JP2017099208A - エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法 - Google Patents

エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017099208A
JP2017099208A JP2015231363A JP2015231363A JP2017099208A JP 2017099208 A JP2017099208 A JP 2017099208A JP 2015231363 A JP2015231363 A JP 2015231363A JP 2015231363 A JP2015231363 A JP 2015231363A JP 2017099208 A JP2017099208 A JP 2017099208A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electret
film
dielectric
electret film
films
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015231363A
Other languages
English (en)
Inventor
一善 小野
Kazuyoshi Ono
一善 小野
知巳 阪田
Tomomi Sakata
知巳 阪田
亮一 笠原
Ryoichi Kasahara
亮一 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2015231363A priority Critical patent/JP2017099208A/ja
Publication of JP2017099208A publication Critical patent/JP2017099208A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micromachines (AREA)

Abstract

【課題】優れた帯電特性を有するエレクトレットを提供する。
【解決手段】本発明に係るエレクトレット(100,101,102)は、第1誘電体から構成された第1エレクトレット膜(2)と、第1誘電体と異なる誘電率を有する第2誘電体から構成された第2エレクトレット膜(3)とを有し、第2エレクトレット膜は、第1エレクレット膜の上に直接形成されていることを特徴とする。第1エレクトレット膜は、例えばSiO2またはSiNから構成され、第2エレクトレット膜は、例えば樹脂から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を利用した微小な装置の開発が盛んに行われている。MEMS技術とは、半導体基板などのウエハ上に薄膜を形成し、この薄膜を加工することで半導体集積回路を製造する技術を基本とした技術であり、このMEMS技術により作製されたMEMS素子として、例えば、可動構造を備えた微小振動素子が知られている。微小振動素子は、ばねにより移動可能に支持された振動子を備えた素子であり、他の半導体デバイスとの集積化が容易で、振動子の専有面積が小さいという特徴がある。
近年、微小振動素子を、環境中の振動エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスタとして利用する技術の開発が進められている。具体的には、非特許文献1に示されるように、帯電体であるエレクトレットに対して電極(導体)を相対的に変位させることによって発生する誘導電荷の移動(静電誘導の原理)を利用して発電するエレクトレット微小発電素子の開発が進められている。
例えば、非特許文献2には、振動子に形成された導体から成る可動電極と、振動子を支持するばねを介して可動電極と電気的に接続された固定電極と、エレクトレットとを備え、振動子を振動させることにより可動電極とエレクトレットとの間で電荷を移動させ、電流を発生させるエレクトレット微小発電素子が開示されている。
ここで、エレクトレット微小発電素子のようなエネルギーハーベスト技術に用いられるエレクトレットとしては、シリコン酸化物(SiO2)等の無機材料を用いたものや、フッ素樹脂等の有機材料を用いたものが知られている。これらの材料は、基板の上に成膜された後、公知のコロナ放電法などにより電荷がチャージされることにより帯電し、エレクトレットとして機能する。特に、非特許文献3,4,5に示されるように、フッ素重合体を母材とするCYTOP(サイトップ,登録商標)は、高い帯電保持性能と加工容易性を有しているため、エレクトレットとして多くの研究機関において利用されている。
小野一善、佐藤昇男、阪田知巳、小舘淳一、神好人、「MEMSを用いた振動エネルギーハーベスト技術」、NTT技術ジャーナル2012年12月号、p.32-36. C. Marboutin, Y. Suzuki and N. Kasagi, "Optimal Design of Micro Electret Generator for Energy Harvesting", 7th Int. Workshop on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS 2007), Freiburg, Nov. 28-29, 2007, pp. 141-144. "エレクトレットグレード(EGG)", [online], 小西安株式会社 ,[平成27年10月27日検索], インターネット<URL: http://www.konishiyasu.com/syouhin/egg/index.html > 柏木王明、「振動型発電器用超高性能エレクトレット材料の開発」, Res. Reports Asahi Glass Co., Ltd., 60(2010), pp.23-28. 荒川康弘、「エレクトレット高分子膜を用いたマイクロ振動型発電器」、日本機械学会第9回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集、P.37(04,6,22−23東京) 岩本光正、田口大、「熱刺激電流による電気電子材料評価 基礎と応用」、コロナ社、2014年、p.109.
近年、エネルギーハーベスト技術に用いられるエレクトレットは、エネルギーハーベスタの発電効率の向上を図るため、帯電量(電荷保持量)の向上が望まれている。
一般に、エレクトレットの単位体積あたりの帯電密度は、エレクトレットを構成する材料により一意に決まる。そのため、エレクトレットの帯電量を増やすためには、上述の非特許文献5に示されるように、エレクトレットの厚さを大きくする必要があった。
しかしながら、材料コストや製造コストの点から、実際にエレクトレットの厚さを大きくすることには限界があるため、帯電特性の大幅な改善は見込めない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、優れた帯電特性を有するエレクトレットを提供することにある。
本発明に係るエレクトレット(100,101,102)は、第1誘電体から構成された第1エレクトレット膜(2)と、第1誘電体とは異なる誘電率を有する第2誘電体から構成された第2エレクトレット膜(3)とを有し、第2エレクトレット膜は、第1エレクレット膜の上に直接形成されていることを特徴とする。
上記エレクトレットにおいて、第1エレクトレット膜(2)と第2エレクトレット膜(3)とが交互に複数積層されていてもよい。
本発明に係る別のエレクトレットは、異なる誘電率を有する少なくとも3種類のエレクトレット膜(2,3,4)が積層されていることを特徴とする。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって表している。
本発明によれば、より優れた帯電特性を有するエレクトレットを実現することにある。
図1は、実施の形態1に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。 図2は、実施の形態1に係るエレクトレットにおける帯電の原理を説明するための図である。 図3は、従来の1層のエレクトレット膜から構成されたエレクトレットにおける帯電の原理を説明するための図である。 図4Aは、実施の形態1に係るエレクトレットの製造方法を説明するための図である。 図4Bは、実施の形態1に係るエレクトレットの製造方法を説明するための図である。 図5は、エレクトレット膜を構成するCYTOPの化学式を示す図である。 図6は、直流コロナ放電装置を用いた帯電方法を模式的に示す図である。 図7は、第2比較サンプルの断面を模式的に示す図である。 図8は、本発明に係るエレクトレットの製造方法によって作製されたエレクトレットの表面電位分布の計測結果を示す図である。 図9は、3つのサンプルの表面電位の時間変化を示す図である。 図10は、3つのサンプルの表面電位の時間変化を対数で示した図である。 図11は、実施の形態2に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。 図12は、実施の形態3に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
≪実施の形態1≫
〈エレクトレットの構成〉
図1は、本発明の一実施の形態に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。
同図には、一例として、本実施の形態に係るエレクトレットの積層構造の一部が図示されている。
同図に示されるエレクトレット100は、電場を形成し続けることが可能な素子であり、環境中の振動エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーハーベスタとしてのエレクトレット微小発電素子等に利用することができる。
図1に示されるように、本実施の形態に係るエレクトレット100は、従来の一つのエレクトレット膜から構成されたエレクトレットとは異なり、異なる誘電体から構成された複数のエレクトレット膜を接合した構造を有している。
ここで、エレクトレット膜とは、注入された電荷を保持し続けることが可能な誘電体(絶縁体)から構成された薄膜である。本明細書では、後述するコロナ放電等によって電荷が注入される前の上記薄膜のみならず、電荷が注入された後の上記薄膜についても、エレクトレット膜と称することがある。
具体的に、エレクトレット100は、エレクトレット膜2と、エレクトレット膜2と異なる誘電率を有するエレクトレット膜3とを有する。
エレクトレット膜2は、例えばシリコンから成る基板1上に形成されている。エレクトレット膜2は、例えば、SiO2またはSiNから構成されている。エレクトレット膜3は、エレクレット膜2の上に直接形成されている。エレクトレット膜3は、例えば樹脂から構成されている。上記樹脂としては、例えば、エレクトレット膜2上に塗布し易いフッ素環状重合体等を例示することができる。
後述するコロナ放電等により、エレクトレット膜2,3に電荷を注入すると、エレクトレット膜2とエレクトレット膜3とが積層された構造体10は、エレクトレットとして機能する。
ここで、エレクトレット100の帯電の原理について説明する。
図2は、実施の形態1に係るエレクトレットの帯電の原理を説明するための図である。図3は、従来の1層のエレクトレット膜から構成されたエレクトレットの帯電の原理を示す図である。
図3に示すように、従来の1つのエレクトレット膜から構成されたエレクトレット50は、エレクトレット膜を構成する材料の分極により帯電する。これに対し、図2に示すように、実施の形態1に係るエレクトレット100は、誘電率が異なるエレクトレット膜2,3が接合された構造体10にコロナ放電等により電荷を注入すると、マクスウェル・ワグナー(Maxwell−Wagner)効果(非特許文献6参照)により、エレクトレット膜2とエレクトレット膜3との接合界面の近傍に電荷が集中して蓄積される。
これにより、従来の1層のエレクトレット膜の膜厚を単に大きくする場合に比べて、エレクトレットにおける帯電量を向上させることができ、且つ長期間に渡って電荷を安定して保持することが可能となる。
〈本実施の形態に係るエレクトレットの製造方法〉
次に、実施の形態1に係るエレクトレット100の製造方法について説明する。
先ず、図4Aに示すように、第1誘電体から構成されたエレクトレット膜2を形成する(第1工程)。具体的には、公知のスパッタリング法によって基板1上に第1誘電体を堆積させることにより、エレクトレット膜2を形成する。
ここで、基板1としては、例えばシリコン(Si)を用いることができる。また、第1誘電体としては、SiO2またはSiNを用いることができる。
次に、図4Bに示すように、第1誘電体とは異なる誘電率を有する第2誘電体から構成されたエレクトレット膜3をエレクトレット膜2の上に直接形成する(第2工程)。第2誘電体としては、フッ素環状重合体(例えばCYTOP)等の樹脂を用いることができる。
具体的には、先ず、第2誘電体を溶質とする溶液を用意する。例えば、第2誘電体としてフッ素環状重合体を用いる場合には、フッ素環状重合体を含フッ素有機溶媒に溶解させた溶液を用意し、その溶液を所定量採取する。その後、採取した溶液を更に上記含フッ素有機溶媒で希釈することにより、含フッ素環状重合体溶液が得られる。
次に、第2誘電体を溶質とする溶液を、公知のスピンコート法によりエレクトレット膜2上に塗布し、オーブンにて加熱処理を施す。これにより、エレクトレット膜2上にエレクトレット膜3が形成される。
〈実施例〉
次に、上記の製造方法に基づいてエレクトレット100を実際に作製し、作製したエレクトレット100の帯電特性を調べた実験の結果について説明する。
(1)エレクトレット100の作製
先ず、本実験に用いたエレクトレット100の作製手順について詳細に説明する。
(a)基板1の準備
はじめに、下地処理を施した基板1を用意する。
本実験では、両面鏡面研磨加工を施した厚さ625μmのSi基板をダイシング法等によって切断し、縦1cm、横1cmの複数のSiチップを作製した後、切断した夫々のチップに対して強酸性の溶液で洗浄し、フッ酸水溶液中に1分間浸漬させた。その後、超純水によって10分間洗浄することにより、夫々のチップの表面に付着しているパーティクルを除去した。本実験では、これらの下地処理を施した1つのSiチップを基板1として用いた。
(b)エレクトレット膜2の形成(第1工程)
本実験では、公知のスパッタリング法(RFパワー:500W)により、上記下地処理を施して乾燥させたSiチップ(基板1)上に酸化シリコン(SiO2)を0.8μm堆積させた。これにより、SiO2から構成されたエレクトレット膜2をSiチップ上に形成した(図4A参照)。
(c)エレクトレット膜3の形成
本実験では、図5に示す化学式の繰り返し単位を有し、主鎖にカルボキシ基を有するフッ素環状重合体のCYTOP(サイトップ;登録商標、旭硝子社製、比誘電率2.1)を含フッ素有機溶媒としての溶媒CT−solv180(旭硝子社製)に溶解させたCYTOP溶液CTL−813A(旭硝子社製)を用意する。そして、そのCYTOP溶液CTL−813Aを10gを採取し、30gの上記溶媒CT−solv180で希釈する。
これにより、質量比1:3の含フッ素環状重合体溶液を作製した。
次に、SiO2から構成されたエレクトレット膜2とCYTOPとの密着性を高めるために、エレクトレット膜2上にHMDS(hexamethyldisilazane)を公知のスピンコート法により塗布し、自然乾燥させた。その後、上述の方法で調合した含フッ素環状重合体溶液を、公知のスピンコート法によりエレクトレット膜2上に塗布し、オーブンにて110℃の温度において30分間加熱した。
これにより、SiO2から構成されたエレクトレット膜2の直上にCYTOPから構成されたエレクトレット膜3が形成され、異なる誘電率を有するエレクトレット膜2,3が積層された構造体10が得られる(図4B参照)。
(d)帯電処理
次に、例えば公知の直流コロナ放電法により、エレクトレット膜2,3から成る構造体10に電荷を印加する。より具体的には、図6に示す直流コロナ放電装置400において、構造体10が形成された基板1を電極板41上に載置するとともに、電極針42を構造体10の電極板4と反対側の面の直上に配置し、電源40により高電圧を電極針42と電極板41との間に印加する。本実験では、室温(約25℃)において、10kVの電圧を電極針42と電極板41との間に30分間印加した。
これにより、電極針42と構造体10との間の空気の絶縁破壊によるコロナ放電が生じ、構造体10を形成する夫々のエレクトレット膜2,3の分子が分極し、電荷がエレクトレット膜2とエレクトレット膜3の接合界面の近傍に集中して蓄積される。
本実験では、以上の工程を経てエレクトレット100を作製した。
(2)帯電特性の計測
次に、実際に作製したエレクトレット100の帯電特性の計測結果について説明する。
本実験では、測定対象のサンプルとして、上述の製造方法によって実際に作製したエレクトレット100と、上述の製造方法における上記下地処理を施した基板1上にSiO2から構成されたエレクトレット膜2のみを形成し、上記コロナ放電法により高電圧を印加した第1比較サンプル(図4A参照)と、上述の製造方法における上記下地処理を施した基板1上にCYTOPから構成されたエレクトレット膜3のみを形成し、上記コロナ放電法により高電圧を印加した第2比較サンプル(図7参照)の3つを用意し、それらのサンプルの夫々の表面電位を表面電位計(トレック社製、型番8320)を用いて計測した。
図8は、上述した製造方法によって作製されたエレクトレット100の表面電位分布の計測結果を示す図である。同図に示されるグラフは、エレクトレット100のサンプルのX軸およびY軸から成るXY平面に対して、上記表面電位計のプローブを走査することで得られた400点の測定結果に基づく表面電位の分布が示している。同図に示されるグラフにおいて、横軸は図4BにおけるX軸〔μm〕に対応し、縦軸は図4BにおけるY軸〔μm〕に対応している。
図9,10は、各サンプルの表面電位の時間変化を示す図である。
図9,10には、上記3つのサンプルを25℃、相対湿度(RH:relative humidity)50%の環境下で導電性トレイに保管し、定期的にそれらを取り出して、上記図8と同様の方法によって計測した表面電位の最小値がサンプル毎にプロットされている。なお、図10は、図9のグラフを対数で表示させたものである。
また、図9,10において、縦軸は表面電位〔V〕であり、横軸はコロナ放電による帯電処理を施してからの経過時間〔hours〕である。図9,10において、参照符号401,401Aは第1比較サンプルの特性を示し、参照符号402,402Aは第2比較サンプルの特性を示し、参照符号403,403Aは、本実施の形態に係るエレクトレット100の特性を示している。
図9,10に示すように、上記の製造方法によって実際に作製したエレクトレット100は、第1比較サンプルおよび第2比較サンプルに比べて、表面電位が著しく高いことが理解される。また、エレクトレット100は、第1比較サンプルおよび第2比較サンプルに比べて、コロナ放電による帯電処理を施してから約3300時間までの期間における表面電位の低下が著しく抑えられていることが理解される。
以上、本実施の形態に係るエレクトレットによれば、上記の実験結果からも理解されるように、従来の1層のエレクトレット膜の膜厚を単に大きくする場合に比べて、エレクトレットにおける帯電量を向上させることができ、且つ長期間に渡って電荷を安定して保持することが可能となる。すなわち、優れた帯電特性を有するエレクトレットを実現することができる。
また、本実施の形態に係るエレクトレットによれば、膜厚を大きくする場合に比べて、材料コストを抑えることが可能となる。
また、誘電体として樹脂(例えばサイトップ)を用いることにより、1つのエレクトレット膜を塗布法によって形成することができるので、製造コストを更に抑えることが可能となる。
≪実施の形態2≫
次に、本発明に係るエレクトレットの別の実施の形態について説明する。
実施の形態1では、誘電率の異なる2種類のエレクトレット膜を1組だけ基板1上に積層する場合を示したが、2種類のエレクトレット膜を交互に複数積層してもよい。
図11は、実施の形態2に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。
同図に示されるエレクトレット101は、エレクトレット膜2とエレクトレット膜3とが交互にn(nは2以上の整数)層積層された構造を有している。エレクトレット101は、上述のエレクトレット100と同様に、第2工程(図4B)までの各処理を行った後に、第1工程(図4A)と第2工程を交互に繰り返し行うことによって作製することができる。
具体的には、上記第2工程によってエレクトレット膜3_1を形成した後に、上記第1工程と同様に、公知のスパッタリング法等により誘電体(例えばSiO2)をエレクトレット膜3_1の直上に堆積させることで、エレクトレット膜2_2を形成する。その後、上記第2工程と同様に、HMDSを公知のスピンコート法によって塗布して自然乾燥させた後、上記含フッ素環状重合体溶液を公知のスピンコート法によってエレクトレット膜2_2の直上に塗布し、加熱処理を施すことにより、エレクトレット膜3_2を形成する。これらの処理を所定の回数だけ繰り返し行うことにより、誘電率が異なるエレクトレット膜2,3が交互に複数積層されたエレクトレット101を作製することができる。
エレクトレット101によれば、複数の隣接するエレクトレット膜の夫々の接合界面において電荷を蓄積することができるので、従来のようにエレクトレット膜の膜厚を単に大きくする場合に比べて、エレクトレットとしての帯電量を更に向上させることができる。
また、エレクトレット101によれば、積層数によってエレクトレットの帯電量を調整することができるので、従来のように単に膜厚を大きくする方法に比べて、帯電量の調整が容易となるとともに、帯電量の更なる向上が可能となる。
≪実施の形態3≫
実施の形態2では、2種類のエレクトレット膜を交互に複数積層する場合を例示したが、3種類のエレクトレット膜を複数積層してもよい。
図12は、実施の形態3に係るエレクトレットの断面を模式的に示す図である。
同図に示されるように、エレクトレット102は、誘電率が異なる3種類のエレクトレット膜2,3,4が複数積層された構造を有している。例えば、エレクトレット膜2をSiO2によって形成し、エレクトレット膜3をサイトップによって形成し、エレクトレット膜4をSiNによって形成する。
エレクトレット膜2,3,4を積層する順番は、隣接するエレクトレット膜が誘電率の異なる材料によって形成されていればよく、特に制限はない。例えば、エレクトレット膜2,3,4が周期的に積層されていてもよいし、図12に示されるように、エレクトレット膜2,3,4を積層する順番を適宜入れ替えてもよい。
エレクトレット102によれば、実施の形態2に係るエレクトレット101と同様に、複数の隣接するエレクトレット膜の夫々の接合界面において電荷を蓄積することができるので、従来のようにエレクトレット膜の膜厚を単に大きくする場合に比べて、エレクトレットとしての帯電量を更に向上させることができる。
また、3種類のエレクトレット膜を用いることにより、帯電量の微調整が容易となる。
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施の形態において、エレクトレット膜3として、CYTOPを用いる場合を例示したが、エレクトレット膜2と異なる誘電率を有する別の有機材料を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、エレクトレット膜2として、SiO2を用いる場合を例示したが、エレクトレット膜3と異なる材料を用いてもよい。例えば、エレクトレット膜2としてSiNを用いてもよい。
また、上記実施の形態の図12において、3種類のエレクトレット膜を形成する材料として、SiO2、CYTOPおよびSiNを例示したが、互いに誘電率が異なる材料であれば他の材料を用いてもよい。また、図12において、3種類のエレクトレット膜を積層する場合を例示したが、エレクトレット膜の種類は特に制限されない。例えば、4種類以上のエレクトレット膜を積層させてもよい。
また、エレクトレット膜3を構成する樹脂を溶質とする溶液(含フッ素環状重合体溶液)の塗布法としてスピンコート法を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、公知のディッピング法、スプレーコート法、インクジェット法、またはロールコーター法によって塗布してもよい。
また、SiO2から成るエレクトレット膜2,2_1〜2_nを、スパッタリング法によって形成する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、公知の真空蒸着法によって形成してもよい。特に、基板1に直接形成されるエレクトレット膜2,2_1については、上記のスパッタリング法および真空蒸着法の代わりに、熱酸化法やP−CVD法によって形成することができる。
また、SiNから構成されるエレクトレット膜を形成する場合には、スパッタリング法だけでなく、P−CVD法によっても形成することができる。
また、上記実施の形態では、基板1としてSiを用いる場合を例示したが、これに限定されるものではなく、Siと同様にエレクトレット膜を積層する基台として機能する他の材料を用いることもできる。
100,101,102…エレクトレット、1…基板、2,2_1〜2_n,3,3_1〜3_n,4_1〜4_n…エレクトレット膜、10…構造体。

Claims (8)

  1. 第1誘電体から構成された第1エレクトレット膜と、
    前記第1誘電体と異なる誘電率を有する第2誘電体から構成された第2エレクトレット膜とを有し、
    前記第2エレクトレット膜は、前記第1エレクレット膜の上に直接形成されている ことを特徴とするエレクトレット。
  2. 請求項1記載のエレクトレットにおいて、
    前記第1エレクトレット膜と前記第2エレクトレット膜とが交互に複数積層されている
    ことを特徴とするエレクトレット。
  3. 請求項1または2記載のエレクトレットにおいて、
    前記第1エレクトレット膜は、SiO2またはSiNから構成されている
    ことを特徴とするエレクトレット。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のエレクトレットにおいて、
    前記第2エレクトレット膜は、樹脂から構成されている
    ことを特徴とするエレクトレット。
  5. 請求項4記載のエレクトレットにおいて、
    前記樹脂は、フッ素環状重合体である
    ことを特徴とするエレクトレット。
  6. 異なる誘電率を有する少なくとも3種類のエレクトレット膜が積層されている
    ことを特徴とするエレクトレット。
  7. 第1誘電体から構成された第1エレクトレット膜を形成する第1工程と、
    前記第1誘電体とは異なる誘電率を有する第2誘電体から構成された第2エレクトレット膜を、前記第1エレクトレット膜の上に直接形成する第2工程と、を含む
    ことを特徴とするエレクトレットの製造方法。
  8. 請求項7に記載のエレクトレットの製造方法において、
    前記第2工程は、樹脂を溶質とする溶液をスピンコート法、ディッピング法、スプレーコート法、インクジェット法、またはロールコーター法によって塗布する工程を含む
    ことを特徴とするエレクトレットの製造方法。
JP2015231363A 2015-11-27 2015-11-27 エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法 Pending JP2017099208A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015231363A JP2017099208A (ja) 2015-11-27 2015-11-27 エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015231363A JP2017099208A (ja) 2015-11-27 2015-11-27 エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019006685A Division JP2019106883A (ja) 2019-01-18 2019-01-18 エレクトレット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017099208A true JP2017099208A (ja) 2017-06-01

Family

ID=58817524

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015231363A Pending JP2017099208A (ja) 2015-11-27 2015-11-27 エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017099208A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020036423A (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 国立大学法人千葉大学 振動発電器及びエレクトレット

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008263157A (ja) * 2006-09-29 2008-10-30 Sanyo Electric Co Ltd エレクトレット素子およびそれを備えた静電誘導型変換装置
US20110095626A1 (en) * 2009-10-22 2011-04-28 Hsi-Hsin Shih Hybrid Electret
JP2012502493A (ja) * 2008-09-12 2012-01-26 アイメック パターン化エレクトレット構造およびパターン化エレクトレット構造の製造方法
JP2015138930A (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 学校法人 関西大学 エレクトレットとその製造方法、並びに、これを用いた発電装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008263157A (ja) * 2006-09-29 2008-10-30 Sanyo Electric Co Ltd エレクトレット素子およびそれを備えた静電誘導型変換装置
JP2012502493A (ja) * 2008-09-12 2012-01-26 アイメック パターン化エレクトレット構造およびパターン化エレクトレット構造の製造方法
US20110095626A1 (en) * 2009-10-22 2011-04-28 Hsi-Hsin Shih Hybrid Electret
JP2015138930A (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 学校法人 関西大学 エレクトレットとその製造方法、並びに、これを用いた発電装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020036423A (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 国立大学法人千葉大学 振動発電器及びエレクトレット
JP7297280B2 (ja) 2018-08-29 2023-06-26 国立大学法人千葉大学 振動発電器及びエレクトレット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Crovetto et al. An electret-based energy harvesting device with a wafer-level fabrication process
Chen et al. A flexible PMN‐PT ribbon‐based piezoelectric‐pyroelectric hybrid generator for human‐activity energy harvesting and monitoring
Feng et al. Trench-filled cellular parylene electret for piezoelectric transducer
JP6050035B2 (ja) 電気エネルギー発生素子及びその駆動方法
EP2335258B1 (en) Patterned electret structures and methods for manufacturing patterned electret structures
Luo et al. Spray-coated electret materials with enhanced stability in a harsh environment for an MEMS energy harvesting device
Wang et al. Invisible surface charge pattern on inorganic electrets
Xu et al. Spray coating of polymer electret with polystyrene nanoparticles for electrostatic energy harvesting
Zalalutdinov et al. Cmos-integrated rf mems resonators
CN106026758B (zh) 发电机及其制备方法和发电机组
Emamian et al. A piezoelectric based vibration energy harvester fabricated using screen printing technique
Ma et al. Low cost electrostatic vibration energy harvesters based on negatively-charged polypropylene cellular films with a folded structure
Yamane et al. MEMS post-processed self-assembled electret for vibratory energy harvesters
TW518900B (en) Structure of electret silicon capacitive type microphone and method for making the same
JP2017099208A (ja) エレクトレットおよびエレクトレットの製造方法
JP2016209935A (ja) エレクトレットの形成方法、mems装置
JP6309283B2 (ja) エレクトレットとその製造方法、並びに、これを用いた発電装置
JP5931457B2 (ja) エレクトレットの製造方法、エレクトレット、発電装置
JP2019106883A (ja) エレクトレット
KR102484997B1 (ko) 자가조립 단일층이 도입된 마찰전기 발전소자
Crovetto et al. MEMS fabricated energy harvesting device with 2D resonant structure
Kuriyama et al. Piezoelectric Polymer Multilayer Coating Method for Vibration Energy Harvester.
Okamoto et al. Improving an electret transducer by fully utilizing the implanted charge
Feng et al. All-polymer soft-X-ray-charged piezoelectret with embedded PEDOT electrode
Hayashi et al. Electrostatic micro transformer using potassium ion electret forming on a comb-drive actuator

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190507