JP2016204621A - 耐熱部材用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)、(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(B)、及び(c)充填剤(C)を含む耐熱部材用樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
それらを抑制する方法の一つとして、ベース樹脂を柔らかくする方法が知られている。しかし、ベース樹脂を柔らかくすることは融点を低下させる原因となるため、樹脂コンパウンドの耐熱性が劣るという問題がある。また、EPDMやEPR、EOR等のゴム成分を添加することで靱性の低下を抑制しようとする方法も知られている。しかし、ゴム成分を添加した樹脂組成物をアニールした際における破断伸びの改善効果が小さいという問題がある。
<1>下記(a)〜(c)成分を含む耐熱部材用樹脂組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(B)
(c)充填剤(C)
<2>前記オレフィン系重合体(A)が、プロピレン系重合体(a1)である、上記<1>に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
<3>前記プロピレン系重合体(B)が下記(i)、(ii)の少なくともどちらか一つを満たす、上記<1>又は<2>に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
<4>前記プロピレン系重合体(B)が下記(1)を満たす、上記<1>又は<2>に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(1)[mmmm]=20〜60モル%
<5>前記プロピレン系重合体(B)が下記(2)を満たす、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
<6>前記プロピレン系重合体(B)が下記(3)を満たす、上記<4>又は<5>に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
<7>前記プロピレン系重合体(B)が下記(4)及び(5)を満たす、上記<4>〜<6>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
<8>前記プロピレン系重合体(B)の含有量が、オレフィン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)との合計含有量100質量%に対して50質量%未満である、上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
<9>前記充填剤(C)の含有量が、樹脂組成物の全量に対して30質量%以上である、上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
<10>上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物からなる成形体。
<11>上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物からなるシート成形体。
本発明の耐熱部材用樹脂組成物は、(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)と、(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(B)と、(c)充填剤(C)とを含む。本発明の樹脂組成物は、熱処理後においても引張破断伸びが低下せず、靱性に優れるため、耐熱部材用として好適である。
以下、本発明に用いられる各成分、製造方法について順次説明する。
本発明に用いられる(a)成分であるオレフィン系重合体(A)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超える。該融点(Tm−D)が120℃以下の場合には、樹脂組成物の耐熱性が劣るといった不具合が発生する。そのような観点から、融点(Tm−D)は好ましくは125℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、より更に好ましくは160℃以上である。
なお、該融点(Tm−D)は後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
本発明に用いられる(b)成分であるプロピレン系重合体(B)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーである。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
プロピレン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)は、0〜80J/gである。プロピレン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gの場合、本発明の樹脂組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)に対して結晶化度を低減させ、引張破断伸びの低下を抑制することができる。このような観点から、プロピレン系重合体(B)の融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは10〜70J/g、より好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは30〜50J/gである。
融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
なお、上記融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
プロピレン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、高強度の観点から、好ましくは3.0未満である。分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であれば、耐熱部材用樹脂組成物の力学特性に与える影響が少ない。このような観点から、プロピレン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5〜2.5である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
(1)[mmmm]=20〜60モル%
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
メソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。
プロピレン系重合体(B)がプロピレン単独重合体である場合、そのメソペンタッド分率[mmmm]は、プロピレン系重合体の取り扱い性及びオレフィン系重合体(A)へ少量添加した際の靱性の改良効果の観点から、好ましくは20〜60モル%、より好ましくは30〜58モル%、更に好ましくは40〜55モル%である。メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上であると、本発明の樹脂組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)の剛性を低下させずに柔軟性を付与することができ、60モル%以下であると、主成分であるオレフィン系重合体(A)と共晶化せず、主成分であるオレフィン系重合体(A)の非晶部分に相溶することで柔軟性を付与できる。
プロピレン系重合体(B)の融点(Tm−D)は、耐熱部材の力学強度や耐熱性の観点から高い方が好ましい。好ましくは0〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃、より更に好ましくは60〜80℃である。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点(Tm−D)とする。融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。[rrrr]/(1−[mmmm])の値が大きくなると既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、成形後の耐熱部材のべたつきの原因となる。なお、上記における[rrrr]及び[mmmm]の単位はモル%である。
プロピレン系重合体(B)における[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、特に好ましくは0.01〜0.04である。
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、ポリプロピレンの立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどポリプロピレンのランダム性が増加する。
プロピレン系重合体(B)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5モル%を超える。プロピレン系重合体(B)の[rmrm]が2.5モル%を超えることにより、ランダム性が増し、本発明の樹脂組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)と共晶化し難くなり、その結果、ポリオレフィン系組成物の耐熱性や剛性の低下が抑制される。このような観点から、プロピレン系重合体(B)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、より好ましくは2.6モル%以上、更に好ましくは2.7モル%以上である。その上限は、通常、好ましくは10モル%程度であり、より好ましくは7モル%、更に好ましくは5モル%、特に好ましくは4モル%である。
トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される[mm]×[rr]/[mr]2の値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなり、本発明の樹脂組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合)と共晶化が起こらず、主成分であるオレフィン系重合体(A)(特に、プロピレン系重合体(a1))に対して効率的に柔軟性を付与することができる。プロピレン系重合体(B)は、上式の値が通常2以下、好ましくは1.8〜0.5、さらに好ましくは1.8〜0.7の範囲である。なお、上記における[mm]及び[rr]の単位は、モル%である。
プロピレン系重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、強度の観点から10,000以上、500,000以下が好ましい。
上記プロピレン系重合体(B)において重量平均分子量が10,000以上、500,000以下であると、本発明の樹脂組成物の主成分であるオレフィン系重合体(A)の剛性を低下させずに柔軟性を付与することができる。この重量平均分子量は、好ましくは30,000以上400,000以下であり、より好ましくは50,000以上300,000以下である。
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(i)一般式(I)
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1及びE2はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、ヘテロシクロペンタジエニル基、置換ヘテロシクロペンタジエニル基、アミド基、ホスフィド基、炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1及びA2を介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX、E1、E2又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E1、E2又はXと架橋していてもよく、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
で表される遷移金属化合物、及び(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒が挙げられる。
充填剤(C)は、目的に応じて、剛性、難燃性、耐震性或いは質量感等の各種性能を付与するために、種々のものを用いることができ、無機充填剤又は有機充填剤のいずれであってもよい。また、形状にも制限はなく、例えば球状、板状、繊維状が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、ブロッキング防止剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、難燃剤、エラストマー等の添加剤を配合することができる。
低分子型帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン型帯電防止剤、テトラアルキルアンモニウム塩型のカチオン型帯電防止剤、アルキルスルホン酸塩等のアニオン型帯電防止剤、アルキルベタイン等の両性型帯電防止剤等の帯電防止剤等を挙げることができる。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド等の非イオン型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸等のアニオン型帯電防止剤、第四級アンモニウム塩含有重合体等のカチオン型帯電防止剤等を挙げることができる。
帯電防止剤は、樹脂組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記の成分(a)、(b)及び(c)、更に必要に応じて添加剤を加えて混練することにより得られる。配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ等の通常の混合混練機を使用して行うことができる。
本発明の成形体は、上記樹脂組成物からなる成形体である。成形方法は特に限定されず、押出成形や射出成形を適用することができる。例えば、押出し加工ブロー成形や射出ブロー成形を含むブロー成形、又は熱成形でもよい。
例えば、ブロー成形体は、公知のブロー成形装置を用いて公知の条件により、本発明の樹脂組成物をブロー成形することにより製造できる。すなわち、本発明の樹脂組成物を押出機内で加熱溶融させてチューブ状に押出して、製品の外側のみ彫られている金型に挟み込んだ後に、チューブ内部に空気を引き込んで(吹き込んで)チューブ状の成形体を金型壁面に沿うように膨らまして中空体を成形する成形方法に用いることができる。また、シート成形体は、本発明の樹脂組成物を公知の所定の形状の金型(ダイ)から公知の条件で押し出すことにより製造できる。
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量ΔH−Dとして求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、上記の示差走査型熱量計を用いたDSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出した。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した。
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
以下に示す装置および条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[ポリプロピレン(1)(プロピレン系重合体(B))の製造]
撹拌機付きの内容積20Lのステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/hr、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、及びトリイソブチルアルミニウムを質量比1:2:20でプロピレンと事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で6μmol/hrで連続供給した。
反応器内の全圧を1.0MPa・Gに保つようプロピレンと水素とを連続供給し、重合温度を適宜調整し所望の分子量を有する重合溶液を得た。
得られた重合溶液に、酸化防止剤をその含有割合が1000質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、ポリプロピレン(1)(プロピレン系重合体(B))を得た。
製造例1で得られたポリプロピレン(1)について上述の測定を行った。結果を表1に示す。
表2に示した各成分を、二軸混練押出機を用いて230℃で溶融混練し、樹脂組成物をそれぞれ調製した。使用した原料は以下の通りである。
(1)プロピレン単独重合体
プライムポリマー(株)製、「E−100GV」、MFR:0.5g/10min(2.16kg、230℃)、融点(Tm−D):165℃、メソペンタッド分率[mmmm]:97.5モル%
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体
プライムポリマー(株)製、「E−150GK」、MFR:0.6g/10min(2.16kg、230℃)、融点(Tm−D):164℃
(3)エチレン−オクテンランダム共重合体
DowChemical社製、「Engage8407」、MFR:60.8g/10min(2.16kg、230℃)、融点(Tm−D):60℃、融解吸熱量(ΔH−D):9J/g、Mw/Mn:2.5
(4)水酸化マグネシウム(難燃剤)
協和化学工業(株)製、「キスマ5L」、シラン系カップリング剤表面処理
得られた成形体について、窒素気流オーブン(東洋製作所(株)製、「DRJ433DA」)を用いて120℃、窒素雰囲気下で120時間の熱処理の前後において下記試験を実施した。結果を表2に示す。
引張試験機(エー・アンド・ディ社製、型番:「ATM−P−S」)にて、JIS K7162に準拠して、初期チャック間距離115mm、引張速度50mm/分の室温条件で、引張試験を行って引張破断伸び及び引張弾性率を求めた。
(2)アイゾット衝撃試験
アイゾット衝撃試験機((株)安田精機製作所製、型番:「No.158−ZA」)にて、JIS K7110に準拠して、ハンマー荷重2.75Jの室温条件で、アイゾット衝撃試験を行ってアイゾット衝撃値を求めた。
(3)曲げ試験
曲げ試験機(エー・アンド・ディ社製、型番:「ABM−K」)にて、JIS K7203に準拠して、支持台間距離:60mm、支持台R:2mm、圧子R:5mmの室温条件で、曲げ試験を行ってたわみ、曲げ強さ、曲げ弾性率を求めた。
(4)ショアD硬度
ショア硬度試験機((株)上島製作所製、型番:「HD−100N」)にて、JIS Z2246に準拠して、Dタイプの室温条件で、ショア硬度試験を行ってショアD硬度値を求めた。
Claims (11)
- 下記(a)〜(c)成分を含む耐熱部材用樹脂組成物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0〜80J/gであり、分子量分布(Mw/Mn)が3.0未満であり、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(B)
(c)充填剤(C) - 前記オレフィン系重合体(A)が、プロピレン系重合体(a1)である、請求項1に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
- 前記プロピレン系重合体(B)が下記(i)、(ii)の少なくともどちらか一つを満たす、請求項1又は2に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。 - 前記プロピレン系重合体(B)が下記(1)を満たす、請求項1又は2に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(1)[mmmm]=20〜60モル% - 前記プロピレン系重合体(B)が下記(2)を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(2)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。 - 前記プロピレン系重合体(B)が下記(3)を満たす、請求項4又は5に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(3)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1 - 前記プロピレン系重合体(B)が下記(4)及び(5)を満たす、請求項4〜6のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
(4)[rmrm]>2.5モル%
(5)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0 - 前記プロピレン系重合体(B)の含有量が、オレフィン系重合体(A)とプロピレン系重合体(B)との合計含有量100質量%に対して50質量%未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
- 前記充填剤(C)の含有量が、樹脂組成物の全量に対して30質量%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐熱部材用樹脂組成物からなるシート成形体。
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