JP2016223406A - 触媒診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒下流側の酸素量検出センサの時間応答遅れがあった場合でも適切に診断が行える触媒診断装置を提供する。【解決手段】触媒52と、触媒の下流側の酸素量センサ54と、吸入空気量センサ45と、所定時間以上の燃料カットが実行された後に空燃比リッチ化する触媒中立化制御を実行する燃料噴射装置60とを備えるエンジン1の触媒診断装置を、空燃比リッチ化を開始してから酸素量センサが酸素を実質的に検出しなくなるまでの期間における余剰燃料量の積算値に基づいて酸素貯蔵能力推定値OSCを演算する酸素貯蔵能力推定手段100を有し、酸素貯蔵能力推定手段は、吸入空気量IAMが異なった水準にあるときに酸素貯蔵能力推定値をそれぞれ演算するとともに、吸入空気量の変化に対する酸素貯蔵能力推定値の変化率ΔOSC/ΔIAMに応じて酸素貯蔵能力推定値を補正する構成とする。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用のガソリンエンジン等に設けられる触媒浄化システムの触媒劣化を診断する触媒診断装置に関し、特に触媒下流側の酸素量検出センサの時間応答遅れがあった場合でも適切に診断が行えるものに関する。
自動車等に搭載されるガソリンエンジンにおいて、ハニカム状に形成されたアルミナ等の担体に、プラチナ、パラジウム、ロジウムを担持させた三元触媒を用いて、HC、CO、NOXの処理を行うことが知られている。
このような三元触媒の劣化を診断する手法として、触媒が劣化することに伴いその酸素貯蔵能力(OSC:Oxygen Storage Capacity)が低下する特性を利用し、OSCの推定値が所定の閾値以下まで低下した場合に劣化判定を成立させることが知られている。
OSCの推定を利用した触媒劣化診断に関する従来技術として、例えば特許文献1には、所定時間継続して燃料カットを行い触媒に酸素を吸着させた後に、空燃比を燃料リッチとして触媒に吸着された酸素を放出させるとともに、触媒の下流側に配置された空燃比センサの検出値が酸素余剰状態から酸素不足状態に転じるまでの期間に、触媒から排ガス中に放出された酸素量を酸素吸着能力(OSC)として算出し、OSC算出値に基づいて触媒の劣化を診断することが記載されている。
特開平6−159048号公報
特許文献1に記載されているように、燃料カット後に空燃比を燃料リッチ化してから、触媒下流側の酸素量センサ(リアOセンサ又は空燃比センサ)が酸素不足状態(燃料リッチ状態)を検出するまでの期間における理論空燃比に対する余剰燃料量に基づいて、OSC(余剰燃料の酸化のため触媒から放出された酸素量)を推定することが可能である。
しかし、酸素量センサの劣化等により、その出力が時間応答遅れを有する場合には、触媒下流側の排ガスが実際に燃料リッチ状態となってからセンサ出力が立ち上がるまでに遅延時間が生じる。この場合、OSCの推定値は、遅延時間分も加算され続けるため、酸素量センサが正常である場合に対してOSC推定値が大きく算出されることになる。
その結果、実際には触媒が劣化してOSCが低下しているにも関わらず、誤って正常であると判定されることが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、触媒下流側の酸素量検出センサの時間応答遅れがあった場合でも適切に診断が行える触媒診断装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、エンジンの排ガスが導入される触媒と、前記触媒の下流側において前記排ガス中の酸素量を検出する酸素量センサと、前記エンジンの吸入空気量を検出する吸入空気量センサと、前記エンジンの燃焼室又は吸気ポートに燃料を噴射するとともに、所定時間以上の燃料カットが実行された後に空燃比リッチ化する触媒中立化制御を実行する燃料噴射装置とを備えるエンジンの触媒診断装置であって、前記燃料噴射装置が前記空燃比リッチ化を開始してから前記酸素量センサが前記排ガス中の酸素を実質的に検出しなくなるまでの期間における前記吸入空気量に対する余剰燃料量の積算値に基づいて前記触媒の酸素貯蔵能力推定値を演算する酸素貯蔵能力推定手段を有し、前記酸素貯蔵能力推定手段は、前記吸入空気量が異なった水準にあるときに前記酸素貯蔵能力推定値をそれぞれ演算するとともに、前記吸入空気量の変化に対する前記酸素貯蔵能力推定値の変化率に応じて前記酸素貯蔵能力推定値を補正して診断値を生成し、前記診断値が所定値以下の場合に前記触媒の劣化判定を成立させることを特徴とする触媒診断装置である。
ここで、余剰燃焼量とは、吸入空気量に対して理論空燃比(ストイキ)とするために必要な燃料噴射量を、実際の燃料噴射量が上回った差分を示すものとする。
酸素量センサの出力に時間応答遅れが存在する場合には、遅延時間分酸素貯蔵能力推定値が積算され続けるため、実際よりも酸素貯蔵能力推定値が大きく算出される傾向となるが、実際の値に対して推定値が大きくなる度合は、エンジンの吸入空気量と相関する。
本発明によれば、上述した特性を利用し、吸入空気量が異なった複数の水準で酸素貯蔵能力推定値をそれぞれ算出し、吸入空気量の変化に対する酸素貯蔵能力の推定値の変化率に基づいて診断に用いる酸素貯蔵能力推定値を補正することによって、酸素量センサの時間応答遅れの影響をキャンセルし、酸素貯蔵能力を適切に推定することが可能となり、触媒の劣化を適切に診断することができる。
以上説明したように、本発明によれば、触媒下流側の酸素量検出センサの時間応答遅れがあった場合でも適切に診断が行える触媒診断装置を提供することができる。
本発明を適用した触媒診断装置の実施例を有するエンジンの構成を示す図である。 実施例の触媒診断装置を有するエンジンにおける触媒中立化制御中の空気過剰率、リアOセンサ出力、酸素使用量の推移を示すグラフである。 リアOセンサが正常な場合及び時間応答遅れが存在する場合における出力推移の一例を示すグラフである。 リアOセンサが正常な場合及び時間応答遅れが存在する場合における酸素貯蔵能力推定値の演算結果を示すグラフである。 実施例の触媒診断装置における診断値補正項の演算方法を示すグラフである。
本発明は、触媒下流側の酸素量検出センサの時間応答遅れがあった場合でも適切に診断が行える触媒診断装置を提供する課題を、吸入空気量IAMが異なった水準IAM1,IAM2にあるときに、OSC推定値OSC1,OSC2をそれぞれ演算し、吸入空気量の増加に対するOSC推定値の増加率ΔOSC/ΔIAMに応じた補正項CFを用いて、OSC(モニタ値CMV)を補正して診断値DVを得ることによって解決した。
以下、本発明を適用した触媒診断装置の実施例について説明する。
実施例の触媒診断装置は、例えば乗用車等の自動車に搭載される4ストロークのガソリン直噴エンジンに設けられるものである。
図1は、実施例の触媒診断装置を有するエンジンの構成を示す模式図である。
エンジン1は、シリンダ10、ピストン20、シリンダヘッド30、吸気装置40、排気装置50、燃料供給装置60、EGR装置70、エンジン制御ユニット100等を有して構成されている。
シリンダ10は、ピストン20が挿入されるスリーブを備えている。
シリンダ10は、図示しないクランクケースと一体に形成されたシリンダブロックに形成されている。
クランクケースは、エンジン1の出力軸である図示しないクランクシャフトを回転可能に支持し、収容するものである。
シリンダ10には、シリンダヘッド30及びスリーブの周囲に形成されたウォータージャケット内に通流される冷却水の水温を検出する水温センサ11が設けられている。
水温センサ11の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
ピストン20は、シリンダ10のスリーブ内部に挿入され往復運動する部材である。
ピストン20は、コンロッド21を介して図示しないクランクシャフトに接続されている。
ピストン20の冠面22は、シリンダヘッド30と協働してエンジン1の燃焼室を構成する。
シリンダヘッド30は、シリンダ10のクランクシャフト側とは反対側の端部に設けられている。
シリンダヘッド30は、燃焼室31、吸気ポート32、排気ポート33、吸気バルブ34、排気バルブ35、点火栓36等を備えている。
燃焼室31は、ピストン20の冠面22と対向して形成された凹部であって、例えばペントルーフ型に形成されている。
燃焼室形状については、後に詳しく説明する。
吸気ポート32は、燃焼室31に燃焼用空気(新気)を導入する流路である。
排気ポート33は、燃焼室31から既燃ガス(排ガス)を排出する流路である。
吸気ポート32及び排気ポート33は、例えば、1気筒あたり2本ずつが形成されている。
吸気バルブ34、排気バルブ35は、吸気ポート32、排気ポート33を、所定のバルブタイミングでそれぞれ開閉するものである。
吸気バルブ34、排気バルブ35は、カムシャフト、ロッカアーム等の動弁駆動系によって駆動される。
点火栓36は、エンジン制御ユニット100が生成する点火信号に応じて、所定の点火時期にスパーク(火花)を発生し、混合気に点火するものである。
点火栓36は、燃焼室31の実質的に中心部(シリンダ10の中心軸近傍)に配置されている。
吸気装置40は、エンジン1に燃焼用空気を導入するものである。
吸気装置40は、インテークダクト41、エアクリーナ42、スロットル43、インテークマニホールド44、エアフローメータ45等を有して構成されている。
インテークダクト41は、大気中から空気を導入してエンジン1へ供給する管路である。
エアクリーナ42は、インテークダクト41の入口近傍に設けられ、空気中のダスト等を濾過して浄化するものである。
エアクリーナ42の出口には、インテークダクト41内を通過する空気量(エンジン1の吸入空気量)を計測する図示しないエアフローメータが設けられている。
スロットル43は、インテークダクト41におけるエアクリーナ42の下流側に設けられ、吸気空気量を絞ることによってエンジン1の出力調整を行うものである。
スロットル43は、バタフライバルブ等の弁体、弁体を駆動する電動アクチュエータ(スロットルアクチュエータ)、及び、スロットル開度を検出するスロットルセンサ等を備えて構成されている。
スロットルアクチュエータは、エンジン制御ユニット100からの制御信号に応じて駆動される。
インテークマニホールド44は、スロットル43の下流側に設けられ、容器状に形成されたサージタンク、及び、各気筒の吸気ポート32に接続され新気を導入する分岐管を有して構成されている。
エアフローメータ45は、エアクリーナ42の下流側に設けられ、インテークダクト41内を通過する空気の流量(エンジン1の吸気流量)を測定する吸入空気量センサである。
エアフローメータ45の出力は、エンジン制御ユニット100に逐次伝達される。
排気装置50は、エンジン1から排ガスを排出するものである。
排気装置50は、エキゾーストパイプ51、触媒コンバータ52、空燃比センサ53、リアOセンサ54等を有して構成されている。
エキゾーストパイプ51は、排気ポート33から出た排ガスを排出する管路である。
触媒コンバータ52は、エキゾーストパイプ51の中間部に設けられている。
触媒コンバータ52は、ハニカム状のアルミナ担体にプラチナ、ロジウム等の貴金属を担持させて構成され、HC、NOx、CO等を浄化する三元触媒を備えている。
空燃比(A/F)センサ53は、エンジン1の現在の空気過剰率λを、排ガスの性状に基づいて検出するリニア出力のラムダセンサである。
空燃比センサ53は、エキゾーストパイプ51の触媒コンバータ52よりも上流側の領域に設けられている。
リアOセンサ54は、触媒コンバータ52を通過した後の排ガス中における酸素含有量を検出するものである。
リアOセンサ54は、例えば、ジルコニアからなる筒体の内面(大気側)及び外面(排ガス側)にそれぞれ白金をコーティングして構成され、酸素濃度差に起因する起電力を発生するものである。
リアOセンサ54は、空燃比が理論空燃比よりも濃い場合(燃料リッチ状態・酸素不足状態)には電圧が発生し、薄い場合(燃料リーン状態・酸素余剰状態)には実質的に電圧が発生しない特性を有する。
リアOセンサ54は、エキゾーストパイプ51の触媒コンバータ52よりも下流の領域に設けられている。
リアOセンサ54は、本発明にいう酸素量検出手段として機能する。
燃料供給装置60は、燃料タンク61、フィードポンプ62、燃料搬送管63、高圧ポンプ64、燃料配管65、デリバリーパイプ66、インジェクタ67等を備えて構成されている。
燃料タンク61は、燃料(ガソリン)を貯留する容器であって、例えば車体後部の床下に搭載されている。
フィードポンプ(低圧ポンプ)62は、燃料タンク61内の燃料を、燃料搬送管63を介して高圧ポンプ64に圧送するものである。
高圧ポンプ64は、フィードポンプ62から供給された燃料を高圧に昇圧し、燃料配管65を経由して蓄圧室を兼ねたデリバリーパイプ66に供給するものである。
高圧ポンプ64は、シリンダヘッド30に設けられ吸気バルブ34を駆動するカム軸64aによって駆動される。
インジェクタ67は、例えばソレノイドやピエゾ素子を有するアクチュエータによって駆動されるニードルバルブを備え、デリバリーパイプ66内に蓄圧された高圧燃料を、エンジン制御ユニット100が生成する噴射信号(開弁信号)に応じて、所定の時期に所定の噴射量だけ噴射するものである。
インジェクタ67のノズルは、図1に示すように、燃焼室31の側方(シリンダボア側)における吸気バルブ34側から筒内に挿入されている。
インジェクタ67における燃料噴射量は、基本的には空燃比センサ53、リアOセンサ54の検出値を用いたフィードバック制御によって、空燃比が三元触媒のウインドウ内(ストイキ近傍)となるように設定されるが、車両の惰行時(コースティング時)等においては、燃料の噴射を停止する燃料カットが実行される。
また、高負荷時や、後述する触媒中立化制御時には、ストイキに対して燃料リッチとなるように設定される。
EGR装置70は、エキゾーストパイプ51内を流れる排ガスの一部を抽出してインテークマニホールド44内に導入(還流)させるものである。
EGR装置70は、EGR管路71、EGRバルブ72等を有して構成されている。
EGR管路71は、エキゾーストパイプ51からインテークマニホールド44へ排ガスを搬送する管路である。
EGR管路71の一方の端部は、エキゾーストパイプ51における触媒コンバータ52の上流側の領域に接続されている。
EGR管路71の他方の端部は、インテークマニホールド44のサージタンク部に接続されている。
EGRバルブ72は、EGR管路71の中間部に設けられ、EGR管路71内を通過する排ガスの流量を制御するものである。
EGRバルブ72は、エンジン制御ユニット100からの制御信号に応じて開閉制御される。
エンジン制御ユニット100は、エンジン1及びその補機類を統括的に制御するものである。
エンジン制御ユニット100は、CPU等の情報処理装置、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有して構成されている。
エンジン制御ユニット100は、エアフローメータによって検出されるエンジン1の吸入空気量、スロットルセンサによって検出されるスロットルバルブの開度、図示しないクランク角センサによって検出されるクランクシャフトの回転速度等に基づいて、各気筒のインジェクタ67のサイクル毎の燃料噴射量及び噴射回数を設定するとともに、各回の燃料噴射の噴射時期(噴射開始時期及び噴射終了時期)を設定し、インジェクタ67に対して噴射信号(開弁信号)を与える。
また、エンジン制御ユニット100は、触媒コンバータ52の酸素貯蔵能力(OSC)を推定し、推定されたOSCに基づいて触媒コンバータ52の劣化を診断する機能を有する。
エンジン制御ユニット100は、本発明にいう酸素貯蔵能力推定手段として機能する。
触媒劣化診断は、燃料カットの実施後に行われる触媒中立化制御における空燃比のリッチ化を利用して行われる。
所定時間以上の燃料カットが行われた際には、触媒コンバータ52には、その酸素貯蔵能力(OSC)に応じた量の酸素が貯蔵(吸蔵)された状態となる。
触媒中立化制御は、燃料カット終了後、燃料噴射を再開する際に、空燃比をストイキに対して燃料リッチ化させ、余剰燃料を触媒コンバータ52に貯蔵された酸素と反応させて酸化(燃焼)させることによって、触媒コンバータ52から酸素を放出させるものである。
触媒中立化制御は、触媒コンバータ52の下流側に設けられたリアOセンサの出力が空燃比リーン側(酸素余剰側)からリッチ側(酸素不足側)へ反転するまで行われる。
このとき、触媒中立化制御中のストイキに対する余剰燃料量から、不足空気量(触媒コンバータ52に貯蔵されていた酸素量に相当する)を算出することによって、触媒コンバータ52のOSC推定値を算出し、これを所定の閾値と比較することによって、触媒コンバータ52の劣化を診断することができる。
具体的には、推定されたOSC能力に基づいて生成される診断値DVを、予め設定された閾値と比較し、診断値DVが閾値以下である場合に、触媒コンバータ52の劣化判定を成立させる。
触媒コンバータ52のOSC推定値であるモニタ値CMV(Catalyst Monitor Value)は、以下の式1によって求めることができる。
式1においては、理論空燃比(ストイキ)の空燃比を14.7とし、空気中の酸素重量比を0.23としている。

Figure 2016223406

ga:吸気流量(g/sec)
sglmda:空気過剰率
TF:温度補正項
算出の流れとしては、理論空燃比時の燃料量を、ga/14.7によって求めるとともに、実際に供給された燃料量を、ga/14.7×sglmdaによって求める。
空気過剰率sglmdaは、空燃比センサ53の出力に基づいて検出する。
これらの差分から余剰燃料量を算出し、これに14.7を乗じて不足空気量を算出する。
この不足空気量に0.23を乗じることで、不足酸素量(供給された燃料全量を酸化(燃焼)させるためにさらに必要となる酸素量)を算出することが可能である。
式1は、中立化制御の開始(空燃比リッチ化)から、リアOセンサの出力が燃料リッチ側に反転するまでの不足酸素量を積分することによって、触媒コンバータ52からOを抜き出した量(酸素吸蔵量OSCとみなす)を、モニタ値CMVとして算出するものである。
図2は、実施例の触媒診断装置を有するエンジンにおける触媒中立化制御中の空気過剰率、リアOセンサ出力、酸素使用量の推移を示すグラフである。
図2において、横軸は時間を示し、縦軸は空気過剰率、リアOセンサ出力、酸素使用量を示している。
また、空気過剰率、リアOセンサ出力、酸素使用量をそれぞれ実線、破線、一点鎖線で示している。
燃料カットの終了に伴い、エンジン制御ユニット100は、空燃比を理論空燃比(ストイキ)に対してリッチ化し、触媒中立化制御を開始する。
このとき、ストイキに対してリッチ化された燃料量に相当する燃料量はシリンダ筒内において燃え残り、未燃の状態で触媒コンバータ52に流入する。
触媒コンバータ52に流入した未燃燃料は、触媒コンバータ52に貯蔵されている酸素と反応して酸化(燃焼)する。
図2において示す酸素使用量は、未燃燃料の酸化反応のため使用された酸素の量を示している。
リアOセンサ54の出力は、燃料カット中から触媒中立化制御中を通じて燃料リーン(酸素余剰)側となっているが、触媒コンバータ52に貯蔵されている空気が実質的に消費され尽くすと、燃料リッチ(酸素不足)側へ反転する。
このため、空燃比センサ53が空燃比のリッチ化を検出してから、リアOセンサの出力がリッチ側へ反転するまでの間の酸素使用量は、触媒コンバータ52の酸素貯蔵能力(OSC)に実質的に相当すると考えられる。
そして、酸素貯蔵能力OSCの推定値に基づく診断値DVが予め設定された閾値以下まで低下した場合には、触媒コンバータ52が劣化しているものと判定することができる。
しかし、例えばリアOセンサ54は、故障や劣化に起因して、リーン側からリッチ側への出力電圧の反転に、実際の排ガス性状の変化に対して例えば数秒程度の時間応答遅れが生じる場合がある。
図3は、リアOセンサが正常な場合及び時間応答遅れが存在する場合における出力推移の一例を示すグラフである。
図3において、横軸は時間を示し、縦軸はリアOセンサ54の出力及び空気過剰率λを示している。
図3において、リアOセンサ54の正常時における出力を実線で示し、時間応答遅れが存在する場合の出力を破線で示している。
図3に示すように、遅延発生時においては、正常時に対してリアOセンサ54の出力が反転するまでに遅延時間(一例として数秒間)が生じ、その結果モニタ値CMVの算出時間(積算時間)が長くなり、モニタ値CMVが大きく算出されることになる。
図4は、リアOセンサが正常な場合及び時間応答遅れが存在する場合におけるOSC推定値の演算結果を示すグラフである。
図4において、横軸は、CMV演算中(積算期間中)における吸気流量gaの平均値を示し、縦軸はOSC推定値(モニタ値CMV)を示している。
図4に示すように、リアOセンサ54が正常であり時間応答遅れが無視し得る程度に小さい場合には、平均吸気流量の大小に関わらず、OSC推定値は実質的に一定となる。
これに対し、リアOセンサ54の出力に時間応答遅れが存在する場合には、OSC推定値は、リアOセンサ54の時間応答遅れが大きくなることに応じて大きくなっており、また、OSC推定値は、平均吸気流量と実質的に比例して増加している。
そこで、本実施例においては、以下説明する式2の通り、モニタ値CMVを補正項CFによって補正して診断値DV(Diagnostic Value)を生成している。

DV=CMV−CF ・・・(式2)
図5は、実施例の触媒診断装置における診断値補正項の演算方法を示すグラフである。
実施例では、吸気流量IAM(Intake Air Mass)が異なった2水準にあるときに、それぞれモニタ値CMVを算出し、吸気流量IAMの増加に対するモニタ値CMVの増加率に基づいて補正項CFを算出している。
例えば、吸気流量IAM1においてモニタ値CMV=OSC1、吸気流量IAM2(>IAM1)においてモニタ値CMV=OSC2(>OSC1)となる場合には、モニタ値CMV=OSC1に対する補正項CFは、以下の式3によって表される。
ここで、例えば、吸気流量IAM1は、車両が燃料カットでコースティング後停車した場合のアイドリング状態における吸気流量とし、吸気流量IAM2は、車両が燃料カットでコースティング後、所定の車速において維持あるいは再加速するためにアクセルオンされた際の吸気流量とすることができる。

CF=ΔOSC/ΔIAM×IAM1 ・・・(式3)
ここで、
ΔOSC=OSC2−OSC1
ΔIAM=IAM2−IAM1
ただし、ΔOSC≦0である場合は、CF=0とする。

この場合、診断値DVは、以下の式4によって表される。

DV=OSC1−ΔOSC/ΔIAM×IAM1 ・・・(式4)

本実施例においては、上述した補正を行うことによって、リアOセンサ54の出力に時間応答遅れが存在する場合であっても、リアOセンサ54の正常時と実質的に同等の診断値DVを得られることが確認できた。
以上説明したように、本実施例によれば、吸気流量が複数の水準にあるときにそれぞれOSC推定値を算出し、吸気流量の変化に対するOSC推定値の変化率に基づいて診断値を補正することによって、リアOセンサ54の出力に時間応答遅れが存在する場合であっても、適切にOSCを算出し、触媒コンバータ52の劣化を診断することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)エンジン及び触媒診断装置の構成は、上述した実施例の構成に限らず、適宜変更することが可能である。例えば、実施例において、エンジンはシリンダ内に直接燃料を噴射するガソリン直噴エンジンであるが、本発明はこれに限らず吸気ポート内やインテークマニホールド内に燃料を噴射するエンジンにも適用することが可能である。
(2)実施例においては、触媒コンバータの下流側における酸素量センサとして主に酸素の有無を検出するOセンサを用いているが、空燃比に応じて連続的に出力が変化する空燃比センサ(ラムダセンサ)を用いてもよい。
(3)実施例においては、吸気流量の増加に対する酸素貯蔵能力推定値の増加に基づいてリアOセンサの時間応答遅れの影響を補正しているが、触媒の上流側の空燃比センサに時間応答遅れが存在する場合には、逆に吸気流量の増加に応じて酸素貯蔵能力推定値が低下する。このような特性を利用し、吸気流量の増加に対する酸素貯蔵能力推定値の低下に基づいて、上流側の空燃比センサの時間応答遅れの影響を補正するようにしてもよい。
1 エンジン
10 シリンダ 11 水温センサ
20 ピストン 21 コンロッド
22 冠面 30 シリンダヘッド
31 燃焼室 32 吸気ポート
33 排気ポート 34 吸気バルブ
35 排気バルブ 36 点火栓
40 吸気装置 41 インテークダクト
42 エアクリーナ 43 スロットル
44 インテークマニホールド 45 エアフローメータ
50 排気装置
51 エキゾーストマニホールド 52 触媒コンバータ
53 空燃比センサ 54 リアOセンサ
60 燃料供給装置 61 燃料タンク
62 フィードポンプ 63 燃料搬送管
64 高圧ポンプ 64a カム軸
65 燃料配管 66 デリバリーパイプ
67 インジェクタ 70 EGR装置
71 EGR管路 72 EGRバルブ
100 エンジン制御ユニット(ECU)

Claims (1)

  1. エンジンの排ガスが導入される触媒と、
    前記触媒の下流側において前記排ガス中の酸素量を検出する酸素量センサと、
    前記エンジンの吸入空気量を検出する吸入空気量センサと、
    前記エンジンの燃焼室又は吸気ポートに燃料を噴射するとともに、所定時間以上の燃料カットが実行された後に空燃比リッチ化する触媒中立化制御を実行する燃料噴射装置と
    を備えるエンジンの触媒診断装置であって、
    前記燃料噴射装置が前記空燃比リッチ化を開始してから前記酸素量センサが前記排ガス中の酸素を実質的に検出しなくなるまでの期間における前記吸入空気量に対する余剰燃料量の積算値に基づいて前記触媒の酸素貯蔵能力推定値を演算する酸素貯蔵能力推定手段を有し、
    前記酸素貯蔵能力推定手段は、前記吸入空気量が異なった水準にあるときに前記酸素貯蔵能力推定値をそれぞれ演算するとともに、前記吸入空気量の変化に対する前記酸素貯蔵能力推定値の変化率に応じて前記酸素貯蔵能力推定値を補正して診断値を生成し、前記診断値が所定値以下の場合に前記触媒の劣化判定を成立させること
    を特徴とする触媒診断装置。
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