JP2016219267A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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卓哉 長谷川
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Abstract

【課題】粘着テープ等の電池特性に悪影響を及ぼし得る材料を用いずに電極積層体を固定可能とし、もって、優れた電池品質および電池性能を有する積層型非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池であって、電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有するか、または、電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され且つ電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体が強磁性を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関し、詳しくは正極と負極とをセパレーターを介して積層した積層型の非水電解液二次電池に関する。
近年、電気自動車や工業用、家庭用蓄電装置などをはじめとする、大型非水電解液二次電池を用いた電子装置が次々と開発されている。また、電気自動車では一回満充電当たりの航行長距離化が求められ、工業用、家庭用蓄電装置では充電−放電サイクルの高回数化が求められている。これら電子装置の動力源である大型非水電解液二次電池には高容量化、長寿命化に対する要求が高まっている。そこで、近年、この要求に応えるべく、大型非水電解液二次電池、中でもリチウムイオンの挿入、脱離を利用したリチウムイオン二次電池に関して、種々の提案がなされている。
中でも、高容量化を図るために、正極と負極とをセパレーターを介して積層した大型積層型非水電解液二次電池が用いられている。このような電池は、正極、負極の面積を大きくすること、積層する正極、負極の枚数を増加することによって単位電池当たりの容量を大きくすることが容易であるので、充放電容量の高容量化には好適である。
このような電池では、図1Aに示すように、正極集電体1bの両面に正極活物質層1aを設けた正極1と、負極集電体2bの両面に負極活物質層2aを設けた負極2とがセパレーター3を介して積層される。電池作製の際もしくは作製後の電池に衝撃が加わった際に、電池内部品にずれが生じて正極1と負極2とが直接対向し、短絡が生じる可能性がある。このような現象を防止するために、図1Bに示すように、電極積層体4の両面の複数個所を粘着テープ5などで固定することが行われている(特許文献1参照)。
特許文献2には、電極成形体の全面に固体電解質膜を成膜できる非水電解質電池を提供する技術が開示される。この文献には、磁性材料製のメッシュで構成された集電体を備える非水電解質電池用電極を、マグネットの磁力によって、気相成長装置のトレイに固定した状態で、電極表面全体に気相成長法を用いて固体電解質膜を成膜する、固体電解質膜の成膜方法が開示される。
特許第4293247号公報 特開2012−169200号公報
しかしながら、この特許文献1に開示された積層型非水電解液二次電池にはいくつかの点で改善が望まれる。
第1の点は、粘着テープの粘着層による電池性能の低下である。この現象は、粘着テープの必須構成材料である粘着層が、電池内部の非水電解液に浸食され、非水電解液二次電池に必須の構成材料以外の化学物質が非水電解液の性能を阻害することに起因する。
第2の点は、充放電サイクルにおける電池性能の低下である。この現象は、粘着テープ貼り付け位置以外の、セパレーターと正極もしくは負極との隙間に、充放電サイクルを繰り返すことによって生じた、非水電解液の分解に由来する生成ガスが蓄積されることで、セパレーターと正極もしくは負極の極板間の隙間が増し、電池抵抗が上昇することに起因する。
本発明の目的は、粘着テープ等の電池特性に悪影響を及ぼし得る材料を用いずに電極積層体を固定可能とし、もって、優れた電池品質および電池性能を有する積層型非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明の一態様によれば、正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池であって、
電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有するか、または、
電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され、且つ、電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体が強磁性を有する
ことを特徴とする積層型非水電解液二次電池が提供される。
本発明の別の態様によれば、正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池の製造方法であって、
前記積層型非水電解液二次電池は、
電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有するか、または、電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され且つ電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体が強磁性を有し、
正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、集電体に占める鉄含有率が50質量%以上であり、かつ強磁性を有する合金材料からなり、
樹脂層を有する外装体に前記電極積層体が包まれ、外装体の内側または外側に前記固定部材が配され、
前記製造方法が、
電極積層体を包む前記外装体の一部を構成する、樹脂層を有する第1の外装体に、正極、負極およびセパレーターを挿入して積層し、電極積層体を形成する積層工程と、
前記電極積層体を包む外装体の別の一部を構成する、樹脂層を有する第2の外装体を用い、電極積層体を前記固定部材により固定した後に第1および第2の外装体で電極積層体を包むか、または、第1および第2の外装体で電極積層体を包んだ後に前記固定部材により電極積層体を固定する外装固定工程と
を含み、
前記積層工程が、
1)前記合金材料からなる集電体を有する電極を、磁力により吸着する電極吸着工程と、
2)セパレーターを真空により吸着するセパレーター吸着工程と、
3)前記合金材料からなる集電体を有する電極とセパレーターとを、磁石を備える水平な台である磁力水平台上に設置された第1の外装体に挿入し、前記合金材料からなる集電体を有する電極およびセパレーターのそれぞれの吸着を解除するとともに、前記磁力水平台の磁力によって、前記合金材料からなる集電体を有する電極と磁力水平台との間にセパレーターを挟み込んだ状態で、積層された電極およびセパレーターを固定する挿入・固定工程と
を含む、積層型非水電解質電池の製造方法が提供される。
本発明によれば、粘着テープ等の電池特性に悪影響を及ぼし得る材料を用いずに電極積層体を固定可能とし、もって、優れた電池品質および電池性能を有する積層型非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
背景技術の積層型非水電解液二次電池の模式図であり、Aは電極積層体の積層構造を示し、Bは電池の斜視図である。 本発明の積層型非水電解液二次電池の一形態を示す模式図であり、Aは外観模式図、Bは構成模式図である。 図2に示した電池の一部を示す模式図であり、Aは上面図、Bは断面図である。 本発明の積層型非水電解液二次電池の別の形態を示す模式図であり、Aは外観模式図、Bは構成模式図である。 本発明の積層型非水電解液二次電池の別の形態を示す模式図であり、Aは外観模式図、Bは構成模式図である。 本発明の積層型非水電解液二次電池の別の形態を示す構成模式図である。 A〜Fは、それぞれ本発明の積層型非水電解液二次電池のさらなる形態を示す上面模式図である。 実施例および比較例の積層型非水電解液二次電池のサイクル特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
本発明は、正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池に関する。電極積層体は、典型的には、複数の正極および複数の負極がセパレーターを介して積層されるが、正極および負極がそれぞれ1つだけであってもよい。非水電解液二次電池は、典型的にはリチウムイオン二次電池である。
非水電解液二次電池は、電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材(以下、磁石からなる固定部材を「磁性固定部材」と称することがある)によって電極積層体が挟まれた構造を有することができる。このような構造の例が図2に示され、図2においては、2つの磁性固定部材9が電極積層体(後に詳述する磁性電極積層体10)の両面に設けられている。ここでいう両面とは、電極積層体の積層方向に実質的に直交する面、換言すれば、電極積層体の積層方向における2つの端面(図2Bにおいて磁性電極積層体10の上面と下面)を指す。磁性固定部材によって電極積層体を両面から積層方向に挟み込むことによって、磁力により電極積層体を固定することができる。2つの磁性固定部材のうちの一方もしくは両方が永久磁石であってもよく、あるいは、2つの磁性固定部材のうちの一方もしくは両方が、電磁石であってもよい。
あるいは、上記構造に替えて、非水電解液二次電池において、電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され、且つ、電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体(以下、「最遠集電体」と称することがある)が強磁性を有することもできる。ここでいう片面とは、前述の「両面」のうちの一方を指す。この場合、前記片面に設けられた1つの磁性固定部材と強磁性を有する最遠集電体との間に作用する磁力によって、電極積層体を固定することができる。この1つの固定部材は永久磁石であってもよく、あるいは、この1つの固定部材が、電磁石であってもよい。
なお、本明細書において、強磁性を有する集電体、正極集電体および負極集電体を、それぞれ、磁性集電体、磁性正極集電体および磁性負極集電体と称することがある。集電体は好ましくは強磁性を有するが、場合によっては常磁性を有することもできる。あるいは、電極積層体の両面に磁性固定部材を配する場合など、電極に磁力を作用させなくてもよい場合には、集電体は非磁性であってもよい。また、磁性集電体を有する電極、磁性正極集電体を有する正極および磁性負極集電体を有する負極を、それぞれ、磁性電極、磁性正極、磁性負極と称することがある。さらに、磁性電極を含む電極積層体を、磁性電極積層体と称することがある。
正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、集電体に占める鉄含有率が50質量%以上であり、かつ強磁性を有する合金材料からなることが好ましい。この合金材料の鉄含有率は、例えば90%以下である。
複数の正極および複数の負極が積層された電極積層体においては、特には、全ての正極集電体が前記合金材料からなることができ、全ての負極集電体が前記合金材料からなることができ、正極および負極の集電体の全てが前記合金材料からなることもできる。このような構成によれば、複数の集電体にそれぞれ磁力を作用させることができ、強固に電極積層体を固定することが容易である。
正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者がマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト二相系の内の一種類以上を含むステンレス鋼からなる箔(集電箔)であることが好ましい。集電箔は、好ましくは、JIS400番台であり、かつクロム含有率が13質量%以上20質量%以下のマルテンサイト系ステンレス鋼を含むことができ、特には、このマルテンサイト系ステンレス鋼からなることができる。また集電箔は、好ましくは、JIS400番台であり、かつクロム含有率が17質量%以上35質量%以下のフェライト系ステンレス鋼を含むことができ、特には、このフェライト系ステンレス鋼からなることができる。また集電箔が、好ましくは、JIS300番台であり、かつクロム含有率が25質量%以上30質量%以下のオーステナイト・フェライト二相系ステンレス鋼を含むことができ、特にはこの二相系ステンレス鋼からなることができる。
特に、電極積層体の片面だけに磁石からなる固定部材を配する場合など、電極積層体の固定のために集電体に磁力を作用させたい場合には、強磁性のステンレス鋼からなる集電体(特には箔)、例えばSUS444からなる箔を用いることができる。
磁性固定部材が0.1mT以上1000mT以下の表面磁束密度を有することが好ましい。
磁性固定部材が、正極面積の20%以上200%以下の面積を有することが好ましい。
本発明の別の態様によれば、正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池の製造方法が提供される。この製造方法において、積層型非水電解液二次電池は、電極積層体の両面に配置された磁性固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有する。あるいは、積層型非水電解液二次電池において、電極積層体の片面に磁性固定部材が配され、且つ電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも最遠集電体が強磁性を有する。また、正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、集電体に占める鉄含有率が50質量%以上であり、かつ強磁性を有する合金材料からなる。そして、樹脂層を有する外装体に前記電極積層体が包まれ、外装体の内側または外側に前記固定部材が配される。
前記製造方法は、積層工程と外装固定工程とを含む。この製造方法においては、第1の外装体と第2の外装体を用いる。第1の外装体は樹脂層を有し、電極積層体を包む外装体の一部を構成する。第2の外装体も樹脂層を有し、電極積層体を包む外装体の別の一部(典型的には残部)を構成する。第1の外装体と第2の外装体との組み合わせによって、電極積層体を包むことができる。図2Bに示される非水電解液二次電池においては、フィルム外装体11bが第1の外装体に相当し、フィルム外装体11aが第2の外装体に相当する。
積層工程においては、第1の外装体に、正極、負極およびセパレーターを挿入して積層し、電極積層体を形成する。
外装固定工程においては、
電極積層体を前記固定部材により固定した後に、第2の外装体と第1の外装体とを用いて電極積層体を包むか、または、
電極積層体を第2の外装体と第1の外装体とを用いて包んだ後に、前記固定部材により電極積層体を固定する。
そして積層工程は次の工程1〜3を含む。
1)前記合金材料からなる集電体を有する電極を磁力により吸着する電極吸着工程。
2)セパレーターを真空により吸着するセパレーター吸着工程。
3)前記合金材料からなる集電体を有する電極とセパレーターとを、磁石を備える水平な台である磁力水平台上に設置された第1の外装体に挿入し、前記合金材料からなる集電体を有する電極およびセパレーターのそれぞれの吸着を解除するとともに、前記磁力水平台の磁力によって、前記合金材料からなる集電体を有する電極と磁力水平台との間にセパレーターを挟み込んだ状態で、積層された電極およびセパレーターを固定する挿入・固定工程。
工程1では、例えば磁石、好ましくは電磁石を内蔵したワークにより、前記合金材料からなる集電体を有する電極を磁力によって、ワーク表面に吸着させる。なお、前記合金材料からなる集電体を有さない電極など磁石で吸着できない電極は、例えば真空チャックを内蔵したワークを用い、真空(負圧)によってワーク表面に吸着させることができる。
工程2では、例えば真空チャックを内蔵したワークを用い、真空(負圧)によってワーク表面にセパレーターを吸着させる。
工程3では、磁力水平台、すなわち、磁石を備える水平な台を用いる。磁力水平台は、好ましくは電磁石を備える。工程1のワークの磁力または真空による電極の吸着を保持したまま、その電極を第1の外装体の内側の、所定の位置にワークをもって移動し、ワークに備わる電磁石の作動を停止するかその磁力を弱めることによって配置する。この吸着解除と同時に、磁力水平台の磁力によって、前記合金材料からなる集電体を有する電極を、第1の外装体の内側の、所定の位置に固定する。また、工程2のワークの真空によるセパレーターの吸着を保持したまま、そのセパレーターを第1の外装体の内側に配置した電極上の、所定の位置にワークをもって移動し、ワークに備わる真空を解除することによって配置する。なお、磁石で吸着できない電極については、セパレーターと同様に、例えば真空チャックの真空を解除することによってその吸着を解除し、第1の外装体の内側の所定の位置に配置することができる。
例えば、正極、負極、セパレーターが1つずつの場合、工程2を先に行い、工程1を後に行うことによって、磁力水平台と前記合金材料からなる集電体を有する電極との間にセパレーターを挟み込むことができる。このとき、第1の外装体の内側にセパレーターより先に配置するもう一方の電極は、磁石で吸引できてもよいし、吸引できなくてもよい。このような配置により、磁力水平台の磁力によって、積層された電極およびセパレーターを固定することができる。
また、積層工程において、工程1〜3を複数回繰り返すことによって、複数の正極、複数の負極および複数のセパレーターを含む電極積層体を好適に形成することができる。全ての電極が前記合金からなる集電体を有する場合、磁力水平台の磁力によって全ての電極を吸引することができ、前記合金材料からなる集電体を有する電極と磁力水平台との間に全てのセパレーターを挟み込んだ状態にすることができる。
正極集電体および負極集電体の一方が磁力で吸引でき他方が磁力で吸引できない場合、磁力水平台から最も遠いセパレーターより更に磁力水平台から遠い位置に、前記合金からなる集電体を有する電極を配置することが好ましい。前記合金材料からなる集電体を有する電極と磁力水平台との間に全てのセパレーターを挟み込んだ状態にすることができるからである。
なお、磁性固定部材と、磁力水平台に備わる磁石とを、兼用することもできる。この場合、水平台に磁石を着脱可能に設け、電極積層体が完成した後にこの磁石を水平台から外し、磁性固定部材として利用することができる。
以下、さらに詳しく本発明を説明する。
[1]構造の説明
(1)積層型非水電解液二次電池の構成
図2Aには、本発明の一実施形態にかかる積層型非水電解液二次電池8の外観模式図を、図2Bには、積層型非水電解液二次電池8の構成模式図を示す。また、図3Aには、積層型非水電解液二次電池8に収納された、磁性固定部材9に挟み込まれた磁性電極積層体10の上面図を、図3Bには、図3Aに示す、磁性固定部材9に挟み込まれた磁性電極積層体10のa−a’間の断面図を示す。
図2に示す通り、非水電解液二次電池8は、次のようにして作成することができる。すなわち、磁性固定部材9に挟み込まれた磁性電極積層体10を、磁性固定部材および磁性電極積層体を包み込むように配置された、樹脂層を有するフィルム外装体11aおよび11bに収納する。そして、図示しない電解液をフィルム外装体内に注入した後、磁性電極積層体10の周囲のフィルム外装体11aおよび11b同士を熱溶着して封止することにより、非水電解液二次電池が作製される。樹脂層を有するフィルム外装体11には例えば、耐防食性の高いアルミラミネートフィルムが用いられる。
図3に示す通り、磁性電極積層体10は、磁性正極集電体12bの両面に正極活物質12aを設けた磁性正極12と、磁性負極集電体13bの両面に負極活物質13aを設けた磁性負極13とが、セパレーター14を介して積層される。
磁性集電体には例えば、鉄を主成分とし、クロム含有率が13%以上のマルテンサイト系やクロム含有率が17質量%以上のフェライト系、クロム含有率が25質量%以上、ニッケル含有率が6質量%以上、モリブデン含有率が3質量%以上のオーステナイト・フェライト二相系の強磁性材料が用いられる。
さらに、磁性電極積層体10は、正極端子15および負極端子16が備えられ、これらの電極端子はフィルム外装体11に挟まれて外部へと引き出される。正極端子15および負極端子16のそれぞれの両面は、例えば正極端子15および負極端子16とフィルム外装体11との熱接着性を向上させるために、樹脂に被覆されていてもよい。このような樹脂には、電極端子に用いる金属と密着性の高い材料が用いられる。
磁性電極積層体10は、磁性固定部材9に挟み込まれることで、磁性電極との磁力密着性により強固に結合している。従って、磁性固定部材9には例えば、高い表面磁束密度をもつ板状磁石やネオジム磁石が用いられる。さらに、磁性固定部材9は、磁性正極12の面積の20%以上の面積を有し、多角形、円形等の自由な形状をとることができる。磁性固定部材によって、磁性電極積層体10を片面もしくは両面から、磁性正極集電体12bおよび磁性負極集電体13bとの磁性結合力により強固に固定することができる。
(2)構成材料の説明
[フィルム外装体]
フィルム外装体11aおよび11bには、基材となる金属層の表裏面に樹脂層が設けられたフィルムを用いることができる。金属層には、電解液の漏出や外部からの水分の侵入を防止する等のバリア性を有するものを選択することができ、アルミニウム、ステンレス鋼などを用いることができる。金属層の少なくとも一方の面には、変性ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂層が設けられる。さらにフィルム外装体11aおよび11bの熱融着性樹脂層同士を対向させ、電極積層体を収納する部分の周囲を熱融着することで外装容器(電極積層体を包むフィルム外装体)が形成される。熱融着性の樹脂層が形成された面と反対側の面となる外装体表面にはナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどの樹脂層を設けることができる。
[非水電解液]
非水電解液としては、非水電解液二次電池、特にはリチウムイオン二次電池の分野で公知のものを適宜用いることができる。非水電解液は、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ビニレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト等の環状カーボネイト類や、エチルメチルカーボネイト(EMC)、ジエチルカーボネイト(DEC)、ジメチルカーボネイト(DMC)、ジプロピルカーボネイト(DPC)等の鎖状カーボネイト類や、脂肪族カルボン酸エステル類や、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類や、鎖状エーテル類、環状エーテル類、フッ素化合物、リン酸化合物等の有機溶媒のうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができ、これらの有機溶媒にリチウム塩や機能性添加剤等を溶解させることができる。
[正極、負極]
正極および負極の活物質としては、非水電解液二次電池、特にはリチウムイオン二次電池の分野で公知のものを適宜用いることができる。
磁性正極12の正極活物質12aとしては、例えばLiCoO、LiNiO、LiNi(1−x)CoO、LiNi(CoAl)(1−x)、LiMO−LiMO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状酸化物系材料や、LiMn、LiMn1.5Ni0.5、LiMn(2−x)MxO等のスピネル系材料、LiMPO等のオリビン系材料、LiMPOF、LiMSiOF等のフッ化オリビン系材料、V等の酸化バナジウム系材料等が挙げられ、これらのうちの1種、または2種以上の混合物を使用することができる。ここでMは金属元素を表す。
負極活物質13aとしては黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素材料や、リチウム金属材料、シリコンやスズなどの合金系材料、SiO、NbやTiO等の酸化物系材料、あるいはこれらの複合物を用いることができる。
正極活物質12aおよび負極活物質13aには結着剤や導電助剤等を適宜加えることができ、導電助剤としては、カーボンブラック、炭素繊維または黒鉛等のうちの1種、または2種以上の組み合せを用いることができる。また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、変性アクリロニトリルゴム粒子、ポリイミド、ポリアミド等を用いることができる。
[集電体]
正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、チタン、ガドリニウムまたはこれらの合金等を用いることができ、特に磁性をもつステンレス鋼が好ましい。磁性正極集電体12bには、これらの中から強磁性を有する材料を選んで使用することができる。負極集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、チタン、ガドリニウムまたはこれらの合金を用いることができ、特に磁性をもつステンレス鋼が好ましい。磁性負極集電体13bには、これらの中から強磁性を有する材料を選んで使用することができる。ステンレス鋼としては、磁性をもつマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト二相系を用いることができ、例えばマルテンサイト系では、JIS400番台、クロム含有率13%のSUS420J2、フェライト系では、同じくJIS400番台、クロム含有率17%のSUS430、オーステナイト・フェライト二相系では、JIS300番台、クロム含有率25%、ニッケル含有率6%、モリブデン含有率3%のSUS329J4L、あるいはこれらの複合合金を用いることができる。また強磁性を有するSUS444も集電体として好ましい。
[セパレーター]
セパレーター14は、不織布、ポリオレフィン微多孔膜等、一般的に非水電解液二次電池、特にはリチウムイオン二次電池で使用されるものであれば特に限定されるものではない。その材料は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、またはナイロン樹脂等を用いることができる。特にポリオレフィン系の微多孔膜は、イオン透過性と、正極と負極とを物理的に隔離する性能に優れているため好ましい。また、必要に応じて、セパレーター14には無機物粒子を含む層を形成してもよく、無機物粒子としては、絶縁性の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等を挙げることができ、なかでもTiOやAlを含むことが好ましい。さらに、アラミド、ポリイミドといった高融点難燃樹脂を用いることもできる。電解液の含浸性を高めるという点では、電解液とセパレーター14の接触角が小さくなるような材料を選択することが好ましく、イオン透過性がよく、適正な突き刺し強度を保つため、膜厚が5〜25μm、さらに好ましくは7〜16μmがよい。
[固定部材]
磁性固定部材9は磁石からなる。磁石として、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルトを主成分とするアルニコ磁石、鉄、酸化鉄を主成分とするフェライト磁石、希土類を主成分とした希土類磁石、ゴム・プラスチック等と、フェライト磁石粉末や希土類磁石粉末の混合品である柔軟磁石等を用いることができる。または超伝導磁石や電磁石なども用いることができる。
磁性固定部材の表面磁束密度は0.1mT以上1000mT以下が好ましく、20mT以上1000mT以下がより好ましく、さらに好ましくは40mT以上500mT以下、特に好ましくは40mT以上300mT以下である。表面磁束密度が0.1mT以上であると、優れた積層体保持力が得られ、衝撃が外部から加わった際に電極のずれが生じて短絡を起こす危険性を回避することが容易である。表面磁束密度が1000mT以下であると、電池外部の電子機器の故障を誘発する恐れを回避することが容易である。
磁性固定部材9の形状は特に限定されないが、多角形、円形など磁性電極積層体10との高い密着力が得られる平面形状が好ましい。さらにその厚みは0.1mm以上100mm以下が好ましく、より好ましくは1mm以上5mm以内、さらに好ましくは1mm以上3mm以内がよい。磁性固定部材9が0.1mm以上であると、電極積層体を保持することができる磁力を得ることが容易であり、100mm以下であると電池重量の増加を抑え、エネルギー密度が低下することを抑制することが容易である。
磁性固定部材9の大きさは、正極面積の1%以上200%以下とすることができるが、好ましくは20%以上200%以下、より好ましくは40%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下である。磁性固定部材9の面積が正極面積の1%以上であると、電極積層体を保持することができる磁力を得ることが容易であり、磁性固定部材9の面積が正極面積の200%以下であると、電池重量の増加を抑え、エネルギー密度が低下することを抑制することが容易である。
磁性固定部材9は、磁性電極積層体10の片面もしくは両面から、磁性正極集電体12bおよび磁性負極集電体13bとの磁性結合力によって、磁性電極積層体を強固に固定する。磁性固定部材は、フィルム外装体11aおよび11bの内側または外側に配置することができる。この結合力により、粘着テープ等の電池特性に悪影響を及ぼし得る材料を用いることなく、半永久的に正極、負極およびセパレーターを、強固に密接した状態に保つことができる。したがって、セパレーターと正極もしくは負極との間の隙間に、充放電サイクルを繰り返すことによって生じた、非水電解液の分解に由来する生成ガスが蓄積されることがなく、セパレーターと正極、負極の極板間の隙間が増し、電池抵抗が上昇することがない積層型非水電解質二次電池を提供することができる。
また磁性固定部材9は、磁性正極12と、磁性負極13とがセパレーター14を介して積層される際の電極搬送台としても用いることができる。通常、電極やセパレーターを搬送する際は真空吸着により行うが、この方法では吸着する際に吸着力が十分ではないことがあり、電極やセパレーターの折れ曲がりに起因する絶縁抵抗不良を引き起こすことがある。真空吸着の代わりに磁性固定部材9を用いることで、磁力により密に電極とセパレーターとが密着しているため、上記の不良が起こらない。
[2]製法の説明
次に、この発明の一実施形態による積層型非水電解液二次電池8の製造方法について説明する。
まず、二次電池用電極として、図3Bに示すように磁性正極集電体12bの両面(または片面)に正極活物質12aが塗布された磁性正極12と、磁性負極集電体13bの両面(または片面)に負極活物質13aが塗布された磁性負極13とを製造する。具体的には、磁性正極集電体12bに所定の量の正極活物質12aを塗布する。その後に、磁性正極集電体12b上の正極活物質12aを適切な圧力で押圧する。同様の方法で、磁性負極集電体13bに負極活物質13aを塗布してから、負極活物質層13aを押圧する。こうして製造した磁性正極12と磁性負極13を、セパレーター14を介して交互に積層して磁性電極積層体10を形成する。積層する磁性正極12および磁性負極13の層数は、二次電池の用途等に応じて決められる。
次に、図2Bに示すように、磁性固定部材9を磁性電極積層体10の両面から(または片面から)、磁性正極集電体12bおよび磁性負極集電体13bとの磁性結合力により、磁性電極積層体に固定する。さらに、磁性固定部材9と磁性電極積層体10の外側(または磁性電極積層体10の外側かつ磁性固定部材9の内側)においてフィルム外装体11a、11bを互いに重ね合わせる。そして、図示しない注液口とする部分を除いて、重なり合うフィルム外装体11a,11bの外周部を溶着等により互いに接合する。1対の正極端子15および負極端子16を磁性正極12および磁性負極13にそれぞれ接続させ、フィルム外装体11の外側に延出する。従って、正極端子15および負極端子16が通過する部分は、フィルム外装体11a,11b同士は直接溶着されないが、正極端子15および負極端子16の周囲でフィルム外装体11a,11b同士が強固に接合されることにより、実質的に隙間なく封止される。それから、注液口を除いて封止されたフィルム外装体11の内部に磁性固定部材9と磁性電極積層体10(または磁性電極積層体のみ)を収容した状態で、注液口からフィルム外装体11aおよび11bの内部に図示しない電解液を注入する。磁性固定部材9、磁性電極積層体10および電解液(または、磁性電極積層体および電解液)を収容したフィルム外装体11aおよび11bの注液口を封止するように、フィルム外装体11a,11bの外周部同士の未接合部分を溶着等により互いに接合する。それによって、フィルム外装体11は全周に亘って封止される。
[3]他の実施形態
図2に示した形態では、磁性固定部材9および磁性電極積層体10がフィルム外装体11aおよび11bの内側に配置される。しかし、磁性固定部材をフィルム外装体の外側に配置することもできる。そのための構成を、図4に示す。
また、フィルム外装体11aおよび11bが、磁性固定部材9を兼ねることもできる。この場合、前述の磁性固定部材9と同様の構成材料を含む磁性フィルム外装体17aおよび17bを用いることができる。前述と同様、フィルム外装体17aおよび17bが互いに接合されて、磁性電極積層体10を包むフィルム外装体17が形成される。そのための構成を、図5に示す。
磁性固定部材9を磁性電極積層体10の全周に渡って配置することもできる。そのための構成を、図6に示す。この形態でも、磁性固定部材が電極積層体の両面に配置されている。
さらに、磁性固定部材9は、様々な大きさ、形状を有することができる。そのための構成を、図7(A)〜(F)にそれぞれ示す。例えば図7(A)は、円形(円盤状)の磁性固定部材9が1個、磁性電極積層体10の1つの面に配されていることを示す。磁性電極積層体10の他方の面にも同様に磁性固定部材9を配置することもでき、他方の面では別の配置を採用することもでき、あるいは他方の面には磁性固定部材を配置しなくてもよい。図7(E)は、円形(円盤状)の磁性固定部材9が9個、磁性電極積層体10の1つの面に配されていることを示す。なお、1つの面に磁性固定部材が複数個配置される場合、本明細書において「固定部材の面積」は複数個の固定部材の面積の合計を意味する。
図3に示した形態の磁性正極集電体12bは、磁性を有しない正極集電体に変更してもよい。
本発明の一形態に係る積層型非水電解液二次電池は、正極と負極とがセパレーターを介して順に積層された電極積層体を備え、正極または負極集電体には強磁性を有する金属箔が使用される。また、電極積層体の表面の一部または全部に、磁石からなる固定部材が設けられる。このとき固定部材は、電極積層体を包み込むように配置された、樹脂層を有する外装体の内側または外側に設けられる。磁石からなる固定部材と強磁性を有する金属箔との間に働く磁力によって、電極積層体の積層状態が保持される。
このような積層型非水電解液二次電池では、正極、負極およびセパレーターを、磁石からなる固定部材により、強磁性を有する金属箔との磁力をもって、強固に密接した状態で固定することが可能である。
本発明によれば、正極、負極およびセパレーターが、磁石からなる固定部材により強固に密接した状態で固定されることにより、従来技術のように、電極積層体を粘着テープで固定する必要がない。そのため、粘着テープの必須構成材料である粘着層が、電池内部の非水電解液に浸食されることがなく、非水電解液二次電池に必須の構成材料以外の化学物質が非水電解液性能阻害をすることがない積層型非水電解液二次電池を提供することができる。
また、磁石からなる固定部材により、半永久的に正極、負極およびセパレーターが強固に密接した状態を保つことができ、充放電サイクルを繰り返すことによって生じた、非水電解液の分解に由来する生成ガスが蓄積されることを防止できる。そのため、セパレーターと正極、負極の極板間の隙間が増すことがなく、電池抵抗が上昇することがない積層型非水電解液二次電池を提供することができる。
さらなる効果として、磁石からなる固定部材により、半永久的に正極、負極およびセパレーターが強固に密接した状態を保つことができるため、衝撃が外部から加わった際に電極のずれが生じて短絡を起こすことがない積層型非水電解液二次電池を提供することも可能である。
また、正極、負極およびセパレーターが、磁石からなる固定部材により強固に密接した状態で固定さることにより、セパレーターと正極もしくは負極との間に隙間が存在することを防止することも可能である。そのため、電池作製の際に、金属粉などの異物が混入し、充放電の際にデンドライトを生じて短絡を起こすことがない積層型非水電解液二次電池を提供することも可能である。
次に、具体的な実施例、比較例を用いて、本発明について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
[正極の作製]
過リチウム化マンガン酸リチウム(Li1.2Ni0.2Mn0.6)93質量%と、粉状ポリフッ化ビニリデン4質量%と、粉状黒鉛3質量%とを均一に混合して正極合剤を調製し、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーとした。この正極合剤スラリーを、正極集電体となるアルミニウム(Al)箔の片面に均一に塗布し、約120℃で乾燥した後、打ち抜き金型、プレス機で形成、加圧することにより正極を形成した。
[負極の作製]
炭素被覆酸化ケイ素(SiOC)85質量%と、ポリイミドバインダー15質量%とを均一に混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤スラリーとした。次に、この負極合剤スラリーを磁性負極集電体となるステンレス鋼(SUS444)箔の片面に均一に塗布し、約90℃で乾燥し、さらに350℃で窒素置換乾燥した後、打ち抜き金型で形成することにより負極を形成した。なお、負極は正極の外寸より2mm大きくなるようにした(縦、横それぞれの外寸において)。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とフッ素化合物等とを2:8の質量比で混合し、0.8mol/LのLiPFを溶解して電解液を作製した(EC/TTFP(トリス−(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェイト)/FE1(1,1,2,2−テトラフルオロエチル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル)=2/3/5)。
[積層型非水電解液二次電池の作製]
厚さ20μmのセルロースセパレーターを挟んで、正極端子を接続した正極と、負極端子を接続した負極とを、正極および負極の活物質面同士が対向するように積層し、電極積層体を作製した。積層時には正極端部と負極端部とのクリアランスが各辺において1mmとなるように積層した。積層した電極積層体をアルミラミネート(外装体)で挟み込み、注液口を除いた外装体外周を熱溶着し、注液口から作製した電解液を注入し、その後注液口を熱溶着によって封口した。最後に、正極面積の20%に裁断した表面磁束密度49mTのゴム磁石(厚み1mm、正方形)を2枚用い、両面からゴム磁石で電極積層体の中心とゴム磁石の中心が重なるように外装体で包まれた電極積層体を挟み込んで積層型非水電解液二次電池を作製した。なお、電極集電体およびセパレーターのいずれも、正方形とした。
<実施例2>
ゴム磁石の面積を正極面積の40%に変更した以外は実施例1と同様にして、積層型非水電解液二次電池を作製した。
<実施例3>
ゴム磁石の面積を正極面積の60%に変更した以外は実施例1と同様にして、積層型非水電解液二次電池を作製した。
<実施例4>
ゴム磁石の面積を正極面積の80%に変更した以外は実施例1と同様にして、積層型非水電解液二次電池を作製した。
<実施例5>
ゴム磁石の面積を正極面積の100%に変更した以外は実施例1と同様にして、積層型非水電解液二次電池を作製した。
<比較例1>
ゴム磁石を用いず、電極積層体作製時に、厚み55μm、幅10mm、長さ15mmのポリプロピレン(PP)を基材とした粘着テープによって、電極積層体の3辺を固定した。積層した電極積層体をアルミラミネートで挟み込み、注液口を除いた外周を熱溶着し、注液口から作製した電解液を注入し、その後注液口を熱溶着によって封口した。これ以外は実施例1と同様にして積層型非水電解液二次電池を作製した。
<サイクル特性評価>
実施例1〜5で作製した積層型非水電解液二次電池と比較例1で作製した積層型非水電解液二次電池について、サイクル特性評価を行った。この評価試験では、各電池を45℃環境下で、0.2C(相対的な電流量を示す単位:0.2Cとは公称容量値の容量を有する電池を定電流放電して、ちょうど5時間で放電終了となる電流値のこと)電流値にて4.5Vまで定電流充電、0.2Cの電流値にて1.5Vまで定電流放電を繰り返した。結果を図8に示す。
この結果から、実施例1〜5において、粘着テープのみの比較例1よりも良好なサイクル特性が得られたことが判明した。また、ゴム磁石の面積が正極面積の60%以上100%以下において特にサイクル特性が良好であった。
本発明はリチウムイオン二次電池の分野で有用であるが、リチウムイオン電池以外の二次電池に適用しても有効である。
1 正極
1a 正極活物質
1b 正極集電体
2 負極
2a 負極活物質
2b 負極集電体
3 セパレーター
4 電極積層体
5 粘着テープ
6 正極端子
7 負極端子
8 積層型非水電解液二次電池
9 磁性固定部材
10 磁性電極積層体
11a、11b フィルム外装体
12 磁性正極
12a 正極活物質
12b 磁性正極集電体
13 磁性負極
13a 負極活物質
13b 磁性負極集電体
14 セパレーター
15 正極端子
16 負極端子
17、17a、17b 磁性フィルム外装体

Claims (10)

  1. 正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池であって、
    電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有するか、または、
    電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され、且つ、電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体が強磁性を有する
    ことを特徴とする積層型非水電解液二次電池。
  2. 正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、集電体に占める鉄含有率が50質量%以上であり、かつ強磁性を有する合金材料からなることを特徴とする
    請求項1記載の積層型非水電解液二次電池。
  3. 正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト二相系の内の一種類以上を含むステンレス鋼からなる箔であることを特徴とする
    請求項1記載の積層型非水電解液二次電池。
  4. 前記箔が、JIS400番台であり、かつクロム含有率が13質量%以上20質量%以下のマルテンサイト系ステンレス鋼を含むことを特徴とする
    請求項3記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記箔が、JIS400番台であり、かつクロム含有率が17質量%以上35質量%以下のフェライト系ステンレス鋼を含むことを特徴とする
    請求項3記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記箔が、JIS300番台であり、かつクロム含有率が25質量%以上30質量%以下のオーステナイト・フェライト二相系ステンレス鋼を含むことを特徴とする
    請求項3記載の非水電解液二次電池。
  7. 固定部材が0.1mT以上1000mT以下の表面磁束密度を有することを特徴とする
    請求項1から6の何れか一項記載の非水電解液二次電池。
  8. 固定部材が正極面積の20%以上200%以下の面積を有することを特徴とする
    請求項1から7の何れか一項記載の非水電解液二次電池。
  9. 正極と負極とがセパレーターを介して積層された電極積層体を含む積層型非水電解液二次電池の製造方法であって、
    前記積層型非水電解液二次電池は、
    電極積層体の両面に配置された磁石からなる固定部材によって電極積層体が挟まれた構造を有するか、または、電極積層体の片面に磁石からなる固定部材が配され且つ電極積層体に含まれる集電体のうちの少なくとも固定部材から最も遠い集電体が強磁性を有し、
    正極集電体または負極集電体あるいはこれらの両者が、集電体に占める鉄含有率が50質量%以上であり、かつ強磁性を有する合金材料からなり、
    樹脂層を有する外装体に前記電極積層体が包まれ、外装体の内側または外側に前記固定部材が配され、
    前記製造方法が、
    電極積層体を包む前記外装体の一部を構成する、樹脂層を有する第1の外装体に、正極、負極およびセパレーターを挿入して積層し、電極積層体を形成する積層工程と、
    前記電極積層体を包む外装体の別の一部を構成する、樹脂層を有する第2の外装体を用い、電極積層体を前記固定部材により固定した後に第1および第2の外装体で電極積層体を包むか、または、第1および第2の外装体で電極積層体を包んだ後に前記固定部材により電極積層体を固定する外装固定工程と
    を含み、
    前記積層工程が、
    1)前記合金材料からなる集電体を有する電極を、磁力により吸着する電極吸着工程と、
    2)セパレーターを真空により吸着するセパレーター吸着工程と、
    3)前記合金材料からなる集電体を有する電極とセパレーターとを、磁石を備える水平な台である磁力水平台上に設置された第1の外装体に挿入し、前記合金材料からなる集電体を有する電極およびセパレーターのそれぞれの吸着を解除するとともに、前記磁力水平台の磁力によって、前記合金材料からなる集電体を有する電極と磁力水平台との間にセパレーターを挟み込んだ状態で、積層された電極およびセパレーターを固定する挿入・固定工程と
    を含む、積層型非水電解質電池の製造方法。
  10. 電極積層体が複数の正極、複数の負極および複数のセパレーターを含み、
    前記積層工程において、前記工程1〜3を複数回繰り返す
    請求項9記載の積層型非水電解液二次電池の製造方法。
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