JP2016204248A - フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法 - Google Patents

フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、フロートバス及びドロスボックス内の圧力変動や外気の侵入を抑制して、高い品質の薄板ガラスの製造に寄与できるフロートガラスの製造装置を提供する。【解決手段】溶融金属を収容するフロートバスと、溶融金属上で帯板状に成形されたガラスリボンが搬入される徐冷炉と、フロートバスと徐冷炉との間に設けられるドロスボックスと、該ドロスボックス内に設けられ、フロートバスから徐冷炉にガラスリボンを搬送する複数のリフトアウトロールの上部に配置されたドレープとを備えたフロートガラスの製造装置であって、ドレープは、ガラスリボンの搬送方向の下流側に補強手段を設けている。【選択図】図1

Description

本発明は、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法に関する。
板ガラスの代表的な製造方法の1つとして、フロート法が知られている。フロート法では、フロートバス内の溶融金属の浴面に溶融ガラスを連続的に供給して帯板状のガラスリボンを形成する。ガラスリボンは、浴面から引き揚げられた後、フロートバスの出口から引き出され、ドロスボックス内に配置されたリフトアウトロールによって搬送される。次いで、ガラスリボンは、徐冷炉内に搬送され、搬送ロール(レアロール)によって搬送されながら徐冷される。続いて、ガラスリボンは、徐冷炉外に搬出され、室温付近まで冷却された後、所定寸法に切断され、製品であるガラス板となる。溶融金属には通常、溶融スズが用いられている。
スズは単体で、酸素の存在する雰囲気中で高温にすると酸化されて酸化スズ(SnO2 )となる。フロートバス、ドロスボックス、徐冷炉などからなるフロートガラス製造装置において、フロートバス内に侵入した酸素により高温の溶融スズが酸化して酸化スズが生成し、ガラスリボンの表面に付着してしまう問題がある。この点に鑑み、フロートバス内に還元性ガス、例えば水素、窒素、あるいは水素と窒素との還元性混合ガス等を供給し、外気よりフロートバス内部を陽圧にして、酸素を含む外気の侵入を拒んでいる。
前記フロートバスと前記徐冷炉との間に設けられるドロスボックス内は、前述したフロートバスからの還元性混合ガスが供給されて、ドロスボックス内を大気圧以上に保持して、酸化スズの生成、付着を防止する環境を保持することが求められている。
しかし、ドロスボックスの徐冷炉側の隙間などから酸素を含む外気が侵入して、ドロスボックス内の圧力が変動し、ドロスボックス内でガラスリボンの表面に酸化スズが生成、付着してしまう。すると、製造される板ガラスに剥離や歪などの欠点が生じて品質を下げてしまう。
近年、テレビ、スマートフォンなどには薄板ガラスが使用されており、こうした薄板ガラスの表面に微小な欠点があると、強度劣化に直結してしまう。
上記問題点を鑑みて、フロートバス及びドロスボックス内の圧力が変動すること、及び酸素を含む外気が侵入することを防止するため、ドロスボックスのリフトアウトロールの上方位置にドレープと呼ばれる金属製のカーテンを配置する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−146433号公報
しかし、特許文献1の技術は、以下のような問題がある。
ドレープのガラスリボンの搬送方向の上流側の面は、常にフロートバスからの圧力を受けている状態にある。したがって、時間経過と共にドレープは、ガラスリボンの搬送方向の下流側の面が膨れる反り変形が生じてしまう。
すると、フロートバス及びドロスボックス内の圧力が変動したり、外気の侵入を許容してしまい、製造される薄板ガラスに欠点を生じさせて品質を下げてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、フロートバス及びドロスボックス内の圧力変動や外気の侵入を抑制して、高い品質の薄板ガラスの製造に寄与できるフロートガラスの製造装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
溶融金属を収容するフロートバスと、前記溶融金属上で帯板状に成形されたガラスリボンが搬入される徐冷炉と、前記フロートバスと前記徐冷炉との間に設けられるドロスボックスと、該ドロスボックス内に設けられ、前記フロートバスから前記徐冷炉に前記ガラスリボンを搬送する複数のリフトアウトロールの上部に配置されたドレープとを備えたフロートガラスの製造装置であって、
前記ドレープは、前記ガラスリボンの搬送方向の下流側に補強手段を設けていることを特徴とするフロートガラスの製造装置が提供される。
本発明の一態様によれば、フロートバス及びドロスボックス内の圧力変動や外気の侵入を抑制して、高い品質の薄板ガラスの製造に寄与できるフロートガラスの製造装置を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係るフロートガラスの製造装置の一部断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープの概略構成図であり、(A)は(B)のI−I矢視断面図であり、(B)はドレープの正面図である。 本発明の第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープの概略構成図であり、(A)は(B)のII−II矢視断面図であり、(B)はドレープの正面図である。 本発明の第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープの変形例を示す概略構成図であり、(A)は(B)のIII−III矢視断面図であり、(B)はドレープの正面図である。 比較例と実施例における実験結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。なお、以下の説明において、「下流側」とはガラスリボンの搬送方向下流を指し、「上流側」とはガラスリボンの搬送方向上流を指す。
[第1の実施形態]
(フロートガラスの製造装置)
図1は、本発明の第1の実施形態によるフロートガラスの製造装置の一部断面図である。図1に示すように、フロートガラスの製造装置1は、フロートバス10と、徐冷炉20と、フロートバス10と徐冷炉20との間に設けられるドロスボックス30とを備える。
フロートバス10内の溶融金属11の浴面12上で、所望の幅や厚さに成形されたガラスリボン2は、リフトアウトロール4や搬送ロール21の牽引力によって浴面12から引き揚げられる。次いで、ガラスリボン2は、フロートバス10の出口13からドロスボックス30内に搬入され、リフトアウトロール4によって搬送される。続いて、ガラスリボン2は、徐冷炉20内に搬入され、搬送ロール(レアロール)21によって搬送されながら徐冷される。その後、ガラスリボン2は、徐冷炉20外に搬出され、室温付近まで冷却された後、所定寸法に切断され、製品であるガラス板となる。
ガラス板に使用するガラスは、ガラス板の用途などに応じて適宜選定される。例えば、ガラス板の用途がプラズマディスプレイ用ガラス基板の場合、歪点の温度が高く、熱膨張係数が大きいガラスが用いられる。また、ガラス板の用途が液晶ディスプレイ用ガラス基板の場合、アルカリ金属が液晶ディスプレイの品質に悪影響を及ぼすので、アルカリ金属を実質的に含まない無アルカリガラスが用いられる。ここで、「無アルカリガラス」とは、LiO、NaO、KOなどのアルカリ金属酸化物を意図的に含有しないガラスをいう。
フロートバス10は、溶融金属11を収容している。フロートバス10内の上部空間は、溶融金属11の酸化を防止するため、窒素および水素を含む還元性混合ガスで満たされている。また、フロートバス10内の上部空間は、外部からの空気の流入を防止するため、大気圧よりも高く設定されている。ガラスリボン2が引き出されるフロートバス10の出口13からはドロスボックス30に向かって還元性雰囲気が流出している。フロートバス10内の出口13付近には、ガラスリボン2を塑性変形可能な温度に調節するヒータ18が設けられている。
徐冷炉20は、下流側の出口にて外部に開放されている。従って、徐冷炉20の内部は、基本的には、酸素を含む雰囲気になっている。徐冷炉20の内部は、ドロスボックス30の内部を介して、フロートバス10の内部と連通している。
徐冷炉20内には、上記搬送ロール21の他、ヒータ28などが設けられている。搬送ロール21は、それぞれ、モータなどの駆動装置によって回転駆動され、その駆動力によってガラスリボン2を水平方向に搬送する。
ドロスボックス30は、断熱構造を有して良く、例えば図1に示すように、上部の外壁31の少なくとも一部が断熱材33で覆われており、下部の内壁32の少なくとも一部が断熱材34で覆われている。断熱材33、34としては、一般的なものが用いられる。断熱材33、34を用いることで、ドロスボックス30からの放熱を抑制して、ガラスリボン2の温度分布を安定化させることができ、製品の反りを抑えることができる。
ドロスボックス30内には、上記リフトアウトロール4(以下、単に「ロール4」ともいう)の他に、接触部材5、ドレープ6、ヒータ7などが設けられている。ロール4は、それぞれ、モータなどの駆動装置によって回転駆動され、その駆動力によってガラスリボン2を斜め上方に向けて搬送する。ロールの数は、複数である限り、特に限定されない。ロール4の下部には、接触部材5が設けられている。
接触部材5は、カーボンなどで形成される。接触部材5は、それぞれ、対応するロール4の外周面に摺接して、ガラスリボン2の下方空間を複数の空間35〜38に仕切っている。
ドレープ6は、ガラスリボン2の上方及びロール4の上部位置に設けられ、ガラスリボン2の上方空間を遮蔽する遮蔽壁である。ガラスリボン2の上方空間には、フロートバス10の出口13から流出した還元性混合ガスが徐冷炉20の入口23(ドロスボックス30の出口39)に向けて流れている。
ドレープ6は、徐冷炉20から酸素が侵入することを制限し、ドロスボックス30内の酸素濃度の増加を規制する。これにより還元性混合ガスの水素の燃焼を抑制することができ、水素の燃焼炎による温度変動や局部加熱を抑制することができる。ドレープ6はガラスリボン2の搬送を妨げないように、ガラスリボン2の上面からわずか(例えば1cm)に離間するように配置されている。ドレープ6は、外壁31によって吊持されており、ガラスリボン2の搬送方向に沿って複数設けられる。
本実施形態のフロートガラスの製造装置1は、上記したドレープ6の構成に特長があり、特にドレープ6が下流側に膨らんで反り変形することを防止できる構成を有する。この点は、後述する。
ヒータ7は、ガラスリボン2の上下両側に離間して設けられており、それぞれ、ガラスリボン2の搬送方向に沿って複数列設けられている。各列のヒータ7は、例えば図1に示すように、ドレープ6同士の間や接触部材5同士の間に設けられている。各列のヒータ7は、ガラスリボン2の幅方向に分割されてよい。
(ドレープ)
次に、第1の実施形態に係るフロートガラスの製造装置1を構成するドレープ6を図面に基づいて詳しく説明する。図2にドレープの概略構成を示した。図2Aは図2BのI−I矢視断面図であり、図2Bはドレープの正面図である。図2Bを更に云うとガラスリボン2の搬送方向に対して下流側から見た正面図である。
ドレープ6は、フレーム部60とコルゲート鉄板部61とを有している。フレーム部60は、コルゲート鉄板部61の上部の表面と裏面とを挟み込んで支持するべく、2枚のフレーム材60Aと60Bとを有している。フレーム材60Aは、コルゲート鉄板部61の上流側面(表面)に配置され、フレーム材60Bは、コルゲート鉄板部61の下流側面(裏面)に配置される。フレーム材60A、60Bは、ステンレス製のアングル材であり、コルゲート鉄板部61の上部位置において長手方向に沿って連続して配置され、一定の間隔で設けられたボルト孔へボルト8を捻じ込んで、コルゲート鉄板部61の上部を挟持してよい。フレーム材60A、60Bは、厚みが2.5mm〜3.5mm、好ましくは3mm程度であり、高さ(長さ)が80mm〜100mm、好ましくは93mm程度である。
コルゲート鉄板部61は、ステンレス製で波形形状を有するコルゲート鉄板であり、厚みが0.1mm〜0.2mm、好ましくは0.15mm程度の薄厚のものが使用される。本実施形態のドレープ6を、コルゲート鉄板部61を有する構成としたことにより、軽量で且つある程度の剛性を発揮でき、大きな外圧に対しては変形を許容できる。
即ち、ドレープ6は、フロートバス10から供給される還元性混合ガスに対してコルゲート鉄板が持つ波形形状によりある程度の剛性を発揮できる。ドレープ6の下端部の直下位置には、ガラスリボン2が搬送されている。ドレープ6とガラスリボン2との間はわずか(例えば1cm)な隙間しかないため、ガラスリボン2に割れが生じ、割れたガラス(カレット)がガラスリボン2の上面に乗っているとドレープ6の下端部に当たってしまう。このときドレープ6の剛性が高いと、ガラスリボン2の搬送流れを止めてしまい、製造装置1によるフロートガラスの生産を停止させなければならなくなる。しかし、薄厚のコルゲート鉄板部61を使用したことにより、当該コルゲート鉄板部61の下端部にガラスリボン2上のカレットが接触したとしても、積極的に変形して搬送流れを止めることが無い。
とは言え、フロートバス10から供給される還元性混合ガスに対してコルゲート鉄板部61のみで耐えるのでは、時間の経過などにより下流側面が膨らんで直ぐに変形してしまう。
そのため、本実施形態のドレープ6は、前記ガラスリボン2の搬送方向の下流側に補強手段62を設けることを特長としている。
補強手段62(変形防止板に相当)は、ドレープ6の幅方向(長手方向)に間隔を空けて複数設置される変形防止プレート62である。変形防止プレート62は、幅が30mm〜50mm、好ましくは40mm程度とされた細長いステンレス製のプレートであり、厚さが2mm〜4mm、好ましくは3mm程度である。つまり、変形防止プレート62は、コルゲート鉄板部61よりも厚く形成されて剛性力と支持力とを確保している。高さ(長さ)はコルゲート鉄板部61の長さの関係で適宜変更されるが、変形防止プレート62の下端が、コルゲート鉄板部61の下端より80mm〜120mm、好ましくは100mm程度上にくる高さを有することが好ましい。
上記構成の変形防止プレート62は、その上部位置にフレーム材60A、60Bに共通に設けられたボルト孔と一致する貫通孔が設けられており、上記したボルト8を貫通孔と両ボルト孔にねじ込んで、フレーム材60Bに取り付けられる。変形防止プレート62の下端部は、特に溶接などによりコルゲート鉄板部61と接続する必要は無い。勿論、適宜溶接などで接続してもよい。変形防止プレート62は、連続するフレーム材60Bの長手方向に、250mm〜350mm程度の間隔Lを空けて複数設置される。間隔Lは300mmであることがより好ましい。
上記構成とされたドレープ6は、複数の変形防止プレート62により、コルゲート鉄板部61の上流側面(表面)に還元性混合ガスを受け続けても下流側面(裏面)が膨らみ変形することを防止できる。
したがって、上記構成のドレープ6を有するフロートガラスの製造装置1を使用したフロートガラスの製造方法によれば、フロートバス及びドロスボックス内の圧力変動や外気の侵入を抑制して、ドロスボックス30内の圧力を目標値以内に保持でき、高い品質の薄板ガラスの製造に寄与できる。また、ドレープ6の変形が抑制されるので、ドレープ変形に伴う調整作業や、交換などの必要が無くなり、その間の生産ロスを防ぐことができ、作業効率と経済性に優れる。
上記の変形防止プレート62(補強手段)は、ガラスリボン2の搬送力に対して許容可能な2mm〜4mm、好ましくは3mm程度の厚さとしている。また、変形防止プレート62の下端とコルゲート鉄板部61の下端との関係は、変形防止プレート62の下端が、コルゲート鉄板部61の下端より上に配置される構成とした。したがって、コルゲート鉄板部61の下端部にガラスリボン2上のカレットが接触したとしても、積極的に変形して搬送流れを止めることを防止できる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を説明する。本実施形態は第1の実施形態と略同様の技術的思想を有しており、以下にその相違点を中心に説明する。端的に云うと、ドレープの補強手段の構成が相違している。各部材の厚みなどは同様である。
図3に第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープの概略構成を示した。図3Aは図3BのII−II矢視断面図であり、図3Bはドレープの正面図である。図3Bを更に云うとガラスリボン2の搬送方向に対して下流側から見た正面図である。
第2の実施形態のドレープ600は補強手段620を有している。補強手段620は、ガラスリボン2の搬送方向の下流側に配置されたフレーム材600Bが、ガラスリボンの搬送方向の上流側に配置されたフレーム材600Aより長く形成されることで構成される。
即ち、コルゲート鉄板部610の下流側面(裏面)に配置されるフレーム材600Bが、前記変形防止プレート62と同じ高さ(長さ)を有している。高さは、240mm〜300mm、好ましくは270mm程度である。フレーム材600Bの下端とコルゲート鉄板部610の下端は、フレーム材600Bの下端が、コルゲート鉄板部610の下端より80mm〜120mm、好ましくは100mm程度上に配置されてよい。したがって、コルゲート鉄板部610の下端部にガラスリボン2のカレットが接触したとしても、積極的に変形して搬送流れを止めることを防止できる。
補強手段620を構成するフレーム材600Bは、略中央高さ位置に長手方向(幅方向)に一定の間隔を空けて複数の開口部601Bが形成されている。この開口部601Bによりドレープ600の軽量化を図ることができる。
第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープ600は、第1の実施形態に比して部材点数が少なく組み付け作業が簡単である。また、補強手段620はコルゲート鉄板部610の下流側面と接触する面積が、第1の実施形態の補強手段62に比して大きいため、コルゲート鉄板部610の下流側面が膨れる変形などを長期的に防止できる。勿論、第1の実施形態で説明した効果も同様に奏することができる。
(変形例)
第2の実施形態はこの限りではなく、図4に示す変形例を有していてもよい。図4に第2の実施形態に係るフロートガラスの製造装置を構成するドレープの変形例を示した。図4Aは図4BのIII−III矢視断面図であり、図4Bはドレープの正面図である。図4Bを更に云うとガラスリボン2の搬送方向に対して下流側から見た正面図である。
即ち、ドレープ600は、片側端部箇所又は両側端部箇所において、フレーム材600Bの下端がコルゲート鉄板部610の下端と同じ高さとなるよう延長部602Bを有する構成とされている。
通例、ドレープ600の直下にあるガラスリボン2は、ドレープ600の幅よりも幅狭になっており、ドレープ600の両側端部箇所の直下位置には、ガラスリボン2は存在していない。即ち、両側端部箇所においては、ガラスリボン2の搬送止めをさほど考慮しなくてもよい。したがって、両側端部箇所において、フレーム材600Bに延長部602Bを構成させてコルゲート鉄板部610の下端と同じ高さとすることで、ドロスボックス30内の遮蔽率を更に向上させることができる。
(フロートガラスの製造方法)
本実施形態のフロートガラスの製造方法は、ドロスボックス30内に上記したドレープ6又は600を設置する以外は、従来のフロートガラスの製造方法と同様であってよい。図1を再度参照して、上記構成のドレープ6又は600を用いたフロートガラスの製造方法について説明する。
例えば、1600℃程度に設定した溶解窯にガラス原料を供給して溶融ガラスを得た後、その溶融ガラスを溶融スズが満たされたフロートバス10に流し込んでガラスリボン2を形成する。フロートバス10から搬出されたガラスリボン2は、上記のドレープ6、600が設置されたドロスボックス30内をリフトアウトロール4により搬送されて徐冷炉20に供給される。
ドロスボックス30内に配置されたドレープ6、600は、補強手段62、620により下流側が変形することを効果的に抑制しているため、フロートバス10及びドロスボックス30内の圧力が変動することを防止して目標値を保持できる。更に徐冷炉20の入口23から外気が侵入してくることを抑制して、ガラスリボン2に酸化スズが生成、付着することを防止でき、欠陥が少ない高い品質の薄板ガラスを提供できる。
製造されるフロートガラスは、例えばディスプレイ用のガラス基板、ディスプレイ用のカバーガラス、窓ガラスとして用いられる。
製造されるフロートガラスは、ディスプレイ用のガラス基板として用いられる場合、無アルカリガラスであってよい。無アルカリガラスは、NaO、KO、LiOなどのアルカリ金属酸化物を実質的に含有しないガラスである。無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物の含有量の合量が0.1質量%以下でよい。
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本発明者らは、変形防止プレートが無いドレープ(比較例)と、変形防止プレートを取り付けたドレープ(第1の実施形態のドレープ)(実施例)を用意し、同じ環境のドロスボックス内にそれぞれを4か月に亘って配置し、ドレープ変形とドロスボックス内の圧力、及び製造された薄板ガラスの品質を確認した。また、製造される薄板ガラスの板厚は、0.7mm以下とした。
比較例と実施例に使用したフレーム材、コルゲート鉄板部はステンレス製である。フレーム材の厚さは3mm、コルゲート鉄板部は波形形状のコルゲート鉄板であり、その厚さは0.15mmとした。実施例の変形防止プレートは、板厚3mm、幅40mm、高さ(長さ)270mmのステンレス製を使用した。
4か月後の結果を図5に示す。
熱変形に注目すると、実施例は、コルゲート鉄板部に変形は見られなかった。変形防止プレートが無い比較例は、コルゲート鉄板部の中央部が下流側に大きく膨らむ変形が確認された。
コルゲート鉄板部の変形に伴って、コルゲート鉄板部の下端とガラスリボンとの隙間を調整するレベルジャッキ調整は、実施例では挿入時の1回のみで、その後調整は行わなかった。比較例では、4か月で16回行った。
ドレープの交換は、実施例では一回もする必要が無かった。比較例では開始から2か月後にはドレープの交換をしなければならないほど変形した。
フロートバス及びドロスボックス内の圧力の変動は、実施例では殆ど変動が見られず目標とする圧力を保持できた。比較例では、圧力が著しく変動した。
製造された薄板ガラスの品質は、実施例ではドロス(酸化スズの付着)、剥離、板割れ、板反りなどの欠陥は見られなかった。比較例では、上記欠点が確認された。
因みに、第2の実施形態に示したドレープ600においても、大きな変形が見られず、長期間交換の必要が無く、ドロスボックス内の圧力の保持、品質面においても良好であることが確認されている。
上記のように本発明に係るフロートガラスの製造装置は、ドロスボックス内に配置するドレープを、ガラスリボンの搬送方向の下流側に上記構成の補強手段を設けた構成とした。したがって、フロートバス及びドロスボックス内の圧力変動や外気の侵入を抑制して、ドロスボックス30内の圧力を目標値以内に保持でき、高い品質の薄板ガラスの製造に寄与できる。また、ドレープの変形が抑制されるので、ドレープ変形に伴う調整作業や、交換などの必要が無くなり、その間の生産ロスを防ぐことができ、作業効率と経済性に優れる。
以上、フロートガラスの製造装置、フロートガラスの製造方法の実施形態などを説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
特に上記した補強手段の形状と構成はこの限りではなく、ドレープの変形を抑制できる形状と構成を有していればよい。例えばドレープを構成するコルゲート鉄板部の下側において、幅方向に延在する形状と構成の補強手段を実施してもよい。
1 フロートガラスの製造装置
2 ガラスリボン
10 フロートバス
11 溶融金属
12 浴面
13 出口
18 ヒータ
20 徐冷炉
21 搬送ロール
23 入口
28 ヒータ
30 ドロスボックス
31 外壁
32 内壁
33、34 断熱材
35〜38 空間
39 出口
4 リフトアウトロール
5 接触部材
6、600 ドレープ
60 フレーム部
60A、60B、600A、600B フレーム材
61、610 コルゲート鉄板部
601B 開口部
602B 延長部
62 補強手段(変形防止プレート)
620 補強手段
7 ヒータ

Claims (10)

  1. 溶融金属を収容するフロートバスと、前記溶融金属上で帯板状に成形されたガラスリボンが搬入される徐冷炉と、前記フロートバスと前記徐冷炉との間に設けられるドロスボックスと、該ドロスボックス内に設けられ、前記フロートバスから前記徐冷炉に前記ガラスリボンを搬送する複数のリフトアウトロールの上部に配置されたドレープとを備えたフロートガラスの製造装置であって、
    前記ドレープは、前記ガラスリボンの搬送方向の下流側に補強手段を設けていることを特徴とするフロートガラスの製造装置。
  2. 前記ドレープは、フレーム部とコルゲート鉄板部とを有しており、
    前記フレーム部は、
    前記コルゲート鉄板部の上部において、当該コルゲート鉄板部の前記ガラスリボンの搬送方向の下流側と上流側のそれぞれに配置され、当該コルゲート鉄板部を挟持する請求項1に記載のフロートガラスの製造装置。
  3. 前記補強手段は、
    当該ドレープの長手方向に間隔を空けて複数設置される変形防止板である請求項1又は2に記載のフロートガラスの製造装置。
  4. 前記補強手段は、
    前記ガラスリボンの搬送方向の下流側に配置された前記フレーム部が、当該ガラスリボンの搬送方向の上流側に配置された前記フレーム部より長く形成されて成る請求項1又は2に記載のフロートガラスの製造装置。
  5. 前記補強手段の下端は、前記コルゲート鉄板部の下端より上に配置されている請求項2に記載のフロートガラスの製造装置。
  6. 複数の前記変形防止板は、250mm〜350mmの間隔をおいて配置されている請求項3に記載のフロートガラスの製造装置。
  7. 前記補強手段の厚さは、前記コルゲート鉄板部より厚い請求項2に記載のフロートガラスの製造装置。
  8. 前記補強手段は、2.5mm〜3.5mmの厚みを有している請求項1〜5の何れか一項に記載のフロートガラスの製造装置。
  9. 前記コルゲート鉄板部は、0.1mm〜0.2mmの厚みを有している請求項2に記載のフロートガラスの製造装置。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のフロートガラスの製造装置を使用したフロートガラスの製造方法。
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