JP2016209935A - エレクトレットの形成方法、mems装置 - Google Patents

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昭登 森
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Abstract

【課題】所望の電荷量を有するエレクトレットを均一に製造する。
【解決手段】振動発電素子基板20の台座部21にSiO層2を介して導電性ヒーター5を接触させた状態で、導電性ヒーター5に通電して台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を加熱しながら、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23の間にバイアス電圧VBを印加して、SiO層2に分極を生じさせる。その後、SiO層2が分極された状態で、導電性ヒーター5の通電を停止して台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を冷却することにより、SiO層2の分極を固定化する。
【選択図】図4

Description

本発明は、エレクトレットの形成方法およびエレクトレットを用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)装置に関する。
従来、半導体ウェハ上の絶縁膜にコロナ放電で電荷を注入して帯電させ、BT処理(Bias-Temperature Treatment)を行うエレクトレットの形成方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第2950728号公報
従来のエレクトレットの形成方法では、個体ごとの電荷量のばらつきが大きく、所望の電荷量を有するエレクトレットを均一に製造することが困難であった。
本発明によるエレクトレットの形成方法は、下層Si基板と一対の上層Si基板とが重ねられ、前記下層Si基板および前記一対の上層Si基板の上にイオンを含む絶縁膜がそれぞれ形成されたエレクトレットの形成方法であって、前記下層Si基板に導電性ヒーターを接触させた状態で前記導電性ヒーターに通電して前記下層Si基板および前記上層Si基板を加熱しながら、前記一対の上層Si基板間にバイアス電圧を印加して、前記絶縁膜に分極を生じさせ、前記絶縁膜が分極された状態で、前記導電性ヒーターの通電を停止して前記下層Si基板および前記上層Si基板を冷却することにより、前記絶縁膜の分極を固定化する。
本発明によるMEMS装置は、下層Si基板と、前記下層Si基板に重ねられた一対の上層Si基板とを備え、前記下層Si基板および前記一対の上層Si基板の上にイオンを含む絶縁膜がそれぞれ形成されており、前記一対の上層Si基板は、櫛歯形状をそれぞれ有する一対の櫛歯電極であり、前記一対の櫛歯電極の少なくとも一方と前記下層Si基板との界面にエレクトレットが形成されている。
本発明によれば、所望の電荷量を有するエレクトレットを均一に製造することが可能である。
エレクトレットの形成工程の全体を示す図である。(a)は、エレクトレット電極の製造処理を開始する前のSi基板を示す。(b)は、K+イオンを含有したSiO層を形成したSi基板Aを示す。(c)は、Si基板Aを加熱しながら電圧を印加するBT処理により、K+イオンをSiO層の表面に移動させる工程を示す。(d)は、K+イオンの移動が完了して加熱を中止したエレクトレット膜を備えたSi基板Bを示す。(e)は、形成されたエレクトレット膜(SiO)の表面にさらに保護用の撥水膜を形成したSi基板Cを示す。 本発明によるエレクトレットの形成方法を用いてエレクトレット化される基板の一例である振動発電素子基板の全体概略図である。 図1(b)のK+イオンを含むSiO層の形成に用いるウェット酸化法の概略図である。 本発明によるエレクトレットの形成方法に係るBT処理の概略図である。 窒素雰囲気でエレクトレット電極に保護用の撥水膜を形成する装置の概略図である。 図2に示す振動発電素子基板を用いて作製された、立体型櫛歯エレクトレット電極を備えた振動発電素子の全体概略図である。 図6に示す振動発電素子の櫛歯電極に形成されたエレクトレットの構造を示す概略図である。
以下図1〜図7を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお以下の説明では、絶縁膜としてSiO層が形成されたSi基板を、K+イオンを用いてエレクトレット化する場合の例について説明する。
(エレクトレット電極の作製方法の原理)
図1(a)〜(e)は、エレクトレットの形成工程の全体を示す図である。なお図1では、簡単のため平面型のエレクトレットの構造で説明している。
まず、Si基板(ウェハ)1を準備(図1(a))し、このSi基板1の表面に後述のウェット酸化によりK+イオンを含むSiO層2を形成する(図1(b))。この状態の基板を基板Aとする。なお、図1では、SiO層の厚さを誇張して記載している。また実際は、多数のエレクトレット電極を同時にウェハ上に形成するが、図では説明のため単純化して示している。
次に、図1(b)の状態の基板Aを加熱しながら、バイアス電圧VBを印加する(図1(c))。これはいわゆるBT処理と呼ばれているもので、基板を高温にして、イオンが移動し易い状態で電圧を印加し、基板中のイオンを移動させる方法である。
K+イオンがSiO層表面に充分移動したら、加熱を停止し、基板温度が室温程度まで低下したのち、バイアス電圧印加を停止する(図1(d))。この状態の基板を基板Bとする。
以上により、K+イオンを含むSiO層のエレクトレットを備えた、エレクトレット基板Bが形成される。
上記で説明したエレクトレット基板Bには、K+イオンが注入されたSiO層が形成されているが、この櫛歯電極を長時間空気中に曝すと、空気中の水分とK+イオンが反応して次第に中和され、エレクトレットとしての機能が低下する。
このようなK+イオンの中和を防ぐために、SiO層の表面にさらに撥水性被膜6を形成する(図1(e))。この状態の基板を基板Cとする。
以上説明したような工程により、たとえば微小振動を利用して発電を行う振動発電素子など、様々な用途のMEMS装置において使用可能なエレクトレット基板Cを形成することができる。
次に、本発明によるエレクトレットの形成方法の具体例について説明する。
(エレクトレット化される基板の構造)
図2は、本発明によるエレクトレットの形成方法を用いてエレクトレット化される基板の一例である振動発電素子基板の全体概略図である。図2に示す振動発電素子基板20は、MEMS装置である振動発電素子の製造において用いられるものである。この振動発電素子基板20を、図1で説明したエレクトレットの形成工程によりエレクトレット化することで、振動発電素子を製造することができる。
振動発電素子基板20は、二層構造を有しており、下層に形成された台座部21と、上層にそれぞれ形成された立体型の可動櫛歯電極22および立体型の固定櫛歯電極23とを備える。可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23は、それぞれ複数の櫛歯部24、26を備える。可動櫛歯電極22は、ばね部25により、振動に応じて台座部21に対して可動するように支持されている。
なお、図2に示した振動発電素子基板20の構造は、Si基板からエッチング等の半導体プロセスにより形成される。そのため、図1(a)のステップと図1(b)のステップの間に、エッチング等により振動発電素子基板20の構造形成を行うためのステップを設ける。このステップでは、たとえば特許第5504298号公報に記載の方法を用いて、Si基板1から立体型の構造を有する振動発電素子基板20を形成することができる。図1(b)以降のステップでは、こうして形成された振動発電素子基板20をSi基板1として用いて、エレクトレットの形成が行われる。
(ウェット酸化によるK+イオンを含むSiO層の形成方法)
図3は、図1(b)のK+イオンを含むSiO層の形成に用いるウェット酸化法の概略図である。この方法は、熱酸化によってSi基板にSiO層を形成する方法を利用して、K+イオンを含有したSiO層を形成する方法である。
図1(b)のステップでは、図3に示すように、純水にKOHを溶解した水溶液である水酸化カリウム溶液11にNガス10を通過させることで、Nガス10にK+イオンを含んだ水蒸気を含有させる。この水蒸気を、ヒーター13が設けられた加熱炉12に流すことで、この加熱炉12内に設置した振動発電素子基板20上に、K+イオンを含んだSiO層を形成させる。このウェット酸化法によって、図1(b)に示す基板Aとして、図2の振動発電素子基板20上にK+イオンを含んだSiO層を形成したものが作製される。
(導電性ヒーターを用いたBT処理)
本発明では、図1(c)で説明したBT処理を、導電性ヒーターを用いて行うことにより、SiO層内のK+イオンやSi基板内の正負電荷の移動をアシストし、エレクトレット電圧を高めている。図4は、本発明によるエレクトレットの形成方法に係るBT処理の概略図である。なお図4では、図1(b)のステップでSiO層が形成された振動発電素子基板20を図2のD方向から見た様子を示しており、説明上不要な部分は省略している。
本発明によるエレクトレットの形成方法では、図4に示すように台座部21にSiO層2を介して導電性ヒーター5を接触させた状態で、ヒーター電源32により導電性ヒーター5に通電する。導電性ヒーター5は、導電性を有する電気ヒーターであり、たとえば半導体シリコンや発熱体などが用いられる。これにより、台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を含む振動発電素子基板20全体が所定の温度、たとえば約800℃まで加熱される。このようにして振動発電素子基板20を加熱しながら、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23に、不図示のプローバに設けられたプローバ針48をそれぞれ接触させる。これにより、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23の間に、バイアス電源31からのバイアス電圧VBが印加される。なお、加熱時にヒーター電源32から導電性ヒーター5に印加する電圧は、バイアス電圧VBよりも低くする。
上記のようにしてバイアス電圧VBを印加することで、可動櫛歯電極22の櫛歯部24と固定櫛歯電極23の櫛歯部26とが互いに対向する面において、SiO層2内のK+イオンが移動する。具体的には、後で説明する図7に示すように、可動櫛歯電極22の櫛歯部24上に形成されたSiO層2では、K+イオンが表面側に移動し、固定櫛歯電極23の櫛歯部26上に形成されたSiO層2では、K+イオンがSi基板との界面側に移動する。その結果、これらのSiO層2において分極が生じる。このとき、可動櫛歯電極22と導電性ヒーター5の間の電位差によって、SiO層2におけるK+イオンの移動がアシストされ、分極が促進される。
さらにこのとき、可動櫛歯電極22と台座部21の間に形成されたSiO層2においても、可動櫛歯電極22と導電性ヒーター5の間の電位差によってK+イオンが移動し、分極が生じる。その結果、図4に示すように、可動櫛歯電極22内の正電荷と台座部21内の負電荷とが、SiO層2を介して互いに引き寄せされる。
なお、導電性ヒーター5が高温で熱せられることによって、導電性ヒーター5から熱電子が放出され、台座部21やSiO層2に取り込まれる。また、SiO層2の厚さが十分に薄ければ、導電性ヒーター5から台座部21やSiO層2に電子が直接供給されることもあり得る。これらの作用により、可動櫛歯電極22と台座部21の間の電位差がより一層拡大するため、SiO層2の分極がさらに促進される。
以上説明したようなBT処理によってSiO層2を分極させたら、次に、この分極が維持された状態となるようにバイアス電圧VBの印加を続けながら、導電性ヒーター5の通電を停止し、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を含む振動発電素子基板20を冷却する。振動発電素子基板20が十分に冷却されると、SiO層2内でK+イオンが動かなくなり、バイアス電圧VBの印加を停止しても分極が固定化される。これにより、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を、それぞれ異なる極性でエレクトレット化することができる。その結果、図1(d)に示す基板Bとして、図2の振動発電素子基板20上に形成されたSiO層をエレクトレット化したものが作製される。
本発明では、上記のように導電性ヒーター5を用いてBT処理を行うことにより、バイアス電圧VBと導電性ヒーター5の印加電圧との差に応じた分だけ、K+イオンを移動しやすくすることができる。そのため、従来のコロナ放電を用いる場合と比べて、所望の電荷量を有するエレクトレットを均一に製造することが可能である。
(エレクトレット電極保護用の撥水膜形成方法)
エレクトレット電極製造の最後のステップ(図1(e))で形成する撥水膜には、たとえば特開2008−110436号公報で記載されているような化学吸着単分子膜を用いる。この方法では、SiO層の上に、たとえばフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基とを主成分とする化学物質を用いて、化学吸着単分子膜を容易に形成することができる。
図5は、窒素雰囲気でエレクトレット電極に保護用の撥水膜を形成する装置の概略図である。図5を参照して、この化学吸着単分子膜からなる撥水膜を形成するための撥水膜形成装置を説明する。
図5の撥水膜形成装置50には、真空ポンプ43が取り付けられた真空チャンバ41に、撥水膜を形成する化学物質を溶解した撥水膜処理液51の蒸気が導入される。撥水膜処理液51にNガス52を導入してバブリングすることによって、撥水膜処理液51の蒸気を含んだNガスが真空チャンバ41に導入される。
図1(d)の基板B、すなわち上記で説明したようにしてSiO層2がエレクトレット化された振動発電素子基板20を、真空チャンバ41内に設置し、化学吸着単分子膜を形成する撥水膜処理液51の蒸気を含むNガスを導入する。SiO層2は、この蒸気に曝されると、その表面に上記化学物質からなる化学吸着単分子膜が形成される。この化学吸着単分子膜は上記化学物質の蒸気によって形成されるため、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23の間にも容易に蒸気が侵入し、可動櫛歯電極22の櫛歯部24の表面全体に渡り化学吸着単分子膜が形成される。
上記のような撥水膜の形成は、BT処理後に、基板を大気に触れさせることなく連続して行われる。上記の化学吸着単分子膜からなる撥水膜は、SiO層表面に移動したK+イオンが大気中の水分等により中和されることを防止する。
上述した化学吸着単分子膜を形成する化学物質として、たとえば、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基とを主成分とするものを用いることができる。この例の化学物質の主成分としては、CF(CF(CHSi(OA),[CF(CF(CHSi(OA),あるいは[CF(CF(CHSiOA(nは整数、Aはメチル基、エチル基、プロピル基等の短鎖アルキル基)があげられる。具体的には、CFCHO(CH15Si(OCH、CF(CHSi(CH(CH15Si(OCHなどがある。
以上のように形成したK+イオンを含むSiO層のエレクトレットは電荷の保持期間が非常に長く、従って寿命の長いエレクトレットを備えた小型発電機を製造することができる。
(立体型櫛歯電極を備えた振動発電素子の概略構造)
図6は、図2に示す振動発電素子基板を用いて作製された、立体型櫛歯エレクトレット電極を備えた振動発電素子の全体概略図である。図6に示す振動発電素子200は、前述の方法を用いて振動発電素子基板20をエレクトレット化した後、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23に出力端子27、28をそれぞれ設け、この出力端子27、28の間に出力抵抗29を設けることによって作製されたものである。
エレクトレット層が形成された可動櫛歯電極22が振動すると、出力端子27と出力端子28の間に出力電圧が出力される。なお、出力を電流として利用する場合は、例えば出力抵抗29の代わりに、整流回路を接続し、さらに整流後のDC電流を蓄えるコンデンサを用いる。
図7は、図6に示す振動発電素子の櫛歯電極に形成されたエレクトレットの構造を示す概略図である。図7は、振動発電素子200の上面図であり、可動櫛歯電極22の櫛歯部24の表面に形成されたSiOエレクトレット層の構造を概略的に示したものである。図7では、図2、図6と対応する部分については同じ参照番号で示してある。
図7に示すように、振動発電素子200では、可動櫛歯電極22の櫛歯部24でのK+イオンの分布と、固定櫛歯電極23の櫛歯部26でのK+イオンの分布が異なる。これは前述のように、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23の間にバイアス電圧を印加してBT処理を行うことにより、櫛歯部24、26にエレクトレットをそれぞれ形成したことによるものである。可動櫛歯電極22の櫛歯部24ではK+イオンが表面近くに移動し、この移動したK+イオンがエレクトレット電荷として機能する。
以上説明したように、本発明によるエレクトレットの形成方法は、下層Si基板である台座部21と、一対の上層Si基板である可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23とが重ねられ、台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23の上にイオンを含む絶縁膜であるSiO層2がそれぞれ形成されたエレクトレットである振動発電素子200の形成において用いられる。このエレクトレットの形成方法は、台座部21にSiO層2を介して導電性ヒーター5を接触させた状態で導電性ヒーター5に通電して台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を加熱しながら、可動櫛歯電極22と固定櫛歯電極23の間にバイアス電圧VBを印加して、SiO層2に分極を生じさせる。その後、SiO層2が分極された状態で、導電性ヒーター5の通電を停止して台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23を冷却することにより、SiO層2の分極を固定化する。このようにしたので、所望の電荷量を有するエレクトレットを均一に製造することができる。
また、従来のコロナ放電を用いたエレクトレット形成方法では、コロナ放電のために、たとえば数kV程度の高電圧を印加する必要があることから、エレクトレット化される基板上に半導体回路や電子部品を設けることができない。これに比べて、本発明によるエレクトレット形成方法では、高電圧を印加する必要がないので、こうした不都合が生じないという利点がある。
さらに、Si基板としてp型半導体とn型半導体のどちらを用いるかにより、振動発電素子200の特性を変化させることができるため、用途に応じた振動発電素子200を作製することができるという利点もある。
本発明によるエレクトレットの形成方法を用いて作製されるMEMS装置である振動発電素子200は、下層Si基板である台座部21と、台座部21に重ねられた一対の上層Si基板である可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23とを備える。台座部21、可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23の上には、イオンを含む絶縁膜であるSiO層2がそれぞれ形成されている。可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23は、櫛歯形状をそれぞれ有する一対の櫛歯電極であり、この可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23の少なくとも一方と台座部21との界面に、エレクトレットが形成されている。このようにしたので、従来に比べてエレクトレットの荷電量を増大することが可能となり、その結果、小さな振動でも比較的大きな発電力を得られるMEMS装置としての振動発電素子200を実現することができる。
なお、上記で説明したように、振動発電素子200が有する立体型の可動櫛歯電極22および固定櫛歯電極23において、櫛歯部24、25の櫛歯の数は、振動発電素子として要求される発電量(電圧、電流)に対応して適宜決定される。また当然ながら、各々の櫛歯の大きさ(長さ、高さ)も、この要求される発電量に対応して適宜設計可能である。
また、上記の実施形態では、エレクトレット膜を形成するためのイオンとしてK+イオンを使用した例を説明したが、K+イオン以外のイオンであっても本発明の方法を用いてエレクトレットを形成することができる。イオンの中でも、イオン半径の大きいアルカリイオンを用いると、エレクトレット形成後のイオン移動が少なく、従って表面電位の保持期間の長いエレクトレット膜とすることができる。この場合、上記で説明したウェット酸化で、水酸化カリウム水溶液の代わりに、K+イオン以外の正イオンやアルカリイオンを含むような水溶液を用いて行う。
また、上記の実施形態では、図2に示した振動発電素子基板20を1枚のSi基板から製造するように説明したが、複数の基板から製造することも可能である。たとえば、イオンを含むSiO基板またはSiO層を含む基板を、別の基板に貼り合わせることで、図1(b)の基板Aの状態とし、以降の製造工程を行うことも可能である。
本発明によるエレクトレットの形成方法を用いてエレクトレットを形成した振動発電素子200は、様々な装置に使用することができる。たとえば、マイクロフォンや小型スピーカーなどのトランスデューサーや、時計用の発電素子などとしても応用が可能である。
以上の説明は本発明の実施形態の例であり、本発明はこれらの実施形態や実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の特徴を損なわずに様々な変形実施が可能である。とりわけ、本発明によるBT処理は、図1で示したような平面型エレクトレットだけでなく、図2で示した振動発電素子基板20のような立体型櫛歯電極をエレクトレット化する際にも適用できる。また上記の説明から明らかなように、平面型櫛歯電極の製造にも適用可能である。
1・・・Si基板
2・・・SiO
5・・・導電性ヒーター
6・・・撥水性被膜
10・・・Nガス
11・・・水酸化カリウム溶液
12・・・加熱炉
13・・・ヒーター
20・・・振動発電素子基板
21・・・台座部
22・・・可動櫛歯電極
23・・・固定櫛歯電極
24・・・可動櫛歯電極櫛歯部
25・・・ばね部
26・・・固定櫛歯電極櫛歯部
27,28・・・出力端子
29・・・出力抵抗
31・・・バイアス電源
32・・・ヒーター電源
41・・・真空チャンバ
43・・・真空ポンプ
48・・・プローバ針
50・・・撥水膜形成装置
51・・・撥水膜処理液
52・・・Nガス
200・・・振動発電素子

Claims (4)

  1. 下層Si基板と一対の上層Si基板とが重ねられ、前記下層Si基板および前記一対の上層Si基板の上にイオンを含む絶縁膜がそれぞれ形成されたエレクトレットの形成方法であって、
    前記下層Si基板に前記絶縁膜を介して導電性ヒーターを接触させた状態で前記導電性ヒーターに通電して前記下層Si基板および前記上層Si基板を加熱しながら、前記一対の上層Si基板間にバイアス電圧を印加して、前記絶縁膜に分極を生じさせ、
    前記絶縁膜が分極された状態で、前記導電性ヒーターの通電を停止して前記下層Si基板および前記上層Si基板を冷却することにより、前記絶縁膜の分極を固定化するエレクトレットの形成方法。
  2. 請求項1に記載のエレクトレットの形成方法において、
    前記導電性ヒーターに印加する電圧を、前記バイアス電圧よりも低くするエレクトレットの形成方法。
  3. 請求項1または2に記載のエレクトレットの形成方法において、
    前記絶縁膜は、SiO膜であるエレクトレットの形成方法。
  4. 下層Si基板と、
    前記下層Si基板に重ねられた一対の上層Si基板とを備え、
    前記下層Si基板および前記一対の上層Si基板の上にイオンを含む絶縁膜がそれぞれ形成されており、
    前記一対の上層Si基板は、櫛歯形状をそれぞれ有する一対の櫛歯電極であり、
    前記一対の櫛歯電極の少なくとも一方と前記下層Si基板との界面にエレクトレットが形成されているMEMS装置。
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