JP2016223199A - 防舷材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり60〜80質量部の、窒素吸着比表面積が70〜120m2/g、DBP吸油量が90〜130cm3/100gであるカーボンブラック、および硫黄を含むゴム組成物の架橋物からなり、架橋密度を5×10−5〜2×10−4mol/cm3、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を10〜50%とした防舷材である。
【選択図】なし
Description
かかる防舷材は、架橋性のゴム分にカーボンブラックなどの充填剤、ゴム分を架橋させるための架橋成分、および各種添加剤等を配合して調製したゴム組成物を、所定の防舷材の立体形状に成形するとともに、ゴム分を架橋させて製造される(例えば特許文献1等)。
天然ゴムは単独で使用してもよいし、例えばスチレンブタジエンゴム等の他のゴムと併用してもよい。
防舷材には、設置場所でスペースを取らずに良好な緩衝性能を発現したり、使用材料を少なくして生産コストを低減したりするために、小型化しても高い反力を有することが求められる。
すなわち防舷材は、通常は屋外に設置されるものであり、設置される地域や季節等によっては、例えば常時40℃以上といった高温環境下で使用され続ける場合がある。
また、例えば設置場所によっては、直射日光を受ける等して防舷材の表面温度が80℃以上といった高温に達する場合すらある。
ところがゴム製の防舷材は、経時変化によってゴム物性のバランスが崩れて、比較的短期間で良好な緩衝性能を維持できなくなったり、クラックを生じたりしやすいという問題がある。
特許文献2では、ゴム製の防舷材に、高温環境下でも常温環境下と大差ない緩衝性能を発現させるべく、温度23℃での最大反力R23と、温度60℃での最大反力R60との比R60/R23で表される圧縮性能変化率を0.90より大きくすることが提案されている。
すなわち、架橋物の架橋密度が5×10−5mol/cm3未満では、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎるため、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
一方、架橋物の架橋密度が2×10−4mol/cm3を超える場合には、当該架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりするため、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、架橋物の架橋密度は、上記の範囲でも特に1×10−4mol/cm3以下であるのが好ましい。
すなわち架橋剤として硫黄を使用した系では、周知のようにゴム分子間が、当該硫黄による、式(1):
−Sn− (1)
〔式中、nは1以上の数を示す。〕
で表されるスルフィド結合によって主に架橋されて、架橋物が形成される。
このうちポリスルフィド結合の割合が多いほど、また個々のポリスルフィド結合の鎖長が長いほど、架橋物は柔軟で、切断時伸びが大きくなる傾向がある。
また経時変化は、環境温度が高いほど急速に、短期間で進行する。
特にポリスルフィド結合の割合が過剰に多くなり、相対的にモノスルフィド結合の割合Rmが10%未満になると、上記経時変化による緩衝性能の低下の度合いが大きくなりすぎたり、クラックを生じたりしやすくなる。
また、本発明の防舷材のもとになるゴム組成物に配合されるカーボンブラックが、窒素吸着比表面積が70m2/g以上、120m2/g以下、DBP吸油量が90cm3/100g以上、130cm3/100g以下のカーボンブラックに限定されるのは、下記の理由による。
さらに上記窒素吸着比表面積およびDBP吸油量の範囲を満足するカーボンブラックの配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下に限定されるのは、下記の理由による。
一方、カーボンブラックの配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり80質量部を超える場合には補強効果が強くなりすぎるため、架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりして、上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、カーボンブラックの配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり70質量部以上であるのが好ましい。
架橋物の架橋密度とモノスルフィド結合の割合Rmを、それぞれ前述した範囲に調整するには、先に説明したように窒素吸着比表面積およびDBP吸油量の異なるカーボンブラックを選択したり、その配合割合を調整したり、あるいは後述する硫黄や架橋促進剤の種類および配合割合を調整したりすればよい。
まず、架橋物のもとになるシート状のゴム組成物を調製し、プレス成形によって架橋させたのち打ち抜いて、直径3mmの円柱状の試料(試料円柱)を作製する。
次いでこの試料円柱を、アセトンに20℃で24時間に亘って浸漬して、オイルや老化防止剤等の成分を除去した後、十分に乾燥させる。
そして試料円柱の端面に加えた、当該端面の膨潤前の単位面積あたりに換算した圧縮応力τ0[g/mm2]と、当該圧縮応力τ0を加えた際の試料円柱の圧縮率α=Ls/Ls0〔Ls0は膨潤後、圧縮前の試料円柱の高さ(mm)、Lsは、上記圧縮応力τ0で圧縮された状態の試料円柱の高さ(mm)を示す。〕を求める。
νe′:架橋点数[mol]
V0′:純ゴムポリマー体積[mm3]
R:気体定数=8.314[J/mol・K]
T:測定温度[K]
φ:カーボンブラック等のフィラーの体積分率=(フィラー体積)/(膨潤前の試料の全体積)
L0:膨潤前の試料円柱の高さ(mm)
またモノスルフィド結合の割合Rmを求めるには、上記試料を浸漬する浸漬液として、THFとベンゼンを質量比1:1で混合した混合溶液に、さらにポリスルフィド結合を切断する機能を有するLiAlH4(水素化アルミニウムリチウム)を加えたものを用いる。
Rm(%)=νm/νt×100 (3)
によって、上記モノスルフィド結合の割合Rmを求める。
Rp(%)=100−Rm (4)
によって求めることができる。
〈架橋物のゴム物性〉
架橋物のゴム物性は、これに限定されるものではないが、例えばゴム硬さは、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」において規定されたタイプAデュロメータで表して65以上、特に70以上であるのが好ましく、80以下、特に75以下であるのが好ましい。
さらに切断時伸びは、上記JIS K6251:2010において規定された切断時伸びEb(%)で表して350%以上、特に400%以上であるのが好ましい。
ゴム分としては、少なくとも天然ゴムを用いる。また天然ゴムとしては、例えばTSR−20、RSS#3等の各種グレードの天然ゴムが、いずれも使用可能である他、脱蛋白天然ゴム等も使用可能である。
またゴム分としては、上記天然ゴムを単独で使用してもよいし、当該天然ゴムと他のゴムとを併用してもよい。
すなわち上記の反応は、架橋物中で連鎖的に進行する。ところがゴムとして天然ゴムのみを使用した場合、架橋物は連続相を形成して、かかる連鎖を阻害する要素を含まないため、たとえ本発明の構成を採用したとしても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等の発生を抑制する効果が僅かに低下する傾向がある。
他のゴムとしては、例えばイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムの1種または2種以上が挙げられる。
なおSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明ではいずれのタイプのSBRを使用してもよい。
また油展タイプのSBRとしては、例えばJSR(株)製のJSR1732〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR0122〔結合スチレン量:37%、油量:25.4%〕、JSR1778〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR1778N〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
この範囲より他のゴムが少ない場合には、当該他のゴムを併用することによる、前述した、連鎖を阻害して経時変化による緩衝性能の低下やクラック等の発生を抑制する効果や、特に他のゴムとしてSBRを併用することによる、防舷材の緩衝性能を向上する効果が十分に得られないおそれがある上、耐摩耗性が小さくなって、繰り返し使用した際に防舷材が損耗しやすくなるなど、防舷材の耐久性が不十分になるおそれもある。
なお、他のゴムとして油展タイプのSBRを使用する場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分(ゴム分)としてのSBR自体の配合割合が、上記の範囲となるように設定すればよい。
架橋成分としては、架橋剤としての硫黄、および当該硫黄によるゴム分の架橋を促進する機能を有する架橋促進剤を組み合わせるのが好ましい。
このうち硫黄としては、ゴム分の架橋剤として機能しうる種々の硫黄が使用可能である。
硫黄の配合割合がこの範囲未満では、架橋物の架橋密度が前述した範囲を下回り、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
一方、硫黄の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部を超える場合には、架橋物の架橋密度が前述した範囲を超え、当該架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎて、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
これに対し、硫黄の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下の範囲とすることにより、架橋物の架橋密度を前述した範囲に調整して、当該架橋物のゴム物性、すなわちゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどを好適にバランスさせて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、硫黄の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり1.2質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下であるのが好ましい。
一般に防舷材は、当該防舷材の形状に対応した金型内にゴム組成物を充填して、例えば130〜160℃の温度で3〜20時間程度の時間をかけて架橋させることによって製造される。
そのため架橋促進剤として、上記のように遅効性のものを選択して用いると、金型充填時のスコーチ等を良好に抑制できる。
スルフェンアミド系促進剤としては、例えばN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(MSA)等の1種または2種以上が挙げられる。
スルフェンアミド系促進剤と併用する他の架橋促進剤としては、前述したスコーチの発生を抑制しながら、なおかつスルフェンアミド系促進剤を活性化して架橋速度を上昇させ、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる種々の架橋促進剤が挙げられる。
チウラム系促進剤は、上述したスルフェンアミド系促進剤を活性化する効果に優れる上、硫黄の供給源として、前述したように柔軟性は低いものの、化学的には安定なモノスルフィド結合の割合を増加させる効果も有している。
チウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBT)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等の1種または2種以上が挙げられる。
架橋促進剤は、前述したように、硫黄によるゴム分の架橋を促進する作用をする。具体的には、スルフィド結合によるゴム分子間の架橋箇所を増加させて、架橋物の架橋密度を上昇させたり、架橋時間を短縮したりする。
また、架橋に長時間を要して防舷材の生産性が低くなるおそれもある。
また、過剰の架橋促進剤が防舷材の表面にブルームするおそれもある。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、架橋促進剤の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部以上であるのが好ましく、2.5質量部以下であるのが好ましい。
チウラム系促進剤の配合割合がこの範囲未満では、当該チウラム系促進剤を架橋促進剤として併用することによる、架橋速度を向上する効果や、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を多くして、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくする効果が十分に得られないおそれがある。
これに対し、チウラム系促進剤の配合割合を上記の範囲とすることにより、全架橋中に占める、モノスルフィド結合とポリスルフィド結合の割合を適度にバランスさせて、防舷材に良好な緩衝性能を付与しながら、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。また、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる。
〈カーボンブラック〉
前述した窒素吸着比表面積、およびDBP吸油量の範囲を満足するカーボンブラックとしては、例えば東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m2/g、DBP吸油量:114cm3/100g〕、シースト5H〔IISAF、窒素吸着比表面積:99m2/g、DBP吸油量:129cm3/100g〕、シーストKH〔N399、窒素吸着比表面積:93m2/g、DBP吸油量:119cm3/100g〕、シースト3H〔HAF−HS、窒素吸着比表面積:82m2/g、DBP吸油量:126cm3/100g〕、シーストNH〔N351、窒素吸着比表面積:74m2/g、DBP吸油量:127cm3/100g〕、シースト3〔HAF、窒素吸着比表面積:79m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g〕、シーストN〔LI−HAF、窒素吸着比表面積:74m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
〈老化防止剤〉
老化防止剤としては、特に高温環境下での、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を良好に抑制することを考慮すると、かかる高温環境下で使用しても揮発しにくい2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(224)が好適に使用される。
また老化防止剤としては、上記2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体とともに、例えば日光亀裂、オゾン亀裂、および屈曲亀裂などの防止効果に優れたN−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン等の他の老化防止剤を併用してもよい。
〈その他の成分〉
ゴム組成物には、さらに必要に応じて、架橋助剤、可塑剤、ワックス、粘着付与剤等を任意の割合で配合してもよい。
架橋助剤としては、例えば酸化亜鉛等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋助剤の配合割合は、個別に、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
可塑剤としては、例えばオイルや液状ゴムが挙げられる。
このうちオイルとしては、例えば出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW、NP、NS、NR、NM、AC、AH等の各種グレードのオイルの1種または2種以上が挙げられる。
液状イソプレンゴムとしては、例えば(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)LIR−30(数平均分子量:28000)、LIR−50(数平均分子量:54000)等が挙げられる。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば大内新興化学工業(株)製の精製特殊ワックスであるサンノック(登録商標)、サンノックN、サンノックP等が挙げられる。これらのワックスは老化防止剤との併用により、日光き裂、オゾン亀裂を防止するために機能する。
ゴム組成物は、例えば上記各成分のうち硫黄および架橋促進剤以外の各成分を、まずバンバリミキサ等を用いて混練したのち、さらに硫黄と架橋促進剤を加えて混練する等して調製できる。
ゴム分としては天然ゴム(TSR20品)70質量部と、非油展タイプのSBR〔前出のJSR(株)製のJSR1502、結合スチレン量:23.5%〕30質量部とを併用した。両ゴム分の総量100質量部を、下記表1に示す各成分のうち硫黄、および架橋促進剤以外の各成分とともに、バンバリミキサを用いて150℃で5分間混練した後、さらに硫黄と2種の架橋促進剤とを加えて、2軸オープンロールを用いて70℃で5分間混練して、シート状のゴム組成物を調製した。
カーボンブラック:HAF、前出の東海カーボン(株)製のシースト3、窒素吸着比表面積:79m2/g、DBP吸油量:101cm3/100g
オイル:前出の出光興産(株)製のダイアナ プロセスオイルNR26
ノクラック(登録商標)6C:N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製
ノクラック224:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製
ワックス:前出の大内新興化学工業(株)製のサンノック
酸化亜鉛2種:架橋助剤、三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:架橋助剤、日油(株)製の商品名つばき
硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
スルフェンアミド系促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS
〈実施例2〉
硫黄の配合割合を1.4質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を2.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
さらにチウラム系促進剤としてのテトラエチルチウラムジスルフィド〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーTET〕1.0質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例4〉
カーボンブラックとして、前出の東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m2/g、DBP吸油量:114cm3/100g〕70質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
天然ゴムの配合割合を90質量部、SBRの配合割合を10質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈実施例6〉
天然ゴムの配合割合を50質量部、SBRの配合割合を50質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
天然ゴムの配合割合を100質量部として、SBRを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例1〉
硫黄の配合割合を0.8質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
硫黄の配合割合を1.8質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を3.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例3〉
硫黄の配合割合を1.8質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
硫黄の配合割合を0.5質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.5質量部、チウラム系促進剤の配合割合を2.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例5、6〉
カーボンブラックとしてのシースト3の配合割合を50質量部(比較例5)、90質量部(比較例6)としたこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシーストSO〔FEF、窒素吸着比表面積42m2/g、DBP吸油量:115cm3/100g〕75質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈比較例8〉
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシースト9〔SAF、窒素吸着比表面積142m2/g、DBP吸油量:115cm3/100g〕75質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
カーボンブラックとしてのシースト6の配合割合を55質量部(比較例9)、85質量部(比較例10)としたこと以外は実施例4と同様にして、シート状のゴム組成物を調製した。
〈サンプルの作製〉
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス成形して、架橋させたシート状のサンプルを作製した。
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて直径3mmの試料円柱を作製し、当該試料円柱を用いて、前述した方法によって、架橋密度、ならびに全架橋中に占めるポリスルフィド結合、モノスルフィド結合の割合を求めた。
架橋物の架橋密度は、1×10−4mol/cm3以上、3×10−4mol/cm3以下を「○」、それ以外を「×」と評価した。
さらにモノスルフィド結合の割合は、30%以上、50%以下を「○」、それ以外を「×」と評価した。
〈引張試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に規定されたダンベル状3号形試験片を作製し、標準試験温度下で、同規格に規定された引張試験をして引張強さTS(MPa)、および切断時伸びEb(%)を求めた。
また切断時伸びEbは、350%未満を「×」、350%以上、400%未満を「○」、400%以上を「◎」と評価した。
〈ゴム硬さ測定〉
作製したシート状のサンプルのタイプAデュロメータ硬さを、標準試験温度下で、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」に規定された測定方法によって測定した。
〈高温耐久性試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、引張試験と同じダンベル状3号形試験片を作製し、ギヤオーブン中で、100℃×15日間加熱した。
そして30×103回未満の伸長によって破断したものを「×」、30×103回以上、100×103回未満の伸長によって破断したものを「○」、100×103回の伸長でも破断しなかったものを「◎」と評価した。
また実施例1〜7、比較例3、4の結果より、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下である必要があることが判った。
さらに実施例1〜7の結果より、カーボンブラックの配合割合は、上記の範囲でも70質量部以上であるのが好ましいこと、ゴム分としては天然ゴムとSBRを併用するのが好ましいこと、かかる併用系では、SBRの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、中でも40質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましいことが判った。
Claims (3)
- 少なくとも天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下の、窒素吸着比表面積が70m2/g以上、120m2/g以下、DBP吸油量が90cm3/100g以上、130cm3/100g以下であるカーボンブラック、および硫黄を含むゴム組成物の架橋物からなり、架橋密度が5×10−5mol/cm3以上、2×10−4mol/cm3以下、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が10%以上、50%以下である防舷材。
- 前記ゴム分は、前記天然ゴムとスチレンブタジエンゴムである請求項1に記載の防舷材。
- 前記スチレンブタジエンゴムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の10質量部以上、50質量部以下である請求項2に記載の防舷材。
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