図1に示す医用ネットワークシステムは、例えば、病院などの医療施設に構築される。医用ネットワークシステムは、病棟10に配置されるカルテシステム11と、放射線検査科12、内視鏡検査科13のそれぞれの検査部門に配置される部門システム16、17と、各検査部門が実施する検査によって得られた検査データ(検査画像やレポート)を格納する、画像サーバ18及びレポートサーバ19とからなり、これらはネットワーク20を通じて通信可能に接続される。ネットワーク20は、例えば、院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
カルテシステム11は、カルテサーバ21と、内科や外科といった各診療科22にそれぞれ配置された診療科端末23とからなる。カルテサーバ21には、患者毎のカルテデータが検索可能に格納されるカルテDB(Data Base)24が構築されている。診療科端末23は、診療科22の医師や看護師などの診療科22のスタッフによって操作され、カルテの閲覧や入力の他、各検査科12、13に対して検査を依頼するためのオーダの発行に利用される。
部門システム16、17は、それぞれ、放射線検査科12の部門システム(以下、RADシステムという)16、内視鏡検査科13の部門システム(以下、ESシステムという)17である。各部門システム16、17は、診療科端末23が発行するオーダを、ネットワーク20を介して受信して、受付処理を行うオーダ受付システムである。各検査科12、13のスタッフは、それぞれの部門システム16、17を使用して、オーダの確認、検査終了の連絡や検査結果の報告といった依頼元への連絡を行う。なお、RADシステム16については、RIS(Radiology Information System)とも呼ばれる。
RADシステム16は、RADサーバ25とRAD端末26からなる。RADサーバ25には、放射線検査科12宛てのオーダが格納されるRAD−DB27が構築されている。ESシステム17は、ESサーバ28とES端末29からなる。ESサーバ28には、内視鏡検査科13宛てのオーダが格納されるES−DB30が構築されている。
画像サーバ18及びレポートサーバ19には、それぞれ患者単位で検査画像及びレポートが格納される画像DB31、レポートDB32が構築される。画像DB31には、各検査科12、13に配置される、CT装置、MRI装置、内視鏡装置といったモダリティ(図示せず)で撮影された検査画像が格納される。レポートDB32には、各検査科12、13に配置されるレポート作成端末(図示せず)で作成されたレポートのデータが格納される。
なお、本例においては、画像サーバ18及びレポートサーバ19を各検査科12、13が共用する例で説明するが、検査科12、13毎に画像サーバ18及びレポートサーバ19を設けてもよい。
これらの各サーバ18、19、21、25、28、及び各端末23、26、29は、それぞれ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ用コンピュータといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステムなどの制御プログラムや、クライアントプログラム又はサーバプログラムといったアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
図2に示すように、上記サーバ及び端末のコンピュータは、基本的な構成は略同じであり、それぞれ、CPU41、メモリ42、ストレージデバイス43、LANポート44、及びコンソール46を備えている。これらはデータバス47を介して接続されている。コンソール46は、ディスプレイ48と、キーボードやマウスなどの入力デバイス49とからなる。
ストレージデバイス43は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御プログラムやアプリケーションプログラム(AP)50が格納されている。また、DBが構築されるサーバには、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス43として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、サーバ本体に内蔵されるものでもよいし、サーバ本体とは別に設けられ、サーバ本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
メモリ42は、CPU41が処理を実行するためのワークメモリである。CPU41は、ストレージデバイス43に格納された制御プログラムをメモリ42へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。
LANポート44は、ネットワーク20との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。LANポート44は、例えば、LANの標準的な規格である、Ethernet(登録商標)に準拠したものが使用されており、Ethernet(登録商標)とTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)を組み合わせた通信プロトコルに基づいて、伝送制御を行う。
ネットワーク20を通じてサーバや端末のAP50間で受け渡される通信対象のデータは、IPのプロトコルレイヤでは、IPパケットの形態に変換されてLANポート44からネットワーク20へ送出される。各IPパケットには、送信元において、送信先のサーバや端末のネットワーク上のアドレスであるIPアドレスが指定される。IPパケットが、ネットワーク20を通じて、IPアドレスで指定された送信先のサーバや端末のLANポート44に送信されると、LANポート44でIPパケットから通信対象のデータが取り出されて、送信先のAP50に受け渡される。
画像サーバ18及びレポートサーバ19には、AP50として、クライアントからの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。画像サーバ18及びレポートサーバ19のサーバプログラムは、モダリティやレポート作成端末といったクライアントからのデータの格納要求に応じて、各DB31、32への格納処理を実行する。また、診療科端末23、RAD端末26、ES端末29からの検査画像やレポートの閲覧要求に応答して、要求された検査画像やレポートをそれぞれのDB31、32から検索して、検索されたデータを要求元へ配信する。
診療科端末23には、AP50として、カルテの閲覧や編集を行うカルテ用のクライアントプログラムがインストールされている。カルテ用のクライアントプログラムが起動されると、診療科端末23のディスプレイには、GUI(Graphical User Interface)によるカルテ用の操作画面が表示される。操作画面には、入力デバイスによって選択され、カルテDB24から読み出された患者のカルテデータが表示される。診療科端末23には、コンソールを通じて、カルテの入力・編集の指示や、検査のオーダの入力・発行の指示といった操作指示が入力される。入力されたカルテやオーダのデータは、カルテDB24に格納される。
カルテ用のクライアントプログラムとしては、カルテ専用のプログラムを使用してもよいし、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)に対応した汎用的なWebブラウザを使用してもよい。カルテ専用のプログラムを使用する場合には、操作画面は、カルテ専用のプログラムで定義された画面データに基づいて生成される。汎用的なWebブラウザを使用する場合には、カルテサーバ21から画面データを含むWebページをダウンロードして操作画面が生成される。
カルテ用のクライアントプログラムは、診療科端末23の入力デバイスからの操作指示に従って、カルテサーバ21と通信を行って、データの読み出し、更新、検索といった処理の要求をカルテサーバ21に発行する。カルテサーバ21には、AP50として、診療科端末23の要求に応じて処理を実行し、その処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされる。
図3に示すように、検査の依頼元の診療科22の医師は、1人の患者について、CT検査及び内視鏡検査といった複数の検査依頼をする場合には、診療科端末23のコンソールからそれぞれの検査依頼の内容を入力する。診療科端末23は、入力された内容に基づいて、CT検査のCTオーダ51、内視鏡検査のESオーダ52をそれぞれ作成する。コンソールから発行指示が入力されると、診療科端末23は、作成したCTオーダ51及びESオーダ52を発行し、依頼先のRADシステム16、ESシステム17へ、CTオーダ51、ESオーダ52がそれぞれ送信される。
各オーダ51、52には、それぞれ、患者ID、患者名、オーダ番号、依頼日、依頼元の情報(「内科の鈴木」)、依頼先の情報(「放射線検査科」や「内視鏡検査科」)、検査種(「CT」や「内視鏡」)、検査予定日(「2月25日」)といった情報が記録される。
オーダ番号は、依頼元が発行する1件毎のオーダを識別するためのオーダIDである。図においては、CTオーダ51には「70003」が、ESオーダ52には「80001」がそれぞれ与えられている。各オーダ51、52には、依頼先の検査科を識別するための検査科IDが含まれており、5桁のオーダ番号の先頭の1桁は、「7」が放射線検査科12を、「8」が内視鏡検査科13をそれぞれ示している。CTオーダ51とESオーダ52は、依頼元(「内科の鈴木」)及び患者(「患者ID=1234」)が同一の関連するオーダである。また、同日に発行されているため、依頼日も同日(「2月13日」)である。
RAD端末26、ES端末29には、AP50として、診療科端末23から受信したオーダを管理するためのオーダ管理用のクライアントプログラムがインストールされている。オーダ管理用のクライアントプログラムが起動されると、各端末26、29は、それぞれのディスプレイにGUIによる操作画面を表示する。操作画面には、受信した複数のオーダのリストを表示するリスト画面が含まれる(図6のワークリスト57参照)。
各端末26、29には、コンソールを通じて、操作指示が入力される。各検査科12、13のスタッフは、各端末26、29のコンソールを通じて操作指示を入力し、オーダの確認や、オーダに対応する検査の終了や結果の報告といった依頼元への連絡を行う。
各端末26、29の操作画面についても、診療科端末23と同様に、オーダ受付用の専用のクライアントプログラムによって生成してもよいし、汎用的なWebブラウザを使用して、各サーバ25、28から操作画面を生成するためのWebページをダウンロードしてもよい。
各端末26、29のオーダ管理用のクライアントプログラムは、それぞれ、コンソールから入力された操作指示に従って、各サーバ25、28と通信して、データの読み出し、更新、検索といった処理の要求を各サーバ25、28に発行する。
RADサーバ25、ESサーバ28には、AP50として、各端末26、29からの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。また、サーバプログラムは、診療科端末23から発行されたオーダを受信して、受信したオーダをそれぞれのDB27、30へ格納する。
図4に示すように、RADサーバ25、ESサーバ28には、それぞれの通信先となるサーバのアドレスを記録したサーバリスト53、54がストレージデバイスに格納されている。サーバリスト53、54には、検査データの格納先のサーバ及びオーダの転送先のサーバの名称とドメイン名が記録される。ドメイン名は、各サーバのネットワーク20上のネットワークアドレスであるIPアドレスと対応しており、相互に変換が可能である。
サーバリスト53、54には、検査データ格納先として、画像サーバ18及びレポートサーバ19が登録されており、それぞれのドメイン名(「www.image」、「www.report」)が記録される。
後述するように、RADサーバ25、ESサーバ28は、それぞれ、放射線検査科12、内視鏡検査科13を宛先とする自部門宛のオーダに加えて、他部門宛のオーダも受信する受信機能と、自部門宛のオーダを、他部門に転送する転送機能を有している。例えば、RADサーバ25は、自部門宛のCTオーダ51を受信するとともに、ESサーバ28宛てのESオーダ52を受信する。さらに、自部門宛のCTオーダ51をESサーバ28に転送する。ESサーバ28も同様に、自部門宛のESオーダ52を受信するとともに、RADサーバ25宛てのCTオーダ51を受信し、さらに、自部門宛のESオーダ52をRADサーバ25に転送する。
各サーバリスト53、54には、ESサーバ28及びRADサーバ25が、相互にオーダ転送先のサーバとして登録されており、それぞれのドメイン名(「www.es」や「www.rad」)が記録される。
以下、図5〜7において、RADサーバ25及びESサーバ28の構成及び機能について、RADサーバ25を例に説明する。RAD−DB27には、受信したオーダが格納される。図5に示すように、RAD−DB27内には、受付テーブル56が設けられている。受付テーブル56には、RADサーバ25が受け付けたオーダのデータが登録される。受付テーブル56には、オーダ毎に、患者ID、患者名、オーダ番号、依頼日、依頼元の情報、検査種、検査予定日といった診療科端末23で入力された各項目が記録されるフィールドに加えて、検査の進捗状況を表すステータス、及び付帯情報が記録されるそれぞれのフィールドが設けられている。
ステータスのフィールドには、例えば、「未了」、「終了」、「中止」といった3つの状態が表示される。「未了」は、オーダを受信後、検査が終了していない状態を意味し、「終了」は、検査が終了した状態を意味し、「中止」は、オーダが取り消されたことを意味する。
付帯情報のフィールドには、関連する他部門のオーダが存在する場合に、関連するオーダのオーダ番号や、関連するオーダの検査データの格納先アドレスが記録される。図の上段に示すように、RAD−DB27の受付テーブル56には、自部門宛のCTオーダ51が登録されるとともに、下段に示すように、他部門宛のESオーダ52が登録される。
CTオーダ51とESオーダ52の付帯情報のフィールドには、それぞれ相互のオーダ番号(「70003」と「80001」)が記録される。これにより、2つのオーダが受付テーブル56に関連付けて登録される。また、ESオーダ52の付帯情報のフィールドには、CTオーダ51のオーダ番号に加えて、ESオーダ52の検査データ(検査画像及びレポート)の参照用URL(Uniform Resource Locator)が記録される。
参照用URLは、画像参照用URLとレポート参照用URLからなり、それぞれ画像サーバ18やレポートサーバ19に格納される内視鏡検査の検査データへ、ネットワーク20を通じてアクセスするためのアドレスである。画像及びレポートの参照用URLは、プロトコル名(「http」)、画像サーバ18又はレポートサーバ19のそれぞれのドメイン名「www.image又はwww.report」、各サーバ18、19内において内視鏡検査の検査データが格納されるフォルダを指定するためのパス名(「es」)、患者ID(「patientID=1234」)、オーダ番号(「orderno=80001」)の組み合わせからなる。
プロトコル名、ドメイン名、パス名については、予めサーバプログラムに設定されている。患者IDは、院内で一意に決まるものであり、検査種によらずに共通である。したがって、オーダ番号さえ分かれば、他部門宛のオーダに対応する検査データの格納先アドレスを作成することができる。
RADサーバ25は、ESオーダ52を受信した際に、ESオーダ52から、患者ID及びオーダ番号(「80001」)を読み出し、読み出した患者ID及びオーダ番号から、画像及びレポートの参照用URLを作成する。作成した参照用URLは、受付テーブル56内のESオーダ52の付帯情報のフィールドに記録される。
図6に示すRADワークリスト57は、受付テーブル56に登録されたオーダのリストを表示する画面の例であり、RAD端末26のディスプレイに表示される。RAD端末26は、コンソールから入力されるリスト表示指示に応答して、RAD−DB27にアクセスして、受付テーブル56のデータを読み出し、読み出したデータに基づいてRADワークリスト57を生成し、ディスプレイに表示する。放射線検査科12のスタッフは、RADワークリスト57によって、受け付けたオーダの確認や、オーダに関する情報(検査実施記録など)の入力や変更を行う。
RADワークリスト57は、放射線検査科12のスタッフが実施する作業を表示するためのものである。そのため、RADワークリスト57には、受付テーブル56に登録されたオーダのうち、自部門宛のオーダだけが表示され、ESオーダ52といった他部門宛のオーダは表示されない。
RADワークリスト57には、オーダのリストが表示されるリスト表示領域58と、リスト表示領域58の下方に、マウス等の入力デバイスによって操作される操作ボタン59〜62が設けられる。操作ボタン59〜62は、GUIを構成する操作ツールである。リスト表示領域58は、オーダ毎に、受付テーブル56の各フィールドに対応する項目が表示される。
関連検査情報のフィールドは、受付テーブル56内に自部門宛のオーダに関連する他部門宛の関連オーダが登録されている場合に、その関連オーダの情報が表示される。図5の受付テーブル56では、自部門宛のCTオーダ51の関連オーダとしてESオーダ52が登録されている。RADワークリスト57のCTオーダ51の関連検査情報のフィールドには、受付テーブル56に記録されたESオーダ52の付帯情報に対応する情報が表示される。
関連検査情報のフィールドは、オーダ番号、画像及びレポートの3つのサブフィールドに分割される。オーダ番号のサブフィールドには、CTオーダ51の関連オーダであるESオーダ52のオーダ番号(「80001」)が表示される。画像とレポートのサブフィールドには、ESオーダ52の画像参照用URLとレポート参照用URLをそれぞれのリンク先とするアイコン63a、63bが表示される。
アイコン63a、63bは、操作ボタン59〜62と同様に、GUIを構成する操作ツールであり、参照用URLにアクセスして、他部門のオーダの検査データを、RAD端末26のディスプレイに表示するための操作指示を入力するために使用される。
アイコン63a、63bは、マウスによってクリック操作される。アイコン63a、63bがクリックされると、RAD端末26のCPUは、その操作指示を受け付けて、クリックされたアイコン63a、63bのリンク先の参照用URLを格納先とするデータの配信要求を発行する。配信要求は、ネットワーク20を通じて画像サーバ18、レポートサーバ19へ送信され、画像サーバ18やレポートサーバ19から検査画像やレポートが、要求元のRAD端末26へ配信され、RAD端末26のディスプレイに表示される。こうして、RAD端末26において、他部門の検査である内視鏡検査の検査画像やレポートの閲覧が可能になる。
操作ボタン59は、リスト表示領域58の表示を最新の状態に更新する更新指示を入力するためのボタンである。操作ボタン59がマウスによってクリックされると、RAD−DB27内の受付テーブル56のデータがリロードされて、リスト表示領域58が更新される。
操作ボタン60は、リスト表示領域58内のオーダを選択する選択指示を入力するためのボタンである。マウスによって、リスト表示領域58内の1つのオーダを選択し、操作ボタン60をクリックすると、そのオーダの詳細情報(検査実施記録など)を表示する表示画面が開く。
操作ボタン61、62は、それぞれアイコン63a、63bと同様に、CTオーダ51に関連するESオーダ52の検査画像やレポートを閲覧するための操作指示を入力するボタンである。リスト表示領域58内のオーダを選択して、操作ボタン61、62のいずれかをクリックすると、アイコン63a、63bを選択したときと同様に、関連オーダの検査画像又はレポートが表示される。
なお、本例においては、検査データを閲覧するための操作ツールとして、アイコン63a、63bと操作ボタン61、62の両方を設けた例で説明しているが、いずれか一方でもよい。操作ツールの形態は、例えば、参照用URLを選択指定可能なリストボックスやプルダウンメニューなどでもよく、アイコン63a、63bや操作ボタン61、62の形態以外でもよい。
図7に示すように、RADサーバ25のCPUは、AP50であるサーバプログラムを実行することにより、受付部25a、関連付け処理部25bとして機能する。受付部25aは、診療科端末23から送信される自部門宛のCTオーダ51と、ESサーバ28から転送されるESオーダ52を受信して、受付処理を実行する。具体的には、受付部25aは、受信したオーダの宛先を判定する宛先判定処理と、自部門宛のオーダを他部門へ転送する転送処理と、受信したオーダを受付テーブル56へ登録する登録処理を行う。
宛先判定処理では、受信したオーダのオーダ番号に含まれる検査科IDに基づいて自部門宛のオーダが他部門宛のオーダかを判定する。例えば、受信したオーダが診療科端末23から発行されたCTオーダ51の場合には、オーダ番号の先頭の1桁が(「7」)であるので、自部門宛のオーダであると判定する。一方、受信したオーダがESサーバ28から転送されたESオーダ52の場合には、オーダ番号の先頭の1桁が(「8」)であるので、他部門(内視鏡検査科)宛てのオーダであると判定する。
宛先判定処理において、自部門宛のオーダであると判定した場合には、受信したオーダの転送処理を行う。転送処理では、サーバリスト53から、オーダ転送先であるESサーバ28のドメイン名を読み出し、そのドメイン名を宛先として、自部門宛のCTオーダ51をESサーバ28へ転送する。登録処理では、自部門宛のCTオーダ51及び他部門宛のESオーダ52を、それぞれRAD−DB27内の受付テーブル56へ登録する。
関連付け処理部25bは、受信したオーダに関連するオーダの検索処理を行う。検索処理では、受付テーブル56にアクセスして、受信したオーダが自部門宛のCTオーダ51である場合には、そのCTオーダ51に関連する他部門宛のオーダを検索する。受信したオーダが他部門宛のESオーダ52である場合には、そのESオーダ52に関連する自部門宛のオーダを検索する。
関連するオーダの検索処理は、オーダに含まれる患者ID、依頼日、依頼元情報を照合することによって行う。例えば、受信したオーダがCTオーダ51である場合には、CTオーダ51から患者ID、依頼日、依頼元情報の各項目を読み出して、読み出した各項目と、受付テーブル56内に登録済みのオーダに含まれる患者ID、依頼日、依頼元情報の各項目とを照合して、各項目がすべて一致するオーダを検索する。ESオーダ52が既に受付テーブル56に登録されている場合には、ESオーダ52の患者ID、依頼日、依頼元情報の項目と、CTオーダ51の項目はすべて一致するので、CTオーダ51とESオーダ52は、関連するオーダであると判定される。
関連するオーダが見つかった場合には、受付テーブル56内の付帯情報のフィールドに、それぞれのオーダ番号を記録して、関連付け処理を行う。図5に示したように、CTオーダ51の付帯情報のフィールドには、ESオーダ52のオーダ番号(「80001」)が、ESオーダ52の付帯情報のフィールドには、CTオーダ51のオーダ番号(「70003」)がそれぞれ記録される。
また、受信したオーダが、他部門宛のESオーダ52である場合には、ESオーダ52と関連する自部門宛のオーダを検索する。検索方法は、上記と同様である。
なお、本例では、患者ID、依頼日、依頼元情報の3つの項目をすべて照合項目として、すべて一致した場合に関連オーダと判定しているが、日にちがずれて、関連する複数のオーダが発行されることもあるので、患者IDと依頼元情報の2項目のみで判定してもよい。また、依頼日を照合項目にした場合には、数日の日にちのずれがあっても、関連オーダと判定されるように、関連オーダと判定する基準となる、日数の範囲を設定しておいてもよい。この場合には、関連付け処理部25bは、その設定に基づいて検索や関連付けを行う。依頼元の医師は、1つの検査の検査結果に基づいて、次の検査の必要性を判断するといったことも多い。そのため、依頼日がずれている複数の検査が関連している可能性も高いため、こうした設定は有効である。
関連付け処理部25bは、関連オーダが見つかった場合には、さらに、参照用URL作成処理を行う。参照用URL作成処理では、他部門宛のオーダに関する検査データの参照用URLを作成する。上述したとおり、CTオーダ51と関連するESオーダ52が見つかった場合には、ESオーダ52からオーダ番号を読み出し、そのオーダ番号と、サーバリスト53から読み出した検査データ格納先のドメイン名に基づいて、画像及びレポートのそれぞれの参照用URLを作成する。そして、作成した参照用URLを、受付テーブル56内のESオーダ52の付帯情報のフィールドに記録する。
以上、図5〜図7において、RADサーバ25を例に説明したが、ESサーバ28についてもRADサーバ25と同様である。詳述は避けるが、簡単に説明すると、ESサーバ28のCPUは、AP50であるサーバプログラムを実行することにより、受付部25a及び関連付け処理部25bと同様の受付部及び関連付け処理部として機能する。ESサーバ28のES−DB30には、自部門宛のオーダ、つまり、ESオーダ52が登録される受付テーブルが設けられており、ESオーダに加えて、RADサーバ25から転送される他部門宛のオーダ、つまり、CTオーダ51が登録される。ES端末29のディスプレイには、RADワークリスト57と同様のESワークリストが表示される。ESワークリストには、ESオーダ52と関連するCTオーダ51の検査データを参照するためのアイコンや操作ボタンが表示される。
以下、上記構成による作用について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。診療科22の医師は、1人の患者について、CT検査及び内視鏡検査を依頼する場合には、診療科端末23を使用して、それぞれの検査依頼の内容を入力して、オーダ発行指示をする。診療科端末23は、入力された内容に応じたCTオーダ51及びESオーダ52を作成し、作成したCTオーダ51及びESオーダ52をそれぞれの宛先(RADサーバ25、ESサーバ28)へ発行する。
RADサーバ25、ESサーバ28は、診療科端末23から、CTオーダ51、ESサーバ28をそれぞれ受信する。RADサーバ25は、受信したCTオーダ51をRAD−DB27の受付テーブル56に登録し、ESサーバ28は、受信したESオーダ52をES−DB30の受付テーブルに登録する。
RADサーバ25は、受付テーブル56に登録済みのオーダの中から、受信したCTオーダ51に関連するオーダを検索する。この時点では、CTオーダ51に関連するオーダは無いため、関連付け処理は実行されない。同様に、ESサーバ28は、受付テーブルに登録済みのオーダの中から、受信したESオーダ52に関連するオーダを検索するが、この時点では、ESオーダ52に関連するオーダは無いため、関連付け処理は実行されない。
RADサーバ25は、宛先判定の結果、受信したCTオーダ51は自部門宛であるため、CTオーダ51をESサーバ28に転送する。同様に、ESサーバ28も、受信したESオーダ52をRADサーバ25に転送する。
RADサーバ25は、ESオーダ52を受信すると、ESオーダ52を受付テーブル56に登録する。ESオーダ52は、他部門宛のオーダであるため、転送は行わない。RADサーバ25は、ESオーダ52の関連オーダを検索する。受付テーブル56には、CTオーダ51が登録されているので、RADサーバ25は、CTオーダ51とESオーダ52の関連付け処理を行う。
なお、受信順序が逆転(ESオーダ52が先、CTオーダ51が後)した場合には、RADサーバ25は、CTオーダ51を受信したときに、CTオーダ51と既に登録済みのESオーダ52の関連付け処理を行う。
関連付け処理の結果、図5に示すように、受付テーブル56には、CTオーダ51とESオーダ52のそれぞれの付帯情報のフィールドに、互いのオーダ番号が記録される。さらに、ESオーダ52の検査データの参照用URLが作成されて、作成された参照用URLが付帯情報のフィールドに記録される。
同様に、ESサーバ28は、CTオーダ51を受信すると、受付テーブルに登録し、関連データを検索する。受付テーブルには、関連オーダであるESオーダ52が登録済みであるため、CTオーダ51との関連付け処理が行われる。関連付け処理の結果、受付テーブルに互いのオーダ番号が記録されるとともに、CTオーダ51の検査データの参照用URLが記録される。
これにより、RAD端末26のディスプレイにRADワークリスト57を表示すると、参照用URLをリンク先とするアイコン63a、63bや、参照用の操作ボタン61、62が表示される。放射線検査科12のスタッフは、これらのアイコン63a、63b等を操作することにより、RAD端末26で、ESオーダ52に基づいた内視鏡検査の検査データを閲覧することができる。一方、内視鏡検査科13のスタッフは、ES端末29のディスプレイに表示されたワークリストを通じて、CTオーダ51に基づいた検査データを閲覧することができる。
このように、各検査科12、13のそれぞれの部門システム16、17において、自部門宛のオーダとそれに関連する他部門のオーダの関連付けを行うようにしたので、各部門システム16、17を構成する各端末のコンソールで、他部門のオーダの検査データを確認することができる。このため、各検査科12、13のスタッフは、従来のように、他部門の検査データを閲覧するために、カルテデータにアクセスして他部門宛のオーダ番号を調べるといった煩雑な作業から解放される。また、部門システムを構成する端末で他部門の検査データを閲覧できるので、各検査科12、13にカルテ端末を導入する必要がなく、スペースやコストの無駄もない。
上記実施形態では、各部門システムにおいて、自部門宛のオーダと関連する他部門宛のオーダの関連付け処理に際して、各オーダをオーダ番号で相互に関連付けることに加えて、他部門宛のオーダに対応する検査データの格納先アドレスである参照用URLを作成しているが、参照用URLを作成しなくてもよい。関連オーダのオーダ番号さえワークリストに表示できれば、そのオーダ番号に基づいて、手入力で参照用URLを作成することも可能である。手入力で参照用URLを作成する作業は、カルテデータを調べる手間に比べれば、たやすい。
また、仮に、オーダ番号に基づいて作成した参照用URLにアクセスしても、検査データを閲覧できないといったこともあり得る。しかし、その場合でも、関連付け処理を行うことで、関連オーダが存在するか否かの確認は、従来と比べて簡単に行うことできる。検査科のスタッフは、そのオーダの情報から、検査データへアクセスするための何からの手がかりをつかみ得るので、検査データへのアクセスは、従来よりも容易になる。
また、上記実施形態では、関連オーダのオーダ番号に基づいて参照用URLを作成しているが、この方法は、関連オーダの検査データの格納先となるサーバのドメイン名やサーバ内のパス名が予め決められていることを前提としており、関連オーダのオーダ番号に基づいて参照用URL(格納先アドレス)を推定する方法である。したがって、検査データの格納先の変更に伴ってドメイン名やパス名が変更された場合には、推定した格納先アドレスにアクセスしても関連オーダの検査データを閲覧することはできない。そこで、ドメイン名やパス名が変更された場合には、その変更に応じて、各部門システムのサーバに格納されたサーバリストが更新されるようにしておくことが好ましい。
この場合には、ドメイン名やパス名が変更された場合には、院内の情報システムを統括的に管理する管理サーバなどから、ネットワーク20に接続された各部門のサーバに対して変更通知が送信されるようにしておく。各部門のサーバは、変更通知を受信して、その変更通知に基づいてサーバリストに登録された情報を更新する。
また、より確実な格納先アドレスの取得方法としては、以下に示すように、各検査科のモダリティやレポート作成端末が依頼元へ送信する作業完了通知を利用する方法が考えられる。各検査科の部門システムには、モダリティやレポート作成端末が接続されており、部門システムが受け付けたオーダに従って、モダリティによる撮影や、レポート作成端末を使用したレポート作成が行われる。モダリティやレポート作成端末は、撮影した検査画像や作成されたレポートのサーバへのアップロードが完了した時点で、作業完了通知を部門システムに送信する。この作業完了通知には、撮影した検査画像や作成したレポートのそれぞれのデータの格納先アドレスが含まれている場合が多い。
この作業完了通知は、部門システムから依頼元へ送信されるものであるが、各部門システムが、作業完了通知を依頼元へ送信するとともに、上述したオーダと同様に、作業完了通知を、他部門の部門システムへ転送するようにすれば、各部門システムは、作業完了通知から確実な格納先アドレスを取得することができる。作業完了通知には、患者IDや依頼元情報が含まれているので、これらの項目を関連オーダと照合することにより、作業完了通知に対応する関連オーダを検索して関連付けることが可能となる。
例えば、RADサーバが、放射線検査科のレポート作成端末からレポート作成の作業完了通知を受信する。RADサーバは、受信した作業完了通知を依頼元の診療科端末に送信するとともに、ESサーバに転送する。ESサーバは、受信した作業完了通知から、患者ID(例えば「1234」)や依頼元情報(「内科 鈴木」)の項目を読み出して、その項目と一致するCTオーダやESオーダを、受付テーブルに登録済みのオーダの中から検索する。項目が一致するオーダが見つかった場合には、そのオーダと作業完了通知を関連付ける。これにより、確実な格納先アドレスを取得できる。
上記実施形態では、個々のオーダを識別するためのオーダIDを依頼元が付与する例で説明したが、依頼先でオーダIDを付与してもよい。例えば、依頼元の診療科端末から発行されたオーダを、依頼先の放射線検査科のRADサーバが受信する。RADサーバは、受信したオーダ毎に受付IDをオーダに付与する。この受付IDをオーダIDとする。そして、受付IDを付与した後、オーダを他部門へ転送する。
また、上記実施形態では、各部門システムのサーバが他部門宛のオーダを受信して、受信した時点においては、関連オーダの有無に関わらず、受信したオーダはすべて受付テーブルに登録される。そのため、登録した他部門宛のオーダの中には、関連オーダが存在しない、あるいは、見つからないオーダが存在する可能性もある。そうしたオーダが受付テーブルに登録され続けると、DB内のデータ容量を圧迫することにもなりかねない。そこで、所定期間が経過しても関連オーダが見つからない他部門宛のオーダについては、受付テーブルから削除することが好ましい。RADサーバやESサーバのCPUは、受信した他部門宛のオーダを受付テーブルに登録した時点から、登録期間をカウントして、所定期間が経過した時点で他部門宛のオーダを削除する。
上記実施形態では、本発明のオーダ受付装置を、RADサーバやESサーバのように、自部門宛のオーダを受け付ける受付サーバが、他部門宛にオーダを転送するオーダ転送機能を備えた例で説明したが、受付サーバからオーダ転送機能を分離して、受付サーバと、オーダ転送機能を備えたオーダ転送サーバの2つのサーバで構成してもよい。このオーダ転送サーバは、部門毎に設けてもよいし、複数の部門で共用してもよい。オーダ転送サーバを受付サーバと別にする場合には、部門毎あるいは共用のオーダ転送サーバを、ネットワークを介して、RADサーバ及びESサーバの両方と通信可能に接続する。診療科端末からのオーダは、オーダ転送サーバを経由して、RADサーバやESサーバに送信される。オーダ転送サーバは、診療科端末から受信したオーダを、その宛先に関わらず、RADサーバとESサーバの両方に送信する。
また、オーダ転送サーバを設けずに、診療科端末が、オーダの依頼先に関わらず、発行するオーダを複数の部門に送信するようにしてもよい。例えば、放射線検査科を依頼先とするCTオーダを診療科端末が発行する場合に、診療科端末がRADシステムに送信するとともに、内視鏡検査科のESシステムにも送信する。
上記実施形態では、部門システムとして、RADシステムとESシステムの2つの部門システムを例に説明したが、3以上の部門システムでもよい。
上記実施形態では、カルテシステム、各部門システム、画像サーバ、レポートサーバのそれぞれのDBを、別々のサーバに構築した例で説明したが、各部門システムのDBを1つのサーバに構築したり、画像サーバとレポートサーバのDBを1つのサーバに構築するというように、複数のシステムで使用するそれぞれのDBを1つのサーバに統合してもよい。また、カルテシステム及び各部門システムを、クライアント端末とサーバとからなるクライアントサーバ型のコンピュータシステムで構成した例で説明したが、内蔵ストレージにDBを構築した1台のコンピュータで構成してもよい。このように、コンピュータシステムの物理構成は適宜変更が可能である。
上記実施形態では、ネットワークとしてLANを例に説明しているが、病棟と検査部門が複数の拠点に分散しているような場合には、ネットワークとしてLANとWAN(Wide Area Network)を組み合わせて使用してもよい。
上記実施形態では、CT検査、ES(内視鏡)検査を例に説明したが、検査種は、上記例に限らず、CR検査、MRI検査、生理検査など他の検査種でもよい。また、検査データは、例えば、生理検査の場合には、心電図や数値データが検査データとなるように、検査種に応じて様々なものがあり、画像やレポート以外でもよい。
また、業務として検査を例に説明し、業務の処理結果として検査データを例に説明しているが、検査以外でも、診察や治療に関する業務に、本発明を適用してもよい。また、医療施設の部門としては、検査部門以外にも、処方せんに従って製剤・調剤を行う薬剤部、理学療法に従って患者のリハビリテーションを指導するリハビリテーション部といった、検査以外の業務を実施する部門がある。これらの部門が実施する業務に本発明を適用してもよい。これらの業務の処理結果は、例えば、製材・調剤の明細や、リハビリテーションの実施記録となる。もちろん、関連する複数の業務は、これらの異種の業務の組み合わせでもよい。
さらに、本発明の業務を医療施設で行われる業務を例に説明したが、医療施設の業務以外に適用してもよい。例えば、企業や社団といった法人の組織内における、経理部門、人事部門、会計部門、営業部門といった複数の部門毎に部門システムが設けられており、各部門システムで依頼元の業務のオーダを受け付ける場合には、本発明を適用することが可能である。
なお、上記実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶことはもちろんである。
以下の説明は、関連する複数のオーダがある場合に、それらのオーダに対応する検査データを表示する表示装置において、各オーダに対応する検査データの表示順序を制御する技術に関するものである。この技術は、異なる検査科で受け付けられる複数のオーダに適用することも可能であるが、1つの検査科で受け付けられる複数のオーダに適用することも可能である。以下、便宜上、1つの検査科、具体的には、放射線検査科で受け付けられる複数のオーダに適用する例で説明する。なお、図1〜図8に示した上記実施形態と同様な構成については、説明を省略して、相違点を中心に説明する。
まず、図9及び図10を参照しながら、放射線検査科で受け付ける複数のオーダの関連付けについて説明する。図9に示すRADサーバ110は、図2に示すコンピュータで構成される。RADサーバ110のCPUは、RADサーバ25と同様に、受付部110a、関連付け処理部110bとして機能する。
受付部110aは、診療科端末23から受信したオーダを受け付けて、RAD−DB27内の受付テーブル56に登録する。関連付け処理部110bは、受付テーブル56にアクセスして受け付けたオーダと関連するオーダを検索し、関連するオーダの有無を判定し、関連するオーダがある場合には、関連付け処理を実行する。
関連付け処理部110bは、オーダに含まれる患者ID、依頼日、依頼元情報の項目同士を照合して、関連オーダの有無を判定する。条件テーブル110cは、依頼医毎の関連オーダの判定条件が登録されたテーブルであり、RADサーバ110のストレージに格納されている。条件テーブル110cは、関連付け処理部110bによって参照される。判定条件としては、例えば、期間と撮影部位の項目が設定される。
期間の項目では、関連オーダと判定する基準となる、日数の範囲が設定される。図9に示す例では、「小児科」の「長嶋」医師については、日数の範囲が「2日」になっており、照合されるオーダ間の依頼日のずれを1日だけ許容する内容になっている。例えば、一方のオーダの依頼日が2月13日、他方が2月14日であっても、他の条件を満たせば、両オーダを関連オーダと判定する。「内科」の「鈴木」医師については、日数の範囲が「1日」になっており、依頼日のずれを1日も許容しない設定になっており、関連オーダの判定条件として、依頼日が同日であることが要求されている。
また、撮影部位の項目では、撮影部位の同一性を関連オーダの判定条件に加えるか否かが設定される。図9に示す例では、両医師ともに、撮影部位を関連オーダの判定条件に加える内容が設定されている。
関連付け処理部110bは、条件テーブル110cに登録された条件を加味して、関連オーダの有無を判定する。具体的には、オーダの依頼元が「内科」の「鈴木」医師の場合には、患者ID、依頼日及び撮影部位が照合され、それらすべてが一致する場合に、関連オーダと判定される。本例の条件テーブル110cに示した判定条件は1例であり、判定条件の内容を適宜変更することが可能である。
関連付け処理部110bは、関連オーダと判定した場合には、それらのオーダのそれぞれに、受付テーブル56内の付帯情報のフィールドに、それぞれのオーダ番号を記録して、関連付け処理を行う。
図10に示すワークリスト111は、ワークリスト57(図6参照)と同様に、RADサーバ110から配信され、端末のコンソールに表示されるワークリストである。ワークリスト111のリスト表示領域112に示すように、関連オーダが存在するオーダには、それぞれ対応するオーダのオーダ番号が表示される。本例において、オーダ番号が「70003」と「70006」のオーダ同士は、関連オーダであり、それぞれのオーダには、対応するオーダ番号が表示される。これにより、両者が関連オーダであることを確認することができる。
関連オーダであることを表示する方法としては、オーダ番号を表示する他、リスト表示領域112において、オーダを選択したときに、選択したオーダと関連するオーダの両方を強調表示してもよい。強調表示の方法としては、関連するオーダの表示枠を他のオーダと識別可能に、色を変えたり、枠線を太くしたり、点滅させるといった方法がある。
ワークリスト111には、ワークリスト57と同様の表示更新ボタン113、オーダ選択ボタン114に加えて、一括表示ボタン115が設けられている。一括表示ボタン115は、関連する複数のオーダに対応する検査画像の配信要求及び表示指示を一括して指示するためのGUIを構成する操作ツールである。リスト表示領域112において、オーダ番号が「70003」あるいは「70006」のいずれかのオーダを選択し、その状態で一括表示ボタン115をポインタ116でクリック操作すると、両方のオーダに対応する検査画像の配信要求が一括して画像サーバ18に送信される。そして、画像サーバ18から配信要求の対象の検査画像が要求元の端末に配信されると、要求元の端末では受信した検査画像がディスプレイに表示される。
検査種が異なる複数の検査画像を観察して診断を行う場合、検査画像を観察する順序には、検査種(CR検査とCT検査など)の組み合わせによって、診断に適した表示順序がある。そのため、複数のオーダに対応する検査画像が一括表示される際に、表示対象となる検査画像が自動的に診断に適した表示順序で表示されると、診断を行う読影医や、依頼医にとっては、非常に都合がよい。しかし、従来は、複数のオーダに対応する検査画像を一括表示する場合には、撮影された順番や検査を依頼した順番に表示されてしまうことが多く、診断に適した表示順序で表示できないという問題があった。
図11に示すレポート作成端末121は、例えば、放射線検査科の読影医が、検査画像の読影結果をまとめたレポートを作成する端末であり、上記問題の解決策となる表示順序制御機能を備えた表示装置である。レポート作成端末121は、図3に示すコンピュータと同様の構成をしており、AP40として、レポート編集プログラムに加えて画像表示プログラムがインストールされており、画像表示端末として機能する。レポート作成端末121は、関連する複数のオーダに対応する検査画像に、検査種が異なる複数の検査画像が含まれている場合に、ディスプレイに表示する検査画像の表示順序を制御する。
画像表示プログラムが起動すると、レポート作成端末121のCPUは、表示制御部121aとして機能する。表示制御部121aは、ディスプレイ構成情報121b及び表示順序制御テーブル121cを参照して、レポート作成端末121のディスプレイの表示制御を行う。ディスプレイ構成情報121b及び表示順序制御テーブル121cは、例えば、レポート作成端末121のストレージデバイス43に格納される。
ディスプレイ構成情報121bは、レポート作成端末121が有する画像表示用のディスプレイ122(図13、14参照)の仕様や数が設定された情報である。ディスプレイ122が1台接続されたシングルディスプレイ(図13参照)の場合には、「シングル」、ディスプレイ122が2台接続されたデュアルディスプレイ(図14参照)の場合には、「デュアル」といった情報が設定される。また、ディスプレイ122には、ディスプレイNoがそれぞれ割り当てられ、ディスプレイNoについてもディスプレイ構成情報121bに設定される。ディスプレイNoは、例えば、シングルディスプレイの場合には、「1」、「デュアル」の場合には、「1」、「2」と連番で付与される。
表示順序制御テーブル121cには、関連オーダの検査種の組み合わせに応じて、各検査種の検査画像の表示順序が設定されている。表示順序制御テーブル121cは、組み合わせコード毎に1レコードの情報を持つ。組み合わせコードは、検査種の組み合わせ内容を示すコードであり、図12では、CR検査で得られたCR画像と、CT検査で得られたCT画像の組み合わせが例示されている。
組み合わせコードは、検査種に加えて、撮影部位の相違も識別できるように体系化されている。これは、撮影部位が胸部のCR画像とCT画像の組み合わせと、撮影部位が腹部のCR画像とCT画像の組み合わせのように、検査種の組み合わせが同じでも、撮影部位が異なると、診断に適した表示順序が変化する場合があるためである。本例の組み合わせコード「1」は、いずれも胸部を撮影したCR画像とCT画像の組み合わせを示す。この組み合わせの場合、表示順序は、CR画像が先「1」で、CT画像が後「2」に設定されている。
表示制御部121aは、ワークリスト111を通じて一括表示指示を受け付けたときに、選択された複数のオーダからそれぞれ検査種と撮影部位を読み取り、表示順序制御テーブル121cを参照して、選択された複数のオーダの組み合わせに対応するレコードを特定し、そのレコードに記録された表示順序を読み取る。選択された複数のオーダに対応する検査画像が、胸部のCR画像とCT画像である場合には、組み合わせコードが「1」のレコードであると特定する。
表示順序制御テーブル121cには、1レコード毎に、ディスプレイ構成に応じた表示順序が記録されている。ディスプレイ構成がシングルディスプレイの場合には、複数種類の検査画像の優先順位に応じて1、2、3・・・というように表示順序が設定される。ディスプレイ構成がデュアルディスプレイの場合には、表示画面が2面あるので、同時に2種類の検査画像を表示することが可能である。したがって、2種類の検査画像の組み合わせの場合には、2台のディスプレイ(No1とNo2)のそれぞれの表示順序が、ともに「1」に設定される。
表示順序制御テーブル121cには、レコード毎に、ディスプレイNo、表示順序の他に、画面分割数、分割領域内順序の2つの項目が記録される。画面分割数は、1台のディスプレイの画面を複数の領域に分割する場合の分割数である。CT画像のような断層画像は、数十枚以上の断層画像がセットとして取り扱われるので、ディスプレイの画面を分割して、1画面内に複数枚の断層画像が同時に表示されることが一般的である。画面分割数の項目では、標準的に採用される分割数が設定される。本例においては、「12」である。分割領域内順序は、画面分割した場合の各分割領域内における表示順序である。断層画像は、体軸方向など特定の方向に沿ったシリーズ画像なので、撮影順が設定される。
図12〜図14を参照しながら、上記構成による作用を説明する。放射線検査科の読影医は、レポートを作成する際に、レポート作成端末125でRADサーバ110にアクセスして、ワークリスト111を取得する。ワークリスト111は、レポート作成端末121のコンソールに表示される。関連オーダについては、RADサーバ110によって関連付け処理がなされており、ワークリスト111には、関連オーダの相互に対応するオーダ番号が表示される。
レポート作成端末125に表示されたワークリスト111から、レポートを作成するオーダが選択される。選択されたオーダに関連するオーダがある場合には、一括表示ボタン115がクリック操作されると、レポート作成端末121は、関連する複数のオーダの配信要求を画像サーバ18に送信し、対応する検査画像のデータを受信する。
表示制御部121aは、受信した複数の検査種の検査画像に対応するオーダから検査種と撮影部位を読み出して、検査画像の組み合わせを判定する。そして、表示制御部121aは、ディスプレイ構成情報121bを読み出して、レポート作成端末121のディスプレイ構成を判定する。表示制御部121aは、表示順序テーブル121cを参照して、判定した組み合わせに対応するレコードを読み出し、受信した複数の検査種の検査画像の表示順序を判定する。
図13に示すように、レポート作成端末121がシングルディスプレイの場合には、表示順序に従って、1種類ずつ検査画像を表示する。胸部を撮影したCR画像とCT画像の組み合わせであれば、最初に、表示順序が先のCR画像を表示する。表示制御部121aは、コンソールから画像の切り替え指示が入力されると、表示する画像を、表示順序が後のCT画像に切り替える。図14に示すように、レポート作成端末121がデュアルディスプレイの場合には、2種類の検査画像をそれぞれのディスプレイに割り当てて同時に表示する。これにより、撮影順序やオーダの依頼順序に関わらず、診断に適した順番で検査画像を表示することができる。
上記実施形態では、2種類の検査画像の組み合わせを例に説明したが、3種類以上の検査画像の組み合わせでもよい。また、検査種に加えて撮影部位も区別した組み合わせの例で説明したが、撮影部位を区別しなくてもよい。また、ディスプレイ構成として、シングルディスプレイとデュアルディスプレイを例に説明したが、3台以上のマルチディスプレイでもよい。
また、表示装置として、レポート作成端末を例に説明したが、レポート作成機能を有しない表示端末でもよい。また、依頼医が使用する診療科端末など、診療科に配置される表示端末でもよい。
また、検査画像を例に説明したが、心電図、生理検査といった画像検査以外で得られた検査データでもよいし、レポートのデータを含めた種々の検査結果のデータに適用することも可能である。
上記説明から、以下の発明を把握することができる。
「発明1」
関連する複数のオーダに対応する、複数の医療検査の検査結果を表示する表示手段と、前記各検査結果の組み合わせに応じて、前記表示手段に表示する検査結果の表示順序を制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
「発明2」
関連する複数のオーダに対応する、複数の医療検査の検査結果の組み合わせに応じて各検査結果の表示順序を判定する判定ステップと、
判定した表示順序に従って、各検査結果を表示手段に表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする表示方法。
「発明3」
関連する複数のオーダに対応する、複数の医療検査の検査結果を表示する表示機能と、前記各検査結果の組み合わせに応じて、前記表示手段に表示する検査結果の表示順序を制御する表示制御機能とをコンピュータに実行させることを特徴とする表示プログラム。