JP2016214332A - 効果判定システム及び医用画像の表示方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】治験の効果を判定する医師の病変部の検出作業の負担を軽減する効果判定システムを提供する。
【解決手段】効果判定システムは、治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を表示する(S1及びS2)表示手段と、前記1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて前記表示手段により表示させる(ステップS4)制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記治験の開始後の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示させる場合、前記治験の開始前の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行う(ステップS6)。
【選択図】図8

Description

本発明は、効果判定システム及び医用画像の表示方法に関する。
医薬品又は医療機器のメーカー等は、医療機関に依頼して、医薬品又は医療機器による治療の効果を確認するための臨床試験、いわゆる治験を実施している。
効果確認のための検査のなかには、X線撮影(CR:Computed Radiography)、X線断層撮影(CT:Computed Tomography)、核磁気共鳴画像撮影(MRI:Magnetic Resonance Imaging)等の検査撮影がある。治験を開始する前と後に検査撮影を実施して、治験開始後の検査撮影により得られた医用画像中の病変部の大きさが、治験開始前の大きさと比べてどのように変化したかを、医師が観察して治療の効果を判定する。
被験者の数が多いと、検査撮影で得られる医用画像の数も膨大になるため、データベースのなかから所望の医用画像を容易に検索できる臨床試験支援システムが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。この臨床試験支援システムによれば、医用画像を検査撮影日順に並べて表示させることもでき、判定を行う医師の負担を減らすことができる。
特許第4732233号公報
CT等の断層撮影では、1回の撮影で、スライス位置が異なる複数の医用画像が1つのシリーズとして得られる。医師は、スライス位置を切り替える操作を行うことにより、この1つのシリーズを構成する複数の医用画像のすべてを観察し、新たに出現した病変部が無いか、探索する。
しかしながら、医師は、新規の病変部だけでなく、治験開始前の検査撮影において検出した病変部と同じ病変部を検出して、その大きさの変化を観察しなければならない。断層撮影では、1つのシリーズが数百から数千単位の医用画像からなることが一般的であり、このような多数の医用画像のなかから、新規の病変部と並行して既存の病変部を検出する作業は、医師にとって大きな負担であった。
本発明の課題は、治験の効果を判定する医師の病変部の検出作業の負担を軽減することである。
請求項1に記載の発明によれば、
治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を表示する表示手段と、
前記1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて前記表示手段により表示させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記治験の開始後の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示させる場合、前記治験の開始前の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行うことを特徴とする効果判定システムが提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記スライス位置を示す制御は、前記スライス位置の切り替えにより、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置に至るか、又は当該スライス位置から一定範囲内に至ると、前記スライス位置の切り替えを停止する制御であることを特徴とする請求項1に記載の効果判定システムが提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記スライス位置の切り替えを停止する制御は、前記スライス位置の切り替えの操作をロックするか、次のスライス位置の医用画像の表示を停止するか、又は次のスライス位置の医用画像を表示する速度を減速させる制御であることを特徴とする請求項2に記載の効果判定システムが提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記スライス位置を示す制御は、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置を示す第1マーカーか、又は当該スライス位置から一定範囲内のスライス位置であることを示す第2マーカーを、前記表示手段により表示させる制御であることを特徴とする請求項1に記載の効果判定システムが提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記制御手段は、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に近いほど、前記第2マーカーを強調して表示させることを特徴とする請求項4に記載の効果判定システムが提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記制御手段は、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像の初期表示時、各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置の医用画像を前記表示手段により表示させ、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を前記表示手段により表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果判定システムが提供される。
請求項7に記載の発明によれば、
前記制御手段は、前記スライス位置の切り替えにより、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置を超えると、前記治験前の各シリーズの医用画像を、次のスライス位置以降において病変部が検出された他のスライス位置の医用画像に切り替えて表示させることを特徴とする請求項6に記載の効果判定システムが提供される。
請求項8に記載の発明によれば、
前記制御手段は、前記治験の開始前と開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を前記表示手段により表示させ、前記治験の開始後の医用画像のスライス位置の切り替えに同期して、前記治験の開始前の医用画像のスライス位置も切り替えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果判定システムが提供される。
請求項9に記載の発明によれば、
効果判定システムが実行する医用画像の表示方法であって、
治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を、表示手段により表示するステップと、
前記1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて前記表示手段により表示するステップと、
前記治験の開始後の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示する場合、制御手段により、前記治験の開始前の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行うステップと、
を含むことを特徴とする医用画像の表示方法が提供される。
本発明によれば、治験の効果を判定する医師の病変部の検出作業の負担を軽減することができる。
本発明の第1の実施の形態の効果判定システムの構成例を示す図である。 ユーザー端末の構成を機能ごとに示すブロック図である。 効果判定システムのネットワーク環境を例示する図である。 1つの撮影装置により複数の撮影部位を撮影して得られる複数のシリーズの医用画像を示す図である。 治験時の各検査撮影のタイミングと、各検査撮影により得られる複数のシリーズの医用画像を示す図である。 医用画像の管理テーブルの一例を示す図である。 治験開始前の検査撮影(ベースライン)により得られた医用画像を表示し、判定結果を入力できる操作画面の一例を示している。 治験開始後の検査撮影(VISITx)に対する判定時の第1の実施の形態の効果判定システムの処理手順を示すフローチャートである。 治験開始後の検査撮影により得られた医用画像を表示し、判定結果を入力できる操作画面の一例を示している。 治験の開始前と開始後の各検査撮影の1つのシリーズの医用画像の初期表示例を示している。 治験の開始前と開始後の各検査撮影の複数のシリーズの医用画像の初期表示例を示している。 治験の開始前と開始後の各検査撮影の各スライス位置の医用画像の表示例を示す図である。 治験開始後の検査撮影に対する判定時の第2の実施の形態の効果判定システムの処理手順を示すフローチャートである。 治験の開始前と開始後の各検査撮影の各スライス位置の医用画像の表示例を示す図である。 第2マーカーの強調例を示す図である。
以下、本発明の効果判定システム及び医用画像の表示方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態の効果判定システム1の構成の一例を示している。
効果判定システム1は、検査撮影により得られた医用画像を観察して、治験の効果を判定する医師(以下、判定医ともいう。)の業務を支援するためのシステムであり、医用画像の閲覧のための表示、治験の効果の判定結果の入力、保存等を行う。
効果判定システム1は、図1に示すように、判定医が医用画像の観察、治験の効果の判定結果の入力等に使用する複数のユーザー端末10と、各ユーザー端末10への医用画像の転送、各ユーザー端末10において入力された判定結果の管理等を行う管理サーバー20と、を備えている。
各ユーザー端末10と管理サーバー20は、イントラネット等のネットワークN1を介して相互通信することができる。
図2は、ユーザー端末10の構成を機能ごとに示している。
図2に示すように、ユーザー端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14及び表示部15を備えている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して、各種処理を実行する。
例えば、制御部11は、通信部13により管理サーバー20から治験の開始前と開始後の検査撮影によって得られた1又は複数のシリーズの医用画像を取得させ、取得した各シリーズの医用画像を表示部15により表示させる。制御部11は、操作部14により各シリーズの医用画像のスライス位置の切り替えの操作を受け付けると、スライス位置を切り替えて医用画像を表示部15により表示させる。
制御部11は、操作部14により治療の効果の判定結果の入力を受け付けると、受け付けた判定結果を記憶部12に記憶させる。また、制御部11は、記憶部12に記憶した判定結果等を通信部13により管理サーバー20へ送信させる。
記憶部12は、制御部11により読み取り可能なプログラム、プログラムの実行時に用いられるデータ等を記憶している。記憶部12としては、ハードディスク等の大容量メモリーを用いることができる。
記憶部12は、治療の効果の判定結果、医用画像中の1又は複数の病変部の大きさ及び位置の判定結果、名称等を記憶する。
通信部13は、通信プロトコルにしたがって、ネットワークN1上の他のユーザー端末10又は管理サーバー20と通信を行う。
操作部14は、治験の開始前と開始後の各シリーズの医用画像中の1又は複数の病変部の大きさに応じて、判定医が判定した治療の効果の判定結果、医用画像中の1又は複数の病変部の位置及び大きさの判定結果等の入力を受け付ける。操作部14としては、キーボード、マウス等を用いることができる。
表示部15は、制御部11の表示制御にしたがって、治験の開始前と開始後の各シリーズの医用画像、治療の効果の判定結果を入力できる操作画面等を表示する。表示部15としては、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)、操作部14と一体に構成されたタッチパネル等を用いることができる。
管理サーバー20は、治験の開始前及び開始後の各検査撮影により得られた1又は複数のシリーズの医用画像を医療機関の画像管理システムから取得し、ユーザー端末10に送信する。また、管理サーバー20は、各ユーザー端末10から治療の効果の判定結果等を受信し、記憶する。
管理サーバー20の構成は、ユーザー端末10の構成と基本的に同じであり、図2に示す制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15等を備えて構成されている。
上記効果判定システム1は、図3に示すように、インターネット等のネットワークN2を介して、医療機関により用いられる治験管理システムA1及び画像管理システムA2と、治験依頼者及び治験業務を代行又は支援する開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)により用いられる治験実施システムCと通信することができる。ネットワークN2は、プライバシー保護及び情報漏えいの防止のため、VPN(Virtual Private Network)等であることが好ましい。
以下、治験の流れを説明する。
最初に、治験依頼者とCROの間で治験実施計画を立案し、治験を実施する医療機関、投薬スケジュール、投薬量、検査撮影の種類、間隔等の治験内容を決定する。
CROは、治験実施システムCに治験内容を入力し、治験の実施の登録を行う。治験実施システムCは、登録内容に応じて治験の実施の依頼情報を作成し、医療機関の治験管理システムA1へ送信する。
次に、医療機関が検査撮影の実施予定を作成し、撮影装置の適合性について治験依頼者の承認を受ける。
医療機関は、治験管理システムA1により治験の実施の依頼情報を確認して、検査撮影に使用する撮影装置、撮影予定日等を決定する。医療機関は、治験管理システムA1に決定事項を入力し、治験の実施予定の登録を行う。治験管理システムA1は、登録内容に応じて実施予定の通知情報を作成し、治験実施システムCへ送信する。
治験依頼者は、治験実施システムCにより治験の実施予定の通知情報を確認して、治験に使用される撮影装置が治験に適合するか否かを、治験実施システムCに入力する。治験実施システムCは、この入力内容に応じて撮影装置の適合又は不適合の通知情報を作成し、治験管理システムA1へ送信する。
撮影装置の適合性について治験依頼者の承認が得られると、医療機関が治験のための投薬、検査撮影等を実施する。
撮影装置の適合の通知情報を確認すると、治験管理システムA1は治験の実施予定の登録内容に応じて検査撮影のオーダー情報を作成し、画像管理システムA2に送信する。医療機関は、治験管理システムA1により治験の実施予定を確認し、画像管理システムA2により検査撮影のオーダー情報を確認して、投薬、検査撮影等を実施する。
なお、撮影装置の不適合の通知情報を確認した場合、医療機関は、撮影装置の適合の通知情報が得られるまで使用する撮影装置の再登録を繰り返す。
画像管理システムA2は、一般にPACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれ、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)に準拠して、CR、CT、MRI等の撮影装置による医用画像の生成、保存、転送等を行う。
画像管理システムA2は、検査撮影の実施により各撮影装置において医用画像が生成されると、治験管理システムA1へ医用画像のシリーズID、画像ID、ファイル名、撮影装置、撮影実施日等の撮影実施情報を生成して送信し、医用画像の登録を行う。
検査撮影が行われるごとに、判定医が医用画像を観察して治療の効果を判定する。
治験管理システムA1は、登録済みの医用画像を、画像管理システムA2から治験実施システムCへ送信させる。CROは、治験実施システムCにより、登録済みの医用画像、撮影条件等を確認し、医用画像が治験実施計画等を遵守した適正な医用画像であることを承認する登録を行う。この確認作業はQC(Quality Control)と呼ばれている。医用画像の承認の登録が行われると、治験実施システムCは医用画像の承認の通知情報を治験管理システムA1へ送信し、判定の依頼の登録を行う。
治験管理システムA1は、判定の依頼の登録に応じて、治験及び被験者に関する情報、撮影実施情報等を判定の依頼情報として効果判定システム1に送信し、判定の依頼が登録された医用画像の転送の指示情報を作成して画像管理システムA2に送信する。画像管理システムA2は、転送の指示情報に応じて医用画像を効果判定システム1へ転送する。
医用画像によって治験の効果を判定する判定医は、効果判定システム1により判定の依頼情報を確認し、画像管理システムA2から転送された医用画像を表示して判定を行う。効果判定システム1は、判定医による治療の効果の判定結果等の入力を受け付けて、保存する。
すべての検査撮影とその判定が終了すると、効果判定システム1は、保存した判定結果を治験実施システムCに送信する。
CROは、治験実施システムCにより判定結果を確認し、当該判定結果をもとに症例報告書を作成して治験実施システムCに登録する。治験依頼者は、症例報告書を治験実施システムCにより確認することができる。
医療機関においては、治験の開始前後、すなわち医薬品又は医療機器を被験者に対して使用する前と後に、あらかじめ登録された1又は複数の撮影装置によって検査撮影を実施する。治験開始前の検査撮影の実施回数は通常は1回であるが、治験開始後には、例えば2週間後、4週間後等の間隔を空けて複数回の検査撮影を実施する。検査撮影の間隔は、治験実施計画にしたがって決定される。
各検査撮影は、被験者の来院ごとに行われることから、VISITと呼ばれ、一般的に、治験の開始前のタイミングで行われる検査撮影は投薬前VISIT、治験の開始後に間隔を空けて複数のタイミングで行われる検査撮影は投薬後VISITと呼ばれている。投薬前VISITは、病変部の大きさの判定基準になるため、ベースラインと呼ばれることもある。また、複数のタイミングで行われる投薬後VISITは、投薬からの経過時間と組み合わせて、例えば投薬から2週間後及び4週間後のタイミングで行われる検査撮影はそれぞれ2週間後VISIT、4週間後VISITと区別されることがある。
以下、投薬前VISITをベースラインといい、複数のタイミングで行われる投薬後VISITを、治験開始後の撮影回数を表す数字xと組み合わせてVISITxと表す。例えば、VISIT1は治験開始後の1回目のVISITを表し、VISIT2は治験開始後の2回目のVISITを表す。
ベースライン及びVISITxでは、それぞれ同じ撮影装置を用いて同じ撮影部位の撮影を行う。ベースライン及びVISITxの各検査撮影により得られる医用画像は、各撮影装置を1単位とするか、又は同じ撮影装置でも各撮影部位を1単位とするシリーズの医用画像である。例えば、CTにより1回の撮影で生成された数百枚の医用画像が1つのシリーズの医用画像として生成される場合もあれば、CRにより生成された1枚の医用画像が1つのシリーズの医用画像として生成される場合もある。
図4は、腹部を体軸方向に3つの撮影部位に分けて、各撮影部位をCTにより撮影して得られた3つのシリーズの医用画像Gc1、Gc2及びGc3の例を示している。
図5は、ベースライン及びVISITxの各検査撮影により得られる医用画像の一例を示している。
図5に示すように、ベースラインの撮影タイミングは投薬開始の2週間前であり、VISIT1及び2の撮影タイミングは投薬開始からそれぞれ2週間後及び4週間後である。
図5に示すように、ベースラインでは、CTにより3つの撮影部位を撮影して3つのシリーズの医用画像Gc1、Gc2及びGc3を生成し、MRIにより2つの撮影部位を撮影して2つのシリーズの医用画像Gm1及びGm2を生成する。VISIT1及び2でも同様に、CTによりそれぞれ3つのシリーズの医用画像Gc4〜Gc6及びGc7〜Gc9、MRIによりそれぞれ2つのシリーズの医用画像Gm3及びGm4並びにGm5及びGm6を生成する。各シリーズの医用画像には、各シリーズの識別情報であるシリーズIDが割り当てられ、1つのシリーズを構成する各医用画像には、各医用画像の識別情報である画像IDが割り当てられる。
ベースライン及びVISITxによってそれぞれ生成された1又は複数のシリーズの医用画像は、上述したように、CROの承認後に画像管理システムA2から効果判定システム1へ提供される。
効果判定システム1では、管理サーバー20が、画像管理システムA2から各治験のベースライン又はVISITxの医用画像が得られるごとに、必要な情報を治験管理システムA1から取得して、医用画像の管理テーブルを作成する。
図6は、医用画像の管理テーブルの一例を示している。
図6に示すように、医用画像の管理テーブルは、治験ID、VISIT ID、ベースライン及びVISITxの各検査撮影を実施した検査撮影日、使用した撮影装置、撮影部位、各撮影装置により生成された医用画像のシリーズ数及び各シリーズのシリーズID等の項目を含む。治験IDは、治験ごとに割り当てられる識別情報である。VISIT IDは、ベースライン及びVISITxの各検査撮影に割り当てられる識別情報である。
図6に示す医用画像の管理テーブルは、例えば治験IDがXX01、VISIT IDがBL0のベースラインの検査撮影日が2014年1月26日であり、撮影装置がCTとMRIであることを示している。また、CTにより腹部を撮影部位とする3つのシリーズの医用画像が生成され、そのシリーズIDがそれぞれC1、C2及びC3であることを示している。
管理サーバー20は、作成した医用画像の管理テーブルに基づいて判定対象の医用画像のリストを作成し、各ユーザー端末10に送信する。
各ユーザー端末10は、ユーザー端末10にログインした判定医により判定の開始の操作が行われると、管理サーバー20から取得したリストに基づいて、複数の治験のなかから、判定を行う治験のベースライン又はVISITxを選択できる操作画面を表示する。
各ユーザー端末10は、この操作画面において、判定医により選択されたベースライン又はVISITxの医用画像を、管理サーバー20に要求する。要求した医用画像が管理サーバー20から送信されると、ユーザー端末10は医用画像を表示し、判定医による判定結果の入力を受け付ける。
判定医は、最初にベースラインの医用画像中の病変部を検出し、検出した病変部の大きさ、位置等を判定する。
ユーザー端末10は、管理サーバー20からベースラインの医用画像を取得すると、取得した医用画像を、病変部の大きさの判定結果等を入力できる操作画面上に表示する。
図7は、医用画像を表示し、判定結果の入力を受け付ける操作画面の一例を示している。
図7に示すように、ユーザー端末10は、操作画面d1を4つの表示領域に分割し、それぞれに4つのシリーズの医用画像を表示する。4つのシリーズのうちの3つは、CTにより得られたスライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズである。ユーザー端末10は、初期表示時、制御部11の表示制御により、各シリーズの表示領域に各シリーズのスライス位置が先頭の医用画像を表示する。また、制御部11は、操作部14によりスライス位置の切り替えの操作を受け付けると、各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて順次表示する。
判定医は、操作画面d1において、医用画像中の病変部の大きさを計測する操作や、病変部の名称を編集する操作等を行うことができる。
例えば、ユーザー端末10は、図7に示すプルダウンメニューd13における選択入力を受け付けて、制御部11の表示制御により、ルーラーのアノテーションd11を操作画面d1上に表示する。判定医は、医用画像中の測定可能病変に分類される病変部の位置にルーラーのアノテーションd11を配置し、病変部の大きさに合わせて、このルーラーのアノテーションd11の長さを伸縮する操作を行うことができる。測定可能病変とは、ガイドラインと呼ばれる判定規約に規定された大きさの測定が可能な病変の分類をいい、測定可能病変に分類されない病変は測定不能病変に分類される。
同様に、ユーザー端末10は、プルダウンメニューd13における選択入力を受け付けて、矢印のアノテーションd12を操作画面d1上に表示する。判定医は、病変部の大きさが小さく、大きさの計測が難しい病変部等の位置を指し示すように、矢印のアノテーションd12を配置する操作を行うことができる。
ユーザー端末10は、制御部11により、アノテーションd11又はd12が配置された医用画像のシリーズID、シリーズ中のスライス位置及び医用画像中の位置を特定し、判定医による病変部の位置の判定結果として、記憶部12に保存する。医用画像のスライス位置は、1つのシリーズの医用画像をスライス位置の順に並べたときの順番で表すことができる。医用画像中の病変部の位置は、図7に示すルーラーのアノテーションd11を用いた場合はルーラーの長さ方向の中心に位置する画素の座標(x、y)で表すことができ、図7に示す矢印のアノテーションd12を用いた場合は矢印の先端に位置する画素の座標(x、y)で表すことができる。座標(x、y)は、2次元状に並ぶ各画素の位置をxy座標で表したときの座標である。
ルーラーのアノテーションd11が配置された場合、ユーザー端末10は、制御部11によりルーラーのアノテーションd11の長さを計測し、制御部11によりその計測値をアノテーションd11の付近に表示する。また、制御部11により、計測値を判定医による病変部の大きさの判定結果として記憶部12に保存する。
ベースラインのすべての医用画像から病変部を検出し、その大きさを判定すると、判定医はVISITxの医用画像からベースラインと同じ病変部を検出し、その大きさの変化を観察して、治療の効果を判定する。
図8は、VISITxに対する判定を行う際の効果判定システム1の処理手順を示している。
VISITxの判定時、効果判定システム1では、ユーザー端末10が、制御部11の通信制御により、判定医により選択されたVISITxの1又は複数のシリーズの医用画像を管理サーバー20から取得して、表示部15により表示する。病変部の大きさを比較できるように、ユーザー端末10は、ベースラインの医用画像も管理サーバー20から取得して表示することができる。
図9は、VISITxに対する判定の操作画面の例を示している。
図9に示すように、操作画面d2には、ベースラインとVISITxの医用画像のそれぞれの表示領域d21及びd22が設けられている。
VISITxの表示領域d22において、プルダウンメニューd221から表示領域d22に表示するVISITxの選択入力を受け付けると、ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、受け付けたVISITxの1又は複数のシリーズの医用画像の選択候補として、各シリーズの医用画像のサムネイル画像d222を表示する。このサムネイル画像d222により1又は複数のシリーズの選択入力を受け付けると、制御部11は、受け付けた1又は複数のシリーズの医用画像を管理サーバー20から取得する。また制御部11は、取得した各シリーズと対応するベースラインの各シリーズの医用画像を管理サーバー20から取得する。
ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、ベースラインとVISITxの表示領域d21及びd22に、取得したベースラインとVISITxの1又は複数のシリーズの医用画像をそれぞれ表示する。表示する各シリーズの医用画像が、スライス位置が異なる複数の医用画像からなる場合、制御部11が、各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて1枚ずつ表示部15に表示させる。
ベースラインの各シリーズの医用画像の初期表示時、制御部11は、各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置の医用画像を表示させる (ステップS1)。
また、VISITxの各シリーズの医用画像の初期表示時、制御部11は、各シリーズの医用画像において、スライス位置が先頭の医用画像を表示部15により表示させる(ステップS2)。
図10は、初期表示時の操作画面の例を示している。
図10に示すように、ユーザー端末10は、VISITxの表示領域d22にはスライス位置が先頭、つまりスライス位置が01番の医用画像を初期表示する。
VISITxの表示領域d22においては、ベースラインの判定時と同様に、プルダウンメニューd13からアノテーションd11又はd12を選択して配置し、病変部の大きさ等の判定結果を入力することが可能である。
一方、ユーザー端末10は、ベースラインの表示領域d21には、病変部が検出されたスライス位置が10番の医用画像を初期表示する。
図10に示す例は、各表示領域d21及びd22にそれぞれ1つのシリーズの医用画像を表示する例であるが、ユーザー端末10は、各表示領域d21及びd22に複数のシリーズの医用画像を並べて表示することもできる。
図11は、各シリーズの医用画像を並べた場合の操作画面の例を示している。
図11に示すように、ユーザー端末10は、ベースライン及びVISITxの表示領域d21及びd22をそれぞれ4分割して、各分割領域に4つのシリーズの医用画像を表示する。例えば、各表示領域d21及びd22の左上にCRのシリーズの医用画像を表示し、左下にCTの腹部上のシリーズの医用画像、右上にCTの腹部中のシリーズの医用画像、右下に腹部下のシリーズの医用画像を表示する。
図11に示す表示スタイルにおいても、ユーザー端末10は、ベースラインの4つのシリーズの医用画像の初期表示時、図11に示すように、各シリーズの医用画像において病変部が検出された10番、15番及び20番のスライス位置の医用画像を表示する。一方、ユーザー端末10は、VISITxの初期表示時、4つのシリーズのすべてにおいてスライス位置が先頭の01番の医用画像を表示する。
いずれの表示スタイルでも、判定医は、VISITxの各シリーズの医用画像のスライス位置の切り替えの操作を行って、1つのシリーズの医用画像をすべて観察し、VISITxにおいて新たに出現した病変部と、ベースラインで検出した病変部と同じ病変部を検出する。
上記スライス位置の切り替えの操作は、例えばマウスのホイールの回転操作であってもよいし、スライス位置を示すバーの移動操作であってもよい。また、ユーザー端末10の制御部11が、自動切り替えを開始する操作に応じて、一定速度でスライス位置を自動的に切り替えてもよい。
判定医によりVISITxの医用画像のスライス位置の切り替えの操作を受け付けると(ステップS3:Y)、ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、次のスライス位置に切り替えてVISITxの医用画像を表示する(ステップS4)。
スライス位置の切り替えにより、VISITxの各シリーズの医用画像のスライス位置が、ベースラインの各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に至るまで(ステップS5:N)、ユーザー端末10は、操作部14によりスライス位置の切り替えの操作を受け付けて、次のスライス位置の医用画像に切り替えて表示する処理を繰り返す(ステップS3及びS4)。
スライス位置の切り替えにより、VISITxの各シリーズの医用画像のスライス位置が、ベースラインの各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に至ると(ステップS5:Y)、ユーザー端末10は、制御部11により、ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置に至ったことを示す制御として、スライス位置の切り替えを停止する制御を行う(ステップS6)。
例えば、スライス位置の切り替えの停止制御として、制御部11は、操作部14による切り替えの操作をロックする操作制御を行うことができる。上述のように、マウスのホイールの回転操作やバーの移動操作によってスライス位置の切り替えの操作が行われた場合、制御部11が回転操作や移動操作をロックする。操作のロックにより、病変部が検出されたスライス位置に至ったことを示すことができる。
また、スライス位置の切り替えの停止制御として、制御部11は、スライス位置の切り替えの操作があっても次のスライス位置の医用画像の表示を停止するように表示制御を行うこともできる。或いは、スライス位置の切り替えの操作に応じて、次のスライス位置の医用画像を表示する速度を減速させる表示制御を行うこともできる。いずれの場合も、表示中のスライス位置の医用画像の表示を固定することにより、病変部が検出されたスライス位置に至ったことを示すことができる。
早期に病変部が検出されたスライス位置を把握できるように、制御部11は、ベースラインの各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置から一定範囲内に至ると、上記スライス位置の切り替えを停止する制御を行うこととしてもよい。
停止制御後、操作部14により、スライス位置の切り替えの操作を再度受け付けると(ステップS7:Y)、ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、VISITxの各シリーズの医用画像を次のスライス位置の医用画像に切り替えて表示する(ステップS8)。
また、ユーザー端末10は、ベースラインの各シリーズの医用画像を、次のスライス位置以降において病変部が検出された他のスライス位置の医用画像に切り替えて医用画像を表示する(ステップS9)。
図12は、ベースラインとVISITxの各スライス位置の医用画像の表示例を示している。
図12に示すように、ユーザー端末10は、ベースラインのある1つのシリーズの医用画像のうち、病変部が検出されたスライス位置が10番の医用画像gb10を初期表示し、対応するVISITxの1つのシリーズの医用画像のうち、スライス位置が先頭の01番の医用画像gv01を初期表示する。
その後、スライス位置の切り替えの操作に応じて、ユーザー端末10は、スライス位置が02番の医用画像gv02からスライス位置が09番の医用画像gv09まで、VISITxの医用画像を順次切り替えて表示する。図12中の矢印は、切り替えの操作を受け付けたことを示している。
スライス位置が09番の医用画像gv09の表示中にスライス位置の切り替えの操作を受け付けると、ユーザー端末10は、医用画像gv09を次のスライス位置の医用画像gv10に切り替えて表示する。このスライス位置の切り替えにより、VISITxの医用画像のスライス位置が、ベースラインの医用画像において病変部が検出されたスライス位置と同じ10番に至る。よって、医用画像gv10の表示中にスライス位置の切り替えの操作が行われると、ユーザー端末10は、次の11番のスライス位置の医用画像への切り替えを一時停止する。
切り替えの操作を行ってもVISITxの医用画像gv10の表示に固定されているため、判定医は、VISITxの医用画像gv10のスライス位置が、対応するベースラインのシリーズにおいて、病変部が検出された医用画像のスライス位置と同じであることを容易に把握することができる。このような切り替えの停止を利用して、判定医は、切り替えが停止するまでの01〜09番のスライス位置では新規の病変部の検出を集中的に行い、10番のスライス位置において切り替えが停止したときは10番のスライス位置の前後の医用画像において、ベースラインで検出した病変部の検出を集中的に行うことができる。病変部の検出が容易となり、病変部の見落としも減らすことができる。また、VISITxにおいてベースラインと同じ病変部を検出しやすく、判定規約に応じた判定が可能となる。
その後、切り替えの操作を再度受け付けると、ユーザー端末10はスライス位置の切り替えを再開し、次のスライス位置が11番の医用画像gv11を表示する。また、ユーザー端末10は、ベースラインの医用画像gb10を、11番以降のスライス位置において病変部が検出された20番のスライス位置の医用画像gb20に切り替えて表示する。
スライス位置の切り替えにより、VISITxの各シリーズのすべてのスライス位置の医用画像の表示が終了するまで(ステップS10:N)、ユーザー端末10は、上述したステップS3〜S9の処理を繰り返す。
そして、VISITxのすべてのスライス位置の医用画像の表示を終了すると(ステップS10:Y)、本処理を終了する。
以上のように、第1の実施の形態の効果判定システム1は、治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を表示する表示部15と、1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて表示部15により表示させる制御部11と、を備えている。制御部11は、治験の開始後の検査撮影(VISITx)によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示させる場合、治験の開始前の検査撮影(ベースライン)によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行う。
第1の実施の形態において、制御部11は、スライス位置の切り替えにより、治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置に至るか、又は当該スライス位置から一定範囲内に至ると、上記医用画像のスライス位置を示す制御として、スライス位置の切り替えを停止する制御を行うことができる。
スライス位置の切り替えの停止により、判定医は、VISITxの各シリーズの医用画像を、医用画像のスライス位置を切り替えて観察する際に、ベースラインと同じ病変部が検出される可能性が高いスライス位置を容易に把握することができる。判定医は、効果判定システム1が示すスライス位置の周辺に至るまでは新規に出現した病変部を集中的に探索し、効果判定システム1が示すスライス位置の周辺では、ベースラインと同じ病変部を集中的に探索することができ、判定医の病変部の検出作業の負担を大きく減らすことができる。
PACSにおいても、シリーズの医用画像を、スライス位置を切り替えて表示することがある。しかしながら、PACSにおいては、治験のようにベースラインの医用画像中の病変部と比較するという制限がなく、自由にスライス位置を切り替えることができるため、判定規約に反して異なるスライス位置の医用画像と比較する可能性がある。これに対し、本実施の形態の効果判定システム1は、ベースラインで病変部が検出されたスライス位置を示すことにより、ベースラインにおいて検出された病変部と同じ病変部をVISITxにおいて観察するという治験の実情に対応した医用画像の表示を行うことができる。
また、上記第1の実施の形態において、上記スライス位置の切り替えを停止する制御は、スライス位置の切り替えの操作をロックするか、次のスライス位置の医用画像の表示を停止するか、又は次のスライス位置の医用画像を表示する速度を減速させる制御であることができる。
これにより、通常のスライス位置とは異なる操作状態又は表示状態とすることができ、判定医は病変部が検出されたスライス位置又は当該スライス位置から一定範囲内に至ったことを容易に把握することができる。
また、第1の実施の形態において、制御部11は、治験の開始前の各シリーズの医用画像の初期表示時、各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置の医用画像を表示部15により表示させ、治験の開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を表示部15により表示させることができる。
これにより、新規の病変部の探索と並行して、ベースラインの医用画像中の病変部と同じ病変部を、VISITxの医用画像から探索することが容易になり、判定医による既存の病変部の検出作業が容易になる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態の効果判定システムは、上述した第1の実施の形態の効果判定システム1と構成が同じであり、処理手順が異なるのみであるので、第1の実施の形態と同じ構成部分には同じ符号を用いて、異なる処理手順のみを説明する。
図13は、VISITxの判定を行う際の第2の実施の形態の効果判定システム1の処理手順を示している。
図13に示すように、VISITxの判定時、効果判定システム1では、ユーザー端末10が、判定医により選択されたVISITxの1又は複数のシリーズの医用画像を管理サーバー20から取得して表示する。ユーザー端末10は、病変部の大きさを比較できるように、ベースラインの1又は複数のシリーズの医用画像も管理サーバー20から取得して表示する。
ユーザー端末10は、ベースラインとVISITxの各シリーズの医用画像の初期表示時、制御部11の表示制御により、スライス位置が先頭の医用画像を表示させる(ステップS11)。
判定医によりVISITxの医用画像のスライス位置の切り替えの操作を受け付けると(ステップS12:Y)、ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、VISITxの医用画像のスライス位置の切り替えに同期して、ベースライン医用画像のスライス位置も切り替えて表示する(ステップS13)。
スライス位置の切り替えにより、VISITxの各シリーズの医用画像のスライス位置が、ベースラインの各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に至るまで(ステップS14:N)、ユーザー端末10は、操作部14によりスライス位置の切り替えの操作を受け付けて、次のスライス位置の医用画像に切り替えて表示する処理を繰り返す(ステップS12及びS13)。
スライス位置の切り替えにより、VISITxの各シリーズの医用画像のスライス位置が、ベースラインの各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に至ると(ステップS14:Y)、ユーザー端末10は病変部が検出されたスライス位置を示す第1マーカーをVISITxの医用画像上に表示する(ステップS15)。
第1マーカーを表示後、再度スライス位置の切り替えの操作が行われると(ステップS16:Y)、ユーザー端末10は、制御部11の表示制御により、ベースライン及びVISITxの医用画像を次のスライス位置の医用画像に切り替えて表示する(ステップS17)。また、制御部11が、医用画像上から第1マーカーを削除する(ステップS18)。
図14は、ベースラインとVISITxの各スライス位置の医用画像を表示する例を示している。
図14に示すように、ユーザー端末10は、制御部11により、ベースラインのある1つのシリーズの医用画像のうち、スライス位置が先頭の01番の医用画像gb01を初期表示する。同様に、制御部11は、対応するVISITxの1つのシリーズの医用画像のうち、スライス位置が先頭の01番の医用画像gv01を初期表示する。
その後、スライス位置の切り替えの操作に応じて、ユーザー端末10はベースラインとVISITxの医用画像のスライス位置を同期させて、スライス位置が02番の医用画像gb02から09番の医用画像gb09までを順次切り替えて表示する。図14中の矢印は、切り替えの操作を受け付けたことを示している。
スライス位置が09番の医用画像gv09の表示中にスライス位置の切り替えの操作を受け付けると、ユーザー端末10は、医用画像gv09を次のスライス位置の医用画像gv10に切り替えて表示する。このスライス位置の切り替えにより、VISITxの医用画像のスライス位置が、ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置と同じ10番に至る。よって、ユーザー端末10は、医用画像gv10上に、ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置と同じスライス位置であることを示す第1マーカーM1を表示する。図14に示す第1マーカーM1は星の図形であるが、病変部が検出されたことを示すことができるのであればその形態は特に限定されず、他の図形や文字等のマーカーであってもよい。
医用画像gv10の表示中に切り替えの操作を受け付けると、ユーザー端末10は次のスライス位置の医用画像に切り替えて、ベースライン及びVISITxともに、次のスライス位置が11番の医用画像gb11及びgv11を表示し、第1マーカーM1を削除する。
その後、スライス位置の切り替えにより、ベースラインにおいて病変部が検出された20番のスライス位置に至ると、ユーザー端末10は、VISITxの医用画像gv20上に、第1マーカーM1を再度表示する。
なお、ユーザー端末10の制御部11は、スライス位置の切り替えにより、ベースライン及びVISITxの医用画像のスライス位置が、病変部が検出されたスライス位置から一定範囲内のスライス位置に至ると、病変部が検出されたスライス位置から一定範囲内にあることを示す第2マーカーを表示させることもできる。
第2マーカーによれば、病変部が検出されたスライス位置に至る前に、当該スライス位置を判定医が把握することができ、スライス位置の切り替えの速度が速い場合には有効である。
また、VISITxにおいて病変部が検出されるスライス位置が、ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置と同じとは限らず、スライス位置が前後する場合もある。この場合も、判定医は、第2マーカーにより病変部が検出される可能性が高いスライス位置の範囲を把握することができ、医用画像上に第2マーカーが表示されたスライス位置から注目して、医用画像を観察することができる。
第2マーカーを表示する場合、制御部11は、病変部が検出されたスライス位置に近いほど、第2マーカーの大きさ、色、輝度等を大きくする等、第2マーカーを強調して表示させることもできる。第2マーカーの強調により、病変部が検出されたスライス位置が近いことを判定医は把握することができる。第2マーカーの強調度が最大のスライス位置が、病変部が検出されたスライス位置であるので、当該スライス位置も容易に把握することができる。
図15は、第2マーカーの強調例を示している。
ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置が10番である場合、ユーザー端末10は、図15に示すように、スライス位置が1つ前の09番に至ると小さく白い星形の第2マーカーM2を表示し、病変部が検出された10番のスライス位置に至ると大きく赤い星形の第2マーカーM2を表示する。さらに、スライス位置が11番に至ると、ユーザー端末10は、09番のスライス位置と同様に小さく白い星形の第2マーカーM2を表示し、スライス位置が12番に至ると第2マーカーM2を削除する。
切り替え表示により、VISITxのすべてのスライス位置の医用画像の表示が終了していなければ(ステップS19:N)、ステップS12の処理に戻り、上述したステップS12〜S18の処理を繰り返す。
そして、VISITxのすべてのスライス位置の医用画像の表示を終了すると(ステップS19:Y)、本処理を終了する。
以上のように、第2の実施の形態の効果判定システム1は、治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を表示する表示部15と、1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて表示部15により表示させる制御部11と、を備えている。制御部11は、治験の開始後の検査撮影(VISITx)によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示させる場合、治験の開始前の検査撮影(ベースライン)によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行う。
第2の実施の形態において、制御部11は、治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置を示す第1マーカーか、又は当該スライス位置から一定範囲内のスライス位置であることを示す第2マーカーを、表示部15により表示させる制御を行うことができる。
第1マーカー又は第2マーカーが示すスライス位置により、判定医は、VISITxの各シリーズの医用画像を、医用画像のスライス位置を切り替えて観察する際に、ベースラインと同じ病変部が検出される可能性が高いスライス位置を容易に把握することができる。判定医は、第1マーカーが示すスライス位置の周辺又は第2マーカーが示すスライス位置の範囲に至るまでは新規に出現した病変部を集中的に探索し、第1マーカーが示すスライス位置の周辺又は第2マーカーが示すスライス位置の範囲に至ると、ベースラインと同じ病変部を集中的に探索することができ、治療の効果を判定する判定医の病変部の検出作業の負担を大きく減らすことができる。
また、第2の実施の形態において、制御部11は、治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に近いほど、第2マーカーを強調して表示させることができる。
判定医は、第2マーカーの強調度によって、病変部が検出されたスライス位置だけでなく、当該スライス位置に近いことを容易に把握することができる。
第2の実施の形態において、制御部11は、治験の開始前と開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を表示部15により表示させ、治験の開始後の医用画像のスライス位置の切り替えに同期して、治験の開始前の医用画像のスライス位置も切り替えることができる。
これにより、判定医はスライス位置が同じ医用画像を比較して病変部の検出を行うことができる。
上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、効果判定システム1の構成例として、図1は複数のユーザー端末10と管理サーバー20からなるクライアントサーバーモデルの構成を示しているが、1台のコンピューター装置がユーザー端末10と管理サーバー20の機能を備える構成であってもよい。
第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせることもできる。
例えば、制御部11が、スライス位置の切り替えを停止する制御と、第1マーカー又は第2マーカーを表示する制御の両方を行ってもよい。具体的には、図12に示すように、ベースラインにおいて病変部が検出されたスライス位置に至ると、制御部11は、スライス位置の切り替えの操作をロックする操作制御を行い、さらに図14に示す第1マーカーM1を表示する表示制御を行うことができる。
また、ベースラインとVISITxの各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を表示して、VISITxとベースラインの医用画像のスライス位置の切り替えを同期させる際に、スライス位置の切り替えを停止する制御を行うこともできる。
また、ユーザー端末10及び管理サーバー20に上記処理手順を実行させるプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、プログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
1 効果判定システム
10 ユーザー端末
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 操作部
15 表示部
20 管理サーバー
A1 治験管理システム
A2 画像管理システム
C 治験実施システム

Claims (9)

  1. 治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を表示する表示手段と、
    前記1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて前記表示手段により表示させる制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記治験の開始後の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示させる場合、前記治験の開始前の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行うことを特徴とする効果判定システム。
  2. 前記スライス位置を示す制御は、前記スライス位置の切り替えにより、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置に至るか、又は当該スライス位置から一定範囲内に至ると、前記スライス位置の切り替えを停止する制御であることを特徴とする請求項1に記載の効果判定システム。
  3. 前記スライス位置の切り替えを停止する制御は、前記スライス位置の切り替えの操作をロックするか、次のスライス位置の医用画像の表示を停止するか、又は次のスライス位置の医用画像を表示する速度を減速させる制御であることを特徴とする請求項2に記載の効果判定システム。
  4. 前記スライス位置を示す制御は、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置を示す第1マーカーか、又は当該スライス位置から一定範囲内のスライス位置であることを示す第2マーカーを、前記表示手段により表示させる制御であることを特徴とする請求項1に記載の効果判定システム。
  5. 前記制御手段は、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置に近いほど、前記第2マーカーを強調して表示させることを特徴とする請求項4に記載の効果判定システム。
  6. 前記制御手段は、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像の初期表示時、各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置の医用画像を前記表示手段により表示させ、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を前記表示手段により表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果判定システム。
  7. 前記制御手段は、前記スライス位置の切り替えにより、前記治験の開始後の各シリーズの医用画像のスライス位置が、前記治験の開始前の各シリーズの医用画像において病変部が検出されたスライス位置を超えると、前記治験前の各シリーズの医用画像を、次のスライス位置以降において病変部が検出された他のスライス位置の医用画像に切り替えて表示させることを特徴とする請求項6に記載の効果判定システム。
  8. 前記制御手段は、前記治験の開始前と開始後の各シリーズの医用画像の初期表示時、スライス位置が先頭の医用画像を前記表示手段により表示させ、前記治験の開始後の医用画像のスライス位置の切り替えに同期して、前記治験の開始前の医用画像のスライス位置も切り替えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果判定システム。
  9. 効果判定システムが実行する医用画像の表示方法であって、
    治験の開始前と開始後に少なくとも1回の検査撮影を行って得られた1又は複数のシリーズの医用画像を、表示手段により表示するステップと、
    前記1又は複数のシリーズの医用画像のうち、スライス位置が異なる複数の医用画像からなるシリーズの医用画像を、そのスライス位置を切り替えて前記表示手段により表示するステップと、
    前記治験の開始後の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像をそのスライス位置を切り替えて表示する場合、制御手段により、前記治験の開始前の検査撮影によって得られた各シリーズの医用画像において病変部が検出された医用画像のスライス位置を示す制御を行うステップと、
    を含むことを特徴とする医用画像の表示方法。
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