以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる荷役作業決定装置および荷役作業決定方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(荷役作業決定装置の構成)
まず、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定装置の一構成例を示す図である。図1に示すように、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定装置1は、複数の倉庫100の各々における製品の荷役作業(本発明では対象倉庫内の製品の搬送作業を意味する)を決定するものであり、荷役作業の決定に必要な各種情報を入力する入力部2と、複数の倉庫100に関する情報を格納するデータ格納部3と、荷役作業の決定に必要な各種処理を実行する処理部4と、決定した荷役作業を複数の倉庫100の各々に指示するための情報を出力する出力部5とを備える。
入力部2は、グラフィカルユーザインターフェースを備えた入力デバイス等を用いて構成される。入力部2は、複数の倉庫100の各倉庫(例えば倉庫100a,100b)のクレーン制御用計算機103から送信された荷役作業状況情報を受信し、受信した荷役作業状況情報に基づいて、処理の実行開始を指示する指示情報(以下、処理実行指示情報という)を処理部4に入力する。この際、入力部2は、荷役作業状況情報の受信に対応して処理実行指示情報を処理部4に自動入力してもよいし、作業者の入力操作に応じて処理実行指示情報を処理部4に手動入力してもよい。
なお、本実施の形態において、荷役作業状況情報は、複数の倉庫100の各々における製品の荷役作業の進捗状況を示す情報である。例えば、倉庫100aの荷役作業進捗情報として、倉庫100a内の天井クレーン102が製品の荷役作業を開始または完了したことを示す情報等が挙げられる。
また、入力部2は、複数の倉庫100のうちの対象とする倉庫(例えば倉庫100a,100b)について、倉庫内の製品配置に関する制約条件の更新を指示する情報(以下、更新指示情報という)をデータ格納部3に入力する。本実施の形態において、更新指示情報には、更新したい最新の制約条件と、この最新の制約条件への更新指示とが含まれる。このような更新指示情報は、作業者の入力操作に応じて、入力部2からデータ格納部3に適宜手動入力される。
データ格納部3は、複数の倉庫100の各々における製品保管に関する各種情報を更新可能に格納するものである。具体的には、図1に示すように、データ格納部3は、在庫情報データベース3aと、出荷製品情報データベース3bと、製品搬送情報データベース3cと、マスタ情報データベース3dとを備える。データ格納部3は、複数の倉庫100の各倉庫(例えば倉庫100a,100b)のクレーン制御用計算機103から順次送信された倉庫操業実績情報を受信し、その都度、受信した倉庫操業実績情報を最新の情報として格納する。この際、データ格納部3は、既に格納している既存の倉庫操業実績情報を、この最新の情報に更新する。なお、本実施の形態において、倉庫操業実績情報は、複数の倉庫100の各倉庫における製品の入出庫等の操業実績を示す情報であり、複数の倉庫100の各々における在庫情報、出荷製品情報、および製品搬送情報を含む。
在庫情報データベース3aは、複数の倉庫100からの倉庫操業実績情報のうち在庫情報を更新可能に保存する。本実施の形態において、在庫情報は、荷役作業決定装置1が制御対象とする倉庫(以下、対象倉庫という)を含む複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品の少なくとも保管位置を示す情報である。具体的には、在庫情報は、これら複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品の情報として、製品を識別する製品番号等の製品識別情報、製品の保管位置を識別する位置情報、製品のサイズや重量等の仕様を示す製品仕様情報等を含む。在庫情報データベース3aは、これら複数の倉庫100の各クレーン制御用計算機103から送信された倉庫操業実績情報のうちの在庫情報を取得し、その都度、取得した在庫情報を、倉庫100a,100b等の各倉庫(対象倉庫を含む)の最新の情報として保存する。この際、在庫情報データベース3aは、対象倉庫の在庫情報を、この対象倉庫から取得した最新の在庫情報に更新する。
出荷製品情報データベース3bは、複数の倉庫100からの倉庫操業実績情報のうち出荷製品情報を更新可能に保存する。本実施の形態において、出荷製品情報は、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品の出荷条件を示す情報である。具体的には、出荷製品情報は、これら複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品の出荷条件として、製品番号等の製品識別情報、製品の出荷スケジュールを示す情報、出荷時における製品の物流ロットを示す情報、製品の出荷先(納品先)を識別する情報等を含む。出荷製品情報データベース3bは、これら複数の倉庫100の各クレーン制御用計算機103から送信された倉庫操業実績情報のうちの出荷製品情報を取得し、その都度、取得した出荷製品情報を、倉庫100a,100b等の各倉庫(対象倉庫を含む)の最新の情報として保存する。この際、出荷製品情報データベース3bは、対象倉庫の出荷製品情報を、この対象倉庫から取得した最新の出荷製品情報に更新する。
製品搬送情報データベース3cは、複数の倉庫100からの倉庫操業実績情報のうち製品搬送情報を更新可能に保存する。本実施の形態において、製品搬送情報は、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各々における製品の搬入出に関する情報である。具体的には、製品搬送情報は、上述した製品の搬入出に関する情報として、製品番号等の製品識別情報、製品の搬入日時を示す情報、製品の入庫予定と出庫予定とを識別する情報等を含む。製品搬送情報データベース3cは、これら複数の倉庫100の各クレーン制御用計算機103から送信された倉庫操業実績情報のうちの製品搬送情報を取得し、その都度、取得した製品搬送情報を、倉庫100a,100b等の各倉庫(対象倉庫を含む)の最新の情報として保存する。この際、製品搬送情報データベース3cは、対象倉庫の製品搬送情報を、この対象倉庫から取得した最新の製品搬送情報に更新する。
マスタ情報データベース3dは、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各倉庫内の製品配置に関する制約条件を更新可能に保存する。本実施の形態において、制約条件は、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各倉庫(例えば倉庫100a,100b)内に保管可能な製品のサイズや重量等の条件である。マスタ情報データベース3dは、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各倉庫の制約条件を、入力部2によって入力される等して取得し、取得した制約条件を倉庫別に保存する。また、マスタ情報データベース3dは、入力部2によって更新指示情報が入力された場合、その都度、取得した更新指示情報に基づいて制約条件(例えば対象倉庫の制約条件)を最新のものに更新する。
処理部4は、複数の倉庫100のうちの制御対象とする対象倉庫において行うべき製品の荷役作業を決定するための各種処理を実行するものである。本実施の形態において、処理部4は、図1に示すように、グループ分け処理部4aと、エリア決定部4bと、入出庫作業決定部4cと、配替作業決定部4dと、事前作業決定部4gとを備える。
グループ分け処理部4aは、入力部2によって入力された処理実行指示情報に基づいて、複数の倉庫100のうちの対象倉庫における製品のグループ分け処理を実行する。このグループ分け処理において、グループ分け処理部4aは、処理実行指示情報によって制御対象に指定された対象倉庫の在庫情報を在庫情報データベース3aから抽出し、同対象倉庫の出荷製品情報を出荷製品情報データベース3bから抽出する。ついで、グループ分け処理部4aは、これらの在庫情報および出荷製品情報をもとに、この対象倉庫内に現在保管中の製品を、出荷条件の近い製品同士のグループにグループ分けする。以下、グループといえば、出荷条件の近い製品同士のグループを意味する。
エリア決定部4bは、グループ分け処理部4aによって生成された対象倉庫内の製品のグループについて、エリア決定処理を実行する。このエリア決定処理において、エリア決定部4bは、対象倉庫の制約条件をマスタ情報データベース3dから抽出し、同対象倉庫の在庫情報を在庫情報データベース3aから抽出する。ついで、エリア決定部4bは、これらの制約条件および在庫情報をもとに、グループ分け処理部4aによるグループに属する各製品(すなわち、対象倉庫内のグループ分けされた各製品のうち同一のグループに属する各製品)を集めて配置するエリアを、グループ毎に決定する。以下、エリアといえば、同一のグループに属する各製品を集めて配置する置場を意味する。
入出庫作業決定部4cは、対象倉庫における製品の入出庫作業の実行を必要に応じて決定する。本実施の形態において、対象倉庫における製品の入出庫作業は、対象倉庫内への製品の入庫作業と対象倉庫内からの製品の出庫作業との少なくとも一方を意味する。入出庫作業決定部4cは、対象倉庫の出荷製品情報を出荷製品情報データベース3bから抽出し、同対象倉庫の製品搬送情報を製品搬送情報データベース3cから抽出する。ついで、入出庫作業決定部4cは、これらの出荷製品情報および製品搬送情報をもとに、対象倉庫において現在実行すべき製品の入出庫作業の有無を判断する。入出庫作業決定部4cは、この判断処理の結果、対象倉庫において現在実行すべき製品の入出庫作業が有ると判断した場合、有ると判断した入出庫作業の実行を対象倉庫について決定する。
配替作業決定部4dは、上述した入出庫作業決定部4cによって対象倉庫における現在実行すべき製品の入出庫作業が無いと判断された場合、この対象倉庫内に現在保管中の製品について配替作業決定処理を実行する。すなわち、配替作業決定部4dは、対象倉庫において現在実行すべき製品の入出庫作業が無い場合、この対象倉庫内のグループに属する各製品を当該グループに対応して決められたエリアに集めて配置する配替作業の実行を決定する。
このような配替作業決定処理を実行する配替作業決定部4dは、図1に示すように、製品選択部4eと製品移動先決定部4fとを備える。配替作業決定処理において、製品選択部4eは、注目グループに属し且つ注目エリアの内部に位置する製品の数と、注目グループに属し且つ注目エリアの外部に位置する製品の数と、注目グループに属さず且つ注目エリアの内部に位置する製品の数と、注目グループに属さない製品のうち注目グループに属する製品の上に載っている製品の数とに基づいて、対象倉庫内に現在保管中の製品の中から、配替作業の実行時に移動させる製品を選択する。
ここで、注目グループは、上述したグループ分け処理部4aにより対象倉庫についてグループ分けされた複数のグループのうち、配替作業の対象として注目するグループである。注目エリアは、上述したエリア決定部4bによってグループ毎に決定されたエリアのうち、注目グループに属する各製品を集めて配置するエリアである。
製品移動先決定部4fは、製品選択部4eによって選択された製品の移動先を、注目グループに属する製品が注目エリアの内部に位置し且つ注目グループに属さない製品が注目エリアの外部に位置するように決定する。すなわち、製品移動先決定部4fは、対象倉庫内において、注目グループに属する製品の移動先を注目エリアの内部とし、注目グループに属さない製品の移動先を注目エリアの外部とする。
事前作業決定部4gは、対象倉庫における製品の入出庫作業または配替作業の実行前の事前作業を必要に応じて決定する。具体的には、事前作業決定部4gは、上述した入出庫作業決定部4cまたは配替作業決定部4dによって実行が決定された入出庫作業または配替作業の事前に必要な荷役作業(以下、事前の荷役作業という)の有無を判断する。本実施の形態において、事前の荷役作業は、対象倉庫内に現在保管中の製品に対して、上述の入出庫作業または配替作業の事前に実行する必要がある荷役作業である。
例えば、対象倉庫内の各製品のうち入出庫作業または配替作業の対象となっている対象製品の上に、これら入出庫作業または配替作業の対象外である別の製品が載っている場合、あるいは、対象製品の移動先に別の製品が存在する場合、対象製品の入出庫作業または配替作業を阻害する別の製品を予め退かす荷役作業が、本実施の形態における事前の荷役作業になる。事前作業決定部4gは、このような事前の荷役作業の有無を判断した結果、事前の荷役作業が有る場合、この有ると判断した事前の荷役作業の実行を対象倉庫について決定する。
出力部5は、複数の倉庫100のうちの対象倉庫(例えば倉庫100a,100b)について実行が決定された作業の指示情報を出力する。具体的には、出力部5は、対象倉庫の荷役設備の制御系に対し、上述した入出庫作業決定部4cまたは配替作業決定部4dによって実行が決定された入出庫作業または配替作業を指示する指示情報(以下、荷役作業指示情報という)を出力する。また、出力部5は、対象倉庫の荷役設備の制御系に対し、上述した事前作業決定部4gによって実行が決定された事前の荷役作業を指示する指示情報(以下、事前作業指示情報という)を出力する。なお、本実施の形態における対象倉庫の荷役設備として、例えば図1に示すように、天井クレーン102が例示される。また、この荷役設備の制御系として、例えば図1に示すように、クレーン制御用計算機103が例示される。
(倉庫の構成)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定装置1によって操業が制御される複数の倉庫100の構成について説明する。図1に示す複数の倉庫100は、製鉄所等の工場または物流センターの敷地内に設置される。これら複数の倉庫100の各々は、製鉄所等の工場で製造された各製品(具体的には鉄鋼製品)を保管して、製造ロット毎に分類される各製品を物流ロット毎に分類し管理するロット調整を行うためのバッファとしての役割を担う。
図2は、本発明の実施の形態における倉庫の一構成例を示す図である。図2には、複数の倉庫100のうちの1棟の倉庫100aを上方から見た図が示されている。なお、倉庫100aのクレーン制御用計算機103は、図1に示し、図2において図示を省略している。図3は、倉庫内における製品の保管状態の一例を示す図である。図3には、倉庫100a内に段積みされた製品200を側方から見た図が示されている。
以下、図1〜3を参照しつつ、複数の倉庫100を代表して倉庫100aの構成を説明する。なお、複数の倉庫100のうち倉庫100a以外の残りの倉庫(例えば倉庫100b)は、倉庫100aと同様に構成される。また、本実施の形態において、倉庫100a内に保管される製品200は、鋼板等の金属板をコイル状に巻いた状態の鉄鋼製品(以下、コイルと適宜いう)である。
図1〜3に示すように、倉庫100aは、保管対象の製品200を段積み等して載置する架台101と、製品200の荷役作業を行う天井クレーン102と、天井クレーン102の制御等を行うクレーン制御用計算機103とを備える。また、倉庫100aには、車両等を用いて製品200の搬入または搬出が行われる車両搬入出間口104と、車両搬入出間口104以外で製品200の出し入れが行われる場外仮置場105とが設けられている。
架台101は、図2に示すように、倉庫100a内の1列を設置単位とし、倉庫100a内に保管する製品の許容数や許容サイズ等を考慮して、複数列(例えば60列)設置される。これら複数列の架台101の各々は、図3に示すように、保管対象の製品200が着脱可能に載置される固定台101aを備える。固定台101aは、架台101毎に、架台101の長手の方向である列方向(すなわち倉庫100aの列方向)に沿って複数(例えば30個)設置される。このような複数の固定台101aを備える複数列の架台101の各々において、図3に示されるように、保管対象の製品200は固定台101aの上に配置され、必要に応じて、複数の製品200が固定台101aの上に段積みされる。
本実施の形態において、倉庫100a内に保管された状態の製品200の位置(保管位置)は、図2,3に示す各架台101の列番号L(=1,2,・・・,n−1,n)、番地A(=1,2,・・・,m)、および段番号i(例えばi=1,2,3)の組み合わせによって識別される。列番号Lは、倉庫100a内における架台101の列位置を識別する情報であり、図2に示すように、複数列の架台101の各々に割り振られる。番地Aは、架台101毎の固定台101aの位置を識別する情報であり、図3に示すように、架台101毎の複数の固定台101aの各々に割り振られる。段番号iは、図3に示すように、架台101上に段積みされる製品200の配置段を識別する情報である。段番号iは、固定台101a上に直に載置された製品200を最下段(i=1)として固定台101a側から上方に向かい1段ずつ増加するように、架台101毎に割り振られる。すなわち、固定台101a上に直に載置された製品200の上の配置段は段番号i=2によって識別され、さらにその1段上の配置段は段番号i=3によって識別される。
一方、倉庫100a内の各架台101および各固定台101aには、列番号Lおよび番地Aによって、載置可能な製品200のサイズ(幅、外径等)や品種に制限がある。また、図3に示すように架台101上に複数の製品200を段積みするためには、製品200のサイズおよび段積み時の上下の製品200について設定された条件を満たす必要がある。これらの制限および条件は、図1に示すマスタ情報データベース3dに保存の制約条件に含まれる。
天井クレーン102は、倉庫100aにおいて製品200の入出庫作業等の荷役作業を行う主たる荷役設備の一例である。本実施の形態において、天井クレーン102は、図2に示すように、クレーン部102aと走行部102bとを備える。クレーン部102aおよび走行部102bは、製品200のつり上げおよびつり下ろし等の製品200の荷役作業に必要な各種動作を、クレーン制御用計算機103の制御に基づいて自動で行う装置である。図2に示すように、クレーン部102aは、走行部102bに設けられ、走行部102bの長手方向すなわち横行方向に沿って移動可能に構成される。走行部102bは、架台101の長手方向に平行な方向が長手となる構造を有し、倉庫100aの上部に設置される。走行部102bは、横行方向に垂直な方向すなわち走行方向に沿って走行可能に構成され、走行により、クレーン部102aを走行方向の所望の位置に移送する。
このような構成を有する天井クレーン102は、クレーン制御用計算機103の制御に基づく無人運転(自動運転)により、クレーン部102aの横行方向の移動および走行部102bの走行方向の移動を行い、且つ、クレーン部102aによる製品200のつり上げ動作およびつり下げ動作を行う。この結果、天井クレーン102は、対象とする製品200を、倉庫100a内の搬送元(移動元ともいう)の位置から目的とする搬送先(移動先ともいう)の位置へ搬送する。
クレーン制御用計算機103(図1参照)は、上述した荷役作業決定装置1の出力部5から出力された指示情報に対応する制御信号を天井クレーン102に送信し、これにより、上述した天井クレーン102の各動作を自動制御する。具体的には、クレーン制御用計算機103は、出力部5から事前作業指示情報を取得した場合、この事前作業指示情報によって指示される事前の荷役作業を、倉庫100a内の対象の製品200に対して行うように天井クレーン102を制御する。また、クレーン制御用計算機103は、出力部5から荷役作業指示情報を取得した場合、この荷役作業指示情報によって指示される入出庫作業または配替作業を、倉庫100a内の対象の製品200に対して行うように天井クレーン102を制御する。これらの作業の際、クレーン制御用計算機103は、出力部5からの事前作業指示情報または荷役作業指示情報によって、対象の製品200と、現在の搬送元の位置と、目的とする搬送先の位置とを指示され、指示された現在の搬送元の位置から目的とする搬送先の位置へ対象の製品200を移動させるように天井クレーン102を制御する。
一方、クレーン制御用計算機103は、倉庫100aの操業実績を管理する機能を有する。具体的には、クレーン制御用計算機103は、倉庫100aに保管する製品200の情報を工場側の管理コンピュータ(図示せず)等から取得する。クレーン制御用計算機103は、取得した情報を、倉庫100aにおける製品200の保管や入出庫等の操業に対応して更新し、この更新後の情報を、倉庫100aの操業実績を示す情報、すなわち倉庫操業実績情報として管理する。この倉庫操業実績情報には、倉庫100a内に現在保管中の製品200に関する各種情報、具体的には、上述した在庫情報、出荷製品情報、および製品搬送情報の各最新情報が含まれる。クレーン制御用計算機103は、このような倉庫操業実績情報を、所定のタイミング毎に荷役作業決定装置1のデータ格納部3に送信する。また、クレーン制御用計算機103は、倉庫100aにおける製品200の荷役作業の進捗状況を示す荷役作業状況情報を、所定のタイミング毎に荷役作業決定装置1の入力部2に送信する。
なお、上述した倉庫操業実績情報および荷役作業状況情報を送信する所定のタイミングとして、例えば、天井クレーン102が起動した時点、天井クレーン102が1サイクル分のクレーン作業(製品200の荷役作業)を完了した時点、および、天井クレーン102が作業完了してから所定の時間が経過した時点等のタイミングが挙げられる。
車両搬入出間口104は、倉庫100aにおいて、製品200を運搬する台車すなわちパレット110が出入りする領域である。具体的には、工場から倉庫100aへ製品200が運搬される際、工場で製品200を積み込んだ状態のパレット110は、運搬車(図示せず)の牽引により、工場から倉庫100aに向けて移動し、図2に示すように、車両搬入出間口104内に搬入される。このパレット110上の製品200は、天井クレーン102により、車両搬入出間口104から架台101の固定台101aまたは既に保管中である製品200の上に積み込まれる。このようにして、倉庫100a内に製品200が入庫されて保管される。
一方、倉庫100aから出荷バース(岸壁)へ製品200が運搬される際、車両搬入出間口104に空のパレット110が搬入され、あるいは、倉庫100aへの製品200の入庫作業が完了した後の空のパレット110が車両搬入間口104内に待機する。倉庫100aから出荷バースへの運搬対象の製品200は、天井クレーン102により、この車両搬入出間口104内の空のパレット110上に積み込まれる。この製品200を積み込んだ状態のパレット110は、運搬車の牽引により、車両搬入出間口104から搬出され、その後、倉庫100aから出荷バースに向けて移動する。このようにして、倉庫100a内から製品200が出庫され、出庫された製品200が船積み等されて客先へ出荷される。
なお、上述したパレット110を牽引する運搬車は、パレット110から製品200を運び出す際、または、パレット110へ製品200を積み込む際、別のパレットを牽引することができる。このような運搬車は、多くの場合、パレット110と分離可能な構造となっており、例えば、製品200が重量物である場合、パレット1台分の製品200の荷役作業に長い時間がかかるため、運搬車は、車両搬入出間口104にパレット110を搬入した後、このパレット110から分離して別の運搬作業を行う。この期間、車両搬入出間口104にパレット110に対し、製品200の荷役作業が行われる。
場外仮置場105は、上述した車両搬入出間口104以外で製品200の出し入れが可能な倉庫100aの領域である。本実施の形態において、場外仮置場105には、倉庫100a内に現在保管中の製品200のうち、近い将来に出荷予定の製品200(以下、出荷対象製品と適宜いう)が、天井クレーン102により、架台101上から搬送されて載置される。また、場外仮置場105には、例えばフォークリフト等のパレット110以外の荷役設備が入れるようになっている。このような場外仮置場105に並べて配置された出荷対象製品(図2に示す場外仮置場105上の製品200)は、フォークリフト等の荷役設備により、倉庫100aから運び出されて出荷バースに運搬される。その後、出荷バース内の出荷対象製品は、船積み等されて客先へ出荷される。
(在庫情報)
つぎに、本発明の実施の形態における複数の倉庫100の各々の在庫情報について具体的に説明する。図4は、本発明の実施の形態における倉庫毎の在庫情報の一具体例を示す図である。本実施の形態において、複数の倉庫100の各々の在庫情報は、図1に示した荷役作業決定装置1の在庫情報データベース3aにより、更新可能に保存され、最新情報として管理されている。
このような在庫情報は、上述したように、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品200の少なくとも保管位置を示す情報、すなわち、倉庫毎の最新のものである。具体的には、図4に示すように、在庫情報は、各製品200の現時点における最新の保管位置を示す位置情報として、棟番号、列番号、番地、および段番号を含む。棟番号は、複数の倉庫100のうちの1棟を識別する情報であり、複数の倉庫100の各々に割り振られる。列番号は、上述した架台101の列位置を識別する列番号L(図2参照)であり、番地は、上述した架台101毎の固定台101aの位置を識別する番地A(図3参照)である。段番号は、上述した架台101上の製品200の配置段を識別する段番号i(図3参照)である。これらの位置情報の組み合わせにより、製品200を保管する倉庫と、この倉庫内における製品200の保管位置とが識別可能になる。
また、在庫情報は、上述した製品200の保管位置を示す位置情報として、図4に示すように、走行方向の絶対位置、横行方向の絶対位置、および高さ方向の絶対位置を各々示す各情報を含む。走行方向の絶対位置は、図2に示した天井クレーン102の走行方向に沿った製品200の絶対位置であり、上述した列番号Lによって識別される架台101の列位置に対応する。横行方向の絶対位置は、図2に示した天井クレーン102の横行方向に沿った製品200の絶対位置であり、上述した番地Aによって識別される固定台101aの位置に対応する。高さ方向の絶対位置は、架台101の上下方向(鉛直方向)に沿った製品の絶対位置であり、上述した段番号iによって識別される製品200の配置段に対応する。これらの絶対位置は、自動クレーン操業によって天井クレーン102を自動制御する場合に、クレーン制御用計算機103が天井クレーン102に対して指示する製品200の搬送元の位置情報として用いられる。
さらに、在庫情報は、図4に示すように、製品番号、製品外径、製品幅、製品厚、製品重量、納期、顧客ID、および向け先IDの各情報を含む。製品番号は、上述した位置情報によって示される保管位置に現在保管されている製品200を識別する製品識別情報である。製品外径、製品幅、製品厚、および製品重量は、この製品200のサイズ(例えばコイルサイズ)や重量等の仕様を示す製品仕様情報である。納期は、この製品200の出荷納期を示す情報である。顧客IDは、この製品200を要求する顧客(客先)を識別する顧客識別情報である。向け先IDは、この製品200の荷揚げ港を識別する出荷先識別情報である。
(出荷製品情報)
つぎに、本発明の実施の形態における複数の倉庫100の各々の出荷製品情報について具体的に説明する。図5は、本発明の実施の形態における倉庫毎の出荷製品情報の一具体例を示す図である。本実施の形態において、複数の倉庫100の各々の出荷製品情報は、図1に示した荷役作業決定装置1の出荷製品情報データベース3bにより、更新可能に保存され、最新情報として管理されている。
このような出荷製品情報は、上述したように、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各々に現在保管中の製品200の出荷条件を示す情報である。具体的には、図5に示すように、出荷製品情報は、各製品200の現時点における最新の出荷条件として、製品番号、棟番号、船積予定日時、出荷ロットID、船ID、顧客ID、出荷岸壁ID、および向け先IDを含む。製品番号および棟番号は、上述した在庫情報に含まれるものと同様の情報である。出荷製品情報内の出荷条件は、これらの製品番号および棟番号を在庫情報と照合することにより、この在庫情報内の位置情報等の各種情報と対応付けられる。
船積予定日時は、上述した製品識別情報としての製品番号によって識別される製品200の出荷スケジュールを示す情報であり、詳細には、この製品200が出荷の際に船積みされる予定日時を示すものである。出荷ロットIDは、この製品200の出荷時における物流ロットを示す情報である。船IDは、この製品200を積み込む船を識別する情報である。顧客ID、この製品200の顧客を識別する情報(顧客識別情報)である。出荷岸壁IDは、この製品200を船積みする場所すなわち出荷バースを識別する情報である。向け先IDは、この製品200の出荷先を識別する情報(出荷先識別情報)である。
(製品搬送情報)
つぎに、本発明の実施の形態における複数の倉庫100の各々の製品搬送情報について具体的に説明する。図6は、本発明の実施の形態における倉庫毎の製品搬送情報の一具体例を示す図である。本実施の形態において、複数の倉庫100の各々の製品搬送情報は、図1に示した荷役作業決定装置1の製品搬送情報データベース3cにより、更新可能に保存され、最新情報として管理されている。
このような製品搬送情報は、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各々における製品200の搬入出に関する情報である。具体的には、図6に示すように、製品搬送情報は、各製品200の現時点における最新の搬入出に関する情報として、パレットID、間口ID、パレット搬入日時、製品番号、製品外径、製品幅、製品厚、製品重量、パレット位置情報、入出庫識別番号、荷役完了フラグ、および荷役順の各情報を含む。
パレットIDは、倉庫毎の車両搬入出間口104(図2参照)に搬入されたパレット110を識別する情報である。間口IDは、このパレット110が搬入された車両搬入出間口104を識別する情報である。例えば、図6に示す間口IDとしての「1−F1」は、複数の倉庫100のうち棟番号が「1」である倉庫(例えば倉庫100a)の「F1」という車両搬入出間口104を意味する。すなわち、この車両搬入出間口104に、パレットID=PL003のパレット110が搬入されたことが示されている。パレット搬入日時は、このように車両搬入出間口104にパレット110が搬入された日時を示す情報である。
また、図6に示す製品搬送情報において、製品番号は、上述したように車両搬入出間口104に搬入されたパレット110を用いて入出庫される製品200を識別する製品識別情報である。製品外径、製品幅、製品厚、および製品重量は、この入出庫される製品200のサイズ(例えばコイルサイズ)や重量等の仕様を示す製品仕様情報である。
一方、パレット位置情報は、車両搬入出間口104内のパレット110上における製品200の積み込み位置を識別する情報である。例えば、製品番号「B0002」の製品200に対応するパレット位置情報「1−2」は、車両搬入出間口104内のパレット110上における1段目の2番の位置に当該製品200が載置されていることを示す。
入出庫識別番号は、上述したパレット位置情報によって示される位置に存在する製品200と、当該製品200が載置されているパレット110とが、入庫作業または出庫作業の何れの対象のものであるかを識別する情報である。本実施の形態において、入出庫識別番号が「1」である場合、この入出庫識別番号(=1)は、これに対応する製品200およびパレット110が入庫作業の対象であることを意味する。入出庫識別番号が「2」である場合、この入出庫識別番号(=2)は、これに対応する製品200およびパレット110が出庫作業の対象であることを意味する。
荷役完了フラグは、上述した入出庫識別番号によって識別される製品200の入庫作業または出庫作業の荷役が完了したか否かを示す情報である。本実施の形態において、荷役完了フラグが「1」である場合、この荷役完了フラグ(=1)に対応する製品200が荷役完了の製品であることを意味する。荷役完了フラグが「0」である場合、この荷役完了フラグ(=0)に対応する製品200が荷役未完了の製品であることを意味する。
図6に例示される製品搬送情報に含まれる製品番号の製品200のうち、上述の荷役完了フラグが「0」である製品は、荷役作業決定装置1によって荷役作業が決定される対象の製品になる。一方、入出庫識別番号が「1」である製品200、すなわち、入庫作業の対象製品は、これに対応する荷役完了フラグが「1」であれば、パレット110上から対象倉庫内に搬入済みであることから、このパレット110上には既に存在せず、よって、本発明における荷役作業の対象とはならない。また、入出庫識別番号が「2」である製品200、すなわち、出庫作業の対象製品は、これに対応する荷役完了フラグが「1」であれば、対象倉庫内からパレット110上に搬出済みであることから、このパレット110上に既に積み込まれており、よって、本発明における荷役作業の対象とはならない。
荷役順は、同一のパレット110に対する製品200の荷役作業の順番を示す情報である。具体的には、製品200の入庫作業において、荷役順は、同一のパレット110上に積み込まれている製品200をパレット110から降ろして対象倉庫内へ搬入する順番を示す。また、製品200の出庫作業において、荷役順は、対象倉庫内に保管されている製品200を同一のパレット110上へ積み込む順番(搬出の順番)を示す。
ここで、本実施の形態において対象とする倉庫操業には、上述した出荷対象製品を出荷バースへ搬出する際に、上述したパレット110を牽引する運搬車を用いる場合とフォークリフトを用いる場合とがある。出荷バースへの出荷対象製品の搬出に上述の運搬車とフォークリフトとの何れを用いるかについては、この出荷対象製品を保管する対象倉庫と出荷バースとの位置関係に基づいて事前に決められる。運搬車を用いた出荷対象製品の搬出の場合、出荷対象製品を載せるためのパレット110が対象倉庫の車両搬入出間口104(図2参照)に搬入される。その際、このパレット110の搬入に対応する情報が、製品搬送情報に加えられる。
(制約条件)
つぎに、本発明の実施の形態における複数の倉庫100の各々の制約条件について具体的に説明する。図7は、本発明の実施の形態における倉庫毎の制約条件の一具体例を示す図である。本実施の形態において、複数の倉庫100の各々に設定される制約条件は、図1に示した荷役作業決定装置1のマスタ情報データベース3dにより、更新可能に保存され、最新情報として管理されている。
このような制約条件は、上述したように、対象倉庫を含む複数の倉庫100の各倉庫(例えば倉庫100a,100b)内に保管可能な製品200のサイズ等の条件である。具体的には、図7に示すように、制約条件は、製品200の保管に関して倉庫毎に制約される最新の条件として、棟番号、列番号、番地、最大外径、最小外径、最大幅、最小幅、および最大段積数を含む。棟番号、列番号、および番地は、上述した在庫情報に含まれるものと同様の情報である。制約条件は、これらの棟番号、列番号、および番地を在庫情報と照合することにより、この在庫情報内の位置情報等の各種情報と対応付けられる。
最大外径は、上述した位置情報(具体的には棟番号、列番号、および番地)によって識別される保管位置毎に配置可能な製品200の外径の上限値を示す。最小外径は、上記保管位置毎に配置可能な製品200の外径の下限値を示す。最大幅は、上記保管位毎に配置可能な製品200の幅の上限値を示す。最小幅は、上記保管位毎に配置可能な製品200の幅の下限値を示す。最大段積数は、上記保管位置毎に配置可能な製品200の段積数の上限値を示す。また、制約条件は、特に図7には図示しないが、上述した上下限値の他に、図3に示したように架台101上に製品200を段積みする際の上下製品に関する制約(例えば段積み可能な製品の重量や形状等の条件)をまとめたルール等の情報を含む。
(荷役作業決定方法)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法について説明する。図8は、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法において、図1に示した荷役作業決定装置1は、図8に示すステップS101〜S108の各処理を適宜実行して、複数の倉庫100のうちの制御対象とする対象倉庫の荷役作業を決定する。
この荷役作業決定装置1の処理が開始される以前、入力部2は、複数の倉庫100の各クレーン制御用計算機103から所定のタイミング毎に荷役作業状況情報を受信し、受信した荷役作業状況情報に基づいて、処理部4に処理実行指示情報を入力する。なお、この所定のタイミングとして、例えば、天井クレーン102が起動した時点、天井クレーン102が1サイクル分のクレーン作業を完了した時点、および、天井クレーン102が作業完了してから所定の時間が経過した時点等のタイミングが挙げられる。入力部2は荷役作業状況情報を受信した倉庫を対象倉庫とし、荷役作業決定装置1は、対象倉庫の荷役作業を決定するための処理の実行を開始する。以下、図1〜8を適宜参照しつつ、対象倉庫として倉庫100aを例示して、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法を説明する。
本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法において、荷役作業決定装置1は、図8に示すように、まず、制御対象とする対象倉庫内に現在保管されている製品200のグループ分け処理を実行する(ステップS101)。ステップS101において、グループ分け処理部4aは、入力部2によって入力された処理実行指示情報に基づいて、複数の倉庫100のうちの倉庫100aを対象倉庫として決定し、この倉庫100aについて、製品200のグループ分け処理を実行する。
詳細には、グループ分け処理部4aは、倉庫100aの在庫情報を在庫情報データベース3aから抽出し、倉庫100aの出荷製品情報を出荷製品情報データベース3bから抽出する。この在庫情報は、倉庫100a内に現在保管中の製品200の少なくとも保管位置を示す情報(図4参照)であり、上述した倉庫操業実績情報に基づき事前に更新され、現時点において倉庫100aの最新の在庫情報として管理されるものである。また、この出荷製品情報は、倉庫100a内に現在保管中の製品200の出荷条件を示す情報(図5参照)であり、上述した倉庫操業実績情報に基づき事前に更新され、現時点において倉庫100aの最新の出荷条件として管理されるものである。グループ分け処理部4aは、これらの抽出した最新の在庫情報および出荷製品情報をもとに、倉庫100a内に現在保管中の製品200を、出荷条件の近い製品同士のグループにグループ分けする。
ここで、出荷条件の近い製品同士とは、上述した出荷製品情報に示される出荷条件のうち、例えば、出荷ロットIDおよび出荷岸壁IDが製品間で等しく、且つ、出荷予定時刻(本実施の形態では船積予定日時)が近い製品同士をいう。グループ分け処理部4aは、上述した在庫情報内の製品番号によって識別される各製品200を、このように出荷条件の近い製品同士にまとめて、倉庫100aについてグループを生成する。ただし、本実施の形態において、出荷予定時刻が近いとは、現在から未来へ所定の設定時間(例えば4時間等)以内に出荷予定時刻が収まる場合をいう。これにより、同一のグループとして在庫情報内から抽出する製品200の数、すなわち、処理対象となるグループ毎の製品数が過度に多くならないようにする。
上述したステップS101を実行後、荷役作業決定装置1は、ステップS101によって生成したグループについて、エリア決定処理を実行する(ステップS102)。ステップS102において、エリア決定部4bは、対象倉庫としての倉庫100aについて、グループ分け処理部4aによって生成されたグループ毎にエリア決定処理を実行する。
詳細には、エリア決定部4bは、倉庫100aの制約条件をマスタ情報データベース3dから抽出し、上述した在庫情報を在庫情報データベース3aから抽出する。この制約条件は、対象倉庫としての倉庫100a内の製品配置に関する制約条件(図7参照)であり、上述した更新指示情報に基づき事前に更新され、現時点において倉庫100aの最新の制約条件として管理されるものである。なお、エリア決定部4bが抽出する在庫情報は、上述したグループ分け処理部4aの場合と同様である。エリア決定部4bは、これらの抽出した制約条件および在庫情報をもとに、グループ分け処理部4aによるグループに属する各製品200を集めて配置するエリアを、グループ毎に決定する。
この際、エリア決定部4bは、エリア決定処理の処理対象のグループ(以下、処理対象グループという)に属する処理対象の製品200(以下、処理対象製品という)の数を許容するエリア候補を設定する。ついで、エリア決定部4bは、設定したエリア候補毎に所定の評価値V(pi)を算出し、算出した評価値V(pi)が最大となるエリア候補を、処理対象グループに対応するエリアとして決定する。
ここで、評価値V(pi)は、上述した在庫情報内の製品番号によって識別される各製品200のうち処理対象製品の配置段が下段になるほど重くなる重み付けを加味して、エリア決定の優先度を評価する値である。このような評価値V(pi)は、処理対象グループの配置段別製品数piと、上述の重み付けを示す重み係数wiとを用い、次式(1)によって表される。
V(pi)=Σ(pi×wi) (段番号iは1以上の整数) ・・・(1)
本実施の形態において、配置段別製品数piは、処理対象グループに属する処理対象製品の総数(以下、対象グループ製品総数という)のうち、エリア決定処理の処理対象のエリア候補内に位置する処理対象製品の配置段毎の数である。すなわち、処理対象のエリア候補内に積まれている処理対象製品のうち、段番号iの配置段に積まれている処理対象製品の数が、配置段別製品数piである。段番号iは、図3に例示されるように、架台101上に段積み等して積まれている製品200の配置段を示す1以上の整数値である。重み係数wiは、このような段番号iの減少に伴って増加する。
上述したステップS102を実行後、荷役作業決定装置1は、対象倉庫内に現在保管中の製品200に対する入出庫作業の有無を判断する(ステップS103)。ステップS103において、入出庫作業決定部4cは、倉庫100aの製品搬送情報を製品搬送情報データベース3cから抽出し、倉庫100aの出荷製品情報を出荷製品情報データベース3bから抽出する。この製品搬送情報は、対象倉庫としての倉庫100aにおける製品200の搬入出に関する情報(図6参照)であり、上述した倉庫操業実績情報に基づき事前に更新され、現時点において倉庫100aの最新の製品搬送情報として管理されるものである。なお、入出庫作業決定部4cが抽出する出荷製品情報は、上述したグループ分け処理部4aの場合と同様である。入出庫作業決定部4cは、これらの抽出した製品搬送情報および出荷製品情報をもとに、倉庫100aにおいて現在実行すべき製品200の入出庫作業の有無を判断する。
具体的には、入出庫作業決定部4cは、抽出した製品搬送情報を参照し、この製品搬送情報に含まれる各製品番号の製品200のうち、荷役作業が完了していない作業未完の製品の有無を判断する。この際、入出庫作業決定部4cは、製品搬送情報に含まれる製品番号毎に荷役完了フラグを確認し、荷役フラグが「0」となっている製品番号がある場合、作業未完の製品が有ると判断する。すなわち、入出庫作業決定部4cは、このような作業未完の製品に対して現在実行すべき入出庫作業が有ると判断する。入出庫作業決定部4cは、このような入出庫作業有りの判断結果に対応して、倉庫100aの製品搬送情報の中から、荷役フラグが「0」である作業未完の製品の製品搬送情報を抽出し、抽出した製品搬送情報をリスト化して、作業未完の製品の製品搬送情報リストを生成する。
また、入出庫作業決定部4cは、抽出した出荷製品情報を参照し、この出荷製品情報に含まれる各製品番号の製品200のうち、近い将来に出荷予定の出荷対象製品の有無を判断する。この際、入出庫作業決定部4cは、出荷製品情報に含まれる製品番号毎に船積予定日時を確認し、船積予定日時が所定の設定時間以内(例えば4時間以内等)に近づいている製品番号が有る場合、出荷対象製品が有ると判断する。すなわち、入出庫作業決定部4cは、このような出荷対象製品に対して現在実行すべき入出庫作業(具体的には出庫作業)が有ると判断する。入出庫作業決定部4cは、このような入出庫作業有りの判断結果に対応して、倉庫100aの出荷製品情報の中から、出荷対象製品の出荷製品情報を抽出し、抽出した出荷製品情報をリスト化して、出荷対象製品の出荷製品情報リストを生成する。
上述したように、入出庫作業決定部4cは、製品搬送情報および出荷製品情報の少なくとも一方について入出庫作業が有る場合、倉庫100aにおいて現在実行すべき製品200の入出庫作業が有ると判断する(ステップS103,Yes)。この場合(入出庫作業が有る場合)、入出庫作業決定部4cは、倉庫100aについて入出庫作業の実行を決定する(ステップS104)。
ステップS104において、入出庫作業決定部4cは、上述したように有ると判断した入出庫作業、すなわち、倉庫100aにおいて現在実行すべき製品200の入出庫作業について、その実行を決定する。この際、入出庫作業決定部4cは、上述した製品搬送情報リストおよび出荷製品情報リストのうち生成したリストに対応する各製品200(作業未完の製品および出荷対象製品の少なくとも一方)について、所定の判断基準をもとに、入出庫作業実行の優先順位を決定する。本実施の形態では、この優先順位の判断基準として、例えば、実行する入出庫作業の種類(入庫作業または出庫作業)、パレット搬入日時、船積予定日時、図2に示した場外仮置場105の空き状況等が挙げられる。
例えば、入出庫作業決定部4cは、入出庫識別番号が「1」である作業未完の製品、すなわち、入庫作業対象の製品に比して、入出庫識別番号が「2」である作業未完の製品または出荷対象製品、すなわち、出庫作業対象の製品の優先順位を上位にする。これを前提条件とし、入出庫作業決定部4cは、これら作業対象の各製品のうち、パレット搬入日時がより過去の製品の優先順位を上位とし、船積予定日時がより早い製品の優先順位を上位とする。また、入出庫作業決定部4cは、出庫作業対象の出荷対象製品の全てを積むに要する空きスペースが場外仮置場105に確保されていれば、出荷対象製品の出庫作業実行の優先順位を上げる。
入出庫作業決定部4cは、入庫作業対象である作業未完の製品、出庫作業対象である作業未完の製品、および出荷対象製品のうち、上述した優先順位が最上位となる製品の入庫作業または出庫作業を、倉庫100aにおける次回の入出庫作業として、その実行を決定する。なお、上述した作業未完の製品のうち、入庫作業対象の製品は、パレット110(図2参照)から倉庫100a内へ入庫される製品であり、出庫作業対象の製品は、倉庫100a内からパレット110に積み込まれて出庫される製品である。出荷対象製品は、倉庫100a内から場外仮置場105(図2参照)に積まれて出庫される製品である。
一方、上述したステップS103において、入出庫作業決定部4cは、上述した製品搬送情報に含まれる製品番号毎に荷役完了フラグを確認した結果、荷役フラグが「0」となっている製品番号が無い場合、すなわち、この製品搬送情報内の全ての荷役完了フラグが「1」である場合、作業未完の製品が無いと判断する。すなわち、入出庫作業決定部4cは、上述した製品搬送情報に含まれる各製品番号の製品200について、現在実行すべき入出庫作業が無いと判断する。この場合、入出庫作業決定部4cは、上述した作業未完の製品の製品搬送情報リストを生成しない。
また、上述したステップS103において、入出庫作業決定部4cは、上述した出荷製品情報に含まれる製品番号毎に船積予定日時を確認した結果、船積予定日時が所定の設定時間以内に近づいている製品番号が無い場合、近い将来出荷予定の出荷対象製品が無いと判断する。すなわち、入出庫作業決定部4cは、上述した出荷製品情報に含まれる各製品番号の製品200について、現在実行すべき入出庫作業が無いと判断する。この場合、入出庫作業決定部4cは、上述した出荷対象製品の出荷製品情報リストを生成しない。
入出庫作業決定部4cは、上述した製品搬送情報および出荷製品情報のいずれについても入出庫作業が無いと判断した場合、倉庫100aにおいて現在実行すべき入出庫作業が無いと判断する(ステップS103,No)。この場合(入出庫作業が無い場合)、荷役作業決定装置1は、現在実行すべき入出庫作業が無い倉庫100a内に現在保管中の製品200について、配替作業決定処理を実行する(ステップS105)。
ステップS105において、配替作業決定部4dは、ステップS101により生成されたグループに属する各製品200を当該グループに対応してステップS102により決められたエリアに集めて配置する配替作業の実行を、倉庫100aについて決定する。本実施の形態において、配替作業の実行の目的は、ステップS102によって設定されたエリアに、当該エリアに対応するグループの各製品200を集めて配置し、これにより、対象倉庫内の各製品200の配置状況を、入出庫作業に好適な配置状況に改善することである。このような配替作業には、注目エリアの外部に位置する注目グループの所属製品を注目エリアの内部に入れる搬送作業と、注目エリアの内部に位置する非所属製品を注目エリアの外部に出す搬送作業とが含まれる。
なお、注目グループは、上述したグループ分け処理部4aにより対象倉庫についてグループ分けされた複数のグループのうち、配替作業の対象として注目するグループである。所属製品は、注目グループに属する製品である。非所属製品は、注目グループに属さない製品であり、例えば、注目グループ以外の別グループに属する製品、あるいは、いずれのグループにも属さない無所属の製品である。注目エリアは、上述したエリア決定部4bによってグループ毎に決定されたエリアのうち、注目グループの所属製品を集めて配置するエリアである。
詳細には、ステップS105において、製品選択部4eは、倉庫100aにおける製品配置に関する指標を取得する。本実施の形態では、この指標として、例えば、注目グループに属し且つ注目エリアの内部に位置する製品の数と、注目グループに属し且つ注目エリアの外部に位置する製品の数と、注目グループに属さず且つ注目エリアの内部に位置する製品の数と、注目グループに属さない製品のうち注目グループに属する製品の上に載っている製品の数とが挙げられる。
製品選択部4eは、注目エリアの外部に位置する注目グループの所属製品の上に載っている非所属製品の全数のうち、別グループに属する製品の数と無所属の製品の数とをカウントする。この状態の非所属製品は、取り除かなければ注目グループの所属製品を注目エリアの外部から内部へ荷役することの妨げとなる製品である。また、製品選択部4eは、注目エリアの内部に位置する非所属製品の全数のうち、別グループに属する製品の数と無所属の製品の数とをカウントする。製品選択部4eは、これらのカウントした各種製品数をもとに、上述した指標を取得する。製品選択部4eは、取得した指標に基づいて、倉庫100a内に現在保管中の製品200の中から、配替作業の実行時に移動させる製品を選択する。この際、製品選択部4eは、注目エリアの外部に位置する注目グループの所属製品の上に載っている非所属製品(特に別グループに属する製品)の数の増加に伴い、この状態にある所属製品の選択の優先順位を上げる。
その後、製品移動先決定部4fは、倉庫100a内に現在保管中の製品200の中から製品選択部4eが選択した製品の移動先を決定する。この際、製品移動先決定部4fは、上述したように配替作業の移動対象として選択された各製品の移動先を、注目グループの所属製品が注目エリアの内部に位置し且つ注目グループに属さない非所属製品が注目エリアの外部に位置するように決定する。
具体的には、製品移動先決定部4fは、注目エリアの外部において注目グループの所属製品の上に載っている非所属製品のうち、別グループの製品の移動先を当該別グループに対応するエリアの内部に決定し、無所属の製品の移動先を注目エリアの外部に決定する。また、製品移動先決定部4fは、注目エリアの外部に位置する注目グループの所属製品の移動先を注目エリアの内部に決定する。さらに、製品移動先決定部4fは、注目エリアの内部に位置する非所属製品のうち、別グループの製品の移動先を当該別グループに対応するエリアの内部に決定し、無所属の製品の移動先を注目エリアの外部に決定する。
上述したステップS104またはステップS105を実行後、荷役作業決定装置1は、ステップS104またはステップS105によって実行が決定された入出庫作業または配替作業の事前に、倉庫100a内に現在保管中の製品200に対して必要な事前の荷役作業の有無を判断する(ステップS106)。
ステップS106において、事前作業決定部4gは、上述したステップS104により入出庫作業の実行が倉庫100aについて決定された場合、この入出庫作業の実行に際して必要な事前の荷役作業の有無を判断する。具体的には、事前作業決定部4gは、倉庫100aにおいて入出庫作業の対象となる作業未完の製品または出荷対象製品の上に、この入出庫作業の対象外である別の製品が載っている場合等、この入出庫作業を阻害する別の製品が存在する場合、このような別の製品を予め退かす事前の荷役作業が必要であると判断する。すなわち、事前作業決定部4gは、上述した入出庫作業の実行前に必要な事前の荷役作業が有ると判断する。
また、事前作業決定部4gは、倉庫100aにおいて配替作業の対象となる製品の上に、この配替作業の対象外である別の製品が載っている場合等、この配替作業を阻害する別の製品が存在する場合、このような別の製品を予め退かす事前の荷役作業が必要であると判断する。すなわち、事前作業決定部4gは、上述した配替作業の実行前に必要な事前の荷役作業が有ると判断する。
上述したように、事前作業決定部4gは、倉庫100aについて入出庫作業または配替作業の実行前に必要な事前の荷役作業が有ると判断した場合(ステップS106,Yes)、この倉庫100aについて事前作業決定処理を実行する(ステップS107)。ステップS107において、事前作業決定部4gは、事前の荷役作業が有る場合、この有ると判断した事前の荷役作業の実行を倉庫100aについて決定する。
この際、事前作業決定部4gは、倉庫100a内に現在保管中の製品200のうち、上述した入出庫作業または配替作業の実行を阻害する製品を、事前の荷役作業の対象として決定する。この事前の荷役作業の対象となる製品は、例えば、入出庫作業の対象となる作業未完の製品または出荷対象製品の上に載っている別の製品、あるいは、配替作業において移動させる製品の上または移動先に位置する別の製品等である。事前作業決定部4gは、このような事前の荷役作業の対象製品の移動先を、倉庫100a内の各架台101上の位置のうち、入出庫作業または配替作業の対象製品の移動元以外であり且つ移動先以外である位置に決定する。
上述したステップS107を実行後、荷役作業決定装置1は、倉庫100aについて実行が決定された各種荷役作業の指示情報を倉庫100aのクレーン制御用計算機103に出力する出力処理を実行し(ステップS108)、本処理を終了する。ステップS108において、出力部5は、倉庫100aの天井クレーン102の制御系であるクレーン制御用計算機103(図1,2参照)に対し、上述したように実行が決定された入出庫作業または配替作業を指示する荷役作業指示情報と事前の荷役作業を指示する事前作業指示情報とを出力する。
詳細には、出力部5は、上述したステップS104によって入出庫作業の実行が決定された場合、この入出庫作業の実行を指示する荷役作業指示情報を倉庫100aのクレーン制御用計算機103に対して出力する。また、出力部5は、上述したステップS105によって配替作業の実行が決定された場合、この配替作業の実行を指示する荷役作業指示情報を倉庫100aのクレーン制御用計算機103に対して出力する。さらに、出力部5は、上述したステップS107によって事前の荷役作業の実行が決定された場合、この事前の荷役作業の実行を指示する事前作業指示情報を倉庫100aのクレーン制御用計算機103に対して出力する。
倉庫100aのクレーン制御用計算機103は、ステップS108によって出力部5から出力された事前作業指示情報に基づいて、この受信した事前作業指示情報により指示された事前の荷役作業を実行するように倉庫100aの天井クレーン102を制御する。その後、倉庫100aのクレーン制御用計算機103は、ステップS108によって出力部5から出力された荷役作業指示情報に基づいて、この受信した荷役作業指示情報により指示された入出庫作業を実行するように倉庫100aの天井クレーン102を制御する。
一方、上述したステップS106において、事前作業決定部4gは、倉庫100a内に入出庫作業または配替作業を阻害する別の製品が存在しない場合、倉庫100aについて入出庫作業または配替作業の実行前に必要な事前の荷役作業が無いと判断する(ステップS106,No)。この場合、荷役作業決定装置1は、ステップS107を実行せずにステップS108に進む。このステップS108において、出力部5は、倉庫100aのクレーン制御用計算機103に対し、上述したように実行が決定された入出庫作業または配替作業を指示する荷役作業指示情報を出力する。
本実施の形態において、荷役作業決定装置1は、複数の倉庫100のうちの対象倉庫毎に、上述したステップS101〜S108の各処理を適宜実行する。この結果、複数の倉庫100のうち倉庫100a以外の対象倉庫(例えば倉庫100b)についても、上述した倉庫100aの場合と同様に、実行すべき荷役作業が決定され、決定された荷役作業が行われる。
(エリア決定処理)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法において実行されるエリア決定処理(図8のステップS102参照)について詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態におけるエリア決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。上述した図8に示したように、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定方法では、ステップS101によって生成されたグループについてエリア決定処理が実行される。このエリア決定処理において、エリア決定部4bは、図9に示すステップS201〜211の各処理を適宜実行し、これにより、グループ毎のエリアを決定する。
詳細には、図9に示すように、エリア決定処理において、エリア決定部4bは、まず、対象倉庫としての倉庫100aについて架台101の列選択処理を実行する(ステップS201)。
ステップS201において、エリア決定部4bは、倉庫100a内に設置されている複数列の架台101の中から、エリア決定処理の対象とする架台101の列位置を選択する。本実施の形態において、架台101の列位置は、図2に示したように、架台101の列番号Lによって識別される。エリア決定部4bは、これら複数列の架台101の列番号L(1,2,・・・,n−1,n)の中から、エリア決定処理の対象とする列番号Lを1つ選択する。この際、エリア決定部4bは、例えば、番号順に列番号Lを選択する。
ステップS201を実行後、エリア決定部4bは、選択した列番号Lについてグループ選択処理を実行する(ステップS202)。ステップS202において、エリア決定部4bは、まず、ステップS201により選択した列番号Lの架台101上に載置されている製品200の数を、上述した在庫情報を用いてグループ毎にカウントする。これにより、エリア決定部4bは、この架台101上に存在する全てのグループの製品数を得る。ここでいう製品数は、対象とするグループに属する全ての製品200のうち、この架台101上に載置されている製品の数である。ついで、エリア決定部4bは、この架台101上に存在する全てのグループの中から、エリア決定処理が行われておらず且つ上述の製品数が最も大きいグループを、エリア決定処理の処理対象グループとして選択する。
ステップS202を実行後、エリア決定部4bは、上述したように選択した処理対象グループについて、この処理対象グループに属する処理対象製品を集めて配置するエリアの候補となるエリア候補の設定処理を実行する(ステップS203)。
ステップS203において、エリア決定部4bは、まず、処理対象グループに属する全ての処理対象製品を集めて配置可能なエリアのサイズ(以下、エリアサイズSaという)を設定する。本実施の形態において、エリアサイズSaは、処理対象グループに属する処理対象製品の数を許容するエリアのサイズ、すなわち、処理対象グループに属する全ての処理対象製品を配置可能なエリアのサイズを意味する。このようなエリアサイズSaは、処理対象グループに属する処理対象製品の総数である対象グループ製品総数ptと、正の定数Kaとを用い、次式(2)によって表される。エリア決定部4bは、式(2)に示されるように、エリアサイズSaを、対象グループ製品総数ptの定数倍に設定する。
Sa=Ka×pt ・・・(2)
ついで、エリア決定部4bは、処理対象グループが存在する架台101に割り振られている各番地A(図3参照)のうちの最小番地を、この処理対象グループに属する処理対象製品を配置する架台101の開始番地Asとして設定する。続いて、エリア決定部4bは、この開始番地Asから終了番地Aeまでの範囲の架台101上に配置可能な製品数が対象グループ製品総数pt以上である(望ましくは対象グループ製品総数ptより大きくなる)という条件を満足するように、終了番地Aeを設定する。この際、エリア決定部4bは、上述した倉庫100aの制約条件(例えば番地毎の最大積載数等)をもとに、この架台101の各番地Aのうちの開始番地Asに比して大きい番地の中から、上述の条件を満足する最小の番地を選択し、この選択した番地を終了番地Aeとして設定する。
エリア決定部4bは、上述したように設定した開始番地Asから終了番地Aeまでの架台101上の領域を、エリア候補として設定する。このように設定したエリア候補は、処理対象グループに属する全ての処理対象製品を集めて配置可能な架台101上の領域、すなわち、処理対象グループに属する処理対象製品の数(総数)を許容する架台101上の領域である。
図10は、本発明の実施の形態におけるエリア決定処理において設定されるエリア候補の一例を示す図である。エリア決定部4bによって設定されるエリア候補は、例えば図10に示すエリア候補211,212のように、エリアサイズSaが同じ(図10ではSa=8)であっても、製品200の最大段積数が番地毎に異なる場合、開始番地Asから終了番地Aeまでのエリア幅(終了番地Aeと開始番地Asとの番号差)が異なるものになる。エリア決定部4bは、このようなエリア候補を設定する場合、マスタ情報データベース3d(図1参照)から倉庫100aの制約条件を読み込み、この制約条件に含まれる各番地の最大段済数(図7参照)等を加味して、エリア候補に対応する開始番地Asおよび終了番地Aeを設定する必要がある。
上述したステップS203を実行後、エリア決定部4bは、設定したエリア候補の評価処理を実行する(ステップS204)。ステップS204において、エリア決定部4bは、まず、上述したステップS203によって設定したエリア候補の内部に位置する処理対象グループの製品数をカウントする。この際、エリア決定部4bは、この処理対象グループに属する処理対象製品のうち、上述した架台101上の開始番地Asから終了番地Aeまでの範囲内に載置されている処理対象製品の数を配置段毎にカウントする。これにより、エリア決定部4bは、処理対象グループの配置段別製品数piを得る。また、このカウント処理において、エリア決定部4bは、このエリア候補の開始番地Asから終了番地Aeまでの範囲内に処理対象グループ以外の別グループのエリアが重複する場合、カウント結果を「0」とする。
ついで、エリア決定部4bは、カウントした処理対象製品の数をもとに、エリア候補について、エリア決定の優先度を評価する。この際、エリア決定部4bは、処理対象製品の配置段が下段になるほど重くなる重み付けを加味して、上述したエリア候補についてのエリア決定の優先度を評価する。すなわち、エリア決定部4bは、カウントして得た処理対象グループの配置段別製品数piと、上述した重み係数wiとを用い、上述した式(1)に基づいて評価値V(pi)を算出する。この評価値V(pi)は、上述したようにエリア決定の優先度を評価する値である。例えば図10に示すように、製品200の配置段の数が3段(段番号i=1,2,3)である場合、評価値V(pi)は、処理対象グループの1段目、2段目、3段目の各配置段別製品数p1、p2、p3と、1段目、2段目、3段目の各重み係数w1、w2、w3(ただしw1>w2>w3)とを用い、次式(3)のように線形和として算出される。なお、このエリア候補の開始番地Asから終了番地Aeまでの範囲内に処理対象グループ以外の別グループのエリアが重複する場合、評価値V(pi)は、「0」になる。
V(pi)=(p1×w1)+(p2×w2)+(p3×w3) ・・・(3)
上述したステップS204を実行後、エリア決定部4bは、処理対象グループの全エリア候補に対して評価処理が完了したか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205において、エリア決定部4bは、直前のステップS204により評価処理が行われたエリア候補の終了番地Aeと、ステップS201により選択された列番号Lの架台101における番地Aの最大値とを比較する。エリア決定部4bは、この比較処理の結果、このエリア候補の終了番地Aeがこの番地Aの最大値に達していない場合、処理対象グループに対して設定される全てのエリア候補のうち評価処理が未完のものが有る、すなわち、エリア候補の評価処理が未完であると判断する。
エリア候補の評価処理が未完である場合(ステップS205,No)、エリア決定部4bは、処理対象である列番号Lの架台101について、エリア候補更新処理を実行する(ステップS206)。
ステップS206において、エリア決定部4bは、前回のエリア候補の開始番地Asに「1」を加えるインクリメント処理を行い、これにより、開始番地Asを更新する。また、エリア決定部4bは、この更新後の開始番地Asを用いて上述したステップS203と同様の処理を行い、これにより、前回のエリア候補の終了番地Aeを更新する。エリア決定部4b、このように更新した開始番地Asから終了番地Aeまでの架台101上の範囲を新たなエリア候補として設定し、処理対象のエリア候補を、この新たなエリア候補に更新する。その後、エリア決定部4bは、上述したステップS204に戻り、このステップS204以降の処理を繰り返し実行する。
一方、上述したステップS205において、エリア決定部4bは、エリア候補の終了番地Aeと番地Aの最大値との比較処理の結果、このエリア候補の終了番地Aeがこの番地Aの最大値に達している場合、処理対象グループに対して設定される全てのエリア候補の評価処理が完了したと判断する。この場合(ステップS205,Yes)、エリア決定部4bは、上述した評価処理が完了したエリア候補の中から、処理対象グループのエリアを選択するエリア選択処理を実行する(ステップS207)。
ステップS207において、エリア決定部4bは、処理対象グループについて設定した全てのエリア候補の中から、上述したステップS204〜S206の各処理を繰り返して算出した評価値V(pi)が最大となるエリア候補を、処理対象グループに対応するエリアとして選択する。
ここで、上述したエリア候補の評価処理における各重み係数w1、w2、w3間には、w1>w2>w3という不等式が成立する。すなわち、エリア候補の内部に位置する処理対象製品の配置段が下段になるほど、重み係数wiは重く(大きく)なる。これは、より下段に積まれた処理対象製品ほど動かしづらい(特に1段目に積まれた処理対象製品が最も動かしづらい)ことから、より下段に積まれた処理対象製品の数が多いエリア候補の評価値V(pi)を大きくし、この結果、エリア決定の優先度を高くするためである。
このような評価値V(pi)が最大となるエリア候補は、処理対象グループについて設定した全てのエリア候補のうち、天井クレーン102による製品200のハンドリング数を最も少なくして効率よく処理対象製品を集めることが可能なエリアである。エリア決定部4bは、このような最大の評価値V(pi)をとるエリア候補を、処理対象グループの各処理対象製品を集めて配置するエリアとして、優先的に選択し決定する。
上述したステップS207を実行後、エリア決定部4bは、倉庫100a内の対象列の全グループに対してエリア選択処理が完了したか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208において、エリア決定部4bは、上述したステップS201により選択された列番号Lの架台101上に存在する製品200の全グループのうち、上述したステップS207によるエリア選択処理が行われていない未処理のグループが有る場合、対象の列番号Lについてエリア選択処理が未完であると判断する。
エリア選択処理が未完である場合(ステップS208,No)、エリア決定部4bは、処理対象である列番号Lの架台101について、グループ更新処理を実行する(ステップS209)。ステップS209において、エリア決定部4bは、処理対象である列番号Lの架台101上に存在する全てのグループの中から、ステップS207によるエリア選択処理が行われておらず且つこの架台101上における製品数がエリア選択処理済みのグループの次に大きいグループを選択する。ついで、エリア決定部4bは、この選択したグループを、新たな処理対象グループとして更新する。その後、エリア決定部4bは、上述したステップS203に戻り、このステップS203以降の処理を繰り返し実行する。
一方、ステップS208において、エリア決定部4bは、上述したステップS201により選択された列番号Lの架台101上に、上述したステップS207によるエリア選択処理が行われていない未処理のグループが無い場合、対象の列番号Lの架台101上に存在する全グループに対してエリア選択処理が完了したと判断する。この場合(ステップS208,Yes)、エリア決定部4bは、倉庫100a内の架台101の全列について処理が完了したか否かを判断する(ステップS210)。
ステップS210において、エリア決定部4bは、対象倉庫としての倉庫100a内に設置されている全ての架台101のうち、エリアが決定されていない未処理のグループが存在する架台101が有る場合、倉庫100aについて処理が未完であると判断する。この場合(ステップS210,No)、エリア決定部4bは、処理対象の架台101の列番号Lを更新する列更新処理を実行する(ステップS211)。
ステップS211において、エリア決定部4bは、倉庫100a内に設置されている複数列の架台101のうち全グループのエリアが決定済みの架台101を除く残りの架台101の中から、処理対象とする列番号Lを1つ選択する。この際、エリア決定部4bは、例えば、前回に処理対象とした架台101の列番号Lに「1」を加えるインクリメント処理を行い、インクリメント処理後の列番号Lを選択する。エリア決定部4bは、このように選択した列番号Lを、今回の処理対象とする列番号Lに更新する。その後、エリア決定部4bは、上述したステップS202に戻り、このステップS202以降の処理を繰り返し実行する。
一方、ステップS210において、エリア決定部4bは、エリアが決定されていない未処理のグループが存在する架台101が倉庫100a内に残っていない場合、倉庫100aについて処理が完了したと判断する。この場合(ステップS210,Yes)、エリア決定部4bは、本処理を終了し、図8に示したステップS102にリターンする。その後、荷役作業決定装置1は、上述したようにステップS103に進む。
(実施例)
つぎに、本発明の実施例について説明する。本実施例は、本発明の実施の形態にかかる荷役作業決定装置1に複数の倉庫100の実績データ(倉庫毎の操業実績)を適用して、対象倉庫の実行すべき荷役作業を決定するオフラインシミュレーションを行った場合の具体例を示すものである。本実施例において、対象とする倉庫棟数は、12棟である。
本実施例を実行した結果、対象倉庫における出庫作業の直前に出荷対象製品の上に載っている別の製品を取り除く荷役作業が、従来に比して、40[%]以上低減することが確認できた。このことから、本発明により、出荷対象製品の出庫作業遅れが解消され、この結果、出荷対象製品の船積作業の効率がより高まることが見込める。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、対象倉庫の最新の在庫情報および出荷製品情報をもとに、対象倉庫内に現在保管中の製品を、出荷条件の近い製品同士のグループにグループ分けし、対象倉庫内の製品配置に関する最新の制約条件および上述の在庫情報をもとに、同一のグループに属する各製品を集めて配置するエリアをグループ毎に決定している。また、対象倉庫の最新の製品搬送情報および出荷製品情報をもとに、対象倉庫において現在実行すべき製品の入出庫作業の有無を判断し、入出庫作業が有る場合、対象倉庫について入出庫作業の実行を決定し、入出庫作業が無い場合、グループに属する各製品をエリアに集めて配置する配替作業の実行を対象倉庫について決定し、対象倉庫の荷役設備の制御系に対して、実行が決定された入出庫作業または配替作業を指示する荷役作業指示情報を出力している。
このため、対象倉庫内に保管される製品の現時点における最新の在庫状況(例えば製品の現保管位置等)に対応して、グループ毎のエリアを動的に決定することができ、製品の製造または出荷の計画変更等の外乱が生じた場合、この外乱に応じて、グループ毎のエリアを修正することができる。また、上述したようなエリア内に出荷条件の近い各製品をまとめる配替作業を、対象倉庫において製品の入出庫作業が必要に迫られていない空き時間帯に実行することが可能になる。以上により、対象倉庫における製品の入出庫作業を阻害することなく、上述した配替作業を短時間のハンドリングで効率よく実行して、対象倉庫内の製品を出庫する事前に、出荷条件の近い出荷対象製品を対象倉庫内の近い位置にまとめることができる。この結果、出荷対象製品の上に積まれている別の製品を退かす荷役作業の増加に起因して出庫効率が低下するという状況を上述の外乱に影響されずに可能な限り減らせることから、対象倉庫内からの出荷対象製品の出庫作業に遅れが生じることを防止して、出荷対象製品の出荷作業の効率を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、サイズが似た製品同士を同一のエリア内にまとめることができ、これにより、倉庫容量を十分に活用することができ、この結果、より多くの製品を倉庫内に保管することができるようになる。
また、本発明の実施の形態では、上述したように実行が決定された入出庫作業または配替作業の実行前に必要な事前の荷役作業の有無を判断し、事前の荷役作業が有る場合、対象倉庫について事前の荷役作業の実行を決定し、対象倉庫の荷役設備の制御系に対して、実行が決定された入出庫作業または配替作業を指示する荷役作業指示情報と事前の荷役作業を指示する事前作業指示情報とを出力している。
このため、入出庫作業または配替作業の対象となる製品の上に積まれている邪魔な製品を事前に退かすことができる。これにより、上述の邪魔な製品を退かす作業を入出庫作業または配替作業の際に実行しなければならない事態を防止することができる。この結果、実行すべき入出庫作業または配替作業に要する時間を可能な限り減らして、短時間に効率よく入出庫作業または配替作業を実行することができる。
なお、上述した実施の形態では、クレーン制御用計算機によって自動制御される無人運転の天井クレーンを倉庫の荷役設備の一例として例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、倉庫の荷役設備の一例である天井クレーンは、作業者の操作によって動作する有人運転のクレーンであってもよい。この場合、本発明にかかる荷役作業決定装置および荷役作業決定方法によってクレーン制御用計算機に出力される指示情報(具体的には、荷役作業指示情報、事前作業指示情報)は、クレーン作業のガイダンスとして表示画面に表示等して活用されればよい。
また、上述した実施の形態では、倉庫の荷役設備の一例として天井クレーンを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、倉庫の荷役設備としてのクレーンは、地面や床面あるいは壁面等に備え付けられたクレーン等、天井クレーン以外のタイプのクレーンであってもよい。すなわち、本発明において、倉庫の荷役設備の種類は特に問われない。
さらに、上述した実施の形態では、複数の倉庫のうちのいずれかを荷役作業決定の対象倉庫としていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明における対象倉庫は、荷役作業決定装置と一対一対応する単一の倉庫であってもよい。すなわち、本発明において、倉庫の棟数は特に問われない。
また、上述した実施の形態では、倉庫内に保管される製品の一例としてコイル(コイル状の鉄鋼製品)を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、倉庫内に保管される製品は、コイル以外の鉄鋼製品であってもよいし、鉄鋼製品以外の製品であってもよい。
さらに、上述した実施の形態では、倉庫から出庫された製品が船積みされて出荷される場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。倉庫から出庫された製品は、貨物車等の船以外の運搬手段に積み込まれて出荷されてもよい。
また、上述した実施の形態または実施例による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明が限定されることはなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。