図1は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置が使用される倉庫のレイアウトの説明図である。
図1に例示する倉庫100は、保管エリア101及びアクティブエリア102を含む。保管エリア101は、複数のロケ103を含み、入荷バース104に到着した商品は、PLに積付けられた後にいずれか1つのロケ103に保管される。すなわち、各ロケは、保管エリア101内の区画であり、商品の格納位置である。
出荷される商品の最小単位はピース(Pcs)であるが、保管エリア101では、通常、所定の数のPcsがケース(CS)にまとめられており、CSごとに出荷される場合もある。商品がCSごとに出荷される場合(これをCS出荷と称す)、ロケ103から取り出されたCSが出荷バース105に運ばれ出荷される。商品がPcsごとに出荷される場合、必要に応じて商品がアクティブエリア102に補充され、そこから必要なPcs数の商品が出荷バース105に運ばれ、出荷される。すなわち、アクティブエリア102は、Pcs(単品)の商品を保管するエリアである。
なお、図1に示すレイアウトは一例であり、本発明は任意のレイアウトの倉庫に適用することができる。例えば、保管エリア、アクティブエリア、入荷バース及び出荷バースの位置関係は任意であり、保管エリアに含まれるロケ数も任意である。
実施例1では、保管エリア101内の1つのロケ103に対して、1PLずつ格納されるものとして説明する。また、1PLには1つまたは複数のSKU(Stock Keeping unit)の商品が載っているものとし、1SKUは1商品の1ロット名に相当するものとする。また、実施例1で想定する倉庫100では、同一商品に対してロット名の50音順(降順)でCS出荷および補充の引当が掛かる(すなわちその順で出荷および補充が行われる)ものとする。
但し、本発明の装置の適用範囲はロット管理がされている商品に限定されるものではない。同一の商品が複数のロケに格納されている場合に、その商品の引当順序が倉庫の運用上決まっているならば、本発明の装置は適用可能である。
ここで、引当順序とは、保管エリアに格納されている商品が出荷および補充の少なくともいずれかのために保管エリアから搬出される順序であり、本実施例では上記のとおりロット名の順に商品が搬出される。しかし、ロット名は引当順序を決定する情報の一例であり、実際には種々の情報に基づいて引当順序を決定することができる。例えば、記憶部11に商品が入荷した順序を示す情報が保持され、その順序がそのまま引当順序として使用されてもよい。あるいは、例えば商品が食品である場合などのように、商品の消費期限が定められている場合は、記憶部11に商品の消費期限を示す情報が保持され、消費期限が早く到来する順に商品が搬出されてもよい。
以降の説明では、入荷バースに到着後の商品を積み付けて、これから格納を行うPLを「格納PL」、保管エリアに保管済の在庫商品が積み付けられたPLを「在庫PL」と呼ぶ。
図2は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示す混載積付・格納指示装置10は、例えば倉庫等における物品の混載積付・格納指示といった物品管理のための処理を行うシステムの一例であり、相互に接続された記憶部11及び演算部12を有する計算機である。記憶部11は、例えば半導体記憶装置、磁気ディスク装置、又はそれらの組合せ等であり、演算部によって実行されるプログラム及び演算部の処理の際に参照されるデータ等を格納する。演算部12は、記憶部11に格納されたプログラムに記述された命令に従って、後述する種々の処理を実行するプロセッサである。
混載積付・格納指示装置10には、入力部13及び出力部14が接続される。入力部13は、例えばキーボード、マウスおよびハンディターミナルのような、情報の入力を受け付けるデバイスであり、出力部14は、例えば画像表示装置、プリンタおよびハンディターミナルのような、情報を出力するデバイスである。
ここで、近年の倉庫業務では機械化が進んでおり、PLへの商品の積付作業や格納作業を自動積付ロボットまたは自動搬送ロボットなどの機械が執り行う形態が見られている。そのような場合に備え、出力部14は、倉庫業務を行う機械が読み込めるような形で推奨混載組合せリスト19を出力できる機能を備えていることが望ましい。これによって、機械によって混載積付作業および格納作業を行う場合にも、保管エリアの間口の利用効率・回転率の高い混載積付の組合せを実現することが可能となる。
混載積付・格納指示装置10は、さらに、演算部12に接続されたネットワークインターフェースを介して倉庫内ネットワークに接続される。図2は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10を倉庫内ネットワークに接続した場合のネットワーク構成を示している。一般的に倉庫内ネットワークには、WMS(Warehouse Management System)と呼ばれる、商品の在庫管理などを行う倉庫管理システムのデータベース15及びアプリサーバ16が接続されている。ネットワークの形態は有線又は無線のいずれであってもよい。また、実施例1の混載積付・格納指示装置10は、倉庫管理システムデータベース15内のなるべく最新のデータを読み込むことが可能であれば、必ずしも倉庫内ネットワークに接続されていなくとも、利用可能である。
図3は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10の構成を示す機能ブロック図である。
図3では、混載積付・格納指示装置10が倉庫管理システムデータベース15および倉庫管理システムアプリサーバ16とは独立した計算機上に実装されて動作することを想定して説明する。但し、本発明の実施形態はこの形態に限る必要は無い。例えば、後述する混載積付・格納指示装置10の機能が、倉庫管理システムアプリサーバ16上で動作する1つのアプリケーションという形で実現されても良い。
図3の記憶部11は、図2の倉庫管理システムデータベース15から、倉庫の在庫データ111および過去の在庫消費実績112を読み込んで保持している。また、記憶部11は、商品マスタ110、区分けルール113、制約条件114およびロケマスタ115を合わせて保持している。
なお、上記の在庫消費実績112および後述する在庫消費CS数112c(図12参照)等における「消費」とは、商品が出荷または補充等のために保管エリア101から搬出され、その結果、保管エリア101内に存在しなくなることを意味する。
図3の演算部12は、入力部13が読み込んだ入荷予定リスト17と、記憶部11から読み込んだ上記の各種データ110〜115とを用いて、推奨混載組合せリスト19を導出する。図3の演算部12は、混載候補抽出部120、総在庫数計算部121、平均在庫消費数計算部122、格納期間算出部123、格納期間比較部124、及び混載組合せ決定部125というプログラムモジュールを保持している。後述するように、混載候補抽出部120は、混載候補商品(商品名)181を含む混載候補商品リスト18を生成する。総在庫数計算部121は、混載候補商品までの総在庫数20を計算する。平均在庫消費数計算部122は、混載候補商品の平均在庫消費数21を計算する。格納期間算出部123は、格納期間22を算出する。格納期間比較部124は、混載候補商品区分けリスト23を生成する。
ここで、プログラムモジュール120から125は実際には記憶部11の中にプログラムとして書き込まれているものである。よって、演算部12がそれらのプログラムを読み込んで図5にて説明するステップS1〜S10の処理を実行するが、本明細書では便宜的に各ステップの処理の主体は前記120〜125のいずれかのプログラムモジュールであるものとして説明する。
図4は、本発明の実施例1における入力部13の一形態を示す説明図である。
ここでは、計算機の表示部に表示されるGUI(Graphical User Interface)として入力部13を説明する。
混載積付・格納指示装置10の利用者は、入力部13のモード選択欄501の中からいずれかひとつの機能を選択する。図4の例では、モード選択欄501において、混載積付指示501a、詰込み格納指示501bおよび棚寄せ指示501cのいずれかが選択可能である。
ここで、モード選択欄501における混載積付指示501aは、入荷格納の段階で入荷商品171同士の混載組合せを導出する機能を動作させる指示であり、この機能については実施例1にて説明する。詰込み格納指示501bは、1PL分の物量に満たない入荷商品171を、保管エリアの在庫の存在するロケに詰込み格納指示を出す機能を動作させる指示である。この機能の詳細は実施例2にて説明する。最後に棚寄せ指示501cは、保管エリアの在庫同士を組合せて混載組合せの生成を行う機能を動作させる指示のことである。この機能の詳細は実施例3にて説明する。
入力部13は、さらに、入荷予定リスト名入力欄502および実行ボタン503を含む。利用者が入荷予定リスト名入力欄502に入荷予定リストを識別する情報を入力し、モード選択欄501においていずれかの機能を指示して、実行ボタン503を操作すると、混載積付・格納指示装置10は、入荷予定リスト名入力欄502に入力された情報によって識別される入荷予定リストを対象として、モード選択欄501において指示された機能が実行される。
図5は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10全体の処理手順を示すフローチャートである。
以降、図5を用いて本発明の実施形態について詳細を説明する。
ステップS1(図5):演算部12は、記憶部11から各種データ110〜115を取得する。
ステップS2(図5):混載候補抽出部120は、入力部13から終了の入力があれば、装置全体の動作を終了させる。何も入力がない場合は、入力待ちを継続する。ただし、入荷予定リストおよびモードの指定を含む実行指示が入力された場合は、後述するS3が実行される。
ステップS3(図5):混載候補抽出部120は、入力部13のモード選択欄501において混載積付指示501aが指定され、入荷予定リスト名入力欄502において入荷予定リスト17(入荷商品名171、ロット名172、入荷予定日時173、入荷CS数174、カテゴリ175)が入力され、かつ実行ボタン503を介して実行指示が入力された場合、ステップS4に進む。何も入力がない場合は、入力待ちを継続する。
入荷予定リスト17は、入荷商品名171、ロット名172、入荷予定日時173、入荷CS数174およびカテゴリ175を含む。ここでカテゴリ175とは、入荷予定リスト17の中のどの商品同士を混載させるかをユーザが指定するためのものである。本実施例では、カテゴリ175の列に同一の文言(すなわち同一の値)があるもの同士で混載組み合わせが導出される。例えば、ユーザは入荷予定日時173が近い(例えば入荷予定日時173の差が所定の値より小さい)商品同士、および、同一の入荷トラックの便で入荷される商品同士を同一カテゴリに指定することが想定される。入荷する時期が異なる商品を混載しようとすると、先に入荷する商品が入荷してから後に入荷する商品が入荷するまで当該商品を保管エリア101に格納できないが、上記のように、近い時期に入荷する商品の範囲内で混載組合せを導出することによって、効率的に入荷の格納を行うことができる。
なお、もし入荷トラック便名または入荷予定日時が同一の入荷商品を同一カテゴリとするのであれば、カテゴリ175の列に入荷トラック便名または入荷予定日時173の列と同じ値を入力すれば良い。入荷予定リスト17の詳細は、図6を参照して後述する。
ここで、入力部13は、例えば、ハンディターミナルの画面によって実現されても良い。この場合、例えば入荷予定リスト17の各行に1つずつバーコードが印字された列を追加しておき、利用者がハンディターミナルなどで各行のバーコードを読み取ることによって入荷予定リスト17を入力しても良い。このような形態の場合、倉庫の入荷バース104の作業員が本装置10を使う場合に、実物に表示された入荷商品名と入荷予定リスト17の入荷商品名171とを照合しながら推奨混載組合せリスト19を出力することができ、入荷検品作業およびPLへの積付作業の効率化が図れる。
ステップS4(図5):混載候補抽出部120は、入荷予定リスト17および商品マスタ110を参照して、混載候補商品を抽出し、混載候補商品リスト18を生成する。混載候補商品リスト18の詳細は、図7を参照して後述する。
ここで、混載候補商品リスト18に含まれるPL換算入荷物量182は、それぞれの商品の入荷量(例えば入荷CS数)を、PL数に換算した値(言い換えると、入荷した商品を積み付けるために必要なPLの数)であり、商品マスタ110に定義された1PLあたりの積付可能CS数110bを用いて式(1)によって算出される。
PL換算入荷物量182
=入荷CS数174/1PLあたり積付可能CS数110b 式(1)
また、混載候補商品リスト18に含まれる混載対象物量183は、入荷CS数174を1PLあたり積付可能なCS数110bで割った余り(すなわち、式(1)の計算結果の小数点以下の部分)が該当する。また、混載対象物量183が生じる入荷商品が混載候補商品181にあたる。本実施例では、上記のようにして計算された混載対象物量183が示す数量の混載候補商品181が、他の品目の商品と混載して保管エリア101に格納するか否かを決定する対象となる。
ステップS5(図5):総在庫数計算部121は、混載候補商品リスト18および在庫データ111から、混載候補商品名181と同一名の商品で、かつ、ロット名111cを参照して、ロット名ごとの(すなわち引当順序ごとの)商品の在庫数に基づいて引当順序が早い同一商品の在庫CS数111dを取得して、混載候補商品までの総在庫数20を算出する。混載候補商品までの総在庫数20は、混載候補商品よりも引当順序の早い全ての同一商品の在庫CS数の総和に、混載候補商品のCS数を加算した数として算出される。言い換えると、混載候補商品までの総在庫数20は、混載候補商品名181と同一名の(すなわち同一品目の)商品を、引当順序に従って保管エリア101から搬出していった場合に、混載候補商品の搬出が終了するまでに搬出される当該品目の商品の数に相当する。これを計算することによって、混載候補商品の搬出が終了する時期を精度よく予測することができる。
ステップS6(図5):平均在庫消費数計算部122は、混載候補商品名181および在庫消費実績112から、混載候補商品の平均在庫消費数21を算出する。ここで在庫消費とは、CS出荷またはアクティブエリア102への補充などのために保管エリア101から各商品が消費されていくこと(すなわち各商品が保管エリア101から搬出された結果、保管エリア101内には存在しなくなること)の総称である。例えば在庫消費実績はCS出荷実績および補充実績が含まれる。平均在庫消費数21は、単位時間(例えば1日)当たりの在庫消費の平均であり、式(2)によって算出される。
平均在庫消費数21
=Σ在庫消費パタンごとの一定期間の在庫消費数の総和/一定期間の日数 式(2)
ステップS7(図5):格納期間算出部123は、各混載候補商品181の格納期間22を、混載候補商品までの総在庫数20および平均在庫消費数21から、式(3)によって算出する。
格納期間22
=混載候補商品までの総在庫数20/平均在庫消費数21 式(3)
格納期間22は、混載候補商品181が保管エリア101から全て搬出されるまでの期間の長さである。このような格納期間22の評価を行うことで、混載候補商品181が引当順序に則ってこれまでの実績と同じ速さで消費されると仮定した場合に、保管エリア101に格納されてから何日でPL上から消費され尽くすかの予測が可能となる。なお、格納期間22の始点は格納期間22の計算を行った時点(より正確には、混載候補商品までの総在庫数20の計算の基となる在庫データ111が取得された時点)であり、終点は全ての混載候補商品181の保管エリア101からの搬出が終了する時点である。このため、例えばある二つの品目の商品について計算した格納期間22の長さが近いことは、それらの品目の混載候補商品181の保管エリア101からの搬出が終了する時期が互いに近いことを示している。
ステップS8(図5):格納期間比較部124は、各混載候補商品181の格納期間22とカテゴリ175と区分けルール113とを参照して、混載候補商品181をカテゴリ175および区分けルール113で区分けして、混載候補商品区分けリスト23を生成する。すなわち、格納期間比較部124は、カテゴリ175ごとの各混載候補商品181を、格納期間22と区分けルール113の格納期間幅113bとを照合して、該当する区分113aに区分ける。混載候補商品区分けリスト23の詳細は、図14を参照して後述する。
ステップS9(図5):混載組合せ決定部125は、混載候補商品区分けリスト23、制約条件114および各混載候補商品181の混載対象物量183を参照して、ステップS8において同一区分に区分けられた混載候補商品181同士で、推奨の混載組合せを導出する。また、混載組合せ決定部125は、混載候補商品リスト18の全混載候補商品181に対して推奨混載組合せを導出し終わったら、推奨混載組合せリスト19を生成する。推奨混載組合せリスト19の詳細は、図8を参照して後述する。また、ステップS9で実行される処理の詳細は、ステップS91〜S94(図16)を参照して後述する。
ステップS10(図5):出力部14は、混載組合せ決定部125から入力された推奨混載組合せリスト19を出力する。出力が終わったら、ステップS2に戻り再びユーザ指示の入力待ちを行う。
図6は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する入荷予定リスト17の例を示す説明図である。
入荷予定リスト17は、入荷商品171、ロット名172、入荷予定日時173、入荷CS数174およびカテゴリ175から構成される。入荷商品171は、入荷する商品を識別する情報(例えば商品名)である。ロット名172は、入荷する商品のロットを識別する情報である。ロット管理がされていない倉庫ではロット名172は不要である。入荷予定日時173は、入荷する商品の入荷予定の日時である。入荷CS数174は、入荷する商品の数量を示す。入荷CS数174の単位は必ずしもCSである必要はなく、Pcs数単位で表示されても良い。
カテゴリ175は、図5を参照して説明した通り、ユーザが混載を許容する商品を指定するために与えられる情報である。図6の例では、1月24日の10:00に入荷する商品名「A」、「B」および「C」で識別される3種の商品には同一のカテゴリ「1」が与えられ、1月24日の15:00に入荷する商品名「D」で識別される商品には上記と異なるカテゴリ「2」が与えられる。
例えば、同時に(又は近い時間帯に)入荷する商品は混載しやすいが、離れた時間帯に入荷する商品は、それらを混載しようとすると、先に入荷した商品をPLに積み付けてから、後で入荷する商品の入荷を待つ必要があるため、混載に適していない。このため、例えば、同時に(又は近い時間帯に)入荷する商品は同一のカテゴリに分類され、離れた時間帯に入荷する商品は異なるカテゴリに分類されてもよい。
図7は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する混載候補商品リスト18の例を示す説明図である。
混載候補商品リスト18は、混載候補商品181、ロット名172、カテゴリ175、PL換算入荷物量182、混載対象物量183および混載対象CS数184から構成される。混載候補商品リスト18は、ステップS4の処理を経て、入荷予定リスト17の入荷商品171の中で混載候補商品181のみが抽出されて表示される。
具体的には、混載候補商品181は、混載候補商品を識別する情報(例えば商品名)である。ロット名172およびカテゴリ175は、それぞれ、入荷予定リスト17に含まれるものに対応する。PL換算入荷物量182は、それぞれの商品について、式(1)によって計算される。混載対象物量183は、式(1)の計算結果の端数(すなわち小数点以下の)部分である。混載対象CS数184は、混載対象物量183をCS数に換算した値である。
図8は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10によって出力される推奨混載組合せリスト19の例を示す説明図である。
推奨混載組合せリスト19は、混載候補商品181、ロット名172、入荷予定日時173、カテゴリ175、総入荷数191、推奨積付PL192、推奨積付物量193および予想格納期間22から構成される。
この中で、総入荷数191は、入荷予定リスト17の入荷CS数174と混載候補商品リスト18のPL換算入荷物量182の両方を引用して表示する。
推奨積付PL192は、混載候補商品181をどのPLに積付ければ良いかを表すもので、後述のステップS94にて決定される。推奨積付物量193は、混載候補商品181の推奨積付PL192に対する積付け物量を、CS数と、それに相当するPL数の両方で表したものである。
ここで、本発明の混載積付・格納指示装置10は基本的には混載候補商品181の商品名とロット名172がいずれも同一である商品を複数のPLに分割して積み付けることはないものとする。すなわち、推奨積付物量193は、基本的には混載候補商品リスト18の混載対象物量183と同一の値になる。これは、仮に複数PLに分割することを許容すると、同一商品の同一ロット名が複数ロケに分散することになり、出荷作業者の負担および作業工数が増大するためである。
なお、推奨混載組合せリスト19は、例えば推奨混載組合せリスト19の各行に1枚ずつ、図8の各列の情報を印字したラベルを発行するような形態で出力されても良い。
図9は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10によって出力される推奨混載組合せリスト19の別の例を示す説明図である。
具体的には、図9は、推奨混載組合せリスト19の各行をラベルに印字する例を示した図である。図9に示すラベルには、図8に示した推奨混載組合せリスト19と同様の情報が印字される。ただし、1枚のラベルに、図8に示した推奨混載組合せリスト19の1行分の混載候補商品名181、ロット名172、入荷予定日時173、カテゴリ175、推奨積付PL192、総入荷数191、予想格納期間22および推奨積付物量193が印字される。
この形態の場合は、ユーザが混載候補商品181の実物にそのラベルを貼ることで、積付作業員が間違えずにPLに商品を積付けられるという効果が期待できる。また、推奨混載組合せリスト19を自動積付ロボットなどの機械が読込み可能な形で出力しておけば、積付作業を自動化することができる。
図10は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する商品マスタ110の例を示す説明図である。
商品マスタ110は、商品名110a、1PLあたり積付可能CS数110bおよび商品属性110cから構成される。1PLあたり積付可能CS数110bは、PL容積(すなわちPL上に積み付けて良い商品の容積)を、各商品の1CS当たりの容積で割ることで算出できる。本実施例では1PLが置かれる区画を1ロケとしていることから、1PLあたり積付可能CS数110bは、1ロケに格納可能な商品の数量に相当する。
商品属性110cは商品の性質を記述するための列であり、商品属性110cの値としては、例えば要冷品(具体的には例えば生鮮食品および乳製品など)、危険品(具体的には例えば毒物など)などが考えられる。倉庫では、要冷品は空調エリア、危険品は入退室管理がなされた専用エリアなどに格納される。また、同一の商品属性110c同士の商品を混載させることが一般的である。そのため後述のステップS92およびS93(図16)では、まず商品属性110cが同一である商品同士で混載組合せを導出し、次に混載組合せが生成できなかった商品に対しては、制約条件114において混載可能(True)に指定されている商品属性110cの組合せに限って、混載組合せを生成する。なお、各商品110aには基本的には何らかの商品属性110cを定義するものとするが、特に性質がない商品は「一般品」などの名称を定義しておけばよい。
図11は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する在庫データ111の例を示す説明図である。
在庫データ111は、保管エリア101の各ロケに保管されている在庫商品の商品名、ロット名および物量が分かれる情報であればよく、少なくともロケコード111a、商品名111b、ロット名111cおよび在庫数(例えば在庫CS数111d)が含まれていれば良い。但しロット管理がされていない倉庫では、ロット名111cは不要である。図11に示す在庫データ111の例は、さらに、在庫数をPL数に換算したPL換算在庫数111e、および、各PLを識別するPL名等の在庫PL111fを含む。
図12は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する在庫消費実績112の例を示す説明図である。
在庫消費実績112は、保管エリア101からの在庫が消費される全パタン(例えば保管エリア101からのCS出荷と、アクティブエリア102への補充の両方など)が網羅されていることが望ましい。在庫消費実績112には、少なくとも在庫消費が行われた日時112a、商品名112bおよび在庫消費CS数112cが含まれていれば良い。
図13は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が算出する格納期間22の考え方の説明図である。
図13は、A、B、Cの3つの混載候補商品が存在すると仮定した場合のそれぞれの格納期間22を示している。横軸は現在(本発明の装置を利用した日付)からの日数を表す。また、ステップS7によって算出した各混載商品の格納期間22の終期(すなわち引当終了日)を図13において黒丸で記す。図13の破線部は、各混載候補商品よりも引当順序の早い別ロット名の同一商品の在庫PLへの引当期間を表している。
図14は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する区分けルール113および混載積付・格納指示装置10が生成する混載候補商品区分けリスト23の例を示す説明図である。
区分けルール113は、ステップS9で推奨混載組合せを導出するために必要なもので、格納期間22をある日数の幅で区分けしたものである。区分けルール113の1行が1区分に当たる。
本実施例の混載積付・格納指示装置10は、ステップS8にて、混載候補商品181の格納期間22と、各区分113aに指定された格納期間幅113bの日数の幅の上限および下限とを比較して、各混載候補商品181がどの区分113aに該当するかを決定する。図14の例では、混載対象商品の商品名23aに記載されているように、格納期間22がそれぞれ5日、10日、4日である商品A、B、Cが、それぞれ番号2、3、2の区分に決まったことを示している。混載候補商品区分けリスト23は、カテゴリ175ごとに作成される。
ここで区分けルール113に指定する区分113aの数と、各区分に指定する格納期間幅113bの値は任意であるが、区分113a間で指定した格納期間幅113bが重複しないようにする。また、区分113aの数が多過ぎると一つの区分に複数の商品が分類されにくくなるため、混載組合せが導出されにくくなる。一方、区分113aの数が少な過ぎると格納期間が異なる商品同士が混載されやすくなり、本発明の効果が発揮されない懸念がある。そのため、例えば、各商品の格納期間の分布を調べて、その分布の統計値(平均値、中央値、最頻値、分散、標準偏差など)を加味して区分113aの数と格納期間幅113bを定めることが望ましい。
なお、本実施例では上記のように格納期間を複数の区分に分けて同一の区分に属する格納期間を有する商品を混載候補としているが、これは、格納期間の長さが近い(すなわち混載候補商品の搬出が終了する時期が近い)商品の組合せを特定する方法の一例である。このような区分を利用することによって、格納期間の長さに応じた商品の分類を簡単に行うことができる。しかし、混載積付・格納指示装置10は、上記以外の方法で格納期間の長さが近い商品の組合せを特定し、それらを混載候補としてもよい。
図15は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10が保持する制約条件114の例を示す説明図である。
図15の例では、制約条件114として、商品属性1(114a)、商品属性2(114b)、および混載可能114cが記述される。ここで商品属性1(114a)および商品属性2(114b)は商品マスタ110の商品属性110cと同一の文言(値)を記載するものとする。図15の例では、一般品、要冷品、危険品の三種類が存在する倉庫で、それぞれの組合せパタン(要冷品と一般品、要冷品と危険品、危険品と一般品)について、混載を許容するかを混載可能114cにTRUE/FALSEで記述する。
図15の例では各行ともFALSEに指定されており、いずれの組合せパタンとも混載は許容されないことを意味する。しかし、例えば保管エリアの物量が多い場合には、一般品と要冷品を混載させて要冷エリアに格納することも考えられる。そのような場合には、要冷品と一般品の組合せの行の混載可能114cをTRUEに書き換えれば、要冷品と一般品の混載組合せが導出できる。
図16は、本発明の実施例1の混載積付・格納指示装置10がステップS9において実行する詳細な処理を示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS91(図16):混載組合せ決定部125は、各カテゴリ175の混載候補商品区分けリスト23の中で、同一区分に区分けられた混載対象商品の商品名23a、それぞれの商品名に対応する混載対象物量183、および商品属性110cを取得する。
ステップS92(図16):混載組合せ決定部125は、各カテゴリ175の混載候補商品区分けリスト23に登録された混載対象商品の商品名23aによって識別される商品(以下、単に商品23aとも記載する)のうち、区分113aが共通し、かつ、商品属性110cも共通する複数の商品23aの組合せを抽出し、抽出した各商品23aの混載対象物量183の総和が1PL以下になる範囲で、混載PLに積み付けられる商品の組合せを生成する。これによって、ロケの回転率の向上に寄与し、かつ、実際に積み付け可能な商品の組合せが生成される。
ここで、混載PLの組合せの生成方法は特に問わないが、倉庫現場では格納PLの数はなるべく少ない方が良いと考えられることから、例えばナップザック問題などのアルゴリズムを用いて、生成される混載PL数を最小化する混載組合せ生成を行うと良い。
但し、1PLに積付ける商品(SKU)数が多過ぎると、ある商品SKUの上に別のSKUの商品を積み付けるような不安定な荷姿となって格納作業時に運搬がしづらくなったり、出荷作業時の誤ピックの要因となったりする。そのような事態を避けるために、1PLに積付可能なSKU数の制限を設けて、その範囲内でPLに商品を積み付けるように商品の組合せを決定しても良い。
ステップS93(図16):混載組合せ決定部125は、各カテゴリ175の混載候補商品区分けリスト23の商品23aであって、ステップS92で混載組合せに含まれなかった商品のうち、区分113aが共通し、かつ、その商品の商品属性110cと制約条件114を参照して、混載可能114cの列がTrueに指定されている組合せに限定して、混載対象物量183の総和が1PL以下になる範囲で混載組合せを生成する。
図14の例では、区分113aの値「2」に対応する混載対象商品の商品として商品Aおよび商品Cが登録されている。これらの商品の混載対象物量183はいずれも0.5PLであるため、それらの合計は1PLとなる。また、それらの商品属性110cはいずれも「一般品」である。このため、混載組合せ決定部125は、ステップS92において、商品Aと商品Cの組合せを混載組合せとして生成することができる。
上記の例において、仮に、商品Aと商品Cの商品属性110cが異なっていたとすると、それらの組合せはステップS92では混載組合せとして生成されない。しかし、それらの商品属性110cの組合せに対応する混載可能114cの値がTrueであれば、混載組合せ決定部125は、ステップS93において、それらの組合せを混載組合せとして生成することができる。
ステップS94(図16):混載組合せ決定部125は、ステップS92およびS93のいずれかで同一のPLに積付けるべきと判定した混載候補商品23aに対して、同一の推奨積付PL名192を付与する。
図17Aおよび図17Bは、本発明の実施例1の効果を説明する図である。
図17Aおよび図17Bに示すグラフの横軸は格納期間、縦軸はPL上の商品のCS数を表している。図17Aは、本発明を用いずに仮に格納期間5日の商品Aと、格納期間10日の商品Bを混載させた混載PLの、保管エリアにおける在庫の減り方を現している。図17Aでは、商品Aが消費されてから商品Bが消費されるまでの5日間、商品BがPL上に残り続けるため、この5日間は当該PLが置かれているロケが歯欠け(低充填率)ロケになってしまい、別のPLをこのロケに格納することが難しい。
ここで、歯欠け(低充填率)ロケとは、商品が疎らなロケ、すなわち、積み付け可能な数量に満たない数量の商品が積み付けられたPLが置かれているロケである。
なお、歯欠け(低充填率)ロケに対しては、実施例2で示すような詰込みの格納を行うことはできるが、この場合は、詰込み格納をしたい商品を格納済の在庫PLに移し変えて、かつそれまで格納商品を載せていたPLを片付けるなどの追加作業が発生する。また、発明が解決しようとする課題で述べた通り、棚寄せ作業を行えば歯欠け(低充填率)ロケを除去できるが、棚寄せ作業を日々行うことは難しい。そのため、入庫格納段階で、格納期間の近い商品同士の混載組合せを行うことで、歯欠け(低充填率)ロケの発生を抑えることが望ましい。本実施例によれば、入庫格納段階で、歯欠け(低充填率)ロケの発生を抑えることができる。
図17Bは、本発明を用いて、格納期間5日の商品Aと格納期間6日の商品Cを混載させた場合の在庫の減り方を表している。この場合の歯欠け(低充填率)ロケ発生期間は1日に削減される。これによって、無駄な歯欠ロケ発生期間を抑えることができ、保管エリアの間口の利用効率および回転率が向上する。
また、格納作業を行う作業員は、本装置が出力する推奨混載組合せリスト19の予想格納期間22を参照して、予想格納期間22が短い商品同士の混載PLを出荷作業のしやすいロケ(例:出荷バース近くの1段目の棚)に、予想格納期間22が長い商品同士の混載PLを、出荷作業はしづらいが移動棚などの保管効率を重視したロケに格納することで、出荷作業のしやすいロケは常に回転率が高い状態を保つことができ、出荷作業全体の効率の向上も期待できる。
次に、本発明の実施例2について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2のシステムの各部は、図1〜図17に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
実施例1では入荷段階で1PLに満たない端数の入荷SKU(1商品、1ロット)を混載させてから格納する場合について説明した。しかし、実際の倉庫業務では、1PLに満たない物量の入荷商品を、保管エリアの在庫PLに詰め込む場合がある。このような格納を詰込み格納と称する。
この場合も、詰込み格納を行う商品と、在庫PL上の商品(すなわち、既に積み付けられ、かつ、まだ消費されていない商品)との混載組合せと考えることができ、実施例1の場合と同様に、格納期間22の似通った商品同士を混載させることで、実施例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、実施例2では、実施例1と同様に計算された混載対象物量183が示す数量の混載候補商品181(ステップS4)に加えて、格納可能な数量に満たない数量の商品が格納されているロケ(より詳細には、積み付け可能な数量に満たない数量の商品が積み付けられたPLが置かれているロケ)に格納されている商品が、他の品目の商品と混載して保管エリア101に格納するか否かを決定する対象となる。
本実施例の混載積付・格納指示装置10が実行する処理は、以下に説明する変更点を除いて、図5および図16に示す通りである。
ステップS3(図5):混載候補抽出部120は、入力部13のモード選択欄501において詰込み格納指示501bが指定され、入荷予定リスト名入力欄502において入荷予定リスト17が入力され、かつ実行ボタン503を介して実行指示が入力された場合、ステップS4に進む。実行指示がない場合は、入力待ちを継続する。ここで、入荷予定リスト17のカテゴリ175は実施例2においては必要ない。
ステップS5(図5):総在庫数計算部121は、混載候補商品までの総在庫数20を算出するとともに、在庫データ111上の在庫PL111fに対しても同様に、ロケに対応する各商品111bに対して、在庫PLの商品までの総在庫数(図示省略)を算出する。言い換えると、ここで算出される在庫PLの商品までの総在庫数は、在庫PLに積み付けられている商品と同一名の(すなわち同一品目の)商品を、引当順序に従って保管エリア101から搬出していった場合に、在庫PLに積み付けられている全ての商品の搬出が終了するまでに搬出される当該商品の数に相当する。
ステップS7(図5):格納期間算出部123は、各混載候補商品の格納期間22および各在庫PLの格納期間22bを式(4)式(5)によって算出する。
混載候補商品の格納期間22=混載候補商品までの総在庫数20/平均在庫消費数21 式(4)
在庫PLの格納期間22b=在庫PLの商品までの総在庫数/平均在庫消費数21 式(5)
ここで、仮に在庫PLが混載されている場合、在庫PLの格納期間22bは在庫PL上の各商品111bについて計算した格納期間の最大値を採用する。
ステップS8(図5):格納期間比較部124は、混載候補商品の格納期間22と在庫PLの格納期間22bと区分けルール113とを参照して、混載候補商品181と在庫PLとを区分けルール113で区分けして、混載候補商品・在庫PL区分けリスト33を生成する。混載候補商品・在庫PL区分けリスト33の詳細は、図20を参照して後述する。
ステップS9(図5):混載組合せ決定部125は、混載候補商品・在庫PL区分けリスト33、制約条件214(図19を参照して後述する)、混載候補商品181の混載対象物量183および在庫PLのPL換算在庫数111eを参照して、混載候補商品181の推奨格納先ロケ292を導出し、詰込み格納推奨リスト29を生成する。ステップS9の詳細はステップS91〜S94で説明する。ここで、在庫PLが混載されている場合は、PL換算在庫数111eは、同一在庫PL上の各商品のPL換算在庫数111eの総和を取る。
ステップS10(図5):出力部14は、詰込み格納推奨リスト29を出力する。出力が終わったら、ステップS2に戻り再びユーザ指示の入力待ちを行う。ここで詰込み格納推奨リスト29は、実施例1の図9のように、1行ずつラベルで発行されても良い。また、自動搬送ロボットのような機械が読み込める形式で出力しておけば、詰込み格納作業を機械化・自動化することができ、倉庫内の格納作業の効率化が図れる。
以降、実施例2のステップS9の詳細な処理を説明する。
ステップS91(図16):混載組合せ決定部125は、混載候補商品・在庫PL区分けリスト33の中で、同一区分113aに区分けられた混載候補商品の商品名33a、それぞれの商品名に対応する混載対象物量183、商品属性110c、同一区分に区分けられた在庫PL33bの格納先ロケコード111a、当該ロケコードによって識別される格納先ロケのロケ属性115b、および、当該格納先ロケのPL換算在庫数111eを取得する。
ステップS92(図16):混載組合せ決定部125は、混載候補商品・在庫PL区分けリスト33に登録された混載候補商品の商品名33aによって識別される各商品(以下、単に商品33aとも記載する)に対して、商品属性214a、同一区分の在庫PL33bの格納先ロケコード111aに対応するロケ属性115b、および、制約条件214を参照して、制約条件214の格納可能214cの列がTrueに指定されている組合せに限定して、各商品33aの混載対象物量183と在庫PL33bのPL換算在庫数111eとの総和が1PL以下になる範囲で、各商品33aと在庫PL33bの混載組合せを生成する。ここで各商品33aに組合わされた在庫PLの格納先ロケコード111aの値が、各商品33aの推奨ロケ292となる。
ステップS93(図16):混載組合せ決定部125は、ステップS92で混載組合せに含まれなかった商品33aおよび在庫PL33bに対して、商品33aの商品属性214aと、同一区分の在庫PLの格納先ロケコード111aに対応するロケ属性115bと制約条件214を参照して、制約条件214の緩和可能214dの列がTrueに指定されている組合せに限定して、商品23aの混載対象物量183と在庫PLのPL換算在庫数111eの総和が1PL以下になる範囲で各商品23aと在庫PL33bの混載組合せを生成する。ここで各商品23aに組合わされた在庫PL33bの格納先ロケコード111aの値が、商品23aの推奨ロケ292となる。
ここで、実施例1と同様に、1PLに積付けるSKU数に制限を設けて、その範囲内で在庫PL33bに混載候補商品33aを積み付けるように商品の組合せを決定しても良い。それによって、格納作業時の運搬・格納時の安全確保および出荷作業時の誤ピックのリスク低下が図れる。
ステップS94(図16):混載組合せ決定部125は、推奨ロケ292を記した詰込み格納推奨リスト29を生成する。
図18は、本発明の実施例2の混載積付・格納指示装置10が保持するロケマスタ115の例を示す説明図である。
ロケマスタ115は、各ロケコード115aに対して、ロケ属性115bを定義する。ロケ属性115bの値と、ロケに保管できる商品の属性との関係は、図19に示す制約条件214によって制約される。
図19は、本発明の実施例2の混載積付・格納指示装置10が保持する制約条件214の例を示す説明図である。
制約条件214は、商品属性214a、ロケ属性214b、格納可能214c、および緩和可能214dから構成される。ここで、格納可能214cの列は、商品属性214aの値が示す属性の商品を、ロケ属性214bの値が示す属性のロケに格納可能かどうかを示す値(TRUE:格納可能、FALSE:格納不可)を保持する。緩和可能214dの列は、各商品属性214aの商品の格納先ロケ(ロケ属性214b)に優先度の強弱をつけるために用いる。例えば、商品属性214aが「一般品」である商品の格納先ロケを、まずはロケ属性214bが「一般品」であるロケの中から探し、その中で格納先がなければ、次にロケ属性214bが「要冷品」であるロケの中から格納先ロケを探したい場合がある。そのような場合、図19の1行目のように、「商品属性214a=一般品」および「ロケ属性214b=一般品」に対応して「格納可能214c=TRUE」を記述し、さらに、2行目のように、「商品属性214a=一般品」および「ロケ属性214b=要冷品」に対応して「格納可能214c=FALSE」および「緩和可能214d=TRUE」を記述しておけば良い。
図20は、本発明の実施例2の混載積付・格納指示装置10が生成する混載候補商品・在庫PL区分けリスト33の例を示す説明図である。
混載候補商品・在庫PL区分けリスト33は、区分113a、格納期間幅113b、混載候補商品(商品名)33aおよび在庫PL33bから構成される。図20の例は、区分113aの値「2」に対応する格納期間幅113bは「3日〜7日」であり、この区分の混載候補商品33aとして「A」、「C」が、在庫PL33bとして「PL11」、「PL13」が登録されている。これは、入荷商品から混載候補として抽出された商品Aおよび商品C、ならびに、PL11およびPL13に積み付けられている在庫商品の格納期間の長さが3日から7日までの範囲内であることを示している。
図21は、本発明の実施例2の混載積付・格納指示装置10が出力する詰込み格納推奨リスト29の例を示す説明図である。
詰込み格納推奨リスト29は、混載候補商品名181、ロット名172、入荷予定日時173、推奨格納物量291、予想格納期間22、推奨ロケ292、推奨ロケの商品名293、推奨ロケの商品物量294および推奨ロケの商品の予想格納期間295を含む。ここで、推奨格納物量291は、推奨ロケに格納することが推奨される混載候補商品の物量である。推奨ロケ292は、混載候補商品を詰込み格納することが推奨されるロケである。推奨ロケの商品名293および推奨ロケの商品物量294は、それぞれ、推奨ロケに現在格納されている商品を識別する商品名およびその商品の現在格納されている物量である。推奨ロケの商品の予想格納期間295は、推奨ロケに現在格納されている商品が全て消費されるまでに要すると予想される期間であり、当該推奨ロケのPLについて式(5)によって計算された在庫PLの格納期間22bに相当する。
図21の詰込み格納推奨リスト29の先頭のレコードの例では、新たに入荷する商品から抽出された混載候補商品Aを、ロケ1に既に格納されている商品Eと混載することが推奨されている。これは、混載組合せ決定部125がそれらの商品の組合せを混載組合せとして決定した結果を示している。商品Eが格納されているロケ1が推奨ロケ292として出力される。
以上の方法によって、詰込み格納を行う場合においても、詰込み格納を行った結果生成された混載PLの歯欠け(低充填率)ロケの発生を抑止することができ、間口の利用効率・回転率が向上する。
また、格納作業員が推奨ロケ292を参照することで、格納先のロケを探す手間を省くことができ、格納作業の効率化を図ることができる。また、各商品を制約条件214に合ったロケに格納することができるので、温度管理品や危険物を適切なエリアで保管することができ、在庫の品質(例えば冷蔵管理が必要な食料品の品質など)が向上する。
次に、本発明の実施例3について説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例1のシステムの各部は、図1〜図17に示された実施例1および図18〜図21に示された実施例2の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
実施例1では入荷段階で1PLに満たない端数の入荷SKU(1商品、1ロット)を混載させてから格納する場合について、次に実施例2では1PLに満たない物量の入荷SKUを、保管エリアの在庫PLに組合せてロケに詰込む場合を説明した。
しかし倉庫業務では、主に保管エリアの空きロケ数の確保を目的に、1PLに満たない物量の保管エリアの格納済み商品SKU同士を組合せて、一方のPLに積み付けられた商品をもう一方のPLに移動させる場合がある。このような処理を棚寄せ処理と称する。
この場合も、在庫商品同士の混載組合せと考えることができ、実施例1の場合と同様に、格納期間22の似通った商品同士を混載させることで、実施例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、実施例3では、実施例1のように計算された混載対象物量183が示す数量の混載候補商品181(ステップS4)のかわりに、格納可能な数量に満たない数量の商品が格納されているロケ(より詳細には、積み付け可能な数量に満たない数量の商品が積み付けられたPLが置かれているロケ)に格納されている商品が、他の品目の商品と混載して保管エリア101に格納するか否かを決定する対象となる。
本実施例の混載積付・格納指示装置10が実行する処理は、以下に説明する変更点を除いて、図5および図16に示す通りである。
ステップS3(図5):混載候補抽出部120は、入力部13のモード選択欄501において棚寄せ指示501cが指定され、実行ボタン503を介して実行指示が入力された場合、ステップS4に進む。何も入力がない場合は、入力待ちを継続する。なお、実施例3では入荷予定リスト17は不要である。
ステップS5(図5):総在庫数計算部121は、在庫データ111から、各ロケに対応する商品名111bに対して、当該商品名111bと同一名の商品で、かつ、ロット名が若い(引当順序が早い)同一商品の在庫CS数111dを取得して、在庫PLの商品までの総在庫数を算出する。言い換えると、ここで算出される在庫PLの商品までの総在庫数は、在庫PLに積み付けられている商品と同一名の(すなわち同一品目の)商品を、引当順序に従って搬出していった場合に、在庫PLに積み付けられている全ての商品の搬出が終了するまでに搬出される当該品目の商品の数に相当する。
ステップS7(図5):格納期間算出部123は、在庫PLの格納期間22bを実施例2のステップS7と同様に、式(5)によって算出する。
ステップS8(図5):格納期間比較部124は、在庫PLの格納期間22bと区分けルール113とを参照して、在庫PLを区分けルール113で区分けして、在庫PL区分けリスト34を生成する。在庫PL区分けリスト34の詳細は、図22を参照して後述する。
ステップS9(図5):混載組合せ決定部125は、在庫PL区分けリスト34、制約条件114、および在庫PLのPL換算在庫数111eを加味して、在庫PL区分けリスト34の中で同一区分に区分けられた在庫PL34a同士で混載組合せを導出し、棚寄せ指示リスト39を生成する。詳細はステップS91〜S94で説明する。
ステップS10(図5):出力部14は、棚寄せ指示リスト39を出力する。出力が終わったら、ステップS2に戻り再びユーザ指示の入力待ちを行う。ここで、棚寄せ指示リスト39を自動搬送ロボットのような機械が読み込める形式で出力しておけば、棚寄せ作業を機械化・自動化することができ、倉庫内の棚寄せ作業の効率化が図れる。
以降、実施例3のステップS9の詳細な処理を説明する。
ステップS91(図16):混載組合せ決定部125は、在庫PL区分けリスト34の中で、同一区分113aに区分けられた在庫PL34aの格納先ロケコード111a、商品名111bによって識別されるPL上の商品の商品属性114a、及び、当該ロケのPL換算在庫数111eを取得する。
ステップS92(図16):混載組合せ決定部125は、在庫PL区分けリスト34で同一区分に区分けられた在庫PL34aに対して、PL上の商品111bの商品属性214aを参照して、同一の商品属性114a同士の組合せに限定して、2つの在庫PL上の商品23aのPL換算在庫数111eの総和が1PL以下になる範囲で、在庫PL同士の混載組合せを生成する。
ステップS93(図16):混載組合せ決定部125は、在庫PL区分けリスト34で同一区分に区分けられた在庫PL34aに対して、PL上の商品111bの商品属性214aを参照して、制約条件114の混載可能114cの列がTrueに指定されている組合せに限定して、2つの在庫PL上の商品23aのPL換算在庫数111eの総和が1PL以下になる範囲で、在庫PL同士の混載組合せを生成する。
ここで、実施例1、2と同様に、1PLに積付けるSKU数に制限を設けて、その範囲内でPLに商品を積み付けるように商品の組合せを決定しても良い。それによって、棚寄せ作業時の運搬・格納時の安全確保および出荷作業時の誤ピックのリスク低下が図れる。
ステップS94(図16):混載組合せ決定部125は、ステップS92およびS93で生成した混載組合せを一行ずつ記載した棚寄せ指示リスト39を出力する。
図22は、本発明の実施例3の混載積付・格納指示装置10が生成する在庫PL区分けリスト34の例を示す説明図である。
在庫PL区分けリスト34では、区分113aごとに格納期間幅113bとその格納期間幅に収まる在庫PL34aが列挙される。
図23は、本発明の実施例3の混載積付・格納指示装置10が出力する棚寄せ指示リスト39の例を示す説明図である。
棚寄せ指示リスト39は、棚寄せ候補PL名391、現格納ロケ392、推奨棚寄せ物量393、予想格納期間22、棚寄せ先ロケ394、棚寄せ先PL名395、棚寄せ先ロケの商品物量396および棚寄せ先ロケの商品の予想格納期間397から構成される。
棚寄せ候補PL名391は、棚寄せを行う対象の候補のPLを識別するPL名である。現格納ロケ392は、当該PLが現在格納されているロケを示す。推奨棚寄せ物量393は、当該PLに現在積み付けられている商品の物量(すなわち棚寄せを行うとしたら別のPLに移動させることになる商品の物量)である。棚寄せ先ロケ394および棚寄せ先PL名395は、それぞれ、棚寄せ先(すなわち当該棚寄せ候補のPLに積み付けられている商品の移動先)のロケおよびそこに置かれているPLを示す。棚寄せ先ロケの商品物量396は、棚寄せ先ロケに現在格納されている商品の物量を示す。棚寄せ先ロケの商品の予想格納期間397は、棚寄せ先ロケに現在格納されている商品が全て消費されるまでに要すると予想される期間であり、当該棚寄せ先ロケのPLについて式(5)によって計算された在庫PLの格納期間22bに相当する。
図23の例では、PL11の在庫をPL13に移動(棚寄せ)し、PL12の在庫をPL14に移動(棚寄せ)する混載組合せの例を示している。これは、混載組合せ決定部125が、ロケ5のPL11に積み付けられている商品と、ロケ1のPL13に積み付けられている商品との組合せを混載組合せとして決定し、さらに、ロケ6のPL12に積み付けられている商品と、ロケ2のPL14に積み付けられている商品との組合せを混載組合せとして決定したことを示している。ここで、ステップS92、S93において生成した在庫PL同士の混載組合せにおいて、どちらの在庫PL34aが棚寄せ候補PL391または棚寄せ先PL395となるかの決定方法はいくつか考えられる。例えば、在庫PL34a上のPL換算在庫数111eまたは混載SKU数が少ない在庫PL34aを棚寄せ候補PL391、多い在庫PLを棚寄せ先PL395とすることが考えられる。または、実施例2の制約条件214を入力として追加して、在庫PL上の商品の商品属性214aと格納先ロケのロケ属性214bの組合せを評価し、制約条件214で格納可能214cがFALSEのほうの在庫PL34aを棚寄せ候補PL391とし、他方を棚寄せ先PL395とすることが考えられる。混載積付・格納指示装置10が商品の移動元(すなわち現在格納ロケ392)と移動先(すなわち棚寄せ先ロケ394)を出力し、作業員がそれを参照することによって、作業員の棚寄せ作業が効率化される。
以上の方法によって、棚寄せ作業を行う場合においても、棚寄せの結果生成された混載PLの歯欠け(低充填率)ロケの発生を抑止することができ、間口の利用効率・回転率が向上する。
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば各実施例では、PLに商品を積み付けてから格納する倉庫を想定したが、必ずしもPLに積み付ける必要は無い。例えば、PLではなくCS(ケース)やコンテナ単位で保管を行う棚に対して、それらの棚の1ロケーションに複数SKUを混載させる必要がある場合に、実施例1から実施例3を在庫データ111および入荷予定リスト17の1SKU単位で実施すれば、本明細書で説明した同様の効果を得ることができる。
また、物流倉庫に限らず、例えば生産現場でも、同一の部品棚に複数の部品を混載させて保管することが求められる。本発明を生産現場に適用すれば、格納期間が同一の部品を配置できることになり、歯欠け(低充填率)の部品棚の発生を抑止することで部品棚の利用効率向上が可能である。すなわち、本発明は、物流倉庫における商品に限らず、任意の種類の物品を対象として適用することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。