JP2016223199A - 防舷材 - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を提供する。
【解決手段】天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり60〜80質量部の、窒素吸着比表面積が70〜120m/g、DBP吸油量が90〜130cm/100gであるカーボンブラック、および硫黄を含むゴム組成物の架橋物からなり、架橋密度を5×10−5〜2×10−4mol/cm、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を10〜50%とした防舷材である。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば岸壁等に設置されて、船舶の接岸時や係留時に緩衝材として機能する防舷材に関するものである。
岸壁等に設置されて、船舶等の接岸時や係留時に緩衝材として機能する防舷材としては、その全体を弾性材料、特にゴムの架橋物によって一体に形成したものが、構造が簡単でしかも壊れにくいため、広く普及している。
かかる防舷材は、架橋性のゴム分にカーボンブラックなどの充填剤、ゴム分を架橋させるための架橋成分、および各種添加剤等を配合して調製したゴム組成物を、所定の防舷材の立体形状に成形するとともに、ゴム分を架橋させて製造される(例えば特許文献1等)。
架橋性のゴム分としては、架橋物のゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどの、ゴムとしての物性(ゴム物性)を適度にバランスさせて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与することを考慮して、あるいは入手のしやすさ等の観点から、天然ゴムが好適に使用される。
天然ゴムは単独で使用してもよいし、例えばスチレンブタジエンゴム等の他のゴムと併用してもよい。
また、上記天然ゴムを含むゴム分を架橋させるための架橋剤分としては、硫黄(架橋剤)と、当該硫黄によるゴム分の架橋を促進する作用を有する架橋促進剤とを含む、硫黄系の架橋成分が好適に採用される。
防舷材には、設置場所でスペースを取らずに良好な緩衝性能を発現したり、使用材料を少なくして生産コストを低減したりするために、小型化しても高い反力を有することが求められる。
また防舷材には、特に高温(酷暑)環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくいことも求められる。
すなわち防舷材は、通常は屋外に設置されるものであり、設置される地域や季節等によっては、例えば常時40℃以上といった高温環境下で使用され続ける場合がある。
また、例えば設置場所によっては、直射日光を受ける等して防舷材の表面温度が80℃以上といった高温に達する場合すらある。
しかも防舷材は、一度設置すると数年ないし数十年といった長期間に亘って、同一場所で使用し続けられるものでもある。
ところがゴム製の防舷材は、経時変化によってゴム物性のバランスが崩れて、比較的短期間で良好な緩衝性能を維持できなくなったり、クラックを生じたりしやすいという問題がある。
経時変化は、環境温度が高いほど急速に進行するため、特に防舷材を高温環境下で使用し続けた際に、より短期間で上記の問題を生じやすい。
特許文献2では、ゴム製の防舷材に、高温環境下でも常温環境下と大差ない緩衝性能を発現させるべく、温度23℃での最大反力R23と、温度60℃での最大反力R60との比R60/R23で表される圧縮性能変化率を0.90より大きくすることが提案されている。
しかし特許文献2に記載の発明では、経時変化による緩衝性能の低下やクラックの発生等を抑制することまでは考慮されておらず、特に高温環境下で使用し続けた際に、短期間でこれらの問題を生じやすいことには変わりはない。
特開2013−194155号公報 特開2002−13120号公報
本発明の目的は、緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を提供することにある。
本発明は、少なくとも天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下の、窒素吸着比表面積が70m/g以上、120m/g以下、DBP吸油量が90cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラック、および硫黄を含むゴム組成物の架橋物からなり、架橋密度が5×10−5mol/cm以上、2×10−4mol/cm以下、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下である防舷材である。
本発明によれば、緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を提供できる。
本発明の防舷材を形成する架橋物の架橋密度が5×10−5mol/cm以上、2×10−4mol/cm以下の範囲、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下の範囲に限定されるのは、それぞれ下記の理由による。
すなわち、架橋物の架橋密度が5×10−5mol/cm未満では、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎるため、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
特に、防舷材を小型化した際に反力が不足して、十分な緩衝性能を確保することができない。
一方、架橋物の架橋密度が2×10−4mol/cmを超える場合には、当該架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりするため、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
これに対し、架橋物の架橋密度を5×10−5mol/cm以上、2×10−4mol/cm以下の範囲とすることにより、当該架橋物のゴム物性、すなわちゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどを好適にバランスさせて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、架橋物の架橋密度は、上記の範囲でも特に1×10−4mol/cm以下であるのが好ましい。
また、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合Rmが10%未満、もしくは50%を超える場合には、このいずれにおいても架橋物のゴム物性のバランスが崩れて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与できなかったり、経時変化によって防舷材の緩衝性能が低下したり、クラックを生じたりする。
すなわち架橋剤として硫黄を使用した系では、周知のようにゴム分子間が、当該硫黄による、式(1):
−S− (1)
〔式中、nは1以上の数を示す。〕
で表されるスルフィド結合によって主に架橋されて、架橋物が形成される。
また上記スルフィド結合は、1箇所の架橋に関与する硫黄原子の数に応じて、式(1)中のnが1であるモノスルフィド結合(−S−)と、nが2以上であるポリスルフィド結合に分類される。
このうちポリスルフィド結合の割合が多いほど、また個々のポリスルフィド結合の鎖長が長いほど、架橋物は柔軟で、切断時伸びが大きくなる傾向がある。
ところがポリスルフィド結合は、鎖長が長いほど化学的に不安定でもあり、架橋後の経時変化によって徐々に鎖長が短くなっていって、最終的には柔軟性の乏しいモノスルフィド結合に変化する。そして、この経時変化に伴って架橋物の切断時伸び、ひいては防舷材の緩衝性能が低下したり、当該防舷材が硬くかつ脆くなってクラックを生じたりしやすくなる。
この変化は、ポリスルフィド結合の割合が多いほど、また鎖長が長いほど顕著であり、経時変化による緩衝性能の低下の度合いも大きくなる。
また経時変化は、環境温度が高いほど急速に、短期間で進行する。
特にポリスルフィド結合の割合が過剰に多くなり、相対的にモノスルフィド結合の割合Rmが10%未満になると、上記経時変化による緩衝性能の低下の度合いが大きくなりすぎたり、クラックを生じたりしやすくなる。
一方、モノスルフィド結合の割合Rmが50%を超える場合には、初期の段階ですでに架橋物の柔軟性が不十分であり、当該架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりするため、上記架橋物からなる防舷材に、上記初期の段階から、良好な緩衝性能を付与することができない。また防舷材が硬くかつ脆くなって、繰り返し使用した際に、経時変化によってクラック等を生じやすくなる。
これに対し、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合Rmを10%以上、50%以下の範囲とすることにより、防舷材に良好な緩衝性能を付与するとともに、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
また、本発明の防舷材のもとになるゴム組成物に配合されるカーボンブラックが、窒素吸着比表面積が70m/g以上、120m/g以下、DBP吸油量が90cm/100g以上、130cm/100g以下のカーボンブラックに限定されるのは、下記の理由による。
すなわちカーボンブラックとしては、ゴム分の総量に対する配合割合と補強効果との兼ね合い等を考慮して、当該ゴム分の総量より少量の配合で、架橋物のゴム硬さを大きくして、当該架橋物からなる防舷材の緩衝性能をより一層効率よく向上するために、比較的粒径が小さく、かつストラクチャが発達した、表面積の大きいグレードのものを用いる必要がある。
しかし、窒素吸着比表面積が70m/g未満であるカーボンブラックは粒径が大きすぎ、またDBP吸油量が90cm/100g未満であるカーボンブラックはストラクチャの発達が不十分であるため、このいずれを使用した場合にも上述した補強効果が十分に得られない。そのため、架橋物のゴム硬さが小さくなりすぎて、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
一方、窒素吸着比表面積が120m/gを超えるカーボンブラックは粒径が小さすぎ、またDBP吸油量が130cm/100gを超えるカーボンブラックはストラクチャの発達が過剰であるため、このいずれを使用した場合にも上述した補強効果が強くなりすぎる。そのため、架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりして、上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
これに対し、窒素吸着比表面積が70m/g以上、120m/g以下で、かつDBP吸油量が90cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラックを選択的に使用することにより、適度の補強効果を確保して、防舷材に良好な緩衝性能を付与できる。
さらに上記窒素吸着比表面積およびDBP吸油量の範囲を満足するカーボンブラックの配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち上記カーボンブラックの配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部未満では補強効果が不十分になって、前述した補強効果が十分に得られないため、架橋物のゴム硬さが小さくなりすぎて、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
一方、カーボンブラックの配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり80質量部を超える場合には補強効果が強くなりすぎるため、架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりして、上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
これに対し、カーボンブラックの配合割合を上記の範囲とすることにより、当該カーボンブラックによる補強効果を適度の範囲に調整して、防舷材に良好な緩衝性能を付与するとともに、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、カーボンブラックの配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり70質量部以上であるのが好ましい。
〈架橋密度、モノスルフィド結合の割合〉
架橋物の架橋密度とモノスルフィド結合の割合Rmを、それぞれ前述した範囲に調整するには、先に説明したように窒素吸着比表面積およびDBP吸油量の異なるカーボンブラックを選択したり、その配合割合を調整したり、あるいは後述する硫黄や架橋促進剤の種類および配合割合を調整したりすればよい。
なお架橋物の架橋密度、ならびにモノスルフィド結合の割合Rmを、本発明では、それぞれ下記の方法によって求めた値でもって表すこととする。
まず、架橋物のもとになるシート状のゴム組成物を調製し、プレス成形によって架橋させたのち打ち抜いて、直径3mmの円柱状の試料(試料円柱)を作製する。
次いでこの試料円柱を、アセトンに20℃で24時間に亘って浸漬して、オイルや老化防止剤等の成分を除去した後、十分に乾燥させる。
次いで乾燥後の試料円柱を、テトラヒドロフラン(THF)とベンゼンを質量比1:1で混合した混合溶液(浸漬液)に、20℃で24時間浸漬して膨潤させたのち、同じ浸漬液が満たされた熱機械分析装置(TMA)に投入して、試料円柱の高さ方向に圧縮する圧縮試験をする。
そして試料円柱の端面に加えた、当該端面の膨潤前の単位面積あたりに換算した圧縮応力τ[g/mm]と、当該圧縮応力τを加えた際の試料円柱の圧縮率α=Ls/Ls0〔Ls0は膨潤後、圧縮前の試料円柱の高さ(mm)、Lsは、上記圧縮応力τで圧縮された状態の試料円柱の高さ(mm)を示す。〕を求める。
そして求めた圧縮応力τおよび圧縮率αの値を、上記膨潤後、圧縮前の試料円柱の高さLs0(mm)とともに式(2)に代入して、全体の架橋密度νtを求める。
Figure 2016223199
なお式中の記号は下記のとおり。
νe′:架橋点数[mol]
V0′:純ゴムポリマー体積[mm]
R:気体定数=8.314[J/mol・K]
T:測定温度[K]
φ:カーボンブラック等のフィラーの体積分率=(フィラー体積)/(膨潤前の試料の全体積)
L0:膨潤前の試料円柱の高さ(mm)
またモノスルフィド結合の割合Rmを求めるには、上記試料を浸漬する浸漬液として、THFとベンゼンを質量比1:1で混合した混合溶液に、さらにポリスルフィド結合を切断する機能を有するLiAlH(水素化アルミニウムリチウム)を加えたものを用いる。
そして上記LiAlHの機能によってポリスルフィド結合を切断して、モノスルフィド結合のみとした状態で、上記と同様にして求めたモノスルフィド結合の架橋密度νmと、上記全体の架橋密度νtとから、式(3):
Rm(%)=νm/νt×100 (3)
によって、上記モノスルフィド結合の割合Rmを求める。
ちなみにポリスルフィド結合の割合は、上記モノスルフィド結合の残量である。すなわちポリスルフィド結合の割合Rpは、式(4):
Rp(%)=100−Rm (4)
によって求めることができる。
〈架橋物のゴム物性〉
架橋物のゴム物性は、これに限定されるものではないが、例えばゴム硬さは、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」において規定されたタイプAデュロメータで表して65以上、特に70以上であるのが好ましく、80以下、特に75以下であるのが好ましい。
また引張強さは、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」において規定された引張強さTS(MPa)で表して16MPa以上、特に20MPa以上であるのが好ましい。
さらに切断時伸びは、上記JIS K6251:2010において規定された切断時伸びE(%)で表して350%以上、特に400%以上であるのが好ましい。
〈ゴム分〉
ゴム分としては、少なくとも天然ゴムを用いる。また天然ゴムとしては、例えばTSR−20、RSS#3等の各種グレードの天然ゴムが、いずれも使用可能である他、脱蛋白天然ゴム等も使用可能である。
またゴム分としては、上記天然ゴムを単独で使用してもよいし、当該天然ゴムと他のゴムとを併用してもよい。
天然ゴムと他のゴムとを併用すると、前述した経時変化、すなわちポリスルフィド結合の、モノスルフィド結合への変化(熱老化)による緩衝性能の低下やクラック等の発生を、より一層良好に抑制できる。
すなわち上記の反応は、架橋物中で連鎖的に進行する。ところがゴムとして天然ゴムのみを使用した場合、架橋物は連続相を形成して、かかる連鎖を阻害する要素を含まないため、たとえ本発明の構成を採用したとしても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等の発生を抑制する効果が僅かに低下する傾向がある。
これに対し、天然ゴムと他のゴムとの併用系では、両者は架橋物中で海島構造を構成して上記の連鎖を阻害するため、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等の発生を、天然ゴム単独の場合に比べてより一層良好に抑制できる。
他のゴムとしては、例えばイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムの1種または2種以上が挙げられる。
中でもSBRが好ましい。SBRは上記の効果に優れる上、天然ゴムに比べてカーボンブラックによる補強効果が高いため、架橋物のゴム硬さを高めて、防舷材の緩衝性能を向上するためにも機能する。
なおSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明ではいずれのタイプのSBRを使用してもよい。
非油展タイプのSBRとしては、例えばJSR(株)製のJSR(登録商標)1500〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1502〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1503〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1507〔結合スチレン量:23.5%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
また油展タイプのSBRとしては、例えばJSR(株)製のJSR1732〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR0122〔結合スチレン量:37%、油量:25.4%〕、JSR1778〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR1778N〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
天然ゴムと、SBR等の他のゴムとを併用する場合、ゴム分の総量100質量部中に占める他のゴムの配合割合は10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、中でも40質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましい。
この範囲より他のゴムが少ない場合には、当該他のゴムを併用することによる、前述した、連鎖を阻害して経時変化による緩衝性能の低下やクラック等の発生を抑制する効果や、特に他のゴムとしてSBRを併用することによる、防舷材の緩衝性能を向上する効果が十分に得られないおそれがある上、耐摩耗性が小さくなって、繰り返し使用した際に防舷材が損耗しやすくなるなど、防舷材の耐久性が不十分になるおそれもある。
一方、上記範囲より他のゴムが多い場合には引裂き強度が小さくなって、例えば微小な傷などを生じた状態で防舷材を繰り返し使用した際に、クラックを生じやすくなるおそれがある。
なお、他のゴムとして油展タイプのSBRを使用する場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分(ゴム分)としてのSBR自体の配合割合が、上記の範囲となるように設定すればよい。
〈架橋成分〉
架橋成分としては、架橋剤としての硫黄、および当該硫黄によるゴム分の架橋を促進する機能を有する架橋促進剤を組み合わせるのが好ましい。
このうち硫黄としては、ゴム分の架橋剤として機能しうる種々の硫黄が使用可能である。
硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下であるのが好ましい。
硫黄の配合割合がこの範囲未満では、架橋物の架橋密度が前述した範囲を下回り、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
特に、防舷材を小型化した際に反力が不足して、十分な緩衝性能を確保できないおそれがある。
一方、硫黄の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部を超える場合には、架橋物の架橋密度が前述した範囲を超え、当該架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎて、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
またポリスルフィド結合の割合が前述した範囲を超え、先に説明したメカニズムによって、特に高温環境下で、経時変化による防舷材の緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなるおそれもある。
これに対し、硫黄の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下の範囲とすることにより、架橋物の架橋密度を前述した範囲に調整して、当該架橋物のゴム物性、すなわちゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどを好適にバランスさせて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。
また、ポリスルフィド結合の割合を前述した範囲に調整して、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、硫黄の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり1.2質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下であるのが好ましい。
また架橋促進剤としては、遅効性のものを選択して用いるのが好ましい。
一般に防舷材は、当該防舷材の形状に対応した金型内にゴム組成物を充填して、例えば130〜160℃の温度で3〜20時間程度の時間をかけて架橋させることによって製造される。
そのため架橋促進剤として、上記のように遅効性のものを選択して用いると、金型充填時のスコーチ等を良好に抑制できる。
かかる遅効性の架橋促進剤としては、スルフェンアミド系促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系促進剤としては、例えばN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(MSA)等の1種または2種以上が挙げられる。
スルフェンアミド系促進剤は、単独(2種以上のスルフェンアミド系促進剤を併用する場合を含む。以下同様。)で使用してもよいし、他の架橋促進剤と併用してもよい。
スルフェンアミド系促進剤と併用する他の架橋促進剤としては、前述したスコーチの発生を抑制しながら、なおかつスルフェンアミド系促進剤を活性化して架橋速度を上昇させ、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる種々の架橋促進剤が挙げられる。
かかる他の架橋促進剤としては、例えばチウラム系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、ジチオカルバミン酸系促進剤等の1種または2種以上が挙げられ、特にチウラム系促進剤が好ましい。
チウラム系促進剤は、上述したスルフェンアミド系促進剤を活性化する効果に優れる上、硫黄の供給源として、前述したように柔軟性は低いものの、化学的には安定なモノスルフィド結合の割合を増加させる効果も有している。
そのため、架橋促進剤としてチウラム系促進剤を併用して、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を増加させることにより、相対的にポリスルフィド結合の割合を少なくできることと相まって、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
チウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBT)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等の1種または2種以上が挙げられる。
前述したスルフェンアミド系促進剤を単独で使用する場合、および当該スルフェンアミド系促進剤とチウラム系促進剤を併用する場合のいずれにおいても、架橋促進剤全体での配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下であるのが好ましい。
架橋促進剤は、前述したように、硫黄によるゴム分の架橋を促進する作用をする。具体的には、スルフィド結合によるゴム分子間の架橋箇所を増加させて、架橋物の架橋密度を上昇させたり、架橋時間を短縮したりする。
ところが架橋促進剤の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部未満では上記の効果が得られず、架橋物の架橋密度が前述した範囲を下回り、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
また、架橋に長時間を要して防舷材の生産性が低くなるおそれもある。
一方、架橋促進剤の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部を超える場合には、当該架橋促進剤による、架橋を促進する効果が過剰になり、架橋物の架橋密度が前述した範囲を超え、当該架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎて、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
また、過剰の架橋促進剤が防舷材の表面にブルームするおそれもある。
これに対し、架橋促進剤の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、ブルームの発生を抑制しながら、架橋物の架橋密度を適度な範囲に調整して、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。また、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、架橋促進剤の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部以上であるのが好ましく、2.5質量部以下であるのが好ましい。
またチウラム系促進剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上であるのが好ましく、0.5質量部以下であるのが好ましい。
チウラム系促進剤の配合割合がこの範囲未満では、当該チウラム系促進剤を架橋促進剤として併用することによる、架橋速度を向上する効果や、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を多くして、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくする効果が十分に得られないおそれがある。
一方、チウラム系促進剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が過剰に増加して、防舷材の切断時伸びが小さくなる傾向があるため、防舷材に良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
これに対し、チウラム系促進剤の配合割合を上記の範囲とすることにより、全架橋中に占める、モノスルフィド結合とポリスルフィド結合の割合を適度にバランスさせて、防舷材に良好な緩衝性能を付与しながら、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。また、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる。
チウラム系促進剤を併用する場合は、当該チウラム系促進剤とスルフェンアミド系促進剤の合計の配合割合が、前述した、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下の範囲となるように、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を調整すればよい。
〈カーボンブラック〉
前述した窒素吸着比表面積、およびDBP吸油量の範囲を満足するカーボンブラックとしては、例えば東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m/g、DBP吸油量:114cm/100g〕、シースト5H〔IISAF、窒素吸着比表面積:99m/g、DBP吸油量:129cm/100g〕、シーストKH〔N399、窒素吸着比表面積:93m/g、DBP吸油量:119cm/100g〕、シースト3H〔HAF−HS、窒素吸着比表面積:82m/g、DBP吸油量:126cm/100g〕、シーストNH〔N351、窒素吸着比表面積:74m/g、DBP吸油量:127cm/100g〕、シースト3〔HAF、窒素吸着比表面積:79m/g、DBP吸油量:101cm/100g〕、シーストN〔LI−HAF、窒素吸着比表面積:74m/g、DBP吸油量:101cm/100g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下とする。この理由は、先に説明したとおりである。
〈老化防止剤〉
老化防止剤としては、特に高温環境下での、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を良好に抑制することを考慮すると、かかる高温環境下で使用しても揮発しにくい2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(224)が好適に使用される。
当該2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
また老化防止剤としては、上記2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体とともに、例えば日光亀裂、オゾン亀裂、および屈曲亀裂などの防止効果に優れたN−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン等の他の老化防止剤を併用してもよい。
他の老化防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下であるのが好ましい。
〈その他の成分〉
ゴム組成物には、さらに必要に応じて、架橋助剤、可塑剤、ワックス、粘着付与剤等を任意の割合で配合してもよい。
(架橋助剤)
架橋助剤としては、例えば酸化亜鉛等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋助剤の配合割合は、個別に、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えばオイルや液状ゴムが挙げられる。
このうちオイルとしては、例えば出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW、NP、NS、NR、NM、AC、AH等の各種グレードのオイルの1種または2種以上が挙げられる。
また液状ゴムとしては、例えば液状イソプレンゴム、水添液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、あるいはこれらの末端変性物等の1種または2種以上が挙げられる。特に天然ゴムとの相溶性に優れた液状イソプレンゴムが好ましい。
液状イソプレンゴムとしては、例えば(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)LIR−30(数平均分子量:28000)、LIR−50(数平均分子量:54000)等が挙げられる。
可塑剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり10質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下であるのが好ましい。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば大内新興化学工業(株)製の精製特殊ワックスであるサンノック(登録商標)、サンノックN、サンノックP等が挙げられる。これらのワックスは老化防止剤との併用により、日光き裂、オゾン亀裂を防止するために機能する。
かかるワックスの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
ゴム組成物は、例えば上記各成分のうち硫黄および架橋促進剤以外の各成分を、まずバンバリミキサ等を用いて混練したのち、さらに硫黄と架橋促進剤を加えて混練する等して調製できる。
調製したゴム組成物を用いて本発明の防舷材を製造する工程は従来同様でよい。すなわち製造する防舷材の大きさや形状に応じて成形、シート成形、組み立て、および架橋等の任意の工程を組み合わせて防舷材を製造することができる。
〈実施例1〉
ゴム分としては天然ゴム(TSR20品)70質量部と、非油展タイプのSBR〔前出のJSR(株)製のJSR1502、結合スチレン量:23.5%〕30質量部とを併用した。両ゴム分の総量100質量部を、下記表1に示す各成分のうち硫黄、および架橋促進剤以外の各成分とともに、バンバリミキサを用いて150℃で5分間混練した後、さらに硫黄と2種の架橋促進剤とを加えて、2軸オープンロールを用いて70℃で5分間混練して、シート状のゴム組成物を調製した。
Figure 2016223199
表1中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は天然ゴム100質量部あたりの質量部を示す。
カーボンブラック:HAF、前出の東海カーボン(株)製のシースト3、窒素吸着比表面積:79m/g、DBP吸油量:101cm/100g
オイル:前出の出光興産(株)製のダイアナ プロセスオイルNR26
ノクラック(登録商標)6C:N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製
ノクラック224:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製
ワックス:前出の大内新興化学工業(株)製のサンノック
酸化亜鉛2種:架橋助剤、三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:架橋助剤、日油(株)製の商品名つばき
硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
スルフェンアミド系促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS
〈実施例2〉
硫黄の配合割合を1.4質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を2.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例3〉
さらにチウラム系促進剤としてのテトラエチルチウラムジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーTET〕1.0質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例4〉
カーボンブラックとして、前出の東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m/g、DBP吸油量:114cm/100g〕70質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例5〉
天然ゴムの配合割合を90質量部、SBRの配合割合を10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例6〉
天然ゴムの配合割合を50質量部、SBRの配合割合を50質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例7〉
天然ゴムの配合割合を100質量部として、SBRを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例1〉
硫黄の配合割合を0.8質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例2〉
硫黄の配合割合を1.8質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を3.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例3〉
硫黄の配合割合を1.8質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例4〉
硫黄の配合割合を0.5質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.5質量部、チウラム系促進剤の配合割合を2.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例5、6〉
カーボンブラックとしてのシースト3の配合割合を50質量部(比較例5)、90質量部(比較例6)としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例7〉
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシーストSO〔FEF、窒素吸着比表面積42m/g、DBP吸油量:115cm/100g〕75質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例8〉
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシースト9〔SAF、窒素吸着比表面積142m/g、DBP吸油量:115cm/100g〕75質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例9、10〉
カーボンブラックとしてのシースト6の配合割合を55質量部(比較例9)、85質量部(比較例10)としたこと以外は実施例4と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈サンプルの作製〉
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス成形して、架橋させたシート状のサンプルを作製した。
〈架橋密度、ポリスルフィド結合、モノスルフィド結合の割合〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて直径3mmの試料円柱を作製し、当該試料円柱を用いて、前述した方法によって、架橋密度、ならびに全架橋中に占めるポリスルフィド結合、モノスルフィド結合の割合を求めた。
架橋物の架橋密度は、1×10−4mol/cm以上、3×10−4mol/cm以下を「○」、それ以外を「×」と評価した。
またポリスルフィド結合の割合は、20%以上、40%以下を「○」、それ以外を「×」と評価した。
さらにモノスルフィド結合の割合は、30%以上、50%以下を「○」、それ以外を「×」と評価した。
〈引張試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に規定されたダンベル状3号形試験片を作製し、標準試験温度下で、同規格に規定された引張試験をして引張強さTS(MPa)、および切断時伸びE(%)を求めた。
引張強さTSは、16MPa未満を「×」、16MPa以上、20MPa未満を「○」、20MPa以上を「◎」と評価した。
また切断時伸びEは、350%未満を「×」、350%以上、400%未満を「○」、400%以上を「◎」と評価した。
〈ゴム硬さ測定〉
作製したシート状のサンプルのタイプAデュロメータ硬さを、標準試験温度下で、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」に規定された測定方法によって測定した。
タイプAデュロメータ硬さは、65未満および80超を「×」、65以上、80以下を「○」、特に上記○の範囲のうち70以上、75以下を「◎」と評価した。
〈高温耐久性試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、引張試験と同じダンベル状3号形試験片を作製し、ギヤオーブン中で、100℃×15日間加熱した。
次いでデマッチャ屈曲試験機を用いて、温度80℃の環境下、試験周波数5Hz、伸長率30%の条件で伸長試験を繰り返した際に、上記試験片が破断に至る伸長の繰り返し回数を10回単位で、最多100×10回までカウントした。
そして30×10回未満の伸長によって破断したものを「×」、30×10回以上、100×10回未満の伸長によって破断したものを「○」、100×10回の伸長でも破断しなかったものを「◎」と評価した。
以上の結果を表2〜表5に示す。
Figure 2016223199
Figure 2016223199
Figure 2016223199
Figure 2016223199
前述した本発明の目的を達成するためには、表2〜表5の実施例1〜7、比較例1、2の結果より、架橋物の架橋密度が5×10−5mol/cm以上、2×10−4mol/cm以下である必要があることが判った。
また実施例1〜7、比較例3、4の結果より、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下である必要があることが判った。
また実施例1〜7、比較例5〜10の結果より、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積が70m/g以上、120m/g以下、DBP吸油量が90cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラックを用いる必要があること、その配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下である必要があることが判った。
また、実施例1〜7の結果より、架橋物の架橋密度は、上記の範囲でも1×10−4mol/cm以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1〜7の結果より、カーボンブラックの配合割合は、上記の範囲でも70質量部以上であるのが好ましいこと、ゴム分としては天然ゴムとSBRを併用するのが好ましいこと、かかる併用系では、SBRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、中でも40質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましいことが判った。

Claims (3)

  1. 少なくとも天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下の、窒素吸着比表面積が70m/g以上、120m/g以下、DBP吸油量が90cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラック、および硫黄を含むゴム組成物の架橋物からなり、架橋密度が5×10−5mol/cm以上、2×10−4mol/cm以下、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下である防舷材。
  2. 前記ゴム分は、前記天然ゴムとスチレンブタジエンゴムである請求項1に記載の防舷材。
  3. 前記スチレンブタジエンゴムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、50質量部以下である請求項2に記載の防舷材。
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