JP2016221735A - 表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生も減少することができ、更には風合いにも優れている表面に静電植毛加工が施された発泡成形体とその製造方法を提供する。
【解決手段】発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体の表面に、この表面にある凹部内に入り込んだ状態で膠着する繊維層が設けられており、更にこの繊維層の上には静電植毛加工によってパイルが接着されている表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品と、発泡成形体を簾とし、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を漉くことにより前記発泡成形体の表面に繊維層を膠着させ、次いでこの繊維層の上に静電植毛加工を施してパイルを接着する発泡成形製品の製造方法。
【選択図】図2
【解決手段】発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体の表面に、この表面にある凹部内に入り込んだ状態で膠着する繊維層が設けられており、更にこの繊維層の上には静電植毛加工によってパイルが接着されている表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品と、発泡成形体を簾とし、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を漉くことにより前記発泡成形体の表面に繊維層を膠着させ、次いでこの繊維層の上に静電植毛加工を施してパイルを接着する発泡成形製品の製造方法。
【選択図】図2
Description
本発明は、軽量で機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生も減少することができ、更には風合いにも優れている表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品とその製造方法に関するものである。
従来から、発泡ポリスチレン樹脂や発泡ポリオレフィン樹脂は、魚箱と称される生鮮食品の保管、運搬用ボックス等に多く使用されている。このような魚箱は、水分や臭い等を外部に漏らさないようにする必要があるため、非通気性の構造となっていた。また、通気性が必要な場合には製品に穴を開けることにより通気性を確保していた。
一方、本件出願人はこのような発泡樹脂成形製品に通気性を持たせることで、より軽量かつ機械的強度にも優れた吸音材や壁材等として使用できることに着目し、新たに通気性を有する発泡成形製品を開発し、発泡成形吸音体として先に特許出願している(特許文献1を参照)。
また、通気性を有する発泡成形製品は軽量性及び吸音性に優れているため、軽量化を図る自動車用の内装材や床下充填材としての利用が検討されている。しかしながら、自動車の場合は振動や熱など使用環境が苛酷であり、特許文献1の発泡成形体を、例えば床下充填材として用いた場合、製品の破損に加え、共材または異種材と接触して擦れ音や軋み音を発し、車内環境を低下するという問題が生じた。また近年、住宅は高機密化により住宅内部で発生する音が外に漏れにくくなっており、このため生活音が響いて家中に聞こえやすくなっているので、建築材料には更に高い吸音性が求められるようになってきた。また、発泡成形体からなる製品は魚箱に見られるように装飾が施されておらず素材自体の表面模様を呈するため美感に欠けるという指摘もあった。
従って、軽量かつ機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生も防止することができ、更には優れた外観も呈しており、自動車の内装材や床下充填材、あるいは建築用吸音材や住宅用吸音材等のあらゆる場所に使用することが可能な新たなタイプの発泡成形製品の開発が望まれていた。
従って、軽量かつ機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生も防止することができ、更には優れた外観も呈しており、自動車の内装材や床下充填材、あるいは建築用吸音材や住宅用吸音材等のあらゆる場所に使用することが可能な新たなタイプの発泡成形製品の開発が望まれていた。
本発明は上記のような問題点を解決して、軽量かつ機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生を極力少なくし、また吸音性にも優れており、更には植毛加工が施されて外観性にも優れている表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品とその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体の表面に、この表面にある凹部内に入り込んだ状態で膠着する繊維層が設けられており、更にこの繊維層の上には静電植毛加工によってパイルが接着されていることを特徴とする表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品である。
前記繊維層には、接着剤、着色剤、消臭剤、芳香剤、防虫剤、難燃剤の1種又は2種以上が含有されているものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
前記パイルは、繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に接着されているものが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
あるいは前記パイルは、ウェットな状態にある繊維層に接着されているものが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
更に、前記発泡成形体およびパイルの外表面には、バインダー噴霧処理によりコーティング膜が形成されているものが好ましく、これを請求項5に係る発明とする。
一方、請求項6に係る発明は前記請求項1〜5に記載の発泡成形製品の製造方法に関するもので、発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体を簾とし、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を漉くことにより前記発泡成形体の表面に繊維層を膠着させ、次いでこの繊維層の上に静電植毛加工を施してパイルを接着することを特徴とする発泡成形製品の製造方法である。
前記繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に対してパイルを接着することが好ましく、これを請求項7に係る発明とする。
あるいは、ウェットな状態にある繊維層に対してパイルを接着することが好ましく、これを請求項8に係る発明とする。
更に、静電植毛加工を施した後、更にバインダー噴霧処理を施して、発泡成形体およびパイルの外表面にコーティング膜を形成することが好ましく、これを請求項9に係る発明とする。
請求項1に係る発明では、通気性を有している発泡成形体の表面に、この表面にある凹部内に入り込んだ状態で膠着する繊維層が設けられており、更にこの繊維層の上には静電植毛加工によってパイルが接着されているので、軽量性及び吸音性に優れているという通気性を有する発泡成形体の特性はそのまま維持しつつ、表面に設けた繊維層により機械的強度を向上させることができる。また、静電植毛加工によって優れた外観性も確保することができる。
請求項2に係る発明では、繊維層に接着剤、着色剤、消臭剤、芳香剤、防虫剤、難燃剤の1種又は2種以上が含有されているので、繊維層の接着強度の向上や意匠性の向上、あるいは消臭性、芳香性、防虫性、難燃性の向上等、用途に応じて任意の性能を付加することができる。
請求項3に係る発明では、パイルが繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に接着されているので、パイルを発泡成形体の表面に簡単かつ強固に固定することができる。
請求項4に係る発明では、パイルがウェットな状態にある繊維層に接着されているので、接着剤層を設けなくてもパイルを発泡成形体の表面に簡単かつ強固に固定することができる。
また、請求項5に係る発明では、発泡成形体およびパイルの外表面には、バインダー噴霧処理によりコーティング膜が形成されているものとしたので、前記パイルの接着強度をより向上させることができ、また水濡れ等によるパイルの脱落もしっかりと防止することができる。
一方、請求項6に係る発明では、通気性を有している発泡成形体を簾とし、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を漉くことにより前記発泡成形体の表面に繊維層を膠着させ、次いでこの繊維層の上に静電植毛加工を施してパイルを接着するので、表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品を簡単かつ連続的に製造することができる。
請求項7に係る発明では、繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に対してパイルを接着するので、パイルを発泡成形体の表面に簡単かつ強固に固定することができる。
また、請求項8に係る発明では、ウェットな状態にある繊維層に対してパイルを接着するので、接着剤層を設けなくてもパイルを発泡成形体の表面に簡単かつ強固に固定することができる。
また、請求項9に係る発明では、静電植毛加工を施した後、更にバインダー噴霧処理を施して、発泡成形体およびパイルの外表面にコーティング膜を形成するので、前記パイルの接着強度をより向上させることができ、また水濡れ等によるパイルの脱落もしっかりと防止することができる。
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明に係る発泡成形製品を示す斜視図であり、図において1は発泡成形体、2はこの発泡成形体1の表面に設けた繊維層、3はこの繊維層2の上に接着されたパイルである。
前記発泡成形体1は、発泡ポリスチレン樹脂や発泡ポリオレフィン樹脂などの発泡性樹脂粒子を、型内に充填して加熱発泡して得られる無数の発泡セルで構成されたものである。また、前記繊維層2は、植物、動物、化学繊維等の繊維を主成分とするもので、機械的強度の大きい植物繊維ではマニラ麻からなるものが特に好ましい。また、前記パイル3は、静電植毛加工によって接着されるものであり、これらについては以下に詳述する。
図1は、本発明に係る発泡成形製品を示す斜視図であり、図において1は発泡成形体、2はこの発泡成形体1の表面に設けた繊維層、3はこの繊維層2の上に接着されたパイルである。
前記発泡成形体1は、発泡ポリスチレン樹脂や発泡ポリオレフィン樹脂などの発泡性樹脂粒子を、型内に充填して加熱発泡して得られる無数の発泡セルで構成されたものである。また、前記繊維層2は、植物、動物、化学繊維等の繊維を主成分とするもので、機械的強度の大きい植物繊維ではマニラ麻からなるものが特に好ましい。また、前記パイル3は、静電植毛加工によって接着されるものであり、これらについては以下に詳述する。
先ず、前記発泡成形体1について説明する。
図2に示すように、本発明の発泡成形体1は、型内において発泡性樹脂粒子が加熱発泡して得られる無数の発泡セル11で構成されており、隣接する発泡セル11、11は、接触面11a、11aにおいてそれ自体が軟化溶融して結合している。即ち、その融着結合部は文字通り発泡樹脂素材が融合しているので、発泡樹脂素材と全く同一の物性を持っている。また、この発泡成形体1は、少なくとも3個の発泡セル11に囲まれる空間12aが連なって形成される連通気孔からなる3次元細気孔12を備えていて、通気性を有するとともに、次の物性を有するものである。
図2に示すように、本発明の発泡成形体1は、型内において発泡性樹脂粒子が加熱発泡して得られる無数の発泡セル11で構成されており、隣接する発泡セル11、11は、接触面11a、11aにおいてそれ自体が軟化溶融して結合している。即ち、その融着結合部は文字通り発泡樹脂素材が融合しているので、発泡樹脂素材と全く同一の物性を持っている。また、この発泡成形体1は、少なくとも3個の発泡セル11に囲まれる空間12aが連なって形成される連通気孔からなる3次元細気孔12を備えていて、通気性を有するとともに、次の物性を有するものである。
前記発泡成形体1内に微細な通路を形成する3次元細気孔12(発泡セル内の気孔は除く)の、発泡成形体全体の容積中に占める容積割合(%)を示す容積気孔率は、10〜40%であって、かつ発泡成形体自身としては、0.25MPa以上の曲げ応力値を有するものである。なお、この3次元細気孔12は、多数に枝分かれしてジグザグに曲がりくねり、その内径は拡大・縮小の変化を不規則に繰り返すという複雑な空間経路を持っているので、進入した音波に対し、反射、干渉、共振などの減衰効果を発揮し、優れた吸音機能を発揮することができる。
前記容積気孔率が10%を下回ると、強度は増加するが吸音効果が不足するので吸音体としては好ましくない。一方、容積気孔率が40%を超える場合は、吸音効果が低下する傾向を示すうえ、機械的強度が得られ難いという構造上の理由からも好ましくない。更には、本発明の吸音体の強度としては、ハンドリングに耐えるだけの最低限の形状保持強度も必要である。
また、前記発泡成形体1は3次元細気孔12を有し、通気性を有している。例えば、発泡成形体1を構成する発泡セル11の形状は、その中央縦断面が、略円形ないし長円形断面を持つ粒体であって、その大きさは長径基準で1.5〜5.5mmのものとなっている。これにより、吸音作用に必要な細気孔容積を得ることができる。また、個々の発泡セル11は、その長径/短径の範囲を、3.0以下の略長円形断面粒体としておけば、吸音作用に必要な細気孔容積がより得られ易くなる。
勿論、発泡セルの形状としては円形の粒体に限られることなく、多角状の粒体や、円筒状あるいは多角形筒状の棒状体でもよく、要は通気性を有する発泡成形体を構成するものであればよい。
勿論、発泡セルの形状としては円形の粒体に限られることなく、多角状の粒体や、円筒状あるいは多角形筒状の棒状体でもよく、要は通気性を有する発泡成形体を構成するものであればよい。
次に、前記発泡成形体1の表面に設ける繊維層2について説明する。
この繊維層2は、自動車用内装材として用いた場合に、発泡成形体1が共材または異種材と接触して擦れ音や軋み音を発生するのを防止する緩衝材としての目的で設けるものである。植物性繊維、動物性繊維、化学繊維を主成分とするものであるが、機械的強度の大きい植物繊維の場合、マニラ麻からなるものが特に好ましい。
前記繊維層2は片方の表面にのみ設けることも、また表裏面の双方(側面も含む)に設けることもできる。また、用途に応じて特性の異なる2層以上の繊維層を設けることもできる。
この繊維層2は、自動車用内装材として用いた場合に、発泡成形体1が共材または異種材と接触して擦れ音や軋み音を発生するのを防止する緩衝材としての目的で設けるものである。植物性繊維、動物性繊維、化学繊維を主成分とするものであるが、機械的強度の大きい植物繊維の場合、マニラ麻からなるものが特に好ましい。
前記繊維層2は片方の表面にのみ設けることも、また表裏面の双方(側面も含む)に設けることもできる。また、用途に応じて特性の異なる2層以上の繊維層を設けることもできる。
前記繊維層2は、単に接着剤等により発泡成形体1の表面に貼り着けたものでなく、紙漉きの技術を応用して形成したものであり、図2に示すように、繊維層2が発泡成形体1の表層部と表面の空間凹部に若干入り込んだ状態で膠着しており、接着剤による接着層が形成されていないにも拘らず、しっかりと固定された状態になっている。即ち、繊維を分散させた溶液を漉いた時には溶液が表面の空間凹部に入りこんだ状態となり、その後、乾燥すると繊維層2は脚部2aが表面の空間凹部内に楔を打ち込んだような状態で固化することとなり、繊維層2と発泡成形体1との強固な結合を確保する。
しかも、繊維層2は通気性を有しているため、発泡成形体1の吸音効果を阻害することはない。また、発泡成形体1と繊維層2の複合物とすることで、成形体としての機械的強度も向上させることができる。
しかも、繊維層2は通気性を有しているため、発泡成形体1の吸音効果を阻害することはない。また、発泡成形体1と繊維層2の複合物とすることで、成形体としての機械的強度も向上させることができる。
更に、前記繊維層2の上には、静電植毛加工によってパイル3が接着されている。
この静電植毛加工は、高圧静電界における静電吸引力を利用して、予め接着剤を塗布した基材にパイル(短繊維)を垂直に投錨させ、その後、前記接着剤を乾燥(キュアリング)させることにより投錨したパイルを接着固定させる加工方法である。なお前記パイル3は、植毛製品のパイル密集度不足および斑点が生じる問題をなくすために、電着処理剤によって電着処理(パイル処理ともいう)を施し、パイルに電気的に作用する薬品を吸着せしめて良好な飛昇効果を得るようにするのが好ましい。
この静電植毛加工は、高圧静電界における静電吸引力を利用して、予め接着剤を塗布した基材にパイル(短繊維)を垂直に投錨させ、その後、前記接着剤を乾燥(キュアリング)させることにより投錨したパイルを接着固定させる加工方法である。なお前記パイル3は、植毛製品のパイル密集度不足および斑点が生じる問題をなくすために、電着処理剤によって電着処理(パイル処理ともいう)を施し、パイルに電気的に作用する薬品を吸着せしめて良好な飛昇効果を得るようにするのが好ましい。
図2に示すように、前記パイル3は、繊維層2の表面に予め塗布成形した接着剤層4に接着されている構造とすることができる。
また図3に示すように、前記パイル3は、前記接着剤層4を設けることなく、ウェットな状態にある繊維層2に接着されている構造とすることもできる。この場合は、ウェットで柔らかい状態にある繊維層2内にパイル3が投錨されると、その後、乾燥処理により繊維層2が乾燥固化されることによりパイル3が繊維層2に接着固定されることとなる。また、繊維層2に接着剤を含有しておけばパイル3の接着強度をより向上させることができ好ましい。
また図3に示すように、前記パイル3は、前記接着剤層4を設けることなく、ウェットな状態にある繊維層2に接着されている構造とすることもできる。この場合は、ウェットで柔らかい状態にある繊維層2内にパイル3が投錨されると、その後、乾燥処理により繊維層2が乾燥固化されることによりパイル3が繊維層2に接着固定されることとなる。また、繊維層2に接着剤を含有しておけばパイル3の接着強度をより向上させることができ好ましい。
更に、前記発泡成形体1およびパイル3の外表面には、バインダー噴霧処理によりコーティング膜5が形成されている構造とすることができる。このバインダー噴霧処理は、発泡成形体1およびパイル3の外表面にコーティング膜5を形成することにより、植毛表面の強度向上および水濡れ等によるパイル3の脱落防止を図るものである。
噴霧するバインダー液は、例えば発泡樹脂と付着しやすいアクリル系樹脂材やSBR系樹脂材を、発泡成形体の樹脂を溶かさないように水やアルコール等の溶剤で希釈したものを用いることができる。
噴霧するバインダー液は、例えば発泡樹脂と付着しやすいアクリル系樹脂材やSBR系樹脂材を、発泡成形体の樹脂を溶かさないように水やアルコール等の溶剤で希釈したものを用いることができる。
図4は、繊維層2の表面に塗布した接着層4にパイル3を接着してある発泡成形体1(図2を参照)の表面にバインダー噴霧処理を施してコーティング膜5を形成した場合を示している。また図5は、接着層4を設けることなく、繊維層2の表面に直接にパイル3を接着してある発泡成形体1(図3を参照)の表面にバインダー噴霧処理を施してコーティング膜5を形成した場合を示している。
いずれの場合も、発泡成形体1およびパイル3の外表面にコーティング膜5が均一に形成されており、植毛表面の強度向上および水濡れ等によるパイル3の脱落防止が図られている。
いずれの場合も、発泡成形体1およびパイル3の外表面にコーティング膜5が均一に形成されており、植毛表面の強度向上および水濡れ等によるパイル3の脱落防止が図られている。
次に、本発明の発泡成形製品の製造方法につき説明する。
本発明では、通気性を有している発泡成形体1を紙漉き技術における簾の役割をはたすように利用するものであり、所定位置にセットした簾に繊維を分散させた溶液を注ぐことによって、前記発泡成形体1の表面に繊維層2を均一に膠着する。
この繊維層2を設けることにより、繊維層2が緩衝材となって擦れ音や軋み音の発生を極力防止することができる。また、繊維層との積層構造とすることで、機械的強度を大幅に向上させることができ、更には優れた吸音性も発揮することができる。なお、通気性を有しているので優れた吸音効果を発揮することは勿論である。
本発明では、通気性を有している発泡成形体1を紙漉き技術における簾の役割をはたすように利用するものであり、所定位置にセットした簾に繊維を分散させた溶液を注ぐことによって、前記発泡成形体1の表面に繊維層2を均一に膠着する。
この繊維層2を設けることにより、繊維層2が緩衝材となって擦れ音や軋み音の発生を極力防止することができる。また、繊維層との積層構造とすることで、機械的強度を大幅に向上させることができ、更には優れた吸音性も発揮することができる。なお、通気性を有しているので優れた吸音効果を発揮することは勿論である。
また、前記繊維層2は簾として用いる発泡成形体1に繊維を分散させた溶液を注ぐことで形成するため、表面に深い凹凸形状があっても溶液がムラなく接触して均一な繊維層2を形成することが可能である。また、繊維を分散させた溶液を漉くのは自然落下でもよいが、簾の下面側から吸引力を作用させて漉くようにすれば成形時間を短縮することができるので好ましい。
また前記繊維を分散させた溶液10に、接着剤を添加しておくと繊維層2が発泡成形体1の表面により強固に接着されることとなり好ましい。同様に、着色剤、消臭剤、芳香剤、防虫剤、難燃剤等の1種又は2種以上を含有させることもでき、意匠性の向上、あるいは消臭性、芳香性、難燃性の向上等などの性能を使用目的や用途に応じて任意に付加することができる。このため、自動車の内装材だけでなく、建築用吸音材や住宅用吸音材等にも使用することができる。
次に、前記繊維層2の上に静電植毛加工を施してパイルを接着する。
この静電植毛加工は、前記繊維層2の表面に予め接着剤層4を塗布成形しておき、この接着剤層4にパイル3を接着することができる(図2を参照)。
その他、前記接着剤層4を設けることなく、前記パイル3をウェットな状態にある繊維層2に接着することもできる(図3を参照)。この場合は、ウェットで柔らかい状態にある繊維層2内にパイル3が投錨され、その後、乾燥処理により繊維層2が乾燥固化されることによりパイル3が繊維層2に接着固定されることとなる。また、繊維層2に接着剤を含有させておけばパイル3の接着強度をより向上させることができる。
この静電植毛加工は、前記繊維層2の表面に予め接着剤層4を塗布成形しておき、この接着剤層4にパイル3を接着することができる(図2を参照)。
その他、前記接着剤層4を設けることなく、前記パイル3をウェットな状態にある繊維層2に接着することもできる(図3を参照)。この場合は、ウェットで柔らかい状態にある繊維層2内にパイル3が投錨され、その後、乾燥処理により繊維層2が乾燥固化されることによりパイル3が繊維層2に接着固定されることとなる。また、繊維層2に接着剤を含有させておけばパイル3の接着強度をより向上させることができる。
更には、前記発泡成形体1およびパイル3の外表面に、バインダー噴霧処理によりコーティング膜5を形成することが好ましい(図4および図5を参照)。
このバインダー噴霧処理は、発泡成形体1およびパイル3の外表面にコーティング膜5を形成することにより、植毛表面の強度向上および水濡れ等によるパイル3の脱落防止を図るものである。バインダー液としては、例えば発泡樹脂と付着しやすいアクリル系樹脂材やSBR系樹脂材を、発泡成形体の樹脂を溶かさないように水やアルコール等の溶剤で希釈したものが用いられる。
なお、前記バインダー噴霧処理は、例えば静電植毛加工を施したケース内において引き続いて行うことができる。
このバインダー噴霧処理は、発泡成形体1およびパイル3の外表面にコーティング膜5を形成することにより、植毛表面の強度向上および水濡れ等によるパイル3の脱落防止を図るものである。バインダー液としては、例えば発泡樹脂と付着しやすいアクリル系樹脂材やSBR系樹脂材を、発泡成形体の樹脂を溶かさないように水やアルコール等の溶剤で希釈したものが用いられる。
なお、前記バインダー噴霧処理は、例えば静電植毛加工を施したケース内において引き続いて行うことができる。
発泡ポリスチレン樹脂の発泡性樹脂粒子を型内で加熱発泡して、発泡倍率が40倍、容積気孔率が10%、曲げ応力が0.25MPa以上の発泡成形体を成形した。
この発泡成形体から、150×150×25mmの板状体を切り出し、これを簾として溶器内にセットして、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を上から注いで漉いた。前記の繊維を分散させた溶液は、小片に切断したパルプ1.125を0.5リットルの水に入れて放置後、ミキサーで30秒間撹拌して得たものである。
これにより、発泡成形体の下面を除くすべての表面(上面と側面)に約0.11mm繊維層を膠着させた。次いで、この前記繊維層の表面に接着剤層を塗布した後、これを静電塗装用のボックス内にセットし、静電植毛加工を施して発泡成形体の表面にパイルを接着固定した。
この発泡成形体から、150×150×25mmの板状体を切り出し、これを簾として溶器内にセットして、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を上から注いで漉いた。前記の繊維を分散させた溶液は、小片に切断したパルプ1.125を0.5リットルの水に入れて放置後、ミキサーで30秒間撹拌して得たものである。
これにより、発泡成形体の下面を除くすべての表面(上面と側面)に約0.11mm繊維層を膠着させた。次いで、この前記繊維層の表面に接着剤層を塗布した後、これを静電塗装用のボックス内にセットし、静電植毛加工を施して発泡成形体の表面にパイルを接着固定した。
得られた表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品について、種々の物性評価を行った結果を以下に示す。
(1)通気性について
通気性は通気度試験機を使用して測定した。一定の流量[m3/cm2sec]のエアを通し、この時の圧力差[kPa]を測定し、通気抵抗[kPa sec/m]を求めた。本発明の発泡成形製品の通気抵抗は1.82[kPa sec/m]であり、繊維層を膠着した発泡成形体の通気抵抗1.40[kPa sec/m]に比べて約30%抵抗値が上昇していることがわかった。しかながら、これは自動車用内装材、建築用吸音材等としては十分な通気性であることが確認された。
(1)通気性について
通気性は通気度試験機を使用して測定した。一定の流量[m3/cm2sec]のエアを通し、この時の圧力差[kPa]を測定し、通気抵抗[kPa sec/m]を求めた。本発明の発泡成形製品の通気抵抗は1.82[kPa sec/m]であり、繊維層を膠着した発泡成形体の通気抵抗1.40[kPa sec/m]に比べて約30%抵抗値が上昇していることがわかった。しかながら、これは自動車用内装材、建築用吸音材等としては十分な通気性であることが確認された。
(2)吸音特性について
吸音性は、垂直入射吸音率測定器を使用して、JIS−A1405−1に準拠する方法で、厚さ25mmの試料に対し800〜5000Hzの周波数領域の測定を行なった。
この結果、本発明の発泡成形製品の吸音率は、発泡成形体単体(従来品)の吸音率とほぼ同等であることが確認できた。また、例えば繊維の叩解度、繊維量等の条件を変えることにより吸音率のピーク周波数を変化させることも可能であることが確認できた。これは自動車用内装材、建築用吸音材等として十分な吸音率である。
吸音性は、垂直入射吸音率測定器を使用して、JIS−A1405−1に準拠する方法で、厚さ25mmの試料に対し800〜5000Hzの周波数領域の測定を行なった。
この結果、本発明の発泡成形製品の吸音率は、発泡成形体単体(従来品)の吸音率とほぼ同等であることが確認できた。また、例えば繊維の叩解度、繊維量等の条件を変えることにより吸音率のピーク周波数を変化させることも可能であることが確認できた。これは自動車用内装材、建築用吸音材等として十分な吸音率である。
(3)曲げ強度について
曲げ強度(曲げ応力の最大値)は、JIS‐K7221‐2に準拠する方法で測定したものであり、その結果を図6に示す。本発明の発泡成形製品の曲げ応力の最大値は、0.48MPaであり、発泡成形体単体の曲げ応力の最大値(0.23MPa)に比べて100%以上向上していることが確認でき、本発明品の機械的強度が大幅に向上したことがわかった。
曲げ強度(曲げ応力の最大値)は、JIS‐K7221‐2に準拠する方法で測定したものであり、その結果を図6に示す。本発明の発泡成形製品の曲げ応力の最大値は、0.48MPaであり、発泡成形体単体の曲げ応力の最大値(0.23MPa)に比べて100%以上向上していることが確認でき、本発明品の機械的強度が大幅に向上したことがわかった。
(4)擦れ音や軋み音の発生防止について
擦れ音及び軋み音の評価は、発泡成形体をガラス板上で荷重を加えて、手動で往復回転運動させたときに音が発生するかどうか評価した。発泡成形体単体では擦れ音及び軋み音が発生したが、本発明の発泡成形製品は表面にパイルが植毛されているため、擦れ音や軋み音は全く発生しなかった。また、表面がパイルで着色されているため外観上も優れた視覚性を発揮するものであった。
擦れ音及び軋み音の評価は、発泡成形体をガラス板上で荷重を加えて、手動で往復回転運動させたときに音が発生するかどうか評価した。発泡成形体単体では擦れ音及び軋み音が発生したが、本発明の発泡成形製品は表面にパイルが植毛されているため、擦れ音や軋み音は全く発生しなかった。また、表面がパイルで着色されているため外観上も優れた視覚性を発揮するものであった。
1 発泡成形体
2 繊維層
2a 脚部
3 パイル
4 接着剤層
5 コーティング膜
11 発泡セル
11a 接着面
12 3次元細気孔
12a 空間
2 繊維層
2a 脚部
3 パイル
4 接着剤層
5 コーティング膜
11 発泡セル
11a 接着面
12 3次元細気孔
12a 空間
Claims (9)
- 発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体の表面に、この表面にある凹部内に入り込んだ状態で膠着する繊維層が設けられており、更にこの繊維層の上には静電植毛加工によってパイルが接着されていることを特徴とする表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品。
- 繊維層には、接着剤、着色剤、消臭剤、芳香剤、防虫剤、難燃剤の1種又は2種以上が含有されている請求項1に記載の表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品。
- パイルは、繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に接着されている請求項1または2に記載の表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品。
- パイルは、ウェットな状態にある繊維層に接着されている請求項1または2に記載の表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品。
- 発泡成形体およびパイルの外表面には、バインダー噴霧処理によりコーティング膜が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品。
- 発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体を簾とし、この簾を用いて繊維を分散させた溶液を漉くことにより前記発泡成形体の表面に繊維層を膠着させ、次いでこの繊維層の上に静電植毛加工を施してパイルを接着することを特徴とする発泡成形製品の製造方法。
- 繊維層の表面に予め塗布成形した接着剤層に対してパイルを接着する請求項6に記載の発泡成形製品の製造方法。
- ウェットな状態にある繊維層に対してパイルを接着する請求項6に記載の発泡成形製品の製造方法。
- 静電植毛加工を施した後、更にバインダー噴霧処理を施して、発泡成形体およびパイルの外表面にコーティング膜を形成する請求項6〜8のいずれかに記載の発泡成形製品の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2015108114A JP2016221735A (ja) | 2015-05-28 | 2015-05-28 | 表面に静電植毛加工が施された発泡成形製品とその製造方法 |
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- 2015-05-28 JP JP2015108114A patent/JP2016221735A/ja active Pending
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