JP2016216642A - 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、封止剤、並びに半導体装置 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその硬化物、封止剤、並びに半導体装置 Download PDF

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伯子 木村
晃 宝来
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晃 宝来
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Yuichi Tomita
裕一 冨田
恵明 禿
Yoshiaki Kamuro
恵明 禿
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Abstract

【課題】硬化により、SOxガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた材料(硬化物)を形成できる半導体装置の封止剤用硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)、シルセスキオキサン(B)、イソシアヌレート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含み、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)が、不飽和脂肪族基に結合した珪素を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、水素に結合した珪素を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を付加させて得られ、且つ、重量平均分子量(Mw)が500〜3万未満であり、ビニル基の含有量が0.2重量%以上であるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を含み、ポリシロキサン中の前記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の割合が7重量%以上である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びその硬化物、上記硬化性樹脂組成物を使用した封止剤、並びに上記封止剤を使用した半導体装置(特に光半導体装置)に関する。
半導体装置において半導体素子を被覆して保護するための封止材としては、各種の樹脂材料が使用されている。特に、光半導体装置における封止材には、SOXやH2S等の硫黄化合物を代表とする腐食性ガスに対するバリア性に優れることが求められる。
光半導体装置における封止材として、特に照明用途には、耐熱性に優れるメチルシリコーン(メチルシリコーン系封止材)が主流で使用されている。例えば、メチルシリコーンにラダー型シルセスキオキサン、イソシアヌレート化合物、及びシランカップリング剤を配合した樹脂組成物を封止剤として用いることで、SOXに対する耐硫化性が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2014/109349号
しかしながら、上記特許文献1に記載の樹脂組成物から形成される硬化物は、従来使用されていたメチルシリコーン系封止材に比べるとSOXガスに対するバリア性は高いものの、硫化水素(H2S)ガスに対するバリア性は未だ不十分であった。
従って、本発明の目的は、硬化させることにより、SOxガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた材料(硬化物)を形成できる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、SOxガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた材料(硬化物)を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を使用した封止剤、及び該封止剤を用いて得られる、品質と耐久性に優れた半導体装置(特に光半導体装置)を提供することにある。
本発明者らは、特定のポリオルガノシロキシシルアルキレンに対して、シルセスキオキサン、イソシアヌレート化合物、及びシランカップリング剤を添加した硬化性樹脂組成物が、SOxガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた硬化物を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)、シルセスキオキサン(B)、イソシアヌレート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含み、
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)として、下記式(I−1)
Figure 2016216642
[式(I−1)中、aは、0〜15の整数を示す。]
で表される化合物、及び下記式(I−2)
Figure 2016216642
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記式(II−1)
Figure 2016216642
[式(II−1)中、bは、0〜30の整数を示す。]
で表される化合物、及び下記式(II−2)
Figure 2016216642
で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを付加させて得られ、且つ、重量平均分子量(Mw)が500以上3万未満であり、ビニル基の含有量が0.2重量%以上であるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を含み、ポリシロキサン中の前記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の割合が7重量%以上であることを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、シルセスキオキサン(B)としてラダー型シルセスキオキサンを含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、シルセスキオキサン(B)として、分子内に脂肪族炭素−炭素二重結合を有するラダー型シルセスキオキサンを含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、シルセスキオキサン(B)として、分子内にSi−H結合を有するラダー型シルセスキオキサンを含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、シルセスキオキサン(B)として、分子内にアリール基を有するラダー型シルセスキオキサンを含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、イソシアヌレート化合物(C)として、下記式(1)
Figure 2016216642
[式(1)中、Rx、Ry、Rzは、同一又は異なって、式(2)で表される基、又は式(3)で表される基を示す。
Figure 2016216642
Figure 2016216642
[式(2)及び式(3)中、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]]
で表されるイソシアヌレート化合物を含む前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
さらに、式(1)におけるRx、Ry、Rzのうち、いずれかひとつ以上が式(3)で表される基である前記の硬化性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物を提供する。
また、本発明は、前記の硬化性樹脂組成物を用いて得られる封止剤を提供する。
また、本発明は、前記の封止剤を用いて得られる半導体装置を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は上記構成を有するため、硬化させることによって、SOxガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた材料(硬化物)を形成できる。このため、上記硬化物を半導体装置における半導体素子の封止材として使用した場合、上記半導体装置の電極の腐食が高度に抑制され、上記半導体装置の耐久性が著しく向上する。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止材を形成するための材料(封止剤)として好ましく使用することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を封止剤として使用して得られる光半導体装置は、優れた品質と耐久性とを備える。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置の一実施形態を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)、シルセスキオキサン(B)、イソシアヌレート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含む硬化性樹脂組成物である。
[ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)として、下記式(I−1)で表される化合物及び下記式(I−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記式(II−1)で表される化合物及び下記式(II−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを付加させて得られ、且つ、重量平均分子量(Mw)が500以上3万未満であり、ビニル基の含有量が0.2重量%以上であるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)(「ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)」と称する場合がある)を少なくとも含む。ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)としてこのようなポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を使用することによって、SOXガスに対するバリア性に加え、H2Sガスに対するバリア性にも優れた硬化物を得ることができる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物中のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)として、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 2016216642
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上記式(I−1)中、aは、0〜15の整数を示す。中でも、0〜10の整数が好ましく、より好ましくは0〜5の整数である。aが上記範囲にあることにより、硬化物のSOXガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性を向上させることができるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を得ることができる。
上記式(II−1)中、bは、0〜30の整数を示す。中でも、0〜20の整数が好ましく、より好ましくは1〜10の整数である。bが上記範囲にあることにより、硬化物のSOXガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性を向上させることができるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を得ることができる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の重量平均分子量(Mw)は、500以上3万未満であり、好ましくは1000〜28000、より好ましくは1500〜25000、さらに好ましくは2000〜22000である。上記重量平均分子量が500以上であると、硬化物のH2Sに対するバリア性が向上する。一方、上記重量平均分子量が3万以上であると、硬化物の外観が悪くなり、SOXガスに対するバリア性が低下する。また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量より算出される。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、200〜1万が好ましく、より好ましくは500〜8000、さらに好ましくは1000〜5000である。上記数平均分子量が200以上であると、硬化物のH2Sガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、上記数平均分子量が1万以下であると、硬化物のSOXガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、本明細書において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量より算出される。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)は、ビニル基を有する。これにより、硬化物のH2Sガスに対するバリア性が向上する。上記ビニル基は、特に限定されないが、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)中のケイ素原子に結合したものであることが好ましく、末端のケイ素原子に結合したものであることがより好ましい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)のビニル基の含有量は、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の全量(100重量%)に対して、0.2重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上、さらに好ましくは0.9重量%以上である。上記ビニル基の含有量が0.2重量%以上であることにより、硬化物のH2Sガスに対するバリア性が向上する。上記ビニル基の含有量の上限は、特に限定されないが、20重量%が好ましく、より好ましくは10重量%、さらに好ましくは8重量%である。なお、上記ビニル基の含有量は、1H−NMRスペクトル測定により算出される。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)は、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリシロキサン(ポリオルガノシロキシシルアルキレン)である。即ち、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)には、後述のポリオルガノシロキサン(E)のようなシルアルキレン結合を有しないポリシロキサンは含まれない。上記RAとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-12アルキレン基等が挙げられる。RAとしては、中でも、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基(エチレン鎖))が好ましい。即ち、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)は、エチレン鎖(−CH2−CH2−)を少なくとも含むことが好ましい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)のエチレン鎖(−CH2−CH2−)の含有量(エチレン含有量)は、特に限定されないが、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の全量(100重量%)に対して、1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。上記エチレン含有量が1重量%以上であると、硬化物のSOXガスに対するバリア性、及びH2Sガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。上記エチレン含有量の上限は、特に限定されないが、50重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、さらに好ましくは25重量%である。なお、上記エチレン含有量は、1H−NMRスペクトル測定により算出される。
なお、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)として、上記式(I−1)で表される化合物、上記式(I−2)で表される化合物、上記式(II−1)で表される化合物、及び上記式(II−2)で表される化合物のうちの異なる組み合わせのシロキサンを用いて作製された2以上のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を含む場合、上記重量平均分子量は、上記2以上のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)それぞれの重量平均分子量である。また、上記数平均分子量、上記ビニル基の含有量、上記エチレン含有量についても同様である。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するシロキサンである上記式(I−1)で表される化合物及び上記式(I−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するシロキサンである上記式(II−1)で表される化合物及び上記式(II−2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物とを用いた付加反応により調製することができる。中でも、上記式(I−1)で表される化合物と上記式(II−1)で表される化合物とを付加させて得られるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A11)(「ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A11)」と称する場合がある);上記式(I−1)で表される化合物と、上記式(I−2)で表される化合物と、上記式(II−1)で表される化合物とを付加させて得られるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A12)(「ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A12)」と称する場合がある)が好ましい。
このようなポリオルガノシロキシシルアルキレン(A11)としては、具体的には、例えば、下記式(III−1)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンが挙げられる。下記式(III−1)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンは、上記式(I−1)で表される化合物としてa=0のものを用い、上記式(II−1)で表される化合物としてb=1のものを用いて得られるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A11)である。
Figure 2016216642
また、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A12)としては、具体的には、例えば、下記式(III−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンが挙げられる。下記式(III−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンは、上記式(I−1)で表される化合物としてa=1のものを用い、上記式(II−1)で表される化合物としてb=1のものを用いて得られるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A12)である。
Figure 2016216642
上記式(III−1)中、n1は、1〜200の整数を示す。中でも、1〜150の整数が好ましく、より好ましくは1〜100の整数である。n1を上記範囲とすることにより、硬化物のSOXガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
上記式(III−2)中、n2は、1〜200の整数を示す。中でも、1〜150の整数が好ましく、より好ましくは1〜100の整数である。n2を上記範囲とすることにより、硬化物のSOXガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
上述の付加反応は、例えば、目的とするポリオルガノシロキシシルアルキレンに応じて選択した上記分子内に2個以上のアルケニル基を有するシロキサンと上記分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するシロキサンを用いて、白金系触媒等のヒドロシリル化触媒(例えば、後述のヒドロシリル化触媒等)の存在下、有機溶媒等の溶媒中で行うことができる。具体的には、例えば、後述の合成例に記載の方法に従って行うことができる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)中のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の割合は、特に限定されないが、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)の全量(100重量%)に対して、50重量%以上(例えば、50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上記割合を50重量%以上とすることにより、硬化物のSOXガスに対するバリア性及びH2Sガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
ポリシロキサン中のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)の割合は、ポリシロキサンの全量(100重量%)に対して、7重量%以上であり、好ましくは10重量%以上、より好ましくは12重量%以上である。上記割合が7重量%以上であることにより、硬化物のSOXガスに対するバリア性及びH2Sガスに対するバリア性が向上する。上記割合の上限は、特に限定されないが、50重量%が好ましく、より好ましくは45重量%、さらに好ましくは40重量%である。上記割合が50重量%以下であると、硬化物の外観が向上する傾向がある。但し、ポリシロキサンには、後述のシルセスキオキサン(B)に当たるものは含まれない。
[ポリオルガノシロキサン(E)]
ポリシロキサンとしては、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)以外に、主鎖としてシルアルキレン結合を含まないポリオルガノシロキサン(「ポリオルガノシロキサン(E)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。ポリオルガノシロキサン(E)を含むと、硬化物の外観が向上する傾向がある。
ポリオルガノシロキサン(E)は、シロキサン結合(Si−O−Si)で構成された主鎖を有するポリシロキサンであって、シルアルキレン結合(−Si−RA−Si−:RAはアルキレン基を示す)を含まないポリシロキサンである。なお、上記RAは、上述のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)中のRAと同じものを示す。上記ポリオルガノシロキサン(E)としては、直鎖又は分岐鎖を有するポリオルガノシロキサンであってもよい。なお、上記ポリオルガノシロキサン(E)は、アリール基を有しないことが好ましい。
上記ポリオルガノシロキサン(E)におけるケイ素原子に結合した基としては、水素原子、Si−H結合を有する基、置換又は無置換の炭化水素基(好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はアリール基、アラルキル基)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、メルカプト基(チオール基)、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基又は置換アミノ基(モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基等)、エポキシ基、ハロゲン原子、これらの2以上が結合した基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、C1-10アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-4アルキル基である。上記アルケニル基としては、C2-10アルケニル基が好ましく、より好ましくはC2-4アルケニル基である。上記シクロアルキル基としては、C3-12シクロアルキル基が好ましい。上記シクロアルケニル基としては、C3-12シクロアルケニル基が好ましい。上記アルコキシ基としては、C1-6アルコキシ基が好ましい。上記アルケニルオキシ基としては、C1-6アルケニルオキシ基が好ましい。上記アシルオキシ基としては、C1-6アシルオキシ基が好ましい。上記アルキルチオ基としては、C1-6アルキルチオ基が好ましい。上記アルケニルチオ基としては、C1-6アルケニルチオ基が好ましい。上記カルボキシ基としては、C1-6カルボキシ基が好ましい。上記アルコキシカルボニル基としては、C1-6アルコキシ−カルボニル基が好ましい。
上記ポリオルガノシロキサン(E)としては、上記置換基として、水素原子、Si−H結合を有する基、及びアリール基以外の置換又は無置換の炭化水素基(好ましくはアルキル基又はアルケニル基)から選ばれる少なくとも1以上の置換基を有するポリオルガノシロキサンが特に好ましい。
上記ポリオルガノシロキサン(E)の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜15万が好ましく、より好ましくは1000〜12万、さらに好ましくは1500〜10万である。また、重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、500〜15万が好ましく、より好ましくは1000〜12万、さらに好ましくは1500〜10万である。
本発明の硬化性樹脂組成物においてポリオルガノシロキサン(E)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリオルガノシロキサン(E)は、公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、市販品を入手することもできる。
上記ポリオルガノシロキサン(E)としては、中でも、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(E1)(以下、単に「ポリオルガノシロキサン(E1)」と称する場合がある)及び分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(E2)(以下、単に「ポリオルガノシロキサン(E2)」と称する場合がある)を含むことが好ましい。これにより、硬化物に熱衝撃が加えられた場合にもクラックが生じにくい特性(「耐熱衝撃性」と称する場合がある)を維持しつつ、硬化物の外観にも優れ、さらにSOXガスに対するバリア性及びH2Sガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
(ポリオルガノシロキサン(E1))
ポリオルガノシロキサン(E1)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキサン(E1)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(E1)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキサン(E1)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(E1)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキサン(E1)が分子内に有するアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換又は無置換アルケニル基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。中でも、ビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(E1)は、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキサン(E1)が有するアルケニル基は、特に限定されないが、ケイ素原子に結合したものであることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(E1)が有するアルケニル基以外の基は、特に限定されないが、例えば、有機基等が挙げられる。有機基としては、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、アラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]等の一価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。なお、本明細書において「ケイ素原子に結合した基」とは、通常、ケイ素原子を含まない基を指すものとする。なお、上記ポリオルガノシロキサン(E1)は、アリール基を有しないことが好ましい。
また、ポリオルガノシロキサン(E1)は、ケイ素原子に結合した基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基を有していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(E1)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキサン(E1)としては、下記平均単位式:
(R1SiO3/2a1(R1 2SiO2/2a2(R1 3SiO1/2a3(SiO4/2a4(X11/2a5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R1は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R1の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R1の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性が向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR1としては、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X1は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、a1は0又は正数、a2は0又は正数、a3は0又は正数、a4は0又は正数、a5は0又は正数であり、かつ、(a1+a2+a3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(E1)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のアルケニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。この直鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としては、上述のアルケニル基の具体例が挙げられるが、中でもビニル基が好ましい。なお、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。また、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、特に限定されないが、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、1〜20モル%が好ましい。特に、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上する傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(IV−1)で表される。
Figure 2016216642
[上記式中、R11は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基である。但し、R11の少なくとも2個はアルケニル基である。m1は、5〜1000の整数である。]
ポリオルガノシロキサン(E1)の他の例としては、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、RISiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、上述のように、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、シルセスキオキサン(B)に当たるものは含まれない。なお、RIは、一価の置換又は無置換炭化水素基である。この分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としては、上述のアルケニル基の具体例が挙げられるが、中でもビニル基が好ましい。なお、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRIとしては、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、10〜40モル%が好ましい。特に、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が50モル%以上(例えば、60〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上する傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンは、a1が正数である上記平均単位式で表すことができる。この場合、特に限定されないが、a2/a1は0〜10の数、a3/a1は0〜0.5の数、a4/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.3の数、a5/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は特に限定されないが、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜1万であることが好ましく、より好ましくは700〜3000である。
ポリオルガノシロキサン(E1)のさらに他の例としては、例えば、上記平均単位式中、a1及びa2が0であり、X1が水素原子である下記平均単位式:
(R1a 21bSiO1/2a6(R1a 3SiO1/2a7(SiO4/2a8(HO1/2a9
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R1aは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基(C1-10アルキル基)を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。また、R1bは、同一又は異なって、アルケニル基を示し、中でもビニル基が好ましい。さらに、a6、a7、a8及びa9はいずれも、a6+a7+a8=1、a6/(a6+a7)=0.15〜0.35、a8/(a6+a7+a8)=0.53〜0.62、a9/(a6+a7+a8)=0.005〜0.03を満たす正数である。但し、a7は0であってもよい。硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、a6/(a6+a7)は0.2〜0.3であることが好ましい。また、硬化物の硬度や機械強度の観点で、a8/(a6+a7+a8)は0.55〜0.60であることが好ましい。さらに、硬化物の接着性や機械強度の観点で、a9/(a6+a7+a8)は0.01〜0.025であることが好ましい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン、SiO4/2単位と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
(ポリオルガノシロキサン(E2))
ポリオルガノシロキサン(E2)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキサン(E2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(E2)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキサン(E2)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(E2)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキサン(E2)が有するケイ素原子に結合した基の中でも水素原子以外の基は、特に限定されないが、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基、より詳しくは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。なお、上記ポリオルガノシロキサン(E2)は、アリール基を有しないことが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(E2)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。中でも液状であることが好ましく、25℃における粘度が0.1〜10億mPa・sの液状であることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(E2)としては、下記平均単位式:
(R2SiO3/2b1(R2 2SiO2/2b2(R2 3SiO1/2b3(SiO4/2b4(X21/2b5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R2は、同一又は異なって、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)が挙げられる。但し、R2の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R2の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性が向上する傾向がある。また、水素原子以外のR2としては、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X2は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、b1は0又は正数、b2は0又は正数、b3は0又は正数、b4は0又は正数、b5は0又は正数であり、かつ、(b1+b2+b3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(E2)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対する水素原子(ケイ素原子に結合した水素原子)の割合は、特に限定されないが、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、20〜99モル%が好ましい。特に、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上する傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(IV−2)で表される。
Figure 2016216642
[上記式中、R21は、同一又は異なって、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。但し、R21の少なくとも2個は水素原子である。m2は、5〜1000の整数である。]
ポリオルガノシロキサン(E2)の他の例としては、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、RIISiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、上述のように、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、シルセスキオキサン(B)に当たるものは含まれない。なお、RIIは、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRIIとしては、水素原子、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、70〜95モル%が好ましい。特に、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が50モル%以上(例えば、50〜90モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性が向上する傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、b1が正数である上記平均単位式で表すことができる。この場合、特に限定されないが、b2/b1は0〜10の数、b3/b1は0〜0.5の数、b4/(b1+b2+b3+b4)は0〜0.3の数、b5/(b1+b2+b3+b4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は特に限定されないが、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が300〜1万であることが好ましく、より好ましくは500〜3000である。
ポリシロキサンとしてポリオルガノシロキサン(E)を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサンの全量(100重量%)に対するポリオルガノシロキサン(E)の割合は、特に限定されないが、50重量%以上が好ましく、より好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。上記割合を50重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱衝撃性を維持しつつ、硬化物のSOXガスに対するバリア性、及びH2Sガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。上記割合の上限は、特に限定されないが、93重量%が好ましく、より好ましくは90重量%、さらに好ましくは88重量%である。
ポリオルガノシロキサン(E)中のポリオルガノシロキサン(E1)及びポリオルガノシロキサン(E2)の割合の合計(合計割合)は、特に限定されないが、60重量%以上が好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。上記合計割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の強靭性、耐熱性、透明性が向上する傾向がある。なお、上記合計割合の上限は、100重量%であってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサンの割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、55〜95重量%が好ましく、より好ましくは60〜92重量%、さらに好ましくは65〜90重量%である。上記割合を55重量%以上とすることにより、硬化物の耐クラック性が向上する傾向がある。一方、上記割合を95重量%以下とすることにより、硬化物のSOxガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
[シルセスキオキサン(B)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、シルセスキオキサン(B)を含む。これにより、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化物のSOxガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性に優れる。
シルセスキオキサン(B)は、シロキサン結合(Si−O−Si)で構成された主鎖を有する、T単位(ケイ素原子が3個の酸素原子と結合した3価の基からなる単位)を基本構成単位とするポリシロキサンであり、その実験式(基本構造式)はRSiO3/2(RSiO1.5)で表される。
シルセスキオキサンのSi−O−Si骨格の構造としては、ランダム構造、カゴ構造、ラダー構造が挙げられ、ラダー型シルセスキオキサンは、ラダー構造のSi−O−Si骨格の構造を有するシルセスキオキサンである。本発明の硬化性樹脂組成物においては、特に限定されないが、シルセスキオキサン(B)としてラダー型シルセスキオキサンを含むことが好ましい。ラダー型シルセスキオキサンは、架橋された三次元構造を有するポリシロキサンである。
上記ラダー型シルセスキオキサンは、上述のように実験式(基本構造式)RSiO3/2で表され、上記Rは、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、上記Rの少なくとも一部は、一価の有機基である。上記Rは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記Rにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。上記Rにおける一価の有機基としては、例えば、置換又は無置換の炭化水素基(一価の炭化水素基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基等が挙げられる。
上記一価の炭化水素基における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基)等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、さらに好ましくはC2-4アルキニル基)等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC3-12シクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12シクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6-14アリール基(特に、C6-10アリール基)等が挙げられる。
また、脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基)、シンナミル基等のC6-10アリール−C2-6アルケニル基、トリル基等のC1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基等が挙げられる。
上記一価の炭化水素基における炭化水素基は置換基を有していてもよい。上記炭化水素基における置換基の炭素数は0〜20が好ましく、より好ましくは0〜10である。該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(好ましくはC2-6アルケニルオキシ基、より好ましくはC2-4アルケニルオキシ基);フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(好ましくはC1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基、より好ましくはC1-4アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(好ましくはC2-6アルケニルチオ基、より好ましくはC2-4アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(好ましくはC7-18アラルキルチオ基);カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(好ましくはC6-14アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ−カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(好ましくはモノ又はジ−C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくはC1-11アシルアミノ基);グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。
上記Rにおける一価の酸素原子含有基としては、例えば、ヒドロキシ基、ヒドロパーオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基等が挙げられる。上記一価の窒素原子含有基としては、例えば、アミノ基又は置換アミノ基(モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基等)、シアノ基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、カルバモイル基等が挙げられる。また、上記一価の硫黄原子含有基としては、例えば、メルカプト基(チオール基)、スルホ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、イソチオシアナート基等が挙げられる。なお、上述の一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、一価の硫黄原子含有基は、相互に重複し得る。
上記Rとしては、中でも、分子内にアリール基を有する基を少なくとも含むことが好ましい。即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、シルセスキオキサン(B)として、分子内にアリール基を有するラダー型シルセスキオキサンを含むことが好ましい。
さらに、上記Rとしては、下記式(4)で表される基が挙げられる。
Figure 2016216642
上記式(4)中の複数個のR′は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(4)中のR′は、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、これらの基としては、上記Rとして例示したものと同様の基が挙げられる。
上記式(4)で表される基において、各R′としては、それぞれ、水素原子、C1-10アルキル基(特に、C1-4アルキル基)、C2-10アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基)、C3-12シクロアルキル基、C3-12シクロアルケニル基、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいC6-14アリール基、C7-18アラルキル基、C6-10アリール−C2-6アルケニル基、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
上記の中でも、Rとしては、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換又は無置換の炭化水素基、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基、アルケニル基)、芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)である。
上記シルセスキオキサン(B)としてのラダー型シルセスキオキサンは、例えば、下記式(5)で表される。
Figure 2016216642
上記式(5)において、pは1以上の整数(好ましくは1〜5000の整数、より好ましくは1〜2000の整数、さらに好ましくは1〜1000の整数)である。上記式(5)中のRは、上記Rと同じもの(以下「側鎖」と称することがある)を示し、Tは末端基を示す。Tとしては、Rとして例示したものと同様の基が例示される。
上記Rにおいて、上記Rの全量(100モル%)に対する、置換又は無置換の炭化水素基の占める割合は、特に限定されないが、50モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。特に、上記Rの全量(100モル%)に対する、置換又は無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、特にメチル基又はエチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)、置換又は無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜10のアリール基、特にフェニル基)、置換又は無置換の炭素数7〜10のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基、特にベンジル基)の合計量は、50モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。特に、硬化物のSOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性の観点からは、上記Rの一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基であることが好ましい。即ち、上記ラダー型シルセスキオキサンは、分子内に置換若しくは無置換のアリール基を少なくとも有するものであることが好ましい。
本発明におけるシルセスキオキサン(B)の数平均分子量(Mn)及び/又は重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100〜80万が好ましく、より好ましくは200〜10万、さらに好ましくは300〜3万、特に好ましくは500〜2万である。数平均分子量又は重量平均分子量が100以上であると、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。一方、数平均分子量又は重量平均分子量が80万以下であると、上記シルセスキオキサン(B)の他の成分に対する相溶性が向上する傾向がある。
本発明におけるシルセスキオキサン(B)、特にラダー型シルセスキオキサンは、公知の製造方法(例えば、3官能シラン化合物を原料とした加水分解縮合法)により製造することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、シルセスキオキサン(B)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるシルセスキオキサン(B)の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、5〜45重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。上記割合を5重量%以上とすることにより、硬化物のSOxガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、上記割合を45重量%以下とすることにより、硬化物の耐クラック性が向上したり、十分な耐熱性が得られる傾向がある。
(ラダー型シルセスキオキサン(B1))
本発明の硬化性樹脂組成物は、シルセスキオキサン(B)として、分子内に脂肪族炭素−炭素二重結合を有するラダー型シルセスキオキサン(B1)(以下、単に「ラダー型シルセスキオキサン(B1)」と称する場合がある)を含んでいてもよい。ラダー型シルセスキオキサン(B1)としては、前記側鎖又は前記末端基に脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を持つ化合物であれば特に限定されない。
上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基);シクロヘキセニル基等のC3-12シクロアルケニル基;ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式不飽和炭化水素基;スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基;シンナミル基等が挙げられる。なお、上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基には、上記式(4)で表される基において、3つのR′のうち少なくとも1つが上記のC2-20アルケニル基、C3-12シクロアルケニル基、C4-15架橋環式不飽和炭化水素基、C2-4アルケニル置換アリール基、シンナミル基等である基も含まれる。中でも、アルケニル基が好ましく、より好ましくはC2-20アルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
ラダー型シルセスキオキサン(B1)における、分子内(一分子中)の上記脂肪族炭素−炭素二重結合の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有することにより、耐熱性等の各種物性、硬化物の耐クラック性、SOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(B1)に含まれる上記脂肪族炭素−炭素二重結合の割合(重量基準)は、特に限定されないが、ビニル基換算で、0.5〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは1.0〜12.0重量%である。
ラダー型シルセスキオキサン(B1)は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(B1)の23℃における粘度は、100〜10万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s以上であると、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。一方、粘度が10万mPa・s以下であると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となる傾向がある。なお、23℃における粘度は、例えば、レオーメーター(商品名「PhysicaUDS−200」、AntonPaar社製)とコーンプレート(円錐直径:16mm、テーパ角度=0°)を用いて、温度:23℃、回転数:20rpmの条件で測定することができる。
(ラダー型シルセスキオキサン(B2))
本発明の硬化性樹脂組成物は、シルセスキオキサン(B)として、分子内にSi−H結合を有するラダー型シルセスキオキサン(B2)(以下、単に「ラダー型シルセスキオキサン(B2)」と称する場合がある)を含んでいてもよい。ラダー型シルセスキオキサン(B2)としては、前記側鎖又は前記末端基に水素原子又はSi−H結合を有する基を持つ化合物であれば特に限定されない。
上記Si−H結合を有する基としては、特に限定されないが、例えば、上記式(4)で表される基において、3つのR′のうち少なくとも1つが水素原子である基等が挙げられる。
ラダー型シルセスキオキサン(B2)における、分子内(一分子中)の上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で上記水素原子又は上記Si−Hを有する基を有することにより、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(B2)が有する上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の含有量は、特に限定されないが、0.01〜0.50mmol/gが好ましく、より好ましくは0.08〜0.28mmol/gである。また、ラダー型シルセスキオキサン(B2)に含まれる上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の割合(重量基準)は、特に限定されないが、水素原子又はSi−H結合におけるH(ヒドリド)の重量換算(H換算)で、0.01〜0.50重量%が好ましく、より好ましくは0.08〜0.28重量%である。上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の含有量が少なすぎると(例えば、0.01mmol/g未満、H換算で0.01重量%未満の場合)、硬化性樹脂組成物の硬化が十分に進行しない場合がある。一方、上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の含有量が多すぎると(例えば、0.50mmol/gを超える、H換算で0.50重量%を超える場合)、硬化物の硬度が高くなり、割れやすくなる場合がある。なお、ラダー型シルセスキオキサン(B2)における上記水素原子又は上記Si−H結合を有する基の含有量は、例えば、1H−NMRスペクトル測定等によって測定することができる。
なお、ラダー型シルセスキオキサン(B2)が有する上記水素原子及び上記Si−H結合を有する基の全量(100モル%)に対する上記Si−H結合を有する基の含有量は、特に限定されないが、硬化度の観点で、50〜100モル%が好ましく、より好ましくは80〜100モル%である。
ラダー型シルセスキオキサン(B2)は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(B2)の23℃における粘度は、100〜10万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s以上であると、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。一方、粘度が10万mPa・s以下であると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となる傾向がある。なお、23℃における粘度は、例えば、ラダー型シルセスキオキサン(B1)の粘度と同様の方法により測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるシルセスキオキサン(B)の全量(100重量%)に対するラダー型シルセスキオキサン(B1)及びラダー型シルセスキオキサン(B2)の割合の合計(合計割合)は、特に限定されないが、60重量%以上(例えば、60〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。ラダー型シルセスキオキサン(B1)及びラダー型シルセスキオキサン(B2)の割合が60重量%以上であると、硬化物のSOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
(その他のラダー型シルセスキオキサン)
本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサンとしては、ラダー型シルセスキオキサン(B1)、ラダー型シルセスキオキサン(B2)以外のラダー型シルセスキオキサン(以下、「その他のラダー型シルセスキオキサン」と称する場合がある)を使用することもできる。特に、上記その他のラダー型シルセスキオキサンは、ラダー型シルセスキオキサン(B1)やラダー型シルセスキオキサン(B2)と併用することが好ましい。上記その他のラダー型シルセスキオキサンとしては、特に、25℃において固体であり、なおかつ脂肪族炭素−炭素二重結合を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S1)」と称する場合がある)、25℃において固体であり、なおかつヒドロシリル基を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S2)」と称する場合がある)が好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(S1)及び/又は(S2)を含む場合には、特に、硬化物のSOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性が向上し、さらに、強靭性(特に、耐クラック性)が向上する傾向がある。
[イソシアヌレート化合物(C)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、イソシアヌレート化合物(C)を含む。本発明の硬化性樹脂組成物が上記イソシアヌレート化合物(C)を含むことにより、特に、硬化により形成される硬化物の、SOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性が向上し、さらに、被着体に対する密着性が向上する傾向がある。特に、イソシアヌレート化合物(C)として、下記式(1)で表されるイソシアヌレート化合物を含むことが好ましい。
Figure 2016216642
上記式(1)中、Rx、Ry、Rzは、同一又は異なって、下記式(2)で表される基、又は下記式(3)で表される基を示す。中でも、上記式(1)におけるRx、Ry、Rzのうち、いずれかひとつ以上(好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ)が下記式(3)で表される基であることが好ましい。
Figure 2016216642
Figure 2016216642
上記式(2)及び上記式(3)中、R3、R4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。上記式(2)及び上記式(3)におけるR3、R4は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
上記イソシアヌレート化合物(C)としては、特に限定されないが、例えば、モノアリルジメチルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、モノメチルジグリシジルイソシアヌレート、ジメチルモノグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メチルプロペニル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、上記イソシアヌレート化合物(C)は、それぞれ、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、イソシアヌレート化合物(C)は、公知乃至慣用の方法により製造して得ることもできるし、市販品を入手することもできる。
上記イソシアヌレート化合物(C)は、他の成分との相溶性を向上させる観点から、後述のように、シランカップリング剤(D)とあらかじめ混合してから他の成分と配合してもよい。
上記イソシアヌレート化合物(C)の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。上記割合が0.01重量%以上であると、硬化物のSOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性、被着体に対する密着性が向上する傾向がある。一方、上記割合が10重量%以下であると、硬化性樹脂組成物において固体が析出しにくい傾向、硬化物が白濁しにくい傾向がある。
[シランカップリング剤(D)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤(D)を含む。本発明の硬化性樹脂組成物が上記シランカップリング剤(D)を含む場合には、硬化により形成される硬化物の、SOxガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上し、特に、被着体に対する密着性が向上する傾向がある。
上記シランカップリング剤(D)は、上記シルセスキオキサン(B)やイソシアヌレート化合物(C)等との相溶性が良好であるため、例えば、イソシアヌレート化合物(C)のその他成分に対する相溶性を向上させるために、あらかじめイソシアヌレート化合物(C)とシランカップリング剤(D)の組成物を形成した上で、その他成分と配合すると、均一な硬化性樹脂組成物が得られやすい。
上記シランカップリング剤(D)としては、公知乃至慣用のシランカップリング剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシシラン)、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピレントリメトキシシラン、メルカプトプロピレントリエトキシシラン等が挙げられる。中でも、エポキシ基含有シランカップリング剤(特に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を好ましく使用できる。なお、上記シランカップリング剤(D)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、シランカップリング剤(D)は、市販品を使用することもできる。
上記シランカップリング剤(D)の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。上記割合が0.01重量%以上であると、被着体に対する密着性が向上し、特に、イソシアヌレート化合物(C)を相溶させて使用する際であっても、十分な効果(SOXガス等の腐食性ガスに対するバリア性)が得られる傾向がある。一方、上記割合が15重量%以下であると、硬化が不十分になることによる硬化物の靭性、耐熱性、バリア性の低下が抑制される傾向がある。
[ヒドロシリル化触媒]
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、ヒドロシリル化触媒を含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を含むことにより、硬化反応(ヒドロシリル化反応)を効率的に進行させることができる。上記ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等の周知のヒドロシリル化反応用触媒が例示される。具体的には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体等の白金のカルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体等の白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等の白金系触媒、ならびに上記白金系触媒において白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有するパラジウム系触媒又はロジウム系触媒が挙げられる。なお、上記ヒドロシリル化触媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物における上記ヒドロシリル化触媒の割合は、特に限定されないが、例えば、ヒドロシリル化触媒中の白金、パラジウム、又はロジウムが重量単位で、0.01〜1000ppmの範囲内となる量が好ましく、0.1〜500ppmの範囲内となる量がさらに好ましい。ヒドロシリル化触媒の含有量がこのような範囲にあると、架橋速度が著しく遅くなることがなく、硬化物に着色等の問題を生じるおそれが少ないため好ましい。
[ヒドロシリル化反応抑制剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化反応(ヒドロシリル化反応)の速度を調整するために、ヒドロシリル化反応抑制剤を含んでいてもよい。上記ヒドロシリル化反応抑制剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記ヒドロシリル化反応抑制剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記ヒドロシリル化反応抑制剤の割合としては、硬化性樹脂組成物の架橋条件により異なるが、実用上、硬化性樹脂組成物中の含有量として、0.00001〜5重量%の範囲内が好ましい。
[その他のシロキサン化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、その他のシロキサン化合物(ポリシロキサン)として、更に、分子内(一分子中)に2個以上の脂肪族炭素−炭素二重結合を有する環状シロキサンを含んでいてもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、その他のシロキサン化合物として、更に、分子内(一分子中)に2個以上のSi−H結合を有する基を有する環状シロキサンを含んでいてもよい。上記環状シロキサンは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の硬化性樹脂組成物における環状シロキサンの割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
[その他のシラン化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、その他のシラン化合物(例えば、ヒドロシリル基を有する化合物)を含んでいてもよい。上記その他のシラン化合物としては、例えば、メチル(トリスジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−へプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,5,5,7,7,7−ノナメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン、1,1,1,3,5,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン等のSi−H基を有する直鎖又は分岐鎖状シロキサン等が挙げられる。なお、上記シラン化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記シラン化合物の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0〜5重量%が好ましく、より好ましくは0〜1.5重量%である。
[溶媒]
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。上記溶媒としては、例えば、トルエン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の従来公知の溶媒が挙げられる。上記溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[添加剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、その他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、カップリング剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、分散剤、消泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤等の慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で、又は2種以上を組み合せて使用できる。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物中に存在するヒドロシリル基1モルに対して、脂肪族炭素−炭素二重結合が0.2〜4モルとなるような組成(配合組成)であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3モル、さらに好ましくは0.8〜2モルである。ヒドロシリル基と脂肪族炭素−炭素二重結合との割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の耐熱性、透明性、柔軟性、耐リフロー性、及び、SOXガスやH2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、本発明の硬化性樹脂組成物は、23℃における粘度として、300〜2万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が300mPa・s以上であると、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。一方、粘度が2万mPa・s以下であると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となるため、硬化物に気泡が残存しにくくなる傾向がある。なお、硬化性樹脂組成物の粘度は、例えば、上述のラダー型シルセスキオキサン(B1)の粘度と同様の方法で測定できる。
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化反応(ヒドロシリル化反応)により硬化させることにより、硬化物(以下、「本発明の硬化物」と称する場合がある)を得ることができる。硬化反応の際の条件は、特に限定されず、従来公知の条件より適宜選択することができるが、例えば、反応速度の点から、温度(硬化温度)は25〜180℃(より好ましくは60〜150℃)が好ましく、時間(硬化時間)は5〜720分が好ましい。なお、硬化は一段階で実施することもできるし、多段階で実施することもできる。本発明の硬化物は、耐熱性、透明性、柔軟性等の各種物性に優れ、さらに、リフロー工程における耐クラック性、パッケージに対する密着性等の耐リフロー性に優れ、SOxガス、H2Sガス等の腐食性ガスに対するバリア性にも優れる。
[封止剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体装置における半導体素子の封止用の組成物(封止剤)(「本発明の封止剤」と称する場合がある)として好ましく使用することができる。中でも、本発明の封止剤は、光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止用途に(即ち、光半導体用封止剤として)特に好ましく使用できる。本発明の封止剤を硬化させることにより得られる封止材(硬化物)は、SOXガスに対するバリア性に加えて、H2Sガスに対するバリア性にも優れる。このため、本発明の封止剤は、特に、高輝度、短波長の光半導体素子の封止剤等として好ましく使用できる。
[半導体装置]
本発明の封止剤を使用して半導体素子を封止することにより、半導体装置(「本発明の半導体装置」と称する場合がある)が得られる。即ち、本発明の半導体装置は、本発明の封止剤を用いて得られる半導体装置である。より詳細には、半導体素子とこれを封止する封止材とを少なくとも有する半導体装置であって、上記封止材が本発明の封止剤の硬化物である半導体装置である。本発明の半導体装置の製造は、公知乃至慣用の方法により実施でき、特に限定されないが、例えば、本発明の封止剤を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して実施できる。硬化温度と硬化時間は、特に限定されないが、硬化物の調製時と同様の範囲で設定することができる。本発明の封止剤は、上記半導体装置が光半導体装置である場合、即ち、光半導体装置における光半導体素子の封止剤(光半導体用封止剤)として使用する場合には、特に上述の有利な効果を効果的に発揮できる。本発明の封止剤を光半導体用封止剤として使用することにより、光半導体装置が得られる。このような光半導体装置の一例を図1に示す。図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線(電極)、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
反応生成物及び製品の1H−NMR分析は、JNM−ECA500(500MHz、日本電子(株)製)により行った。また、反応生成物及び製品の数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)、Refractive Index Detector 2414(Waters製)、カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)、ガードカラム:Tskgel guardcolumn HHRL(東ソー(株)製)、カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)、溶媒:THF、測定条件:40℃、により行った。
ポリオルガノシロキサン(E)として、以下の製品を使用した。
AS−9070A:長興材料工業製、商品名「AS−9070A」、製品の総量(100重量%)に対するビニル基の含有量1.20重量%、フェニル基の含有量0重量%、ヒドロシリル基の含有量(ヒドリド換算)0重量%、数平均分子量2517、重量平均分子量14505、ヒドロシリル化触媒を含む。
AS−9070B:長興材料工業製、商品名「AS−9070B」、製品の総量(100重量%)に対するビニル基の含有量1.15重量%、フェニル基の含有量0重量%、ヒドロシリル基の含有量(ヒドリド換算)0.150重量%、数平均分子量2371、重量平均分子量14526
KER−2500A:信越化学工業(株)製、商品名「KER−2500A」、製品の総量(100重量%)に対するビニル基の含有量1.53重量%、メチル基の含有量94.29重量%、フェニル基の含有量0重量%、ヒドロシリル基の含有量(ヒドリド換算)0.03重量%、数平均分子量4453、重量平均分子量19355、ヒドロシリル化触媒を含む。
KER−2500B:信越化学工業(株)製、、商品名「KER−2500B」、製品の総量(100重量%)に対するビニル基の含有量1.08重量%、メチル基の含有量95.63重量%、フェニル基の含有量0重量%、ヒドロシリル基の含有量(ヒドリド換算)0.13重量%、数平均分子量4636、重量平均分子量18814
[ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の合成]
<合成例1>
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(28.00g、150.2mmol)、トルエン(71.80g、779.6mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0157g、1.610×10-3mmol)を加え1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(28.17g、135.1mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で18時間攪拌後、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し53.51gの無色透明液状ビニル基含有直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は1.66重量%、エチレン含有量は14.7重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は5577、数平均分子量(Mn)は2082であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.21(br)、0.43−0.57(br)、0.98−1.0(br)、5.7−6.2(br)
<合成例2>
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた100mlの4口フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(11.19g、60.05mmol)、トルエン(30.01g、325.8mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0055g、5.639×10-4mmol)を加え1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(10.03g、48.11mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で18時間攪拌後、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し17.15gの無色透明液状ビニル基含有直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は2.67重量%、エチレン含有量は13.8重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は3650、数平均分子量(Mn)は1755であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.25(br)、0.39−0.56(br)、0.98−1.1(br)、5.7−6.2(br)
<合成例3>
(工程1)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(25.06g、120.2mmol)、トルエン(79.14g、859.3mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0111g、1.138×10-3mmol)を加え、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(17.93g、96.19mmol)を80℃に維持しながら50分かけて滴下した。80℃で6時間攪拌後、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ビニル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。その後室温に冷却した。
(工程2)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコにトリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン(24.29g、70.05mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0049g、5.024×10-4mmol)、工程1で得られた反応液118.32g(反応液中のヒドロシリル基:41.29mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で6時間攪拌後、両末端にビニル基を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し48.0gの無色透明液状ビニル基含有分岐鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は3.44重量%、エチレン含有量は12.6重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は6062、数平均分子量(Mn)は2573であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.19(br)、0.39−0.60(br)、0.98−1.1(br)、5.7−6.2(br)
<合成例4>
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(28.03g、150.4mmol)、トルエン(70.33g、763.6mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0165g、1.692×10-3mmol)を加え1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(29.78g、142.8mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で18時間攪拌後、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し55.02gの無色透明液状ビニル基含有直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は0.96重量%、エチレン含有量は15.1重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は8641、数平均分子量(Mn)は2402であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.22(br)、0.39−0.57(br)、0.98−1.1(br)、5.7−6.2(br)
<合成例5>
(工程1)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(25.10g、120.4mmol)、トルエン(79.10g、858.8mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0108g、1.107×10-3mmol)を加え、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(17.89g、95.98mmol)を80℃に維持しながら50分かけて滴下した。80℃で6時間攪拌後、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ビニル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。その後室温に冷却した。
(工程2)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコにトリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン(11.67g、33.66mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0037g、3.973×10-4mmol)、工程1で得られた反応液113.2g(反応液中のヒドロシリル基:39.51mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で6時間攪拌後、両末端にビニル基を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し44.90gの無色透明液状ビニル基含有分岐鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は2.52重量%、エチレン含有量は13.4重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は9573、数平均分子量(Mn)は3008であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.10−0.19(br)、0.39−0.57(br)、0.98−1.1(br)、5.7−6.2(br)
<合成例6>
(工程1)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた300mlの4口フラスコに1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(56.45g、270.8mmol)、トルエン(133.9g、1454mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0252g、2.584×10-3mmol)を加え、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(40.37g、216.6mmol)を80℃に維持しながら50分かけて滴下した。80℃で6時間攪拌後、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ビニル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。その後室温に冷却した。
(工程2)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(5.030g、24.13mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0028g、2.871×10-4mmol)、工程1で得られた反応液110.1g(反応液中のヒドロシリル基:51.30mmol)を加え、30分かけて室温から100℃に昇温した。100℃で6時間攪拌後、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し48.46gの無色透明液状ビニル基含有直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は0.22重量%、エチレン含有量は15.2重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は21200、数平均分子量(Mn)は3192であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.22(br)、0.39−0.57(br)、0.98−1.0(br)、5.7−6.2(br)
<合成例7>
(工程1)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた300mlの4口フラスコに1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(62.76g、301.0mmol)、トルエン(149.2g、1620mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0276g、2.830×10-3mmol)を加え、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(44.73g、240.0mmol)を80℃に維持しながら50分かけて滴下した。80℃で6時間攪拌後、両末端にヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ビニル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。その後室温に冷却した。
(工程2)
窒素雰囲気下、冷却管、マグネチックスターラー、熱電対を備え付けた200mlの4口フラスコに1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(4.900g、23.50mmol)、Pt−vts in xylene溶液(白金のジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液;白金として2.0wt%含有)(0.0032g、3.281×10-4mmol)、工程1で得られた反応液109.8g(反応液中のヒドロシリル基:50.77mmol)を100℃に維持しながら50分かけて滴下した。100℃で6時間攪拌後、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを含む反応液を得た。得られた反応液を少量サンプリングして反応生成物の構造を1H−NMRにより確認した。その結果、ヒドロシリル基由来の1H−NMRシグナルがないことが確認できた。低沸点分を減圧留去し48.23gの無色透明液状ビニル基含有直鎖状ポリオルガノシロキシシルアルキレンを得た。1H−NMRの測定結果よりビニル基の含有量は0.13重量%、エチレン含有量は14.8重量%、GPCによる測定の結果、重量平均分子量(Mw)は30058、数平均分子量(Mn)は3238であった。
上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3))δ:−0.09−0.22(br)、0.39−0.57(br)、0.98−1.0(br)、5.7−6.2(br)
[シルセスキオキサン(B)の合成]
<合成例8>
200ml四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)40.10g、フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.38g、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)17.69gを仕込み、これらの混合物を10℃まで冷却した。上記混合物に水240mmol(4.33g)及び5Nの塩酸0.48g(塩化水素として2.4mmol)を1時間かけて同時に滴下した。滴下後、これらの混合物を10℃で1時間保持した。その後、MIBKを80.0g添加して、反応溶液を希釈した。
次に、反応容器の温度を70℃まで昇温し、70℃になった時点で水606mmol(10.91g)を添加し、同温度で重縮合反応を窒素下で9時間行った。さらに、ビニルトリエトキシシラン6.25gを添加し、同温度で3時間反応(熟成)を行った。
続いて、得られた反応溶液にヘキサメチルジシロキサン15.0gを添加して、シリル化反応を70℃で3時間行った。その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、その後、上層液を分取した。次に、当該上層液から、1mmHg、60℃の条件で溶媒を留去し、末端にビニル基とトリメチルシリル基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンを無色透明の液状の生成物として19.0g得た。なお、合成例8で得られたラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンは、上述のラダー型シルセスキオキサン(B1)にあたる。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は3000、1分子当たりのビニル基の含有量(平均含有量)は4.00重量%であり、フェニル基/メチル基/ビニル基(モル比)は5/80/15であった。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの1H−NMRスペクトルは、以下の通りであった。
1H−NMR(JNM−ECA500(500MHz、CDCl3)):δ−0.3−0.3ppm(br)、5.7−6.2ppm(br)、7.1−7.7ppm(br)
<実施例及び比較例>
実施例1〜8及び比較例1〜5を、以下の手順に従って実施した。
表1及び表2に従って、イソシアヌレート化合物(C)及びシランカップリング剤(D)を所定重量比率(表1及び表2中の各成分の配合量の単位は、重量部である)で混合した後、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)、ポリオルガノシロキサン(E)、及びシルセスキオキサン(B)を混合(比較例3〜5については、ポリオルガノシロキサン(E)及びシルセスキオキサン(B)を混合)し、60℃で2時間攪拌して、硬化性樹脂組成物を得た。
上記で得た硬化性樹脂組成物をガラスプレートに塗布し、100℃で1時間、続いて、150℃で5時間加熱したところ、無色透明〜白濁の硬化物が得られた。
[ビニル基の含有量、エチレン含有量]
合成例1〜7で得られたポリオルガノシロキシシルアルキレンについて、ビニル基の含有量及びエチレン含有量は、CDCl3(和光純薬(株)製)中、内部標準物質として1,1,1,2,2,3,3−ヘプタクロロプロパン(東京化成工業(株)製)、(δ=6.51)を用いた1H−NMRスペクトルより算出した。使用した分析機器は核磁気共鳴装置JNM−ECA500(500MHz、日本電子(株)製)である。
[SOX腐食性試験]
LEDパッケージ(SDI Corporation製、商品名「SMD LED (Top View Type 3528 Pre Mold Lead Frame)」)に、実施例1〜8、比較例1〜5で得られた硬化性樹脂組成物を注入し、100℃で1時間、続いて、150℃で5時間加熱して、試料を作成した。
上記試料と硫黄粉末(キシダ化学(株)製)0.3gとを450mlのガラス瓶に入れ、さらに上記ガラス瓶をアルミ製の箱の中に入れた。続いて、上記アルミ製の箱をオーブン(ヤマト科学(株)製、型番「DN−64」)に入れ、オーブン温度を80℃に設定した後、24時間後に、LEDパッケージにおける銀製電極の腐食状況を観察した。上記電極の色は、試験前は銀白色であるが、腐食が進むに従って、茶褐色、更に黒色へと変化する。
腐食性試験の評価基準については、銀製電極にほとんど変色が見られなかった場合は「A」、僅かに茶褐色あるいは黒色へ変色した場合は「B」、完全に茶褐色若しくは黒色に変色した場合は「C」とした。結果を表1及び表2の「SOX腐食性試験(24hr)」の欄に示した。
[H2S腐食性試験]
LEDパッケージ(SDI Corporation製、商品名「SMD LED (Top View Type 3528 Pre Mold Lead Frame)」)に、実施例1〜8、比較例1〜5で得られた硬化性樹脂組成物を注入し、100℃で1時間、続いて、150℃で5時間加熱して、試料を作成した。
上記試料を硫化水素濃度25ppm、温度50℃、湿度80%RHに調整したガス腐食試験機(スガ試験機(株)製、型番「GS−UV」)に入れ、96時間後に、LEDパッケージにおける銀製電極の腐食状況を観察した。上記電極の色は、試験前は銀白色であるが、腐食が進むに従って、茶褐色、黒色へと変化する。
腐食性試験の評価基準については、上記SOX腐食試験方法と同様とした。結果を表1及び表2の「H2S腐食性試験(96hr)」の欄に示した。
[外観]
実施例1〜8、比較例1〜5で得られた硬化性樹脂組成物をガラスプレートに塗布し、100℃で1時間、続いて、150℃で5時間加熱して作製した硬化物(3mm厚)の外観を目視評価し、無色透明の場合は「○」、白濁した場合は「×」とした。結果を表1及び表2の「外観」の欄に示した。
[総合判定]
各試験の結果、下記(1)〜(3)をいずれも満たす場合を◎(良好)と判定した。下記(1)及び下記(2)を満たし、下記(3)を満たさない場合を○(可)と判断した。。下記(1)及び下記(2)を満たさない場合には×(不良)と判定した。
(1)SOXガス腐食性試験:A又はBである
(2)H2Sガス腐食性試験:A又はBである
(3)外観:○である
結果を表1及び表2の「総合判定」の欄に示した。
Figure 2016216642
Figure 2016216642
表1に示すように、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物(封止材)は、優れたSOXガスに対するバリア性及びH2Sガスに対するバリア性を有するものであった。
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:硬化物(封止材)

Claims (10)

  1. ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)、シルセスキオキサン(B)、イソシアヌレート化合物(C)、及びシランカップリング剤(D)を含み、
    ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A)として、下記式(I−1)
    Figure 2016216642
    [式(I−1)中、aは、0〜15の整数を示す。]
    で表される化合物、及び下記式(I−2)
    Figure 2016216642
    で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、下記式(II−1)
    Figure 2016216642
    [式(II−1)中、bは、0〜30の整数を示す。]
    で表される化合物、及び下記式(II−2)
    Figure 2016216642
    で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを付加させて得られ、且つ、重量平均分子量(Mw)が500以上3万未満であり、ビニル基の含有量が0.2重量%以上であるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)を含み、ポリシロキサン中の前記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A1)の割合が7重量%以上であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. シルセスキオキサン(B)としてラダー型シルセスキオキサンを含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. シルセスキオキサン(B)として、分子内に脂肪族炭素−炭素二重結合を有するラダー型シルセスキオキサンを含む請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. シルセスキオキサン(B)として、分子内にSi−H結合を有するラダー型シルセスキオキサンを含む請求項2又は3に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. シルセスキオキサン(B)として、分子内にアリール基を有するラダー型シルセスキオキサンを含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. イソシアヌレート化合物(C)として、下記式(1)
    Figure 2016216642
    [式(1)中、Rx、Ry、Rzは、同一又は異なって、式(2)で表される基、又は式(3)で表される基を示す。
    Figure 2016216642
    Figure 2016216642
    [式(2)及び式(3)中、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。]]
    で表されるイソシアヌレート化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 式(1)におけるRx、Ry、Rzのうち、いずれかひとつ以上が式(3)で表される基である請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いて得られる封止剤。
  10. 請求項9に記載の封止剤を用いて得られる半導体装置。
JP2015104334A 2015-05-22 2015-05-22 硬化性樹脂組成物及びその硬化物、封止剤、並びに半導体装置 Pending JP2016216642A (ja)

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