JP2016219656A - 光処理装置および光処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板内での処理むらを抑制する。【解決手段】光処理装置は、紫外線を発する光源部と、前記光源部から発せられた紫外線に被処理物体が曝される処理部とを備え、前記処理部が、前記被処理物体が加熱されながら保持されて処理気体の雰囲気中で前記紫外線に曝される処理領域と、前記処理気体が前記紫外線に曝されながら通過して前記処理領域へと向かう、前記被処理物体の配置が禁止された準備領域と、少なくとも前記処理領域における加熱温度を制御して、前記準備領域の温度を前記処理領域の温度よりも低温にする温度制御部と、を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、光処理装置および光処理方法に関する。更に詳しくは、本発明は、例えば、半導体や液晶等の製造工程におけるレジストの光アッシング処理、ナノインプリント装置におけるテンプレートのパターン面に付着したレジストの除去処理、液晶用のガラス基板やシリコンウエハなどのドライ洗浄処理、プリント基板製造工程におけるスミアの除去(デスミア)処理などに好適な光処理装置および光処理方法に関する。
従来、例えば、半導体や液晶等の製造工程におけるレジストの光アッシング処理、ナノインプリント装置におけるテンプレートのパターン面に付着したレジストの除去処理、液晶用のガラス基板やシリコンウエハなどのドライ洗浄処理、プリント基板製造工程におけるスミアの除去(デスミア)処理などに用いられる光処理装置および光処理方法として、紫外線を用いた光処理装置および光処理方法が知られている。特に、エキシマランプなどから放射される真空紫外線により生成されるオゾンや酸素ラジカル等の活性種を利用した装置や方法は、より効率良く短時間で所定の処理を行うことができることから、好適に利用されている。
例えば特許文献1では、ビアホールのデスミア処理方法として、基板に紫外線を照射する方法が提案されており、酸素を含む雰囲気下で、ビアホールを形成した基板に紫外線を照射することが提案されている。
例えば特許文献1では、ビアホールのデスミア処理方法として、基板に紫外線を照射する方法が提案されており、酸素を含む雰囲気下で、ビアホールを形成した基板に紫外線を照射することが提案されている。
本発明者らは、鋭意検討の結果、デスミア処理のための紫外線処理方法について、(1)酸素やオゾンといったガス、または酸素やオゾン等を含むガスを介して、基板に対して紫外線を照射すること、(2)処理用ガスは、処理室内に封じるよりも、基板上を流れるように移動させることにより、処理効率が高まることを見出している。
しかしながら、本発明者らは、実験の結果、給気口に近い基板の周辺部領域について、スミアが除去される速度(デスミアの処理速度)が、その処理用ガスの流れに対して下流側の内側領域よりも遅いこと、言い換えればスミアの除去処理について基板内にむらが生じることを見出した。
本発明は、基板内での処理むらを抑制することを目的とする。
しかしながら、本発明者らは、実験の結果、給気口に近い基板の周辺部領域について、スミアが除去される速度(デスミアの処理速度)が、その処理用ガスの流れに対して下流側の内側領域よりも遅いこと、言い換えればスミアの除去処理について基板内にむらが生じることを見出した。
本発明は、基板内での処理むらを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る光処理装置の一態様は、紫外線を発する光源部と、前記光源部から発せられた紫外線に被処理物体が曝される処理部とを備え、前記処理部が、前記被処理物体が加熱されながら保持されて処理気体の雰囲気中で前記紫外線に曝される処理領域と、前記処理気体が前記紫外線に曝されながら通過して前記処理領域へと向かう、前記被処理物体の配置が禁止された準備領域と、少なくとも前記処理領域における加熱温度を制御して、前記準備領域の温度を前記処理領域の温度よりも低温にする温度制御部と、を備える。
ここで「処理気体」とは、被処理物体を処理する気体であって、紫外線に曝されることで処理能力を得る気体である。紫外線と処理気体との好ましい組み合わせとしては、例えば真空紫外線と酸素との組み合わせがある。酸素が真空紫外線に曝されると酸素ラジカル(活性種)やオゾンが発生して被処理物体の表面や付着物を酸化する。酸素と組み合わせる場合には波長220nm以下の真空紫外線を用いることで酸素ラジカル(活性種)やオゾンが発生する。
このように準備領域でオゾンを発生させる場合、準備領域は、オゾンを光処理に先立って生成するオゾン生成領域としての役割を果たす。
このように準備領域でオゾンを発生させる場合、準備領域は、オゾンを光処理に先立って生成するオゾン生成領域としての役割を果たす。
本発明に係る光処理装置によれば、準備領域を通過することで処理能力を得た処理気体が処理領域に達して被処理物体を処理することになるので、給気口に近い基板の周辺部領域と下流側の内側領域とで処理速度などの違いが抑制され、処理むらも抑制されることとなる。また、準備領域の温度が処理領域よりも低温であることによって処理気体の処理能力が短時間で上昇するので、準備領域の広さを抑えることができ、装置の小型化などに寄与する。
前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域および前記準備領域を有した一体物のステージと、前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであってもよい。
このような光処理装置によれば、処理領域および準備領域の各温度を各領域における処理に適した温度に制御することができる。
前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域および前記準備領域を有した一体物のステージと、前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであってもよい。
このような光処理装置によれば、処理領域および準備領域の各温度を各領域における処理に適した温度に制御することができる。
また、前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域および前記準備領域を有した一体物のステージと、前記処理領域のみに設けられ、加熱温度が前記温度制御部によって制御された加熱機構とを備えたものであってもよい。このような光処理装置によれば、前記準備領域は前記処理領域よりも確実に低温となる。
また、前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域を有した第1ステージと、前記準備領域を有し前記第1ステージとは別体の第2ステージと、前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであってもよい。
被処理物体を保持する処理領域に較べて準備領域は高い加工精度などが不要であるため、第1ステージと第2ステージを別体とすることで第2ステージを簡易化して製造の手間やコストを抑えることができる。
また、前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域を有した第1ステージと、前記準備領域を有し前記第1ステージとは別体の第2ステージと、前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであってもよい。
被処理物体を保持する処理領域に較べて準備領域は高い加工精度などが不要であるため、第1ステージと第2ステージを別体とすることで第2ステージを簡易化して製造の手間やコストを抑えることができる。
また、前記光処理装置は、前記処理部が、更に、前記処理領域を有した第1ステージと、前記準備領域を有し前記第1ステージとは別体の第2ステージと、前記処理領域のみに設けられ、加熱温度が前記温度制御部によって制御された加熱機構とを備えたものであってもよい。このような光処理装置によれば、前記準備領域は前記処理領域よりも確実に低温となる。特に、第1ステージと第2ステージとを非接触に配備すると効果的である。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る光処理方法の一態様は、被処理物体の配置が禁止された準備領域を通過中の処理気体に、光源から発せられた紫外線を照射する準備工程と、前記準備領域に続く処理領域で前記処理気体の雰囲気中に配置されて加熱された前記被処理物体に前記紫外線を照射する処理工程とを経て、少なくとも前記処理工程における加熱温度が制御されていて、前記準備工程における前記準備領域の温度が該加熱温度よりも低温である。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る光処理方法の一態様は、被処理物体の配置が禁止された準備領域を通過中の処理気体に、光源から発せられた紫外線を照射する準備工程と、前記準備領域に続く処理領域で前記処理気体の雰囲気中に配置されて加熱された前記被処理物体に前記紫外線を照射する処理工程とを経て、少なくとも前記処理工程における加熱温度が制御されていて、前記準備工程における前記準備領域の温度が該加熱温度よりも低温である。
本発明に係る光処理方法によれば、準備領域を通過することで処理能力を得た処理気体が処理領域に達して被処理物体を処理することになるので、給気口に近い基板の周辺部領域と下流側の内側領域とで処理速度などの違いが抑制され、処理むらも抑制されることとなる。また、準備領域の温度が処理領域よりも低温であることによって処理気体の処理能力が短時間で上昇するので、準備領域の広さを抑えることができ、装置の小型化などに寄与する。
本発明の光処理装置および光処理方法によれば、基板内での処理むらが抑制される。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。本実施形態では光処理装置の一例として例えばデスミア処理装置への応用例が示されている。
(光処理装置の構成)
光処理装置100は、基板Wを内部に保持して処理する処理部20と、紫外線を発する複数の紫外線光源11を内部に収納し、処理部20の基板Wにその紫外線光源11からの光を照射する光照射部10とを備える。光照射部10が、本発明にいう光源部の一例に相当し、処理部20が、本発明にいう処理部の一例に相当し、基板Wが、本発明にいう被処理物体の一例に相当する。
図1は、本実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。本実施形態では光処理装置の一例として例えばデスミア処理装置への応用例が示されている。
(光処理装置の構成)
光処理装置100は、基板Wを内部に保持して処理する処理部20と、紫外線を発する複数の紫外線光源11を内部に収納し、処理部20の基板Wにその紫外線光源11からの光を照射する光照射部10とを備える。光照射部10が、本発明にいう光源部の一例に相当し、処理部20が、本発明にいう処理部の一例に相当し、基板Wが、本発明にいう被処理物体の一例に相当する。
光照射部10は箱型形状のケーシング14を備え、このケーシング14の下方側に位置する面には、紫外線を透過する例えば石英ガラス等の窓部材12が気密に設けられている。光照射部10の内部には供給口15から例えば窒素ガス等の不活性ガスが供給されて不活性ガス雰囲気に保たれている。光照射部10内の紫外線光源11の上方には反射鏡13が設けられていて、紫外線光源11から発せられた光を窓部材12側に反射する。反射鏡13の全幅にほぼ対応した有効照射領域R0全体に対してほぼ均等に紫外線光源11の光が照射される。
なお、反射鏡13は必ずしも紫外線光源と独立した機構でなくてもよく、例えば紫外線光源自体に紫外線反射構造を持たせたものであってもよい。
紫外線光源11は、例えば波長220nm以下の真空紫外線を出射するものであって、種々の公知のランプを利用できる。例えば、キセノンガスを封入したキセノンエキシマランプ(波長172nm)、低圧水銀ランプ(波長185nm)などがあり、なかでも、デスミア処理に用いるものとしては、例えばキセノンエキシマランプが好適である。
なお、反射鏡13は必ずしも紫外線光源と独立した機構でなくてもよく、例えば紫外線光源自体に紫外線反射構造を持たせたものであってもよい。
紫外線光源11は、例えば波長220nm以下の真空紫外線を出射するものであって、種々の公知のランプを利用できる。例えば、キセノンガスを封入したキセノンエキシマランプ(波長172nm)、低圧水銀ランプ(波長185nm)などがあり、なかでも、デスミア処理に用いるものとしては、例えばキセノンエキシマランプが好適である。
処理部20には、紫外線照射処理(デスミア処理)を行う基板Wを表面に吸着して保持するステージ21が光照射部10の窓部材12に対向して設けられている。ステージ21には、基板Wを吸着するために例えば吸着孔(不図示)が穿たれており、平坦性や吸着孔の精度を確保するため本実施形態ではステージ21が例えばアルミニウム材で形成されている。このステージ21が、本発明にいうステージの一例に相当する。ステージ21の外周部分には外周溝21aが設けられていて、この外周溝21aと光照射部10の窓部材12との間にOリング22が挟まれることで光照射部10と処理部20とが気密に組み付けられている。このOリング22による気密性を阻害しない範囲でステージ21の高さを微調整して基板Wと窓部材12との距離を高精度に調整する調整機構(不図示)も備えられているものとする。
ステージ21の一方(図1の右側)の側縁部には、処理用ガス供給用の給気口21bが設けられ、他方(図1の左側)の側縁部には排気口21cが設けられている。給気口21bと排気口21cは、図1では1つずつ図示されているが、ステージ21には給気口21bと排気口21cが複数ずつ設けられている。複数の給気口21bは図1の紙面に垂直な方向に並んでおり、複数の排気口21cも図1の紙面に垂直な方向に並んでいる。各給気口21bには処理用ガス供給手段(不図示)が接続されて処理用ガスが供給される。また、各排気口21cには排気手段(不図示)が接続される。
ここで、処理用ガスとしては、例えば、酸素ガス、酸素とオゾンや水蒸気の混合ガス、これらのガスに不活性ガスなどを混合したガスなどが考えられるが、本実施形態では酸素ガスが用いられるものとする。処理用ガスは、基板Wに光照射部10からの紫外線が照射されている間、給気口21bから供給され排気口21cから排出される。給気口21bから排気口21cへと向かう処理用ガスは窓部材12と基板Wとの間を図1の右から左へと流れていくこととなる。
ステージ21には、処理用ガスの流れにおける上流側(図1の右側)の領域R2に凸部21dが設けられていて、ステージ21のこの領域R2には基板Wの載置が禁止されている。言い換えると、基板Wが載置されて保持される領域R1と、載置が禁止された領域R2とで、ステージ21に段差が形成されている。
ステージ21には、処理用ガスの流れにおける上流側(図1の右側)の領域R2に凸部21dが設けられていて、ステージ21のこの領域R2には基板Wの載置が禁止されている。言い換えると、基板Wが載置されて保持される領域R1と、載置が禁止された領域R2とで、ステージ21に段差が形成されている。
以下の説明では、ステージ21の領域のうち、基板Wが載置されて処理される領域R1を処理領域R1と称し、基板Wの載置が禁止されている領域R2を準備領域R2と称する場合がある。このような処理領域R1が、本発明にいう処理領域の一例に相当し、このような準備領域R2が、本発明にいう準備領域の一例に相当する。
ステージ21の処理領域R1には第1のヒータ23が組み込まれており、準備領域R2には第2のヒータ24が組み込まれている。第1のヒータ23は処理領域R1を基板Wごと加熱し、第2のヒータ24は準備領域R2を加熱する。これらのヒータ23,24としては、例えばシースヒータやカートリッジヒータなどが用いられる。
ステージ21の処理領域R1には第1のヒータ23が組み込まれており、準備領域R2には第2のヒータ24が組み込まれている。第1のヒータ23は処理領域R1を基板Wごと加熱し、第2のヒータ24は準備領域R2を加熱する。これらのヒータ23,24としては、例えばシースヒータやカートリッジヒータなどが用いられる。
第1のヒータ23には、処理領域R1における加熱温度を設定温度に制御する第1のヒータ制御器25が接続され、第2のヒータ24には、準備領域R2における加熱温度を設定温度に制御する第2のヒータ制御器26が接続されている。これらのヒータ制御器25,26は互いに独立に加熱温度を制御しており、制御部27によって各設定温度が設定される。
制御部27は、第2のヒータ制御器26の設定温度を第1のヒータ制御器25の設定温度よりも低い温度に設定する。この結果、準備領域R2におけるステージ21面の温度は処理領域R1におけるステージ21面の温度よりも低く保たれる。第1のヒータ23および第2のヒータ24が、本発明にいう加熱機構の一例に相当し、第1のヒータ制御器25と第2のヒータ制御器26と制御部27とを併せたものが、本発明にいう温度制御部の一例に相当する。なお、本発明では、複数の加熱機構を備える場合であっても処理領域と準備領域に互いに独立に温度制御されるそれぞれ1つ以上の加熱機構を備えていれば良く、例えば、処理領域R1と準備領域R2を共通に加熱する共通ヒータを併用してもよい。
制御部27は、第2のヒータ制御器26の設定温度を第1のヒータ制御器25の設定温度よりも低い温度に設定する。この結果、準備領域R2におけるステージ21面の温度は処理領域R1におけるステージ21面の温度よりも低く保たれる。第1のヒータ23および第2のヒータ24が、本発明にいう加熱機構の一例に相当し、第1のヒータ制御器25と第2のヒータ制御器26と制御部27とを併せたものが、本発明にいう温度制御部の一例に相当する。なお、本発明では、複数の加熱機構を備える場合であっても処理領域と準備領域に互いに独立に温度制御されるそれぞれ1つ以上の加熱機構を備えていれば良く、例えば、処理領域R1と準備領域R2を共通に加熱する共通ヒータを併用してもよい。
本実施形態では、凸部21dの突出量(即ちステージ21の段差の高さ)は基板Wの厚みと同等になっているので、処理用ガスが流れる隙間が処理領域R1でも準備領域R2でも同等となり、給気口21bから排気口21cへと向かう処理用ガスの流れが安定する。また、光照射部10から照射される紫外線は、処理領域R1と準備領域R2との双方に同等な強度で到達する。
(基板構造)
光処理装置100による処理対象である基板Wとしては各種の構造の基板Wが用いられるが、ここでは単純化された構造例について説明する。
図2は、基板Wの概略的構造を示す断面構造図である。
基板Wは、例えば、半導体集積回路素子等の半導体素子を搭載するための多層配線基板を製造する途中の中間的な配線基板材料である。
多層配線基板においては、異なる階層の配線層を電気的に接続するため、1つのもしくは複数の絶縁層を厚み方向に貫通して伸びるビアホールが形成される。多層配線基板の製造工程においては、絶縁層31と配線層32とが積層されてなる配線基板材料に、例えばレーザ加工を施すことによって絶縁層31の一部を除去することにより、ビアホール33が形成される。
光処理装置100による処理対象である基板Wとしては各種の構造の基板Wが用いられるが、ここでは単純化された構造例について説明する。
図2は、基板Wの概略的構造を示す断面構造図である。
基板Wは、例えば、半導体集積回路素子等の半導体素子を搭載するための多層配線基板を製造する途中の中間的な配線基板材料である。
多層配線基板においては、異なる階層の配線層を電気的に接続するため、1つのもしくは複数の絶縁層を厚み方向に貫通して伸びるビアホールが形成される。多層配線基板の製造工程においては、絶縁層31と配線層32とが積層されてなる配線基板材料に、例えばレーザ加工を施すことによって絶縁層31の一部を除去することにより、ビアホール33が形成される。
しかし、形成されたビアホール33の底部や側部の表面には、絶縁層31を構成する材料に起因するスミア(残渣)Sが付着する。このスミアSが付着したままの状態でビアホール33内にメッキ処理を施すと、配線層間の接続不良を引き起こすことがある。このため、ビアホール33が形成された配線基板材料(基板W)に対して、ビアホール33に付着したスミアSを除去するデスミア処理が行われる。
基板Wが図1に示すステージ21上に載置される際には、ビアホール33の開口が光照射部10に向くように、即ちスミアSが紫外線光源11からの紫外線に曝されるように載置される。
基板Wが図1に示すステージ21上に載置される際には、ビアホール33の開口が光照射部10に向くように、即ちスミアSが紫外線光源11からの紫外線に曝されるように載置される。
(デスミア処理の手順)
次に、図1に戻り、光処理装置100で実行されるデスミア処理の手順について説明する。
先ず、処理部20の外から処理対象の基板Wが処理部20の中へと搬送されて来て、ステージ21上に載せられる。基板Wは真空吸着などでステージ21に保持される。その後、処理用ガス供給手段により給気口21bから処理用ガスが処理部20に供給される。
処理用ガスの供給と同時に、あるいは処理室内が処理用ガスで完全にパージされてから、またあるいは処理用ガスが供給され処理室内が処理用ガスで完全にパージされるまでの間に紫外線光源11が点灯し、照射部10から紫外線が処理部20に向けて照射され、基板Wに対し処理用ガスを介して紫外線が照射される。
次に、図1に戻り、光処理装置100で実行されるデスミア処理の手順について説明する。
先ず、処理部20の外から処理対象の基板Wが処理部20の中へと搬送されて来て、ステージ21上に載せられる。基板Wは真空吸着などでステージ21に保持される。その後、処理用ガス供給手段により給気口21bから処理用ガスが処理部20に供給される。
処理用ガスの供給と同時に、あるいは処理室内が処理用ガスで完全にパージされてから、またあるいは処理用ガスが供給され処理室内が処理用ガスで完全にパージされるまでの間に紫外線光源11が点灯し、照射部10から紫外線が処理部20に向けて照射され、基板Wに対し処理用ガスを介して紫外線が照射される。
紫外線が照射された処理用ガスは、例えばオゾンや酸素ラジカルなどの活性種を生成し、後で詳しく説明するように、ビアホール内のスミアと反応してこれを除去する。処理用ガスとスミアとが反応して生じた例えば二酸化炭素等のガスは、新しく供給される処理用ガスの流れに乗って下流に運ばれ、排気口21cから引き込まれて排気手段により排出される。
なお、紫外線照射後、処理室内に残っているオゾンや酸素ラジカルなどの活性種や、反応によって生じたガスは、給気口21bから排気用ガスを供給することにより、排気口21cから排気する。この排気用ガスは、必ずしも処理用ガスである必要はなく、窒素ガスや圧縮空気等他のガスであってもよい。
処理が終わった基板Wは、ステージ21上から取り除かれて処理部20の外に搬出される。
なお、紫外線照射後、処理室内に残っているオゾンや酸素ラジカルなどの活性種や、反応によって生じたガスは、給気口21bから排気用ガスを供給することにより、排気口21cから排気する。この排気用ガスは、必ずしも処理用ガスである必要はなく、窒素ガスや圧縮空気等他のガスであってもよい。
処理が終わった基板Wは、ステージ21上から取り除かれて処理部20の外に搬出される。
(デスミア処理の作用)
ここで、デスミア処理における詳細な作用について説明する。
図3〜図6は、デスミア処理における作用の各段階を示す図である。
図3に示す第1段階では、給気口から供給された処理用ガスに、図の上方から下方を向いた矢印で示されるように紫外線が照射されることにより、処理用ガスに含まれる酸素から活性種34であるオゾンや酸素ラジカル(ここでは酸素ラジカルのみを図示)が生成される。この活性種34は、基板Wのビアホール33内に進入する。
ここで、デスミア処理における詳細な作用について説明する。
図3〜図6は、デスミア処理における作用の各段階を示す図である。
図3に示す第1段階では、給気口から供給された処理用ガスに、図の上方から下方を向いた矢印で示されるように紫外線が照射されることにより、処理用ガスに含まれる酸素から活性種34であるオゾンや酸素ラジカル(ここでは酸素ラジカルのみを図示)が生成される。この活性種34は、基板Wのビアホール33内に進入する。
図4に示す第2段階では、活性種34がビアホール33内のスミアSと反応してスミアSの一部が分解されるとともに、紫外線がスミアSに照射されることでもスミアSの一部が分解される。このようなスミアSの分解によって、例えば二酸化炭素ガスや一酸化炭素ガスや水蒸気などの反応生成ガス35が生成される。また、スミアSの分解を促進するため、処理領域R1における加熱温度は120℃以上190℃以下の所定温度に制御される。
そして、図5に示す第3段階で反応生成ガス35は、給気口側(図の右側)から流れてくる、活性種34を含んだ新しい処理用ガスにより、ビアホール33から排気口側(図の左側)へと押し流される。反応生成ガス35の排出に伴って、活性種34を含んだ新しい処理用ガスがビアホール33内に進入する。
紫外線の照射、活性種34の進入、および反応生成ガス35の排出が繰り返された結果、図6に示す最終段階では、ビアホール33内からスミアが完全に除去される。ビアホール33外に押し流された反応生成ガス35は、基板W上の処理用ガスの流れに乗って、図1に示す排気口21cから排出される。
図3〜図6に示す光処理の工程が、本発明にいう処理工程の一例に相当する。
紫外線の照射、活性種34の進入、および反応生成ガス35の排出が繰り返された結果、図6に示す最終段階では、ビアホール33内からスミアが完全に除去される。ビアホール33外に押し流された反応生成ガス35は、基板W上の処理用ガスの流れに乗って、図1に示す排気口21cから排出される。
図3〜図6に示す光処理の工程が、本発明にいう処理工程の一例に相当する。
このように、デスミア処理では、紫外線の照射によって例えば酸素ラジカルやオゾンなどの活性種が生成されてビアホール33内に進入するとともに紫外線そのものがビアホール33内に照射されることが処理効率向上の為に重要である。このため、図1に示す窓部材12と基板Wとの間の距離は、例えば1mm以下とされることが好ましく、特に0.5mm以下とされることが好ましい。これにより、酸素ラジカルやオゾンを安定して生成することができると共に基板Wの表面に到達する真空紫外線を十分な大きさの強度(光量)とすることができる。
(準備領域での作用)
ところで、従来の光処理装置においては、光照射部10から照射する紫外線を効率よく利用することが重視されるため、一般には、処理に有効な放射強度の紫外線が照射される領域は、基板Wの全体は覆うが、それ以上に広い領域を照射するようには設定されていない。
そのため、従来の装置においては、給気口に近い周辺部領域では、紫外線によって充分な濃度の活性種が生成される前に新しい処理用ガスにより下流側へと押し流されてしまうと考えられる。そのため、周辺部領域ではビアホールに到達する活性種の濃度が低く、処理用ガスの下流側に位置する内側領域よりもデスミアの処理速度が遅くなり、その結果として基板内での処理むらが生じると考えられる。
ところで、従来の光処理装置においては、光照射部10から照射する紫外線を効率よく利用することが重視されるため、一般には、処理に有効な放射強度の紫外線が照射される領域は、基板Wの全体は覆うが、それ以上に広い領域を照射するようには設定されていない。
そのため、従来の装置においては、給気口に近い周辺部領域では、紫外線によって充分な濃度の活性種が生成される前に新しい処理用ガスにより下流側へと押し流されてしまうと考えられる。そのため、周辺部領域ではビアホールに到達する活性種の濃度が低く、処理用ガスの下流側に位置する内側領域よりもデスミアの処理速度が遅くなり、その結果として基板内での処理むらが生じると考えられる。
これに対し、図1に示す光処理装置100では、ステージ21に凸部21dが設けられて基板Wの載置が禁止されていることで準備領域R2が形成されているが、この準備領域R2にも処理領域R1と同様に光が照射される。
図7は、準備領域における作用を示す図である。
ステージ21の凸部21dによって形成された準備領域R2では、例えば酸素ガスである処理用ガス36に対して光照射部からの紫外線が照射され、オゾンや酸素ラジカルなどの活性種34が生成される。
図7は、準備領域における作用を示す図である。
ステージ21の凸部21dによって形成された準備領域R2では、例えば酸素ガスである処理用ガス36に対して光照射部からの紫外線が照射され、オゾンや酸素ラジカルなどの活性種34が生成される。
準備領域R2には基板Wがない(即ちスミアがない)ので、生成された活性種34は、新しく供給される処理用ガス36に押されて下流に流されながら、濃度が徐々に高まり安定化する。即ち、準備領域R2は、処理領域での処理に先立って処理用ガス36に紫外線を照射して活性種34を生成する役割を果たす領域(活性種生成領域)である。本実施形態では、ステージと窓部材とで挟まれた時間的空間的に安定した隙間を処理用ガスが流れるので処理用ガスの流れも安定し、その結果、活性種34の濃度が安定化する。
準備領域R2で活性種34の濃度が高まって安定化した処理用ガスは、活性を維持したまま基板W上に達してビアホール内に進入し、スミアと反応して除去する。基板Wに達した段階で処理用ガスの活性種34の濃度は高く安定しているので、基板Wの各箇所における処理速度は処理用ガスの流れの上流から下流までのいずれの箇所でも速く、基板W内での処理むらは抑制される。
図7に示す準備領域における工程が、本発明にいう準備工程の一例に相当する。
準備領域R2で活性種34の濃度が高まって安定化した処理用ガスは、活性を維持したまま基板W上に達してビアホール内に進入し、スミアと反応して除去する。基板Wに達した段階で処理用ガスの活性種34の濃度は高く安定しているので、基板Wの各箇所における処理速度は処理用ガスの流れの上流から下流までのいずれの箇所でも速く、基板W内での処理むらは抑制される。
図7に示す準備領域における工程が、本発明にいう準備工程の一例に相当する。
なお、図7においては、一例として、酸素に紫外線が照射されて活性種である酸素ラジカルが発生する様子が模式的に示されている。しかし、活性種としてはオゾンも発生するし、処理用ガスにオゾンが含まれている場合は、紫外線照射によりオゾンからも酸素ラジカルが発生する。また、処理用ガスに水蒸気や過酸化水素が含まれている場合は、紫外線照射により活性種である水酸基ラジカルが発生する。
このような各種の処理用ガスおよび活性種のいずれについても、図7で説明した準備領域R2での作用は同様に生じ、基板W内での処理むらは抑制される。
このような各種の処理用ガスおよび活性種のいずれについても、図7で説明した準備領域R2での作用は同様に生じ、基板W内での処理むらは抑制される。
ところで、活性種34の濃度を高めて安定化させるためには充分な広さ(流れに沿った方向の長さ)の準備領域R2が望まれるが、広すぎる準備領域R2は装置の大型化を招く。
そこで、本実施形態では、第1のヒータ23と第2のヒータ24の加熱温度を異なる温度に制御し、これによって、準備領域R2の温度(ステージ21面の温度)を処理領域R1の温度(ステージ21面の温度)よりも低温にしている。このように準備領域R2の温度が低いことで、準備領域R2で生成される活性種34の熱分解が抑制され、短時間(即ち短距離の準備領域R2)で活性種34の濃度が高まる。
そこで、本実施形態では、第1のヒータ23と第2のヒータ24の加熱温度を異なる温度に制御し、これによって、準備領域R2の温度(ステージ21面の温度)を処理領域R1の温度(ステージ21面の温度)よりも低温にしている。このように準備領域R2の温度が低いことで、準備領域R2で生成される活性種34の熱分解が抑制され、短時間(即ち短距離の準備領域R2)で活性種34の濃度が高まる。
ここで、準備領域R2の温度と活性種34の濃度上昇との関係について説明する。
図8は、紫外線の照射と活性種の濃度との関係を複数の温度について表したグラフである。
図8のグラフの横軸は、紫外線の照射時間を示しており、グラフの縦軸は、活性種であるオゾンの濃度を示している。
図8に示す例では、処理用ガスとして酸素が用いられ、紫外線として波長172nmの真空紫外線が250mW/cm2の強度で用いられている。また、図8に示す細い実線41は、準備領域R2が70℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表しており、太い実線42は、準備領域R2が120℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表しており、点線43は、準備領域R2が190℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表している。
図8は、紫外線の照射と活性種の濃度との関係を複数の温度について表したグラフである。
図8のグラフの横軸は、紫外線の照射時間を示しており、グラフの縦軸は、活性種であるオゾンの濃度を示している。
図8に示す例では、処理用ガスとして酸素が用いられ、紫外線として波長172nmの真空紫外線が250mW/cm2の強度で用いられている。また、図8に示す細い実線41は、準備領域R2が70℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表しており、太い実線42は、準備領域R2が120℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表しており、点線43は、準備領域R2が190℃である場合における活性種(オゾン)の濃度変化を表している。
活性種(オゾン)は、照射時間がゼロ秒から増えるのに従って濃度が増加していくが、濃度の増加に伴って、活性種同士の反応などによる消滅量も増加する。この消滅量は、準備領域の温度が高いほど多いため、準備領域が120℃である場合には例えば濃度5%に達するのに約0.7秒を要するのに対し、準備領域が70℃である場合にはほぼ半分の0.35秒程度となっている。また、準備領域が190℃である場合は、消滅量が多いため、活性種の濃度の上限が2%未満となっている。
このように、活性種の濃度は準備領域の温度が低いほど高濃度となって紫外線照射処理(デスミア処理)に好適であるが、例えばオゾンの場合には準備領域の温度が50℃未満になると濃度が10%を超えて爆発の虞がある。このため、準備領域の温度は50℃以上であることが好ましい。なお、オゾン濃度が高濃度であるほど処理用ガスの反応性は高まるのでオゾン濃度は10%を超えない限り10%に近い方が好ましい。
このように、活性種の濃度は準備領域の温度が低いほど高濃度となって紫外線照射処理(デスミア処理)に好適であるが、例えばオゾンの場合には準備領域の温度が50℃未満になると濃度が10%を超えて爆発の虞がある。このため、準備領域の温度は50℃以上であることが好ましい。なお、オゾン濃度が高濃度であるほど処理用ガスの反応性は高まるのでオゾン濃度は10%を超えない限り10%に近い方が好ましい。
活性種の濃度上昇は例えば紫外線の強度などで多少の変化を生じるものの、発明者らが鋭意検討した結果、準備領域における温度が50℃以上190℃以下の所定温度で処理領域よりも低温であれば、概ね0.25秒の紫外線照射で充分な活性種濃度が実現し、長くても1秒程度でよいことがわかった。また、図8に示すような活性種の到達濃度も考慮するならば、準備領域における温度は50℃以上120℃以下であることがより好ましい。
また、オゾンでも酸素ラジカルでも同程度の時間で充分な濃度が得られることがわかった。
従って、準備領域の長さとしては、処理用ガスの流速に応じて、0.25秒以上1秒以下の通過時間を要する長さに設定するのが好ましい。処理用ガスの流速は、反応生成物による障害(反応速度の低下)を避けるためある程度の高さを保つことが好ましく、例えば50〜500mm/s程度の流速が採用されるので、準備領域の長さは13〜500mm程度が好ましいと言える。
また、オゾンでも酸素ラジカルでも同程度の時間で充分な濃度が得られることがわかった。
従って、準備領域の長さとしては、処理用ガスの流速に応じて、0.25秒以上1秒以下の通過時間を要する長さに設定するのが好ましい。処理用ガスの流速は、反応生成物による障害(反応速度の低下)を避けるためある程度の高さを保つことが好ましく、例えば50〜500mm/s程度の流速が採用されるので、準備領域の長さは13〜500mm程度が好ましいと言える。
次に、第2実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第2実施形態の光処理装置200は、ヒータの配備が異なる点を除いて、図1に示す実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第2実施形態では、ステージ21の処理領域R1にはヒータ23が組み込まれているが、準備領域R2にはヒータが組み込まれていない。処理領域R1のヒータ23にはヒータ制御器25が接続されており、ヒータ制御器25はヒータ23の加熱温度を、制御部27によって設定される設定温度に制御する。
図9は、第2実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第2実施形態の光処理装置200は、ヒータの配備が異なる点を除いて、図1に示す実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第2実施形態では、ステージ21の処理領域R1にはヒータ23が組み込まれているが、準備領域R2にはヒータが組み込まれていない。処理領域R1のヒータ23にはヒータ制御器25が接続されており、ヒータ制御器25はヒータ23の加熱温度を、制御部27によって設定される設定温度に制御する。
処理領域R1におけるステージ面と、そのステージ面に吸着保持された基板Wは、ヒータ23によって直接的に加熱されることで制御部27による設定温度に近い温度となる。一方、準備領域R2は、ステージ21による熱伝導によって処理領域R1から伝わる熱によって間接的に加熱されるだけである。その結果、準備領域R2におけるステージ21面の温度は、処理領域R1におけるステージ21面の温度よりも確実に低温に保たれ、準備領域R2では活性種の濃度が短時間で(即ち短距離で)充分に高められる。
次に、第3実施形態について説明する。
図10は、第3実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第3実施形態の光処理装置300は、ステージの構造が異なる点を除いて、図1に示す実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第3実施形態では、ステージが、処理領域R1を有する第1ステージ21_1と、準備領域R2を有する第2ステージ21_2に分離している。第1ステージ21_1は、平坦性や吸着孔の精度を確保するため例えばアルミニウム材で形成されている。一方、第2ステージ21_2は、第1ステージ21_1に求められるような加工精度が不要であるため例えばステンレス材(SUS)などの安価な材料で形成される。
図10は、第3実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第3実施形態の光処理装置300は、ステージの構造が異なる点を除いて、図1に示す実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第3実施形態では、ステージが、処理領域R1を有する第1ステージ21_1と、準備領域R2を有する第2ステージ21_2に分離している。第1ステージ21_1は、平坦性や吸着孔の精度を確保するため例えばアルミニウム材で形成されている。一方、第2ステージ21_2は、第1ステージ21_1に求められるような加工精度が不要であるため例えばステンレス材(SUS)などの安価な材料で形成される。
また、第1ステージ21_1は、調整機構(不図示)による高さの微調整で基板Wと窓部材12との距離を高精度に調整するため上下動可能な構造となっているが、第2ステージ21_2は高さが固定された簡易な構造となっている。
第1ステージ21_1には第1のヒータ23が組み込まれており、第2ステージ21_2には第2のヒータ24が組み込まれている。第1のヒータ23は処理領域R1を基板Wごと加熱し、第2のヒータ24は準備領域R2を加熱する。
第1ステージ21_1には第1のヒータ23が組み込まれており、第2ステージ21_2には第2のヒータ24が組み込まれている。第1のヒータ23は処理領域R1を基板Wごと加熱し、第2のヒータ24は準備領域R2を加熱する。
図1に示す実施形態と同様に、第3実施形態でも、第1のヒータ23には第1のヒータ制御器25が接続され、第2のヒータ24には第2のヒータ制御器26が接続されていて、制御部27は、第2のヒータ制御器26の設定温度を第1のヒータ制御器25の設定温度よりも低い温度に設定する。この結果、準備領域R2におけるステージ面の温度は処理領域R1におけるステージ面の温度よりも低く保たれ、準備領域R2では活性種の濃度が短時間で(即ち短距離で)充分に高められる。
また、第3実施形態では、第1ステージ21_1から第2ステージ21_2への熱伝導を避けるために第1ステージ21_1と第2ステージ21_2との間に隙間が設けられている。これにより第1ステージ21_1と第2ステージ21_2の温度制御の独立性が高く、各領域における加熱温度の制御が容易である。第1ステージ21_1と第2ステージ21_2との隙間は、処理気体が漏れないように例えばパッキンなどで封鎖されているものとする。
次に、第4実施形態について説明する。
図11は、第4実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第4実施形態の光処理装置400は、ヒータの配備が異なる点を除いて、図10に示す第3実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第4実施形態では、第1ステージ21_1にはヒータ23が組み込まれているが、第2ステージ21_2にはヒータが組み込まれていない。第1ステージ21_1のヒータ23にはヒータ制御器25が接続されており、ヒータ制御器25はヒータ23の加熱温度を、制御部27によって設定される設定温度に制御する。
図11は、第4実施形態の光処理装置を示す概略構成図である。
この第4実施形態の光処理装置400は、ヒータの配備が異なる点を除いて、図10に示す第3実施形態と同様の実施形態であるので、以下では重複説明を省略する。
第4実施形態では、第1ステージ21_1にはヒータ23が組み込まれているが、第2ステージ21_2にはヒータが組み込まれていない。第1ステージ21_1のヒータ23にはヒータ制御器25が接続されており、ヒータ制御器25はヒータ23の加熱温度を、制御部27によって設定される設定温度に制御する。
第1ステージ21_1のステージ面と、そのステージ面に吸着保持された基板Wは、ヒータ23によって直接的に加熱されることで制御部27による設定温度に近い温度となる。一方、準備領域R2は、第1ステージ21_1からの放射熱によって間接的に加熱されるだけである。その結果、準備領域R2におけるステージ面の温度は、処理領域R1におけるステージ面の温度よりも確実に低温に保たれ、準備領域R2では活性種の濃度が短時間で(即ち短距離で)充分に高められる。
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
(実験例)
図1に示す構成を参照して、下記の仕様を有する本発明に係る光処理装置を作製した。
[ステージ21]
寸法:755×650mm、厚さ20mm
材質:アルミニウム
準備領域の長さ:40mm
処理領域の加熱温度:150℃
準備領域の加熱温度:70℃
(実験例)
図1に示す構成を参照して、下記の仕様を有する本発明に係る光処理装置を作製した。
[ステージ21]
寸法:755×650mm、厚さ20mm
材質:アルミニウム
準備領域の長さ:40mm
処理領域の加熱温度:150℃
準備領域の加熱温度:70℃
[紫外線光源11]
キセノンエキシマランプ
発光長:700mm
幅:70mm
入力電力:500W
ランプの数:7本
紫外線の照射時間:300秒間
[窓部材12]
寸法:755×650mm、厚さ5mm
材質:石英ガラス
窓部材と基板との距離:0.3mm
キセノンエキシマランプ
発光長:700mm
幅:70mm
入力電力:500W
ランプの数:7本
紫外線の照射時間:300秒間
[窓部材12]
寸法:755×650mm、厚さ5mm
材質:石英ガラス
窓部材と基板との距離:0.3mm
[基板W]
構成:銅基板上に絶縁層を積層し、絶縁層にビアホールを形成したもの
寸法:500mm×500mm×0.5mm
絶縁層の厚さ:30μm
ビアホールの直径:50μm
[処理用ガスなどの条件]
処理用ガス:酸素濃度100%
処理用ガス流量:1.0L/min
構成:銅基板上に絶縁層を積層し、絶縁層にビアホールを形成したもの
寸法:500mm×500mm×0.5mm
絶縁層の厚さ:30μm
ビアホールの直径:50μm
[処理用ガスなどの条件]
処理用ガス:酸素濃度100%
処理用ガス流量:1.0L/min
このような仕様の光処理装置では、40mmという短い準備領域を処理用ガスが約0.35秒という短時間で通過するが、活性種の濃度は充分に高く、基板W内での処理むらは生じなかった。
なお、上記説明では、本発明の光処理装置の一例としてデスミア処理装置への応用例が示されているが、本発明の光処理装置は、例えば光アッシング処理装置やレジストの除去処理装置やドライ洗浄処理装置などに応用されてもよい。
また、上記説明では、凸部21dによって準備領域への基板Wの載置が禁止された例が示されているが、本発明にいう準備領域は、例えば基板Wと同一の厚さを有したダミー板の載置によって基板Wの載置が禁止された領域であってもよく、処理領域と準備領域との境界に設けられたピンなどによって基板Wの載置が禁止された領域であってもよい。
なお、上記説明では、本発明の光処理装置の一例としてデスミア処理装置への応用例が示されているが、本発明の光処理装置は、例えば光アッシング処理装置やレジストの除去処理装置やドライ洗浄処理装置などに応用されてもよい。
また、上記説明では、凸部21dによって準備領域への基板Wの載置が禁止された例が示されているが、本発明にいう準備領域は、例えば基板Wと同一の厚さを有したダミー板の載置によって基板Wの載置が禁止された領域であってもよく、処理領域と準備領域との境界に設けられたピンなどによって基板Wの載置が禁止された領域であってもよい。
100…光処理装置、W…基板、10…光照射部、20…処理部、23,24…ヒータ、25,26…ヒータ制御器、27…制御部、11…紫外線光源、12…窓部材、21…ステージ、R1…処理領域、R2…準備領域
Claims (6)
- 紫外線を発する光源部と、
前記光源部から発せられた紫外線に被処理物体が曝される処理部とを備え、
前記処理部が、
前記被処理物体が加熱されながら保持されて処理気体の雰囲気中で前記紫外線に曝される処理領域と、
前記処理気体が前記紫外線に曝されながら通過して前記処理領域へと向かう、前記被処理物体の配置が禁止された準備領域と、
少なくとも前記処理領域における加熱温度を制御して、前記準備領域の温度を前記処理領域の温度よりも低温にする温度制御部と、
を備えたものであることを特徴とする光処理装置。 - 前記処理部が、更に、
前記処理領域および前記準備領域を有した一体物のステージと、
前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光処理装置。 - 前記処理部が、更に、
前記処理領域および前記準備領域を有した一体物のステージと、
前記処理領域のみに設けられ、加熱温度が前記温度制御部によって制御された加熱機構とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光処理装置。 - 前記処理部が、更に、
前記処理領域を有した第1ステージと、
前記準備領域を有し前記第1ステージとは別体の第2ステージと、
前記処理領域および前記準備領域それぞれに設けられ、各々の加熱温度が前記温度制御部によって該処理領域と該準備領域とで互いに独立に制御された複数の加熱機構とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光処理装置。 - 前記処理部が、更に、
前記処理領域を有した第1ステージと、
前記準備領域を有し前記第1ステージとは別体の第2ステージと、
前記処理領域のみに設けられ、加熱温度が前記温度制御部によって制御された加熱機構とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光処理装置。 - 被処理物体の配置が禁止された準備領域を通過中の処理気体に、光源から発せられた紫外線を照射する準備工程と、
前記準備領域に続く処理領域で前記処理気体の雰囲気中に配置されて加熱された前記被処理物体に前記紫外線を照射する処理工程と、を経て、
少なくとも前記処理工程における加熱温度が制御されていて、前記準備工程における前記準備領域の温度が該加熱温度よりも低温であることを特徴とする光処理方法。
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WO2018173525A1 (ja) * | 2017-03-24 | 2018-09-27 | 株式会社Screenホールディングス | 基板処理方法および基板処理装置 |
-
2015
- 2015-05-22 JP JP2015104673A patent/JP2016219656A/ja active Pending
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