[第1実施形態]
図1に示す医療情報システム10は、病院等の医療施設で医療に関する情報を管理するために用いられるコンピュータシステムである。この医療情報システム10は、診療支援サーバ11と、クライアント端末12と、サーバ群13と、これらを相互に通信可能に接続するネットワーク14とで構成されている。サーバ群13には、電子カルテサーバ16、画像サーバ17などが含まれる。ネットワーク14は、例えば、院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
クライアント端末12は、内科、外科、耳鼻科、眼科といった各診療科に設置される端末であり、例えば、診療科の医師によって操作される。クライアント端末12は、電子カルテサーバ16にアクセスして、電子カルテの入力や閲覧をする機能を有している。電子カルテには、問診、検査、診断などの診察記録、処置、手術などの治療記録を含む診療情報が入力されている。また、クライアント端末12は、画像サーバ17にアクセスして、X線画像などの検査画像を閲覧する機能を有している。
さらに、クライアント端末12は、診療支援サーバ11にアクセスして、患者の診療情報が表示されるデータ表示画面15を閲覧する機能を有している。データ表示画面15では、診療情報として、検査値や測定値を時系列で記録した時系列データを表示することが可能である。時系列データが例えばグラフGの形態で表示される。また、データ表示画面15は、複数の時系列データ上の任意の点を指定した指定位置に対応する複数の個別データを、診療情報に関する第1情報及び第2情報として関連付ける指示を入力する操作画面としても機能する。クライアント端末12は、診療支援サーバ11から、データ表示画面15の画面データ15Aを受信して、画面データ15Aに基づいてデータ表示画面15を再現して表示する。
診療支援サーバ11は、クライアント端末12からの配信要求に基づいて、電子カルテサーバ16や画像サーバ17から時系列データを取得して、取得した時系列データに基づいて画面データ15Aを生成し、生成した画面データ15Aを要求元のクライアント端末12に配信する。
電子カルテサーバ16は、電子カルテが格納される電子カルテデータベース(以下、カルテDBという)16Aを備えている。画像サーバ17は、複数枚の検査画像が格納される画像DB17Aを有しており、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System)サーバである。カルテDB16Aや画像DB17Aは、患者IDなどのキーワードによる検索が可能なデータベースである。
図2に示すように、カルテDB16Aには、患者の診療情報を記録したカルテデータに対して、患者ID(P00001、P00002・・・)が付与されて、患者単位で格納されている。カルテデータは、患者の氏名、生年月日、性別、患者ID等の患者基本情報に加えて、診療情報の1つとして時系列データTSを含んでいる。
時系列データTSは、患者の状態推移及び患者に施される診療の内容を表すデータである。患者の状態推移とは、例えば、患者の心拍、脈拍、血圧、体温などのバイタルサインの測定値や、患者に対して実施される臨床検査の検査値などの経時的な変化をいう。臨床検査は、血液検査、生化学検査などの検体検査及び脳波検査などの生理検査を含む。患者の状態推移を表す時系列データは、経時的に取得される複数の測定値や検査値のデータ系列である。患者に施される診療の内容には、投薬、手術、処置などの治療の内容や、問診の内容などが含まれる。患者に施される診療の内容を表す時系列データは、経時的に実施される複数回の診療の内容を表すデータ系列である。
時系列データTSは、典型的には、血圧測定、投薬などの同一の診療項目毎に時系列で取得される複数の個別データを要素として構成されるデータ系列である。本例で示すように、血圧測定の時系列データTSであれば、測定日が異なる複数の測定値が、時系列データTSの要素となる複数の個別データを構成する。血圧測定の時系列データTSにより、患者の血圧の経時的な変化を確認することができる。本例では、血圧測定の時系列データTSは、血圧(上)と血圧(下)が区別されて、それぞれが1つの時系列データTSとして記録されている。
投薬の時系列データTSは、一定期間、複数回に分けて同じ薬剤を投与した場合には、各回の投薬量が、時系列データTSの要素となる複数の個別データを構成する。本例の投薬の個別データは、2012/11/16から数日間継続して記録されており、各個別データの投薬量は同量(「100」)であるため、投薬の時系列データTSからは、患者に対して数日間、1日1回、A薬を同量投与したことを確認することができる。
1件の個別データのレコードは、例えば、個別データID、日時、データ内容(測定値、投薬量、検査値など)、属性のデータ項目を有する。日時の情報は、測定値であれば測定日時であり、検査値であれば検査日時であり、投薬量であれば、投薬を実施した日時あるいは処方した日時である。個別データが1日複数回記録される場合には、各個別データを区別するために時間の情報まで必要になるが、個別データの取得頻度が1日1回以下の場合には、日付の情報だけでもよい。個別データIDは、個別データを特定するために各個別データに与えられる識別情報である。本例では、個別データIDを、日時の情報と別に独立したデータ項目として設けているが、個別データIDは各個別データを特定できればよいので、個別データIDの代わりに、日時の情報を個別データIDとして利用することも可能である。
また、投薬は、投薬効果が発現するまでに期間を要する場合があるため、例えば、「1日に一定量ずつの服用を5日間継続する」というように、所定期間に渡る投薬(薬の服用)が1回の処方で指示される場合がある。この場合には、1回の処方内容(服用期間と投薬量)を表す処方単位のデータを個別データとしてもよい。このような個別データの日時は、例えば、処方した日時となる。
属性は、データを分類するために与えられる情報であり、個別データの種類を表す情報である。属性は、個別データを検索するためのキーワードとして利用することも可能である。また、個別データは時系列データの要素であるため、時系列データの種類を表す情報としての意味も持つ。属性としては、例えば、個別データの名称、個別データが帰属するカテゴリ、個別データに対応する診療項目の名称などが含まれる。本例では、血圧の個別データの属性として、「血圧(上)」という測定値の名称そのものが付与されるとともに、血圧がバイタルサインの1つであることから、「バイタル」というカテゴリが付与されている。この他、血圧の測定値は数値であるので、「数値データ」というデータの種類を属性として付与したり、「検査値」と区別した「測定値」というカテゴリを属性として付与することも可能である。また、「血圧測定」という診療項目の名称を付与してもよい。
投薬の時系列データTSでは、属性には「投薬」という診療項目の名称や、薬剤名「A薬」が付与される。この他、投薬の属性としては、注射や服用などの投与方法を付与してもよい。属性については、電子カルテサーバ16が入力されたデータの内容に応じて自動的に付与してもよいし、手動入力により付与することも可能である。
また、診療の内容には、投薬などの治療の内容に加えて、問診の内容が含まれるが、問診の場合には、問診毎の問診記録が個別データとなる。そして、異なるタイミングで時系列に取得される問診の個別データの系列が、問診の時系列データとなる。また、診療に際して医師が複数回記録した所見の系列も、所見の時系列データとなる。
各時系列データTSには、「S24456」、「S24457」というように、それぞれを識別するためのID(「TSID」)が与えられている。このため、患者ID、時系列データID、個別データIDにより、カルテデータ、カルテデータ内の時系列データTS、時系列データTS内の個別データをそれぞれ特定し、かつ、検索することが可能である。
図3に示すように、画像DB17Aには、X線検査やCT検査などの画像検査で撮影された複数枚の検査画像からなる検査データが格納されている。検査画像には患者IDが付与されており、患者IDで検査画像を検索することが可能である。画像検査も、経過観察を行う場合のように、1人の患者の診療において複数回実施されることがあり、この場合には画像検査の時系列データTSが取得される。
画像検査の時系列データTSは、1回の画像検査で得られた検査画像が個別データとなる。個別データIDとしては、例えば、検査IDが使用される。CT検査の場合には1回の検査で複数枚の断層画像が取得されるため、1件の個別データは、複数枚の断層画像となる。一般X線撮影装置によるX線検査の場合には、1回の検査で取得されるX線画像が1枚の場合もあれば複数枚の場合もあるので、1件の個別データは、X線画像が1枚の場合と複数枚の場合がある。X線検査の個別データの属性には、例えば、検査種別を表す「X線検査」、画像の種別である「X線画像」、撮影部位を表す「胸部」といった情報が付与される。
図4に示すように、クライアント端末12は、医師の操作による患者IDの指定を受け付けて、指定された患者IDを含む配信要求を発行して、診療支援サーバ11に送信する。診療支援サーバ11は、クライアント端末12からの配信要求を受け付けると、電子カルテサーバ16や画像サーバ17に対して、患者IDを検索キーとして、時系列データTSの検索要求を送信する。そして、電子カルテサーバ16、画像サーバ17は、カルテDB16A、画像DB17Aから、患者IDに対応する各時系列データTSを検索して、診療支援サーバ11に送信する。診療支援サーバ11は、取得した各時系列データTSに基づいてデータ表示画面15の画面データ15Aを生成して、画面データ15Aを、配信要求の要求元のクライアント端末12に配信する。
データ表示画面15は、医師の操作により、画面レイアウトの変更や、表示する時系列データTSなど、データ表示画面15に表示する表示項目の変更などの画面編集が可能である。また、データ表示画面15は、表示した複数の時系列データTS内の個別データ同士を関連付けたり、関連付けた個別データのセットをグループ化するなどの診療情報に関する情報編集操作や、キーワードなど指定した検索条件に応じた検索指示が可能である。
クライアント端末12は、データ表示画面15を通じて、画面編集、情報編集、検索に関する操作指示が入力されると、操作指示に応じた編集要求や検索要求を発行して、診療支援サーバ11に送信する。診療支援サーバ11は、編集要求を受け付けると、編集要求の内容に応じた編集処理を行う。編集要求が画面編集の場合には、必要に応じてデータ表示画面15の更新データを生成し、更新データを要求元のクライアント端末12に配信する。編集要求が情報編集要求の場合は、関連付け処理やグループ化処理を行って、必要に応じて処理結果を要求元のクライアント端末12に配信する。また、検索要求を受け付けると、検索処理を行って検索結果を処理結果として配信する。クライアント端末12は、更新データや処理結果を受信すると、更新データに基づくデータ表示画面15の更新や、処理結果の表示を行う。
診療支援サーバ11、クライアント端末12、電子カルテサーバ16、画像サーバ17は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、クライアントプログラム又はサーバプログラム等のアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図5に示すように、各サーバ11、16、17やクライアント端末12を構成するコンピュータは、基本的な構成は同じであり、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、ストレージデバイス23、通信I/F24、及び入出力部26を備えている。これらはデータバス27を介して接続されている。入出力部26は、ディスプレイ(表示部)28と、キーボードやマウスなどの入力デバイス29とからなる。
ストレージデバイス23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、APという)30が格納される。また、DBが構築されるサーバには、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス23として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、サーバ本体に内蔵されるものでもよいし、サーバ本体とは別に設けられ、サーバ本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
メモリ22は、CPU21が処理を実行するためのワークメモリであり、RAM(Random Access Memory)で構成される。CPU21は、ストレージデバイス23に格納された制御プログラムをメモリ22へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。通信I/F24は、ネットワーク14との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。
クライアント端末12には、AP30として、電子カルテの閲覧や編集を行う電子カルテソフトウエアや、検査画像やデータ表示画面15の閲覧を行うためのビューアソフトウエアなどのクライアントプログラムがインストールされている。ビューアソフトウエアは、例えば、専用ソフトウエアでもよいし、汎用的なWEBブラウザでもよい。
図6に示すように、クライアント端末12において、データ表示画面15を表示するビューアソフトウエアが起動されると、クライアント端末12のディスプレイ28Aには、GUI(Graphical User Interface)による操作機能を備えた起動画面が表示され、クライアント端末12のCPU21Aは、メモリ22などと協働して、GUI制御部33、及び診療支援サーバ11に対する各種の要求を発行する要求発行部34として機能する。起動画面において患者IDの指定やデータ表示画面15の画面データ15Aの配信要求を発行する操作が行われる。
画面データ15Aは、例えば、XML(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語により記述されたデータで構成され、画面データ15Aで再現されるデータ表示画面15もGUIによる操作機能を備えている。GUI制御部33は、画面データ15Aに基づいてデータ表示画面15を再現してディスプレイ28Aに表示する。また、GUI制御部33は、マウスのポインタ36による操作ボタンのクリック操作など、データ表示画面15を通じた入力デバイス29Aからの操作指示を受け付けて、受け付けた操作指示に従った画面制御を行う。要求発行部34は、GUI制御部33が受け付けた操作指示に従って、指定された患者IDのデータ表示画面15の配信要求や、指定された内容の編集要求や検索要求を発行する。
図7に示すように、データ表示画面15は、第1表示領域41、第2表示領域42、一覧表示領域43、基本情報表示領域46を有している。基本情報表示領域46には、患者名、患者ID、年齢などの患者基本情報が表示される。
第1表示領域41は、時系列データTS(グラフG)を表示する領域である。第1表示領域41は、横軸に時間が割り当てられており、縦方向において複数のサブ領域41A〜41Cに分割されている。第1表示領域41の上部には、第1表示領域41の第1時間軸47が設けられている。第1時間軸47は、年、月、日などの情報と目盛りを、設定された時間尺度に応じて配列したものである。第1時間軸47は、第1表示領域41の第1表示期間に対応したと長さを有しており、また、内部に情報を表示できるように縦方向に幅を有している。本例では、第1表示期間は、2012年10月から2013年2月初旬までの約4ヶ月に設定されており、第1時間軸47には、第1表示期間に対応する4ヶ月間の年及び月を表す数字と、各月の間に所定間隔で付された目盛りが表示される。
第1表示領域41には、時系列データTSのうち、第1表示期間に対応する範囲のデータがグラフG(G1〜G6)の形態で表示される。第1表示期間は横方向の画面スクロール操作により、変更することが可能である。この画面スクロール操作により、第1時間軸47の年、月の表示が変更され、時系列データTSの表示範囲が変更される。診療支援サーバ11から1回の配信で送られてくる画面データ15Aには、第1表示期間よりも長期間の時系列データTSが含まれている。そのため、時系列データTSの表示範囲の変更については、受信済みの範囲であれば、診療支援サーバ11からの再配信を受けずに行うことが可能である。時系列データTSの表示範囲について、受信済みの範囲を超える変更が行われる場合には、診療支援サーバ11から時系列データTSの追加配信を受ける。
各サブ領域41A〜41Cには、第1表示期間に対応する同一期間に取得された複数の時系列データTSが表示される。これにより、同一時期の複数の時系列データTSが比較可能に表示される。各サブ領域41A〜41Cには、種類が異なる6つの時系列データTSがそれぞれグラフG1〜G6の形態で表示される。各サブ領域41A〜41Cに表示する時系列データTSの種類は設定により、変更が可能である。各サブ領域41A〜41Cの左側には、サブ領域41A〜41C毎に、時系列データTSの種類や名称、時系列データTSに対応する診療項目を表示する項目表示欄48が設けられている。
本例では、上から2段目のサブ領域41Aは、血圧、体温、呼吸、心拍などのバイタルサインに対応する時系列データTSを表示する領域として設定されている。より具体的には、バイタルサインの時系列データTSとして、血圧の測定値の推移を表すグラフG1、G2が表示されている。グラフG1は血圧(上)のグラフであり、グラフG2は血圧(下)のグラフである。グラフG1、G2は、時系列で取得された複数の測定値(個別データ)の入力点Pを結んだ折れ線グラフである。また、サブ領域41A内の右端には、縦方向に延びる、測定値の目盛り(本例では下限が「70」、上限が「200」)が設けられている。サブ領域41Aに対応する項目表示欄48には、診療項目の大分類の名称として、「バイタル」が表示され、さらに、「血圧(上)」、「血圧(下)」といったグラフG1、G2が表す測定値の名称が表示される。
また、サブ領域41Aには、1つの領域内に複数のグラフG1、G2が表示されるため、グラフG1、G2を識別するために、各グラフG1、G2には、例えば、入力点Pの形状を四角や丸で区別した異なる線種が割り当てられている。項目表示欄48には、グラフG1、G2のどちらの線種が血圧の上下のどちらに対応するかを表す線種情報も表示されている。本例では、バイタルサインとして、血圧のみを表示しているが、血圧に加えて、体温、心拍などを、サブ領域41Aに表示してもよい。この場合には、各グラフを識別できるようにグラフの線種や色を変化させることが好ましい。もちろん、1つのサブ領域に複数のグラフGを表示せずに、1つのサブ領域には、1つのグラフGだけを表示してもよい。
3段目のサブ領域41Bは、検体検査の検査値の時系列データTSを表示する領域として設定されており、検査値の推移を表すグラフG3、G4が表示される。グラフG3、G4は、例えば、検体検査の1つである生化学検査の検査値であり、グラフG3は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、グラフG4は、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の検査値である。グラフG3、G4も、グラフG1、G2と同様に、時系列で取得された複数の検査値(個別データ)の入力点Pを結んだ折れ線グラフである。サブ領域41Bに対応する項目表示欄48には、診療項目の大分類の名称として「検体検査」、診療項目の中分類の名称として「生化学」、グラフG3、G4が表す検査値の名称として「AST」、「ALT」が表示される。また、グラフG3、G4を識別するための線種情報も表示される。
1段目のサブ領域41Cは、投薬・注射などの薬剤投与の時系列データTSを表示する領域として設定されており、薬剤投与を実施した期間を表すグラフG5、G6が表示されている。グラフG5はA薬の、グラフG6はB薬のグラフである。本例では、A薬、B薬ともに投薬量が全期間に渡って一定であるため、グラフG5、G6は横方向に一直線に延びる棒グラフの形態で表示される。投薬量が変化すれば、グラフG5、G6は縦方向に変化する。グラフG5、G6には、投薬量の数値(「100」、「50」)を表す表示が挿入されている。サブ領域41Cに対応する項目表示欄48には、診療項目の大分類の名称として「投薬・注射」、薬剤名として「A薬」、投薬量の単位として「mg」などが表示される。
また、図示しないが、サブ領域に画像検査の時系列データTSを表示する場合には、時間軸に沿って、複数のサムネイル画像が配列される。なお、本例では、第1表示領域41を3つのサブ領域に分割した例で説明しているが、分割数は3つに限らず、2つあるいは3つ以上でもよい。第1表示領域41に同時に表示可能な数以上のサブ領域が存在する場合には、縦方向の画面スクロール操作などにより、非表示になっているサブ領域を表示できるようにしてもよい。また、もちろん、分割しなくてもよい。
第2表示領域42は、第1表示領域41に対して相対的に時間尺度が長く、第2表示領域42には、第1時間軸47よりも時間尺度が長い第2時間軸49が表示される。第2時間軸49は、第1時間軸47と同様に、内部に情報を表示可能な縦方向に幅を持つ表示枠49Aを有している。第2時間軸49では、年、月、日などの数字は表示枠49Aの上方に表示される。表示枠49Aの内部に1年毎に目盛りが表示される。年、月、日の数字や目盛りは、設定された時間尺度に応じて配列される。
第2時間軸49の長さは、第2表示領域42の第2表示期間に対応する。第2表示期間は、第1表示領域41の第1表示期間よりも時間尺度が長いが、データ表示画面15における第1表示領域41と第2表示領域42の幅は、ほぼ同じ幅を有している。そのため、第2時間軸49の一部の期間について、第1表示領域41においては、詳細な表示を行うことができる。
図7において、第1表示領域41には、第2表示期間の一部の期間に対応する時系列データTS(グラフG)が表示されている。本例では、第1表示期間は、2012年10月から2013年2月初旬までの約4ヶ月に設定されており、第2表示期間は、4ヶ月の第1表示期間を含む2010年から2014年の前半までの約4年半に設定されている。第1表示期間及び第2表示期間は、設定により変更が可能である。
第2時間軸49の表示枠49A内には、第2表示期間内において時系列データTSが存在することを示すデータ存在標識51が表示される。時系列データTSが存在することは、何らかの診療が実施されたことを表すため、データ存在標識51は、診療が実施された日や期間を表す標識としても機能する。データ存在標識51は、例えば、第2時間軸49方向に延びるバー形状の標識である。また、表示枠49Aには、期間標識52が表示される。
期間標識52は、第1表示領域41の第1表示期間が、第2時間軸49において、どの期間に対応するかを示す標識である。期間標識52の幅は、第2時間軸49の時間尺度における、第1表示期間の幅に対応している。本例では、第1表示期間は、約4ヶ月なので、期間標識52の幅は、第2時間軸49の時間尺度における約4ヶ月の幅に対応する。また、期間標識52は、第1表示領域41の第1表示期間を変更するための操作部としても機能する。期間標識52は、第2時間軸49上でスライド可能な操作部となっており、期間標識52を、ポインタ36で指定してスライド操作を行うと、第1表示領域41の第1表示期間も変化する。例えば、スライド操作により、第2時間軸49の2013年の位置から2012年の位置に期間標識52を移動すると、第1表示領域41に表示される第1表示期間が、2013年から2012年に変更される。また、データ存在標識51のある位置に期間標識52を移動すれば、データ存在標識51の期間に対応する時系列データTSを第1表示領域41に表示することができる。
また、データ表示画面15においては、情報編集の操作指示として、関連付け指示と、グループ化指示の入力が可能である。関連付け指示は、第1表示領域41に表示される時系列データTS上の少なくとも2点を指定して、指定された第1及び第2の少なくとも2つの指定位置に対応する複数の第1情報及び第2情報を関連付ける指示である。例えば、1つのグラフG上で第1指定位置が指定され、別のグラフG上で第2指定位置が指定される。
グラフG1〜G4の場合には、個別データの複数の入力点Pのうちの少なくとも1つの任意の点を指定位置として指定することが可能である。入力点Pが指定された場合には、指定位置の入力点Pに対応する個別データが第1情報又は第2情報として指定される。グラフG5、G6の場合には、グラフG5、G6上の任意の少なくとも1点を指定できる。グラフG5、G6についても、指定位置に対応する個別データが第1情報又は第2情報として指定される。また、グラフG5、G6の場合には、所定期間に渡って継続的な投薬が行われていることを表すので、投薬期間全体(グラフG5、G6の全体)を指定位置として指定することも可能である。この場合には、グラフG5、G6に対応する時系列データTSの全体が第1情報又は第2情報として指定される。
データ表示画面15において、第1情報と第2情報の関連付け指示が入力されると、第1情報と第2情報が関連付けられて、第1情報及び第2情報をセットにした1件のセット情報54が作成される。また、セット情報54は、データ表示画面15において、一覧表示領域43に表示される。さらに、関連付けが行われると、第1表示領域41において、第1情報と第2情報が関連することを表す関連標識56が表示される。医師は、こうした関連付け機能を、第1情報と第2情報の間に因果関係を認めた場合に利用することができる。セット情報54には、第1情報及び第2情報の一方が原因に対応し、他方が結果に対応することを表す因果関係情報が含まれる。
本例のデータ表示画面15では、一覧表示領域43に、関連付けが行われた3件のセット情報54A〜54Cが表示され、第1表示領域41には、それらに対応する関連標識56A〜56Cが表示されている。これらを例に関連付けについてより具体的に説明する。
例えば、血圧(上)のグラフG1では、入力点P1以前では、血圧が比較的高い状態で推移しており、入力点P1からPE1にかけて血圧が急激に下がり、PE1以後は比較的低い状態で安定していることがわかる。一方、投薬(A薬)のグラフG5を見ると、血圧が降下を開始した入力点P1と同時期に、A薬の投薬が開始されていることが分かる。このような場合には、A薬の投薬開始という原因によって、血圧降下という結果が生じたというように、投薬開始と血圧降下の間に因果関係を推認できる。医師がこのような判断をした場合には、グラフG5の投薬開始位置は原因に対応する原因位置PC1として、グラフG1の血圧降下が生じた位置は結果に対応する結果位置PE1として指定されて、関連付け指示が入力される。これにより、これら2つの指定位置にそれぞれ対応する、「A薬の投薬量」と「血圧(上)の測定値」の各個別データが、第1情報及び第2情報として関連付けられて、両者をセットにした1件のセット情報54Aが作成される。セット情報54Aには、「A薬の投薬量」が原因に対応し、「血圧(上)の測定位置」が結果に対応する因果関係情報が含まれる。
また、第1表示領域41においては、原因位置PC1と結果位置PE1には、各位置が関連することを示す関連標識56Aが付与される。関連標識56Aは、例えば、タグ58と、2つの指定位置を結ぶ接続線59とで構成されるリンク形態の標識である。タグ58は、コメントの入力と表示が可能なオブジェクトで構成される。コメントは、例えば、原因と結果に関する医師の所見を表すもので、テキストデータで入力される。関連標識56Aのタグ58には、「血圧降下」という医師の所見がコメントとして入力されて表示されている。
セット情報54Aには、タグ58に入力された「血圧降下」というコメントも追加される。一覧表示領域43において、セット情報54Aに対応する表示欄60には、セット情報54Aに含まれる、「A薬の投薬量」(原因)と、「血圧(上)の測定値」(結果)と、「血圧降下」(コメント)が表示される。表示欄60は、原因、結果、コメントをそれぞれ表示する小区画に区切られており、各情報を一目で確認できるようになっている。
また、投薬(A薬)のグラフG5の投薬期間の終期と同時期には、血圧(上)のグラフG1において、血圧が低い値で安定して良化したことが認められる。このような場合には、グラフG5の投薬期間の終期が原因位置PC2として指定され、血圧(上)のグラフG1において、良化が確認された位置が結果位置PE2として指定されて、関連付けが行われる。これにより、原因位置PC2に対応する「A薬の投薬量」と結果位置PE2に対応する「血圧(上)の測定値」と、「良化」というコメントとをセットにしたセット情報54Bが作成される。一覧表示領域43には、セット情報54Bが表示される。また、第1表示領域41の指定位置には関連標識56Bが付与される。関連標識56Bは、関連標識56Aと同様にリンク形態であり、各位置は接続線59によって接続され、関連標識56Bのタグ58にも、「良化」というコメントが表示される。
同様に、投薬(B薬)のグラフG6の投薬期間の終期が原因位置PC3として指定され、「AST」のグラフG3の1点が結果位置PE3として指定されて、関連付けが行われる。原因位置PC3の「B薬の投薬量」と、結果位置PE3の「ASTの検査値」とをセットにしたセット情報54Cが作成される。セット情報54Cも一覧表示領域43に表示され、第1表示領域41の指定位置には関連標識56Cが付与される。関連標識56Cも、関連標識56A、56Bと同様のリンク形態であり、タグ58には、「経過観察」というコメントが入力されて表示される。セット情報54Bには、このコメントも含まれる。
このように関連付けが行われると、第1表示領域41に関連標識56が表示される。関連標識56により、関連付けた複数の時系列データTS上における2つの位置の間の因果関係を簡単に把握することができる。また、関連標識56が付与されると、第2表示領域42において、関連標識56に時間的に対応する対応位置に対応標識57が付与される。対応標識57は、第2時間軸49のどの位置に、関連標識56が存在するかを示す標識である。対応標識57は、関連標識56の2つの指定位置に対応する位置にそれぞれ付与され、データ存在標識51とともに、表示枠49A内に表示される。
対応標識57は、第2時間軸49において、期間標識52が存在する第1表示期間に対応する期間だけでなく、第1表示期間外の位置にも表示される。本例では、第1表示期間は、2012年10月から2013年2月初旬までの期間であり、期間標識52もその期間に対応する位置に表示されている存在しているが、第2時間軸49においては、2011年や2012年の前半など第1表示期間外に相当する位置にも対応標識57が表示されている。そのため、第1表示領域41に表示されている第1表示期間だけでなく、第1表示期間外についても、関連標識56が存在するおおよその時期を確認することができる。
また、データ表示画面15は、第2表示領域42内の対応標識57のいずれかが選択されると、第1表示領域41の第1表示期間を、選択された対応標識57に対応する関連標識56を含む表示期間に変更する。上述したとおり、第1表示領域41の第1表示期間は、期間標識52の操作によっても変更が可能であるが、対応標識57の選択操作によっても変更が可能である。
関連付け指示の入力は、例えば、次のような手順で行われる。まず、グラフG上の任意の位置をポインタ36で指定して、クリック操作を行う。クリック操作がされると、データ表示画面15には、図8に示す関連付け設定画面61が開く。関連付け設定画面61には、原因位置及び結果位置に関する第1情報及び第2情報をそれぞれ表示する情報表示欄61A、61B、コメント入力欄61C、位置指定ボタン61D、逆転ボタン61E、付与ボタン61F、削除ボタン61G、キャンセルボタン61Hが設けられている。
情報表示欄61A及び情報表示欄61Bには、第1情報及び第2情報として、原因位置及び結果位置に対応する個別データがそれぞれ表示される。グラフG1上の入力点Pが指定された場合には、グラフG1上の入力点Pは血圧(上)の測定値に対応するので、情報表示欄61には、測定値の名称である(「血圧(上)」)、測定日(「2012/12/02」)、測定値(「143」)などが表示される。本例では、原因位置PE1が指定されているので、原因位置PE1の個別データが表示される。
原因位置及び結果位置のうちの1つしか指定されていない場合には、情報表示欄61A、61Bの一方のみに情報が表示される。本例では、例えば、情報表示欄61Bのみに結果位置の情報が表示される。位置指定ボタン61Dを操作すると、もう1つの指定位置を指定することができる。図9に示すように、ポインタ36で時系列データTS上のもう1点を指定すると、もう1つの指定位置の情報が表示される。本例では、グラフG5の原因位置PC1が指定されるので、原因位置PC1の投薬に関する個別データの情報が表示される。逆転ボタン61Eは、原因位置と結果位置を逆転して位置を入れ替えるための操作ボタンである。
このように、情報表示欄61Aは原因に、情報表示欄61Bは結果にそれぞれ対応している。そして、関連付けられる2つの情報が、どちらの情報表示欄61A、61Bに入力されるかによって、2つの情報が原因と結果のどちらに対応するかが識別される。識別された情報が因果関係情報として設定される。なお、因果関係情報は、1番目に入力された情報が原因で、2番目に入力された情報が結果に対応するというように、2つの情報の入力順の情報としてもよい。
コメント入力欄61Cは、セット情報54に追加される、「血圧降下」、「良化」、「経過観察」などのコメントを入力するための入力欄である。OKボタン61Fは、関連付け指示を入力するための操作ボタンであり、OKボタン61Fが操作されると、GUI制御部33は、要求発行部34に対して、関連付け設定画面で設定した内容の関連付け指示を発行するように指令する。
削除ボタン61Gは、いったん作成したセット情報54を削除するための操作ボタンである。例えば、既にセット情報54が作成されている場合において、一覧表示領域43内の1件のセット情報54をポインタ36で指定してクリック操作すると、関連付け設定画面61が開く。この際に削除ボタン61Gが操作されると、作成済みのセット情報54が削除される。キャンセルボタン61Hは、関連付け設定画面61が開いた状態で操作した内容をキャンセルする操作ボタンであり、キャンセルボタン61Hが操作されると、関連付け設定画面61が開く前の状態に復帰する。
こうした関連付け指示の入力が行われると、要求発行部34は、関連付け指示を含む情報編集要求を発行する。情報編集要求は、診療支援サーバ11に送信される。診療支援サーバ11は、関連付け処理を実行してセット情報54を作成して保存する。診療支援サーバ11は、作成したセット情報54を、クライアント端末12に対して処理結果として配信する。
図7において、データ表示画面15には、検索ボタン63及びキーワード入力欄64が設けられており、キーワードにより作成したセット情報54の検索が可能である。検索により抽出されたセット情報54は、一覧表示領域43に表示される。図2に示したように、個別データは、属性の情報を含んでいる。セット情報54は、個別データを有しているため、個別データの属性を利用して、セット情報54のキーワード検索を行うことができる。
例えば、キーワード入力欄64にキーワードとして、「血圧」が入力されて検索ボタン63が操作されると、検索要求が診療支援サーバ11に送信されて、診療情報サーバ11において、セット情報54の検索処理が実行される。属性に「血圧」を含むセット情報54が抽出されて、抽出されたセット情報54のみが一覧表示領域43に表示される。
また、一覧表示領域43においては、例えば、個別データを取得した日付順でセット情報54がソートされて表示される。セット情報54の表示順は、個別データを取得した日付順の他、例えば、セット情報54の作成順に変更することも可能である。
一覧表示領域43と第1表示領域41の表示は連動しており、一覧表示領域43に検索により抽出されたセット情報54が表示されると、第1表示領域41の表示も抽出されたセット情報54に対応する関連標識56のみの表示に変更される。これにより、医師が確認したいセット情報54や関連標識56を簡単に確認することができる。反対に、第1表示領域41の表示が変更されると、一覧表示領域43の表示も変更される。例えば、第1表示領域41の第1表示期間が、画面スクロール操作によって変更された場合には、表示される関連標識56も変更される。そのため、第1表示領域41に表示される関連標識56の変更に連動して、一覧表示領域43のセット情報54も変更される。
また、上述したとおり、データ表示画面15において入力可能な、情報編集の操作指示としては、関連付け指示の他にグループ化指示がある。グループ化指示は、作成した1件以上のセット情報54を臨床判断の単位でグループ化して、図10に示す情報グループ70を作成するための指示である。臨床判断は、上述のとおり、患者に対して次に実施すべき処置や治療内容についての診療情報に基づく判断である。
図10において、セット情報54A及びセット情報54Bに示すように、A薬の投薬と血圧降下の因果関係が認められた場合には、医師は、臨床判断として、さらに血圧を下げるために投薬を継続するか、あるいは、目標値まで血圧が下がったため、投薬を中止するなどの決定を行う。本例のグループIDが「G1」の情報グループ70には、臨床判断として「投薬中止」が含まれている。
このように、セット情報54のように原因と結果がセットになった情報は、臨床判断の根拠となる。臨床判断は、1つの因果関係を根拠とする場合もあれば、複数の因果関係を論理的に積み重ねる場合もある。1つの臨床判断の根拠となった因果関係、或いは因果関係の群が分かれば、医師の判断プロセスを把握することができる。情報グループ70は、このような臨床判断の単位で、各臨床判断の根拠となる1件以上のセット情報54をまとめたものである。
一覧表示領域43の上には、グループ化ボタン65が設けられており、また、セット情報54の表示欄60毎に、チェックボックス66が設けられている。例えば、グループ化ボタン65が、ポインタ36で1回クリック操作されると、グループ化対象のセット情報54の選択情報の入力が可能な状態となる。この状態で、ポインタ36のクリック操作でチェックボックス66がチェックされると、セット情報54が選択される。チェック済みのチェックボックス66がもう1回クリック操作されると、チェックが外れて、選択されたセット情報54がキャンセルされる。グループ化ボタン65が再度クリック操作されると、GUI制御部33は、要求発行部34に対して、セット情報54の選択情報を含むグループ化指示を発行するように指令する。グループ化指示は情報編集要求として診療支援サーバ11に送信される。
また、一覧表示領域43の下方には、臨床判断入力ボタン67と、入力ボックス68が設けられている。入力ボックス68には、医師による臨床判断の内容を表すテキストデータが入力される。臨床判断入力ボタン67は、入力ボックス68内のテキストデータを、臨床判断の内容として、情報グループ70に追加するボタンである。なお、臨床判断の内容はテキストデータの直接入力ではなく、リストで選択できるようにしてもよい。セット情報54の入力が可能な状態において、臨床判断入力ボタン67がクリック操作されると、グループ化対象に、セット情報54に加えて臨床判断の内容が追加される。
作成された情報グループ70は、臨床判断の根拠となる因果関係あるいは因果関係の群を示すものであるので、因果関係を論理的に積み重ねた医師の判断プロセスを表すものである。そのため、情報グループ70は、医師の判断プロセスが適切であったかの検証に後で利用することができる。また、このような情報グループ70は、医師の判断ノウハウを含んだ症例としての価値を持つ。このため、情報グループ70を、過去の症例として利用することも可能である。
また、情報グループ70を作成後、作成した情報グループ70を閲覧するために、一覧表示領域43に表示することができる。この場合には、チェックボックス66のチェック操作により、表示した情報グループ70内のセット情報54の追加や削除も可能である。情報グループ70の更新が行われた場合には、更新内容に応じたグループ化指示が、診療支援サーバ11に送信される。
図7において、データ表示画面15には、第1表示領域41の左側に、編集ボタン69A、更新ボタン69B、終了ボタン69Cが設けられている。編集ボタン69Aは、データ表示画面15の画面編集を行うための操作ボタンである。編集ボタン69Aを操作すると、例えば、画面編集を指示するための編集メニュー画面(図示しない)がポップアップ表示される。画面編集の項目には、例えば、第1表示領域41及び第2表示領域42の表示期間や時間尺度の設定や、第1表示領域41のサブ領域の分割数の設定がある。さらに、各サブ領域に表示する時系列データTSや、項目表示欄48その他の領域に表示する情報など、表示項目の設定がある。第1表示領域41と第2表示領域42の表示位置を逆転するなど、画面レイアウトを変更できるようにしてもよい。また、編集メニュー画面に、関連標識56を付与するメニュー項目を表示してもよい。
編集メニュー画面により画面編集が指示されると、要求発行部34は、指定内容に応じた画面編集要求を発行し、画面編集要求が診療支援サーバ11に送信される。
更新ボタン69Bは、データ表示画面15を更新するための操作ボタンである。更新ボタン69Bが操作される時点において、何らかの画面編集指示が入力されている場合には、更新ボタン69Bが操作されると、要求発行部34は、入力された画面編集指示を含む画面編集要求を発行する。画面編集指示が無い場合には、その時点における編集状態のデータ表示画面15の画面データ15Aをリロードする配信要求を発行する。終了ボタン69Cは、データ表示画面15を終了させる操作ボタンである。
図11に示すように、診療支援サーバ11には、AP30として診療支援サーバプログラムがインストールされており、プログラムを実行すると、診療支援サーバ11のCPU21Bは、メモリ22などと協働して、要求受付部71、画面データ生成部72、関連付け処理部73、検索部74、出力制御部78として機能する。
要求受付部71は、クライアント端末12からの各種要求を受け付ける。要求受付部71は、配信要求や画面編集要求を受け付けた場合には、受け付けた要求を画面データ生成部72に入力する。また、要求受付部71は、関連付け指示、グループ化指示、検索要求を受け付ける受付部であり、関連付け指示やグループ化指示を含む情報編集要求を受け付けた場合には、受け付けた要求を関連付け処理部73に入力する。また、検索要求を受け付けた場合には、検索要求を検索部74に入力する。
画面データ生成部72は、入力された配信要求に基づいて、配信要求で指定された患者IDに関する時系列データTSを表示するデータ表示画面15の画面データ15Aを生成する。画面データ15Aは、上述のとおり、WEB配信用のXMLデータである。画面データ生成部72は、画面編集要求の内容に応じて、画面データ15Aの編集を行う。
関連付け処理部73は、関連付け指示に基づいて、指定された第1情報及び第2情報をセットにした1件のセット情報54を作成し、さらに、1件以上のセット情報54を臨床判断の単位毎にグループ化して情報グループ70を作成する。作成されたセット情報54及び情報グループ70は、診療支援サーバ11内のストレージデバイス23Bに保存される。ストレージデバイス23Bには、症例データベース(以下、症例DBという)82が作成されている。上述のとおり、セット情報54や情報グループ70は、症例としての価値を持つため、症例として症例DB82に格納される。症例DB82内において、セット情報54や情報グループ70は、患者単位で保存される。
図12に示すように、関連付け指示は、患者IDの他に、関連付け設定画面61で設定される内容に対応して、原因位置と結果位置の情報と、入力するコメントが含まれている。原因位置及び結果位置の情報は、それぞれ、時系列データTSのTSID、個別データID、日時の情報を含んでいる。関連付け処理部73は、原因位置と結果位置の各個別データを第1情報及び第2情報としてセットにして、これにコメントとアクセス情報とを追加して、1件のセット情報54を作成する。関連付け指示には、各個別データのどちらが原因と結果に対応するかを表す因果関係情報も含まれているので、セット情報54には、因果関係情報も記録される。
セット情報54のアクセス情報は、クライアント端末12のデータ表示画面15を通じて、セット情報54に対してアクセスされた日時に関する情報である。アクセス情報には、セット情報54が新規作成及び保存された作成日時、作成後にクライアント端末12に配信されてデータ表示画面15に表示された日時、作成後に一覧表示領域43においてポインタ36で選択されて閲覧された閲覧日時、内容が更新された更新日時などが含まれる。
また、グループ化指示には、グループ化対象とするセット情報54の選択情報と、臨床判断の内容(テキストデータ等)が含まれる。関連付け処理部73は、症例DB82内において選択されたセット情報54を特定し、特定されたセット情報54と臨床判断の内容とをまとめた情報グループ70を作成する。情報グループ70内には、セット情報54及び臨床判断の内容に加えて、アクセス情報が含まれる。情報グループ70のアクセス情報は、情報グループ70が新規作成及び保存された作成日時、作成後にクライアント端末12に配信されてデータ表示画面15に表示された日時、データ表示画面15に表示中にポインタ36で選択されて閲覧された閲覧日時、内容が更新された更新日時などが含まれる。さらに、情報グループ70のアクセス情報には、情報グループ70内のセット情報の追加や削除が行われた日時も記録される。
こうしたアクセス情報を記録しておくことで、情報グループ70内のセット情報54の表示順をソートすることが可能となる。例えば、作成日時や閲覧日時の順番を記録しておけば、作成順や閲覧順にセット情報54をソートすることができる。臨床判断を行う過程では、セット情報54を作成した順番や、閲覧した順番が、医師が因果関係を論理的に積み重ねる判断プロセスを端的に表す場合もある。作成順や閲覧順にセット情報54をソートすることで、こうした判断プロセスを確認することが可能となる。図12において、情報グループ70内の2つのセット情報54には、それぞれ、「1」、「2」の番号が付されているが、これは、ソートされた場合の各セット情報54の表示順を示す。作成順でソートされていれば、IDが「S1」のセット情報54が1番目に、「S2」のセット情報54が2番目に表示される。
図11において、検索部74は、検索要求に含まれるキーワードに基づいて、症例DB81内のセット情報54や情報グループ70を検索し、検索結果を出力する。出力制御部78は、画面データ生成部72が生成した画面データ15Aや更新データ、関連付け処理部73及び検索部74の処理結果を要求元のクライアント端末12に配信する制御を行う。クライアント端末12は、受信した画面データ15Aや更新データに基づいてデータ表示画面15をディスプレイに表示する。クライアント端末12には、処理結果が表示される。
以下、上記構成の作用について、図13を参照しながら説明する。データ表示画面15を表示する際には、クライアント端末12においてビューアソフトが起動される。医師により患者IDが指定されて、配信要求が発行される。診療支援サーバ11は、配信要求を受け付けると、配信要求に含まれる患者IDを取り出して、指定された患者IDに対応する時系列データTSをサーバ群13から取得する。そして、取得した時系列データTSに基づいて画面データ15Aを生成して、生成した画面データ15Aをクライアント端末12に配信する。クライアント端末12は、受信した画面データ15Aに基づいてデータ表示画面15を再現してディスプレイに表示する。
データ表示画面15の第1表示領域43には、患者の時系列データTSが表示される。医師は、複数の時系列データTS間の因果関係を確認し、因果関係が認められると、ポインタ36により時系列データTS上の原因位置と結果位置を指定して、関連付け指示を入力する。また、医師が、複数の時系列データTSの因果関係に基づいて、患者に対して次に実施すべき処置や治療内容に関する臨床判断をした場合には、臨床判断の根拠となるセット情報54のグループ化を行う。グループ化する場合には、グループ化ボタン65をクリック操作して、セット情報54の選択情報を入力可能な状態にする。一覧表示領域43内のチェックボックス66によりセット情報54が選択され、入力ボックス68に臨床判断が入力されると、臨床判断入力ボタン67がクリック操作される。この状態で、グループ化ボタン65が操作されると、グループ化指示が入力される。グループ化指示及び関連付け指示は、情報編集要求として診療支援サーバ11に送信される。
診療支援サーバ11において、要求受付部71は、情報編集要求を待機し(S1010)、情報編集要求を受け付けると(S1010でY)、関連付け指示か、グループ化指示かを判定する(S1020,S1070)。関連付け指示の場合には(S1020でY)、関連付け処理部73は、関連付け指示から、原因と結果に対応する第1情報及び第2情報を読み出し(S1030)、第1情報及び第2情報とをセットにした1件のセット情報を作成する(S1040)。関連付け処理部73は、作成したセット情報54を、ストレージデバイス23Bに保存する(S1050)。ストレージデバイス23B内においてセット情報54は、症例DB82に格納される。
一方、情報編集要求がグループ化指示と判定された場合には(S1020でN、S1070でY)、関連付け処理部73は、グループ化指示から選択情報を読み出して、選択されたセット情報54をグループ化して、情報グループ70を作成する(S1080)。臨床判断の内容が含まれている場合には、臨床判断の内容も情報グループ70に追加する。関連付け処理部73は、作成した情報グループ70をストレージデバイス23Bに保存する(S1090)。ストレージデバイス23B内において情報グループ70は、症例DB82に格納される。
セット情報54は、複数の診療情報における因果関係を表すものであるので、セット情報54を確認することにより、因果関係を簡単に把握できる。また、情報グループ70は、因果関係あるいは因果関係を論理的に積み重ねた医師の判断プロセスを表すものであるので、情報グループ70を確認することにより臨床判断の根拠となった因果関係あるいは因果関係の群を簡単に把握することができる。また、こうしたセット情報54や情報グループ70を作成することにより、臨床判断の根拠となった有用な情報を蓄積することができる。セット情報54や情報グループ70は、臨床判断の根拠となった情報を表すものであるため、症例として利用することも可能である。
本例では、セット情報54として関連付けられる、患者の診療情報に関する第1情報及び第2情報として、予め取得されてデータ表示画面15に表示される時系列データTS上で指定された情報としているが、例えば、データ表示画面15などにおいて、新規に入力した診療情報を第1及び第2情報としてセット情報54の関連付けの対象としてもよい。したがって、本例では要求受付部71が患者の診療情報に関して指定又は入力される第1情報及び第2情報の関連付け指示を受け付ける受付部である。
また、第1情報及び第2情報を、検査値や測定値などの数値、あるいは画像を例に説明したが、例えば、図14に示すように、問診や所見などのテキストデータでもよい。本例のグループIDが「G100」の情報グループ70は、2つのセット情報54を有している。1番目のセット情報54には、原因として「膝軟骨を再生した」という治療記録が、結果として「QOL(Quality Of Life)」(生活の質)が改善したという医師の所見が入力されている。また、2番目のセット情報54には、原因として「術後痛み止め投薬」という処置記録と、結果として「改善」という医師の所見が入力されている。臨床判断としては、「経過観察」が入力されている。このようなテキストによるセット情報であっても、「膝軟骨を再生した事例で術後の痛み止めが良好に効いた」症例として有用な情報を提供することができる。また、本例のセット情報54は、原因と結果がテキスト入力であるため、原因と結果以外のコメントの入力が無い。このようにセット情報54にはコメントは無くてもよい。
また、テキストで入力される情報としては、問診記録や医師の所見などに限らず、検査結果や測定結果でもよい。例えば、血圧の測定値が140mmHgから110mmHgに降下した場合に、セット情報54に対して結果として入力される情報は、測定値「110mmHg」という定量的な情報ではなく、「血圧の測定値が正常範囲に下がった」という定性的な情報でもよい。
また、本例では、第1情報及び第2情報の2つをセットにして1件のセット情報54を作成したが、3つ以上をセットにして1件のセット情報54を作成してもよい。例えば、2つの原因によって1つの結果が引き起こされる場合もある。このような場合には、2つの原因を表す第1情報及び第2情報と、結果を表す第3情報の3つの情報をセットにして1件のセット情報54が作成される。この反対に、1つの原因によって2つの結果が引き起こされる場合もある。このような場合には、原因を表す第1情報と、結果を表す第2情報及び第3情報をセットにして1件のセット情報54が作成される。要するに、原因と結果の対応関係が、1対多または多対1であれば、セットの対象はいくつでもよい。
また、情報グループ70は、臨床判断の単位毎に作成されるが、例えば、通院の場合には、1回または複数回の通院で最終的な処置として処方箋を発行する単位で、作成される。また、例えば、初診でX線画像を撮影するX線検査をし、2回目で薬を処方した場合は、X線検査、薬の処方の全体で因果関係が認められれば、1つのセット情報54が作成され、X線検査、薬の処方のそれぞれに何らかの因果関係が、それぞれに複数のセット情報54が作成される。そして、臨床判断として最終的な処置が決定すると、情報グループ70が作成される。また、入院の場合は、例えば、入院から退院までに作成される複数件のセット情報54が1件の情報グループ70としてグループ化される。グループ化の方法は様々な方法が考えられるが、要するに、情報グループ70は、医師の臨床判断(次の処置や治療などの診療方針の決定)の根拠となる、因果関係のセットの集合であればよい。
また、本例では、情報グループ70に、臨床判断の内容を含む例で説明したが、臨床判断の内容は無くてもよい。というのも、セット情報54さえあれば、日付などから、臨床判断の内容自体は、例えば、患者の電子カルテを見て見当をつけることができる。そのため、多数の診療情報の中から、臨床判断の根拠として医師が着目した因果関係を表すセット情報54さえあれば、医師の判断プロセスを把握することができる。もちろん、臨床判断の内容が含まれている方が、確認も容易であるため、好ましい。
[第2実施形態]
図15〜図18に示す第2実施形態は、診療支援サーバ11を、カンファレンスに利用するためのカンファレンス対応機能を有する形態である。他の点については、第1実施形態と同様であり、以下、相違点を中心に説明する。図15に示すように、カンファレンスは、複数人の医師が1人の患者の診療方針を検討する会議である。カンファレンスでは、例えば、複数人の医師D1〜D3がそれぞれのクライアント端末12で診療支援サーバ11にアクセスし、同じデータ表示画面15を同時に閲覧する。そして、ある患者についての時系列データTSなどの診療情報を各医師D1〜D3で共有し、コミュニケーションを取り合いながら、診療方針が検討され、医師D1〜D3の合議により最終的な1つの臨床判断が下される。
カンファレンスは、コンピュータシステムの利用形態としては、いわゆるWEB会議に近い。診療支援サーバ11において、出力制御部78は、複数のクライアント端末12に対して同じデータ表示画面15の画面データ15Aを配信することが可能である。各クライアント端末12からの画面編集要求に応じてデータ表示画面15が更新された場合には、更新データを他のクライアント端末12にも送信して、各クライアント端末12間でデータ表示画面15の同期が取られる。画面編集の権限は、例えば、カンファレンスの主催者となる1台のクライアント端末12に限定される。
カンファレンスにおいては、複数の診療情報に関する複数の因果関係について、各医師D1〜D3によって議論されて、論理的な検証が積み重ねられることによって、患者にとって適切な診療方針が検討されて、最終的な臨床判断が下される。こうした議論の過程は、適切な診療方針に至る論理の流れに相当するため、これを簡単に保存できれば、後から議論の過程を振り返る際に非常に便利である。セット情報54は複数の診療情報の因果関係を表すものであるため、カンファレンスにおいて議論の対象となった複数のセット情報54は、議論の流れの骨子に相当する価値を持つ。診療支援サーバ11のグループ化機能を利用することにより、議論の対象となった複数のセット情報54をまとめる作業を簡単に行うことができる。
図16に示すように、診療支援サーバ11のデータ表示画面15には、カンファレンス対応機能として、グループ化ボタン65に加えて、例えば、カンファレンス開始ボタン92、カンファレンス終了ボタン93、準備期間グループ化ボタン(以下、準備期間ボタンという)94、臨床判断入力ボタン67、入力ボックス68が設けられる。カンファレンス開始ボタン92とカンファレンス終了ボタン93は、カンファレンスの開始と終了のタイミングを入力するための操作部である。診療支援サーバ11は、カンファレンス開始ボタン92が操作されてから、カンファレンス終了ボタン93が操作されるまでの間に、チェックボックス66のチェック操作により選択された複数のセット情報54をグループ化する。
例えば、グループ化ボタン65が操作された後、カンファレンス開始ボタン92が操作されると、グループ化指示が診療支援サーバ11に送信される。関連付け処理部73は、グループ化指示に基づいてカンファレンスが開始されたと判定する。カンファレンス開始ボタン92の操作の際に図示しない入力ボックスからカンファレンスIDも入力される。この状態で、チェックボックス66によりセット情報54が選択されると、選択情報が診療支援サーバ11に送信される。そして、カンファレンス終了ボタン93が操作されると、グループ化終了指示が送信される。関連付け処理部73は、グループ化終了指示に基づいてカンファレンスが終了したと判定する。関連付け処理部73は、グループ化終了指示を受け付けると、グループ化指示からグループ化終了指示までの間に選択されたセット情報54を1件の情報グループ70として作成する。
また、グループ化が行われている間に、新規にセット情報54を作成し、新規作成したセット情報54をグループ化対象にすることもできる。さらに、また、第1実施形態と同様に、セット情報54の作成日時や、セット情報54がクリック操作により選択されて閲覧された閲覧日時などのアクセス情報も診療支援サーバ11に送信されて、情報グループ70に入力される。
また、準備期間ボタン94は、カンファレンスの本番が開始される前の準備期間中において、選択したセット情報54をグループ化するための操作ボタンである。準備期間ボタン94は、1回のクリック操作でアクティブになる。アクティブになると、診療支援サーバ11にグループ化指示が送信される。再度クリック操作されると、非アクティブになる。非アクティブになると、グループ化終了指示が送信される。準備期間ボタン94がアクティブになっている間、選択されたセット情報54がグループ化される。カンファレンスの本番中のグループ化と同様に、準備期間ボタン94がアクティブになる前にセット情報54だけでなく、準備期間ボタン94がアクティブになった後に、新規作成したセット情報54についても、グループ化の対象とすることができる。また、情報グループ70の表示順についても、アクセス情報に基づいてソートしたり、さらに、準備作業をする医師が任意に設定することも可能である。
図17に示すように、情報グループ70には、カンファレンスの単位でカンファレンスIDが付与される。また、カンファレンスの本番か準備期間かを識別するためのグループ化種別も入力される。本番と準備期間は、それぞれが区別して保存されるように、異なるグループID(G10、G11)が付与される。ただし、両方とも同じカンファレンスに関するものなので、準備期間と本番の各情報グループ70には、同じカンファレンスID(C−01)が付与される。こうした処理は、関連付け処理部73が実行する。
カンファレンスの一般的なワークフローは、主催者が患者の診療方針について検討し、その検討結果について、他の医師に意見を求めるという手順で行われる場合が多い。そのため、主催者が本番前に情報グループ70を予め作成し、作成した情報グループ70に基づいて、本番の議論が進められれば効率的である。カンファレンスの準備期間と本番で情報グループ70を区別して保存することで、カンファレンスを効率的に進めることができる。
本例では、例えば、準備期間の情報グループ70では、「S2」のセット情報54に基づいて、「C薬投薬」という主催者の臨床判断が下されている。それに対して、本番の情報グループ70では、「S2」のセット情報54に加えて、「S1」のセット情報54に着目されて、合議により「投薬中止」という臨床判断が下されている。このように、準備期間と本番の情報グループ70を区別して保存することで、本番においてセット情報54や臨床判断がどのように変更されたかが分かるため、本番で議論の焦点となった箇所を認識することも可能となる。
こうした情報グループ70の表示順を、閲覧日時や作成日時でソートして保存しておけば、判断プロセスの把握も容易である。
カンファレンスは複数の医師によって行われるものであるから、検討結果の信頼性が高く、診断のノウハウとしての価値も高い。そのため、議論の過程や最終的に下された臨床判断は、1人の医師の判断プロセスと比べて、診断の支援情報としてはさらに有用であり、また、症例としての価値もより高い。本例のようなカンファレンスに対応する機能を設けることで、このような有用な情報を簡単に蓄積することができる。
なお、本例では、カンファレンスの開始と終了のタイミングを入力するために、カンファレンス開始ボタン92とカンファレンス終了ボタン93を設けているが、カンファレンスの開始と終了のタイミングの入力は、例えば、予めカンファレンスの開催期間が記録されたスケジュール情報に基づいて行ってもよい。この場合には、診療支援サーバ11あるいはクライアント端末12がスケジュール情報を参照して、カンファレンスの開始時刻や終了時刻を判定する。この判定結果に基づいてカンファレンスの開始と終了のタイミングが入力される。
[第3実施形態]
図18及び図19に示す第3実施形態は、診療支援サーバ11に、少なくとも1件の記セット情報54が検索条件として指定された検索要求に基づいて、症例DB82の中から、検索条件として指定されたセット情報54に類似する類似症例を検索する類似症例検索機能を備えたものである。症例DB82内には、複数件の情報グループ70が登録されている。上述のとおり、情報グループ70は、臨床判断とその根拠となる因果関係とを含むため、症例として利用することが可能である。
診療支援サーバ11の要求受付部71は、検索要求受付部としてセット情報54を含む検索要求を受け付ける。本例では、2件のセット情報54を含む情報グループ70が検索条件として指定されている。また、検索部74には、類似症例検索部101が設けられる。類似症例検索部101は、検索条件として指定されたセット情報54と、症例DB82内の複数件の情報グループ70(以下、症例という)との類似度を算出し、算出した類似度に基づいて類似度の高い類似症例を抽出する。
類似症例検索部101は、個別類似度算出部102、総合類似度算出部103が設けられている。個別類似度算出部102は、検索条件に含まれるセット情報54と、症例に含まれるセット情報54とを1対1で対応させて両者を比較し、セット情報54同士の個別類似度を算出する。セット情報54同士の比較では、原因と結果を同種同士(原因同士、結果同士)でそれぞれ比較されて、個別類似度が算出される。
図19に示すように、例えば、検索条件Fや症例Cに複数件のセット情報54が有る場合には、個別類似度算出部102は、検索条件Fに含まれるセット情報54の診療項目と同じ診療項目のセット情報54を症例Cから抽出し、同じ診療項目のセット情報54同士を1対1で対応させて比較して、個別類似度を算出する。診療項目としては、例えば、血圧の測定値、同一の薬剤の投薬量などである。当然ながら診療項目が異なるもの同士を比較しても、比較の意味が無いからである。さらに、診療項目については、セット情報54内の原因と結果の両方が同一であることが必要である。
本例では、原因にC薬の投薬量を、結果に血圧(下)の測定値をそれぞれ含む、「F1」のセット情報54と、「C1」のセット情報54とが比較されて、原因と結果のそれぞれについて個別類似度A1、A2が算出される。個別類似度算出部102は、比較対象が数値の場合には、例えば、検索条件Fと症例Cの数値の差分の絶対値を計算する。例えば、個別類似度A1は、検索条件Fと症例CのそれぞれのC薬の投薬量の差分の絶対値である。個別類似度A2も同様に、血圧(下)の測定値の差分の絶対値である。
個別類似度A1、A2は、それぞれ原因と結果の個別類似度であり、両者は投薬量と血圧の測定値というように診療項目が異なるため、診療項目に応じた重み付け処理が行われる。個別類似度算出部102は、個別類似度A1、A2に対してそれぞれ重み付け係数W1、W2を掛けて、正規化値を算出する。診療項目などのセット情報54の種類に応じて重み付けを行うことにより、異なる種類同士の個別類似度の比較が可能になる。さらに、正規化された各個別類似度A1、A2の総和をセット情報54全体の個別類似度Aとして算出する。
また、検索条件Fと症例Cには、原因にA薬の投薬量を、結果に血圧(上)の測定値をそれぞれ含む、「F2」のセット情報54と、「C3」のセット情報54が含まれており、これらについても同一診療項目同士であるため、個別類似度が算出される。「F1」、「C1」のセット情報54と同様に、原因と結果の個別類似度B1、B2が算出されて重み付け処理が行われる。個別類似度B1に対してはC薬の投薬量に応じた重み付け係数W3が、個別類似度B2に対しては血圧(下)の測定値に応じた重み付け係数W4がそれぞれ掛けられる。そして、個別類似度B1、B2の総和がセット情報54全体の個別類似度Bとして算出される。
総合類似度算出部103は、算出した複数の個別類似度A、Bの総和を総合類似度Qとして算出する。このような総合類似度Qが、症例毎に求められる。類似症例検索部101は、総合類似度Qを算出した症例の中から、総合類似度Qが高い症例を類似症例として抽出する。類似症例検索部101は、例えば、上位10件程度の症例を類似症例として抽出し、抽出した類似症例を総合類似度Q順に配列した類似症例リストを作成し、これを検索結果として出力する。
類似症例リストは、出力制御部78を通じて、要求元のクライアント端末12に送信される。クライアント端末12は、データ表示画面15上で開くサブウインドウなどに類似症例リストを表示する。医師は類似症例リストを参照することにより、過去の症例においてどのような臨床判断が下されたかを確認できるため、臨床判断の参考にすることができる。
なお、本例では、検索条件Fと症例C内に同一の診療項目のセット情報54が同じ数(2つ)存在する例を示したが、当然ながら、検索条件Fと症例C内の同一診療項目のセット情報54の数が一致しない場合もある。症例C内に、検索条件Fのセット情報54と同じ診療項目のセット情報54が複数件有る場合には、検索条件Fの1件のセット情報54と、症例C内の複数件のセット情報54のそれぞれを1対1で対応させて、複数の個別類似度を算出する。そして、同一診療項目の複数の個別類似度と、他の診療項目に関する個別類似度の組み合わせ毎に、総合類似度Qを算出する。この場合には、1件の検索条件Fと1件の症例C内の比較において、複数の総合類似度Qが算出されることになる。この場合には、複数の総合類似度Qのうち最も類似度が高いものを代表値として求めてもよい。
また、検索条件Fと症例C内に同一の診療項目のセット情報54が同じ数存在する場合でも、例えば、図19の「C2」のセット情報54のように、症例C内に、検索条件Fとの比較においては無関係なセット情報54が存在する場合もある。セット情報54は、臨床判断の根拠となる因果関係を表すため、無関係なセット情報54の存在は、類似症例としての価値を低下させる方向に作用する。そのため、検索条件Fとの比較において無関係なセット情報54が存在する場合には、その数に応じて、総合類似度Qから減点を行うなどの補正を行うことが好ましい。これにより、より適切な類似症例を検索することができる。
また、図20に示すように、類似症例検索部101は、検索条件Fのセット情報54が1件追加される毎に、再検索を行い、再検索毎に検索結果を出力することが好ましい。例えば、1回目の類似症例検索では、1件のセット情報54が検索条件Fとして指定される。類似症例検索部101は、1件のセット情報54に基づいて類似症例を検索して、1回目の検索結果(類似症例リスト106)を出力する。そして、セット情報54がもう1件追加されて2回目の類似症例検索が行われる。類似症例検索部101は、2回目の検索結果(類似症例リスト106)を出力する。同様に、もう1件セット情報54が追加されると、3回目の類似症例検索が行われて3回目の検索結果(類似症例リスト106)が出力される。
検索結果は、1回の検索毎にクライアント端末12に配信されて、データ表示画面15のサブウインドウなどに表示される。このように、検索条件Fのセット情報54を追加する毎に再検索を行って、再検索毎に検索結果を出力すれば、類似症例の絞り込みを簡単に行うことができる。この検索を都度行うことで、画面上で原因と結果を入力している最中に、入力しながら類似症例を参考にできるため、医師の判断にも役立つ。
上記各実施形態では、本発明の診療支援装置を、クライアント端末12からの要求に基づいて診療情報を表示するデータ表示画面の画面データを配信する画面配信機能を有する診療支援サーバ11の形態で説明したが、図21に示す診療支援サーバ111のように、画面配信機能を別のサーバに担わせてもよい。
図21の診療支援サーバ111は、画面配信機能が設けられておらず、要求受付部71、関連付け処理部73、検索部74のみを有する。データ配信サーバ112には、要求受付部112A、画面データ生成部72、出力制御部78が設けられる。クライアント端末12からの関連付け指示やグループ化指示、検索に関する要求は、データ配信サーバ112を経由して、診療支援サーバ111に送信される。診療支援サーバ111は、要求に応じた処理結果をデータ配信サーバ112に配信する。データ配信サーバ112は、診療支援サーバ111からの処理結果を受けて、必要なデータをクライアント端末12に配信する。
また、診療支援サーバ111は、症例DB82についても分離されている。症例DB82は症例DBサーバ113に設けられる。診療支援サーバ111は、ネットワーク14経由で症例DBサーバ113にアクセスして、セット情報54や情報グループ70の保存や読み出しを行う。
また、図22に示すように、診療支援サーバ11、111の代わりに、クライアント端末12を診療支援装置としてもよい。この場合には、クライアント端末12に、要求受付部71、画面データ生成部72、関連付け処理部73、検索部74、出力制御部78が設けられる。クライアント端末12は、サーバ群13にアクセスして時系列データを取得して、データ表示画面の画面データを生成する。クライアント端末12は、生成した画面データをディスプレイ28Aに出力して表示する。そして、データ表示画面を通じて関連付け指示やグループ化指示を受け付けて、指示に応じた処理を実行して、ディスプレイ28Aに処理結果を表示する。また、クライアント端末12は、症例DBサーバ113にアクセスして、セット情報54や情報グループ70の保存や読み出しを行う。
図23に示すように、症例DBサーバ113は、AP30として診療情報保存プログラムを実行することにより、CPU21Cが保存要求受付部113A、保存処理部113Bとして機能する診療情報保存装置である。症例DBサーバ113は、診療支援装置として機能する、診療支援サーバ11、111、クライアント端末12からのアクセスを受け付ける。保存要求受付部113Aは、保存要求を受け付ける。保存処理部113Bは、保存要求に基づいて、症例DB82内にセット情報54や情報グループ70を保存する保存処理を実行する。
このように、本発明の診療支援装置や診療情報保存装置は、種々の態様で実現することができる。また、診療支援サーバ11、111、クライアント端末12、症例DBサーバ113などのコンピュータシステムのハードウェア構成は種々の変形が可能である。例えば、診療支援サーバ11、111、症例DBサーバ113に関して、処理能力や信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のサーバコンピュータで構成することも可能である。このように、コンピュータシステムのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性など要求される性能に応じて適宜変更することができる。さらに、ハードウェアに限らず、症例DB82やAP30などのプログラムについて、安全性や信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージデバイスに分散して格納することももちろん可能である。
また、上記各実施形態では、診療支援サーバ11、111、症例DBサーバ113について、1つの医療施設内で利用される形態で説明したが、複数の医療施設が利用できる形態としてもよい。
診療支援サーバ11を例に説明すると、上記各実施形態では、診療支援サーバ11は、1つの医療施設内に設置されるクライアント端末12がLANなどのネットワーク14を介して通信可能に接続され、クライアント端末12からの要求に基づいて、関連付け処理やグループ化処理などのアプリケーションサービスを提供する形態である。複数の医療施設で利用可能にするには、例えば、図24に示すように、診療支援サーバ11は、例えば、インターネットや公衆通信網などのWAN(Wide Area Network)121を介して、複数の医療施設123に設置されるクライアント端末12と通信可能に接続される。そして、診療支援サーバ11は、複数の医療施設のクライアント端末12からの要求を受け付けて、各クライアント端末に対して関連付け処理やグループ化処理に関するアプリケーションサービスを提供する。
この場合の診療支援サーバ11の設置場所や運営主体は、例えば医療施設123とは別のデータセンタでもよいし、複数の医療施設123のうちの1つでもよい。また、WANを利用する場合には、情報セキュリティを考慮して、VPN(Virtual Private Network)を構築したり、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)などのセキュリティレベルの高い通信プロトコルを使用することが好ましい。
また、図25に示すように、電子カルテサーバ16や画像サーバ17を医療施設123外に設置してもよい。図26に示すように、診療支援サーバ11を医療施設123内に設置して、外部に設置された電子カルテサーバ16や画像サーバ17だけを利用する形態でもよい。
本発明は、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、上述の種々の実施形態や種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶ。