JP2016211024A - 容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法 - Google Patents

容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる、容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る容器用鋼板は、Ni換算量として2mg/m2以上200mg/m2以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m2以上10g/m2以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層と、前記複合めっき層上に形成され、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなり、0.05g/m2以上0.5g/m2以下の付着量で形成されたZn−Niめっき層と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法に関するものである。
錫(Sn)系合金めっき鋼板は、飲料缶や食缶などの容器用鋼板として広く用いられている。このSn系合金めっき鋼板は、鋼板と塗膜との密着性や耐食性を確保や、塗装前の保管時における酸化Sn成長に伴う外観変化(黄変)を抑制するために、6価クロム酸塩の溶液を用いた電解処理や浸漬処理などのクロメート処理によって、Sn系合金めっき鋼板上にクロメート皮膜が施されることが多い。
一方、近年、環境や食品安全に対する意識の高まりから、最終製品に6価クロムが含まれないのみならず、クロメート処理自体を行わないことが求められている。しかしながら、クロメート皮膜がないSn系合金めっき鋼板からなる容器用鋼板は、上述の如く、酸化Snの成長によって外観が黄変したり、塗膜密着性が劣化したり、また、耐硫化黒変性が劣化したりする。
このため、クロメート皮膜に替わる皮膜処理をした容器用鋼板が、いくつか提案されている。
例えば、以下の特許文献1では、リン酸イオンとシランカップリング剤とを含有する溶液を用いた処理によって、PとSiを含む皮膜を形成させた鋼板が提案されており、以下の特許文献2では、リン酸アルミニウムを含む溶液を用いた処理によって、Al及びPと、Ni、Co、Cuの少なくとも1種と、シランカップリング剤との反応物を含む皮膜を形成させた鋼板が提案されている。また、以下の特許文献3では、Znめっき後にZn単独めっき層が消失するまで加熱処理を施す、クロメート皮膜を有さない鋼板の製造方法が提案されている。更に、以下の特許文献4では、ジルコニウム、リン酸、フェノール樹脂等を含む化成処理皮膜を有する容器用鋼板が提案されている。
特開2004−60052号公報 特開2011−174172号公報 特開昭63−290292号公報 特開2007−284789号公報
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献4で提案されている方法では、経時による酸化Snの成長を十分に抑制出来ず、耐黄変性や塗膜密着性の確保が不十分なだけでなく、耐硫化黒変性が劣るといった問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる、容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、Sn系合金めっき鋼板の表面に、NiとZnとを主体とするZn−Niめっき層を形成させることで、クロメート処理を行わずに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変に優れるSn系合金めっき鋼板を実現可能である旨に想到した。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層と、前記複合めっき層上に形成され、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなり、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成されたZn−Niめっき層と、を有する、容器用鋼板。
(2)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、(1)に記載の容器用鋼板。
(3)前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、(1)又は(2)に記載の容器用鋼板。
(4)Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層を有する鋼板を、NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンとの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、容器用鋼板の製造方法。
(5)前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、(4)に記載の容器用鋼板の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法を提供することが可能となる。
試験例でのめっき浴組成とめっき中Ni含有率を図示したグラフ図である。 試験例での△b*に及ぼすめっき中Ni含有率の影響を図示したグラフ図である。 試験例でのめっき浴中Ni含有率に及ぼす電流密度の影響を示したグラフ図である。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
以下で説明する本発明は、食缶、飲料缶などの缶用途その他に広く用いられる容器用鋼板と、かかる容器用鋼板の製造方法に関するものである。より詳細には、従来のクロメート処理を行うことなく、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れる容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法に関するものである。
本実施形態に係る容器用鋼板は、Sn系合金めっき鋼板の表面に、所定量のNiを含有し、残部がZn及び不純物からなるZn−Niめっき層が所定の付着量で形成されていることを特徴とする。
より詳細には、本実施形態に係る容器用鋼板は、Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層と、複合めっき層上に形成され、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなり、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成されたZn−Niめっき層と、を有するものである。
<鋼板について>
本実施形態に係る容器用鋼板に用いられる鋼板は、特に規定されるものではなく、一般的な容器用のSn系合金めっき鋼板に用いられている鋼板であれば、任意のものを使用可能であり、例えば、低炭素鋼や極低炭素鋼などが挙げられる。また、用いる鋼板の製造方法や材質も特に規定されるものではなく、例えば、鋳造から熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の工程を経て製造されたものを挙げることができる。
<複合めっき層について>
上記のような鋼板の少なくとも片面には、Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnと、を含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された複合めっき層が形成される。
[Fe−Ni−Sn合金層]
かかるFe−Ni−Sn合金層は、耐食性を向上させる効果がある。これは、電気化学的に鉄よりも貴な金属であるNiとSnとがFeとの合金層を形成することで、Fe自体の耐食性も向上させることによる。
Niによる耐食性向上の効果は、鋼板上に形成されるNiめっき層又はFe−Niめっき層中のNiの量によって決まる。Niの量が、Ni換算量として2mg/m以上であれば、耐食性の効果が発現する。Niの量が多いほど耐食性向上の効果は増加するが、Ni換算量として200mg/m超過となると耐食性向上の効果は飽和し、それ以上に増やしても経済的に好ましくない。このため、Niの量は、Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下とする。Niの量は、より好ましくは、Ni換算量として2mg/m以上180mg/m以下である。
[島状Sn]
Fe−Ni−Sn合金層上に形成される島状のSnは、耐食性と塗膜密着性とを向上させる効果がある。Snは、大気腐食環境下では鉄よりも貴な金属であり、バリア型皮膜としてFeの腐食を防ぐ一方で、酸性飲料缶のような酸性腐食環境下では、鉄を犠牲防食して、耐食性を向上させる。また、島状にSnが存在することで、アンカー効果、及び、海部に相当するFe−Ni−Snめっき層の存在による酸化Snの成長抑制効果によって、塗膜密着性を向上させる。また、酸化Snの成長が抑制されることで黄変も抑制する効果がある。
このような島状Snによる耐食性と塗膜密着性向上の効果を発揮するには、Snの量が、Sn換算量として0.1g/m以上必要である。Snの量が増加するにつれて、耐食性と塗膜密着性向上の効果は増加するが、Sn換算量として10g/m超過となると、耐食性向上の効果は飽和し、更なる増加は経済性の観点から好ましくない。このため、Snの量は、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下とする必要がある。Snの量は、より好ましくは、Sn換算量として0.2g/m以上8g/m以下である。
[複合めっき層の形成方法]
このFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された複合めっき層は、鋼板上に下地となるNiめっき層又はFe−Niめっき層が形成され、更にこのNiめっき層又はFe−Niめっき層の上にSnめっき層が形成された後、加熱溶融処理を施すことで形成される。つまり、溶融加熱処理によって、鋼板のFeと、Niめっき層のNiと、Snめっき層の一部のSnと、が合金化して、Fe−Ni−Sn合金層が形成されるとともに、残部のSnめっき層が島状となる。
Niめっき及びFe−Niめっきの方法としては、特に規定しないが、公知の電気めっき法を用いることが可能であり、例えば、硫酸浴や塩化物浴を用いためっき法を挙げることができる。
Snめっきを、上記Niめっき層又はFe−Niめっき層の表面に施す方法は、特に規定しないが、例えば公知の電気めっき法が好ましい。電気めっき法としては、例えば、周知のフェロスタン浴やハロゲン浴やアルカリ浴などを用いた電解法を利用することができる。
Snめっき後には、Snの融点である231.9℃以上に加熱する、加熱溶融処理を施す。この加熱溶融処理によって、Snめっきが溶融して、下地のNiめっき層又はFe−Niめっき層と合金化し、Fe−Ni−Sn合金層が形成され、更に、島状のSn層が形成される。
<Zn−Niめっき層について>
本実施形態に係る容器用鋼板は、上記のような、2mg/m以上200mg/m以下のNiと、0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部または全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された複合めっき層の上には、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなる、片面あたりの付着量が0.05g/m以上0.5g/m以下であるZn−Niめっき層が形成される。このZn−Niめっき層によって、黄変や塗膜密着性、耐硫化黒変性が更に向上する。
Zn−Niめっき層中のNiの含有率を5質量%以上75質量%以下とすることで、Zn−Niめっき層中に、熱力学的に安定なγ相(NiZn21主体)やα相(Znが固溶したNi)のいずれか又は両方が含まれるようになる。これらのNiとZnとからなるめっき層は、下地の島状のSn及び海部に相当するFe−Ni−Sn層の表面を覆うことで酸化Snの成長を抑制し、また、ZnとNiとを含むめっきの一部が複合めっき層中に取り込まれることでSn自体を酸化させ難くする効果があり、黄変や塗膜密着性、耐硫化黒変性を改善すると考えられる。
Ni単独でも酸化Snの抑制効果はあるものの、Ni自体の色調により外観が黄みを増すだけでなく、塗膜密着性も低下し、更にNiS生成により黒変するため好ましくない。一方、Zn単独ではポーラスな酸化亜鉛が成長するため、酸化Snの抑制効果が不十分で、耐黄変性塗膜密着性に劣るため、好ましくない。
Niの含有率が5質量%未満であれば、η相(Zn)がZn−Niめっき層中に過剰に含まれるため、経時でZnが酸化し、塗膜密着性が劣化する。Niの含有率が75質量%超過であると、Niが過剰となりNiSを形成し易くなるため耐硫化黒変性に劣り、また、塗膜密着性も低下する。このため、Niの含有率は、質量%で、5%以上75%とする必要がある。なお、Niの含有率の好ましい範囲は、10質量%以上55質量%以下であり、より好ましい範囲は、10質量%以上30質量%以下である。
上記のZn−Niめっき層中には、不可避的な不純物、例えば、Fe、S、Na、K、Cl、F、Mg、Cr、Pbなどを含んでいても、特に問題はない。
上記のZn−Niめっき層の付着量は、0.05g/m以上0.5g/m以下である必要がある。Zn−Niめっき層の付着量が0.05g/m未満である場合には、複合めっき層の表面の被覆率の低下や、複合めっき層中への取り込みが少ないことによって、酸化Snの成長の抑制効果に劣る。一方、Zn−Niめっき層の付着量が0.5g/m超過である場合には、本実施形態に係る容器用鋼板が塗装されて使用される場合の塗膜密着性が低下する。Zn−Niめっき層の付着量の好ましい範囲は、0.1g/m以上0.3g/m以下である。
上記のZn−Niめっき層の組成及び付着量は、本Zn−Niめっき層を表面に形成させた容器用鋼板を、例えば、硝酸などの酸性溶液に浸漬して溶解し、得られた溶解液を高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分析法などの化学分析によって測定された値とする。
[Zn−Niめっき層の形成方法]
上記Zn−Niめっき層は、NiイオンとZnイオンとを含む水溶液を利用した陰極電解によって、形成することができる。水溶液の種類は、特に規定するものではないが、周知の硫酸浴や塩化物浴を適用することが可能である。本実施形態に係るZn−Niめっきを形成する際には、NiイオンとZnイオンとを含み、かつ、Niイオン濃度が20%以上95%以下、かつ、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、液温25℃以上70℃以下、電流密度0.1A/dm以上100A/dm以下の条件で陰極電解する必要がある。この条件で陰極電解処理することで、本発明に係る容器用鋼板を得ることが出来る。
めっき浴中のNiイオン濃度が20質量%未満である場合には、Zn−Niめっき層中のNiの含有率が5%未満となり、本発明の範囲を満たさない。また、めっき浴中のNiイオン濃度が95%超過である場合には、Zn−Niめっき層中のNi含有率が75質量%超過となり、本発明の範囲を満たさない。めっき浴中のNiイオン濃度の好ましい範囲は、30質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下である。
また、NiイオンとZnイオンの合計が50kg/m未満である場合には、Zn−Niめっきの付着効率に劣り、得られたZn−Niめっきも粗となり、性能に劣るため、好ましくない。また、NiイオンとZnイオンとの合計が250kg/m超過である場合には、沈殿物の生成等、液の安定性に劣り、得られためっきも粗くなり塗膜密着性に劣るため好ましくない。
めっき浴の液温は、25℃以上70℃以下であることが好ましい。液温を25℃以上とすることで、液の安定性を更に向上させることが可能となる。液温が高い方がZn−Niめっきの付着効率は向上するが、液温が70℃超過である場合には、付着効率の向上効果は飽和する傾向にあり経済性の観点から好ましくなく、また、めっき浴からの水蒸気発生もあり作業性の観点からも好ましくない。従って、めっき浴の液温は、25℃以上70℃以下であることが好ましい。なお、めっき浴の液温は、より好ましくは、35℃以上60℃以下である。
陰極電解する際の電流密度は、0.1A/dm以上100A/dm以下とする必要がある。電流密度が0.1A/dm未満である場合には、Zn−Niめっき層中のNi含有率が高くなり塗膜密着性や耐硫化黒変性に劣るだけでなく、Zn−Niめっきの付着効率が著しく小さく、本発明の範囲のZn−Niめっきを得ることが出来ない。一方、電流密度が150A/dm超過である場合には、めっきが粗となり塗膜密着性に劣り、好ましくない。陰極電解する際の電流密度は、好ましくは、1A/dm以上90A/dm以下である。
続いて、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも本発明に係る容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法の一例にすぎず、本発明に係る容器用鋼板及び容器用鋼板の製造方法が下記の例に限定されるものではない。
(試験例)
<試験材の作製>
板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板を、前処理として電解アルカリ脱脂、水洗、希硫酸浸漬酸洗、水洗した後、硫酸浴にてNiめっきをした。Niの付着量は、Ni換算量で1mg/m以上300mg/dm以下の範囲とした。また、更にNiめっきの上に、フェノールスルホン酸浴を用いて、電気Snめっきを施した。Snの付着量は、Sn換算量で0.08g/m以上15g/m以下の範囲とした。このように作製したNiめっき層及びSnめっき層を有する鋼板を加熱溶融処理して、複合めっき層を形成した後、表1〜表5に示すNi及びZnの組成の水溶液中で陰極電解し、Ni、Znを主体とするZn−Niめっき層を、複合めっき層上に形成した。なお、表1〜表4においては硫酸浴から陰極電解処理をし、表5においては塩化物浴から陰極電解処理をした。
<複合めっき層中のNi、Sn付着量及びZn−Niめっき層中のZn、Ni付着量と組成の測定>
複合めっき層中のNi及びSnの付着量は、複合めっき層形成後の鋼板を10%硝酸に浸漬して、Ni及びSnを含む複合めっき層を溶解し、得られた溶解液中のNi及びSnをICP発光分析により分析することで求めた。また、Zn−Niめっき層中のZnの付着量は、Zn−Niめっき層形成後の鋼板を10%硝酸に浸漬して、Zn−Niめっき層を溶解し、得られた溶解液中のZnをICP発光分析により分析することで求めた。Zn−Niめっき層中のNiの付着量は、Zn−Niめっき層形成後の鋼板を10%硝酸に浸漬して、Zn−Niめっき層を溶解し、得られた溶解液中のNiをICP発光分析により分析し、得られた値から、上記方法で測定した複合めっき層中のNi量を差し引くことで求めた。
<耐黄変性>
耐黄変性は、上記<試験材の作製>に記載の方法で作製した容器用鋼板を、40℃、相対湿度80%の雰囲気中に4週間載置する湿潤試験を行い、湿潤試験前後における色差b*値の変化量△b*を求めて、評価した。△b*が1以下であれば◎とし、1超過2以下であれば○とし、2超過であれば×とし、◎と○を合格と評価した。b*は、市販の色差計であるスガ試験機製SC−GV5を用いて測定した。b*の測定条件は、光源C、全反射、測定径30mmである。
<塗膜密着性>
塗膜密着性は、上記、<試験材の作製>に記載の方法で作製した容器用鋼板を、<耐黄変性>に記載の方法で湿潤試験した後、表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布し、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、鋼板表面に達する傷を碁盤目状に入れ(3mm間隔で縦横7本ずつの傷)、その部位のテープ剥離試験をして評価した。テープ貼り付け部位の塗膜が全て剥離していなければ◎とし、碁盤目の傷部周囲で塗膜剥離が認められれば○とし、碁盤目の枡内に塗膜剥離が認められれば×とし、◎と○を合格とした。なお、試験には、上記<耐黄変性>に記載の湿潤試験をした試験材と、していない試験材の両方に対して実施した。
<耐硫化黒変性>
耐硫化黒変性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験した容器用鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、リン酸二水素ナトリウムを0.3%、リン酸水素ナトリウムを0.7%、L−システイン塩酸塩を0.6%からなる水溶液中に浸漬し、密封容器中で121℃・60分のレトルト処理を行い、試験後の外観から評価した。試験前後で外観の変化が全く認められなければ◎とし、僅かに(10%以下)黒変が認められれば○とし、試験面の10%超過の領域に黒変が認められれば×とし、◎と○を合格とした。
<塗装後耐食性>
塗装後耐食性は、上記<塗膜密着性>に記載の方法で作製及び湿潤試験した容器用鋼板の表面に、市販の缶用エポキシ樹脂塗料を乾燥重量で7g/m塗布した後、200℃で10分焼き付け、24時間室温に置いた後、所定のサイズに切断し、市販のトマトジュースに60℃で7日間浸漬した後の、錆の発生有無を目視にて評価した。錆が全く認められなければ○とし、錆が認められれば×とし、○を合格とした。
<めっき浴安定性>
めっき浴安定性は、<試験材の作製>に記載のめっき浴を24時間放置した後の外観を目視観察し、濁りや沈殿が認められた場合を×とし、透明で濁りや沈殿が認められなかった場合を○とした。
以下に示す表1〜表5は、Ni、Znを主体とするめっき層を表面に有する容器用鋼板の作製条件とその組成及び付着量の結果、並びに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性、めっき浴安定性の評価結果である。
Figure 2016211024
表1は、Zn−Niめっき組成を変化させた場合の結果である。浴組成が本発明の範囲内である場合には、本発明の範囲内のZn−Niめっき層が得られ、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、浴組成が本発明の範囲を外れる場合、いずれかの性能が劣ることが分かる。図1に、めっき浴組成とめっき中のNi含有率を図示し、図2に、△b*に及ぼすめっき中のNi含有率の影響を図示した。
Figure 2016211024
表2は、下地の複合めっき層中のNi及びSn付着量を変化させた場合の結果である。Ni及びSnの付着量が本発明の範囲内である場合には、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、Ni及びSnのいずれか又は両方の付着量が本発明の範囲を下回る場合には、耐食性が劣ることが分かる。Ni及びSnのいずれか又は両方の付着量が本発明の範囲を超える場合には、いずれの性能も良好であるが、経済性の観点から好ましくない。
Figure 2016211024
表3は、電流密度を変化させた場合の結果である。電流密度が本発明の範囲内である場合には、本発明の範囲内のめっきが得られ、いずれの性能も良好であることが分かる。一方、電流密後が本発明の範囲を外れる場合には、いずれかの性能が劣ることが分かる。図3に、めっき中のNi含有率に及ぼす電流密度の影響を図示した。
Figure 2016211024
表4は、めっき浴の液温を変えた場合の結果である。液温を25℃以上70℃以下とすることで、液温が上記範囲外である場合と比較して、液の安定性が向上することが分かる。
Figure 2016211024
表5は、塩化物浴から陰極電解した場合の結果である。塩化物浴から得たNi,Znを含むZn−Niめっきにおいても、いずれの性能も問題なく良好であることが分かる。
以上のように、本発明の、NiとZnを主体とするZn−Niめっき層を形成させた本発明の容器用鋼板は、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
以上のように、NiとZnを主体とするZn−Niめっき層を形成させた本発明の容器用鋼板は、従来のクロメート処理を必要とせずに、耐黄変性、塗膜密着性、耐硫化黒変性に優れることから、環境にやさしい缶用材料として、食缶、飲料缶などに広く用いることができ、産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (5)

  1. Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層と、
    前記複合めっき層上に形成され、質量%で、Niを5%以上75%以下含有し、残部がZn及び不純物からなり、0.05g/m以上0.5g/m以下の付着量で形成されたZn−Niめっき層と、
    を有する、容器用鋼板。
  2. 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上55%以下である、請求項1に記載の容器用鋼板。
  3. 前記Zn−Niめっき層におけるNi含有率が、質量%で、10%以上30%以下である、請求項1又は2に記載の容器用鋼板。
  4. Ni換算量として2mg/m以上200mg/m以下のNiと、Sn換算量として0.1g/m以上10g/m以下のSnとを含み、溶融加熱処理にて一部又は全部のNiとSnの一部とが合金化せしめられたFe−Ni−Sn合金層上に、島状のSnが形成された、鋼板の少なくとも片面に位置する複合めっき層を有する鋼板を、
    NiイオンとZnイオンとを含み、Niイオン濃度が質量%で20%以上95%以下であり、かつ、NiイオンとZnイオンとの合計が50kg/m以上250kg/m以下である水溶液中で、
    電流密度0.1A/dm以上150A/dm以下の条件で電解する、容器用鋼板の製造方法。
  5. 前記水溶液の液温は、25℃以上70℃以下である、請求項4に記載の容器用鋼板の製造方法。
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