JP2016207717A - インプリント用マスターモールド及びその製造方法、インプリント用フィルムモールド及びその製造方法、並びにワイヤーグリッド偏光子の製造方法 - Google Patents

インプリント用マスターモールド及びその製造方法、インプリント用フィルムモールド及びその製造方法、並びにワイヤーグリッド偏光子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インプリントされる被成形材料に欠陥領域が生じることを防止するインプリント用マスターモールドを提供する。
【解決手段】インプリント用フィルムモールド71は、主パターン領域を72有する主部82と、周辺領域73を有する周辺部83と、を備え、主パターン領域72には、凹凸形状92が形成されている。周辺部83の一部又は全部の裏面から表面までの高さHa’は、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状92の凸部92Bの表面までの主パターン凸部高さHb’よりも小さく、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状92の凹部92Aの表面までの主パターン凹部高さHc’よりも大きい。
【選択図】図5

Description

本発明は、インプリント用マスターモールド及びその製造方法、インプリント用フィルムモールド及びその製造方法、並びにワイヤーグリッド偏光子の製造方法に関する。
近年、フォトリソグラフィ技術に代わるパターン形成技術として、インプリント方法を用いたパターン形成技術が注目されている。インプリント方法は、例えば微細な凹凸形状が形成されたパターン領域を有するインプリント用モールド(以下、モールドと呼ぶ。)を用い、前記凹凸形状を被成形材料に転写することで微細な凹凸形状を等倍転写するパターン形成技術である。
例えば、被成形材料として光硬化性の樹脂組成物を用いたインプリント方法は、以下のように行われる。まず、転写基板の表面に光硬化性樹脂組成物の液滴を供給する。次に、所望の凹凸形状が形成されたパターン領域を有するモールドと光硬化性樹脂組成物とを所定の距離まで近接させる又は接触させることにより前記凹凸形状内に光硬化性樹脂組成物を充填する。この状態でモールド側から光を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させることにより樹脂層を形成する。その後、モールドと樹脂層とを引き離すことにより、モールドのパターン領域における凹凸形状が反転した凹凸形状を有するパターン構造体を形成する。また、その後、このようなパターン構造体をエッチングレジストとして転写基板をエッチング加工する場合もある。
インプリント用のモールドとしては、石英等からなる可撓性を具備しないモールド(特許文献1参照)と、樹脂製フィルム等からなる可撓性を具備するモールドとが、従来から知られている(特許文献2参照)。
可撓性を具備しないモールドを使用するインプリントでは、モールドから引き離された樹脂層における残膜厚みを均一とするために、モールドと転写基板との平行が維持されることが要求される。しかし、このような可撓性を具備しないモールドは、面積が拡大すると、樹脂層との引き離しの際に大きな剥離応力が作用するため、パターンに欠陥を生じさせないような離型が難しくなる。このため、可撓性を具備しないインプリント用のモールドは、極端に大面積化することが困難であり、大型のパターン構造体の形成に関しては不向きといえる。
一方、可撓性を具備するモールド(以下、フィルムモールドと呼ぶ。)を使用する場合には、ローラーインプリントを行うことができる。このローラーインプリントは、可撓性を有する基材に微細な凹凸形状を含むパターン領域を形成することによりフィルムモールドを作製し、このフィルムモールドの裏面(凹凸形状が形成されていない面)からローラーでフィルムモールドを加圧することにより、例えばエッチングレジスト等の樹脂組成物に対してフィルムモールドを接触させ、接触後に樹脂組成物を硬化させ、その後、樹脂組成物が硬化した樹脂層とフィルムモールドとの離型を行う手法である。このようなローラーインプリントを採用する場合、離型の際にフィルムモールドと転写基板との平行を必ずしも維持しなくてもよいため、可撓性のないモールドを用いたインプリント方法に比べて大面積化が容易である。
このようなインプリント用モールドを使用したインプリント方法は、近年、種々の製品の製造に採用されることが期待されている。例えば、インプリント方法により製造可能な製品として、ワイヤーグリッド偏光子を挙げることができる。
ワイヤーグリッド偏光子は、複数の微細な金属細線を平行に備えており、光配向処理等に使用されている(特許文献3)。例えば、特許文献4においては、金属細線を一方向に揃えるようにして複数のワイヤーグリッド偏光子を保持枠体内に配置することにより偏光素子ユニットを構成し、この偏光素子ユニットに紫外線を照射し、出射された直線偏光を硬化性樹脂組成物に照射することにより異方性を持たせて光配向処理を施すことが開示されている。このようなワイヤーグリッド偏光子は、光配向処理の他にも、例えば、ディスプレイの輝度を向上する部材等、種々の用途に使用可能である。ワイヤーグリッド偏光子は、大面積であることが要求される場合があり、大面積のワイヤーグリッド偏光子を製造する場合には、フィルムモールドを用いるローラーインプリントが適している。
特開2013−161893号公報 特開2011−183782号公報 特開2009−265290号公報 特開2012−203294号公報
ところで、上述のようなローラーインプリントで使用される従来のフィルムモールドは、可撓性を有する。これにより、従来のフィルムモールドは、柔軟性が確保され、ローラーによって加圧された際に容易に撓むことが可能となっている。
しかしながら、本件発明者は、従来のフィルムモールドは、その柔軟性によって、傾きやうねり等の変形が生じ易く、このような変形が生じた場合に、フィルムモールドに接触される樹脂組成物において膜厚が局所的に薄くなった欠陥領域が生じ易くなることを知見した。
詳しくは、フィルムモールドにおいて、パターン領域の凹凸形状の外周部分が平坦な面に形成されており、この平坦な面の高さと、パターン領域の高さとの差が大きい場合に、前記凹凸形状と前記平坦な面との境界又はその近傍が大きく変形し易い。このような大きい変形が生じた場合に、前記平坦な面においては、樹脂組成物と接触する部分と、樹脂組成物と接触しない部分とが生じ、樹脂組成物に接触しない部分とフィルムモールドとの間に空隙が生じ、この空隙の影響によって、樹脂組成物において欠陥領域が生じる場合があることを知見した。
このような欠陥領域は、以下の現象により生じているものと推認される。
まず、モールドと樹脂組成物とを接触させる際には、モールドにおける凹凸形状の凸部が樹脂組成物から抵抗を受ける。これにより、凹凸形状では、凹部に樹脂組成物を至らせるまでの時間がかかる一方で、凹凸形状の外周部分に位置する平坦な面では、何ら抵抗がないので樹脂組成物に接触するまでの時間がかからない。この時間差により、当該平坦な面が、凹凸形状との境界又はその近傍を起点に樹脂組成物側に傾く或いはうねる。そして、モールドの平坦な面における傾斜やうねりが生じた部分における樹脂組成物と接触しない部分と樹脂組成物との間に空隙が生じた場合に、この空隙に向けて樹脂組成物が流れ込む。これにより、樹脂組成物の膜厚が不均一になる。その結果、樹脂組成物において、膜厚が局所的に薄くなった欠陥領域が生じると推認される。
上記のような欠陥領域が生じた場合、樹脂組成物に欠陥が生じるだけでなく、その後に形成される形成物にも欠陥が生じ得る。例えば、上記樹脂組成物がマスクを形成するためのエッチングレジスト(以下、レジストと呼ぶ。)であり、このレジストに上記のような欠陥領域が生じた場合には、レジストをエッチングした後の形成物にも欠陥が生じ得る。具体的には例えば、ローラーインプリントによるワイヤーグリッド偏光子の製造の際に上記のような欠陥領域が生じた場合には、エッチング後に形成されるワイヤーグリッド偏光子にも欠陥が生じ得て、その品質が劣化する虞がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであって、その目的は、インプリントされる被成形材料に欠陥領域が生じることを防止することにある。
本発明は、表面及び裏面のうちの前記表面に、主パターン領域と周辺領域とが隣り合う状態で形成されるインプリント用マスターモールドであって、前記主パターン領域を有する主部と、前記周辺領域を有する周辺部と、を備え、前記主パターン領域には、凹凸形状が形成されており、前記周辺部の一部又は全部の裏面から表面までの高さは、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面までの主パターン凸部高さよりも小さく、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面までの主パターン凹部高さよりも大きい、ことを特徴とする。
前記インプリント用マスターモールドにおいて、前記周辺領域には、第1領域と第2領域とが形成されてもよい。前記第1領域が前記主パターン領域に隣接しており、前記周辺部のうちの前記周辺領域の前記第1領域が形成される部分の裏面から表面までの高さが、前記主パターン凸部高さよりも小さく、前記主パターン凹部高さよりも大きくてもよい。
また、前記インプリント用マスターモールドにおいて、前記主パターン領域の凹凸形状はラインアンドスペースパターンにて形成され、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とは、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されていてもよい。
また、前記インプリント用マスターモールドにおいて、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部と凸部とが並ぶ方向と、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とが並ぶ方向とが、互いに同一であり、前記周辺領域の前記第1領域及び前記第2領域のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチよりも大きくなっていてもよい。
また、前記インプリント用マスターモールドにおいて、前記周辺領域の前記第2領域には、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状が形成されてもよい。当該サブ凹凸形状の凹部と凸部とは、前記第2領域に平行に延びており、前記サブ凹凸形状のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチと同一であってもよい。前記サブ凹凸形状の凸部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記サブ凹凸形状の凹部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面の高さ位置とは、互いに同一であってもよい。
また、前記インプリント用マスターモールドにおいて、前記周辺部のうちの、前記主パターン凸部高さよりも小さく前記主パターン凹部高さよりも大きい高さを有する部分の裏面から表面までの高さをHaとし、前記主パターン凸部高さをHbとし、前記主パターン凹部高さをHcとしたとき、Haは、0.5×(Hb+Hc)±0.25×(Hb−Hc)の範囲内に設定される、ことが好ましい。
また、前記インプリント用マスターモールドは、基材層と、金属層とを含み、前記金属層に前記主パターン領域と前記周辺領域とが形成されていてもよい。
また、本発明は、インプリント用マスターモールドの製造方法であって、主部形成用領域と周辺部形成用領域とが隣り合う状態で規定される材料層にマスク材料層を積層する第1積層工程と、前記材料層の前記主部形成用領域上に位置するマスク材料層に、複数の第1溝部と複数の第1ランド部とを有する前段第1マスクを形成し、前記材料層の前記周辺部形成用領域上に位置するマスク材料層に、当該周辺部形成用領域の一部又は全部を覆う第2ランド部を有する前段第2マスクを形成する第1マスク形成工程と、前記前段第1マスク及び前記前段第2マスクをマスクとして用いて、前記材料層をエッチングし、前記材料層の前記主部形成用領域に凹凸形状を形成し、前記周辺部形成用領域には、その一部又は全部に平坦な領域を形成する第1エッチング工程と、前記材料層の前記主部形成用領域及び前記周辺部形成用領域上にマスク材料層を積層する第2積層工程と、前記第2積層工程にて前記主部形成用領域上に積層されたマスク材料層に、前記主部形成用領域の全体を覆う後段第1マスクを形成し、前記周辺部形成用領域上に積層されたマスク材料層には、前記第1エッチング工程にて形成された前記平坦な領域上に形成される第3溝部を有する後段第2マスクを形成する第2マスク形成工程と、前記後段第1マスク及び前記後段第2マスクをマスクとして用いて、前記材料層をエッチングし、前記材料層の裏面から前記周辺部形成用領域の前記平坦な領域の表面までの高さを、前記材料層の裏面から前記主部形成用領域の凹凸形状の凸部の表面までの高さよりも小さく、前記材料層の裏面から前記主部形成用領域の凹凸形状の凹部の表面までの高さよりも大きくする、第2エッチング工程と、を備える、ことを特徴とする。
前記第1マスク形成工程において、前記前段第1マスクは、前記第1溝部と前記第1ランド部とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成され、前記前段第2マスクは、複数の第2溝部と複数の第2ランド部とを有し、前記第2ランド部が前記前段第1マスクに隣接し、前記第2溝部と前記第2ランド部とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成され、且つ前記第1溝部と前記第1ランド部とが並ぶ方向と、前記第2溝部と前記第2ランド部とが並ぶ方向とが、互いに同一であって、前記第2溝部及び前記第2ランド部のピッチは、前記第1溝部及び前記第1ランド部のピッチよりも大きく設定されてもよい。また、前記第1エッチング工程において、前記材料層の前記主部形成用領域に凹凸形状が形成され、前記周辺部形成用領域には、複数の前記第2ランド部に応じて形成される複数の前記平坦な領域と、複数の前記第2溝部に応じて形成される複数の溝領域とが形成されてもよい。また、前記第2マスク形成工程において、前記後段第2マスクの前記第3溝部は、前記周辺部形成用領域における前記平坦な領域上の各々に形成され、複数の前記溝領域の各々は、前記後段第2マスクによって覆われてもよい。
また、前記第1マスク形成工程において、前記前段第2マスクの前記第2溝部には、当該第2溝部に平行に延びるサブランド部が、所定の間隔を空けて複数並んで形成され、前記所定の間隔と前記サブランド部の幅とを加算したピッチが、前記前段第1マスクの前記第1溝部及び前記第1ランド部のピッチと同一であり、且つ前記サブランド部の表面の高さ位置と、前記第1ランド部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記第2溝部の表面の高さ位置と、前記第1溝部の表面の高さ位置とは、互いに同一であってもよい。
また、インプリント用マスターモールドの製造方法において、前記前記材料層は、単一の基材からなるようにしてもよいし、基材に積層された金属層でなるようにしてもよい。
また、本発明は、表面及び裏面のうちの前記表面に、主パターン領域と周辺領域とが隣り合う状態で形成されており、全体として可撓性を有するインプリント用フィルムモールドであって、前記主パターン領域を有する主部と、前記周辺領域を有する周辺部と、を備え、前記主パターン領域には、凹凸形状が形成されており、前記周辺部の一部又は全部の裏面から表面までの高さは、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面までの主パターン凸部高さよりも小さく、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面までの主パターン凹部高さよりも大きい、ことを特徴とする。
前記インプリント用フィルムモールドにおいては、前記周辺領域に、第1領域と第2領域とが形成されてもよい。前記第1領域が前記主パターン領域に隣接しており、前記周辺部のうちの前記周辺領域の前記第1領域が形成される部分の裏面から表面までの高さが、前記主パターン凸部高さよりも小さく、前記主パターン凹部高さよりも大きくてもよい。
また、前記インプリント用フィルムモールドにおいては、前記主パターン領域の凹凸形状は、ラインアンドスペースパターンにて形成され、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とは、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されていてもよい。
また、前記インプリント用フィルムモールドにおいては、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部と凸部とが並ぶ方向と、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とが並ぶ方向とが、互いに同一であり、前記周辺領域の前記第1領域及び前記第2領域のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチよりも大きくなっていてもよい。
また、前記インプリント用フィルムモールドにおいては、前記周辺領域の前記第2領域には、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状が形成されてもよい。当該サブ凹凸形状の凹部と凸部とは、前記第2領域に平行に延びており、前記サブ凹凸形状のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチと同一であってもよい。前記サブ凹凸形状の凸部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記サブ凹凸形状の凹部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面の高さ位置とは、互いに同一であってもよい。
また、前記インプリント用フィルムモールドにおいては、前記周辺部のうちの、前記主パターン凸部高さよりも小さく前記主パターン凹部高さよりも大きい高さを有する部分の裏面から表面までの高さをHa’とし、前記主パターン凸部高さをHb’とし、前記主パターン凹部高さをHc’としたとき、Ha’は、0.5×(Hb’+Hc’)±0.25×(Hb’−Hc’)の範囲内に設定される、ことが好ましい。
また、本発明は、インプリント用フィルムモールドの製造方法であって、前記のインプリント用マスターモールドを準備する準備工程と、前記インプリント用マスターモールドの前記主パターン領域及び前記周辺領域を、インプリントフィルム用モールドを形成するための被成形材料に接触させる接触工程と、前記インプリント用マスターモールドに接触させた前記被成形材料を硬化させることにより前記主パターン領域および前記周辺領域に対応するパターンが転写された転写層とする硬化工程と、前記転写層と前記インプリント用マスターモールドとを引き離す離型工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、ワイヤーグリッド偏光子の製造方法であって、前記のインプリント用フィルムモールドを準備する準備工程と、前記インプリント用フィルムモールドの前記主パターン領域及び前記周辺領域を、前記主パターン領域及び前記周辺領域が設けられた面とは反対側の面からローラーで加圧することにより、一の面にワイヤーグリッド材料層を備える透明基板の前記ワイヤーグリッド材料層上に位置するエッチングレジスト層に接触させる接触工程と、前記インプリント用フィルムモールドに接触させた前記エッチングレジスト層を硬化させることにより前記主パターン領域及び前記周辺領域に対応するパターンが転写されたレジストパターン層とする硬化工程と、前記レジストパターン層と前記インプリント用フィルムモールドとを引き離す離型工程と、前記レジストパターン層をエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層をエッチングするか、又は、前記レジストパターン層をエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層と前記レジストパターン層との間に位置するマスク層をエッチングすることにより形成されるマスクをエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層をエッチングすることにより、ワイヤーグリッドを形成するエッチング工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、インプリントされる被成形材料に欠陥領域が生じることを防止することができる。
本発明の一実施の形態にかかるインプリント用マスターモールドの平面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のインプリント用マスターモールドの製造方法を説明する工程図である。 図1のインプリント用マスターモールドの製造方法を説明する工程図である。 本発明の一実施の形態にかかるインプリント用フィルムモールドの平面図である。 図4のV−V線に沿う断面図である。 図1のインプリント用マスターモールドを使用して製造される図4のインプリント用フィルムモールドの製造方法を説明する工程図である。 図4のインプリント用フィルムモールドを使用して製造されるワイヤーグリッド偏光子の製造方法の工程図である。 図4のインプリント用フィルムモールドを使用して製造されるワイヤーグリッド偏光子の製造方法の工程図である。 図4のインプリント用フィルムモールドを使用して製造されるワイヤーグリッド偏光子の製造方法の工程図である。 従来のインプリント用フィルムモールドによって欠陥領域が生じる様子を説明する図である。 本発明の一実施の形態の効果を説明する図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。図面は例示であり、説明のために特徴部を誇張することがあり、実物とは異なる場合がある。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付している。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(インプリント用マスターモールド)
図1は、本発明の一実施の形態にかかるインプリント用マスターモールド11(以下、マスターモールド11と呼ぶ。)の平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。マスターモールド11は、シート状に形成され、表面及び裏面を有する。このうちの表面に、主パターン領域12と周辺領域13とが隣り合う状態で形成されている。マスターモールド11は、所謂、母型であり、可撓性を有するインプリント用フィルムモールドを製造するために用いられる。主パターン領域12と周辺領域13は、インプリント用フィルムモールドを製造する際に、これを形成するための被成形材料に接触する領域である。
図1の例においては、ドットを付して示した矩形の領域が主パターン領域12を示し、主パターン領域12の周囲を囲んだ矩形枠状の領域が、周辺領域13を示している。本実施の形態では、一例として、主パターン領域12及び周辺領域13の輪郭が共に矩形に形成されているが、これらは他の形状に形成されていてもよい。
図1及び図2おいて、符号22は、マスターモールド11のうちの主パターン領域12を有する部分である主部を示している。符号23は、マスターモールド11のうちの周辺領域13を有する部分である周辺部を示している。図示の例では、主部22及び周辺部23は、同一の材料から一体に形成されている。
本実施の形態では、マスターモールド11が、二層構造であって、基材層11Aと金属層11Bとから構成される。したがって、主部22及び周辺部23の各々が、基材層11Aの一部と金属層11Bの一部とから構成される。このうち、主部22を構成する金属層11Bの表面に、主パターン領域12が形成され、周辺部23を構成する金属層11Bの表面に、周辺領域13が形成されている。基材層11Aとしては、石英等が用いられ得る。金属層11Bとしては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、珪素化モリブデン、酸化チタン等の金属が用いられ得る。なお、図示例のマスターモールド11は、二層構造であるが、マスターモールド11は、3層以上の多層構造であってもよいし、単層構造であってもよい。単層構造である場合、例えば、石英等の基板上に、主パターン領域12と周辺領域13とが形成されてもよい。
図2に示すように、主パターン領域12には、凹凸形状32が形成されており、本実施の形態において、この凹凸形状32は、ラインアンドスペースパターンにて形成されている。一方、周辺領域13には、複数の第1領域33Aと、この第1領域33Aとは形状の異なる複数の第2領域33Bとが形成されており、本実施の形態においては、第1領域33Aと第2領域33Bとが、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されている。
詳しくは、主パターン領域12には、幅W1を有し矢印A(図1参照)で示される方向にライン状に延びる凹部32Aと、幅W2を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凸部32Bとで構成される凹凸のペアを矢印Bで示される方向に配列して構成された凹凸形状32が形成されている。一方、周辺領域13には、幅W3を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる第1領域33Aと、幅W4を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる第2領域33Bとで構成されるペアを矢印Bで示される方向に配列して構成されたパターンが形成されている。図2から明らかなように、本実施の形態では、主パターン領域12の凹凸形状32の凹部32Aと凸部32Bとが並ぶ方向と、周辺領域13の第1領域33Aと第2領域33Bとが並ぶ方向とが、同一となっている。また、第1領域33Aは、矢印B方向で主パターン領域12の両側に隣接するようになっている(図中では、一方側のみが示されている)。
図示の例では、主パターン領域12の全域に、凹凸形状32が形成され、主パターン領域12には、凹部32Aと凸部32Bとで構成される凹凸のペアが複数含まれている。各凹部32A及び各凸部32Bは、主パターン領域12の矢印A方向における両端に跨がって延びている。一方、周辺領域13の全域においても、第1領域33Aと第2領域33Bとで構成されるパターンが形成されている。
本実施の形態においては、周辺領域13の第1領域33A及び第2領域33BのピッチP2が、主パターン領域12の凹凸形状32のピッチP1よりも大きくなっている。なお、主パターン領域12の凹凸形状32のピッチP1は、「W1+W2」で表され、周辺領域13の第1領域33A及び第2領域33BのピッチP2は、「W3+W4」で表される。
ピッチP2は、主パターン領域12の凹凸形状32のピッチP1の10倍〜100倍であることが好ましく、より好ましくは、10倍〜20倍である。ピッチP2は、ピッチP1の10倍未満(ピッチP1よりも小さい場合、ピッチP1と等倍の場合も含む)でもよいが、この場合、第1領域33A及び第2領域33Bと凹凸形状32との境界が視覚的に認識し難くなる。ピッチP2を、ピッチP1の10倍以上とすれば、周辺領域13と主パターン領域12との境界が視覚的に認識し易くなるため、取り扱い性が向上する。そのため、ピッチP2は、ピッチP1の10倍以上が好ましい。
一方、ピッチP2は、ピッチP1の100倍よりも大きくてもよいが、この場合、マスターモールド11によって製造されるインプリント用フィルムモールドにおいて、第1領域33Aの幅及び第2領域33Bの幅が大きくなり過ぎて、変形が生じ易くなる虞がある。そのため、ピッチP2は、ピッチP1の100倍以下が好ましい。また、変形を極力抑制することを重視するのであれば、ピッチP2は、ピッチP1の20倍以下であることがより好ましい。
周辺領域13について詳述すると、本実施の形態では、第2領域33Bに、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状331が形成され、当該サブ凹凸形状331の凹部331Aと凸部331Bとは、第2領域33Bに平行に延びている。サブ凹凸形状331のピッチは、主パターン領域12の凹凸形状32のピッチと同一である。すなわち、サブ凹凸形状331は、幅W1を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凹部331Aと、幅W2を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凸部331Bとで構成される凹凸のペアを矢印B方向に配列して構成されている。また、図2に示すように、サブ凹凸形状331の凸部331Bの表面の高さ位置と、主パターン領域13の凹凸形状32の凸部32Bの表面の高さ位置とは、互いに同一である。また、サブ凹凸形状331の凹部331Aの表面の高さ位置と、主パターン領域13の凹凸形状32の凹部32Aの表面の高さ位置とは、互いに同一である。なお、第2領域33Bは、単なる溝等であっても構わない。
以下では、マスターモールド11における主部22と周辺部23との高さの関係について説明する。図2には、周辺部23のうちの周辺領域13の第1領域33Aが形成される部分の裏面から表面までの高さHaが示されている。本実施の形態においては、この高さHaが、主部22の裏面からその主パターン領域12の凹凸形状32の凸部32Bの表面までの主パターン凸部高さHbよりも小さく、主部22の裏面からその主パターン領域12の凹凸形状32の凹部32Aの表面までの主パターン凹部高さHcよりも大きくなっている。
この高さHaは、0.5×(Hb+Hc)±0.25×(Hb−Hc)の範囲内に設定されることが好ましい。とりわけ、高さHaは、0.5×(Hb+Hc)であることが好ましい。本件発明者は、高さHaが、0.5×(Hb+Hc)±0.25×(Hb−Hc)である場合に、マスターモールド11によって製造されるインプリント用フィルムモールドを被成形材料に接触させた際に当該被成形材料に欠陥領域が生じ難くなることを知見し、上述の範囲を好ましい範囲として規定している。なお、図示の例では、第1領域33Aの端部に凸部が形成されているが、この凸部は、製造工程に起因して残存している。図示の例では、この凸部が形成される部分が主パターン凸部高さHbと同等の高さとなっているが、上述の高さHaは、このような凸部を除外した部分の高さのことを意味する。なお、このような凸部は削除してもよい。
以上に説明したマスターモールド11においては、主パターン領域12及び周辺領域13が共に、インプリント用フィルムモールドの製造の際に、当該インプリント用フィルムモールドを形成するための被成形材料に接触されるようになっており、被成形材料にパターンを転写するようになっている。このうち、主パターン領域12の凹凸形状32が、「主パターン」として機能し、周辺領域13が、「ダミーパターン」として機能するようになっている。本実施の形態でいうマスターモールド11の「主パターン」とは、インプリント用フィルムモールドにおける「主パターン」を作製する目的で、被成形材料にパターンを転写する部分のことを意味する。一方で、マスターモールド11の「ダミーパターン」とは、インプリント用フィルムモールドにおける「ダミーパターン」を作製する目的で、被成形材料にパターンを転写する部分を意味する。
(インプリント用マスターモールドの製造方法)
次に、上述のマスターモールド11の製造方法について図3A及び図3Bを用いて説明する。図3A及び図3Bは、図1のマスターモールド11の製造方法を説明する工程図である。図3A及び図3Bには、マスターモールド11を形成するための加工前の基材層11Aや金属層11B等が概略的な断面で部分的に示されている。
<準備工程・第1積層工程>
上述のマスターモールド11を製造する際には、まず、図3A(A)に示すように、加工前の基材層11A上に材料層に対応する加工前の金属層11Bが積層された積層体が準備される。積層体においては、金属層11Bに、上述した主部22(主パターン領域12)を形成するための主部形成用領域12’と、周辺部23(周辺領域13)を形成するための周辺部形成用領域13’とが隣り合う状態で規定されている。このような積層体を準備した後、第1積層工程が行われる。当該工程においては、図示のように、積層体の金属層11Bの主部形成用領域12’及び周辺部形成用領域13’上に、例えばクロムでなるハードマスク層41とエッチングレジスト層42とからなるマスク材料層40が積層される。
<第1マスク形成工程>
次に、図3A(B)〜(D)に示す第1マスク形成工程が行われる。当該工程では、最終的に、図3A(D)に示すように、金属層11Bの主部形成用領域12’上に位置するマスク材料層40に、複数の第1溝部51と複数の第1ランド部52とを有する前段第1マスク50が形成される。また、金属層11Bの周辺部形成用領域13’上に位置するマスク材料層40に、当該周辺部形成用領域13’の一部を覆う第2ランド部62を有する前段第2マスク60が形成される。
詳しくは、前段第1マスク50は、第1溝部51と第1ランド部52とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成されている。一方、前段第2マスク60は、複数の第2溝部61と複数の第2ランド部62とを有し、第2ランド部62が前段第1マスク50に隣接し、第2溝部61と第2ランド部62とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成されている。
より詳しくは、第1溝部51と第1ランド部52とが並ぶ方向と、第2溝部61と第2ランド部62とが並ぶ方向とは、互いに同一であって、第2溝部61及び第2ランド部62のピッチは、第1溝51部及び第1ランド部52のピッチよりも大きく設定されている。なお、第1溝部51及び第1ランド部52のピッチは、図2に示した凹凸形状32のピッチP1と同一であり、第2溝部61及び第2ランド部62のピッチは、第1領域33A及び第2領域33BのピッチP2と同一である。
また、本実施の形態では、第2溝部61に、当該第2溝部61に平行に延びるサブランド部64が、所定の間隔を空けて複数並んで形成されている。所定の間隔とサブランド部64の幅とを加算したピッチは、第1溝部51と第1ランド部52とのピッチと同一である。したがって、前記所定の間隔とサブランド部64の幅とを加算したピッチは、凹凸形状32のピッチP1と同一である。また、サブランド部64の表面の高さ位置と、第1ランド部52の表面の高さ位置とは、互いに同一である。また、第2溝部61の表面の高さ位置と、第1溝部51の表面の高さ位置とは、互いに同一である。
このような前段第1マスク50及び前段第2マスク60は、本実施の形態においては、詳しくは、以下のように形成されている。すなわち、まず、図3A(B)に示すように、マスク材料層40のエッチングレジスト層42に、第1溝部51と第1ランド部52と同一ピッチの溝部とランド部とがラインアンドスペースパターンにて形成される。このパターンは、例えば、電子線描画等で形成される。また、このパターンは、主部形成用領域12’上の全体に形成され、周辺部形成用領域13’上では部分的に形成される。続いて、図3A(C)に示すように、パターンが形成されたエッチングレジスト層42をマスクとして、ハードマスク層41がエッチングされる。続いて、エッチングレジスト層42が剥離される。これにより、前段第1マスク50及び前段第2マスク60が形成される。なお、本実施の形態では、マスク材料層40が二層で構成されるため、上述のように複数の工程が必要となるが、単層のマスク材料層である場合には、エッチング工程を省略することが可能である。
<第1エッチング工程>
次に、図3A(E)に示すように、上述の前段第1マスク50及び前段第2マスク60をマスクとして用いて、金属層11Bがエッチングされる。そして、図3A(F)に示すように、前段第1マスク50及び前段第2マスク60が剥離される。これにより、金属層11Bの主部形成用領域12’が、マスターモールド11の凹凸形状32を有する主パターン領域12として形成される。また、周辺部形成用領域13’には、複数の第2ランド部62に応じて形成される複数の平坦な領域33A’と、複数の第2溝部61に応じて形成される複数の溝領域33B’と、が形成される。ここで、平坦な領域33A’は、マスターモールド11の周辺領域13における第1領域33Aに対応する領域であり、溝領域33B’は、マスターモールド11の周辺領域13における第2領域33Bに対応する領域である。本実施の形態では、前段第2マスク60の第2溝部61に、サブランド部64が形成されていることで、上述の溝領域33B’内に、所定の間隔を空けて凸部が並んで形成される。これにより、結果的に、マスターモールド11の第2領域33Bに、サブ凹凸形状331が形成される。
<第2積層工程>
次に、図3B(G)に示すように、金属層11Bの主部形成用領域12’及び周辺部形成用領域13’上に、再び、ハードマスク層41とエッチングレジスト層42とからなるマスク材料層40が積層される。なお、この例では、図3B(G)に示すマスク材料層40を2層としているが、マスク材料層40は1層でもよい。マスク材料層40が1層の場合は、金属層11B上に電子線レジストを直接形成すればよい。
<第2マスク形成工程>
次に、図3B(H)〜(J)に示す第2マスク形成工程が行われる。当該工程では、最終的に、図3B(J)に示すように、主部形成用領域12’上に積層されたマスク材料層40に、主部形成用領域12’の全体を覆う後段第1マスク55が形成される。また、周辺部形成用領域13’上に積層されたマスク材料層40には、上述の第1エッチング工程にて形成された平坦な領域33A’上の各々に形成される第3溝部66を有する後段第2マスク65が形成される。詳しくは、この後段第2マスク65は、複数の溝領域33B’の各々及びその内部のサブ凹凸形状331を覆う。
このような後段第1マスク55及び後段第2マスク65の形成方法は、上述した前段第1マスク50及び前段第2マスク60と同様のため説明を簡略化するが、エッチングレジスト層42からなるマスクの形成、ハードマスク層41のエッチング、エッチングレジスト層42の剥離の順で行われる。
<第2エッチング工程>
次に、図3B(K)に示すように、上述の後段第1マスク55及び後段第2マスク65をマスクとして用いて、金属層11Bがエッチングされる。これにより、金属層11Bの裏面から周辺部形成用領域13’の平坦な領域33A’の表面までの高さが、金属層11Bの裏面から主部形成用領域12’(主パターン領域12)の凹凸形状32の凸部32Bの表面までの高さよりも小さくされ、金属層11Bの裏面から主部形成用領域12’(主パターン領域12)の凹凸形状32の凹部32Aの表面までの高さよりも大きくされる。これにより、周辺部形成用領域13’の平坦な領域33A’が、マスターモールド11の第1領域33Aとして形成される。
<仕上げ工程>
そして、図3B(L)に示すように、第2エッチング工程後には、上述の後段第1マスク55及び後段第2マスク65が剥離される。これにより、マスターモールド11が製造される。なお、この例では、周辺部形成用領域13’の平坦な領域33A’がエッチングされる際に、その端部に、後段第1マスク55及び後段第2マスク65の端縁が載ることにより、平坦な領域33A’の端縁には、凸部が残り、結果的に第1領域33Aの端部に凸部(図2も参照)が形成されるが、このような凸部は削除されてもよい。また、このような凸部は、微小な大きさのため、削除しない場合でも、インプリント時に与える影響は小さい。
以上に説明したマスターモールド11は、インプリントされる樹脂組成物等の被成形材料に欠陥領域が生じることを防止することができるインプリント用フィルムモールドを製造することができる。以下、マスターモールド11によって製造されるインプリントフィルム用モールド及びその製造方法について詳述する。
(インプリント用フィルムモールド)
まず、インプリントフィルム用モールドの構成について説明する。図4は、本発明の一実施の形態にかかるインプリント用フィルムモールド71(以下、フィルムモールド71と呼ぶ。)の平面図である。図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。フィルムモールド71は、シート状に形成され、表面及び裏面を有する。このうちの表面に、主パターン領域72と周辺領域73とが隣り合う状態で形成されている。フィルムモールド71は全体として可撓性を有し、ローラー転写方式のインプリント、すなわちローラーインプリントに使用される。主パターン領域72と周辺領域73は、ローラーインプリントの際に、被成形材料に接触する領域である。
フィルムモールド71は、マスターモールド11を使用して製造されることにより、マスターモールド11に形成されたパターン(主パターン領域12及び周辺領域13のパターン)が転写された形状を有している。すなわち、図4の例においては、ドットを付して示した矩形の領域は、マスターモールド11の主パターン領域12が転写されたフィルムモールド71の主パターン領域72を示している。また、主パターン領域72の周囲を囲んだ矩形枠状の領域が、マスターモールド11の周辺領域13が転写されたフィルムモールド71の周辺領域73を示している。本実施の形態では、一例として、主パターン領域72及び周辺領域73の輪郭が共に矩形に形成されているが、これらは他の形状に形成されていてもよい。
また、図4及び図5おいて、符号82は、フィルムモールド71のうちの主パターン領域72を有する部分である主部を示している。符号83は、フィルムモールド71のうちの周辺領域73を有する部分である周辺部を示している。図示の例では、主部82及び周辺部83は、同一の材料から一体に形成されている。
フィルムモールド71は、単層構造で形成されていてもよいし、多層構造で形成されていてもよい。例えば、フィルムモールド71は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂組成物から形成されたシート状の基材と、基材の一方の面上に積層され主パターン領域72と周辺領域73とを形成する樹脂層と、で構成されていてもよい。
図5に示すように、主パターン領域72には、凹凸形状92が形成されており、本実施の形態において、この凹凸形状92は、ラインアンドスペースパターンにて形成されている。この凹凸形状92は、マスターモールド11の凹凸形状32が転写されることにより形成されている。一方、周辺領域73には、複数の第1領域93Aと、この第1領域93Aとは形状の異なる複数の第2領域93Bとが形成されており、本実施の形態においては、第1領域93Aと第2領域93Bとが、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されている。これら第1領域93A及び第2領域93Bは、マスターモールド11の周辺領域13における第1領域33A及び第2領域33Bが転写されることにより形成されている。
したがって、フィルムモールド71において、主パターン領域72には、幅W2を有し矢印A(図4参照)で示される方向にライン状に延びる凹部92Aと、幅W1を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凸部92Bとで構成される凹凸のペアを矢印Bで示される方向に配列して構成された凹凸形状92が形成されている。なお、ここで説明した幅W1及び幅W2は、図2に示した幅W1及び幅W2と同一の値である。一方、周辺領域73には、幅W3を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる第1領域93Aと、幅W4を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる第2領域93Bとで構成されるペアを矢印Bで示される方向に配列して構成されたパターンが形成されている。なお、ここで説明した幅W3及び幅W4は、図2に示した幅W3及び幅W4と同一の値である。
また、主パターン領域72の凹凸形状92の凹部92Aと凸部92Bとが並ぶ方向と、周辺領域73の第1領域93Aと第2領域93Bとが並ぶ方向とは、同一となっている。また、第1領域93Aは、矢印B方向で主パターン領域72の両側に隣接するようになっている(図中では、一方側のみが示されている)。また、主パターン領域72の全域に、凹凸形状92が形成され、主パターン領域72には、凹部92Aと凸部92Bとで構成される凹凸のペアが複数含まれている。各凹部92A及び各凸部92Bは、主パターン領域72の矢印A方向における両端に跨がって延びている。一方、周辺領域73の全域においても、第1領域93Aと第2領域93Bとで構成されるパターンが形成されている。さらに、周辺領域73の第1領域93A及び第2領域93BのピッチP2は、主パターン領域72の凹凸形状92のピッチP1よりも大きくなっている。
マスターモールド11の場合と同様に、ピッチP2は、主パターン領域72の凹凸形状92のピッチP1の10倍〜100倍であることが好ましく、より好ましくは、10倍〜20倍である。ピッチP2は、ピッチP1の10倍未満(ピッチP1よりも小さい場合、ピッチP1と等倍の場合も含む)でもよいが、この場合、第1領域93A及び第2領域93Bと凹凸形状92との境界が視覚的に認識し難くなる。ピッチP2を、ピッチP1の10倍以上とすれば、周辺領域73と主パターン領域72との境界が視覚的に認識し易くなるため、取り扱い性が向上する。そのため、ピッチP2は、ピッチP1の10倍以上が好ましい。
一方、ピッチP2は、ピッチP1の100倍よりも大きくてもよいが、この場合、フィルムモールド71において、第1領域93Aの幅及び第2領域93Bの幅が大きくなり過ぎて、変形が生じ易くなる虞がある。そのため、ピッチP2は、ピッチP1の100倍以下が好ましい。また、変形を極力抑制することを重視するのであれば、ピッチP2は、ピッチP1の20倍以下であることがより好ましい。
周辺領域73について詳述すると、本実施の形態では、第2領域93Bに、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状931が形成されている。このサブ凹凸形状931は、マスターモールド11のサブ凹凸形状331が転写されることにより形成されている。当該サブ凹凸形状931の凹部931Aと凸部931Bとは、第2領域93Bに平行に延びている。サブ凹凸形状931のピッチは、主パターン領域72の凹凸形状92のピッチと同一である。すなわち、サブ凹凸形状931は、幅W2を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凹部931Aと、幅W1を有し矢印Aで示される方向にライン状に延びる凸部931Bとで構成される凹凸のペアを矢印B方向に配列して構成されている。また、サブ凹凸形状931の凸部931Bの表面の高さ位置と、主パターン領域73の凹凸形状92の凸部92Bの表面の高さ位置とは、互いに同一である。また、サブ凹凸形状931の凹部931Aの表面の高さ位置と、主パターン領域73の凹凸形状92の凹部92Aの表面の高さ位置とは、互いに同一である。
また、図5には、周辺部83のうちの周辺領域73の第1領域93Aが形成される部分の裏面から表面までの高さHa’が示されている。本実施の形態においては、この高さHa’が、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状92の凸部92Bの表面までの主パターン凸部高さHb’よりも小さく、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状92の凹部92Aの表面までの主パターン凹部高さHc’よりも大きくなっている。
マスターモールド11の場合と同様に、この高さHa’は、0.5×(Hb’+Hc’)±0.25×(Hb’−Hc’)の範囲内に設定されることが好ましい。とりわけ、高さHa’は、0.5×(Hb’+Hc’)であることが好ましい。本件発明者は、高さHa’が、0.5×(Hb+Hc)±0.25×(Hb−Hc)である場合に、当該フィルムモールド71を被成形材料に接触させた際に当該被成形材料に欠陥領域が生じ難くなることを知見し、上述の範囲を好ましい範囲として規定している。
以上に説明したフィルムモールド71においては、主パターン領域72及び周辺領域73が共に、インプリントの際に、被成形材料に接触されるようになっており、被成形材料にパターンを転写するようになっている。このうち、主パターン領域72の凹凸形状92が、「主パターン」として機能し、周辺領域73が、「ダミーパターン」として機能するようになっている。本実施の形態でいうフィルムモールド71の「主パターン」とは、被成形材料に特定の機能を有するパターンを作製する目的又は被成形材料を積層した転写基板に特定の機能を有するパターンを作製するための下地部分(レジストパターン層等)を当該被成形材料に作製する目的で、被成形材料にパターンを転写する部分のことを意味する。一方で、フィルムモールド71の「ダミーパターン」とは、上述のような目的を有することなく、被成形材料にパターンを転写する部分を意味する。
なお、ローラーインプリントを行う際に、フィルムモールド71を接触させる被成形材料として光硬化性樹脂組成物が用いられる場合には、フィルムモールド71として、光、例えば紫外線等を透過可能な光透過性を有する材料が選択されることが好ましい。なお、上述の光透過性とは、波長200〜400nmにおける光透過率が50%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。光透過率の測定は、日本分光(株)製V−650を用いて行うことができる。なお、ローラーインプリントにおいて被成形材料として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合もある。この場合には、光透過性は特に要求されない。
(インプリントフィルム用モールドの製造方法)
次に、上述のフィルムモールド71の製造方法について図6を用いて説明する。図6は、図4のフィルムモールド71の製造方法を説明する工程図である。図6には、マスターモールド11及びフィルムモールド71を形成するための被成形材料100等が概略的な断面で部分的に示されている。
<準備工程>
上述のフィルムモールド71を製造する際には、まず、図6(A)に示すように、図1及び図2で示したマスターモールド11と、被成形材料100と、が準備される。被成形材料100は、図示省略する基板に積層され、マスターモールド11の主パターン領域12及び周辺領域13と対向する状態に配置される。被成形材料100としては、例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等が用いられ得る。また、被成形材料100としては、後述の硬化工程後に、可撓性が生じる材料が用いられる。
<接触工程>
次に、接触工程では、図6(B)に示すように、マスターモールド11の主パターン領域12及び周辺領域13が、被成形材料100に接触される。
<硬化工程>
次に、硬化工程が行われ、当該工程では、被成形材料100を硬化させることにより、被成形材料100が、主パターン領域12及び周辺領域13に対応するパターン、すなわち、主パターン領域72及び周辺領域73が転写された転写層となる。被成形材料100が、光硬化性樹脂である場合には、紫外線等が照射されることで被成形材料100が硬化され、熱硬化性樹脂である場合には、熱が付与されて被成形材料100が硬化される。
<離型工程>
次に、離型工程が行われ、当該工程においては、図6(C)に示すように、上述の転写層とマスターモールド11とが引き離される。これにより、フィルムモールド71が製造される。
以上に説明したフィルムモールド71は、表面及び裏面のうちの表面に、主パターン領域72と周辺領域73とが隣り合う状態で形成されており、全体として可撓性を有する。このフィルムモールド71は、主パターン領域72を有する主部82と、周辺領域73を有する周辺部83と、を備え、主パターン領域72には、凹凸形状92が形成されている。そして、周辺部83の一部(第1領域93A)の裏面から表面までの高さHa’は、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状の凸部92Bの表面までの主パターン凸部高さHb’よりも小さく、主部82の裏面からその主パターン領域72の凹凸形状92の凹部92Aの表面までの主パターン凹部高さHc’よりも大きい。
このような構成によれば、図10に示すように、主パターン領域72と周辺領域73とが樹脂組成物等の被成形材料に接触された際に、周辺領域73の第1領域93Aと被成形材料との間に、空隙が生じ難くなることにより、空隙に向けて樹脂組成物が流れ込む現象が生じる難くなる。これにより、被成形材料の膜厚が、全体的に、初期膜厚の状態に維持され易くなる。これにより、フィルムモールド71によってインプリントされる被成形材料に欠陥領域が生じることを防止することができる。
一方、図9には、比較例として、従来のフィルムモールドが樹脂組成物等の被成形材料に接触された様子が示されている。図9(A)に示すように、従来のフィルムモールドでは、当該モールドの平坦な面における傾斜やうねりが生じた場合に、傾斜やうねりが生じた部分における被成形材料と接触しない部分と被成形材料との間に空隙Sが生じ易い。このような空隙Sが生じた場合に、矢印に示すように、この空隙Sに向けて被成形材料が流れ込むことにより、図9(B)に示すように、被成形材料の膜厚が不均一になる虞がある。
このような本実施の形態にかかるフィルムモールド71は、接近・離間で行われる通常のインプリントで用いられても、ローラーインプリントで用いられても有益であるが、ローラーインプリントで用いられる場合に特に有益である。
(ワイヤーグリッド偏光子の製造方法)
次に、フィルムモールド71を具体的に使用した一例として、ワイヤーグリッド偏光子を製造する製造方法について図7、図8A及び図8Bを用いて説明する。図7、図8A及び図8Bは、ワイヤーグリッド偏光子の製造方法の工程図であり、このうち、図8A及び図8Bには、フィルムモールド71及び、ワイヤーグリッド偏光子を形成するための各種部材が概略的な断面で部分的に示されている。
<準備工程>
この製造方法では、まず、図4及び図5のフィルムモールド71が準備される。また、図7(A)及び図8A(A)に示す透明基板202を準備する。この透明基板202では、その一方の面202aにワイヤーグリッド材料層203が設けられ、このワイヤーグリッド材料層203上に、例えばクロムでなるハードマスク層204Aが積層され、ハードマスク層204A上にエッチングレジスト層204Bが積層されている。
ここで使用する透明基板202は、適宜選択することができ、例えば、石英ガラス、合成石英、フッ化マグネシウム等のリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が、用いられ得る。なお、ここで透明とは、波長200〜800nmにおける光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。光線透過率の測定は、日本分光(株)製 V−650を用いて行うことができる。
また、ワイヤーグリッド材料層203の材質としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、白金、珪素化モリブデン、酸化チタン等の金属、金属化合物等の導電性材料、誘電性材料を挙げることができ、これらのいずれかを単独で、あるいは、組み合わせで使用することができる。このようなワイヤーグリッド材料層203の厚みは、10〜500nmの範囲で適宜設定することができる。また、ワイヤーグリッド材料層203は、真空成膜法等により所望の厚みに形成することができる。
また、ハードマスク層204Aは、上述したようにクロム等でなるものであるが、その他の材料でもよい。また、エッチングレジスト層204Bは、ワイヤーグリッド材料層203のエッチングにおいてエッチング耐性を発現するものであり、従来のエッチングレジスト材料の中から、ワイヤーグリッド材料層203の材質等に応じて適宜選択することができる。エッチングレジスト層204Bの形成は、スピンコート法、ディスペンスコート法、ディップコート法、スプレーコート法、インクジェット法等の公知の塗布手段を用いて行うことができる。このエッチングレジスト層204Bの厚みは、使用するフィルムモールド71の主パターン領域72の凹凸形状92の凸部92Bの高さ、これらの間の深さ、および、形成するレジストパターンに生じる残膜(凸パターン間に位置する部位)の厚みの許容範囲等を考慮して設定できる。
<接触工程>
次に、接触工程にて、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73が形成されていない他の面からローラー271でフィルムモールド71を加圧することにより、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73をエッチングレジスト層204Bに接触させる(図7(B)及び図8A(B))。
図7(B)に示すように、ローラー271の加圧によるフィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73とエッチングレジスト層204Bとの接触では、透明基板202を矢印a方向に搬送するとともに、ローラー271を矢印b方向に回転することにより、フィルムモールド71とエッチングレジスト層204Bとを同じ速度で移動させ、両者間にズレを生じないようにする。そして、この接触工程では、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73の各凹凸形状において凹部及び凸部がライン状に延びる矢印A(図4等参照)で示す方向に沿って、フィルムモールド71をエッチングレジスト層204Bに接触させる。
また、ローラー271による加圧は、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73の各凹凸形状をエッチングレジスト層204Bに完全に埋め込むことができる範囲で適宜設定することができる。したがって、例えば、透明基板202を搬送するステージ(図示せず)からローラー271までの間隔を所望の値に固定し、ステージとローラー271との間を透明基板202とフィルムモールド71が通過することにより、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73の凹凸がエッチングレジスト層204Bに完全に埋め込まれる場合には、ローラー271を透明基板202方向に付勢することにより加圧する必要はない。
<硬化工程>
次に、フィルムモールド71と接触されたエッチングレジスト層204Bを硬化させることにより、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73の各凹凸形状に対応するパターンが転写されたレジストパターン層205とする。図7(B)に示される例では、フィルムモールド71と接触された直後に、フィルムモールド71を介して光照射装置281から光を照射することにより、エッチングレジスト層204Bを硬化させているが、フィルムモールド71とエッチングレジスト層204Bとの接触が完了した後に、エッチングレジスト層204Bを硬化させてもよい。
<離型工程>
次に、レジストパターン層205とフィルムモールド71とを引き離すことにより、レジストパターン層205をワイヤーグリッド材料層203上に位置させた状態とする(図8A(C))。このレジストパターン層205は、フィルムモールド71の主パターン領域72の凹凸形状92が反転した第1パターン部206と、周辺領域73の第1領域93A及び第2領域93Bが反転した第2パターン部207と、を有する。第1パターン部206は、ライン状に延びる凸パターン206Lを複数配列した形状となっている。また、第2パターン部207は、周辺領域73の第2領域93Bのサブ凹凸形状931が接触した位置に、ライン状に延びる凸パターン207Lを複数配列した形状となっている。
レジストパターン層205とフィルムモールド71の引き離しの方向は、上述の接触工程と同様に、フィルムモールド71の主パターン領域72及び周辺領域73の各凹凸形状の凹部及び凸部のライン方向とする。これにより、形成されたレジストパターン層205は、パターン部206,207の変形、損傷によるパターン欠陥の発生を防止することできる。なお、レジストパターン層205とフィルムモールド71の引き離しは、エッチングレジスト層204Bに対するフィルムモールド71の接触と、エッチングレジスト層204Bの硬化によるレジストパターン層205の形成が完了した後に行うことができる。また、エッチングレジスト層204Bに対するフィルムモールド71の接触が完了する前であっても、接触後のエッチングレジスト層204Bを硬化することにより形成したレジストパターン層205からフィルムモールド71を適宜引き離してもよい。
<第1エッチング工程及び剥離工程>
次に、本実施の形態では、図8B(D)に示すように、上述のように形成されたレジストパターン層205をマスクとしてハードマスク層204Aがエッチングされる。そして、レジストパターン層205が剥離される。これにより、図8B(E)に示すようにエッチングマスク208が形成される。
<第2エッチング工程>
次に、図8B(F)に示すように、上述のように形成されたエッチングマスク208をマスクとしてワイヤーグリッド材料層203がエッチングされる。そして、図8B(G)に示すように、エッチングマスク208が剥離される。これにより、フィルムモールド71の主パターン領域72の凹凸形状92に対応するメイン開口部215Lで構成されたワイヤーグリッド215と、周辺領域73の第2領域93Bのサブ凹凸形状931に対応するダミー用開口部216Lで構成されたダミーワイヤーグリッド216と、が形成されたワイヤーグリッド偏光子201が製造される。
以上に説明した製造方法では、本実施の形態にかかるフィルムモールド71が使用されることにより、フィルムモールド71とエッチングレジスト層204Bとが接触された際に、エッチングレジスト層204Bに欠陥領域が生じることを防止することができる。このため、エッチング後に製造されるワイヤーグリッド偏光子201においても欠陥が生じることを防止でき、ワイヤーグリッド偏光子201の品質を向上させることができる。
また、本実施の形態にかかるフィルムモールド71が使用されることにより、ワイヤーグリッド偏光子201では、メイン開口部215Lで構成されたワイヤーグリッド215の外周側に、ライン形状のダミー用開口部216Lがスペースを介して複数配列されて構成されたダミーワイヤーグリッド216が形成される。そして、ワイヤーグリッド215におけるメイン開口部215Lのライン方向と、このダミーワイヤーグリッド216におけるダミー用開口部216Lのライン方向とが互いに同一となり、ワイヤーグリッド215のピッチと、ダミーワイヤーグリッド216のピッチとが互いに同一となる。
このようなワイヤーグリッド偏光子201では、ワイヤーグリッド215と、ダミーワイヤーグリッド216との間に物性、特に偏光特性の差が生じることを抑制できるため、ワイヤーグリッド偏光子201において部分的に物性に差が生じることを抑制することができる。これにより、このワイヤーグリッド偏光子201では、本来、ワイヤーグリッド215を透過すべき光が、偶発的にダミーワイヤーグリッド216を透過した場合であっても、ダミーワイヤーグリッド216の偏光特性が、ワイヤーグリッド215の偏光特性と同様であるので不所望な光が出射されることが抑制される。したがって、本実施の形態にかかるフィルムモールド71を使用してワイヤーグリッド偏光子を製造すれば、ワイヤーグリッドが形成されていない領域に光が入射されたとしても、不所望な状態で光が出射されることを防止することができる有益なワイヤーグリッド偏光子を提供することができる。
11 インプリント用マスターモールド
11A 基材層
11B 金属層
12 主パターン領域
12’ 主部形成用領域
13 周辺領域
13’ 周辺部形成用領域
22 主部
23 周辺部
32 凹凸形状
32A 凹部
32B 凸部
33A 第1領域
33A’ 平坦な領域
33B 第2領域
33B’ 溝領域
331 サブ凹凸形状
331A 凹部
331B 凸部
40 マスク材料層
41 ハードマスク層
42 エッチングレジスト層
50 前段第1マスク
51 第1溝部
52 第1ランド部
55 後段第1マスク
60 前段第2マスク
61 第2溝部
62 第2ランド部
64 サブランド部
65 後段第2マスク
71 インプリント用フィルムモールド
72 主パターン領域
73 周辺領域
82 主部
83 周辺部
92 凹凸形状
92A 凹部
92B 凸部
93A 第1領域
93B 第2領域
931 サブ凹凸形状
201 ワイヤーグリッド偏光子
203 ワイヤーグリッド材料層
204B エッチングレジスト層
205 レジストパターン層
208 エッチングマスク
215 ワイヤーグリッド
216 ダミーワイヤーグリッド
271 ローラー
281 光照射装置

Claims (19)

  1. 表面及び裏面のうちの前記表面に、主パターン領域と周辺領域とが隣り合う状態で形成されるインプリント用マスターモールドであって、
    前記主パターン領域を有する主部と、前記周辺領域を有する周辺部と、を備え、
    前記主パターン領域には、凹凸形状が形成されており、
    前記周辺部の一部又は全部の裏面から表面までの高さは、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面までの主パターン凸部高さよりも小さく、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面までの主パターン凹部高さよりも大きい、
    ことを特徴とするインプリント用マスターモールド。
  2. 前記周辺領域には、第1領域と第2領域とが形成され、前記第1領域が前記主パターン領域に隣接しており、
    前記周辺部のうちの前記周辺領域の前記第1領域が形成される部分の裏面から表面までの高さが、前記主パターン凸部高さよりも小さく、前記主パターン凹部高さよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント用マスターモールド。
  3. 前記主パターン領域の凹凸形状はラインアンドスペースパターンにて形成され、
    前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とは、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインプリント用マスターモールド。
  4. 前記主パターン領域の凹凸形状の凹部と凸部とが並ぶ方向と、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とが並ぶ方向とが、互いに同一であり、
    前記周辺領域の前記第1領域及び前記第2領域のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチよりも大きくなっている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のインプリント用マスターモールド。
  5. 前記周辺領域の前記第2領域には、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状が形成され、当該サブ凹凸形状の凹部と凸部とは、前記第2領域に平行に延びており、
    前記サブ凹凸形状のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチと同一であり、且つ前記サブ凹凸形状の凸部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記サブ凹凸形状の凹部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面の高さ位置とは、互いに同一である、
    ことを特徴とする請求項4に記載のインプリント用マスターモールド。
  6. 前記周辺部のうちの、前記主パターン凸部高さよりも小さく前記主パターン凹部高さよりも大きい高さを有する部分の裏面から表面までの高さをHaとし、
    前記主パターン凸部高さをHbとし、
    前記主パターン凹部高さをHcとしたとき、
    Haは、0.5×(Hb+Hc)±0.25×(Hb−Hc)の範囲内に設定される、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインプリント用マスターモールド。
  7. 基材層と、金属層とを含み、前記金属層に前記主パターン領域と前記周辺領域とが形成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインプリント用マスターモールド。
  8. インプリント用マスターモールドの製造方法であって、
    主部形成用領域と周辺部形成用領域とが隣り合う状態で規定される材料層にマスク材料層を積層する第1積層工程と、
    前記材料層の前記主部形成用領域上に位置するマスク材料層に、複数の第1溝部と複数の第1ランド部とを有する前段第1マスクを形成し、前記材料層の前記周辺部形成用領域上に位置するマスク材料層に、当該周辺部形成用領域の一部又は全部を覆う第2ランド部を有する前段第2マスクを形成する第1マスク形成工程と、
    前記前段第1マスク及び前記前段第2マスクをマスクとして用いて、前記材料層をエッチングし、前記材料層の前記主部形成用領域に凹凸形状を形成し、前記周辺部形成用領域には、その一部又は全部に平坦な領域を形成する第1エッチング工程と、
    前記材料層の前記主部形成用領域及び前記周辺部形成用領域上にマスク材料層を積層する第2積層工程と、
    前記第2積層工程にて前記主部形成用領域上に積層されたマスク材料層に、前記主部形成用領域の全体を覆う後段第1マスクを形成し、前記周辺部形成用領域上に積層されたマスク材料層には、前記第1エッチング工程にて形成された前記平坦な領域上に形成される第3溝部を有する後段第2マスクを形成する第2マスク形成工程と、
    前記後段第1マスク及び前記後段第2マスクをマスクとして用いて、前記材料層をエッチングし、前記材料層の裏面から前記周辺部形成用領域の前記平坦な領域の表面までの高さを、前記材料層の裏面から前記主部形成用領域の凹凸形状の凸部の表面までの高さよりも小さく、前記材料層の裏面から前記主部形成用領域の凹凸形状の凹部の表面までの高さよりも大きくする、第2エッチング工程と、を備える、
    ことを特徴とするインプリント用マスターモールドの製造方法。
  9. 前記第1マスク形成工程において、前記前段第1マスクは、前記第1溝部と前記第1ランド部とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成され、前記前段第2マスクは、複数の第2溝部と複数の第2ランド部とを有し、前記第2ランド部が前記前段第1マスクに隣接し、前記第2溝部と前記第2ランド部とが交互に複数並ぶラインアンドスペースパターンにて形成され、且つ前記第1溝部と前記第1ランド部とが並ぶ方向と、前記第2溝部と前記第2ランド部とが並ぶ方向とが、互いに同一であって、前記第2溝部及び前記第2ランド部のピッチは、前記第1溝部及び前記第1ランド部のピッチよりも大きく設定され、
    前記第1エッチング工程において、前記材料層の前記主部形成用領域に凹凸形状が形成され、前記周辺部形成用領域には、複数の前記第2ランド部に応じて形成される複数の前記平坦な領域と、複数の前記第2溝部に応じて形成される複数の溝領域とが形成され、
    前記第2マスク形成工程において、前記後段第2マスクの前記第3溝部は、前記周辺部形成用領域における前記平坦な領域上の各々に形成され、複数の前記溝領域の各々は、前記後段第2マスクによって覆われる、
    ことを特徴とする、請求項8に記載のインプリント用マスターモールドの製造方法。
  10. 前記第1マスク形成工程において、前記前段第2マスクの前記第2溝部には、当該第2溝部に平行に延びるサブランド部が、所定の間隔を空けて複数並んで形成され、
    前記所定の間隔と前記サブランド部の幅とを加算したピッチが、前記前段第1マスクの前記第1溝部及び前記第1ランド部のピッチと同一であり、且つ前記サブランド部の表面の高さ位置と、前記第1ランド部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記第2溝部の表面の高さ位置と、前記第1溝部の表面の高さ位置とは、互いに同一である、
    ことを特徴とする請求項9に記載のインプリント用マスターモールドの製造方法。
  11. 前記材料層は、単一の基材からなるか、又は、基材に積層された金属層でなる、
    ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のインプリント用マスターモールドの製造方法。
  12. 表面及び裏面のうちの前記表面に、主パターン領域と周辺領域とが隣り合う状態で形成されており、全体として可撓性を有するインプリント用フィルムモールドであって、
    前記主パターン領域を有する主部と、前記周辺領域を有する周辺部と、を備え、
    前記主パターン領域には、凹凸形状が形成されており、
    前記周辺部の一部又は全部の裏面から表面までの高さは、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面までの主パターン凸部高さよりも小さく、前記主部の裏面からその主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面までの主パターン凹部高さよりも大きい、
    ことを特徴とするインプリント用フィルムモールド。
  13. 前記周辺領域に、第1領域と第2領域とが形成され、前記第1領域が前記主パターン領域に隣接しており、
    前記周辺部のうちの前記周辺領域の前記第1領域が形成される部分の裏面から表面までの高さが、前記主パターン凸部高さよりも小さく、前記主パターン凹部高さよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項12に記載のインプリント用フィルムモールド。
  14. 前記主パターン領域の凹凸形状は、ラインアンドスペースパターンにて形成され、
    前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とは、それぞれライン状に延び、交互に複数並んで形成されている、
    ことを特徴とする請求項13に記載のインプリント用フィルムモールド。
  15. 前記主パターン領域の凹凸形状の凹部と凸部とが並ぶ方向と、前記周辺領域の前記第1領域と前記第2領域とが並ぶ方向とが、互いに同一であり、
    前記周辺領域の前記第1領域及び前記第2領域のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチよりも大きくなっている、
    ことを特徴とする請求項14に記載のインプリント用フィルムモールド。
  16. 前記周辺領域の前記第2領域には、ラインアンドスペースパターンにて形成されたサブ凹凸形状が形成され、当該サブ凹凸形状の凹部と凸部とは、前記第2領域に平行に延びており、
    前記サブ凹凸形状のピッチは、前記主パターン領域の凹凸形状のピッチと同一であり、且つ前記サブ凹凸形状の凸部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凸部の表面の高さ位置とは、互いに同一であり、前記サブ凹凸形状の凹部の表面の高さ位置と、前記主パターン領域の凹凸形状の凹部の表面の高さ位置とは、互いに同一である、
    ことを特徴とする請求項15に記載のインプリント用フィルムモールド。
  17. 前記周辺部のうちの、前記主パターン凸部高さよりも小さく前記主パターン凹部高さよりも大きい高さを有する部分の裏面から表面までの高さをHa’とし、
    前記主パターン凸部高さをHb’とし、
    前記主パターン凹部高さをHc’としたとき、
    Ha’は、0.5×(Hb’+Hc’)±0.25×(Hb’−Hc’)の範囲内に設定される、
    ことを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載のインプリント用フィルムモールド。
  18. インプリント用フィルムモールドの製造方法であって、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインプリント用マスターモールドを準備する準備工程と、
    前記インプリント用マスターモールドの前記主パターン領域及び前記周辺領域を、インプリントフィルム用モールドを形成するための被成形材料に接触させる接触工程と、
    前記インプリント用マスターモールドに接触させた前記被成形材料を硬化させることにより前記主パターン領域および前記周辺領域に対応するパターンが転写された転写層とする硬化工程と、
    前記転写層と前記インプリント用マスターモールドとを引き離す離型工程と、を備える
    ことを特徴とするインプリント用フィルムモールドの製造方法。
  19. ワイヤーグリッド偏光子の製造方法であって、
    請求項12乃至17のいずれか一項に記載のインプリント用フィルムモールドを準備する準備工程と、
    前記インプリント用フィルムモールドの前記主パターン領域及び前記周辺領域を、前記主パターン領域及び前記周辺領域が設けられた面とは反対側の面からローラーで加圧することにより、一の面にワイヤーグリッド材料層を備える透明基板の前記ワイヤーグリッド材料層上に位置するエッチングレジスト層に接触させる接触工程と、
    前記インプリント用フィルムモールドに接触させた前記エッチングレジスト層を硬化させることにより前記主パターン領域及び前記周辺領域に対応するパターンが転写されたレジストパターン層とする硬化工程と、
    前記レジストパターン層と前記インプリント用フィルムモールドとを引き離す離型工程と、
    前記レジストパターン層をエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層をエッチングするか、又は、前記レジストパターン層をエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層と前記レジストパターン層との間に位置するマスク層をエッチングすることにより形成されるマスクをエッチングマスクとして前記ワイヤーグリッド材料層をエッチングすることにより、ワイヤーグリッドを形成するエッチング工程と、を備える
    ことを特徴とするワイヤーグリッド偏光子の製造方法。
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