[第1実施形態]
図1において、診療支援システム10は、病院等の医療施設で医療情報を管理および利用するためのコンピュータシステムである。診療支援システム10は、診療支援サーバ11と、クライアント端末12と、サーバ群13とを備えている。これらは医療施設内に敷設されたLAN(Local Area Network)等のネットワーク14で相互に通信可能に接続されている。
診療支援サーバ11は、本発明の診療支援装置として機能する。具体的には、診療支援サーバ11は、クライアント端末12から配信要求を受け付ける。診療支援サーバ11は、受け付けた配信要求に応じて、患者の全診療過程で取得された診療データの取得要求をサーバ群13に送信する。診療支援サーバ11は、取得要求に応じてサーバ群13から送信された診療データを取得し、取得した診療データに基づいて診療データ表示画面15(図6等も参照)を生成する。診療支援サーバ11は、生成した診療データ表示画面15を、配信要求をしたクライアント端末12に送信する。
また、診療支援サーバ11は、複数の診断支援プログラム101(図14等参照)を使用する機能をもち、診断支援プログラム101が診療データを入力データとして演算を実行した結果である診断支援情報を出力する。診断支援情報は診療データ表示画面15に重畳されてクライアント端末12に送信される(図10参照)。
クライアント端末12は、内科、外科、耳鼻科、眼科といった医療施設内の各診療科に設置され、ユーザである各診療科の医師により操作される。クライアント端末12は、診療データの配信要求をサーバ群13に、診療データ表示画面15の配信要求を診療支援サーバ11にそれぞれ送信する。クライアント端末12は、配信要求に応じてサーバ群13や診療支援サーバ11から送信された診療データや診療データ表示画面15を表示して医師の閲覧に供する。つまり、クライアント端末12は、診療データや診療データ表示画面15を医師が閲覧するためのビューア端末として機能する。
診療支援サーバ11は、診療データ表示画面15を、例えば、XML(Extensible Markup Language)等のマークアップ言語によって作成されるウェブ配信用のXMLデータの形式でクライアント端末12に配信する。クライアント端末12は、XMLデータに基づき診療データ表示画面15をウェブブラウザ上に再現して表示する。
サーバ群13は、クライアント端末12からの配信要求に応じた診療データを検索して、検索した診療データをクライアント端末12に送信する。また、サーバ群13は、診療支援サーバ11からの取得要求に応じた診療データを検索して、検索した診療データを診療支援サーバ11に送信する。
サーバ群13は、電子カルテサーバ21と画像サーバ22とを備えている。電子カルテサーバ21は、電子カルテ23が格納されるカルテデータベース(以下、DB(Data Base)と略す)21Aを有する。電子カルテ23には、診療データとして、問診内容や診断内容等の診察記録データ、血液検査、生化学検査等の検体検査、および脳波検査等の生理検査を含む医療検査の検査値といった検査データ、患者の心拍、脈拍、血圧、体温等のバイタルサインの測定値といった測定データ、処置や手術、投薬等の治療記録データが入力されている。電子カルテ23のこれらの各種データはクライアント端末12で入力することができ、また、電子カルテ23はクライアント端末12で閲覧することができる。
画像サーバ22は、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System)サーバであり、検査画像24が格納される画像DB22Aを有する。検査画像24は、CT(Computed tomography)検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査、単純X線検査、超音波検査、内視鏡検査等の各種画像検査で得られた画像であり、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格のデータファイル形式で作成される。検査画像24はクライアント端末12で閲覧することができる。
電子カルテ23および検査画像24には、個々の患者を識別するための番号である患者ID(Identification Data)等が付帯情報として関連付けて記憶されている(図2および図3参照)。電子カルテ23および検査画像24は、こうした患者ID等の付帯情報を検索キーワードとして、各DB21A、22Aから検索することが可能である。
なお、サーバ群13には、これら各サーバ21、22の他にも、患者が家庭内で血圧測定器や体重計等を用いて日々測定した健康管理情報を扱う健康管理情報サーバや、患者の遺伝子検査の結果である遺伝子検査情報を扱う遺伝子検査情報サーバ等の様々なサーバを含んでいてもよい。遺伝子検査は、近年は遺伝子検査キットおよび検査結果を患者に郵送することが可能となり、患者自らが自宅で簡単に行うことができるようになったため、今後さらに普及することが見込まれる。
図2において、カルテDB21Aに格納された電子カルテ23は、P1、P2、P3、・・・といった患者IDが関連付けられて患者単位で管理される。電子カルテ23には、患者IDの他、患者の氏名、性別、生年月日あるいは年齢、住所、電話番号等の患者の基本的な情報(図示せず)と、複数項目の診療データとが記録される。診療データは、「血圧(上)」、「血圧(下)」、「生化学検査A」、「治療記録」等の項目別に整理されて時系列に記録されている。なお、図2では示していないが、診療データには、前述の問診内容や診断内容等の診察記録データ、血圧以外の心拍、脈拍、体温等のバイタルサインの測定値、処置や手術だけでなく投薬等の治療記録データも含まれる。健康管理情報サーバや遺伝子検査情報サーバがある場合は、これらサーバから得られ、電子カルテ23に転記される健康管理情報や遺伝子検査情報も診療データに含まれる。
診療データの各項目の1件分のレコードには、診療日時、検査日時、測定日時、投薬日時(投薬を実施した日時または処方した日時)、患者の診療過程で生じた様々なイベントの日時等の日時に関する情報と、問診内容、診断内容、検査値、測定値、投与量、イベント等のデータ内容とが含まれる。項目が投薬の場合は、投薬効果が発現するまでに時間を要する場合があるため、例えば、「1日に一定量ずつの服用を5日間継続する」というように、所定期間にわたる投薬が1回の処方で指示される場合がある。この場合には、投薬日時として、その薬の服用が予定されている日時が記録される。
イベントは、図2で例示するように入院、手術、転科、退院等を含む。手術には、例示する胃癌に対する「胃切除術」の他に、乳癌に対する乳房切除術、狭心症に対する冠動脈バイパス術、腎不全に対する腎移植術等の種類がある。転科は、例示する「外科→リハビリ科」のように、手術をした外科から術後のリハビリのためにリハビリ科に転科した場合や、外科医から内科医に担当医が変更された場合等に記される。
図3において、画像DB22Aに格納された検査画像24は、電子カルテ23と同じく患者IDが関連付けられて患者単位で管理される。検査画像24には、患者IDの他、画像検査を実施した検査日時、画像解析情報、「X線検査」、「CT検査」等の画像検査の種類、「X線画像」、「断層画像」等の検査画像の種類、「胸部」、「腹部」等の撮影部位といった検査画像の属性が付帯情報として関連付けられている。画像検査の種類は診療データの項目として用いられる。画像サーバ22は、こうした画像解析情報や属性といった付帯情報とともに、検査画像24を診療データとして診療支援サーバ11やクライアント端末12に送信する。
単純X線検査では、1回の画像検査で1枚のX線画像が撮影されることが多い。対してCT検査で取得される断層画像のように、1回の画像検査で複数枚の検査画像24が撮影される場合もある。このように1回の画像検査で複数枚の検査画像24が撮影された場合は、複数枚の検査画像24が1回の画像検査で得られたことを示すために各検査画像24に共通のIDが付与され、1まとめの検査画像24として管理される。単純X線検査で複数枚撮影された場合も同様である。
画像解析情報は、検査画像24内の病変のサイズや病変の種類等に関する情報である。また、画像検査が超音波検査であった場合は、超音波画像を解析して得られた血流計測値も画像解析情報に含まれる。画像解析情報は、例えば、診断支援プログラム101を用いた画像解析によって得た診断支援情報の一種である。あるいは、画像解析情報は、クライアント端末12で医師が検査画像24を読影して判断した結果を入力したものであってもよい。
診療支援サーバ11、クライアント端末12、およびサーバ群13の各サーバ21、22は、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、サーバプログラムまたはクライアントプログラム等のアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図4において、診療支援サーバ11やクライアント端末12等を構成するコンピュータは、基本的な構成は同じであり、それぞれ、ストレージデバイス30、メモリ31、CPU(Central Processing Unit)32、通信部33、ディスプレイ34、および入力デバイス35を備えている。これらはデータバス36を介して相互接続されている。
ストレージデバイス30は、診療支援サーバ11やクライアント端末12等を構成するコンピュータに内蔵、またはケーブルやネットワークを通じて接続されたハードディスクドライブ、もしくはハードディスクドライブを複数台連装したディスクアレイである。ストレージデバイス30には、オペレーティングシステム等の制御プログラムや各種アプリケーションプログラム、およびこれらのプログラムに付随する各種操作画面の表示データが記憶されている。
メモリ31は、CPU32が処理を実行するためのワークメモリである。CPU32は、ストレージデバイス30に記憶されたプログラムをメモリ31へロードして、プログラムにしたがった処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
通信部33は、ネットワーク14を介した各種情報の伝送制御を行うネットワークインターフェースである。ディスプレイ34は、マウスやキーボード等の入力デバイス35の操作に応じた各種操作画面を表示する。操作画面にはGUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられる。診療支援サーバ11やクライアント端末12等を構成するコンピュータは、操作画面を通じて入力デバイス35からの操作指示の入力を受け付ける。なお、以下の説明では、診療支援サーバ11を構成するコンピュータの各部には添え字の「A」を、クライアント端末12を構成するコンピュータの各部には添え字の「B」をそれぞれ符号に付して区別する。
クライアント端末12には、電子カルテ23の閲覧や編集を行うための電子カルテソフトウエアや、検査画像24を閲覧するための画像閲覧ソフトウエア、診療データ表示画面15を閲覧するためのビューアソフトウエアといったアプリケーションプログラムがインストールされている。
図5において、診療データ表示画面15のビューアソフトウエアが起動されると、クライアント端末12のCPU32Bは、メモリ31Bと協働して、GUI制御部40および要求発行部41として機能する。GUI制御部40は、診療支援サーバ11から送信された診療データ表示画面15をディスプレイ34Bのウェブブラウザ上に表示する。GUI制御部40は、カーソル42によるボタンのクリック操作等、診療データ表示画面15を通じて入力デバイス35Bから入力される操作指示に応じた画面制御を行う。
要求発行部41は、GUI制御部40を介した入力デバイス35Bの操作指示に応じた診療支援サーバ11に対する各種要求を通信部33Bに発行する。各種要求には、診療データ表示画面15の配信要求、および診療データ表示画面15の表示切替要求がある。配信要求には患者IDが含まれる。患者IDは、例えばビューアソフトウエアの起動画面を通じて入力される。
表示切替要求は、入力デバイス35Bによる診療データ表示画面15の表示切替指示に応じて、診療データ表示画面15の表示内容の切替を診療支援サーバ11に要求するものである。表示切替要求には2種類あり、1つは疾患の選択に応じた疾患IDを含むもの、もう1つは診断支援プログラム101の入力データに使用する範囲として医師により指定された指定データ範囲、および医師により使用すると選択された診断支援プログラム101のプログラムIDを含むものである。
疾患IDは、肺癌や胃潰瘍等の個々の疾患を識別するための番号である。プログラムIDは個々の診断支援プログラム101を識別するための番号である。指定データ範囲は、後述するように、診療データの各項目の指定により定まる指定データ項目と、時間的な範囲の指定により定まる指定データ期間とで構成される。
図6において、診療データ表示画面15は、診療データ表示領域50、期間表示領域51、イベント表示領域52、患者情報表示領域53、各種情報表示領域54、およびプルダウンメニュー55を有している。
診療データ表示領域50は、縦軸に診療データの項目、横軸に期間が割り当てられており、左横に項目表示欄56、上部に期間表示欄57が設けられている。項目表示欄56には、「投薬」、「バイタルサイン」、「検体検査」、「画像検査」といった診療データの各項目の大分類の名称や、「薬剤A、B」、「血圧(上)、血圧(下)、体温」、「生化学検査A、B、C」、「CT検査」といった各項目の名称が表示される。期間表示欄57は、患者の全診療過程における診療データのうち、診療データ表示領域50に表示される診療データを取得した期間(以下、第1期間という)を示す。期間表示欄57には、年、月、日等の情報と目盛りが、設定された時間尺度に応じて配列されている。図6では、第1期間は2013年10月から2014年1月中旬までの約3か月半である。
診療データ表示領域50は、複数の項目表示欄56によって、縦方向において複数のサブ領域50A、50B、50C、50D、・・・に分割されている。サブ領域50Aには「投薬」、サブ領域50Bには「バイタルサイン」、サブ領域50Cには「検体検査」、サブ領域50Dには「画像検査」の各項目の大分類がそれぞれ割り当てられている。サブ領域50Aには、第1期間における投薬の開始日と終了日、および投与量を示すバー58が表示される。「投薬」の項目表示欄56の括弧内は、バー58に表示する投与量の単位を示す。サブ領域50B、50Cには、第1期間におけるバイタルサインの測定値や検体検査の検査値をプロットして線で結んだ折れ線グラフ59が表示される。「バイタルサイン」、「検体検査」の項目表示欄56には、折れ線グラフ59の凡例が表示される。サブ領域50Dには、第1期間で得られた検査画像24のサムネイル画像60が表示される。これらのバー58や、折れ線グラフ59を形成する測定値や検査値のプロット、およびサムネイル画像60は、投薬日時、測定日時、検査日時に応じた位置に配置される。
診療データ表示領域50は、スクロールバー61、62により縦横方向のスクロールが可能である。縦方向スクロール用のスクロールバー61を操作すると、項目表示欄56およびサブ領域の表示範囲を変更することができる。また、横方向スクロール用のスクロールバー62を操作すると、第1期間の表示範囲を変更することができる。
期間表示領域51は、期間表示欄57で示される第1期間よりも相対的に時間尺度が長い期間(以下、第2期間という)を表示する領域である。期間表示領域51には年の情報と1年毎の目盛りが表示され、期間標識63が設けられる。期間標識63は、第1期間が第2期間のいずれに対応するかを示す。期間標識63の幅は、第2期間の時間尺度における第1期間の幅に対応している。図6では第1期間は約3か月半なので、期間標識63の幅は、第2期間の時間尺度における約3か月半の幅に対応する。
期間標識63は、スクロールバー62の操作に連動して、期間表示領域51を横方向に移動する。また、期間標識63自体を横方向に移動させたり、期間標識63の幅を変更することで、第1期間の表示範囲を変更することも可能である。なお、最初に表示する第1期間は、最新の診療データの取得から所定期間前としてもよいし、起動画面で患者IDを入力する際に医師が指定してもよい。
イベント表示領域52は、入退院日、手術日といったイベントが起きた日時を、イベント名と期間表示領域51に対する矢印64とともに示すものである。患者情報表示領域53は、ビューアソフトウエアの起動画面で入力された患者IDの患者の患者名、患者ID、生年月日等の基本的な情報を表示する。
各種情報表示領域54は、医師に伝えるべき各種情報を表示する。図6の例では、各種情報表示領域54には、プルダウンメニュー55で疾患を選択するよう促すメッセージが表示される。
プルダウンメニュー55は、疾患を選択するためのものである。プルダウンメニュー55には、「疾患A」、「疾患B」(図8参照)等の全疾患の名称が選択肢として表示される。プルダウンメニュー55の横にはOKボタン65が、プルダウンメニュー55の下には追加ボタン66がそれぞれ設けられている。追加ボタン66をカーソル42でクリックすることで、プルダウンメニュー55を新規追加することが可能である。これにより「複合疾患AB」(図8参照)等の複合疾患の選択が可能となる。複合疾患は高齢者に多く見られる。近年高齢化が加速しており、複合疾患に罹る患者も増加傾向にあるため、こうした機能は有効である。
カーソル42でプルダウンメニュー55が操作されて疾患が選択され、OKボタン65がクリックされると、選択された疾患の疾患IDを含む表示切替要求がクライアント端末12から診療支援サーバ11に送信される。なお、患者の症状を検索キーワードとして、症状から予測される疾患の候補を検索するための検索バーを設けてもよい。
診療データ表示画面15は、疾患IDを含む表示切替要求に応じて、図7に示すように表示が切り替わる。図7は、プルダウンメニュー55で「疾患A」を選択した場合の例である。図7の診療データ表示画面15は、基本的には図6の診療データ表示画面15と同じ表示内容であるが、診療データ表示領域50に表示される診療データの項目が切り替わっている点で異なる。図7では、図6で表示されていた「体温」および「生化学検査C」に関する折れ線グラフ59が削除された状態を示している。
この診療データの項目の切替は、図8に示す疾患別リスト80に基づいて行われる。図8において、疾患別リスト80は、疾患A、疾患B等の疾患の種類別に、診療データ表示画面15に表示する診療データの項目(以下、表示項目という)と、診断支援プログラム101とを関連付けて記録したものである。例えば「疾患A」に対しては、「薬剤A、B」、「血圧(上)、血圧(下)」、「生化学検査A、B」、および「CT検査」の各項目が表示項目として登録され、診断支援プログラム101として複数の「診断支援プログラム(PR1)、(PR2)、・・・」が登録されている。また、「疾患A」と「疾患B」を合せた「複合疾患AB」に対しては、「薬剤A、B、C」、「血圧(上)、血圧(下)」、「生化学検査A、B、F、G」、「血液検査E」、「CT検査」、および「超音波検査」の各項目が表示項目として登録され、診断支援プログラム101には「診断支援プログラム(PR100)、・・・」が登録されている。
疾患別リスト80は診療支援サーバ11のストレージデバイス30Aに格納されている(図18参照)。疾患別リスト80の表示項目および診断支援プログラム101は、診療支援サーバ11の管理者やクライアント端末12を操作する医師によって予め登録される。疾患別リスト80の表示項目および診断支援プログラム101は、随時更新することが可能である。なお、疾患の後の括弧内の「D1」、「D1+D2」等は疾患IDを示す。また、診断支援プログラム101の後の括弧内の「PR1」、「PR20」、「PR100」等はプログラムIDを示す。
図7において、診療データ表示画面15には、図6のプルダウンメニュー55、OKボタン65、および追加ボタン66の代わりに、疾患表示領域75が設けられている。疾患表示領域75には、プルダウンメニュー55で選択された疾患の名称(本例では「疾患A」)が表示される。
また、項目表示欄56には、各項目を入力データに指定するためのチェックボックス76が、期間表示欄57には、入力データの期間を指定するための期間指定バー77(斜め線のハッチングで示す)がそれぞれ表示される。さらに、各種情報表示領域54には、使用する診断支援プログラム101の選択、および入力データの項目、期間の指定を促すメッセージが表示される。加えて、各種情報表示領域54には、疾患別リスト80で設定された診断支援プログラム101の名称が羅列され、羅列された診断支援プログラム101の中から1つの診断支援プログラム101を選択するためのラジオボタン78と、演算実行ボタン79が表示される。
図9の診療データ表示画面15では、チェックボックス76内のチェックマークで示すように、「薬剤A、B」、「血圧(上)、血圧(下)」、「生化学検査A」が指定データ項目として指定され、2013年11月の第3週〜第4週の2週間が指定データ期間として指定され、「診断支援プログラムA」が使用する診断支援プログラム101として選択された状態を示している。図9の診療データ表示画面15のように、カーソル42で所望の項目のチェックボックス76が指定され、期間指定バー77の幅が所望の期間に合わせられ、ラジオボタン78で所望の診断支援プログラム101が選択されて、演算実行ボタン79がクリックされると、チェックボックス76で指定された項目を指定データ項目、期間指定バー77で指定された期間を指定データ期間とする指定データ範囲と、ラジオボタン78で選択された診断支援プログラム101のプログラムIDとを含む表示切替要求がクライアント端末12から診療支援サーバ11に送信される。なお、期間指定バー77で指定される期間としては、図9で例示する、ある薬剤の投薬開始からの所定期間の他に、手術等のイベントが発生した日からの所定期間、癌の病変等の変化を見たい期間等が挙げられる。
なお、各種情報表示領域54に診断支援プログラム101の名称を羅列する代わりに、あるいは加えて、各診断支援プログラム101の使用目的を表示してもよい。使用目的は、その診断支援プログラム101がどういった目的で作成されたものであるかを表すものであり、例えば病変サイズを計測するための診断支援プログラム101であれば「病変計測」、薬剤の副作用を検出する診断支援プログラム101であれば「副作用検出」が使用目的として表示される。
診療データ表示画面15は、指定データ範囲およびプログラムIDを含む表示切替要求に応じて、図10に示すように表示が切り替わる。図10の診療データ表示画面15は、基本的には図9の診療データ表示画面15と同じ表示内容であるが、各種情報表示領域54に表示される内容が異なる。具体的には、各種情報表示領域54には、診断支援情報の確認を促すメッセージと、使用した診断支援プログラム101の名称と、診断支援情報と、図9の状態に表示を戻すための戻るボタン85が表示されている。図10では、診断支援情報として、「生化学検査A」の検査値に対する所見、「薬剤A、B」以外の「薬剤C」の使用を推奨するコメント、および「薬剤C」の副作用に関するコメントが例示されている。
図11において、第1推奨データ範囲リスト90は、第1推奨データ範囲を診断支援プログラム101毎に記録したものである。第1推奨データ範囲リスト90は、診療支援サーバ11のストレージデバイス30Aに格納されている(図18参照)。すなわちストレージデバイス30Aは記憶部に相当する。
第1推奨データ範囲は、診断支援プログラム101の開発会社により予め設定されるもので、診断支援プログラム101の入力データに使用する診療データの範囲に対して、推奨される範囲である。第1推奨データ範囲は、第1推奨データ項目と第1推奨データ期間とで構成される。第1推奨データ項目は、指定データ項目に対応するもので、診療データの各項目のうち、入力データに使用する項目として推奨される項目である。第1推奨データ期間は、指定データ期間に対応するもので、患者の全診療過程における診療データのうち、入力データに使用する期間として推奨される期間である。例えば、「診断支援プログラム(PR1)」には、「薬剤A」、「血圧(上)、血圧(下)、脈拍、体温」、および「生化学検査A」の各項目が第1推奨データ項目として登録され、「薬剤Aの投薬日から1か月間」が第1推奨データ期間として登録されている。なお、第1推奨データ期間としては、薬剤Aの投薬日等の特定の日時を基準とせず、単純に「1か月間以上」のように期間のみを設定してもよい。この場合は、例えば診断支援プログラム101が演算をするために必要な最低限の期間が設定される。
第1推奨データ範囲は、診断支援プログラム101が信頼の置ける診断支援情報を出力するための入力データの範囲である。この第1推奨データ範囲と異なる診療データが入力データとして入力された場合も、診断支援プログラム101は一応診断支援情報を出力することが可能であるが、第1推奨データ範囲の診療データが入力データとして入力された場合と比較して、診断支援情報の信頼性は劣る。
ここで、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合は、指定データ範囲にあって第1推奨データ範囲にない診療データである余剰データがある場合と、第1推奨データ範囲にあって指定データ範囲にない診療データである不足データがある場合の二通りがある。
余剰データがある場合は、例えば、医師が診断に影響を与えると考えて範囲を指定したが、その指定した範囲が第1推奨データ範囲になく、診断支援プログラム101が対応していなかった場合である。例えば図12に示すように、第1推奨データ項目が「薬剤A、B」、「血圧(上)、血圧(下)」、「生化学検査A、B」、指定データ項目が第1推奨データ項目に加えて「CT検査」で、指定データ項目に第1推奨データ項目以外の余剰な項目がある場合や、第1推奨データ期間が「薬剤Aの投薬日から1か月」、指定データ期間が薬剤Aの投薬日から7週間で、指定データ期間が第1推奨データ期間をはみ出している場合である。
一方、不足データがある場合は、例えば、医師が範囲を指定する際に誤って第1推奨データ範囲の診療データを指定しなかった場合である。例えば図13に示すように、第1推奨データ項目が「薬剤A、B」、「血圧(上)、血圧(下)」、「生化学検査A、B」、「CT検査」、指定データ項目が「CT検査」を除く第1推奨データ項目で、指定データ項目が第1推奨データ項目に対して不足している場合や、第1推奨データ期間が「薬剤Aの投薬日から1か月」、指定データ期間が薬剤Aの投薬日から2週間で、指定データ期間が第1推奨データ期間よりも短い場合である。
医師が指定データ範囲の指定自体を忘れてしまって、あるいは範囲の指定をせずに、例えば図7に示すチェックボックス76および期間指定バー77で項目および期間が指定されないまま演算実行ボタン79がクリックされた場合は、表示切替要求には指定データ範囲は含まれない。
図14に模式的に示すように、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合(第1推奨データ範囲=指定データ範囲)は、指定データ範囲の診療データがそのまま入力データとして診断支援プログラム101に与えられる。一方、要求受付部110(図18参照)が指定データ範囲を受け付けなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合(第1推奨データ範囲≠指定データ範囲)は、図15に示すように、第2推奨データ範囲の診療データが入力データとして診断支援プログラム101に与えられる。
ここで、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合を、必ずしも完全に第1推奨データ範囲≠指定データ範囲の場合とするのではなく、余剰データがある場合は差異があるものとして扱わず、不足データがある場合のみ差異があるものとして扱ってもよい。余剰データがある場合は、指定データ範囲に第1推奨データ範囲が包含されているため、診断支援情報を算出することが可能である。したがって敢えて第2推奨データ範囲を使用する必要がないためである。すなわち本質的には、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に、少なくとも診断支援情報を算出することができない差異がある場合に第2推奨データ範囲を使用すればよく、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合とは少なくともこの診断支援情報を算出することができない差異がある状態を満たすものである。
第2推奨データ範囲は、図16に示す第2推奨データ範囲リスト95のようにリスト形式で診療支援サーバ11のストレージデバイス30Aに格納されている(図18参照)。第2推奨データ範囲リスト95は、第2推奨データ範囲を疾患毎、かつイベント毎に記録したものである。
第2推奨データ範囲は、診療支援サーバ11の管理者やクライアント端末12を操作する医師によって予め設定される。第2推奨データ範囲は、第1推奨データ範囲を特に参照せずに、疾患毎、イベント毎に医師が注視すると予想される入力データの範囲が設定される。第2推奨データ範囲は、指定データ範囲、第1推奨データ範囲と同様に、第2推奨データ項目と第2推奨データ期間とで構成される。第2推奨データ項目は、指定データ項目および第1推奨データ項目に対応するもので、イベントに関連して特に重要視すべき項目である。第2推奨データ期間は、指定データ期間および第1推奨データ期間に対応するもので、イベントの日時を基準とする期間である。
図16では、「疾患K(D11)」のイベント「入院」に対して、「薬剤K、L」、「血圧(上)、血圧(下)、脈拍、体温」、「血液検査K」、および「単純X線検査」の各項目が第2推奨データ項目として登録され、「入院後3日間」が第2推奨データ期間として登録されている。同様に「疾患K(D11)」のイベント「手術(K手術)」に対しては、「薬剤K、L、M」、「血圧(上)、血圧(下)、脈拍、体温」等の各項目が第2推奨データ項目として登録され、「K手術の手術日の前後5日間」が第2推奨データ期間として登録されている。さらに「手術(K手術)」とは別の「疾患K(D11)」に対応する手術である「手術(L手術)」に対しても、第2推奨データ項目および第2推奨データ期間が設定されている。なお、図示は省略したが、「手術(K手術)」、「手術(L手術)」以外の他の手術や、転科(外科→リハビリ科や外科→内科等の種類毎)、退院に対してもそれぞれ第2推奨データ項目および第2推奨データ期間が設定されている。
また、「疾患Z(D26)」のイベント「転科(外科→内科)」に対しては、第2推奨データ項目は設定されておらず、第2推奨データ期間に「転科前5日間」が設定されている。このように第2推奨データ項目が設定されずに第2推奨データ期間のみが設定されていた場合は、第2推奨データ期間内の患者の全診療データが入力データとなる。
第2推奨データ期間は、イベントの日時を基準として、それ以後の期間が指定される場合(「入院後3日間」等)と、イベントの日時を跨ぐ期間が指定される場合(「K手術の手術日の前後5日間」等)と、イベントの日時以前の期間が指定される場合(「転科前5日間」等)のいずれかである。このように第2推奨データ期間の設定が異なるのは、イベントによって注視する期間が異なるからである。例えばイベント「手術」の場合は、手術前後の患者の容体を知りたい場合が多いので、イベントの日時を跨ぐ期間が指定される。また、イベント「転科」の場合は、転科先の医師が転科前の患者の容体を知りたい場合が多いので、イベントの日時以前の期間が指定される。また、図示は省略したが、イベント「投薬」の場合は、投薬開始後の副作用を監視するためにイベントの日時以降の期間が指定される。
要求受付部110が指定データ範囲を受け付けなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があり、入力データに使用する範囲が第2推奨データ範囲に自動設定された場合は、図17に示すように、図10の診療データ表示画面15の各種情報表示領域54に一点鎖線で囲う符号96のようなメッセージが表示される。メッセージには、指定データ範囲を受け付けなかったこと、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があること(本例では後者の指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があることを示している)、第2推奨データ範囲(本例では「手術日の前後10日間」)に自動設定したこと、医師による範囲の指定を反映していない診断支援情報であるため注意を要することが記載される。
図18において、診療支援サーバ11のストレージデバイス30Aには、作動プログラム100および複数の診断支援プログラム101がアプリケーションプログラムとして記憶されている。作動プログラム100は、診療支援サーバ11を構成するコンピュータを、診療支援装置として機能させるためのプログラムである。
ストレージデバイス30Aには、各種プログラムの他に、図8に示す疾患別リスト80、図11に示す第1推奨データ範囲リスト90、および図16に示す第2推奨データ範囲リスト95が記憶されている。
診療支援サーバ11のCPU32Aは、作動プログラム100を起動すると、メモリ31と協働して、要求受付部110、診療データ取得部111、プログラム制御部112、画面生成部113、画面出力制御部114、第1推奨データ範囲取得部115、およびアシスト処理部116として機能する。
要求受付部110は、クライアント端末12から送信された配信要求および表示切替要求を受け付ける要求受付機能を担う。より詳しくは、要求受付部110は、患者IDが含まれる配信要求を受け付ける。また、要求受付部110は、疾患ID、プログラムIDおよび指定データ範囲が含まれる表示切替要求を受け付ける。すなわち要求受付部110は指定データ範囲受付部に相当する。要求受付部110は、患者IDを診療データ取得部111に、疾患IDを診療データ取得部111およびアシスト処理部116に、プログラムIDをプログラム制御部112および第1推奨データ範囲取得部115に、指定データ範囲を診療データ取得部111およびアシスト処理部116にそれぞれ受け渡す。
診療データ取得部111は、所望の診療データを取得する診療データ取得機能を担う。
要求受付部110から患者IDが受け渡された場合、診療データ取得部111は、当該患者IDを検索キーワードとする取得要求を通信部33A(図示せず)に出力する。そして、取得要求に応じてサーバ群13から送信され、通信部33Aで受信した当該患者の全診療過程における診療データを取得する。診療データ取得部111は、取得した診療データをストレージデバイス30Aに格納し、かつ画面生成部113に受け渡す。
要求受付部110から疾患IDが受け渡された場合、診療データ取得部111は、受け渡された疾患IDに該当する表示項目および診断支援プログラム101のプログラムIDを疾患別リスト80から読み出す。診療データ取得部111は、取得要求により取得してストレージデバイス30Aに格納した、患者の全診療過程における診療データの中から、疾患別リスト80から読み出した表示項目に該当する診療データを抜き出し、抜き出した診療データと、疾患別リスト80から読み出したプログラムIDとを画面生成部113に受け渡す。
要求受付部110から指定データ範囲が受け渡され、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がなかった場合、診療データ取得部111は、取得要求により取得してストレージデバイス30Aに格納した、患者の全診療過程における診療データの中から、受け渡された指定データ範囲に該当する診療データを抜き出し、抜き出した診療データをプログラム制御部112に受け渡す。
プログラム制御部112は、診断支援プログラム101を制御するプログラム制御機能を担う。言い換えれば、診断支援プログラム101は、プログラム制御部112の制御下で実行される。
要求受付部110からプログラムIDが受け渡された場合、プログラム制御部112は、ストレージデバイス30Aの複数の診断支援プログラム101の中から、受け渡されたプログラムIDに該当する診断支援プログラム101を読み出す。指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がなかった場合、プログラム制御部112は、読み出した診断支援プログラム101に、診療データ取得部111から受け渡された指定データ範囲の診療データを入力データとして与えて、診断支援プログラム101に演算を実行させ、診断支援情報を出力させる。プログラム制御部112は、診断支援情報を画面生成部113に受け渡す。以下の説明では、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がなく、指定データ範囲の診療データを入力データとして診断支援プログラム101が演算を実行して出力された診断支援情報を第1診断支援情報という。
診断支援情報は、医師による患者の診断を支援する情報である。診断支援情報は、前述の検査画像24内の病変のサイズや病変の種類等の画像解析情報、検査値に対する所見、投薬による副作用の有無等に加えて、測定値、検査値の降下、上昇率等が例として挙げられる。また、遺伝子検査情報に基づく推奨薬剤の提示等、その他診断に役立ついかなるものであってもよい。
画面生成部113は、診療データ表示画面15といった各種操作画面を生成する画面生成機能を担う。画面生成部113は、診療データに基づき診療データ表示画面15を生成する。また、画面生成部113は、表示切替要求に応じて診療データ表示画面15の表示を図6から図7、図10のように切り替える。画面生成部113は、生成した診療データ表示画面15等の各種操作画面を画面出力制御部114に受け渡す。
画面出力制御部114は、画面生成部113から受け渡された各種操作画面を通信部33Aに出力する画面出力制御機能を担う。画面出力制御部114は、診療データ表示画面15と、配信要求や表示切替要求をしたクライアント端末12の情報(例えばクライアント端末12のIP(Internet Protocol)アドレス等)とを通信部33Aに出力する。
第1推奨データ範囲取得部115は、第1推奨データ範囲を取得する第1推奨データ範囲取得機能を担う。第1推奨データ範囲取得部115は、要求受付部110から受け渡されたプログラムIDに該当する第1推奨データ範囲を第1推奨データ範囲リスト90から読み出す。第1推奨データ範囲取得部115は、読み出した第1推奨データ範囲をアシスト処理部116に受け渡す。
アシスト処理部116は、診断支援プログラム101を使用した医師の診断をアシストするアシスト情報を出力するアシスト処理機能を担う。アシスト処理部116は、アシスト情報として、第2推奨データ範囲と自動設定通知を出力する。
具体的には図19に示すように、アシスト処理部116は、比較判定部120と自動データ範囲設定部121と自動設定通知出力部122とを備える。比較判定部120は、要求受付部110から受け渡された指定データ範囲と、第1推奨データ範囲取得部115から受け渡された第1推奨データ範囲とを比較する。比較判定部120は、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があるか否かを判定する。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合、比較判定部120は、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある旨を自動データ範囲設定部121および自動設定通知出力部122に出力する。自動データ範囲設定部121は、第2推奨データ範囲リスト95から、要求受付部110から受け渡された疾患IDに該当する第2推奨データ範囲を読み出す。自動データ範囲設定部121は、各イベントの第2推奨データ範囲の中から、要求受付部110で配信要求を受け付けた時点で直近のイベントの第2推奨データ範囲を診療データ取得部111に出力する。直近のイベントの情報は、取得要求により取得してストレージデバイス30Aに格納した診療データのうちの治療記録データから取得する。治療記録データには予めイベント情報が入力されフラグとして付与されている。自動設定通知出力部122は、自動設定通知を画面生成部113に出力する。
要求受付部110で指定データ範囲が受け付けられず、要求受付部110から指定データ範囲が受け渡されなかった場合、比較判定部120は、指定データ範囲を受け付けなかった旨を自動データ範囲設定部121および自動設定通知出力部122に出力する。この場合も指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合と同じく、自動データ範囲設定部121は直近のイベントの第2推奨データ範囲を診療データ取得部111に出力し、自動設定通知出力部122は自動設定通知を画面生成部113に出力する。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合は、当然ながら第2推奨データ範囲は自動データ範囲設定部121から出力されず、自動設定通知も自動設定通知出力部122から出力されない。
自動データ範囲設定部121から第2推奨データ範囲が受け渡された場合、診療データ取得部111は、取得要求により取得してストレージデバイス30Aに格納した、患者の全診療過程における診療データの中から、受け渡された第2推奨データ範囲に該当する診療データを抜き出し、抜き出した診療データをプログラム制御部112に受け渡す。プログラム制御部112は、診断支援プログラム101に、診療データ取得部111から受け渡された第2推奨データ範囲の診療データを入力データとして与えて、診断支援プログラム101に演算を実行させ、診断支援情報を出力させる。プログラム制御部112は、診断支援情報を画面生成部113に受け渡す。以下の説明では、上記第1診断支援情報と区別するため、要求受付部110が指定データ範囲を受け付けず、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があり、第2推奨データ範囲の診療データを入力データとして診断支援プログラム101が演算を実行して出力された診断支援情報を第2診断支援情報という。
自動設定通知出力部122から自動設定通知が受け渡された場合、画面生成部113は、プログラム制御部112からの診断支援情報と自動設定通知に基づき、診断支援情報と図17のメッセージ96を各種情報表示領域54に表示した診療データ表示画面15を生成する。このように診療データ表示画面15に自動設定通知に基づくメッセージ96を表示することで、指定データ範囲を受け付けず、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があり、第2推奨データ範囲に自動設定したことを医師に提示する。
以下、上記構成の作用について、図20を参照しながら説明する。まず、診療支援サーバ11において、作動プログラム100が起動される。これにより、CPU32Aに要求受付部110、診療データ取得部111、プログラム制御部112、画面生成部113、画面出力制御部114、第1推奨データ範囲取得部115、およびアシスト処理部116が構築され、診療支援サーバ11を構成するコンピュータは、診療支援装置として機能する。
医師は、クライアント端末12のウェブブラウザ上で診療支援サーバ11にアクセスし、診療支援サーバ11による診療支援サービスの提供を受けるための認証を行う。認証が行われると、患者IDを入力するための起動画面がクライアント端末12のディスプレイ34Bに表示される。医師は、起動画面にて診療データを閲覧したい患者の患者IDを入力する。起動画面に入力された患者IDは、配信要求としてクライアント端末12から診療支援サーバ11に送信される。
診療支援サーバ11では、クライアント端末12からの配信要求が通信部33Aで受信される。配信要求は、通信部33Aから要求受付部110に出力され、要求受付部110で受け付けられる。配信要求の患者IDは、要求受付部110から診療データ取得部111に受け渡される。
診療データ取得部111から、配信要求の患者IDを検索キーワードとする取得要求が通信部33Aに出力される。これにより通信部33Aからサーバ群13に取得要求が送信される。
診療支援サーバ11から取得要求を受けて、サーバ群13は、取得要求に応じた当該患者の全診療過程における診療データを検索する。そして、検索した診療データを診療支援サーバ11に送信する。
サーバ群13からの患者の全診療過程における診療データは通信部33Aで受信され、通信部33Aから診療データ取得部111に出力される。これにより患者の全診療過程における診療データが取得される。この診療データは、診療データ取得部111によりストレージデバイス30Aに格納され、かつ画面生成部113に受け渡される。
画面生成部113では、診療データ取得部111からの患者の全診療過程における診療データに基づき、図6に示す診療データ表示画面15が生成される。そして、画面出力制御部114により、診療データ表示画面15が通信部33Aに出力される。これにより通信部33Aからクライアント端末12に診療データ表示画面15が送信される。クライアント端末12では、図6に示す診療データ表示画面15がディスプレイ34Bに表示される。
医師は、診療データ表示画面15のプルダウンメニュー55で患者の疾患を選択し、OKボタン65をクリックする。これによりプルダウンメニュー55で選択された疾患の疾患IDを含む表示切替要求がクライアント端末12から診療支援サーバ11に送信される。
診療支援サーバ11では、クライアント端末12からの表示切替要求が通信部33Aで受信される。表示切替要求は、通信部33Aから要求受付部110に出力され、要求受付部110で受け付けられる。表示切替要求の疾患IDは、要求受付部110から診療データ取得部111およびアシスト処理部116に受け渡される。
診療データ取得部111により、表示切替要求の疾患IDに該当する表示項目および診断支援プログラム101のプログラムIDが疾患別リスト80から読み出される。そして、ストレージデバイス30Aに格納された患者の全診療過程における診療データの中から、疾患別リスト80から読み出した表示項目に該当する診療データが抜き出され、これと疾患別リスト80から読み出したプログラムIDとが画面生成部113に受け渡される。
画面生成部113では、診療データ取得部111が疾患別リスト80から読み出した表示項目に該当する診療データおよびプログラムIDに基づき、図7に示す診療データ表示画面15が生成される。そして、画面出力制御部114により、診療データ表示画面15が通信部33Aに出力される。これにより通信部33Aからクライアント端末12に診療データ表示画面15が送信される。クライアント端末12では、図7に示す診療データ表示画面15がディスプレイ34Bに表示される。
医師は、図9で例示したように、診療データ表示画面15のチェックボックス76で所望の項目を指定し、期間指定バー77で所望の期間を指定する。さらに、ラジオボタン78で所望の診断支援プログラム101を選択し、演算実行ボタン79をクリックする。これによりチェックボックス76で指定した項目を指定データ項目とし、期間指定バー77で指定した期間を指定データ期間とする指定データ範囲と、ラジオボタン78で選択された診断支援プログラム101のプログラムIDとを含む表示切替要求がクライアント端末12から診療支援サーバ11に送信される。
診療支援サーバ11では、プログラムIDおよび指定データ範囲を含むクライアント端末12からの表示切替要求が通信部33Aで受信される。図20のステップS100に示すように、表示切替要求は、通信部33Aから要求受付部110に出力され、要求受付部110で受け付けられる。表示切替要求のプログラムIDは、要求受付部110からプログラム制御部112および第1推奨データ範囲取得部115に、指定データ範囲は、要求受付部110から診療データ取得部111およびアシスト処理部116にそれぞれ受け渡される。医師が範囲の指定を忘れてしまった場合や範囲の指定をしなかった場合は、表示切替要求には指定データ範囲は含まれず、診療データ取得部111およびアシスト処理部116には指定データ範囲は受け渡されない。
第1推奨データ範囲取得部115により、要求受付部110から受け渡されたプログラムIDに該当する第1推奨データ範囲が第1推奨データ範囲リスト90から読み出される(ステップS110)。第1推奨データ範囲は第1推奨データ範囲取得部115からアシスト処理部116に受け渡される。
次いでアシスト処理部116によりアシスト処理が実行される。具体的には、比較判定部120により、要求受付部110から受け渡された指定データ範囲と、第1推奨データ範囲取得部115から受け渡された第1推奨データ範囲とが比較される(ステップS120)。そして、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があるか否かが判定される(ステップS130)。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合(ステップS130でNO)は、アシスト処理が終了される。診療データ取得部111により、ストレージデバイス30Aに格納された患者の全診療過程における診療データの中から、表示切替要求の指定データ範囲に該当する診療データが抜き出され、プログラム制御部112に受け渡される(ステップS140)。そして、プログラム制御部112により、要求受付部110から受け渡されたプログラムIDに該当する診断支援プログラム101に、診療データ取得部111から受け渡された指定データ範囲の診療データが入力データとして与えられ、演算が実行される(ステップS150)。演算により診断支援プログラム101から第1診断支援情報が出力され、第1診断支援情報はプログラム制御部112から画面生成部113に受け渡される。
画面生成部113では、第1診断支援情報に基づき、図10に示す診療データ表示画面15が生成される。そして、画面出力制御部114により、診療データ表示画面15が通信部33Aに出力される(ステップS160)。これにより通信部33Aからクライアント端末12に診療データ表示画面15が送信される。クライアント端末12では、図10に示す診療データ表示画面15がディスプレイ34Bに表示される。医師は、診療データ表示画面15の第1診断支援情報に基づいて診断を行う。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合は、診断支援プログラム101に指定データ範囲の診療データを与え、医師の意図にしたがった第1診断支援情報を出力させることができる。
一方、要求受付部110が指定データ範囲を受け付けなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があった場合(ステップS130でYES)、その旨が比較判定部120から自動データ範囲設定部121および自動設定通知出力部122に出力される。
自動データ範囲設定部121により、要求受付部110から受け渡された疾患IDに該当する第2推奨データ範囲が第2推奨データ範囲リスト95から読み出され、直近のイベントの第2推奨データ範囲が診療データ取得部111に出力される(ステップS170)。また、自動設定通知出力部122から画面生成部113に自動設定通知が出力される(ステップS180)。
医師は、何らかのイベントが発生したときに診療データ表示画面15の配信要求をして診断を行うことが多い。したがって、直近のイベントの第2推奨データ範囲を自動設定すれば、医師の意図に沿った診断支援情報を提供できる確率が高まる。
なお、直近のイベントとしてどのようなイベントを検索するかを医療施設毎にカスタマイズできることが好ましい。こうすれば、医療施設にあわせた適切な診断支援情報を提供することができる。例えば、入院設備がない医療施設ではイベントとして入院を設定しなかったり、手術設備がない小規模の医療施設の場合はイベントとして手術を設定しなかったりすることができる。複合疾患がある場合に、ある疾患の手術は大規模な医療施設で行い、別の慢性疾患を小規模な医療施設で定期的に通院して治療するような場合で、かつその大規模医療施設と小規模医療施設で診療データが共有されているような場合、小規模医療施設においても診療データ中に大規模医療施設の入院イベントが存在してしまうが、小規模医療施設で入院イベントを検索対象としない設定とすることで、自動的に手術イベントを通り越して慢性疾患に対する投薬イベント等を直近のイベントとして検索し、第2推奨データ範囲として設定することができる。
診療データ取得部111により、ストレージデバイス30Aに格納された患者の全診療過程における診療データの中から、第2推奨データ範囲に該当する診療データが抜き出され、プログラム制御部112に受け渡される(ステップS190)。プログラム制御部112ではステップS150と同様に診断支援プログラム101の演算が実行されるが、指定データ範囲ではなく第2推奨データ範囲の診療データが診断支援プログラム101に入力データとして与えられて演算が実行される(ステップS200)。
指定データ範囲が指定されなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合でも、第2推奨データ範囲の診療データを与えて診断支援プログラム101に演算を実行させるので、取り敢えずは第2診断支援情報を医師の閲覧に供することができる。第2診断支援情報は、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合の第1診断支援情報と比べて医師が望むものと異なる可能性があるが、第2診断支援情報を診断に活かすかどうかは、メッセージ96等で医師が判断すればよい。例えば第2診断支援情報が自分の予想と異なる場合は参照しなければよい。指定データ範囲が指定されなかった場合、または指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合に、診断支援プログラム101に演算を実行させず診断支援情報も出力させずにエラーとして処理してしまうよりも、診断効率を向上させることができる。
要求受付部110が指定データ範囲を受け付けなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があった場合も、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合と同じく、第2診断支援情報はプログラム制御部112から画面生成部113に受け渡される。画面生成部113では、第2診断支援情報と自動設定通知とに基づき、各種情報表示領域54に第2診断支援情報とメッセージ96が表示された診療データ表示画面15が生成される。そして、画面出力制御部114により、診療データ表示画面15が通信部33Aに出力される(ステップS210)。これにより通信部33Aからクライアント端末12に診療データ表示画面15が送信される。クライアント端末12では、各種情報表示領域54に第2診断支援情報とメッセージ96が表示された診療データ表示画面15がディスプレイ34Bに表示される。
イベントは、入院、手術、転科、退院、投薬等、医師が診療データを閲覧する場合に特に重要視する事柄である。このため、医師が入力データに使用する範囲を自ら指定する際には、イベントを基準とする期間やイベントに関連する項目を指定する可能性が高い。本実施形態では、第2推奨データ範囲を、医師が診療データを閲覧する場合に指定しそうなイベントに応じた範囲としているので、イベントを基準とする期間やイベントに関連する項目を指定したいという医師の意図を汲んで、たとえ医師が第1推奨データ範囲と異なる指定データ範囲を指定したり範囲の指定自体を忘れたり範囲の指定をしなかったりしても、医師がある程度は満足するような診断支援情報を先回りして自動的に出力することができる。
医師は、診断支援プログラム101毎に第1推奨データ範囲を覚えたり、範囲の指定を注意深くかつ忘れずに確実に実行する必要がなくなり、範囲指定の煩雑さから解放される。
第2推奨データ範囲に自動設定したことをメッセージ96で医師に報せるので、自分が指定した項目や期間が診断支援情報に織り込まれていると勘違いして診断を行ってしまったり、診断支援情報が信頼の置けるものとして勘違いして診断を行ってしまうことを防ぐことができる。医師はメッセージ96により診断支援情報の信頼性が低いことを知り、これを念頭に置いて診断を行うことができる。
また、メッセージ96が表示された場合は、図9に示す診療データ表示画面15に戻って範囲の指定をし直し、診断支援プログラム101に再度演算を実行させ、信頼の置ける診断支援情報を取得し直すこともできる。
診療データ表示画面15は、電子カルテ23に含まれる各種データと検査画像24とを1まとまりの診療データとして1つの画面内にまとめて表示したものである。このため、電子カルテ23と検査画像24をそれぞれ別の表示画面で閲覧する場合よりも診断を円滑に進めることができる。
また、診療データ表示画面15は、診療支援サーバ11で使用する複数の診断支援プログラム101に共通する画面である。このため、各診断支援プログラム101に対応する診療データ表示画面を複数用意するよりも、1つの診療データ表示画面15だけで用が足りるため使い勝手がよい。
診療データ表示領域50に診療データをメインで表示し、診断支援情報は片隅の各種情報表示領域54に表示するだけで、かつ診断支援情報の確認を促すボタンや表示を消すためのボタンを表示していないので、医師はボタン選択操作のストレスなく診断支援情報を自由に参照することができる。
診断支援プログラム101が数少ない場合は、範囲を指定するための画面を診断支援プログラム101毎に生成し、さらに範囲を指定するための画面において第1推奨データ範囲が確実に指定されるように第1推奨データ範囲を表示するといった制御をすることも考えられる。この場合は指定データ範囲が第1推奨データ範囲と異なってしまうことは起こり得ない。しかしながら、今後は多くの種類の診断支援プログラム101が開発され、かつ陳腐化も早くなっていくことが予想される。このため、診断支援プログラム101に対して各々範囲を指定するための画面を用意し、さらに各々の範囲を指定するための画面において第1推奨データ範囲が確実に指定されるように制御することは難しくなる。したがって、本実施形態のように入力データに使用する範囲を自動設定して自動的に診断支援情報を出力してこれを医師に供する方法は、今後の診断支援プログラム101の発展を見据えたものであると言える。
第2推奨データ範囲は、第1推奨データ範囲を特に参照せずに、第1推奨データ範囲とは切り離して設定されるものであるため、今後診断支援プログラム101が多数開発された場合も、新規に開発された診断支援プログラム101の第1推奨データ範囲に応じて、一々第2推奨データ範囲を変更するといった面倒なメンテナンスは必要ない。したがって第2推奨データ範囲の管理が楽で済む。
上記第1実施形態では、要求受付部110が指定データ範囲を受け付けず、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があり、第2推奨データ範囲に自動設定した場合、メッセージ96を診療データ表示画面15の各種情報表示領域54に表示させ、診断支援情報とメッセージ96を同じ画面で表示しているが、図21に示すように、診療データ表示画面15とは別に、メッセージ96を表示する自動設定通知画面125を画面生成部113で生成し、これをクライアント端末12に送信して診療データ表示画面15上にポップアップ表示させてもよい。なお、確認ボタン126は、自動設定通知画面125の表示を消すためのものである。
イベントの日時としては、上記第1実施形態で例示した入院、手術、転科、退院のそれぞれの日時他に、検体検査や画像検査を行った日時や、薬剤の種類あるいは投与量を変更した日時、担当医が不在で応急的に他の医師が診療を行った日時、患者の通院スパンを変更した日時等、医師が診療データを閲覧する場合に特に重要視する事柄であれば何でもよい。例えば担当医が不在で応急的に他の医師が診療を行った場合は、後で担当医が他の医師の診療内容を確認する際に重要視する事柄である。なお、この場合の第2推奨データ期間は、他の医師が診療を行った日以後の診療は担当医が把握しているので、他の医師が診療を行った日のみ、または他の医師が診療を行った日以前の数日が設定される。
なお、第2推奨データ範囲は、イベントに応じた範囲ではなく、要求受付部110で指定データ範囲を受け付けた日時を基準とする期間であってもよい。指定データ範囲を受け付けた日時とは、例えば、診療をしている当日の日時であり、この日時を基準とする期間とは診療当日から遡って1ヶ月等の当日から過去へ遡った期間である。この場合第2推奨データ項目は設定されない。ある疾患はイベントに応じた範囲、ある疾患は要求受付部110で指定データ範囲を受け付けた日時を基準とする期間とする等、疾患毎に設定を変えてもよい。
使用する診断支援プログラム101は、上記第1実施形態のように1つだけ選択可能としてもよいし、複数選択可能としてもよい。複数選択可能とした場合は、選択した各診断支援プログラム101に対して範囲の指定を行う。また、プログラム制御部112は、選択された複数の診断支援プログラム101に入力データを与えて演算を実行させ、複数の診断支援情報を出力させる。そして、複数の診断支援情報を各種情報表示領域54に羅列して表示させる。
[第2実施形態]
複数の診断支援プログラム101に演算を実行させて複数の診断支援情報を出力させる場合、ある診断支援プログラム101に関しては指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がなく、ある診断支援プログラム101に関しては、指定データ範囲が受け付けられない、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があるということが起こり得る。この場合は、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がなく、指定データ範囲の診療データを入力データとして得られた第1診断支援情報と、指定データ範囲を受け付けず、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があり、第2推奨データ範囲の診療データを入力データとして得られた第2診断支援情報とが混在する。各種情報表示領域54において、これら第1診断支援情報と第2診断支援情報とが混在していると、メッセージ96の表示はあるものの、医師にとってどの診断支援情報が信頼が置け、どの診断支援情報が信頼性が劣るのかを見分けるのに苦労する。そこで、本実施形態では、第1診断支援情報と第2診断支援情報とを区別可能に表示させる。
具体的には図22に示すように、各種情報表示領域54において、第1診断支援情報(本例では「診断支援プログラムA」の診断支援情報)を、第2診断支援情報(本例では「診断支援プログラムB」の診断支援情報)よりも上位に表示させる。このように第1診断支援情報を上位に表示させて第2診断支援情報と区別するので、医師は信頼の置ける第1診断支援情報をすぐに見分けることができる。
なお、第1診断支援情報と第2診断支援情報を区別可能に表示する方法としては、図22の第1診断支援情報を第2診断支援情報よりも上位に表示する方法に加えて、あるいは代えて、第1診断支援情報のみを蛍光色でハイライト表示したり、第1診断支援情報のみを太字かつ赤字等で表示して目立たせる等、種々の方法を採用してもよい。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲の差異の具体的な内容を表示してもよい。例えば図23に示すように、余剰データや不足データの具体的な内容を診断支援情報とともに各種情報表示領域54に表示する。こうすれば、余剰データや不足データの内容を医師に報せることができ、その後の範囲指定に活かすことができる。なお、図23では、余剰データとして「薬剤B」、不足データとして「CT検査」、「薬剤Aの投薬日から2〜4週間のデータ」がそれぞれ例示されている。
[第3実施形態]
指定データ範囲または第2推奨データ範囲にあって、取得要求により取得してストレージデバイス30Aに格納した、患者の全診療過程における診療データにない未取得データがある場合は、著しく信頼性の低い診断支援情報が出力される可能性がある。この場合は診断の役に立たないため、診断支援プログラム101に演算を行わせた意味がなくなる。そこで、本実施形態では、未取得データを適当な補足データで補足することで、未取得データがある場合でも、ある程度診断に耐え得る診断支援情報を診断支援プログラム101に出力させる。
図24において、本実施形態の診療支援サーバのCPU32Aは、上記第1実施形態の各機能部(診療データ取得部111、プログラム制御部112以外不図示)に加えて、補足データ出力部130を備えている。診療データ取得部111は、指定データ範囲または第2推奨データ範囲にあって、患者の全診療過程における診療データにない未取得データがある場合、未取得データを補足データ出力部130に受け渡す。補足データ出力部130は、デフォルトデータリスト131のデフォルトデータを、未取得データを補足する補足データとしてプログラム制御部112に出力する。プログラム制御部112は、指定データ範囲または第2推奨データ範囲の診療データに補足データを追加したデータを入力データとして診断支援プログラム101に演算を実行させる。
デフォルトデータリスト131は、ストレージデバイス30Aに予め格納されている。図25に示すように、デフォルトデータリスト131には、診療データの各項目に対してデフォルトデータが登録されている。デフォルトデータは、複数の患者に共通して適用可能なデータであり、例えば投薬の項目が薬剤毎に定められた標準の投与量と投薬期間、バイタルサインの項目が成人の平均血圧や平熱、平均脈拍等、検体検査の項目が平均の検査値である。補足データ出力部130は、未取得データの項目と一致するデフォルトデータをデフォルトデータリスト131から読み出し、読み出したデフォルトデータを補足データとして出力する。
この場合、画面生成部113は、図26に示す補足データ表示画面135を生成する。図26において、補足データ表示画面135には、未取得データがあってこれを補足データで補足したことを示すメッセージが表示される。また、補足データの具体的な内容が表示される。補足データ表示画面135は、図10の診療データ表示画面15上にポップアップ表示される。図26では、「脈拍」の補足データとして「70回/分」、「薬剤Aの投薬日から2〜4週間の投与量」の補足データとして「100mg」が、それぞれ例示されている。なお、確認ボタン136は、補足データ表示画面135の表示を消すためのものである。
未取得データがある場合に補足データで補足するので、ある程度診断に耐え得る診断支援情報を診断支援プログラム101に出力させることができる。このため、著しく信頼性の低い診断支援情報が出力され、診断支援プログラム101の演算が無駄になる機会を減らすことができる。また、補足データ表示画面135を表示するので、診断支援情報が信頼性の低いものであることを医師に報せることができ、かつ補足データにどのようなものが使用されたかを医師に報せることができる。医師は、表示された補足データの値が現在診察している患者の値とそれほど変わらないと判断すれば、診断支援情報の信頼性に影響がないと判断して、そのまま診断支援情報に基づき診断を下すことが可能であり、補足データの値が患者の値と大きく変わると判断した場合は再度範囲の指定からやり直し、診断支援プログラム101に診断支援情報を出力し直させることも可能となる。
また、近年、患者個々人の遺伝子検査情報に応じた患者毎の薬剤の選択が検討されている。遺伝子検査は必ずしも患者全員が受けるものではないため、仮に診断支援プログラム101が遺伝子検査情報を加味したアルゴリズムで開発されていて、第1推奨データ項目として遺伝子検査情報が登録されていた場合は、患者によっては遺伝子検査情報がなく、これが未取得データとなる場合が生じる。診断支援情報として遺伝子検査情報に基づく推奨薬剤の提示を行う場合、遺伝子検査情報が未取得データでこれを補足データで補足したことを明示すれば、推奨薬剤が患者本人の遺伝子検査情報に基づいたものあるのか、そうでないかを医師に報せることができる。そうすれば、追加で遺伝子検査をしてから再度診断支援プログラム101を立ち上げて、遺伝子検査情報に応じた薬剤を選択する等の対策を講じることができ、医師にとっては使い勝手がよい。
なお、例えば成人の体温のデフォルトデータを「36.5℃」、幼児の体温のデフォルトデータをやや高めの「37.0℃」とする等、患者の性別、年齢、体型、住んでいる地域、国籍等の患者の属性や、患者が罹っている疾患等の細かい分類毎にデフォルトデータを登録してもよい。こうすれば、未取得データがある場合の診断支援情報の信頼性をより高めることができる。
[第4実施形態]
デフォルトデータの代わりに、診療データに基づいて患者毎に推測される推測データを補足データとして用いてもよい。
図27において、本実施形態の診療支援サーバのCPU32Aの補足データ出力部140は、診療データ取得部111から未取得データおよび患者の全診療過程における診療データを受け取る。補足データ出力部140は、診療データから未取得データを推測し、推測した推測データを補足データとしてプログラム制御部112に出力する。上記第3実施形態と同じく、プログラム制御部112は、指定データ範囲または第2推奨データ範囲の診療データと補足データとを入力データとして診断支援プログラム101に演算を実行させる。
補足データ出力部140は、未取得データが例えばある期間のバイタルサインの測定値や検体検査の検査値であれば、診療データからある期間以外の期間のバイタルサインの測定値や検体検査の検査値を抜き出し、その平均値を算出してこれを推測データとする。補足データとして推測データを用いることによっても、上記第3実施形態と同じ効果が得られる。また、デフォルトデータとは違って対象患者の診療データから推測するため、未取得データがある場合の診断支援情報の信頼性をさらに高めることができる。そのうえ、デフォルトデータを記憶しておく必要がない分、ストレージデバイス30Aの容量負荷を軽くすることができる。
なお、本実施形態と上記第3実施形態を複合して実施し、他の診療データから推測可能な未取得データは推測データを用い、推測不可能な未取得データはデフォルトデータを用いてもよい。
補足データ表示画面135を図10の診療データ表示画面15上にポップアップ表示するのではなく、診断支援プログラム101が演算を実行する前に補足データ表示画面135を表示し、このまま演算を続行するか否かを医師に選択させるよう構成してもよい。
上記各実施形態では、診療支援サーバ11を構成する1台のコンピュータを診療支援装置として機能させているが、診療支援装置の各機能を、複数台のコンピュータに分散させてもよい。例えば、診療支援サーバ11を、処理能力や信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のサーバコンピュータで構成することも可能である。具体的には、要求受付部110、診療データ取得部111、およびプログラム制御部112を有するサーバコンピュータと、画面生成部113、画面出力制御部114、第1推奨データ範囲取得部115、およびアシスト処理部116を有するサーバコンピュータの2台のサーバコンピュータで診療支援サーバ11を構成する。あるいは、要求受付部110等の各機能の一部または全部を、クライアント端末12に担わせてもよい。このように、コンピュータのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性等の要求される性能に応じて適宜変更することができる。
さらに、ハードウェアに限らず、作動プログラム100等のアプリケーションプログラムについても、安全性や信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージデバイスに分散して格納することももちろん可能である。
[第5実施形態]
図28は、上記第3実施形態の補足データ出力部130をクライアント端末12に設けた例である。デフォルトデータリスト131は、クライアント端末12のストレージデバイス30B(図示せず)に格納される。
診療データ取得部111は、未取得データを診療支援サーバ11の通信部33Aに出力する。これにより通信部33Aからクライアント端末12に未取得データが送信される。補足データ出力部130は、補足データをクライアント端末12の通信部33Bに出力する。これにより診療支援サーバ11に補足データが送信される。診療支援サーバ11において、補足データは、プログラム制御部112に受け渡される。以降の処理は上記第3実施形態と同じである。なお、上記第4実施形態の補足データ出力部140をクライアント端末12に設けてもよい。
[第6実施形態]
図29は、第1推奨データ範囲取得部115をクライアント端末12に設けた例である。なお、図示は省略するが、画面生成部113、画面出力制御部114もクライアント端末12に設けられている。この場合、クライアント端末12は、医師が使用すると選択した診断支援プログラム101に該当する第1推奨データ範囲を診療支援サーバ11に問い合わせる。診療支援サーバ11は、ストレージデバイス30Aに格納された第1推奨データ範囲リスト90から、該当する第1推奨データ範囲を、通信部33Aを介してクライアント端末12に送信する。第1推奨データ範囲取得部115は、クライアント端末12の通信部33Bで受信した第1推奨データ範囲を取得する。このように、第1推奨データ範囲取得部115は、上記第1実施形態のように、内蔵のストレージデバイス30の第1推奨データ範囲リスト90から該当する第1推奨データ範囲を読み出してもよいし、本実施形態のように、外部のストレージデバイス30から第1推奨データ範囲を受信してもよい。
なお、クライアント端末12が診療支援装置の機能を担う場合は、要求受付部110は、上記第1実施形態の配信要求や表示切替要求と同じ要求を、クライアント端末12のディスプレイ34Bに表示される操作画面を通じた入力デバイス35Bからの操作指示の形で受け付ける。画面出力制御部114は、診療データ表示画面15を含む各種種操作画面をクライアント端末12のディスプレイ34Bに出力する。
上記各実施形態では、医療施設に構築された診療支援システム10を例示し、診療支援サーバ11を1つの医療施設内で利用する形態で説明したが、診療支援サーバ11を複数の医療施設が利用可能な形態としてもよい。
上記各実施形態では、診療支援サーバ11は、1つの医療施設内に設置されるクライアント端末12がLAN等のネットワーク14で相互に通信可能に接続され、クライアント端末12からの要求に応じて診療支援というアプリケーションサービスを提供する形態である。これを複数の医療施設で利用可能とするためには、診療支援サーバ11を、例えば、インターネットや公衆通信網等のWAN(Wide Area Network)を介して、複数の医療施設に設置される各クライアント端末12と通信可能に接続する。そして、複数の医療施設の各クライアント端末12からの要求を、WANを介して診療支援サーバ11で受け付けて、各クライアント端末12に対して診療支援のアプリケーションサービスを提供する。なお、WANを利用する場合には、情報セキュリティを考慮して、VPN(Virtual Private Network)を構築したり、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)等のセキュリティレベルの高い通信プロトコルを使用することが好ましい。また、この場合の診療支援サーバ11の設置場所および運営主体は、例えば医療施設とは別の会社が運営するデータセンタでもよいし、複数の医療施設のうちの1つでもよい。
診療支援サーバ11を複数の医療施設が利用可能な形態とした場合は、イベントに転院を含めてもよい。この場合は電子カルテ23を複数の医療施設で共有するか、複数の医療施設の電子カルテ23を統合した統合電子カルテを診療支援サーバで作成し、治療記録データに転院の情報も入れ込めるようにする。そして、例えば「転院前1か月間」を第2推奨データ期間に設定する。こうすれば、他の医療施設で行っていた診療内容を、転院先の医療施設で閲覧することが可能となり、転院後の患者の治療計画を立てやすくなる。
上記各実施形態では、診断支援プログラム101に入力する入力データに使用する範囲として、指定データ項目、第1推奨データ項目、および第2推奨データ項目のような、項目の指定により定まる項目の範囲と、指定データ期間、第1推奨データ期間、および第2推奨データ期間のような、時間的な範囲の指定により定まる期間とを両方例示しているが、項目の範囲、または期間のうちの少なくとも1つでもよい。
上記第1実施形態では、指定データ範囲を指定するための画面を、診療データ表示画面15が兼ねているが、診療データ表示画面15とは別に指定データ範囲を指定するための画面を生成してもよい。また、上記第1実施形態では、起動画面で患者IDを入力し、図6の診療データ表示画面16で疾患を選択しているが、患者IDの入力と疾患の選択を1つの画面で済ませてもよい。
また、図6の診療データ表示画面15では患者の全診療過程における診療データを表示し、図7の診療データ表示画面15では疾患別リスト80で設定された表示項目に該当する診療データおよび診断支援プログラム101を表示し、疾患の選択により表示項目および診断支援プログラム101を絞り込んでいるが、こうした絞り込みはしなくともよい。この場合は図6の診療データ表示画面15に、図7の診療データ表示画面15のチェックボックス76、期間指定バー77、ラジオボタン78、および演算実行ボタン79を設け、図6の診療データ表示画面15に指定データ範囲を指定する画面の機能を担わせる。そして、各種情報表示領域54には、診療支援サーバ11で使用可能な全診断支援プログラム101の名称を羅列する。ただし、診断支援プログラム101の種類が今後多くなっていくことを考えると、上記第1実施形態のように疾患別に表示項目や使用可能な診断支援プログラム101を絞り込んだほうが、項目の指定や診断支援プログラム101の選択がしやすいため好ましい。
あるいは、図6の診療データ表示画面15に、図7の診療データ表示画面15のチェックボックス76、期間指定バー77を設けて、医師に指定データ範囲を指定させた後に、疾患を選択させるようにしてもよい。疾患に対応する診断支援プログラム101が1つであった場合は、疾患の選択がすなわち診断支援プログラム101の選択となるため、この場合は演算実行ボタン79の選択を待つことなく、疾患が選択されたら診断支援プログラム101が自動的に開始されるように構成する。こうすれば演算実行ボタン79を選択する手間を省くことができる。またこの場合は、医師が診断支援情報を必要としない場合には指定データ範囲を指定しないで疾患を選択する作業を行えばよく、診断支援情報が必要なときだけ指定データ範囲を指定すればよい。つまり、診療データ表示画面15を閲覧してこれを元に診断を行うという通常の作業フローの中で、診断支援情報が必要ない場合は余計な操作や表示をさせず、診断支援情報が必要な場合だけ診断支援プログラム101に演算を実行させることができる。指定データ範囲を指定しない場合には、第2推奨データ項目を使用するため、医師の手を煩わせずに診断支援情報を提供することができ利便性が高い。
また、疾患に限らず、患者別、外科、内科、小児科、眼科等の診療科別、診療支援サーバ11を複数の医療施設が利用する場合は医療施設別、診療または疾患の進行段階である診療フェーズ(初診、画像検査、検体検査等の検査段階、癌や糖尿病の進行度等)別、あるいは腫瘍の憎悪判定、縮小効果判定、薬剤の副作用判定、病変のサイズ計測等の診療目的別といった診療単位別に表示項目および診断支援プログラム101を設定しておいてもよい。疾患別および診療科別等、複合的に表示項目および診断支援プログラム101を設定しておけば、表示項目および診断支援プログラム101をさらに絞り込むことができ、項目の指定や診断支援プログラム101の選択がよりしやすくなる。
また、第2推奨データ範囲も同様に、疾患に限らず、診療科別、医療施設別、診療フェーズ別、あるいは診療目的別に設定してもよい。
上記第1実施形態では、疾患の選択後、使用する診断支援プログラム101の候補を図7の診療データ表示画面15に表示し、使用する診断支援プログラム101の選択と範囲の指定とを受け付けているが、疾患の選択後、第1推奨データ範囲の診療データを入力データとして、自動で1つの代表的な診断支援プログラム101に演算を実行させて図10に示す診療データ表示画面15を表示させてから、範囲の指定を受け付けてもよい。代表的な診断支援プログラム101は、疾患別リスト80に予め登録しておく。こうすれば、代表的な診断支援プログラム101による診断支援情報で医師が満足した場合は範囲の指定や診断支援プログラム101の選択といった余計な操作が必要なくなり、代表的な診断支援プログラム101による診断支援情報で医師に不満がある場合は範囲の指定を受け付けることができる。
また、診断支援プログラム101は常に使用するようなものではなく、医師にとって難しい判断をする場合等の限られた場合に使用するものであるため、毎回医師に診断支援プログラム101を選択させることは使い勝手が悪い。したがって、まずは自動で代表的な診断支援プログラム101に演算を実行させて診断支援情報を表示し、医師が必要なときだけ診断支援プログラム101を選択させて範囲の指定をさせ、医師が必要ないときは診断支援情報を無視して診療を続けられるようにしておけば、画面操作も簡潔で煩わしくない。
このように、使用する診断支援プログラム101の選択は、上記第1実施形態のように診断支援プログラム101の候補を直接選択する場合と、診断支援プログラム101とは別の選択肢(疾患等)を選択することで、使用する診断支援プログラム101を間接的に選択する場合とが含まれる。なお、診断支援プログラム101とは別の選択肢としては、疾患に限らず、患者、診療科、医療施設、診療フェーズ、診療目的といった他の診療単位であってもよい。
なお、画像サーバ22から診療支援サーバ11に診療データとして配信する検査画像としては、検査画像の全体でもよいし、検査画像の一部領域、例えば、検査画像に映る病変を囲む関心領域でもよい。
上記第1実施形態では、メッセージ96を表示することにより自動データ範囲設定部121が自動設定したことを医師に報せているが、これに加えて、あるいは代えて、メッセージを読み上げる等、音声を出力してもよい。要するに、自動データ範囲設定部121が自動設定したことを医師に報せることができればよい。
上記第1実施形態では、第1推奨データ範囲を、診断支援プログラム101が信頼の置ける診断支援情報を出力するための入力データの範囲と定義したが、第1推奨データ範囲は、信頼の置ける診断支援情報を出力するための入力データの範囲に限らず、ある程度マージンを設けておいてもよい。例えば、第1推奨データ範囲を、入力データに使用する範囲として必須の必須データ範囲と、入力データに使用する範囲として必須ではないが許容される許容データ範囲とで構成してもよい。この場合は、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がある場合とは、指定データ範囲の中に第1推奨データ範囲中の必須データ範囲を含まない場合である。
なお、要求受付部110が指定データ範囲を受け付けなかった場合、または、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があった場合に、自動データ範囲設定部121で第2推奨データ範囲を自動設定し、第2推奨データ範囲の診療データを入力データとする自動設定モードと、医師による範囲の指定を優先し、指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異があっても、指定データ範囲の診療データを入力データとする手動設定モードとを切り替え可能に構成してもよい。
また、指定データ範囲と第1推奨データ範囲の一致率を計算し、一致率が閾値よりも高い場合は指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合と同様に扱ってもよい。例えば、第1推奨データ項目が10個設定されていて、そのうちの9個が指定された場合は一致率を90%としたり、第1推奨データ期間が10日間で指定データ期間が5日間であった場合は一致率を50%としたりする。そして閾値を例えば80%に設定し、一致率が80%よりも高い場合は指定データ範囲と第1推奨データ範囲に差異がない場合と同様に扱う。
指定データ範囲と第1推奨データ範囲の一致率を計算する場合は、複数の診断支援情報が出力された際に、一致率が高いほうから順に診断支援情報を表示してもよい。
起動画面で患者IDが入力された対象患者の診断支援情報だけでなく、疾患が同じで症状が似ている他の患者の診断支援情報を出力してもよい。この場合、診療データ取得部111は、対象患者の診療データの取得要求に加えて、例えば対象患者とバイタルサインの測定値や検体検査の検査値が似ている患者、病変のサイズおよび病変の種類が似ている患者の診療データの取得要求を出力する。プログラム制御部112は、対象患者の診療データだけでなく、他の患者の診療データに基づき診断支援情報を出力する。このように対象患者の診断支援情報だけでなく、疾患が同じで症状が似ている他の患者の診断支援情報を出力すれば、診断がより捗る。
上記第1実施形態の疾患を選択するためのプルダウンメニュー55のように、疾患や診療目的を含む診療単位が選択され、図7の診療データ表示画面15のようなチェックボックス76を有する診療データ表示画面に表示が切り替えられた場合に、診療単位で共通する項目のチェックボックス76に予めチェックマークが入れられていてもよい。診療単位で共通する項目とは、例えば、ある疾患に対応する診断支援プログラム101が複数あった場合、複数の診断支援プログラム101の各第1推奨データ項目に共通する項目である。こうした共通する項目を診療単位毎に予め登録しておき、画面生成部113で診療データ表示画面15を生成する際に、共通する項目のチェックボックス76にチェックマークを入れたうえで画面出力制御部114に受け渡す。こうすれば、最初からある程度項目の選択がされている状態であるため、医師が必要に応じて項目を付け加えたり外したりして指定する項目を編集する際の作業効率がよい。なお、診療単位に対応する診断支援プログラム101が1つだけの場合は、その1つの診断支援プログラム101で使用する項目のチェックボックス76に予めチェックマークが入れられるため、医師は編集もする必要がなく効率が良い。
上記第1実施形態で示した第1推奨データ範囲リスト90のような、各診断支援プログラム101の第1推奨データ範囲を集約したリスト形式で第1推奨データ範囲を保持する形態に限らず、各診断支援プログラム101が第1推奨データ範囲を保持する形態でもよい。
診断支援プログラム101毎に第1推奨データ範囲を1つもつのではなく、複数の第1推奨データ範囲をもつようにしてもよい。例えば、1つの診断支援プログラム101が複数の疾患を対象としている場合は、疾患毎に第1推奨データ範囲をもつようにする。
本発明は、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。また、上述の種々の実施形態や種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にもおよぶ。