JP2006031805A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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建 原澤
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Abstract

【課題】優れた電磁変換特性と良好な走行性を併せ持つ、薄層磁性層を有する磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体。前記磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を有し、前記磁性層の厚さは0.01〜0.2μmの範囲であり、前記磁性層の表面粗さは2nm以下であり、かつ、前記バックコート層は潤滑剤を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、高密度記録用磁気記録媒体に関する。
近年、磁気記録媒体の高記録密度化に伴い、記録波長が短くなる傾向にあり、磁性層が厚いと出力が低下する記録時の自己減磁損失の問題が大きくなっている。このため、磁性層を薄くすることが行われている。しかるに、薄手化された磁性層を支持体に直接塗布すると、磁性層中の研磨剤やカーボン等の添加剤や、磁性粉の凝集体、非磁性支持体の影響を受けて、磁性層の表面が面粗れし、電磁変換特性やドロップアウトが悪化するという問題があった。
この問題を解決する手段の1つとして、支持体と磁性層との間に非磁性層を設けることが提案され、実用化されている。例えば、特許文献1〜4には、支持体と磁性層との間に放射線硬化型樹脂を含む非磁性層を設けることが開示されている。
近年、分散技術が発達し、磁性層塗布液を高度に分散することが可能になってきている。このように磁性層の分散性が高まると、媒体の平滑性は、磁性層の下層に位置する非磁性層の表面性の影響を大きく受けるようになる。そのため、非磁性層の表面粗さや非磁性層上の突起により、磁性層の表面平滑性が劣化し、電磁変換特性が低下するという問題が生じてきた。
また、磁気記録媒体の走行性(摺動性)を改善するために、磁性層に潤滑剤を含有させることが行われている。しかし、近年の磁性層の薄層化に伴い、磁性層に保持可能な潤滑剤量は少なくなってきている。そこで、磁性層の下層に位置する非磁性層に潤滑剤を含有させ、磁性層へのマイグレーションによって、良好な走行性を確保することが提案されている。しかるに、前述のように、非磁性層の表面性の影響で、磁性層の表面平滑性が劣化し、電磁変換特性が低下するという問題もある。そのため、薄層磁性層を有する磁気記録媒体において、優れた電磁変換特性と良好な走行性を両立するための手段が求められていた。
特開昭60−133531号公報 特開昭57−40747号公報 特開2001−84582号公報 特開2001−148111号公報
そこで、本発明は、優れた電磁変換特性と良好な走行性を併せ持つ、薄層磁性層を有する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、非磁性支持体と磁性層との間に、放射線硬化型樹脂を主成分とする中間層を設けることで、薄層磁性層において、高い表面平滑性が得られることを見出した。更に、本発明者らは、テープが巻かれている状態で、磁性層とバックコート層が接触することに着目した。そして、バックコート層に潤滑剤を含有させれば、テープが巻かれている状態で、バックコート層表面に存在する潤滑剤が磁性層表面に転写され、良好な走行性を確保できることを見出した。本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的を達成するための手段は、以下の通りである。
[請求項1]非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
前記磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を有し、
前記磁性層の厚さは0.01〜0.2μmの範囲であり、
前記磁性層の表面粗さは2nm以下であり、かつ、
前記バックコート層は潤滑剤を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[請求項2]前記バックコート層は、前記カーボンブラックおよび無機粉末の合計量100質量部に対して、1〜20質量部の潤滑剤を含む請求項1に記載の磁気記録媒体。
[請求項3]前記中間層の厚み変動(標準偏差σ/中間層の厚さ)が50%以下である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
[請求項4]前記中間層の厚さが0.05〜2μmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項5]前記放射線硬化型樹脂の粘度は40000mPa・sec以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項6]前記強磁性粉末は、平均板径が10〜35nmの六方晶フェライト粉末または平均長軸長が15〜100nmの強磁性金属粉末である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
[請求項7]磁性層の厚み変動(標準偏差σ/磁性層の厚さ)が50%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、優れた電磁変換特性と良好な走行性を併せ持つ高密度記録用磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を有し、前記磁性層の厚さは0.01〜0.2μmの範囲であり、前記磁性層の表面粗さは2nm以下であり、かつ、前記バックコート層は潤滑剤を含むことを特徴とする。
[中間層]
本発明の磁気記録媒体は、磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を有する。「放射線硬化型樹脂を主成分として含む」とは、中間層における放射線硬化型樹脂の含有量が、例えば、50容量%以上であることをいう。
本発明において、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を設けることにより得られる効果について、以下に説明する。
本発明において中間層に使用される放射線硬化型樹脂は、放射線、例えば、電子線、紫外線などによるエネルギーが与えられると、重合乃至架橋して高分子化して硬化する性質を有する。放射線硬化型樹脂は、それらのエネルギーを与えない限り反応が進まないため、放射線硬化型樹脂を含む塗布液は、比較的低粘度であり、放射線を照射しない限り粘度が安定している。そのため、非磁性支持体上に中間層塗布液を塗布した後、該塗布液が乾燥するまでの間に、レベリング効果により非磁性支持体表面の粗さや突起が遮蔽(マスキング)され、平滑な中間層を得ることができる。そして、平滑な中間層上に高度に分散された磁性層塗布液を塗布することで、高い表面平滑性を有する磁性層を得ることができ、ひいては、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。更に、放射線硬化型樹脂は、放射線による高いエネルギーにより瞬時に反応が進むため、高い塗膜強度を有する中間層を得ることができ、ひいては、磁気記録媒体の強度を高めることもできる。本発明では、以上の効果によって、厚さが0.01〜0.2μmの薄層磁性層において、表面粗さが2nm以下という、高い表面平滑性を実現することができる。また、上記中間層を設けることで、近年の高記録密度化に伴い使用されているMRヘッドを用いた磁気記録媒体において、ノイズとなりやすい磁性層表面の微小突起を低減できる効果を得ることもできる。
中間層に使用される放射線効果型樹脂の粘度は、前述のマスキング効果が顕著に得られるという観点から、40000mPa・sec以下であることが好ましく、より好ましくは10000mPa・sec以下であることが好ましく、更に好ましくは1000〜6000mPa・secの範囲である。ここで、放射線硬化型樹脂の粘度とは、放射線硬化前の樹脂成分(溶媒を含まない)の25℃で測定される粘度をいう。上記放射線硬化型樹脂の質量平均分子量は、200〜1000であることが好ましく、200〜500であることが更に好ましい。
放射線硬化型樹脂としては、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等を挙げることができる。中でもアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類が好ましく、特に放射線硬化官能基を2個以上有するアクリル酸エステル類が好ましい。放射線硬化官能基としては、アクリロイル基およびメタクリロイル基を挙げることができ、中でも、放射線硬化官能基がアクリロイル基であることが好ましい。
前記放射線硬化型樹脂は、脂環式環状構造を有するものであることが好ましい。脂環式環状構造とは、シクロ骨格、ビシクロ骨格、トリシクロ骨格、スピロ骨格、ジスピロ骨格等の骨格を有するものである。中でも、脂環式環状構造は、原子を共有している複数の環からなる構造であるもの、例えば、ビシクロ骨格、トリシクロ骨格、スピロ骨格、ジスピロ骨格等の骨格を有するものであることが好ましい。これら骨格としては、エステル類、アミド類等の放射線硬化型樹脂を形成するためのポリオール、ポリアミン等の残基となるものが挙げられる。放射線硬化型樹脂はその残基に放射線硬化官能基を各々結合してなるものであることができる。
脂環式環状構造を有する放射線硬化型樹脂は、脂肪族系に比べてガラス転移温度が高いので、中間層塗布後の工程での粘着故障を低減することができる。また、シクロヘキサン環やビシクロ、トリシクロ、スピロなどの脂環式系の骨格を有することで、硬化による塗膜収縮が低減され、非磁性支持体との密着力を向上させることもできる。
放射線硬化型樹脂の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。シクロプロパンジアクリレート、シクロペンタンジアクリレート、シクロヘキサンジアクリレート、シクロブタンジアクリレート、ジメチロールシクロプロパンジアクリレート、ジメチロールシクロペンタンジアクリレート、ジメチロールシクロヘキサンジアクリレート、ジメチロールシクロブタンジアクリレート、シクロプロパンジメタクリレート、シクロペンタンジメタクリレート、シクロヘキサンジメタクリレート、シクロブタンジメタクリレート、ジメチロールシクロプロパンジメタクリレート、ジメチロールシクロペンタンジメタクリレート、ジメチロールシクロヘキサンジメタクリレート、ジメチロールシクロブタンジメタクリレート、ビシクロブタンジアクリレート、ビシクロオクタンジアクリレート、ビシクロノナンジアクリレート、ビシクロウンデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロブタンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート、ジメチロールビシクロノナンジアクリレート、ジメチロールビシクロウンデカンジアクリレート、ビシクロブタンジメタクリレート、ビシクロオクタンジメタクリレート、ビシクロノナンジメタクリレート、ビシクロウンデカンジメタクリレート、ジメチロールビシクロブタンジメタクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジメタクリレート、ジメチロールビシクロノナンジメタクリレート、ジメチロールビシクロウンデカンジメタクリレート、トリシクロヘプタンジアクリレート、トリシクロデカンジアクリレート、トリシクロドデカンジアクリレート、トリシクロウンデカンジアクリレート、トリシクロテトラデカンジアクリレート、トリシクロデカントリデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロヘプタンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロドデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロウンデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロテトラデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカントリデカンジアクリレート、トリシクロヘプタンジジメタクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロドデカンジメタクリレート、トリシクロウンデカンジメタクリレート、トリシクロテトラデカンジメタクリレート、トリシクロデカントリデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロヘプタンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロドデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロウンデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロテトラデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカントリデカンジメタクリレート、スピロオクタンジアクリレート、スピロヘプタンジアクリレート、スピロデカンジアクリレート、シクロペンタンスピロシクロブタンジアクリレート、シクロヘキサンスピロシクロペンタンジアクリレート、スピロビシクロヘキサンジアクリレート、ジスピロヘプタデカンジアクリレート、ジメチロールスピロオクタンジアクリレート、ジメチロールスピロヘプタンジアクリレート、ジメチロールスピロデカンジアクリレート、ジメチロールシクロペンタンスピロシクロブタンジアクリレート、ジメチロールシクロヘキサンスピロシクロペンタンジアクリレート、ジメチロールスピロビシクロヘキサンジアクリレート、ジメチロールジスピロヘプタデカンジアクリレート、スピロオクタンジメタクリレート、スピロヘプタンジメタクリレート、スピロデカンジメタクリレート、シクロペンタンスピロシクロブタンジメタクリレート、シクロヘキサンスピロシクロペンタンジメタクリレート、スピロビシクロヘキサンジメタクリレート、ジスピロヘプタデカンジメタクリレート、ジメチロールスピロオクタンジメタクリレート、ジメチロールスピロヘプタンジメタクリレート、ジメチロールスピロデカンジメタクリレート、ジメチロールシクロペンタンスピロシクロブタンジメタクリレート、ジメチロールシクロヘキサンスピロシクロペンタンジメタクリレート、ジメチロールスピロビシクロヘキサンジメタクリレート、ジメチロールジスピロヘプタデカンジメタクリレート。なかでも好ましいものはジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート、ジメチロールスピロオクタンジアクリレートである。特に好ましくはジメチロールトリシクロデカンジアクリレートであり、市販されている具体的化合物としては日本化薬製KAYARAD R−684、共栄社化学製ライトアクリレートDCP−A、大日本インキ製LUMICURE DCA−200などがある。
更に、本発明では、例えば特開2002−117520号公報に記載の放射線硬化型樹脂を使用することもできる。
中間層には、以下に記載の非磁性粉末やカーボンブラック等を添加することもできる。但し、優れた表面性を得るためには、それらを含まないことが好ましく、それらを含有させる場合には、表面性が劣化しないように、30容量%以下の割合で使用することが好ましい。
中間層に使用可能な非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、含水金属酸化物、金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物、等の無機質化合物を挙げることができる。無機質化合物としては、例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、窒化珪素、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、などを挙げることができる。これらは、単独または組合せて使用することができる。特に好ましいものは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、α−酸化鉄、ゲータイト、硫酸バリウムであり、更に好ましいものは二酸化チタン、α−酸化鉄、ゲータイトである。α−酸化鉄は、粉体サイズがそろった磁性酸化鉄やメタル用原料を加熱脱水、アニール処理し空孔を少なくし、必要により表面処理をしたものが好ましい。通常、二酸化チタンは光触媒性を持っているので、光が当たるとラジカルが発生しバインダー、潤滑剤と反応する懸念がある。このため、本発明において二酸化チタンを使用する場合は、Al、Fe等を1〜10質量%固溶させ光触媒特性を低下させた二酸化チタンを用いることが好ましい。さらに表面をAlおよび/またはSi化合物で処理し、触媒作用を低下させることが好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、0.005〜1μmであることが好ましいが、必要に応じて粉体サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。非磁性粉末の平均粒径は、0.01μm〜0.5μmであることが特に好ましい。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒径は0.08μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。タップ密度は通常、0.3〜1.5g/ml、好ましくは0.4〜1.3g/mlである。非磁性粉末の含水率は通常、0.2〜5質量%、好ましくは0.3〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性粉末のpHは通常、3〜12であり、5.5〜11の間であることが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gであり、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜80m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは40〜1000Åであることが好ましく、40〜800Åであることが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は通常、5〜100ml/100gであり、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は通常、1.5〜7であり、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は通常、1〜20μmol/m2であり、好ましくは2〜15μmol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量が多い非磁性粉末を使用する場合は、表面に強く吸着する有機物で非磁性粉末の表面を修飾して磁気記録媒体を作製することが好ましい。これらの非磁性粉末の表面にはAl、Mg、Si、Ti、Zr、Sn、Sb、Zn、Y化合物で表面処理することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、MgOおよびこれらの含水酸化物であり、更に好ましいものはAl23、SiO2、ZrO2およびこれらの含水酸化物である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナを被覆処理した後にその表層をシリカを被覆処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
本発明において、中間層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、HIT−82、戸田工業製α−酸化鉄DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−550BX、DPN−550RX、DBN−650RX、DAN−850RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、α−酸化鉄α−40、テイカ製酸化チタンMT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2 P25、宇部興産製100A、500A、およびそれを焼成したものが挙げられる。
中間層にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすること、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。また、非磁性層にカーボンブラックを含有させることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。中間層に使用するカーボンブラックは、所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。中間層に用いられるカーボンブラックの比表面積は通常、50〜500m2/gであり、好ましくは70〜400m2/g、DBP吸油量は通常、20〜400ml/100gであり、好ましくは30〜400ml/100gである。カーボンブラックの平均粒子サイズは通常、5〜80nmであり、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10質量%、タップ密度は0.1〜1g/mlであることがそれぞれが好ましい。
中間層に用いられるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット製 BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学製 #3050B、#3150B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、MA−230、#4000、#4010、コロンビアンカーボン製 CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを中間層塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機質化合物粉末に対して50質量%を越えない範囲、中間層総質量の40質量%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)」を参考にすることができる。
また中間層には、目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
中間層塗布液は、放射線硬化型樹脂を適当な溶媒に溶解して形成することができる。溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等を用いることが好ましい。溶媒の使用量は、質量基準で、放射線硬化型樹脂を1として、2〜50とすることができる。
上記の中間層塗布液は、非磁性支持体上に塗布・乾燥後に放射線が照射されて硬化される。硬化後のガラス転移温度Tgは、80〜150℃であることが好ましく、更に好ましくは100〜130℃である。Tgが80℃以上であれば、塗布工程で粘着故障を起こすことがなく、Tgが150℃以下であれば、高強度の塗膜を得ることができる。
本発明において使用される放射線としては、電子線や紫外線を挙げることができる。紫外線を使用する場合には、中間層塗布液に光重合開始剤を添加することが必要となる。電子線硬化の場合は重合開始剤が不要であり、透過深さも深いので、放射線としては電子線を用いることが好ましい。電子線加速器としてはスキャニング方式、ダブルスキャニング方式またはカーテンビーム方式を採用できる。好ましいものは、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が通常、30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として通常、0.5〜20Mrad、好ましくは2〜10Mradである。加速電圧が30kV以上であれば、十分なエネルギー透過量が得られ、1000kV以下であれば、重合に使われるエネルギーの効率が高く経済的である。電子線を照射する雰囲気は、窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度が高いと表面近傍の架橋、硬化反応が阻害される。
紫外線光源としては、水銀灯を用いることができる。水銀灯としては、例えば20〜240W/cmのランプを用いることができ、速度0.3m/分〜20m/分で使用することができる。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。紫外線硬化に用いる光重合開始剤として、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤の詳細は、例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)に記載されている。具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−2ジエトキシアセトフェノン、などがある。光重合開始剤の混合比率は、放射線硬化型樹脂100質量部に対し、通常、0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。放射線硬化装置、条件などは、「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センタ−発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
本発明の磁気記録媒体において、中間層の厚さは、0.05〜2μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1μmの範囲である。中間層の厚さが0.05μm以上であれば、支持体上の突起を効果的にマスキングすることができる。また、中間層が過度に厚いと、中間層の収縮によりカッピングが大きくなりヘッド当たりが劣化するおそれがあるが、中間層の厚さが2μm以下であれば、そのような問題が生じず好ましい。
本発明において、高い表面平滑性を有する磁性層を得るためには、中間層の表面が平滑であることが好ましい。中間層の表面平滑性の指標としては、厚み変動を用いることができる。厚み変動とは、「標準偏差σ/層の厚さ」として算出される値である。厚み変動は、磁気テープの超薄切片(例えば10μm長)を透過型電子顕微鏡(TEM)で、例えば5万倍で観察して、算出することができる。
本発明では、中間層の厚み変動は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは0〜25%である。中間層の厚み変動が50%以下であれば、その上層に、高い表面平滑性を有する磁性層を設けることができる。本発明では、非磁性支持体上に中間層塗布液を塗布・乾燥させることで、レベリング効果により、非磁性支持体表面の粗さや突起をマスキングして、厚み変動が50%以下という、高い平滑性を有する中間層を形成することができる。
[磁性層]
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の表面粗さは2nm以下である。ここで、磁性層の表面粗さとは、例えば、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000によって測定した平均表面粗さRaをいう。
本発明では、前述のように、磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を設けて、非磁性支持体の表面粗さや突起をマスキングすることでし、その上に分散性に優れた磁性層を形成することで、2nm以下の磁性層表面粗さを実現することができる。磁性層の表面粗さは、好ましくは50〜100nmである。磁性層の表面粗さが2nmを超えると、電磁変換特性が劣化し、ドロップアウトが増加するなど、十分な特性を発揮することができない。
本発明では、強磁性粉末の粒子サイズ(長軸長など)、結合剤の種類(Tg・ヤング率の制御)、磁性層の厚み、磁性層用塗布液の分散条件、支持体の突起数、カレンダー温度、カレンダー圧力を調整することにより、磁性層の分散性を高めることができる。カレンダー条件は、一般には強くする(カレンダー圧力、温度、ロール硬度を高める、スピードを下げる)と、磁性層の表面粗さを低減することができる。
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の厚み変動(標準偏差σ/磁性層の厚さ)は、50%以下であることが好ましい。磁性層の厚み変動が50%以下であれば、磁性層の表面平滑性が高く、優れた電磁変換特性を得ることができる。磁性層の厚み変動は、より好ましくは0〜25%である。
本発明において、磁性層に含まれる強磁性粉末としては、強磁性金属粉末または六方晶フェライト粉末を使用することができる。
強磁性金属粉末としては、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末を用いることが好ましい。強磁性金属粉末には、所定の原子以外にAl、Si、Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、Ba、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、Sm、Co、Niの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましい。CoはFeと合金を作ると飽和磁化が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好ましい。Coの含有量はFeに対して1原子%〜40原子%であることが好ましく、さらに好ましくは15原子%〜35原子%、より好ましくは20原子%〜35原子%である。Y等の希土類元素の含有量は、Feに対して1.5原子%〜12原子%であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%〜10原子%、より好ましくは4原子%〜9原子%である。Al含有量はFeに対して1.5原子%〜12原子%であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%〜10原子%、より好ましくは4原子%〜9原子%である。Yを含む希土類やAlは焼結防止剤として機能し、組合わせて使用することでより高い焼結防止効果が得られる。これらの強磁性金属粉末には、後述する分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末には少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末としては、公知の製造方法により得られたものを用いることができる。強磁性金属粉末の製造方法としては、下記の方法を挙げることができる。焼結防止処理を行った含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末には、公知の徐酸化処理を施すことができる。徐酸化処理としては、含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性ガスの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形成する方法が、減磁量が少なく好ましい。
強磁性金属粉末のBET法による比表面積(SBET)は、40〜80m2/gであることが好ましく、より好ましくは45〜70m2/gである。40m2/g以上であれば低ノイズであり、80m2/g以下であれば表面平滑性が高く好ましい。強磁性金属粉末の結晶子サイズは80〜180Åであることが好ましく、好ましくは100〜170Å、更に好ましくは110〜165Åである。強磁性金属粉末の平均長軸長は、15〜100nmであることが好ましく、より好ましくは30〜50nmである。強磁性金属粉末の平均長軸長が15nm以上であれば、高出力を達成でき、100nm以下であれば低ノイズである。強磁性金属粉末の平均針状比{(長軸長/短軸長)の平均}は3〜15であることが好ましく、さらには3〜10であることが好ましい。強磁性金属粉末の飽和磁化σs は90〜170A・m2/kgであることが好ましく、より好ましくは100〜160A・m2/kg、更に好ましくは110〜160A・m2/kgである。強磁性金属粉末の抗磁力は1700エルステッド〜3500エルステッド(135〜279kA/m)であることが好ましく、更に好ましくは1800エルステッド〜3000エルステッド(142〜239kA/m)である。
強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量%とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率を最適化することが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は6〜12とすることができ、好ましくは7〜11である。強磁性金属粉末のSA(ステアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜15μmol/m2とすることができ、好ましくは2〜10μmol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉末を使用する場合は、表面に強く吸着する有機物で強磁性金属粉末の表面を修飾して磁気記録媒体を作製することが好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr、NH4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イオンが含まれる場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、各イオンの総和が300ppm以下程度であれば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は、空孔が少ない方が好ましく、その値は20容量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5容量%以下である。またその形状は、先に示した粉体サイズ、磁気特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFD(switching−field distribution)は小さい方が好ましい。磁気記録媒体のSFDが小さいと、磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。強磁性金属粉末のHc分布は小さくすることが好ましい。Hc分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、単分散αFe23を使用する、粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
本発明において使用される六方晶フェライト粉末としては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトおよびこれらの各種の各置換体、Co置換体等を挙げることができる。具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有した複合マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Nb、Sn、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、W、Re、Au、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、SnーZn−Co、Sn−Co−Ti、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。平均板径は、10〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmである。特に、トラック密度を上げるため磁気抵抗ヘッド(MRヘッド)で再生する場合、低ノイズにする必要があり、平均板径は35nm以下であることが好ましいが、10nmより小さいと熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。35nmより大きいとノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向かない。平均板厚は、4〜15nmであることが好ましい。平均板厚が4nm以上であれば、安定生産が可能であり、平均板厚が15nm以下であれば、十分な配向性を得ることができる。
板状比(板径/板厚)は1〜15であることが好ましく、より好ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粉体間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粉体サイズ範囲のBET法による比表面積は30〜200m2/gを示す。比表面積は概ね粉体板径と板厚からの算術計算値と符号する。粉体板径・板厚の分布は狭いほど好ましい。数値化は困難であるが、粉体TEM(透過型電子顕微鏡)写真より約500個を無作為に測定することで比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均粉体サイズ=0.1〜1.5である。粉体サイズ分布をシャープにするには粉体生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粉体に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粉体を選別的に溶解する方法等も知られている。ガラス化結晶法によれば、熱処理を複数回行い、核生成と成長を分離することでより均一な粉体を得ることができる。
一般に、抗磁力Hcが500〜5000エルステッド(40〜398kA/m)程度の六方晶フェライト粉末は作製可能である。高Hcの方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。Hcは粉体サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粉体生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは30〜70A・m2/kgであることができる。σsは、微粉体になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためには、結晶化温度、または熱処理温度時間を小さくする方法、添加する化合物を増量する、表面処理量を多くする方法等がある。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。六方晶フェライト粉末を分散する際に六方晶フェライト粉末表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物、有機化合物を使用することができる。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は六方晶フェライト粉末に対して0.1〜10質量%rとすることができる。六方晶フェライト粉末のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。六方晶フェライト粉末に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.1〜2.0質量%が選ばれる。
六方晶フェライトの製法としては、(1)炭酸バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス化結晶法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱後、洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。
本発明において、磁性層に使用され得るカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック、等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子サイズは5nm〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10質量%、タップ密度は0.1〜1g/cc、であることがそれぞれ好ましい。磁性層に使用されるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学製#2400B、#2300、#900、#1000#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン製CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15、RAVEN−MT−P、アクゾー社製ケッチェンブラックEC、等が挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性層塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉末に対する量の0.1〜5質量%で用いることが好ましい。
カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明では、所望の物性が得られるように、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに、使用するカーボンブラックの種類や量を選択することが好ましい。本発明において使用され得るカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編)」を参考にすることができる。
本発明において、磁性層に使用できる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、微粒子ダイヤモンド、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料を単独または組合せで使用することができる。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90質量%以上であれば効果に変わりはない。これら研磨剤の粉体サイズは0.01〜1μmであることが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粉体サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜1.5g/cc、含水率は0.1〜5質量%、pHは2〜11、比表面積は1〜40m2/gであることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−10、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−50、HIT−60A、HIT−50G、HIT−70、HIT−80、HIT−82、HIT−100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。
本発明において、磁性層に使用される結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタ−ル、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、SH、CN、などから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gとすることができ、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはユニオンカーバイト製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化製ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化学製MX5004、三洋化成製サンプレンSP−150、旭化成製サランF310、F210などが挙げられる。
磁性層に用いられる結合剤は強磁性粉末に対し、通常、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いることができる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましい。但し、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が通常、−50〜150℃、好ましくは0〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
本発明に用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMRミリオネートMTL、武田薬品製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールNデスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで用いることができる。
本発明において、磁性層には、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつ添加剤を使用することができる。具体的には、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、およびこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
潤滑剤の具体例としては、脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、などが挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなくてもよく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分量は30質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。一般には潤滑剤の総量は、強磁性粉末に対し、0.1〜50質量%、好ましくは2〜25質量%の範囲とすることができる。
また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層塗布液の製造工程のどの工程で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。本発明においては、公知の有機溶剤を使用することができ、例えば特開昭6−68453号公報に記載の溶剤を用いることができる。
[バックコート層]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する面の反対の面に、カーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する。バックコート層は、微粒子で電気伝導性が優れたカーボンブラックを主なフィラーとし、平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックを含有させたり、必要により無機粉末を含有してもよい。例えば、モース硬度5〜9の無機粉末を含有させることができる。無機粉末のバックコート層への配合量は、カーボンブラック100質量部に対して、通常、0.5〜150質量部であり、好ましくは0.5〜100質量部である。
前述のように、バックコート層には、平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックを含有させることができる。例えば、平均粒子サイズが10〜30nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズが50〜500nm(好ましくは60〜400nm)の粗粒子状カーボンブラックを用いることができる。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録の装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは、一般に潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。
一方、平均粒子サイズ50〜500nm(好ましくは60〜400nm)の粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバックコート層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。
本発明で用いることができる微粒子状カーボンブラックの具体的な商品としては、以下のものを挙げることができる。括弧内は、平均粒子サイズを示す。RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800(17nm)(キャボット社製)、PRINNTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化学(株)製)。
また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVENMTP(275nm)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。平均粒子サイズ50〜500nmのカーボンブラックは、ゴム用カーボンブラックや、カラー用カーボンブラックより選択することができる。
本発明において、バックコート層における微粒子状カーボンブラックと粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲とすることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:15である。
バックコート層に添加することができる無機粉末としては、平均粉体サイズが80〜250nmの無機粉末が挙げられる。無機粉末としては、前述の中間層に使用し得る非磁性粉末を用いることができ、中でもα−酸化鉄、α−アルミナ等を用いることが好ましい。無機粉末のバックコート層への添加量は、結合剤100質量部に対して、好ましくは0.5〜40質量部の範囲であり、更に好ましくは1〜30質量部の範囲である。
本発明の磁気記録媒体は、バックコート層に潤滑剤を含有する。これにより、テープが巻かれている状態で、バックコート層表面の潤滑剤が磁性層表面に転写され、薄層磁性層を有する磁気記録媒体において、良好な走行性を確保することができる。バックコート層中の潤滑剤量は、カーボンブラックおよび無機粉末の合計量100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜5質量部である。バックコート層中の潤滑剤量が、カーボンブラックおよび無機粉末の合計量100質量部に対して1質量部以上であれば、バックコート層表面に十分な量の潤滑剤を存在させることができ、摺動性向上に有効に作用し得る。一方、20質量部以下であれば、バックコート層の塗膜強度を十分に確保することができる。
バックコート層に含まれる潤滑剤としては、前述の磁性層において使用される潤滑剤を使用することができる。また、バックコート層に含まれる潤滑剤の種類は、磁性層に含まれる潤滑剤と同じでもよく、異なっていてもよい。
バックコート層には、前述の成分以外に、他の任意の成分として、分散剤を添加することもできる。分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH;Rは炭素数11〜17個のアルキル基、またはアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸エステル、銅フタロシアニン、沈降性硫酸バリウム等を使用することができる。分散剤は、結合剤樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部の範囲で添加することができる。
バックコート層に含まれる結合剤としては、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂を挙げることができる。バックコート層中の全結合剤量は、バックコート層の全量に対して0.3〜0.7の範囲とすることができる。
バックコート層は、通常の方法に従って非磁性支持体の磁性層が設けられている側とは反対側に設けることができる。即ち、前記の各成分を適当な有機溶媒に溶解、分散させた塗布液を調製し、これを常法の塗布方法に従い、塗布、乾燥することにより、非磁性支持体上にバック層を設けることができる。本発明において、バックコート層は、その表面粗さRaが、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000による中心面平均表面粗さで、好ましくは2.0〜15nm、更に好ましくは2.0〜10nmの範囲にある。バックコート層の表面粗さは、テープが巻かれた状態でバックコート層の表面が磁性層の表面に転写されることで、再生出力に影響を与えたり、ガイドポールに対する摩擦係数に影響を与えるため、上記の範囲に調整することが好ましい。なお、この表面粗さRaの調整は、バックコート層を塗布形成後、カレンダーによる表面処理工程において、用いるカレンダーロールの材質、その表面性、圧力等の調整により行うことができる。本発明において、バックコート層は、その厚みが0.2〜0.8μmであることが好ましく、0.2〜0.7μmであることが更に好ましい。
[層構成]
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚さは、好ましくは2.5〜8μmであり、体積密度を大きくするため更に好ましくは2.5〜7.5μm、特に好ましくは3.0〜7μmである。非磁性支持体と中間層との間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.01〜0.5μmとすることができ、好ましくは0.02〜0.5μmである。これらの下塗層としては公知のものが使用できる。本発明の磁気記録媒体において、磁性層の厚みは、前述のように、0.01〜0.2μmの範囲である。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
[非磁性支持体]
本発明において、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ガラス転移温度が100℃以上の支持体を用いることが好ましく、ポリエチレンナフタレート、アラミドなどの高強度支持体を用いることが特に好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。
本発明において、非磁性支持体として、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000で測定した中心面平均表面粗さ(SRa)が5.0nm以下、好ましくは3.0nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下のものを使用することが好ましい。これらの支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールすることができる。これらのフィラーの一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機粉末が挙げられる。支持体の最大高さSRmaxは1μm以下、十点平均粗さSRzは0.5μm以下、中心面山高さSRpは0.5μm以下、中心面谷深さSRvは0.5μm以下、中心面面積率SSrは10%以上、90%以下、平均波長Sλaは5μm以上、300μm以下であることがそれぞれ好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールすることができ、0.01μmから1μmの大きさのもの各々を0.1mm2あたり0個から2000個の範囲でコントロールすることができる。
本発明において、非磁性支持体のF−5値は好ましくは5〜50kg/mm2 (49〜490MPa)、また、支持体の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、更に好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。破断強度は5〜100kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は100〜2000kg/mm2(980〜19600MPa)、であることがそれぞれ好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であることが好ましく、より好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であることが好ましく、より好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
[製法]
本発明の磁気記録媒体の各層用塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は、強磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30質量%以上が好ましい)および強磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理することができる。これらの混練処理の詳細については、特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、塗布液を分散させるために、ガラスビーズを用いることができ、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。分散速度が異なる強磁性粉末、研磨剤、カーボンブラックをあらかじめ別々に分散し、混合し必要によりさらに微分散して塗布液とすることができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に中間層塗布液を塗布・乾燥・放射線硬化させ、その上に磁性層塗布液を塗布・乾燥させて形成することができる。このように、中間層と磁性層を逐次塗布することにより、中間層により非磁性支持体の表面粗さや突起をマスキングすることができ、高い平滑性を有する磁性層を得ることができる。各層用塗布液の塗布には、磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等を用いることができる。なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足することが好ましい。
カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールを用いることが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm(1960N/cm)以上、さらに好ましくは300kg/cm(2940N/cm)以上である。
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は温度−10℃〜40℃、湿度0%〜95%の範囲において0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以下、帯電位は−500Vから+500V以内であることが好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で好ましくは100〜2000kg/mm2(980〜19600MPa)、破断強度は好ましくは10〜70kg/mm2(98〜686MPa)、磁気記録媒体の弾性率は面内各方向で好ましくは100〜1500kg/mm2(980〜14700MPa)、残留のびは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下であることが好ましい。損失弾性率は1×103〜8×104N/cm2の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内でほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。磁性層が有する空隙率は30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。
磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さRzは0.3μm以下、中心面山高さRpは0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、中心面面積率Srは20〜80%、平均波長λaは5〜300μmであることがそれぞれ好ましい。磁性層の表面突起は0.01μm〜1μmの大きさのものを0〜2000個の範囲で任意に設定することが可能であり、これにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」の表示は、特に断らない限り、「質量部」を示す。

[実施例1]
磁性層塗布液
バリウムフェライト(平均粒径30nm) 100部
塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 5部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部
αアルミナ HIT55(住友化学社製) 10部
カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部
フェニルホスホン酸 2部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 3部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
上記の磁性層塗布液について、各成分をニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液を、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
バックコート層塗布液
微粒子状カーボンブラック粉末 100部
(キャボット社製、BP−800、平均粒子サイズ:17nm)
粗粒子状カーボンブラック粉末 10部
(カーンカルブ社製、サーマルブラック、平均粒子サイズ:270nm)
α−アルミナ(硬質無機粉末) 5部
(平均粒子サイズ:200nm、モース硬度:9)
ステアリン酸 表1参照
ブチルステアレート 表1参照
ニトロセルロース樹脂 140部
ポリウレタン樹脂 15部
ポリエステル樹脂 5部
分散剤:オレイン酸銅 5部
銅フタロシアニン 5部
硫酸バリウム 5部
(BF−1、平均粒子径:50nm、モース硬度3、堺化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 1200部
酢酸ブチル 300部
トルエン 600部
上記のバックコート層塗布液について、各成分を連続ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液にポリイソシアネート40部(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)、メチルエチルケトン1000部を添加した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、バックコート層塗布液を調製した。
中間層塗布液
DPE6A(共栄化学製EB硬化樹脂) 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
粘度:6000mPa・sec
メチルエチルケトン 400部
上記の成分を混合・攪拌し、中間層塗布液を調製した。
磁気テープの作製
厚さ6μmで中心線平均表面粗さ3nmのPET支持体上に、中間層塗布液を塗布・乾燥させた後、電子線を照射して硬化させ、厚さ0.5μmの中間層を形成した。硬化処理は、電子線照射装置で吸収線量5Mradで行った。中間層上に、磁性層塗布液を塗布し、湿潤状態のうちに塗布磁場強度0.3T(3000G)の中を通過させて長手配向処理を行った後、乾燥させ、厚さ0.02μmの磁性層を形成した。その後、支持体の他方の側(磁性層とは反対側)に、バックコート層塗布液を、乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバックコート層を形成した。その後、7段のカレンダで、温度90℃、線圧300kg/cmにて処理を行った。次いで該ロールを1/2インチ幅にスリットした後、0.3T(3000G)の磁束密度を持つソレノイド中を通過させて消磁した。
[実施例2]
磁性層の厚さを0.2μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例3]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、カレンダ温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例4]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、中間層塗布液中メチルエチルケトンの量を200部に減量した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例5]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、バックコート層に含まれるステアリン酸量を1部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例6]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、バックコート層に含まれるブチルステアレート量を1部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例7]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、バックコート層に含まれるステアリン酸量を20部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例8]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、バックコート層に含まれるブチルステアレート量を20部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例9]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、磁性層中の強磁性粉末として、強磁性金属粉末(平均長軸長:40nm)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[実施例10]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、電子線照射による硬化処理を、磁性層塗布後に行った以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[比較例1]
磁性層の厚さを0.3μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[比較例2]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、カレンダ温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[比較例3]
磁性層の厚さを0.1μmに変更し、中間層の代わりに、以下に示す処方の非磁性層を設けた以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
非磁性層塗布液
非磁性粉体 αFe23 ヘマタイト 80部
平均粒径:0.15μm
カーボン表面処理:5質量%
カーボンブラック
旭カーボン社製#50 5部
コロンビアンカーボン社製コンダクテックスSC−U 20部
塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶媒) 250部
[比較例4]
中心線平均表面粗さ0.8nmのPET支持体を使用し、中間層を設けずに支持体上に直接厚さ0.1μmの磁性層を形成した以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
[比較例5]
バックコート層にステアリン酸およびブチルステアレートを含有させなかった以外は、実施例1と同様の方法で、磁気テープを作製した。
測定方法
(1)電磁変換特性、ドロップアウト
1/2インチテープを、リニアテスターで速度3m/secで走行させ、ヘッドを押し当て記録、再生を行った。記録は飽和磁化1.4TのMIGヘッド(ヘッドギャップ長=0.2μm、トラック幅14μm)を使い、記録電流は、各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドとして、素子厚み25nm、シールド間隔0.2μm(トラック幅7μm)の異方性型MRヘッド(A−MR)を用いた。上記評価系で、140KFCIの信号を記録した後、スペクトルアナライザーでのキャリア出力を出力(C)とし、−2MHzでのノイズレベルをノイズ(N)としたときのC/Nを求め、SNRとした。上記評価系で平均出力の50%以下のテープ欠陥をドロップアウト数(1m当たり1トラックのドロップアウト数)として検出した。
(2)磁性層表面粗さ
WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000で測定した。
(3)磁性層、中間層厚み変動
磁気テープの超薄切片サンプル(10μm長)を、5万倍でTEM観察して算出した。
Figure 2006031805
評価結果
表1に示すように、実施例1〜10の磁気テープでは、電磁変換特性が高く、ドロップアウトが低減された。
それに対し、磁性層の厚さが0.01〜0.2μmの範囲を超える比較例1の磁気テープ、磁性層の表面粗さが2nmを超える比較例2の磁気テープでは、実施例の磁気テープと比べて電磁変換特性が劣化し、ドロップアウトが増加した。中間層の代わりに非磁性層を設けた比較例3の磁気テープでは、磁性層の表面粗さが2nmを超え、実施例の磁気テープと比べて電磁変換特性が劣化し、ドロップアウトが顕著に増加した。実施例と比べて表面平滑性が高い支持体を使用し、支持体と磁性層との間に中間層を設けなかった比較例4の磁気テープでは、実施例の磁気テープと比べてドロップアウトが顕著に増加した。バックコート層に潤滑剤を使用しなかった比較例5の磁気テープでは、テープを走行させることができなかった。
以上の結果から、本発明によれば、薄層磁性層を有する磁気記録媒体において、バックコート層表面に存在する潤滑剤が磁性層表面に転写されることで良好な走行性を確保しつつ、ドロップアウトを低減し、優れた電磁変換特性が得られることがわかる。
本発明の磁気記録媒体は、高密度記録用磁気記録媒体として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 非磁性支持体の一方の面に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有し、他方の面にカーボンブラックおよび/または無機粉末を含むバックコート層を有する磁気記録媒体であって、
    前記磁性層と非磁性支持体との間に、放射線硬化型樹脂を主成分として含む中間層を有し、
    前記磁性層の厚さは0.01〜0.2μmの範囲であり、
    前記磁性層の表面粗さは2nm以下であり、かつ、
    前記バックコート層は潤滑剤を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記バックコート層は、前記カーボンブラックおよび無機粉末の合計量100質量部に対して、1〜20質量部の潤滑剤を含む請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記中間層の厚み変動(標準偏差σ/中間層の厚さ)が50%以下である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記中間層の厚さが0.05〜2μmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記放射線硬化型樹脂の粘度は40000mPa・sec以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記強磁性粉末は、平均板径が10〜35nmの六方晶フェライト粉末または平均長軸長が15〜100nmの強磁性金属粉末である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 磁性層の厚み変動(標準偏差σ/磁性層の厚さ)が50%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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