以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送システムの一例を示す。充電器500(電子機器の1つ)は送電装置10を有する。電子機器510は受電装置40を有する。また電子機器510は、操作用のスイッチ部514やバッテリー90を有する。なお図1(A)ではバッテリー90を模式的に示しているが、このバッテリー90は実際には電子機器510に内蔵されている。図1(A)の送電装置10と受電装置40により本実施形態の無接点電力伝送システムが構成される。
充電器500には、電源アダプター502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、電子機器510のバッテリー90を充電し、電子機器510内のデバイスを動作させることができる。
なお充電器500の電源は、USB(USBケーブル)による電源であってもよい。また、本実施形態が適用される電子機器510としては種々の機器を想定できる。例えば補聴器、腕時計、生体情報測定装置(ウェアラブル機器)、携帯情報端末(スマートフォン、携帯電話機等)、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピューター、ハンディターミナル、電気自動車、或いは電動自転車などの種々の電子機器を想定できる。
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することなどで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
2.送電装置、受電装置、送電側、受電側の制御装置
図2に本実施形態の送電装置10、受電装置40、送電側の制御装置20、受電側の制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2の送電装置10を含む。また受電側の電子機器510は、少なくとも受電装置40とバッテリー90と電力供給対象100を含むことができる。電力供給対象100は、例えば処理部(DSP等)などの各種のデバイスである。そして図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、バッテリー90の充電等を行う無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、表示部16、制御装置20を含む。なお送電装置10は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
送電部12は、電力伝送時において所定周波数の交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。この送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバーDR1や、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバーDR2や、電源電圧制御部14を含む。また送電部12は、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのキャパシター(コンデンサー)を含むことができる。
送電部12の送電ドライバーDR1、DR2の各々は、例えばパワーMOSトランジスターにより構成されるインバーター回路(バッファー回路)などにより実現される。これらの送電ドライバーDR1、DR2は、制御装置20のドライバー制御回路22により制御(駆動)される。
送電部12の電源電圧制御部14は、送電ドライバーDR1、DR2の電源電圧VDRVを制御する。例えば制御部24は、受電側から受信した通信データに基づいて、電源電圧制御部14を制御する。これにより、送電ドライバーDR1、DR2に供給される電源電圧VDRVが制御されて、例えば送電電力の可変制御等が実現される。この電源電圧制御部14は、例えばDCDCコンバーターなどにより実現できる。例えば電源電圧制御部14は、電源からの電源電圧(例えば5V)の昇圧動作を行って、送電ドライバー用の電源電圧VDRV(例えば6V〜15V)を生成して、送電ドライバーDR1、DR2に供給する。具体的には、送電装置10から受電装置40への送電電力を高くする場合には、電源電圧制御部14は、送電ドライバーDR1、DR2に供給する電源電圧VDRVを高くし、送電電力を低くする場合には、電源電圧VDRVを低くする。
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に電子機器510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と電子機器510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLEDやLCDなどにより実現できる。
制御装置20は、送電側の各種制御を行うものであり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この制御装置20は、ドライバー制御回路22、制御部24、通信部30を含む。また制御装置20は、クロック生成回路37、発振回路38を含むことができる。なお制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えばクロック生成回路、発振回路等)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば送電部12等を制御装置20に内蔵させる変形実施も可能である。
ドライバー制御回路22は、受電装置40に電力を送電する送電部12の送電ドライバーDR1、DR2を制御する。例えばドライバー制御回路22は、送電ドライバーDR1、DR2を構成するトランジスターのゲートに対して制御信号(駆動信号)を出力し、送電ドライバーDR1、DR2により1次コイルL1を駆動させる。
制御部24は、送電側の制御装置20の各種の制御処理を実行する。例えば制御部24は、ドライバー制御回路22の制御を行う。具体的には制御部24は、電力伝送、通信処理等に必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。この制御部24は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線手法で生成されたロジック回路や、或いはマイクロコンピューターなどの各種のプロセッサーにより実現できる。
通信部30は、受電装置40との間での通信データの通信処理を行う。例えば通信部30は、負荷変調により通信データを送信する受電装置40(制御装置50)との間での通信処理を行う。具体的には通信部30は、受電装置40からの通信データを検出して受信するための処理を行う。
発振回路38は、例えば水晶発振回路などにより構成され、1次側のクロック信号を生成する。クロック生成回路37は、駆動周波数を規定する駆動クロック信号等を生成する。そして、ドライバー制御回路22は、この駆動クロック信号や制御部24からの制御信号などに基づいて、所与の周波数(駆動周波数)の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2に出力して、制御する。
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、制御装置50を含む。なお受電装置40は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
制御装置50は、受電側の各種制御を行うものであり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この制御装置50は、受電部52、制御部54、負荷変調部56、充電部58、放電部60を含む。また不揮発性メモリー62、検出部64を含むことができる。なお制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば受電部52等を制御装置50の外部に設けるなどの変形実施が可能である。
受電部52は、送電装置10からの電力を受電する。具体的には受電部52は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流の整流電圧VCCに変換して、出力する。この変換は受電部52が有する整流回路53により行われる。整流回路53は、例えば複数のトランジスターやダイオードなどにより実現できる。
制御部54は、受電側の制御装置50の各種の制御処理を実行する。例えば制御部54は、負荷変調部56、充電部58、放電部60の制御を行う。また受電部52や不揮発性メモリー62や検出部64などの制御を行うこともできる。この制御部54は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線手法で生成されたロジック回路や、或いはマイクロコンピューターなどの各種のプロセッサーにより実現できる。
負荷変調部56は負荷変調を行う。例えば負荷変調部56は電流源ISを有し、この電流源ISを用いて負荷変調を行う。具体的には、負荷変調部56は電流源IS(定電流源)とスイッチ素子SWを有する。電流源ISとスイッチ素子SWは、例えば整流電圧VCCのノードNVCとGND(広義には低電位側電源電圧)のノードとの間に直列に設けられる。そして、例えば制御部54からの制御信号に基づいてスイッチ素子SWがオン又はオフにされ、ノードNVCからGNDに流れる電流源ISの電流(定電流)をオン又はオフにすることで、負荷変調が実現される。
なお、ノードNVCにはキャパシターCMの一端が接続される。このキャパシターCMは例えば制御装置50の外付け部品として設けられる。またスイッチ素子SWはMOSのトランジスターなどにより実現できる。このスイッチ素子SWは、電流源ISの回路を構成するトランジスターとして設けられるものであってもよい。また負荷変調部56は図2の構成に限定されず、例えば電流源ISの代わりとして抵抗を用いるなどの種々の変形実施が可能である。
充電部58はバッテリー90の充電(充電制御)を行う。例えば充電部58は、送電装置10からの電力を受電する受電部52が受電した電力に基づいて、バッテリー90を充電する。例えば充電部58は、受電部52からの整流電圧VCC(広義には直流電圧)に基づく電圧が供給されて、バッテリー90を充電する。この充電部58はCC充電回路59を含むことができる。CC充電回路59は、バッテリー90のCC(Constant-Current)充電を行う回路である。
放電部60はバッテリー90の放電動作を行う。例えば放電部60(電力供給部)は、バッテリー90の放電動作を行って、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して供給する。例えば放電部60は、バッテリー90のバッテリー電圧VBATが供給され、出力電圧VOUTを電力供給対象100に供給する。この放電部60はチャージポンプ回路61を含むことができる。チャージポンプ回路61は、バッテリー電圧VBATを降圧(例えば1/3降圧)して、出力電圧VOUT(VBAT/3)を電力供給対象100に対して供給する。この放電部60(チャージポンプ回路)は、例えばバッテリー電圧VBATを電源電圧として動作する。
バッテリー90は例えば充電可能な二次電池であり、例えばリチウム電池(リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等)、ニッケル電池(ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等)などである。電力供給対象100は、例えば、処理部(DSP、マイコン)などのデバイス(集積回路装置)であり、受電装置40を内蔵する電子機器510(図1(A))に設けられ、バッテリー90の電力供給対象となるデバイスである。
不揮発性メモリー62は、各種の情報を記憶する不揮発性のメモリーデバイスである。この不揮発性メモリー62は、例えば受電装置40(制御装置50)のステータス情報等の各種の情報を記憶する。不揮発性メモリー62としては、例えばEEPROMなどを用いることができる。EEPROMとしては例えばMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリーを用いることができる。例えばMONOS型のメモリーを用いたフラッシュメモリーを用いることができる。或いはEEPROMとして、フローティングゲート型などの他のタイプのメモリーを用いてもよい。
検出部64は各種の検出処理を行う。例えば検出部64は、整流電圧VCCやバッテリー電圧VBAT等を監視して、各種の検出処理を実行する。具体的には検出部64はA/D変換回路65を有し、整流電圧VCCやバッテリー電圧VBATに基づく電圧や、不図示の温度検出部からの温度検出電圧などを、A/D変換回路65によりA/D変換し、得られたデジタルのA/D変換値を用いて検出処理を実行する。検出部64が行う検出処理としては、過放電、過電圧、過電流、或いは温度異常(高温、低温)の検出処理を想定できる。例えば充電時に検出部64が過電圧、温度異常を検出することで、過電圧保護、高温保護、低温保護を実現できる。また放電時に検出部64が過放電、過電流を検出することで、過放電保護、過電流保護を実現できる。
3.無接点電力伝送システムの動作シーケンス
次に本実施形態の無接点電力伝送システムの動作シーケンスの一例について説明する。図3は動作シーケンスの概要を説明する図である。
図3のA1では、受電装置40を有する電子機器510が、送電装置10を有する充電器500に上に置かれておらず、取り去り状態になっている。この場合にはスタンバイステートとなる。このスタンバイステートでは、送電側はウェイティング状態となり、受電側は放電動作オンの状態となる。
具体的にはスタンバイステートでは、送電装置10の送電部12は、着地検出のための間欠送電を行う。即ち、送電部12は、通常送電のような連続送電は行わずに、所与の期間毎に間欠的に電力を送電する間欠送電を行って、電子機器510の着地を検出する状態になる。またスタンバイモードでは、受電装置40では、電力供給対象100への放電動作がオンになっており、電力供給対象100への電力供給がイネーブルになっている。即ち、受電装置40の放電部60は、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に放電する動作を行う。これにより、処理部等の電力供給対象100は、バッテリー90からの電力が供給されて動作可能になる。
図3のA2に示すように、電子機器510が充電器500に上に置かれ、着地が検出されると、通信チェック&充電ステートになる。この通信チェック&充電ステートでは、送電側は通常送電を行い、受電側は、充電動作がオンになると共に、放電動作がオフになる。また受電側は、負荷変調による通信データの送信を行う。
具体的には通信チェック&充電ステートでは、送電装置10の送電部12は、連続送電である通常送電を行う。この際に、電力伝送の状態などに応じて電力が可変に変化する電力制御を行いながら、通常送電を行う。またバッテリー90の充電状態に基づく制御も行われる。電力伝送の状態は、例えば1次コイルL1、2次コイルL2の位置関係(コイル間距離等)などにより決まる状態であり、例えば受電部52の出力電圧である整流電圧VCCなどの情報に基づいて判断できる。バッテリー90の充電状態は、例えばバッテリー電圧VBATなどの情報に基づいて判断できる。
また通信チェック&充電ステートでは、受電装置40の充電部58の充電動作がオンになり、受電部52が受電した電力に基づいてバッテリー90の充電が行われる。また放電部60の放電動作がオフになり、バッテリー90からの電力が、電力供給対象100に供給されなくなる。また通信チェック&充電ステートでは、負荷変調部56の負荷変調により、通信データが送電側に送信される。例えば電力伝送状態情報(VCC等)や、充電状態情報(VBATや各種のステータスフラグ等)や、温度などの情報を含む通信データが、通常送電期間中の常時の負荷変調により、受電側から送電側に送信される。例えば送電部12の電源電圧制御部14による電力制御は、通信データに含まれる電力伝送状態情報などに基づいて行われる。
図3のA3に示すように、バッテリー90の満充電が検出されると、満充電スタンバイステートになる。満充電スタンバイステートでは、送電側はウェイティング状態となり、受電側は、放電動作オフのままの状態となる。
具体的には、送電部12は、例えば取り去り検出のための間欠送電を行う。即ち、送電部12は、通常送電のような連続送電は行わずに、所与の期間毎に間欠的に電力を送電する間欠送電を行って、電子機器510の取り去りを検出する状態になる。また放電部60の放電動作はオフのままとなり、電力供給対象100への電力供給もディスエーブルのままとなる。
図3のA4に示すように電子機器510の取り去りが検出されると、A5に示すように電子機器510が使用状態になり、受電側の放電動作がオンになる。
具体的には、放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が放電部60を介して電力供給対象100に供給される。これにより、バッテリー90からの電力が供給されて、処理部等の電力供給対象100が動作し、ユーザーが電子機器510を通常に使用できる状態となる。
以上のように本実施形態では図3のA2に示すように、電子機器510の着地が検出されると、通常送電が行われ、この通常送電期間において常時の負荷変調が行われる。また着地が検出されると、放電部60の放電動作が停止する。そして、この常時の負荷変調では、送電側の電力制御のための情報や受電側のステータスを表す情報を含む通信データが、受電側から送電側に送信される。例えば電力制御のための情報(電力伝送状態情報)を通信することで、例えば1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係等に応じた最適な電力制御を実現できる。また受電側のステータスを表す情報を通信することで、最適で安全な充電環境を実現できる。そして本実施形態では、負荷変調が継続している間は、通常送電も継続され、放電部60の放電動作もオフのままになる。
また本実施形態では図3のA3に示すように、バッテリー90の満充電が検出されると、通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われる。そしてA4、A5に示すように、取り去りが検出されて、取り去り期間になると、放電部60の放電動作が行われる。これによりバッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されて、電子機器510の通常動作が可能になる。なお、着地検出や取り去り検出は、受電部52の出力電圧(例えば整流電圧VCC)に基づいて行われる。
このように本実施形態では、電子機器510のバッテリー90の充電期間(通常送電期間)においては、電力供給対象100への放電動作がオフになるため、充電期間において電力供給対象100により無駄に電力が消費されてしまう事態を抑制できる。
そして、電子機器510の取り去りが検出されると、通常送電から間欠送電に切り替わると共に、電力供給対象100への放電動作がオンになる。このように放電動作がオンになることで、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになり、処理部(DSP)等の電力供給対象100の通常動作が可能になる。このようにすることで、例えば電子機器510が充電器500の上に置かれる充電期間においては動作しないようなタイプの電子機器510(例えば、補聴器等のユーザーが装着する電子機器)において、好適な無接点電力伝送の動作シーケンスを実現できる。即ち、このようなタイプの電子機器510では、充電期間(通常送電期間)において、バッテリー90からの電力の放電動作がオフになることで、省電力化を実現できる。そして、取り去りが検出されると、自動的に放電動作がオンになることで、電子機器510の電力供給対象100である各種のデバイスに対して、バッテリー90からの電力が供給され、当該デバイスが動作できるようになり、電子機器510の通常の動作モードに自動的に移行できるようになる。
図4、図5、図6は本実施形態の無接点電力伝送システムの動作シーケンスを説明するための信号波形図である。
図4のB1は、図3のA1のスタンバイステートであり、着地検出用の間欠送電が行われている。即ち、期間TL1の間隔毎に期間TL2の間隔の送電が行われる。TL1の間隔は例えば3秒であり、TL2の間隔は例えば50ミリ秒である。そして図4のB2、B3では、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCは6.0V以下であるため、負荷変調による通信は行われない。
一方、B4では整流電圧VCCが着地検出の閾値電圧である6.0Vを超えたため、B5に示すように負荷変調部56が負荷変調を開始する。即ち、B2、B3ではL1、L2のコイルが十分には電磁的結合状態になっていないが、B4ではL1、L2のコイルが図1(B)に示すように適正な電磁的結合状態になっている。このため、整流電圧VCCが上昇して、6.0Vを超え、負荷変調が開始する。そして、この負荷変調(空の通信データ)が送電側により検出されると、B6に示すように送電部12による通常送電が開始する。B6の通常送電は、B1の間欠送電とは異なる連続送電であり、この通常送電による電力により、充電部58によるバッテリー90の充電が開始する。この時、放電部60の放電動作はオフになっている。また、B5に示す負荷変調により、整流電圧やバッテリー電圧やステータスフラグなどの各種の情報を含む通信データが、受電側から送電側に送信されて、送電制御が実行される。なお、B5の負荷変調は、B7に示す着地検出用の間欠送電により整流電圧VCCが上昇したことにより開始している。
図5のC1では、バッテリー90の充電が行われる通常送電期間において、電子機器510が取り去られている。このC1の取り去りは、C2、C3に示すように、バッテリー90の満充電前の取り去りである。即ち、満充電フラグが非アクティブレベルであるLレベルになっている状態での取り去りである。
このように電子機器510の取り去りが行われると、送電側の電力が受電側に伝達されなくなり、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが低下する。そしてC4に示すように例えばVCC<3.1Vになると、C5に示すように負荷変調部56による負荷変調が停止する。負荷変調が停止すると、C6に示すように送電部12による通常送電が停止する。
また、整流電圧VCC(出力電圧)が低下し、例えば判定電圧である例えば3.1Vを下回ると、不図示の受電側のスタートキャパシターの放電が開始する。このスタートキャパシターは、受電側の放電動作の起動用(起動期間の計測用)のキャパシターであり、例えば受電側の制御装置50の外付け部品として設けられる。そして、整流電圧VCCが判定電圧(3.1V)を下回ってから、起動期間TSTが経過すると、C8に示すように放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。具体的には、スタートキャパシターの電圧(充電電圧)が放電動作オンのための閾値電圧を下回ると、起動期間TSTが経過したと判断され、放電部60の放電動作がオンになって、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して放電される。これにより、図3のA5に示すように電子機器510が使用可能な状態になる。また送電部12は、通常送電を停止した後、C9に示すように、着地検出用の間欠送電を行うようになる。
図6のD1では、満充電フラグがアクティブレベルであるHレベルになっており、バッテリー90の満充電が検出されている。このように満充電が検出されると、図3のA3に示すように満充電スタンバイステートに移行し、D2に示すように満充電後の取り去り検出用の間欠送電が行われる。即ち、期間TR1の間隔毎に期間TR2の間隔の送電が行われる。TR1の間隔は例えば1.5秒であり、TR2の間隔は例えば50ミリ秒である。取り去り検出用の間欠送電の期間TR1の間隔は、着地検出用の間欠送電の期間TL1の間隔に比べて、短くなっている。
この取り去り検出用の間欠送電により、図6のD3、D4に示すように受電部52の整流電圧がVCC>6.0となり、D5、D6に示すように負荷変調が行われる。送電側は、この負荷変調(空の通信データ等)を検出することで、電子機器510が未だ取り去られていないことを検出できる。
そして、前述のスタートキャパシターにより設定されるD7に示す起動期間TSTの間隔(例えば3秒)に比べて、取り去り検出用の間欠送電の期間TR1の間隔(例えば1.5秒)は短い。従って、電子機器510が取り去られていない状態では、スタートキャパシターの電圧(充電電圧)は、放電動作オンのための閾値電圧VTを下回らず、D8に示すように放電動作のオフからオンへの切り替わりは行われない。
一方、D9では、電子機器510が取り去られている。そして、D4に示す取り去り検出用の間欠送電の期間TR2の終了後に、D10に示すように、受電部52の整流電圧VCCは判定電圧である3.1Vを下回るため、D7に示す起動期間TSTの計測がスタートする。そしてD11では、スタートキャパシターの電圧が放電動作オンのための閾値電圧VTを下回っており、起動期間TSTの経過が検出されている。これにより、放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。またD12に示すように、電子機器510の着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
図7は、温度異常(温度エラー)によるオーバーオールのウェイトステートでの動作シーケンスを説明するための信号波形図である。
図7のE1では、例えばバッテリー温度が50度に達する温度異常(高温異常)が検出されており、温度エラーフラグがアクティブレベルであるHレベルになっている。この場合に本実施形態では、E2に示すようにオーバーオールのウェイト期間TOWが設定される。このウェイト期間TOWでは、通常送電は停止し、例えば取り去り検出用の間欠送電が行われる。つまり、図6で説明した満充電スタンバイステートと同様の間欠送電が行われる。例えば温度エラーフラグを含む通信データが、負荷変調により受電側から送電側に送信され、これにより送電部12の通常送電が停止し、間欠送電が開始する。
ウェイト期間TOWの間隔は例えば5分であり、ウェイト期間TOWでは、連続送電である通常送電は行われず、バッテリー90の充電が行われない。このためバッテリー90が放熱し、図7のE3に示すようにバッテリー温度が低下する。そしてウェイト期間TOWが経過すると、E4に示すように通常送電が再開し、バッテリー90の充電が再開する。この時、本実施形態では、E5に示すように充電回数を表すサイクル回数の更新処理は行われない。即ち、温度異常に起因するバッテリー充電の繰り返しは、充電回数に含めるべきではないため、サイクル回数(サイクルタイム)を+1する更新処理は行われない。
図7のE6では、再びバッテリー温度が50度に達し、温度エラーフラグがHレベルになっている。これによりE7に示すウェイト期間TOWが設定され、通常送電が停止して、間欠送電が行われるようになる。
そして図7のE8では、電子機器510が取り去られており、図6で説明したスタートキャパシターの電圧が閾値電圧VTを下回ると、E9に示すように放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わる。そしてE10に示すように送電部12による着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
以上のように本実施形態では、図4のB5に示すように受電装置40が負荷変調を開始したことを条件に、B6に示すように送電部12による通常送電が開始する。そしてB5の負荷変調が継続されている間は、B6に示す通常送電は継続する。具体的には図5のC5に示すように負荷変調が非検出となった場合に、C6に示すように送電部12による通常送電が停止する。そしてC9に示すように送電部12による着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
このように本実施形態では、負荷変調の開始を条件に通常送電を開始し、負荷変調が継続されている間は通常送電を継続し、負荷変調が非検出になると通常送電を停止するという動作シーケンスを採用している。このようにすれば、複雑な認証処理等を不要にでき、シンプルで簡素な動作シーケンスで、無接点電力伝送と、負荷変調による通信を実現できるようになる。また、通常送電期間中において、常時の負荷変調による通信を行うことで、電力伝送の状態等に応じた効率的な無接点電力伝送も実現できるようになる。
また本実施形態では、図6のD1に示すように、受電側からの通信データに基づいて受電装置40のバッテリー90の満充電が検出された場合には、D2に示すように、送電部12による通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われるようになる。そしてD9に示すように電子機器510が取り去られて、当該取り去りが検出されると、D12に示すように送電部12による着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
このようにすれば、満充電が検出されると、連続送電である通常送電が停止し、間欠的に電力を伝送する間欠送電に移行するようになる。これにより、取り去り期間等において、無駄に電力が消費されてしまうのを抑制でき、省電力化等を図れるようになる。
また本実施形態では、通信データに基づいて受電側の異常が検出された場合にも、送電部12による通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われるようになる。この受電側の異常とは、例えばバッテリー90の電圧が1.0Vを下回るバッテリーフェールなどのバッテリー充電エラーや、充電時間が所定期間(例えば6〜8時間)を超えてしまうタイマーエンドのエラーなどである。このようにすれば、受電側の異常が検出された場合に、連続送電である通常送電が自動的に停止して、間欠送電に移行するようになるため、安全性や信頼性等を確保できる。
また受電側の異常として、温度異常が生じた場合にも、送電部12による通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われる。但し、温度異常の場合には、図7に示すような特別な動作シーケンスが実行される。具体的には、図7のE1に示すように通信データ(温度エラーフラグ)に基づいて受電装置40のバッテリー90の温度異常(高温エラー)が検出された場合に、通常送電が停止し、E2に示すようにウェイト期間TOWの間、送電部12による間欠送電が行われる。そしてウェイト期間TOWの経過後に、E4に示すように送電部12による通常送電が再開する。
このようにすれば、温度異常の場合には、ウェイト期間TOWが設定され、そのウェイト期間TOWの間は、連続送電である通常送電は行われず、バッテリー90の充電も行われないようになる。これにより、ウェイト期間TOWを利用して、バッテリー90の放熱等が可能になる。また、ウェイト期間TOWの経過後に、通常送電によるバッテリー90の充電を再開できる。従って、例えば高温の環境等での適切なバッテリー90の充電制御等を実現できるようになる。
また本実施形態では、図5、図6で説明したように、受電装置40は、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが低下し、放電動作の起動期間TSTが経過した後に、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して放電する。具体的には整流電圧VCCが判定電圧(3.1V)を下回ってから、起動期間TSTが経過した後に、放電動作が開始する。即ち、図5のC8や図6のD11に示すように、放電部60の放電動作がオンになって、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。そして本実施形態では、図6のD2とD7に示すように、起動期間TST(例えば3秒)よりも短い期間TR1(例えば1.5秒)の間隔で、取り去り検出用の間欠送電が行われる。
このようにすれば、取り去り検出用の期間TR1の長さでは、起動期間TSTは経過しないため、取り去り検出用の間欠送電の期間においては放電部60の放電動作はオンにならないようになる。そして図6のD9に示すように、電子機器510が取り去られると、取り去り検出用の間欠送電の期間のように整流電圧VCCが定期的に上昇することはなくなり、D7に示す起動期間TSTが経過することで、D11に示すように放電部60の放電動作がオンになる。従って、電子機器510の取り去りを検出して、自動的に、放電部60の放電動作をオンにして、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に供給できるようになる。
4.スイッチ部を用いた電力制御
上述したように、本実施形態では受電装置40の取り去りが検出されたことをトリガーとして、放電部60による放電が開始される。具体的には、制御部54は、受電部52の出力電圧VCCが低下し(狭義には判定閾値を下回ってから)、放電動作の起動期間が経過した後に、放電部60の放電を開始すればよい。ここでの判定閾値とは、例えば図5を用いて上述したように3.1Vである。また、起動期間とは、図5等のTSTに対応し、例えば3秒といった期間となる。
このような制御を行う場合、制御部54は、受電部52が電力を受電しているときに充電されるキャパシターの放電動作を、受電部52の出力電圧VCCが判定閾値を下回った場合に開始し、キャパシターの電圧が所与の閾値電圧VT以下となった場合に、放電部60の放電を開始すればよい。ここでのキャパシターとは、図5、図6におけるスタートキャパシターである。このキャパシターは制御装置50の外付け部品として設けることができる。
図6を用いて上述したように、スタートキャパシターを用いることで、送電装置10の間欠送電を行っている間は、放電部60の放電を行わないことが可能になる。言い換えれば、制御部54は、通常送電期間においては、放電部60の放電を停止する。つまり、満充電となった後も、取り去りが行われない限りは放電が開始されないため、消費電力の低減が可能になる。一方、スタートキャパシターの充電電圧がVT以下となる、すなわち所定期間TSTだけ受電部52での受電が行われなければ、放電部60の放電が開始されるため、受電装置40が取り去られることで、自動的に放電を開始することが可能になる。
なお、詳細については後述するが、制御部54は、通常送電期間において、負荷変調部56の負荷変調により送電装置10に対して通信データを送信する。ここでの通常送電期間とは、受電装置40の充電部58によりバッテリー90の充電を行うための電力を送電する期間である。また、通信データとは例えば図17(A)、図17(B)を用いて後述するデータであり、具体的には無接点電力伝送システムの電力制御に用いられる情報である。
本実施形態に係る制御部54は、充電系の制御部と、放電系の制御部とを含んでもよい。充電系の制御部は、受電部52の出力電圧VCCに基づく電圧で動作し、充電系の各部の制御を行う。具体的には、充電系の制御部は図19を用いて後述するVD5に基づいて動作し、負荷変調部56や充電部58、不揮発性メモリー62等の制御を行う。また、放電系の制御部は、バッテリー電圧VBATに基づく電圧で動作し、放電系の各部の制御を行う。具体的には、放電系の制御部はバッテリー電圧VBATに基づいて動作し、放電部60等の制御を行う。取り去りをトリガーとして放電を開始する制御は、放電系の制御部により行われる。また、後述するスイッチ部514に基づく放電の停止(開始)制御も、放電系の制御部により行われる。
具体的には、制御装置50は、VCCが3.1V以上の場合にローレベルとなり、VCCが3.1Vを下回った場合に、ハイレベルとなる信号を出力する回路を含んでもよい。ローレベルの場合にリセットし、ハイレベルの場合にリセットを解除するものとすれば、当該信号は充電系の制御部のパワーオンリセット信号として利用することができ、上記回路はパワーオンリセット回路と考えることができる。また、当該信号を放電系の制御部にも出力し、放電系の制御部では当該信号に基づいてスタートキャパシターの充電及び放電の制御を行ってもよい。一例としては、放電系の制御部は、入力信号がハイレベルの場合に、スタートキャパシターにVBATに基づく電圧を供給して充電を行い、ローレベルの場合にスタートキャパシターを(例えば所与の抵抗を介して)グラウンドに接続して放電を行う回路を有してもよい。また、放電系の制御部は、放電部60(チャージポンプ回路61)のオンオフについても、上記信号により制御を行ってもよい。
しかし、このように自動的に放電が開始される場合、取り去りは行われたが受電装置40を含む電子機器510を使用しない、という状況における電力消費を考慮する必要がある。典型的には、電子機器510の生産、出荷から、当該電子機器510が使用開始されるまでの期間(以下、保管期間)での電力消費である。
電子機器510を使用するユーザーからすれば、電子機器510の入手後、当該電子機器を即座に(充電を行わなくても)使用できることが望ましい。そのため、電子機器510の製造メーカー等では、バッテリーをできるだけ充電した状態で(狭義には満充電の状態で)出荷することになる。しかし、上述したように本実施形態の受電装置40の放電部60は、取り去りをトリガーに動作を開始するため、バッテリー90の消費も開始される。すなわち、通常動作時と同様の消費電力となるため、例えば数十mAといった高出力を行う場合には消費電力も大きくなり、保管期間において充電不足となっている可能性が高い。
例えば、4.2Vのリチウムイオン電池を用いる場合であって、保管期間を22ヶ月とした場合、保管期間経過後に電子機器510が充電不足となっていないためには、当該保管期間での電流値を0.2μA程度に抑える必要がある。そして、取り去りをトリガーとした放電を継続した場合、この条件を満たすことは非常に難しい。
従来手法では、電池を別梱包にする、又は絶縁シートで電池の接点を接触させないなどの処置を行うことで、出荷後の消費電力を抑え、保管期間の要件を満たすようにしていた。しかし、このような手法は、工数が増加するし利便性もよくない。また、電池を単体で扱うには安全性を配慮しなくてはいけないという課題もある。
さらにいえば、取り去り後に電子機器510を使用しないという状況は、上記の保管期間に限定されるものではない。例えば、ユーザーが長期旅行等に出かけるのでその間の電子機器510の使用を行わないといったように、充電器500からは電子機器510を取り去っておくが、電子機器510の使用を想定していないという状況は多々考えられる。その場合、ユーザーに電池を取り外す、或いは絶縁シートを挿入するといった作業を強いることは好ましいとは言えない。
以上を踏まえて、本実施形態では消費電力を抑えた動作モード(後述する図10のオフ状態)を用意し、容易に実行できる操作により、当該動作モードへの遷移を行うものとする。具体的には、制御装置50は、スイッチ部514の操作状態を監視する監視部70を含み、制御部54は、受電装置40の取り去りが検出された場合に、放電部60の放電を行わせ、監視部70によってスイッチ部514のオフ操作が検出された場合に、放電部60の放電を停止する。
このようにすれば、取り去りをトリガーとして放電が開始されたとしても、スイッチ部514を操作することで放電を停止できるため、消費電力を低減することが可能になる。上記の例であれば、電子機器510の製造メーカー等では、バッテリー90を満充電した後、スイッチ部514のオフ操作を行ってから電子機器510を出荷することで、保管期間が長期にわたったとしても、当該保管期間内での消費電力を低減することが可能になる。
図8に監視部70の具体的な構成を示す。監視部70は、レギュレーター71と、発振回路72と、タイマー73と、プルアップ用の抵抗RPと、シュミットトリガーSHとを含む。
レギュレーター71は、バッテリー90の電圧を降圧する。例えば、レギュレーター71は、バッテリー電圧VBATを1.3Vに降圧するものであってもよい。抵抗RPは、レギュレーター71の出力ノードと、スイッチ部514の一端との間に設けられる。スイッチ部514は、例えば制御装置50の外部に設けられ、一端(ノードXCE)が抵抗RPに接続され、他端側が所与の基準電位(例えば図8に示したようにグラウンド)に接続される。スイッチ部514の構成は種々考えられるが、一例としてはボタンであり、当該ボタンは押下されている間はノードXCEとグラウンドとを接続を行い、押下されていない場合はノードXCEとグラウンドとの間を開放するものであってもよい。
本実施形態の監視部70は、スイッチ部514の一端(XCE)の電圧に基づいて、スイッチ部514の操作状態を判定する。具体的には、監視部70は、タイマー73の計測結果に基づいて、スイッチ部514の操作状態を判定する。ここで、発振回路72は、レギュレーター71の出力電圧に基づいて発振するものであり、低消費電力を実現可能である。一例としては、発振回路72はリングオシレーターであってもよい。また、タイマー73は、発振回路72からのクロック信号に基づいて、上記一端の電圧(XCEの電圧)が第1の電圧レベルである期間を測定するものである。図8に示したように、タイマー73は、入力信号の揺らぎを除去するシュミットトリガーSHを介してノードXCEに接続されるとともに、発振回路72からのクロック信号を受信する。
図8の例の場合、スイッチ部514が操作され、XCEとグラウンドとが接続された場合、XCEの電圧はローレベル(第1の電圧レベル、グラウンドの電位)に低下する。一方、スイッチ部514が操作されていない場合には、XCEとグラウンドとの間が開放となるため、XCEはレギュレーター71の出力電圧に基づくハイレベル(第2の電圧レベル)となる。つまり、スイッチ部514の一端の電圧が第1の電圧レベルか否かに基づいて、スイッチの操作状態を判定できる。
その際、発振回路72とタイマー73を用いることで、XCEが第1の電圧レベルとなっている期間に基づく判定が可能になる。一例としては、XCEが第1の電圧レベルとなった期間が、3秒以上継続した場合に、オフ操作が行われたと判定すればよい。このようにすれば、例えば上述したように、押下していない場合にXCEの電圧が第2の電圧レベルとなるようなボタンとしてスイッチ部514が実現される場合、当該ボタンの長押し判定等が可能である。この場合、タイマー73はXCEが第1の電圧レベルとなった期間の計測を行い、当該期間が3秒を超えたか否かを判定することになる。図8に示したように、タイマー73の計測によりオフ操作が検出された場合には、放電部60(狭義にはチャージポンプ回路61)をオフにするための制御信号が出力される。
このように、長押し判定を行う(広義には第1の電圧レベルとなっている期間に基づく判定を行う)ことで、ボタンを短く押した場合と長押しした場合とを異なる操作状態であると判定できる。そのため、シンプルなスイッチ部514の構成でも、利用可能な操作の種類数を増やす、すなわち多様な入力を行うことが可能になる。或いは、短い時間の操作ではオフ操作と判定されないため、誤操作による放電部60の放電停止を抑止可能である。
図9(A)はスイッチ部514の操作に基づく動作シーケンスを説明するための信号波形図である。まずG1に示すように整流電圧が所与の閾値(3.1V)以下になると、スタートキャパシターの放電が始まり、G2に示すように期間TSTの経過後に、スタートキャパシターの電圧が閾値電圧VTを下回ることで、G3に示すように放電動作が開始される。詳細については、図5、図6を用いて上述したとおりである。
その後は、通常であれば着地検出等が行われるまで放電が継続されるが、上述したように監視部70では、スイッチ部514の操作状態を監視し、オフ操作が行われたか否かの判定を行っている。具体的には、ノードXCEの電圧が第1の電圧レベル(ローレベル)となった期間を計測すればよい。
例えば、図9(A)のG3ではXCEの電圧は第1の電圧レベルとなっているが、所与の期間(3秒)継続せずに、第2の電圧レベルに戻っている。これは例えば、ボタンの押下が3秒よりも短かったケースである。この場合、当該操作はオフ操作として認識されないため、図9(A)に示したように放電動作は継続される。
一方、G4では、XCEの電圧が第1の電圧レベルとなった期間が、所与の期間(3秒)継続している。そのため、監視部70ではオフ操作が行われたと判定し、G5に示したように放電部60の放電動作が停止される。
オフ操作が行われて放電動作が停止した場合、放電動作の再開をどのようなトリガーで行うかは種々の変形実施が可能である。例えば、図5等に示したように取り去りをトリガーとしてもよい。この場合、スイッチ部514のオフ操作による放電停止は、取り去り状態で行われることが前提である以上、一度受電装置40(電子機器510)を送電装置10(充電器500)に着地させ、その後に再度取り去りを行うことになる。しかしそれでは充電を目的としない(放電開始のためだけの)着地が必要となるため、ユーザーにとって煩わしい可能性もある。そのため、オフ操作が行われ放電動作が停止した状態において、スイッチ部514を用いたオン操作により、放電動作を再開してもよい。
具体的には、制御部54は、放電部60の放電が停止された後、監視部70によってスイッチ部514のオン操作が検出された場合に、放電部60の放電を開始する。ここでのオン操作は、オフ操作と同様の操作であってもよいし、異なる動作であってもよい。一例としては、オフ操作と同様に、ノードXCEの電圧が第1の電圧レベル(ローレベル)となった期間が所定期間継続した場合に、オン操作を検出してもよい。
図9(A)のG6では、放電動作が停止している状態において、ノードXCEの電圧がローレベルとなった期間が3秒継続した。よって、監視部70は、ここでのスイッチ部514の操作をオン操作として判定し、制御部54はG7に示したように、放電部60の放電動作を再開する。
以上に示したように、本実施形態ではスイッチ部514の操作により放電動作を停止することができるため、取り去りをトリガーとして自動的に放電が開始される場合であっても、取り去り後の消費電力を低減することが可能になる。しかし、消費電力を低減したとしても完全に0になるわけではなく、バッテリー電圧VBATは時間とともに低下していく。そのため、上記の手法を用いたとしても、バッテリー90が過放電となる可能性が残っている。
そして、過放電となってしまえばその二次電池の再利用が難しくなることから、バッテリー90の破損を抑止するためにも、過放電となる前のバッテリー電圧低下状態(過放電状態)を検出する過放電検出を行う必要性は高い。
本実施形態の制御装置50(狭義には検出部64)は、バッテリー90の過放電状態の検出を行う過放電検出回路66を含んでもよい。この際、過放電検出を低消費電力で行うことを考慮すれば、過放電検出回路の動作タイミングを決定するタイマー74にクロック信号を供給する発振回路は、低い電圧で動作するものを用いるとよい。
よって一例としては、上記のタイマー73にクロック信号を出力する発振回路72を、過放電検出回路66の動作用のタイマー74にも併用するとよい。具体的には図8に示したように、発振回路72は、タイマー74に対してクロック信号を出力する。タイマー74は、過放電検出回路66に接続され、クロック信号に基づく計測により、所定間隔で過放電検出回路66を動作させる。例えば、過放電検出回路66が12秒ごとに動作するものであれば、タイマー74は12秒を計測するためのタイマーとなる。なお過放電検出回路66の動作レートは12秒に1回に限定されるものではなく、15秒に1回等、異なるレートを用いてもよい。
そして、過放電検出回路66により過放電状態が検出された場合、バッテリー90の破損を抑止するため、可能な限り制御装置50の各部の動作を停止させる。例えば、過放電状態でなければ、放電動作がオン/オフのいずれであっても、過放電検出回路66や、過放電検出回路66を動作させるためのレギュレーター71、発振回路72、タイマー74等を動作させておく必要があるが、過放電状態の検出後はこれらの動作を停止する。また、図9(A)のG6,G7に示したように、放電動作の再開をスイッチ部514の操作により行う場合、オフ状態でもタイマー73を動作させておく必要があるが、過放電状態ではこの動作も停止するとよい。
すなわち、監視部70は、過放電検出回路66により過放電状態が検出された場合に、動作を停止することになる。このようにすれば、過放電状態検出後の消費電力を非常に小さくできるため、バッテリー90の破損の可能性を抑止できる。具体的には、過放電状態が検出された場合には、過放電検出回路66は図8に示したように、レギュレーター71の動作を停止するフラグ情報を出力すればよい。レギュレーター71が停止すれば、発振回路72等に電源が供給されなくなるため、監視部70は動作を停止する。
図10に、受電装置40の取り去り後における、制御装置50の動作状態を表す状態遷移図を示す。制御装置50は、DCDC回路(放電部60)が放電動作を行っているオン状態と、放電動作が停止しているオフ状態と、過放電検出後に対応するシャットダウン状態のいずれかの状態をとる。
オン状態とは、通常動作状態であり、取り去りをトリガーとする放電開始後はまずオン状態となる。オン状態において、上述したスイッチ部514のオフ操作が行われた場合に、オフ状態に遷移する。また、オフ状態において、上述したスイッチ部514のオン操作が行われた場合には、オン状態へ遷移する。つまり、オン状態とオフ状態とは、監視部70によりスイッチ部514のオフ操作或いはオン操作が検出されたことを条件に、相互に遷移する関係にある。
一方、オン状態とオフ状態のいずれの状態においても、上述したように過放電検出回路66が動作している。そして、オン状態で過放電状態が検出された場合、及びオフ状態で過放電状態が検出された場合のいずれの場合も、シャットダウン状態へ遷移する。シャットダウン状態では、放電部60の放電動作だけでなく、監視部70も動作を停止している。シャットダウン状態となった場合、バッテリー90の充電が行われない限り、停止している回路を動作させることは想定されないため、図10ではシャットダウン状態から、オン状態やオフ状態への直接的な遷移を記載していない。
なお、以上ではスイッチ部514の例として、押下している間だけXCEの電圧をローレベルにするボタンを用いて説明を行ったが、スイッチ部514の構成はこれに限定されない。例えば、スイッチ部514がトグルスイッチのように複数の状態を取り得るスイッチとして実現されてもよく、トグルスイッチが第1の状態の場合にXCEとグラウンドが接続され、トグルスイッチが第2の状態の場合にXCEとグラウンドの間が開放されるものとしてもよい。
トグルスイッチを用いる場合、当該スイッチを第1の状態(第2の状態)とすれば、ユーザーが何らかのスイッチ操作を継続しなくても、XCEの電圧がローレベル(ハイレベル)となる状態が継続されるため、上述した長押しといった操作は観念しづらい。よって、監視部70はタイマー73を用いた計測を行わずに、XCEの電圧に基づいてスイッチ部514の操作状態を判定してもよい。一例としては、XCEの電圧レベルをローレベルとする操作をオン操作と判定し、ハイレベルとする操作をオフ操作とすればよい。この例では、トグルスイッチを第1の状態にする操作がオン操作であり、第2の状態とする操作がオフ操作となる。なお、XCEの電圧レベルとオン・オフの関係を逆にするといった変形実施も可能である。
図9(B)は、トグルスイッチ等を用いる場合の、スイッチ部514の操作に基づく動作シーケンスを説明するための信号波形図である。H1〜H3は、図9(A)のG1〜G3と同様であり、取り去りをトリガーとした放電動作の開始を表す。
図9(B)では、取り去り時にはスイッチ部514は第1の状態であり、XCEの電圧はローレベルであることを想定している。そして、スイッチ部514を第2の状態とする操作が行われると、H4に示したようにXCEの電圧はハイレベルとなるため、監視部70はオフ操作を検出し、H5に示したように制御部54は放電動作を停止する。
一方、スイッチ部514を第1の状態とする操作が行われると、H6に示したようにXCEの電圧はローレベルとなるため、監視部70はオン操作を検出し、H5に示したように制御部54は放電動作を開始(再開)する。
図9(A)、図9(B)に示したように、監視部70でスイッチ部514の操作状態を検出する際には、所与の電圧レベルの継続時間を用いてもよいし、単純に電圧レベルのみを用いてもよく、さらに言えばオン状態とオフ状態との間の遷移を識別可能な他の手法を用いてもよい。また、図9(A)、図9(B)のような制御を実現するためのスイッチ部514の物理的な(機械的な)構成は種々の変形実施が可能である。
また、本実施形態の手法は制御装置50を含む電子機器に適用することができる。制御装置50を含む電子機器510は、上述したように補聴器等の種々の形態が考えられる。
また、本実施形態の手法は上述した送電装置10と受電装置40とを含む無接点電力伝送システムに適用できる。送電装置10は、受電装置40に電力を送電すると共に、負荷変調により通信データを送信する受電装置40との間での通信処理を行い、受電装置40は、送電装置10から受電した電力に基づいて、バッテリー90を充電し、負荷変調により、送電装置10に対して通信データを送信し、バッテリー90の放電動作を行って、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して供給するとともに、スイッチ部514の操作状態を監視する。そして、受電装置40は、受電装置40の取り去りが検出された場合に、バッテリー90の放電を行い、スイッチ部514のオフ操作が検出された場合に、バッテリー90の放電を停止する。
5.通信手法
図11は、負荷変調による通信手法を説明する図である。図11に示すように、送電側(1次側)では、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2が1次コイルL1を駆動する。具体的には送電ドライバーDR1、DR2は、電源電圧制御部14から供給された電源電圧VDRVに基づいて動作して、1次コイルL1を駆動する。
一方、受電側(2次側)では、2次コイルL2のコイル端電圧を受電部52の整流回路53が整流し、ノードNVCに整流電圧VCCが出力される。なお、1次コイルL1とキャパシターCA1により送電側の共振回路が構成され、2次コイルL2とキャパシターCA2により受電側の共振回路が構成されている。
受電側では、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン・オフさせることで、電流源ISの電流ID2をノードNVCからGND側に間欠的に流して、受電側の負荷状態(受電側の電位)を変動させる。
送電側では、負荷変調による受電側の負荷状態の変動により、電源ラインに設けられたセンス抵抗RCSに流れる電流ID1が変動する。例えば送電側の電源(例えば図1(A)の電源アダプター502等の電源装置)と電源電圧制御部14との間に、電源に流れる電流を検出するためのセンス抵抗RCSが設けられている。電源電圧制御部14は、このセンス抵抗RCSを介して電源から電源電圧が供給される。そして負荷変調による受電側の負荷状態の変動により、電源からセンス抵抗RCSに流れる電流ID1が変動し、通信部30が、この電流変動を検出する。そして通信部30は、検出結果に基づいて、負荷変調により送信される通信データの検出処理を行う。
図12に通信部30の具体的な構成の一例を示す。図12に示すように通信部30は、電流検出回路32、比較回路34、復調部36を含む。また、信号増幅用のアンプAP、フィルター部35を含むことができる。なお通信部30は図12の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えばバンドパスフィルター部)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
電流検出回路32は、電源(電源装置)から送電部12に流れる電流ID1を検出する。具体的には電源から電源電圧制御部14を介して送電部12に流れる電流ID1を検出する。この電流ID1は、例えばドライバー制御回路22等に流れる電流を含んでいてもよい。
図12では、電流検出回路32は、IV変換用アンプIVCにより構成される。IV変換用アンプIVCは、その非反転入力端子(+)がセンス抵抗RCSの一端に接続され、その反転入力端子(−)がセンス抵抗RCSの他端に接続される。そしてIV変換用アンプIVCは、センス抵抗RCSに微少の電流ID1が流れることで生成される微少の電圧VC1−VC2を増幅して、検出電圧VDTとして出力する。この検出電圧VDTは、アンプAPにより更に増幅されて、検出電圧VDTAとして比較回路34に出力される。具体的にはアンプAPは、その非反転入力端子に検出電圧VDTが入力され、その反転入力端子に基準電圧VRFが入力され、基準電圧VRFを基準として増幅された検出電圧VDTAの信号を出力する。
比較回路34は、電流検出回路32による検出電圧VDTAと、判定用電圧VCP=VRF+VOFFとの比較判定を行う。そして比較判定結果CQを出力する。例えば検出電圧VDTAが判定用電圧VCPを上回っているか、或いは下回っているかの比較判定を行う。この比較回路34は、例えばコンパレーターCPにより構成できる。この場合に、例えば判定用電圧VCP=VRF+VOFFの電圧VOFFは、コンパレーターCPのオフセット電圧などにより実現してもよい。
復調部36は、比較回路34の比較判定結果CQ(フィルター処理後の比較判定結果FQ)に基づいて負荷変調パターンを判断する。即ち、負荷変調パターンの復調処理を行うことで、通信データを検出し、検出データDATとして出力する。送電側の制御部24は、この検出データDATに基づいて種々の処理を行う。
なお図12では、比較回路34と復調部36との間にフィルター部35が設けられている。そして復調部36は、フィルター部35によるフィルター処理後の比較判定結果FQに基づいて、負荷変調パターンを判断する。このフィルター部35としては、例えばデジタルフィルターなどを用いることができるが、フィルター部35としてパッシブのフィルターを用いてもよい。フィルター部35を設けることで、例えば後述する図14のF1、F2でのノイズの悪影響等を低減できる。
フィルター部35、復調部36は、例えば駆動クロック信号FCKが供給されて動作する。駆動クロック信号FCKは、送電周波数を規定する信号であり、ドライバー制御回路22は、この駆動クロック信号FCKが供給されて、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2を駆動する。そして、1次コイルL1は、この駆動クロック信号FCKで規定される周波数(送電周波数)で駆動されることになる。
なお、通信部30に、負荷変調の周波数帯域の信号を通過させ、負荷変調の周波数帯域以外の帯域の信号を減衰させるバンドパスフィルター処理を行うバンドパスフィルター部を設けてもよい。この場合には通信部30は、バンドパスフィルター部の出力に基づいて受電装置40からの通信データを検出する。具体的には、バンドパスフィルター部は、電流検出回路32による検出電圧VDTに対して、バンドパスフィルター処理を行う。そして比較回路34は、バンドパスフィルター部によるバンドパスフィルター処理後の検出電圧VDTAと判定用電圧VCPの比較判定を行う。このバンドパスフィルター部は、例えばIV変換用アンプIVCとアンプAPの間に設けることができる。
図13は、受電側の通信構成を説明する図である。受電部52は、駆動クロック信号FCKに対応する周波数のクロック信号を抽出して、通信データ生成部55に供給する。通信データ生成部55は、図2の制御部54に設けられており、供給されたクロック信号に基づいて通信データの生成処理を行う。そして通信データ生成部55は、生成された通信データを送信するための制御信号CSWを負荷変調部56に出力し、この制御信号CSWにより例えばスイッチ素子SWのオン・オフ制御を行って、通信データに対応する負荷変調を負荷変調部56に行わせる。
負荷変調部56は、例えば第1の負荷状態、第2の負荷状態というように、受電側の負荷状態(負荷変調による負荷)を変化させることで、負荷変調を行う。第1の負荷状態は、例えばスイッチ素子SWがオンになる状態であり、受電側の負荷状態(負荷変調の負荷)が高負荷(インピーダンス小)になる状態である。第2の負荷状態は、例えばスイッチ素子SWがオフになる状態であり、受電側の負荷状態(負荷変調の負荷)が低負荷(インピーダンス大)になる状態である。
そして、これまでの負荷変調手法では、例えば第1の負荷状態を、通信データの論理レベル「1」(第1の論理レベル)に対応させ、第2の負荷状態を、通信データの論理レベル「0」(第2の論理レベル)に対応させて、受電側から送電側への通信データの送信を行っていた。即ち、通信データのビットの論理レベルが「1」である場合には、スイッチ素子SWをオンにし、通信データのビットの論理レベルが「0」である場合には、スイッチ素子SWをオフにすることで、所定のビット数の通信データを送信していた。
しかしながら、例えばコイル間の結合度が低かったり、コイルが小型であったり、送電電力も低パワーであるような用途では、このような従来の負荷変調手法では、適正な通信の実現が難しい。即ち、負荷変調により受電側の負荷状態を、第1の負荷状態、第2の負荷状態というように変化させても、ノイズ等が原因で、通信データの論理レベル「1」、「0」のデータ検出エラーが発生してしまう。即ち、受電側で負荷変調を行っても、この負荷変調により、送電側のセンス抵抗RCSに流れる電流ID1は、非常に微少な電流となる。このため、ノイズが重畳すると、データ検出エラーが発生し、ノイズ等を原因とする通信エラーが発生してしまう。
例えば図14は、検出電圧VDTA、比較回路34の判定用電圧VCP及び比較判定結果CQの信号波形を模式的に示した図である。図14に示すように、検出電圧VDTAは、基準電圧VRFを基準にして変化する電圧信号になっており、判定用電圧VCPは、この基準電圧VRFにコンパレーターCPのオフセット電圧VOFFを加算した電圧信号になっている。
そして図14に示すように、例えば検出電圧VDTAの信号にノイズが重畳すると、F1、F2に示すように比較判定結果CQの信号のエッジの位置が変化し、期間TM1の幅(間隔)が長くなったり、短くなるというように変動してしまう。例えば期間TM1が論理レベル「1」に対応する期間であるとすると、期間TM1の幅が変動すると、通信データのサンプリングエラーが発生してしまい、通信データの検出エラーが生じる。特に、通常送電期間において常時の負荷変調を行って通信を行う場合には、通信データに重畳されるノイズが多くなる可能性があり、通信データの検出エラーが発生する確率が高くなってしまう。
そこで本実施形態では、通信データの各ビットの論理レベル「1」(データ1)、論理レベル「0」(データ0)を、負荷変調パターンを用いて、受電側から送信し、送電側において検出する手法を採用している。
具体的には図15に示すように、受電側の負荷変調部56は、送電装置10に送信する通信データの第1の論理レベル「1」については、負荷変調パターンが第1のパターンPT1となる負荷変調を行う。一方、通信データの第2の論理レベル「0」については、負荷変調パターンが第1のパターンPT1とは異なる第2のパターンPT2となる負荷変調を行う。
そして送電側の通信部30(復調部)は、負荷変調パターンが第1のパターンPT1である場合には、第1の論理レベル「1」の通信データであると判断する。一方、負荷変調パターンが第1のパターンPT1とは異なる第2のパターンPT2である場合には、第2の論理レベル「0」の通信データであると判断する。
ここで負荷変調パターンは、第1の負荷状態と第2の負荷状態で構成されるパターンである。第1の負荷状態は、負荷変調部56による受電側の負荷が、例えば高負荷になる状態である。具体的には、図15において、第1の負荷状態の期間TM1は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになって、電流源ISの電流がノードNVCからGND側に流れる期間であり、第1、第2のパターンPT1、PT2のHレベル(ビット=1)に対応する期間である。
一方、第2の負荷状態は、負荷変調部56による受電側の負荷が、例えば低負荷になる状態である。具体的には、図15において第2の負荷状態の期間TM2は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオフになる期間であり、第1、第2のパターンPT1、PT2のLレベル(ビット=0)に対応する期間である。
そして図15において、第1のパターンPT1は、第1の負荷状態の期間TM1の幅が第2のパターンPT2に比べて長くなるパターンとなっている。このように第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第2のパターンPT2に比べて長い第1のパターンPT1については、論理レベル「1」であると判断される。一方、第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第1のパターンPT1に比べて短い第2のパターンPT2については、論理レベル「0」であると判断される。
図15に示すように、第1のパターンPT1は、例えば(1110)のビットパターンに対応するパターンである。第2のパターンPT2は、例えば(1010)のビットパターンに対応するパターンである。これらのビットパターンにおいて、ビット=1は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになる状態に対応し、ビット=0は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオフになる状態に対応する。
例えば受電側は、送信する通信データのビットが論理レベル「1」である場合には、第1のパターンPT1に対応する(1110)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。具体的には、スイッチ素子SWを、順に、オン、オン、オン、オフにするスイッチ制御を行う。そして送電側は、負荷変調パターンが、(1110)のビットパターンに対応する第1のパターンPT1であった場合には、通信データのビットの論理レベルは「1」であると判断する。
一方、受電側は、送信する通信データのビットが論理レベル「0」である場合には、第2のパターンPT2に対応する(1010)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。具体的には、スイッチ素子SWを、順に、オン、オフ、オン、オフにするスイッチ制御を行う。そして送電側は、負荷変調パターンが、(1010)のビットパターンに対応する第2のパターンPT2であった場合には、通信データのビットの論理レベルは「0」であると判断する。
ここで、送電部12の駆動周波数をFCKとし、駆動周期をT=1/FCKとした場合には、第1、第2のパターンPT1、PT2の長さは、例えば512×Tと表すことができる。この場合に、1つのビット区間の長さは、(512×T)/4=128×Tと表される。従って、受電側は、通信データのビットが論理レベル「1」である場合には、例えば128×Tの間隔で、第1のパターンPT1に対応する(1110)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。また受電側は、通信データのビットが論理レベル「0」である場合には、例えば128×Tの間隔で、第2のパターンPT2に対応する(1010)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。
一方、送電側は、例えば図16に示す手法で通信データの検出処理及び取り込み処理を行う。例えば通信部30(復調部)は、第1のパターンPT1における第1の負荷状態の期間TM1内に設定された第1のサンプリングポイントSP1から、所与のサンプリング間隔SIで負荷変調パターンのサンプリングを行って、所与のビット数の通信データを取り込む。
例えば図16のサンプリングポイントSP1、SP2、SP3、SP4、SP5、SP6は、サンプリング間隔SI毎に設定されるサンプリングポイントである。このサンプリング間隔SIは、負荷変調パターンの長さに対応する間隔である。即ち、負荷変調パターンである第1、第2のパターンPT1、PT2の長さに対応する間隔である。例えば図15では、第1、第2のパターンPT1、PT2の長さは512×T(=512/FCK)となっているため、サンプリング間隔SIの長さも512×Tになる。
そして図16では、期間TS1、TS2、TS3、TS4、TS5、TS6での負荷変調パターンは、各々、PT1、PT2、PT1、PT2、PT2、PT2になっている。ここで期間TS1、TS2、TS3、TS4、TS5、TS6はサンプリングポイントSP1、SP2、SP3、SP4、SP5、SP6に対応する期間である。従って、図16の場合には、第1のサンプリングポイントSP1から、サンプリング間隔SIで負荷変調パターンのサンプリングを行うことで、例えばビット数=6である通信データ(101000)が取り込まれることになる。
具体的には通信部30は、信号レベルがHレベルとなるパルスを検出し、そのパルスの幅が第1の範囲幅内(例えば220×T〜511×T)である場合に、ビット同期を行う。そして、ビット同期した場合には、そのパルス幅の中心点に第1のサンプリングポイントSP1を設定し、第1のサンプリングポイントSP1からサンプリング間隔SI(例えば512×T)毎に信号を取り込む。そして取り込んだ信号のレベルが、Hレベルであれば、論理レベル「1」(第1のパターンPT1)であると判断し、Lレベルであれば、論理レベル「0」(第2のパターンPT2)であると判断する。このようにすることで、図16では、通信データ(101000)が取り込まれることになる。実際には、ビット同期後(SP1での1ビット分のデータを取り込んだ後)、15ビット分のデータを取り込むことで、全体として16ビット分の通信データが取り込まれる。この16ビットの通信データでは最初の1ビット(ビット同期したビット)は必ず「1」になる。
このように本実施形態では、第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第1の範囲幅内(220×T〜511×T)である場合に、図16に示すように、第1の負荷状態の期間TM1内に、第1のサンプリングポイントSP1を設定する。即ち、信号レベルがHレベルとなる期間TM1の幅が、第1の範囲幅内である場合に、ビット同期を行い、その期間TM1内の例えば中心点に、第1のサンプリングポイントSP1を設定する。そして、設定された第1のサンプリングポイントSP1から、サンプリング間隔SI毎にサンプリングを行う。ここで第1の範囲幅(220×T〜511×T)は、第1のパターンPT1における第1の負荷状態の期間TM1(384×T)に対応して設定される範囲幅である。
即ち、図14で説明したように、ノイズ等が原因となって、期間TM1の幅は変動してしまう。そして第1のパターンPT1における期間TM1の幅のティピカル値は、3ビット分(111)に対応する幅である128×3×T=384×Tである。従って、この384×Tを含むような第1の範囲幅220×T〜511×Tを設定する。そして、第1の範囲幅220×T〜511×T内であるHレベルの期間については、第1のパターンPT1の期間TM1であると判断し、第1のサンプリングポイントSP1を設定するためのビット同期を行う。このようにすることで、図14に示すようにノイズが信号に重畳している場合にも、適正なビット同期を行って、適切な第1のサンプリングポイントSP1を設定できるようになる。
そして、このように第1のサンプリングポイントSP1を設定した後は、サンプリング間隔SI毎にサンプリングを行い、各サンプリングポイントでの信号レベルに基づいて、第1、第2のパターンPT1、PT2のいずれなのかを判断する。即ち、通信部30は、第1のサンプリングポイントSP1の次の第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第1の負荷状態である場合(信号レベルがHレベルである場合)には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第1のパターンPT1であると判断する。即ち、通信データのビットの論理レベルが「1」であると判断する。
一方、第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第2の負荷状態である場合(信号レベルがLレベルである場合)には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第2のパターンPT2であると判断する。即ち、通信データのビットの論理レベルが「0」であると判断する。その後のサンプリングポイントにおいても同様である。
例えば図16では、サンプリングポイントSP2での負荷状態は第2の負荷状態(Lレベル)であるため、第2のパターンPT2であると判断され、論理レベルが「0」であると判断される。サンプリングポイントSP3での負荷状態は第1の負荷状態(Hレベル)であるため、第1のパターンPT1であると判断され、論理レベルが「1」であると判断される。サンプリングポイントSP4、SP5、SP6での負荷状態は第2の負荷状態(Lレベル)であるため、第2のパターンPT2であると判断され、論理レベルが「0」であると判断される。
なお、図16の各サンプリングポイントSP2〜SP6において、そのサンプリングポイントを含む負荷状態の期間の幅が、所定の幅範囲内であるか否かを確認するようにしてもよい。
例えば第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第1の負荷状態(Hレベル)であり、且つ、第2のサンプリングポイントSP2を含む第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第1の範囲幅内(220×T〜511×T)である場合には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第1のパターンPT1(論理レベル「1」)であると判断する。
一方、第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第2の負荷状態(Lレベル)であり、且つ、第2のサンプリングポイントSP2を含む第2の負荷状態の期間TM2の幅が、第2の範囲幅内(例えば80×T〜150×T)である場合には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第2のパターンPT2(論理レベル「0」)であると判断する。
ここで第2の範囲幅(80×T〜150×T)は、第2のパターンPT2における第2の負荷状態の期間TM2(128×T)に対応して設定される範囲幅である。期間TM2のティピカル値は、1ビットに対応する幅である128×Tとなるため、この128×Tを含むような第2の範囲幅80×T〜150×Tが設定される。
以上のように本実施形態では、負荷変調パターンを判別して通信データの論理レベルを判定している。例えば従来では、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになる第1の負荷状態を論理レベル「1」と判断し、スイッチ素子SWがオフになる第2の負荷状態を論理レベル「0」と判断するような手法を採用している。しかしながら、この従来例の手法では、図14で説明したように、ノイズ等が原因で通信データの検出エラーが発生してしまうおそれがある。
これに対して本実施形態では、負荷変調パターンが、例えば図15に示すような第1、第2のパターンPT1、PT2のいずれであるかを判別することで、通信データの各ビットの論理レベルを検出している。従って、図14のようなノイズが多いような状況においても、通信データの適正な検出が可能になる。即ち、図15の第1、第2のパターンPT1、PT2では、例えば第1の負荷状態(Hレベル)の期間TM1の幅が大きく異なっており、本実施形態では、この期間TM1の幅の違いを判別することで、パターンを判別して、通信データの各ビットの論理レベルを検出している。例えば図16の最初のビット同期において、期間TM1の幅が第1の範囲幅内(220×T〜511×T)である場合に、その期間TM1の中心点にサンプリングポイントSP1を設定し、その後のサンプリングポイントSP2、SP3、SP4・・・での信号の取り込みを行っている。従って、例えばノイズが原因でサンプリングポイントSP1での期間TM1の幅等が変動した場合にも、通信データの適正な検出が可能になる。また、以降のサンプリングポイントSP2、SP3、SP4・・・は、サンプリング間隔SIに基づき簡素な処理で設定できるため、通信データの検出処理の処理負荷も軽減できるという利点がある。
なお本実施形態の通信手法は、図15、図16等で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図15では第1のパターンPT1に論理レベル「1」を対応づけ、第2のパターンPT2に論理レベル「0」を対応づけているが、この対応づけは逆であってもよい。また、図15の第1、第2のパターンPT1、PT2は負荷変調パターンの一例であり、本実施形態の負荷変調パターンはこれに限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図15では、第1、第2のパターンPT1、PT2は同じ長さに設定されているが、異なる長さに設定してもよい。また図15では、ビットパターン(1110)の第1のパターンPT1と、ビットパターン(1010)の第2のパターンPT2を用いているが、これらとは異なったビットパターンの第1、第2のパターンPT1、PT2を採用してもよい。例えば第1、第2のパターンPT1、PT2は、少なくとも第1の負荷状態の期間TM1(或いは第2の負荷状態の期間TM2)の長さが異なるパターンであればよく、図15とは異なる種々のパターンを採用できる。
図17(A)、図17(B)に、本実施形態で用いられる通信データのフォーマットの例を示す。
図17(A)では、通信データは64ビットで構成され、この64ビットで1つのパケットが構成される。一番目の16ビットは00hとなっている。例えば受電側の負荷変調を検出して送電側が通常送電(或いは間欠送電)を開始する場合に、通信部30の電流検出回路32等が動作して、通信データを適正に検出できるようになるまでに、ある程度の時間が必要になる。このため、一番目の16ビットには、ダミー(空)のデータである00hを設定する。送電側は、この1番目の16ビットの00hの通信期間において、例えばビット同期のために必要な種々の処理を行うことになる。
次の2番目の16ビットには、データコードと、整流電圧(VCC)の情報が設定される。データコードは、図17(B)に示すように、次の3番目の16ビットで通信されるデータを特定するためのコードである。整流電圧(VCC)は、送電装置10の送電電力設定情報として用いられる。具体的には、電源電圧制御部14は、この整流電圧(VCC)の情報等に基づいて、送電ドライバーDR1、DR2に供給する電源電圧VDRVを可変に制御し、これにより送電部12の送電電力を可変に制御する。
3番目の16ビットには、データコードでの設定に従って、温度、バッテリー電圧、充電電流、ステータスフラグ、サイクル回数、或いはIC番号などの情報が設定される。温度は例えばバッテリー温度などである。バッテリー電圧、充電電流は、バッテリー90の電圧(VBAT等)、充電電流であり、充電状態を表す情報である。ステータスフラグは、例えば温度エラー(高温異常、低温異常)、バッテリーエラー(1.0V以下のバッテリー電圧)、過電圧エラー、タイマーエラー、満充電(ノーマルエンド)などの受電側のステータスを表す情報である。サイクル回数(サイクルタイム)は充電回数を表す情報である。IC番号は、制御装置のICを特定するための番号である。4番目の16ビットにはCRCの情報が設定される。CRCは、CRCのエラーチェックのための情報である。
なお、図4において電子機器510の着地が検出されて、VCC>6.0Vになった場合に、B5の負荷変調では、まず初めに例えば1パケット(64ビット)の空データ(ダミーデータ)の通信データが送信される。そして送電側は、この空データの通信データを検出して、通常送電を開始することになる。
図18は、本実施形態の通信処理の詳細例を説明するフローチャートである。まず、受電側(制御部54)は、整流電圧がVCC>6.0Vであるか否かを判断する(ステップS1)。例えば送電側が電力を送電すると、受電側が受電した電力により整流電圧VCCが上昇して、VCC>6.0Vになる。例えば受電側の制御装置50は、送電側の送電電力による電源で動作する。このため、送電側から電力が送電されていない期間では、制御装置50(放電系の回路を除く)は電源が供給されず、例えばリセット状態となっている。
整流電圧がVCC>6.0になると、受電側は、まず初めに、負荷変量によりIC番号を送電側に送信する(ステップS2)。例えば図17(A)、図17(B)において、データコードによりIC番号の通信を指定して、IC番号の情報を含む通信データを送信する。
そして、例えばバッテリー電圧がVBAT<2.5Vのときの予備充電(過放電バッテリーに対する充電)の場合や、VBAT<1.0Vのときのバッテリーエラーの場合など、通常充電を開始できなかった場合(ステップS3:NO)には、受電側は、整流電圧、充電電圧、充電電流、温度、ステータスフラグ等の情報を含む通信データを負荷変調により送信する(ステップS4)。
一方、通常充電を開始できた場合(ステップS3:YES)には、充電のサイクル回数を1だけインクリメントし(ステップS5)、インクリメント後のサイクル回数を負荷変調により送信する(ステップS6)。そして通常充電の期間では、整流電圧、充電電圧、充電電流、温度、ステータスフラグ等の情報を含む通信データの送信が繰り返される(ステップS7)。送電側は、これらの情報に基づいて受電側の充電状態等を判断できる。
なお、以上では本実施形態の通信手法の一例を示したが、本実施形態の通信手法はこれに限定されず種々の変形実施が可能である。例えば本実施形態の通信手法は、図15、図16のように負荷変調パターンを論理レベルに対応づける手法には限定されず、例えば第1の負荷状態を論理レベル「1」に対応づけ、第2の負荷状態を論理レベル「0」に対応づける手法などを採用してもよい。また、通信データのフォーマットや通信処理も図16、図17に示す手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。
6.受電部、充電部
図19に、受電部52、充電部58等の詳細な構成例を示す。図19に示すように、受電部52の整流回路53は、整流用のトランジスターTA1、TA2、TA3、TA4と、これらのトランジスターTA1〜TA4を制御する整流制御部51を有する。
トランジスターTA1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と、GND(低電位側電源電圧)のノードとの間に設けられる。トランジスターTA2は、ノードNB1と整流電圧VCCのノードNVCとの間に設けられる。トランジスターTA3は、2次コイルL2の他端のノードNB2と、GNDのノードとの間に設けられる。トランジスターTA4は、ノードNB2とノードNVCとの間に設けられる。これらのトランジスターTA1〜TA4の各々のドレイン・ソース間にはボディーダイオードが設けられている。整流制御部51は、トランジスターTA1〜TA4のゲートに対して制御信号を出力して、整流電圧VCCを生成するための整流制御を行う。
整流電圧VCCのノードNVCとGNDのノードとの間には抵抗RB1、RB2が直列に設けられている。整流電圧VCCを、抵抗RB1、RB2で電圧分割した電圧ACH1が、例えば図2のA/D変換回路65に入力される。これにより整流電圧VCCの監視が可能になり、整流電圧VCCの情報に基づく電力制御等を実現できる。
レギュレーター57は、整流電圧VCCの電圧調整(レギュレート)を行って、電圧VD5を出力する。この電圧VD5は、トランジスターTC1を介して、充電部58のCC充電回路59に供給される。トランジスターTC1は、例えばバッテリー電圧VBATが所与の電圧(例えば4.25V)を超える過電圧の検出時において、制御信号GC1に基づいてオフになる。なお制御装置50の各回路(放電部60等の放電系の回路を除く回路)は、この電圧VD5に基づく電圧(VD5をレギュレートした電圧等)を電源電圧として動作する。
CC充電回路59は、トランジスターTC2と、演算増幅器OPCと、抵抗RC1と、電流源ISCを有する。トランジスターTC2は、演算増幅器OPCの出力信号に基づき制御される。演算増幅器OPCの非反転入力端子は、抵抗RC1の一端に接続される。抵抗RC1の他端は、制御装置50の外付け部品として設けられるセンス抵抗RSの一端に接続される。センス抵抗RSの他端は、演算増幅器OPCの反転入力端子に接続される。電流源ISCは、演算増幅器OPCの非反転入力端子とGNDのノードとの間に設けられる。電流源ISCに流れる電流は、信号ICDAに基づいて制御される。
演算増幅器OPCの仮想接地により、抵抗RC1の一端の電圧(非反転入力端子の電圧)と、センス抵抗RSの他端の電圧VCS2(反転入力端子の電圧)が等しくなるように、トランジスターTC2が制御される。信号ICDAの制御により電流源ISCに流れる電流をIDAとし、抵抗RSに流れる電流をIRSとする。すると、IRS×RS=IDA×RC1となるように、制御される。即ち、このCC充電回路59では、センス抵抗RSに流れる電流IRS(充電電流)が、信号ICDAにより設定される一定の電流値になるように制御される。これにより、CC(Constant-Current)充電が可能になる。
充電時には、信号CHONがアクティブになる。これにより、トランジスターTC3、TC4がオン状態になり、バッテリー90への充電が行われるようになる。またトランジスターTC3のゲートとバッテリー電圧VBATのノードNBATとの間に設けられる抵抗RC2等により、バッテリー90からの逆流も防止される。またノードNBATとGNDのノードとの間には抵抗RC3、RC4が直列に設けられており、バッテリー電圧VBATを、抵抗RC3、RC4で電圧分割した電圧ACH2が、A/D変換回路65に入力される。これによりバッテリー電圧VBATの監視が可能になり、バッテリー90の充電状態に応じた各種の制御を実現できる。
またバッテリー90の近くには、サーミスターTH(広義には温度検出部)が設けられている。このサーミスターTHの一端の電圧RCTが制御装置50に入力され、これによりバッテリー温度の測定が可能になる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電側、受電側の制御装置、送電装置、受電装置の構成・動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。