JP2016217509A - チェーン及びリンクプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性を維持しつつ、引っ張り強度を向上することができるチェーン及びリンクプレートを提供する。
【解決手段】チェーン11は、直列に配置されて直列方向Xの一端部と他端部にピン19が挿通可能な挿入孔20,16を有するとともにオーステナイト組織を含むステンレス鋼によって構成された複数のリンクプレート14,12を、直列方向Xで隣り合う他のリンクプレート14,12と端部同士の挿入孔20,16においてそれぞれピン19によって回動自在に連結されている。リンクプレート14,12の両面における挿入孔20,16の中心よりも直列方向Xの外側の領域には、圧縮加工を行うことによってマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部30,31が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】チェーン11は、直列に配置されて直列方向Xの一端部と他端部にピン19が挿通可能な挿入孔20,16を有するとともにオーステナイト組織を含むステンレス鋼によって構成された複数のリンクプレート14,12を、直列方向Xで隣り合う他のリンクプレート14,12と端部同士の挿入孔20,16においてそれぞれピン19によって回動自在に連結されている。リンクプレート14,12の両面における挿入孔20,16の中心よりも直列方向Xの外側の領域には、圧縮加工を行うことによってマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部30,31が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば動力の伝達等に使用されるステンレス製のチェーン及び当該チェーンに備えられるリンクプレートに関する。
一般に、ステンレス製のチェーンに用いられる材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、及び析出硬化系ステンレス鋼などが挙げられる。そして、従来、ステンレス製のチェーンとしては、ブシュの両端に一対の内側リンクプレートを固着し、当該ブシュの孔を貫通するピンの両端に一対の外側リンクプレートを固着したものが知られている(例えば、特許文献1)。
このチェーンでは、少なくとも外リンクプレートがSUS630などの析出硬化系ステンレス鋼によって構成されている。析出硬化系ステンレス鋼は、熱処理によって高強度を確保できるが、耐食性に劣るという問題がある。また、SUS403などのマルテンサイト系ステンレス鋼においても、熱処理によって高強度を確保できるが、上述の析出硬化系ステンレス鋼と同様に耐食性に劣るという問題がある。
このため、一般的なステンレス製のチェーンとしては、析出硬化系ステンレス鋼及びマルテンサイト系ステンレス鋼に比べて強度は劣るものの、耐食性に優れたSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼をそのリンクプレートの材料として採用したものが数多く出回っている。
ところで、チェーンは、通常、その使用時に、直列に配置された隣り合うリンクプレート同士がピンを介してそれらの直列方向で引っ張り合うため、各リンクプレートにおけるピンよりも直列方向の外側の領域に特に大きな負荷がかかる。このため、上述のようなオーステナイト系ステンレス鋼製のリンクプレートを採用したチェーンでは、各リンクプレートにおけるピンよりも直列方向の外側の領域の引っ張り強度が不足するおそれがあるため、こうした引っ張り強度を向上させることが望まれている。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、耐食性を維持しつつ、引っ張り強度を向上することができるチェーン及びリンクプレートを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するチェーンは、直列に配置されて直列方向の一端部と他端部にピンが挿通可能な連結孔を有するとともにオーステナイト組織を含むステンレス鋼によって構成された複数のリンクプレートを、前記直列方向で隣り合う他のリンクプレートと端部同士の前記連結孔においてそれぞれ前記ピンによって回動自在に連結したチェーンであって、前記各リンクプレートの両面のうちの少なくとも一方の面における少なくとも前記連結孔の中心よりも前記直列方向の外側の領域には、圧縮加工を行うことによってマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部が形成されている。
上記課題を解決するチェーンは、直列に配置されて直列方向の一端部と他端部にピンが挿通可能な連結孔を有するとともにオーステナイト組織を含むステンレス鋼によって構成された複数のリンクプレートを、前記直列方向で隣り合う他のリンクプレートと端部同士の前記連結孔においてそれぞれ前記ピンによって回動自在に連結したチェーンであって、前記各リンクプレートの両面のうちの少なくとも一方の面における少なくとも前記連結孔の中心よりも前記直列方向の外側の領域には、圧縮加工を行うことによってマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部が形成されている。
この構成によれば、リンクプレートの圧縮加工部では、オーステナイト組織にマルテンサイト変態が生じているため、転位が増加したり組織が微細化したりすることで、硬化している。このため、リンクプレートにおける圧縮加工部の塑性変形に対する抵抗力が高められる。したがって、耐食性を維持しつつ、リンクプレートの引っ張り強度を向上することができ、ひいてはチェーンの引っ張り強度を向上することができる。
上記チェーンにおいて、前記圧縮加工部は、少なくとも一部が前記直列方向と交差する方向に延びていることが好ましい。
この構成によれば、チェーンの使用によりリンクプレートに直列方向に沿う引っ張り力が作用した場合に、リンクプレートが塑性変形することを圧縮加工部によって効果的に抑制することができる。
この構成によれば、チェーンの使用によりリンクプレートに直列方向に沿う引っ張り力が作用した場合に、リンクプレートが塑性変形することを圧縮加工部によって効果的に抑制することができる。
上記チェーンにおいて、前記リンクプレートには、前記圧縮加工部が前記連結孔と接触しないように形成されていることが好ましい。
この構成によれば、リンクプレートとピンとの接合部の隙間腐蝕が促進されることを抑制できる。
この構成によれば、リンクプレートとピンとの接合部の隙間腐蝕が促進されることを抑制できる。
上記チェーンにおいて、前記リンクプレートは、前記圧縮加工部が両面に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、リンクプレートの塑性変形に対する抵抗力をより一層高めることができる。
この構成によれば、リンクプレートの塑性変形に対する抵抗力をより一層高めることができる。
上記チェーンにおいて、前記圧縮加工部の形状は、前記リンクプレートの一方の面と他方の面とで同じであることが好ましい。
この構成によれば、チェーンを組み立てる際にリンクプレートの向きを考慮する必要がなくなるので、チェーンの組み立て効率を高めることができる。
この構成によれば、チェーンを組み立てる際にリンクプレートの向きを考慮する必要がなくなるので、チェーンの組み立て効率を高めることができる。
上記課題を解決するリンクプレートは、上記構成のチェーンに備えられている。
この構成によれば、リンクプレートの圧縮加工部では、オーステナイト組織にマルテンサイト変態が生じているため、転位が増加したり組織が微細化したりすることで、硬化している。このため、リンクプレートにおける圧縮加工部の塑性変形に対する抵抗力が高められる。したがって、耐食性を維持しつつ、リンクプレートの引っ張り強度を向上することができ、ひいてはチェーンの引っ張り強度を向上することができる。
この構成によれば、リンクプレートの圧縮加工部では、オーステナイト組織にマルテンサイト変態が生じているため、転位が増加したり組織が微細化したりすることで、硬化している。このため、リンクプレートにおける圧縮加工部の塑性変形に対する抵抗力が高められる。したがって、耐食性を維持しつつ、リンクプレートの引っ張り強度を向上することができ、ひいてはチェーンの引っ張り強度を向上することができる。
本発明によれば、耐食性を維持しつつ、引っ張り強度を向上することができる。
以下、チェーンの一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のチェーン11は、オーステナイト系のステンレス鋼の一種であるSUS304によって構成され、その幅方向Yにおいて対向する2つの内リンクプレート12を含んで構成される内リンク13と、同じく対向する2つの外リンクプレート14を含んで構成される外リンク15とを備えている。本実施形態では、内リンクプレート12及び外リンクプレート14によってリンクプレートが構成されている。
図1及び図2に示すように、本実施形態のチェーン11は、オーステナイト系のステンレス鋼の一種であるSUS304によって構成され、その幅方向Yにおいて対向する2つの内リンクプレート12を含んで構成される内リンク13と、同じく対向する2つの外リンクプレート14を含んで構成される外リンク15とを備えている。本実施形態では、内リンクプレート12及び外リンクプレート14によってリンクプレートが構成されている。
内リンク13は対向する2つの内リンクプレート12間の間隔が外リンク15よりも相対的に狭いリンクであり、外リンク15は対向する2つの外リンクプレート14間の間隔が内リンク13よりも相対的に広いリンクである。そして、チェーン11は、これらの内リンク13と外リンク15とが交互に直列に配置され、その直列方向Xで隣り合う互いの端部同士が回動自在に順次に連結されることで、所定長さに形成されている。
なお、本実施形態のチェーン11における各内リンク13の内リンクプレート12及び各外リンク15の外リンクプレート14は、チェーン11がその長手方向の一方側から引っ張られて移動する場合の移動方向ともなる直列方向Xに沿って延びる丸みを帯びた板状をなしている。そして、各内リンクプレート12及び各外リンクプレート14は、互いに平行となるように配置されている。
したがって、この点で本実施形態のチェーン11は、その直列方向Xにおける各内リンク13及び各外リンク15の一端側と他端側で、内リンクプレート12間の間隔及び外リンクプレート間の間隔が等しくなるように構成された所謂フラットタイプのチェーンであると言える。
内リンクプレート12における直列方向Xの一端部と他端部には、それぞれ円形のブシュ挿入孔16が内リンクプレート12の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。内リンク13において対向する2つの内リンクプレート12間には、内リンクプレート12間の距離を保つように、円筒状のブシュ17がそれぞれ組み付けられる。
各ブシュ17は、対向する2つの内リンクプレート12間を橋架するように、両端部が各内リンクプレート12のブシュ挿入孔16に対してそれぞれ挿嵌されている。各ブシュ17は、円筒状のローラー18に挿通されており、各ローラー18を回転可能に支持している。すなわち、各ブシュ17は、各ローラー18に遊嵌されている。
外リンクプレート14における直列方向Xの一端部と他端部には、それぞれブシュ17の内径よりも若干小さい外径を有する円柱状のピン19を挿嵌可能な円形のピン挿入孔20が外リンクプレート14の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。そして、外リンク15の外リンクプレート14は、ブシュ17が2つの内リンクプレート12間に組み付けられて形成された内リンク13における内リンクプレート12の外側から円柱状のピン19を介して内リンク13の内リンクプレート12に回動自在に連結される。
この場合、ピン19は、両端部以外の中間部が内リンク13の2つの内リンクプレート12間に組み付けられたブシュ17に挿通された状態で、両端部が外リンク15の外リンクプレート14のピン挿入孔20に対して挿嵌されている。したがって、直列方向Xで隣り合う内リンク13の2つの内リンクプレート12と外リンク15の2つの外リンクプレート14とが端部同士でピン19及びブシュ17によって回動自在に連結されていると言える。なお、本実施形態では、ブシュ挿入孔16及びピン挿入孔20によってピン19が挿通可能な連結孔が構成されている。
図3及び図4に示すように、オーステナイト系のステンレス鋼の一種であるSUS304製の外リンクプレート14は、直列方向Xの両端部が円形状をなすとともに直列方向Xの中央部が括れるように湾曲した点対称な形状をなしている。外リンクプレート14の両面における2つのピン挿入孔20の中心C1よりも直列方向Xの外側の領域は、チェーン11(図1参照)に直列方向Xに沿う引っ張り力が作用したときに他の領域に比べて高い負荷がかかる高負荷領域R1とされている。
これらの高負荷領域R1には、ピン挿入孔20と同心の半円弧状に窪んだ圧縮加工部30がそれぞれ形成されている。この場合、外リンクプレート14に形成された圧縮加工部30の形状及び位置は、外リンクプレート14の一方の面である表面と他方の面である裏面とで同じになっている。さらにこの場合、外リンクプレート14における圧縮加工部30は、ピン挿入孔20と接触しないように形成され、直列方向Xと交差する方向に連続的に延びている。なお、圧縮加工部30は、断面視で略半円状をなしている。
外リンクプレート14における圧縮加工部30は、冷却によってマルテンサイト変態が生じる限界の温度よりも高い温度であって且つ加工を行うことによってマルテンサイト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じる上限の温度よりも低い温度の範囲下でプレス(図示略)により圧縮加工を行うことによって形成される。
このため、外リンクプレート14における圧縮加工部30ではマルテンサイト変態が生じているので、外リンクプレート14における圧縮加工部30は、転位の増加や組織の微細化により他の部位よりも硬化する。そして、外リンクプレート14における圧縮加工部30は、硬化することで剛性率が上昇するので、他の部位に比べて塑性変形に対する抵抗力が高くなっている。
一方、図5及び図6に示すように、オーステナイト系のステンレス鋼の一種であるSUS304製の内リンクプレート12は、直列方向Xの両端部が円形状をなすとともに直列方向Xの中央部が括れるように湾曲した点対称な形状をなしている。内リンクプレート12の両面における2つのブシュ挿入孔16の中心C2よりも直列方向Xの外側の領域は、チェーン11(図1参照)に直列方向Xに沿う引っ張り力が作用したときに他の領域に比べて高い負荷がかかる高負荷領域R2とされている。
これらの高負荷領域R2には、ブシュ挿入孔16と同心の半円弧状に窪んだ圧縮加工部31がそれぞれ形成されている。この場合、内リンクプレート12に形成された圧縮加工部31の形状及び位置は、内リンクプレート12の一方の面である表面と他方の面である裏面とで同じになっている。さらにこの場合、内リンクプレート12における圧縮加工部31は、ブシュ挿入孔16と接触しないように形成され、直列方向Xと交差する方向に連続的に延びている。なお、圧縮加工部31の表面は、断面視で略半円状をなしている。
内リンクプレート12における圧縮加工部31は、冷却によってマルテンサイト変態が生じる限界の温度よりも高い温度であって且つ加工を行うことによってマルテンサイト変態(加工誘起マルテンサイト変態)が生じる上限の温度よりも低い温度の範囲下でプレス(図示略)により圧縮加工を行うことによって形成される。
このため、内リンクプレート12における圧縮加工部31ではマルテンサイト変態が生じているので、内リンクプレート12における圧縮加工部31は、転位の増加や組織の微細化により他の部位よりも硬化する。そして、内リンクプレート12における圧縮加工部31は、硬化することで剛性率が上昇するので、他の部位に比べて塑性変形に対する抵抗力が高くなっている。
次に、チェーン11の作用について説明する。
チェーン11は、例えば、物品の搬送や動力の伝達に用いられ、例えば、複数のスプロケット(図示略)に巻き回された状態で各スプロケットを回転駆動させることで、各スプロケットの周りを周回移動させるようにして使用される。そして、チェーン11の使用時には、チェーン11に対して直列方向Xに沿う引っ張り力が作用する。このとき、外リンクプレート14及び内リンクプレート12は、それぞれピン19及びブシュ17を介して直列方向Xに沿って引っ張られるため、特に外リンクプレート14の高負荷領域R1及び内リンクプレート12の高負荷領域R2に負荷がかかる。
チェーン11は、例えば、物品の搬送や動力の伝達に用いられ、例えば、複数のスプロケット(図示略)に巻き回された状態で各スプロケットを回転駆動させることで、各スプロケットの周りを周回移動させるようにして使用される。そして、チェーン11の使用時には、チェーン11に対して直列方向Xに沿う引っ張り力が作用する。このとき、外リンクプレート14及び内リンクプレート12は、それぞれピン19及びブシュ17を介して直列方向Xに沿って引っ張られるため、特に外リンクプレート14の高負荷領域R1及び内リンクプレート12の高負荷領域R2に負荷がかかる。
そして、本実施形態のチェーン11では、外リンクプレート14の高負荷領域R1及び内リンクプレート12の高負荷領域R2にそれぞれ圧縮加工部30及び圧縮加工部31が形成されている。このため、チェーン11に作用する引っ張り力によって高負荷領域R1及び高負荷領域R2が塑性変形し難くなる。
このように、耐食性に優れたオーステナイト系のステンレス鋼の一種であるSUS304製の外リンクプレート14及び内リンクプレート12は、負荷がかかり易い高負荷領域R1及び高負荷領域R2にそれぞれ部分的に圧縮加工部30及び圧縮加工部31が形成されているため、耐食性を維持しつつ、引っ張り強度を向上することができる。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)チェーン11において、外リンクプレート14の高負荷領域R1及び内リンクプレート12の高負荷領域R2にそれぞれマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部30及び圧縮加工部31が形成されている。このため、圧縮加工部30,31では、転位の増加や組織の微細化により硬化しているので、塑性変形に対する抵抗力が高められている。したがって、オーステナイト系ステンレス鋼特有の耐食性を維持しつつ、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の引っ張り強度を向上することができ、ひいてはチェーン11の引っ張り強度を向上することができる。また、圧縮加工部30及び圧縮加工部31にマルテンサイトが生成することで、熱弾性係数が小さくなるので、熱の影響を受けた場合に外リンクプレート14及び内リンクプレート12が伸びることを抑制できる。
(1)チェーン11において、外リンクプレート14の高負荷領域R1及び内リンクプレート12の高負荷領域R2にそれぞれマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部30及び圧縮加工部31が形成されている。このため、圧縮加工部30,31では、転位の増加や組織の微細化により硬化しているので、塑性変形に対する抵抗力が高められている。したがって、オーステナイト系ステンレス鋼特有の耐食性を維持しつつ、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の引っ張り強度を向上することができ、ひいてはチェーン11の引っ張り強度を向上することができる。また、圧縮加工部30及び圧縮加工部31にマルテンサイトが生成することで、熱弾性係数が小さくなるので、熱の影響を受けた場合に外リンクプレート14及び内リンクプレート12が伸びることを抑制できる。
(2)チェーン11において、圧縮加工部30,31は、直列方向Xと交差する方向に延びている。このため、チェーン11の使用により外リンクプレート14及び内リンクプレート12に直列方向Xに沿う引っ張り力が作用した場合に、外リンクプレート14及び内リンクプレート12が塑性変形することを圧縮加工部30及び圧縮加工部31によってそれぞれ効果的に抑制することができる。
(3)チェーン11において、外リンクプレート14及び内リンクプレート12には、圧縮加工部30及び圧縮加工部31がそれぞれピン挿入孔20及びブシュ挿入孔16と接触しないように形成されている。このため、外リンクプレート14のピン挿入孔20とピン19との嵌合部(接合部)の隙間腐蝕が促進されること及び内リンクプレート12のブシュ挿入孔16とブシュ17との嵌合部(接合部)の隙間腐蝕が促進されることを抑制できる。加えて、圧縮加工部30及び圧縮加工部31がそれぞれピン挿入孔20及びブシュ挿入孔16と接触しないので、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の単位面積あたりの強度(抗張力)が向上する。このため、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の厚さを薄くすることができるので、チェーン11の小型化や軽量化に寄与できる。
(4)チェーン11において、外リンクプレート14及び内リンクプレート12には、圧縮加工部30及び圧縮加工部31がそれぞれ両面に形成されている。このため、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の塑性変形に対する抵抗力をより一層高めることができる。
(5)チェーン11において、圧縮加工部30及び圧縮加工部31の形状は、それぞれ外リンクプレート14及び内リンクプレート12の一方の面と他方の面とで同じである。このため、チェーン11を組み立てる際に外リンクプレート14及び内リンクプレート12の向きを考慮する必要がなくなるので、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の圧縮加工部30及び圧縮加工部31のそれぞれの形状が一方の面と他方の面とで異なる場合に比べて、チェーン11の組み立て作業の効率を高めることができる。
(変更例)
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
・図7に示すように、リンクプレート14,12の直列方向Xの両端部の高負荷領域R1,R2に、直列方向Xと交差する方向に直線状に延びる圧縮加工部30,31を一対ずつ形成するようにしてもよい。この場合、圧縮加工部30,31は、図8に示すように、断面視で等脚台形状にしてもよい。
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
・図7に示すように、リンクプレート14,12の直列方向Xの両端部の高負荷領域R1,R2に、直列方向Xと交差する方向に直線状に延びる圧縮加工部30,31を一対ずつ形成するようにしてもよい。この場合、圧縮加工部30,31は、図8に示すように、断面視で等脚台形状にしてもよい。
・図9に示すように、リンクプレート14,12の直列方向Xの両端部の高負荷領域R1,R2に、挿入孔20,16の中心C1,C2と同心の半円弧状をなす圧縮加工部30,31を2つずつ直列方向Xに並ぶように形成するようにしてもよい。
・図10に示すように、リンクプレート14,12の直列方向Xの両端部に、挿入孔20,16の中心C1,C2と同心の円弧状をなす圧縮加工部30,31を、挿入孔20,16を囲むように1つずつ形成するようにしてもよい。
・図11に示すように、リンクプレート14,12の直列方向Xの一方側の高負荷領域R1,R2に、挿入孔20,16の中心C1,C2と同心の半円弧状をなす圧縮加工部30,31を1つ形成し、他方側の高負荷領域R1,R2に、直列方向Xと交差する方向に直線状に延びる圧縮加工部30,31を一対形成するようにしてもよい。
・上記実施形態及び図9〜図11のリンクプレート14,12の圧縮加工部30,31は、図8に示すように、断面視で等脚台形状にしてもよい。
・図7、図9〜図11のリンクプレート14,12には、圧縮加工部30,31を片面のみに形成するようにしてもよいし、両面に形成するようにしてもよい。また、リンクプレート14,12の片面のみに圧縮加工部30,31を形成する場合には、外リンクプレート14の内側の面及び内リンクプレート12の外側の面に圧縮加工部30及び圧縮加工部31をそれぞれ形成することが好ましい。なぜなら、図12に示すように、チェーン11に対して直列方向Xに沿う引っ張り力が過度に作用した場合には、外リンクプレート14が内側に膨らむように湾曲し、内リンクプレート12が外側に膨らむように湾曲するからである。すなわち、外リンクプレート14の内側の面及び内リンクプレート12の外側の面に大きな引っ張り力が作用するからである。
・図7、図9〜図11のリンクプレート14,12には、圧縮加工部30,31を片面のみに形成するようにしてもよいし、両面に形成するようにしてもよい。また、リンクプレート14,12の片面のみに圧縮加工部30,31を形成する場合には、外リンクプレート14の内側の面及び内リンクプレート12の外側の面に圧縮加工部30及び圧縮加工部31をそれぞれ形成することが好ましい。なぜなら、図12に示すように、チェーン11に対して直列方向Xに沿う引っ張り力が過度に作用した場合には、外リンクプレート14が内側に膨らむように湾曲し、内リンクプレート12が外側に膨らむように湾曲するからである。すなわち、外リンクプレート14の内側の面及び内リンクプレート12の外側の面に大きな引っ張り力が作用するからである。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31の形状は、リンクプレート14,12の一方側の面と他方側の面とで異なるようにしてもよい。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31は、リンクプレート14,12の片面のみに形成するようにしてもよい。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31は、リンクプレート14,12の片面のみに形成するようにしてもよい。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31は、挿入孔20,16と接触するように形成してもよい。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31は、直列方向Xと平行に延びるように形成してもよい。
・リンクプレート14,12における圧縮加工部30,31は、直列方向Xと平行に延びるように形成してもよい。
・リンクプレート14,12全体に圧縮加工部30,31を形成してもよい。この場合でもリンクプレート14,12の一部にはオーステナイト組織が残留するため、リンクプレート14,12の耐食性は維持される。
・チェーン11は、オーステナイト組織を含むステンレス鋼で構成されていればよく、SUS304以外のオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS301やSUS316などによって構成してもよいし、SUS329J1などのオーステナイト・フェライト二相系ステンレス鋼によって構成してもよい。
・ローラー18は省略してもよい。
・外リンクプレート14及び内リンクプレート12の形状は、直列方向Xの中央部が括れた上記実施形態の形状に限定されない。例えば、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の形状は、直列方向Xの中央部が膨らんだ形状であってもよいし、直列方向Xの中央部が括れも膨らみもしない直列方向Xに沿って直線状に延びる形状であってもよい。
・外リンクプレート14及び内リンクプレート12の形状は、直列方向Xの中央部が括れた上記実施形態の形状に限定されない。例えば、外リンクプレート14及び内リンクプレート12の形状は、直列方向Xの中央部が膨らんだ形状であってもよいし、直列方向Xの中央部が括れも膨らみもしない直列方向Xに沿って直線状に延びる形状であってもよい。
・チェーン11は、対向する2つのリンクプレートの直列方向Xにおける一端側の幅を他端側の幅よりも狭くなるように湾曲したリンクをブシュ17及びピン19によって回動可能に複数連結した所謂オフセットタイプのチェーンであってもよい。
・チェーン11は、対をなすチェーン部材同士を噛合させて棒状に一体化させる、所謂噛合チェーンであってもよい。
11…チェーン、12…内リンクプレート(リンクプレート)、14…外リンクプレート(リンクプレート)、16…ブシュ挿入孔(連結孔)、17…ブシュ、19…ピン、20…ピン挿入孔(連結孔)、30,31…圧縮加工部、C1,C2…中心、X…直列方向。
Claims (6)
- 直列に配置されて直列方向の一端部と他端部にピンが挿通可能な連結孔を有するとともにオーステナイト組織を含むステンレス鋼によって構成された複数のリンクプレートを、前記直列方向で隣り合う他のリンクプレートと端部同士の前記連結孔においてそれぞれ前記ピンによって回動自在に連結したチェーンであって、
前記各リンクプレートの両面のうちの少なくとも一方の面における少なくとも前記連結孔の中心よりも前記直列方向の外側の領域には、圧縮加工を行うことによってマルテンサイト変態が生じた圧縮加工部が形成されていることを特徴とするチェーン。 - 前記圧縮加工部は、少なくとも一部が前記直列方向と交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のチェーン。
- 前記リンクプレートにおいて、前記圧縮加工部は前記連結孔と接触しないように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーン。
- 前記リンクプレートにおいて、前記圧縮加工部は両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のチェーン。
- 前記圧縮加工部の形状は、前記リンクプレートの一方の面と他方の面とで同じであることを特徴とする請求項4に記載のチェーン。
- 請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のチェーンに備えられたリンクプレート。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190134764A (ko) * | 2017-04-11 | 2019-12-04 | 케텐-불프 베트립스 게엠베하 | 관절식 체인 |
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2015
- 2015-05-25 JP JP2015105427A patent/JP2016217509A/ja active Pending
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