JP2002341576A - 電子写真感光体、それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置

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JP2002341576A
JP2002341576A JP2001169909A JP2001169909A JP2002341576A JP 2002341576 A JP2002341576 A JP 2002341576A JP 2001169909 A JP2001169909 A JP 2001169909A JP 2001169909 A JP2001169909 A JP 2001169909A JP 2002341576 A JP2002341576 A JP 2002341576A
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electrophotographic photosensitive
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JP2001169909A
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Kazukiyo Nagai
一清 永井
Tetsuo Suzuki
哲郎 鈴木
Nozomi Tamoto
望 田元
Tomoyuki Shimada
知幸 島田
Michihiko Nanba
通彦 南場
Shinichi Kawamura
慎一 河村
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NOxガスによる画像ボケの問題が無く、十
分な耐摩耗性があり、又、青色半導体レーザー光源にも
対応できる電子写真感光体ならびにそれを用いて高画質
でメンテナンスが少ない電子写真装置及び電子写真装置
用プロセスカートリッジを提供すること。 【解決手段】 無機フィラーを分散させた表面層を有す
る電子写真感光体において、該表面層に下記一般式
(1)で表される構造単位を有する環状脂肪族系樹脂を
含有することを特徴とする電子写真感光体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
それを有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】高画質な画像形成を可能にするとともに
保守作業を必要としない電子写真装置が求められてい
る。高画質には高解像度化が有利であり、ドット径をよ
り小さくする方向にある。その為には書込光源のビーム
径も小さくしなければならず従来使用されてきた近赤外
波長領域の半導体レーザー光では困難になりつつある。
15μm程度の微小ビームスポット径を照射するために
は短波長光が有利であり、390〜460nm程度の発
振波長を有する半導体レーザーへの対応が求められてい
る。
【0003】一方、保守作業の不要化では感光体の摩耗
による交換の問題があり、耐摩耗性の高い感光体が求め
られている。感光体の耐摩耗性を向上させる手段として
無機フィラーを分散させた保護層を感光体表面に設ける
方法が提案されている(特開平4−281461号公
報)。しかしながら、この方法によれば、耐摩耗性は向
上するものの、オゾン、NOxガス等の酸化性ガスによ
り画像流れが生じやすいという欠点があり、NOxガス
の発生しやすいヒーターを使用する室内での使用に支障
をきたす問題が有る。この原因としては、無機フィラー
を分散させたことにより耐摩耗性が向上し酸化性ガスの
蓄積に対し感光体表面の削れによる更新が追いつかなく
なったこと、電気的特性の安定化のために非絶縁性フィ
ラーや表面処理したフィラーを用いていることに起因し
ている。
【0004】この繰り返し使用における画像流れを防止
する対策としては、感光体をヒーターで暖め表面の水分
吸着を防止する方法があるが、機械の始動に時間を要す
ること多量のエネルギーを必要とすること等で問題があ
る。
【0005】また他の対策として表面層に酸化防止剤を
添加する方法(特開平8−292585号公報)がある
が、少量の添加では効果が少なく多量に添加すると電気
特性が悪化するという問題がある。これまでのところ、
酸化性ガスによる画像流れの問題と長寿命化の問題を良
好に解決する手段は見いだされていない。また、青色半
導体レーザー書込に対応させる場合にも同様の問題を抱
えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、NOxガス
による画像ボケの問題が無く、十分な耐摩耗性があり、
又、青色半導体レーザー光源にも対応できる電子写真感
光体、該電子写真感光体を用いた高画質でメンテナンス
が少ない電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカー
トリッジの提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、無機フィラーを分散
させた表面層を有する電子写真感光体において該表面層
に特定の構造単位を有する環状脂肪族系樹脂を含有する
ことで青色から近赤外までの光透過性も良く、NOxガ
スによる画像ボケの問題もなく、耐摩耗性に優れた電子
写真感光体が提供され、それを用いることで高画質でメ
ンテナンスが少ない電子写真装置及び電子写真装置用プ
ロセスカートリッジが提供できることを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明によれば、無機フィラーを分
散させた表面層を有する電子写真感光体において、該表
面層に下記一般式で表される構造単位を有する環状脂肪
族系樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体が
提供される。
【化2】 (式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数
1〜6の直鎖状又は環状アルキル基を表す。)
【0009】本発明は最表層が少なくとも無機フィラー
とバインダー樹脂を含有してなる感光体において、その
表面層に特定の環状脂肪族系樹脂を含有させることによ
り、NOxガスによる画像ボケの心配が無く、高耐久性
を有し、良好な画像が持続して得られることを見いだし
たものである。この理由は現在明らかになっていない
が、以下のようなことが関係していると考えられる。即
ち、帯電プロセスにより発生したオゾン、NOx等の酸
化性ガスの感光体内部への浸透が抑制され、無機フィラ
ーが分散された最表面層の低抵抗化が防止されるためと
考えられる。又、エステル基を有する環状脂肪族系樹脂
は、無機フィラー、特に周囲をポリカルボン酸化合物等
の分散剤及び表面処理剤で被われた無機フィラーに対し
強い親和性を有しており、帯電プロセスにより発生した
オゾン、NOx等の酸化性ガスの無機フィラー表面への
吸着を防止するとともに、過剰な分散剤や表面処理剤を
フィラーより取り除き無機フィラー近傍の低抵抗化を抑
制していると考えられる。
【0010】環状脂肪族系樹脂としてはポリノルボルネ
ン系の樹脂が光学レンズ用樹脂として広く知られてい
る。これらの樹脂は、光透過性が短波長域から長波長域
まで良く、他の透明樹脂であるポリカーボネート樹脂又
はポリメタクリレート樹脂と比べて同等以上の透過性を
示す。特に400nmから450nmの波長領域では、
ポリカーボネート樹脂より優れており、青色レーザー書
込光源に有利に対応することができる。
【0011】これらポリノルボルネン系樹脂を電子写真
感光体に適用させた例としては、特開平8−23445
8号公報や特開2000−194146号公報が提案さ
れている。前者の公報では、エステル基を有するノルボ
ルネン樹脂の電荷発生物質の分散向上性に注目し、電荷
発生物質含有層に該ノルボルネン樹脂を使用する物であ
るが、本発明の無機フィラー含有表面層に含有させるも
のと構成、課題を異にする。また、後者の公報は表面層
にノルボルネン系樹脂を含有させ、潤滑性及び耐摩耗性
を向上させるものであるが、ノルボルネン系樹脂は一般
的に溶解性が悪く、溶媒も炭化水素系溶媒や塩素系溶媒
に限られてしまうため、使用困難なものが多い。また、
溶媒塗工時に微結晶を発生させるものも多い。これら、
ノルボルネン系樹脂の多くは、無機フィラー含有表面保
護層を有する感光体にあってそのNOxガスによる画像
ボケを抑制する効果がない。また、ノルボルネン系樹脂
単独では耐摩耗性が現行のポリカーボネート樹脂に比べ
て悪い。
【0012】本発明では、上記一般式で示される構造単
位を有する特定の環状脂肪族系樹脂において溶解性も良
く、安定な非晶質膜が得られ、特にNOxガスによる画
像ボケ抑制効果を見いだし、発明を完成させたものであ
る。本発明を以下に更に詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の無機フィラーと共
に最表面層に用いられる下記一般式(1)で示される構
造単位を有する環状脂肪族系樹脂について説明する。
【化3】 (式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数
1〜6の直鎖状又は環状アルキル基を表す。) Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル
基、シクロヘキシル基等が挙げられる。特にメチル基が
ガラス転移温度も高く好ましい。
【0014】本発明で用いる環状脂肪族系樹脂は、上記
構造単位のみからなるホモポリマーでも良く、又は他の
共重合成分を含む共重合体でも良い。共重合成分として
は従来公知の構造単位が使用できる。例えば以下のよう
な構造単位が使用できる。
【化4】 (式中X及びRは上記一般式化3と同じである。)
【化5】 (式中R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状
又は環状アルキル基を表す。)
【化6】 (式中R4は水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状又は環
状アルキル基を表す。)
【化7】
【化8】 これら環状脂肪族系樹脂は従来公知のメタセシス開環重
合とその後の水素化反応で合成できる。
【化9】 水素化反応は100%飽和させることが望ましいが、わ
ずかに2重結合が残留していても良い。
【0015】共重合体の場合は、モノマーを適当な組成
比で混合した後、開環重合及び水素化を行うことで合成
できる。その際、一般式(1)で示される構造単位が全
組成の30モル%以上になるようにするのが好ましい。
環状脂肪族系樹脂の分子量は、ポリスチレン換算による
重量平均分子量で20000以上、好ましくは5000
0以上200000以下である。
【0016】以下、本発明に用いられる電子写真感光体
を図面に沿って説明する。図1は、本発明の電子写真感
光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電
荷発生物質と結着樹脂を主成分とする感光層33が設け
られている。無機フィラーを含有される最表面層が感光
層全体の場合が1−A、感光層の表面部分の場合が1−
Bである。
【0017】図2は、導電性支持体31上に、電荷発生
物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を
主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとっ
ている。無機フィラーを含有される最表面層が電荷輸送
層全体の場合が2−A、電荷輸送層の表面部分の場合が
2−Bである。
【0018】図3は、導電性支持体31上に、電荷発生
物質と結着樹脂を主成分とする感光層33が設けられ、
更に感光層表面に保護層39が設けられてなる。この場
合、無機フィラーが含有される最表面層は保護層39で
ある。
【0019】図4は、導電性支持体31上に、電荷発生
物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主
成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとって
おり、更に電荷輸送層37上に保護層39が設けられて
なる。この場合、無機フィラーが含有される最表面層は
保護層39である。
【0020】図5は、導電性支持体31上に、電荷輸送
物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主
成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとって
おり、更に電荷発生層35上に保護層39が設けられて
なる。この場合、無機フィラーが含有される最表面層は
保護層39である。
【0021】導電性支持体31としては、体積抵抗10
10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニ
ウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金
等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物
を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしく
は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるい
は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステ
ンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工
法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した
管等を使用することができる。また、特開昭52−36
016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、
エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として
用いることができる。
【0022】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明
の導電性支持体31として用いることができる。この導
電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラ
ック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、
銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、I
TO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。
【0023】また、同時に用いられる結着樹脂には、ポ
リスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン
酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ
カーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース
樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、
ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、
アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミ
ン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹
脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げ
られる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と
結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、
ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分
散して塗布することにより設けることができる。
【0024】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン
(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱
収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本
発明の導電性支持体31として良好に用いることができ
る。
【0025】次に感光層について説明する。感光層は単
層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層
35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。ま
ず、電荷発生層35について説明する。電荷発生層35
は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバ
インダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質と
しては、無機系材料と有機系材料を用いることができ
る。
【0026】無機系材料には、結晶セレン、アモルファ
ス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲ
ン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等
が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダ
ングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネ
ートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープした
ものが良好に用いられる。
【0027】一方、有機系材料としては、公知の材料を
用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無
金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレ
ニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ
ール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を
有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔
料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオ
レノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を
有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペ
リレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔
料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフ
ェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系
顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系
顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等が挙げられる。
これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物と
して用いることができる。
【0028】電荷発生層35に必要に応じて用いられる
バインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、
エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコ
ーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ
ビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、
ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド等
が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2
種以上の混合物として用いることができる。また、電荷
発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の
他に、高分子電荷輸送物質(例えば、特開昭64−17
28号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭6
4−19049号公報、特開平4−11627号公報、
特開平4−225014号公報、特開平4−23076
7号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−
232727号公報、特開平6−234838号公報、
特開平6−234839号公報、特開平6−29507
7号公報、特開平7−56374号公報、特開平7−3
25409号公報、特開平9−80772号公報、特開
平9−80783号公報、特開平9−80784号公
報、特開平9−127713号公報、特開平9−211
877号公報、特開平9−222740号公報、特開平
9−265197号公報、特開平9−265201号公
報、特開平9−297419号公報、特開平9−304
956号公報記載)を用いることができる。更に、必要
に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0029】電荷発生層35に併用できる低分子電荷輸
送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電
子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムア
ニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタ
ン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−ト
リニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4
H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、
1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−
ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体等の電子受容性物
質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2
種以上の混合物として用いることができる。
【0030】正孔輸送物質としては、以下に表わされる
電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸
送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾー
ル誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘
導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘
導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導
体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリ
アリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導
体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒド
ラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピ
レン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体
等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送
物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることが
できる。
【0031】書込光源に短波長レーザー光を使用する場
合は、電荷輸送層に短波長光の透過性が要求され、でき
るだけ吸収のない正孔輸送物質が使用される。好ましい
正孔輸送物質としては以下の物が挙げられる。
【化10】 (式中、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエ
チル基又は2−クロルエチル基を表し、R2はメチル
基、エチル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、R3
は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアル
キル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミ
ノ基又はニトロ基を表す。)
【化11】 (式中、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン
環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、
チオフェン環を表し、Rはアルキル基、フェニル基又は
ベンジル基を表す。)
【化12】 (式中、R1はアルキル基、ベンジル基、フェニル基又
はナフチル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜3の
アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキル
アミノ基、ジアラルキルアミノ基又はジアリールアミノ
基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のとき
はR2は同じでも異なっていても良い。R3は水素原子又
はメトキシ基を表す。)
【化13】 (式中、R1は炭素数1〜11のアルキル基、置換もし
くは無置換のフェニル基又は複素環基を表し、R2、R3
はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭
素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロ
ルアルキル基又は置換もしくは無置換のアラルキル基を
表し、また、R2とR3は互いに結合し窒素を含む複素環
を形成していても良い。R4は同一でも異なっていても
よく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキ
シ基又はハロゲン原子を表す。)
【化14】 (式中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又
はハロゲン原子を表し、R2及びR3はアルキル基、置換
もしくは無置換のアラルキル基あるいは置換もしくは無
置換のアリール基を表し、R4は水素原子、低級アルキ
ル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、ま
た、Arは置換もしくは無置換のフェニル基又はナフチ
ル基を表す。)
【化15】 (式中、nは0又は1の整数、R1は水素原子、アルキ
ル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Ar
1は置換もしくは未置換のアリール基を表し、R は置
換アルキル基を含むアルキル基、あるいは置換もしくは
無置換のアリール基を表し、Aは
【化16】 9−アントリル基又は置換もしくは無置換のカルバゾリ
ル基を表し、ここでR 2は水素原子、アルキル基、アル
コキシ基、ハロゲン原子又は
【化17】 (ただし、R3及びR4はアルキル基、置換もしくは無置
換のアラルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基
を示し、R3及びR4は同じでも異なっていてもよく、R
4は環を形成しても良い)を表し、mが2以上の時はR2
は同一でも異なっても良い。また、nが0の時、AとR
1は共同で環を形成しても良い。)
【化18】 (式中、R1は低級アルキル基、低級アルコキシ基又は
ハロゲン原子を表し、R2、R3は同じでも異なっていて
もよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基
又はハロゲン原子を表し、l、m、nは0〜4の整数を
表す。)
【化19】 (式中、R1、R3及びR4は水素原子、アミノ基、アル
コキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチ
レンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハ
ロゲン原子又は置換もしくは無置換のアリール基を、R
2は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のア
ルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R1、R2
3及びR4はすべて水素原子である場合は除く。また、
k,l,m及びnは1、2、3又は4の整数であり、そ
れぞれが2、3又は4の整数の時は、前記R1、R2、R
3及びR4は同じでも異なっていても良い。)
【化20】 (式中、Arは置換基を有してもよい炭素数18個以下
の縮合多環式炭化水素基を表し、また、R1及びR2は水
素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル
基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を
表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。nは1も
しくは2の整数を表す。)
【0032】一般式化10で表される化合物には、例え
ば、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−メ
チル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾー
ル−3−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒド
ラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−
1,1−ジフェニルヒドラゾン等がある。
【0033】一般式化11で表される化合物には、例え
ば、4−ジエチルアミノスチリル−β−アルデヒド−1
−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフ
タレン−1−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニル
ヒドラゾン等がある
【0034】一般式化12で表される化合物には、例え
ば、4−メトキシベンズアルデヒド−1−メチル−1−
フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデ
ヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジ
エチルアミノベンズアルデヒド−1、1−ジフェニルヒ
ドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド−1−(4−
メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノ
ベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラ
ゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−1,1
−ジフェニルヒドラゾン等がある。
【0035】一般式化13で表される化合物には、例え
ば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プ
ロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プ
ロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチ
ルアミノ)−トリフェニルメタン等がある。
【0036】一般式化14で表される化合物には、例え
ば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジル
アミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1
−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−
(4−ジエチルアミノスチリル)ナフタレン等がある。
【0037】一般式化15で表される化合物には、例え
ば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベ
ン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フ
ェニルスチルベン等がある。
【0038】一般式化17で表されるベンジジン化合物
には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス
(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−
4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,
N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)
−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等が
ある。
【0039】一般式化18で表されるビフェニリルアミ
ン化合物には、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフ
ェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’
−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−
[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキ
シ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’
−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−
ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−
アミン等がある。
【0040】一般式化19で表されるトリアリールアミ
ン化合物には、例えば、N,N−ジ(p−トリル)−1
−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フ
ェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p
−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テ
トラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−
9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス
(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミン等が
ある。
【0041】電荷発生層35を形成する方法には、真空
薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大
きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー
放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング
法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、
上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0042】又、後述のキャスティング法によって電荷
発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電
荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジ
クロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、
シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キ
シレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、
酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライタ
ー、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を
適度に希釈して塗布することにより、形成できる。ま
た、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチル
フェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加する
ことができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、
ビードコート、リングコート法等を用いて行うことがで
きる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚
は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは
0.05〜2μmである。
【0043】電荷輸送層37は、電荷輸送物質及び結着
樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生
層35上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷
輸送物質としては、前記電荷発生層35で記載した電子
輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用い
ることができる。
【0044】結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリ
レート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸
セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエ
ン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シ
リコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又
は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0045】電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部
に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150
重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用い
る場合は単独でも、結着樹脂との併用も可能である。
【0046】電荷輸送層37の塗工に用いられる溶媒と
しては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電
荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適して
いる。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合し
て使用しても良い。また、電荷輸送層37の形成には電
荷発生層35と同様な塗工法が可能である。
【0047】又、必要により可塑剤、レベリング剤を添
加することもできる。電荷輸送層37に併用できる可塑
剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものが
そのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量
部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0048】電荷輸送層37に併用できるレベリング剤
としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニル
シリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパ
ーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴ
マーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部
に対して0〜1重量部程度が適当である。
【0049】電荷輸送層37の膜厚は、5〜50μm程
度が適当であり、解像度、地肌汚れ等の画像特性及び帯
電電位、感度等の電気特性上、好ましくは10〜40μ
m程度が適当である。
【0050】更に、電荷輸送層37が感光体の表面層に
なる場合、電荷輸送層37の全層又は表面部分に耐摩耗
性を向上させる目的で無機フィラーを添加する。ここで
用いられる無機性フィラーとしては、銅、スズ、アルミ
ニウム、インジウム等の金属粉末、シリカ、酸化錫、酸
化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸
化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カ
ルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープ
した酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化
カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チ
タン酸カリウム、窒化硼素等の無機材料が挙げられる。
これらの無機フィラーは必要に応じて2種以上を混合、
併用してもかまわない。
【0051】また、これらの無機フィラーの分散性改良
等の目的で表面処理を施すことが可能であり、この時用
いられる表面処理剤としてはチタネート系カップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネー
ト系カップリング剤、高級脂肪酸、シランカップリング
剤、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステア
リン酸アルミニウム、あるいはそれらの混合処理等が挙
げられる。
【0052】最表面層に用いられるこれらの無機フィラ
ーの平均一次粒径としては、0.01〜0.8μmの範
囲が良好であり、更に好ましくは0.05〜0.5μm
の範囲である。無機フィラーの平均一次粒径が0.01
μm以下の場合は感光体の耐摩耗性が低下したり、塗工
液中で無機フィラーの凝集が起こりやすくなる。また、
0.8μm以上の場合には感光体表面にトナーフィルミ
ングが発生したり、塗工液中で無機フィラーの沈降性が
促進する等の悪影響が現れる。
【0053】最表面層に含有される無機フィラーの割合
は、目的とする耐摩耗性、無機フィラーの粒径、材質、
用いられる画像形成プロセス等様々な影響に左右される
が、無機フィラーが分散されている表面部分の全量に対
し0.5〜40重量%、好ましくは2〜30重量%であ
る。
【0054】これらの無機フィラ−を含有する表面部分
は、無機フィラーを有機溶剤と合わせボールミル、アト
ライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等の従来方
法を用いて分散した後、バインダー樹脂として前記一般
式(1)で表される構造単位を有する環状脂肪族系樹脂
あるいは該環状脂肪族系樹脂とそれ以外のバインダー樹
脂が加えられ、塗工することにより設けられる。
【0055】前記環状脂肪族系樹脂をバインダーとして
単独で使用しても良いが、ポリカーボネート樹脂に比べ
て伸長性が悪く、硬くて脆い特性を有す。そのためか電
子写真プロセスとの組合せによりポリカーボネート樹脂
と比べて摩耗しやすくなることがある。この傾向は、耐
摩耗性を大きく向上させる無機フィラー添加系でも同様
な傾向を示す。これを回避するため前記該環状脂肪族系
樹脂とそれ以外のバインダー樹脂を混合して使用するこ
とができる。混合するバインダー樹脂としては、前記電
荷輸送層用結着樹脂を適用できる。特に、機械的特性及
び相溶性及び光透過性を考慮するとポリアリレート樹
脂、ポリカーボネート樹脂が好適に使用される。
【0056】混合割合は、前記環状脂肪族系樹脂を1重
量部とした場合に、その他のバインダー樹脂が0〜19
重量部である。又、無機フィラー分散液にバインダー樹
脂を加える際、前記環状脂肪族系樹脂とその他のバイン
ダー樹脂を同時に添加しても良いが、前記環状脂肪族系
樹脂を先に溶解させた後にその他のバインダー樹脂を添
加しても良い。この時、必要に応じてポリカルボン酸化
合物等の分散剤、電荷輸送物質、レベリング剤、可塑
剤、補助バインダー等の添加剤が用いられる。これらの
バインダー樹脂や添加剤は無機フィラー分散処理前、途
中及び分散後に添加されても良い。
【0057】この分散液に用いられる有機溶剤としては
無機フィラーの分散性、塗工方法によって左右される
が、一般的には電荷発生層35で記載したものが使用可
能であり、2種以上の溶剤が混合されても良い。この分
散剤は、塗工液作製時に無機フィラーの分散性を向上さ
せ塗工液を安定性を高める目的で必要に応じて添加され
る。この分散剤としては無機フィラーを一次粒径に近い
値まで分散する、電気的特性・画像特性に悪影響を及ぼ
さない、等の点でポリカルボン酸化合物が特に有効であ
る。
【0058】このポリカルボン酸化合物としては、複数
のカルボン酸残基を有する低分子化合物、オリゴマー、
高分子化合物を指し、例えば有機脂肪酸、高酸化樹脂等
が挙げられる。このポリカルボン酸化合物がオリゴマ
ー、高分子化合物としては、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、アクリル酸やメタクリル酸を用いた共重合体、
スチレンアクリル共重合体等が挙げられる。ここで用い
られるポリカルボン酸化合物の酸価としては、10〜4
00(mgKOH/g)のものが有効に使用できる。
(酸価とは、1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するの
に要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義され
る。)このポリカルボン酸化合物添加量としては、含有
される無機フィラー100重量部に対し0.01〜50
重量部、好ましくは0.1〜20重量部である。
【0059】又、ここで用いられる電荷輸送物質、レベ
リング剤、可塑剤としては前記電荷発生層35で記載し
たもの、補助バインダーとしては電荷輸送層37で記載
した結着樹脂が挙げられる。
【0060】この無機フィラーを含有する表面部分の形
成方法としては、前記電荷発生層35と同様の塗工法が
使用できる。この無機フィラーを含有する表面部分の膜
厚としては、電荷輸送層37の全層でも可能であるが画
像特性、電気特性上20μm以下が望ましく、更に好ま
しくは1〜10μmの範囲である。
【0061】次に感光層が単層構成の場合について述べ
る。単層構成は導電性支持体上に少なくとも電荷発生物
質を結着樹脂中に分散した感光層33を設けたものであ
る。感光層33は、電荷発生物質と結着樹脂の他に必要
に応じて電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散
し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。ま
た、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加すること
もできる。それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑
剤、レベリング剤は前記電荷発生層35、電荷輸送層3
7に記載のものが使用できる。
【0062】結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で
挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げたバイ
ンダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた
高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。樹脂成分10
0重量部に対する電荷発生物質の量は1〜40重量部が
好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ま
しく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感
光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要に応じて電荷輸
送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジク
ロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等
で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビ
ードコート、リングコート等で塗工して形成できる。感
光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
【0063】この単層構成の感光層33が感光体の最表
面層になる場合、感光層33の全層又はその表面部分に
耐摩耗性を向上させる目的で無機フィラ−を添加する
が、この時無機フィラー分散層のバインダー樹脂として
前述の特定構造単位を有する環状脂肪族系樹脂が単独も
しくは他のバインダー樹脂と混合して有効に使用され
る。また、この単層構成における表面部分に分散される
無機フィラーとしては前述のものが使用可能で、必要に
応じて前述のポリカルボン酸化合物、可塑剤、レベリン
グ剤等が添加される。また、これらの材料の添加量、無
機フィラー分散層の製造法、膜厚としては前述の電荷輸
送層37記載の事項が使用できる。
【0064】本発明の感光体においては、導電性支持体
31と感光層との間に下引き層を設けることができる。
下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹
脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、
一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であること
が望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアル
コール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶
性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等
のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹
脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポ
キシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が
挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位
の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化
ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示でき
る金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0065】これらの下引き層は、前述の感光層の如く
適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、
チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用
することもできる。この他、本発明の下引き層には、A
23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレ
ン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO
2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設
けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のもの
を用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが
適当である。
【0066】本発明の感光体においては、感光層保護の
目的で、感光層33の表面側に保護層39が設けられる
ことができる。保護層39は感光体の最表面側の層で高
い耐摩耗性が要求されるため、無機フィラーが分散さ
れ、バインダー樹脂として前述の特定構造単位を有する
環状脂肪族系樹脂が単独もしくは他のバインダー樹脂と
混合して有効に用いられる。他のバインダー樹脂として
は、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノ
マー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミ
ドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポ
リブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポ
リメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオ
キシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレー
ト、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウ
レタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキ
シ樹脂等の樹脂を使用することができる。
【0067】この保護層39に分散される無機フィラー
としては前述のものが使用可能で、必要に応じて電荷輸
送層37で記載したポリカルボン酸化合物、可塑剤、レ
ベリング剤が添加される。また、これらの材料の添加
量、無機フィラーの分散法、保護層39の製造法として
は、電荷輸送層37で記載した事項が使用できる。な
お、保護層39の厚さは0.5〜5μm程度が適当であ
る。
【0068】本発明の感光体においては、感光層33又
は電荷輸送層37と保護層39との間に中間層を設ける
ことも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂
を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミ
ド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール
等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごと
く一般に用いられる塗工法が採用される。なお、中間層
の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0069】又、本発明においては、耐環境性の改善の
ため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する
目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、
中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
【0070】本発明に用いることができる酸化防止剤と
して、下記のものが挙げられる。
【0071】フェノール系化合物 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒ
ドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エ
チルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−
エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ
ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ
−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グ
リコールエステル、トコフェロール類等。
【0072】パラフェニレンジアミン類 N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジ
アミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレ
ンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−
フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p
−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’
−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
【0073】ハイドロキノン類 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジ
ドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノ
ン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t
−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オ
クタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
【0074】有機硫黄化合物類 ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステ
アリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデ
シル−3,3’−チオジプロピオネ−ト等。
【0075】有機燐化合物類 トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホス
フィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリク
レジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキ
シ)ホスフィン等。
【0076】これら化合物は、ゴム、プラスチック、油
脂類等の酸化防止剤として知られており、市販品を容易
に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、
添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%であ
る。
【0077】次に図面を用いて本発明の電子写真装置を
詳しく説明する。図6の電子写真装置は、本発明の最表
面層に無機フィラーと特定の構造単位を有する環状脂肪
族系樹脂を含有する感光体1を用い、例えば少なくとも
感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保
持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体
表面のクリーニングというプロセスよりなる画像形成を
行う画像形成装置である。場合により、静電潜像を直接
転写体に転写し現像する画像形成方法等では、感光体に
配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
【0078】感光体を平均的に帯電させる手段として、
帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段として
は、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体
放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導
電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が全て使
用可能である。
【0079】次に、均一に帯電された感光体上に静電潜
像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光
源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンラン
プ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LE
D)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセ
ンス(EL)等の発光物全般を用いることができる。そ
して、所望の波長域の光のみを照射するために、シャー
プカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カ
ットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィ
ルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用
いることもできる。高解像度化のためにビーム径を小さ
くするには390〜460nm波長域の短波長レーザー
光源が好ましく使用される。その際、画像出力速度を上
げるためにレーザー発振素子を2個以上好ましくは4〜
8個以上を使用するマルチビーム方式が使用される。
【0080】次に、感光体上に形成された静電潜像を可
視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式
としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現
像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に
正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上
には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)
極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が
得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、
ネガ画像が得られる。乾式トナーの場合、好ましい平均
粒径は3〜15μmであり、より好ましくは、3〜7μ
mである。
【0081】次に、感光体上で可視化されたトナー像を
転写体上に転写するために転写チャージャ10が用いら
れる。また、転写をより良好に行うために転写前チャー
ジャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転
写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方
式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転
写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記
帯電手段が利用可能である。
【0082】次に、転写体を感光体より分離する手段と
して分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。そ
の他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト
分離、先端グリップ搬送、曲率分離、等が用いられる。
分離チャージャとしては、前記帯電手段が利用可能であ
る。
【0083】次に、転写後感光体上に残されたトナーを
クリーニングするためにファーブラシ14、クリーニン
グブレード15が用いられる。また、クリーニングをよ
り効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を
用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェ
ブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単
独でまた複数の方式を一緒に用いてもよい。
【0084】次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り
除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除
電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記
露光光源、帯電手段が利用できる。その他、感光体に近
接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロ
セスは公知のものが全て使用できる。
【0085】本発明では、このような画像形成手段に上
述した電子写真感光体を用いるプことができ、プロセス
カートリッジ及び電子写真装置を実現できる。この画像
形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に
固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリ
ッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在とし
たものであってもよい。
【0086】プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵
し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング
手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、着脱可能
とした装置(部品)である。本発明は、前記最表面層に
無機フィラーと特定の構造単位を有する環状脂肪族系樹
脂を含有する感光体と帯電、現像、転写、クリーニン
グ、除電手段の少なくとも一つを一体化した電子写真装
置用プロセスカートリッジを提供するものである。図7
は、プロセスカートリッジの1例を示す概略図である。
【0087】
【実施例】次に、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。尚、実施例中使用する部は、すべて重量部を表わ
す。
【0088】実施例1 φ30mmのアルミニウムドラム上に、下記組成の下引
き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工
液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引
き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層
を形成した。最表面層の無機フィラー含有層用塗工液
は、下記無機フィラーと溶剤をアルミナボールを用いて
24時間のボールミル分散し、その分散液にバインダー
樹脂と電荷輸送物質を溶解した溶液を加え調整した。こ
の液を電荷輸送層上にスプレー塗工し無機フィラー含有
の最表面層を4μm設け、本発明の電子写真感光体を得
た。
【0089】 〔下引き層用塗工液〕 アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL, 大日本インキ化学工業製) 6部 メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60, 大日本インキ化学工業製) 4部 酸化チタン 40部 メチルエチルケトン 50部
【0090】 〔電荷発生層用塗工液〕 下記構造のビスアゾ顔料 2.5部
【化21】 ポリビニルブチラール(XYHL,UCC製) 0.5部 シクロヘキサノン 200部 メチルエチルケトン 80部
【0091】 〔電荷輸送層用塗工液〕 ビスフェノールZポリカーボネート (パンライトTS−2050,帝人化成製) 10部 下記構造の低分子電荷輸送物質(D−1) 7部
【化22】 テトラヒドロフラン 100部 1%シリコーンオイル (KF50−100CS,信越化学工業製) テトラヒドロフラン溶液 1部
【0092】 〔無機フィラー含有層用塗工液〕 疎水化シリカパウダー(KMP−X100,信越化学工業社製) 1部 バインダー樹脂(下記構造の環状脂肪族系樹脂 (ARTON FX18H(日本合成ゴム社製)) 4部
【化23】 低分子電荷輸送物質(電荷輸送層記載の低分子電荷輸送物質D−1) 3部 シクロヘキサノン 60部 テトラヒドロフラン 200部
【0093】実施例2 実施例1の無機フィラー含有層用塗工液の無機フィラー
を酸化チタン(CR97,石原産業製)1部に変え、無
機フィラー含有最表面層の膜厚を2.5μmにした以外
は実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0094】実施例3 実施例1の無機フィラー含有層用塗工液の無機フィラー
をα型アルミナ(AA03,住友化学工業製)1部に変
え、分散剤としてポリカルボン酸化合物(BYK−P1
04,ビックケミー製)0.04部をボールミル分散時
に加えた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製
した。
【0095】実施例4 実施例3の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂を下記に示すブレンドに変えた以外は実施例3と同様
に電子写真感光体を作製した。 バインダー樹脂No.1(下記構造の環状脂肪族系樹脂 (ARTON(日本合成ゴム社製))) 2部
【化24】 バインダー樹脂No.2(ビスフェノールZポリカーボネート (パンライトTS−2050,帝人化成製)) 2部
【0096】実施例5 実施例4の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂を下記組成比に変えた以外は実施例4と同様に電子写
真感光体を作製した。 バインダー樹脂No.1(下記構造の環状脂肪族系樹脂 (ARTON(日本合成ゴム社製))) 0.5部
【化25】 バインダー樹脂No.2(ビスフェノールZポリカーボネート (パンライトTS−2050,帝人化成製)) 3.5部
【0097】比較例1 実施例1の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂をビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC
1400,帝人化成製)4部に変えた以外は実施例1と
同様に電子写真感光体を作製した。
【0098】比較例2 実施例2の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂をビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC
1400,帝人化成製)4部に変えた以外は実施例2と
同様に電子写真感光体を作製した。
【0099】比較例3 実施例3の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂をビスフェノールZポリカーボネート(パンライトT
S−2050,帝人化成製)4部に変えた以外は実施例
2と同様に電子写真感光体を作製した。
【0100】比較例4 実施例3の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂を下記構造を主骨格とする環状脂肪族系樹脂に変えた
以外は実施例3と同様に電子写真感光体の作製を試み
た。しかしながら、バインダー樹脂が溶解せず感光体は
作製できなかった。そこで、溶媒をトルエンに変更し、
塗工を試みたが、ゲル状になって完全溶解せず、スプレ
ー塗工できなかった。 バインダー樹脂(下記構造のもの;(ZEONEX 480 (日本ゼオン社製)) 4部
【化26】
【0101】比較例5 実施例3の無機フィラー含有層用塗工液のバインダー樹
脂を下記構造を主骨格とする環状脂肪族系樹脂に変え、
溶媒をトルエンに変えた以外は実施例3と同様に電子写
真感光体を作製した。 バインダー樹脂(下記構造のもの;(APL(三井化学社製))) 4部
【化27】
【0102】比較例6 実施例4のバインダー樹脂No.1を比較例5で用いた
バインダー樹脂(APL(三井化学社製))に変えて電
子写真感光体の作製を試みた。APLはテトラヒドロフ
ラン系溶媒に不溶だったため溶媒をトルエンに変更した
が、ポリカーボネート樹脂との相溶性が悪く均一な膜が
形成できなかった。
【0103】比較例7 実施例1の無機フィラー含有最表層を設けない以外は実
施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0104】上記で得られた感光体(実施例1〜5、比
較例1〜3、比較例5、比較例7)についてNOxガス
による画像ボケを評価するためにNOxガス暴露前後の
画像評価を行った。
【0105】<NOxガス曝露条件>NO:20ppm
NO2:5ppm の混合ガスにより、20時間曝
露。<画像評価> 電子写真感光体を、電子写真装置用プロセスユニットに
装着し、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを
用いたリコー製imagioMF2200改造機にて画
像出しを行った。その結果を、表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】さらに繰り返し使用時の画像安定性を見る
ためにNOx未曝露の感光体を使用し、連続して5万枚
の複写を行い初期画像及び1万枚毎の画像評価を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】表1及び表2の評価結果より、最表面層に
少なくとも無機フィラーと特定の環状脂肪族系樹脂を含
有する感光体において、NOxガス曝露による画像流れ
の発生が無く、繰り返し使用においても高い画像安定性
を有することがわかる。従って、本発明の最表面層に無
機フィラーと特定の環状脂肪族系樹脂を含有させた感光
体により、NOx濃度の高い環境下でも画像流れ等の異
常画像が発生せず、繰り返し使用においても画像の安定
した高画質、高耐久な感光体を提供できることが判明し
た。また合わせて、本発明の感光体を用いたプロセスカ
ートリッジ、電子写真装置が高性能、高信頼性を有して
いることが判明した。
【0110】比較実施例1 実施例3において下記構造の低分子電荷輸送物質(D−
2)を使用する以外は同様にして電子写真感光体を作製
した。
【化28】
【0111】実施例1〜5及び比較実施例1で得られた
電子写真感光体の短波長LD発振波長(405nm)で
の分光感度を測定した。光源としてはキセノンランプを
用い、モノクロメーター(ニコン社製)にて分光を行っ
た。まずコロナ放電により感光体を−800(V)以上
に帯電させた後、帯電を停止し、405nm単色光によ
る露光をおこない表面電位が−800(V)から−10
0(V)までに要する時間を求め、それぞれの波長の照
射光強度(μW/cm2)から露光量(μJ/cm2)を
算出した。このときの光減衰電位差700(V)を上記
露光量で割り、得られた値を分光感度値(V・cm2
μJ)とした。ただし光減衰時には暗減衰による電位低
下が含まれるため、光感度測定の前に各感光体の暗減衰
量を測定し、この値を用いて各分光感度値の補正を行っ
た。結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】次に、上記電子写真感光体ドラムをリコー
製イマジオMF2200(600dpi相当、プロセス
カートリッジ)に装着した。ただし、画像露光光源を4
05nmに発振波長を持つ半導体レーザー素子(日亜化
学社製)に変え、外部LD駆動装置により光量値を設定
できるよう改造を行った。初期の暗部表面電位を約−7
00(V)、明部表面電位を約−100(V)に設定し
て連続して一万枚の印刷を行い、その時の表面電位を測
定した。また画像評価は1ドット1スペース孤立ドット
がコピー上に良好に解像(再現)しているかを3段階に
評価した。結果を表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】表3及び表4から本発明の電子写真感光体
は書込光源波長域の透過性が高い電荷輸送剤との組合せ
において青色波長域で高い分光感度特性を有し、且つ、
青色半導体レーザーを書込光源に採用した画像形成プロ
セスの中で繰り返し使用においても良好な画像品質を持
続できることがわかる。
【0116】以上の結果から本発明の電子写真感光体は
青色半導体レーザー書込光源への対応性も有し、従っ
て、高解像度な画像出力ができ、NOxガス環境下でも
異常画像を発生することなく、繰り返し使用に対しても
安定した画像出力ができるものである。また、この電子
写真感光体を使用したプロセスカートリッジ及び電子写
真装置は、NOx濃度の高い環境下でも高解像度で高画
質な画像を長期に渡って出力できる。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、無機フィラーを分散さ
せた表面層を有する電子写真感光体において該表面層に
特定の環状脂肪族系樹脂を含有させることによりNOx
濃度の高い環境下においても異常画像の発生が無く、繰
り返し使用においても長期に渡って高画質な画像出力を
達成でき、その物を用いて高画質で環境変動が少なくメ
ンテナンスが少ない電子写真装置ならびに電子写真装置
用プロセスカートリッジの提供ができる。
【0118】又、無機フィラーを分散させた表面層を有
する電子写真感光体において該表面層に特定の環状脂肪
族系樹脂を含有させ、且つ、青色レーザー光を吸収しな
い電荷輸送材料を表面層を含む感光層に含有させること
により青色半導体レーザー光源にも対応し、高解像な画
像出力が達成される。その物を用いて高解像で高画質で
環境変動が少なくメンテナンスが少ない電子写真装置な
らびに電子写真装置用プロセスカートリッジの提供がで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の1態様を示す断面図
【図2】本発明の電子写真感光体の別態様を示す断面図
【図3】本発明の電子写真感光体の別態様を示す断面図
【図4】本発明の電子写真感光体の別態様を示す断面図
【図5】本発明の電子写真感光体の別態様を示す断面図
【図6】本発明の画像形成装置の主要部分を示す模式的
断面図
【図7】本発明のプロセスカートリッジの1態様を示す
模式的断面図
【符号の説明】
31 導電性支持体 33 感光層 35 電荷発生層 37 電荷輸送層 39 保護層 101 感光ドラム 102 帯電装置 103 露光 104 現像装置 105 転写体 106 転写装置 107 クリーニングブレード
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/05 G03G 5/05 104B 5/06 312 5/06 312 15/04 15/04 120 15/043 (72)発明者 田元 望 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 島田 知幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 南場 通彦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 河村 慎一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA04 AA13 AA14 AA20 AA21 AA37 BA04 BA12 BB05 BB50 CA06 FA01 FA02 FA27 FB05 2H076 AB05 DA36 DA37

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機フィラーを分散させた表面層を有す
    る電子写真感光体において、該表面層に下記一般式で表
    される構造単位を有する環状脂肪族系樹脂を含有するこ
    とを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数
    1〜6の直鎖状又は環状アルキル基を表す)
  2. 【請求項2】 上記一般式(1)においてXがメチル基
    である請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記表面層がポリカルボン酸化合物を含
    有する請求項1又は2の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記表面層が、導電性支持体上に直接又
    は下引き層を介して電荷発生層、電荷輸送層を順次積層
    してなる電子写真感光体の電荷輸送層であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかの電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記表面層が、導電性支持体上に直接又
    は下引き層を介して電荷発生層、電荷輸送層、表面保護
    層を順次積層してなる電子写真感光体の表面保護層であ
    る請求項1〜3のいずれかの電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記表面保護層中に電荷輸送剤が添加さ
    れていることを特徴とする請求項5記載の電子写真感光
    体。
  7. 【請求項7】 青色レーザー光を吸収しない電荷輸送材
    料と組み合わせて形成される請求項1〜6のいずれかの
    電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 電荷輸送材料がアミノビフェニル系ドナ
    ーである請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写
    真感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の
    なかから選ばれた少なくとも1つの手段とを一体に構成
    し、装置本体からの着脱自在としたことを特徴とするプ
    ロセスカートリッジ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載の電子
    写真感光体、帯電手段、現像手段、転写手段、像露光手
    段を備えたことを特徴とする電子写真装置。
  11. 【請求項11】 390〜460nmの発振波長を有す
    る半導体レーザーを使用した像露光手段を備えた請求項
    10に記載の電子写真装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012013749A (ja) * 2010-06-29 2012-01-19 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2016224314A (ja) * 2015-06-01 2016-12-28 株式会社リコー 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

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