JP2016222628A - デュロキセチン塩酸塩の製造方法 - Google Patents

デュロキセチン塩酸塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗うつ剤として有用である(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン塩酸塩(一般名:デュロキセチン塩酸塩)の新規な製造方法を提供する。【解決手段】溶解用溶媒に、デュロキセチン塩酸塩を含む粗体が溶解した溶液(第一溶解工程)とアセトンとを混合し(混合工程)、その得られた混合液中に析出したデュロキセチン塩酸塩を一旦溶解した後(第二溶解工程)、デュロキセチン塩酸塩を析出させるデュロキセチン塩酸塩の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品原薬として有用なデュロキセチン塩酸塩の新規な製造方法に関する。
下記式(1)で示される(S)−(+)−N−メチル−3−(1−ナフチルオキシ)−3−(2−チエニル)プロピルアミン塩酸塩は、一般名でデュロキセチン塩酸塩とよばれる原薬化合物である。該化合物は、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる抗うつ剤である(特許文献1参照)。
Figure 2016222628
通常、公知の方法(特許文献1参照)により単に合成されたデュロキセチン塩酸塩は、複数の不純物を含む(以下、不純物を含む反応生成物であるデュロキセチン塩酸塩を「粗デュロキセチン塩酸塩」とする場合もある)。そのため、医薬品として使用するためには、粗デュロキセチン塩酸塩を精製し当該不純物群を除去することが必須である。
デュロキセチン塩酸塩の精製方法として、多数の精製方法が開示されている。例えば、先ず、下記式(2)で示される特定不純物Aを含む粗デュロキセチン塩酸塩を、アセトンと水との混合溶媒中、10℃以上還流温度未満で溶解させる。続いて、当該溶液を0℃以上30℃以下に冷却し、デュロキセチン塩酸塩を結晶化させる。さらに、固液分離、乾燥することにより、特定不純物Aが大幅に低減されたデュロキセチン塩酸塩を得る方法が知られている(特許文献2参照)。
Figure 2016222628
特許文献2に記載の方法に従えば、上記特定不純物Aを効率よく低減できる。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、アセトンと水との混合溶媒中で粗デュロキセチン塩酸塩を溶解するため、どうしても溶解時の温度を高くしなければならない傾向にあった。明細書中には、10℃以上還流温度未満で溶解させることが示されているが、実施例では、混合溶媒の還流温度で粗デュロキセチン塩酸塩を溶解させている。さらに、この特許文献2に記載の方法では、先に混合溶媒を準備するため、粗デュロキセチン塩酸塩に含まれる不純物の種類、その含有量によっては、溶解しない場合があったり、どうしても高温で取扱わなければならない場合があり、改善の余地があった。
また、粗デュロキセチン塩酸塩の精製方法としては、以下の方法も知られている。例えば、酢酸エチル、アセトン、又はエチルメチルケトンを含む非プロトン性溶媒及び、水、メタノール、エタノール、又は2−プロパノールを含むプロトン性溶媒の混合溶媒を使用する方法である(特許文献3参照)。この方法においても、先に混合溶媒を準備する場合には特許文献2と同様の改善点があった。また、この特許文献3には、再結晶の他、良溶媒となるプロトン性溶媒を含む溶媒中に粗デュロキセチン塩酸塩の一部を溶解させた懸濁液を準備し、その懸濁液に貧溶媒である非プロトン性溶媒を滴下し、デュロキセチン塩酸塩を析出する方法が示されている。具体的には、以下の通りである。先ず、メチルエチルケトンと水との混合溶媒中、還流温度(約80℃)で粗デュロキセチン塩酸塩の懸濁液を準備する。その後、還流温度にてメチルエチルケトンを滴下し、デュロキセチン塩酸塩を結晶化させる。続いて、当該懸濁液を35℃に冷却して、デュロキセチン塩酸塩を得る方法である。
しかしながら、本発明者等がこの方法を検討したところ、特定不純物Aを高度に低減できないことが分かった。
特許2549681号公報 特許WO2006/099468号公報 特表2013−503823号
特許文献3に記載の方法において、特定不純物Aが低減できない理由として、本発明者等は懸濁液となっていることが原因であると推定した。そこで、懸濁液ではなく、一旦、粗デュロキセチン塩酸塩を溶解し、次いで、貧溶媒であるメチルエチルケトンを添加(滴下)する方法を検討した。粗デュロキセチン塩酸塩を溶解させるためには、混合溶媒中の水の量を増やせばよく、メチルエチルケトン及び水の量を変更して粗デュロキセチン塩酸塩が溶解する条件にしてデュロキセチン塩酸塩を精製した。
しかしながら、この方法では、特定不純物Aも十分に低減できず、さらには、特定不純物A以外の不純物が増加することが分かった。具体的には、下記の実施例で詳述する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した際に、特定不純物Aとは異なる時間で確認できる特定の不純物群(以下、特定不純物B、特定不純物C、特定不純物Dとする。)が増加することが分かった。
したがって、本発明の目的は、操作性がよく、粗デュロキセチン塩酸塩を精製できる方法において、効率よく特定不純物Aだけでなく、その他、特定の不純物群をも低減できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた。先ず、特許文献3を改良した記載の方法において、特定の不純物群が副生する原因を検討した。そして、水を増加させた際の混合溶液の温度(還流温度)が高温になることが原因ではないかと考え、検討を行った(水を増加させた場合でも還流温度は80℃以上であった。)。
すなわち、粗デュロキセチン塩酸塩は、溶媒に溶解させた状態で比較的高い温度で取扱う(放置する)と、不純物が増加するのではないかと考えた。そして、検討を進めると、デュロキセチン塩酸塩が熱分解し易いこと、特に、比較的高い温度において、水中での安定性が低いこと、及び、粗デュロキセチン塩酸塩に含まれる不純物、例えば、特定不純物Aも熱分解し易いことが推定された。つまり、デュロキセチン塩酸塩だけでなく、不純物も熱により分解し易いため、特定の不純物群となって不純物の種類が増加するのではないかと考えられた。この結果を基に、溶解時の温度を制御することにより、特定不純物Aだけでなく、特定不純物群をも低減できるものと考え、更に検討を続けた。
その結果、炭素数1〜3のアルコールから選ばれる少なくとも1種の極性溶媒を含む溶解用溶媒にデュロキセチン塩酸塩が溶解した溶液(第一溶解工程)とアセトンとを混合し(混合工程)、その得られた混合液中に析出したデュロキセチン塩酸塩を一旦溶解した後(第二溶解工程)、デュロキセチン塩酸塩を析出させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、炭素数1〜3のアルコールを含む溶解用溶媒に、デュロキセチン塩酸塩を含む粗体を50℃以下の温度で溶解させる第一溶解工程、
第一溶解工程で得られた溶液とアセトンとを混合して、前記アルコールとアセトンとを含む混合液中にデュロキセチン塩酸塩を析出させる混合工程、
混合工程で得られた混合液の温度を60℃以下としてデュロキセチン塩酸塩を溶解させる第二溶解工程、及び
第二溶解工程で得られた溶液からデュロキセチン塩酸塩を析出させる析出工程
を含むことを特徴とするデュロキセチン塩酸塩の製造方法である。
本発明において、不純物をより低減するためには、前記第二溶解工程において、混合液の温度を40〜60℃とすることが好ましい。
また、本発明の操作性を向上するためには、前記第一溶解工程において、溶解用溶媒が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部含むことが好ましい。
また、収率を高めるためには、前記混合工程において、混合液が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部、及びアセトンを400〜1600質量部含むものとすることが好ましい。
さらに、本発明において、低温での操作を可能とし、より収率・純度を高めるためには、 前記第一溶解工程において、溶解用溶媒が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを300〜400質量部含み、該第一溶解工程で得られた溶液を、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールが60〜120質量部となるように調整する調整工程を行い、該調整工程で得られた調整液とアセトンとを混合して混合工程を行うことが好ましい。また、本発明においては、水よりも低温で除去(留去)できるアルコールを使用しているため、特定不純物を増加させることなく、前記調整工程を容易に実施することができる。
また、本発明においては、前記第一溶解工程で得られた溶液と活性炭とを接触させた後、得られた溶液とアセトンとを混合して混合工程、或いは、調整工程を実施する場合には、 前記第一溶解工程で得られた溶液と活性炭とを接触させた後、得られた溶液を、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールが60〜120質量部となるように調整することが好ましい。第一溶解工程で一旦溶液を製造するため、活性炭処理が容易となり、より純度を高めることができる。
本発明によれば、溶解用溶媒に、デュロキセチン塩酸塩を含む粗体が溶解した溶液(第一溶解工程)とアセトンとを混合し(混合工程)、その得られた混合液中に析出したデュロキセチン塩酸塩を一旦溶解した後(第二溶解工程)、デュロキセチン塩酸塩を析出させることにより、特定不純物Aだけでなく、特定不純物群をも低減したデュロキセチン塩酸塩を得ることができる。本発明の方法は、簡便な方法で高純度のデュロキセチン塩酸塩を得ることができるため、工業的利用価値が高い。
本発明は、溶解用溶媒にデュロキセチン塩酸塩を含む粗体が溶解した溶液(第一溶解工程)とアセトンとを混合し(混合工程)、その得られた混合液中に析出したデュロキセチン塩酸塩を一旦溶解した後(第二溶解工程)、デュロキセチン塩酸塩を析出させる方法に関する。以下、順を追って説明する。
(第一溶解工程)
本発明においては、先ず、デュロキセチン塩酸塩を含む粗体を溶解用溶媒に溶解する第一溶解工程を実施する。
(溶解用溶媒に溶解させるデュロキセチン塩酸塩を含む粗体:対象DXT)
本発明において、溶解用溶媒に溶解させるデュロキセチン塩酸塩を含む粗体(以下、「対象DXT」とする場合もある。)は、純度が100%のデュロキセチン塩酸塩ではなく、不純物を含むものであればよい。そのため、反応生成物であってもよく、不純物を含むが精製されて不純物が低減されているものであってもよい。また、結晶構造も、特に制限されるものではなく、FormA、FormB、FormT、FormII、又はFormC(少なくとも2θ=9.7°±0.3°に特異的なピークを有する結晶)であってもよい。また、これら結晶構造を複数含んだものであってもよい。その中でも、本発明の方法によれば、特定不純物Aも効率よく除去できるため、反応生成物である、不純物を含んだ粗デュロキセチン塩酸塩を対象DXTとすることが好ましい。
(粗デュロキセチン塩酸塩:反応生成物)
本発明に方法によれば、デュロキセチン塩酸塩の純度を高くするため(不純物を低減できるため)、対象DXT、反応生成物である粗デュロキセチン塩酸塩とすることが好ましい。
対象DXTとなる粗デュロキセチン塩酸塩の純度は、特に制限されるものではないが、95.0〜99.9%であることが好ましく、さらに98.0〜99.9%であることが好ましい。この範囲であれば、粗デュロキセチン塩酸塩を効率よく製造でき、しかも精製効率を高めることができる。なお、粗デュロキセチンの純度は、下記の実施例で説明するHPLCで測定したピーク面積%の値である。
粗デュロキセチン塩酸塩は、上記の通り、特許文献1に記載の方法により製造できる。具体的には、下記に示す方法で製造できる(下記合成式を参照)。デュロキセチン塩酸塩の合成ルートは、DXT−A01(下記参照)とジメチルアミン、パラホルムアルデヒドを酸性条件下で反応させDXT−A02(下記参照)を合成する第I工程、DXT−A02を水素化ホウ素ナトリウムにより還元させ、DXT−A03(下記参照)を合成する第II工程、DXT−A03とフルオロナフタレンを反応させてDXT−A04(下記参照)を合成する第III工程、得られたDXT−A04のN−メチル基を脱メチル化してDXT−A05(下記参照)を得る第IV工程、及びDXT−A05に塩酸を加えて塩酸塩化し粗デュロキセチン塩酸塩を取得する第V工程を含む。本発明においては、この第V工程で得られた粗デュロキセチン塩酸塩(DXT−crude)を対象DXTとすることができる。また、公知の方法で簡単に精製した粗デュロキセチン塩酸塩を対象DXTとすることもできる。この方法で得られた反応生成物を対象DXTとする場合には、通常、純度が95.0〜99.9%、好ましくは98.0〜99.9%であり、特定不純物Aの量が0.05〜1.00%、好ましくは0.05〜0.20%であり、特定の不純物群の合計量(特定不純物B、C及びDの合計量)が0.01〜1.00%、好ましくは0.01〜0.10%である。なお、各特定不純物の量は、下記の実施例で説明するHPLCで測定したピーク面積%の値である。
Figure 2016222628
対象DXTは、溶媒を含む湿体の粗デュロキセチン塩酸塩であってもよい。この場合、含まれる溶媒が、極性溶媒及びアセトンである場合には、下記に詳述する溶解用溶媒と見なせばよい。
(溶解用溶媒)
対象DXTを溶解させる溶解用溶媒は、炭素数1〜3のアルコールから選ばれる少なくとも1種の極性溶媒を含むものである。これら極性溶媒は、単独で使用することもできるし、複数種類の混合物を使用してもよい。中でも、対象DXTをなるべく低い温度溶解し、しかも不純物を効率よく低減するためには、メタノールを使用することが好ましい。
溶解用溶媒の組成、使用量は、該溶解用溶媒に50℃以下の温度で対象DXTが溶解するように調整すれば、特に制限されるものではない。中でも、溶解用溶媒の使用量を減らし、効率よく対象DXTを溶解させるためには、対象DXTの固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部使用することが好ましい。この範囲の量のアルコールを使用することにより、50℃以下の温度でも十分に対象DXTは溶解できる。
本発明においては、溶解用溶媒に対象DXTを溶解させた溶液は、そのまま、下記に詳述する混合工程で処理することもできるし、一旦、前記アルコールの量を調整する、調整工程で処理することもできる。
調整工程を実施しない場合、効率よく特定不純物の量を低減するためには、溶解用溶媒はデュロキセチン塩酸塩に対して貧溶媒であるアセトンを含むことが好ましい。この場合、対象DXTの固形分100質量部に対して、炭素数1〜3のアルコールを60〜120質量部、及びアセトンを400〜1600質量部含む混合溶媒からなる混合溶媒に対象DXTの固形分を溶解させることが好ましい。より効率よく純度を高めるためには、対象DXTの固形分100質量部に対して、炭素数1〜3のアルコールを80〜120質量部、及びアセトンを900〜1400質量部含むことがより好ましく、炭素数1〜3のアルコールを100〜120質量部、及びアセトンを1000〜1200質量部含むことがさらに好ましい。また、調整工程を実施しない場合、工程数が減り、製造時間を短縮することもできる。
また、溶解溶媒に対象DXTを溶解した後、調整工程を実施する場合には、対象DXTの固形分100質量部に対して、前記アルコールを300〜400質量部使用することがより好ましい。この範囲にすることにより、低温で対象DXTを溶解することができるため、熱による不純物の増加を抑制することができる。また、調整工程前に活性炭と接触させる場合には、その操作が容易となる。この場合、溶解溶媒は、アセトンを含まない方が好ましい。さらに、調整工程を実施することで、良溶媒のアルコールの量を制御できるため、高収率でデュロキセチン塩酸塩を得ることができる。
本発明においては、以上のような溶解用溶媒に対象DXTを溶解させる。次に、この溶解時の条件等について説明する。
(溶解用溶媒に対象DXTさせる際の条件(第一溶解工程の条件))
本発明においては、対象DXTを前記溶解用溶媒に溶解させる際、その温度を50℃以下にしなければならない。溶解時の温度が50℃を超えると、特定の不純物群が増加する傾向にあるため好ましくない。さらには、50℃を超える温度で溶解させると、下記に詳述する第二溶解工程において、溶解時の温度をどうしても高くしなければならなくなり、特定の不純物群を増加させるため好ましくない。特定の不純物群の副生をより効率よく抑制し、溶解用溶媒の使用量を低減し、しかも、デュロキセチン塩酸塩の純度を高くするためには、溶解時の温度は、5〜50℃とすることが好ましく、さらに20〜30℃とすることが好ましい。なお、対象DXTを溶解用溶媒に溶解させる際の雰囲気は、特に制限されるものではなく、大気下、不活性ガス雰囲気下の何れであってもよい。
本発明において、溶解用溶媒に対象DXTを溶解させる方法は、溶解時の温度が50℃以下であれば、特に制限されるものではない。具体的には、50℃以下の温度下で溶解用溶媒と対象DXTとを混合し、溶解用溶媒中に対象DXTが溶解したのを確認すればよい。対象DXTが溶解したかどうかは、目視にて確認できる。具体的な方法としては、予め所定の温度とした溶解用溶媒と対象DXTとを混合してもよいし、溶解用溶媒と対象DXTと混合した後、所定の温度とすることもできる。溶解用溶媒と対象DXTとは、公知の方法で混合することができ、好ましくは攪拌混合してやればよい。また、この際、溶解用溶媒に溶解しないものは、濾過により分離してもよい。さらには、対象DXTを溶解させた後、活性炭等の吸着材で処理することにより、着色等に影響する成分を除去することもできる。
本発明者等の検討によれば、対象DXTが溶解している溶液の温度を、60℃を超える温度とすると不純物が著しく増加することが分かった。そのため、下記に詳述する第二溶解工程において、60℃を超える温度で溶解させないためには、第一溶解工程においては、50℃以下の温度で溶解させなければならない。なお、60℃を超える温度とすると不純物が著しく増加する問題は、デュロキセチン塩酸塩が溶解した溶液特有の問題であった。例えば、懸濁液の状態、又は溶媒が乾燥された固体(湿体)状態で60℃を超える温度にデュロキセチン塩酸塩を放置したとしても、不純物の増加は少なかった。
上記第一溶解工程の条件で対象DXTを溶解させた溶液を準備することができる。得られた溶液は、そのまま混合工程で使用することができる。ただし、該溶液が着色などしている場合には、活性炭処理することも可能である。次に、活性炭処理について説明する。
(活性炭処理工程)
本発明においては、第一溶解工程によって得られた溶液と、活性炭とを接触させる活性炭処理工程を行うことも可能である。具体的には、第一溶解工程によって得られた溶液と活性炭とを混合攪拌した後に、ろ過により活性炭の除去することにより、処理することができる。
上記活性炭処理工程において、活性炭の量は、対象DXTの固形分100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、さらに5〜10質量部であることが好ましい。しかも、効率よく脱色を行うためには、温度は、5〜50℃とすることが好ましく、さらに20〜30℃とすることが好ましい。
本発明において、上記活性炭処理を行った後、前記アルコールの使用量が多い場合には、最終的に得られるデュロキセチン塩酸塩の収率が低下するおそれがあるため、次の調整工程を実施することが好ましい。
(調整工程)
本発明においては、前記第一溶解工程、及び、必要時応じて実施する活性炭処理工程を経た溶液において、前記アルコールの使用量が多い場合には、溶媒量を調整する調整工程を行うことが好ましい。例えば、第一溶解工程において、対象DXTの固形分100質量部に対して、前記アルコールを300〜400質量部使用した場合には、調整工程を実施することが好ましい。
具体的には、第一溶解工程によって得られた炭素数1〜3のアルコールと対象DXTの混合液の濃縮を行い、所定の溶媒量までアルコールを留去する。本発明において、調整工程を行う場合には、対象DXTの固形分100質量部に対して、前記アルコールが60〜120質量部となるようすることが好ましい。前記アルコール量の範囲とすることにより、最終的に得られるデュロキセチン塩酸塩の純度、収率を高くすることができる。この調整工程時に、デュロキセチン塩酸塩が析出してもよい。
本発明においては、この調整工程において、溶液の温度が60℃を超えると特定の不純物が増加する傾向にある。また、溶液の温度が10℃以下であれば不純物の副生は抑えられるが、溶媒留去の速度は遅く、製造時間が長くなる傾向にある。そのため、不純物の副生を抑え、調整工程の時間を短くするためには、溶液の温度を20〜50℃として、前記アルコールを留去することが好ましく、さらに25〜35℃として、前記アルコールを留去することが好ましい。溶解用溶媒として、前記アルコールを使用しているため、60℃以下の温度において、容易に該アルコール量を低減できる。留去の方法としては、減圧下で留去する方法、気流下で留去する方法を採用すればよい。
以上の方法により、溶解用溶媒に対象DXTが溶解した溶液を準備する。次に、本発明においては、この溶液とアセトンとを混合し、デュロキセチン塩酸塩を析出させる混合工程を実施する。この方法について説明する。
(混合工程)
本発明においては、前記第一溶解工程、および、必要に応じて実施する活性炭処理工程、及び調整工程を経た溶液とアセトンとを混合して、アルコールとアセトンとを含む混合液中にデュロキセチン塩酸塩を析出させる(混合工程の実施)。この混合工程を行うことにより、高い収率を維持しながら、高純度のデュロキセチン塩酸塩を製造できる。この理由は明らかではないが、以下のように推定している。すなわち、対象DXTが前記アルコールを含む溶解用溶媒に溶解した溶液とアセトンとを混合することにより、デュロキセチン塩酸塩が析出する。本発明においては、貧溶媒であるアセトンを混合してデュロキセチン塩酸塩を析出させることにより、精製効果を高め、かつ収率を高くすることができる。この理由は明らかではないが、一旦、デュロキセチン塩酸塩を析出させることにより、前記アルコールに溶解し易い特定不純物が析出した該塩から低減できると考えられる。そして、その後の第二溶解工程、析出工程を実施することにより、高収率で高純度のデュロキセチン塩酸塩が得られるものと考えられる。
対象DXTが溶解した溶液とアセトンと混合する方法は、特に制限されるものではない。具体的には、攪拌中のアセトン中に該溶液を添加して両者を攪拌混合する方法、攪拌中の該溶液中にアセトンを添加して両者を攪拌混合する方法、又は両者を同時に装置内へ投入し攪拌混合する方法を採用することができる。該溶液とアセトンとを混合する際、混合時の該溶液の温度は60℃以下であれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、20〜40℃である。また、アセトンが添加された後の混合液の温度(アセトンを混合して結晶が析出する際の温度)は、20〜40℃とすることが好ましく、さらに25〜35℃とすることが好ましい。また、アセトンを溶液に添加する場合、特に制限されるものではないが、その際の添加速度は、1〜10000ml/分の範囲であることが好ましい。
使用するアセトンは、通常の市販のものを使用することができる。そのため、該アセトンには、不可避的に含まれる水が1%以下含まれていてもよいが、なるべく水が含まれないものを使用することが好ましい。なお、該溶液とアセトンとを混合する際の雰囲気は、特に制限されるものではなく、大気下、不活性ガス雰囲気下の何れであってもよい。
この工程におけるアセトンの使用量は、デュロキセチン塩酸塩を析出させる際の温度、固形分濃度等によって最適値が変わるため、一概に限定することはできない。中でも、純度、収率等を考慮すると、混合液が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部、及びアセトンを400〜1600質量部含むことが好ましい。さらには、該混合溶液が、対象DXTの固形分100質量部に対して、前記アルコールが60〜120質量部、及びアセトンを600〜1200質量部含むことが好ましい。なお、このアセトンの使用量は、混合溶液中における全アセトン量である。すなわち、溶解用溶媒がアセトンを含む場合には、混合工程で使用したアセトンと溶解用溶媒に含まれるアセトンとの合計量である。
以上の方法によって、溶解用溶媒に対象DXTが溶解した溶液とアセトンとを混合することにより、得られる混合液中にデュロキセチン塩酸塩を析出することができる。この方法は、複数回繰り返すこともできる。次にこの析出するデュロキセチン塩酸塩を溶解させる第二溶解工程について説明する。
(第二溶解工程)
本発明においては、混合工程によって析出したデュロキセチン塩酸塩を再溶解する第二溶解工程を行う。本発明においては、混合工程によって析出するデュロキセチン塩酸塩を本工程で再溶解させ、再び結晶化させることで特定不純物群をより低減できる。第二溶解工程において、溶解時の混合液の温度は、60℃以下としなければならない。60℃を超えると不純物が増加するため好ましくない。操作性よく、しかも、高収率で高純度のデュロキセチン塩酸塩を製造するためには、第二溶解工程における混合液の温度は、40〜60℃とすることが好ましい。
なお、その他の条件は、第一溶解工程と同じ条件を採用することができる。
(析出工程)
本発明においては、前記第一溶解工程、必要に応じて実施する活性炭処理工程及び調整工程、混合工程、並びに第二溶解工程を経て得られた混合液は、精製したデュロキセチン塩酸塩の収率を向上するため、放置(静置)してデュロキセチン塩酸塩の結晶を析出させる。この際、温度は、特に制限されるものではないが、より収率を高め、高い純度を維持するためには、−10〜10℃の範囲とすることが好ましく、−5〜5℃の範囲とすることがより好ましい。
析出工程において、放置する時間は、特に制限されるものではなく、混合液の温度が−10〜10℃の範囲であれば、30〜120分間であれば十分である。
析出工程で析出したデュロキセチン塩酸塩は、公知の方法で取出すことができる。具体的には、濾別した後、必要に応じて洗浄し、乾燥することにより、デュロキセチン塩酸塩を製造できる。乾燥温度、時間は、特に制限されるものではないが、40〜80℃で、1〜24時間実施すれば十分である。
(精製して得られたデュロキセチン塩酸塩(精製DXT))
本発明の方法によれば、例えば、純度95.0〜99.9%の粗デュロキセチン塩酸塩から取得される精製デュロキセチン塩酸塩の純度は、98.0〜99.99%とすることができ、より好ましくは99.0〜99.99%とすることができる。なお、精製デュロキセチンの純度は、下記の実施例で説明するHPLCで測定したピーク面積%の値である。
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例におけるデュロキセチン塩酸塩純度の測定は、以下に示す方法で行なった。
(デュロキセチン塩酸塩の純度の評価)
デュロキセチン塩酸塩の純度・特定不純物の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。HPLC測定に使用した装置、測定の条件は、以下のとおりである。なお、デュロキセチン塩酸塩の純度とは、得られたクロマトグラムにおけるデュロキセチン塩酸塩のピーク面積値の、全てのピークの面積値の合計に対する百分率で示した値である。また、該条件によるHPLC分析におけるデュロキセチン塩酸塩の保持時間は14.5分付近である。また、特定不純物Aの保持時間は16.2分付近であり、特定不純物Bの保持時間は6.1分付近であり、特定不純物Cの保持時間は7.2分付近であり、特定不純物Dの保持時間は10.6分付近である。
装置:ウォーターズ社製2695。
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)。
検出波長:230nm。
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に3.5μmの液体クロマトグラフィー用オクチルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
移動相:アセトニトリル/1−プロパノール/緩衝液(13:27:70)。
緩衝液:リン酸1.7mLを蒸留水900mLに溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH2.5に調製する。溶液量が1000mLになるまで蒸留水を追加し、その溶液に1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム・1水和物を10.3g溶解させる。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
製造例1(対象DXTの製造)
2―アセチルチオフェン(DX−A01、63.1g、0.50mol) 、ジメチルアミン塩酸塩(53.0g、0.65mol) 、パラホルムアルデヒド(19.8g、0.22mol) 及びエタノール(80mL)中の12N塩酸(1mL)の混合物を加熱し、2時間還流した。この溶液をエタノール(100mL)及びアセトン(500mL)で希釈し、得られた混合溶液を0℃ まで冷却し、さらに1 時間以上撹拌した。次に得られた結晶を減圧濾過により濾別し、エタノールで洗浄した。この洗浄した固体を60℃で5時間、減圧下乾燥し、2−チエニル2−ジメチルアミノエチルケトン塩酸塩(DX−A02・HCl、75.0g、73%)を得た。
DX−A02・HCl(70.0g,0.34mol)をメタノール(840mL)及び水(420mL)中にて0℃で撹拌し、水酸化ナトリウムを徐々に加えることによって、この溶液のpHを11〜12に上げた。水酸化ホウ素ナトリウム(12.9g,0.34mol)を加え、この混合物を0℃で15時間撹拌した。次に、メタノールを減圧留去し、残った溶液を水で希釈した。この溶液をジエチルエーテルで抽出し、この溶液をジエチルエーテルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウム溶液で乾燥し、減圧濃縮して、無色結晶を得た。この結晶をヘキサンから再結晶して、α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−チオフェン メタノール(DX−A03、49.2g、78%)を得た。
DX−A03(2.0g,0.011mol)をジメチルアセトアミド(100mL)中の60%水素化ナトリウム(463mg、0.012mol)の溶液中に滴加した。得られた混合物を70℃で20分間加熱した。1−フルオロナフタレン(1.27mL、0.012mol)をこの混合溶液に滴加し、110℃で60分間加熱した。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで2回抽出した。抽出液を合わせ、水で洗い、次に飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、油状化合物(DX−A04、3.28g、75.6%)を得た。
DX−A04(1.79g、0.0058mol)のトルエン(100mL)中還流溶液にクロロギ酸フエニル(794μl、0.0063mol)を滴加した。得られた溶液を2時間還流し、室温まで冷却した。この溶液を2.5N水酸化ナトリウム、水、1N塩酸、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して粗カルバメート(2.4g)を得た。5N水酸化ナトリウム(11.5mL、0.058mol)をプロピレングリコール(100mL)中のカルバメート溶液(2.4g、0.0058mol)に加えた。この混合物を110℃で2時間加熱した。この反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を水で洗浄し、次に飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して(S)−N、N−ジメチル−3−ヒドロキシ−3−(2−チエニル)プロパンアミン(DX−A05、1.5g)を得た。
DX−A05(1.8g、0.006mol)を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、濃塩酸(0.65g)を加え、23℃にて1 時間撹拌し、0 ℃ にて1時間撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、酢酸エチル10mlにより、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を酢酸エチル/メタノールから再結晶化して対象DXTであるデュロキセチン塩酸塩(1.00g、50%)を得た。
対象DXTは、HPLC純度99.872%、特定不純物A 0.097%、特定不純物B 0.006%、特定不純物C 0.001%、特定不純物D 0.005%であった。
実施例1
第一溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、対象DXT(デュロキセチン塩酸塩(約30.0mmol相当))の固形分10.0g、メタノール40.0mL(固形分100質量部に対して316質量部)を加え攪拌した。得られた混合物を少しずつ加温し、25℃で30分撹拌し、対象DXTが溶解したのを目視により確認した。
活性炭処理工程
第一溶解工程で得られた溶液に活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製 製品名 白鷺P)1.0g(固形分100質量部に対して10質量部)を加え、25℃で30分攪拌処理を行った。その後、活性炭除去のため、減圧濾過を行い、メタノール10mL(固形分100質量部に対して79質量部)で洗浄を行った。
調整工程
活性炭処理工程で得られた溶液を攪拌翼、温度計を取り付けた200mLの三つ口フラスコに移送し、30℃まで加温し、減圧濃縮によりメタノールを41mL(固形分100質量部に対して325質量部)留去した。その結果、対象DXTの固形分100質量部に対して、メタノール70質量部となった。
混合工程
調整工程で得られた溶液に、30℃でアセトン90.0mL(固形分100質量部に対して703質量部)を加え攪拌した。得られた混合液は、対象DXTの固形分100質量部に対して、メタノール70質量部であり、アセトン703質量部となった。当然のことながら、得られた混合液にはデュロキセチン塩酸塩が析出していた。
第二溶解工程
混合工程で得られた混合液を攪拌しながら55℃まで加温した。析出していたデュロキセチン塩酸塩が溶解したのを目視により確認した。
析出工程
第二溶解工程で得られた溶液を5℃まで冷却し、1時間攪拌した。減圧濾過により析出した結晶を濾別し、アセトン10ml(固形分100質量部に対して78質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を60℃で2時間減圧乾燥し、白色結晶としてデュロキセチン塩酸塩8.03g(24.1mmol)を得た(収率:80.0%、純度:99.940%、特定不純物A:0.058%、特定不純物B:0.001%、特定不純物C:未検出、特定不純物D:0.000%)。
実施例2
第一溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、対象DXT(デュロキセチン塩酸塩(約6.0mmol相当))の固形分2.0g、メタノール2.8mL(固形分100質量部に対して111質量部)、アセトン2.8mL(固形分100質量部に対して111質量部)を加え攪拌した。得られた混合物を少しずつ加温し、25℃で30分撹拌し、対象DXTが溶解したのを目視により確認した。
混合工程
第一溶解工程で得られた溶液にアセトン25.2mL(固形分100質量部に対して984質量部)を加え撹拌した。得られた混合液は、対象DXTの固形分100質量部に対して、メタノール111質量部であり、アセトン1095質量部となった。当然のことながら、得られた混合液にはデュロキセチン塩酸塩が析出していた。
第二溶解工程
混合工程で得られた混合液を攪拌しながら45℃まで加温した。析出していたデュロキセチン塩酸塩が溶解したのを目視により確認した。
析出工程
第二溶解工程で得られた溶液を5℃まで冷却し、1時間攪拌した。減圧濾過により析出した結晶を濾別し、アセトン2ml(固形分100質量部に対して78質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を60℃で2時間減圧乾燥し、白色結晶としてデュロキセチン塩酸塩1.52g(4.5mmol)を得た(収率:76.0%、純度:99.935%、特定不純物A:0.058%、特定不純物B:0.001%、特定不純物C:未検出、特定不純物D:0.002%)。
比較例1
第一溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、対象DXT(デュロキセチン塩酸塩(約6.0mmol相当))の固形分2.0g、メタノール2.0mL(固形分100質量部に対して79質量部)、アセトン2.0mL(固形分100質量部に対して78質量部)を加え攪拌した。得られた混合物を少しずつ加温し、40℃で30分撹拌し、対象DXTが溶解したのを目視により確認した。
混合工程
第一溶解工程で得られた溶液にアセトン18.0mL(固形分100質量部に対して1093質量部)を加え攪拌した。得られた混合液は、対象DXTの固形分100質量部に対して、メタノール79質量部であり、アセトン1171質量部となった。当然のことながら、得られた混合液にはデュロキセチン塩酸塩が析出していた。
析出工程
混合工程で得られた混合液を5℃まで冷却し、1時間攪拌した。減圧濾過により析出した結晶を濾別し、アセトン2ml(固形分100質量部に対して78質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を60℃で2時間減圧乾燥し、白色結晶としてデュロキセチン塩酸塩1.71g(5.1mmol)を得た(収率:85.0%、純度:99.914%、特定不純物A:0.075%、特定不純物B:0.002%、特定不純物C:0.001%、特定不純物D:0.000%)。

Claims (7)

  1. 炭素数1〜3のアルコールを含む溶解用溶媒に、デュロキセチン塩酸塩を含む粗体を50℃以下の温度で溶解させる第一溶解工程、
    第一溶解工程で得られた溶液とアセトンとを混合して、前記アルコールとアセトンとを含む混合液中にデュロキセチン塩酸塩を析出させる混合工程、
    混合工程で得られた混合液の温度を60℃以下としてデュロキセチン塩酸塩を溶解させる第二溶解工程、及び
    第二溶解工程で得られた溶液からデュロキセチン塩酸塩を析出させる析出工程
    を含むことを特徴とするデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  2. 前記第二溶解工程において、混合液の温度を40〜60℃としてデュロキセチン塩酸塩を溶解させることを特徴とする請求項1に記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  3. 前記第一溶解工程において、溶解用溶媒が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  4. 前記混合工程において、混合液が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを50〜400質量部、及びアセトンを400〜1600質量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  5. 前記第一溶解工程において、溶解用溶媒が、前記粗体の固形分100質量部に対して、前記アルコールを300〜400質量部含み、
    該第一溶解工程で得られた溶液を、前記粗体の固形分100質量部に対して前記アルコールが60〜120質量部となるように調整する調整工程を行い、
    該調整工程で得られた調整液とアセトンとを混合して混合工程を行うことを特徴とする請求項1、2及び4の何れかに記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  6. 前記第一溶解工程で得られた溶液と活性炭とを接触させた後、得られた溶液とアセトンとを混合して混合工程を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
  7. 前記第一溶解工程で得られた溶液と活性炭とを接触させた後、得られた溶液を、前記粗体の固形分100質量部に対して前記アルコールが60〜120質量部となるように調整することを特徴とする請求項5に記載のデュロキセチン塩酸塩の製造方法。
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