JP2016209911A - 熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝達率αをモデルした熱伝達率モデルに含まれるパラメータを精確に推定する技術を提供する。【解決手段】本発明は、鋼板Xを冷却する冷却装置7における熱伝達の状況の熱伝達率モデル内のパラメータを鋼板Xの冷却実績値を用いて推定計算する推定方法であって、冷却装置7内を異なる冷却状況ごとに複数の領域に分け、複数の領域が当該領域内の冷却状況を規定するパラメータを有し、複数の領域のうちの一の領域における冷却実績値を用いたパラメータの推定計算を行うに際しては、他の領域のパラメータの推定計算が未実施の場合、他の領域のパラメータとして予め与えられた規定値を採用し、他の領域の少なくとも1つ以上の領域のパラメータに対する推定計算が実施後の場合、推定計算が行われた領域のパラメータとしては推定計算後のパラメータを採用し、推定計算が未実施の領域のパラメータとしては予め与えられた規定値を採用する。【選択図】図2

Description

本発明は、熱間圧延後の鋼板を冷却する冷却装置において、この冷却装置で用いられる熱伝達率モデルに使用されているパラメータを精確に推定する方法に関する。
従来より、厚鋼板等の圧延を行う圧延装置においては、仕上げ圧延機を経た鋼板を所定の温度まで冷却する冷却装置が備えられている。この冷却装置では、設定された温度履歴で鋼板が冷却され、所定の板温度(出側板温度)となる。
冷却装置における鋼板の冷却は、伝熱計算モデルによりシミュレートされ、冷却装置の諸条件(冷却水量や鋼板の搬送速度)などが決定される。
冷却装置での鋼板の温度制御を精確に行うためには、前述した伝熱計算モデル内のパラメータを精確に決定しておくことが重要である。例えば、伝熱計算モデルには、熱伝達率αが含まれており、この熱伝達率αは複数のパラメータ(a1,a2,a3など)からなる熱伝達率モデルにより決定される。上記した複数のパラメータ(a1,a2,a3など)を精確に決定することにより、精確な熱伝達率αを知ることができ、ひいては、伝熱計算モデルの精度を上げることが可能となる。
伝熱計算モデルに用いられる熱伝達率αを精確に求める技術としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1に開示された技術は、水冷プロセスにおいて水冷処理を行う鋼板の熱伝達率をオンラインで正確に推定することにより精度の高い温度制御を可能とすることを目的とするものであって、水冷プロセスの入側および出側での表面温度、板厚、板幅、および移動速度と冷却水温および冷却水量密度とを入力として、前記水冷プロセス通過後の鋼板に対して、熱伝達計算によって水冷途中及び終了後の鋼板温度を計算し、前記計算した鋼板温度と実測した鋼板温度との誤差が小さくなる様に、シミュレーテッドアニーリング法などの探索法を用いて熱伝達率を修正することによって、正確な熱伝達率を推定する。得られた熱伝達率を用いて、水冷条件を変えて鋼板温度を繰り返し計算することにより、最適水冷条件を決定するようにしている。
特開2004−244721号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術を用い、熱伝達率α乃至は熱伝達率αを決定する複数のパラメータ(a1,a2,a3など)を求めようとした場合、局所最適解を探索する虞があり、正しい解を得ることができない場合があることが現場の実績として挙がってきている。
例えば、特許文献1は、単点探索手法のシミュレーテッド・アニーリング法(SA法)を用いた技術ではあるが、探索条件によっては解空間の探索が不十分となり、最適解を見つけ出せない可能性がある。すなわち、特許文献1に開示された技術では、局所最適解を探索してしまう虞がある。
また、特許文献1は、3個といった少ないパラメータを同定するものとしており、特に、多数(例えば、10個以上)のパラメータを同時に求めることは困難である。それ故、従来、実験室などで予め求められた実験値をパラメータとして採用し、圧延中は、固定値のままとして用いることも多かった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、熱伝達率αをモデルした熱伝達率モデルに含まれるパラメータを精確に推定する技術を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法は、熱間圧延後の鋼板を冷却する冷却装置における熱伝達の状況をモデル化した熱伝達率モデル内に存在するパラメータを、前記鋼板の冷却実績値を用いた推定計算を用いて推定する推定方法であって、前記冷却装置内を、異なる冷却状況となっている複数の領域に分けておくと共に、前記複数の領域の各領域が、当該領域内の冷却状況を規定するパラメータを有するものとし、複数の領域のうちの「一の領域」における前記冷却実績値を用いたパラメータの推定計算を行うに際しては、
(i)「他の領域」のパラメータの推定計算が未実施の場合は、他の領域のパラメータとして予め与えられた規定値を採用し、
(ii)「他の領域」の少なくとも1つ以上の領域のパラメータに対する推定計算が実施後の場合は、推定計算が既に行われた領域のパラメータとしては、推定計算後のパラメータを採用し、推定計算が行われていない領域のパラメータとしては、予め与えられた規定値を採用することを特徴とする。
本発明により、冷却装置内における熱伝達率モデル内のパラメータを精確に推定することができると共に、精確な熱伝達率αを知ることができ、ひいては、冷却装置における伝熱計算モデルの精度を上げることが可能となる。
好ましくは、前記一の領域が、他の領域よりも、鋼板からの抜熱量が大きい領域であるとよい。
なお、パラメータの推定を行う領域は、鋼板の冷却に大きく寄与する領域から行うとよい。具体的には、鋼板に対して冷却水を噴射するノズル部を含む領域(鋼板からの抜熱量が大きい領域)からパラメータ推定を行うとよい。
好ましくは、前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板に対して冷却水を噴射するノズル部を含む領域」、「鋼板に対して冷却水を非噴射としている非ノズル部を含む領域」、「鋼板上の冷却水を水切りするためのスプレー水を噴射する水切スプレー部を含む領域」のいずれかとされているとよい。
好ましくは、前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板の上面の領域」、「鋼板の下面の領域」のいずれかとされているとよい。
好ましくは、前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板に接する冷却水が膜沸騰している領域」、「鋼板に接する冷却水が核沸騰している領域」のいずれかとされているとよい。
好ましくは、前記予め与えられた規定値が、事前に行われた実験により得られた値であるとよい。
好ましくは、前記推定計算の手法として、PSO手法が採用されているとよい。
好ましくは、前記推定計算における評価関数が、「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」とされているとよい。
本発明によるパラメータ推定方法を用いれば、冷却装置内における熱伝達率モデル内のパラメータを精確に推定することができると共に、精確な熱伝達率αを知ることができ、ひいては、冷却装置における伝熱計算モデルの精度を上げることが可能となる。
本発明のパラメータの推定方法が適用される圧延装置の概略を示した図である。 冷却バンクの構造を示した図である。 冷却バンク内における、異なる冷却状況となっている領域を示した図である。 パラメータの推定方法における計算フローチャートである。 従来法により求めたパラメータを用いて鋼板の温度をシミュレーションした結果である。 本発明の推定方法により求めたパラメータを用いて鋼板の温度をシミュレーションした結果である。
以下、図面を参照しながら熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法を説明する。
まず、図1に示すように、本発明の「熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法」が適用される冷却装置7は、鋼板Xの圧延装置1に配備されたものである。
ここで、圧延装置1は、スラブ鋳片などの鋼板Xを厚鋼板Zに圧延するものであり、鋼板Xを加熱する加熱炉2と、加熱された鋼板Xを予め決定された板厚及び板幅に圧延する粗圧延機3と、粗圧延機3で圧延された鋼板Xを目標の板厚及び板幅になるまで圧延して最終製品となる厚鋼板Zを製造する仕上圧延機6と、を有している。
粗圧延機3は、鋼板Xを圧延する上下一対のワークロール4とワークロール4を支持する一対のバックアップロール5とを備えると共に、上方側のバックアップロール5を介してワークロール4に圧延荷重を付与する圧下装置を有している。また、仕上圧延機6は、粗圧延機3と略同様な構成とされており、上下一対のワークロール4とワークロール4を支持するバックアップロール5とを備えると共に、ワークロール4に圧延荷重を付与する圧下装置を有している。
上記した圧延装置1において、スラブ鋳片など鋼板Xは、加熱炉2で所定の温度まで加熱された後に圧延機に導入されて、圧延機に備えられているワークロール4の圧下による複数回の往復圧延(複数回の圧延パス)が施される。この圧延パスを複数回行うことで、目標とする板厚及び板幅の厚鋼板Zが製造される。
一方、仕上げ圧延機の下流側には、仕上げ圧延機で圧延が終了した鋼板Xを冷却する冷却装置7が設けられている。冷却装置7は、鋼板Xに冷却水を吹き付けることで鋼板Xを強制的に冷却し、所定の温度まで鋼板Xを冷却する。
冷却装置7は、複数の冷却バンク8を鋼板の搬送方向に沿って備え、この複数の冷却バンク8が移送方向に連なって配置されている。それぞれの冷却バンク8には、鋼板に向けて冷却水を吹き付けて鋼板の温度を下げる複数の冷却ノズルが備えられ、各冷却ノズルには冷却水の流量をオン・オフ制御可能なバルブが設けられている。このバルブを開状態にすると冷却水が冷却ノズルから噴出する。そのため、開状態のバルブ数を変更することで、冷却ノズルから鋼板に吹き付けられる冷却水の量が変わり、板温度の温度降下量や温度降下履歴を変えることができる。
図2は、1つの冷却バンク8の構成を示したものである。
冷却バンク8は、圧延板を搬送する搬送ローラを備えた搬送手段9と、鋼板Xの上面に冷却水を散水する複数(図例では3つ)のノズル部10(上面ノズル部)と、鋼板Xの下面に冷却水を散水する複数(図例では3つ)のノズル部11(下面ノズル部)とを有している。
ノズル部10,11には、冷却水を噴射可能な複数の冷却ノズルが鋼板Xの板幅方向及び搬送方向に沿って複数個、配備されている。これら冷却ノズルをON、OFFすることで、冷却水が噴射される冷却ノズル数を変化させ、鋼板Xに対する冷却水量を制御する。
加えて、冷却バンク8においては、鋼板Xの表面に滞留する冷却水(滞留水)が、上流側及び下流側へ広がるのを防ぐための水切スプレー部12を有している。水切スプレー部12は、鋼板Xの上面に対して、高圧の冷却水をスプレー状に噴射し、鋼板Xの上面に滞留し冷却水(滞留水)を、鋼板Xの板幅方向に吹き飛ばすようにするものである。この水切スプレー部12により、滞留水は、それより上流側乃至は下流側へと広がることはない。
図2に示すように、冷却バンク8においては、上流側から、搬送ロールが配備され(図例では4つ)、通板方向において搬送ロール間に、ノズル部(上面ノズル部10、下面ノズル部11)が配備されている。搬送ロールに対面する鋼板Xの上面側には、ノズル部(上面ノズル部10)は配備されていない。また、最上流側のノズル部10の更に上流には、水切スプレー部12が配備されており、最下流側のノズル部10の更に下流にも、水切スプレー部12が配備されている。
このような構成を有する冷却バンク8は、冷却の状態により、複数の領域に分けることができる。すなわち、冷却バンク8内には、異なる冷却状況となっている複数の領域が存在する。
例えば、図2、図3に示すように、冷却バンク8においては、冷却水のかけ方により異なる冷却状況となっている領域が複数存在する。
まず、冷却バンク8には、ノズル部10,11により冷却水を噴射する領域である冷却水噴射領域(W)、ノズル部10,11が存在せず(非ノズル部)、冷却水をかけることができない冷却水非噴射領域(N)、水切りスプレー部により水切りのための水スプレーが噴射されるスプレー水噴射領域(S)が存在する。
同様に、冷却バンク8には、鋼板Xの上面側(U)と下面側(D)とが存在する。鋼板Xの上面側は、噴射された冷却水が滞留するため、下面側とは異なった冷却状況となる。また、冷却水が、鋼板Xの温度により、核沸騰(C)を起こす領域と、膜沸騰(F)を起こす領域とが存在する。
すなわち、冷却バンク8内には、例えば、「冷却水噴射領域(W)」であって「鋼板Xの上面側(U)」で、「膜沸騰状態(F)」(WUFと表記)の冷却状況となっている領域がある。同様に、「冷却水非噴射領域(N)」であって「鋼板Xの下面側(D)」の領域(NDと表記)もある。
それぞれの領域では冷却状況が異なるため、各領域毎に熱伝達率αの異なるモデル化(f1(a1,a2,a3)〜f5(e1,e2,e3))が行われており、各モデル内のパラメータ(図3におけるa1,a2,a3〜e1,e2,e3で、例えば10個以上)が異なるものとなっている。
これら多数のパラメータを、冷却実績値(冷却装置7出側の板温度の実績値など)を基に、精確に推定し(同定し)、推定されたパラメータを冷却装置7内の伝熱状況を表す伝熱計算モデルに反映することは、鋼板Xの冷却時における精確な温度予測のためには、必要不可欠な事項である。
前述した特許文献1では、3個といった少ないパラメータを同定するものとしており、同定手法としては、シミュレーテッドアニーリング法といった最適化手法を採用している。この手法であれば、局所最適解を探索する虞があり、正しい解を得ることができない場合がある。特に、本願発明のように、多数のパラメータを求めることは困難である。
そこで、本発明では、以下の方法により、冷却実績値を用いて、多数あるパラメータを、冷却実績値(冷却装置7出側の板温度の実績値など)を基に推定し(同定し)、推定されたパラメータを伝熱計算モデルに反映するようにしている。
本発明のパラメータ推定方法は、以下の通りである。
すなわち、上記した目的を達成するために、冷却装置7内に存在する「冷却状況の異なる領域」、例えば冷却バンク8の上面領域や下面領域、冷却水の噴射有りの領域、冷却水の噴射無しの領域などを考え、各領域毎にそれぞれで熱伝達率αのモデル化を行う。その上で、各モデル(熱伝達率モデル)を構成するパラメータ、言い換えれば、各領域毎のパラメータを冷却実績データに基づき推定する(同定する)。
パラメータ推定の際には、多数のパラメータを、一度に全て推定するのではなく、段階的に推定を行うことで、適切なパラメータの決定を行う。すなわち、本発明の特徴は、パラメータを段階的に推定することにある。
具体的には、冷却装置7における熱伝達率をモデル化した熱伝達率モデル内に存在するパラメータを、冷却実績値を用いた推定計算を用いて推定するに際しては、
(i)冷却装置7内を、異なる冷却状況となっている複数の領域に分けておき、
(ii)複数の領域の各領域は、当該領域内の冷却状況を規定するパラメータを有するものとし、
(iii)複数の領域のうち、一の領域における、冷却実績値を用いたパラメータの推定計算を行うに際しては、
(iii)−1 他の領域のパラメータの推定計算が未実施の場合は、他の領域のパラメータとして予め与えられた規定値(例えば、ラボ値など)を採用し、
(iii)−2 他の領域の少なくとも1つ以上の領域のパラメータに対する推定計算が実施された後の場合は、推定計算が既に行われた領域のパラメータとしては、推定計算後のパラメータ(推定計算値)を採用し、推定計算が行われていない領域のパラメータとしては、予め与えられた規定値(例えば、ラボ値など)を採用する、ようにする。
本発明の熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法を、更に詳しく述べる。
本発明は、冷却装置7における熱伝達率モデル内に存在するパラメータを、冷却実績値を用いた推定計算を用いて推定する方法である。
推定においては、まず、冷却装置7内を、異なる冷却状況となっている複数の領域(第1の領域〜第Nの領域)に分けておく。この場合、わざわざ意図的に区分けする必要はなく、例えば、図3のように、冷却水のかけ方により、領域を区分けする。各領域が実際の冷却バンク8のどの部分に対応するかは、図2に示す通りである。
なお、図3に示すように、本実施形態においては、異なる冷却状況の領域を5つに区分けしている(第1の領域〜第5の領域)。
それぞれ領域においては、当該領域内の冷却状況を規定するパラメータを有している。例えば、「冷却水噴射領域(W)」であって「鋼板Xの上面側(U)」で、「膜沸騰状態(F)」(WUFと表記)においては、熱伝達率αは、α=f1(a1,a2,a3)で表現され、3つのパラメータ(a1,a2,a3)が存在する。
各領域における3つのパラメータ(a1,a2,a3)を、冷却実績値を基に推定することで、WUF領域における精確な熱伝達率αを求めることが可能となる。
推定の具体的なやり方は、以下の通りである。
第1の領域(例えば、WUF)のパラメータを冷却実績値を基に推定するに際しては、他の領域、すなわち、第2の領域〜第5の領域のパラメータを「予め与えられた規定値」と置いた上で、推定計算を行う。
「予め与えられた規定値」としては、実験室などで求められた実験値であってもよく、公知文献に記載された値、製造現場で得られた経験値などを採用してもよい。
推定計算に関しては、様々な最適化手法が採用可能であるが、本実施形態の場合、PSO手法を採用している。PSO手法とは、粒子群最適化(Particle Swarm Optimization)といわれる最適化手法の1つであり、近年よく用いられているものである。このような最適化手法における評価関数としては、「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」を採用している。
次に、第2の領域のパラメータを冷却実績値を基に推定するに際しては、推定計算で得られた第1の領域のパラメータの推定値を用いると共に、第3の領域〜第5の領域のパラメータを予め与えられた規定値として、推定計算を行う。以降、この手順を繰り返して、全ての領域におけるパラメータの推定計算を行う。
より詳細には、図4に示す如く、まず、STEP100において、鋼板X(1〜N)の各冷却条件や冷却実績値(例えば、出側板温度など)を取得する。
次に、STEP101において、第1の領域〜第5の領域のパラメータを「予め与えられた規定値」と設定する。
STEP102において、冷却装置7における各鋼板Xの伝熱状態を、伝熱計算モデルにより求める。
STEP103において、評価関数「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」の計算を行う。
STEP104において、得られた評価関数の値を用いて、最適化計算(PSO手法)により、実績出側温度と予測出側温度計算とが合うように、第1の領域(WUF)の熱伝達率αを構成するパラメータ(a1,a2,a3)を逐次修正し、同定を行う。
その後、第2の領域(例えば、WDF)のパラメータを冷却実績値を基に推定するに際しては、STEP100〜STEP104の推定計算で得られた第1の領域のパラメータの推定値を用いると共に、他の領域(第3の領域〜第5の領域)のパラメータを予め与えられた規定値として、推定計算を行うようにする。
すなわち、STEP201では、STEP100〜STEP104で求められた第1の領域のパラメータの推定値を用いると共に、第3の領域〜第5の領域のパラメータを「予め与えられた規定値」として設定する。
STEP202では、冷却装置7における各鋼板Xの伝熱状態を、伝熱計算モデルによりもとめる。
STEP203では、評価関数「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」の計算を行う。
STEP204では、得られた評価関数の値を用いて、最適化計算(PSO手法)により、実績出側温度と予測出側温度計算とが合うように、第2の領域(WDF)の熱伝達率αを構成するパラメータ(d1,d2,d3)を逐次修正し、同定を行う。
さらに、第3の領域(例えば、NUF)のパラメータを、冷却実績値を基に推定するに際しては、STEP100〜STEP104の推定計算で得られた第1の領域のパラメータ、およびSTEP201〜STEP204の推定計算で得られた第2の領域のパラメータの推定値を用いると共に、他の領域(第4の領域〜第5の領域)のパラメータを予め与えられた規定値として設定する。
その後、冷却装置7における各鋼板Xの伝熱状態を、伝熱計算モデルにより求め、評価関数「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」の計算を行う。得られた評価関数の値を用いて、最適化計算(PSO手法)により、実績出側温度と予測出側温度計算とが合うように、第3の領域(NUF)の熱伝達率αを構成するパラメータ(b1,b2,b3)を逐次修正し、同定を行う。
以上の計算を順に第Nの領域(本実施形態では第5の領域)まで進めることで、全領域でのパラメータ(a1,a2,a3)〜(e1,e2,e3)を推定できる。また必要に応じて、全ての領域に対して推定を行った後に、再度、一度推定を行った領域に対しても、その他の領域のパラメータを先の推定値として設定して、推定を繰り返すことで、精確な熱伝達率αを知ることができ、熱伝達モデルの精度を上げることが可能となる。
なお、推定計算を行う領域としては、第1の領域から順番に第Nの領域へと計算を進める必要はない。好ましいやり方としては、鋼板Xからの抜熱量が大きい領域であること、言い換えれば、抜熱量が大きい領域から順にパラメータの推定計算を行うようにするとよい。
上記した推定計算を行うに際しては、例えば、推定された熱伝達率に対して、その上下限値を与えるなどの制約を加えてもよい。また、推定された熱伝達率を用いて計算された温度履歴に対して、何らかの制約(例えば、鋼板Xの上面の温度履歴と下面の温度履歴との差が常に100℃以内)を加えると、正しい伝熱状況をシミュレートできる。
また、冷却水、鋼板Xの温度により、核沸騰(C)を起こす領域と、膜沸騰(F)を起こす領域とが存在するとしたが、その間の領域(遷移領域)が存在するとして、計算を進めてもよい。
次に、本発明の熱伝達率モデルのパラメータ推定方法で得られた熱伝達率αを用いた、温度履歴の計算結果を以下に示す。
本発明を用いない場合は、図5Aに示すように、出側板厚温度の実績値と予測値との差は、100℃以上発生していたが、本発明を用いた場合は、図5Bに示すように、出側板厚温度の実績値と予測値とは、ほぼ一致するようになる。
以上のように、本発明の熱伝達率モデルのパラメータ推定方法によれば、冷却装置7内における熱伝達率モデル内のパラメータを精確に推定することができると共に、精確な熱伝達率αを知ることができ、ひいては、冷却装置7における伝熱計算モデルの精度を上げることが可能となる。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件や測定条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、本発明の熱伝達率モデルを構成するパラメータの推定方法を、薄鋼板を製造する圧延装置に設けられた冷却装置に適用することも可能である。
1 圧延装置
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 ワークロール
5 バックアップロール
6 仕上圧延機
7 冷却装置
8 冷却バンク
9 搬送手段(搬送ローラ)
10 ノズル部(上面ノズル部)
11 ノズル部(下面ノズル部)
12 水切スプレー部
X 鋼板
Z 厚鋼板

Claims (8)

  1. 熱間圧延後の鋼板を冷却する冷却装置における熱伝達の状況をモデル化した熱伝達率モデル内に存在するパラメータを、前記鋼板の冷却実績値を用いた推定計算を用いて、推定する推定方法であって、
    前記冷却装置内を、異なる冷却状況となっている複数の領域に分けておくと共に、前記複数の領域の各領域が、当該領域内の冷却状況を規定するパラメータを有するものとし、
    複数の領域のうちの「一の領域」における前記冷却実績値を用いたパラメータの推定計算を行うに際しては、
    (i)「他の領域」のパラメータの推定計算が未実施の場合は、他の領域のパラメータとして予め与えられた規定値を採用し、
    (ii)「他の領域」の少なくとも1つ以上の領域のパラメータに対する推定計算が実施後の場合は、推定計算が既に行われた領域のパラメータとしては、推定計算後のパラメータを採用し、推定計算が行われていない領域のパラメータとしては、予め与えられた規定値を採用する
    ことを特徴とする熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  2. 前記一の領域が、他の領域よりも、鋼板からの抜熱量が大きい領域であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  3. 前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板に対して冷却水を噴射するノズル部を含む領域」、「鋼板に対して冷却水を非噴射としている非ノズル部を含む領域」、「鋼板上の冷却水を水切りするためのスプレー水を噴射する水切スプレー部を含む領域」のいずれかとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  4. 前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板の上面の領域」、「鋼板の下面の領域」のいずれかとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  5. 前記異なる冷却状況となっている領域が、「鋼板に接する冷却水が膜沸騰している領域」、「鋼板に接する冷却水が核沸騰している領域」のいずれかとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  6. 前記予め与えられた規定値が、事前に行われた実験により得られた値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  7. 前記推定計算の手法として、PSO手法が採用されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
  8. 前記推定計算における評価関数が、「Σ(実績出側温度−予測出側温度)2」とされていることを特徴とする請求項8に記載の熱伝達モデルのパラメータ推定方法。
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