以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送システムの一例を示す。充電器500(電子機器の1つ)は送電装置10を有する。電子機器510は受電装置40を有する。また電子機器510は、操作用のスイッチ部514やバッテリー90を有する。なお図1(A)ではバッテリー90を模式的に示しているが、このバッテリー90は実際には電子機器510に内蔵されている。図1(A)の送電装置10と受電装置40により本実施形態の無接点電力伝送システムが構成される。
充電器500には、電源アダプター502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、電子機器510のバッテリー90を充電し、電子機器510内のデバイスを動作させることができる。
なお充電器500の電源は、USB(USBケーブル)による電源であってもよい。また、本実施形態が適用される電子機器510としては種々の機器を想定できる。例えば補聴器、腕時計、生体情報測定装置(ウェアラブル機器)、携帯情報端末(スマートフォン、携帯電話機等)、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピューター、ハンディターミナル、電気自動車、或いは電動自転車などの種々の電子機器を想定できる。
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することなどで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
2.送電装置、受電装置、送電側、受電側の制御装置
図2に本実施形態の送電装置10、受電装置40、送電側の制御装置20、受電側の制御装置50の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2の送電装置10を含む。また受電側の電子機器510は、少なくとも受電装置40とバッテリー90と電力供給対象100を含むことができる。電力供給対象100は、例えば処理部(DSP等)などの各種のデバイスである。そして図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、バッテリー90の充電等を行う無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、表示部16、制御装置20を含む。なお送電装置10は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部等)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
送電部12は、電力伝送時において所定周波数の交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。この送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバーDR1や、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバーDR2や、電源電圧制御部14を含む。また送電部12は、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのキャパシター(コンデンサー)を含むことができる。
送電部12の送電ドライバーDR1、DR2の各々は、例えばパワーMOSトランジスターにより構成されるインバーター回路(バッファー回路)などにより実現される。これらの送電ドライバーDR1、DR2は、制御装置20のドライバー制御回路22により制御(駆動)される。
送電部12の電源電圧制御部14は、送電ドライバーDR1、DR2の電源電圧VDRVを制御する。例えば制御部24は、受電側から受信した通信データに基づいて、電源電圧制御部14を制御する。これにより、送電ドライバーDR1、DR2に供給される電源電圧VDRVが制御されて、例えば送電電力の可変制御等が実現される。この電源電圧制御部14は、例えばDCDCコンバーターなどにより実現できる。例えば電源電圧制御部14は、電源からの電源電圧(例えば5V)の昇圧動作を行って、送電ドライバー用の電源電圧VDRV(例えば6V〜15V)を生成して、送電ドライバーDR1、DR2に供給する。具体的には、送電装置10から受電装置40への送電電力を高くする場合には、電源電圧制御部14は、送電ドライバーDR1、DR2に供給する電源電圧VDRVを高くし、送電電力を低くする場合には、電源電圧VDRVを低くする。
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に電子機器510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と電子機器510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLEDやLCDなどにより実現できる。
制御装置20は、送電側の各種制御を行うものであり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この制御装置20は、ドライバー制御回路22、制御部24、通信部30を含む。また制御装置20は、クロック生成回路37、発振回路38を含むことができる。なお制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えばクロック生成回路、発振回路等)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば送電部12等を制御装置20に内蔵させる変形実施も可能である。
ドライバー制御回路22は、受電装置40に電力を送電する送電部12の送電ドライバーDR1、DR2を制御する。例えばドライバー制御回路22は、送電ドライバーDR1、DR2を構成するトランジスターのゲートに対して制御信号(駆動信号)を出力し、送電ドライバーDR1、DR2により1次コイルL1を駆動させる。
制御部24は、送電側の制御装置20の各種の制御処理を実行する。例えば制御部24は、ドライバー制御回路22の制御を行う。具体的には制御部24は、電力伝送、通信処理等に必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。この制御部24は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線手法で生成されたロジック回路や、或いはマイクロコンピューターなどの各種のプロセッサーにより実現できる。
通信部30は、受電装置40との間での通信データの通信処理を行う。例えば通信部30は、負荷変調により通信データを送信する受電装置40(制御装置50)との間での通信処理を行う。具体的には通信部30は、受電装置40からの通信データを検出して受信するための処理を行う。
発振回路38は、例えば水晶発振回路などにより構成され、1次側のクロック信号を生成する。クロック生成回路37は、駆動周波数を規定する駆動クロック信号等を生成する。そして、ドライバー制御回路22は、この駆動クロック信号や制御部24からの制御信号などに基づいて、所与の周波数(駆動周波数)の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2に出力して、制御する。
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、制御装置50を含む。なお受電装置40は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
制御装置50は、受電側の各種制御を行うものであり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この制御装置50は、受電部52、制御部54、負荷変調部56、充電部58、放電部60を含む。また不揮発性メモリー62、検出部64を含むことができる。なお制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば受電部52等を制御装置50の外部に設けるなどの変形実施が可能である。
受電部52は、送電装置10からの電力を受電する。具体的には受電部52は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流の整流電圧VCCに変換して、出力する。この変換は受電部52が有する整流回路53により行われる。整流回路53は、例えば複数のトランジスターやダイオードなどにより実現できる。
制御部54は、受電側の制御装置50の各種の制御処理を実行する。例えば制御部54は、負荷変調部56、充電部58、放電部60の制御を行う。また受電部52や不揮発性メモリー62や検出部64などの制御を行うこともできる。この制御部54は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線手法で生成されたロジック回路や、或いはマイクロコンピューターなどの各種のプロセッサーにより実現できる。
負荷変調部56は負荷変調を行う。例えば負荷変調部56は電流源ISを有し、この電流源ISを用いて負荷変調を行う。具体的には、負荷変調部56は電流源IS(定電流源)とスイッチ素子SWを有する。電流源ISとスイッチ素子SWは、例えば整流電圧VCCのノードNVCとGND(広義には低電位側電源電圧)のノードとの間に直列に設けられる。そして、例えば制御部54からの制御信号に基づいてスイッチ素子SWがオン又はオフにされ、ノードNVCからGNDに流れる電流源ISの電流(定電流)をオン又はオフにすることで、負荷変調が実現される。
なお、ノードNVCにはキャパシターCMの一端が接続される。このキャパシターCMは例えば制御装置50の外付け部品として設けられる。またスイッチ素子SWはMOSのトランジスターなどにより実現できる。このスイッチ素子SWは、電流源ISの回路を構成するトランジスターとして設けられるものであってもよい。また負荷変調部56は図2の構成に限定されず、例えば電流源ISの代わりとして抵抗を用いるなどの種々の変形実施が可能である。
充電部58はバッテリー90の充電(充電制御)を行う。例えば充電部58は、送電装置10からの電力を受電する受電部52が受電した電力に基づいて、バッテリー90を充電する。例えば充電部58は、受電部52からの整流電圧VCC(広義には直流電圧)に基づく電圧が供給されて、バッテリー90を充電する。この充電部58はCC充電回路59を含むことができる。CC充電回路59は、バッテリー90のCC(Constant-Current)充電を行う回路である。
放電部60はバッテリー90の放電動作を行う。例えば放電部60(電力供給部)は、バッテリー90の放電動作を行って、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して供給する。例えば放電部60は、バッテリー90の充電電圧VBATが供給され、出力電圧VOUTを電力供給対象100に供給する。この放電部60はチャージポンプ回路61を含むことができる。チャージポンプ回路61は、バッテリー電圧VBATを降圧(例えば1/3降圧)して、出力電圧VOUT(VBAT/3)を電力供給対象100に対して供給する。この放電部60(チャージポンプ回路)は、例えば充電電圧VBATを電源電圧として動作する。
バッテリー90は例えば充電可能な二次電池であり、例えばリチウム電池(リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等)、ニッケル電池(ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等)などである。電力供給対象100は、例えば、処理部(DSP、マイコン)などのデバイス(集積回路装置)であり、受電装置40を内蔵する電子機器510(図1(A))に設けられ、バッテリー90の電力供給対象となるデバイスである。
不揮発性メモリー62は、各種の情報を記憶する不揮発性のメモリーデバイスである。この不揮発性メモリー62は、例えば受電装置40(制御装置50)のステータス情報等の各種の情報を記憶する。不揮発性メモリー62としては、例えばEEPROMなどを用いることができる。EEPROMとしては例えばMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型のメモリーを用いることができる。例えばMONOS型のメモリーを用いたフラッシュメモリーを用いることができる。或いはEEPROMとして、フローティングゲート型などの他のタイプのメモリーを用いてもよい。
検出部64は各種の検出処理を行う。例えば検出部64は、整流電圧VCCや充電電圧VBAT等を監視して、各種の検出処理を実行する。具体的には検出部64はA/D変換回路65を有し、整流電圧VCCや充電電圧VBATに基づく電圧や、不図示の温度検出部からの温度検出電圧などを、A/D変換回路65によりA/D変換し、得られたデジタルのA/D変換値を用いて検出処理を実行する。検出部64が行う検出処理としては、過放電、過電圧、過電流、或いは温度異常(高温、低温)の検出処理を想定できる。例えば充電時に検出部64が過電圧、温度異常を検出することで、過電圧保護、高温保護、低温保護を実現できる。また放電時に検出部64が過放電、過電流を検出することで、過放電保護、過電流保護を実現できる。
そして本実施形態では、送電装置10と受電装置40とを有する無接点電力伝送システムにおける送電側の制御装置20が、ドライバー制御回路22と、制御部24と、通信部30を含む。そして通信部30は、第1の負荷状態と第2の負荷状態で構成される負荷変調パターンが第1のパターン(第1のビットパターン)である場合には、第1の論理レベル(例えば「1」)の通信データ(通信データのビット)であると判断する。一方、負荷変調パターンが第1のパターンとは異なる第2のパターン(第2のビットパターン)である場合には、第2の論理レベル(例えば「0」)の通信データ(通信データのビット)であると判断する。ここで第1のパターンは、例えば第1の負荷状態の期間の幅が第2のパターンに比べて長くなるパターンである。例えば通信部30は、第1のパターンにおける第1の負荷状態の期間内に設定された第1のサンプリングポイントから、所与のサンプリング間隔で負荷変調パターンのサンプリングを行って、所与のビット数(例えば16ビット、64ビット)の通信データを取り込む。通信部30の処理の詳細については後述する。
また制御部24は、受電装置40(制御装置50)のステータスを表す情報については、複数回分の通信データに基づいて受電装置40のステータスを判断してもよい。また制御部24は、通信データに含まれる通信エラーの判定用情報が、複数回以上エラーであった場合には、受電装置40(電子機器510)が取り去られたと判断してもよい。
また送電部12は、送電ドライバーDR1、DR2と、送電ドライバーDR1、DR2の電源電圧VDRVを制御する電源電圧制御部14を有する。この場合に制御部24は、負荷変調が行われている通常送電の期間の間、受電装置40からの通信データ(負荷変調により送信される通信データ)に基づいて、電源電圧制御部14の制御を行う。例えば、通信データが含む送電電力設定情報(電力伝送の状態情報。例えば整流電圧の情報)に基づいて、電源電圧制御部14が供給する電源電圧VDRVを可変に制御することで、無接点電力伝送により送電される電力を可変に制御する。
また本実施形態では、無接点電力伝送システムにおける受電側の制御装置50は、第1の負荷状態と第2の負荷状態で構成される負荷変調パターンで負荷変調を行って、送電装置10(制御装置20)に対して通信データを送信する負荷変調部56と、負荷変調部56を制御する制御部54を含む。そして負荷変調部56は、送電装置10(制御装置20)に送信する通信データ(通信データのビット)の第1の論理レベルについては、第1の負荷状態と第2の負荷状態で構成される負荷変調パターンが第1のパターンとなる負荷変調を行う。一方、送電装置10に送信する通信データ(通信データのビット)の第2の論理レベルについては、負荷変調パターンが第1のパターンとは異なる第2のパターンとなる負荷変調を行う。そして負荷変調部56は、電流源ISを有し、電流源ISを用いて負荷変調を行う。
3.無接点電力伝送システムの動作シーケンスの概要
次に本実施形態の無接点電力伝送システムの動作シーケンスの概要の一例について、図3を用いて説明する。
図3のA1では、受電装置40を有する電子機器510が、送電装置10を有する充電器500に上に置かれておらず、取り去り状態になっている。この場合にはスタンバイステートとなる。このスタンバイステートでは、送電側はウェイティング状態となり、受電側は放電動作オンの状態となる。
具体的にはスタンバイステートでは、送電装置10の送電部12は、着地検出のための間欠送電を行う。即ち、送電部12は、通常送電のような連続送電は行わずに、所与の期間毎に間欠的に電力を送電する間欠送電を行って、電子機器510の着地を検出する状態になる。またスタンバイモードでは、受電装置40では、電力供給対象100への放電動作がオンになっており、電力供給対象100への電力供給がイネーブルになっている。即ち、受電装置40の放電部60は、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に放電する動作を行う。これにより、処理部等の電力供給対象100は、バッテリー90からの電力が供給されて動作可能になる。
図3のA2に示すように、電子機器510が充電器500に上に置かれ、着地が検出されると、通信チェック&充電ステートになる。この通信チェック&充電ステートでは、送電側は通常送電を行い、受電側は、充電動作がオンになると共に、放電動作がオフになる。また受電側は、負荷変調による通信データの送信を行う。
具体的には通信チェック&充電ステートでは、送電装置10の送電部12は、連続送電である通常送電を行う。この際に、電力伝送の状態などに応じて電力が可変に変化する電力制御を行いながら、通常送電を行う。またバッテリー90の充電状態に基づく制御も行われる。電力伝送の状態は、例えば1次コイルL1、2次コイルL2の位置関係(コイル間距離等)などにより決まる状態であり、例えば受電部52の出力電圧である整流電圧VCCなどの情報に基づいて判断できる。バッテリー90の充電状態は、例えば充電電圧VBATなどの情報に基づいて判断できる。
また通信チェック&充電ステートでは、受電装置40の充電部58の充電動作がオンになり、受電部52が受電した電力に基づいてバッテリー90の充電が行われる。また放電部60の放電動作がオフになり、バッテリー90からの電力が、電力供給対象100に供給されなくなる。また通信チェック&充電ステートでは、負荷変調部56の負荷変調により、通信データが送電側に送信される。例えば電力伝送状態情報(VCC等)や、充電状態情報(VBATや各種のステータスフラグ等)や、温度などの情報を含む通信データが、通常送電期間中の常時の負荷変調により、受電側から送電側に送信される。例えば送電部12の電源電圧制御部14による電力制御は、通信データに含まれる電力伝送状態情報などに基づいて行われる。
図3のA3に示すように、バッテリー90の満充電が検出されると、満充電スタンバイステートになる。満充電スタンバイステートでは、送電側はウェイティング状態となり、受電側は、放電動作オフのままの状態となる。
具体的には、送電部12は、例えば取り去り検出のための間欠送電を行う。即ち、送電部12は、通常送電のような連続送電は行わずに、所与の期間毎に間欠的に電力を送電する間欠送電を行って、電子機器510の取り去りを検出する状態になる。また放電部60の放電動作はオフのままとなり、電力供給対象100への電力供給もディスエーブルのままとなる。
図3のA4に示すように電子機器510の取り去りが検出されると、A5に示すように電子機器510が使用状態になり、受電側の放電動作がオンになる。
具体的には、放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が放電部60を介して電力供給対象100に供給される。これにより、バッテリー90からの電力が供給されて、処理部等の電力供給対象100が動作し、ユーザーが電子機器510を通常に使用できる状態となる。
以上のように本実施形態では図3のA1に示すように、電子機器510の着地が検出されると、通常送電が行われ、この通常送電期間において常時の負荷変調が行われる。また着地が検出されると、放電部60の放電動作が停止する。そして、この常時の負荷変調では、送電側の電力制御のための情報や受電側のステータスを表す情報を含む通信データが、受電側から送電側に送信される。例えば電力制御のための情報(電力伝送状態情報)を通信することで、例えば1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係等に応じた最適な電力制御を実現できる。また受電側のステータスを表す情報を通信することで、最適で安全な充電環境を実現できる。そして本実施形態では、負荷変調が継続している間は、通常送電も継続され、放電部60の放電動作もオフのままになる。
また本実施形態では図3のA3に示すように、バッテリー90の満充電が検出されると、通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われる。そしてA4、A5に示すように、取り去りが検出されて、取り去り期間になると、放電部60の放電動作が行われる。これによりバッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されて、電子機器510の通常動作が可能になる。なお、着地検出や取り去り検出は、受電部52の出力電圧(例えば整流電圧VCC)に基づいて行われる。
このように本実施形態では、電子機器510のバッテリー90の充電期間(通常送電期間)においては、電力供給対象100への放電動作がオフになるため、充電期間において電力供給対象100により無駄に電力が消費されてしまう事態を抑制できる。
そして、電子機器510の取り去りが検出されると、通常送電から間欠送電に切り替わると共に、電力供給対象100への放電動作がオンになる。このように放電動作がオンになることで、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになり、処理部(DSP)等の電力供給対象100の通常動作が可能になる。このようにすることで、例えば電子機器510が充電器500の上に置かれる充電期間においては動作しないようなタイプの電子機器510(例えば、補聴器等のユーザーが装着する電子機器)において、好適な無接点電力伝送の動作シーケンスを実現できる。即ち、このようなタイプの電子機器510では、充電期間(通常送電期間)において、バッテリー90からの電力の放電動作がオフになることで、省電力化を実現できる。そして、取り去りが検出されると、自動的に放電動作がオンになることで、電子機器510の電力供給対象100である各種のデバイスに対して、バッテリー90からの電力が供給され、当該デバイスが動作できるようになり、電子機器510の通常の動作モードに自動的に移行できるようになる。
なお、図3は無接点電力伝送システムの動作シーケンスの一例であり、本実施形態の動作シーケンスは図3に限定されず、種々の変形実施が可能である。また動作シーケンスの詳細例については図14、図15、図16を用いて後述する。
4.通信手法
図4は、負荷変調による通信手法の一例を説明する図である。図4に示すように、送電側(1次側)では、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2が1次コイルL1を駆動する。具体的には送電ドライバーDR1、DR2は、電源電圧制御部14から供給された電源電圧VDRVに基づいて動作して、1次コイルL1を駆動する。
一方、受電側(2次側)では、2次コイルL2のコイル端電圧を受電部52の整流回路53が整流し、ノードNVCに整流電圧VCCが出力される。なお、1次コイルL1とキャパシターCA1により送電側の共振回路が構成され、2次コイルL2とキャパシターCA2により受電側の共振回路が構成されている。
受電側では、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン・オフさせることで、電流源ISの電流ID2をノードNVCからGND側に間欠的に流して、受電側の負荷状態(受電側の電位)を変動させる。
送電側では、負荷変調による受電側の負荷状態の変動により、電源ラインに設けられたセンス抵抗RCSに流れる電流ID1が変動する。例えば送電側の電源(例えば図1(A)の電源アダプター502等の電源装置)と電源電圧制御部14との間に、電源に流れる電流を検出するためのセンス抵抗RCSが設けられている。電源電圧制御部14は、このセンス抵抗RCSを介して電源から電源電圧が供給される。そして負荷変調による受電側の負荷状態の変動により、電源からセンス抵抗RCSに流れる電流ID1が変動し、通信部30が、この電流変動を検出する。そして通信部30は、検出結果に基づいて、負荷変調により送信される通信データの検出処理を行う。
図5に通信部30の具体的な構成の一例を示す。図5に示すように通信部30は、電流検出回路32、比較回路34、復調部36を含む。また、信号増幅用のアンプAP、フィルター部35を含むことができる。なお通信部30は図5の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えばバンドパスフィルター部)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
電流検出回路32は、電源(電源装置)から送電部12に流れる電流ID1を検出する。具体的には電源から電源電圧制御部14を介して送電部12に流れる電流ID1を検出する。この電流ID1は、例えばドライバー制御回路22等に流れる電流を含んでいてもよい。
図5では、電流検出回路32は、IV変換用アンプIVCにより構成される。IV変換用アンプIVCは、その非反転入力端子(+)がセンス抵抗RCSの一端に接続され、その反転入力端子(−)がセンス抵抗RCSの他端に接続される。そしてIV変換用アンプIVCは、センス抵抗RCSに微少の電流ID1が流れることで生成される微少の電圧VC1−VC2を増幅して、検出電圧VDTとして出力する。この検出電圧VDTは、アンプAPにより更に増幅されて、検出電圧VDTAとして比較回路34に出力される。具体的にはアンプAPは、その非反転入力端子に検出電圧VDTが入力され、その反転入力端子に基準電圧VRFが入力され、基準電圧VRFを基準として増幅された検出電圧VDTAの信号を出力する。
比較回路34は、電流検出回路32による検出電圧VDTA(アンプAPによる電圧増幅後の検出電圧)と、判定用電圧VCP=VRF+VOFFとの比較判定を行う。そして比較判定結果CQを出力する。例えば検出電圧VDTAが判定用電圧VCPを上回っているか、或いは下回っているかの比較判定を行う。この比較回路34は、例えばコンパレーターCPにより構成できる。この場合に、例えば判定用電圧VCP=VRF+VOFFの電圧VOFFは、コンパレーターCPのオフセット電圧などにより実現してもよい。
復調部36は、比較回路34の比較判定結果CQ(フィルター処理後の比較判定結果FQ)に基づいて負荷変調パターンを判断する。即ち、負荷変調パターンの復調処理を行うことで、通信データを検出し、検出データDATとして出力する。送電側の制御部24は、この検出データDATに基づいて種々の処理を行う。
なお図5では、比較回路34と復調部36との間にフィルター部35が設けられている。そして復調部36は、フィルター部35によるフィルター処理後の比較判定結果FQに基づいて、負荷変調パターンを判断する。このフィルター部35としては、例えばデジタルフィルター(FIR)などを用いることができるが、フィルター部35としてパッシブのフィルターを用いてもよい。フィルター部35を設けることで、例えば後述する図7のF1、F2でのノイズの悪影響等を低減できる。
フィルター部35、復調部36は、例えば駆動クロック信号FCKが供給されて動作する。駆動クロック信号FCKは、送電周波数を規定する信号であり、ドライバー制御回路22は、この駆動クロック信号FCKが供給されて、送電部12の送電ドライバーDR1、DR2を駆動する。そして、一次コイルL1は、この駆動クロック信号FCKで規定される周波数(送電周波数)で駆動されることになる。
なお、通信部30に、負荷変調の周波数帯域の信号を通過させ、負荷変調の周波数帯域以外の帯域の信号を減衰させるバンドパスフィルター処理を行うバンドパスフィルター部を設けてもよい。このバンドパスフィルター部は制御装置20に内蔵させてもよいし、制御装置20の外付け部品によりバンドパスフィルター部を構成してもよい。そして通信部30は、バンドパスフィルター部の出力に基づいて受電装置40からの通信データを検出する。具体的には、バンドパスフィルター部は、電流検出回路32による検出電圧VDTに対して、バンドパスフィルター処理を行う。そして比較回路34は、バンドパスフィルター部によるバンドパスフィルター処理後の検出電圧VDTAと判定用電圧VCPの比較判定を行う。このバンドパスフィルター部は、例えばIV変換用アンプIVCとアンプAPの間に設けることができる。
以上のように図5の構成では、電流検出回路32が、電源(例えば5V)から送電部12(電源電圧制御部14)に流れる電流を検出し、比較回路34が、電流検出回路32による検出電圧VDTA(電圧増幅後の検出電圧)と判定用電圧VCPとの比較判定を行う。そして復調部36が、比較回路34の比較判定結果に基づいて負荷変調パターンを判断する。即ち、後述する図8〜図10(B)等に示す手法により負荷変調パターンを判断する。
このような構成によれば、受電側の負荷変調によりセンス抵抗RCS(例えば0.1〜0.3Ω)に流れる微少な電流ID1(例えば数mA)を電圧に変換しながら増幅し、得られた検出電圧VDTAを判定用電圧VCPと比較判定して、復調部36において負荷変調パターンの復調処理を行うことが可能になる。
例えばL1、L2のコイルが小型であったり結合度が低い場合等においては、受電側で負荷変調を行った場合に、送電側での電流変動は微少な変動となり、その検出が難しいという問題がある。
この点、図5の構成によれば、受電側の負荷変調による微少な電流変動を検出して、検出電圧VDTAと判定用電圧VCPを比較し、復調処理を実行できる。従って、L1、L2のコイルが小型であったり結合度が低い場合等においても、通信データの適正な復調処理を実現できるようになる。
また図5において、大電流で1次コイルL1を駆動する送電部12や、例えばスイッチングレギュレーター方式などで電源電圧の昇圧動作を行う電源電圧制御部14(DCDCコンバーター)は、大きなノイズを発生するノイズ源となる。このため、後述する図7のF1、F2に示すように、このノイズ等が原因で比較判定結果にスリット(グリッジ)が発生し、通信データの誤検出が発生するおそれがある。
この点、図5では、例えば比較回路34と復調部36との間にフィルター部35が設けられており、復調部36は、フィルター部35のフィルター処理後の比較判定結果FQに基づいて、通信データの復調処理を行っている。従って、例えばフィルター部35(遅延回路)のフィルター処理(デジタルフィルター処理)によって、図7のF1、F2に示す検出電圧VDTAのエッジ変化点でのノイズの悪影響(スリット)が、後段の復調部36に伝わらないようになり、通信データの誤検出の発生等を抑制できる。
また図5では、比較回路34は、検出電圧VDTAを判定用電圧VCPと比較判定して、比較判定結果CQを出力している。この構成によれば、負荷変調部56のスイッチ素子SWのオン・オフに応じて比較判定結果CQがLレベルからHレベル、或いはHレベルからLレベルに変化する一方で、検出電圧VDTAに重畳するノイズによっては比較判定結果CQが変化しないような、判定用電圧VCPの設定が可能になる。例えば図4において負荷変調部56に流れる電流ID2に応じた最適な判定用電圧VCPを設定することで、ノイズ耐性が強い比較回路34の比較判定処理を実現でき、通信データの誤検出の発生等を、より抑制することが可能になる。
この場合に比較回路34は、検出電圧VDTAと、複数の判定用電圧との比較判定が可能な回路であることが望ましい。例えば比較回路34が、検出電圧VDTAと、複数の判定用電圧VCP1=VRF+VOFF1、VCP1=VRF+VOFF2との比較判定を行えるようにする。これは、例えば比較回路34を構成するコンパレーターCPとして、複数のオフセット電圧VOFF1、VOFF2の設定が可能なコンパレーターを用いることなどで実現できる。例えば、VOFF1=20mV、VOFF2=40mVに設定することで、図7の検出電圧VDTAのLレベル、Hレベルと、判定用電圧VCPとの電圧差を、例えば20mV、40mVに設定できるようになる。
例えばVCP=VCP1(<VCP2)に設定すれば、VCP=VCP2に設定する場合に比べて、センス抵抗RCSでの、より微少な電流変動を、比較判定結果CQの変化として検出できるようになり、検出感度を向上できる。但し、VCP=VCP1に設定すると、ノイズによる微少な変動も、比較判定結果CQの変化として誤検出するおそれがあり、ノイズ耐性が低下する。
一方、VCP=VCP2(>VCP1)に設定すれば、VCP=VCP1に設定する場合に比べて、検出感度は低下するものの、ノイズ耐性を向上できるという利点がある。
そして、比較回路34として、検出電圧VDTAと複数の判定用電圧(VCP1、VCP2等)との比較判定が可能な回路を採用すれば、負荷変調部56に流れる電流ID2の電流値や、L1、L2のコイルのサイズや結合度や、ノイズレベルの状況など応じた最適は比較判定処理の実現が可能になる。例えば検出感度を優先する場合には、より低い電圧の判定用電圧(VCP1)を用いればよく、ノイズ耐性を優先する場合には、より高い電圧の判定用電圧(VCP2)を用いればよい。
また本実施形態では図4に示すように、負荷変調部56は、電流源ISを有し、この電流源ISを用いて負荷変調を行っている。このようにすれば、ノードNVCの電圧VCC(整流電圧)の大小に依存せずに、定電流の電流ID2を用いて負荷変調を行うことが可能になる。
例えば比較例の手法として、図4の電流源ISの代わりに抵抗を設けて負荷変調を行う手法がある。しかしながら、この比較例の手法では、例えばL1、L2のコイル間の距離が近くなり、ノードNVCの電圧VCCが高くなると、負荷変調部56に流れる電流ID2が大きくなってしまう。一方、L1、L2のコイル間の距離が遠くなり、ノードNVCの電圧VCCが低くなると、負荷変調部56に流れる電流ID2が小さくなってしまう。従って、L1、L2のコイル間の距離等に依存して、負荷変調による送電側の電流変動の大きさも変化してしまい、安定した通信の実現の妨げとなってしまう。例えば前述のように、図7の判定用電圧VCP(VOFF)の設定は、検出感度とノイズ耐性を考慮して決定される。しかしながら、L1、L2のコイル間の距離等に依存して、負荷変調による送電側の電流変動の大きさが変化してしまうと、判定用電圧VCPの設定のマージンが狭くなってしまい、安定した通信の実現が難しくなる。
この点、図4では、電流源ISで生成された定電流ID2を用いて負荷変調を行っている。このため、L1、L2のコイル間の距離等が変化しても、負荷変調による送電側の電流変動の大きさはそれほど変化しなくなる。従って、判定用電圧VCPの設定のマージン等を大きくすることができ、安定した通信の実現が可能になる。
図6は、受電側の通信構成を説明する図である。受電部52は、駆動クロック信号FCKに対応する周波数のクロック信号を抽出して、通信データ生成部55に供給する。通信データ生成部55は、図2の制御部54に設けられており、供給されたクロック信号に基づいて通信データの生成処理を行う。そして通信データ生成部55は、生成された通信データを送信するための制御信号CSWを負荷変調部56に出力し、この制御信号CSWにより例えばスイッチ素子SWのオン・オフ制御を行って、通信データに対応する負荷変調を負荷変調部56に行わせる。
負荷変調部56は、例えば第1の負荷状態、第2の負荷状態というように、受電側の負荷状態(負荷変調による負荷)を変化させることで、負荷変調を行う。第1の負荷状態は、例えばスイッチ素子SWがオンになる状態であり、受電側の負荷状態(負荷変調の負荷)が高負荷(インピーダンス小)になる状態である。第2の負荷状態は、例えばスイッチ素子SWがオフになる状態であり、受電側の負荷状態(負荷変調の負荷)が低負荷(インピーダンス大)になる状態である。
そして、これまでの負荷変調手法では、例えば第1の負荷状態を、通信データの論理レベル「1」(第1の論理レベル)に対応させ、第2の負荷状態を、通信データの論理レベル「0」(第2の論理レベル)に対応させて、受電側から送電側への通信データの送信を行っていた。即ち、通信データのビットの論理レベルが「1」である場合には、スイッチ素子SWをオンにし、通信データのビットの論理レベルが「0」である場合には、スイッチ素子SWをオフにすることで、所定のビット数の通信データを送信していた。
しかしながら、例えばコイル間の結合度が低かったり、コイルが小型であったり、送電電力も低パワーであるような用途では、このような従来の負荷変調手法では、適正な通信の実現が難しい。即ち、負荷変調により受電側の負荷状態を、第1の負荷状態、第2の負荷状態というように変化させても、ノイズ等が原因で、通信データの論理レベル「1」、「0」のデータ検出エラーが発生してしまう。つまり、受電側で負荷変調を行っても、この負荷変調により、送電側のセンス抵抗RCSに流れる電流ID1は、非常に微少な電流となる。このため、ノイズが重畳すると、データ検出エラーが発生し、ノイズ等を原因とする通信エラーが発生してしまう。
例えば図7は、検出電圧VDTA、比較回路30の判定用電圧VCP及び比較判定結果CQの信号波形を模式的に示した図である。図7に示すように、検出電圧VDTAは、基準電圧VRFを基準にして変化する電圧信号になっており、判定用電圧VCPは、この基準電圧VRFにコンパレーターCPのオフセット電圧VOFF(VOFF1、VOFF2)を加算した電圧信号になっている。
そして図7に示すように、例えば検出電圧VDTAの信号にノイズが重畳すると、F1、F2に示すように比較判定結果CQの信号のエッジの位置が変化し、期間TM1の幅(間隔)が長くなったり、短くなるというように変動してしまう。例えば期間TM1が論理レベル「1」に対応する期間であるとすると、期間TM1の幅が変動すると、通信データのサンプリングエラーが発生してしまい、通信データの検出エラーが生じるおそれがある。特に、受電側が、通常送電期間において常時の負荷変調を行って、送電電力設定情報を送信する場合には、通常送電を行っている送電部12等がノイズ源となって、通信データの検出エラーが発生する確率が高くなってしまう。
そこで本実施形態では、通信データの各ビットの論理レベル「1」(データ1)、論理レベル「0」(データ0)を、負荷変調パターンを用いて、受電側から送信し、送電側において検出する手法を採用している。
具体的には図8に示すように、受電側の負荷変調部56は、送電装置10に送信する通信データの第1の論理レベル「1」については、負荷変調パターンが第1のパターンPT1となる負荷変調を行う。一方、通信データの第2の論理レベル「0」については、負荷変調パターンが第1のパターンPT1とは異なる第2のパターンPT2となる負荷変調を行う。
そして送電側の通信部30(復調部)は、負荷変調パターンが第1のパターンPT1である場合には、第1の論理レベル「1」の通信データであると判断する。一方、負荷変調パターンが第1のパターンPT1とは異なる第2のパターンPT2である場合には、第2の論理レベル「0」の通信データであると判断する。
ここで負荷変調パターンは、第1の負荷状態と第2の負荷状態で構成されるパターンである。第1の負荷状態は、負荷変調部56による受電側の負荷が、例えば高負荷になる状態である。具体的には、図8において、第1の負荷状態の期間TM1は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになって、電流源ISの電流がノードNVCからGND側に流れる期間であり、第1、第2のパターンPT1、PT2のHレベル(ビット=1)に対応する期間である。
一方、第2の負荷状態は、負荷変調部56による受電側の負荷が、例えば低負荷になる状態である。具体的には、図8において第2の負荷状態の期間TM2は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオフになる期間であり、第1、第2のパターンPT1、PT2のLレベル(ビット=0)に対応する期間である。
そして図8において、第1のパターンPT1は、第1の負荷状態の期間TM1の幅が第2のパターンPT2に比べて長くなるパターンとなっている。このように第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第2のパターンPT2に比べて長い第1のパターンPT1については、論理レベル「1」であると判断される。一方、第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第1のパターンPT1に比べて短い第2のパターンPT2については、論理レベル「0」であると判断される。
図8に示すように、第1のパターンPT1は、例えば(1110)のビットパターンに対応するパターンである。第2のパターンPT2は、例えば(1010)のビットパターンに対応するパターンである。これらのビットパターンにおいて、ビット=1は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになる状態に対応し、ビット=0は、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオフになる状態に対応する。
例えば受電側は、送信する通信データのビットが論理レベル「1」である場合には、第1のパターンPT1に対応する(1110)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。具体的には、スイッチ素子SWを、順に、オン、オン、オン、オフにするスイッチ制御を行う。そして送電側は、負荷変調パターンが、(1110)のビットパターンに対応する第1のパターンPT1であった場合には、通信データのビットの論理レベルは「1」であると判断する。
一方、受電側は、送信する通信データのビットが論理レベル「0」である場合には、第2のパターンPT2に対応する(1010)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。具体的には、スイッチ素子SWを、順に、オン、オフ、オン、オフにするスイッチ制御を行う。そして送電側は、負荷変調パターンが、(1010)のビットパターンに対応する第2のパターンPT2であった場合には、通信データのビットの論理レベルは「0」であると判断する。
ここで、送電部12の駆動周波数をFCKとし、駆動周期をT=1/FCKとした場合には、第1、第2のパターンPT1、PT2の長さは、例えば512×Tと表すことができる。この場合に、1つのビット区間の長さは、(512×T)/4=128×Tと表される。従って、受電側は、通信データのビットが論理レベル「1」である場合には、例えば128×Tの間隔で、第1のパターンPT1に対応する(1110)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。また受電側は、通信データのビットが論理レベル「0」である場合には、例えば128×Tの間隔で、第2のパターンPT2に対応する(1010)のビットパターンで、負荷変調部56のスイッチ素子SWをオン又はオフにする。
なお、駆動周波数FCKは例えば80〜120KHz程度であり、負荷変調部56の負荷変調の周波数FMD(スイッチ素子SWのオン・オフのクロック周波数)は、例えば300〜500Hz程度である。具体的には、駆動周波数をFCK=1/Tとすると、負荷変調の周波数FMDは、図8においてはFMD=1/(256×T)=FCK/256と表すことができる。
一方、送電側は、例えば図9に示す手法で通信データの検出処理及び取り込み処理を行う。例えば通信部30(復調部)は、第1のパターンPT1における第1の負荷状態の期間TM1内に設定された第1のサンプリングポイントSP1から、所与のサンプリング間隔SIで負荷変調パターンのサンプリングを行って、所与のビット数の通信データを取り込む。
例えば図9のサンプリングポイントSP1、SP2、SP3、SP4、SP5、SP6は、サンプリング間隔SI毎に設定されるサンプリングポイントである。このサンプリング間隔SIは、負荷変調パターンの長さに対応する間隔である。即ち、負荷変調パターンである第1、第2のパターンPT1、PT2の長さに対応する間隔である。例えば図8では、第1、第2のパターンPT1、PT2の長さは512×T(=512/FCK)となっているため、サンプリング間隔SIの長さも512×Tになる。
そして図9では、期間TS1、TS2、TS3、TS4、TS5、TS6での負荷変調パターンは、各々、PT1、PT2、PT1、PT2、PT2、PT2になっている。ここで期間TS1、TS2、TS3、TS4、TS5、TS6はサンプリングポイントSP1、SP2、SP3、SP4、SP5、SP6に対応する期間である。従って、図9の場合には、第1のサンプリングポイントSP1から、サンプリング間隔SIで負荷変調パターンのサンプリングを行うことで、例えばビット数=6である通信データ(101000)が取り込まれることになる。
具体的には通信部30は、信号レベルがHレベルとなるパルスを検出し、そのパルスの幅が第1の範囲幅内(例えば220×T〜511×T)である場合に、ビット同期を行う。例えば復調部36は、比較判定結果CQ(FQ)の信号が所定ビット数分だけLレベル(「0」)である状態からHレベル(「1」)になる第1のエッジと、第1のエッジ後に比較判定結果CQ(FQ)がHレベルからLレベルになる第2のエッジを検出する。そして、第1のエッジと第2のエッジにより規定されるパルスの幅が、第1の範囲幅内(220×T〜511×T)である場合には、ビット同期したと判断して、通信データの1番目のビットの論理レベル「1」を検出する。そして、ビット同期した場合には、そのパルス幅の中心点に第1のサンプリングポイントSP1を設定し、第1のサンプリングポイントSP1からサンプリング間隔SI(例えば512×T)毎に信号を取り込む。そして取り込んだ信号のレベルが、Hレベルであれば、論理レベル「1」(第1のパターンPT1)であると判断し、Lレベルであれば、論理レベル「0」(第2のパターンPT2)であると判断する。このようにすることで、図9では、通信データ(101000)が取り込まれることになる。実際には、ビット同期後(SP1での1ビット分のデータを取り込んだ後)、15ビット分のデータを取り込むことで、全体として16ビット分の通信データが取り込まれる。この16ビットの通信データでは最初の1ビット(ビット同期したビット)は必ず「1」になる。
このように本実施形態では、第1の負荷状態の期間TM1の幅が、第1の範囲幅内(220×T〜511×T)である場合に、図9に示すように、第1の負荷状態の期間TM1内に、第1のサンプリングポイントSP1を設定する。
具体的には図10(A)に示すように、信号レベルがHレベルとなる期間TM1の幅が、第1の範囲幅RW1内である場合に、ビット同期を行い、その期間TM1内の例えば中心点に、第1のサンプリングポイントSP1を設定する。そして、設定された第1のサンプリングポイントSP1から、サンプリング間隔SI毎にサンプリングを行う。ここで第1の範囲幅RW1(220×T〜511×T)は、第1のパターンPT1における第1の負荷状態の期間TM1(384×T)に対応して設定される範囲幅である。
即ち、図7で説明したように、ノイズ等が原因となって、期間TM1の幅は変動してしまう。そして第1のパターンPT1における期間TM1の幅のティピカル値は、3ビット分(111)に対応する幅である128×3×T=384×Tである。従って、この384×Tを含むような第1の範囲幅RW1(220×T〜511×T)を設定する。そして、第1の範囲幅RW1(220×T〜511×T)内であるHレベルの期間については、第1のパターンPT1の期間TM1であると判断し、第1のサンプリングポイントSP1を設定するためのビット同期を行う。このようにすることで、図7に示すようにノイズが信号に重畳している場合にも、適正なビット同期を行って、適切な第1のサンプリングポイントSP1を設定できるようになる。
そして、このように第1のサンプリングポイントSP1を設定した後は、サンプリング間隔SI毎にサンプリングを行い、各サンプリングポイントでの信号レベルに基づいて、第1、第2のパターンPT1、PT2のいずれなのかを判断する。
具体的には通信部30は、図10(A)に示すように、第1のサンプリングポイントSP1の次の第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第1の負荷状態である場合(信号レベルがHレベルである場合)には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第1のパターンPT1であると判断する。即ち、通信データのビットの論理レベルが「1」であると判断する。また図10(A)に示すように、第2のサンプリングポイントSP2の次の第3のサンプリングポイントSP3において、負荷状態が第1の負荷状態(Hレベル)である場合には、第3のサンプリングポイントSP3での負荷変調パターンが第1のパターンPT1であり、通信データのビットの論理レベルが「1」であると判断する。その後のサンプリングポイントにおいても同様である。
一方、図10(B)に示すように、第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第2の負荷状態である場合(信号レベルがLレベルである場合)には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第2のパターンPT2であると判断する。即ち、通信データのビットの論理レベルが「0」であると判断する。また第3のサンプリングポイントSP3において、負荷状態が第2の負荷状態である場合(Lレベル)には、第3のサンプリングポイントSP3での負荷変調パターンが第2のパターンPT2であり、通信データのビットの論理レベルが「0」であると判断する。その後のサンプリングポイントにおいても同様である。
例えば図9では、サンプリングポイントSP2での負荷状態は第2の負荷状態(Lレベル)であるため、第2のパターンPT2であると判断され、論理レベルが「0」であると判断される。サンプリングポイントSP3での負荷状態は第1の負荷状態(Hレベル)であるため、第1のパターンPT1であると判断され、論理レベルが「1」であると判断される。サンプリングポイントSP4、SP5、SP6での負荷状態は第2の負荷状態(Lレベル)であるため、第2のパターンPT2であると判断され、論理レベルが「0」であると判断される。
なお、図9〜図10(B)の各サンプリングポイントにおいて、そのサンプリングポイントを含む負荷状態の期間の幅が、所定の範囲幅内であるか否かを確認するようにしてもよい。即ち、信号の取り込みの際にパルス幅が範囲幅内にあるかを条件に加える。
例えば図10(A)に示すように、第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第1の負荷状態(Hレベル)であり、且つ、第2のサンプリングポイントSP2を含む第1の負荷状態の期間TM1の幅(Hレベルのパルス幅)が、第1の範囲幅RW1内(220×T〜511×T)である場合には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第1のパターンPT1(論理レベル「1」)であると判断する。同様に第3のサンプリングポイントSP3において、負荷状態が第1の負荷状態(Hレベル)であり、且つ、第3のサンプリングポイントSP3を含む第1の負荷状態の期間TM1の幅(Hレベルのパルス幅)が、第1の範囲幅RW1内である場合には、第3のサンプリングポイントSP3での負荷変調パターンが第1のパターンPT1であると判断する。
一方、図10(B)に示すように、第2のサンプリングポイントSP2において、負荷状態が第2の負荷状態(Lレベル)であり、且つ、第2のサンプリングポイントSP2を含む第2の負荷状態の期間TM2の幅(Lレベルのパルス幅)が、第2の範囲幅RW2内(例えば80×T〜150×T)である場合には、第2のサンプリングポイントSP2での負荷変調パターンが第2のパターンPT2(論理レベル「0」)であると判断する。同様に第3のサンプリングポイントSP3において、負荷状態が第2の負荷状態(Lレベル)であり、且つ、第3のサンプリングポイントSP3を含む第2の負荷状態の期間TM2の幅(Lレベルのパルス幅)が、第2の範囲幅RW2内である場合には、第3のサンプリングポイントSP3での負荷変調パターンが第2のパターンPT2であると判断する。
ここで第2の範囲幅RW2(80×T〜150×T)は、第2のパターンPT2における第2の負荷状態の期間TM2(128×T)に対応して設定される範囲幅である。期間TM2のティピカル値は、1ビットに対応する幅である128×Tとなるため、この128×Tを含むような第2の範囲幅RW2(80×T〜150×T)が設定される。
例えば、通信状態が通常である場合には、Hレベル、Lレベルのパルス幅(期間TM1、TM2のパルス幅)の大きさ(RW1、RW2)を確認することなく、図9に示すようにサンプリングポイントSP1からサンプリング間隔SI毎に設定されたサンプリングポイントSP2、SP3、SP4・・・において信号を取り込んでデータを検出しても、大きな問題は生じない。
しかしながら、例えば通信中に、例えば図1(A)の充電器500と電子機器510との間で位置ズレが発生したり、振動などが発生すると、これによる電流変動が原因で、通信エラーが発生してしまうという問題がある。この場合に、後述するCRCのエラーチェックを行うことで、上記のような通信エラーの発生を低減できる。しかし、例えばCRC(例えば8ビット)によるエラーチェックだけでは、所定の確率(例えば1/256)で上記の通信エラーを検出できず、間違った判断をしてしまうおそれがある。
この点、図10(A)、図10(B)で説明したように、各サンプリングポイントにおいて、Hレベル、Lレベルのパルス幅が第1、第2の範囲幅RW1、RW2内にあることを確認する手法を採用すれば、上記のような問題の発生を解消できるようになる。
以上のように本実施形態では、負荷変調パターンを判別して通信データの論理レベルを判定している。例えば従来では、負荷変調部56のスイッチ素子SWがオンになる第1の負荷状態を論理レベル「1」と判断し、スイッチ素子SWがオフになる第2の負荷状態を論理レベル「0」と判断するような手法を採用している。しかしながら、この従来例の手法では、図7で説明したように、ノイズ等が原因で通信データの検出エラーが発生してしまうおそれがある。
これに対して本実施形態では、負荷変調パターンが、例えば図8に示すような第1、第2のパターンPT1、PT2のいずれであるかを判別することで、通信データの各ビットの論理レベルを検出している。従って、図7のようなノイズが多いような状況においても、通信データの適正な検出が可能になる。即ち、図8の第1、第2のパターンPT1、PT2では、例えば第1の負荷状態(Hレベル)の期間TM1の幅(パルス幅)が大きく異なっており、本実施形態では、この期間TM1の幅の違いを判別することで、パターンを判別して、通信データの各ビットの論理レベルを検出している。例えば図9〜図10(B)の最初のビット同期において、期間TM1の幅が第1の範囲幅RW1内(220×T〜511×T)である場合に、その期間TM1の中心点にサンプリングポイントSP1を設定し、その後のサンプリングポイントSP2、SP3、SP4・・・での信号の取り込みを行っている。従って、例えばノイズが原因でサンプリングポイントSP1での期間TM1の幅等が変動した場合にも、通信データの適正な検出が可能になる。また、以降のサンプリングポイントSP2、SP3、SP4・・・は、サンプリング間隔SIに基づき簡素な処理で設定できるため、通信データの検出処理の処理負荷も軽減できるという利点がある。
なお本実施形態の通信手法は、図8〜図10(B)等で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図8では第1のパターンPT1に論理レベル「1」を対応づけ、第2のパターンPT2に論理レベル「0」を対応づけているが、この対応づけは逆であってもよい。また、図8の第1、第2のパターンPT1、PT2は負荷変調パターンの一例であり、本実施形態の負荷変調パターンはこれに限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図8では、第1、第2のパターンPT1、PT2は同じ長さに設定されているが、異なる長さに設定してもよい。また図8では、ビットパターン(1110)の第1のパターンPT1と、ビットパターン(1010)の第2のパターンPT2を用いているが、これらとは異なったビットパターンの第1、第2のパターンPT1、PT2を採用してもよい。例えば第1、第2のパターンPT1、PT2は、少なくとも第1の負荷状態の期間TM1(或いは第2の負荷状態の期間TM2)の長さが異なるパターンであればよく、図8とは異なる種々のパターンを採用できる。
また本実施形態では図5に示すように、フィルター部35を復調部36の前段側に設けており、これにより例えば16×T以下の長さのデータについては復調部36に伝わらないようにするローパスのデジタルフィルタ処理が行われる。この結果、例えば図7のF1、F2に示すようなスリット(グリッジ)については例えば16×T以下のデータとされて、復調部36には伝わらないようになる。
図11(A)、図11(B)に、本実施形態で用いられる通信データのフォーマットの例を示す。
図11(A)では、通信データは64ビットで構成され、この64ビットで1つのパケットが構成される。一番目の16ビットは00hとなっている。例えば受電側の負荷変調を検出して送電側が通常送電(或いは間欠送電)を開始する場合に、通信部30の電流検出回路32等が動作して、通信データを適正に検出できるようになるまでに、ある程度の時間が必要になる。このため、一番目の16ビットには、ダミー(空)のデータである00hを設定する。送電側は、この1番目の16ビットの00hの通信期間において、例えばビット同期のために必要な種々の処理を行うことになる。
次の2番目の16ビットには、データコードと、整流電圧(VCC)の情報が設定される。データコードは、図11(B)に示すように、次の3番目の16ビットで通信されるデータを特定するためのコードである。整流電圧(VCC)は、送電装置10の送電電力設定情報として用いられる。具体的には、電源電圧制御部14は、この整流電圧(VCC)の情報等に基づいて、送電ドライバーDR1、DR2に供給する電源電圧VDRVを可変に制御し、これにより送電部12の送電電力を可変に制御する。
3番目の16ビットには、データコードでの設定に従って、温度、充電電圧、充電電流、ステータスフラグ、サイクル回数、或いはIC番号などの情報が設定される。温度は例えばバッテリー温度などである。充電電圧、充電電流は、バッテリー90の充電電圧(VBAT等)、充電電流であり、充電状態を表す情報である。ステータスフラグは、例えば温度エラー(高温異常、低温異常)、バッテリーエラー(1.0V以下のバッテリー電圧)、過電圧エラー、タイマーエラー、満充電(ノーマルエンド)などの受電側のステータスを表す情報である。サイクル回数(サイクルタイム)は充電回数を表す情報である。IC番号は、制御装置のICを特定するための番号である。4番目の16ビットにはCRCの情報が設定される。CRCは、CRCのエラーチェックのための情報である。
なお、後述する図14に示すように、電子機器510の着地が検出されて、VCC>6.0Vになった場合に、B5の負荷変調では、まず初めに例えば1パケット(64ビット)の空データ(ダミーデータ)の通信データが送信される。そして送電側は、この空データの通信データを検出して、通常送電を開始することになる。
また本実施形態では図12(A)、図12(B)に示す手法を用いてもよい。例えば図12(A)では、受電側(受電装置40、制御装置50)のステータスを表す情報については、複数回分の通信データに基づいて、受電側のステータスを判断する手法を採用している。
即ち、図11(A)、図11(B)で説明したように、本実施形態では、受電側のスタータスを表すステータスフラグを含むパケット(64ビット)の通信データを、受電側が送電側に送信している。このステータスフラグは、前述のように温度エラー、バッテリーエラー、過電圧エラー、又はタイマーエラーなどのフラグである。
この場合に、1つのパケットに含まれるステータスフラグだけで、受電側のステータスを判断すると、通信エラーがあった場合に間違った判断をしてしまうおそれがある。即ち、図11(A)のパケットの最後の16ビットに設定される8ビットのCRCで通信エラーをチェックしても、所定の確率で通信エラーを検出できず、間違った判断をしてしまうおそれがある。
そこで図12では、例えば、複数回分の通信データである複数のパケットPK1〜PKN(例えば2〜4個のパケット)に含まれるステータスフラグに基づいて、受信側のステータスを判断する。例えば、これらの複数のパケットPK1〜PKNの全てにおいて、ステータスフラグに含まれる温度エラー等のエラーのフラグが立っていた場合に、当該エラーが発生していると判断する(多数決処理により判断してもよい)。このようにすれば、例えば充電器500と電子機器510との間の位置ズレや振動などに起因する一時的な通信エラーが発生した場合にも、受電側のステータスを間違って判断してしまうような事態の発生を抑制できる。
また図12(B)では、通信データに含まれる通信エラーの判定用情報が、複数回以上エラーであった場合には、受電装置40(電子機器510)が取り去られたと判断する手法を採用している。
即ち、図11(A)、図11(B)で説明したように、本実施形態では、CRCを含むパケットの通信データを、受電側が送電側に送信している。このCRC(Cyclic Redundancy Check)は、通信エラーの判定用情報である。
この場合に、図12(B)では、複数のパケットPK1〜PKN(例えば2〜4個のパケット)に含まれるCRCにおいて、通信データにエラーがあったことが検出されている。即ち、通信エラーの判定用情報であるCRCが、複数回以上エラーとなっている。この場合には、通信状態が不安定であると考えられるため、取り去りが検出されたと見なして、例えば取り去り用の間欠送電に移行する。つまり、このような不安定な通信状態において、通常送電を継続するのは適切ではないため、通常送電を停止して、取り去り用の間欠送電に移行する。こうすることで、無接点電力伝送の安全性や信頼性を向上できるようになる。
図13は、本実施形態の通信処理の詳細例を説明するフローチャートである。まず、受電側(制御部54)は、整流電圧がVCC>6.0Vであるか否かを判断する(ステップS1)。例えば送電側が電力を送電すると、受電側が受電した電力により整流電圧VCCが上昇して、VCC>6.0Vになる。例えば受電側の制御装置50は、送電側の送電電力による電源で動作する。このため、送電側から電力が送電されていない期間では、制御装置50(放電系の回路を除く)は電源が供給されず、例えばリセット状態となっている。
整流電圧がVCC>6.0Vになると、受電側は、まず初めに、負荷変量によりIC番号を送電側に送信する(ステップS2)。例えば図11(A)、図11(B)において、データコードによりIC番号の通信を指定して、IC番号の情報を含む通信データを送信する。
そして、例えばバッテリー電圧がVBAT<2.5Vのときの予備充電(過放電バッテリーに対する充電)の場合や、VBAT<1.0Vのときのバッテリーエラーの場合など、通常充電を開始できなかった場合(ステップS3:NO)には、受電側は、整流電圧、充電電圧、充電電流、温度、ステータスフラグ等の情報を含む通信データを負荷変調により送信する(ステップS4)。
一方、通常充電を開始できた場合(ステップS3:YES)には、充電のサイクル回数を1だけインクリメントし(ステップS5)、インクリメント後のサイクル回数を負荷変調により送信する(ステップS6)。そして通常充電の期間では、整流電圧、充電電圧、充電電流、温度、ステータスフラグ等の情報を含む通信データの送信が繰り返される(ステップS7)。送電側は、これらの情報に基づいて受電側の充電状態等を判断できる。
なお、以上では本実施形態の通信手法の一例を示したが、本実施形態の通信手法はこれに限定されない。例えば復調処理や通信データのフォーマットや通信処理も図8〜図13等で説明した手法には限定されず、種々の変形実施が可能である。
5.動作シーケンスの詳細例
図14、図15、図16は本実施形態の無接点電力伝送システムの動作シーケンスの詳細を説明するための信号波形図である。
図14のB1は、図3のA1のスタンバイステートであり、着地検出用の間欠送電が行われている。即ち、期間TL1の間隔毎に期間TL2の間隔の送電が行われる。TL1の間隔は例えば3秒であり、TL2の間隔は例えば50ミリ秒である。そして図14のB2、B3では、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCは6.0V以下であるため、負荷変調による通信は行われない。
一方、B4では整流電圧VCCが着地検出の閾値電圧である6.0Vを超えたため、B5に示すように負荷変調部56が負荷変調を開始する。即ち、B2、B3ではL1、L2のコイルが十分には電磁的結合状態になっていないが、B4ではL1、L2のコイルが図1(B)に示すように適正な電磁的結合状態になっている。このため、整流電圧VCCが上昇して、6.0Vを超え、負荷変調が開始する。そして、この負荷変調(空の通信データ)が送電側により検出されると、B6に示すように送電部12による通常送電が開始する。B6の通常送電は、B1の間欠送電とは異なる連続送電であり、この通常送電による電力により、充電部58によるバッテリー90の充電が開始する。この時、放電部60の放電動作はオフになっている。また、B5に示す負荷変調により、整流電圧や充電電圧やステータスフラグなどの各種の情報を含む通信データが、受電側から送電側に送信されて、送電制御が実行される。なお、B5の負荷変調は、B7に示す着地検出用の間欠送電により整流電圧VCCが上昇したことにより開始している。
図15のC1では、バッテリー90の充電が行われる通常送電期間において、電子機器510が取り去られている。このC1の取り去りは、C2、C3に示すように、バッテリー90の満充電前の取り去りである。即ち、満充電フラグが非アクティブレベルであるLレベルになっている状態での取り去りである。
このように電子機器510の取り去りが行われると、送電側の電力が受電側に伝達されなくなり、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが低下する。そしてC4に示すように例えばVCC<3.1Vになると、C5に示すように負荷変調部56による負荷変調が停止する。負荷変調が停止すると、C6に示すように送電部12による通常送電が停止する。
また、整流電圧VCC(出力電圧)が低下し、判定電圧である例えば3.1Vを下回ると、不図示の受電側のスタートキャパシターの放電が開始する。このスタートキャパシターは、受電側の放電動作の起動用(起動期間の計測用)のキャパシターであり、例えば受電側の制御装置50の外付け部品として設けられる。そして、整流電圧VCCが判定電圧(3.1V)を下回ってから、起動期間TSTが経過すると、C8に示すように放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。具体的には、スタートキャパシターの電圧(充電電圧)が放電動作オンのための閾値電圧を下回ると、起動期間TSTが経過したと判断され、放電部60の放電動作がオンになって、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して放電される。これにより、図3のA5に示すように電子機器510が使用可能な状態になる。また送電部12は、通常送電を停止した後、C9に示すように、着地検出用の間欠送電を行うようになる。
なお本実施形態では図2の受電側の制御部54として、充電系の制御部と、放電系の制御部が設けられている。充電系の制御部は、受電部52の整流電圧VCC(出力電圧)による電源電圧が供給されて動作する。一方、放電系の制御部や放電部60は、バッテリー電圧VBATによる電源電圧が供給されて動作する。そしてスタートキャパシターの充放電の制御や、放電部60の放電動作の制御(オン・オフ制御)は、放電系の制御部が行うことになる。
図16のD1では、満充電フラグがアクティブレベルであるHレベルになっており、バッテリー90の満充電が検出されている。このように満充電が検出されると、図3のA3に示すように満充電スタンバイステートに移行し、D2に示すように満充電後の取り去り検出用の間欠送電が行われる。即ち、期間TR1の間隔毎に期間TR2の間隔の送電が行われる。TR1の間隔は例えば1.5秒であり、TR2の間隔は例えば50ミリ秒である。取り去り検出用の間欠送電の期間TR1の間隔は、着地検出用の間欠送電の期間TL1の間隔に比べて、短くなっている。
この取り去り検出用の間欠送電により、図16のD3、D4に示すように受電部52の整流電圧がVCC>6.0Vとなり、D5、D6に示すように負荷変調が行われる。送電側は、この負荷変調(空の通信データ等)を検出することで、電子機器510が未だ取り去られていないことを検出できる。
そして、前述のスタートキャパシターにより設定されるD7に示す起動期間TSTの間隔(例えば3秒)に比べて、取り去り検出用の間欠送電の期間TR1の間隔(例えば1.5秒)は短い。従って、電子機器510が取り去られていない状態では、スタートキャパシターの電圧(充電電圧)は、放電動作オンのための閾値電圧VTを下回らず、D8に示すように放電動作のオフからオンへの切り替わりは行われない。
一方、D9では、電子機器510が取り去られている。そして、D4に示す取り去り検出用の間欠送電の期間TR2の終了後に、D10に示すように、受電部52の整流電圧VCCは判定電圧である3.1Vを下回るため、D7に示す起動期間TSTの計測がスタートする。そしてD11では、スタートキャパシターの電圧が放電動作オンのための閾値電圧VTを下回っており、起動期間TSTの経過が検出されている。これにより、放電部60の放電動作がオフからオンに切り替わり、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。またD12に示すように、電子機器510の着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
以上のように本実施形態では、図14のB5に示すように受電装置40が負荷変調を開始したことを条件に、B6に示すように送電部12による通常送電が開始する。そしてB5の負荷変調が継続されている間は、B6に示す通常送電は継続する。具体的には図15のC5に示すように負荷変調が非検出となった場合に、C6に示すように送電部12による通常送電が停止する。そしてC9に示すように送電部12による着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
このように本実施形態では、負荷変調の開始を条件に通常送電を開始し、負荷変調が継続されている間は通常送電を継続し、負荷変調が非検出になると通常送電を停止するという動作シーケンスを採用している。このようにすれば、複雑な認証処理等を不要にでき、シンプルで簡素な動作シーケンスで、無接点電力伝送と、負荷変調による通信を実現できるようになる。また、通常送電期間中において、常時の負荷変調による通信を行うことで、電力伝送の状態等に応じた効率的な無接点電力伝送も実現できるようになる。
また本実施形態では、図16のD1に示すように、受電側からの通信データに基づいて受電装置40のバッテリー90の満充電が検出された場合には、D2に示すように、送電部12による通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われるようになる。そしてD9に示すように電子機器510が取り去られて、当該取り去りが検出されると、D12に示すように送電部12による着地検出用の間欠送電が行われるようになる。
このようにすれば、満充電が検出されると、連続送電である通常送電が停止し、間欠的に電力を伝送する間欠送電に移行するようになる。これにより、取り去り期間等において、無駄に電力が消費されてしまうのを抑制でき、省電力化等を図れるようになる。
また本実施形態では、通信データに基づいて受電側の異常が検出された場合にも、送電部12による通常送電が停止し、取り去り検出用の間欠送電が行われるようになる。この受電側の異常とは、例えばバッテリー90の電圧が1.0Vを下回るバッテリーフェールなどのバッテリー充電エラーや、充電時間が所定期間(例えば6〜8時間)を超えてしまうタイマーエンドのエラーなどである。このようにすれば、受電側の異常が検出された場合に、連続送電である通常送電が自動的に停止して、間欠送電に移行するようになるため、安全性や信頼性等を確保できる。
また本実施形態では、図15、図16で説明したように、受電装置40は、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが低下し、放電動作の起動期間TSTが経過した後に、バッテリー90からの電力を電力供給対象100に対して放電する。具体的には整流電圧VCCが判定電圧(3.1V)を下回ってから、起動期間TSTが経過した後に、放電動作が開始する。即ち、図15のC8や図16のD11に示すように、放電部60の放電動作がオンになって、バッテリー90からの電力が電力供給対象100に供給されるようになる。そして本実施形態では、図16のD2とD7に示すように、起動期間TST(例えば3秒)よりも短い期間TR1(例えば1.5秒)の間隔で、取り去り検出用の間欠送電が行われる。
このようにすれば、取り去り検出用の期間TR1の長さでは、起動期間TSTは経過しないため、取り去り検出用の間欠送電の期間においては放電部60の放電動作はオンにならないようになる。そして図16のD9に示すように、電子機器510が取り去られると、取り去り検出用の間欠送電の期間のように整流電圧VCCが定期的に上昇することはなくなり、D7に示す起動期間TSTが経過することで、D11に示すように放電部60の放電動作がオンになる。従って、電子機器510の取り去りを検出して、自動的に、放電部60の放電動作をオンにして、バッテリー90からの電力を電源供給対象100に供給できるようになる。
6.電力制御
本実施形態では、送電側は受電側からの通信データに基づいて送電制御を行う手法を採用している。具体的には図2において、送電部12は、送電ドライバーDR1、DR2と、送電ドライバーDR1、DR2の電源電圧VDRVを制御する電源電圧制御部を有する。そして制御部24は、受電装置40(制御装置50)からの通信データに基づいて、電源電圧制御部14を制御する。
具体的には、制御部24は、通常送電の期間では、通信データが含む送電電力設定情報に基づき可変に変化する電源電圧VDRVを、電源電圧制御部14から送電ドライバーDR1、DR2に供給させる。これにより、送電部12の送電電力が、送電電力設定情報に基づき可変に制御されるようになる。
一方、制御部24は、着地検出用、取り去り検出用の間欠送電の期間では、着地検出用、取り去り検出用の電源電圧VDRVを、電源電圧制御部14から送電ドライバーDR1、DR2に供給させる。
ここで、着地検出用、取り去り検出用の電源電圧は、図14、図15、図16の1次コイル駆動電圧の信号波形において、高電位側の電圧レベルに対応する電圧である。これらの着地検出用の電源電圧と取り去り検出用の電源電圧は同じ電圧であってもよいし、異なる電圧であってもよい。例えば、取り去り検出用の電源電圧を、着地検出用の電源電圧よりも高い電圧に設定してもよい。取り去り検出用の電源電圧を高い電圧に設定することで、図3において電子機器510が実際には取り去られていないのに、取り去られたと誤検出されるような事態を抑制できる。
図17(A)、図17(B)は、送電電力設定情報(整流電圧VCC等)に基づいて送電電力を制御する手法を説明する図である。
図17(A)は、L1、L2のコイル間の距離を近づけた場合の例を示している。この場合には9Vの電源電圧VDRVでの着地検出が行われた後、コイル間の距離が近づくにつれて、電源電圧VDRVが徐々に低下する制御が行われる。即ち、電源電圧制御部14は、制御部24の制御の下で、送電ドライバーDR1、DR2に供給される電源電圧VDRVを低下させる制御を行う。つまり、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが一定になるように電源電圧VDRVが制御される。これにより、L1、L2のコイル間の距離が近づいた場合にも、受電装置40の受電電力が一定になるような電力制御が行われ、最適で安定した電力制御を実現できる。
図17(B)は、L1、L2のコイル間の距離を離した場合の例を示している。この場合には、コイル間の距離が離れるにつれて、電源電圧VDRVが徐々に上昇する制御が行われる。即ち、電源電圧制御部14は、制御部24の制御の下で、送電ドライバーDR1、DR2に供給される電源電圧VDRVを上昇させる制御を行う。つまり、受電部52の出力電圧である整流電圧VCCが一定になるように電源電圧VDRVが制御される。これにより、L1、L2のコイル間の距離が離れた場合にも、受電装置40の受電電力が一定になるような電力制御が行われ、最適で安定した電力制御を実現できるようになる。
図18(A)、図18(B)は本実施形態の電力制御の効果について説明する図である。図18(A)において、Zは、図1(B)に示すL1、L2のコイルにおいて高さ方向に沿った軸であるZ軸での距離を表すものである。rは、Z軸に直交するXY平面での位置ズレ(コイル中心から半径方向での位置ズレ)の距離を表すものである。図18(A)に示すように、6Vや9Vの固定の電源電圧を用いる場合に比べて、送電電力設定情報に基づき電源電圧を可変に制御する本実施形態の手法によれば、位置余裕度を向上できる。
また図18(B)において、Iinは、電源から受電側の装置(送電部12、制御装置20等)に流れる消費電流を表すものである。図18(B)に示すように、電源電圧を6V、9V、12Vに固定する手法に比べて、送電電力設定情報に基づき電源電圧を可変に制御する本実施形態の手法によれば、省電力化を図れるようになる。
7.受電部、充電部
図19に、受電部52、充電部58等の詳細な構成例を示す。図19に示すように、受電部52の整流回路53は、整流用のトランジスターTA1、TA2、TA3、TA4と、これらのトランジスターTA1〜TA4を制御する整流制御部51を有する。
トランジスターTA1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と、GND(低電位側電源電圧)のノードとの間に設けられる。トランジスターTA2は、ノードNB1と整流電圧VCCのノードNVCとの間に設けられる。トランジスターTA3は、2次コイルL2の他端のノードNB2と、GNDのノードとの間に設けられる。トランジスターTA4は、ノードNB2とノードNVCとの間に設けられる。これらのトランジスターTA1〜TA4の各々のドレイン・ソース間にはボディーダイオードが設けられている。整流制御部51は、トランジスターTA1〜TA4のゲートに対して制御信号を出力して、整流電圧VCCを生成するための整流制御を行う。
整流電圧VCCのノードNVCとGNDのノードとの間には抵抗RB1、RB2が直列に設けられている。整流電圧VCCを、抵抗RB1、RB2で電圧分割した電圧ACH1が、例えば図2のA/D変換回路65に入力される。これにより整流電圧VCCの監視が可能になり、整流電圧VCCの情報に基づく電力制御等を実現できる。
レギュレーター57は、整流電圧VCCの電圧調整(レギュレート)を行って、電圧VD5を出力する。この電圧VD5は、トランジスターTC1を介して、充電部58のCC充電回路59に供給される。トランジスターTC1は、例えば充電電圧VBATが所与の電圧(例えば4.25V)を超える過電圧の検出時において、制御信号GC1に基づいてオフになる。なお制御装置50の各回路(放電部60等の放電系の回路を除く回路)は、この電圧VD5に基づく電圧(VD5をレギュレートした電圧等)を電源電圧として動作する。
CC充電回路59は、トランジスターTC2と、演算増幅器OPCと、抵抗RC1と、電流源ISCを有する。トランジスターTC2は、演算増幅器OPCの出力信号に基づき制御される。演算増幅器OPCの非反転入力端子は、抵抗RC1の一端に接続される。抵抗RC1の他端は、制御装置50の外付け部品として設けられるセンス抵抗RSの一端に接続される。センス抵抗RSの他端は、演算増幅器OPCの反転入力端子に接続される。電流源ISCは、演算増幅器OPCの非反転入力端子とGNDのノードとの間に設けられる。電流源ISCに流れる電流は、信号ICDAに基づいて制御される。
演算増幅器OPCの仮想接地により、抵抗RC1の一端の電圧(非反転入力端子の電圧)と、センス抵抗RSの他端の電圧VCS2(反転入力端子の電圧)が等しくなるように、トランジスターTC2が制御される。信号ICDAの制御により電流源ISCに流れる電流をIDAとし、抵抗RSに流れる電流をIRSとする。すると、IRS×RS=IDA×RC1となるように、制御される。即ち、このCC充電回路59では、センス抵抗RSに流れる電流IRS(充電電流)が、信号ICDAにより設定される一定の電流値になるように制御される。これにより、CC(Constant-Current)充電が可能になる。
充電時には、信号CHONがアクティブになる。これにより、トランジスターTC3、TC4がオン状態になり、バッテリー90への充電が行われるようになる。またトランジスターTC3のゲートと充電電圧VBATのノードNBATとの間に設けられる抵抗RC2等により、バッテリー90からの逆流も防止される。またノードNBATとGNDのノードとの間には抵抗RC3、RC4が直列に設けられており、充電電圧VBATを、抵抗RC3、RC4で電圧分割した電圧ACH2が、A/D変換回路65に入力される。これにより充電電圧VBATの監視が可能になり、バッテリー90の充電状態に応じた各種の制御を実現できる。
またバッテリー90の近くには、サーミスターTH(広義には温度検出部)が設けられている。このサーミスターTHの一端の電圧RCTが制御装置50に入力され、これによりバッテリー温度の測定が可能になる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電側、受電側の制御装置、送電装置、受電装置の構成・動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。