JP2016224314A - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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【課題】酸性ガスによって変質しやすい材料種を電子写真感光体最表面に含有する場合であっても、長期に亘って優れた特性を維持する表面層を備え、長期の使用による酸化劣化が極めて少なく、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥の少ない、長期に亘って優れた画像品質を維持する電子写真感光体を提供する。【解決手段】 導電性支持体21上に感光層23、24及び表面層25をこの順に有する電子写真感光体であって、前記表面層25は無機微粒子を含有し、前記電子写真感光体をNO2濃度20ppmの雰囲気中に24時間静置した後の前記電子写真感光体のNO2吸着量が0.25μl/cm3以下である。【選択図】図1

Description

本発明は電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、オフィスの省スペース化、ビジネスオポチュニティの拡大等の観点から、電子写真装置に対して、高速化、小型化、カラー化、さらには、高画質化、易メンテナンス性が望まれている。これらは、電子写真感光体の特性の向上、耐久性の向上等が関係していることから、電子写真感光体の開発により解決すべき問題と位置付けられている。易メンテナンス性の向上の観点からは、電子写真感光体の交換頻度の低減が挙げられる。これは、電子写真感光体由来の画像欠陥を、長期に亘って可能な限り少なくすることであり、電子写真感光体の長寿命化に他ならない。また、長期に亘る出力画像の高画質化にも関連するため、近年、電子写真感光体の長寿命化に関する開発が多く報告されている。
電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、画像形成工程から電子写真感光体が受ける種々のハザードに対する耐久性の向上が重要な課題となる。ここで言うところのハザードとしては、大きくは機械的ハザード、化学的ハザードの二種類に大別できる。
機械的ハザードの一例としては、画像形成工程の転写後に電子写真感光体上に残留するトナーを除去(所謂トナークリーニング工程)する手段の一つであるブレードクリーニング由来のものが挙げられる。ブレードクリーニングとは、電子写真感光体上に弾性部材(所謂クリーニングブレード)を当接することにより、強制的に電子写真感光体上からトナーを除去する手段であり、少ないスペースで大きなトナー除去能力を有するため、電子写真装置の小型化には非常に有効である。しかしながら、その一方で電子写真感光体に直接弾性部材を当接し、摺擦させるため、電子写真感光体への機械的なストレスが非常に大きく、電子写真感光体の最表面に配置された層が摩耗しやすいと言ったデメリットが指摘されている。このため、本クリーニング方式を適用した電子写真装置においては、電子写真感光体の摩耗が長寿命化に対する課題となることが多く、この課題に対しては、高硬度保護層を積層する技術が提案されている(特許文献1〜5参照)。
次に化学的ハザードについて説明する。通常の画像形成工程においては、電子写真感光体表面に電荷を付与し、所定の電位まで帯電した後に、電子写真感光体への露光によって感光体を経由して表面に付与した電荷を除去する。この際に電子写真感光体の各層(たとえば表面層・電荷発生層・電荷輸送層・中間層)を電荷が通過することによって、電子写真感光体に静電ストレスが負荷される。現在、広く普及している電子写真感光体は、有機材料からなるものが大部分を占めており、繰り返し帯電、除電を繰り返すような現在の電子写真工程に於いては、電子写真感光体を構成する有機材料が静電ハザードによって徐々に変質し、層中での電荷トラップの発生や、帯電性・光減衰性等の変化に挙げられるような電子写真特性の低下が生じる。
また、帯電工程で電子写真感光体表面に電荷を付与する際に、帯電器近傍でオゾン、窒素酸化物などの酸性ガスが発生することが知られており(非特許文献1)、電子写真感光体はこれら酸性ガスに曝される。電子写真感光体の多くには正孔輸送性材料や、電子輸送性材料といった電荷輸送性材料を含有しており、これらの材料の電子供与性・受容性や感光層中の含有量によって電子写真感光体の電荷輸送機能が決定する。しかしながら、これらの材料の多くは酸性ガスによって変質しやすい性質を有する(非特許文献2)ことが知られており、前述のような帯電工程において発生した酸性ガスによって電荷輸送性材料が酸化劣化を起こし、電荷輸送機能等の感光体特性が変化する。酸性ガスによる各種材料の劣化は電子写真感光体の最表層のみで生じることが多く、短寿命の電子写真感光体を用いる場合には、前記機械的ハザードによって最表面が当接部材およびトナーによって摩耗されながら使用されることが多いことから、劣化した材料成分も摩耗によって除去され、感光体表面に留まることは少ないことが多い。このため、短寿命の電子写真感光体においては、酸性ガスにさらされた場合であっても大きな電子写真感光体の特性低下は引き起こしにくいが、長寿命の電子写真感光体を用いる場合には、当接部材およびトナーによる最表面の摩耗量が少ないことが多く、酸性ガスによる劣化成分が電子写真感光体表面に留まりやすく、酸性ガスの影響が比較的内部まで至る場合も散見される。そのため、多くの劣化成分を電子写真感光体内部に有することとなるため、前記のような電子写真感光体の特性低下は大きくなる。結果として出力画像の画質への影響が大きく、画像濃度の低下、地汚れ、連続出力時の画像の均質性等の重大な問題を引き起こすことが知られている。
このような化学的ハザードに対する電子写真感光体の耐性向上に対しては、電荷輸送層や表面層に酸化防止剤を添加し、電子写真感光体の特性決定に大きな寄与を有する構成成分の劣化を抑制する技術が公開されている(特許文献8)。また、電荷輸送層や表面層の内部に至るまでの酸性ガスの浸透を抑制し、酸化劣化する構成成分を表面の一部とするために、これらの層のガス透過性を低減する技術が公開されている(特許文献9、10)。さらに、電子写真感光体自体の酸化劣化を電子写真システムで抑制する技術として、たとえば帯電工程として放電生成物の発生が少ない帯電技術が公開されている(特許文献6、7)。この帯電方式を画像形成工程における帯電工程に適用することによって、放電生成物によって引き起こされる電子写真感光体の特性低下を抑制することが可能である。
しかしながら、これらの技術を用いた場合であっても、酸化劣化を生じる構成成分を電子写真感光体内部に比較的多量に有しているため本質的な改善とはならず、長期の使用に適用した場合には電荷輸送性材料に代表されるような酸化劣化されやすい構成成分が徐々に変質することによって、電子写真感光体の特性変化が引き起こされ、長期に亘って画像品質を維持できないといった課題を有していた。特に電子写真感光体の最表面に無機微粒子を含有するような高耐久感光体においては酸化劣化による画像品質低下が生じやすく、本課題を解決する技術は強く望まれているのが現状である。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、酸性ガスによって変質しやすい材料種を電子写真感光体最表面に含有する場合であっても、長期に亘って優れた特性を維持する表面層を備え、長期の使用による酸化劣化が極めて少なく、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥の少ない、長期に亘って優れた画像品質を維持する電子写真感光体を提供することを目的とする。
上記課題は、次の発明によって解決される。
導電性支持体と、前記導電性支持体上に感光層及び表面層をこの順に有する電子写真感光体であって、前記表面層は無機微粒子を含有し、前記電子写真感光体をNO濃度20ppmの雰囲気中に24時間静置した後の前記電子写真感光体のNO吸着量が0.25μl/cm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
本発明によれば、酸性ガスによって変質しやすい材料種を電子写真感光体最表面に含有する場合であっても、長期に亘って優れた特性を維持する表面層を備え、長期の使用による酸化劣化が極めて少なく、画像形成装置の出力画質に関わる欠陥の少ない、長期に亘って優れた画像品質を維持する電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体の一例を説明するための断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 本発明の電子写真感光体の別の例を説明するための断面図である。 本発明の画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を説明するための概略図である。
電子写真感光体の長寿命化を達成するためには、前述の通り作像における各工程から受ける種々のハザードに対して耐久性を付与することが重要となる。特に電子写真感光体表面に残留したトナーを除去するためのクリーニング工程や現像部での摺擦等で負荷される機械的ハザード、および帯電工程や転写工程から受ける化学的ハザードの二つのハザードが感光体に大きなストレスを与え、感光体の特性変化を引き起こし、感光体の長寿命化に対する阻害要因であると考えられている。
このうち、本発明においては電子写真感光体の感光層最表面に無機微粒子を含有した場合にも化学的ハザードに対する耐久性向上を主効果として発現するものであり、長寿命電子写真感光体の構成を具有するものであっても長期に亘って電子写真感光体表面近傍の構成成分の変質、劣化を抑制し、電子写真感光体特性の低下が生じにくい技術に関するものである。
繰り返し使用による電子写真感光体の特性低下は、前述の通り電子写真工程内での電気的・化学的ハザードによる構成成分の劣化が主要因と考えられる。特に、電子写真感光体の帯電性・電荷輸送性に大きな寄与を有する構成成分の劣化が生じた場合に、著しい電子写真感光体の特性低下が生じることが予想されることから、これらの特性に寄与の大きな構成成分が静電的、化学的に安定であることが、電子写真感光体の特性低下抑制には重要となる。
一般に電子写真感光体の帯電性・電荷輸送性に大きな寄与を有する材料としては電荷輸送材料があげられる。多くの電子写真感光体の特性は当該材料の機能によって決定されるといっても過言ではなく、そのため比較的多くの電荷輸送材料が含有される。また、前記の機械的ハザードへの耐久性向上を目的として電子写真感光体最表面に無機微粒子が適用されることもあるが、無機微粒子の含有比率が上がるに従って、耐久性が向上することが知られているため、本材料もやはり含有率が上がる傾向を有する。
これらの機能材料は電荷輸送性、摩耗性を電子写真感光体に付与する反面、酸性ガス、アルカリ性ガス雰囲気においては劣化しやすいといった特徴を有しており、前述の通り、長期の使用においては電子写真工程や、使用環境上負荷される酸性ガス、アルカリ性ガスによって容易に変質し、結果として電子写真感光体の特性低下を引き起こす。この材料劣化を抑制しつつ、優れた電子写真感光体特性を発現させるために酸化防止剤、光安定剤等を電子写真感光体の感光層または表面層に添加するなどの手段が多く検討されており、処方設計を重ねることによって長期間の使用によっても特性低下の少ない電子写真感光体が実用化されるなど、比較的高い効果を示す。しかしながら、酸性ガス、アルカリ性ガスによって劣化する材料は電子写真感光体中に含有されており、長期間の使用によって徐々に特性低下が生じることは自明であり、この改善手段によって生じる副作用が別の問題を引き起こすなど、本質的な改善には至らないのが現状である。
本発明者らは前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性支持体上に感光層及び表面層をこの順に設け、前記表面層が無機微粒子を含有する電子写真感光体においては、NO濃度20ppmの雰囲気中に24時間静置した後の前記電子写真感光体のNO吸着量が0.25μl/cm以下であることにより、前述のような繰り返し使用によって容易に劣化する電荷輸送性材料を極力低減した場合であっても、優れた帯電性、電荷輸送性を有するとともに、長期に亘って安定した特性を有する電子写真感光体を得ることができることを見いだした。
以下に本発明の詳細を説明する。
表面層が無機微粒子を含有する電子写真感光体における、酸性ガス、アルカリ性ガスによる電子写真感光体の特性低下のメカニズムは下記の通り推定している。即ち、電子写真感光体が酸性ガス、アルカリ性ガス雰囲気に暴露されることによって、電子写真感光体表面近傍に酸性ガス、アルカリ性ガスの吸着が発生し、この吸着ガスが電子写真感光体の電荷輸送材料等の有機材料を分解、変性させた結果、帯電機能、光減衰機能など電子写真感光体の基本機能の低下を引き起こす。ここで機械的ハザードに対する耐久性を高めるために電子写真感光体最表面に無機微粒子を適用する場合には、本無機微粒子が酸性ガス、アルカリ性ガスの高吸着能を有する吸着源として働くと考えられ、無機微粒子が含まれる電子写真感光体においては、これが含まれない電子写真感光体と比較して構成材料の分解、変性が多くなりやすいと考えられる。
この推定メカニズムに基づいて、電子写真感光体の最表面の劣化に寄与することが知られている二酸化窒素について、後述する方法にて電子写真感光体の吸着能を評価する。まず評価手順について説明する。
評価手順としては、最初にNO雰囲気に電子写真感光体を一定時間静置することで電子写真感光体表面にNOを吸着させる。本暴露条件としては電子写真感光体の表面近傍における吸着サイトにNO吸着が飽和している条件を種々の電子写真感光体を用いて検討した結果、20ppmの濃度に制御したチャンバー内で24時間暴露することが好ましいことが判明したため、暴露条件としては『NO濃度20ppmの雰囲気中に24時間静置』とした。
次に電子写真感光体のNO吸着量を測定する。測定方法としては、NOの定量方法として知られるザルツマン法を適用する。具体的にはNOを吸着した電子写真感光体を一定の面積および厚みでサンプリングし、三角フラスコ内に投入・封止する。次いで、Nを500ml/minの流量で通気させた雰囲気下に該三角フラスコを設置し、N気流下で三角フラスコを180℃のオイルバスで加温する。本加温によって電子写真感光体に吸着したNOを電子写真感光体から脱離させ、脱離したNOがN気流によって最下流のザルツマン試薬が入れられたインピンジャーに運搬される。インピンジャー内に運ばれたNOはザルツマン試薬を通過する際にザルツマン試薬に補足・反応する。NOと反応したザルツマン試薬は赤色に呈色するため、分光光度計を用いて呈色したザルツマン試薬の545nmの吸光度を測定し、予め準備した検量線に基づいてザルツマン試薬と反応したNO量を計算することにより、電子写真感光体に吸着したNOを定量することが可能となる。種々の電子写真感光体を用いて本評価方法で評価した結果、30分間のオイルバスによる加温によって電子写真感光体に吸着したNOの大部分を除去できることが判明しており、本発明におけるオイルバスでの加温時間は30分とする。
次にザルツマン試薬の調整方法を詳述する。ザルツマン試薬は下記試薬AおよびBを使用直前に体積比で10:1の割合で混合することで作製する。
(試薬A) スルファニルアミド8gをリン酸20mlに溶かし、蒸留水を加えて100mlにする。
(試薬B) N−1−ナフチルエチレンジアミン二塩酸塩0.112gを蒸留水20mlに溶かす。
次にザルツマン試薬の呈色定量化方法について説明する。ザルツマン試薬の545nmにおける吸光度を測定できる方法であれば特に測定方法に制限はないが、本発明においては分光光度計を用いて、後述する条件にて吸光度の測定を行った。
〔測定方法〕
・評価機 : 分光光度計UV3600(島津製作所社製)
・評価セル : 石英セル 透過距離 10mm
・測定物理量 : 吸光度
・測定波長 : 520nm〜570nm
・その他 : 前記測定波長および評価セルにあわせた推奨設定値
本発明で規定するNO吸着量を満たす電子写真感光体は、電荷輸送物質含有量、表面層に含まれる樹脂の種類、樹脂のガス透過率、無機微粒子の種類、無機微粒子表面処理剤の種類、無機微粒子表面処理量、無機微粒子含有率、無機微粒子粒径を調節することにより得ることができる。
<感光層>
次に感光層について説明する。
本発明における感光層は、積層構造であることができる。
積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、感光層の層構成としては、少なくとも導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層が積層された構成を取る。積層順については特に限定されないが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、帯電工程や露光工程における帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層することが好ましい。また、感光層の表面側には、下記で説明する表面層を設ける。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を説明するための断面図である。上記のように図1に示される電子写真感光体は、導電性支持体21上に、電荷発生層23、電荷輸送層24および表面層25がこの順で積層されている。また、図2に示すように、導電性支持体21上に、電荷輸送層24、電荷発生層23および表面層25がこの順で積層されていてもよい。また、図3に示すように導電性支持体21上に層間の接着性を改善する中間層22を設け、その上に電荷発生層23、電荷輸送層24および表面層25をこの順で設けてもよい。これとは別に、図4に示すように本発明の電子写真感光体は、導電性支持体21上に、単層感光層26および表面層25がこの順で積層されていてもよい。
<<電荷発生層>>
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリアリールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
<<電荷輸送層>>
前記電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層であり、電荷輸送物質又は高分子電荷輸送物質とバインダー樹脂を主成分とする層である。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料を適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造を有する公知の正孔輸送物質、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有する公知の電子輸送物質が挙げられる。前記正孔輸送物質または電子輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量としては、電荷輸送層全質量に対して20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、電荷輸送層全質量に対して20質量%未満であると、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがあり、80質量%より大きいと、電子写真工程から感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に磨耗することがある。一方、前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても磨耗量が少ない電子写真感光体を得ることができる点で有利である。
電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用してもよい。高分子電荷輸送物質とは、上記バインダー樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持つ材料である。特に、本発明に記載している非晶質酸化物を中間層に適用した場合には、電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用することにより、帯電性低下や地汚れの発生が抑制されることが本発明者らの検討からわかっており、好適である。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、公知の材料が使用できるが、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテルの中から選ばれる少なくともいずれかの重合体であることが好ましい。特に、特第3852812や特第3990499等に例示されているトリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネートが、磨耗耐久性、電荷輸送性の観点から好ましい。
前記高分子電荷輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、磨耗耐久性や製膜性等の観点から上記バインダー樹脂と併用してもよい。電荷輸送性の両立の観点から、前記高分子電荷輸送物質とバインダーを併用する場合、高分子電荷輸送物質の含有量としては電荷輸送層全質量に対して40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
前記電荷輸送層は、前記電荷輸送物質及び前記バインダー樹脂を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布し、乾燥することによって形成できる。
前記電荷輸送層の構成成分はいずれも常温常圧下で固体であるものが多いため、塗工液作製においては各構成成分と親和性の高い溶媒を用いる。ここで用いられる溶剤としては、一般に塗装、塗工に用いられる公知の溶剤であれば特に限定されない。用いる溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電荷輸送層形成の際に用いる塗工方法としては、特に制限はなく、一般に用いられている塗工方法を用いることができ、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚みなどによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
また、電荷輸送層には、必要により後述する可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みとしては、解像度・応答性の点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、5μm以上が好ましい。
前記の手段によって形成した電荷輸送層は、電子写真特性や膜粘性の観点から、何らかの手段を用いて加熱を行い、上述のような溶媒を膜中から取り除く必要がある。熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合は、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることが確認されている。一方、170℃より高い温度で処理した場合、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂が生じたり、隣接層との界面で剥離が生じることがある。また、感光層中の揮発性成分が外部に霧散するなどした場合には、所望の電気特性を得られなくなるなどのことがあるため好ましくない。
<<表面層>>
表面層は、電子写真感光体に負荷されるハザードに対する耐久性を具有させる層であり、少なくとも無機微粒子を含有し、必要に応じて樹脂成分、前記電荷輸送物質、高分子電荷輸送物質等を含有させてもよい。
樹脂成分としては一般に用いられる電荷輸送性構造を有しない熱可塑性樹脂を用いてもよいし、架橋重合体を用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく目的に応じて公知の材料を適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好適に用いられる。
架橋重合体を形成するための架橋性重合性化合物としては、一般に用いられているものであれば特に制限はなく、目的に応じて材料を適宜選択して使用することができる。例えば、アクリル系架橋重合性化合物、フェノール系架橋重合性化合物、ウレタン系架橋重合性化合物、有機珪素系架橋重合性化合物、エポキシ系架橋重合性化合物などの架橋重合性化合物があげられる。これらの架橋重合性化合物のうち、本発明の表面層においては電荷輸送性、潜像維持性の観点からアクリル系架橋重合性化合物が好適に用いられる。
(アクリル系架橋重合性化合物)
アクリル系架橋重合性化合物とは、一般に知られるアクリル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋するものを指す。アクリル重合性化合物としては一般に用いられる化合物を使用してよいが、重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が架橋反応性の観点から好適である。単位構造あたりの重合性官能基数についても適宜選択して使用してよいが、表面層強度、製膜性の観点から単位構造中に複数個の重合性官能基を有することが好ましく、具体的には2個以上の架橋重合性官能基を有することが好ましい。例えば、2個以上の架橋重合性官能基を有する化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが例示される。また、3個以上の架橋重合性官能基を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが例示される。これらのアクリル系架橋重合性化合物は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらのアクリル系架橋重合性化合物と組み合わせて使用するラジカル重合開始剤としては、一般に用いられる化合物を使用することができる。熱重合開始剤としては、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等が例示される。光重合開始剤としては、アセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が例示される。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、アクリル系架橋重合性化合物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部である。
(フェノール系架橋重合性化合物)
フェノール系架橋重合性化合物としては、一般に知られるノボラック樹脂、レゾール樹脂のいずれも使用してよいが、酸触媒等の開始剤を必須とするノボラック樹脂と比較して開始剤を用いることなく架橋反応させることが可能なレゾール樹脂を用いることが本発明に記載の表面層においては潜像維持性の観点から好ましい。レゾール樹脂としてはメチロール基を単位構造中に1個乃至複数個有するものを加熱することで架橋するものが好ましく、表面層強度、製膜性の観点からメチロール基を単位構造中に2個以上含有するフェノール誘導体を用いることが好ましい。例えば、フェノール類モノマーのジメチロール化合物としては、2,6−ジヒドロキシメチル−4−メチルフェノール、2,4−ジヒドロキシメチル−6−メチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−3,4−ジメチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2,3−ジメチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、4−シクロヘキシル−2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2−シクロヘキシル−4,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジヒドロキシメチル−4−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−エチルフェノール、4,6−ジヒドロキシメチル−2−イソプロピルフェノール、6−シクロヘキシル−2,4−ジヒドロキシメチル−3−メチルフェノール等が挙げられ、フェノール類モノマーのトリメチロール化合物としては、2,4,6−トリヒドロキシメチルフェノールが例示される。また、これ以外に一般に知られるフェノール類ダイマー等の高分子体を用いてもよい。これらのメチロール基を有するフェノール誘導体は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(ウレタン系架橋重合性化合物)
ウレタン系架橋重合性化合物とは、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋するものを指す。ここで用いられるポリオール化合物、イソシアネート化合物としては一般に知られる化合物を使用してよいが、表面層強度、製膜性の観点から2官能以上のポリオール化合物を用いることが好ましい。ジオールとしては、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が例示され、3価以上のポリオールとしては、多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが例示される。また、イソシアネート化合物としては、表面層強度、製膜性の観点から2官能以上のイソシアネート化合物を用いることが好ましい。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、HDIイソシアネート体、HDIビウレット体、XDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIトリメチロールプロパンアダクト体、IPDIイソシアヌレート体等が例示される。ポリオール化合物、イソシアネート化合物はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。イソシアネート化合物の含有量は、ポリオール化合物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部であり、OH価およびNCO価に基づいて適量を配合するとよい。
(エポキシ系架橋重合性化合物)
エポキシ系架橋重合性化合物とは、1分子中に2個以上のエポキシ環を有するエポキシ環含有化合物と熱酸発生剤や光酸発生剤などの硬化剤と混合し、加熱または光照射等のエネルギーを付与することによって架橋する化合物を指す。前述のエポキシ環含有化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が例示される。また硬化剤としては、脂肪族アミン化合物、脂環族アミン化合物、芳香族アミン化合物、変性アミン化合物や、ポリアミドアミン、イミダゾール、ポリメルカプタン、酸無水物などが例示される。エポキシ環含有化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。硬化剤の含有量は、エポキシ環含有化合物100質量部に対し、0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
(有機珪素系架橋重合性化合物)
有機珪素系架橋重合性化合物とは、珪素原子に1つ以上の加水分解性基が結合している構造を有する反応性有機珪素化合物を単独、または縮合触媒と混合したものを熱等のエネルギーを付与することによって架橋する化合物を指す。前述の反応性有機珪素化合物としては一般に知られているものを使用してよいが、表面層強度等の観点から珪素原子に2つい上の加水分解性基が結合している構造を有する反応性有機珪素化合物を用いることが好ましい。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が例示される。また、縮合触媒としては縮合反応に接触的に作用する触媒、及び縮合反応の反応平衡を生成系に移動させる働きをするものの少なくともいずれか一方の作用をもつものであればよく、有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)等が例示される。縮合触媒の含有量は、反応性有機珪素化合物100質量部に対し、0.5〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
(無機微粒子)
無機微粒子としては、一般に知られているものであれば特に制限無く使用することができ、例えば一般に知られる金、銀、銅、アルミニウム等の金属微粒子や、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化カルシウム、ITO、酸化シリコン、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化セレン等酸化物金属微粒子、窒化硼素、窒化珪素等の窒化物金属微粒子等の無機微粒子を用いることができる。
中でも、長期に亘って安定な特性を示すものとして酸化亜鉛微粒子が好ましく、とくに第13族元素を含有した酸化亜鉛微粒子が好適である。ドープする第13族元素としては硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が例示され、中でもアルミニウム、ガリウムが好ましく、本発明の効果向上の観点から、アルミニウムが最適である。
酸化亜鉛微粒子中の第13族元素の含有量としては、酸化亜鉛1モルに対して元素換算で、0.001〜0.2モルの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.1モルであり、特に好ましくは0.02〜0.1モルの範囲である。第13族元素の含有量が0.001モル未満であると、酸化亜鉛微粒子の電気特性安定性が低下しやすくなり好ましくない。また、0.2モルを超えると電気特性安定性や、微粒子導電性向上効果が飽和することが多く、効果的な位置に拡散されない過剰の添加元素が粒界に化合物となって析出しやすくなるため、各種電子写真感光体特性の低下を招く恐れがあるため好ましくない。
無機微粒子の平均一次粒径としては、0.01〜0.5μmであることが表面層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。無機微粒子の平均一次粒径が0.01μm未満の場合は、無機微粒子の凝集が生じやすく、好適な表面抵抗率の制御が安定して行うことができないなどの不具合を生じやすくなるため好ましくない。また0.5μmを超える場合には表面層における電荷輸送機能が不均質となりやすく、所望の潜像形成が困難となったり、表面層の表面粗さが大きくなり、後述するブレードクリーニング部材の摩耗が速やかに進行するため、早期にトナークリーニング不良などの発生を引き起こしたり、無機微粒子の比重にもよるが分散液中において無機微粒子の沈降性が促進されるなどの塗工液寿命に関わる問題を生じることがある。なお表面層における無機微粒子の平均粒径は、50nm以下であるのが好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径は走査型電子顕微鏡により3000倍乃至10000倍の観察像を得、ランダムに選択した200個の粒子を画像解析ソフトにより算出した粒子経とした。
無機微粒子の導電性としては無機微粒子の適用目的によって適宜選択してよいが、電荷輸送の機能を付与する目的で添加する場合には、導電性微粒子を適用することが好ましい。無機微粒子の体積抵抗率としては、1×10Ω・cm以下が好ましく、1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下がより好ましい。1×10Ω・cm未満の体積抵抗率の無機微粒子を用いた表面層を有する電子写真感光体においては、本発明の表面層電気特性適性範囲であっても、細線又は小ドットの細り・滲みが発生しやすくなるため好ましくない。また、1×10Ω・cmを超える体積抵抗率の無機微粒子を用いた場合には表面層内部における電荷輸送性の環境依存性が大きくなり、特に低温環境における電荷輸送性の低下による画像濃度低下などが生じやすくなるため好ましくない。
前記無機微粒子の体積抵抗率の測定方法としては、所定量の粉体の圧密体を所定の圧力を用いて作製した後に、圧密体上下端に電極を設け、所定の電圧を印加した場合の電流値を測定する方法が挙げられる。本発明においては圧密体作製時に二水準の圧力を適用して供試体を作製し、各圧密体空隙率と各圧密体体積抵抗率とを算出した後に、空隙率50vol%における抵抗率を指数関数近似から求めたものを無機微粒子の体積抵抗率とした。下記に測定条件を記載する。
・供試体に用いる無機微粒子量:1.0g
・供試体形状:円柱(直径20mm)
・供試体作製時の圧力:10MPa,20MPa
・供試体電極:タングステン
・印加電圧:0.1V
また本発明においては、無機微粒子をそのまま使用してもよいし、電子写真感光体の機能増強や分散性向上等を目的として反応性有機基を有する化合物を用いて表面修飾を行ってもよい。前記反応性有機基としては、無機微粒子表面の水酸基等と反応性を有せばよく、有機金属カップリング剤が一般的に用いられる。有機金属カップリング剤としては、1級アミン、2級アミンまたは飽和炭化水素のいずれかの構造を有するカップリング剤が好ましく、中でもシランカップリング剤がさらに好ましく、そのような例としては、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。その他、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート) チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等のチタネートカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウムカップリング剤などが挙げられる。有機金属カップリング剤は、1種類を単独で使用してもよいし、異なる2種以上のカップリング剤を併用してもよい。
有機金属カップリング剤の被覆量は増強したい機能や母体粒子の分散性にもよるが、無機微粒子に対して好ましくは0.01〜30質量% 、さらに好ましくは0.05〜15質量% である。被覆量が0.01質量%以下である場合には機能増強や分散性向上の効果が得にくくなり、被覆量が30質量%以上である場合には有機金属カップリング剤が余剰に無機微粒子に付着した状態となり、これにより電子写真感光体特性の低下などが生じるため好ましくない。
無機微粒子表面に有機金属カップリング剤を被覆する方法としては、例えば無機微粒子をヘンシェルミキサーなどの高速攪拌機にいれて攪拌しながら、前記の有機金属カップリング剤、またはこれらの水あるいはアルコール溶液を添加し、均一になるように攪拌した後に、乾燥する乾式法や、無機微粒子を水またはアルコール中に分散させたスラリーを準備し、攪拌しながら前記有機金属カップリング剤または有機金属カップリング剤水溶液、アルコール溶液添加し、十分に攪拌した後に濾過、洗浄、乾燥する湿式法などがあり、いずれを用いてもよい。
表面層中の無機微粒子含有量としては、無機微粒子の機能が発現する量を適宜選択するとよい。表面層中に占める無機微粒子の割合が少なすぎる場合には無機微粒子による機能発現が困難となりやすく、また、表面層に占める無機微粒子の割合が多すぎる場合には無機微粒子による機能発現は十分期待できるが、一方で電子写真感光体として具有するべき機能の一部が低下するなどの不具合が生じることが懸念されるため好ましくない。表面層中に占める無機微粒子の割合については、無機微粒子の担う機能によって適当な割合が異なるため、一概に規定することは難しいが、例えば耐摩耗性を向上させることを目的とした場合には1vol%〜20vol%が例示される。また、電荷輸送層に該無機微粒子を添加する場合には、7vol%〜40vol%程度が例示される。
無機微粒子の割合を定量する方法としては、元素分析およびそのマッピングを用いて行うことができる。ここで、元素分析/マッピング方法としては、例えばエネルギー分散型X線検出器/走査型電子顕微鏡(EDS−SEM)などを用いることができる。該EDS−SEMは被観察体を細く絞られた電子線で走査し、放出される二次電子量を検出することによって被観察体表面像を詳細(一般に50倍〜30万倍)に観察すると同時に、電子線照射により発生する特性X線を検出することにより、表面の微小領域の元素比率の分析や、特定元素のマッピングなどを行う装置である。
無機微粒子含有量は、前記手法による電子写真感光体の断面の元素分析/マッピングによって定量することが可能である。まず層の断面構造をミクロトーム、FIB等の一般に用いられる方法で露出させた後に、前記記載の方法で電子写真感光体断面の無機微粒子の構成元素のマッピングを行い、無機微粒子構成元素検出面積を観察面積で除することによって、観察断面における有機無機複合微粒子の占める面積割合を得る。次いで、その面積比率を体積比率に換算(面積比率の3/2乗)することにより、該有機無機複合微粒子の電荷輸送層または表面層に占める割合を得ることができる。
前記無機微粒子の分散方法としては、塗工液中で一般に用いられる分散方法で分散するとよい。分散方法としては、例えばボールミル、サンドミル、KDミル、3本ロールミル、圧力式ホモジナイザー、超音波分散等が例示される。
前記無機微粒子を良好に分散させるために、分散剤や界面活性剤を用いることが可能である。分散剤、界面活性剤としては、一般に用いられている分散剤、界面活性剤を使用することができる。分散剤、界面活性剤の配合量としては、無機微粒子の粒径によって異なるが、無機微粒子質量に対して0.5〜30質量%が適しており、1〜15質量%がより好ましい。分散剤、界面活性剤がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす等の不具合を生じる懸念がある。これら表面処理剤は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
表面層に電荷輸送物質を添加する場合、その種類としては特に制限はなく、前述に記載のような一般に知られている化合物を目的に応じて適宜選択することができる。
電荷輸送性化合物の含有量としては、前記樹脂成分100質量部に対して200質量部以下であれば、電荷輸送性化合物の劣化による電子写真感光体特性の低下の影響が小さくなるため好ましい。
また表面層には、必要に応じて可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。表面層に用いられる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
表面層の構成成分の多くは常温で固体または比較的高粘性液体であることから、塗工液は、良溶媒に溶解して作製するとよい。溶剤としては、前記樹脂成分、電荷輸送材料等の構成成分を溶解するとともに、無機微粒子が均質に分散することができれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。
表面層形成の際に用いる塗工方法としては、一般に用いられている塗工方法であれば特に限定されない。塗工液の粘性、所望とする表面層の膜厚などによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
表面層の膜厚は解像度・応答性の点から、10μm以下とすることが好ましく、8μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、帯電性、摩耗耐久性の観点から3μm以上が好ましい。
表面層中に残留する溶媒を除去するために、前記方法で表面層を形成した後に加熱乾燥処理を行うことが好ましい。本処理に用いる熱エネルギーとしては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用いることができ、塗工面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましい。100℃未満の場合には表面層中に残留する溶媒が多くなりやすく、電子写真感光体特性に影響を与えるため好ましくない。一方、170℃より高い温度で処理した場合、表面層に隣接する感光層中の低分子量成分が表面層に移行しやすくなり、本発明に記載した表面抵抗率の制御やその他特性の低下を引き起こす恐れがあるため好ましくない。
本発明では、図4に示すように単層構造の感光層を採用してもよい。単層感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。この感光層は電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂および無機微粒子を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
バインダー樹脂としては先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。なお、高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は5質量部〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層型感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。
前記単層感光層の厚みは、5μm〜25μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記感光層、前記表面層の各層に一般に市販されている酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加してもよい。これら添加剤の添加量は、目的に応じて適宜選択するとよく、添加する層の総質量に対し0.01質量%〜10質量%が好ましい。
(導電性支持体)
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工して導電層を形成したものについても、本発明において支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体として良好に用いることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、定着工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−帯電工程及び帯電手段−
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを電子写真感光体の表面に与える非接触な帯電方法であり、電子写真感光体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0mm〜2.0mm離れた位置に設けられている。
−露光工程及び露光手段−
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして2色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−−定着工程及び定着手段−−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
−−クリーニング工程及びクリーニング手段−−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
−−除電工程及び除電手段−−
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−−リサイクル工程及びリサイクル手段−−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
−−制御工程及び制御手段−−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、図面に基づいて本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジについて詳しく説明する。
図5は、本発明の画像形成装置の一例を説明するための概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
更に必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等の工程は公知のものが使用できる。
この画像形成装置は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱可能としたものであってもよい。図6は、本発明のプロセスカートリッジの一例を説明するための概略図である。
前記プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(不図示)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図6のプロセスカートリッジによる画像形成工程について示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
φ40mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層(中間層)用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 12質量部
(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業社製)
・メラミン樹脂 8質量部
(スーパーベッカミン G−821−60,大日本インキ化学工業社製)
・酸化チタン 80質量部
(CR−EL,石原産業社製)
・メチルエチルケトン 250質量部
〔電荷発生層用塗工液〕
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
Figure 2016224314
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10質量部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(2)の電荷輸送性化合物 7質量部
・テトラヒドロフラン 100質量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1質量部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
Figure 2016224314
次いで、下記組成の表面層塗工液を前記導電性支持体/下引き層/電荷発生層/電荷輸送層からなる積層体上に下記表面層用塗工液を用いてスプレー塗工法にて4.5μmの表面層を成膜し、その後、電子写真感光体を回転させながら、メタルハライドランプを用いて、照度:900mW/cm、照射時間:120秒の条件で光照射を行うことで表面層を架橋させた後に、130℃30分の乾燥を行った。150℃30分の加熱を実施することによって本発明の電子写真感光体を得た。
〔製造例1:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子〕
メタノール100g中に、ヘキシルトリメトキシシラン(KBM−3063、信越化学工業株式会社製)1.25gと、アルミドープ酸化亜鉛微粒子(平均粒径30nm、酸化亜鉛に対するAl含有量=4mol%)25gを加えた。それを95℃で2時間環流し、その後減圧下で溶剤を除去し、溶剤がなくなった時点で150℃に昇温し、2時間保持することでヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率2.9×10Ω・cm)を得た。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 55.9質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 40.0質量部
・界面活性剤 1.2質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.9質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
<実施例2>
実施例1の表面層用塗工液を下記配合比に変更し、酸化亜鉛の含有比を増加した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 46.1質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.4質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
<実施例3>
実施例1の表面層用塗工液を下記配合比に変更し、酸化亜鉛の含有比を増加した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 36.3質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 60.0質量部
・界面活性剤 1.8質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 1.9質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
<実施例4〜6>
実施例1〜3において、表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例2の手順で作製した酸化チタン微粒子にそれぞれ変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例2:ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化チタン微粒子〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛を酸化チタン微粒子(平均粒径29nm)に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化チタン微粒子(体積抵抗率3.4×10Ω・cm)を得た。
<実施例7〜9>
実施例1〜3において、表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例3の手順で作製した酸化スズ微粒子にそれぞれ変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例3:ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化スズ微粒子〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛を酸化スズ微粒子(平均粒径22nm)に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化スズ微粒子(体積抵抗率6.3×10Ω・cm)を得た。
<実施例10>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例4の手順で作製したガリウムドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例4:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたガリウムドープ酸化亜鉛微粒子〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛をガリウムドープ酸化亜鉛微粒子(平均粒径30nm、酸化亜鉛に対するGa含有量=3mol%)に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたガリウムドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率4.1×10Ω・cm)を得た。
<実施例11>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例5の手順で作製した酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例5:ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化亜鉛微粒子〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛を酸化亜鉛微粒子(平均粒径33nm)に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率8.9×10Ω・cm)を得た。
<実施例12>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例6の手順で作製した酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例6:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランをN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率8.1×10Ω・cm)を得た。
<実施例13>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例7の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例7:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランをN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率5.5×10Ω・cm)を得た。
<実施例14>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例8の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例8:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(処理比率3%)〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランの配合量を0.75gに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率1.3×10Ω・cm)を得た。
<実施例15>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例9の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例9:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(処理比率8%)〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランの配合量を2.0gに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率4.1×10Ω・cm)を得た。
<実施例16>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例10の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例10:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(大粒径)〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛微粒子の平均粒径を71nmの微粒子に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率9.4×10Ω・cm)を得た。
<実施例17>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例11の手順で作製した酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例11:ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化亜鉛微粒子(大粒径)〕
製造例5の酸化亜鉛微粒子の平均粒径を76nmの微粒子に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾された酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率9.4×10Ω・cm)を得た。
<実施例18>
実施例1の表面層用塗工液を下記のものに変更し、成膜後のUV架橋工程を無くした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 48.5質量部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・製造例1の酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・テトラヒドロフラン 2593質量部
・シクロヘキサノン 741質量部
<実施例19>
実施例1の表面層用塗工液を下記のものに変更し、成膜後のUV架橋工程を無くした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・ポリアリレート樹脂 48.5質量部
(U−100、ユニチカ社製)
・製造例1の酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・テトラヒドロフラン 2593質量部
・シクロヘキサノン 741質量部
<実施例20>
実施例1の表面層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 36.1質量部
・下記構造式(3)の電荷輸送性化合物 10.0質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.4質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
Figure 2016224314
<実施例21>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例12の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例12:テトラオクチルチタネートで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(大粒径)〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランをテトラオクチルチタネートに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、テトラオクチルチタネートで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率4.3×10Ω・cm)を得た。
<実施例22>
実施例2の表面層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリメタクリレート 46.1質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.4質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
<比較例1〜3>
実施例1〜3の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛を製造例13の手順で作製したアルミナ微粒子に変更した以外は実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例13:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミナ微粒子〕
製造例1のアルミドープ酸化亜鉛微粒子をアルミナ微粒子(平均粒径31nm)に変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミナ微粒子(体積抵抗率5.1×10Ω・cm)を得た。
<比較例4>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛微粒子を表面処理を施さないアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例5>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛微粒子を製造例14の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例14:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(処理比率1%)〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランの配合量を0.25gに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率9.3×10Ω・cm)を得た。
<比較例6>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛微粒子を製造例15の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例15:ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(処理比率10%)〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランの配合量を2.5gに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、ヘキシルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率6.4×10Ω・cm)を得た。
<比較例7>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛微粒子を製造例16の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例16:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランを3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率5.8×10Ω・cm)を得た。
<比較例8>
実施例2の表面層用塗工液に用いるアルミドープ酸化亜鉛微粒子を製造例17の手順で作製したアルミドープ酸化亜鉛微粒子に変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔製造例17:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛〕
製造例1のヘキシルトリメトキシシランを3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに変更した以外は製造例1と同様に処理を行い、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで修飾されたアルミドープ酸化亜鉛微粒子(体積抵抗率8.4×10Ω・cm)を得た。
<比較例9>
実施例2の表面層用塗工液に用いるトリメチロールプロパントリアクリレートを下記構造式(4)のラジカル重合性モノマーに変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 2016224314
<比較例10>
実施例2の表面層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・下記1および2の化合物のOH価/NCO価=1.0となる混合物 48.5質量部
1.下記構造式(5)のポリオール化合物
Figure 2016224314
2.イソシアネート化合物
(タケネートD140N、三井武田ケミカル社製)
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・メチルエチルケトン 900質量部
<比較例11>
実施例2の表面層用塗工液を下記のものに変更した以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔表面層用塗工液〕
・トリメチロールプロパントリアクリレート 21.1質量部
・前記構造式(3)の電荷輸送性化合物 25.0質量部
・製造例1で作製した酸化亜鉛微粒子 50.0質量部
・界面活性剤 1.5質量部
(BYK―P105、ビックケミー社製)
・光重合開始剤 2.4質量部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン (イルガキュアI−184,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))
・メチルエチルケトン 900質量部
前述の通り作製した実施例1〜22および比較例1〜11の電子写真感光体について、下記試験を実施した。
(NO吸着量およびNO暴露後の画像評価)
前述の方法を用いて、NO吸着量の測定を行った。また、NO暴露後の画像評価には画像出力時の初期空転工程をなくすように改造したリコー社製IPSiO MP C5000改造機を用いた。トナーとしてはリコー社製Imagioトナータイプ27を用い、用紙としてはNBSリコー社製MyPaper(A4サイズ)を用いた。スタート時の感光体表面電位は−750Vとし、前記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位および露光部電位)の評価を行った。出力画像としては、ハーフトーン出力を3枚連続で行い、出力画像のドット再現状態を目視および顕微鏡で確認した。各電子写真感光体に関する評価結果を表1に示す。
Figure 2016224314
※1 初期露光部電位が高いため評価を断念
※2 画像評価 ランク5:変化無し、ランク4.5:ごく僅かな濃度変化、ランク4:僅かに濃度変化、ランク3:濃度低下、ランク2:一部ドットが消失、ランク1:全面ドットが消失
本結果から、実施例で得られた電子写真感光体に関してはいずれもNO吸着量が低く、NO暴露後であっても安定した画像品質が得られることがわかる。特にNO吸着量の小さい実施例3,12,13,16,22は、NO暴露後であっても暴露前後での画像濃度に全く差が見られないことから高い画像品質の安定性を示すことがわかる。一方で、比較例1〜3の電子写真感光体は初期状態において露光部電位が高い(表2参照)ことに由来して画像出力が困難な電子写真感光体であった。これは適用した無機微粒子の抵抗率が高く、表面層の導電性不足によるものであると考えられる。また、比較例4〜6は実施例2または実施例14〜15と同一の無機微粒子母体を用いた場合であっても表面処理の状態(被覆量)によってNO吸着量が変化し、付随して画像品質が低下することを示唆するデータである。本発明で適用したアルミドープ酸化亜鉛については最適な処理量が3%〜8%にあることがわかる。比較例7〜8は実施例2および実施例12〜13と同一の無機微粒子を用いた場合であっても表面処理の種類によって効果が異なることを示唆している。表面処理種が何らかの反応性を有している場合にNO吸着量が増加し、画像品質の低下を引き起こしているものと考えられる。比較例9〜10は実施例2および実施例18〜19、21と同一の構成であっても樹脂成分が異なることでNO吸着量が変化することを示唆している。本原因はまだ明確にわかっていないが、架橋性材料を樹脂成分として用いた場合には、NOとの反応性またはガス透過性等によって影響を受けるものと考えられる。また、非架橋性の材料は比較的NO吸着量が低い結果が得られていることから、画像品質の安定性には優れた材料であると考えられるが、電子写真工程で付加される機械的ハザードに対する耐久性は極めて低いことから、長寿命を想定した工程での使いこなしには向かないと言ったハンデを有する。最後に比較例11は実施例20と同様に電荷輸送性材料を含有する構成となっているが、電荷輸送性材料を表面層に含む場合にはNO吸着量が高くなる傾向を示している。
(長期使用前後における電子写真感光体特性評価および画像評価)
リコー社製Imagio MP C5000の感光体ユニットから帯電ユニットを除く部材(クリーニングブレード等)を取り除いた改造感光体ユニットを用いてランニング試験に用いた。実施例、比較例で作製した感光体を取り付けた改造感光体ユニットをImagio MP C5000改造機にセットし、通紙を行わず帯電、現像のみを繰り返し実施できるようにした。帯電条件としては、帯電ローラーを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約1.9[kV]、周波数fは約1700[Hz]、直流電圧は−750[V]、電子写真感光体の回転速度は230mm/secに設定した。現像条件としては、655nmのLDを用い、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。本条件で10万枚の通紙(5%テストパターン/帯電−露光電位差550V/電子写真感光体静電容量110pF/cm)と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷するためには、約2.1時間の連続通紙によって達成できることが通過電荷量計算から示される。本評価では通紙枚数10万枚相当の静電疲労試験を上述の改造機を用いて実施し、以下に示す評価機を用いて画像評価を実施した。
画像評価には、画像出力時の初期空転工程をなくすように改造したIPSiO MP C5000改造機を用いた。トナーとしてはImagioトナータイプ27を用い、用紙としてはNBSリコー社製MyPaper(A4サイズ)を用いた。スタート時の感光体表面電位は−750Vとし、前記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位および露光部電位)の評価を行った。出力画像としては、ハーフトーン出力を3枚連続で行い、出力画像のドット再現状態を目視および顕微鏡で確認した。機内電位の測定結果および、画像評価結果を表2に示す。
Figure 2016224314
※1 初期露光部電位が高いため評価を断念
※2 画像評価 ランク5:変化無し、ランク4.5:ごく僅かな濃度変化、ランク4:僅かに濃度変化、ランク3:濃度低下、ランク2:一部ドットが消失、ランク1:全面ドットが消失
比較例1〜3については初期の露光部電位が極めて高く、画像出力が困難であることから評価を断念した。
その他の結果から、実施例1〜22については画像出力前後での露光部電位の変化は小さく、良好な電子写真感光体となっていることがわかる。その中でもアルミドープの酸化亜鉛、ガリウムドープの酸化亜鉛を用いた場合には露光部電位の安定性が高くなっており、特にガリウムドープの酸化亜鉛を用いた場合は非常に高い安定性を示し、露光部部電位とも変動が極めて少ないことがわかった。これは酸化亜鉛自身はその粒子バルク、表面に酸素欠損を多く含むために大気中で酸化により抵抗値が変動しやすいのに対して、酸素欠損を補填する形で第13族元素をドープすることにより、大気中での安定性が高くなるためと考えられ、加えてガリウム元素自身が大気中で参加されにくく、非常に安定な特性を示すことに由来するものと考えられる。実施例4〜6および実施例16〜17は初期における画像品質で若干濃度が低い傾向を有するが、これは最表面層が僅かではあるが目視上で透明性が低いことに由来してコントラストがとれていないものと考えられる。比較例4〜11に関しては初期における画像品質は実施例1〜3および7〜15、18〜22と同様に良好であるが、静電疲労後の画像出力時には大きな濃度低下またはドット形成不良が見られる。この傾向はNOの吸着量と相関が見られることから、静電疲労時に最表面層が放電生成物によって酸性ガスの吸着とそれに伴う劣化(低抵抗化)が生じたことによる画像流れ現象と考えられる。一方で実施例の電子写真感光体はいずれも静電疲労試験後であっても極めて高い画像品質の安定性を示しており、本発明の有効性の証明に足る結果であると思われる。
以上の結果から、本発明の電子写真感光体は電子写真工程における酸性ガスによる表面層の劣化の抑制に高い効果を示し、長期に亘るランニングを実施した場合であっても極めて高い電荷輸送性および潜像保持性を示し、長期に亘って画像品質に関わる欠陥の少ない電子写真感光体であることが判明した。
1、101 感光体
3 帯電チャージャ
5 露光部
6 現像ユニット
10 転写チャージャ
15 クリーニングブレード
21 導電性支持体
22 中間層
23 電荷発生層
24 電荷輸送層
25 表面層
26 単層感光層
102 帯電手段
104 現像手段
106 転写手段
107 クリーニング手段
特開平5−181299号公報 特開2002−6526号公報 特開2002−82465号公報 特開2000−284514号公報 特開2001−194813号公報 特開平9−26685公報 特開2002−229241公報 特開2006−99028公報 特開平3−45962号公報 特開平7−281463号公報
KONICA Technology Report Vol.13(2000) Journal of Imaging Science 32:205−210(1988)

Claims (10)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に感光層及び表面層をこの順に有する電子写真感光体であって、
    前記表面層は無機微粒子を含有し、
    前記電子写真感光体をNO濃度20ppmの雰囲気中に24時間静置した後の前記電子写真感光体のNO吸着量が0.25μl/cm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記表面層が、少なくとも電荷輸送性を有さない樹脂成分と、体積抵抗率が10Ω・cm以下でありかつ1級アミン、2級アミンまたは飽和炭化水素のいずれかの構造を有するカップリング剤によって処理された無機微粒子とを構成成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記カップリング剤がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記無機微粒子が酸化亜鉛微粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記無機微粒子が第13族元素が含有された酸化亜鉛微粒子であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記無機微粒子がアルミニウム含有の酸化亜鉛微粒子であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記無機微粒子の平均粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 電子写真感光体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記転写工程後に電子写真感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
  9. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記電子写真感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記電子写真感光体表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段から選択されたうちの少なくとも一つの手段とを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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