JP2016203082A - ラジカル機能液の製造方法およびラジカル機能液を用いた浄化方法 - Google Patents

ラジカル機能液の製造方法およびラジカル機能液を用いた浄化方法 Download PDF

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沖野 晃俊
Akitoshi Okino
晃俊 沖野
秀一 宮原
Shuichi Miyahara
秀一 宮原
浩明 川野
Hiroaki Kawano
浩明 川野
智裕 小林
Tomohiro Kobayashi
智裕 小林
洋輔 渡辺
Yosuke Watanabe
洋輔 渡辺
洋太 佐々木
Yota Sasaki
洋太 佐々木
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Abstract


【課題】本発明においては、洗浄、殺菌・消毒効果の高いラジカル機能液の製造方法を提供するとともに、当該ラジカル機能液の製造方法を処理対象物の洗浄工程に適用したラジカル機能液を用いた浄化方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを、溶媒Wに対して吹き込むことにより、少なくとも前記プラズマ中のラジカルを前記溶媒Wに対して溶解させてラジカル機能液とすることを特徴とするラジカル機能液の製造方法およびこのラジカル機能液を用いた浄化方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶媒に対して、少なくともプラズマを含む2種類以上のガスを溶解させて前記プラズマ中のラジカルを含むラジカル機能液とさらにマイクロバブルを溶解させた洗浄力に優れたラジカル機能液を製造する方法およびこのラジカル機能液を用いた浄化方法に関する。
従来、プラズマを利用して対象物を洗浄、殺菌・消毒する方法が広く知られている。具体的には、プラズマ生成用ガスとしての酸素ガスや水素ガスまたは水蒸気などを放電領域に導入して生成したプラズマを、処理対象物に直接照射することによって処理対象物の表面に付着した細菌や微生物などの有機物にプラズマ中のラジカルを接触させて殺菌するようにされていた。
この他にも、特許文献1には、マグネティック・スターラーによって攪拌されている超純水、イオン交換水、精製水または蒸留水などに対して、希ガスから生成されたプラズマを照射することにより、液中の活性酸素量を増大させた機能水を製造し、当該機能水によって消毒・殺菌を行うことが開示されている。特に、このようにプラズマを照射することによって消毒・殺菌効果のある機能水の製造方法を、汚水の浄化処理工程に適用することで汚水を直接消毒・殺菌することが開示されている。
特開2009−183867号公報
しかしながら、特許文献1に記載の機能水の製造方法においては、容器に貯留された液体の液面に対してプラズマを照射するようにして機能水を製造する方法であり、マグネティック・スターラーによって液体を攪拌してはいるものの、液中の活性酸素量を増大させるには長い時間を要している。
このような、特許文献1に記載の機能水の製造方法を汚水の浄化処理工程に適用しても、汚水を高速に大量に処理することが難しいという課題を有していた。
そこで、本発明においては、複数種類のラジカルを溶解させて殺菌・消毒効果を向上させたラジカル機能液およびマイクロバブルを溶解させてより洗浄力を向上させたラジカル機能液の製造方法を提供することを目的とする。そして、さらに、当該ラジカル機能液の製造方法を処理対象物の洗浄工程に適用したラジカル機能液を用いた浄化方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するべく、本発明の第1の態様のラジカル機能液の製造方法は、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを、溶媒に対して吹き込むことにより、少なくとも前記プラズマ中のラジカルを溶媒に対して溶解させてラジカル機能液とすることを特徴とする。
このような、本発明の第1の態様のラジカル機能液の製造方法においては、ラジカルを多量に含むラジカル機能液を高速にかつ安全に製造することを可能とする。
本発明の第2の態様のラジカル機能液の製造方法は、前記2種類以上のガスのうち、前記ガス状のプラズマ状態にないガスの少なくとも1種類がマイクロバブルとされて溶解されていることを特徴とする。
このような、本発明の第2の態様のラジカル機能液の製造方法においては、マイクロバブルの吸着効果やマイクロバブルがはじける際に生じる超音波によって汚れを剥がすので、極めて、洗浄力に優れたラジカル機能液を提供することを可能とする。
本発明の第3の態様のラジカル機能液の製造方法は、前記溶媒が、水、超純水、イオン交換水、蒸留水、有機溶剤、酸性溶液またはアルカリ性溶液のうち1種または複数種であることを特徴とする。
このような、本発明の第3の態様のラジカル機能液の製造方法においては、溶媒を処理対象物に応じて適宜選択することにより、様々な汚れの洗浄や細菌・ウイルスなどを殺菌・消毒を行うことができるラジカル機能液を提供することができる。
本発明の第1の態様のラジカル機能液を用いた浄化方法は、処理対象物が分散または浸漬された溶媒に対して、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを吹き込むことにより、少なくとも前記プラズマ中のラジカルを前記溶媒に対して溶解させて前記溶媒をラジカル機能液とすることにより、前記処理対象物を洗浄、殺菌・消毒することを特徴とする。
このような、本発明の第1の態様のラジカル機能液を用いた浄化方法においては、例えば、汚水の浄化に適用する場合には、溶媒としての水中に浮遊する処理対象物としての細菌・ウイルスやその他の有機物を水に溶解させたラジカルによって分解し、殺菌・消毒することによって極めて高速に浄化させることができる。この他にも、溶媒としての水中に処理対象物としての物体を浸漬させて、水に溶解させたラジカルによって当該物体の表面に付着した汚れを分解し、洗浄、殺菌・消毒することで極めて高速に物体の浄化を行うことができる。
本発明の第2の態様のラジカル機能液を用いた浄化方法は、前記2種類以上のガスのうち、前記ガス状のプラズマ状態にないガスの少なくとも1種類がマイクロバブルとされて溶解されており、前記処理対象物もしくは前記処理対象物に付着した汚れに前記マイクロバブルを吸着させて浮かせる、前記マイクロバブルがはじける際に生じる超音波によって前記処理対象物もしくは前記処理対象物に着した汚れを破壊・剥離させる、または、前記マイクロバブルが前記処理対象物の隙間に侵入して前記隙間にある汚れを浮かせるようにして前記処理対象物を浄化することを特徴とする。
このような、本発明の第2の態様のラジカル機能液を用いた浄化方法においては、マイクロバブルを溶解せたラジカル機能液とすることにより、処理対象物もしくは処理対象物に付着した汚れをマイクロバブルによって浮かせるもしくは破壊・剥離させた後、速やかに、ラジカルによって分解されるので、高速に汚れを洗浄することを可能とするとともに、汚れが再付着することを抑制することができる。
本発明のラジカル機能液の製造方法においては、複数種類のラジカルを溶解させて殺菌・消毒効果を向上させたラジカル機能液を提供することができる。
また、マイクロバブルを溶解させることにより、洗浄力に優れたラジカル機能液を提供することができる。
さらに、本発明のラジカル機能液を用いた浄化方法においては、溶媒に分散または浸漬された処理対象物を高速に洗浄、殺菌・消毒して浄化することを可能とする。
本発明のラジカル機能液製造装置の第1の実施形態を示す図 本発明のラジカル機能液製造装置の第2の実施形態を示す図 本発明のラジカル機能液製造装置の第3の実施形態を示す図 本発明の浄化装置の実施形態を示す図 実施例のプラズマのバブリング時間と残存菌数の関係を示す図
本発明のラジカル機能液製造方法およびラジカル機能液を用いた浄化方法の具体的な実施形態を以下に詳しく説明する。
本発明のラジカル機能液の製造方法は、溶媒に対して、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを吹き込むことにより、少なくともプラズマ中のラジカルを溶媒に溶解させてラジカル機能液とするものである。なお、溶媒に吹き込むガスは、予めガス同士を混合して混合ガスとしてから溶媒に吹き込んで溶解させても、各ガスをそれぞれ別々に溶媒に吹き込んで溶解させるようにしてもよい。
溶媒に対して吹き込む前述の2種類以上のガスは、少なくとも1種類がガス状のプラズマとされていればよいので、例えば、下記のようにプラズマとプラズマ状態にないガスとを組み合わせることができる。なお、「+」で区切られたガスはそれぞれ別々に溶媒に対して吹き込むことを意味する。
1.第1のプラズマ+第2のプラズマ
2.プラズマ+プラズマ状態にないガス
3.第1のプラズマとプラズマ状態にないガスとを予め混合したガス+第2のプラズマ
4.プラズマと第1のプラズマ状態にないガスとを予め混合したガス+第2のプラズマ状態にないガス
5.第1のプラズマと第1のプラズマ状態にないガスとを予め混合したガス+第2のプラズマと第2のプラズマ状態にないガスとを予め混合したガス
プラズマとしては、製造したラジカル機能液の用途によって様々なものを適宜選択することができるが、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス、窒素ガス、アンモニアガスまたは空気などをプラズマ化したものを用いることができる。特に、洗浄効果を期待する場合には、アンモニアから生成されたプラズマ、殺菌・消毒効果を期待する場合には、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガスから生成されたプラズマを用いることが好ましい。
また、プラズマ状態にないガスとしては、空気、二酸化炭素ガス、酸素ガス、水素ガス、窒素ガスなどを用いることができる。
溶媒としては、水、超純水、イオン交換水、蒸留水、有機溶剤、酸性溶液またはアルカリ性溶液のうち1種または複数種を適宜選択して用いることができる。
この他にも、予め、溶媒に対して、溶質としての食塩、ホウ酸、多糖類、洗浄剤またはポリマーなどを溶解させおくことにより、当該溶質と吹き込まれたプラズマに起因するラジカルとが反応して洗浄・殺菌力に優れた物質を形成し、さらに洗浄力、殺菌・消毒作用に優れたラジカル機能液を得ることができる。
また、本発明のラジカル機能液の製造方法においては、溶媒に対して、上記のプラズマ状態にないガスをマイクロバブルとして溶解させることが重要である。つまり、上記の溶媒に吹き込む少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスの組み合わせの態様の他に、下記のような態様を選択することもできる。なお、「+」で区切られたガスはそれぞれ別々に溶媒に対して吹き込むことを意味する。
6.プラズマ+プラズマ状態にないガスを用いたマイクロバブル
7.プラズマと第1のプラズマ状態にないガスとを予め混合したガス+第2のプラズマ状態にないガスを用いたマイクロバブル
このようにして、マイクロバブルを溶解させたラジカル機能液とすることにより、処理対象物もしくは処理対象物に付着した汚れにマイクロバブルを吸着させて浮かせる、マイクロバブルがはじける際に生じる超音波によって処理対象物もしくは処理対象物に付着した汚れを破壊・剥離させる、または、マイクロバブルが処理対象物の隙間に侵入して当該隙間にある汚れを浮かせるようにして処理対象物を浄化することで、極めて高速かつ洗浄力に優れたラジカル機能液を提供することができる。また、本発明のラジカル機能液においては、マイクロバブルによって浮かせるもしくは破壊された汚れを、ラジカルによって分解するようにされているので、一旦取り除かれた汚れが再付着することを抑制することができる。なお、マイクロバブルは、周知のマイクロバブル発生器を適用して発生させることができる。
このような、本発明のラジカル機能液の製造には、図1乃至図3に示すような製造装置を用いて製造することができる。
ラジカル機能液の製造装置1の第1の態様は、図1に示すように、溶媒Wを貯留するための貯留部2と、プラズマ生成用ガスに放電を生じさせて第1のプラズマまたは第2のプラズマをそれぞれ発生させるプラズマ源P1,P2と、貯留部2の側壁の一部に設けられ溶媒W内に第1のプラズマと第2のプラズマとをそれぞれ別々に吹き込むためのプラズマ導入部3p1,3p2とを備えている。なお、貯留部2には、蓋などを設けて閉鎖的な空間としてもよいし、プールなどのような大容量の貯留部2とする場合には、覆いをせずに開放的な空間としてもよい。
貯留部2とプラズマ導入部3p1,3p2との接続部分には、貯留部2内に貯留されている溶媒Wが逆流するのを防ぐとともに、プラズマ導入部3p1,3p2側からのガスを貯留部2内に気泡状態で導入するための複数の通気口4aが形成された仕切り板4が設けられている(図1(b))。
本実施形態においては、プラズマ源P1,P2としてマルチガスプラズマジェット(株式会社プラズマコンセプト東京社製)を用い、プラズマ導入部3p1,3p2には、プラズマ源P1,P2の噴射口が接続されており、マルチガスプラズマジェットの噴射口から噴出されたプラズマを直接、溶媒W内に吹き込むように形成されている。
なお、溶媒Wに対してプラズマ生成に起因する電流を流したくない場合には、プラズマ導入部3p1,3p2とプラズマ源P1,P2との間に間隙を設ける、もしくは、プラズマ源P1,P2において、放電を発生させる電極の向きがプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して平行に配置されている場合には、プラズマ生成用ガスの流れ方向における下流側の電極の電位が溶媒Wの電位と同電位(多くの場合には接地電位とすることが好ましい。)となるように形成することで溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。また、プラズマ源P1,P2において、放電を発生させる電極の向きをプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に配置し、プラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に電位が生じるように形成することで溶媒Wへ電流が流れることを抑制することができる。この他にも、プラズマ源P1,P2として大気圧誘導結合プラズマを用いることにより、磁束の変化によってプラズマを生成することにより、溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。なお、大気圧誘導結合プラズマを用いる場合には、誘導コイルとプラズマトーチとの間に、導電体からなる円環を配置し、寄生容量によるプラズマ電位の上昇を除去する機構を設けるとさらによい。
また、貯留部2のプラズマ導入部3p1,3p2が形成されている部分には、それぞれ回転数が制御可能な回転体5を設けることができる。当該回転体5は溶媒W内において所定の回転数にて回転しており、プラズマ導入部3p1,3p2から導入され、回転体5の近傍に生じた第1のプラズマおよび第2のプラズマの気泡に対して溶媒Wとの相対運動によって剪断力を加えて、第1のプラズマおよび第2のプラズマの気泡を強制的に分割してさらに微小な径の気泡とし、溶媒Wに対する第1のプラズマおよび第2のプラズマの溶解度を向上させてることで、より殺菌・消毒効果の高いラジカル機能液を提供することができる。このとき、回転体5の回転数を制御することによって気泡の径を調整し、プラズマの溶解度を適宜調整することができる。
第1の態様のラジカル機能液の製造装置1を用いた本発明のラジカル機能液の製造方法は下記の通りである。まず、プラズマ源P1,P2としてのマルチガスプラズマジェットに所望のプラズマ生成用ガスを導入し、当該プラズマ生成用ガスに放電することにより第1のプラズマおよび第2のプラズマをそれぞれ生成する。生成されたガス状の第1のプラズマおよび第2のプラズマをプラズマ生成用ガスのガス流によってプラズマ源P1,P2の噴射口から噴射してプラズマ導入部3p1,3p2から溶媒Wに対してそれぞれ別々に吹き込み、第1のプラズマおよび第2のプラズマに起因するラジカルを溶媒Wに溶解させる。この時、溶媒W内に吹き込まれたガス状の第1のプラズマおよび第2のプラズマは、気泡となって溶媒W内に導入されており、貯留部2のプラズマ導入部3p1,3p2にそれぞれ設けられた回転体5を所定の回転数にて回転させることによって、この気泡の直径をさらに小径な気泡とすることし、ラジカルをより効率よく溶解させることができる。
第1の態様におけるラジカル機能液の製造装置1を用いて製造されたラジカル機能液によれば、2種類の異なるプラズマを溶媒Wに対してそれぞれ別々に吹き込むようにされているので、例えば、第1のプラズマとして還元力のあるラジカルを含むプラズマ、第2のプラズマとして酸化力のあるラジカルを含むプラズマとすることにより、酸化処理と還元処理とを同時に行うことができるラジカル機能液を提供することができる。また、それぞれ成分の異なる第1のプラズマに起因するラジカルと第2のプラズマに起因するラジカルとが溶媒W中において反応し、新たなラジカルや副生成物、また、反応の際に生じるエネルギーなどによって極めて特異な処理や、効果的な洗浄、殺菌・消毒効果などを得ることができるラジカル機能液を提供することができる。具体的には、水素プラズマと酸素プラズマとをそれぞれ別々に溶媒Wに対して吹き込むことにより、溶媒W中において活性水素と活性酸素とが結合し、この時に放出された結合エネルギーによって強力な殺菌効果を有するラジカル機能液を提供することができる。
ラジカル機能液の製造装置1の第2の態様は、図2に示すように、溶媒Wを貯留するための貯留部2と、プラズマ生成用ガスに放電を生じさせてプラズマを発生させるプラズマ源Pと、貯留部2の側壁の一部に設けられ溶媒W内にプラズマを吹き込むためのプラズマ導入部3pと、プラズマ状態にないガスを供給するガス供給部7と、貯留部2の側壁の一部に設けられ溶媒W内にプラズマ状態にないガスを吹き込むためのガス導入部3gとを備えている。
プラズマ源Pとしては、マルチガスプラズマジェット(株式会社プラズマコンセプト東京社製)を用い、プラズマ導入部3pには、プラズマ源Pの噴射口が接続されており、マルチガスプラズマジェットの噴射口から噴出されたプラズマを直接、溶媒W内に吹き込むように形成されている。
なお、第1の態様と同様に、貯留部2のプラズマ導入部3pが形成されている部分に対して回転体5を設けて、プラズマ源Pから吹き込まれたプラズマの気泡を当該回転体5の回転によって生じる剪断力によって強制的に分割してさらに小径な気泡とし、プラズマに起因するラジカルの溶解度を向上させるようにすることが好ましい。
また、溶媒Wに対してプラズマ生成に起因する電流を流したくない場合には、第1の態様において説明したように、プラズマ導入部3pとプラズマ源Pとの間に間隙を設ける、もしくは、プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きがプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して平行に配置されている場合には、プラズマ生成用ガスの流れ方向における下流側の電極の電位が溶媒Wの電位と同電位(多くの場合には接地電位とすることが好ましい。)となるように形成することで溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。また、プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きをプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に配置し、プラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に電位が生じるように形成することで溶媒Wへ電流が流れることを抑制することができる。さらに、プラズマ源Pとして大気圧誘導結合プラズマを用いることにより、磁束の変化によってプラズマを生成することにより、溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。なお、大気圧誘導結合プラズマを用いる場合には、誘導コイルとプラズマトーチとの間に、導電体からなる円環を配置し、寄生容量によるプラズマ電位の上昇を除去する機構を設けるとさらによい。
また、ガス供給部7とガス導入部3gとの間には、ガス供給部7から導入されるプラズマ状態にないガスと、貯留部2に設けられた溶媒取り込み口6aから取り込んだ溶媒2とからマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生器6が設けられている。マイクロバブル発生器6において発生したマイクロバブルはガス導入部3gを介して溶媒Wに対して溶解させるように形成されている。なお、マイクロバブル発生器6は必要に応じてON/OFFを切り替えることが可能であり、マイクロバブルを溶解させないラジカル機能液を製造する場合にはマイクロバブル発生器6をOFFの状態とし、ガス供給部7からプラズマ状態にないガスをマイクロバブルとしないで溶媒Wに吹き込んで溶解させてもよい。
第2の態様のラジカル機能液の製造装置1を用いた本発明のラジカル機能液の製造方法は下記の通りである。まず、プラズマ源Pとしてのマルチガスプラズマジェットに所望のプラズマ生成用ガスを導入し、当該プラズマ生成用ガスに放電することによりプラズマを生成する。生成されたガス状のプラズマをプラズマ生成用ガスのガス流によってプラズマ源Pの噴射口から噴射してプラズマ導入部3pから溶媒Wに対して吹き込み、プラズマに起因するラジカルを溶媒Wに溶解させる。この時、溶媒W内に吹き込まれたガス状のプラズマは、気泡となって溶媒W内に導入されており、貯留部2のプラズマ導入部3pに設けられた回転体5を所定の回転数にて回転させることによって、この気泡の直径をさらに小径な気泡とし、ラジカルをより効率よく溶解させることができる。
同時に、マイクロバブルを溶解させたラジカル機能液を製造する場合には、マイクロバブル発生器6をONの状態とし、ガス供給部7からプラズマ状態にないガスを導入するとともに、溶媒取り込み口6aから貯留部2内の溶媒Wを取り込んでマイクロバブルを発生させ、ガス導入部3gから当該マイクロバブルを導入して溶媒Wに対してマイクロバブルを溶解させる。なお、マイクロバブルを溶解させないラジカル機能液を製造する場合には、マイクロバブル発生器6をOFFの状態として、溶媒Wに対してプラズマ状態にないガスをマイクロバブルとしないで吹き込み溶解させる。
第2の態様におけるラジカル機能液の製造装置1を用いて製造されたラジカル機能液によれば、溶媒Wに対して、プラズマに起因するラジカルとマイクロバブルとが溶解されているので、ラジカルによる殺菌・消毒効果と、マイクロバブルの吸着作用、バブルがはじける際に生じる超音波による衝撃波、および細部への侵入作用によって、優れた洗浄力を有するラジカル機能液を提供することができる。
また、ガス供給部7から供給するプラズマ状態にないガスを適宜選択することによって、プラズマ中のラジカルが溶解することによって大きく変化した溶媒WのpH値をプラズマ状態にないガスを溶解させることで中和するなどして調整したり、溶媒WのpH値をラジカルが長時間維持されるのに適正な値とすることで、汎用性と洗浄力の持続性とに優れたラジカル機能液を提供することができる。このガスを溶解させることによる溶媒Wの調整効果は、プラズマ状態にないガスをマイクロバブルとしない場合にも得られるが、マイクロバブル化することにより、当該プラズマ状態にないガスからなる気泡を溶媒W中に長期間存在させることができるので、溶媒Wの調整効果も長期間に亘って発現し続けることができる。
ラジカル機能液の製造装置1の第3の態様は、図3に示すように、溶媒Wを貯留するための貯留部2と、貯留部2の側壁の一部に設けられ溶媒W内にガス状のプラズマを吹き込むためのプラズマ導入部3pと、プラズマ生成用ガスに放電を生じさせてプラズマを発生させるプラズマ源Pと、プラズマ源Pの噴射口とプラズマ導入部3pとを接続するガス導入管3aと、ガス導入管3a内へプラズマ状態にないガスを供給するガス供給部7とを備えている。なお、貯留部2には、蓋などを設けて閉鎖的な空間としてもよいし、プールなどのような大容量の貯留部2とする場合には、覆いをせずに開放的な空間としてもよい。
貯留部2とプラズマ導入部3pとの接続部分には、貯留部2内に貯留されている溶媒Wがプラズマ導入部3pに侵入するのを防ぐとともに、プラズマ導入部3p側からのガスを貯留部2内に気泡状態で導入するための複数の通気口4aが形成された仕切り板4が設けられている(図1(b))。
本実施形態においては、プラズマ源Pとしてマルチガスプラズマジェット(株式会社プラズマコンセプト東京社製)を用い、プラズマ源Pの噴射口から噴出されたプラズマをガス導入管3aを介して導入し溶媒W内にプラズマを吹き込むように形成されている。
さらに、ガス導入管3aは、図3に示すように、Y字状に形成されており、二股に分かれたY字の一端はプラズマ源Pに接続され、Y字の他端はガス供給部7に接続され、プラズマ源Pから導入されるプラズマとガス供給部7から導入されるプラズマ状態にないガスとを、Y字の交わる部分で一旦、混合して混合ガスとしてから、この混合ガスをプラズマ導入部3pから溶媒W内に導入するように形成されている。なお、混合ガスとしない場合には、ガス供給部7からのガスの供給を止めることで、プラズマ源Pから噴射されるプラズマのみをプラズマ導入部3pから溶媒W内に吹き込むようにすることができる。
なお、溶媒Wに対してプラズマ生成に起因する電流を流したくない場合には、第1の態様および第2の態様において説明したように、プラズマ導入部3とプラズマ源Pとの間に間隙を設ける、もしくは、プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きがプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して平行に配置されている場合には、プラズマ生成用ガスの流れ方向における下流側の電極の電位が溶媒Wの電位と同電位(多くの場合には接地電位とすることが好ましい。)となるように形成することで溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。また、プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きをプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に配置し、プラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に電位が生じるように形成することで溶媒Wへ電流が流れることを抑制することができる。さらに、プラズマ源Pとして大気圧誘導結合プラズマを用いることにより、磁束の変化によってプラズマを生成することにより、溶媒Wに対して電流が流れることを抑制することができる。なお、大気圧誘導結合プラズマを用いる場合には、誘導コイルとプラズマトーチとの間に、導電体からなる円環を配置し、寄生容量によるプラズマ電位の上昇を除去する機構を設けるとさらによい。
また、貯留部2のプラズマ導入部3pが形成されている部分には、それぞれ回転数が制御可能な回転体5を設けることができる。当該回転体5は溶媒W内において所定の回転数にて回転しており、プラズマ導入部3pから導入され、回転体5の近傍に生じたプラズマの気泡に対して溶媒Wとの相対運動によって剪断力を加えて、プラズマの気泡を強制的に分割してさらに微小な径の気泡とし、溶媒Wに対するプラズマの溶解度を向上させてることで、より殺菌・消毒効果の高いラジカル機能液を提供することができる。このとき、回転体5の回転数を制御することによって気泡の径を調整し、プラズマの溶解度を適宜調整することができる。
このような、ガス導入管3aを第1の態様または第2の態様のラジカル機能液の製造装置1に適用することができる。なお、図3に示すラジカル機能液の製造装置1は、本実施形態におけるガス導入管3aを第2の態様のラジカル機能液の製造装置1に適用した構成のものである。
図3に示している第3の態様のラジカル機能液の製造装置1においては、貯留部2の側壁の一部に第2のプラズマ状態にないガスを供給するためのガス導入部3g2と、第2のプラズマ状態にないガスを供給する第2のガス供給部72とが設けられており、当該第2のガス供給部72とガス導入部3g2との間には、第2のガス供給部72から導入されるプラズマ状態にないガスと、貯留部2に設けられた溶媒取り込み口6aから取り込んだ溶媒2とからマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生器6が設けられている。このマイクロバブル発生器6から発生したマイクロバブルは、ガス導入部3g2を介して溶媒Wに対して溶解させるように形成されている。
第3の態様のラジカル機能液の製造装置1を用いた本発明のラジカル機能液の製造方法は下記の通りである。まず、プラズマ源Pに所望のプラズマ生成用ガスを導入し、当該プラズマ生成用ガスに放電することによりプラズマを生成する。当該プラズマをプラズマ生成用ガスのガス流によって噴射口から噴射してガス導入管3aに導入するとともに、ガス供給部7から所望のプラズマ状態にないガスを導入して、ガス状のプラズマとプラズマ状態にないガスとの混合ガスとする。当該混合ガスをプラズマ導入部3pから貯留部2に対して導入し、貯留部2に貯留されている溶媒W内に当該混合ガスを気泡の状態で吹き込みながら混合ガス中の少なくともプラズマに起因するラジカルを当該溶媒Wに溶解させる。
同時に、マイクロバブル発生器6をONの状態とし、第2のガス供給部72からプラズマ状態にないガスを導入するとともに、溶媒取り込み口6aから貯留部2内の溶媒Wを取り込んでマイクロバブルを発生させ、第2のガス導入部3g2から当該マイクロバブルを導入して溶媒Wに対してマイクロバブルを溶解させる。
第3の態様におけるラジカル機能液の製造装置1を用いて製造されたラジカル機能液によれば、溶媒Wに接触させる前にガス状のプラズマとプラズマ状態にないガスとを混合して混合ガスとすることにより、プラズマと接触したプラズマ状態にないガスが電離して新たなラジカルが生じ、プラズマ中に含まれるラジカルだけでなく、プラズマ状態にないガスから生じたラジカルをも溶解して、洗浄、殺菌・消毒に有効なラジカルを多量に含むラジカル機能液を高速に大量に製造することができる。さらに、マイクロバブルが溶解されているので、ラジカルによる殺菌・消毒効果に加えて、マイクロバブルの吸着作用、マイクロバブルがはじける際に生じる超音波による衝撃波、および細部への侵入作用によって、非常に優れた洗浄力を有するラジカル機能液を提供することができる。
本発明のラジカル機能液の製造方法によって得られたラジカル機能液は、溶媒W中に多量のラジカルを含有しており、処理を施したい処理対象物に、塗布、噴霧、浸漬などを行うことによって、当該対象の表面の洗浄、殺菌・消毒を行うことができる。この他にも、その洗浄、殺菌効果によって、対象の消臭、親水化・撥水化処理なども行うことを可能とする。
本発明のラジカル機能液の製造方法は上記の態様に限定されるものではなく、例えば、公知の攪拌装置などを設けて、適宜、貯留部2内の溶媒Wを攪拌しながらラジカル機能液を製造するようにしてもよい。
また、本発明のラジカル機能液においては、それぞれ別々に製造された第1のラジカル機能液と第2のラジカル機能液とを混合することで、第3のラジカル機能液としたり、本発明のラジカル機能液に対して、薬品、洗剤、溶液、溶媒など様々な液体を混合したり、マイクロバブル水をさらに添加するなどして、上述の方法によって製造されたラジカル機能液にさらに特別な効果を付与するようにしてもよい。
また、上述のラジカル機能液の製造方法を溶媒Wに分散または浸漬された処理対象物の浄化に用いることにより高速な浄化を行うことができる。
本発明のラジカル機能液を用いた浄化方法は、処理対象物が分散または浸漬された溶媒に対して、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを吹き込むことにより、少なくともプラズマ中のラジカルを溶解させて、溶媒をラジカル機能液とすることにより、当該ラジカルによって処理対象物を洗浄、殺菌・消毒するものである。
本発明のラジカル機能液を用いた洗浄方法においては、2種類以上のガスのうち、少なくとも1種類のプラズマ状態にないガスがマイクロバブルとされて溶解されており、処理対象物もしくは処理対象物に付着した汚れにマイクロバブルを吸着させて浮かせる、マイクロバブルがはじける際に生じる超音波によって処理対象物もしくは処理対象物に着した汚れを剥離・破壊させる、または、マイクロバブルが処理対象物の隙間に侵入して隙間にある汚れを浮かせるようにして処理対象物を浄化するようにして、溶媒中に溶解したラジカルだけでは容易に分解できない汚れも、マイクロバブルの働きによって処理対象物から浮かるもしくは破壊して剥がすことにより、当該汚れがラジカルと接触する面積を増大させて、高速に処理対象物の洗浄、殺菌・消毒を行ない浄化することを可能とする。
分散する処理対象物としては、細菌やウイルス、汚泥、塗装カスなどのように有機物が溶媒中に浮遊して存在するものが挙げられる。
浸漬させる処理対象物としては、食品、油添加を伴う加工前後のワーク、生活用品(お皿、メガネなど)、医療器具または生体などのように、溶媒Wに対する浮き沈みなどに関係なく、溶媒中へ浸漬できるものであればいかなるものでもよい。
このような、本発明のラジカル機能液を用いた浄化方法においては、図4に示すような浄化装置を用いて行うことができる。
ラジカル機能液を用いた浄化装置10の第1の態様は、図4に示すように、溶媒Wを貯留しておく貯留部2と、貯留部2に貯められている溶媒Wを攪拌するための攪拌機11と、貯留部2の側壁に設けられ溶媒Wに対して少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを吹き込むためのガス導入部3と、プラズマ生成用ガスに放電することによりプラズマを生成するプラズマ源Pと、貯留部2の内部に配置されたマイクロバブル発生器6と、マイクロバブル発生器に第2のプラズマ状態にないガスを供給する第2のガス供給部72とを備えている。マイクロバブル発生器6は、公知のマイクロバブル発生措置を適用することができる。プラズマ源Pの噴射口とガス導入部3とはガス導入管3aを介して接続されている。また、ガス導入管3aは略Y字状に形成されており、二股に分かれた一方の端部はプラズマ源Pの噴射口に接続され、他方の端部はプラズマ状態にないガスを供給するガス供給部7に接続されている。そして、プラズマ源Pから導入されたプラズマと、ガス供給部7から導入されたプラズマ状態にないガスとは、ガス導入管3aのY字の交点部分において混合されて混合ガスとされ、当該混合ガスをガス導入部3から貯留部2に貯留された溶媒W内に吹き込むように形成されている。なお、溶媒Wに対してプラズマのみを導入する場合には、ガス供給部7からのプラズマ状態にないガスの供給を止めて、プラズマ源Pから噴射されるプラズマのみを吹き込むようにしてもよい。また、貯留部2には、内部に溶媒Wを流し込むための流入口12inと、内部から溶媒Wを排出するための排出口12outが設けられている。なお、排出口12outからは、処理対象物Vが小さいものなど溶媒Wの流れによって移動させることができるものについては、溶媒Wの排出と同時に溶媒Wの流れによって貯留部2から排出可能に形成してもよい。
本実施形態の浄化装置10を用いた本発明のラジカル機能液を用いた浄化方法は下記の通りである。なお、この浄化方法の説明においては、処理対象物を汚水中のウイルス・細菌(V)として説明する。まず、ウイルス・細菌(V)が浮遊する汚水を流入口12inから貯留部2に所定の水位となるまで流入さるとともに、攪拌機11を稼働させて汚水を攪拌する。同時に、プラズマ源Pに少なくとも1種類のプラズマ生成用ガスを導入してプラズマを発生させ、プラズマ源Pの噴射口から噴射されるプラズマをガス導入管3aに導入しガス導入部3から貯留部2内に吹き込み、溶媒Wとしての水に対して、プラズマ中のラジカルを溶解させて当該水をラジカル機能水とする。このとき、水中に溶解したラジカルによって、水中に浮遊するウイルス・細菌(V)を分解して殺菌・消毒を行う。なお、溶媒Wに溶解させるガスは、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスとされていることが好ましく、例えば、2種類以上の物質からなるプラズマ、1種類以上のプラズマとプラズマ状態にないガスとの混合ガスなど浄化対象に応じて適宜選択することができる。
そして、ラジカルによってウイルス・細菌(V)を分解すると同時に、マイクロバブル発生器6を稼働させて溶媒W中にマイクロバブルを溶解させる。当該マイクロバブルは、図4に示すように、水中に浮遊するウイルス・細菌(V)などの有機物に付着する作用、マイクロバブルがはじける際に生じる超音波による剥離・破壊作用、または、処理対象物Vの細部に侵入する侵入作用があり、これらの汚れに付着して浮かせたり破壊することで溶媒Wとしての水から汚れを分離する。分離された汚れは掬ったり・漉して除去し、残った液体のみを排出口12outから排出する。この作業を連続的に行うことで大量の汚水を処理することができる。なお、汚水にはウイルス・細菌だけでなくその他の有機物が含まれていることがほとんどであるが、本発明の浄化装置10を用いた浄化処理によれば、当該有機物もマイクロバブルの有機物に対する吸着作用によって浮かせて凝集させることができるので、溶媒Wとしての水から容易に分離することができる。
本実施形態の浄化方法によれば、溶媒Wとしての水に浮遊する処理対象物としてのウイルス・細菌またはその他の有機物を浄化する場合には、当該溶媒Wとしての水を本発明のラジカル機能液の製造方法によってラジカル機能液とすることにより、溶解したラジカルによって水中に浮遊するウイルス・細菌の殺菌・消毒を行うとともに、マイクロバブルの作用によって死滅したウイルス・細菌、その他の有機物を剥離・破壊し、吸着して水面に浮かせて溶媒から分離するようにされているので、高速に大量の汚水の浄化を行うことを可能とする。
また、本実施形態の浄化方法によれば、例えば、溶媒Wとしての水に浸漬された所定の大きさを有する物体からなる処理対象物を浄化する場合には、当該溶媒Wとしての水を本発明のラジカル機能液の製造方法によってラジカル機能液とすることにより、ラジカルによる殺菌・消毒効果と、マイクロバブルの剥離・破壊および吸着作用による洗浄効果との相乗効果で高速に物体の浄化を行うことを可能とする。
さらに、下記の1〜4の構成を採用したラジカル機能液製造装置を用いることにより、プラズマ源Pに起因する電流が溶媒Wに流れることがないので、通電に弱い処理対象物の浄化を行うことを可能とする。さらには、例えば、食器や食品の洗浄を行うに当たり、ラジカル機能液製造装置の溶媒中に手を直接入れて食器や食品を洗うような作業を行っても、本実施形態のラジカル機能液製造装置においては、溶媒Wに対してプラズマ源Pに起因する人体に損傷を与える恐れのある強い電流が流れることがないので、食器や食品の洗浄作業を安全に行うことを可能とする。
1.プラズマ導入部3pとプラズマ源Pとの間に間隙を設ける
2.プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きがプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して平行に配置されている場合には、プラズマ生成用ガスの流れ方向における下流側の電極の電位が溶媒Wの電位と同電位(多くの場合には接地電位とすることが好ましい。)となるように形成する
3.プラズマ源Pにおいて、放電を発生させる電極の向きをプラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に配置し、プラズマ生成用ガスの流れ方向に対して垂直に電位が生じるように形成する
4.プラズマ源Pとして大気圧誘導結合プラズマを用いて、磁束の変化によってプラズマを生成する。なお、誘導コイルとプラズマトーチとの間に、導電体からなる円環を配置し、寄生容量によるプラズマ電位の上昇を除去する機構を設けるとさらによい。
またさらに、第2のガス供給部72から供給するプラズマ状態にないガスを適宜選択することによって、ラジカルの溶解で偏った溶媒WのpH値を適正に調整したり、溶媒Wをラジカルが長時間維持されるのに適正な環境とすることで、高速な処理対象物の洗浄、殺菌・消毒を可能とする。
<実施例>
実施例においては、本発明のラジカル機能液製造装置を用いた汚水の浄化について検討する。
具体的には、6リットルの水に黄色ブドウ球菌を懸濁し、空気をプラズマ生成用ガスとして生成したプラズマを当該水中に18L/minにてバブリングし、さらに、空気18L/minの流量にてマイクロバブルを溶解させて、バブリング開始から0分、1分、5分、10分および30分の時のサンプルを1cc採取し、各バブリング時間における黄色ブドウ球菌の残存菌数の測定を行った。得られた測定結果を図5に示す。
図5に示すように、バブリング0分では1cc中に1.0×10個であった菌数が、バブリング1分のサンプル中には1.0×10個まで減少した。これは、溶媒Wとしての水がプラズマのバブリングによってラジカル機能液とされたことによって、当該ラジカルによって黄色ブドウ球菌が殺菌されたためであると考えられる。そして、本実施例から、本発明のラジカル機能液の製造方法を汚水の浄化に適用することにより、6リットルという多量の汚水を1分程度という極めて短時間で殺菌し、浄化することが可能であることが明らかとなった。
本発明のラジカル機能液の製造方法およびラジカル機能液を用いた浄化方法は、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能であり、例えば、貯留部2にプラズマ導入部3pおよびガス導入部3gを複数設ける構成としたり、プラズマ導入部3pを設けずに、溶媒W内において直接プラズマを生成して、溶媒Wにプラズマに起因するラジカルを溶解させるようにしてもよい。
1 ラジカル機能液製造装置
2 貯留部
3p,3p1,3p2 プラズマ導入部
3g ガス導入部
3a ガス導入管
4 仕切り板
4a 通気口
5 回転体
6 マイクロバブル発生器
6a 溶媒取り込み口
7、72 ガス供給部
10 浄化装置
11 攪拌機
12in 流入口
12out 排出口
W 溶媒
P プラズマ源
プラズマ炎
導入管
間隙
V,V’ 処理対象物(ウイルス・細菌)

Claims (5)

  1. 少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを、溶媒に対して吹き込むことにより、少なくとも前記プラズマ中のラジカルを前記溶媒に対して溶解させてラジカル機能液とすることを特徴とするラジカル機能液の製造方法。
  2. 前記2種類以上のガスのうち、前記ガス状のプラズマ状態にないガスの少なくとも1種類がマイクロバブルとされて溶解されていることを特徴とする請求項1に記載のラジカル機能液の製造方法。
  3. 前記溶媒が、水、超純水、イオン交換水、蒸留水、有機溶剤、酸性溶液またはアルカリ性溶液のうち1種または複数種であることを特徴とする請求項1または2に記載のラジカル機能液の製造方法。
  4. 処理対象物が分散または浸漬された溶媒に対して、少なくとも1種類のガス状のプラズマを含む2種類以上のガスを吹き込むことにより、少なくとも前記プラズマ中のラジカルを前記溶媒に対して溶解させて前記溶媒をラジカル機能液とすることにより、前記処理対象物を洗浄、殺菌・消毒することを特徴とするラジカル機能液を用いた浄化方法。
  5. 前記2種類以上のガスのうち、前記ガス状のプラズマ状態にないガスの少なくとも1種類がマイクロバブルとされて溶解されており、前記処理対象物もしくは前記処理対象物に付着した汚れに前記マイクロバブルを吸着させて浮かせる、前記マイクロバブルがはじける際に生じる超音波によって前記処理対象物もしくは前記処理対象物に着した汚れを破壊・剥離させる、または、前記マイクロバブルが前記処理対象物の隙間に侵入して前記隙間にある汚れを浮かせるようにして前記処理対象物を浄化することを特徴とする請求項4に記載のラジカル機能液を用いた浄化方法。
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