<硬化性樹脂組成物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A1)及び分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)からなる群より選択される少なくとも1種であるポリシロキサン(A)(単に「ポリシロキサン(A)」と称する場合がある)と、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(B1)及び分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)からなる群より選択される少なくとも1種であるポリシロキサン(B)(単に「ポリシロキサン(B)」と称する場合がある)と、複素環式化合物(C)とを必須成分として含むことを特徴とする硬化性組成物である。なお、上記複素環式化合物(C)は、少なくとも1個の窒素原子を有し、硫黄原子を有さず、且つ水素原子と直接結合した窒素原子を有しない複素環を有する複素環式化合物(C)(但し、イソシアヌレート化合物を除く)である。本明細書において、上記「少なくとも1個の窒素原子を有し、硫黄原子を有さず、且つ水素原子と直接結合した窒素原子を有しない複素環を有する複素環式化合物(C)(但し、イソシアヌレート化合物を除く)」を、単に「複素環式化合物(C)」と称する場合がある。本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の必須成分以外にも、さらに例えば、後述のヒドロシリル化触媒等のその他の成分を含んでいてもよい。
[ポリシロキサン(A)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分であるポリシロキサン(A)は、上述のように、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリシロキサンである。即ち、ポリシロキサン(A)は、アルケニル基を有するポリシロキサンであり、ヒドロシリル基を有する成分(例えば、後述のポリシロキサン(B)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリシロキサン(A)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン」に当たるものは含まれない。
ポリシロキサン(A)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(A1)(単に「ポリオルガノシロキサン(A1)」と称する場合がある)及び分子内に2個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)(単に「ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)」と称する場合がある)からなる群より選択される少なくとも1種であるポリシロキサンである。
本明細書におけるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)とは、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリオルガノシロキサンである。そして、本明細書におけるポリオルガノシロキサン(A1)は、主鎖として上記シルアルキレン結合を含まないポリオルガノシロキサンである。
(ポリオルガノシロキサン(A1))
ポリオルガノシロキサン(A1)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキサン(A1)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(A1)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキサン(A1)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(A1)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキサン(A1)が分子内に有するアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の置換又は無置換アルケニル基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。中でも、ビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(A1)は、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキサン(A1)が有するアルケニル基は、特に限定されないが、ケイ素原子に結合したものであることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A1)が有するアルケニル基以外の基は、特に限定されないが、例えば、水素原子、有機基等が挙げられる。有機基としては、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、アラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]等の一価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。なお、本明細書において「ケイ素原子に結合した基」とは、通常、ケイ素原子を含まない基を指すものとする。
また、ポリオルガノシロキサン(A1)は、ケイ素原子に結合した基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基を有していてもよい。
ポリオルガノシロキサン(A1)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキサン(A1)としては、下記平均単位式:
(R1SiO3/2)a1(R1 2SiO2/2)a2(R1 3SiO1/2)a3(SiO4/2)a4(X1O1/2)a5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R1は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R1の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R1の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR1としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X1は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、a1は0又は正数、a2は0又は正数、a3は0又は正数、a4は0又は正数、a5は0又は正数であり、かつ、(a1+a2+a3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(A1)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のアルケニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。この直鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としては、上述のアルケニル基の具体例が挙げられるが、中でもビニル基が好ましい。なお、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。また、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、特に限定されないが、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、1〜20モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、特に限定されないが、30〜90モル%が好ましい。特に、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合が40モル%以上(例えば、45〜80モル%)であるものを使用することにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性がより向上する傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(I−1)で表される。
[上記式中、R
11は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基である。但し、R
11の少なくとも2個はアルケニル基である。m1は、5〜1000の整数である。]
ポリオルガノシロキサン(A1)の他の例としては、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、RSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、上述のように、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン」に当たるものは含まれない。なお、Rは、一価の置換又は無置換炭化水素基である。この分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが有するアルケニル基としては、上述のアルケニル基の具体例が挙げられるが、中でもビニル基が好ましい。なお、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおけるアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRとしては、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、10〜40モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、特に限定されないが、5〜70モル%が好ましい。特に、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合が40モル%以上(例えば、45〜60モル%)であるものを使用することにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が50モル%以上(例えば、60〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性がより向上する傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンは、a1が正数である上記平均単位式で表すことができる。この場合、特に限定されないが、a2/a1は0〜10の数、a3/a1は0〜0.5の数、a4/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.3の数、a5/(a1+a2+a3+a4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は特に限定されないが、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜1万であることが好ましく、より好ましくは700〜3000である。
ポリオルガノシロキサン(A1)のさらに他の例としては、例えば、上記平均単位式中、a1及びa2が0であり、X1が水素原子である下記平均単位式:
(R1a 2R1bSiO1/2)a6(R1a 3SiO1/2)a7(SiO4/2)a8(HO1/2)a9
で表されるポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記平均単位式中、R1aは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基(C1-10アルキル基)を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、中でもメチル基が好ましい。また、R1bは、同一又は異なって、アルケニル基を示し、中でもビニル基が好ましい。さらに、a6、a7、a8及びa9はいずれも、a6+a7+a8=1、a6/(a6+a7)=0.15〜0.35、a8/(a6+a7+a8)=0.53〜0.62、a9/(a6+a7+a8)=0.005〜0.03を満たす正数である。但し、a7は0であってもよい。硬化性樹脂組成物の硬化性の観点で、a6/(a6+a7)は0.2〜0.3であることが好ましい。また、硬化物の硬度や機械強度の観点で、a8/(a6+a7+a8)は0.55〜0.60であることが好ましい。さらに、硬化物の接着性や機械強度の観点で、a9/(a6+a7+a8)は0.01〜0.025であることが好ましい。このようなポリオルガノシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン、SiO4/2単位と(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2単位と(CH3)3SiO1/2単位とで構成されるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
(ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2))
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は、上述のように、分子内に2個以上のアルケニル基を有し、主鎖としてシロキサン結合に加えて、シルアルキレン結合−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリオルガノシロキサンである。即ち、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)には、上述のポリオルガノシロキサン(A1)のようなシルアルキレン結合を有しないポリオルガノシロキサンは含まれない。本発明の硬化性樹脂組成物はこのようなポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)を含むと、腐食性ガスに対するバリア性と耐熱衝撃性により優れた硬化物を形成できる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)が分子内に有するシルアルキレン結合におけるアルキレン基(RA)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-12アルキレン基等が挙げられ、中でも、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。上記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は、ポリオルガノシロキサン(A1)と比較して製造工程において低分子量の環を生じ難く、また、加熱等により分解してシラノール基(−SiOH)を生じ難いため、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)を使用した場合、硬化性樹脂組成物の硬化物の表面粘着性が低減され、より黄変し難くなる傾向がある。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)と分岐鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)が分子内に有するアルケニル基としては、上述の置換又は無置換アルケニル基が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。また、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は、1種のみのアルケニル基を有するものであってもよいし、2種以上のアルケニル基を有するものであってもよい。ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)が有するアルケニル基は、特に限定されないが、ケイ素原子に結合したものであることが好ましい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)が有するアルケニル基以外のケイ素原子に結合した基は、特に限定されないが、例えば、水素原子、有機基等が挙げられる。有機基としては、例えば、上述の有機基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シクロアルキル−アルキル基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等の置換又は無置換炭化水素等)が挙げられる。
また、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は、ケイ素原子に結合した基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基を有していてもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)の性状は、特に限定されず、例えば25℃において、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)としては、下記平均単位式:
(R2 2SiO2/2)b1(R2 3SiO1/2)b2(R2SiO3/2)b3(SiO4/2)b4(RA)b5(X2O1/2)b6
で表されるポリオルガノシロキシシルアルキレンが好ましい。上記平均単位式中、R2は、同一又は異なって、一価の置換又は無置換炭化水素基であり、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R2の一部はアルケニル基(特にビニル基)であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R2の全量(100モル%)に対するアルケニル基の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。アルケニル基の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、アルケニル基以外のR2としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、RAは、上述のようにアルキレン基である。特にエチレン基が好ましい。
上記平均単位式中、X2は、上記X1と同じく、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、b1は正数、b2は正数、b3は0又は正数、b4は0又は正数、b5は正数、b6は0又は正数である。中でも、b1は1/(b1+b2+b3+b4+b5)〜200/(b1+b2+b3+b4+b5)が好ましく、b2は1/(b1+b2+b3+b4+b5)〜200/(b1+b2+b3+b4+b5)が好ましく、b3は0/(b1+b2+b3+b4+b5)〜10/(b1+b2+b3+b4+b5)が好ましく、b4は0/(b1+b2+b3+b4+b5)〜5/(b1+b2+b3+b4+b5)が好ましく、b5は1/(b1+b2+b3+b4+b5)〜100/(b1+b2+b3+b4+b5)が好ましい。特に、(b3+b4)が正数の場合には、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)が分岐鎖(分岐状の主鎖)を有し、硬化物の機械強度がより向上する傾向がある。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)としては、より具体的には、例えば、下記式(I−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンが挙げられる。
上記式(I−2)中、R12は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。R12としては、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R12の少なくとも2個はアルケニル基(特にビニル基)である。また、アルケニル基以外のR12としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記式(I−2)中、RAは、上記と同じく、アルキレン基を示し、中でも、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。なお、複数のRAが存在する場合、これらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I−2)中、r1は1以上の整数(例えば、1〜100)を示す。なお、r1が2以上の整数の場合、r1が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I−2)中、r2は1以上の整数(例えば、1〜400)を示す。なお、r2が2以上の整数の場合、r2が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I−2)中、r3は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、r3が2以上の整数の場合、r3が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I−2)中、r4は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、r4が2以上の整数の場合、r4が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I−2)中、r5は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、r5が2以上の整数の場合、r5が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、上記式(I−2)における各構造単位の付加形態は特に限定されず、ランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。また、各構造単位の配列の順番も特に限定されない。
式(I−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンの末端構造は、特に限定されないが、例えば、シラノール基、アルコキシシリル基、トリアルキルシリル基(例えば、r5が付された括弧内の構造、トリメチルシリル基等)等が挙げられる。上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの末端には、アルケニル基やヒドロシリル基等の各種の基が導入されていてもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)は公知乃至慣用の方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2012−140617号公報に記載の方法により製造できる。また、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)を含む製品として、例えば、商品名「ETERLED GD1130」、「ETERLED GD1125」、「ETERLED GS5145」、「ETERLED GS5135」、「ETERLED GS5120」(いずれも長興材料工業製)等が入手可能である。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物においてポリシロキサン(A)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、ポリシロキサン(A)は、分子内に2個以上のアルケニル基を有していればよく、さらにヒドロシリル基を有していてもよい。この場合、ポリシロキサン(A)は、後述のポリシロキサン(B)でもあり得る。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサン(A)の含有量(配合量)(総量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。含有量を50重量%以上とすることにより、硬化物の強靭性、透明性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサン(A)としては、ポリオルガノシロキサン(A1)のみを使用することもできるし、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)のみを使用することもできるし、また、ポリオルガノシロキサン(A1)とポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)とを併用することもできる。ポリオルガノシロキサン(A1)とポリオルガノシロキシシルアルキレン(A2)とを併用する場合、これらの割合は特に限定されず、適宜設定可能である。
[ポリシロキサン(B)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分であるポリシロキサン(B)は、上述のように、分子内に2個以上のヒドロシリル基(Si−H)を有するポリオルガノシロキサンである。即ち、ポリシロキサン(B)は、ヒドロシリル基を有するポリシロキサンであり、アルケニル基を有する成分(例えば、ポリシロキサン(A)等)とヒドロシリル化反応を生じる成分である。但し、ポリシロキサン(B)には、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン」に当たるものは含まれない。
ポリシロキサン(B)は、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン(B1)(単に「ポリオルガノシロキサン(B1)」と称する場合がある)及び分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)(単に「ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)」と称する場合がある)からなる群より選択される少なくとも1種であるポリオルガノシロキサンである。
本明細書におけるポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)とは、主鎖として−Si−O−Si−(シロキサン結合)に加えて、−Si−RA−Si−(シルアルキレン結合:RAはアルキレン基を示す)を含むポリオルガノシロキサンである。そして、本明細書におけるポリオルガノシロキサン(B1)は、主鎖として上記シルアルキレン結合を含まないポリオルガノシロキサンである。なお、上記シルアルキレン結合におけるRA(アルキレン基)としては、上記と同じく、例えば、直鎖又は分岐鎖状のC1-12アルキレン基が挙げられ、好ましくは直鎖又は分岐鎖状のC2-4アルキレン基(特に、エチレン基)である。
(ポリオルガノシロキサン(B1))
ポリオルガノシロキサン(B1)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキサン(B1)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキサン(B1)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキサン(B1)と分岐鎖状のポリオルガノシロキサン(B1)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキサン(B1)が有するケイ素原子に結合した基の中でも水素原子以外の基は、特に限定されないが、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基、より詳しくは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(B1)は、水素原子以外のケイ素原子に結合した基として、アルケニル基(例えばビニル基)を有していてもよいし、有していなくてもよい。
ポリオルガノシロキサン(B1)の性状は、特に限定されず、液状であってもよいし、固体状であってもよい。中でも液状であることが好ましく、25℃における粘度が0.1〜10億mPa・sの液状であることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサン(B1)としては、下記平均単位式:
(R3SiO3/2)c1(R3 2SiO2/2)c2(R3 3SiO1/2)c3(SiO4/2)c4(X3O1/2)c5
で表されるポリオルガノシロキサンが好ましい。上記平均単位式中、R3は、同一又は異なって、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R3の一部は水素原子(ヒドロシリル基を構成する水素原子)であり、その割合は、ヒドロシリル基が分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R3の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜40モル%が好ましい。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR3としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、X3は、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、c1は0又は正数、c2は0又は正数、c3は0又は正数、c4は0又は正数、c5は0又は正数であり、かつ、(c1+c2+c3)は正数である。
ポリオルガノシロキサン(B1)の一例としては、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基及び上述のアルケニル基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対する水素原子(ケイ素原子に結合した水素原子)の割合は、特に限定されないが、0.1〜40モル%が好ましい。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、20〜99モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、特に限定されないが、40〜80モル%が好ましい。特に、上記直鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合が40モル%以上(例えば、45〜70モル%)であるものを使用することにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が90モル%以上(例えば、95〜99モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性がより向上する傾向がある。
上記直鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記式(II−1)で表される。
[上記式中、R
21は、同一又は異なって、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。但し、R
21の少なくとも2個は水素原子である。m2は、5〜1000の整数である。]
ポリオルガノシロキサン(B1)の他の例としては、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、RSiO3/2で表されるシロキサン単位(T単位)を有する分岐鎖状ポリオルガノシロキサンが挙げられる。但し、上述のように、当該分岐鎖状ポリオルガノシロキサンには、後述の「ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン」に当たるものは含まれない。なお、Rは、水素原子、又は、一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける水素原子以外のケイ素原子に結合した基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基、及び上述のアルケニル基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。さらに、上記T単位中のRとしては、水素原子、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基、及び上述のアルケニル基が挙げられるが、中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。上記T単位中のRの全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、特に限定されないが、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、30モル%以上が好ましい。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンにおける、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合は、特に限定されないが、70〜95モル%が好ましい。さらに、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合は、特に限定されないが、10〜70モル%が好ましい。特に、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンとして、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアリール基(特にフェニル基)の割合が10モル%以上(例えば、10〜70モル%)であるものを使用することにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、ケイ素原子に結合した基の全量(100モル%)に対するアルキル基(特にメチル基)の割合が50モル%以上(例えば、50〜90モル%)であるものを使用することにより、硬化物の耐熱衝撃性がより向上する傾向がある。
上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンは、例えば、c1が正数である上記平均単位式で表すことができる。この場合、特に限定されないが、c2/c1は0〜10の数、c3/c1は0〜0.5の数、c4/(c1+c2+c3+c4)は0〜0.3の数、c5/(c1+c2+c3+c4)は0〜0.4の数であることが好ましい。また、上記分岐鎖状ポリオルガノシロキサンの分子量は特に限定されないが、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が300〜1万であることが好ましく、より好ましくは500〜3000である。
(ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2))
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)は、上述のように、分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、主鎖としてシロキサン結合に加えて、シルアルキレン結合を含むポリオルガノシロキサンである。なお、上記シルアルキレン結合におけるアルキレン基としては、例えば、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。上記ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)は、ポリオルガノシロキサン(B1)と比較して製造工程において低分子量の環を生じ難く、また、加熱等により分解してシラノール基(−SiOH)を生じ難いため、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)を使用した場合、硬化性樹脂組成物の硬化物の表面粘着性が低減され、より黄変し難くなる傾向がある。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)としては、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、網目状の分子構造を有するものが挙げられる。なお、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。具体的には、分子構造が異なるポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)の2種以上を併用することができ、例えば、直鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)と分岐鎖状のポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)とを併用することもできる。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)が有する水素原子以外のケイ素原子に結合した基は、特に限定されないが、例えば、有機基等が挙げられる。有機基としては、例えば、上述の一価の置換又は無置換炭化水素基及び上述のアルケニル基等が挙げられる。中でも、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。また、ポリオルガノシロキサン(B2)は、水素原子以外のケイ素原子に結合した基として、アルケニル基(例えばビニル基)を有していてもよいし、有していなくてもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)の性状は、特に限定されず、例えば25℃において、液状であってもよいし、固体状であってもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)としては、下記平均単位式:
(R4 2SiO2/2)d1(R4 3SiO1/2)d2(R4SiO3/2)d3(SiO4/2)d4(RA)d5(X4O)d6
で表されるポリオルガノシロキシシルアルキレンが好ましい。上記平均単位式中、R4は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基であり、水素原子、上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等)、及び上述のアルケニル基等が挙げられる。但し、R4の一部は水素原子であり、その割合は、分子内に2個以上となる範囲に制御される。例えば、R4の全量(100モル%)に対する水素原子の割合は、0.1〜50モル%が好ましく、より好ましくは5〜35モル%である。水素原子の割合を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上する傾向がある。また、水素原子以外のR4としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記平均単位式中、RAは、上述のようにアルキレン基である。特にエチレン基が好ましい。
上記平均単位式中、X4は、上記X3と同じく、水素原子又はアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
上記平均単位式中、d1は正数、d2は正数、d3は0又は正数、d4は0又は正数、d5は正数、d6は0又は正数である。中でも、d1は1/(d1+d2+d3+d4+d5)〜50/(d1+d2+d3+d4+d5)が好ましく、d2は1/(d1+d2+d3+d4+d5)〜50/(d1+d2+d3+d4+d5)が好ましく、d3は0/(d1+d2+d3+d4+d5)〜10/(d1+d2+d3+d4+d5)が好ましく、d4は0/(d1+d2+d3+d4+d5)〜5/(d1+d2+d3+d4+d5)が好ましく、d5は1/(d1+d2+d3+d4+d5)〜30/(d1+d2+d3+d4+d5)が好ましい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)としては、より具体的には、例えば、下記式(II−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンが挙げられる。
上記式(II−2)中、R22は、同一又は異なって、水素原子、又は一価の置換若しくは無置換炭化水素基である。R22としては、水素原子、上述の一価の置換若しくは無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び上述のアルケニル基が挙げられる。但し、R22の少なくとも2個は水素原子である。また、水素原子以外のR22としては、アルキル基(特にメチル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記式(II−2)中、RAは、式(I−2)におけるRAと同じく、アルキレン基を示し、中でも、C2-4アルキレン基(特に、エチレン基)が好ましい。なお、複数のRAが存在する場合、これらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II−2)中、q1は1以上の整数(例えば、1〜100)を示す。なお、q1が2以上の整数の場合、q1が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II−2)中、q2は1以上の整数(例えば、1〜400)を示す。なお、q2が2以上の整数の場合、q2が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II−2)中、q3は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、q3が2以上の整数の場合、q3が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II−2)中、q4は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、q4が2以上の整数の場合、q4が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II−2)中、q5は0又は1以上の整数(例えば、0〜50)を示す。なお、q5が2以上の整数の場合、q5が付された括弧内の構造はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、上記式(II−2)における各構造単位の付加形態は特に限定されず、ランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。。
式(II−2)で表される構造を有するポリオルガノシロキシシルアルキレンの末端構造は、特に限定されないが、例えば、シラノール基、アルコキシシリル基、トリアルキルシリル基(例えば、q5が付された括弧内の構造、トリメチルシリル基等)等が挙げられる。上記ポリオルガノシロキシシルアルキレンの末端には、ヒドロシリル基等の各種の基が導入されていてもよい。
ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)は公知乃至慣用の方法により製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2012−140617号公報に記載の方法により製造できる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物においてポリシロキサン(B)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサン(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)の全量100重量部に対して、1〜200重量部が好ましい。ポリシロキサン(B)の含有量を上記範囲に制御することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性がより向上し、効率的に硬化物を形成することができる傾向がある。ポリシロキサン(B)の含有量が上記範囲内であると、硬化反応が十分に進行すること等により、硬化物の耐熱性、耐熱衝撃性、耐リフロー性等の特性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるポリシロキサン(B)としては、ポリオルガノシロキサン(B1)のみを使用することもできるし、ポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)のみを使用することもできるし、また、ポリオルガノシロキサン(B1)とポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)とを併用することもできる。ポリオルガノシロキサン(B1)とポリオルガノシロキシシルアルキレン(B2)とを併用する場合、これらの割合は特に限定されず、適宜設定可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物(100重量%)におけるポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)の含有量の合計(合計含有量)は、特に限定されないが、60〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜96重量%、さらに好ましくは80〜90重量%である。上記合計含有量を上記範囲に制御することにより、硬化物の強靭性、耐熱性、透明性がより向上する傾向がある。
[複素環式化合物(C)]
本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分である複素環式化合物(C)は、少なくとも1個の窒素原子を有し、硫黄原子を有さず、且つ水素原子と直接結合した窒素原子を有しない複素環を有する化合物である。なお、本明細書において、「複素環」とは、複素環そのものをいい、複素環に結合した置換基等を含まないものをいう。また、本明細書において、上記「少なくとも1個の窒素原子を有し、硫黄原子を有さず、且つ水素原子と直接結合した窒素原子を有しない複素環」を、「窒素原子含有複素環(c)」と称する場合がある。従って、窒素原子含有複素環(c)には、チアゾール等の窒素原子及び硫黄原子を有する複素環や、ピロリジン等の水素原子と直接結合した窒素原子を有する複素環は含まれない。なお、上記複素環式化合物(C)には、イソシアヌレート環を有する化合物(「イソシアヌレート化合物」と称する場合がある)は含まれない。本発明の硬化性樹脂組成物は複素環式化合物(C)を必須成分として含むことにより、複素環式化合物として、窒素原子含有複素環(c)を有する複素環式化合物(C)を用いることにより、硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化阻害を起こりにくくすることによるものと推測されるが、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物を形成できる。
窒素原子含有複素環(c)としては、例えば、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、トリアジン環、モルホリン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、カルバゾール環、ベンゾ[c]シンノリン環、ピリミジン環、トリアゾール環等が挙げられる。中でも、ピリミジン環、トリアジン環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、ピペリジン環、ベンゾトリアゾール環が好ましい。なお、複素環式化合物(C)中の窒素原子含有複素環(c)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、上記複素環式化合物(C)中の窒素原子含有複素環(c)の数は1であってもよいし、同一又は異なる2以上であってもよい。
複素環式化合物(C)としては、例えば、ピリジン、オキサゾール、ピラジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、ベンゾ[c]シンノリン、ピリミジン、これらの誘導体、ピロリジン誘導体、ピロール誘導体、ピペリジン誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、プリン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体等が挙げられる。中でも、ピリミジン、ピリミジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、ピラゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、プリン誘導体、ピペリジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体が好ましい。この場合、ポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)との相溶性、樹脂組成物中の溶解性が向上する傾向がある。
複素環式化合物(C)としては、中でも、下記式(1a)〜(1f)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。この場合、ポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)との相溶性、樹脂組成物中の溶解性がより向上する傾向がある。
上記式(1a)中、R
31は、水素原子、又は下記式(1a−I)で表される基を示す。
上記式(1a−I)中、R33(3つのR33)は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R33における置換基を有していてもよい炭化水素基としては、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等]、シクロアルキル基[例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等]、アルケニル基[例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等]、アリール基[例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等]、シクロアルキル−アルキル基[例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等]、アラルキル基[例えば、ベンジル基、フェネチル基等]、炭化水素基における1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基[例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等]等の一価の置換又は無置換炭化水素基等が挙げられる。また、置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基等が挙げられる。また、上記置換基としては、上記一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−CO−O−)、アミド結合(−CO−NH−)、カルボニル基(−CO−)等の連結基を介して結合した基も挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、中でも、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基)、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。即ち、上記R33としては、中でも、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
上記式(1a−I)で表される基としては、中でも、t−ブチル基、(1−メチル−1−フェニル)エチル基が好ましい。即ち、上記R31としては、水素原子、t−ブチル基、(1−メチル−1−フェニル)エチル基が好ましい。
上記式(1a)中、R
32は、上記式(1a−I)で表される基、又は下記式(1a−II)で表される基を示す。
上記式(1a−II)中、R34は、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R34における置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基の具体例が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-20アルキル基)が好ましく、より好ましくは直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基である。また、式(1a−II)中、pは、1〜20の整数(好ましくは1〜8の整数、より好ましくは1〜6の整数)を示す。
R32としての式(1a−I)で表される基におけるR33は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR31としての式(1a−I)で表される基中のR33における置換基を有していてもよい炭化水素基の具体例が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、中でも、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基)、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。即ち、上記R33としては、中でも、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
上記式(1a)で表される化合物としては、中でも、R31が、水素原子、又はR33が直鎖若しくは分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖若しくは分岐鎖状のC1-3アルキル基)若しくは炭素数6〜10のアリール基である式(1a−I)で表される基であり、R32が、R33が直鎖若しくは分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖若しくは分岐鎖状のC1-3アルキル基)若しくは炭素数6〜10のアリール基である式(1a−I)で表される基、又はR34が直鎖若しくは分岐鎖状のC1-20アルキル基でありpが1〜8(好ましくは1〜6)の整数である式(1a−II)で表される基である化合物が特に好ましい。
上記式(1a)で表される化合物の具体例としては、下記式(1a−III)〜(1a−VII)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(1a−V)及び(1a−VI)中、Phはフェニル基を示す。上記式(1a)で表される化合物の具体例としては、その他にも、3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)骨格を有するカルボン酸とポリエチレングリコールとの反応生成物[例えば、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300の反応生成物等]等が挙げられる。
上記式(1b)中、R35は、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R35における置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基)がより好ましく、直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基がさらに好ましい。また、上記置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基の具体例が挙げられる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基(より好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基)が好ましい。従って、R35は、ヒドロキシ基及び/又はアルコキシ基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
上記式(1b)中、R36及びR37は、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアリール基を示す。上記置換基を有していてもよいアリール基が有する芳香環としては、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等)、芳香族複素環(例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環等)等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環が好ましく、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、さらに好ましくはベンゼン環である。上記置換基を有していてもよいアリール基が有する置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基の他、連結基を含んでいてもよい炭化水素等が挙げられる。上記炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、連結基を含む炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等の連結基を介して結合した基が挙げられる。上記置換基を有していてもよいアリール基が有する置換基としては、中でも、直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシ基(C1-8アルコキシ基)が好ましい。また、上記置換基を有していてもよいアリール基における置換基の結合位置は、特に限定されないが、上記式(1b)中のトリアジン環に結合する位置に対してオルト位及び/又はパラ位が好ましく、より好ましくはオルト位及びパラ位である。また、上記置換基を有していてもよいアリール基における置換基の数も特に限定されない。
上記式(1b)中のR36及びR37の具体例としては、特に限定されないが、キシリル基(特に、2,4−キシリル基)、4−(C1-8アルコキシ)−2−ヒドロキシフェニル基、2,4−ジ(C1-8アルコキシ)フェニル基が好ましい。
上記式(1b)で表される化合物としては、中でも、R35が、ヒドロキシ基及び/又はアルコキシ基を有していてもよいアルキル基であり、R36及びR37が、同一又は異なって、キシリル基(特に、2,4−キシリル基)、4−(C1-8アルコキシ)−2−ヒドロキシフェニル基、又は2,4−ジ(C1-8アルコキシ)フェニル基である化合物が特に好ましい。
上記式(1b)で表される化合物の具体例としては、下記式(1b−I)〜(1b−III)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(1c)中、R38は、連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示す。上記炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、連結基を含む炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等の連結基を介して結合した基が挙げられる。中でも、R38は、C1-10アルキル基(特に、C1-8アルキル基)、炭素数1〜10のアルコキシ基(特に、炭素数1〜8のアルコキシ基)が好ましい。
上記式(1c)中、R39は、二価の有機基を示す。上記二価の有機基は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルキレン基(特に、炭素数が1〜20のアルキレン基);ビニレン等のアルケニレン基(特に、炭素数が2〜20のアルケニレン基);シクロペンチレン、シクロヘキシレン基等のシクロアルケニレン基;フェニレン基等のアリーレン基;これらの2以上が、直接又は連結基(例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等)を介して結合した二価の有機基等が挙げられる。これらの例示された基は置換基を有していてもよい。また、これらの例示された基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)で置換されていてもよい。
上記式(1c)中、R40は、置換基を有していてもよい有機基を示す。R40における置換基を有していてもよい有機基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)、及び置換又は無置換複素環基等が挙げられる。また、置換基を有していてもよい有機基における置換基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基の具体例が挙げられる。
上記置換又は無置換複素環基における複素環としては、ピロリジン環、ピロール環、ピペリジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、トリアジン環、モルホリン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、カルバゾール環、ベンゾ[c]シンノリン環、ピリミジン環、トリアゾール環等の窒素原子含有複素環が好ましく、より好ましくは窒素原子含有複素環(c)である。上記複素環としては、中でも、ピペリジン環が好ましい。即ち、上記置換基又は無置換複素環基としては、ピペリジニル基(例えば、2−ピペリジニル基、3−ピペリジニル基、4−ピペリジニル基等)が好ましい。なお、上記ピペリジニル基は、置換基を有していてもよい。また、上記ピペリジニル基における置換基の結合位置は、窒素原子上であってもよいし、炭素原子上であってもよい。
上記式(1c)で表される化合物としては、中でも、R38が、C1-10アルキル基(特に、C1-8アルキル基)、又は炭素数1〜10のアルコキシ基(特に、炭素数1〜8のアルコキシ基)であり、R40が、置換基を有していてもよいピペリジニル基である化合物を少なくとも含むことが好ましい。
上記式(1c)で表される化合物の具体例としては、下記式(1c−I)〜(1c−IV)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(1d)中、R41は、連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示す。上記炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、連結基を含む炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等の連結基を介して結合した基が挙げられる。
R41における上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基、炭化水素基置換カルバモイル基(アミド結合(−CO−NH−)を介して置換基を有していてもよい炭化水素基が結合した基)、炭化水素基置換オキシカルボニル基(エステル結合(−CO−O−)を介して置換基を有していてもよい炭化水素基が結合した基)、炭化水素基置換オキシ基(エーテル結合(−O−)を介して置換基を有していてもよい炭化水素基が結合した基)等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基の具体例が挙げられる。上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、中でも、炭化水素基置換カルバモイル基が好ましい。
上記炭化水素基置換カルバモイル基における炭化水素基としては、上述のR33としての一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられ、中でも、アルキル基(特に、C1-8アルキル基)が好ましい。即ち、上記炭化水素基置換カルバモイル基は、アルキル基(特に、C1-8アルキル基)置換カルバモイル基が好ましい。また、上記置換基を有していてもよいアルキル基置換カルバモイル基におけるアルキル基は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基の具体例が挙げられ、中でも、アシルオキシ基が好ましい。上記アシルオキシ基は、(−O−CO−R)で表され、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。上記アシルオキシ基中の置換基を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、アルキル基等の飽和脂肪族炭化水素基;アルケニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;アリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられ、中でも、不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、ビニル基、イソプロペニル基のアルケニル基等)が好ましく、より好ましくはアルケニル基である。即ち、上記アシルオキシ基は、不飽和脂肪族アシルオキシ基が好ましい。従って、R41は、アミド結合を介して不飽和脂肪族アシルオキシ基置換アルキル基が結合した基が好ましい。
上記式(1d)中、R42及びR43は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33としての一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基における置換基の具体例が挙げられる。R42及びR43は、中でも、C1-8アルキル基(特にC1-3アルキル基)が好ましい。
上記式(1d)で表される化合物としては、中でも、R41が、アミド結合を介して不飽和脂肪族アシルオキシ基置換アルキル基が結合した基であり、R42及びR43が、同一又は異なって、C1-8アルキル基(特にC1-3アルキル基)である化合物が好ましい。
上記式(1d)で表される化合物の具体例としては、下記式(1d−I)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(1e)中、R44、R45、及びR46は、同一又は異なって、連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示す。上記炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、連結基を含む炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等の連結基を介して結合した基が挙げられる。
R44における上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基の具体例が挙げられる。上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、中でも、アシル基を有する脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくはアシル基を有する飽和脂肪族炭化水素基である。上記飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基が好ましい。また、上記アシル基としては、飽和脂肪族アシル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等の炭素数1〜10の飽和脂肪族アシル基がより好ましい。従って、R44は、飽和脂肪族アシル基(特に、炭素数1〜10の飽和脂肪族アシル基)を有していてもよい直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基が好ましい。
R45及びR46における上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基の具体例が挙げられる。上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、中でも、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)が好まし。
上記式(1e)で表される化合物としては、中でも、R44が、飽和脂肪族アシル基(特に、炭素数1〜10の飽和脂肪族アシル基)を有していてもよい直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基であり、R45及びR46が、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)である化合物が好ましい。
上記式(1e)で表される化合物の具体例としては、下記式(1e−I)で表される化合物等が挙げられる。
上記式(1f)中、R47及びR48は、同一又は異なって、連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示す。上記炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の具体例(例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化炭化水素基等)が挙げられる。また、連結基を含む炭化水素基としては、上述のR33における一価の置換又は無置換炭化水素基の2以上が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基等の連結基を介して結合した基が挙げられる。
R47及びR48における上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、具体的には、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基等が挙げられる。上記置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上述のR33としての置換基を有していてもよい炭化水素基の具体例が挙げられる。上記連結基を含んでいてもよい炭化水素基としては、中でも、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)が好ましい。従って、上記式(1f)で表される化合物としては、R47及びR48が、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基)である化合物が好ましい。
上記式(1f)で表される化合物の具体例としては、下記式(1f−I)で表される化合物等が挙げられる。
複素環式化合物(C)は、特に限定されないが、水素原子が直接結合した窒素原子を含む複素環を有しないことが好ましい。この場合、硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化阻害を起こりにくくする傾向がある。
複素環式化合物(C)は、特に限定されないが、硫黄原子を含む複素環を有しないことが好ましい。この場合、硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化阻害を起こりにくくする傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物において複素環式化合物(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、複素環式化合物(C)は、商品名「TINUVIN PS」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 1130」(以上、式(1a)で表される化合物)、「TINUVIN 400」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」(以上、式(1b)で表される化合物)、「TINUVIN 123」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN 144」(以上、式(1c)で表される化合物)(以上、BASFジャパン(株)製)、「カレンズMOI−BP」(昭和電工(株)製、式(1d)で表される化合物)等の市販品を入手することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物が複素環式化合物(C)を含むことにより、その硬化物が腐食性ガスに対するバリア性を発揮できるのは、複素環式化合物(C)に含まれる窒素原子上の非共有電子対が半導体装置の電極表面の銀原子へ配位結合することによって、電極と腐食性ガスとの反応を防ぐためであると推測される。
本発明の硬化性樹脂組成物における複素環式化合物(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.001〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.005〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。複素環式化合物(C)の含有量を0.001重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、複素環式化合物(C)の含有量を10重量%以下とすることにより、硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。
[イソシアヌレート化合物(D)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(2)で表されるイソシアヌレート化合物(「イソシアヌレート化合物(D)」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(D)を含む場合には、硬化物の被着体に対する密着性がいっそう向上し、さらに、腐食性ガスに対するバリア性がより高くなる傾向がある。
式(2)中、R
f、R
g、及びR
hは、同一又は異なって、式(2a)で表される基、又は式(2b)で表される基を示す。但し、R
f、R
g、及びR
hのうち少なくとも1個は、式(2b)で表される基である。
式(2a)中、Riは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(直鎖若しくは分岐鎖状のC1-8アルキル基)を示す。直鎖若しくは分岐鎖状のC1-8アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖若しくは分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。中でもRiとしては、水素原子が特に好ましい。
なお、式(2)におけるRf、Rg、及びRhのうち2個が式(2a)で表される基である場合、これらの式(2a)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、イソシアヌレート化合物(D)は、式(2a)で表される基を有していなくてもよい。
式(2b)中、Rjは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(直鎖若しくは分岐鎖状のC1-8アルキル基)を示す。直鎖若しくは分岐鎖状のC1-8アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖若しくは分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。中でもRjとしては、水素原子が特に好ましい。
なお、式(2)におけるRf、Rg、及びRhのうち2個又は3個が式(2b)で表される基である場合、これらの式(2b)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イソシアヌレート化合物(D)としては、例えば、式(2)におけるRf、Rg、及びRhのうち1個が式(2b)で表される基である化合物(「モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物」と称する場合がある)、式(2)におけるRf、Rg、及びRhのうち2個が式(2b)で表される化合物(「ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート化合物」と称する場合がある)、式(2)におけるRf、Rg、及びRhの全てが式(2b)で表される化合物(「トリアリルイソシアヌレート化合物」と称する場合がある)が挙げられる。
上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物としては、具体的には、例えば、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート化合物としては、具体的には、例えば、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記トリアリルイソシアヌレート化合物としては、具体的には、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2−メチルプロペニル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてイソシアヌレート化合物(D)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、イソシアヌレート化合物(D)は、例えば、市販品として入手することが可能である。
イソシアヌレート化合物(D)が式(2a)で表される基を有するものである場合は、例えば、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物と反応させて、変性した上で使用することもできる。
イソシアヌレート化合物(D)は式(2b)で表される基を有するため、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物とあらかじめ反応(ヒドロシリル化反応)させた上で使用することもできる。例えば、上記モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物と後述のラダー型シルセスキオキサン(H)とをヒドロシリル化触媒の存在下で反応させたものを、本発明の硬化性樹脂組成物の構成成分として使用することもできる。
イソシアヌレート化合物(D)は、他の成分との相溶性を向上させる観点から、後述のように、シランカップリング剤(F)とあらかじめ混合してから、他の成分に配合することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(D)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるイソシアヌレート化合物(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.01〜6重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜4重量%、さらに好ましくは0.08〜3重量%である。イソシアヌレート化合物(D)の含有量を0.01重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性、被着体に対する密着性がより向上する傾向がある。一方、イソシアヌレート化合物(D)の含有量を6重量%以下とすることにより、硬化性樹脂組成物においてイソシアヌレート化合物(D)に起因する固体の析出が抑制されやすくなる傾向がある。
[イソシアヌレート化合物(E)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(3)で表されるイソシアヌレート化合物(「イソシアヌレート化合物(E)」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(E)を含む場合には、腐食性ガスに対するバリア性により優れた硬化物を形成できる。また、イソシアヌレート化合物(E)は、本発明の硬化性樹脂組成物における溶解性が良好であるためと考えられるが、増量した場合や硬化性樹脂組成物を加熱しない場合にも、固体として析出を生じにくくなる。
式(3)中、R
a、R
b、及びR
cは、同一又は異なって、式(3a)で表される基、式(3b)で表される基、水素原子、又はアルキル基を示す。但し、R
a、R
b、及びR
cのうち少なくとも1個は、式(3a)で表される基である。
式(3a)中、Rdは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基)を示す。直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。中でもRdとしては、水素原子が特に好ましい。
式(3a)中、sは、2〜10の整数を示す。中でも、2〜8の整数が好ましく、より好ましくは2〜6の整数、さらに好ましくは2〜4の整数である。sが上記範囲にあることにより、硬化性樹脂組成物における固体析出の抑制と、硬化物の腐食性ガスに対する優れたバリア性とが、より高いレベルで両立される傾向がある。
なお、式(3)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個又は3個が式(3a)で表される基である場合、これらの式(3a)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(3b)中、Reは、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基)を示す。直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-3アルキル基が好ましい。中でもReとしては、水素原子が特に好ましい。
式(3b)におけるtは、1〜10の整数を示す。中でも1〜6の整数が好ましい。
なお、式(3)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個が式(3b)で表される基である場合、これらの式(3b)で表される基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、イソシアヌレート化合物(E)は、式(3b)で表される基を有していなくてもよい。
Ra、Rb、及びRcとしてのアルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよく、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(例えば、直鎖又は分岐鎖状のC1-8アルキル基);シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等の環状のアルキル基(シクロアルキル基)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(E)を含む場合、その硬化物が腐食性ガスに対するバリア性を発揮できるのは、他の成分と反応した状態及び未反応の状態に関わらず、硬化物中でイソシアヌレート化合物(E)におけるイソシアヌレート骨格がSOxガス等の腐食性ガスをトラップするためであると推測される。
イソシアヌレート化合物(E)としては、例えば、式(3)におけるRa、Rb、及びRcのうち1個が式(3a)で表される基である化合物、式(3)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個が式(3a)で表される基である化合物、式(3)におけるRa、Rb、及びRcの全てが式(3a)で表される基である化合物が挙げられる。特に固体析出の問題が生じにくい点で、式(3)におけるRa、Rb、及びRcのうち2個又は3個が式(3a)で表される基である化合物が好ましく、より好ましくは式(3)におけるRa、Rb、及びRcの全てが式(3a)で表される基である化合物である。
イソシアヌレート化合物(E)は、分子内に上述の式(3a)で表される基を必須の基として有するものであるためと推測されるが、当該基を有しないもの(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等)と同等以上の腐食性ガスに対するバリア性の向上効果を有しながら、上記基を有しないものに比べて、本発明の硬化性樹脂組成物における他の成分(特に、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B))との相溶性が非常に良好であり、その結果、硬化性樹脂組成物における固体析出の問題が生じることなく、また、調製時にも他の成分に対して容易に溶解させることができる。このため、硬化性樹脂組成物の生産性が向上する。また、イソシアヌレート化合物(E)の含有量を多くした場合であっても上述の固体析出の問題が生じないため、イソシアヌレート化合物(E)の増量による硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の著しい向上が可能となる。
イソシアヌレート化合物(E)は、例えば、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物と反応させて、変性した上で使用することもできる。
イソシアヌレート化合物(E)が式(3b)で表される基を有するものである場合は、例えば、ヒドロシリル基を有する化合物とあらかじめ反応(ヒドロシリル化反応)させた上で使用することもできる。例えば、後述のラダー型シルセスキオキサン(H)とともにヒドロシリル化触媒の存在下で反応させたものを、本発明の硬化性樹脂組成物の構成成分として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてイソシアヌレート化合物(E)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、イソシアヌレート化合物(E)は、商品名「TEPIC−VL」(日産化学工業(株)製)等の市販品を入手することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(E)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるイソシアヌレート化合物(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜3重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。イソシアヌレート化合物(E)の含有量を0.01重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、イソシアヌレート化合物(E)の含有量を10重量%以下とすることにより、耐熱性、強靭性、透明性等により優れる硬化物が得られる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物がイソシアヌレート化合物(D)及びイソシアヌレート化合物(E)を含む場合、イソシアヌレート化合物(D)とイソシアヌレート化合物(E)の含有量の合計(合計含有量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%、特に好ましくは0.3〜2重量%である。上記合計含有量を0.01重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が著しく向上する傾向がある。一方、上記合計含有量の含有量を15重量%以下とすることにより、硬化性樹脂組成物における固体析出の問題がより抑制される傾向がある。
[シランカップリング剤(F)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤(F)を含んでいてもよい。シランカップリング剤(F)を含む場合には、特に、硬化物の被着体に対する密着性がいっそう向上する傾向がある。さらに、シランカップリング剤(F)は、イソシアヌレート化合物(D)(特に、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物)やラダー型シルセスキオキサン(H)等との相溶性が良好であるため、特に、イソシアヌレート化合物(D)等のその他の成分に対する相溶性を向上させることを可能とする。具体的には、例えば、イソシアヌレート化合物(D)を使用する場合には、あらかじめイソシアヌレート化合物(D)とシランカップリング剤(F)との組成物を形成した上で、その他の成分と配合させると、均一な硬化性樹脂組成物が得られやすい。
シランカップリング剤(F)としては、公知乃至慣用のシランカップリング剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシシラン)、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピレントリメトキシシラン、メルカプトプロピレントリエトキシシラン、アルコキシオリゴマー(例えば、商品名「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「X−41−1056」、「X−41−1085」、「X−41−1818」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2665A」、「KR−513」、「KC−89S」、「KR−500」、「X−40−9225」、「X−40−9246」、「X−40−9250」;以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。中でも、エポキシ基含有シランカップリング剤(特に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を好ましく使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物においてシランカップリング剤(F)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、シランカップリング剤(F)としては、市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がシランカップリング剤(F)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるシランカップリング剤(F)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。シランカップリング剤(F)の含有量を0.01重量%以上とすることにより、硬化物の被着体に対する密着性がより向上する傾向がある。また、イソシアヌレート化合物(D)の硬化性樹脂組成物中での溶解性を向上させることができるため、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性のさらなる向上が可能となる場合がある。一方、シランカップリング剤(F)の含有量を15重量%以下とすることにより、十分に硬化反応が進行し、硬化物の靱性、耐熱性、腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。
[ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンを含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンを含む場合には、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより高くなる傾向がある。上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンは、実験式(基本構造式)RSiO1.5で表されるポリシロキサンであって、分子内にラダー状のSi−O−Si構造(ラダー構造)を少なくとも含むポリオルガノシルセスキオキサンである。
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、上記構造を有する公知乃至慣用のポリオルガノシルセスキオキサンを使用することができ、特に限定されないが、分子内に1以上(特に2以上)の脂肪族炭素−炭素二重結合を有するもの、分子内に1以上(特に2以上)のヒドロシリル基を有するものが好ましい。また、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、側鎖[主骨格(主鎖)であるラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン骨格(Si−O結合で形成された骨格)から枝分かれしている部分]の一部又は全部が、置換若しくは無置換のアリール基(芳香族炭化水素基)であるものが好ましい。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、後述のR5として例示する置換若しくは無置換のアリール基等が挙げられる。
中でも、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性、機械強度等の観点で、以下に説明するラダー型シルセスキオキサン(G)、ラダー型シルセスキオキサン(H)が特に好ましい。
(ラダー型シルセスキオキサン(G))
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンとしてのラダー型シルセスキオキサン(G)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(V)で表される単位構造及び式(VI)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)は、実験式(基本構造式)R5SiO1.5で表されるポリシロキサンである。なお、R5は、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、R5(上記ポリオルガノシルセスキオキサン中のR5)の少なくとも一部は、一価の有機基である。上記ポリオルガノシルセスキオキサン中のR5は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記R5におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。上記R5における一価の有機基としては、例えば、置換又は無置換の炭化水素基(一価の炭化水素基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基等が挙げられる。
上記R5における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基が挙げられる。
上記R5における脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基)等が挙げられる。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、さらに好ましくはC2-4アルキニル基)等が挙げられる。
上記R5における脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC3-12のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC4-15の架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
上記R5における芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基(例えば、C6-14アリール基、特にC6-10アリール基)等が挙げられる。
また、上記R5における脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基)、シンナミル基等のC6-10アリール−C2-6アルケニル基、トリル基等のC1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基等が挙げられる。
上記R5における炭化水素基は置換基を有する炭化水素基(置換炭化水素基)であってもよい。上記置換炭化水素基における置換基の炭素数は0〜20が好ましく、より好ましくは0〜10である。該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、より好ましくはC1-4アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(好ましくはC2-6アルケニルオキシ基、より好ましくはC2-4アルケニルオキシ基);フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくはC6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(好ましくはC1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(好ましくはC1-6アルキルチオ基、より好ましくはC1-4アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(好ましくはC2-6アルケニルチオ基、より好ましくはC2-4アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくはC6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(好ましくはC7-18アラルキルチオ基);カルボキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(好ましくはC6-14アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(好ましくはC7-18アラルキルオキシ−カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(好ましくはモノ又はジ−C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(好ましくはC1-11アシルアミノ基);グリシジルオキシ基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。置換炭化水素基が有する置換基の数は、特に限定されない。
上記R5における一価の酸素原子含有基としては、例えば、ヒドロキシ基、ヒドロパーオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、イソシアナート基、スルホ基、カルバモイル基等が挙げられる。上記一価の窒素原子含有基としては、例えば、アミノ基又は置換アミノ基(モノ又はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基等)、シアノ基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、カルバモイル基等が挙げられる。また、上記一価の硫黄原子含有基としては、例えば、メルカプト基(チオール基)、スルホ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、イソチオシアナート基等が挙げられる。なお、上述の一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、一価の硫黄原子含有基は、相互に重複し得る。
さらに、上記R
5としては、下記式(s)で表される基が挙げられる。
上記式(s)中のR51(3つのR51)は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示し、これらの基としては、上記R5として例示したものと同様の基が挙げられる。
上記式(s)で表される基において、各R51としては、それぞれ、水素原子;C1-10アルキル基(特に、C1-4アルキル基);C2-10アルケニル基(特に、C2-4アルケニル基);C3-12シクロアルキル基;C3-12シクロアルケニル基;芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいC6-14アリール基;C7-18アラルキル基;C6-10アリール−C2-6アルケニル基;ヒドロキシ基;C1-6アルコキシ基;ハロゲン原子が好ましい。
上記の中でも、R5としては、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換又は無置換の炭化水素基、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基)、芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)である。
一般に、ポリオルガノシルセスキオキサンの構造としては、ラダー状のSi−O−Si構造(ラダー構造)、カゴ状のSi−O−Si構造(カゴ構造)、ランダム状のSi−O−Si構造(ランダム構造)等が挙げられるが、ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサンは、上記ラダー構造を少なくとも含むポリオルガノシルセスキオキサン(ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン)である。
ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサンは、例えば、下記式(L)で表される。
上記式(L)において、vは1以上の整数(例えば、1〜5000)を表し、好ましくは1〜2000の整数、さらに好ましくは1〜1000の整数である。式(L)中のR5は、上記R5と同じものを示す。Tは末端基を示す。
ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサン中のケイ素原子に直接結合した基(上記実験式におけるR5、例えば、式(L)におけるR5(側鎖))は、特に限定されないが、上記基の全量(100モル%)に対する置換又は無置換の炭化水素基の占める割合が50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。特に、上記基の全量(100モル%)に対する、置換又は無置換の直鎖又は分岐鎖状のC1-10アルキル基(特に、メチル基、エチル基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-4アルキル基)、置換又は無置換のC6-10アリール基(特に、フェニル基)、置換又は無置換のC7-10アラルキル基(特に、ベンジル基)の合計量が、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、ラダー型シルセスキオキサン(G)は、側鎖[主骨格(主鎖)であるラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン骨格から枝分かれしている部分、例えば、上記式(L)におけるR5]の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基(芳香族炭化水素基)であることが好ましい。
ラダー型シルセスキオキサン(G)は、上記ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端の一部又は全部に、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を少なくとも有する。上記ポリオルガノシルセスキオキサンが上記式(L)で表される場合、ラダー型シルセスキオキサン(G)は、式(L)中のTの一部又は全部が以下のポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)で置換された構造を有する。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)は、下記式(V)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)及び下記式(VI)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)を少なくとも含む残基である。
上記式(V)中のR6は、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を示す。上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基);シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式不飽和炭化水素基;スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基;シンナミル基等が挙げられる。なお、上記脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基には、上記式(s)で表される基において、3つのR51のうち少なくとも1つが上記のC2-20アルケニル基、C3-12のシクロアルケニル基、C4-15の架橋環式不飽和炭化水素基、C2-4アルケニル置換アリール基、シンナミル基等である基も含まれる。中でも、R6としては、アルケニル基が好ましく、より好ましくはC2-20アルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
上記式(VI)中のR7は、同一又は異なって、炭化水素基(一価の炭化水素基)を示す。上記炭化水素基としては、上記R5として例示したものと同様の炭化水素基が例示される。中でも、R7としては、C1-20アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、特に好ましくはメチル基である。特に、式(VI)中のR7がいずれもメチル基であることが好ましい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)は、式(V)で表される単位構造と式(VI)で表される単位構造以外にも、例えば、下記式(V’)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)を有していてもよい。
上記式(V’)中のR6’は、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を除く一価の基を示す。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭素−炭素二重結合を有する基を除く一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基等が挙げられる。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)における式(V)に表された3つの酸素原子が結合したケイ素原子の量は、特に限定されないが、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、より好ましくは25〜60モル%である。含有量が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(G)が有する脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。一方、含有量が80モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(G)中にシラノール基や加水分解性シリル基が多く残存するため、ラダー型シルセスキオキサン(G)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が悪化する場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)における式(VI)に表された1つの酸素原子が結合したケイ素原子の量は、特に限定されないが、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜85モル%が好ましく、より好ましくは30〜75モル%である。含有量が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(G)中にシラノール基や加水分解性シリル基が残存しやすく、ラダー型シルセスキオキサン(G)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が悪化する場合がある。一方、含有量が85モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(G)が有する脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)が有するSi−O−Si構造(骨格)としては、特に限定されず、例えば、ラダー構造、カゴ構造、ランダム構造等が挙げられる。
ラダー型シルセスキオキサン(G)は、例えば、下記式(L
a)で表すことができる。式(L
a)中のv、R
5としては、上記式(L)と同様のものが例示される。式(L
a)中のAは、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)、又は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、若しくはアシルオキシ基を示し、Aの一部又は全部はポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)である。なお、式(L
a)中の複数(2〜4個)のAがポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)である場合、それぞれのAは互いに又は他の式(L
a)で表される分子が有するAと1以上のSi−O−Si結合を介して結合していてもよい。
なお、ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)は、さらに、後述のラダー型シルセスキオキサン(H)における式(VII)で表される単位構造を有するものであってもよい。この場合、ラダー型シルセスキオキサン(G)は、ラダー型シルセスキオキサン(H)として使用することも可能な場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(G)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ラダー構造を有し、分子鎖末端にシラノール基及び/又は加水分解性シリル基(シラノール基及び加水分解性シリル基のいずれか一方又は両方)を有するポリオルガノシルセスキオキサンの分子鎖末端に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(a)を形成する方法が挙げられる。具体的には、国際公開第2013/176238号等の文献に開示された方法等により製造できる。
ラダー型シルセスキオキサン(G)における、分子内の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)を有することにより、耐熱性等の各種物性、耐クラック性、腐食性ガスに対するバリア性に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(G)中の脂肪族炭素−炭素二重結合の含有量は、特に限定されないが、0.7〜5.5mmol/gが好ましく、より好ましくは1.1〜4.4mmol/gである。また、ラダー型シルセスキオキサン(G)に含まれる脂肪族炭素−炭素二重結合の割合(重量基準)は、特に限定されないが、ビニル基換算で、2.0〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは3.0〜12.0重量%である。
ラダー型シルセスキオキサン(G)の分子量は、特に限定されないが、100〜80万が好ましく、より好ましくは200〜10万、さらに好ましくは300〜1万、特に好ましくは500〜8000である。ラダー型シルセスキオキサン(G)の分子量がこの範囲にあると、室温で液体となりやすく、なおかつその粘度が比較的低くなりやすいため、取り扱いが容易となる傾向がある。なお、ラダー型シルセスキオキサン(G)は、上記範囲の種々の分子量を有するものの混合物であってもよい。なお、上記分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量として測定される。
ラダー型シルセスキオキサン(G)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100〜80万が好ましく、より好ましくは200〜10万、さらに好ましくは300〜1万、特に好ましくは500〜8000である。重量平均分子量が100以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、分子量が80万以下であると、他の成分との相溶性が向上する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量より算出される。
ラダー型シルセスキオキサン(G)は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(G)の23℃における粘度は、100〜10万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、粘度が10万mPa・s以下であると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となる傾向がある。なお、23℃における粘度は、レオーメーター(商品名「PhysicaUDS−200」、AntonPaar社製)とコーンプレート(円錐直径:16mm、テーパ角度=0°)を用いて、温度:23℃、回転数:20rpmの条件で測定される。
本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型シルセスキオキサン(G)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(G)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(G)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。含有量を1重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、含有量を40重量%以下とすることにより、硬化物が硬くなりすぎず、柔軟性に優れる硬化物が得られる傾向がある。
(ラダー型シルセスキオキサン(H))
本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(H)は、ラダー構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(ポリオルガノシルセスキオキサン骨格)の分子鎖末端の一部又は全部に、後述の式(VII)で表される単位構造及び式(VIII)で表される単位構造を含むポリオルガノシルセスキオキサン残基(「ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)」と称する場合がある)を有するポリオルガノシルセスキオキサンである。
ラダー型シルセスキオキサン(H)におけるポリオルガノシルセスキオキサンは、実験式(基本構造式)R5SiO1.5で表されるポリシロキサンである。ラダー型シルセスキオキサン(H)におけるポリオルガノシルセスキオキサンとしては、ラダー型シルセスキオキサン(G)におけるポリオルガノシルセスキオキサン(例えば、上記式(L)で表されるポリオルガノシルセスキオキサン)と同様のものが例示される。
ラダー型シルセスキオキサン(H)は、ラダー型シルセスキオキサン(G)と同様に、特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、側鎖の一部又は全部が置換若しくは無置換のアリール基であることが好ましい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサンが上記式(L)で表される場合、ラダー型シルセスキオキサン(H)は、式(L)中のTの一部又は全部が以下のポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)で置換された構造を有する。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、下記式(VII)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)及び下記式(VIII)
で表される単位構造(シロキサン単位構造)を少なくとも含む残基である。なお、上記式(VII)で表される単位構造中の有機基(−X−CHR
8−CR
8 2−[SiR
9 2−O−]
n−SiHR
9 2)を、「SiH含有基」と称する場合がある。
上記式(VII)中、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記式(VII)におけるR8は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示す。R8としては、上記R5として例示したものと同様の基が挙げられる。中でも、R8としては、それぞれ、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは水素原子である。
上記式(VII)におけるR9は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、一価の酸素原子含有基、一価の窒素原子含有基、又は一価の硫黄原子含有基を示す。R9としては、上記R5として例示したものと同様の基が挙げられる。なお、式(VII)中のnが2以上の整数の場合、nが付された各括弧内におけるR9は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記の中でも、R9としては、それぞれ、水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換又は無置換の炭化水素基、さらに好ましくは脂肪族炭化水素基(特に、メチル基)、芳香族炭化水素基(特に、フェニル基)である。
上記式(VII)におけるnは、1〜100の整数を示し、好ましくは1〜30の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数である。nが大きすぎる場合、硬化物のガス(特に、腐食性ガス)に対するバリア性が低下する傾向があるため、例えば、光半導体素子の封止剤としては適さない場合がある。
上記式(VIII)におけるR10は、同一又は異なって、炭化水素基(一価の炭化水素基)を示す。上記炭化水素基としては、上記R5において例示したものと同様の炭化水素基が例示される。中でも、R10としては、C1-20アルキル基が好ましく、より好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、特に好ましくはメチル基である。特に、式(VIII)中のR10がいずれもメチル基であることが好ましい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、式(VII)で表される単位構造と式(VIII)で表される単位構造以外にも、例えば、上記式(V’)で表される単位構造等を有していてもよい。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)における式(VII)中の3つの酸素原子が結合したケイ素原子(SiH含有基中のケイ素原子は含まない)の量は、特に限定されないが、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、より好ましくは25〜60モル%である。含有量が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(H)が有するヒドロシリル基の量が不十分となって、硬化物の十分な硬度が得られない場合がある。一方、含有量が80モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(H)中にシラノール基や加水分解性シリル基が多く残存するため、ラダー型シルセスキオキサン(H)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が悪化する場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)における式(VIII)中の1つの酸素原子が結合したケイ素原子の量は、特に限定されないが、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を構成するケイ素原子の全量(100モル%)に対して、20〜85モル%が好ましく、より好ましくは30〜75モル%である。含有量が20モル%未満であると、ラダー型シルセスキオキサン(H)中にシラノール基や加水分解性シリル基が残存しやすく、ラダー型シルセスキオキサン(H)が液状で得られない場合がある。さらに縮合反応が進行して分子量が変化しやすくなるため、保存安定性が悪化する場合がある。一方、含有量が85モル%を超えると、ラダー型シルセスキオキサン(H)が有するヒドロシリル基の量が不十分となって、硬化物の硬度が十分得られない場合がある。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)が有するSi−O−Si構造(骨格)としては、特に限定されず、例えば、ラダー構造、カゴ構造、ランダム構造等が挙げられる。
ポリオルガノシルセスキオキサン(H)は、例えば、下記式(L
b)で表すことができる。式(L
b)中のv、R
5としては、上記式(L)と同様のものが例示される。式(L
b)中のBは、ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)、又は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、若しくはアシルオキシ基を示し、式(L
b)中のBの一部又は全部はポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)である。なお、式(L
b)中の複数(2〜4個)のR
bがポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)である場合、それぞれのBは互いに又は他の式(L
b)で表される分子が有するBと1以上のSi−O−Si結合を介して結合していてもよい。
なお、ラダー型シルセスキオキサン(H)におけるポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)は、さらに、上述のラダー型シルセスキオキサン(G)における式(V)で表される単位構造を有するものであってもよい。この場合、ラダー型シルセスキオキサン(H)は、ラダー型シルセスキオキサン(G)として使用することも可能な場合がある。
ラダー型シルセスキオキサン(H)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ラダー構造を有し、分子鎖末端にシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有するポリオルガノシルセスキオキサン(原料ラダーポリマー)の分子鎖末端に対して、上記ポリオルガノシルセスキオキサン残基(b)を形成する方法が挙げられる。具体的には、国際公開第2013/176238号等の文献に開示された方法等により製造できる。
ラダー型シルセスキオキサン(H)における、分子内(一分子中)の上記SiH含有基の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。上述の範囲で上記SiH含有基を有することにより、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性が向上する傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(H)が有するヒドロシリル基の含有量は、特に限定されないが、0.01〜0.5mmol/gが好ましく、より好ましくは0.08〜0.28mmol/gである。また、ラダー型シルセスキオキサン(H)が有するヒドロシリル基の重量基準の含有量は、特に限定されないが、ヒドロシリル基におけるH(ヒドリド)の重量換算(H換算)で、0.01〜0.50重量%が好ましく、より好ましくは0.08〜0.28重量%である。ヒドロシリル基の含有量が少なすぎると(例えば、0.01mmol/g未満、H換算で0.01重量%未満の場合)、硬化性樹脂組成物の硬化が進行しない場合がある。一方、ヒドロシリル基の含有量が多すぎると(例えば、0.50mmol/gを超える、H換算で0.50重量%を超える場合)、硬化物の硬度が高くなり、割れやすくなる場合がある。なお、ラダー型シルセスキオキサン(H)におけるヒドロシリル基の含有量は、例えば、1H−NMRスペクトル測定等により算出することができる。
なお、ラダー型シルセスキオキサン(H)が有するヒドロシリル基の全量(100モル%)に対するSiH含有基の割合は、特に限定されないが、硬化度の観点で、50〜100モル%が好ましく、より好ましくは80〜100モル%である。
ラダー型シルセスキオキサン(H)の分子量は、特に限定されないが、100〜80万が好ましく、より好ましくは200〜10万、さらに好ましくは300〜1万、特に好ましくは500〜9000である。ラダー型シルセスキオキサン(H)の分子量がこの範囲にあると、室温で液体となりやすく、なおかつその粘度が比較的低くなりやすいため、取り扱いが容易となる傾向がある。なお、ラダー型シルセスキオキサン(H)は、上記範囲の種々の分子量を有するものの混合物であってもよい。なお、上記分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量として測定される。
ラダー型シルセスキオキサン(H)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100〜80万が好ましく、より好ましくは200〜10万、さらに好ましくは300〜1万、特に好ましくは500〜9000である。重量平均分子量が100以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、分子量が80万以下であると、他の成分との相溶性が向上する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量より算出される。
ラダー型シルセスキオキサン(H)は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、ラダー型シルセスキオキサン(H)の23℃における粘度は、100〜10万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。粘度が100mPa・s以上であると、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、粘度が10万mPa・s以下であると、硬化性樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となる傾向がある。なお、23℃における粘度は、ラダー型シルセスキオキサン(G)の粘度と同様の方法により測定される。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型シルセスキオキサン(H)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(H)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型シルセスキオキサン(H)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。含有量を1重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。また、硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル基の量が多くなり、硬化反応が十分に進行することでより硬度の高い硬化物が得られる傾向がある。一方、含有量を30重量%以下とすることにより、硬化物が硬くなりすぎず、柔軟性に優れる硬化物が得られる傾向がある。
(その他のラダー型シルセスキオキサン)
上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、上述のラダー型シルセスキオキサン(G)、ラダー型シルセスキオキサン(H)以外のラダー型シルセスキオキサン(「その他のラダー型シルセスキオキサン」と称する場合がある)を使用することもできる。特に、上記その他のラダー型シルセスキオキサンは、ラダー型シルセスキオキサン(G)やラダー型シルセスキオキサン(H)と併用することが好ましい。
上記その他のラダー型シルセスキオキサンとしては、例えば、25℃において固体であり、なおかつ脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S1)」と称する場合がある);25℃において固体であり、なおかつヒドロシリル基を有するラダー型シルセスキオキサン(「ラダー型シルセスキオキサン(S2)」と称する場合がある)が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(S1)及び/又は(S2)を含む場合には、特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が向上し、さらに、強靭性(特に、耐クラック性)が向上する傾向がある。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)における、分子内の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。また、ラダー型シルセスキオキサン(S1)における脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の位置は、特に限定されず、側鎖であってもよいし、末端であってもよい。
ラダー型シルセスキオキサン(S2)における、分子内のヒドロシリル基の数は、特に限定されないが、2個以上(例えば、2〜50個)が好ましく、より好ましくは2〜30個である。また、ラダー型シルセスキオキサン(S2)におけるヒドロシリル基の位置は、特に限定されず、側鎖であってもよいし、末端であってもよい。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)、(S2)のそれぞれの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、2000〜80万が好ましく、より好ましくは6000〜10万である。重量平均分子量が2000以上であると、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、分子量が80万以下であると、他の成分との相溶性が向上する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量より算出される。
ラダー型シルセスキオキサン(S1)、(S2)は、公知乃至慣用のラダー型シルセスキオキサンの製造方法(例えば、3官能シラン化合物を原料としたゾルゲル法)により製造することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(S1)を含む場合、ラダー型シルセスキオキサン(S1)の含有量は、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.1〜30重量%の範囲で適宜調整可能である。また、本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型シルセスキオキサン(S2)を含む場合のラダー型シルセスキオキサン(S2)の含有量も、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.1〜30重量%の範囲で適宜調整可能である。
上記その他のラダー型シルセスキオキサンとしては、例えば、国際公開第2013/176238号に開示された、分子内に2個以上の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)又は分子内に2個以上のヒドロシリル基を有し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が500〜1500、分子量分散度(Mw/Mn)が1.00〜1.40であるラダー型シルセスキオキサン等も使用できる。このようなラダー型シルセスキオキサンを使用することによって、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性が著しく向上する傾向がある。上記ラダー型シルセスキオキサンの含有量は、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、0.1〜15重量%の範囲で適宜調整可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物においてラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。特に、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性の観点で、ラダー型シルセスキオキサン(G)及びラダー型シルセスキオキサン(H)を併用することが好ましい
本発明の硬化性樹脂組成物がラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンを含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を1重量%以上とすることにより、硬化物の腐食性ガスに対するバリア性がより向上する傾向がある。一方、ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を50重量%以下とすることにより、硬化物の靱性等の機械強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に硬化物の腐食性ガスに対するバリア性を著しく高くする観点で、上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン及びイソシアヌレート化合物(D)からなる群より選択される少なくとも1種(上記ラダー型ポリオルガノシルセスキオキサン及び/又はイソシアヌレート化合物(D))を含むことが好ましい。
[ヒドロシリル化触媒]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を含んでいてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物がヒドロシリル化触媒を含むことにより、加熱することで、硬化性樹脂組成物中の脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)とヒドロシリル基の間のヒドロシリル化反応をより効率的に進行させることができる傾向がある。
上記ヒドロシリル化触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒等の周知のヒドロシリル化反応用触媒が例示され、具体的には、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金のオレフィン錯体、白金−カルボニルビニルメチル錯体等の白金のカルボニル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体や白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体等の白金ビニルメチルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体等の白金系触媒、並びに上記白金系触媒において白金原子の代わりにパラジウム原子又はロジウム原子を含有するパラジウム系触媒又はロジウム系触媒が挙げられる。中でも、ヒドロシリル化触媒としては、白金−ビニルメチルシロキサン錯体や白金−カルボニルビニルメチル錯体や塩化白金酸とアルコール、アルデヒドとの錯体が、反応速度が良好であるため好ましい。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物においてヒドロシリル化触媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物がヒドロシリル化触媒を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物に含まれる脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)の全量1モルに対して、1×10-8〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1.0×10-6〜1.0×10-3モルである。含有量を1×10-8モル以上とすることにより、より効率的に硬化物を形成させることができる傾向がある。一方、含有量を1×10-2モル以下とすることにより、より色相に優れた(着色の少ない)硬化物を得ることができる傾向がある。
また、本発明の硬化性樹脂組成物におけるヒドロシリル化触媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、例えば、ヒドロシリル化触媒中の白金、パラジウム、又はロジウムが重量単位で、0.01〜1000ppmの範囲内となる量が好ましく、0.1〜500ppmの範囲内となる量がさらに好ましい。ヒドロシリル化触媒の含有量がこのような範囲にあると、より効率的に硬化物を形成させることができ、また、より色相に優れた硬化物を得ることができる傾向がある。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の成分以外の成分(「その他の成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン(A)及び(B)以外のシロキサン化合物(例えば、環状シロキサン化合物、低分子量直鎖又は分岐鎖状シロキサン化合物等)、ヒドロシリル化反応抑制剤、溶媒、各種添加剤等が挙げられる。添加剤としては、例えば、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;上述以外のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、溶剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤等)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤等)、難燃助剤、補強材(他の充填剤等)、核剤、カップリング剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃性改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(染料、顔料等)、分散剤、消泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、蛍光体等が挙げられる。これらのその他の成分は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、その他の成分の含有量(配合量)は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することが可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物における、(A)〜(H)成分以外の、硫黄原子を含有する複素環を有する化合物の含有量は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1重量%以下(例えば、0〜1重量%)が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下(例えば、0〜0.5重量%)、さらに好ましくは0.1重量%以下(例えば、0〜0.1重量%)、特に好ましくは0.05重量%以下(例えば、0〜0.05重量%)である。上記含有量を1重量%以下とすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化阻害が起こりにくくなる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物における、(A)〜(H)成分以外の、水素原子が直接結合した窒素原子を含有する複素環を有する化合物の含有量は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物(100重量%)に対して、1重量%以下(例えば、0〜1重量%)が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下(例えば、0〜0.5重量%)、さらに好ましくは0.1重量%以下(例えば、0〜0.1重量%)、特に好ましくは0.05重量%以下(例えば、0〜0.05重量%)である。上記含有量を1重量%以下とすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化させる際の硬化阻害が起こりにくくなる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物中に存在するヒドロシリル基1モルに対して、脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)が0.2〜4モルとなるような組成(配合組成)であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0モル、さらに好ましくは0.8〜2.0モルである。ヒドロシリル基と脂肪族炭素−炭素二重結合(特に、アルケニル基)との割合を上記範囲に制御することにより、硬化物の耐熱性、透明性、耐熱衝撃性及び耐リフロー性、並びに腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で撹拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、固体、液体のいずれの状態を有するものであってもよく、特に限定されないが、通常、常温(約25℃)で液体である。
本発明の硬化性樹脂組成物の23℃における粘度は、特に限定されないが、300〜2万mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜1万mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を2万mPa・s以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の調製がしやすく、その生産性や取り扱い性がより向上し、また、硬化物に気泡が残存しにくくなるため、硬化物(特に、封止材)の生産性や品質がより向上する傾向がある。なお、硬化性樹脂組成物の粘度は、上述のラダー型シルセスキオキサン(G)の粘度と同じ方法によって測定される。
<硬化物>
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化(特に、ヒドロシリル化反応により硬化)させることによって、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)が得られる。硬化(特に、ヒドロシリル化反応による硬化)の際の条件は、特に限定されず、従来公知の条件より適宜選択することができるが、例えば、反応速度の点から、温度(硬化温度)は25〜180℃(より好ましくは60〜150℃)が好ましく、時間(硬化時間)は5〜720分が好ましい。なお、硬化は一段階で実施することもできるし、多段階で実施することもできる。本発明の硬化物は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。
<封止剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体装置における半導体素子の封止用の組成物(封止剤)(「本発明の封止剤」と称する場合がある)として好ましく使用することができる。具体的には、本発明の封止剤は、光半導体装置における光半導体素子(LED素子)の封止用途に(即ち、光半導体用封止剤として)特に好ましく使用できる。本発明の封止剤を硬化させることにより得られる封止材(硬化物)は、ポリシロキサン系材料特有の高い耐熱性及び透明性を有するのみならず、特に、腐食性ガス(例えば、SOxガス等)に対するバリア性に優れる。このため、本発明の封止剤は、特に、高輝度、短波長の光半導体素子の封止剤等として好ましく使用できる。
<半導体装置>
本発明の封止剤を使用して半導体素子を封止することにより、半導体装置(「本発明の半導体装置」と称する場合がある)が得られる。即ち、本発明の半導体装置は、半導体素子とこれを封止する封止材とを少なくとも有する半導体装置であって、上記封止材が本発明の封止剤の硬化物である半導体装置である。本発明の半導体装置の製造は、公知乃至慣用の方法により実施でき、特に限定されないが、例えば、本発明の封止剤を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して実施できる。硬化温度と硬化時間は、特に限定されないが、硬化物の調製時と同様の範囲で設定することができる。本発明の封止剤は、上記半導体装置が光半導体装置である場合、即ち、光半導体装置における光半導体素子の封止剤(光半導体用封止剤)として使用する場合には、特に上述の有利な効果を効果的に発揮できる。本発明の封止剤を光半導体用封止剤として使用することにより、光半導体装置(「本発明の光半導体装置」と称する場合がある)が得られる。本発明の光半導体装置の一例を図1に示す。図1において、100はリフレクター(光反射用樹脂組成物)、101は金属配線(電極)、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は硬化物(封止材)を示す。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、従来の樹脂材料では対応することが困難であった、高輝度・短波長の光半導体装置において光半導体素子を被覆する封止材を形成するための封止剤、高耐熱・高耐電圧の半導体装置(パワー半導体等)において半導体素子を被覆する封止材を形成するための封止剤等の用途に好ましく使用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の封止剤用途(特に、光半導体素子の封止剤用途)に限定されず、例えば、機能性コーティング剤、耐熱プラスチックレンズ、透明機器、接着剤(耐熱透明接着剤等)、電気絶縁材(絶縁膜等)、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等の光学関連や半導体関連の用途にも好ましく使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例8〜10は参考例として記載するものである。
生成物及び製品の1H−NMR分析は、JEOL ECA500(500MHz)により行った。また、生成物並びに製品の数平均分子量及び重量平均分子量の測定は、Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)、Refractive Index Detector 2414(Waters製)、カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)、ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)、カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)、溶媒:THF、測定条件:40℃、により行った。
製造例1
[末端にビニル基とトリメチルシリル基(TMS基)とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの合成]
200ml四つ口フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)40.10g、フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製)3.38g、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)17.69gを仕込み、これらの混合物を10℃まで冷却した。上記混合物に水240ミリモル(4.33g)及び5Nの塩酸0.48g(塩化水素として2.4ミリモル)を1時間かけて同時に滴下した。滴下後、これらの混合物を10℃で1時間保持した。その後、MIBKを80.0g添加して、反応溶液を希釈した。
次に、反応容器の温度を70℃まで昇温し、70℃になった時点で水606ミリモル(10.91g)を添加し、同温度で重縮合反応を窒素下で9時間行った。さらに、ビニルトリエトキシシラン6.25gを添加し、同温度で3時間反応(熟成)を行った。
続いて、得られた反応溶液にヘキサメチルジシロキサン15.0gを添加して、シリル化反応を70℃で3時間行った。その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、その後、上層液を分取した。次に、当該上層液から、1mmHg、60℃の条件で溶媒を留去し、末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンを無色透明の液状の生成物として19.0g得た。なお、製造例1で得られたラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンは、上述のラダー型シルセスキオキサン(G)にあたる。
上記末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は3000、1分子当たりのビニル基の含有量(平均含有量)は4.00重量%であり、フェニル基/メチル基/ビニル基(モル比)は5/80/15であった。
(末端にビニル基とTMS基とを有するラダー型ポリオルガノシルセスキオキサンの1H−NMRスペクトル)
1H−NMR(JEOL ECA500(500MHz、CDCl3)):δ−0.3−0.3ppm(br)、5.7−6.2ppm(br)、7.1−7.7ppm(br)
ポリオルガノシロキサン(A1)、ポリオルガノシロキサン(B1)としては、次の製品を使用した。
KER−2500A:信越化学工業(株)製、製品の総量(100重量%)に対するビニル基含有量1.53重量%、メチル基含有量94.29重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.03重量%、数平均分子量4453、重量平均分子量19355、ヒドロシリル化触媒を含む。
KER−2500B:信越化学工業(株)製、製品の総量(100重量%)に対するビニル基含有量1.08重量%、メチル基含有量95.63重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.13重量%、数平均分子量4636、重量平均分子量18814
ETERLED GD1012A:長興材料工業製、製品の総量(100重量%)に対するビニル基含有量1.33重量%、メチル基含有量96.34重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0重量%、数平均分子量5108、重量平均分子量23385、ヒドロシリル化触媒を含む。
ETERLED GD1012B:長興材料工業製、製品の総量(100重量%)に対するビニル基含有量1.65重量%、メチル基含有量91.16重量%、フェニル基含有量0重量%、ヒドロシリル基含有量(ヒドリド換算)0.19重量%、数平均分子量4563、重量平均分子量21873
複素環式化合物(C)としては、次の化合物を使用した。
MOI−BP:昭和電工(株)製、商品名「カレンズMOI−BP」、[ピラゾール誘導体]
Pentoxifilline:ペントキシフィリン[プリン誘導体](下記式で表される化合物)
1,3−Dimethylburbituric Acid:1,3−ジメチルバルビツール酸[ピリミジン誘導体](下記式で表される化合物)
TINUVIN 384−2:BASFジャパン(株)製、商品名「TINUVIN 384−2」[ベンゾトリアゾール誘導体]
TINUVIN 400:BASFジャパン(株)製、商品名「TINUVIN 400」[トリアジン誘導体]
TINUVIN 123:BASFジャパン(株)製、商品名「TINUVIN 123」[ピペリジン誘導体]
TINUVIN 292:BASFジャパン(株)製、商品名「TINUVIN 292」[ピペリジン誘導体]
イソシアヌレート化合物(D)としては、次の化合物を使用した。
MA−DGIC:四国化成工業(株)製、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(下記式で表される化合物)
イソシアヌレート化合物(E)としては、次の化合物を使用した。
TEPIC−VL:日産化学工業(株)製(下記式で表される化合物)
シランカップリング剤としては、商品名「Z−6040」(東レ・ダウコーニング(株)製)を使用した。
実施例1
[硬化性樹脂組成物の製造]
まず、表1に示すように、ETERLED GD1012A(50重量部)、及びMOI−BP(0.1重量部)を混合し、80℃で1時間撹拌して、A剤を調製した。
次に、上記で得たA剤(50.1重量部)に対して、B剤としてのETERLED GD1012B(50重量部)を混合し、室温で10分間撹拌したところ、均一な液体である硬化性樹脂組成物が得られた。
[光半導体装置の製造]
図1に示す態様のLEDパッケージ(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に、上記で得られた硬化性樹脂組成物を注入し、100℃で1時間、続いて150℃で5時間加熱することで、上記硬化性樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。
実施例2〜30、比較例1〜4
硬化性樹脂組成物の配合組成を表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物及び光半導体装置を製造した。
(評価)
上記で得られた光半導体装置について、下記の評価を行った。評価結果を表1〜3に示す。なお、比較例2及び3については、硬化物が得られなかったため、光半導体装置を用いた下記の評価は実施しなかった。
[硫黄腐食試験]
上記で製造した各光半導体装置を試料として用いた。
まず、上記試料について、全光束測定機(オプトロニックラボラトリーズ社製、マルチ分光放射測定システム「OL771」)を用いて、20mAの電流を流した際の全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験前の全光束」とした。
次に、上記試料と硫黄粉末(キシダ化学(株)製)0.3gとを450mlのガラス瓶に入れ、さらに上記ガラス瓶をアルミ製の箱の中に入れた。続いて、上記アルミ製の箱を80℃のオーブン(ヤマト科学(株)製、型番「DN−64」)に入れ、8時間後に取り出した。このようにして得られた試料について、上記と同様に全光束(単位:lm)を測定し、これを「試験後の全光束」とした。
上記で測定した全光束の値から、次式に従って光度維持率を算出した。
光度維持率(%)=(試験後の全光束/試験前の全光束)×100
光度維持率が高いほど、硬化物(封止材)が腐食性ガスに対するバリア性に優れることを示す。
なお、硬化性樹脂組成物ごとに(各実施例・比較例ごとに)10個の光半導体装置について光度維持率を測定・算出し、表1〜3にはこれらの光度維持率の平均値(N=10)を示した。