JP2016221954A - ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、およびキャスト型 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、およびキャスト型 Download PDF

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智広 方山
雅也 駒井
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雅也 駒井
恵太 鈴木
Keita Suzuki
恵太 鈴木
早川 誠一郎
Seiichiro Hayakawa
誠一郎 早川
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【課題】 欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを得ることができるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得られるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、流動電位法により測定されるキャスト型表面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+85mVであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを製造するための製造方法、該製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム、および該ポリビニルアルコール系フィルムを原反として製造される偏光性能や品質に優れた偏光膜、更にはポリビニルアルコール系フィルムの製造に用いるキャスト型に関する。
従来より、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して製膜原液を調液し、溶液流延法(キャスト法)により製膜した後、金属加熱ロールなどを使用して乾燥することにより製造される。このようにして得られるポリビニルアルコール系フィルムは、透明性や染色性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光膜が挙げられる。かかる偏光膜は、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では大面積で高品位な液晶テレビへとその使用が拡大されている。
このような中、液晶画面の大面積化や高精細化にともない、従来品より一段と欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れるポリビニルアルコール系フィルムが必要とされている。ポリビニルアルコール系フィルムに欠点が多い場合には、当然のことながら、偏光膜の表示欠点も増加し、高品位なディスプレイの製造は困難となる。また、ポリビニルアルコール系フィルムのヘイズや表面粗さが大きい場合には、偏光膜の光線透過率が低下すると共に偏光ムラが発生するため、ディスプレイの高輝度化や高精細化の障害となる。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの欠点を低減するために、異物の個数を低減したポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。また、製膜原液に界面活性剤を添加することにより、欠点や透明性を改良したポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(たとえば、特許文献2、3、4、5参照。)。また、界面活性剤の添加に加えて、特定の製膜条件で、偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルムを製造する手法が提案されている(たとえば、特許文献6参照。)。また、製膜原液中のカルシウム含有量を低減することにより、光学ムラの少ないポリビニルアルコール系フィルムの製造法が提案されている(たとえば、特許文献7参照。)。
また、ゼータ電位による金属表面や樹脂表面の評価法が提案されている(たとえば、特許文献8、9参照。)。
特開2001−316492号公報 特開2006−188656号公報 特開2006−193694号公報 特開2006−249407号公報 特開2012−082313号公報 特開2011−245872号公報 特開2007−009056号公報 特開2014−044058号公報 特開2005−164949号公報
しかしながら、特許文献1の開示技術は、製膜原液を、濾過精度が数μmのフィルターを用いて濾過することにより、欠点の少ないポリビニルアルコール系フィルムを得るものであるが、近年要望されるディスプレイの大面積化に対応するには、改善が必要である。濾過により有形の異物は低減されるものの、ポリビニルアルコール系高分子の会合体や、サブミクロンサイズの添加剤の凝集体は、フィルターをくぐり抜けるため除去されず、フィルム中に潜在的な欠点として存在することになる。かかる会合体や凝集体は、染色後の偏光膜において表示欠点や偏光ムラとして顕在化する傾向にあり、ディスプレイの品質を低下させるものであった。
特許文献2、3、4、5の開示技術は、界面活性剤の添加により、ポリビニルアルコール系樹脂の水への溶解性を高めたり、キャスト型からのフィルムの剥離性を向上させるものであるが、かかる界面活性剤は、極性基を有し、分極しやすいため、水溶液中で凝集しやすく、特に、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャスト型上で乾燥する時に、サブミクロンから数10ミクロンサイズの凝集体となって、キャスト型表面に付着する傾向にある。一旦付着した凝集体は、更に大きな凝集体を形成したり、長時間キャスト型上で加熱されて分解物となり、ポリビニルアルコール系フィルムの欠点となる。また、剥離性の向上のために添加される界面活性剤の中には、キャスト型表面に被膜を形成することにより、剥離性を高めるものも存在する。かかる界面活性剤の場合、確かに、一時的に剥離性よくフィルムを製造できるが、長期の製造過程で被膜が分解して異物の原因となったり、キャスト型表面の剥離性にムラが生じる原因となっていた。
特許文献6の開示技術は、界面活性剤の添加に加えて、流涎時間や乾燥速度などの製膜条件を制御して、欠点を低減するものであるが、上述したポリビニルアルコール系高分子の会合や界面活性剤の凝集を、完全に回避することは困難であり、更なる改良が要望されている。
特許文献7の開示技術は、製膜原液中のカルシウムやケイ素の含有量に着目しているものの、含有量の幅が広いため、上述したポリビニルアルコール系高分子の会合や界面活性剤の凝集を完全には制御できず、更なる改善が要望されている。
更に、キャスト型の仕様は、高品質なポリビニルアルコール系フィルムを得るために重要であり、特に、キャスト型表面の特性は、フィルムの外観や厚み精度に大きく影響する。例えば、表面平滑性に優れるフィルムを製造するために、キャスト型表面を高度に平滑化すると、フィルムが剥がれなかったり、揮発する水分がフィルムとキャスト型表面の間に入り込んで気泡欠点になるなど、外観不良を誘発する傾向にある。また、キャスト型表面が帯電しやすい場合、製膜時に製膜原液がキャスト型表面に安定して着地できず、フィルムの膜厚ふれを招く傾向にある。これらの問題点は、ポリビニルアルコール系フィルムの製造歩留りを低下させるばかりか、高品質な偏光膜が得られない原因となっていた。
そこで、本発明ではこのような背景下において、欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを得ることができるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥するポリビニルアルコール系フィルムの製造方法において、特定範囲のゼータ電位を有するキャスト型を用いることにより、欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れたポリビニルアルコール系フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得られるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、流動電位法により測定されるキャスト型表面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+85mVであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法である。
また、本発明は、上記ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム、該ポリビニルアルコール系フィルムから得られる偏光膜、およびポリビニルアルコール系フィルムの製造方法に使用されるキャスト型も提供するものである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法は、欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを高い生産性で得ることができ、そのため、該ポリビニルアルコール系フィルムから得られる偏光膜は偏光性能や品質に優れたものとなり、非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、該ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥することにより得られるものである。
本発明においては、流動電位法により測定されるキャスト型表面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+85mVであるキャスト型を用いることが必要である。
まず、本発明におけるゼータ電位に関して説明する。
キャスト型表面(以下、「キャスト面」と記載することがある。)とポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が接触すると、その界面には電気二重層が形成され電位差が生じる。キャスト面近傍ではあるが、静電的に十分離れた位置における電位差がゼータ電位である。かかるゼータ電位は、流動電位法や電気泳動法など公知の手法で、市販の装置を用いて測定することできるが、本発明においては、キャスト型が導電性を有する金属で作製される場合も勘案して、流動電位法での測定を採用するものである。
ゼータ電位の測定にあたっては、ゼータ電位がpHに依存するため、水溶液に酸やアルカリを加えてpHを調整する必要がある。本発明においては、一般的に、偏光膜製造に使用されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液のpHが3〜5であることを勘案して、主として、中間値であるpH4に調整された酸性水に対するゼータ電位を対象とする。
また、大面積であるキャスト型の表面を直接測定するのは困難であるし、一部を切り出して測定に供することは非効率的であるため、本発明においては、同じ仕様の表面を持つ小サイズの測定用試験片(以下、「キャスト型試験片」と記載することがある。)を用意し、ゼータ電位の測定を行うものとする。
本発明におけるゼータ電位の活用法として、ゼータ電位がキャスト面近傍の静電作用を表すことから、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中に、カチオン性及び/またはアニオン性の分子が存在する場合や、高い極性を有する分子が存在する場合に、かかる分子とキャスト面との静電的な相互作用を見積もることができる。一方、キャスト面と水溶液とのファンデルワールス作用に関しては、接触角(表面張力)の測定により見積もることが可能であるが、本発明の目的である欠点回避には、静電作用の方が支配的である。
ゼータ電位の具体的な活用法としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が同じものならば、キャスト面の材質の設計はもとより、キャスト面への界面活性剤やポリビニルアルコール系高分子の吸着の程度、キャスト面に形成された被膜の程度、キャスト面の汚染や洗浄の程度を見積もることができる。例えば、フィルム製造前の初期状態においてポジティブ(+)なゼータ電位を持つキャスト面であっても、表面に界面活性剤やその分解物による被膜が形成されると、ゼータ電位はゼロに近づき、ともすればネガティブ(−)なゼータ電位に変化する。金属製のキャスト型を用いた場合、その変化量は時として100mVを超える。更に、かかる被膜上に、異なる被膜が形成された場合、再びポジティブ(+)なゼータ電位に変化することもある。なお、本発明においては、フィルム製造前のキャスト面のゼータ電位を初期ゼータ電位と呼び、1回でもフィルム製造に供されたキャスト面と区別する。
逆に、キャスト面が同じものならば、ゼータ電位は、水溶液の成分の設計はもとより、水溶液の品質管理などに応用することができる。
本発明においては、上述した具体的な活用法の中でも、キャスト面への界面活性剤やポリビニルアルコール系高分子の吸着の程度、及び、キャスト面に形成された被膜の程度を見積もるものである。かかる吸着や被膜の程度が、少ない場合や均一である場合は、フィルム製造に大きな支障は生じない傾向にある。しかし、多量に吸着したり、被膜が局所的に生成した場合は、フィルムに欠点が発生したり、キャスト型からのフィルムの剥離性が低下する傾向にある。
なお、上述した通り、ゼータ電位はキャスト面の汚染状態にも左右されるため、ゼータ電位測定用のキャスト型試験片は清浄に保つ必要が有り、また、初期ゼータ電位の測定に供されるキャスト面は、有機溶剤、希薄な酸及び/または希薄なアルカリ水溶液、純水などでよく洗浄し、乾燥する必要が有る。かかる洗浄方式としては、拭き取り方式、ディップ方式、更に、ディップして超音波で振動する方式などが挙げられる。
次いで、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、即ち、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥することによりポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法について説明する。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜製造時の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜とする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いてポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(製膜原液)を調製し、この水溶液をキャスト型に吐出及び流延して、キャスト法により製膜、乾燥することで連続的に製造される。具体的には、例えば、以下の工程により製造される。
工程(A)ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(製膜原液)を調液する工程。
工程(B)キャスト法によりフィルムを製膜する工程。
工程(C)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程。
ここで、上記キャスト型としては、例えばキャストドラム(ドラム型ロール)やエンドレスベルト等があげられるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性に優れる点からキャストドラムを用いることが好ましい。
以下、キャスト型がキャストドラムの場合を例にとって説明する。
まず、前記工程(A)について説明する。
工程(A)においては、まず、前述したポリビニルアルコール系樹脂を、水などの溶剤を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が多すぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調整する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、特に限定されず、例えば、(1)加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、(2)上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで、溶解及び所望濃度の水溶液を調製することもできる。
本発明においては、ポリビニルアルコール系高分子の会合体を低減する点、及び界面活性剤の凝集体を低減する点で上記(2)の方法が好ましく、更に界面活性剤の凝集体を低減する点で、上記(2)の方法の中でも100℃以上でかつ加圧溶解により調液することがより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、及び/またはカチオン性の界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系樹脂の水への溶解性や、キャスト型からのフィルムの剥離性の点で好ましい。
かかる界面活性剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液との相溶性の点から、ノニオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤が好ましく、なかでもアニオン性界面活性剤がより好ましい。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、やし油還元アルコールエチレンオキサイド付加物、牛脂還元アルコールエチレンオキサイド付加物等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、カプロン酸モノまたはジエタノールアミド、カプリル酸モノまたはジエタノールアミド、カプリン酸モノまたはジエタノールアミド、ラウリン酸モノまたはジエタノールアミド、パルミチン酸モノまたはジエタノールアミド、ステアリン酸モノまたはジエタノールアミド、オレイン酸モノまたはジエタノールアミド、やし油脂肪酸モノまたはジエタノールアミド、あるいはこれらのエタノールアミドに代えてプロパノールアミド、ブタノールアミド等の高級脂肪酸アルカノールアミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリオキシエチレンヘキシルアミン、ポリオキシエチレンヘプチルアミン、ポリオキシエチレンオクチルアミン、ポリオキシエチレンノニルアミン、ポリオキシエチレンデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンテトラデシルアミン、ポリオキシエチレンヘキサデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンエイコシルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンカプロン酸アミド、ポリオキシエチレンカプリル酸アミド、ポリオキシエチレンカプリン酸アミド、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のポリオキシエチレン高級脂肪酸アミド、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジメチルステアリルオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等のアミンオキシドなどが挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩型として、ヘキシル硫酸ナトリウム、ヘプチル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ノニル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、エイコシル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘプチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエイコシルエーテル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩、アンモニウム塩等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンヘキシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘプチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンテトラデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヘキサデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクタデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエイコシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、あるいはこれらのカリウム塩、アンモニウム塩等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、カプロン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、カプリル酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、カプリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、ラウリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、パルミチン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、ステアリン酸エタノールアミド硫酸ナトリウム、オレイン酸エタノールアミド硫酸ナトリウムあるいはこれらのカリウム塩、更にはこれらエタノールアミドに代えてプロパノールアミド、ブタノールアミド等の高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩、硫酸化油、高級アルコールエトキシサルフェート、モノグリサルフェートなどが挙げられる。また、上記硫酸エステル塩型以外に、脂肪酸石鹸、N − アシルアミノ酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘプチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、炭素数6〜18の脂肪族アルキルスルホン酸ナトリウムの混合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α − オレフィンスルホン酸塩、N − アシルメチルタウリン塩、ジメチル− 5 − スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型なども挙げられる。
上記界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
かかる界面活性剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂に対して、10〜100,000ppmであることが好ましく、特に好ましくは100〜10,000ppmである。配合量が少なすぎるとキャスト面からのフィルムの剥離性が低下する傾向があり、多すぎるとフィルムが白濁する傾向がある。
かくして得られるポリビニルアルコール系樹脂の水溶液の樹脂濃度は、5〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは8〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。かかる樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
また、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液は、pH3〜5であることが好ましく、特に好ましくはpH3.3〜4.7、更に好ましくはpH3.5〜4.5である。かかるpHが低すぎても、高すぎても偏光膜製造時の染色性が低下する傾向がある。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調液する際に使用される水は、金属カチオンを含有することが好ましい。
かかる金属カチオンとしては、例えば、銀、アルミニウム、ヒ素、金、ホウ素、バリウム、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、カドミウム、コバルト、クロム、銅、鉄、水銀、カリウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ナトリウム、ニッケル、リン、鉛、白金、アンチモン、セレン、ケイ素、スズ、ストロンチウム、バナジウム、亜鉛、ジルコニウムなどのカチオンが挙げられる。
上記金属カチオンの含有割合は吸光分析法などの手法で測定することができ、中でもカリウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、及びマンガンの合計量については、5〜50ppmであることが好ましく、特に好ましくは8〜40ppm、更に好ましくは10〜30ppmである。
かかる金属カチオンの含有量が少なすぎると界面活性剤が凝集しやすく、多すぎるとポリビニルアルコール系高分子の会合体が形成されやすい傾向がある。
かくして、製膜原液であるポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が得られる。次に、前記工程(B)について説明する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有する多軸押出機による脱泡などの方法があげられる。中でもベントを有する多軸押出機による脱泡が好ましく、多軸押出機としては、ベントを有した多軸押出機であれば、とくに限定されないが、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延されて、キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口の樹脂温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。かかる樹脂温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
キャストドラムとしては、通常、鉄を主成分とするステンレス鋼(SUS)の表面に、傷つき防止のため金属メッキが施されているものが使用される。金属メッキとしては、例えば、クロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキなどが挙げられ、これらが単独または2層以上積層化して使用される。これらの中では、ドラム表面の耐久性の点から、最表面がクロムメッキであることが好ましい。
キャストドラムの直径は、好ましくは2〜6m、特に好ましくは2.5〜5m、更に好ましくは3〜4mである。キャストドラムの直径が小さすぎると、乾燥長が不足し速度が出ない傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。また、キャストドラムの幅は、好ましくは4m以上、より好ましくは5m以上である。キャストドラムの幅が小さすぎると幅広フィルムが得られにくい傾向がある。なお、幅の上限は通常6mである。
また、本発明で用いられるキャストドラム表面の表面粗さRaは、10〜30nmであることが好ましく、特に好ましくは13〜27nm、更に好ましくは15〜25nmである。かかる表面粗さRaが小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを歩留りよく製造することが困難となり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムの表面粗さが増大し、偏光膜の偏光度が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜30m/分である。回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると乾燥が不足する傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
工程(B)で得られるフィルムの水分量は5〜30%であることが好ましい。より好ましくは、剥離性の点で10〜20%である。また、キャストドラムからフィルムを剥離する時の剥離強度は、0.1N/25mm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.01N/25mm以下、更に好ましくは0.001N/25mm以下である。かかる剥離強度が高すぎるとキャストドラムからのフィルムの剥離性が低下する傾向にある。
次いで、前記工程(C)について説明する。工程(C)は、製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程である。
キャストドラムで製膜されたフィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の熱ロールに交互に接触させることにより行なわれる。熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向が有り、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
本発明においては、熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特には70〜140℃が好ましい。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が低下したり、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、高温の熱ロールに接触させる方法や、フローティングドライヤーにて行う方法等が挙げられるが、中でもポリビニルアルコール系フィルムの欠点低減の点でフローティングドライヤーが好ましい。
乾燥、好ましくは更に熱処理が行われたフィルムは、両端をスリットして、ロールに巻き取られて製品(本発明の製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム)となる。
以上、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を説明したが、本発明の製造方法は、流動電位法により測定したキャスト面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+85mVであることを最大の特徴とする。
かかるゼータ電位は、好ましくは、−80〜+80mV、より好ましくは−70〜+70mVである。ゼータ電位が、上限値を超えても下限値未満でも、キャスト面に界面活性剤の凝集物やポリビニルアルコール系高分子の会合体が付着しやすく、ポリビニルアルコール系フィルムの欠点が増加し本発明の目的を達成することができない。なお、一般的に、金属型のゼータ電位は−1000〜+200mV、樹脂型のゼータ電位は−50〜0mVである。
更に、キャスト面の初期ゼータ電位は、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、0〜+85mVであることが好ましく、より好ましくは0〜+70mV、更に好ましくは+35〜+60mVである。初期ゼータ電位が、高すぎると、キャスト面に界面活性剤の凝集物やポリビニルアルコール系高分子の会合体が付着しやすく、ポリビニルアルコール系フィルムの欠点が増加する傾向があり、逆に、低すぎると、キャスト面に安定した被膜が形成されず、キャスト面からのフィルムの剥離が困難となる傾向がある。
なお、ここで言う初期とは、前述した通り、ポリビニルアルコール系フィルムの製造前であることを意味し、フィルム製造前のキャスト面の洗浄や、フィルム製造前のキャスト面への被膜形成などの前処理を含むものである。
また初期ゼータ電位は、0.001モル%のKClを添加しpH7に調整された中性水に対して、+20mV以下であることが好ましく、特に好ましくは−20mV以下である。かかる中性水に対する初期ゼータ電位が、高すぎると、キャスト面に界面活性剤の凝集物が付着しやすく、ポリビニルアルコール系フィルムの欠点が増加する傾向がある。なお、かかる中性水に対する初期ゼータ電位の下限値は−1000mVである。
更に、ポリビニルアルコール系フィルムの製造時におけるキャスト面のゼータ電位は、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+50mVであることが好ましく、特に好ましくは−60〜+30mV、更に好ましくは−50〜+20mVである。かかるゼータ電位が、高すぎると、キャスト面からのフィルムの剥離性が安定しない傾向にあり、逆に、低すぎると、キャスト面に界面活性剤の凝集物やポリビニルアルコール系高分子の会合体が堆積し、ポリビニルアルコール系フィルムの欠点が増加する傾向にある。
ただし、製造中にキャスト面からゼータ電位測定用の試験片を切り出すことは現実的では無いため、かかる製造時におけるゼータ電位とは、キャスト型試験片を用いた測定値からの推測値である。
すなわち、キャスト型を作製する際に、キャスト型表面と同じ仕様の表面を有するキャスト型試験片も作製し、かかるキャスト型試験片のキャスト面で、製造に供される製膜原液を用いて、模擬的にフィルムを繰り返し製膜した後、本発明の測定法でゼータ電位を測定することにより、製造時におけるゼータ電位の範囲を設定することとする。なお、本発明においては、フィルムの繰り返し製膜回数は10回とする。
キャスト面のゼータ電位を制御する手法としては、上述したキャスト面の材料を選定する手法やキャスト面に複数のメッキ層(好ましくは、クロムメッキ層を含む。)を積層する手法、キャスト面に被膜を形成する手法、キャスト面を光照射や加熱などの物理的な手法で改質する手法、キャスト面を洗浄する手法などが挙げられるが、本発明においては、簡便さの点で、キャスト面に被膜を形成する手法が好ましく、特に好ましくは、ゼータ電位の安定化の点で、キャスト面にアニオン性界面活性剤の被膜を形成する手法である。かかる手法としては、具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液にアニオン性界面活性剤(A)を配合し、ポリビニルアルコール系フィルムの製造中に、キャスト面に該アニオン性界面活性剤(A)からなる被膜を形成する手法や、該アニオン性界面活性剤(A)の水溶液を、ポリビニルアルコール系フィルムの製造前に、前処理として、キャスト面に塗布して被膜を形成する手法などが挙げられる。かかる手法は併用してもよい。
なお、アニオン性界面活性剤は、一般的に、イオン結合によりキャスト面に固着して被膜を形成しやすく、1回の処理で安定した被膜を形成する傾向にある。
かかるアニオン性界面活性剤(A)としては、上述したアニオン系活性剤が挙げられるが、ゼータ電位の安定化の点で、ドデシル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩、ドデシルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤(A)の水溶液を塗布して被膜を形成する場合、アニオン性界面活性剤(A)の濃度は、安定した被膜が形成できる点で、0.01〜70重量%が好ましく、特に好ましくは、フィルムの剥離性の点で、0.1〜60重量%、更に好ましくは、欠点低減の点で1〜50重量%である。
かくして本発明の製造方法によりポリビニルアルコール系フィルムが得られる。
上記ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、薄型化の点から30μm以下であることが好ましく、特に好ましくは、破断回避の点から5〜30μmである。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムの幅は、偏光膜の幅広化の点で4m以上であることが好ましく、特に好ましくは更なる幅広化の点から4.5m以上、更に好ましくは破断回避の点から4.5〜6mである。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、偏光膜の大面積化の点から4km以上であることが好ましく、特に好ましくは更なる大面積化の点から4.5km以上、更に好ましくは5km以上である。
なお、フィルムの長さの上限は、破断回避の点から、好ましくは50km以下、特に好ましくは40km以下、更に好ましくは30km以下である。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムの表面粗さRaは、20nm以下であることが好ましく、特に好ましくは15nm以下、更に好ましくは10nm以下である。表面粗さRaが、大きすぎると偏光膜の偏光度が低下する傾向がある。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムのヘイズは、0.3%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2%以下、特に好ましくは0.1%以下である。かかるヘイズが高すぎると偏光膜の光線透過率が低下する傾向がある。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは欠点が少ないため、光学用のポリビニルアルコール系フィルムとして好適に用いられ、更には偏光膜用の原反として特に好ましく用いられる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、40〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
かくして、本発明の偏光膜が得られるが、本発明の偏光膜は、偏光ムラの少ない偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明により得られる偏光膜や偏光板は、表示欠点が少なく、偏光性能の面内均一性にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射低減層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして測定を行った。
<測定条件>
(1)ゼータ電位(mV)
アントンパール社製ゼータ電位測定装置「SurPASS」(pH調整器付き)を用いて、流動電位法により測定した。まず、100mm×25mmの平板状のキャスト型試験片を用意し、キャスト面をアセトンと純水で充分に拭き取り洗浄し乾燥した後、平板スリット間で、0.001モル%のKClを添加した水溶液(pH3〜7)に対する測定を行い、pH4とpH7におけるキャスト面の初期ゼータ電位(mV)を得た。引き続いて、かかるキャスト面上で、製膜原液を用いてフィルムの製膜を10回繰り返した後、平板スリット間で、0.001モル%のKClを添加した水溶液(pH3〜7)に対する測定を行い、pH4とpH7におけるキャスト面のゼータ電位(mV)を得た。なお、製膜後のキャスト面のゼータ電位を測定する時は、洗浄を行わず測定した。かかるゼータ電位の詳細な測定条件は、以下のとおりである。
測定セル:クランプセル
リファレンス(対面平板):ポリプロピレンフィルム
温度:25℃
流速:85ml/分
圧力差:500mbarr
測定長:50mm
測定断面積:2.5mm2
(2)金属カチオン量(ppm)
吸光分析法により水中に含まれるカリウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、及びマンガン量を測定し、合計量を金属カチオン量(ppm)とした。
(3)剥離性
キャストドラムに付着したフィルムの端部(幅25mm)を、ばね計りでキャストドラム表面に対して垂直になるように、0.001Nの力で引っ張り、下記の基準にて剥離性を評価した。
(評価基準)
○・・・剥離したもの
×・・・全面もしくは一部が剥離しなかったもの
(4)欠点(個)
得られたポリビニルアルコール系フィルムをロールから巻き出し、全幅を10mにわたって表面照度15,000lxのライトボックスを用いて目視で観察し、100μm以上の大きさの欠点の数をカウントした。
(5)表面粗さRa(nm)
得られたポリビニルアルコール系フィルムから50mm×50mmの試験片を10枚採取し、(株)キーエンス製レーザーフォーカス顕微鏡VK−9700(測定長:1mm、対物レンズ:50倍)を用いて測定し、10枚の平均値を表面粗さとした。
(6)ヘイズ(%)
得られたポリビニルアルコール系フィルムから50mm×50mmの試験片を10枚採取し、日本電色製ヘイズメーター「NDH−2000」を用いて測定し、10枚の平均値をヘイズとした。
(7)偏光度(%)、単体透過率(%)
得られた偏光膜の幅方向中央部から、長さ4cm×幅4cmのサンプルを切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光(株)製:VAP7070)を用いて、偏光度と単体透過率を測定した。
(8)偏光ムラ
得られた偏光膜の幅方向中央部から長さ30cm×幅30cmの試験片を採取し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで偏光ムラを目視観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・偏光ムラなし
△・・・かすかに偏光ムラあり
×・・・偏光ムラあり
(9)表示欠点(個)
得られた偏光膜の幅方向中央部から、長さ30cm×幅30cmの試験片を切り出し、15,000lxの環境下で目視検査し、100μm以上の大きさ表示欠点数(個)を測定した。
<実施例1>
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
5,000lの溶解缶に、重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,500kg(金属カチオン量15ppm)、可塑剤としてグリセリン105kg、およびアニオン性界面活性剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム0.25kgを入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して加圧溶解を行い、樹脂濃度25%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。かかる水溶液はpH4であった。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、Tダイ吐出口より、表面温度が80℃のキャストドラムに流延して製膜した。使用したキャストドラムはSUS製で表面が2層クロムメッキされており、同じ仕様のクロムメッキ面を持つキャスト型試験片の表面の初期ゼータ電位は、pH4のKCl水溶液に対して+70mVであり、pH7のKCl水溶液に対して−30mVであった。更に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を用いて、該キャスト型試験片のクロムメッキ面上で、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜を10回行ったところ、表面のゼータ電位は、pH4のKCl水溶液に対して−60mVであった。
次いで、得られたフィルムの表面と裏面とを熱ロールに交互に接触させながら乾燥を行ない、更にフローティングドライヤーで熱処理した後、両端部10cmをスリットで切り落とし、ロールに巻き取ってポリビニルアルコール系フィルムを得た(幅5m、長さ5km、厚さ30μm)。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性を表1に示す。
(偏光膜の製造)
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、水温25℃の水槽に浸漬しながら1.7倍に一軸延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬しながら1.6倍に一軸延伸した。次に、ホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる55℃の水溶液に浸漬しながら2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜に表示欠点は確認されなかった。得られた偏光膜の特性を表1に示す。
<実施例2>
単層クロムメッキのキャスト面を持つキャスト型試験片の表面の初期ゼータ電位が、pH4のKCl水溶液に対して+50mVであり、pH7のKCl水溶液に対して−10mVであるキャスト面と同じ仕様のキャスト面を持つキャストドラムを用いる以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られた偏光膜に表示欠点は確認されなかった。得られたポリビニルアルコール系フィルムと偏光膜の特性を表1に示す。
更に、実施例1と同様にして、該キャスト型試験片のクロムメッキ面上で、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜を10回行ったところ、表面のゼータ電位は、pH4のKCl水溶液に対して−40mVであった。
<実施例3>
単層クロムメッキのキャスト面を持つキャスト型試験片の表面の初期ゼータ電位が、pH4のKCl水溶液に対して+5mVであり、pH7のKCl水溶液に対して−100mVであるキャスト面と同じ仕様のキャスト面を持つキャストドラムを用いる以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られた偏光膜に表示欠点は確認されなかった。得られた偏光膜に光学的な欠点は確認された。得られたポリビニルアルコール系フィルムと偏光膜の特性を表1に示す。
<実施例4>
実施例1のキャストドラムのクロムメッキ面に、10重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液を塗布して前処理し、同じ前処理を施したクロムメッキ面を持つキャスト型試験片の表面の初期ゼータ電位が、pH4のKCl水溶液に対して−80mVとする以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られた偏光膜に表示欠点は確認されなかった。得られたポリビニルアルコール系フィルムと偏光膜の特性を表1に示す。
更に、実施例1と同様にして、該前処理を施したキャスト型試験片のクロムメッキ面上で、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜を10回行ったところ、表面のゼータ電位は、pH4のKCl水溶液に対して+10mVであった。
<比較例1>
クロムメッキされていないSUS製のキャストドラムを使用する以外は、実施例1と同様にしてポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られた偏光膜には表示欠点が確認された。かかるキャストドラムと同じ仕様のSUS面を持つキャスト型試験片の表面の初期ゼータ電位は、pH4のKCl水溶液に対して−100mVであった。得られたポリビニルアルコール系フィルムと偏光膜の特性を表1に示す。
実施例1〜4のキャスト型を用いて製造されたポリビニルアルコール系フィルムは欠点が少なく、透明性や表面平滑性に優れるものであり、更に該ポリビニルアルコール系フィルムから得られる偏光膜の偏光特性にも優れるものである。
一方、比較例1のキャスト型を用いて製造されたポリビニルアルコール系フィルムは欠点が多く、表面平滑性にも劣るものであることがわかる。
本発明の製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜や偏光板は、表示欠点が少なく、偏光性能の面内均一性にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射低減層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (15)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、キャスト型に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得られるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、流動電位法により測定されるキャスト型表面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+85mVであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  2. キャスト型表面の初期ゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、0〜+85mVのキャスト型に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を吐出することを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  3. キャスト型表面の初期ゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH7に調整された中性水に対して、+20mV以下であるキャスト型に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を吐出することを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  4. キャスト型表面が、クロムメッキ層であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液にアニオン性界面活性剤(A)を配合して、製膜するポリビニルアルコール系フィルムの製造中に、キャスト型表面に該アニオン性界面活性剤(A)からなる被膜を形成することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  6. アニオン性界面活性剤(A)の水溶液を、ポリビニルアルコール系フィルムの製造前に、前処理として、キャスト型表面に塗布して被膜を形成することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  7. ポリビニルアルコール系フィルムの製造時において、キャスト型表面のゼータ電位が、0.001モル%のKClを添加しpH4に調整された酸性水に対して、−85〜+50mVであるキャスト型を用いることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  8. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が、pH3〜5であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  9. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が、100℃以上で加圧溶解することにより調液されることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  10. ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調液する際に使用される水が、金属カチオンを含有し、かつ、カリウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、及びマンガンの合計量が5〜50ppmであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜10いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法により製造されることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  12. 厚さが30μm以下であることを特徴とする請求項11記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  13. 請求項11または12記載のポリビニルアルコール系フィルムからなることを特徴とする偏光膜。
  14. 請求項1〜10いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法に使用されることを特徴するキャスト型。
  15. キャスト型表面に、アニオン性界面活性剤による被膜が形成されてなることを特徴とする請求項14記載のキャスト型。
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