JP2016221936A - 深絞り用多層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
そのうちの深絞り包装の一般的な工程は、底材フィルムのシール層側を熱板へ向けて設定して接触加熱させ、圧空等で絞りの型に密着させて深絞り成型し、成型した深絞り部に内容物を収容し、蓋材フィルムを被せ真空にしてヒートシール後、シール部を所定の大きさに横及び縦のカットを行って、個々のパック包装品に切り分け、深絞り包装機より搬出するという順で行われる。
その深絞り包装の製造工程は、深絞り包装、ラベル貼付、ボイル殺菌の順となる。
この場合、ラベルを底材フィルム面に貼付したままボイル殺菌されるので、従前の底材フィルムでは熱収縮してしまい、貼付したラベルにシワが入ったり、殺菌漕中でラベルが剥がれたりする等の現象が発生し、その結果、商品価値を損ねたり、不良品となって商品歩留りを著しく低下させるといった問題を引き起こす。
本発明の多層フィルムを用い包装体を作製した場合、包装体の外表面側に位置する層が最外層であり、最外層の表面に商品ラベルや内容表示ラベル等の粘着ラベルを貼付する。また、内容物側に位置する層がシール表層であり、内容物を収容した周囲を深絞りフィルムと蓋材フィルムで密封する際に蓋材フィルムのシール層と共に熱融着シールする機能を有する。
本発明のフィルムの最外層には、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレン樹脂(PE)から選ばれる少なくとも1種を用いる。最外層に他の樹脂を混合する場合は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂としては、特に制限はないが、耐ピンホール性及び光沢の観点から、6ナイロンや6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロンが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、特に制限はなく、ホモポリマーやコポリマーが好適に使用できる。コポリマーの酸成分としては、例えばテレフタル酸やイソフタル酸が挙げられる。
ポリエチレン樹脂としては、ボイル殺菌に耐えられれば特に限定はないが、軟化点温度が100℃以上のものが好ましい。
本発明のフィルムの中間層には、フィルムに耐ピンホール性を付与する目的で、少なくとも1層のポリアミド樹脂(PA)層を配する。
中でも、耐ピンホール性の観点から、6ナイロンや6−66ナイロンを用いることが好ましい。また、PA層は2層以上設けることもでき、その場合、各層が異なる種類のポリアミドで形成されていてもよい。
本発明のフィルムの中間層には、酸素バリア性を付与する目的で、少なくとも1層のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(EVOH)層を配する。
EVOHのケン化度は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。EVOHのエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、本発明の多層フィルムの共押出性、強度を良好なものとすることができる。
本発明のフィルムのシール内層は、エチレン系樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも1種からなる。
熱可塑性エラストマーの種類や配合比率は、特に制限はないが、例えば、ダウケミカル製バーシファイ、インフューズ、アフィニティ、旭化成ケミカルズ製タフテック、三井化学製タフマー、日本ポリプロ製ウェルネックス等が、好適に使用できる。
本発明のフィルムのシール表層は、包装体を作製した場合に深絞り成形の熱板に接触する側となり、また内容物に接する側となる。そして、内容物を収容した深絞りフィルムに蓋材を被せ密封する際には、蓋材とのシール面となる。
それにより、深絞り成形加工温度が150℃を超えてもシール表層が熱板にべた付いたり、取られたりすること(熱板取られ)を防止できる。従って、本発明のフィルムは、150℃のような高温の成形加工を施すことが可能となり、深絞り成型によってフィルムに発生する歪を大きく軽減することができ、ボイル処理によるフィルムの熱収縮を抑制できる。
融点は、JIS K 7121に準拠して測定できる。
混合するポリエチレン系樹脂の種類は、特に限定はされないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)のアイオノマーが挙げられ、中でも耐熱性の点で、LLDPE、HDPEが好ましい。
シール表層厚のフィルム総厚に対する比率は、フィルム全体に及ぼすプロピレン樹脂層の剛直さの影響度から、1%以上10%以下が好ましい。下限は2%以上がより好ましく、3%以上が更に好ましい。上限は8%以下がより好ましく、6%以下が更に好ましい。
本発明のフィルムは、上述の最外層、中間層、隣接するシール内層とシール表層の順で各層を配すれば、各層の間に他の層を配しても構わない。
各層の層間剥離強度を高める目的で、必要に応じて接着樹脂層を設けることができる。接着樹脂層は、一層であってもよいし、複数であってもよい。
接着樹脂層を構成する接着性樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン系アイオノマー(ION)等のエチレン共重合体系樹脂が例示でき、その他、変性ポリオレフィン系樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン系エラストマーに、アクリル酸若しくはメタアクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、またはマレイン酸、フマール酸若しくはイタコン酸等の二塩基性脂肪酸の無水物を化学的に結合させたものを例示できる。中でも、ポリエチレンをベースとした接着性樹脂を用いることが好ましい。
本発明のフィルムは、総厚70μm以上300μm以下である。下限は100μm以上がより好ましく、120μm以上が更に好ましい。上限は200μm以下がより好ましく、180μm以下が更に好ましい。
内容物の大きさや重量、製造から使用に至るまでの工程の点から必要とされるフィルム強度、深絞りの程度などから、厚みを設定することができる。例えば、薄過ぎると耐ピンホール性が悪化し、厚過ぎると底材と蓋材を面シールしたフランジ部が硬くなり商品の箱詰め梱包が行い難くなる。
その場合に、蓋材フィルムは、フィルム強度や張り、ガスバリア性、耐ピンホール性の観点から、原料樹脂や製法を選んで構成することが出来る。また、本発明のフィルムのシール表層が融点155℃以上のポリプロピレン系樹脂で構成されることに合わせ、蓋材フィルムのシール層もポリプロピレン系樹脂から構成されることによって、底材と蓋材のシール密着強度が十分となる。
深絞り底材用フィルムとして、各例に示す層構成の多層フィルムを共押出Tダイ法により作製した。
次いで、各例の底材用多層フィルムを、深絞り包装機(大森機械工業社製、FV6300)を用いて、縦160mm、横110mm、絞り深さ80mmの形状に深絞り成形し、その深絞り部にネット付きブロックハム400gを入れ、続いて、蓋材を被せ、真空脱気すると共に、底材と蓋材とを面シールし、深絞り包装体を作製した。
包装条件は、深絞り成型温度150℃、成型加熱時間2秒、シール温度170℃、シール時間2秒で行った。
ネット付きブロックハムの商品ラベル実物の代わりに、市販のクラフトテープを縦70mm、幅50mmの大きさにカットして用い、作製した深絞り包装体の深絞りの中央部外面に、クラフトテープのカット版を貼付した。
その後、95℃30分間のボイル殺菌処理を行った。
以下の評価を行い、表1にまとめた。
(成形熱板取られ)
フィルムを150℃2秒で深絞り成形する工程において、シール層が溶融して成形熱板側にシール層が明らかに取られた場合を「×」、シール層が熱板側に若干取られ白化が見られた場合を「△」、シール層が熱板側にほとんど取られなかった場合を「○」と評価した。
ボイル殺菌処理後に、ラベルの代わりに貼付したクラフトテープにシワがほとんど生じなかった場合を「○」、シワが生じた場合を「×」と評価した。
また、深絞り成形温度150℃で熱板取られが発生したものについては、熱板取られが発生しない成形温度まで下げて包装体を作製し、同様の評価を行った。
ボイル殺菌処理後の深絞り包装体の水分を拭き取り、冷蔵庫にて5℃24時間保管し冷蔵庫から取り出した直後に、ダンボール箱に包装体を20個入れ、水平落下を高さ1.5mから50回行い、ピンホールが発生しなかったものを「○」、発生したものを「×」と評価した。
各例の多層フィルムに用いた原料樹脂とその略号を示す。
Ny1:6ナイロン
Ny2:6−66共重合ナイロン 66ナイロン比率15質量%
PBT:ポリブチレンテレフタレート
EVOH1:エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物 エチレン含有率38モルタイプ
LLDPE1:直鎖状低密度ポリエチレン 融点117℃
LLDPE2:LLDPE1(70質量%)とエチレン−ブテン共重合体(25質量%)の混合
PP1:プロピレンホモポリマー 融点163℃
PP2:プロピレンランダムコポリマー 融点143℃
PP3:プロピレンブロックコポリマー 融点162℃
AD1:接着性樹脂 LLDPEベース
AD2:接着性樹脂 PPベース
EP1:PP1(60質量%)とLLDPE1(40質量%)の混合
EP2:LLDPE1(60質量%)とPP2(40質量%)の混合
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
Ny1(20μm)/AD1(10μm)/Ny2(40μm)/EVOH1(10μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(52μm)/PP1(8μm)
蓋材には、次の層構成のドライラミネートフィルムを用いた。尚、バリアNyフィルムには三菱樹脂社製スーパーニールを用いた。
二軸延伸PETフィルム(12μm)//バリアNyフィルム(15μm)//未延伸PPフィルム(50μm)
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
PP2(20μm)/AD2(10μm)/EVOH1(10μm)/Ny2(40μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(55μm)/PP3(5μm)
蓋材には、実施例1と同じフィルムを用いた。
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
PBT(20μm)/AD1(10μm)/Ny2(40μm)/EVOH1(10μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(53μm)/EP1(7μm)
蓋材には、実施例1と同じフィルムを用いた。
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
Ny1(20μm)/接着樹脂1(10μm)/EVOH1(10μm)/Ny2(40μm)/接着樹脂1(10μm)/LLDPE2(56μm)/PP1(4μm)
蓋材には、二軸延伸PPフィルム(20μm)を次の層構成の共押出多層フィルムのEVOH1層面にドライラミネートしたフィルムを用いた。
EVOH1(10μm)/Ny1(20μm)/AD1(7μm)/LLDPE1(18μm)/EP2(5μm)
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
Ny1(20μm)/AD1(10μm)/Ny2(40μm)/EVOH1(10μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(52μm)/PP2(8μm)
蓋材には、実施例1と同じフィルムを用いた。
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
Ny1(20μm)/AD1(10μm)/Ny2(40μm)/EVOH1(10μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(53μm)/EP2(7μm)
蓋材には、二軸延伸PPフィルム(20μm)を次の層構成の共押出多層フィルムのEVOH1層面にドライラミネートしたフィルムを用いた。
EVOH1(10μm)/Ny1(20μm)/AD1(7μm)/LLDPE1(23μm)
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
Ny1(20μm)/AD1(10μm)/Ny2(40μm)/EVOH1(10μm)/AD1(10μm)/PP1(60μm)
蓋材には、実施例1と同じフィルムを用いた。
底材フィルムとして、次の層構成の共押出多層フィルムを用いた。
PP2(20μm)/AD2(10μm)/EVOH1(10μm)/Ny2(40μm)/AD1(10μm)/LLDPE1(30μm)/PP3(30μm)
蓋材には、実施例1と同じフィルムを用いた。
これに対して、比較例1及び2では、シール層の融点が低すぎるため、深絞り成形温度150℃でシール層が熱板に取られて熱板が汚れ、連続成形が出来なかった。また、熱板にシール層が融着しない成形温度で加工した場合でも、ボイル処理による熱収縮が大きく、クラフトテープに皺が寄った。
比較例3及び4では、シール層のPP層が厚すぎるため、耐ピンホール性が悪かった。
2; 蓋材フィルム
3; 内容物
4; 深絞り用多層フィルムと蓋材フィルムとを面シールした包装体のフランジ部
5; 商品ラベル
Claims (6)
- 最外層、中間層、シール内層、シール表層の順で構成される多層フィルムにおいて、シール内層とシール表層は隣接してなり、前記最外層はポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、およびポリエチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種からなり、前記中間層は少なくとも1層のポリアミド樹脂層と少なくとも1層のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物層とを含み、前記シール内層はエチレン系樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも1種からなり、前記シール表層は融点155℃以上のポリプロピレン系樹脂を50質量%以上含有してなり、フィルムの総厚は70μm以上300μm以下であり、シール表層厚は2μm以上10μm未満であることを特徴とする深絞り用多層フィルム。
- 多層フィルム中に配される全てのポリアミド樹脂層の合計厚が、フィルム総厚に対して30%以上70%以下である請求項1に記載の深絞り用多層フィルム。
- ボイル殺菌を経る包装体に用いられる請求項1または2に記載の深絞り用多層フィルム。
- 加工温度が140℃以上の深絞り成形に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の深絞り用多層フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の深絞り多層フィルムを用いてなる深絞り包装体。
- 商品に関するラベルを深絞り部表面に貼付してなる請求項5に記載の深絞り包装体。
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