JP2016204527A - 導電性インク組成物、導電部材、導電部材の製造方法、電気・電子部品および電気・電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】被覆銀粒子含有組成物の高粘度化、焼成温度の高温化の抑制および焼結部材の導電性低下の抑制などの要請に応える導電性インク組成物を提供する。【解決手段】被覆銀粒子と、熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有する導電性インク組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有量は、前記被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量であることを特徴とする導電性インク組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、導電性インク組成物、当該導電性インク組成物から形成される導電部材、上記の導電部材の製造方法、上記の導電部材または上記の製造方法により製造される導電部材を備える電気・電子部品、および当該電気・電子部品を備える電気・電子機器に関する。
特許文献1には、有機酸架橋銀アルキルアミン錯体熱分解法により、数nmから100nmの大きさの被覆銀粒子を合成する方法が記載されている。特許文献1に記載される被覆銀粒子は、良好な分散性、焼結性、導電性を示し、特許文献1に記載される被覆銀粒子の製造方法は、大量合成が容易な製造方法である。
特許文献1に記載される製造方法で製造される銀被覆粒子を用いた場合には、当該被覆銀粒子を含有する組成物(本明細書においてこの組成物を「被覆銀粒子含有組成物」ともいう。)の粘度を高めつつ、当該組成物を焼成して得られる部材(本明細書においてこの部材を「焼結部材」ともいう。)の導電性を高めることが困難となる場合があった。具体的には、特許文献1に記載される製造方法で製造される銀被覆粒子は、保護剤などの効果により分散性が高すぎるため、特許文献1に係る被覆銀粒子含有組成物の粘度を高めることが困難であった。それゆえ、特許文献1に係る被覆銀粒子含有組成物を、スクリーン印刷やオフセット印刷などの工業的に量産性を有する有版印刷のインク(本明細書において、被覆銀粒子組成物に基づくインクを「導電性インク組成物」ともいう。)として使用可能とするためには、被覆銀粒子含有組成物にバインダー樹脂や粘弾性調製剤を添加して組成物を高粘度させる必要があった。
しかしながら、このような手法により被覆銀粒子含有組成物を高粘度化させると、上記の添加物が銀被覆粒子間の接触を阻害し、被覆銀粒子含有組成物を焼成する温度を高める必要が生じたり、焼結部材の導電性が低下したりすることがあった。
本発明は、有版印刷に適した粘度を有しつつ、焼成温度の高温化および焼結部材の導電性低下が抑制された被覆銀粒子含有組成物からなる導電性インク組成物、上記の導電性インク組成物から形成される導電部材、上記の導電性インク組成物を用いる導電部材の製造方法、上記の導電部材または上記の製造方法により製造される導電部材を備える電気・電子部品、および当該電気・電子部品を備える電気・電子機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明の一態様は、被覆銀粒子と、熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有する導電性インク組成物であって、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有量は、前記被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量であることを特徴とする導電性インク組成物である。
このように導電性インク組成物が熱可塑性ポリウレタン樹脂を適量含有することにより、導電性インク組成物を有版印刷により基体上に配置することが容易となる。また、かかる導電性インク組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有しない場合と同様の温度で焼成可能であって、そのような温度域で焼成して得られる導電部材の体積抵抗率を100μΩ・cm以下とすることが可能である。
上記の本発明に係る導電性インク組成物は、アルキルアミンに基づく物質を含有してもよい。アルキルアミンに基づく物質は、導電性インク組成物に含有される被覆銀粒子において、銀粒子を被覆するように位置していることが好ましい。
上記の本発明に係る導電性インク組成物は、尿素に基づく物質を含有してもよい。上記の本発明に係る導電性インク組成物が尿素に基づく物質を含有することにより、導電性インク組成物に含有される被覆銀粒子が、グラビアオフセットおよびスクリーン印刷用インクに用いられる導電性粒子として適切な形状を有しやすくなる場合がある。
上記の本発明に係る導電性インク組成物は、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂以外のバインダー成分を含有せず、せん断速度が38.4s−1の条件で測定された粘度が5Pa・s以上であることが好ましい。かかる導電性インク組成物は、グラビアオフセット印刷など、工業的に量産性を有する印刷方法のインクとして好適に使用されうる。
上記の本発明に係る導電性インク組成物に含有される前記被覆銀粒子は、(1)加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、(2)アルキルアミンと、(3)尿素と、を含有する銀含有液状組成物から形成されたものであることが好ましい。かかる銀含有液状組成物を用いることにより、導電性インク組成物の導電性材料として好適な被覆銀粒子を効率的に形成することができる。
本発明の別の一態様は、上記の本発明に係る導電性インク組成物から形成されることを特徴とする導電部材である。本発明に係る、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する導電性インク組成物から形成された導電部材は、優れた導電性を有する上に、基体に対する密着性に優れる。
上記の本発明に係る導電部材は、体積抵抗率が50μΩ・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が50μΩ・cm以下であれば、導電部材を電気配線として好適に用いることができる。電気配線としての適用の観点から、上記の本発明に係る導電部材は、体積抵抗率が10μΩ・cm以下であることがより好ましい。
本発明のまた別の一態様は、上記の本発明に係る導電部材からなる電気配線を備えることを特徴とする電気・電子部品である。
本発明のさらにまた別の一態様は、上記の本発明に係る電気・電子部品を備えることを特徴とする電気・電子機器である。
本発明のさらにまた別の一態様は、上記の本発明に係る導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成する印刷工程;および前記印刷物を加熱することにより前記印刷物内に含まれる前記被覆銀粒子を焼成して、前記基体上に導電部材を形成する焼成工程を備えることを特徴とする導電部材の製造方法である。かかる製造方法を実施することにより、上記の本発明に係る導電部材を効率的に製造することができる。
上記の本発明に係る製造方法において、前記焼成工程における前記印刷物の加熱温度は110℃以下であってもよい。
上記の本発明に係る製造方法において、前記焼成工程における前記印刷物の加熱時間は3時間以下であってもよい。
上記の本発明に係る製造方法において、前記導電部材の体積抵抗率は50μΩ・cm以下であることが好ましい。
上記の本発明に係る製造方法において、前記印刷工程では有版印刷により前記印刷物が形成されることが好ましい。スクリーン印刷やオフセット印刷のような有版印刷は、工業的量産性に優れるため、好ましい印刷方法である。
本発明のさらにまた別の一態様は、上記の本発明に係る製造方法により製造された導電部材からなる電気配線を備えることを特徴とする電気・電子部品である。
本発明のさらにまた別の一態様は、上記の本発明に係る電気・電子部品を備えることを特徴とする電気・電子機器である。
本発明によれば、導電性インク組成物の粘度を高めることと、導電性インク組成物の焼成温度の高温化の抑制および焼結部材の導電性低下の抑制とを両立させることができる。また、本発明に係る導電性インク組成物から形成された導電部材は、体積抵抗率が低く、基体に対する密着性に優れるため、電気配線などに好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態に係る、導電性インク組成物、当該導電性インク組成物から形成される導電部材、上記の導電部材の製造方法、上記の導電部材または上記の製造方法により製造される導電部材を備える電気・電子部品、および当該電気・電子部品を備える電気・電子機器について説明する。
1.導電性インク組成物
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子と、熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有量は、被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量である。
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子と、熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有量は、被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量である。
(1−1)被覆銀粒子
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物が含有する被覆銀粒子は、特許文献1に開示される製造方法、すなわち、有機酸架橋銀アルキルアミン錯体熱分解法により製造することができる。
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物が含有する被覆銀粒子は、特許文献1に開示される製造方法、すなわち、有機酸架橋銀アルキルアミン錯体熱分解法により製造することができる。
有機酸架橋銀アルキルアミン錯体熱分解法の中でも、(1)加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、(2)アルキルアミンと、(3)尿素と、を含有する銀含有液状組成物から形成されたものであることが好ましい。
加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物として、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸と銀原子が化合したカルボン酸銀の他、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等が例示される。これらの中で、分解により容易に金属銀を生成し、かつ銀以外の不純物を生じにくい等の観点から、銀化合物はシュウ酸銀を含むことが好ましく、シュウ酸銀からなることが好ましい。
アルキルアミンとして、アルキル基の一部にアミノ基が結合したアルキルモノアミン、アルキルジアミン等が例示される。アルキルモノアミンとして、アミルアミン(沸点104℃)、2−エトキシエチルアミン(105℃)、4−メトキシブチルアミン、ブチルアミン(78℃)、ジエチルアミン(55℃)、プロピルアミン(48℃)、イソプロピルアミン(34℃)、エチルアミン(17℃)、ジメチルアミン(7℃)、ジプロピルアミン(107℃)、ジブチルアミン(159℃)、ヘキシルアミン(131℃)、シクロヘキシルアミン(134℃)、ヘプチルアミン(155℃)、3−ブトキシプロピルアミン(170℃)、オクチルアミン(176℃)、ノニルアミン(201℃)、デシルアミン(217℃)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(217℃)、ドデシルアミン(248℃)、ヘキサデシルアミン(330℃)、オレイルアミン(349℃)、オクタデシルアミン(232℃(32mmHg))などが例示される。アルキルジアミンとして、エチレンジアミン(118℃)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(105℃)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(119℃)、N,N-ジエチルエチレンジアミン(146℃)、N,N’−ジエチルエチレンジアミン(153℃)、1,3−プロパンジアミン(140℃)、2,2-ジメチル−1,3−プロパンジアミン(153℃)、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(136℃)、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(145℃)、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン(171℃)、1,4−ジアミノブタン(159℃)、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(193℃)、1,6−ジアミノヘキサン(204℃)、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン(228℃)、1,7−ジアミノヘプタン(224℃)、1,8−ジアミノオクタン(225℃)などが例示される。これらの中でも、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミンなど、沸点が130〜150℃の範囲にあるアルキルアミンが好ましく、ヘキシルアミンがより好ましい。
アルキルアミンは、一種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。銀化合物とアルキルアミンとから錯化合物を適切に生成できる限り、アルキルアミンの使用量は限定されない。
被覆銀粒子の製造の際に尿素を含有させることにより、被覆銀粒子が効率的に形成される。尿素の使用量は、被覆銀粒子の形成に好ましい影響を与える限り、限定されない。
上記のとおり、好ましい一形態において、被覆銀粒子は、アルキルアミンおよび尿素を含有する銀含有液状組成物から形成されたものであるから、本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、アルキルアミンに基づく物質および尿素に基づく物質を含有する場合がある。本明細書において、「アルキルアミンに基づく物質」とは、アルキルアミンおよびアルキルアミンが他の物質、例えば銀粒子に付着する際に何らかの構造変化を生じたものの総称である。本明細書において、「尿素に基づく物質」とは、尿素および尿素が他の物質、例えば銀粒子に付着する際に何らかの構造変化を生じたものの総称である。好ましい一形態において、導電性インク組成物は、アルキルアミンに基づく物質をアルキルアミン換算で2.0質量%以上9.0質量%以下含有し、尿素に基づく物質を尿素換算で2.0質量%以上9.0質量%以下含有する。
(1−2)熱可塑性ポリウレタン樹脂
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する。
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の種類は、ウレタン結合を有する重合体であれば、限定されない。ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物との重合物などが挙げられる。熱可塑性ポリウレタン樹脂は一種類の樹脂から構成されていてもよいし、複数種類の樹脂から構成されていてもよい。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)は限定されない。これらは、導電性インク組成物が有するべき特性、例えば粘度に応じて適宜設定される。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の導電性インク組成物における含有量は、被覆銀粒子の銀換算含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量である。当該質量比率を1%超とすることにより、導電性インク組成物から形成された導電部材の基体に対する密着性が向上しやすくなる。かかる導電部材の基体に対する密着性が向上しやすくなることをより安定的に実現させる観点から、上記の質量比率は、2%以上であることが好ましい場合があり、3%以上であることがより好ましい場合がある。導電部材に残存する熱可塑性ポリウレタン樹脂は絶縁性であるから、上記の質量比率を10%未満とすることにより導電部材の導電性の低下が生じにくくなる。導電部材が良好な導電性を有することを容易にする観点から、上記の質量比率は、7%以下であることが好ましい場合があり、5%以下であることがより好ましい場合がある。
(1−3)その他の成分
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂以外の成分として、溶剤や分散剤を含有していてもよい。
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂以外の成分として、溶剤や分散剤を含有していてもよい。
溶剤として、ブタノール等のアルコール溶剤や、オクタン等の非極性溶剤、またはそれらの混合溶剤等の適宜の有機溶媒が挙げられる。使用する有機溶媒は、被覆銀粒子の保護膜に含まれるアルキルアミン等の脱離を生じさせず、かつ、導電性インク組成物が基体上に配置された後、比較的速やかに蒸発するものが好ましく用いられる。導電性インク組成物における溶剤の含有量は限定されない。溶剤の種類、導電性インク組成物の粘度などを考慮して適宜設定される。
分散剤として、例えばオレイン酸などの脂肪酸をアミン混合物に混合して用いてもよい。特に、短鎖のアルキルアミンを大きな割合で含有するなどにより、アルキルアミンの平均の分子量が小さいアミン混合物を用いる場合に適宜の脂肪酸を加えることは効果的である。ただし、過剰な量の脂肪酸を使用した場合には、被覆銀粒子からの保護膜の脱離温度が上昇する傾向が見られるため、分散剤の添加量は反応系に含まれる金属銀原子に対して5モル%以下とすることが望ましい。導電性インク組成物における分散剤の含有量は限定されない。分散剤の種類、導電性インク組成物の粘度、導電性インク組成物を焼成して得られる部材(焼結部材)の導電性などを考慮して適宜設定される。本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂以外の成分として、溶剤以外には実質的に含有しないことが好ましい。
(1−4)粘度
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、典型的には、導電性インク組成物を基体上に配置したのち焼成して、導電部材を形成する用途で使用される。この導電性インク組成物を基体上に配置する工程が印刷により行われる場合には、当該工程を実施することによって、被覆銀粒子含有組成物のパターンを基体上に形成することができ、好ましい。この目的で使用される印刷の具体的な方法は任意である。本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物が、熱可塑性ポリウレタン樹脂以外のバインダー成分を含有せず、せん断速度が38.4s−1の条件で測定された粘度が5Pa・s以上である場合には、工業的な量産性に優れるグラビアオフセット印刷など有版印刷のインクとして好適に使用することができる。かかるインクを用いれば、ファインパターン(例えば、複数の30μm程度のラインを30μm程度のスペースで印刷することが挙げられる。)の導電性インク組成物を基体上に印刷することができる。ファインパターンの導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成することをより容易にする観点から、上記の粘度は、7Pa・s以上であることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、典型的には、導電性インク組成物を基体上に配置したのち焼成して、導電部材を形成する用途で使用される。この導電性インク組成物を基体上に配置する工程が印刷により行われる場合には、当該工程を実施することによって、被覆銀粒子含有組成物のパターンを基体上に形成することができ、好ましい。この目的で使用される印刷の具体的な方法は任意である。本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物が、熱可塑性ポリウレタン樹脂以外のバインダー成分を含有せず、せん断速度が38.4s−1の条件で測定された粘度が5Pa・s以上である場合には、工業的な量産性に優れるグラビアオフセット印刷など有版印刷のインクとして好適に使用することができる。かかるインクを用いれば、ファインパターン(例えば、複数の30μm程度のラインを30μm程度のスペースで印刷することが挙げられる。)の導電性インク組成物を基体上に印刷することができる。ファインパターンの導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成することをより容易にする観点から、上記の粘度は、7Pa・s以上であることが好ましい。
2.導電部材
本発明の一実施形態に係る導電部材は、上記の本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物から形成されたものである。上記のとおり、本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有するため、かかる組成物から形成された導電部材は導電性が高く、具体的には、導電部材の体積抵抗率は100μΩ・cm以下となりうる。好ましい一形態では、導電部材の体積抵抗率は50μΩ・cm以下となりうる。また、前述のように、本発明の好ましい一実施形態に係る導電部材は、工業的な量産性に優れる有版印刷を含む製造方法により製造することができる。さらに、本発明の好ましい一実施形態に係る導電部材は、基体に対する密着性に優れる。具体的には、JIS K5400に準拠して碁盤目テープ試験をしたときに、分類1と判定されるわずかな剥がれまたは分類0と判定される剥がれ無しとなることができる。
本発明の一実施形態に係る導電部材は、上記の本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物から形成されたものである。上記のとおり、本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物は、被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有するため、かかる組成物から形成された導電部材は導電性が高く、具体的には、導電部材の体積抵抗率は100μΩ・cm以下となりうる。好ましい一形態では、導電部材の体積抵抗率は50μΩ・cm以下となりうる。また、前述のように、本発明の好ましい一実施形態に係る導電部材は、工業的な量産性に優れる有版印刷を含む製造方法により製造することができる。さらに、本発明の好ましい一実施形態に係る導電部材は、基体に対する密着性に優れる。具体的には、JIS K5400に準拠して碁盤目テープ試験をしたときに、分類1と判定されるわずかな剥がれまたは分類0と判定される剥がれ無しとなることができる。
3.導電部材の製造方法
上記の本発明の一実施形態に係る導電部材は、例えば、次に説明する印刷工程および焼成工程を備える方法により製造することができる。
上記の本発明の一実施形態に係る導電部材は、例えば、次に説明する印刷工程および焼成工程を備える方法により製造することができる。
(1)印刷工程
印刷工程では、上記の本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成する。基体の形状および材質は限定されない。基体の形状は、板状であってもよいし、筒状などより立体的な形状を有していてもよい。さらに、凹凸を有した複雑な形状を有していてもよい。
印刷工程では、上記の本発明の一実施形態に係る導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成する。基体の形状および材質は限定されない。基体の形状は、板状であってもよいし、筒状などより立体的な形状を有していてもよい。さらに、凹凸を有した複雑な形状を有していてもよい。
基体の材質として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ガラス、紙、金属、シリコン、無機系材料および金属系材料ならびにこれらの材料の複合材料(かかる複合材料を用いた基体の具体例としてガラスエポキシ基体が挙げられる。)を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテル−エーテルケトン、ポリアリレート、アロマティックポリエステル、アロマティックポリアミド、フッ素樹脂、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメタクリル酸メチル、酢酸セルロース等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、アニリン樹脂、アセトン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂等が挙げられる。
無機系材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物を意味し、例えばアルミナ(Al2O3)、シリコンナイトライド(SiN)、シリコンカーバイド(SiC)、アルミナイトライド(AlN)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等が挙げられる。
印刷物を基体上に形成する方法は限定されない。オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などが例示される。これらの中でも、オフセット印刷やスクリーン印刷などの有版印刷が、工業的量産性に優れるため、好ましい。
(2)焼成工程
焼成工程では、基体上に形成された印刷物を加熱する。この加熱により印刷物に含まれる被覆銀粒子を焼成して、基体上に導電部材を形成する。焼成温度は適宜設定されるが、110℃またはそれ以下の温度でもよい。被覆銀粒子において保護膜を構成する材料の一種である可能性があるアルキルアミンに基づく物質は、そのアミノ基を介した配位結合により銀粒子の表面に対して弱く結合しており、加熱によって比較的容易に脱離可能であると考えられる。それゆえ、例えば、基体上に配置された印刷物の焼成温度が110℃程度以下であっても、被覆銀粒子からアルキルアミンに基づく物質が容易に脱離して、銀粒子同士が直接接触する(結合する)ことが実現されていると考えられる。基体を構成する材料が樹脂系材料からなる場合には、焼成温度は可能な限り低いことが好ましく、この場合には、100℃以下であることが好ましい場合があり、90℃以下であることがより好ましい場合がある。
焼成工程では、基体上に形成された印刷物を加熱する。この加熱により印刷物に含まれる被覆銀粒子を焼成して、基体上に導電部材を形成する。焼成温度は適宜設定されるが、110℃またはそれ以下の温度でもよい。被覆銀粒子において保護膜を構成する材料の一種である可能性があるアルキルアミンに基づく物質は、そのアミノ基を介した配位結合により銀粒子の表面に対して弱く結合しており、加熱によって比較的容易に脱離可能であると考えられる。それゆえ、例えば、基体上に配置された印刷物の焼成温度が110℃程度以下であっても、被覆銀粒子からアルキルアミンに基づく物質が容易に脱離して、銀粒子同士が直接接触する(結合する)ことが実現されていると考えられる。基体を構成する材料が樹脂系材料からなる場合には、焼成温度は可能な限り低いことが好ましく、この場合には、100℃以下であることが好ましい場合があり、90℃以下であることがより好ましい場合がある。
焼成時間は限定されない。加熱温度が上記の温度であれば、通常、焼成時間を1時間程度以上とすることで、被覆銀粒子含有組成物に含有される被覆銀粒子の焼成が可能である。焼成時間を延長することにより、焼成により得られた導電部材の導電性を高めることが可能であるが、焼成時間の延長により導電部材の導電性を高めることには限界があり、通常、焼成時間を5時間程度とすれば、それ以上焼成時間を延長しても、導電部材の導電性の向上の程度はわずかである。導電部材について導電率の向上と生産性の向上とのバランスを良好にする観点から、焼成時間は、5時間以下とすることが好ましい場合があり、3時間以下とすることがより好ましい場合がある。本発明の一実施形態に係る被覆銀粒子含有組成物を用いることにより、この程度の焼成時間であっても、得られた導電部材は100μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能であり、好ましい一例では50μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能である。
4.電気・電子部品および電気・電子機器
本発明の一実施形態に係る電気・電子部品は、前述の本発明の一実施形態に係る導電部材からなる電気配線を備える。本発明の一実施形態に係る導電部材は、前述のように、100μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能であり、50μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能となる場合もある。しかも、本発明の一実施形態に係る導電部材は、基体に対する密着性に優れる。それゆえ、本発明の一実施形態に係る導電部材からなる電気配線は、厚さが7μm程度の薄膜からなる場合であっても導電性が高く、かかる電気配線を備える電気・電子部品は、配線幅が狭い場合であっても、配線抵抗が高くなったり、配線が基体から剥離して断線したりする不具合が生じにくい。したがって、電気・電子部品を小型化することが可能である。
本発明の一実施形態に係る電気・電子部品は、前述の本発明の一実施形態に係る導電部材からなる電気配線を備える。本発明の一実施形態に係る導電部材は、前述のように、100μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能であり、50μΩ・cm以下の体積抵抗率を有することが可能となる場合もある。しかも、本発明の一実施形態に係る導電部材は、基体に対する密着性に優れる。それゆえ、本発明の一実施形態に係る導電部材からなる電気配線は、厚さが7μm程度の薄膜からなる場合であっても導電性が高く、かかる電気配線を備える電気・電子部品は、配線幅が狭い場合であっても、配線抵抗が高くなったり、配線が基体から剥離して断線したりする不具合が生じにくい。したがって、電気・電子部品を小型化することが可能である。
また、上記の本発明の一実施形態に係る製造方法により導電部材を製造すれば、微細形状(ファインパターン)の導電部材を様々な材質からなる基体上に低温で形成することが可能である。具体的には、例えば、樹脂系材料からなる基体の面に沿って、数十μmの幅の電気配線を形成することができる。したがって、上記の本発明の一実施形態に係る製造方法により導電部材からなる電気配線を備える電気・電子部品は、材料および形状について高い設計自由度で製造された部品とすることができる。
そのような電気・電子部品の具体例として、タッチパネルが挙げられる。タッチパネルは表示デバイスの前面に配置される場合があり、この場合には全体の厚さが薄いことが求められる。また、検出領域を拡大することも求められている。このため、タッチパネルの配線は、さらに薄くかつ狭くすることが求められている。これらの要請に応える手段の一つとして、配線の体積抵抗率を低下させることが挙げられる。さらに、タッチパネルの曲面化が求められ始めており、そのためには、樹脂系材料上に体積抵抗率の低い配線を形成することが必要である。本発明の一実施形態に係る導電部材からなる電気配線は、こうした要請の全てに応えることが可能である。
本発明の一実施形態に係る電気・電子機器は、上記の本発明の一実施形態に係る電気・電子部品を備える。上記のとおり、本発明の一実施形態に係る電気・電子部品は小型化が可能であり、かつ材料および形状についての設計自由度が高いため、かかる電気・電子機器は、携帯性に優れる、省電力性に優れる、といった利点を有することが期待される。本発明の一実施形態に係る電気・電子部品の具体例として、スマートフォン、タブレット端末、ノートPCなど従来型の情報端末に加えて、メガネ型の情報端末、時計型の情報端末など、いわゆるウェアラブル端末が挙げられる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
銀化合物として、硝酸銀(関東化学社製、一級)とシュウ酸二水和物(関東化学社製、特級)とから合成したシュウ酸銀を使用した。シュウ酸銀5.00mmol(1.519g)に対し、尿素20mmol(1.201g)と、アルキルアミンとしてのn−ヘキシルアミン(東京化成、特級)20.0mmol(2.024g)および脂肪酸であるオレイン酸(東京化成、>85.0%)0.23mmol(0.065g)とを混合し、それぞれ室温で30分間攪拌して、銀含有液状組成物を得た。
銀化合物として、硝酸銀(関東化学社製、一級)とシュウ酸二水和物(関東化学社製、特級)とから合成したシュウ酸銀を使用した。シュウ酸銀5.00mmol(1.519g)に対し、尿素20mmol(1.201g)と、アルキルアミンとしてのn−ヘキシルアミン(東京化成、特級)20.0mmol(2.024g)および脂肪酸であるオレイン酸(東京化成、>85.0%)0.23mmol(0.065g)とを混合し、それぞれ室温で30分間攪拌して、銀含有液状組成物を得た。
得られた銀含有液状組成物を加熱して、アルミブロック式加熱攪拌機(小池精密機器製作所)に移して、110℃の温度設定で加熱攪拌を10分間行った。加熱に伴い二酸化炭素の発生を伴う反応が進行し、二酸化炭素の発生が完了するまで攪拌を行うことで、青色または緑色の光沢を呈する銀粒子がアルキルアミンを含む混合物中に懸濁した懸濁液を得た。
次に、この懸濁液にメタノール(関東化学、一級)10mLを加えて攪拌後、遠心分離(2600G)により銀粒子を沈殿させて分離し、分離した銀粒子に対し、再度メタノール10mLを加え、撹拌、遠心分離を行うことで、銀粒子を沈殿させて分離し、ペースト状の被覆銀粒子を1.0g得た。
得られた被覆銀粒子および熱可塑性ポリウレタン樹脂(荒川化学社製、ユリアーノ8001)ならびに溶媒を混合して導電性インク組成物を得た。熱可塑性ポリウレタン樹脂の添加量は、被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率として、1%であった。
(実施例2)
実施例1と同様の作業を行って、被覆銀粒子を得た。被覆銀粒子に熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有させず、被覆銀粒子からなる導電性インク組成物を得た。
実施例1と同様の作業を行って、被覆銀粒子を得た。被覆銀粒子に熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有させず、被覆銀粒子からなる導電性インク組成物を得た。
(実施例3から9)
実施例1と同様の作業を行って、被覆銀粒子を得た。得られた被覆銀粒子と熱可塑性ポリウレタン樹脂(荒川化学社製、ユリアーノ8001)または他の材料からなる添加成分とを混合して、被覆銀粒子含有組成物からなる導電性インク組成物を得た。添加成分の添加量は、被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率(添加量、単位:%)が表1に示される量であった。
実施例1と同様の作業を行って、被覆銀粒子を得た。得られた被覆銀粒子と熱可塑性ポリウレタン樹脂(荒川化学社製、ユリアーノ8001)または他の材料からなる添加成分とを混合して、被覆銀粒子含有組成物からなる導電性インク組成物を得た。添加成分の添加量は、被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率(添加量、単位:%)が表1に示される量であった。
なお、表1の添加成分の列における略称の意味は次のとおりである。
Y:ユリアーノ8001(荒川化学工業社製)
KM:カレンズMOI(昭和電工社製) イソシアネート系
KMB:カレンズMOI−BP(昭和電工社製) イソシアネート系
A:アラキード7005N(荒川化学工業社製) ポリエステル系
KA:KA−2112(荒川化学工業社製) ポリエステル系
Y:ユリアーノ8001(荒川化学工業社製)
KM:カレンズMOI(昭和電工社製) イソシアネート系
KMB:カレンズMOI−BP(昭和電工社製) イソシアネート系
A:アラキード7005N(荒川化学工業社製) ポリエステル系
KA:KA−2112(荒川化学工業社製) ポリエステル系
(試験例1)体積抵抗率の測定
実施例により作製した導電性インク組成物を、バーコート(オーエスジーシステムプロダクツ社製、「OSP−10」)を用いて、PETフィルム上に塗布した。被覆銀粒子含有組成物が塗布されたPETフィルムを100℃で1時間焼成して、PETフィルム上に膜状の導電部材を得た。
実施例により作製した導電性インク組成物を、バーコート(オーエスジーシステムプロダクツ社製、「OSP−10」)を用いて、PETフィルム上に塗布した。被覆銀粒子含有組成物が塗布されたPETフィルムを100℃で1時間焼成して、PETフィルム上に膜状の導電部材を得た。
膜状の導電部材の膜厚を測定するとともに、抵抗値を測定して、体積抵抗率(単位:μΩ・cm)を求めた。結果を表1に示す。表1に示されるように、熱可塑性ポリウレタン樹脂の添加量を適切に制御することにより、体積抵抗率を50μΩ・cm以下にすることができることが確認された。それに対して、熱可塑性ポリウレタン樹脂以外のバインダーを用いた場合には、密着性が十分に確保できない程度に添加量が少ないにも関わらず体積抵抗率が大きくなってしまう結果が得られた。
(試験例2)基体密着性試験
実施例により作製した導電性インク組成物を、バーコート(オーエスジーシステムプロダクツ社製、「OSP−10」)を用いて、PETフィルム上に塗布した。被覆銀粒子含有組成物が塗布されたPETフィルムを100℃で1時間焼成して、PETフィルム上に膜状の導電部材を得た。
実施例により作製した導電性インク組成物を、バーコート(オーエスジーシステムプロダクツ社製、「OSP−10」)を用いて、PETフィルム上に塗布した。被覆銀粒子含有組成物が塗布されたPETフィルムを100℃で1時間焼成して、PETフィルム上に膜状の導電部材を得た。
膜状の導電部材に対して、JIS K5400に準拠して碁盤目(100マス)テープテストを行った。その結果を表1に示す。表1の基体密着性の列における略号の意味は次のとおりである。
A:剥がれたマスは認められなかった。
B:マスの剥がれが認められたが、剥がれたマスの数は明らかに全体の5%未満であった。
C:マスの剥がれが認められ、剥がれたマスの数は明らかに全体の5%以上であった。
B:マスの剥がれが認められたが、剥がれたマスの数は明らかに全体の5%未満であった。
C:マスの剥がれが認められ、剥がれたマスの数は明らかに全体の5%以上であった。
表1に示されるように、導電性インク組成物が熱可塑性ポリウレタン樹脂の添加量を適切に制御することにより、基体であるPETフィルムに対して優れた密着性を有しうることが確認された。
(試験例3)粘度の測定およびグラビアオフセット印刷性の評価
実施例1および2により得られた導電性インク組成物の粘度をせん断速度が38.4s−1の条件で測定した。実施例4(本発明例)に係る被覆銀粒子含有組成物の上記条件での粘度は12.9Pa・sであり、実施例2(比較例)に係る被覆銀粒子含有組成物の上記条件での粘度は10.8Pa・sであった。
実施例1および2により得られた導電性インク組成物の粘度をせん断速度が38.4s−1の条件で測定した。実施例4(本発明例)に係る被覆銀粒子含有組成物の上記条件での粘度は12.9Pa・sであり、実施例2(比較例)に係る被覆銀粒子含有組成物の上記条件での粘度は10.8Pa・sであった。
上記の各実施例により得られた導電性インク組成物を用いて、30μm幅のラインと30μm幅のスペースとからなるストライプを、PETフィルム上にグラビアオフセット印刷した。印刷物が配置されたPETフィルムを100℃で1時間焼成して、PETフィルム上にストライプ状の導電部材を形成した。
得られた導電部材のパターンを、光学顕微鏡を用いて観察した。観察結果を図1および2に示す。実施例1(本発明例)に係る導電部材のパターン(図1)は、ライン幅が35μm程度であって、スペース幅が25μm程度であり、ラインを構成する導電部材は欠陥が少なかった。これに対し、実施例2(比較例)に係る導電部材のパターン(図2)は、ライン幅が40μm程度であって、スペース幅が20μm程度であり、ラインを構成する導電部材は欠陥が多数存在した。
以上のように、本発明に係る導電性インク組成物を用いて製造される導電部材は導電性に優れるため、電気・電子部品の電気配線などに好適に使用することができる。
Claims (16)
- 被覆銀粒子と、熱可塑性ポリウレタン樹脂とを含有する導電性インク組成物であって、
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の含有量は、前記被覆銀粒子の銀換算の含有量に対する質量比率が1%超10%未満となる量であること
を特徴とする導電性インク組成物。 - アルキルアミンに基づく物質を含有する、請求項1に記載の導電性インク組成物。
- 尿素に基づく物質を含有する、請求項1または2に記載の導電性インク組成物。
- 前記熱可塑性ポリウレタン樹脂以外のバインダー成分を含有せず、せん断速度が38.4s−1の条件で測定された粘度が5Pa・s以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性インク組成物。
- 前記被覆銀粒子は、
(1)加熱により分解して金属銀を生成しうる銀化合物と、
(2)アルキルアミンと、
(3)尿素と、
を含有する銀含有液状組成物から形成されたものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の導電性インク組成物。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載される導電性インク組成物から形成されることを特徴とする導電部材。
- 体積抵抗率が50μΩ・cm以下である、請求項6に記載の導電部材。
- 請求項6または7に記載される導電部材からなる電気配線を備えることを特徴とする電気・電子部品。
- 請求項8に記載される電気・電子部品を備えることを特徴とする電気・電子機器。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載される導電性インク組成物からなる印刷物を基体上に形成する印刷工程;および
前記印刷物を加熱することにより前記印刷物内に含まれる前記被覆銀粒子を焼成して、前記基体上に導電部材を形成する焼成工程
を備えることを特徴とする導電部材の製造方法。 - 前記焼成工程における前記印刷物の加熱温度は110℃以下である、請求項10に記載される導電部材の製造方法。
- 前記焼成工程における前記印刷物の加熱時間は3時間以下である、請求項10または11に記載される導電部材の製造方法。
- 前記導電部材の体積抵抗率は50μΩ・cm以下である、請求項10から12のいずれか一項に記載される導電部材の製造方法。
- 前記印刷工程では有版印刷により前記印刷物が形成される、請求項10から13のいずれか一項に記載される製造方法。
- 請求項10から14のいずれか一項に記載される製造方法により製造された導電部材からなる電気配線を備えることを特徴とする電気・電子部品。
- 請求項15に記載される電気・電子部品を備えることを特徴とする電気・電子機器。
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CN111909569A (zh) * | 2019-05-07 | 2020-11-10 | 施乐公司 | 导电油墨组合物和由其制成的制品 |
-
2015
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