JP2016212932A - 磁気テープおよび磁気信号再生装置 - Google Patents

磁気テープおよび磁気信号再生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016212932A
JP2016212932A JP2015093606A JP2015093606A JP2016212932A JP 2016212932 A JP2016212932 A JP 2016212932A JP 2015093606 A JP2015093606 A JP 2015093606A JP 2015093606 A JP2015093606 A JP 2015093606A JP 2016212932 A JP2016212932 A JP 2016212932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
nonmagnetic
lubricant
magnetic tape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015093606A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6389143B2 (ja
Inventor
仁彦 森
Yoshihiko Mori
仁彦 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2015093606A priority Critical patent/JP6389143B2/ja
Priority to US15/141,168 priority patent/US9875766B2/en
Publication of JP2016212932A publication Critical patent/JP2016212932A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6389143B2 publication Critical patent/JP6389143B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/68Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent
    • G11B5/70Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent on a base layer
    • G11B5/71Record carriers characterised by the selection of the material comprising one or more layers of magnetisable material homogeneously mixed with a bonding agent on a base layer characterised by the lubricant
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/73Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer
    • G11B5/735Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer characterised by the back layer
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/73Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer
    • G11B5/735Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer characterised by the back layer
    • G11B5/7356Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer characterised by the back layer comprising non-magnetic particles in the back layer, e.g. particles of TiO2, ZnO or SiO2
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/74Record carriers characterised by the form, e.g. sheet shaped to wrap around a drum
    • G11B5/78Tape carriers

Abstract

【課題】電磁変換特性および走行耐久性がともに優れる磁気テープの提供。
【解決手段】非磁性支持体の一方の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層の表面上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する面とは反対の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有し、磁性層および非磁性層の一層または両層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、バックコート層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲であり、かつ磁性層表面における凹みの存在状態が、条件1および条件2を満たす磁気テープ。条件1:深さ5nm以上10nm未満の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり5〜1000個、条件2:深さ10nm以上の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり100個以下。磁気信号再生装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気テープおよび磁気信号再生装置に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。磁気テープへの信号の記録再生は、通常、磁気テープをドライブ内で走行させ磁性層表面と磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。)とを接触(摺動)させることにより行われる。しかし、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数が高い状態で走行を繰り返すと、磁性層表面が削れることにより削れ屑が発生してしまう。このような削れ屑は、出力変動(スペーシングロス)をもたらし、走行を繰り返すうちに電磁変換特性が低下する原因となる。したがって、繰り返し走行による電磁変換特性の低下を抑制するためには、磁気テープの走行耐久性を高めること(繰り返し走行における磁性層表面の削れを抑制すること)が望ましい。
上記の摩擦係数を低下させるための手段として、従来、非磁性支持体上に設けられた磁性層や、磁性層と非磁性支持体との間に設けられた非磁性層に、潤滑剤を含有させること(特許文献1参照)、非磁性支持体の磁性層とは反対側に位置するバックコート層に潤滑剤を含有させること(特許文献2参照)が行われていた。
一方、電磁変換特性に関して、特許文献1には、磁性層表面の深さ20nm以上の凹み分布が30個/(175μm×130μm)を超える場合には、SNR(Signal-to-Noise Ratio)が低下すると記載されている(特許文献1の段落0112参照)。
特開2004−273070号公報 特開2006−31805号公報
従来行われてきたように、上記の各層に潤滑剤を含有させることにより、走行時にヘッドとの摺動面となる磁性層表面に潤滑剤を存在させることができる。より詳しくは、磁性層や非磁性層に含有させた潤滑剤が磁性層表面に染み出す(マイグレートする)ことや、磁気テープカートリッジ内でリールに巻き取られた状態で磁性層表面とバックコート層表面とが接触しバックコート層表面から磁性層表面に潤滑剤が供給(転写)されることにより、磁性層表面に潤滑剤を存在させることができる。この点に関し、特許文献1では、磁性層表面の潤滑剤の存在量の指標として、表面潤滑剤指数を採用している。しかるに、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載されているように表面潤滑剤指数を制御したり磁性層表面の凹み分布を制御することでは、近年の高密度記録化が指向されている磁気記録再生システムに用いられる磁気テープにおいて、電磁変換特性と走行耐久性をともに向上することは困難であった。
本発明の目的は、電磁変換特性および走行耐久性がともに優れる磁気テープを提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明の一態様にかかる以下の磁気テープを見出すに至った。
非磁性支持体の一方の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、
非磁性層の表面上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、
非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する面とは反対の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有し、
磁性層および非磁性層の一層または両層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
バックコート層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲であり、かつ
磁性層表面における凹みの存在状態が、下記条件1および条件2を満たす磁気テープ;
条件1:深さ5nm以上10nm未満の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり5〜1000個、
条件2:深さ10nm以上の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり100個以下。
上記磁気テープは、優れた電磁変換特性および走行耐久性を発揮することができる。この点に関する本発明者による推察は、以下の通りである。
磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲であることにより、磁気テープは優れた電磁変換特性を発揮することができる。ただし、走行を繰り返す中で磁性層表面とヘッドとが接触することで磁性層表面に存在する潤滑剤量が低減すると、ヘッドとの接触により磁性層表面の削れが発生しやすくなってしまう。そこで特許文献2に記載されているように、バックコート層から磁性層表面へ潤滑剤を供給するためにバックコート層に潤滑剤を含有させることが考えられる。この点に関し、本発明者は、バックコート層に潤滑剤を含有させることに加えて、磁性層表面における凹みの存在状態を制御して条件1および条件2を満たすものとすることにより、電磁変換特性の向上および走行耐久性の向上を、ともに達成することが可能になることを新たに見出した。より詳しくは、本発明者による推察は、次の通りである。
条件1および条件2を満たす磁性層表面は、バックコート層から磁性層表面へ潤滑剤を均一かつ十分に転写できる接触面積を確保できると本発明者は考えている。
また、条件1に関して規定される深さ5nm以上10nm未満の凹みは、繰り返し走行中に磁性層表面で不足した潤滑剤を補充する潤滑剤溜まりとして機能するに適した凹みであると本発明者は推察している。
更に、条件2に関して規定される深さ10nm以上の凹みは電磁変換特性低下をもたらし得るためその個数を低減したうえで、条件1に関して規定される深さ5nm以上10nm未満の凹みは、磁性層表面に、上記の個数、存在させる。条件1に関して規定される凹みは、電磁変換特性に大きな影響を与えることなく上記の潤滑剤溜まりとして機能することができるのではないかと本発明者は考えている。なお通常の測定により凹みとして認識される深さの下限は5nm程度であるため、条件1に関し規定する凹みは、深さ5nm以上(かつ10nm未満)の凹みとする。
ただし、上記は本発明者による推察であって、本発明を何ら限定するものではない。
磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数とは、ロール状に巻き取られている磁気テープ(磁気テープロール)のロールの端部から一定長さ切り取り得られたテープサンプルを、測定試料として用いて測定される値である。磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数とは、特記しない限り、未走行の磁気テープについて測定される値とする。
上記表面潤滑剤指数の測定方法は、以下の通りである。
測定試料(上記テープサンプル)から、サイズ10mm×30mmの2つの試料片を切り出す。以下において、切り出した2つの試料片の一方(以下「試料A」という。)には潤滑剤除去処理を施さず、他方(以下、「試料B」という。)には潤滑剤除去処理を施す。潤滑剤除去処理は、以下の方法により行う。
(潤滑剤除去処理)
試料Bを有機溶媒に浸漬することにより、強磁性粉末に吸着している潤滑剤を抽出・除去する。その後、強磁性粉末に吸着している潤滑剤をシリル化剤により誘導体化して強磁性粉末から遊離させた後に、有機溶媒により抽出・除去する。
上記処理により、試料Bから潤滑剤を除去することができる。潤滑剤除去処理の具体例は、実施例について後述する。
上記処理により潤滑剤を除去した試料Bおよび上記試料Aの磁性層表面において、それぞれオージェ電子分光法により、炭素(C)のKLLピーク強度(以下、「C強度」と記載する。)および鉄(Fe)のLMMピーク強度(以下、「Fe強度」と記載する。)を微分形で求め、C強度とFe強度との強度比(C強度/Fe強度)を求める。オージェ電子分光法では、測定対象の試料の表面から数10オングストローム(数nm)の深さの領域(極表層)の元素を分析することができ、極表層に存在する元素種とその量論的関係を知ることができる。炭素(C)のKLLピークは潤滑剤および結合剤に由来し、鉄(Fe)のLMMピークは強磁性粉末に由来するオージェ電子ピークである。強磁性粉末は、通常、構成元素として鉄(Fe)を含むが、磁性層に含まれる強磁性粉末が、オージェ電子分光解析装置により定量可能なLMMピーク強度を与える量の鉄を含まない場合には、強磁性粉末を構成する鉄以外の元素のオージェ電子ピークを、鉄(Fe)のLMMピークに代えて用いればよい。
試料Bは、潤滑剤除去処理が施された試料であるため、試料Bにおいて検出される炭素(C)のKLLピークは、結合剤に由来するオージェ電子ピークと見なすことができる。これに対し試料Aは潤滑剤除去処理が施されていないため、試料Aにおいて検出される炭素(C)のKLLピークは、潤滑剤および結合剤に由来するオージェピークである。したがって、試料Aについて求めた強度比を、試料Bについて求めた強度比で除することによって、測定値における結合剤の影響を除くことができる。そこで本発明では、試料Aについて求めた強度比をA、試料Bについて求めた強度比をBとして、「A/B」として算出される値を、磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数とする。
オージェ電子分光法による測定に用いるオージェ電子分光解析装置としては、例えば米国Φ(ファイ)社製オージェ電子分光解析装置(PHI−660型)を用いることができる。測定条件は、例えば下記条件である。後述の実施例に示す表面潤滑剤指数は、上記装置を用いて下記条件で測定して得られた値を用いて算出した値である。
1次電子線加速電圧:3kV
試料電流:130mA
倍率:250倍
傾斜角度:30°
Kinetic Energy:130〜730eV
積算回数:3回
上記の条件1、条件2に関する凹み個数は、3次元表面構造解析装置を用いて、磁性層表面の異なる10箇所の測定箇所(各測定箇所のサイズ:350μm×260μm)において求めた凹み個数の算術平均とする。各測定領域での凹み個数の測定は、例えば以下の方法で行うことができる。後述の実施例に示す凹み個数は、以下の方法で求めた値である。
ZYGO社製汎用3次元表面構造解析装置NewView5010を用いて、走査型白色光干渉法にてScan Length:5μmで測定を行う。測定視野は350μm×260μmである。測定結果をハイパスフィルタ(HPF):1.65μm、ローパスフィルタ(LPF:50μm)でフィルタ処理し、深さ5nm以上10nm未満の凹みの個数、深さ10nm以上の凹みの個数を、それぞれカウントする。
一態様では、バックコート層に含まれる非磁性粉末は、平均粒子サイズが50nm以下のカーボンブラックである。
一態様では、バックコート層は、アミン化合物を更に含む。
一態様では、磁性層および非磁性層の一層または両層に含まれる潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される少なくとも一種である。
一態様では、バックコート層に含まれる潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される少なくとも一種である。
一態様では、磁性層の厚さは、5〜200nmの範囲である。
一態様では、非磁性層の厚さは、5nm〜3μmの範囲である。
一態様では、バックコート層は、非磁性粉末100.0質量部あたり1.0〜40.0質量部の潤滑剤を含む。
一態様では、上記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選択される強磁性粉末である。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープと、磁気再生ヘッドと、を含む磁気信号再生装置に関する。
一態様では、上記磁気信号再生装置は、上記磁気テープに200kfci以上の線記録密度で記録された磁気信号を、上記磁気再生ヘッドで再生する。
本発明によれば、優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつ繰り返し走行における磁性層表面の削れが抑制された(即ち走行耐久性に優れる)磁気テープを提供することができる。更に本発明によれば、かかる磁気テープを備えた磁気信号再生装置を提供することができる。
[磁気テープ]
本発明の一態様は、以下の磁気テープに関する。
非磁性支持体の一方の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、
非磁性層の表面上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、
非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する面とは反対の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有し、
磁性層および非磁性層の一層または両層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
バックコート層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲であり、かつ
磁性層表面における凹みの存在状態が、下記条件1および条件2を満たす磁気テープ;
条件1:深さ5nm以上10nm未満の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり5〜1000個、
条件2:深さ10nm以上の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり100個以下。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<表面潤滑剤指数>
上記磁気テープの磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数は、1.00〜4.00の範囲である。ここでいう表面潤滑剤指数とは、前述のように、未走行の磁気テープについて測定される値である。かかる表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲である磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができる。電磁変換特性の更なる向上の観点から、上記表面潤滑剤指数は、より好ましくは3.50以下であり、更に好ましくは3.00以下であり、いっそう好ましくは2.50以下であり、よりいっそう好ましくは2.00以下である。また、同様の観点から、上記表面潤滑剤指数は、より好ましくは1.10以上であり、更に好ましくは1.20以上である。
上記表面潤滑剤指数は、磁気テープの製造において、磁性層、非磁性層およびバックコート層の各層を形成するために用いる組成物に添加する潤滑剤の種類、添加量、組成物の処方、磁気テープの製造条件等により制御することができる。制御方法については、例えば特開2004−273070号公報段落0009〜0010を参照できる。
なお繰り返し走行後も磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が上記範囲であることが、繰り返し走行による磁性層表面の削れを抑制する観点からは好ましい。例えば、後述の実施例に記載の繰り返し走行(1000パス走行後)の磁性層表面で測定される表面潤滑剤指数が上記範囲であることが、好ましい。以下に詳述するように、磁性層表面における凹みの存在状態を制御し、かつバックコート層に潤滑剤を含有させることにより、繰り返し走行後も磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が上記範囲である磁気テープを得ることができる。
<磁性層表面における凹みの存在状態>
本発明の磁気テープは、上記表面潤滑剤指数を示し、かつ磁性層表面における凹みの存在状態が下記条件1および条件2を満たす。かかる本発明の磁気テープは、優れた電磁変換特性と優れた走行安定性を発揮することができる。この点に関する本発明者による推察は、先に記載した通りである。
条件1:深さ5nm以上10nm未満の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり5〜1000個。
条件2:深さ10nm以上の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり100個以下。
条件1に関し規定される凹み個数は、電磁変換特性と走行耐久性をともに更に向上する観点から、好ましくは10個以上、より好ましくは20個以上、更に好ましくは30個以上、いっそう好ましくは50個以上、より一層好ましくは70個以上である。また、同様の観点から、好ましくは950個以下、より好ましくは900個以下、更に好ましくは850個以下、いっそう好ましくは800個以下、よりいっそう好ましくは700個以下、更にいっそう好ましくは600個以下、なおいっそう好ましくは500個以下である。
条件2に関して規定される凹み個数も、同様の観点から、好ましくは95個以下であり、より好ましくは90個以下であり、更に好ましくは85個以下であり、いっそう好ましくは80個以下であり、よりいっそう好ましくは70個以下である。また、例えば1個以上、5個以上、または10個以上であってもよく、0個であってもよい。
磁性層表面の凹みの存在状態は、バックコート層を形成するための組成物に添加する非磁性粉末の種類、添加量、組成物の処方、磁性層を形成するための組成物の処方、製造条件等によって制御することができる。詳細は後述する。
<潤滑剤>
次に、潤滑剤について説明する。
潤滑剤は、磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数低減に寄与する成分であり、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の磁気テープに通常使用される各種潤滑剤を用いることができる。
例えば、脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸エステルとしては、上記各種脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル(ブチルステアレート)、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
脂肪酸アミドとしては、各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
磁性層は、少なくとも、磁性層内部から磁性層表面へ移行し易い傾向がある脂肪酸を含有することが好ましく、脂肪酸と一種以上の脂肪酸の誘導体とを含むことがより好ましく、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される一種以上と脂肪酸とを含むことが更に好ましい。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(エステル、アミド等)とを併用する場合、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合には、ステアリン酸エステルやステアリン酸アミドを使用することは好ましい。
また、潤滑剤としては、特開2009−96798号公報段落0111に記載されているものを用いることもできる。
磁性層および非磁性層は、いずれか一方の層のみ潤滑剤を含んでもよく両層に含んでもよい。非磁性層は、磁性層へ潤滑剤を供給するタンクとしての機能を果たすことができる。磁性層と非磁性層の両層に潤滑剤を含むことが好ましい。
磁性層の潤滑剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば2.0〜30.0質量部であり、好ましくは4.0〜15.0質量部、より好ましくは6.0〜12.0質量部である。なお潤滑剤として二種以上の異なる潤滑剤を使用する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
非磁性層の潤滑剤含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0.5〜10.0質量部であり、好ましくは0.8〜6.0質量部、より好ましくは1.0〜4.0質量部である。なお、カーボンブラックは、非磁性層の非磁性粉末として使用され得る各種非磁性粉末と比べ潤滑剤を吸着し難い傾向がある。非磁性粉末が潤滑剤を吸着し難いことは、非磁性層から磁性層へ、更には磁性層表面へと移行する潤滑剤量を増やすことにつながる。したがって、磁性層表面の表面潤滑剤指数を制御するための一手段として、非磁性層の非磁性粉末の一部または全部として、カーボンブラックを使用することも好ましい。
なお磁性層に含まれる潤滑剤量が多いほど磁性層が軟らかくなりバックコート層表面に存在する突起形状が磁性層表面に移りやすくなる傾向がある。これにより条件1、条件2に関し規定される凹み個数は増える傾向がある。したがって、条件1、条件2に関する凹み個数を制御するための一手段としては、磁性層に添加する潤滑剤量を調整することを挙げることもできる。
バックコート層は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選ばれる一種以上の潤滑剤を含むことが好ましい。バックコート層は、バックコート層内部からバックコート層表面に移行し易い潤滑剤である脂肪酸を少なくとも含むことがより好ましく、脂肪酸と一種以上の脂肪酸の誘導体とを含むことがより好ましく、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される一種以上と脂肪酸とを含むことが更に好ましく、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドを含むことがいっそう好ましい。バックコート層に含まれる潤滑剤量は、バックコート層に含まれる非磁性粉末100.0質量部に対し、例えば0.3〜40.0質量部であり、好ましくは1.0〜8.0質量部、より好ましくは2.0〜6.0質量部である。なお未走行の磁気テープにおいて測定される前述の表面潤滑剤指数は、磁気テープが使用前(走行前)に巻かれた状態で磁性層表面とバックコート層とが接触することで、バックコート層から磁性層表面に潤滑剤が転写されることによっても制御することができる。
次に、本発明の磁気テープに含まれる各層、非磁性支持体および磁気テープの製造方法について、更に詳細に説明する。
<磁性層>
(強磁性粉末)
強磁性粉末としては、磁気テープに通常用いられる各種強磁性粉末を用いることができる。高密度記録化の観点からは、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末が好ましい。また、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末、非磁性粉末等の粉末についての平均粒子サイズとは、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお本発明および本明細書において、強磁性粉末とは、複数の強磁性粒子の集合を意味するものとする。集合とは、これを構成する粒子が直接接触している態様に限定されず、結合剤や添加剤等が、粒子同士の間に介在している態様も包含される。以上の点は、非磁性粉末等の他の粉末についても同様である。なお粒子との語が、粉末を表すために用いられることもある。
上記平均粒子サイズの測定は、粉末そのものの測定が可能ならば、この粉末を用いて行うことができる。または磁気テープから取り出した粉末を試料粉末として用いて測定を行うこともできる。例えば、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明および本明細書において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、六方晶フェライト粉末を挙げることができる。六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0134〜0136を参照できる。
上記強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141を参照できる。
磁性層における強磁性粉末の含有量(充填率)は、磁性層の全質量(または磁性層形成用組成物の溶媒を除く成分(即ち固形分))に対して、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。上記充填率が高いことは、記録密度向上の観点から好ましい。
(結合剤)
本発明の磁気テープは塗布型の磁気テープであり、磁性層、ならびに後述する非磁性層およびバックコート層は結合剤を含む。磁性層に含まれる結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層、バックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤については、特開2014−080563号公報段落0014〜0027および同公報の実施例の記載、特開2013−065381号公報0012〜0016、0040〜0136および同公報実施例の記載も参照できる。結合剤含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば5.0〜50.0質量部の範囲、好ましくは10.0〜30.0質量部の範囲とすることができる。
また、上記樹脂とともに硬化剤を使用することも可能である。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0.0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
(添加剤)
磁性層には、強磁性粉末、潤滑剤および結合剤が含まれ、必要に応じて一種以上の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、非磁性粉末(研磨剤、突起形成剤)、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤などを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて公知の方法で調製したものまたは市販品を適宜選択して、任意の量で使用することができる。一例として、例えば研磨剤については、特開2004−273070号公報段落0030〜0032を参照できる。突起形成剤としては、コロイド粒子が好ましく、入手容易性の点から無機コロイド粒子が好ましく、無機酸化物コロイド粒子がより好ましく、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。研磨剤、突起形成剤の平均粒子サイズは、それぞれ好ましくは50〜200nmである。また、磁性層形成用組成物には、通常、有機溶媒が含まれる。有機溶媒としては、塗布型磁気記録媒体の製造のために通常用いられる有機溶媒を一種または任意の割合で二種以上混合して、任意の量で用いることができる。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。本発明の磁気テープは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150、特開2013−049832号公報段落001〜0020を参照できる。
先に記載したように、非磁性層の非磁性粉末としてカーボンブラックを使用することが、前述の表面潤滑剤指数を制御するための手段の1つとして挙げられる。非磁性層の非磁性粉末は、例えば非磁性粉末全量100.0質量部に対して、10.0質量部以上のカーボンブラックを含むことができ、20.0質量部以上のカーボンブラックを含むこともできる。また、非磁性粉末全量がカーボンブラック(すなわち上記含有量が100.0質量部)であってもよい。
非磁性層における非磁性粉末の含有量は、非磁性層の全質量(または非磁性層形成用組成物の溶媒を除く成分(即ち固形分))に対して、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
非磁性層に含まれ得る潤滑剤については、先に記載した通りである。
非磁性層の結合剤および任意に含まれる硬化剤については、磁性層に関し記載した通りである。非磁性層における結合剤、硬化剤の含有量については、上記の磁性層における含有量を、非磁性層に含まれる非磁性粉末に関する含有量と読み替えて適用することができる。
非磁性層のその他詳細については、公知技術を何ら制限なく適用することができる。
<バックコート層>
本発明の磁気テープは、非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する表面とは反対の表面上にバックコート層を有する。バックコート層は、非磁性粉末、潤滑剤、結合剤を少なくとも含み、公知の添加剤の一種以上を任意に含むことができる。バックコート層の非磁性粉末については、非磁性層の非磁性粉末に関する上記記載を参照できる。バックコート層の非磁性粉末としては、カーボンブラックとカーボンブラック以外の非磁性粉末を併用するか、またはカーボンブラックを用いる(即ち、バックコート層の非磁性粉末がカーボンブラックからなる)ことができる。
バックコート層の非磁性粉末は、非磁性粉末全量100.0質量部に占めるカーボンブラックの割合が、好ましくは50.0〜100.0質量部の範囲であり、より好ましくは70.0〜100.0質量部の範囲であり、更に好ましくは90.0〜100.0質量部の範囲であり、バックコート層の非磁性粉末がカーボンブラックからなることが特に好ましい。また、バックコート層における非磁性粉末の含有量は、バックコート層の全質量(またはバックコート層形成用組成物の溶媒を除く成分(即ち固形分))に対して、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
先に記載した磁性層表面における凹みの存在状態を制御するためには、平均粒子サイズが50nm以下の非磁性粉末を用いることが好ましい。これに対し、前述の特開2004−273070号公報(特許文献1)では、実施例において、バックコート層の非磁性粉末として、平均粒子サイズの異なる二種のカーボンブラックが併用されている(特許文献1の段落0090参照)。また、特開2006−31805号公報(特許文献2)の実施例では、バックコート層の非磁性粉末として、平均粒子サイズの異なる二種のカーボンブラックおよびこれらと平均粒子サイズの異なるα−アルミナが併用されている(特許文献2の段落0074参照)。これら併用されている非磁性粉末の中で、平均粒子サイズが50nmを超える非磁性粉末はバックコート層表面に粗大な突起を形成する傾向があり、磁気テープが巻かれて磁性層表面とバックコート層表面が接触すると、この粗大な突起の形状が磁性層表面に移り、条件1に関し規定される凹みの個数および条件2に関し規定される凹みの個数を大きく増加させる傾向がある。したがって、磁性層表面における凹みの存在状態を条件1および条件2を満たすものとするためには、平均粒子サイズが50nm以下の非磁性粉末を用いることが好ましい。非磁性粉末は一種のみ用いてもよく二種以上を用いることができるが、二種以上(例えばカーボンブラックとカーボンブラック以外の非磁性粉末)を用いる場合、それぞれの平均粒子サイズが50nm以下であることが好ましい。非磁性粉末の平均粒子サイズは、より好ましくは10〜50nmの範囲であり、更に好ましくは10〜30nmの範囲である。一態様では、バックコート層に含まれる非磁性粉末がカーボンブラックからなり、その平均粒子サイズが50nm以下であることが好ましい。
磁性層表面における凹みの存在状態を制御するためには、バックコート層形成用組成物は、この組成物に含まれる非磁性粉末の分散性を高めることができる成分(分散剤)を含むことが好ましい。バックコート層形成用組成物は、平均粒子サイズが50nm以下の非磁性粉末と、この非磁性粉末の分散性を高めることができる成分を含むことがより好ましく、平均粒子サイズが50nm以下のカーボンブラックと、カーボンブラックの分散性を高めることができる成分を含むことが更に好ましい。
そのような分散剤の一例としては、アミン化合物を挙げることができる。アミン化合物の具体的態様としては、例えば、2級アミノ基を有するジアミン化合物を挙げることができる。そのようなジアミン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(1)中、nは2〜4の範囲の整数を表し、溶解性の点から、2または3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
一般式(1)中、U、V、XおよびYで表される置換基は、炭素原子を含み、置換する炭素原子と炭素原子によって結合する置換基(以下、「炭素含有置換基」ともいう。)である。即ち、一般式(1)において、2級アミノ基中で窒素原子と結合している炭素原子は、少なくとも2級炭素原子(隣接する炭素原子が2つ)である。なお一般式(1)において、複数含まれる炭素含有置換基は、すべて同一構造であってもよく異なっていてもよい。また、炭素含有置換基には、例えば、2級アミン構造、3級アミン構造、エーテル構造、水酸基、ビニル構造等が含まれていてもよく、5員環、6員環等の環状構造が含まれていてもよい。
炭素含有置換基としては、直鎖または分岐の飽和または不飽和の炭化水素基を挙げることができる。また、上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば炭素数1〜6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えばフェニル基)等を挙げることができる。ここで置換基を有する場合の「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。
分散性向上の観点から、上記炭化水素基は、好ましくはアルキル基であり、例えば炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基である。上記アルキル基は、無置換であることができ、または置換基を有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10の範囲であり、より好ましくは1〜8の範囲であり、更に好ましくは1〜5の範囲であり、より一層好ましくは1〜3の範囲である。更により一層好ましくは、炭素含有置換基はメチル基またはエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
一般式(1)中、WおよびZはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。WおよびZは、その中に2級アミン構造、3級アミン構造、エーテル構造、水酸基、ビニル構造等が含まれていてもよく、5員環、6員環等の環状構造が含まれていてもよい。WおよびZの少なくとも一方が、炭素原子を含み、置換する炭素原子と炭素原子によって結合する置換基(炭素含有置換基)であることが好ましく、両方が炭素含有置換基であること、即ち、一般式(1)において2級アミノ基中で窒素原子と結合している炭素原子が3級炭素原子(隣接する炭素原子が3つ)であることが、より好ましい。W、Zで表される炭素含有置換基の詳細は、先にU、V、XおよびYで表される炭素含有置換基について説明した通りである。
上記ジアミン化合物は、公知の方法で合成することができ、市販品として入手することもできる。上記ジアミン化合物は、カーボンブラック100.0質量部に対して、1.0〜50.0質量部の割合で用いることが好ましく、1.0〜20.0質量部の割合で用いることがより好ましい。
また、アミン化合物としては、有機三級アミンを挙げることもできる。有機三級アミンについては、特開2013−049832号公報段落0011〜0018、0021を参照できる。また、有機三級アミンによりカーボンブラックの分散性を高めるための組成物の処方等については、同公報段落0022〜0024、0027を参照できる。
その他のバックコート層形成用組成物の処方(例えば、結合剤、各種添加剤、溶媒の種類や添加量)については、磁性層や非磁性層に関する上記記載または公知技術を適用することができる。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体には、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<各層および非磁性支持体の厚み>
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、高密度記録化のためには、5〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜100nmの範囲であることがより好ましく、10〜100nmの範囲であることが更に好ましく、30〜100nmの範囲であることがいっそう好ましい。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、好ましくは5nm(0.005μm)〜3μmの範囲であり、より好ましくは5nm〜1.5μmの範囲であり、更に好ましくは30nm〜1.5μmの範囲であり、いっそう好ましくは50nm〜1.5μmの範囲である。なお磁気テープでは、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるために磁気テープ総厚を薄くすることが好ましく、非磁性層の厚みが薄いことは総厚を薄くすることにつながるため、好ましい。
磁性層、非磁性層を薄くすることにより、磁性層内部や非磁性層から磁性層表面へ供給される潤滑剤量は少なくなる傾向があるが、本発明の磁気テープでは、繰り返し走行中もバックコート層から、条件1および条件2を満たす状態で凹みが存在する磁性層表面へ潤滑剤が供給されることが、走行耐久性の向上に寄与すると本発明者は推察している。
本発明における磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および保磁力を持たないことが好ましい。
バックコート層の厚みは、0.90μm以下であることが好ましく、0.10〜0.70μmであることが更に好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚みは、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または2箇所以上の複数箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<磁気テープの製造工程>
本発明の磁気テープは、塗布型磁気テープであり、磁性層、非磁性層およびバックコート層の各層を形成するための組成物を用いて製造することができる。以下に、磁気テープの製造工程の具体的態様を説明する。ただし本発明の磁気テープは、下記態様の製造工程により製造されるものに限定されるものではない。
(各層形成用組成物および調製方法)
磁性層形成用組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気テープ製造のために使用される有機溶媒を用いることができる。磁性層形成用組成物における溶媒含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して、例えば100.0〜800.0質量部に範囲であり、好ましくは200.0〜600.0質量部の範囲である。
磁性層、非磁性層、バックコート層の各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、各種添加剤、溶媒などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、磁性層形成用組成物については、強磁性粉末を含有する分散液(磁性液)、突起形成剤を含有する分散液(突起形成剤液)、研磨剤を含有する分散液(研磨剤液)、をそれぞれ別分散して調製した後、同時または順次、潤滑剤等の他の成分と混合し磁性層形成用組成物を調製することが好ましい。潤滑剤、硬化剤、溶媒の一部または全部を、磁性液、突起形成剤液および研磨剤液を混合した混合液に添加してもよい。その他、各層形成用組成物の調製については、特開2010−231843号公報段落0065も参照できる。
非磁性層は、非磁性層形成用組成物を、非磁性支持体表面に、例えば直接塗布することにより、形成することができる。非磁性層形成用組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気テープ製造のために使用される有機溶媒を用いることができる。その他、非磁性層形成用組成物の調製の詳細については、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
バックコート層形成用組成物の調製の詳細についても、磁性層形成用組成物に関する上述の記載を参照できる。
(塗布工程)
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。また、バックコート層は、非磁性支持体の磁性層、非磁性層を形成する表面とは反対の表面にバックコート層形成用組成物を塗布することにより形成することができる。
各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
(その他工程)
磁気テープ製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報段落0067〜0070を参照できる。
以上記載した本発明の磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつ優れた走行耐久性(繰り返し走行による磁性層表面の削れが少ない)を発揮することもできる。
[磁気信号再生装置]
本発明の一態様は、上記磁気テープと磁気再生ヘッドとを含む磁気信号再生装置に関する。
上記磁気信号再生装置は、磁気テープとして、上記の本発明の磁気テープを有するものであれば、その他については公知技術を何ら制限なく適用することができる。
好ましい一態様では、上記磁気信号再生装置において、上記磁気テープに200kfci以上の線記録密度で記録された磁気信号を、磁気再生ヘッドで再生することができる。本発明の磁気テープは、200kfci以上の高線記録密度で磁気信号を記録し再生するために好適に用いることができる。なお線記録密度は、例えば400kfci以下であるが、400kfci超でもよい。
磁気信号の記録再生に関しては、磁性層表面に存在する凹みは、記録再生時の磁気ヘッド/磁気テープ間のスペーシングを増大させる。この点に関し、スペーシング増大による出力低下Lsは以下の関係にあることが知られている。以下において、d=磁気ヘッド/磁気テープ間のスペーシング[nm]、λ=記録波長[nm]である。
Ls[dB]=54.6(d/λ)
上記の関係からわかるように、記録波長が短くなる(短波長記録化する)ほどスペーシングを小さくすることで出力低下を抑制できる。短波長記録化は高密度記録化と同義であるため、記録密度を高めるほどスペーシングを小さくすることにより、出力低下を抑制することができる。この点に関し、本発明者は、条件1で規定される深さの凹みは、条件2で規定される凹みより浅く、高密度記録領域においてもスペーシングによる出力の大きな低下をもたらし難いと考えている。これに対し本発明者は、条件2で規定される深さの凹みが多く存在することは、高密度記録領域においてスペーシングによる出力低下を引き起こし得ると考えている。更に条件1で規定される深さの凹みは、前述のように、潤滑剤溜まりとして繰り返し走行中に磁性層表面で不足した潤滑剤を補充する機能を果たすことができると本発明者は推察している。これにより、先に記載したように条件1、条件2を満たす存在状態で凹みを磁性層表面に存在させることにより、高密度記録領域においても、電磁変換特性と走行耐久性の両立が可能になると、本発明者は推察している。
上記磁気信号再生装置の構成等の詳細については、特開2010−231843号公報段落0072〜0073も参照できる。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、特記しない限り、以下に記載の「部」および「%」は質量基準である。特記しない限り、以下の各操作は室温下で行った。なお室温は、20〜25℃の範囲の温度であった。
実施例、比較例について、各層の厚さは、製造条件から算出された設計厚みである。また、後述の結合剤の重量平均分子量は、以下の測定条件により測定された値である。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー社製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
[実施例1]
(1)磁性層形成用組成物の処方
(磁性液)
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末:100.0部
平均粒子サイズ(平均板径):35nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂:14.0部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.4meq/g)
シクロヘキサノン:150部
メチルエチルケトン:150部
(研磨剤液A)
アルミナ研磨剤(平均粒子サイズ:100nm):3.0部
スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂:0.3部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.3meq/g)
シクロヘキサノン:26.7部
(研磨剤液B)
ダイヤモンド研磨剤(平均粒子サイズ:100nm):1.0部
スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂:0.1部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.3meq/g)
シクロヘキサノン:26.7部
(シリカゾル)
コロイダルシリカ(平均粒径100nm):0.2部
メチルエチルケトン:1.4部
(その他成分)
ステアリン酸:2.0部
ブチルステアレート:10.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート):2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン:200.0部
メチルエチルケトン:200.0部
(2)非磁性層形成用組成物の処方
非磁性無機粉末 α−酸化鉄:100.0部
平均長軸長:10nm
平均針状比:1.9
BET(Brunauer-Emmett-Teller)比表面積:75m/g
カーボンブラック:25.0部
平均粒子サイズ:20nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂:18部
(重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g)
ステアリン酸:1.0部
シクロヘキサノン:300.0部
メチルエチルケトン:300.0部
(3)バックコート層形成用組成物の処方
カーボンブラック:100.0部
キャボット社製BP−800、平均粒子サイズ:17nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂(SONa基:70eq/ton):20.0部
OSOK基含有塩化ビニル樹脂(OSOK基:70eq/ton):30.0部
ジ−tert−ブチルエチレンジアミン:2.0部
シクロヘキサノン:140.0部
メチルエチルケトン:170.0部
ステアリン酸:2.0部
ブチルステアレート:2.0部
ステアリン酸アミド:0.1部
(4)磁気テープの作製
上記磁性液を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散した。分散ビーズとしては、直径0.5mmのジルコニアビーズを使用した。研磨剤液AおよびBは、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で24時間分散した。これらの分散液を他の成分(シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒)と混合後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で30分間分散処理を行った。その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルタを用いてろ過し、磁性層形成用組成物を調製した。
非磁性層形成用組成物については、各成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて、24時間分散した。分散ビーズとしては、直径0.1mmのジルコニアビーズを使用した。得られた分散液を0.5μmの平均孔径を有するフィルタを用いてろ過し、非磁性層形成用組成物を調製した。
バックコート層形成用組成物については、各成分を連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイソシアネート40.0部(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)、メチルエチルケトン1000.0部を添加した後、1μmの平均孔径を有するフィルタを用いて濾過し、バックコート層形成用組成物を調製した。
その後、厚み5μmのポリエチレンナフタレート製支持体の一方の表面に、乾燥後の厚みが100nmになるように非磁性層形成用組成物を塗布、乾燥した後、その上に乾燥後の厚みが70nmになるように磁性層形成用組成物を塗布した。この磁性層形成用組成物が未乾状態にあるうちに磁場強度0.6Tの磁場を、塗布面に対し垂直方向に印加し垂直配向処理を行った後乾燥させた。その後支持体の反対の表面に乾燥後の厚みが0.4μmになるようにバックコート層形成用組成物を塗布、乾燥させた。
その後金属ロールのみから構成されるカレンダで、速度100m/分、線圧300kg/cm、温度100℃で表面平滑化処理を行った後、雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットし、磁気テープを得た。
[実施例2〜7、比較例1〜6]
表1に記載の処方の磁性層形成用組成物およびバックコート層形成用組成物を用いた点以外は、実施例1と同様に磁気テープを作製した。なお表1中、BaFeとは強磁性六方晶バリウムフェライト粉末であり、MPとは強磁性金属粉末である。表1中の平均粒子サイズは、BaFeについては平均板径、MPについては平均長軸長である。
[評価方法]
1.表面潤滑剤指数
前述の方法により、実施例、比較例の各磁気テープの磁性層表面において表面潤滑剤指数を測定した。試料Bの潤滑剤除去処理は、以下の方法で行った。
試料B(10mm×30mm)を、n−ヘキサンに室温で30分間浸漬した。次いで、n−ヘキサンから取り出した試料Bを、試料瓶に入れ、n−ヘキサン10mlおよび誘導体化試薬としてシリル化剤であるジーエルサイエンス社製TMSI−H(ヘキサメチルジシラザラン(HMDS):トリメチルクロロシラン(TMCS):ピリジン混合物)0.3mlを加え、液温60℃で1時間加熱誘導体化反応を行った後に試料瓶から試料Bを取り出し、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。
2.磁性層表面における凹みの存在状態
前述の方法により、実施例、比較例の各磁気テープの磁性層表面に存在する深さ5nm以上10nm未満の凹み個数、深さ10nm以上の凹み個数を求めた。
3.電磁変換特性(SNR)
各磁気テープを、リニアテスターで速度3m/secで走行させ、磁気テープの磁性層表面にヘッドを押し当て記録、再生を行った。記録は飽和磁化1.4TのMIG(Metal-In-Gap)ヘッド(ヘッドギャップ長=0.2μm、トラック幅14μm )を使い、記録電流は、各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドとして、素子厚み25nm、シールド間隔0.2μm(トラック幅7μm)の異方性型MR(Magnetoresistive)ヘッド(A−MR)を用いた。上記評価系で、300kfci の磁気信号を記録した後、スペクトルアナライザー(アドバンテスト社製U3741)でのキャリア出力を出力(C)とし、−2MHzでのノイズレベルをノイズ(N)としたときのC/N を求め、SNRとした。SNRは、比較例1を基準とする相対値として示す。
なお比較例4の磁気テープは、表面潤滑剤指数が低く磁性層表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数が高いため、電磁変換特性評価時に磁性層が破壊され、SNRを測定することができなかった。
4.走行耐久性(繰り返し走行による磁性層表面の削れ評価)
上記3.で用いたリニアテスターで、実施例、比較例の各磁気テープの走行耐久性評価を実施した。
100m長のテープを1000パス走行させた後に、磁性層表面の削れの程度を光学顕微鏡で観察した。削れの程度は下記のように評価した。
A:摺動痕は観察されなかった。
B:弱い摺動痕はあるものの、磁性層表面の削れには至っていない。
C:磁性層表面が削れている。
D:磁性層表面が削れている(Cより重度)。磁性層表面が剥離または磁性層が欠落した箇所が多数ある。
5.繰り返し走行後の表面潤滑剤指数
上記4.の評価の後の各磁気テープの磁性層表面において表面潤滑剤指数を測定した試料Bの潤滑剤除去処理は、上記1.に記載の方法で行った。
以上の結果を、表1に示す。
表1に示す結果から、実施例の磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつ繰り返し走行による磁性層表面の削れが抑制されていることが確認できる。
本発明は、高密度記録用磁気テープの製造分野において有用である。

Claims (11)

  1. 非磁性支持体の一方の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、
    前記非磁性層の表面上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、
    前記非磁性支持体の前記非磁性層および磁性層を有する面とは反対の表面上に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有し、
    前記磁性層および非磁性層の一層または両層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
    前記バックコート層に、少なくとも一種の潤滑剤を含み、
    前記磁性層表面において測定される表面潤滑剤指数が1.00〜4.00の範囲であり、かつ
    前記磁性層表面における凹みの存在状態が、下記条件1および条件2を満たす磁気テープ;
    条件1:深さ5nm以上10nm未満の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり5〜1000個、
    条件2:深さ10nm以上の凹み個数が、面積350μm×260μmあたり100個以下。
  2. 前記バックコート層に含まれる非磁性粉末は、平均粒子サイズが50nm以下のカーボンブラックである請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記バックコート層は、アミン化合物を更に含む請求項2に記載の磁気テープ。
  4. 前記磁性層および非磁性層の一層または両層に含まれる潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記バックコート層に含まれる潤滑剤は、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪酸アミドからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記磁性層の厚さは、5〜200nmの範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 前記非磁性層の厚さは、5nm〜3μmの範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  8. 前記バックコート層は、前記潤滑剤を、前記非磁性粉末100.0質量部あたり1.0〜40.0質量部含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  9. 前記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選択される強磁性粉末である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気テープと、
    磁気再生ヘッドと、
    を含む磁気信号再生装置。
  11. 前記磁気テープに200kfci以上の線記録密度で記録された磁気信号を、前記磁気再生ヘッドで再生する請求項10に記載の磁気信号再生装置。
JP2015093606A 2015-04-30 2015-04-30 磁気テープおよび磁気信号再生装置 Active JP6389143B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015093606A JP6389143B2 (ja) 2015-04-30 2015-04-30 磁気テープおよび磁気信号再生装置
US15/141,168 US9875766B2 (en) 2015-04-30 2016-04-28 Magnetic tape and magnetic signal reproducing device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015093606A JP6389143B2 (ja) 2015-04-30 2015-04-30 磁気テープおよび磁気信号再生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016212932A true JP2016212932A (ja) 2016-12-15
JP6389143B2 JP6389143B2 (ja) 2018-09-12

Family

ID=57205056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015093606A Active JP6389143B2 (ja) 2015-04-30 2015-04-30 磁気テープおよび磁気信号再生装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9875766B2 (ja)
JP (1) JP6389143B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019159465A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 ソニー株式会社 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ
WO2019159466A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 ソニー株式会社 磁気記録媒体
WO2022138310A1 (ja) * 2020-12-23 2022-06-30 富士フイルム株式会社 磁気テープ装置、磁気テープおよび磁気テープカートリッジ

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6635219B1 (ja) * 2019-08-20 2020-01-22 ソニー株式会社 磁気記録媒体

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001325716A (ja) * 2000-05-16 2001-11-22 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2004273070A (ja) * 2003-03-11 2004-09-30 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2005032365A (ja) * 2003-07-08 2005-02-03 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2006099921A (ja) * 2004-09-30 2006-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体および磁気記録再生方法
JP2008059664A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Sony Corp 磁気記録媒体
JP2008152872A (ja) * 2006-12-19 2008-07-03 Tdk Corp 磁気記録媒体
JP2010080608A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Fujifilm Corp 六方晶フェライト磁性粉末の製造方法ならびに磁気記録媒体およびその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7300715B2 (en) * 2003-11-17 2007-11-27 Tdk Corporation Magnetic recording medium
JP2006031805A (ja) 2004-07-15 2006-02-02 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2009087471A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Fujifilm Corp 磁気記録媒体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001325716A (ja) * 2000-05-16 2001-11-22 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2004273070A (ja) * 2003-03-11 2004-09-30 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2005032365A (ja) * 2003-07-08 2005-02-03 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
JP2006099921A (ja) * 2004-09-30 2006-04-13 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体および磁気記録再生方法
JP2008059664A (ja) * 2006-08-30 2008-03-13 Sony Corp 磁気記録媒体
JP2008152872A (ja) * 2006-12-19 2008-07-03 Tdk Corp 磁気記録媒体
JP2010080608A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Fujifilm Corp 六方晶フェライト磁性粉末の製造方法ならびに磁気記録媒体およびその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019159465A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 ソニー株式会社 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ
WO2019159466A1 (ja) * 2018-02-16 2019-08-22 ソニー株式会社 磁気記録媒体
JPWO2019159465A1 (ja) * 2018-02-16 2020-04-23 ソニー株式会社 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ
JP2020170580A (ja) * 2018-02-16 2020-10-15 ソニー株式会社 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ
JPWO2019159466A1 (ja) * 2018-02-16 2020-12-03 ソニー株式会社 磁気記録媒体
US11443767B2 (en) 2018-02-16 2022-09-13 Sony Corporation Magnetic recording tape having magnetic layer indentations and manufacturing method thereof, and magnetic recording tape cartridge
JP7184065B2 (ja) 2018-02-16 2022-12-06 ソニーグループ株式会社 磁気記録テープとその製造方法、磁気記録テープカートリッジ
US11741991B2 (en) 2018-02-16 2023-08-29 Sony Corporation Magnetic recording medium
WO2022138310A1 (ja) * 2020-12-23 2022-06-30 富士フイルム株式会社 磁気テープ装置、磁気テープおよび磁気テープカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6389143B2 (ja) 2018-09-12
US9875766B2 (en) 2018-01-23
US20160322076A1 (en) 2016-11-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5623576B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
US10522180B2 (en) Magnetic tape including characterized magnetic layer, tape cartridge, recording and reproducing device, and method of manufacturing
JP6689222B2 (ja) 磁気テープ
JP6175422B2 (ja) 磁気テープ
JP6378166B2 (ja) 磁気テープおよびその製造方法
JP6632561B2 (ja) 磁気テープ装置および磁気再生方法
JP6685248B2 (ja) 磁気テープ
JP6626032B2 (ja) 磁気テープ装置および磁気再生方法
JP6632562B2 (ja) 磁気テープ
US10403319B2 (en) Magnetic tape having characterized magnetic layer, tape cartridge, and recording and reproducing device
US9711174B2 (en) Magnetic tape and method of manufacturing the same
JP6556102B2 (ja) 磁気テープおよび磁気テープ装置
JP6465823B2 (ja) 磁気テープおよびその製造方法
US9721605B2 (en) Magnetic tape and method of manufacturing the same
JP5799045B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP5953341B2 (ja) 磁気テープ
JP2018137017A (ja) 磁気テープ
JP2019021359A (ja) 磁気記録媒体
JP2020068042A (ja) 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置
JP2018137018A (ja) 磁気テープ
JP2017111841A (ja) 磁気テープおよびその製造方法
JP2020107381A (ja) 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気テープ装置
JP6389143B2 (ja) 磁気テープおよび磁気信号再生装置
JP2019050067A (ja) 磁気記録媒体および磁気記録再生装置
JP6463324B2 (ja) 磁気テープ、磁気テープカートリッジおよび磁気記録再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180807

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180816

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6389143

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250