JP6780531B2 - 光照射装置 - Google Patents
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Description
ところで、上記の処理空間は、窓とステージとの間にきわめて微小なギャップを精度よく形成することが求められる。しかしながら、上記従来の装置構成では、シール部材が窓部材に押し付けられた際のシール部材の反発力によって窓部材が押し上げられ、窓部材とステージ(被処理物体)とのギャップが不均一になるという問題がある。光源からの紫外線は処理空間中の処理用ガスに吸収されるため、窓部材と被処理物体とのギャップが不均一であると、被処理物体に届く紫外線の量がワークWの場所により不均一となり、その結果、処理に不均一が生じてしまう。
そこで、本発明は、窓部材とステージとのギャップを均一に形成しつつ、シール部材によって処理空間を気密に封止することを課題とする。
このように、シール部材を窓部材に押し当てるのではなく、ステージの側面に押し当てる構成であるため、従来装置のようなシール部材の反発力による窓部材の押し上げを防止し、窓部材とステージとのギャップが不均一となることを防止することができる。また、弾性を有する材料からなるシール部材を、断熱構造を有する部分に押し当てるので、シール部材がステージからの熱の影響を受けないようにすることができる。したがって、上記熱の影響によりシール部材が劣化して弾性が失われるといったことを回避することができ、シール部材によって適切に処理空間を気密に封止することができる。
また、上記の光照射装置において、前記断熱構造は、前記空隙の内部に形成された隔壁をさらに備えていてもよい。この場合、空隙内部の隔壁によって、当接部と接続部との強度を補強することができ、シール部材が押し当てられた際の当接部の変形を防止することができる。その結果、シール部材が押し当てられた際に、シール部材の押圧力によりステージがチルトすることを防止することができ、窓部材とステージとのギャップが不均一となることを防止することができる。
図1は、本実施形態の光照射装置を示す概略構成図である。本実施形態では、光照射装置の一例として、例えばデスミア処理装置への適用例について説明する。
(光照射装置の構成)
光照射装置100は、光源部10と、被処理物体の一例である基板(ワーク)Wを保持する処理部20と、を備える。光源部10は、例えば真空紫外線等の光を発する複数の紫外線光源11を内部に収納し、処理部20が保持するワークWに紫外線光源11からの光を照射する。
光源部10(ケーシング14)の内部は、供給口15から例えば窒素ガス等の不活性ガスが供給されることで、不活性ガス雰囲気に保たれている。また、光源部10内の紫外線光源11の上方には、反射鏡13が設けられている。反射鏡13は、紫外線光源11から発せられた光を窓部材12側に反射する。このような構成により、反射鏡13の全幅にほぼ対応した領域Rに対して、ほぼ均等に紫外線光源11の光が照射される。
紫外線光源11としては、例えば、キセノンガスを封入したキセノンエキシマランプ(ピーク波長172nm)、低圧水銀ランプ(185nm輝線)などを用いることができる。なかでも、デスミア処理に用いるものとしては、例えばキセノンエキシマランプが好適である。
なお、本実施形態では、上記流体として空気を用いる場合について説明する。つまり、シール部材17は、空気の注入により膨張し、空気の排出により収縮する空気膨張シールであるものとする。
シール部材17は、膨張状態において、その内周面がステージ21の側面と当接し、収縮状態において、その内周面がステージ21の側面から離間するように構成されている。図1は、シール部材17の膨張状態を示している。このように、シール部材17は、膨張状態においてステージ21の側面に密着することで、窓部材12とステージ21との間の処理空間を気密に封止する。
さらに、本実施形態では、ステージ21におけるシール部材17が押し当てられる部分(外周側面部)は、ステージ21とシール部材17との間の熱の伝達を抑制するための断熱構造22を有する。断熱構造22の具体的構成については後述する。
窓部材12とステージ21との間の処理空間は、オゾンを含む処理気体の雰囲気とされており、ステージ21上の処理領域R1に載置されたワークWは、この処理気体の雰囲気中で真空紫外線に曝されて処理されるようになっている。
ステージ21を上下動させている間は、シール部材17は収縮状態を維持し、シール部材17の内周面とステージ21の側面との間には隙間が形成されているものとする。このような構成により、ステージ21が上下動する際に、シール部材17がステージ21の側面に押し当てられた状態で擦られることを防止し、シール部材17の損傷を防ぐことができる。
また、ステージ21の他方(図1の左側)の側縁部には、デスミア処理後の排ガスをステージ21外部に排出するための排気路25が形成されている。排気路25には、エジェクタ42が取り付けられている。エジェクタ42は流体を利用して減圧状態を作り出すものであり、例えばコンプレッサ45で生成される例えば圧縮空気の流れを利用することができる。このエジェクタ42が排気路25に取り付けられることで、処理部20内の処理用ガス(処理気体)が強制的に排出される。排気路25とエジェクタ42とを繋ぐ配管には、モータ駆動で開閉されて配管の開度を調整するコック46が設けられている。コック46の開度は、制御部52によって制御される。
給気口24aおよび排気口25aは、図2に示すように、それぞれ処理用ガスが流れる方向(X方向)に直交する水平方向(Y方向)に沿って一列に形成されている。これにより、処理用ガスは、窓部材12とワークWとの間の処理空間を、図1の右から左へと流れていくこととなる。このように、本実施形態における光照射装置100は、ワークWの表面に沿って処理用ガスを流し、処理用ガスの流路を形成する気体給排部を備える。
つまり、処理用ガスは、処理空間の雰囲気である処理気体のオゾン濃度を一定(例えば3%)にするために準備領域R2に供給されるガスであり、紫外線が照射されることでオゾンを生成するガスとすることができる。準備領域R2は、処理用ガスに紫外線を照射して活性種の濃度を安定化させる役割を果たす領域であるといえる。なお、処理用ガスはオゾンそのものであってもよい。
この場合、バリアガス供給部は、ステージ21が、図4の破線で示す紫外線照射処理の処理位置まで上昇した状態において、ステージ21の側面におけるワークWの載置面よりも下方で、かつ図4の破線で示す膨張状態のシール部材17のステージ21との当接位置よりも上方に、バリアガスを噴出することができる。
従来、デスミア処理装置等の光照射装置では、ワークWを載置するステージ上面の外周部分に外周溝を形成し、その外周溝と窓部材との間にOリング等のシール部材を介在させることで、窓部材とステージとの間の処理空間を気密に封止していた。しかしながら、上記の従来装置の構成では、シール部材が窓部材に押し付けられた際のシール部材の反発力によって窓部材が押し上げられ、窓部材とステージ(ワークW)とのギャップが不均一になるという問題がある。光源からの紫外線は処理空間中の処理用ガスに吸収されるため、窓部材とワークWとのギャップが不均一であると、ワークWに届く紫外線の量がワークWの場所により不均一となり、その結果、処理に不均一が生じてしまう。
また、窓部材12は、照射する光の透過率を考慮した薄い部材であり、例えば1辺の長さに対して厚みが1/100以下である。そのため、窓枠部材16によって窓部材12の周縁部を支持しただけであると、窓部材12が下に凸に撓みやすい。そこで、本実施形態では、図4に示すように、窓部材12の下面に筋状突起12aを設け、この筋状突起12aがワークWに当接してワークWと窓部材12との適切な距離を保てるようになっている。これにより、ワークWと窓部材12との間の距離を適切に規定することができ、ワークWに対する紫外線照射処理を適切に行うことができる。
シール部材17は、内部に空気などの流体を注入する構造上、弾性を有する部材が用いられている。具体的には、シール部材17はゴム材料により構成されている。ここで、ゴムとは、日本工業規格「JIS K6200 ゴム用語」で定義されているゴムを指し、天然ゴムおよび合成ゴムを含む。より感覚的には、ゴムとは、「大辞泉」に記載されているように、「わずかな力で大きく伸び、外力を除くとほとんど瞬間的にもとに戻る性質をもつ物質」である。
そこで、本実施形態では、図4に示すように、ステージ21の外周側面部が断熱構造22を有し、シール部材17がステージ21に対して熱的に浮いている構造としている。
以下、断熱構造22の構成について、図4を参照しながら詳細に説明する。
図4に示すように、断熱構造22は、シール部材17が押し当てられる当接部22aと、当接部22aとステージ本体とを物理的に接続する接続部22bと、当接部22aとステージ本体との間に形成された空隙22cと、を備える。ここで、上記ステージ本体は、ステージ21におけるワークWが載置される部分(ステージ21の中心部分)である。図4に示す断熱構造22は、ステージ21の外周側面部分に設けられた、ステージ本体部のZ方向の厚みよりも薄い厚み(例えば半分程度の厚み)を有する外周突出部分に、溝を形成することにより得ることができる。
具体的には、上記外周突出部分を図4における下側から上方に向けて切削(フライス加工)し、ステージ21の外郭にトラック状に閉じた環状の溝部を形成する。これにより、ステージ21の最外郭に当接部22aに相当する環状部材が残り、当接部22aとステージ本体との間に空隙22cが形成される。そして、当接部22は、溝部の形成によってZ方向の厚みが薄くなった外周突出部分のみによりステージ本体と物理的に接続される。この厚みが薄くなった外周突出部分が接続部22bに相当する。
また、ステージ本体から外部への熱逃げを防止することもできるので、ステージ本体上に載置されたワークWの加熱効率を向上させることもできる。その結果、デスミア処理装置である光処理装置100におけるスミアの除去(デスミア)の処理速度を適切に速めることができる。
例えば、上述したようにフライス加工により空隙22cを形成する過程において、溝部を断続的に形成することで、隔壁22dを当接部22aおよび接続部22bと一体的に形成することができる。ただし、隔壁22dの形成方法は上記に限定されるものではない。例えば、上述したようにステージ21の外周突出部分に環状の溝部を形成した後、当該溝部に隔壁22dとなる別部材を埋め込むようにしてもよい。隔壁22dを当接部22aおよび接続部22bとは別部材で構成する場合、隔壁22dの材料を、より断熱性の高い材料(例えば、セラミックなど)としてもよい。
(1)光源部10と処理部20とは上下に分離可能に構成されている。窓部材12は光源部10側に取り付けられている。
(2)処理部20が下降した状態で、搬送されたワークWがステージ21上に載置されて、真空吸着により固定される。
(3)制御部52がアクチュエータ51を制御し、窓部材12の下面に形成された筋状突起12aにワークWの上面が当接するまで処理部20を上昇させる。これにより、窓部材12とワークWとの間隔を、あらかじめ設定された例えば1mm以下といった間隔にする。
(4)空気膨張シールによって構成されるシール部材17に空気を注入し、ステージ21の外周を気密にシールする。このとき、シール部材17は、ステージ21に対して熱的に浮いた状態で当該ステージ21の側面に密着する。これにより、シール部材17の温度上昇が抑制されつつ、窓部材12とステージ21との間に気密な処理空間が形成される。
(6)紫外線光源11を点灯し、紫外線照射処理(デスミア処理)を開始する。
(7)紫外線照射処理(デスミア処理)が終了すると、紫外線光源11を消灯する。
(8)処理空間への処理用ガスの導入と、エジェクタの動作とを停止する。また、バリアガスの供給も停止する。
(9)シール部材17から空気を排出し、光源部10と処理部20とを分離する。
(10)制御部52がアクチュエータを制御し、処理部20を下降させる。これにより、光源部10と処理部20とが上下に分離する。
(11)ワークWを取り出す。
以上のような手順によって、窓部材12とステージ21(ワークW)とのギャップを均一に形成しつつ、シール部材17により処理空間を気密に封止することができる。したがって、ワークW全面に対して均一な紫外線照射処理(デスミア処理)を施すことができる。
ステージ21の外周側面部が断熱構造22を有しない場合、シール部材17は、ヒータ23によって加熱されたステージ21の外周側面に直接当接することになるため、シール部材17の温度はステージ21と同じ温度である150℃まで上昇する。本実施形態のように、ステージ21の外周側面部が断熱構造22を有することで、断熱構造22を設けない場合と比較して、シール部材17の温度を20℃下げることができることが確認できた。
断熱構造を有しない従来例の場合、使用時間100時間の経過でシール部材17の表面の硬化が観察され、さらに通算500時間経過で表面に亀裂が確認された。この時点において処理ガスのリークが発生したため、シール部材17の交換が必要となった。
これに対して、本実施形態においては、使用時間通算1000時間でもシール部材17の表面の硬化が観察されず、通算2000時間経過でも処理ガスのリークは発生しなかった。
すなわち、シール部材17の温度が低下することで、ゴムの劣化反応速度が低減され、長期にわたりシール部材17の使用可能状態を維持できることがわかった。
このように、ステージ21の外周側面部が断熱構造22を有することで、シール部材17がステージ21の外周側面に押し当てられた場合であっても、シール部材17の温度上昇を抑制し、シール部材17の劣化を抑制する(寿命を延ばす)ことができることが確認できた。
上記実施形態においては、ステージ21の外周突出部分を加工して、断熱構造22をステージ本体と一体形成する場合について説明したが、例えば図6に示すように、断熱構造22は、ステージ本体とは別部材により構成してもよい。例えば、断面L字状の部材22eをステージ本体の外郭に空隙22cが形成されるようにステージ本体に物理的に接続することで、断熱構造22を構成してもよい。
ここで、部材22eは、ステージ本体と同一材料により構成してもよいし、ステージ本体とは異なる材料により構成してもよい。部材22eとステージ本体とが同一材料により構成されている場合であっても、別部品であることで両者の間には微小な隙間が形成され、熱抵抗を上げることができる。また、部材22eをステージ本体と同一材料により構成することで、ステージ本体と部材22eとの線膨張係数を等しくすることができるため、ステージ本体の加熱温度の影響を受けない構造とすることができる。一方、部材22eをステージ本体とは別材料により構成する場合、部材22eをより断熱性の高い材料により構成してもよい。その場合、シール部材17の温度上昇を適切に抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、光照射装置をデスミア処理装置に適用する例について説明したが、本発明は、レジストの光アッシング処理や、レジストの除去処理や、ドライ洗浄処理などに応用されてもよい。
Claims (5)
- 窓部材を通して光を照射する光源部と、
前記窓部材に対向配置し、被処理物体を載置するステージと、
前記窓部材の周縁部を支持する支持部材と、
前記窓部材と前記ステージとの間の空間であって、前記ステージに載置された前記被処理物体が前記光によって処理される処理空間を気密に封止するシール部材と、を備え、
前記シール部材は、
断面中空に形成され、中空への流体の注入により断面が膨張する、弾性を有する材料からなる膨張シールであり、
前記支持部材と前記ステージの外周側面との間に配置され、当該ステージの外周側面に押し当てられて前記処理空間を気密に封止するように構成されており、
前記ステージの外周側面部は断熱構造を有することを特徴とする光照射装置。 - 前記断熱構造は、
前記シール部材が押し当てられる当接部と、
前記当接部と前記被処理物体が載置されるステージ本体とを物理的に接続する接続部と、
前記当接部と前記ステージ本体との間に形成された空隙と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。 - 前記空隙は、前記ステージ本体の外郭に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
- 前記断熱構造は、前記空隙の内部に形成された隔壁をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の光照射装置。
- 前記ステージに載置された前記被処理物体を加熱する加熱機構をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光照射装置。
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