以下では、図1〜図11を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態に関する遠隔操作管理システムの構成例を示す図である。
図1に示す通り、本発明の第1の実施形態に係る遠隔操作管理システムは、本発明の第1の実施形態に係る遠隔操作管理装置としてのテレマティクスセンタ100と、被操作物としての車両200と、携帯端末300と、テレマティクスセンタ100と車両200の間で通信を可能とするネットワーク400と、テレマティクスセンタ100と携帯端末300の間で通信を可能とするネットワーク500とを有する。
テレマティクスセンタ100は、携帯端末300からネットワーク500を介して送信される車両200の遠隔操作要求を受信し、その実行可否を判断するサーバである。テレマティクスセンタ100は、受信した遠隔操作要求を実行許可と判断すると、その内容に基づく遠隔操作命令を、ネットワーク400を介して車両200に送信する。車両200は、遠隔操作機能を有しており、テレマティクスセンタ100から送信された遠隔操作命令に応じた動作を行うことができる。携帯端末300は、図1の遠隔操作管理システムを利用して車両200の遠隔操作を行うユーザにより所持されている。携帯端末300を所持するユーザからの入力操作に応じて、携帯端末300は、車両200に対する遠隔操作要求をテレマティクスセンタ100に送信する。
ネットワーク400、500には、たとえば携帯電話網やインターネット網等の広域通信網や、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信網などをそれぞれ用いることができる。あるいは、複数種類の通信網を組み合わせることで、ネットワーク400、500をそれぞれ構成してもよい。なお、ネットワーク400およびネットワーク500を、共通のネットワークとしてもよい。
図1では、テレマティクスセンタ100に接続される車両200および携帯端末300をそれぞれ一台ずつのみ示しているが、これらは一台に限定されるものではなく、それぞれが複数台であってもよい。以下の説明では、少なくとも携帯端末300については、複数の携帯端末300がテレマティクスセンタ100に接続されるものとする。
テレマティクスセンタ100は、中央演算処理装置110と、記憶装置120と、通信部130から構成される。
中央演算処理装置110は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などから構成される。中央演算処理装置110は、これらを用いて所定の動作プログラムを実行することで、テレマティクスセンタ100の機能を実現するための様々な処理を行う。中央演算処理装置110は、その機能として、新規ユーザ登録部111、紐付情報登録部112、遠隔操作可否判断部113、指定エリア特定部114および新規車両登録部115を有する。
新規ユーザ登録部111は、図1の遠隔操作管理システムを新規に利用するユーザを受け付け、そのユーザに関する情報を記憶装置120に登録する処理を行う。紐付情報登録部112は、登録済みの各ユーザと車両200について、どのユーザがどの車両を保有しているかの関係を示す紐付情報を記憶装置120に登録する処理を行う。遠隔操作可否判断部113は、携帯端末300を介して送信されるユーザからの車両200に対する遠隔操作要求について、その実行可否を判断する処理を行う。指定エリア特定部114は、たとえばユーザの自宅、勤務先、ユーザがよく利用する駐車場の位置など、車両200が存在する頻度が高いエリアを指定エリアとして特定する処理を行う。新規車両登録部115は、たとえば工場や販売店などからの情報に基づいて、図1の遠隔操作管理システムにおいて新規に利用可能となった車両200に関する情報を記憶装置120に登録する処理を行う。
記憶装置120は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などから構成される。記憶装置120には、中央演算処理装置110が実行するプログラムや、このプログラムの実行に必要な各種データ群などが格納される。記憶装置120に格納されるデータ群には、ユーザDB121、車両DB122、紐付DB123および指定エリア管理DB124が含まれる。
ユーザDB121は、図1の遠隔操作管理システムを利用可能なユーザに関する情報を蓄積するデータベースである。新規ユーザを追加する場合、新規ユーザ登録部111で登録された当該ユーザの情報がユーザDB121に蓄積される。車両DB122は、遠隔操作可能な車両200に関する情報を蓄積するデータベースである。被操作物としての車両200を新規に追加する場合、新規車両登録部115で登録された当該車両の情報が車両DB122に蓄積される。紐付DB123は、各ユーザと車両200の紐付関係を表す前述の紐付情報を蓄積するデータベースである。紐付情報登録部112で紐付情報が登録されると、その紐付情報が紐付DB123に蓄積される。指定エリア管理DB124は、前述の指定エリアに関する情報を蓄積するデータベースである。
通信部130は、ネットワーク400、500をそれぞれ介して、車両200および携帯端末300と各種プロトコルに基づくデータの送受信を行う。通信部130は、ネットワーク400、500で用いられる通信規格に準拠したネットワークカードなどから構成される。
車両200は、中央演算処理装置210と、記憶装置220と、車両200の各部分の動作を管理制御する符号230、240および250の各ECU(Electronic Control Unit)と、位置測位装置260と、通信部280から構成される。ECU230は、車両200のエンジンの動作を管理するためのエンジンECUである。ECU240は、車両200のドアロックの動作を管理するためのドアECUである。ECU250は、車両200の自動運転機能を管理するためのADAS(Advanced Driving Assistant System)ECUである。なお、車両200に搭載されるECUは、これら3つのECUに限定されない。図1の遠隔操作管理システムにおいて車両200の遠隔操作や自動運転を実現する上で必要な全てのECUを、車両200は搭載しているものとする。位置測位装置260は、GPS(Grobal Positioning System)や無線LANなどを利用した測位を行い、車両200の現在位置を取得する。
なお、中央演算処理装置210、記憶装置220、位置測位装置260、通信部280などは、車両200とは独立した構成の電子機器であってもよい。具体的には、車両200に搭載されるPND(Portable Navigation Device)、スマートフォン、ドライブレコーダや、これらを車両200に固定するためのクレードルなどを、中央演算処理装置210、記憶装置220、位置測位装置260、通信部280として用いてもよい。また、これらの電子機器を複数種類組み合わせることで、中央演算処理装置210、記憶装置220、位置測位装置260、通信部280を構成してもよい。その場合、当該電子機器は、たとえばOBD(On Board Diagnostics)などのコネクタを用いることで、エンジンECU230、ドアECU240、ADASECU250などと電気的に接続されてデータを送受信することが考えられる。
中央演算処理装置210は、テレマティクスセンタ100の中央演算処理装置110と同様に、たとえばCPUやRAMなどから構成される。中央演算処理装置210は、所定の動作プログラムを実行することで、車両200の機能を実現するための様々な処理を行う。中央演算処理装置210は、その機能として、車両位置情報送信部211、車両状態情報送信部212および遠隔操作命令実行部213を有する。
車両位置情報送信部211は、位置測位装置260を用いて取得した車両200の位置情報をテレマティクスセンタ100に送信する処理を行う。車両状態情報送信部212は、車両200の状態変化を検知すると、その情報をテレマティクスセンタ100に送信する処理を行う。遠隔操作命令実行部213は、テレマティクスセンタ100から送信される遠隔操作命令に基づいて、車両200の遠隔操作を実行し、その実行結果を返信する処理を行う。
記憶装置220は、テレマティクスセンタ100の記憶装置120と同様に、たとえばHDD、SSD、フラッシュメモリ、ROMなどから構成される。記憶装置220には、中央演算処理装置210が実行するプログラムや、このプログラムの実行に必要な各種データ群などが格納される。
通信部280は、ネットワーク400を介して、テレマティクスセンタ100と各種プロトコルに基づくデータの送受信を行う。通信部280は、ネットワーク400で用いられる通信規格に準拠したネットワークカードなどから構成される。
携帯端末300は、中央演算処理装置310と、記憶装置320と、入出力装置330と、位置測位装置340と、通信部350から構成される。入出力装置330は、携帯端末300に対するユーザからの入力操作を検出すると共に、画像表示等による各種通知をユーザに対して行う装置であり、タッチパネル、キーボード、マウスなどを組み合わせて構成される。位置測位装置340は、車両200の位置測位装置260と同様に、GPSや無線LANなどを利用した測位を行い、携帯端末300の現在位置、すなわち携帯端末300を所持するユーザの現在位置を取得する。
中央演算処理装置310は、テレマティクスセンタ100の中央演算処理装置110や車両200の中央演算処理装置210と同様に、たとえばCPUやRAMなどから構成される。中央演算処理装置310は、所定の動作プログラムを実行することで、携帯端末300の機能を実現するための様々な処理を行う。中央演算処理装置310は、その機能として、認証要求部311、紐付要求部312、端末位置情報送信部313および遠隔操作要求部314を有する。
認証要求部311は、入出力装置330によりユーザに入力された情報を基に、テレマティクスセンタ100に対してユーザ認証を要求する処理を行う。紐付要求部312は、当該携帯端末300を所持するユーザが所有している車両200について、当該ユーザのユーザ情報との紐付けをテレマティクスセンタ100に要求する処理を行う。端末位置情報送信部313は、位置測位装置340を用いて取得した携帯端末300の位置情報をテレマティクスセンタ100に送信する処理を行う。遠隔操作要求部314は、入出力装置330によりユーザに入力された車両200の遠隔操作要求をテレマティクスセンタ100に送信する処理を行う。
記憶装置320は、テレマティクスセンタ100の記憶装置120や車両200の記憶装置220と同様に、たとえばHDD、SSD、フラッシュメモリ、ROMなどから構成される。記憶装置320には、中央演算処理装置310が実行するプログラムや、このプログラム実行に必要な各種データ群などが格納される。
通信部350は、ネットワーク500を介して、テレマティクスセンタ100と各種プロトコルに基づくデータの送受信を行う。通信部350は、ネットワーク500で用いられる通信規格に準拠したネットワークカードなどから構成される。
図2は、本発明の第1の実施形態において、テレマティクスセンタ100のユーザDB121、車両DB122、紐付DB123、指定エリア管理DB124の各データベースに格納されるデータの構造を表すテーブルの一例を示す図である。
図2(a)は、ユーザDB121のテーブル例を示す。ユーザDB121には、ユーザID401、パスワード402、デバイスID403、ユーザ位置404、位置更新日時405の各データが含まれる。ユーザID401は、登録済みの各ユーザを一意に特定可能な識別子である。パスワード402は、各ユーザを認証するために用いられる文字や記号の組み合わせである。デバイスID403は、各ユーザが所有する携帯端末300を一意に特定可能な識別子である。ユーザ位置404は、各ユーザが所有する携帯端末300を介して取得したユーザの最新の位置情報を示す。位置更新日時405は、各ユーザの最新の位置情報を取得した日時を示す。
図2(b)は、車両DB122のテーブル例を示す。車両DB122には、VIN(Vehicle Identification Number)411、車両位置412、位置更新日時413、車両状態414の各データが含まれる。VIN411は、登録済みの各車両200を一意に特定可能な識別子である。車両位置412は、各車両200の最新の位置情報を示す。位置更新日時413は、各車両200の最新位置情報を取得した日時を示す。車両状態414は、各車両200の最新の状態を示す。
図2(c)は、紐付DB123のテーブル例を示す。紐付DB123には、VIN421、ユーザID422、紐付条件423、紐付登録日時424、紐付状態425の各データが含まれる。VIN421は、紐付けの対象とされる各車両200を一意に特定可能な識別子であり、同一の車両200に対しては図2(b)のVIN411と共通のものが使用される。ユーザID422は、VIN421で特定される各車両200を所有するユーザを一意に特定可能な識別子であり、同一のユーザに対しては図2(a)のユーザID401と共通のものが使用される。紐付条件423は、VIN421で特定される各車両200とユーザID422で特定されるユーザとを紐付けるために、テレマティクスセンタ100が当該ユーザに対して指定する車両200の操作に関する条件を示す。紐付登録日時424は、テレマティクスセンタ100が紐付条件423を登録した日時を示す。紐付状態425は、VIN421で特定される各車両200とユーザID422で特定されるユーザとの間で紐付状態が有効であるか無効であるかを示す。
図2(d)は、指定エリア管理DB124のテーブル例を示す。指定エリア管理DB124には、VIN431、指定エリア432の各データが含まれる。VIN431は、指定エリアが設定されている各車両200を一意に特定可能な識別子であり、同一の車両200に対しては図2(b)のVIN411や図2(c)のVIN421と共通のものが使用される。指定エリア432は、各車両200について、ユーザの自宅、勤務先、ユーザがよく利用する駐車場の位置など、当該車両が存在する頻度が高い指定エリアの位置と範囲を特定するための情報である。図2(d)の例では、指定エリア432において、緯度と経度のペアでそれぞれ特定される複数の点情報が格納されている。この点情報により位置が特定される複数の点列を先頭から順に線で結ぶことで、多角形の指定エリアの位置と範囲を特定することができる。
図3は、本実施形態の遠隔操作管理システムで行われるユーザと車両200との紐付けに関する処理の流れを示す図である。図3に示す処理は、テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112と、車両200の車両状態情報送信部212と、携帯端末300の認証要求部311および紐付要求部312とでそれぞれ実行される。
図3において、携帯端末300の認証要求部311は、入出力装置330を介してユーザから入力されたユーザIDおよびパスワードをテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS500)。テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、携帯端末300から送信されたユーザIDおよびパスワードを受信すると、受信したこれらの情報に基づいて、当該ユーザの認証処理を行う(ステップS510)。ここでは、受信したユーザIDと一致するものがユーザDB121においてユーザID401に登録されており、かつ受信したパスワードが当該ユーザIDに対応してパスワード402に登録されている内容と一致するか否かを判断することで、ユーザの認証処理を行う。
その結果、受信したユーザIDとパスワードがユーザDB121に登録されているものとそれぞれ一致した場合には、紐付情報登録部112は、ユーザ認証が成功したと判断する。そして、ユーザ認証が成功したことを表す認証成功結果を、ステップS500でユーザIDおよびパスワードを送信した携帯端末300に送信する(ステップS511)。携帯端末300の認証要求部311は、テレマティクスセンタ100から認証成功結果が送信されると、これを受信する(ステップS501)。そして、入出力装置330の表示などにより、ユーザ認証が成功した旨をユーザに通知する。なお、ステップS510においてユーザ認証が失敗した場合には、テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、その旨を携帯端末300に送信することが好ましい。この場合、携帯端末300は、ユーザIDおよびパスワードの再入力をユーザに促して、再度ステップS500を実行してもよい。
上記のようにしてユーザ認証が成功すると、次に携帯端末300の紐付要求部312は、特定の車両200に対する紐付要求を送信する(ステップS502)。ここでは、入出力装置330を介してユーザから入力されたVINと、ステップS500でユーザに入力されたユーザIDとを組み合わせ、これらを当該VINで特定される車両200に対する紐付要求として、テレマティクスセンタ100に送信する。テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、携帯端末300から送信された紐付要求を受信すると(ステップS512)、受信した紐付要求に含まれるVINとユーザIDの組み合わせが紐付DB123において既に登録されていないかを確認する。その結果、登録されていないことを確認した場合には、紐付要求が行われた車両200の紐付情報として、これらの情報を紐付DB123のVIN421とユーザID422にそれぞれ登録する。このとき紐付情報登録部112はさらに、登録した紐付情報を有効化するための条件と、その条件を生成した日時と、登録した紐付情報に対する紐付状態とを、紐付DB123の紐付条件423、紐付登録日時424、紐付状態425にそれぞれ登録する。ここでは、紐付条件423がまだ満たされていない。そのため、紐付状態425には、紐付けが無効であることを表す「False」が格納される。また、紐付条件423には、紐付対象とする車両200に対してユーザに行わせる特定の操作内容が格納される。この操作内容は、テレマティクスセンタ100において予め決めておくことができる。具体的には、たとえばドアのアンロックやエンジンの始動など、紐付対象とする車両200をユーザが所有していなければ実行不可能な操作を、ユーザに行わせる操作として紐付条件423に格納することが好ましい。このとき、車両200の種類などに応じて、紐付条件423に登録する操作内容を変化させてもよい。
紐付DB123への登録を行ったら、紐付情報登録部112は、ステップS512で紐付要求を受信した携帯端末300に対して、紐付条件423に格納されている内容に基づいて、車両200に対する操作指示を送信する(ステップS513)。ここでは、当該携帯端末300を所持するユーザが、紐付要求された車両200に対して、紐付条件423で指定される特定の操作を所定の操作受付時間、たとえば5分以内に行うように指示するための情報を、車両200に対する操作指示として送信する。これにより、ユーザが適当なVINの値を入力して紐付要求を送信した場合に、そのVINに対応する車両200とユーザとの間で誤って紐付けが行われてしまうのを防ぐことができる。携帯端末300の紐付要求部312は、テレマティクスセンタ100から操作指示が送信されると、これを受信する(ステップS503)。そして、入出力装置330の表示などにより、その操作指示内容をユーザに通知する。これにより、ユーザに対して操作指示内容を提示し、指示通りの操作を操作受付時間内に車両200に対して行うように促す。
上記の操作指示内容の通知を確認したユーザは、紐付処理を完了するために、車両200に対して、指示された操作を操作受付時間内に行う。その結果、ステップS503で携帯端末300がテレマティクスセンタ100から操作指示を受信した後、しばらくすると、ユーザからの操作を受けて車両200の状態が変化する。車両200の車両状態情報送信部212は、この車両200の状態変化を検知する(ステップS520)。そして、検知結果を、当該車両200に割り当てられているVINと共に、車両の状態変化情報としてテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS521)。
テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、車両200から状態変化情報が送信されると、これを受信する(ステップS514)。そして、受信した状態変化情報に基づいて、紐付DB123に登録されている紐付条件を満たしているか否かを判定する(ステップS515)。ここでは、まず、受信した状態変化情報に含まれる車両200のVINが、紐付DB123においてVIN421に登録されているか否かを判断する。車両200のVINが登録されていれば、次に、そのVINに対応する紐付状態425が、紐付未完了を表す「False」であり、かつ、状態変化情報の受信日時が、紐付登録日時424に登録されている日時から操作受付時間内であるか否かを確認する。さらに、受信した状態変化情報が示すユーザの車両200に対する操作内容と、当該VINに対応する紐付条件423の内容とが一致するか否かを確認する。その結果、これらの条件を全て満たす場合には、受信した状態変化情報が紐付DB123に登録されている紐付条件を満たすと判定し、一致しなければ、紐付条件を満たさないと判定する。
ステップS515の判定の結果、状態変化情報が紐付条件を満たすと判定した場合(S515:Yes)、テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、当該レコードに対して、紐付状態425の内容を「False」から「True」へと変更する。これにより、当該レコードに対応する紐付情報を有効化し、車両200とユーザとを紐付ける紐付情報として正式に登録する(ステップS516)。そして、紐付けが成功したことを示す紐付結果を携帯端末300に送信する(ステップS517)。
一方、ステップS515の判定の結果、状態変化情報が紐付条件を満たさないと判定した場合(S515:No)、テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、当該レコードを更新せずに紐付DB123から削除する。そして、紐付けが失敗したことを示す紐付結果を携帯端末300に送信する(ステップS517)。
携帯端末300の紐付要求部312は、テレマティクスセンタ100から紐付結果が送信されると、これを受信する(ステップS504)。そして、受信した紐付結果に基づいて、入出力装置330の表示などにより、紐付けが成功または失敗したことをユーザに通知する。
以上説明したように、携帯端末300の紐付要求部312は、紐付処理において、当該携帯端末300の所持者であるユーザと車両200との紐付けを要求するための紐付要求を、テレマティクスセンタ100に送信する(ステップS502)。また、この紐付要求に応じてテレマティクスセンタ100から送信される操作指示を受信する(ステップS503)。一方、テレマティクスセンタ100の紐付情報登録部112は、携帯端末300から紐付要求を受信すると(ステップS512)、車両200に対して予め決められた特定の操作を当該携帯端末300の所持者であるユーザに指示するための操作指示を、当該携帯端末300に送信する(ステップS513)。また、この操作指示を送信してから所定の操作受付時間以内に特定の操作が行われたことを示す状態変化情報を車両200から受信した場合に(ステップS514)、当該携帯端末300の所持者であるユーザを、当該車両200のユーザとして、当該車両200と紐付けて登録する。
なお、上記の紐付処理において、テレマティクスセンタ100は、1台の車両200に対して同時に1つの携帯端末300からの紐付要求しか受け付けないように制限を加えてもよい。具体的には、ステップS512で受信した紐付要求に基づいて紐付DB123に紐付情報を登録する際に、その紐付要求に含まれるVINで特定される車両200に対して既に別の携帯端末300からの紐付要求を受信していた場合には、後から受信した紐付要求を拒否し、その旨を示す紐付拒否情報を携帯端末300に送信してもよい。このとき、受信した紐付要求に含まれるVINに対して、紐付状態425が「False」となっているレコードが既に存在する場合には、既に別の携帯端末300からの紐付要求を受信していたと判断できる。紐付拒否情報を受信した携帯端末300は、入出力装置330の表示などにより、当該車両200に対して別の携帯端末300が先行して紐付要求を送信済みであるため、紐付けができないことをユーザに通知することが好ましい。
図4は、本実施形態の遠隔操作管理システムで行われる車両遠隔操作の実行に関する処理の流れを示す図である。図4に示す処理は、テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113と、車両200の車両位置情報送信部211、車両状態情報送信部212および遠隔操作命令実行部213と、携帯端末300の認証要求部311、端末位置情報送信部313および遠隔操作要求部314とでそれぞれ実行される。
図4において、携帯端末300の認証要求部311とテレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113は、図3のステップS500、S510、S511、S501と同様の処理をそれぞれ行うことにより、ユーザの認証処理を行う(ステップS600、S610)。その結果、ユーザ認証が成功したら、携帯端末300の遠隔操作要求部314は、入出力装置330を介して入力されたユーザからの遠隔操作要求をテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS601)。
テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113は、携帯端末300から遠隔操作要求が送信されると、これを受信する(ステップS611)。そして、紐付DB123に登録されている紐付情報を用いて、受信した遠隔操作要求において遠隔操作対象に指定された車両200について、その車両200のVINと紐付けられた他のユーザのユーザIDを特定する(ステップS612)。他のユーザのユーザIDを特定したら、遠隔操作可否判断部113は、ユーザDB121を参照して、特定したユーザIDの各ユーザが所有する携帯端末300を一意に識別するデバイスIDを特定する。そして、特定したデバイスIDに対応する各携帯端末300に対して、位置情報をそれぞれ送信するように要求するための位置問い合わせを行う。また、遠隔操作対象に指定された車両200に対しても同様に、その位置情報を送信するように要求するための位置問い合わせを行う(ステップS613)。
各携帯端末300の端末位置情報送信部313は、テレマティクスセンタ100から位置問い合わせが送信されると、これを受信する(ステップS602)。そして、位置測位装置340を用いて、当該携帯端末300の位置を測定し、その測定結果を、当該携帯端末300を所持するユーザの現在位置情報として、テレマティクスセンタ100に送信する(ステップS603)。なお、図4では1台の携帯端末300についての処理フローのみを示しているが、実際には、ステップS613で位置問い合わせが行われた各携帯端末300の端末位置情報送信部313において、ステップS602、S603の処理がそれぞれ実行される。
遠隔操作対象に指定された車両200の車両位置情報送信部211および車両状態情報送信部212は、テレマティクスセンタ100から位置問い合わせが送信されると、これを受信する(ステップS620)。そして、車両位置情報送信部211は、位置測位装置260から車両200の位置情報を取得し、その位置情報をテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS621)。また、車両状態情報送信部212は、エンジンECU230、ドアECU240、ADASECU250など、車両200に搭載される全てのECUから、車両200の状態に関する情報を取得し、その情報を車両状態情報としてテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS621)。
テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113は、1台以上の携帯端末300および車両200から、位置情報および車両状態情報がそれぞれ送信されると、これらの情報を受信する(ステップS614)。そして、受信した情報に基づいて、ユーザDB121のユーザ位置404および位置更新日時405の内容と、車両DB122の車両位置412、位置更新日時413および車両状態414の内容とを、それぞれ更新する。これらのデータベースの更新を行ったら、遠隔操作可否判断部113は、更新後の各データベースの内容に基づいて、ステップS601で受信した遠隔操作要求を許可するか拒否するかを決定する(ステップS615)。ここでは、更新後の車両DB122において遠隔操作対象に指定された車両200のVINに対応するレコードの情報と、更新後のユーザDB121において当該車両200に紐付く全ユーザのユーザIDに対応するレコードに含まれる情報とを用いて、遠隔操作要求を許可するか、あるいは拒否するかを決定する。なお、このステップS615で行われる処理の詳細については、後で図5を用いて詳細に説明する。
ステップS615の判断を実行したら、遠隔操作可否判断部113は、その判断結果を確認する(ステップS616)。その結果、遠隔操作要求を許可すると判断した場合(S616:Yes)、遠隔操作可否判断部113は、その遠隔操作要求の内容に基づいて、車両200に対する遠隔操作命令を送信する(ステップS617)。これにより、被操作物である車両200に対する遠隔操作を指示する。
車両200の遠隔操作命令実行部213は、テレマティクスセンタ100から遠隔操作命令が送信されると、これを受信する(ステップS622)。そして、受信した遠隔操作命令に基づいて、車両200の遠隔操作を実行する(ステップS623)。具体的には、遠隔操作命令実行部213は、受信した遠隔操作命令がリモートエンジンスタートの場合には、エンジンECU230に対して、エンジンを始動する指示を出力する。一方、受信した遠隔操作命令がリモートドアアンロックの場合には、ドアECU230に対して、ドアを解錠する指示を出力する。また、受信した遠隔操作命令がオートバレットパーキングの場合には、ADASECU250に対して、オートバレットパーキングに応じた自動運転の指示を出力する。これにより、遠隔操作命令で指定された車両状態の変更(ドアアンロック、エンジンスタート、車両の位置変更)を車両200において実現する。なお、ここで実行される遠隔操作の種類は、これらに限定されるものではない。車両200に搭載されるECUが実現可能な車両状態の変更であれば、その全てを対象にして遠隔操作を行うことができる。こうして受信した遠隔操作命令に従って車両状態が変更されたら、遠隔操作命令実行部213は、遠隔操作命令の実行結果をテレマティクスセンタ100に送信する(ステップS624)。
テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113は、車両200から遠隔操作命令の実行結果が送信されると、これを受信する(ステップS618)。そして、受信した遠隔操作命令の実行結果を、ステップS601で遠隔操作要求を出した携帯端末300に対して送信する(ステップS619)。
一方、ステップS615で遠隔操作要求を拒否すると判断した場合(S616:No)、遠隔操作可否判断部113は、車両200に対して遠隔操作命令を送信しないことで、遠隔操作が実行されないようにする。そして、遠隔操作要求を拒否したという情報を、ステップS601で遠隔操作要求を出した携帯端末300に対して送信する(ステップS619)。
携帯端末300の遠隔操作要求部314は、テレマティクスセンタ100から遠隔操作要求の実行結果あるいは拒否結果に関する情報が送信されると、これを受信する(ステップS604)。そして、受信した情報に基づいて、入出力装置330の表示などにより、ユーザに車両遠隔操作の実行結果あるいは拒否理由を提示する(ステップS605)。
なお、上記の車両遠隔操作の実行処理において、携帯端末300の位置情報や、車両200の位置情報および車両状態情報を取得し、これらの情報に基づいてユーザDB121や車両DB122を更新する処理は、ステップS611で携帯端末300から遠隔操作要求を受信したとき以外のタイミングで行ってもよい。具体的には、図4のステップS613、S602、S603、S620、S621、S614の各処理は、遠隔操作要求を受信したか否かに関わらず、任意のタイミングで行うことができる。たとえば、予め設定された時間間隔ごとに、テレマティクスセンタ100から全ての携帯端末300および車両200に対して、それぞれの位置情報および車両状態情報の問い合わせを行い、これらの情報を取得してもよい。その場合、テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113において、上記の各ステップの処理は省略される。また、S601における携帯端末300からの遠隔操作要求は、携帯端末300を所有するユーザのユーザID422に紐付くVIN421が複数存在する場合には、そのVIN421に紐付く複数の車両200に対して、同時に遠隔操作要求を送信しても良く、また複数のVIN421から1つをユーザに選択してもらうよう入出力装置330に表示することで、同時に複数の車両200に遠隔操作要求を送信することを防止しても良い。
図5は、本発明の第1の実施形態の遠隔操作管理システムにおいて、テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113により、図4のステップS615で実行される遠隔操作要求の可否決定処理の流れを示す図である。
図5において、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS614で各携帯端末300および遠隔操作対象に指定された車両200からそれぞれ受信した位置情報に基づいて、各携帯端末300と車両200の間の直線距離を算出する(ステップS700)。これにより、携帯端末300を所持するユーザごとに、車両200との距離をそれぞれ計算する。次に、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS614で車両200から受信した車両状態情報に基づいて、車両200がエンジンONの状態でないか否かを判定する(ステップS702)。
ステップS702の判定の結果、遠隔操作対象に指定された車両200がエンジンONであった場合(S702:Yes)には、その車両200は他のドライバによって運転中である可能性が高いと考えられる。そのため、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300から受信した遠隔操作要求を拒否すると判断する(ステップS707)。この場合、前述のように車両200の遠隔操作は実行されない。
一方、ステップS702の判定の結果、遠隔操作対象に指定された車両200がエンジンONではなかった場合(S702:No)には、遠隔操作可否判断部113は、その車両200が指定エリア内に存在するか否かを判定する(ステップS703)。ここでは、指定エリア管理DB124において、当該車両200のVINに対応する指定エリア432に格納されている情報に基づいて、指定エリアの範囲を特定する。この指定エリアの範囲と、図4のステップS614で受信した車両200の位置情報とを比較することで、車両200が指定エリア内に存在するか否かを判定する。
ステップS703の判定の結果、遠隔操作対象に指定された車両200が指定エリア内に存在する場合(S703:Yes)には、遠隔操作可否判断部113は、遠隔操作要求を行ったユーザと車両200との距離が所定の距離Dkm、たとえば1km以内であるか否かを判定する(ステップS704)。ここでは、図4のステップS611で受信した遠隔操作要求を発信した携帯端末300についてステップS700で算出した距離を、遠隔操作要求を行ったユーザと車両200との距離として用いる。この距離が、遠隔操作要求の可否を判断するための基準値として設定された距離Dkm以内であるか否かを判定することで、ステップS704の判定処理が行われる。なお、この判定の具体的な例としては、指定エリアとして自宅周辺が指定されており、自宅に居るユーザが暖機運転のために車両200に対してリモートエンジンスタートの遠隔操作を要求する場合などが想定される。この場合、自宅から遠く離れたユーザからのリモートエンジンスタートを防止するために、ステップS704の判定が行われる。
ステップS704の判定の結果、ユーザと車両200との距離がDkm以内である場合(S704:Yes)には、ユーザからの遠隔操作要求は正当なものであると考えられる。すなわちこの場合は、ユーザの誤操作や盗難車両への操作要求等の不正な遠隔操作要求である可能性は十分に低いと考えられる。そのため、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300から受信した遠隔操作要求を許可すると判断する(ステップS706)。
一方、ステップS704の判定の結果、ユーザと車両200との距離が所定距離Dkmよりも大きい場合(S704:No)には、ユーザからの遠隔操作要求は不正なものである可能性が高いと考えられる。そのため、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300から受信した遠隔操作要求を拒否すると判断する(ステップS707)。この場合にも、前述のように車両200の遠隔操作は実行されない。
また、ステップS703の判定の結果、遠隔操作対象に指定された車両200が指定エリア内に存在しない場合(S703:No)には、遠隔操作可否判断部113は、遠隔操作要求を行ったユーザと車両200との距離の順番が所定の順位P番目以内であるか否かを判定する(ステップS705)。ここでは、遠隔操作対象に指定された車両200を共有する各ユーザが所持する携帯端末300についてステップS700でそれぞれ算出した距離を、その大きさの順に並べる。その結果、図4のステップS611で受信した遠隔操作要求を発信した携帯端末300と車両200との距離が、小さい方からP番目以内であるか否かを判定することで、ステップS705の判定処理が行われる。なお、この判定の具体的な例としては、ユーザが車両200を指定エリアではない自宅周辺以外の場所、たとえば店舗等の施設に併設された駐車場に駐車した状態で、その車両200をオートバレットパーキングにより呼び出す場合などが想定される。このような場合には、駐車場の広さが不明であるため、前述のステップS704の判定のように、所定の距離Dkmを判断基準として遠隔操作要求の可否を判断するのは不適切である。そのため、当該ユーザが他のユーザと比較してどの程度車両200の近くにいるかを判断基準として、ステップS705の判定が行われる。たとえば、ユーザが一人で車両200を運転して施設を訪れた場合には、P=1とすることで、そのユーザにのみオートバレットパーキングを許可することができる。
ステップS705の判定の結果、ユーザと車両200との距離の順番がP番目以内である場合(S705:Yes)には、ユーザからの遠隔操作要求は正当なものであると考えられる。すなわちこの場合は、ユーザの誤操作等の不正な遠隔操作要求である可能性は十分に低いと考えられる。そのため、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300から受信した遠隔操作要求を許可すると判断する(ステップS706)。
一方、ステップS705の判定の結果、ユーザと車両200との距離の順番がP番目よりも後である場合(S705:No)には、たとえば自宅にいるユーザの誤操作など、ユーザからの遠隔操作要求は不正なものである可能性が高いと考えられる。そのため、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300から受信した遠隔操作要求を拒否すると判断する(ステップS707)。この場合にも、前述のように車両200の遠隔操作は実行されない。
以上説明したように、テレマティクスセンタ100の遠隔操作可否判断部113は、車両200を被操作物としてユーザから送信された車両200の遠隔操作要求を受信する(ステップS611)。また、被操作物である車両200の位置情報と、車両200に対応する複数のユーザの位置情報とを取得する(ステップS614)。こうして取得した車両200の位置情報および複数のユーザの位置情報に基づいて、ユーザごとに被操作物である車両200との距離をそれぞれ計算する(ステップS700)。そして、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについてステップS700で計算された距離に基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する(ステップS704〜S707)。その結果、遠隔操作要求を許可すると判断された場合に、当該遠隔操作要求に基づいて、被操作物である車両200に対する遠隔操作命令を送信し(ステップS617)、その遠隔操作を指示する。
なお、ステップS702では、遠隔操作要求の可否を判断する基準として、エンジンのON/OFFを用いることとしたが、車両200の状態に関するものであれば、これ以外の情報を判断基準に用いてもよい。たとえば、シフトレバーのシフトポジションがP(パーキング)にあるか否かを基準として、遠隔操作要求の可否を判断してもよい。
また、図5の処理フローにおいて、ステップS702やS703の処理は実行しなくてもよい。S703を実行しない場合には、ステップS700またはS702の処理を実行した後に、ステップS704、S705どちらかの処理を実行すればよい。
なお、ステップS704の判定において遠隔操作要求の可否を判断する基準に用いた距離Dの値は、指定エリアに応じて変化してもよい。また、距離Dの値をユーザが任意に設定できるような機能を携帯端末300に設けてもよい。さらに、たとえば深夜時間帯では盗難のリスクが高まるために、距離Dの値を小さくするなど、他の要因に応じて距離Dの値を変化させてもよい。
また、ステップS705の判定において遠隔操作要求の可否を判断する基準に用いた順位Pの値は、車両200の位置に応じて変化してもよい。また、順位Pの値をユーザが任意に設定できるような機能を携帯端末300に設けてもよい。また、直前の車両200の搭乗者数によって順位Pの値を変化させてもよい。この場合、車両200の搭乗者数は、車両200と車両200に紐付いた各ユーザとの位置関係から判断できる。あるいは、車両200において、直前の燃費情報等から搭乗者数を推定し、その推定結果を含む車両状態情報を、図4のステップS621で車両200からテレマティクスセンタ100に送信してもよい。
なお、図5のステップS704およびS705の処理は、互いに入れ替えてもよい。この場合、ステップS703でYesと判定された場合には、ステップS705の処理を実行し、ステップS703でNoと判定された場合には、ステップS704の処理を実行すればよい。
図6は、本実施形態の遠隔操作管理システムにおいて、ユーザが携帯端末300から車両200との紐付要求や車両200の遠隔操作要求を行ったときに、携帯端末300の入出力装置330に表示される画面の一例を示す図である。
図6の画面には、符号801、802、804、806、807および809に示す各表示枠と、符号803、805および808に示す各操作ボタンとが表示されている。表示枠801は、当該携帯端末300を所持するユーザが自身のユーザIDを入力するための画面領域である。表示枠802は、ユーザがパスワードを入力するための画面領域である。操作ボタン803は、ユーザがテレマティクスセンタ100に対して認証要求を行うための操作領域である。表示枠804は、ユーザが紐付けしたい車両200のVINを入力するための画面領域である。操作ボタン805は、ユーザがテレマティクスセンタ100に対して紐付要求を行うための操作領域である。表示枠806は、図3のステップS503でテレマティクスセンタ100から受信される、車両200との紐付けのための操作指示内容を表示するための画面領域である。表示枠807は、紐付けが完了した車両200に対してユーザが要求可能な遠隔操作のリストを表示し、その中からユーザに選択させるための画面領域である。操作ボタン808は、ユーザがテレマティクスセンタ100に対して遠隔操作を要求するための操作領域である。表示枠809は、図4のステップS604でテレマティクスセンタ100から受信される、遠隔操作要求の実行結果または拒否結果を表示するための画面領域である。
ユーザは、図6の画面において、表示枠801、802にユーザIDとパスワードをそれぞれ入力し、操作ボタン803を押下することで、携帯端末300に図3のステップS500および図4のステップS600の処理を実行させることができる。また、表示枠804にVINを入力し、操作ボタン805を押下することで、携帯端末300に図3のステップS502の処理を実行させることができる。さらに、表示枠807でいずれかの遠隔操作を選択し、操作ボタン808を押下することで、携帯端末300に図4のステップS601の処理を実行させることができる。
図6の画面において、表示枠806には、図3のステップS503で受信した操作指示に基づいて、紐付要求で指定した車両200に対して、いつまでにどのような操作を行えばよいかを表すメッセージが表示される。なお、これ以外にも様々な情報を表示枠806に表示することができる。たとえば、図3のステップS501で受信した認証結果に関する情報を表示枠806に表示してもよい。
図6の表示枠809には、図4のステップS604で遠隔操作要求の拒否結果を受信した場合の表示例として、図5のステップS705でユーザと車両200との距離の順番がP番目以内ではないと判断された場合のメッセージの一例を示している。これ以外にも、たとえば図5のステップS704でユーザと車両200との距離がDkm以内ではないと判断された場合には、その旨のメッセージが表示枠809に表示される。また、図5のステップS704またはS705が肯定判定されることで車両200の遠隔操作が実行された場合には、その実行結果を示すメッセージを表示枠809に表示してもよい。また、入出力装置330には、ユーザが自身のユーザID422と特定のVIN421との紐付情報を削除するための画面を表示しても良い。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)テレマティクスセンタ100は、被操作物である車両200の遠隔操作を管理するための遠隔操作可否判断部113を備える。この遠隔操作可否判断部113は、車両200に対応する複数のユーザのいずれかから送信された車両200の遠隔操作要求を受信する(ステップS611)と共に、車両200の位置情報と、複数のユーザの位置情報とを取得する(ステップS614)。そして、ステップS614で取得した車両200の位置情報および複数のユーザの位置情報に基づいて、ユーザごとに車両200との距離をそれぞれ計算する(ステップS700)。その後、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについてステップS700で計算された距離に基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する(ステップS704〜S707)。その結果、遠隔操作要求を許可すると判断された場合に、当該遠隔操作要求に基づいて、遠隔操作命令を送信して車両200に対する遠隔操作を指示する(ステップS617)。このようにしたので、遠隔操作の対象である被操作物の車両200に対して複数のユーザが存在する場合に、適切な遠隔操作を実現することができる。
(2)遠隔操作可否判断部113は、ステップS704において、遠隔操作要求を受信したユーザについて計算された距離の大きさに基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する。または、ステップS705において、複数のユーザを距離の大きさ順に並べたときの遠隔操作要求を受信したユーザの順番に基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する。このようにしたので、複数のユーザが車両200を共通して使用する場合に、そのときの状況に応じて遠隔操作要求を許可するか否かを適切に判断することができる。
(3)被操作物である車両200は、当該車両の位置情報を送信する車両位置情報送信部211を備えている。また、車両200に対応する複数のユーザは、携帯端末300をそれぞれ所持しており、携帯端末300は、当該携帯端末を所持するユーザの位置情報として当該携帯端末の位置情報を送信する端末位置情報送信部313と、当該携帯端末を所持するユーザによる車両200の遠隔操作要求を送信する遠隔操作要求部314と、を備える。遠隔操作可否判断部113は、ステップS611において、複数のユーザのいずれかが所持する携帯端末300から送信された車両200の遠隔操作要求を受信する。また、ステップS614において、ステップS621で車両位置情報送信部211により送信された車両200の位置情報と、ステップS603で端末位置情報送信部313により送信された各携帯端末300の位置情報とを取得する。このようにしたので、被操作物である車両200の位置情報と、その車両200に対応する複数のユーザの位置情報とを、それぞれ確実に取得することができる。
(4)テレマティクスセンタ100は、ユーザと車両200とを紐付けて登録する紐付情報登録部112をさらに備える。また、携帯端末300は、当該携帯端末の所持者であるユーザと車両200との紐付けを要求するための紐付要求を送信する(ステップS502)と共に、その紐付要求に応じてテレマティクスセンタ100からステップS513で送信される操作指示を受信する(ステップS503)紐付要求部312をさらに備える。紐付情報登録部112は、携帯端末300から紐付要求を受信すると(ステップS512)、車両200に対して予め決められた特定の操作を所定の操作受付時間以内に行うことを当該携帯端末の所持者であるユーザに指示するための情報を、当該携帯端末へ操作指示として送信する(ステップS513)。また、ステップS513で操作指示を送信してから操作受付時間以内に特定の操作が行われたことを示す情報を車両200から受信した場合に(ステップS514、S515)、当該携帯端末の所持者を車両200に対応するユーザとして、車両200と紐付けて登録する(ステップS516)。このようにしたので、車両200とこれに対応するユーザとを確実に関連付けし、その結果を基に車両200の遠隔操作を正しく行うことができる。
(5)車両200は、当該車両の状態に関する車両状態情報を送信する車両状態情報送信部212をさらに備える。遠隔操作可否判断部113は、ステップS614において、ステップS621で車両状態情報送信部212により送信された車両状態情報をさらに取得する。また、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについてステップS700で計算した距離と、ステップS614で取得した車両状態情報とに基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する(ステップS702)。このようにしたので、遠隔操作対象として指定された車両200の状態をさらに考慮して、遠隔操作要求を許可するか否かを判断することができる。
(6)遠隔操作可否判断部113は、被操作物である車両200が予め指定された指定エリア内に存在するか否かを判定し(ステップS703)、その判定結果に基づいて、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについてステップS700で計算した距離の大きさと、車両200に対応する複数のユーザをステップS700で計算した距離の大きさ順に並べたときの、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザの順番とのいずれを、当該遠隔操作要求を許可するか否かの判断に用いるかを決定する(ステップS704、S705)。このようにしたので、自宅周辺などを指定エリアとしたときに、車両200がその指定エリア内に存在するか否かに応じて、それぞれの場合に適切な判断基準を用いて、遠隔操作要求の可否を判断することができる。
−第2の実施形態−
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、車両200に対応する各ユーザに対して、車両200との関係性に応じたロール(役割)を設定し、このロールを用いて遠隔操作の可否を判断する例を説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に関する遠隔操作管理システムの構成例を示す図である。
図7に示す通り、本発明の第2の実施形態に係る遠隔操作管理システムは、本発明の第2の実施形態に係る遠隔操作管理装置としてのテレマティクスセンタ100aと、被操作物としての車両200と、携帯端末300aと、ネットワーク400、500とを有する。なお、車両200およびネットワーク400、500は、図1に示した第1の実施形態に係る遠隔操作管理システムとそれぞれ同一のものである。
テレマティクスセンタ100aは、中央演算処理装置110aと、記憶装置120aと、通信部130から構成される。なお、通信部130は、図1のテレマティクスセンタ100と同一のものである。
中央演算処理装置110aは、図1のテレマティクスセンタ100が有する中央演算処理装置110と比べて、ロール特定部116およびロール権限変更部117をその機能としてさらに有する点が異なっている。ロール特定部116は、各ユーザが紐付けられた車両200に対してどの様なロール(役割)を持つかを特定する処理を行う。ロール権限変更部117は、携帯端末300からの要求に応じてロール権限を変更する処理を行う。なお、ロール権限とは、各ユーザが対応する車両200に対して要求可能な遠隔操作の内容であり、ユーザのロールごとに異なっている。
記憶装置120aは、図1のテレマティクスセンタ100が有する記憶装置120と比べて、ロール権限管理DB125がさらに格納される点が異なっている。ロール権限管理DB125は、各車両200について設定されたロール権限を管理するための情報を蓄積するデータベースである。
携帯端末300aは、中央演算処理装置310aと、記憶装置320と、入出力装置330と、位置測位装置340と、通信部350から構成される。なお、記憶装置320、入出力装置330、位置測位装置340および通信部350は、図1の携帯端末300とそれぞれ同一のものである。
中央演算処理装置310aは、図1の携帯端末300が有する中央演算処理装置310と比べて、ロール権限変更要求部315をその機能としてさらに有する点が異なっている。ロール権限変更要求部315は、当該携帯端末を所持するユーザに紐付いた車両200に対して設定されたロール権限の変更を、テレマティクスセンタ100aに要求する処理を行う。
図8は、本発明の第2の実施形態において、テレマティクスセンタ100aのユーザDB121、車両DB122、紐付DB123、指定エリア管理DB124、ロール権限管理DB125の各データベースに格納されるデータの構造を表すテーブルの一例を示す図である。なお、図8(a)のユーザDB121、図8(b)の車両DB122および図8(d)の指定エリア管理DB124は、図2(a)、図2(b)、図2(d)にそれぞれ示したのと同一の構成を有している。
図8(c)は、本実施形態における紐付DB123のテーブル例を示す。本実施形態において、紐付DB123には、図2(c)に示したVIN421、ユーザID422、紐付条件423、紐付登録日時424および紐付状態425に加えて、さらにロール情報426が含まれる。ロール情報426は、VIN421およびユーザID422で特定される車両200とユーザの組み合わせについて、当該ユーザの車両200に対するロールを示す。
図8(e)は、ロール権限管理DB125のテーブル例を示す。ロール権限管理DB125には、VIN441、ロール情報442、要求可能遠隔操作リスト443の各データが含まれる。VIN441は、ロールが設定されている各車両200を一意に特定可能な識別子であり、同一の車両200に対しては図8(b)のVIN411や図8(c)のVIN421と共通のものが使用される。ロール情報442は、VIN441で特定される各車両200に紐付くユーザに対して割り当てられるロールの種別を示す。要求可能遠隔操作リスト443は、ロール情報442で特定されるロールを割り当てられたユーザが、車両200に対して要求可能な遠隔操作命令の内容を示す。
図9は、本実施形態の遠隔操作管理システムで行われる各ユーザのロール決定に関する処理の流れを示す図である。図9に示す処理は、テレマティクスセンタ100aのロール特定部116と、車両200の車両位置情報送信部211および車両状態情報送信部212と、携帯端末300aの端末位置情報送信部313とでそれぞれ実行される。
図9において、車両200の車両状態情報送信部212は、エンジンECU230からの情報に基づいて、車両200のエンジンがONされて運転が開始されたことを検知する(ステップS900)。ステップS900で車両200の運転開始を検知すると、車両状態情報送信部212は、エンジンECU230、ドアECU240、ADASECU250など、車両200に搭載される全てのECUから、車両200の状態に関する情報を取得し、その情報を車両状態情報としてテレマティクスセンタ100aに送信する(ステップS901)。また、車両位置情報送信部211は、位置測位装置260から車両200の位置情報を取得し、その位置情報をテレマティクスセンタ100aに送信する(ステップS901)。なお、これらの情報を送信する際には、車両200のVINも併せてテレマティクスセンタ100aに送信される。
テレマティクスセンタ100aのロール特定部116は、車両200から位置情報および車両状態情報が送信されると、これらの情報を受信する(ステップS910)。そして、受信した情報に基づいて、車両DB122の車両位置412、位置更新日時413および車両状態414の内容をそれぞれ更新する。車両DB122の更新を行ったら、ロール特定部116は、紐付DB123に登録されている紐付情報を用いて、ステップS910で情報を受信した車両200について、その車両200のVINと紐付けられた全てのユーザのユーザIDを特定する。こうして車両200に紐付く全ユーザのユーザIDを特定したら、ロール特定部116は、ユーザDB121を参照して、特定したユーザIDに対応する各ユーザが所有する携帯端末300aを一意に識別するデバイスIDを特定する。そして、特定したデバイスIDに対応する各携帯端末300aに対して、それぞれ位置情報を送信するように要求するための位置問い合わせを行う(ステップS911)。
各携帯端末300aの端末位置情報送信部313は、テレマティクスセンタ100aから位置問い合わせが送信されると、これを受信する(ステップS920)。そして、位置測位装置340を用いて、当該携帯端末300aの位置を測定し、その測定結果を、当該携帯端末300aを所持するユーザの現在位置情報として、テレマティクスセンタ100aに送信する(ステップS921)。なお、図9では1台の携帯端末300aについての処理フローのみを示しているが、実際には、ステップS911で位置問い合わせが行われた各携帯端末300aの端末位置情報送信部313において、ステップS920、S921の処理がそれぞれ実行される。
テレマティクスセンタ100aのロール特定部116は、1台以上の携帯端末300aから位置情報がそれぞれ送信されると、これを受信する(ステップS912)。そして、各携帯端末300aから受信した位置情報と、ステップS910で車両200から受信した位置情報とに基づいて、各携帯端末300aと車両200の間の直線距離を算出する(ステップS913)。これにより、携帯端末300aを所持するユーザごとに、車両200との距離をそれぞれ計算する。その後、ロール特定部116は、ステップS913で車両200との距離を算出した各ユーザについて、その距離が所定の距離Cm、たとえば10m以内であるか否かを判定する(ステップS914)。
ステップS914の判定の結果、ユーザと車両200との距離がCm以内である場合(S914:Yes)には、当該ユーザが車両200に乗車している可能性が高いと考えられる。そのため、ロール特定部116は、当該ユーザのロールを「同乗者」に設定する(ステップS915)。そして、紐付DB123においてVIN421が当該車両200のVINと一致し、かつユーザID422が当該ユーザのユーザIDと一致するレコードについて、ロール設定結果の「同乗者」をロール情報426に登録する。
一方、ステップS914の判定の結果、ユーザと車両200との距離がCmよりも大きい場合(S914:No)には、当該ユーザが車両200に乗車している可能性が低いと考えられる。そのため、ロール特定部116は、当該ユーザのロールを「ユーザ」に設定する(ステップS916)。そして、紐付DB123においてVIN421が当該車両200のVINと一致し、かつユーザID422が当該ユーザのユーザIDと一致するレコードについて、ロール設定結果の「ユーザ」をロール情報426に登録する。
以上説明したように、テレマティクスセンタ100aのロール特定部116は、ステップS913で計算されたユーザと被操作物である車両200との距離に基づいて、車両200物に対する遠隔操作の権限が互いに異なる複数のロール(役割)のいずれかをユーザごとに設定する(ステップS915、S916)。
なお、ステップS900では、車両200のエンジンがONされることで車両200の運転開始を検知したが、他の方法を用いて車両200の運転開始を検知してもよい。たとえば、位置測位装置260で検出された車両200の位置が一定時間以内に一定距離以上移動したときに、これを車両200の運転開始として検知することができる。
また、上記のロール決定処理において、携帯端末300aの位置情報を取得し、これに基づいてユーザDB121を更新する処理は、ステップS900で車両200の運転開始が検知され、それに応じて送信された車両200の位置情報および車両状態情報をステップS910で受信したとき以外のタイミングで行ってもよい。具体的には、図9のステップS911、S920、S921、S912の各処理は、車両200から位置情報や車両状態情報を受信したか否かに関わらず、任意のタイミングで行うことができる。たとえば、予め設定された時間間隔ごとに、テレマティクスセンタ100aから全ての携帯端末300aに対して、それぞれの位置情報の問い合わせを行い、これらの情報を取得してもよい。その場合、テレマティクスセンタ100aのロール特定部116において、上記の各ステップの処理は省略される。
上記のロール決定処理では、距離Cを基準として、各ユーザと車両200との距離がこの距離C以内であるかをステップS914において判定することで、各ユーザのロールを「同乗者」または「ユーザ」のいずれに設定するかを決定したが、他の方法で設定するロールを決定してもよい。たとえば、図5のステップS705と同様に、各ユーザと車両200との距離をその大きさ順に並べたときの順序に基づいて、各ユーザのロールを決定してもよい。また、たとえば車両200と携帯端末300aが所定の通信範囲内で相互に直接無線通信を行う機能を有している場合には、その機能を用いて車両200と通信可能な携帯端末300aを特定し、その携帯端末300aを所持するユーザを「同乗者」に設定してもよい。
さらに、上記のロール決定処理では、各ユーザと車両200の距離に基づいて各ユーザのロールを決定しているが、これ以外の情報を用いて各ユーザのロールを決定してもよい。たとえば、最初に車両200と紐付けしたユーザは、その車両200の購入者であると考えられるため、当該ユーザには「オーナー」のロールを設定することができる。あるいは、各ユーザが車両200に対して行った遠隔操作要求の履歴に基づいて各ユーザのロールを決定してもよい。たとえば、車両200の運転が開始される前に、その直後に運転を開始する可能性が高いと考えられる遠隔操作、たとえばリモートエンジンスタートなどの遠隔操作に対する要求が、あるユーザから行われたとする。このような場合には、当該ユーザを車両200の運転者であると判断して、「ドライバ」のロールを設定することができる。これ以外にも様々な方法を用いて、各ユーザのロールを決定することができる。
なお、上記の説明では、各ユーザに対して設定するロールの例として、「同乗者」、「ユーザ」、「オーナー」および「ドライバ」の4種類を説明したが、本実施形態で設定されるロールはこれらに限定されない。たとえば、同じ車両200に複数のユーザが乗車している場合に、要求可能な遠隔操作の内容が互いに異なる別々のロールを各ユーザに対して設定してもよい。
図10は、本発明の第2の実施形態の遠隔操作管理システムにおいて、テレマティクスセンタ100aの遠隔操作可否判断部113により、図4のステップS615で実行される遠隔操作要求の可否決定処理の流れを示す図である。
図10において、遠隔操作可否判断部113は、紐付DB123を参照し、図4のステップS611で受信した遠隔操作要求を発信した携帯端末300aに対応するユーザに対して設定されているロールを確認する(ステップS1000)。具体的には、紐付DB123において、VIN421が遠隔操作要求で遠隔操作対象に指定された車両200のVINと一致し、かつユーザID422が当該ユーザのユーザIDと一致するレコードを特定する。そして、特定したレコードにおけるロール情報426の内容を参照することで、当該ユーザのロールを確認する。次に、遠隔操作可否判断部113は、ステップS1000で確認したロールについて、ステップS611で受信した遠隔操作要求で指定された遠隔操作を実行する権限があるか否かを判定する(ステップS1001)。ここでは、ロール権限管理DB125において、VIN441が遠隔操作対象に指定された車両200のVINと一致し、かつロール情報442がステップS1000で確認したロールと一致するレコードを特定する。そして、特定したレコードにおける要求可能遠隔操作リスト443の内容を参照することで、当該ロールで要求可能な遠隔操作の内容を判断し、その中に遠隔操作要求で指定された遠隔操作が含まれているか否かを判断する。その結果、含まれていれば指定された遠隔操作を実行する権限があると判定し、含まれていなければ権限がないと判定する。
ステップS1001の判定の結果、指定された遠隔操作を実行する権限があると判定した場合(S1001:Yes)には、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300aから受信した遠隔操作要求を許可すると判断する(ステップS1002)。
一方、ステップS1001の判定の結果、指定された遠隔操作を実行する権限がないと判定した場合(S1001:No)には、遠隔操作可否判断部113は、図4のステップS611で携帯端末300aから受信した遠隔操作要求を拒否すると判断する(ステップS1003)。この場合、車両200の遠隔操作は実行されない。
以上説明したように、テレマティクスセンタ100aの遠隔操作可否判断部113は、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについて設定されたロール(役割)に基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する(ステップS1001〜S1003)。
次に、本実施形態におけるロール権限の変更について説明する。携帯端末300aのロール権限変更要求部315は、ユーザが入出力装置330によりロール権限の変更を要求するための操作を行うと、その対象となる車両200のVINおよび変更するロール権限の内容を含む情報を、テレマティクスセンタ100aに送信する。この情報を受信したテレマティクスセンタ100aは、ロール権限変更部117により、ロール権限管理DB125に含まれる要求可能遠隔操作リスト443を更新する。これにより、ロール権限の変更が行われる。
図11は、本実施形態の遠隔操作管理システムにおいて、ユーザが携帯端末300aからロール権限の変更要求を行ったときに、携帯端末300aの入出力装置330に表示される画面の一例を示す図である。
図11の画面には、符号1101および1102に示す各表示枠と、符号1103に示す操作ボタンとが表示されている。表示枠1101は、携帯端末300aの所有者であるユーザに割り当てられているロールを表示するための画面領域である。表示枠1102は、携帯端末300aの所有者であるユーザと紐付いた車両200に対して、その車両200の各ユーザに設定されているロールごとに実行を許可されている遠隔操作命令の内容を示すリストを表示するための画面領域である。操作ボタン1103は、ユーザがテレマティクスセンタ100aに対してロール権限の変更要求を行うための操作領域である。なお、図11の画面は、当該ユーザと車両200を紐付けて登録した際に表示することで、このときにロール権限を設定できるようにしてもよい。さらに、ユーザのリクエストに応じて任意のタイミングで表示し、ロール権限の設定を変更できるようにしてもよい。
表示枠1102には、ロールの各種別について車両200が受付可能な遠隔操作の内容がテーブル形式で表示されており、それぞれの項目ごとにチェックボックスが表示されている。ユーザは、図11の画面において、このチェックボックスを選択することにより、ロール権限の設定を変更する遠隔操作の項目を選択し、その後に操作ボタン1103を押下することで、携帯端末300aにロール権限の変更要求を行わせることができる。携帯端末300aからロール権限の変更要求を受けたテレマティクスセンタ100aは、ロール権限変更部117により、上記チェックボックスの選択結果に基づいて、ロール権限の変更後に各ロールが実行可能な遠隔操作の内容を判断する。この判断結果を基に、ロール権限管理DB125の要求可能遠隔操作リスト443を更新する。
なお、以上説明したロール権限の変更要求は、たとえばロールが「オーナー」であるユーザに限って実行可能とするなど、ユーザのロールに応じて制限を設けてもよい。また、入出力装置330には、ユーザが自身や他人のロールを変更するための画面を表示してもよく、その画面はたとえばロールが「オーナー」であるユーザに限って表示されるなど、ユーザのロールに応じて制限を設けてもよい。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した各作用効果に加えて、さらに以下の作用効果を奏する。
テレマティクスセンタ100aは、ロール特定部116をさらに備える。ロール特定部116は、ステップS913で計算されたユーザと被操作物である車両200との距離に基づいて、車両200に対する遠隔操作の権限が互いに異なる複数の役割のいずれかをユーザごとに設定する(ステップS915、S916)。テレマティクスセンタ100aの遠隔操作可否判断部113は、ステップS611で遠隔操作要求を受信したユーザについてロール特定部116により設定された役割に基づいて、当該遠隔操作要求を許可するか否かを判断する(ステップS1001〜S1003)。このようにしたので、複数のユーザが車両200を共通して使用する場合に、各ユーザに対して遠隔操作要求を許可するか否かを適切に判断することができる。
なお、以上説明した各実施形態や各種の変化例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。