JP2016215903A - シートベルト用リトラクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 シートベルト用リトラクタにおいて、ウエビングの引き出しのロックを解除するときに、従来よりも少ないウエビングの巻取り量で迅速にロックを解除すること。【解決手段】 巻取ドラムの引出方向の回動を阻止するロック機構と、巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤ7及びロッキングギヤ30と、ラチェットギヤ7と非係合位置にあるパウル9を、ラチェットギヤ7との係合位置に変位させるクラッチ50と、クラッチ50を巻取方向に付勢するクラッチ付勢部材と、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結又は連結解除を行う連結機構と、を有するシートベルト用リトラクタにおいて、ウエビングの引き出しのロック時において、クラッチ50の巻取付勢方向を引出方向に保持することで、ロック解除時におけるウエビングの巻き取り量を従来よりも少なくして、迅速なロック解除を行う。【選択図】図12

Description

本発明は、巻取ドラムにシートベルトのウエビングを巻き取るシートベルト用リトラクタに関する。
自動車等の車両には、一般に、シートに座った乗員を保護するため、リトラクタを備えたシートベルト装置が搭載されている。リトラクタは、ウエビング(シートベルト)を引き出し或いは巻き取る巻取ドラム、及び緊急時(例えば、衝突時)に車両の加速度や傾き、又はウエビング(シートベルト)の引き出し加速度に応じて、巻取ドラムをロックするロック機構を備えている。
リトラクタは、緊急時にロック機構が作動して、巻取ドラムによるウエビングの引き出しを止め(又は阻止して)、ウエビングを装着した乗員をシートに拘束してその飛び出しを防止する。
このロックの解除は、ロックが掛かったウエビングを一旦緩める(引出方向の力を解除する)ことで、リトラクタのウエビング巻き取り機能によりウエビングの巻き取りを行い、そのウエビングの巻き取り機能を利用して行っている(特許文献1参照)。
即ち、具体的には、緊急時には、ウエビングの引出方向に回動するシートベルトリトラクタ(以下、単にリトラクタと云う)の巻取ドラム(ウエビングの巻取軸)に一体に連結されたロッキングギヤにクラッチを連結する。連結によりクラッチがウエビングの引出方向に回動すると、クラッチのウエビングの引出方向への回動に連動してパウルが移動し、巻取ドラムに一体に連結されたラチェットギヤに係合する。それによってリトラクタの巻取ドラム(巻取軸)の引出方向の回動が阻止される。
このパウルがラチェットギヤに係合したロック状態を解除するには、ウエビングを巻き取ることで巻取ドラムをウエビングの巻取方向に回動させて、リターンスプリングにより巻取方向に付勢されているクラッチが、ロッキングギヤと一体でウエビングの巻取方向に回動することに連動させて、パウルをラチェットギヤから外す方向(非係合方向)に回動させ、クラッチの回動がパウルを初期位置(非係合位置)に復帰させることで停止した後、更にウエビングを巻き取り、ロッキングギヤをウエビングの巻取方向に回動させることによって、ロッキングギヤとクラッチとの間に相対回動を生じさせ、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除させる必要がある。そのため、ロック解除動作の開始から終了までの巻取ドラムの回動量はロック動作の開始から完了までの巻取ドラムの回動量よりも大きく、したがって、それに応じた長さのウエビングを巻き取る必要がある。
従来のリトラクタでは、このようにリトラクタのロック状態からの迅速な復帰が困難であり、そのため、ウエビングの格納時における巻取ドラムの急速な停止によって、クラッチがロッキングギヤと連結するエンドロックが発生した場合のように、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除させるのに必要なウエビングの巻き取りが難しい場合には、ロックの解除が困難であり、また、通常使用時における、車両の加速度や乗員の移動時によって不意にロック機構が作動した場合のロックの解除も、ウエビングの巻取り長さが長いためにその分時間が掛かり、解除操作が煩わしいと感じる場合がある。
特開2012−232727号公報
本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、ウエビングの引き出しのロックを解除するときに、従来よりも少ないウエビングの巻取り量で迅速にロックを解除することである。
本発明は、ハウジングの相対向する一対の側壁部間に回動可能に収納されて、巻取付勢部材によりウエビングの巻取方向に回動付勢されて前記ウエビングを巻き取ると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に配置されて、回動可能に支持され、係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、非係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合しない非係合位置に変位するパウルと、前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられたロッキングギヤと、前記巻取ドラムと同軸に回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記非係合位置にある前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、緊急時に前記クラッチと前記引出方向へ回動する前記ロッキングギヤとを連結して、前記クラッチを前記ロッキングギヤと一体的に前記引出方向へ回動させると共に、前記クラッチが前記ロッキングギヤと連結した状態において、前記クラッチに対して前記ロッキングギヤが前記巻取方向に相対回動することで、前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除される連結機構と、を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、前記パウルが前記係合位置にある状態で前記クラッチを前記引出方向へ回動付勢し、前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記クラッチを前記巻取方向へ回動付勢するクラッチ付勢部材と、を有し、前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向は、前記連結機構による連結後における前記巻取ドラムの前記引出方向への回動によって前記引出方向へ切り替わり、前記連結機構による連結解除後における前記巻取ドラムの前記巻取方向への回動によって前記巻取方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタである。
また、本発明は、ハウジングの相対向する一対の側壁部間に回動可能に収納されて、巻取付勢部材によりウエビングの巻取方向に回動付勢されて前記ウエビングを巻き取ると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に配置されて、回動可能に支持され、係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合し、前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、非係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合しない非係合位置に変位するパウルと、前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられたロッキングギヤと、前記巻取ドラムと同軸に回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記非係合位置にある前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、緊急時に前記クラッチと前記引出方向へ回動する前記ロッキングギヤとを連結して、前記クラッチを前記ロッキングギヤと一体的に前記引出方向へ回動させると共に、前記クラッチが前記ロッキングギヤと連結した状態において、前記クラッチに対して前記ロッキングギヤが前記巻取方向に相対回動することで、前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除される連結機構と、を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、前記パウルが前記係合位置にある状態で前記パウルを前記係合方向へ回動付勢し、前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記パウルを前記非係合方向へ回動付勢するパウル付勢部材と、を有し、前記パウル付勢部材による前記パウルの回動付勢方向は、前記連結機構による連結後における前記巻取ドラムの前記引出方向への回動によって前記係合方向へ切り替わり、前記連結機構による連結解除後における前記巻取ドラムの前記巻取方向への回動によって前記非係合方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタである。
本発明によれば、ウエビングの引き出しのロックを解除するときに、従来よりも少ないウエビングの巻取り量で迅速にロックを解除することができる。
第1の実施形態のリトラクタ全体をそれぞれ異なる方向からみた斜視図である。 複数のユニットに分解されたリトラクタを図3とは異なる方向でみた斜視図である。 複数のユニットに分解されたリトラクタを図2とは異なる方向でみた斜視図である。 ハウジングユニットの分解斜視図である。 図5Aはパウル、図5Bはリターンプレートを示す図である。 パウルとラチェットギヤを示す正面図である。 巻取バネユニットをそれぞれ異なる方向からみた分解斜視図である。 ロック機構を構成するロックユニットとラチェットギヤの分解斜視図であり、図9Aとは異なる方向からみた図である。 ロッキングギヤを図8Aとは異なる方向からみた斜視図である。 ロック機構を構成するロックユニットとラチェットギヤの分解斜視図であり、図8Aとは異なる方向からみた図である。 図9Aとは異なる方向からみたクラッチの斜視図である。 巻取ドラムユニットの断面図である。 第1の実施形態の非ロック状態におけるロック機構を示す断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの非ロック状態における要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの、非ロック状態からロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの、非ロック状態からロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの、非ロック状態からロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタのロック状態におけるロック機構を含む断面図である。 第1の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの非ロック状態における要部断面図である。 第2の実施形態のリトラクタの非ロック状態における要部断面図である。 第2の実施形態のリトラクタの非ロック状態からロック状態へ移行中の状態を示す要部断面図である。 第2の実施形態のリトラクタのロック状態における要部断面図である。 第2の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第3の実施形態のリトラクタの非ロック状態における要部断面図である。 第3の実施形態のリトラクタの非ロック状態からロック状態に移行中の状態における要部断面図である。 第3の実施形態のリトラクタのロック状態における要部断面図である。 第3の実施形態のリトラクタのロック状態から非ロック状態に移行中の状態を示す要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの変形例における非ロック状態における要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの変形例における非ロック状態からロック状態に移行中の状態における要部断面図である。 第1の実施形態のリトラクタの変形例におけるロック状態における要部断面図である。
本発明の特徴は、既に述べたように、従来よりも少ないウエビングの巻取り量でウエビングの引き出し(巻取ドラムのウエビングの引出方向への回動)のロックを解除できるようにすることにある。そのために、本発明では、ロック状態では、リターンスプリングによりクラッチをウエビングの引出方向に回動付勢し、ロックの解除動作時にウエビングの巻き取り(巻取ドラムのウエビングの巻取方向への回動)に応じて、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除した後に、リターンスプリングによるクラッチの回動付勢方向をウエビングの引出方向から巻取方向に変更する。これにより、ロックの解除動作時の早期段階でロッキングギヤとクラッチとの連結を解除する。
以下、本発明のシートベルト用リトラクタ(以下、リトラクタという)の実施形態について説明する。
本実施形態のリトラクタ100は、シートベルトのウエビング2を巻き取るウエビング巻取装置であり、車両用のシートベルト装置に設けられる。リトラクタ100を備えたシートベルト装置は、車両に搭載され、シートに座った乗員をウエビング2(シートベルト)により拘束する。
(第1の実施形態)
図1A、1Bは、第1の実施形態のリトラクタ100全体をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。また、図2、図3は、複数のユニットに分解されたリトラクタ100を互いに異なる方向からみた斜視図である。
リトラクタ100は、図1に示すように、ハウジングユニット3と、巻取ドラムユニット4と、巻取バネユニット5と、ロックユニット6を備えている。
ハウジングユニット3は、図2、3に示すように、ハウジング3Aと、加速度センサー15と、係合爪9Aを有するパウル9と、リターンプレート18とを有する。ハウジング3Aは、巻取ドラム10を収容すると共に、リトラクタ100を車両に取り付けるための取付部となる。
巻取ドラムユニット4は、ウエビング2を巻き取るための巻取ドラム10と、後述するロック機構8の構成要素であるラチェットギヤ7を備える。巻取ドラム10は、一対の端部11、12(第1端部11、第2端部12)と、第1端部11と第2端部12の間の巻取部13を有し、中心線C1の回りで回動する。巻取部13にウエビング2が取り付けられ、ウエビング2は巻取部13に巻き取られる。
ラチェットギヤ7は、複数の歯(ラチェット歯)7Aを有し、巻取ドラム10の第1端部11に配置されて、巻取ドラム10とともに回動及び停止する。
巻取バネユニット5は、巻取ドラム10をウエビング巻取方向に付勢する渦巻バネ70を備え、巻取ドラム10(巻取ドラムユニット4)を常時ウエビング2の巻取方向W(図6)に付勢し、ウエビング2を巻取ドラム10に巻き取る。ウエビング2は、巻取方向Wに回動する巻取ドラム10に巻き取られてリトラクタ100内に収納され、巻取ドラム10をウエビング2の引出方向Pに回動することでリトラクタ100から引き出される。
ロックユニット6は、メカニズムカバー48と、メカニズムカバー48内に収容されるロッキングギヤ30(図8)及び後述するクラッチ50などを備える。ロックユニット6は、巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ7に隣接し、ラチェットギヤ7と共に巻取ドラム10の引出方向Pへの回動を阻止するロック機構8を構成する。
ロック機構8は、ウエビング2の引き出し加速度又は車両の加速度に応じて(又は反応して)作動し、パウル9(の係合爪9A)がラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合して、ラチェットギヤ7の回動を阻止して、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)の回動を阻止(ロック)する。
巻取バネユニット5とロックユニット6は、ハウジングユニット3の第1側壁部22及び第2側壁部23にそれぞれ固定され、ハウジングユニット3内に収納された巻取ドラムユニット4を、ウエビングの巻取方向Wと引出方向Pに回動可能に支持する。
次に、リトラクタ100の上記各ユニットについてより詳細に説明する。
「ハウジングユニット」
図4は、ハウジングユニット3の分解斜視図である。
ハウジングユニット3は、図4に示すように、巻取ドラム10を収容するハウジング3Aと、ウエビング2のプロテクタ46と、加速度センサー15と、加速度センサー15を覆うセンサーカバー39と、パウル9と、パウルリベット20と、リターンスプリング19と、リターンプレート18とを有する。
「ハウジング」
ハウジング3Aは、車体に固定される背板部21と、背板部21の両側縁部の側壁部22、23(第1側壁部22、第2側壁部23)と、側壁部22、23間に固定された2つの固定板24を有する。プロテクタ46は、ウエビング2が通過する通過孔46Aを有し、ブラケット47に取り付けられる。
ハウジング3Aは、第1側壁部22に形成された開口(第1開口25)と、第1開口25に繋がるパウル収容部25Aと、第2側壁部23に形成された開口(第2開口26)を有する。ハウジング3Aの第1開口25内には巻取ドラム10の第1端部11に配置されたラチェットギヤ7が、また、第2開口26内には巻取ドラム10の第2端部12が配置され、ハウジング3A内に巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)が収納される。
「パウル」
パウル9は図4にその斜視図を示す。また、図5Aは、パウル9の正面図であり、パウル9は、ラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する一対の係合爪9Aと、係合爪9Aに近い一端側に形成された連動ピン9Bと、パウル9の係合爪9Aから離れた他端側に形成された円筒状のボス9Cを有する。
連動ピン9Bは、後述のリターンプレート18の貫通孔18Cに挿入されると共に、後述するクラッチ50の誘導溝56(図9A)に挿入される。また、ボス9Cは、図4に示すように、ハウジング3Aの内側から第1側壁部22の取付孔29に挿入され、パウルリベット20の先端を、ハウジング3Aの第1側壁部22の外側からボス9Cの取付孔に圧入する。これにより、パウル9は第1側壁部22に挿入したボス9Cを中心に回動可能に取り付けられる。
図6は、パウル9とラチェットギヤ7を示す正面図である。図中、係合位置に回動したパウル9を実線で示し、非係合位置に回動したパウル9を点線で示している。
パウル9は、ロック機構8が作動する際に、後述するようにクラッチ50が中心線C1を中心とするウエビング2の引出方向Pへ回動するのに伴い強制誘導されて、その係合爪9Aがラチェット歯7Aに係合しない非係合位置から係合爪9Aがラチェット歯7Aに係合する係合位置まで中心線C2(ボス9C)を中心に回動する。
「リターンスプリング」
図4に戻り、リターンスプリング19は、捩じりコイルバネであり、弾性連結部19Cの両側にある第1腕部19Aと第2腕部19Bとが正面視略V字状に形成されている。第1腕部19Aは、後述するようにクラッチ50の外側に立設した取付ピン59(図9B)に取り付けられ、第2腕部19Bは、リターンプレート18の取付ピン18Eに取り付けられる。
リターンスプリング19は、第1腕部19Aと第2腕部19Bとの弾性連結部19Cの周方向における相対的な角度変化に伴って、弾性連結部19Cが巻取方向に弾性的に捩れ変形する。
「リターンプレート」
リターンプレート18は、図5Bに示すように、円板18Aと、円板18Aから延設された略三角形状のアーム部18Bを備え、円板18Aには同芯状の取付孔18Dが、またアーム部18Bの先端部には、パウル9の連動ピン9Bが挿入される貫通孔18Cが設けられている。また円板18Aの円周部には、リターンスプリング19の第2腕部19Bを取り付ける取付ピン18Eが立設されている。
リターンプレート18は、その貫通孔18Cにパウル9の連動ピン9Bを挿入するとともに、その取付孔18Dにパウルリベット20の頭部20Aを嵌入することで、パウル9と共に回動可能に組み付けられる。
「加速度センサー」
加速度センサー15は、車両の緊急時に、車両の加速度を検知してロック機構8を作動させる緊急ロック作動装置であり、図4に示すように、センサーホルダー15Aと、慣性質量体15Bと、センサーレバー15Cを有する。慣性質量体15Bは金属製の球体であって、センサーホルダー15Aの凹部に配置され、センサーホルダー15Aとセンサーレバー15Cの間に移動可能に保持される。センサーレバー15Cは、慣性質量体15Bを上方から覆い、センサーホルダー15Aに上下方向に移動可能に取り付けられる。
加速度センサー15は、センサーカバー39内に挿入され、センサーホルダー15Aはセンサーカバー39に取り付けられる。センサーカバー39は、ハウジング3Aの第1側壁部22の取付孔28に挿入されて第1側壁部22に取り付けられる。その状態で、センサーレバー15Cのロック爪15Dは、上方に突出しセンサーカバー39外に位置する。
車両の緊急事態(例えば、衝突、急ブレーキ)により、車両の加速度が所定の値を超えたときに、慣性質量体15Bは、慣性力によりセンサーホルダー15A上で移動して、センサーレバー15Cを図中上方へ押す(図30参照)。つまり、加速度センサー15は、慣性質量体15Bの移動により車両の加速度を検知して、センサーレバー15Cのロック爪15Dを上方に移動させ、クラッチ50に回動可能に取り付けられた後述する噛合パウル60(図30)を上方に押して、噛合パウル60をラチェットホイール35の歯34に噛み合わせる。
なお、噛合パウル60をラチェットホイール35の歯34に噛み合わせることで、ロッキングギヤ30とクラッチ50が連結される。
「ラチェットギヤ」
図2、図8Aに示すように、ラチェットギヤ7は、ラチェット歯7Aと、ラチェットベース7Bと、ラチェットベース7Bの中央に形成された軸部(ラチェット軸部)7Cとを有する。複数のラチェット歯7Aは、ラチェットギヤ7の外周全体に形成されている。
車両の緊急時には、車両の加速度又はウエビング2の引き出しの加速度に対応して後述するように、ウエビング2の引き出しに伴ってクラッチ50が引出方向Pに回動する。クラッチ50の引出方向Pへの回動により、パウル9が係合位置に移動(回動)して、パウル9の係合爪9Aがラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する。これによりラチェットギヤ7がロックされ、ラチェットギヤ7(巻取ドラムユニット4)の引出方向Pの回動が阻止される。
なお、パウル9とラチェットギヤ7は、ラチェットギヤ7が引出方向Pに回動するときのみ係合し、ラチェットギヤ7のラチェット歯7Aとパウル9の係合爪9Aは、ラチェットギヤ7の引出方向Pの回動のみを阻止する。係合爪9Aがラチェット歯7Aから外れたときに、パウル9とラチェットギヤ7の係合が解除される。
「巻取バネユニット」
図7A、7Bは、巻取バネユニット5をそれぞれ異なる方向からみた分解斜視図である。
巻取バネユニット5は、渦巻バネ70と、バネケース71と、バネシート72と、円筒状のバネシャフト73を有する。渦巻バネ70の外端K1は、バネケース71の固定部74に固定され、渦巻バネ70の内端K2は、バネシャフト73に固定される。バネケース71は、渦巻バネ70とバネシャフト73を収容する。
バネシート72は、バネケース71に取り付けられてバネケース71内の渦巻バネ70とバネシャフト73を覆う。また、バネシート72は、中央に形成された円形状の凹部75と、凹部75の中心に形成された支持孔76を有する。バネシャフト73の一端部は、バネシート72の凹部75内に配置されて、バネシート72に回動可能に支持される。バネシャフト73の他端部は、バネケース71のピン77により回動可能に支持される。
バネシャフト73には、支持孔76に挿入された巻取ドラム10のシャフト17が固定され、バネシート72は、シャフト17を回動可能に支持する。
バネシャフト73は、巻取ドラム10と一体に回動し、かつ、渦巻バネ70の巻取方向Wへの付勢力を巻取ドラム10に伝達する。
なお、巻取バネユニット5の渦巻バネ70は、本発明の巻取付勢部材に対応する。
以上の構成により、巻取バネユニット5は、渦巻バネ70により巻取ドラム10をウエビング2の巻取方向Wに常に付勢する。ウエビング2の引出時には、巻取ドラム10の引出方向Pへの回動により渦巻バネ70が巻かれる。ウエビング2の巻取時には、渦巻バネ70の付勢力により、巻取ドラム10が巻取方向Wに回動して、ウエビング2が巻取ドラム10に巻き取られる。
「ロックユニット」
図8A、図9Aは、ロック機構8を構成するロックユニット6とラチェットギヤ7の分解斜視図であり、互いに異なる方向からみた図である。図9Bはクラッチ50を示す斜視図である。
ロックユニット6は、メカニズムカバー48と、ロッキングギヤ30と、ロッキングアーム40と、センサースプリング45と、クラッチ50と、噛合パウル60を有し、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けられる。
「メカニズムカバー」
メカニズムカバー48は、図9Aに示すように、ロッキングギヤ30、ロッキングアーム40、及びクラッチ50等を収容する第1収容部48Aと、加速度センサー15を収容する第2収容部48Bと、円筒状の支持ボス48Cを有する。
加速度センサー15のセンサーレバー15Cのロック爪15Dは、第2収容部48Bの貫通口48Dに配置され、貫通口48Dを通って第1収容部48A内に突出する。
「ロッキングギヤ」
図8Bは、ロッキングギヤ30を示す斜視図である。
ロッキングギヤ30は、中央に形成された軸孔31(図9A)と、ラチェットギヤ7の複数の凹部7F(図8A)に嵌合する複数の突起32(図9A)と、中央から突出する軸部(ギヤ軸部)33と、ロッキングギヤ30の外周に形成された環状部材であり、外周全体に複数の歯34を備えたラチェットホイール35を有する。
ロッキングギヤ30は、円柱状のアーム(ロッキングアーム40)支持部36(図8A)と、センサースプリング45を支持する支持ピン37と、後述するロッキングアーム40の回動を規制するストッパー38を有する。
ロッキングギヤ30の軸孔31(図9A)にはラチェットギヤ7のラチェット軸部7Cが挿入され、ロッキングギヤ30の複数の突起32がラチェットギヤ7の複数の凹部7Fに嵌合される。これにより、ロッキングギヤ30はラチェットギヤ7に取り付けられて、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)と一体に回動する。
一方、ロッキングギヤ30のギヤ軸部33は、メカニズムカバー48の支持ボス48C内に挿入されて、支持ボス48Cにより回動可能に支持される。
「ロッキングアーム」
ロッキングアーム40は、図8A、図9Aに示すように、湾曲形状に形成された長手方向の一端部41と他端部42の間に設けられた挿入孔43と、センサースプリング45を支持する支持ピン44とを有している。ロッキングアーム40は、挿入孔43にロッキングギヤ30のアーム支持部36を挿入することで、ラチェットホイール35の内側でロッキングギヤ30に、アーム支持部36を中心として回動可能に連結される。
センサースプリング45は、ロッキングアーム40の支持ピン44とロッキングギヤ30の支持ピン37の間に配置されて、ロッキングアーム40の他端部42を後述するロック作動方向(図11、矢印Lの方向)とは反対方向に付勢する。ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢により回動し、ロッキングギヤ30のストッパー38(図11)に当接して停止する。
「クラッチ」
クラッチ50は、図8A、図9Aに示すように、ロッキングギヤ30とメカニズムカバー48とに挟まれた状態で、第1収容部48Aに一定の回動範囲内で回動可能に収容される。
クラッチ50は、図9Aに示すように、環状の内壁51と、内壁51の内周に形成されたクラッチギヤ52と、内壁51を囲む環状の外壁53と、内壁51の中心に位置する中心孔54を有する。中心孔54にはロッキングギヤ30のギヤ軸部33(図8A)が挿入され、ロッキングギヤ30及び巻取ドラムユニット4がクラッチ50に対して相対的に回動可能に配置される。クラッチギヤ52の係合歯には、ロック作動時においてロッキングアーム40の一端部41が係合する。
クラッチ50は、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52の係合歯に係合することで、ウエビングの引出方向Pに回動するロッキングギヤ30と一体になって引出方向Pに回動する。
クラッチ50の環状の外壁53の外側には、誘導部55と、誘導部55に形成された細長い誘導溝56、噛合パウル60を支持する円柱状のパウル支持部57(図9B)と、噛合パウル60が当接するストッパー58、誘導溝56とパウル支持部57との間に設けたリターンスプリング19の第1腕部19Aを取り付ける取付ピン59(図9B)が設けられている。
誘導溝56にはパウル9の連動ピン9Bが挿入され、後述するように、クラッチ50の回動により連動ピン9Bを誘導溝56により誘導(強制移動)する。
これにより、クラッチ50とパウル9とは相互に連動して回動し、クラッチ50が引出方向Pに回動するとパウル9はラチェットギヤ7に係合する方向(係合方向)に回動し、クラッチ50が巻取方向Wに回動するとパウル9はラチェットギヤ7とは係合しない方向(非係合方向)に回動する。つまり、クラッチ50は、パウル9が係合位置にある引出方向位置と、パウル9が非係合位置にあるウエビングの巻取方向位置の範囲で、パウル9と相互に連動して回動する。
「噛合パウル」
噛合パウル60は、図8A、図9Aに示すように、クラッチ50のパウル支持部57で回転可能に支持される円筒状の取付部61と、ラチェットホイール35の歯34に噛み合う噛合爪62を有する。
噛合パウル60が自重により回転するときには、噛合パウル60がクラッチ50のストッパー58に当接して停止する。
噛合パウル60は、加速度センサー15の説明において既に述べたように、車両の加速度が所定の加速度を超えたときに、慣性質量体15Bに押されて上方へ移動するロック爪15Dにより、上方に押され取付部61を中心に回動する。この回動により、噛合パウル60の噛合爪62がラチェットホイール35の歯34に噛み合い、クラッチ50とロッキングギヤ30が連結される。
「巻取ドラムユニット」
図10は、巻取ドラムユニット4の断面図である。
巻取ドラムユニット4は、図示のように、ラチェットギヤ7と、巻取ドラム10と、円柱状のトーションバー14とを有する。ラチェットギヤ7は、ラチェットギヤ7の外周全体に形成されている複数のラチェット歯7Aと、中央から巻取ドラム10側に突出した凸部7Dと、凸部7Dに形成され、トーションバー14が挿入される取付孔部7Eと、中央に形成された軸部(ラチェット軸部)7Cとを有する。
巻取ドラム10は、中心線C1に沿って形成された軸孔部16と、第2端部12の中央に形成されたシャフト17を有する。軸孔部16は、巻取ドラム10の第2端部12で閉じ、巻取ドラム10の第1端部11で開口する。ラチェット軸部7Dとシャフト17は、巻取ドラム10の中心線C1に位置し、巻取ドラムユニット4は、中心線C1を軸として回動可能に支持される。
「トーションバー」
トーションバー14は、巻取ドラム10とラチェットギヤ7とのそれぞれに相対回動不能に取り付けられて、巻取ドラム10とラチェットギヤ7とを連結する。
トーションバー14は、例えば鋼製であり、巻取ドラム10の軸孔部16に挿入される。トーションバー14の一端部は、軸孔部16内で巻取ドラム10の第2端部12に相対回動不能に固定され、トーションバー14の他端部は、ラチェットギヤ7の取付孔部7E内に挿入され、凸部7Dに相対回動不能に固定される。ラチェットギヤ7は、トーションバー14に固定されて巻取ドラム10の第1端部11に装着される。トーションバー14の両端部は、それぞれカシメ等により巻取ドラム10及びラチェットギヤ7から脱落不能に取り付けられる。通常時に、トーションバー14は、ラチェットギヤ7を巻取ドラム10とともに回動及び停止させ、ラチェットギヤ7の回動停止により巻取ドラム10の回動を停止させる。
トーションバー14は、エネルギー吸収部材であり、車両の緊急時に、乗員の移動エネルギーを吸収する。パウル9によりラチェットギヤ7の引出方向Pの回動が停止した状態で、ウエビング2を装着した乗員が車両の前方に移動すると、乗員からウエビング2に力(引出荷重)が加えられる。引出荷重は、乗員の移動によりウエビング2に掛かる荷重である。ウエビング2の引出荷重が所定値を超えたときに、巻取ドラム10に作用する引出方向Pの回動トルクにより、トーションバー14が塑性変形(ここでは、捻じれ変形)する。トーションバー14は、塑性変形しつつ巻取ドラム10を引出方向Pに回動させる。このように、トーションバー14が塑性変形することで、巻取ドラム10が引出方向Pに回動する。これにより、ウエビング2が巻取ドラム10から引き出されて、乗員の移動エネルギーが吸収される。
次に、以上で説明した第1の実施形態のリトラクタ100のロック動作について説明する。
ここでは、ウエビング2の急激な引き出しによるウエビングの引出停止及びその解除について説明する。
説明に先立ち、まず、リトラクタ100のロック機構の配置を説明する。
図11は、リトラクタ100の非ロック状態(通常時)にあるときのロック機構を示す断面図である。
図11において、ロッキングアーム40は、ロッキングギヤ30のアーム支持部36に回動可能に連結されている。ロッキングアーム40にはセンサースプリング45の付勢力が、アーム支持部36の回りでロック作動方向(矢印Lの方向)とは反対方向(図中反時計方向)に作用している。
ロッキングアーム40は、センサースプリング45により付勢されることで、他端部42がロッキングギヤ30に設けたストッパー38に当接し、一端部41は、クラッチ50のクラッチギヤ52から離れた状態、つまり、ロッキングギヤ30とクラッチ50は非連結の状態に維持されている。
なお、図11の非ロック状態では、クラッチ50は、リターンスプリング19により巻取方向Wに付勢されており、一方、パウル9(図6)の連動ピン9Bは、リターンスプリング19によりラチェットギヤ7(図6)から離れる方向(非係合方向)に付勢されている。そのため、連動ピン9Bはクラッチ50の誘導溝56の図示下端部に当接しており、パウル9は非係合位置に回動し、クラッチ50は巻取方向位置に保持されている。
この状態において、ウエビング2を所定加速度以下で引き出すと、巻取ドラム10とロッキングギヤ30が引出方向Pに回動する。その際、クラッチ50は、巻取ドラム10とロッキングギヤ30に連結されていないため回動せず、ウエビング2の引き出しがロックされることはなく、ウエビング2は自由に引き出せる。
これに対し、ウエビング2を所定加速度を超えて急激に引き出して、巻取ドラム10の引出方向Pへの回動の加速度が所定の値を超えると、ロッキングアーム40が慣性力で巻取ドラム10(したがって、ロッキングギヤ30)の回動に追従しきれなくなる。つまり、ロッキングアーム40の一端部41が、センサースプリング45の付勢力に抗してロック作動方向(矢印Lの方向)に変位してクラッチギヤ52に係合する。これによりクラッチ50と、引出方向Pに回動するロッキングギヤ30(巻取ドラム10、及びラチェットギヤ7)が連結され、クラッチ50がリターンスプリング19の非ロック状態における巻取方向Wの付勢力に抗して、引出方向Pに回動する。
クラッチ50が引出方向Pに回動すると、パウル9の連動ピン9Bが、中心線C1の回りで回動するクラッチ50の誘導溝56の図示下側縁で強制誘導されて、クラッチ50の中心側に移動(取付孔29の中心線C2(図4)を中心に回動)する。この連動ピン9Bの回動により、パウル9の係合爪9Aがラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合し、ラチェットギヤ7をロックする。同時にラチェットギヤ7と一体の巻取ドラム10の引出方向Pの回動を阻止して、ウエビング2の引き出しを阻止する。
なお、以上の説明において、ウエビング2の引き出し、巻き取りに基づく巻取ドラム10の回動により、クラッチ50とロッキングギヤ30との連結及び連結解除を行うロッキングアーム40、センサースプリング45を含む、クラッチ50とロッキングギヤ30との連結及び連結解除を行う機構を総称して連結機構という。連結機構はロック機構の一部を構成する。
図12〜図16は、以上で説明した第1の実施形態に係るリトラクタ100におけるウエビング2の引き出しから停止(非ロック状態からロック状態)に至るまでの一連の動作を、リターンスプリング19のバネ力の方向と、パウル9及びクラッチ50に作用する回転モーメントの方向と共に示したロック機構8を示す断面図である。
即ち、図12は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態におけるロック機構8を含む断面図である。
既に述べたように、リターンスプリング19の第1腕部19Aはクラッチ50(取付ピン59)に、第2腕部19Bは、リターンプレート18の取付ピン18E(図4)を介してパウル9に連結されている。リターンスプリング19は、第1腕部19Aにより、クラッチ50の取付ピン59にバネ力F1を作用させ、第2腕部19Bにより、リターンプレート18の取付ピン18Eにバネ力F2を作用させている。
図12から明らかなように、クラッチ50の取付ピン59に作用するリターンスプリング19のバネ力F1により、クラッチ50の回動中心である中心線C1の回りで回転モーメントM1が発生しており、図12における非ロック状態においては、回転モーメントM1は巻取方向Wに作用している。
また、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に当接する状態に維持されている(図11参照)。
次に、車両の緊急時において、図13に示すように、ウエビング2が急激に引き出され、ウエビング2の引き出しの加速度が所定の加速度を超え、引出方向Pに回動する巻取ドラム10の加速度(回動の加速度)が所定の値を超えると、図11を参照して説明したように、ロッキングアーム40は、ロッキングギヤ30のアーム支持部36に回動可能に支持されているため、回動するロッキングギヤ30に対してロッキングアーム40には慣性による遅れが生じる。つまり、ロッキングアーム40がアーム支持部36を中心にセンサースプリング45を圧縮しつつ回動して、図中矢印Lで示すように、ロッキングアーム40の一端部41がロッキングギヤ30の半径方向外側に向かって移動し、クラッチ50のクラッチギヤ52に係合する。
これにより、クラッチ50は、ロッキングアーム40によりロッキングギヤ30に連結され、リターンスプリング19の巻取方向Wに作用しているバネ力F1(回転モーメントM1)に抗してロッキングギヤ30及び巻取ドラム10と共に引出方向Pに回動する。
クラッチ50が回動すると、図14に示すように、パウル9の連動ピン9Bは、クラッチ50の誘導溝56によりリターンスプリング19の付勢力に抗して強制的に誘導されて、パウル9の係合爪9Aをラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合する係合方向に回動させる(矢印X)。つまり、回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
ウエビング2の引き出しに伴いクラッチ50が回動して、パウル9が係合方向に回動するに伴い、パウル9及びリターンプレート18は、ハウジング3Aの第1側壁部22の取付孔29A(図4)の中心線C2回りで回動する。
その結果、リターンスプリング19のバネ力F1の方向、即ち、クラッチ50の取付ピン59とリターンプレート18の取付ピン18Eを結ぶ線の方向が変化していく。つまり、リターンスプリング19のバネ力F1によりクラッチ50に作用される中心線C1の回りの回転モーメントM1は、非ロック状態では巻取方向Wに作用しているが、ウエビング2の引き出しが続くに従い巻取方向Wへ作用する値が小さくなっていき、図14の状態では、回転モーメントM1がゼロとなる。
つまり、図14は、リターンプレート18の取付ピン18Eと、クラッチ50の取付ピン59と、クラッチ50の回動中心(中心線C1上の点)が一直線上に並んだ状態を示している。つまり、バネ力F1がクラッチ50の回動中心を向く方向に作用し、回転モーメントM1が発生しない状態を示している。
図14の状態を境に、以後は、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用する、中心線C1の回りの回転モーメントM1の方向は、ウエビング2の巻取方向Wから引出方向Pに変化する。
図15は、ウエビング2の引き出し(巻取ドラムユニット4の引出方向Pの回転)に伴って、クラッチ50に作用する回転モーメントM1の方向が巻取方向Wから引出方向Pに変化した状態を示し、図16は、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)のロック状態を示す。即ち、パウル9は、ラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに係合している。
ロック状態においては、図16に示すように、リターンスプリング19により、クラッチ50に作用する回転モーメントM1の方向は、引出方向Pである。
他方、リターンスプリング19の第2腕部19B(図11)により、リターンプレート18の取付ピン18Eにはバネ力F2が作用しており、その貫通孔18Cに挿入されたパウル9の連動ピン9Bを介して、パウル9にはバネ力F2により中心線C2回りの回転モーメントM2が作用している。この回転モーメントM2がパウル9に作用する方向は、図12〜図16に示すように、常にパウル9を中心線C2回りに非係合方向に回動する方向である。即ち、クラッチ50の誘導溝56には、回転モーメントM2によって常にクラッチ50を巻取方向Wに回動させる付勢力が作用している。
しかし、回転モーメントM2は、パウル9が非係合位置から係合位置に回動するにつれて小さくなり、パウル9が係合位置にある図16の状態(ロック状態)では回転モーメントM2は、ほとんど発生しない。これは、パウル9が非係合位置から係合位置に回動するにつれて、クラッチ50の取付ピン59とパウル9の連動ピン9Bとを結ぶ線が、パウル9の回動中心(中心線C2上の点)に近接するからである。
これにより、少なくとも図16のロック状態では、リターンスプリング19からクラッチ50に作用する付勢力は、回転モーメントM2による巻取方向Wへの付勢力よりも、回転モーメントM1による引出方向Pへの付勢力の方が大きくなる。
つまり、図14の回転モーメントM1がゼロの状態から、図16のロック状態に変化する過程で、回転モーメントM1が引出方向Pへ徐々に大きくなることで、回転モーメントM1による引出方向Pへの付勢力が回転モーメントM2による巻取方向Wへの付勢力よりも大きくなり、リターンスプリング19からクラッチ50に作用する付勢力の方向が、巻取方向Wから、引出方向Pに変化するようにされている。これにより、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されており、この付勢力により、クラッチ50はパウル9を係合位置に誘導する引出方向位置に保持される。
次に、ロック機構8による巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)の引出方向Pへの回動のロックを解除するには、ウエビング2に加わる引出方向Pの引っ張り力を解除する必要がある。ウエビング2に加わる引出方向Pの引っ張り力を解除すると、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)及び巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ7に一体的に取り付けられたロッキングギヤ30は、巻取バネユニット5の渦巻バネ70(図7)の付勢力によって巻取方向Wに回動する。
図17は、ロック解除のために、巻取バネユニット5の渦巻バネ70の付勢力によって、巻取ドラムユニット4がわずかに巻取方向Wに回転し、ウエビング2が巻き取られたときの状態を示す。
この場合、クラッチ50は、リターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、パウル9を係合位置に誘導した状態で引出方向位置に保持されているので巻取方向Wには回動せず、ロッキングギヤ30がわずかに巻取方向Wに回動する。
この巻取方向Wに回動するロッキングギヤ30と、静止したクラッチ50との間で生じるこの相対回動量が、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52から外れるのに必要な相対回動量に達していると、ロッキングアーム40の一端部41は、センサースプリング45の付勢力により回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。
一方、図17に示すように、クラッチ50とロッキングギヤ30との連結が解除されると同時、もしくはその直後に、ラチェットギヤ7が巻取方向Wに回転することで、パウル9の係合爪9Aは、係合していたラチェットギヤ7のラチェット歯7Aから離れ、その引出方向P側に位置するラチェット歯7Aの巻取方向W側の斜面に当接する。
その後、図18に示すように、巻取ドラムユニット4がさらに巻取方向Wに回転することで、パウル9の係合爪9Aは、ラチェット歯7Aの巻取方向W側の斜面に当接しつつ誘導されて非係合方向に強制回動(矢印Y)される。このパウル9の非係合方向の回動に連動して、クラッチ50はリターンスプリング19による引出方向Pの付勢力に抗してウエビング2の巻取方向Wに回動し始める。
クラッチ50のこの巻取方向Wへの回動により、リターンスプリング19によるバネ力F1の方向、即ち、クラッチ50の取付ピン59とリターンプレート18の取付ピン18Eを結ぶ線の方向が、ロック時とは逆に、図18から図20に示すようにクラッチ50の回動の中心線C1に対して右側から左側に変化していく。
即ち、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用する回転モーメントM1は、クラッチ50のウエビング2の引出方向Pから巻取方向Wに変化していく。なお、図19は、クラッチ50の取付ピン59とリターンプレート18の取付ピン18Eと、クラッチ50の回動中心(中心線C1上の点)が一直線上に並んだ状態を示している。つまり、バネ力F1がクラッチ50の回動中心を向く方向に作用し、回転モーメントM1が発生しない状態を示している。
この後さらに、図20に示すように巻取ドラムユニット4が巻取方向Wに回転し続けると、回転モーメントM1の方向は、引出方向Pから巻取方向Wに切り替わり、巻取ドラムユニット4(クラッチ50)の巻取方向Wへの回転に従って、回転モーメントM1は大きくなっていく。
このリターンスプリング19によるクラッチ50に作用する中心線C1の回りの回転モーメントの巻取方向Wへの切り替えにより、クラッチ50に作用する付勢力の方向は巻取方向Wとなり、巻取方向Wへの付勢力がある程度まで大きくなると、以後は、クラッチ50は、巻取方向Wへの付勢力により迅速に巻取方向Wに回動し、パウル9の連動ピン9Bは、クラッチ50の回動により誘導溝56に誘導されて急速に非係合方向に回動して、非ロック位置に戻る。即ち、図21に示すように、リターンスプリング19の巻取方向Wへの付勢力によりパウル9は非ロック位置に復帰するとともに保持され、クラッチ50は巻取方向位置に復帰するとともに保持される。以後、ウエビング2の自由な引き出しと巻き取りが可能になる。
即ち、ロック状態においては、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されているので、ロック状態においてクラッチが巻取方向Wに付勢されている従来のリトラクタに対して、ロック解除開始後のわずかなウエビング巻き取り量で、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結の解除を行うことができる。これにより、ロック解除の際に、従来のリトラクタのようにクラッチがパウルを非係合位置に復帰させた後、さらに、ロッキングギヤとクラッチとに相対回動を生じさせて、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除させるまで巻取ドラムをウエビングの巻取方向に回動させる必要がなく、少ないウエビング巻き取り量で迅速にロックを解除することができる。
また既に述べたように、リターンスプリング19の第2腕部19Bにより、パウル9に作用する中心線C2回りの回転モーメントM2によって、クラッチ50の誘導溝56には、パウル9の連動ピン9Bを介して、常にクラッチ50を巻取方向Wに回動させる付勢力が作用している。そこで、これを考慮すると、図19の回転モーメントM2がゼロになる時点で、リターンスプリング19によるクラッチ50の付勢方向は巻取方向Wとなっている。つまり、図16のロック状態から、図19の回転モーメントM1がゼロになる状態に変化する過程で、リターンスプリング19からクラッチ50に作用する付勢力の方向が、引出方向Pから、巻取方向Wに変化する。これにより、ロック解除時にできるだけ早期に、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用する付勢力の方向を巻取方向Wに切り替えて、迅速にロックを解除することができる。
ロック解除状態においては、パウル9は、リターンスプリング19により、リターンプレート18の取付ピン18Eに巻取方向Wへの付勢力が作用することで非ロック位置に保持され、かつクラッチ50は、取付ピン59に巻取方向Wへの付勢力が作用することで巻取方向位置に保持されるので、車両の振動等によってパウル9やクラッチ50がガタつくことによる異音の発生を抑制することができる。
また、図20の状態では、パウル9の係合爪9Aの先端は、ラチェット歯7Aの歯先の径の位置に位置しており、この状態に至るまでは、パウル9の係合爪9Aが巻取方向Wに回動するラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに誘導されて、非係合方向に強制回動可能とされている。即ち、図20の状態では、クラッチ50は、既に回転モーメントM1が巻取方向Wに作用する位置まで回動しているので、ロック解除の際に確実に回転モーメントM1を巻取方向Wに切り替え、ロックを解除することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るリトラクタにおいて、クラッチ50は、ロック状態、即ちパウル9が前記係合位置にある状態においては、リターンスプリング19によりウエビング2の引出方向Pに付勢される。またロック解除状態、即ちパウル9が前記非係合位置にある状態においては、クラッチ50は、リターンスプリング19により取付ピン59に巻取方向Wへの付勢力が作用することで巻取方向位置に保持される。ここでは、このようにクラッチ50をロック状態及び非ロック状態においてそれぞれウエビング2の引出方向及び巻取方向に付勢するリターンスプリング19などの部材を総称してクラッチ付勢部材という。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係るリトラクタ200のリターンスプリング19の第1腕部19Aは、第1の実施形態と同様にクラッチ50(取付ピン59)に取り付けられるが、第2腕部19Bは、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Aに取り付けられている。
第1のリトラクタ100と第2のリトラクタ200は、この点で相違している。したがって、ここでは、第1の実施形態で使用したリターンプレート18は使用していない。その他の点では、パウル9をハウジング3Aの第1側壁部22の取付孔29Aに挿入し、パウルリベット20により第1側壁部22に回動可能に取り付ける点も含め同じである。
図22〜図24は、リトラクタ200における非ロック状態からロック状態に至るまでの一連の動作中における、リターンスプリング19によるバネ力F1の作用する方向と、クラッチ50に作用する回転モーメントM1の方向を示した図である。
即ち、図22は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態を示す。
リターンスプリング19の第1腕部19Aはクラッチ50の取付ピン59に、第2腕部19Bはハウジング3Aの第1側壁部22の取付ピン22Aに連結されており、非ロック状態において、クラッチ50は第1腕部19Aを介して巻取方向W(図中、時計方向)に回動付勢されている。これにより、パウル9には、クラッチ50の誘導溝56を介してラチェットギヤ7から離れる方向(非係合方向)の付勢力が作用される。
図22に示すように、クラッチ50には、クラッチ50の取付ピン59に作用するリターンスプリング19のバネ力F1により、中心線C1の回りで巻取方向Wの回転モーメントM1が生じており、パウル9の連動ピン9Bはクラッチの誘導溝56の図示下端に位置し、パウル9は非係合位置に回動しており、クラッチ50は巻取方向位置に保持されている。
また、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に接触する状態(図11参照)に維持されている。
次に、車両の緊急時において、ウエビング2が急激に引き出され、回動する巻取ドラム10の引出方向Pの加速度(回動の加速度)が所定の値を超えると、図11に関連して説明したように、ロッキングアーム40は、アーム支持部36を中心にセンサースプリング45を圧縮しつつ回動して、ロッキングアーム40の一端部41がロック作動方向(矢印Lの方向)に変位する。
次に、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52に係合すると、クラッチ50は、ロッキングアーム40によりロッキングギヤ30に連結され、リターンスプリング19のウエビング巻取方向Wの付勢力に抗してロッキングギヤ30(巻取ドラム急速に10、及びラチェットギヤ7)とともに引出方向Pに回動する。
クラッチ50が引出方向Pに回動すると、パウル9が係合方向に回動される。つまり、巻取方向Wに回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
図23は、巻取方向Wに回動するクラッチ50により、パウル9が、非ロック位置からロック位置に向かって回動する過程において、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Aと、クラッチ50の取付ピン59と、クラッチ50の回動中心(中心線C1上の点)が一直線上に並んだ状態、つまり、バネ力F1がクラッチ50の回動中心を向く方向に作用し、図14におけると同様に、回転モーメントM1が発生しない状態を示している。
図23の状態を境に、クラッチ50が巻取方向Wにさらに回動してパウル9が係合位置に向かって回動するに伴い、第1の実施形態と同様に、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用される回転モーメントM1の方向は、巻取方向Wから引出方向Pに変化する。
したがって、ロック状態においては、図24に示すように、クラッチ50に作用するリターンスプリング19による付勢力の作用方向は、ウエビングの引出方向Pであり、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されることで、引出方向位置に保持される。
ロック機構8によるロックの解除時においては、第1の実施形態におけると同様に、ウエビング2に加わる引出方向の引張力を解除すると、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)及び巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ7に一体的に取り付けられたロッキングギヤ30は、巻取バネユニット5の渦巻バネ70の付勢力によって巻取方向Wに回動し、ウエビング2が巻き取られる。
そして、第1の実施形態と同様に、クラッチ50は、リターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、パウル9を係合位置に誘導した状態で引出方向位置に保持されているので巻取方向Wには回動せず、ロッキングギヤ30がクラッチ50に対して巻取方向Wに相対回動する。この相対回動量が、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52から外れるのに必要な相対回動量に達していると、ロッキングアーム40の一端部41は、センサースプリング45の付勢力により回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。
一方パウル9の係合爪9Aは、第1の実施形態と同様に、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除された後に、巻取方向Wに回動するラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに誘導されて、非係合方向に強制回動される。このパウル9の非係合方向の回動に連動して、クラッチ50はリターンスプリング19による引出方向Pの付勢力に抗してウエビング2の巻取方向Wに回動する。
クラッチ50のこの巻取方向Wへの回動により、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用する中心線C1の回りの回転モーメントM1は、ロック時とは逆にクラッチ50のウエビング2の引出方向Pから巻取方向Wに変化していく。即ち、図25に示すように、リターンスプリング19のバネ力F1がクラッチ50の回動中心を向く方向に作用し、クラッチ50に作用される回動モーメントM1がゼロになった後に、クラッチ50の付勢方向は、引出方向Pから巻取方向Wに切り替わる。
そして、巻取方向Wへの付勢力がある程度まで大きくなると、以後は、クラッチ50は巻取方向Wへの付勢力により迅速に巻取方向Wに回動し、パウル9は連動ピン9Bが誘導溝56に誘導されることで、急速に非係合位置に復帰し、クラッチ50は巻取方向位置に復帰するとともに保持され、図22に示す巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態に戻る。以後、ウエビング2の引き出しと巻き取りが可能になる。
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態のリトラクタ300では、そのリターンスプリング19の第1腕部19Aは、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Bに取り付けられ、第2腕部19Bは、パウル9の連動ピン9Bに取り付けられている。
即ち、第3の実施形態のリトラクタ300は、第2の実施形態のリトラクタ200では、リターンスプリング19の一端部が、クラッチ50の取付ピン59に取り付けられているのに対して、ハウジング3Aの第1側壁部22に設けた取付ピン22Bに取り付けられている。また、リターンスプリング19は、第2の実施形態のリトラクタ200では、捩じりコイルバネであったが、第3の実施形態のリトラクタ300では、略V字型の線バネである。両者はそれらの点で相違し、その他の点では両者同じである。
図26〜図28は、第3の実施形態のリトラクタ300における非ロック状態からロック状態に至るまでの一連の動作中におけるリターンスプリング19によるバネ力F2の作用する方向と、パウル9に作用する付勢力による回転モーメントM2の方向を示した図である。
即ち、図26は、巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態を示す断面図である。
リターンスプリング19は、その第1腕部19Aがハウジング3Aの第1側壁部22の取付ピン22Bに、第2腕部19Bがパウル9の連動ピン9Bにそれぞれ連結されており、非ロック状態においてパウル9の連動ピン9Bは、第2腕部19Bを介して非係合方向に回動付勢されている。
図26に示すように、パウル9の連動ピン9Bに作用するリターンスプリング19のバネ力F2により、パウル9には中心線C2回りで非係合方向の回転モーメントM2が作用しており、パウル9は非係合方向に回動付勢されている。したがって、クラッチ50はパウル9の連動ピン9Bを介して、巻取方向Wに回動付勢されている。これにより、パウル9の連動ピン9Bがクラッチの誘導溝56の下端に位置し、パウル9は非係合位置に回動しており、クラッチ50は巻取方向位置に保持されている。
なお、この場合も、ロッキングアーム40の他端部42は、センサースプリング45の付勢によりストッパー38に接触する状態(図11参照)に維持されている。
次に、車両の緊急時において、ウエビング2が急激に引き出され、回動する巻取ドラム10の引出方向Pの加速度(回動の加速度)が所定の値を超えると、図11に関連して説明したように、ロッキングアーム40は、アーム支持部36を中心にセンサースプリング45を圧縮しつつ回動して、ロッキングアーム40の一端部41がロック作動方向(矢印Lの方向)に変位する。
次に、ロッキングアーム40の一端部41がロッキングギヤ30に係合すると、クラッチ50は、ロッキングアーム40によりロッキングギヤ30に連結され、リターンスプリング19の取方向Wの付勢力に抗してロッキングギヤ30(巻取ドラム10、及びラチェットギヤ7)とともに引出方向Pに回動する。
クラッチ50が回動すると、リターンスプリング19の巻取方向Wの付勢力に抗してパウル9が係合方向に回動される。つまり、回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって回動する。
図27は、ハウジング3Aの第1側壁部22の取付ピン22Bと、パウル9の連動ピン9Bと、パウル9の回動中心(中心線C2上の点)が一直線上に並んだ状態、つまり、バネ力F2がパウル9の回動中心を向く方向に作用し、回転モーメントM2が発生しない状態を示している。
図27の状態を境に、クラッチ50がさらに回動してパウル9が係合位置に向かって移動するに伴い、リターンスプリング19によるパウル9に作用する回転モーメントM2の方向は、係合方向から、非係合方向に変化する。これに伴い、リターンスプリング19から、パウル9の連動ピン9Bを介してクラッチ50の誘導溝56に作用する付勢力の方向もクラッチ50の巻取方向Wから引出方向Pに変わる。
つまり、クラッチ50が回動を開始してパウル9が係合位置に向かって回動する過程において、第1、第2の実施形態と同様に、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用される付勢力は、巻取方向Wから引出方向Pに変化する。
したがって、ロック状態においては、図28に示すように、クラッチ50に作用するリターンスプリング19による付勢力の作用方向は、引出方向Pであり、ロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されることで引出方向位置に保持される。
ロック機構8による巻取ドラム10のロックの解除時においては、第1、第2の実施形態と同様に、ウエビング2に加わる引出方向の引っ張り力を解除すると、巻取ドラムユニット4(巻取ドラム10)及び巻取ドラムユニット4のラチェットギヤ7に一体的に取り付けられたロッキングギヤ30は、巻取バネユニット5の渦巻バネ70の付勢力によって巻取方向Wに回動し、ウエビング2が巻き取られる。
また、クラッチ50は、第1、第2の実施形態と同様に、リターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、引出方向位置に保持されているので巻取方向Wには回動せず、ロッキングギヤ30がクラッチ50に対して巻取方向Wに相対回動する。この相対回動量が、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチギヤ52から外れるのに必要な相対回動量に達していると、ロッキングアーム40の一端部41は、センサースプリング45の付勢力により回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。
一方パウル9の係合爪9Aは、第1、第2の実施形態と同様に、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除された後に、巻取方向Wに回動するラチェットギヤ7のラチェット歯7Aに誘導されて、リターンスプリング19による係合方向の付勢力に抗して非係合方向に強制回動される。これに連動して、クラッチ50は巻取方向Wに回動する。
このパウル9の非係合方向の回動により、リターンスプリング19による中心線C2の回りの回転モーメントM2が、ロック時とは逆にパウル9の係合方向から、非係合方向に変化する。即ち、図29に示すように、リターンスプリング19のバネ力F2がパウル9の回動中心を向く方向に作用し、パウル9に作用される回動モーメントM2がゼロになった後に、パウル9の付勢方向は、係合方向から非係合方向に切り替わる。これに伴い、パウル9の連動ピン9Bを介して、クラッチ50の誘導溝56に作用する付勢力も引出方向Pから巻取方向Wに変わる。
そして、巻取方向Wへの付勢力がある程度まで大きくなると、以後は、パウル9は非係合方向への付勢力により迅速に非係合方向へ回動して非係合位置に復帰して保持され、そのパウル9の回動に連動して、クラッチ50は急速に巻取方向Wに回動して巻取方向位置に復帰し、図26に示す巻取ドラムの通常時、つまり非ロック状態に戻る。以後、ウエビング2の引き出しと巻き取りが可能になる。
以上説明したように、本第3実施形態においては、前記パウルが前記係合位置にある状態で該パウルを前記係合方向へ回動付勢し、前記パウルが前記非係合位置にある状態で該パウルを前記非係合方向へ回動付勢する。この回動付勢する部材を総称してここではパウル付勢部材という。つまり、本第3の実施形態においてリターンスプリング19は、クラッチ付勢部材であるとともに、パウル付勢部材でもある。
以上で述べた、第2、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ロック状態においてクラッチ50は、リターンスプリング19により引出方向Pに付勢されているので、ロック状態においてクラッチが巻取方向Wに付勢されている従来のリトラクタに対して、ロック解除開始後のわずかなウエビング巻き取り量で、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結の解除を行うことができる。これにより、ロック解除の際に、従来のリトラクタのようにクラッチがパウルを非係合位置に復帰させた後、さらに、ロッキングギヤとクラッチとに相対回動を生じさせて、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除するまで巻取ドラムをウエビングの巻取方向に回動させる必要がなく、少ないウエビング巻き取り量で迅速にロックを解除することができる。
第1〜3の実施形態のロック動作について、上記では、ウエビング2の急激な引き出しによる巻取ドラム10の引出方向への回動の加速度を検知して、ロッキングアーム40の一端部41がクラッチ50のクラッチギヤ52に係合することで、クラッチ50がロッキングギヤ30に連結してロック機構8が作動する場合を説明したが、車両の緊急時に、車両の加速度を加速度センサー15によって検知してロック機構8を作動させる場合についても説明を行う。
即ち、車両の緊急事態(例えば、衝突、急ブレーキ)において、車両の加速度が所定の加速度を超えたときに、第1の実施形態であれば、図12の非ロック状態から、加速度センサー15の慣性質量体15Bがその慣性力によりセンサーホルダー15Aの上で移動して、センサーレバー15Cを押し上げる。つまり、加速度センサー15は、慣性質量体15Bの移動により、車両の加速度を検知して、センサーレバー15Cのロック爪15Dを上方に移動させる。
ロック爪15Dが上方に移動すると、クラッチ50の噛合パウル60は上昇するロック爪15Dにより上方に押されてラチェットホイール35の歯34に噛み合う。図30は、この状態を示す第1の実施形態の変更例を示す。即ち、これにより、クラッチ50の噛合パウル60がラチェットホイール35の歯34に噛み合い、クラッチ50とロッキングギヤ30が連結する。つまりこの場合、クラッチ50とロッキングギヤ30との連結及び連結解除を行う連結機構は、クラッチの噛合パウル60を含む。
続いて、ウエビング2が引き出されると、噛合パウル60が歯34に噛み合った状態で、クラッチ50がリターンスプリング19の巻取方向Wの付勢力に抗して、ロッキングギヤ30及び巻取ドラム10と共に引出方向Pに回動する。
クラッチ50が巻取方向Pに回動すると、パウル9の連動ピン9Bは、クラッチ50の誘導溝56により誘導されて、パウル9はラチェットギヤ7に係合する係合位置に移動される。つまり、回動するクラッチ50により、パウル9が、非係合位置から係合位置に向かって移動し、パウル9の係合爪9Aがラチェット歯7Aに係合する。図31は、このロック状態を示す。
なお、クラッチ50の巻取方向Pへの回動中、噛合パウル60がラチェットホイール35の歯34に噛み合った状態は維持され、また、既に述べたように、リターンスプリング19によりクラッチ50に作用される付勢力の方向は、巻取方向Wから引出方向Pに変化する。即ち、図31のロック状態において、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、引出方向位置に保持されている。
以上説明した、車両の緊急時に、車両の加速度を検知する加速度センサー15によるロック機構8の動作は、第2、第3の実施形態の変更例においても同様である。
したがって、ここでは、第1の実施形態の変更例についての説明を、第2、第3の実施形態の変更例にも援用する。
また、このパウル9とラチェットギヤ7との係合によるロック状態の解除は、既に、ウエビング2の急激な引き出しによりロック機構8を作動させる場合において、第1〜第3の実施形態についてそれぞれ述べた手順と同様である。
即ち、図32に示すようにロックの解除時に、ロッキングギヤ30が巻取バネユニット5の渦巻バネ70の付勢力によって巻取方向Wに回動しても、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されて、引出方向位置に保持されているので巻取方向Wには回動せず、ロッキングギヤ30がクラッチ50に対して巻取方向に相対回動する。この相対回動量が、クラッチ50の噛合パウル60がラチェットホイール35の歯34から外れるのに必要な相対回動量に達していると、クラッチ50の噛合パウル60は、自重により図中下方へ回動してクラッチギヤ52から離れ、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結が解除される。以後、ロックの解除は、既にウエビング2の急激な引き出しによりロック機構8を作動させる場合において、第1〜第3の実施形態についてそれぞれ述べた手順と同じ手順で行われる。即ち、第1の実施形態であれば、以後図19〜図21に示すようにロックの解除が行われる。
したがって、ここでは第1〜第3の実施形態についての説明を援用する。
以上で述べた、車両の緊急時に、車両の加速度を加速度センサー15によって検知してロック機構8を作動させる場合においても、ウエビング2の急激な引き出しによる巻取ドラム10の引出方向への回動の加速度を検知して、ロック機構8を作動させる場合と同様に、ロック状態においては、クラッチ50はリターンスプリング19により引出方向Pに付勢されているので、ロック状態においてクラッチが巻取方向Wに付勢されている従来のリトラクタに対して、ロック解除開始後のわずかなウエビング巻き取り量で、クラッチ50とロッキングギヤ30の連結の解除を行うことができる。これにより、ロック解除の際に、従来のリトラクタのようにクラッチがパウルを非係合位置に復帰させた後、さらに、ロッキングギヤとクラッチとに相対回動を生じさせて、ロッキングギヤとクラッチとの連結を解除するまで巻取ドラムをウエビングの巻取方向に回動させる必要がなく、少ないウエビング巻き取り量で迅速にロックを解除することができる。
100,200,300・・・リトラクタ、2・・・ウエビング、3・・・ハウジングユニット、3A・・・ハウジング、4・・・巻取ドラムユニット、5・・・巻取バネユニット、6・・・ロックユニット、7・・・ラチェットギヤ、7A・・・ラチェット歯、7B・・・ラチェットベース、8・・・ロック機構、9・・・パウル、10・・・巻取ドラム、11・・・第1端部、12・・・第2端部、13・・・巻取部、14・・・トーションバー、15・・・加速度センサー、16・・・軸孔部、17・・・シャフト、18・・・リターンプレート、19・・・リターンスプリング、21・・・背板部、22・・・第1側壁部、23・・・第2側壁部、24・・・固定板、25・・・第1開口、25A・・・パウル収容部、26・・・第2開口、30・・・ロッキングギヤ、35・・・ラチェットホイール、36・・・アーム支持部、37・・・支持ピン、38・・・ストッパー、39・・・センサーカバー、40・・・ロッキングアーム、41・・・一端部、45・・センサースプリング、46・・・プロテクタ、48・・・メカニズムカバー、48A・・・第1収容部、48B・・・第2収容部、48C・・・支持ボス、48D・・・貫通口、50・・・クラッチ、51・・・内壁、52・・・クラッチギヤ、53・・・外壁、54・・・中心孔、55・・・誘導部、56・・・誘導溝、57・・・パウル支持部、58・・・ストッパー、60・・・噛合パウル、61・・・取付部、62・・・噛合爪、70・・・渦巻バネ、71・・・バネケース、72・・・バネシート、73・・・バネシャフト、74・・・固定部、75・・・凹部、76・・・支持孔、77・・・ピン、W・・・巻取方向、P・・・引出方向。

Claims (7)

  1. ハウジングの相対向する一対の側壁部間に回動可能に収納されて、巻取付勢部材によりウエビングの巻取方向に回動付勢されて前記ウエビングを巻き取ると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、
    緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、
    前記ロック機構は、
    前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、
    前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に配置されて、回動可能に支持され、係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合して前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、非係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合しない非係合位置に変位するパウルと、
    前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられたロッキングギヤと、
    前記巻取ドラムと同軸に回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記非係合位置にある前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、
    緊急時に前記クラッチと前記引出方向へ回動する前記ロッキングギヤとを連結して、前記クラッチを前記ロッキングギヤと一体的に前記引出方向へ回動させると共に、前記クラッチが前記ロッキングギヤと連結した状態において、前記クラッチに対して前記ロッキングギヤが前記巻取方向に相対回動することで、前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除される連結機構と、
    を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記パウルが前記係合位置にある状態で前記クラッチを前記引出方向へ回動付勢し、前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記クラッチを前記巻取方向へ回動付勢するクラッチ付勢部材と、を有し、
    前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向は、前記連結機構による連結後における前記巻取ドラムの前記引出方向への回動によって前記引出方向へ切り替わり、前記連結機構による連結解除後における前記巻取ドラムの前記巻取方向への回動によって前記巻取方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  2. 請求項1に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記クラッチは、前記パウルと相互に連動して回動し、前記パウルが前記係合位置にある引出方向位置と、前記パウルが非係合位置にある巻取方向位置の範囲で回動し、前記クラッチが前記引出方向位置にある状態で、前記巻取ドラムの前記巻取方向への回動により、前記ラチェットギヤが前記クラッチに対して前記巻取方向に相対回動することで、前記連結機構による前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除され、
    前記巻取方向に回動する前記ラチェットギヤが、前記パウルを介して前記クラッチを前記巻取方向に回動させることで、前記クラッチ付勢部材による前記クラッチの回動付勢方向が、前記引出方向から前記巻取方向へ切り替えられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  3. 請求項1又は2に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記クラッチに取り付けられると共に、他端側が前記パウルに取り付けられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  4. 請求項3に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記クラッチ付勢部材の一端側による前記クラッチの付勢方向は、前記クラッチの回動により前記巻取方向と前記引出方向に切り替わり、前記クラッチ付勢部材の他端側は、パウルを介して前記クラッチを前記巻取方向に回動付勢し、少なくとも前記パウルが前記係合位置にある状態において、前記クラッチに作用する前記クラッチ付勢部材の一端側による前記引出方向への回動付勢力は、前記クラッチ付勢部材の他端側による前記巻取方向への回動付勢力よりも大きいことを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  5. 請求項1又は2に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記クラッチに取り付けられると共に、他端側が前記ハウジングに取り付けられることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  6. 請求項1に記載されたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記クラッチ付勢部材は、一端側が前記パウルに取り付けられると共に、他端側が前記ハウジングに取り付けられ、前記クラッチ付勢部材は、前記パウルを介して前記クラッチを回動付勢することを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
  7. ハウジングの相対向する一対の側壁部間に回動可能に収納されて、巻取付勢部材によりウエビングの巻取方向に回動付勢されて前記ウエビングを巻き取ると共に、前記ウエビングが引き出されることによって前記ウエビングの引出方向に回動する巻取ドラムと、
    緊急時の車両の加速度又はウエビングの引き出し加速度に応じて前記巻取ドラムの前記引出方向の回動を阻止するロック機構と、を備え、
    前記ロック機構は、
    前記巻取ドラムの一端部に設けられて、前記巻取ドラムと一体に回動するラチェットギヤと、
    前記一対の側壁部のうちの一方の側壁部に配置されて、回動可能に支持され、係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合し、前記巻取ドラムの前記引出方向への回動を阻止可能な係合位置と、非係合方向に回動して前記ラチェットギヤの歯に係合しない非係合位置に変位するパウルと、
    前記ラチェットギヤに、相対回動不能かつ同軸に取り付けられたロッキングギヤと、
    前記巻取ドラムと同軸に回動可能に配置されて、前記引出方向への回動により前記非係合位置にある前記パウルを前記係合位置に変位させるクラッチと、
    緊急時に前記クラッチと前記引出方向へ回動する前記ロッキングギヤとを連結して、前記クラッチを前記ロッキングギヤと一体的に前記引出方向へ回動させると共に、前記クラッチが前記ロッキングギヤと連結した状態において、前記クラッチに対して前記ロッキングギヤが前記巻取方向に相対回動することで、前記クラッチと前記ロッキングギヤとの連結が解除される連結機構と、
    を備えたシートベルト用リトラクタにおいて、
    前記パウルが前記係合位置にある状態で前記パウルを前記係合方向へ回動付勢し、前記パウルが前記非係合位置にある状態で前記パウルを前記非係合方向へ回動付勢するパウル付勢部材と、を有し、
    前記パウル付勢部材による前記パウルの回動付勢方向は、前記連結機構による連結後における前記巻取ドラムの前記引出方向への回動によって前記係合方向へ切り替わり、前記連結機構による連結解除後における前記巻取ドラムの前記巻取方向への回動によって前記非係合方向に切り替わることを特徴とするシートベルト用リトラクタ。
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