナーが現像ローラ10へ汲み上げられトナー層が形成される。現像ローラ10上に形成されたトナー層は、層規制部材12の弾性部材12bを通過する際に、層規制部材12の導電性支持部材12aを通して与えられる圧力により、層厚が規制されると共に、再度帯電することになる。層規制部材12の弾性部材12bを通過したトナーは、現像ローラ10に印加された電圧と、感光体41上の潜像電位とに応じて感光体41に現像が行われ、感光体41表面の静電潜像を可視化する。
ここで、本願発明により解決すべき課題の一つであるトナーのすり抜けによるトナー層のスジについて説明する。この現象は、層規制部材へのトナー融着とは全く異なる現象である。なお、当該説明は、本願発明とは異なるものであるが、便宜上、本願発明と同様の構成については、同一の符号を付すものとする。但し、あくまでも便宜のための符号であり、本願発明においてトナー層のスジが発生することを示すものではない。
図4は、現像ローラ10上のトナー層が層規制部材12により層厚が規制される領域を示す模式図である。図4では、簡略的に三層のトナー層が存在している状態を描いている。層規制部材12からは、現像ローラ10側に一定の圧力Fcが加えられている。また、現像ローラ10には、表面に凹凸が形成されており、下層のトナーを、回転方向R10に沿って移動させる力Frが加わっている。トナーの流動性が非常に良く、トナー間に働く力がゼロとみなせる場合、現像ローラ10に接する最下層のトナーだけが現像ローラ10からの力Frによって運ばれることになる。そして、層規制部材12に接する最上層のトナーは、層規制部材12との摩擦力によって層規制部材12から離れない状態となる。従って、トナーのすり抜けは発生しない。
ただし、実際には、トナー間の力がゼロという状態はあり得ず、ある程度の力が働くため、現像ローラ10に接する最下層のトナーと中間層のトナーとが現像ローラ10の回転に伴って層規制部材12を通り抜けていく。トナーが劣化すると、トナーに添着している外添剤がトナーから剥がれ落ちたり、トナー内部に埋没したりするという現象が発生する。このような現象が発生すると、トナー間の力は非常に大きくなる。このため、最下層のトナーが中間層のトナーを引っ張り、中間層のトナーが最上層のトナーを引っ張る。最上層のトナーが層規制部材12との間に働く摩擦力を越えた場合、最上層のトナーのすり抜けが発生する。
図5は、すり抜けが発生した状況を示す説明図である。図5上段の図は、層規制部材12においてトナー層と接する面を示している。図5上段に記載の層規制部材12は、上側が上流側であり、下側が下流側である。図5下段は、層規制部材12から現像ローラ10に加える圧力Fc(以下、ブレード圧と示す)の分布をグラフとして示している。なお、図5下段のグラフは、横軸が図5上段に示す層規制部材12の横方向の位置と対応している。図5上段において矢印は、層規制部材12をすり抜けるトナーの移動方向を示しており、特に斜線で示す矢印は、トナーがすり抜けるすり抜け部となる領域におけるトナーの移動方向を示している。
図5上段に示す最上層のトナーがすり抜けるすり抜け部近辺では、図5下段に示すようにブレード圧が低下している。また、すり抜け部でブレード圧が低下すると、接触面積が減少するため、図5上段の横方向として示す両端のブレード圧が上昇する。ブレード圧が低い部分はトナー層が厚くなり、ブレード圧が高い部分はトナー層が薄くなる。このような圧力状態は常態化し易いため、トナー層のスジが一度発生すると、消えずに残ることになる。このような現象を抑制するためには、ブレード圧を上げることが有効である。しかしながら、ブレード圧を上げると、トナーにかかるストレスを上げることにもなり、トナーの劣化が進むため、トナーの流動性を急激に悪化させると共に、帯電量も低下するという他の問題をも引き起こす。
本願発明では、トナーの劣化状態に応じて、層規制部材12の導電性支持部材12aに電圧を印加していくことにより、この様な問題をも解決する。図6は、本発明の実施の形態1に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図6は、横軸に画像形成枚数をとり、縦軸に印加電圧の変化をとって、その関係を示したものである。なお、縦軸に示した印加電圧の変化とは、可変電位差付与手段14にて付与される電位差の変化であり、画像形成開始時の値をゼロとする任意単位(a.u.)の電位差ΔVとして示している。図6に示すように画像形成枚数の増加に従って、電位差ΔVを大きくすることにより、層規制部材12及び導電性支持部材12aの間の電位差も大きくなる。このように設定することにより、画像形成枚数の増加に従ってトナーが劣化し、流動性が悪化した場合でも、層規制部材12側にトナーを引き付ける引力が増大するため、ブレード圧を上げずとも層規制部材12による摩擦力が高まり、トナーのすり抜けを抑制することができる。
現像装置1は、動作状況取得手段16により、画像形成枚数を取得する。そして、現像装置1は、取得した画像形成枚数をトナーの劣化状態を示す指標とし、取得した画像形成枚数に基づく電位差変更手段15の制御により、可変電位差付与手段14を制御して、電位差ΔVを変更する。このような制御により、図6に示す画像形成枚数とするトナーの劣化状態に応じた印加電圧の制御が可能となり、トナーのすり抜けを抑制することができる。
しかしながら、層規制部材12及び現像ローラ10間の電位差が大きくなり過ぎると、層規制部材12にトナーが付着する方向に電界がかかるので、特定のトナーが層規制部材12に付着し続け、層規制部材12へのトナーの融着を誘発しやすくなる。層規制部材12にトナーが融着した箇所は、トナーが層規制部材12の下を通りにくくなり、トナー層にスジとなって現れる。トナー層のスジは画像の白スジとなり、画像欠陥になる。そこで、図6を用いて示したようにトナーの劣化状態に応じて電位差を変更すると共に、画像形成を契機とする所定期間の間にも電位差を変更する処理を実施する。
図7は、本発明の実施の形態1に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図7は、横軸に時間をとり、縦軸に印加電圧の変化をとって、その関係を示したものである。なお、縦軸に示した印加電圧の変化とは、可変電位差付与手段14にて付与される変更可能な電位差ΔVbである。図7中T1として示した期間が、用紙P等の画像形成媒体上に画像形成を行っている期間を示している。従って、図7中T1として示した期間の電位差は一定ではなく、図6にて示したようにトナーの劣化状態に応じて変化している。ただし、その変化の程度は、図7に示した電位差ΔVbの変化に比して小さいため、図7のように示している。
図7に示すように、実施の形態1では、電位差が定期的に変化し、かつ電位差の正負が定期的に反転している。なお、反転の前後で電位差の絶対値は必ずしも同じでなくても良い。画像形成開始前は、電位差付与手段13による電位差Vdは、ゼロとして設定されており、T1として示す画像形成期間中に正の電位差が与えられる。なお、前述のように、期間T1の電位差ΔVは、図6にて示したように画像形成枚数を指標とするトナーの劣化状態に応じて変化する。画像形成後は、図7中T2として示す一定期間だけ、逆バイアスとなる負の電位差が与えられ、層規制部材12と帯電したトナーとの間に斥力を発生させる。この期間にも現像ローラ10は回転しているため、層規制部材12に付着していたトナーは引き離され、層規制部材12に対向する位置のトナーを新たなトナーに置換することができる。これにより、層規制部材12へのトナーの融着を防止し、画像欠陥の発生を抑制することができる。
現像装置1は、動作状況取得手段16及び計時手段17により、画像形成状況及び経過時間を取得する。そして、現像装置1は、取得した画像形成状況及び時間に基づく電位差変更手段15の制御により、可変電位差付与手段14を制御して、画像形成後の所定期間の間の電位差の正負が反転するように電位差ΔVbを変更する。このような制御により、図7に示す画像形成状況に応じた印加電圧の制御が可能となり、トナーの融着を防止して画像欠陥の発生を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、印加する電圧を反転させずに、画像形成を契機として電圧を変更する形態である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、実施の形態1と同様の符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。実施の形態2における主な構成要素は実施の形態1と同様であるので、実施の形態1にて示した図1乃至図3及びその説明を参照するものとし、その説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図8は、横軸に時間をとり、縦軸に印加電圧の変化をとって、その関係を示したものである。実施の形態1では、逆方向の電圧を印加しているが、トナーの流動性が悪化している場合には、逆方向となるまで電位差を変更する必要がない場合もある。実施の形態2はこのような状況に対応させるものであり、図8に示すように、画像形成後のT2として示した一定期間に、画像形成中のT1として示した期間と異なる電位差を与えるものである。
現像装置1は、動作状況取得手段16及び計時手段17により、画像形成状況及び経過時間を取得する。そして、現像装置1は、取得した画像形成状況及び時間に基づく電位差変更手段15の制御により、可変電位差付与手段14を制御して、画像形成後の所定期間の間の電位差ΔVbを変更する。このような制御により、図8に示す画像形成状況に応じた印加電圧の制御が可能となり、トナーの流動性が悪化しているような状況下において、トナーの融着を防止して画像欠陥の発生を抑制することができる。
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1において、平均ブレード通過回数に基づいて電位差を変更する形態である。なお、実施の形態1と同様の構成については、実施の形態1と同様の符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。実施の形態3における主な構成要素は、実施の形態1と同様であるので、実施の形態1にて示した図1乃至図3及びその説明を参照するものとし、その説明を省略する。
図9は、本発明の実施の形態3に係る現像装置1において、画像形成枚数と平均ブレード通過回数との関係を示すグラフである。図9は、横軸に処理枚数をとり、縦軸に平均ブレード通過回数をとって、その関係を示したものである。処理枚数とは、画像を形成した画像形成媒体である用紙Pの枚数を示す。平均ブレード通過回数とは、現像装置1内に貯留されるトナーが層規制部材12を平均的に何回通過したかを示す指標である。図9では、継続的なトナー補給を行わないシステムにおいて、100gのトナーを用い、用紙Pの画像形成面に対して形成した画像面積の割合を示す印字率を、1%、3%、5%、10%とした場合の処理枚数と平均ブレード通過回数との関係を示している。なお、層規制部材12を通過した後のトナー量を0.55mg/cm2、ベタ印字の際のトナー消費量を0.5mg/cm2、用紙Pの画像形成面を210mm×297mmとして計算している。
平均ブレード通過回数は、トナーの流動性変化と相関性があることから、図9に示すようなトナー補給を行わないシステムでは、平均ブレード通過回数をトナーの劣化を示す指標として用いることができる。そして、図9に示すように平均ブレード通過回数は、処理枚数及び印字率から求めることができる。
図10A及び図10Bは、本発明の実施の形態3に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図10A及び図10Bでは、横軸に平均ブレード通過回数をとり、縦軸に印加電圧の変化をとって、その関係を示したものである。なお、縦軸に示した印加電圧の変化とは、可変電位差付与手段14にて付与される電位差の変化であり、平均ブレード通過回数の導出開始時の値をゼロとする任意単位(a.u.)の電位差ΔVとして示している。実施の形態3では、平均ブレード通過回数を求め、求めた平均ブレード通過回数に応じて、変更可能な電位差ΔVを大きくしている。なお、図10Aに示すように、電位差ΔVを平均ブレード通過回数の増加に比例して大きくしても良く、また、図10Bに示すように初期の変化を小さくし、回数が増加するにつれて増加率を大きくするようにしても良い。平均ブレード通過回数は、画像形成時にのみ上昇するため、図10A及び図10Bにて示した電位差ΔVの変化は、実施の形態1にて図7を用いて示した画像形成を行っている期間T1における変化となる。
現像装置1では、動作状況取得手段16により、画像形成状況を取得し、取得した画像形成状況に基づいて平均ブレード通過回数を求める。そして、現像装置1は、求めた平均ブレード通過回数をトナーの劣化状態を示す指標とし、平均ブレード通過回数に基づく電位差変更手段15の制御により、可変電位差付与手段14を制御して、電位差ΔVを変更する。このような制御により、図7に示す画像形成状況に応じた印加電圧の制御が可能となり、トナーの融着を防止して画像欠陥の発生を抑制することができる。
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態1とは異なる契機で電位差を変更する形態である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、実施の形態1と同様の符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。実施の形態4における主な構成要素は実施の形態1と同様であるので、実施の形態1にて示した図1乃至図3及びその説明を参照するものとし、その説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態4に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図11は、横軸に時間をとり、縦軸に印加電圧の変化をとって、その関係を示したものである。なお、縦軸に示した印加電圧の変化とは、可変電位差付与手段14にて付与される変更可能な電位差ΔVbである。図11中T1として示した期間が、用紙P等の画像形成媒体上に画像形成を行っている期間を示している。なお、期間T1の電位差は一定ではなく、実施の形態1の図6並びに実施の形態3の図10A及び図10Bで示したようにトナーの劣化状態に応じて変化している。ただし、その変化の程度は、図11にて示した電位差ΔVbの変化に比して小さいため、図11のように示している。
図11に示すように、実施の形態4では、画像形成を契機として、電位差が定期的に変化し、かつ電位差の正負が反転している。なお、反転の前後で電位差の絶対値は必ずしも同じでなくても良い。画像形成開始前は、電位差付与手段13による電位差Vdは、ゼロとして設定されており、T1として示す画像形成中に正の電位差が与えられる。なお、前述のように、期間T1の電位差ΔVはトナーの劣化状態に応じて変化する。画像形成媒体上への画像形成を行ってから次の画像形成媒体上への画像形成を行うまでの期間、所謂、紙間T3の間、逆バイアスとなる負の電位差が与えられ、層規制部材12と帯電したトナーとの間に斥力を発生させる。
画像形成終了を契機として電位差を変更する場合、連続した画像形成が長く続いた場合、一定電位状態が続くことになるため、特定のトナーが層規制部材12に付着し続けることになり、トナー融着を引き起こす可能性がある。紙間T3で電位差を変更する場合には、連続した画像形成を行う場合でも毎回電位差を変更することになるので、連続状況に関わらず安定して斥力を発生させることができ、層規制部材12へのトナーの融着を防止し、画像欠陥の発生を抑制することができる。
図12は、本発明の実施の形態4に係る現像装置1が備える層規制部材12により与えられる電位差の変化を示すグラフである。図12は、図11に示すような電位差の制御において、紙間T3だけでなく、画像形成の終了後の一定期間T4においても電位差を変更する形態である。図12に示すような制御をした場合でも、図11に示す制御を行った場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
現像装置1は、動作状況取得手段16により、画像形成状況を取得し、取得した画像形成状況に基づく電位差変更手段15の制御により、可変電位差付与手段14を制御して、電位差ΔVbを変更する。このような制御により、図11又は図12に示す画像形成状況に応じた印加電圧の制御が可能となり、トナーの融着を防止して画像欠陥の発生を抑制することができる。
前記実施の形態1乃至4は、本願の無数に存在する形態の一部を例示したに過ぎず、各種部材の構成、材料選択、制御の条件等の設定は、目的用途等に応じて適宜設計することが可能である。また、前記実施の形態1乃至4を夫々単独で実行するのではなく、適宜組み合わせることも可能である。