JP2016222489A - 軽量珪酸カルシウム板とその製造方法 - Google Patents

軽量珪酸カルシウム板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量性および表面の白色性に優れると共に、抄造性にも優れる軽量珪酸カルシウム板とその製造方法を提供する。【解決手段】フュームドシリカないしフュームドシリカ廃棄物に石灰質材料と水を加えて常温で生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを用い、珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維に上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合したスラリーを原料スラリーとして用い、該原料スラリーを抄造した後に、この抄造体をオートクレーブ処理して珪酸カルシウムを生成させて軽量珪酸カルシウム板を製造することを特徴とする軽量珪酸カルシウム板の製造方法、および上記方法によって製造された軽量珪酸カルシウム板であって、嵩比重が0.65〜0.90であり、かつ板表面のL値が88以上の白色度を有することを特徴とする軽量珪酸カルシウム板。【選択図】図1

Description

本発明は、軽量性および表面の白色性に優れると共に、抄造性にも優れる軽量珪酸カルシウム板とその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、嵩比重0.90以下、好ましくは0.70以下の軽量性を有し、かつ表面の色調がL値88以上の白色性を有する軽量珪酸カルシウム板とその製造方法に関する。
珪酸カルシウム板は不燃かつ軽量であるので、建物の内装材や外装材として広く用いられている。一般に、珪酸カルシウム板は珪酸質材料および石灰質材料を主成分とし、これに補強用繊維、無機系フィラー、せっこうなどを配合し、さらに水を添加して原料スラリーとし、これを抄造やプレスによって板状に成形した後に、該成形体をオートクレーブなどの水熱反応によってトバモライトなどの珪酸カルシウム結晶を生成させる方法によって製造されている。また、上記製造方法の他に、上記原料スラリーを最初にオートクレーブ処理して結晶性の高いゾノトライトを生成させた後に板状に成形する製造方法が知られている。
軽量珪酸カルシウム板の製造方法は、上記製造方法において、軽量の珪酸質原料である珪藻土、あるいは、パーライト、軽石、火山質発泡骨材などの人工もしくは天然の軽量骨材の1種または2種以上を選択し、スラリー中に添加して、抄造又はプレス法により成形して、製品を製造する方法が知られている。しかし、珪藻土は茶褐色の粉末であるため、これを原料スラリーに添加した場合は珪酸カルシウム板の表面が黄色味を呈するという問題があった。軽量骨材を原料スラリーに添加した場合は、スラリーの上部に浮遊し、抄造性に悪影響を及ぼすという問題があった。
また、他の軽量ケイ酸カルシウム板の製造方法では、原料スラリーを加熱してゲル化スラリーにし、これを抄造あるいはプレスにより板状に成形し、次いでオートクレーブ処理して水熱合成させた後に乾燥して製品にしている。この場合、軽量性を高めるためにゲル化処理を強めて嵩比重を低下させると、嵩高になって均一な抄造が困難になり、またオートクレーブ時に生成される珪酸カルシウムの耐熱性が低くなる(特許文献1:2頁左上欄参照)。
そこで、珪酸質材料および石灰質材料などに水を加えた原料スラリーに、別に高温高圧の条件で水熱合成したゾノトライト結晶スラリーを加えて混合原料スラリーにし、これをゲル化処理せずに抄造した後にオートクレーブ処理する製造方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この製造方法は、200℃以上のオートクレーブ養生を要するゾノトライト結晶スラリーを水熱合成する手間がかかると云う問題がある。
また、嵩比重が0.7以下の軽量な珪酸カルシウム板を製造する方法として、原料スラリーを形成する珪酸質材料および石灰質材料の一部を予めゲル化して原料スラリーに加える方法が知られている(特許文献2:段落[0008])。具体的には、消石灰や生石灰などの石灰質材料に、珪藻土やシリコンダストやフライアッシュ、ホワイトカーボンなどの珪酸質材料を混合し、この混合材料を水スラリーにして75℃〜95℃で1.5時間〜4時間加熱処理してゲル化したものを原料スラリーに加えたものを用いている(特許文献2:段落[0022])。
しかし、珪酸質材料および石灰質材料の一部を予めゲル化して原料スラリーに加える上記製造方法では、珪酸質材料および石灰質材料の一部をゲル化するために75℃以上で1.5時間以上も加熱処理しており、また成形体が十分な強度を有するために、オートクレーブ前に一次養生する必要がある(特許文献2:段落[0025])。さらに、珪酸質ゲル化材料として珪藻土を用いると、製品表面の色調が薄茶色を帯びるようになり白色性が低下する。
特開昭52−105926号公報 特開平08−253375号公報 特開2011−213510号公報
本発明は、軽量珪酸カルシウム板およびその製造方法について、従来の上記問題を解決したものであり、珪酸質材料および石灰質材料の一部をゲル化するための加熱処理が不要であり、軽量性および表面の白色性に優れると共に、抄造性にも優れる軽量珪酸カルシウム板とその製造方法を提供する。
本発明の軽量珪酸カルシウム板およびその製造方法は以下の構成を有する。
〔1〕超微粒子高熱法シリカ(以下、フュームドシリカ)ないし該フュームドシリカの製造廃棄物に石灰質材料と水を加えて30〜60℃の常温で反応生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを軽量化材として用い、該珪酸カルシウム水和物ゲルを、珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維を含む原料に配合し、この原料スラリーを抄造またはプレスによって成形し、該成形体をオートクレーブ養生してトバモライトを含む珪酸カルシウム結晶を生成させることを特徴とする軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
〔2〕珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維の合計固形分100重量部に対して、上記珪酸カルシウム水和物ゲルを0.5〜10重量部を混合した原料スラリーを用いる上記[1]に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
〔3〕珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維と共に混和材料を含む原料に上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合した原料スラリーを用いる上記[1]または上記[2]に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
〔4〕珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維と共に、混和材料として無機系フィラーおよびせっこうを含む原料に上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合した原料スラリーを用いる上記[3]に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
〔5〕上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する方法によって製造された軽量珪酸カルシウム板であって、嵩比重が0.65〜0.90であり、かつ板表面のL値が88以上の白色度を有することを特徴とする軽量珪酸カルシウム板。
〔具体的な説明〕
本発明の軽量珪酸カルシウム板の製造方法は、超微粒子高熱法シリカ(以下、フュームドシリカ)ないし該フュームドシリカの製造廃棄物に石灰質材料と水を加えて30〜60℃の常温で反応生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを軽量化材として用い、該珪酸カルシウム水和物ゲルを、珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維を含む原料に配合し、この原料スラリーを抄造またはプレスによって成形し、該成形体をオートクレーブ養生してトバモライトを含む珪酸カルシウム結晶を生成させることを特徴とする軽量珪酸カルシウム板の製造方法である。該製造方法の概略を図1に示す。
本発明の製造方法は、フュームドシリカないしフュームドシリカの製造廃棄物に石灰質材料と水を加えて30〜60℃の常温で生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを軽量化材として原料の一部に用いる。フュームドシリカは、ケイ素塩化物を気化して高温の水素炎中において気相反応によって合成された乾式微粒子であり、概ねSiO純度99%以上、BET比表面積90m/g以上のシリカ微粒子である。アエロジル(登録商標)の商品名で市販されている。また、フュームドシリカの製造廃棄物は、その化学成分はフュームドシリカと同一であり、比表面積が規格範囲外であるために廃棄物にされたものであり、このフュームドシリカの製造廃棄物を用いてもよい。
以下、フュームドシリカおよびフュームドシリカの製造廃棄物を含めて単にフュームドシリカと云う。
上記フュームドシリカに消石灰や生石灰などの石灰質材料と水を加えて反応させると常温下で珪酸カルシウム水和物ゲルが生成する。常圧下で10分〜4時間撹拌すると良い。温水を用いるだけで特に過熱することなく、容易に珪酸カルシウム水和物ゲルを生成させることができる。
例えば、フュームドシリカ30〜70重量部および石灰質材料70〜30重量部の計100重量部に対して、60℃の温水1000〜6000重量部を加えて室温下で、10分〜1時間撹拌すると、珪酸カルシウム水和物ゲルを固形物とするスラリーを得ることができる。
上記珪酸カルシウム水和物ゲルのSEM写真を図2に示す。この珪酸カルシウム水和物ゲルは、CaO/SiOモル比=0.8、水:固形物=1:20、60℃、で60分撹拌して生成させたものである。図示するように、上記珪酸カルシウム水和物ゲルは箔片状の微細な珪酸カルシウム水和物結晶が凝集した低密度の二次凝集粒子によって形成されている。
本発明の製造方法は、珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維を含む原料に、軽量化材として上記珪酸カルシウム水和物ゲルを配合したスラリーを原料スラリーとして用いる。該原料スラリーは珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維の他に混和材料を含むものに上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合したものでも良い。
珪酸質材料として、微細な珪石微粉末、フライアッシュ、珪藻土、非晶質の珪酸などを用いることができる。石灰質材料として、消石灰、生石灰などを用いることができる。
補強繊維として、パルプ繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン繊維などの有機短繊維などを用いることができる。
混和材料として無機系フィラー、せっこう、結合材などを用いることができる。無機系フィラーとして、炭酸カルシウム、ワラストナイト、高炉スラグ微粉末、マイカ、タルク、または珪酸カルシウム板の粉砕物や切断粉などを用いることができる。せっこうは水熱反応の促進に寄与するので、強度の増加に有効である。また、結合材として、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントなどの中から選択して使用することができる。
珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維の重量比は、これらの合計量において、珪酸質材料10〜25wt%、石灰質材料15〜40wt%、補強繊維0.5〜10.0wt%が好ましい。またCaO/SiOモル比は0.4〜2.0の範囲が好ましい。
本発明の原料スラリーは、珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維を含む原料、あるいはこれらの材料と共に混和材料を含む原料に、上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合したスラリーである。珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維、あるいはこれらの材料と共に混和材料を含む原料に水を加え混合したスラリーに、上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合して原料スラリーにするとよい。
上記珪酸カルシウム水和物ゲルの量は、珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維の合計量100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましい。珪酸カルシウム水和物ゲルの量が0.5重量部より少ないと十分な軽量化の効果が得られない。一方、上記珪酸カルシウム水和物ゲルの量が10重量部を上回ると軽量化しすぎて強度発現性が損なわれるので好ましくない。
なお、本発明の珪酸カルシウム水和物ゲルは、図1に示すように、珪酸質材料(フュームドシリカ)と石灰質材料に水を加えたスラリーを原料にして常温、常圧下で生成されるが、このスラリーは珪酸質材料と石灰質材料の固形分量2〜10wt%、従って水:粉体比(重量比)50:1〜10:1が好ましい。上記固形分量が2wt%未満では、生成したゲルの珪酸カルシウム水和物濃度が小さくなり、このケルを用いて珪酸カルシウム板を製造するときに、所要の軽量化効果を発現させるためには多量の珪酸カルシウム水和物ゲルを必要とし、大型の撹拌反応装置が必要となる。一方、上記固形分量が10wt%を超えると、混合したスラリーの粘度が高くなり、十分に撹拌できないので、均一な珪酸カルシウム水和物ゲルが得られない。
本発明の原料スラリーは、珪酸質材料と石灰質材料と補強繊維および上記珪酸カルシウム水和物ゲルの合計固形分量が5〜30wt%が好ましい。上記固形分量が5wt%未満では、1回抄造に拠る厚みが小さくなり製造効率が低下する。一方、上記固形分量が30wt%を超えると、スラリーの粘度が高まり抄造性が悪くなるとともに、珪酸カルシウム板の嵩密度が大きくなるので軽量化し難くなる。
上記原料スラリーを板状に成形した後に、この成形体をオートクレーブ処理して珪酸カルシウム結晶物を生成させて軽量珪酸カルシウム板を製造する。成形においては、従来の抄造方法やプレス成形法などを用いることができる。オートクレーブは、例えば、0.5MPa〜1.6MPa、150〜200℃で、3〜10時間行えば良い。
オートクレーブ処理によって、珪酸質材料と石灰質材料とが水熱反応して珪酸カルシウム結晶が生成する。原料スラリーに含まれている珪酸カルシウム水和物ゲルは、いわゆるC−S−Hゲルと呼ばれるもので、薄片状の微細な珪酸カルシウム水和物結晶が凝集した低密度の二次凝集粒子によって形成されており、この珪酸カルシウム水和物ゲルが珪酸カルシウム板を構成する硬化体結晶であるトバモライトの前駆体になる。
なお、通常の珪酸質原料と石灰質原料を用いて珪酸カルシウム水和物ゲルを生成させるには、数時間という短時間で生成させるためには高温高圧の条件が必要になり、常温下での生成には数十日の期間を必要とし、しかも化学的に安定な水和物を得ることが困難である。一方、本発明はフュームドシリカを原料にして常温下で合成した珪酸カルシウム水和物ゲルを用いる。
本発明の製造方法では、オートクレーブ処理によって珪酸カルシウム水和物ゲルが珪酸カルシウム結晶のトバモライトになり、該トバモライトの間に多数の空隙が形成された凝集体になり、これが硬化して軽量な珪酸カルシウム板が製造される。
本発明の製造方法によれば、嵩比重0.65〜0.90であり、かつ板表面のL値が88以上の白色度を有する軽量珪酸カルシウム板を製造することができる。
本発明の製造方法では、珪酸カルシウム水和物ゲルの量を増減することによって、珪酸カルシウム板の嵩比重を調整することができる。具体的には、原料スラリーに含まれる固形分中の珪酸カルシウム水和物ゲルの量を少なくすれば、珪酸カルシウム板の嵩密度が低下し、珪酸カルシウム水和物ゲルの量を多くすれば珪酸カルシウム板の嵩密度が大きくなるので、珪酸カルシウム水和物ゲルの量を増減することによって珪酸カルシウム板の嵩比重を調整することができる。
本発明の製造方法は、フュームドシリカに石灰質材料と水を加えて常温で生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを原料の一部に用いることによって、嵩比重0.65〜0.90であって板表面のL値が88以上の白色度を有する軽量珪酸カルシウム板を製造することができる。
従来の製造方法では、珪酸質材料および石灰質材料などに水を加えた原料スラリーに水熱合成したゾノトライト結晶スラリーを加えた混合スラリーを用い、あるいは珪酸質材料および石灰質材料の一部を予めゲル化した原料スラリーを用いることによって軽量化しているが、このような製造方法では原料スラリーに加えるゲル化材料を高温高圧下で水熱合成しているので、製造工程が煩雑である欠点を有する。一方、本発明の製造方法は、常温で生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを用いるので、製造工程が簡単であり、嵩密度が小さく表面の白色度が高い軽量珪酸カルシウム板を容易に製造することができる。
本発明の製造方法に用いる珪酸カルシウム水和物ゲルは、フュームドシリカを原料として、これに石灰質材料と30〜60℃の温水を加えて常温で生成させたものであり、フュームドシリカは例えばアエロジル廃棄物を用いることができ、該アエロジル廃棄物は安価であるので、低コストで軽量珪酸カルシウム板を製造することができる。
なお、特開2011−213510号公報(特許文献3)には所定量のフュームドシリカを含有する繊維強化ケイ酸カルシウム板が記載されているが、このフュームドシリカは珪酸カルシウム水和物ゲルを生成させるものではなく、原料スラリーに珪酸カルシウム水和物ゲルは含まれていない。この特許文献3の製造方法は、粘土鉱物に代えてフュームドシリカを用いることによって抄造性を高めたものであり、フュームドシリカを珪酸カルシウム水和物ゲルの材料として用いるのではない。
本発明の軽量珪酸カルシウム板は板表面のL値が88以上の白色度を有する。従来の珪酸カルシウム板の板表面のL値が82程度であるが、本発明の軽量珪酸カルシウム板は板表面のL値が88以上であり、本発明によれば従来よりも格段に白色性に優れた軽量珪酸カルシウム板を得ることができる。
本発明に係る製造方法の概略工程図。 本発明の製造方法に用いる珪酸カルシウム水和物ゲルのSEM写真。 試験体の作製手順を示す概略工程図。
以下、本発明の実施例を示す。実施例においてフュームドシリカとしてアエロジル製造廃棄物を用いた。L値はコニカミノルタ社製の色彩色差計(CR−410)によって測定した。かさ密度、曲げ強度、長さ変化率はJIS規格(JIS A 5430「繊維強化セメント板」)によって測定した。使用材料を表1に示す。
珪酸カルシウム水和物ゲルの合成
フュームドシリカ、消石灰、水を表2に示す量で配合してスラリーを調製した。このスラリーの温度を35℃、45℃、55℃、65℃に調整し、卓上攪拌機(回転羽根型)で攪拌して珪酸カルシウム水和物ゲルを合成した。反応時間10分、30分、1時間、2時間経過後に100mL程度のスラリーをサンプリングし、ろ過した生成物にアセトンを加えて水和を停止させ、X線回折で反応生成物を同定した。珪酸カルシウム水和物ゲルは非晶質であるので、消石灰の回折ピーク強度(Cukα34.2°)の変化よって反応の進行状況(消石灰の残存率)を調べた。この実験結果を表3に示す。水和反応性の高いフュームドシリカ(BET比表面積90m/g)を珪酸質原料として用いることで、常温常圧でも水和反応が進行し、珪酸カルシウム水和物ゲルが生成されていることが判る
〔実施例1〜3、比較例1〕
軽量珪酸カルシウム板の製造例A
表3の珪酸カルシウム水和物ゲル(CaO/SiOモル比0.80、スラリー温度55℃で1時間反応させて生成させたもの)を用いて軽量珪酸カルシウム板(試験体)を製造した。原料の配合を表5に示す。試験体の作成手順を図3に示す。
比較例1は軽量化材として珪藻土およびパーライトを用いた試料、実施例1および実施例2は珪藻土を上記珪酸カルシウム水和物ゲルに置換した試料、実施例3は珪藻土およびパーライトを上記珪酸カルシウム水和物ゲルに置換した試料である。
通常、抄造装置で製造された板は多数の層から構成されており、抄造された板の繊維は板の平面方向に配向して効率的に強度を向上させている。そこでプレスモールド成形の場合でも多層構造を再現するため、サクションボックスで3回に分けてろ過し、3層の成形体を成形した。
原料の配合は、ジューサーミキサーに水1Lと珪酸カルシウム水和物ゲルを入れ、パルプを加え、30秒間撹拌してパルプをほぐした。これに原料の粉体を加えて1分間撹拌した。1バッチの材料の総量は250gとした。混合した原料スラリーをサクションボックスに入れ、均一な厚みとなるように振動を加えて均した。その後、真空ポンプにより脱水し、表面の水が脱水された後に真空ポンプを停止して大気圧とした。
同様にジューサーミキサーで2層目のスラリーを混合し、これを1層目の上に流し、サクションボックスを真空ポンプで脱気して脱水した。3層目も同様に成形し、合計3層からなる成形体を作製した。
サクションボックスから成形体を取り出し、プレス式建材成形機でプレス成形した。プレス成形圧は1.0MPaとし、1分間プレス圧を保持して試験体を成形した。この試験体の間に紙とステンレス板を挟み込んで積み重ね、気温20℃の室内に24時間以上静置した後、オートクレーブ養生を行った。オートクレーブ養生の条件を表4に示す。得られた珪酸カルシウム板試験体の物性試験結果を表6に示す。
表6に示すように、珪酸カルシウム水和物ゲルを用いることによって、かさ比重は珪藻土を用いた比較例1よりも小さくなる。具体的には、珪酸カルシウム水和物ゲルを2.5wt%添加した実施例1は比較例1よりも、かさ比重が約1割強小さく、珪酸カルシウム水和物ゲルを5.0wt%添加した実施例2は比較例1よりも、かさ比重が約2割弱小さく、珪酸カルシウム水和物ゲルによる軽量化効果は珪藻土よりも顕著である。
また、珪酸カルシウム水和物ゲルを用いることによって、軽量珪酸カルシウム板の表面の白色度が高くなり、黄色味が減少する。具体的には、L,a,b表色系において、L値が高くなり、b値が減少する。例えば、比較例1のL値は85.4であり、b値は3.3であるが、実施例1、2、3のL値はおのおの88.7、88.2、89.5であり、比較例1のL値よりも大幅に高く、白色性に優れている。また、実施例1、2、3のb値はおのおの1.9、2.4、2.0であり、比較例1のb値よりも格段に小さい。
〔実施例4〜9、比較例2〕
軽量珪酸カルシウム板の製造例B
製造例Aと同様の条件で、珪酸カルシウム水和物ゲルの添加量を変化させて軽量珪酸カルシウム板を製造し、珪酸カルシウム水和物ゲルの添加量とかさ比重および曲げ強度との関係を評価した。この結果を表7に示した。
珪酸カルシウム水和物ゲルの添加量を減らすと、かさ比重が増加し、曲げ強度が高くなり、かさ比重と曲げ強度を制御することができる(実施例4〜6)。また、パーライトを減らした配合においても、珪酸カルシウム水和物ゲルの添加量を調整することによって、かさ比重と曲げ強度を制御することができる(実施例7〜9)。また、珪酸カルシウム水和物ゲルの添加によってL値はすべて88以上の値を示した。

Claims (5)

  1. 超微粒子高熱法シリカ(以下、フュームドシリカ)ないし該フュームドシリカの製造廃棄物に石灰質材料と水を加えて30〜60℃の常温で反応生成させた珪酸カルシウム水和物ゲルを軽量化材として用い、該珪酸カルシウム水和物ゲルを、珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維を含む原料に配合し、この原料スラリーを抄造またはプレスによって成形し、該成形体をオートクレーブ養生してトバモライトを含む珪酸カルシウム結晶を生成させることを特徴とする軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
  2. 珪酸質材料と石灰質材料および補強繊維の合計固形分100重量部に対して、上記珪酸カルシウム水和物ゲルを0.5〜10重量部を混合した原料スラリーを用いる請求項1に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
  3. 珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維と共に混和材料を含む原料に上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合した原料スラリーを用いる請求項1または請求項2に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
  4. 珪酸質材料および石灰質材料および補強繊維と共に、混和材料として無機系フィラーおよびせっこうを含む原料に上記珪酸カルシウム水和物ゲルを混合した原料スラリーを用いる請求項3に記載する軽量珪酸カルシウム板の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載する方法によって製造された軽量珪酸カルシウム板であって、嵩比重が0.65〜0.90であり、かつ板表面のL値が88以上の白色度を有することを特徴とする軽量珪酸カルシウム板。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112408929A (zh) * 2020-11-04 2021-02-26 河南省建筑工程质量检验测试中心站有限公司 一种基于矿渣粉生产的环保硅酸钙板及其制备方法

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