以下、本発明に係る棒金管理システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る棒金管理システム10の平面図であり、図2は、図1に示す棒金管理システム10の正面図である。
図1及び図2に示すように、棒金管理システム10は、釣銭機12及び釣札機14を有する貨幣処理装置16と、貨幣処理装置16の下段に設けられた棒金収納庫18とを備える。棒金管理システム10は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されて上位機となるPOS端末20と接続され、釣銭や棒金の管理・収納等を行うレジシステムを構成する。
POS端末20は、釣銭機12に設けられた上位インターフェース12aに対して接続される。POS端末20は、使用者であるレジ担当者の操作により商品のコードを読み取り、商品のコード、数量を登録する一方、商品のコードから商品のアイテム、商品の金額を呼び出し、商品の合計金額(請求金額)と顧客から受け取ったお金との差額(釣銭額)とを算出し、貨幣処理装置16に出金等の指示を送信する。また、POS端末20は、釣銭機12への硬貨の補充のために、棒金収納庫18へと開放指示を送信し、筐体22内での棒金収納トレイ24のロックを解除し、棒金の取出しを許可することもできる。このように、POS端末20は、棒金管理システム10を統括的に制御する上位機となる。
釣銭機12は、これに接続された釣札機14と共に貨幣処理装置16を構成する。貨幣処理装置16は、レジ担当者が投入した貨幣(硬貨及び紙幣)を受け入れる一方、釣銭となる貨幣を払い出す入出金処理を行うものであり、釣銭機12において、受け入れた貨幣の金額(入金額)、払い出された貨幣の金額(出金額)、在高が管理される。貨幣処理装置16では、釣銭機12又は釣札機14が貨幣を受け入れた場合にその入金額をPOS端末20に通知する一方、POS端末20から通知された出金額を受信し、釣銭機12又は釣札機14から出金額に相当する貨幣を払い出す。これにより、レジ担当者は、貨幣を数えることなく釣銭を出金できる。
棒金収納庫18は、釣銭機12に接続されている。棒金収納庫18は、釣銭機12に補充する硬貨を準備金として収納するものであり、収納している棒金(棒状硬貨)の種類や数量を釣銭機12を介してPOS端末20へと通知することができる。ここで、棒金(棒状硬貨)とは、同一種類の硬貨を予め設定した枚数だけ積層して包装し、1つの取扱単位として構成したものである。本実施形態に係る棒金管理システム10は、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨をそれぞれ所定の枚数ずつ包装した棒金(1円棒金、5円棒金、10円棒金、50円棒金、100円棒金、500円棒金)を収納対象としている。
図3は、図2に示す棒金収納庫18の斜視図であり、図4は、図3に示す棒金収納庫18の筐体22から棒金収納トレイ24を引出した状態を示す斜視図である。
図2〜図4に示すように、棒金収納庫18は、箱状の筐体22と、筐体22の前面から手前側へと引出し可能に配設された棒金収納トレイ24とを備える。筐体22は、前面が開口した直方体形状を成すものである。棒金収納トレイ(棒金ドロア)24は、筐体22に挿入可能な大きさに構成した箱体であり、上面が開口した直方体形状を成している。
図4に示すように、棒金収納トレイ24の内部には、収納部26が設けられている。収納部26は、予め定められた種類の棒金を予め定められた位置に収納するためのものである。図4に示す例において、収納部26には、棒金を収納する複数の収納ポケット(収納溝)28と、紙幣や商品券等の紙葉類を収納する紙葉類収納庫30と、棒金をばらしたバラ硬貨等を収納するバラ硬貨収納庫32とが設けられている。各収納ポケット28には、収納された棒金を検出する識別センサ(検出器)34がそれぞれ配設されている。図4では、一部の収納ポケット28内に所定金種の棒金Cを収納した状態を図示している。
図3及び図4に示すように、筐体22の内部には、棒金収納トレイ24が該筐体22の奥部まで押込まれた場合にその引出しを規制するロック機構36と、ロック機構36のロック状態を検出するロックセンサ38と、棒金収納トレイ24の開閉動作を検出する開閉センサ(開閉検知器)39とが設けられている。開閉センサ39は、図4に示すように最大開放位置まで引出された棒金収納トレイ24が閉操作(押込操作)を受けた直後に該閉操作を検出可能なように、最大開放位置まで引出された棒金収納トレイ24の直近背後となる位置に配設されている。
図5は、本実施形態に係る棒金管理システム10の制御系統を示すブロック図である。
図5に示すように、棒金管理システム10の制御系統は、POS端末20と情報を送受信可能に接続されるコントロール部40と、コントロール部40と情報を送受信可能に接続される機構制御部42、操作表示部44、及び演算部46と、機構制御部42と情報を送受信可能に接続される入出金計数処理部48及び棒金収納庫計数処理部50と、演算部46に情報を送信可能に接続される論理部52とを備える。
コントロール部40は、当該棒金管理システム10を統括的に制御するためのものである。コントロール部40は、例えば、図2に示すように、釣銭機12に設けられる制御ユニット54と、棒金収納庫18に設けられ、釣銭機12の制御ユニット54に接続された制御ユニット56とから構成され、これら2つの制御ユニット54,56が相互に連係することで、コントロール部40として当該棒金管理システム10の統括的な制御を担当する。コントロール部40は、制御ユニット54,56のうち、いずれか一方のみによって構成されてもよく、この場合は、コントロール部40を構成する一方が上位として他方を制御する。
コントロール部40は、POS端末20から問合せ(指示データ)があった場合に、或いは問合せがなくても必要に応じて、釣銭機12や釣札機14での入出金又は在高の情報や棒金収納庫18に収納された棒金の金種や本数等の各種情報を通知データとしてPOS端末20に送信する。
入出金計数処理部48は、釣銭機12及び釣札機14での入出金の計数処理等を行うものである。入出金計数処理部48は、釣銭機12及び釣札機14に入金された貨幣を計数し、機構制御部42を介してコントロール部40へと入金額等の情報を送信する一方、コントロール部40からの指示に基づく機構制御部42からの指示を受けて釣銭機12及び釣札機14を制御し、出金額等の計数とその出金動作等の制御を行う。入出金計数処理部48は、釣銭機12の制御ユニット54、又は釣札機14の図示しない制御ユニットに設けられる。
棒金収納庫計数処理部50は、棒金収納庫18での金種毎の棒金の収納本数の計数処理等を行うと共に、機構制御部42からのロック解除等の指示データを受けて、ロック機構36を制御し、さらに開閉センサ39による棒金収納トレイ24の開閉検知等も行うものである。棒金収納庫計数処理部50には、各収納ポケット28に付設された各識別センサ34の識別結果に基づき、収納された棒金の金種(種類)を識別する識別部58と、識別部58で識別された棒金の金種が、対象となる収納ポケット28に予め設定された正規の金種であるか否かを判定する判定部59とが設けられている。
棒金収納庫計数処理部50は、棒金収納トレイ24の収納部26に収納された棒金の金種や本数を棒金検知データとして機構制御部42に送信する。この棒金検知データには、それぞれの収納ポケット28に予め設定された金種の棒金が収納されている正金種情報(正規棒金情報)と、所定の収納ポケット28に予め設定されている以外の金種の棒金が収納された異金種情報(正規外棒金情報)とが含まれる。例えば、正金種情報は、5円棒金用と定められた収納ポケット28に5円棒金が収納されている場合の情報であり、異金種情報は、5円棒金用と定められた収納ポケット28に10円棒金が収納されている場合の情報である。棒金収納庫計数処理部50は、棒金収納庫18の制御ユニット56、釣銭機12の制御ユニット54、又は釣札機14の図示しない制御ユニットに設けられる。
機構制御部42は、コントロール部40、入出金計数処理部48、及び棒金収納庫計数処理部50との間で各種情報の送受信を行い、コントロール部40からの指示に基づき入出金計数処理部48及び棒金収納庫計数処理部50を制御する。機構制御部42は、例えば、コントロール部40の一機能として設けてもよく、つまり、機構制御部42は、制御ユニット54,56の両方又は一方によって構成されてもよい。
演算部46は、論理部52に記憶された計算論理と、コントロール部40からの棒金収納庫18の収納金種等の条件データとを受けて、所定の演算を行い、その結果を通知データ(結果データ)としてコントロール部40に送信する。
論理部52は、演算部46での演算に用いる計算論理等を記憶した記憶部である。本実施形態の場合、論理部52に記憶された計算論理は、正規外の金種を収納した棒金収納トレイ24が筐体22内に格納されてロック機構36がロック状態とされた場合に、操作表示部44を構成する警告器60及びLCD・LED表示器62を駆動制御し、さらに操作パネル64の操作に基づきロック機構36のロック状態を解除するという内容を含む。つまり、この計算論理を用いた演算部46の演算結果を受けて、コントロール部40が、機構制御部42(棒金収納庫計数処理部50)や操作表示部44を駆動制御する。
図6〜図8は、操作表示部44の構成を示す説明図であり、図6は、所定の入出金処理が行われた直後の操作表示部44の状態を示し、図7は、棒金収納トレイ24の筐体22内への格納時に収納部26に正規外の棒金が収納されていない場合の操作表示部44の状態を示し、図8は、棒金収納トレイ24の筐体22内への格納時に収納部26に正規外の棒金が収納されている場合の操作表示部44の状態を示す。
操作表示部44は、図1に示すように、釣銭機12の上面隅部に配置されており、図5及び図6に示すように、警告器60と、LCD・LED表示器62と、操作パネル64とを備える。操作表示部44は、棒金収納庫18や釣札機14に設けられていてもよい。
警告器60は、コントロール部40の制御に基づき、所定の警告音を発生可能なブザーである。警告器60の警告音は、1種類のみならず、その警告対象となる状態に応じて複数種類設けられてもよい。例えば、警告器60は、図8に示すように、収納部26に正規外の棒金が収納された状態で棒金収納トレイ24が筐体22内に格納された場合に、所定の警告音を発生する。
LCD・LED表示器62は、例えば16文字で2行表示が可能な液晶表示部からなるLCD表示部62aと、貨幣処理装置16や棒金収納庫18の在高等を金種毎に表示可能な液晶表示部からなるLCD表示部62bと、複数のLEDランプによって貨幣処理装置16の動作状態を表示するLED表示部62cとから構成される。
LCD表示部62aは、当該棒金管理システム10の各種情報を表示可能である。LCD表示部62aには、入出金処理後の状態では、例えば、「ニュウキン 10,253エン」、「シュッキン 300エン」との表示がなされ(図6参照)、棒金収納トレイ24の収納部26に正規外の棒金がない状態では、例えば、「!!ドロア キンシュ OK!!」との表示がなされ(図7参照)、棒金収納トレイ24の収納部26に正規外の棒金がある状態では、例えば、「!!ドロア キンシュ NG!!」、「ドロアオープン[ジッコウ]」との表示がなされる(図8参照)。また、図8に示す正規外の棒金がある状態では、LCD表示部62bにも、例えば「Error CSt(エラー コインストッカー)」との表示がなされ、正規外の棒金が収納されている状態を、警告器60と共に使用者に確実に通知する。
LCD表示部62bは、通常時には、貨幣処理装置16や棒金収納庫18の在高を表示するものであるが、上記のように、正規外の棒金が収納された場合等には、所定の文字列からなる警告メッセージ等を表示することもできる(図8参照)。
LED表示部62cには、貨幣処理装置16の図示しない回収庫が動作している状態を示す「回収庫」ランプと、貨幣処理装置16の釣銭が十分である状態を示す「ニアフル」ランプと、貨幣処理装置16の釣銭が不足している状態を示す「ニアエンプティ」ランプと、貨幣処理機16で貨幣の精査が行われている状態を示す「精査」ランプとが設けられている。LDE表示部62cには、さらに、棒金収納トレイ24に正規外の棒金が収納されていない「正規」ランプや、正規外の棒金が収納されている「正規外」ランプ等を設けてもよい。
操作パネル64は、テンキー式の入力部であり、棒金管理システム10に対する各種の設定や指示を行うためのものである。例えば、図8に示すように正規外の棒金が収納された状態で、LCD表示部62aの表示[ジッコウ]に従って実行キー64aを押操作すると、警告器60の警告音が停止され、同時にロック機構36のロック状態が解除されて棒金収納トレイ24が引出される。実行キー64a以外のキーをこの動作用として設定しても勿論よい。また、図8に示すように正規外の棒金が収納された状態で、取消復旧キー64bを押操作した場合には、警告器60の警告音が停止される一方、ロック機構36のロック状態は解除されずに解除操作待機状態となり、取消復旧キー64bの再操作或いは実行キー64aの操作を待って、ロック機構36の解除が行われる。
次に、以上のように構成された棒金管理システム10の制御方法の一例について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、本実施形態に係る棒金管理システム10の制御方法の一手順を示すフローチャートである。
先ず、図9中のステップS1において、棒金収納トレイ24の収納部26での各棒金の収納状態の読出しが行われる。この読出しは、棒金が収納される各収納ポケット28に付設された各識別センサ34の検出情報に基づき識別部58が収納された各棒金の金種を識別し、識別された棒金の金種とその収納ポケット28に定められた金種とが正しいか否かを判定部59が判定し、正規の棒金(正金種)であるか、正規外の棒金(異金種)であるかが特定する。例えば、5円棒金用と定められた収納ポケット28に10円棒金が収納されている場合には、該10円棒金は正規外の棒金であると判定される。
ステップS2において、上位機であるPOS端末20からコントロール部40へと棒金情報(金種や本数)の問合せがあった場合には(ステップS2のYes)、ステップS3において、コントロール部40はステップS1での識別情報及び判定情報に基づく収納部26での棒金の収納状態に関する応答情報を作成し、これをPOS端末20へと通知し、次にステップS4が実行される。一方、POS端末20からの問合せがなかった場合には(ステップS2のNo)、そのままステップS4へと進む。
ステップS4では、ロックセンサ38により、ロック機構36がアンロック状態からロック状態へと動作(開→閉動作)したか否か、つまり棒金収納トレイ24が筐体22内へと押込まれ、ロック機構36がロックされたか否かを検知する。ロック機構36の開→閉動作が検知された場合には(ステップS4のYes)、棒金収納トレイ24が筐体22内に完全に格納されたと判断できるため、次にステッS5を実行する。一方、ロック機構36の開→閉動作が検知されなかった場合には(ステップS4のNo)、ステップS1に戻り、ロック機構36の開→閉動作の検知待ちとなる。
なお、ステップS1によって収納部26に正規外の棒金が収納されたことが判定されている状態で、棒金収納トレイ24の閉操作が開閉センサ39によって検出された場合には、警告器60又は図示しない別の警報器を動作させて警告音を発生し、棒金収納トレイ24の閉操作の中止を促す制御を行ってもよい。そうすると、使用者は、棒金収納トレイ24の筐体22内への格納開始と同時に、正規外の棒金が収納されていることを迅速に認識することができる。但し、この警告に関わらず棒金収納トレイ24の閉操作が完了した場合には(ステップS4のYes)、ステップS5以降を実行すればよい。また、この場合の警告器60の駆動タイミングは、開閉センサ39によって棒金収納トレイ24の閉操作が開始されたことを検知した場合以外にも、例えば、棒金収納トレイ24が筐体22の奥部まで押込まれ、ロック機構36が作動を開始したことがロックセンサ38によって検出された場合であってもよい。そうすると、使用者は、棒金収納トレイ24の筐体22内への格納とロックとを完了させる直前に、正規外の棒金が収納されていることに気付くことができる。つまり、ロックセンサ38を開閉センサ39に代えた開閉検知器として機能させてもよい。
ステップS5〜S7では、棒金収納トレイ24が筐体22内に格納され、ロック機構36がロックされた状態で、上記したステップS1〜S3と同様な制御が行われる。すなわち、収納部26に収納された棒金の金種及び本数の読出しと共に、正規又は正規外の識別・判定等が行われ、さらに、POS端末20からの問合せに対しコントロール部40から応答情報の通知が行われる。
この際、ステップS5において収納部26に正規外の棒金が収納されていると判定された状態で、ステップS6において上位機であるPOS端末20からコントロール部40へと棒金情報(在高)の問合せがあった場合には、コントロール部40は、ステップS7における応答情報として異常情報(異金種棒金収納情報)を作成し、POS端末20へと通知するものとしてもよい。POS端末20に異常情報が送信されることにより、POS端末20に、現在の状態では棒金収納庫18に収納されている棒金の正確な在高を把握できないことを通知することができるため、POS端末20側では、この異常状態に対応した処理を以降の棒金管理システム10の各手順と連係して、又は独自に迅速に実行することができる。
ステップS8において、コントロール部40は、ステップS5の読出しの結果、収納部26に正規外の棒金が収納されている情報(異金種情報)があるか否かを確認する。
異金種情報がない場合(ステップS8のNo)、つまり正規の棒金のみが収納部26に収納されている場合には、次にステップS9を実行する。ステップS9では、コントロール部40は、操作表示部44を制御し、LCD・LED表示器62に図7に示すようなOK表示を行うと共に、警告器60は通知を停止した状態としておき、一連の処理を終了してステップS1へと戻る。
一方、異金種情報がある場合(ステップS8のYes)、つまり正規外の棒金が収納部26に収納されている場合には、次にステップS10に進む。ここでは、中断フラグがないものとし(ステップS10のNo)、ステップS8の後、ステップS11が実行されるものとする。
ステップS11では、ステップS5,S8により、収納部26に正規外の棒金が収納されている状態を示す異金種情報が、棒金収納庫計数処理部50から機構制御部42を経てコントロール部40に送信された状態にあるため、コントロール部40は、操作表示部44を制御し、LCD・LED表示器62に図8に示すようなNG表示を行うと共に、警告器60を動作させて警告を通知する。これにより、使用者は、正規外の棒金を収納してしまったことを、警告音と警告表示とで明確に認識することができる。これらLCD・LED表示器62と警告器60とによる警告通知は、少なくとも一方が設けられていればよいが、両方設けると、使用者の視覚と聴覚に同時に通知することができて好ましい。
ステップS12では、LCD・LED表示器62におけるLCD表示部62aの表示に基づき操作パネル64の実行キー(操作手段)64aが押操作されたか否か、つまりロック機構36の解除指示がなされたか否かを判断する。なお、この場合の操作手段を、実行キー64a以外の操作パネル64中のキーに割付けても勿論よく、また、POS端末20側の操作手段で解除指示を行う構成としてもよい。
ロック機構36の解除指示があった場合(ステップS12のYes)、つまり図8に示すLCD表示部62aの表示に従って実行キー64aが押操作された場合には、コントロール部40は、警告器60の通知を停止し(ステップS13)、続いてロック機構36のロック状態を解除して棒金収納トレイ24を引出す(ステップS14)。
そして、ステップS15において、ロックセンサ38及び開閉センサ39によってロック機構36の開検知、つまり棒金収納トレイ24の開操作が確認された場合には(ステップS15のYes)、一通りの制御手順が終了したものと判断してステップS1に戻る。一方、ステップS15において、ロック機構36の開検知が確認されなかった場合には(ステップS15のNo)、再びステップS11に戻り、以降の手順が繰り返される。
また、ステップS12において、ロック機構36の解除指示がなかった場合(ステップS12のNo)、つまり図8に示すLCD表示部62aの表示に従って実行キー64aが押操作されなかった場合には、次にステップS16に進む。
ステップS16では、ステップS11によってLCD・LED表示器62に図8に示すようなNG表示が行われ、警告器60が警告を通知している状態で、操作パネル64の取消復旧キー(操作手段)64bが押操作されたか否か、つまり警告器60の通知のみを停止するための指示(通知中断指示)がなされたか否かを判断する。
通知中断指示がない場合(ステップS16のNo)、つまり取消復旧キー64bが押操作されなかった場合には、ステップS11に戻り、再びステップS12が実行される。一方、通知中断指示があった場合(ステップS16のYes)、つまり取消復旧キー64bが押操作された場合には、次に、コントロール部40は、警告器60の通知を停止し(ステップS17)、中断指示がなされた旨のフラグ(中断フラグ)をセットする(ステップS18)。
続いて、ステップS19において、ステップS15と同様なロック機構36の開検知が行われる。この場合、ステップS16〜S18の制御動作により、棒金管理システム10は、警告器60の通知のみが停止され、LCD・LED表示器62に図8に示すようなNG表示がなされている状態(解除操作待機状態)となっている。当該棒金管理システム10において、この解除操作待機状態は、収納部26に正規外の棒金が収納されたことにより(ステップS8のYes)、LCD・LED表示器62にNG表示が行われ、警告器60が警告を通知している状態(ステップS11)において、使用者が一旦、正規外の棒金の収納し直し作業を中断し、警告器60の警告音のみを消して、顧客対応の入出金処理や別の作業を行う際に一時的に設定される状況を想定したものである。
そこで、解除操作待機状態において、さらなる取消復旧キー64bや実行キー64aの押操作がないままにロック機構36の開検知、つまり棒金収納トレイ24の開操作が確認された場合には(ステップS19のYes)、コントロール部40は、棒金収納トレイ24が不正な開操作を受けたものと判断し、警告器60を動作させて警告を通知する(ステップS20)。この警告は、正規外の棒金が収納されたことを通知するステップS11の警告通知とは作動状況が異なるため、より大きな音量や他の種類の音を通知し、さらには警告器60以外の別の警告器(図示せず)を動作させるようにしてもよい。ステップS20で警告を通知した後は、再びステップS11に戻って以降の処理が繰り返される。
ロック機構36の開検知が確認されなかった場合には(ステップS19のNo)、次に、ステップS21を実行し、貨幣処理装置16で入出金処理が行われたか否かが確認される。入出金処理がない場合には(ステップS21のNo)、ステップS5に戻って以降の処理が繰り返される。
この場合、ステップS18において中断フラグがセットされているため、ステップS21のNoから戻った後のステップS10で中断フラグの有無が検知され、中断フラグが確認された場合には(ステップS10のYes)、警告器60の警告を停止したままとし、解除操作待機状態を維持しておくために、ステップS11を飛ばしてステップS12に進む(ステップS10のYesと、ステップS12の直前との間を結ぶ丸印の記号Aを参照)。また、ステップS21のNoから戻った後のステップS12においてYesとなった場合には、ステップS13又はステップS14で中断フラグをクリアしておくとよい。さらに、この場合のステップS12では、LCD表示部62aの指示による実行キー64aのみならず、取消復旧キー64bの再度の押操作もロック機構36の解除指示として機能させてもよい。
一方、入出金処理が行われた場合には(ステップS21のYes)、その終了検知を行い(ステップS22のNo)、入出金処理の終了が確認された場合には(ステップS22のYes)、再び警告器60による警告を通知した後(ステップS23)、ステップS11に戻って以降の処理が繰り返される。このステップS23を設けたことにより、ステップS16において通知中断指示を行って一旦警告を停止した状態で顧客対応等の入出金処理(ステップS21,S22)を行った場合であっても、収納部26に正規外の棒金が収納されていることを警告器60によって使用者に再通知することができる。なお、このような警告器60による再警告は、例えば、ステップS22のNoに示す入出金処理の終了検知中に所定時間が経過した際に通知するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る棒金管理システム10は、棒金を収納する収納部26、及び収納部26に収納された棒金を検出する識別センサ34を有する棒金収納トレイ24と、棒金収納トレイ24を引出し可能に格納する筐体22と、筐体22内に格納された棒金収納トレイ24の引出しを規制するロック機構36と、識別センサ34からの検出情報に基づき収納部26に収納された棒金の種類を識別する識別部58、及び識別部58で識別された棒金の種類が収納部26に予め設定されている正規の種類であるか否かを判定する判定部59とを備える。そして、制御部であるコントロール部40(機構制御部42を含む概念でもよい)は、判定部59によって収納部26に収納された棒金が正規外の種類であると判定され、収納部26に棒金を収納した棒金収納トレイ24が筐体22内に格納されてロック機構36がロック状態とされた場合に、警告器60を動作させ或いはLCD・LED表示器62を制御して警告を通知し(図9中のステップS11)、さらに実行キー62aの操作に基づきロック機構36のロック状態を解除する制御を行う(図9中のステップS12〜S14)。
従って、当該棒金管理システム10によれば、正規外の棒金が収納部26に収納されている場合であっても、棒金収納トレイ24を筐体22内に押込むと、ロック機構36によってロックされるため、棒金収納トレイ24が開放されたままとなり、セキュリティ上の問題を生じることが防止される。しかも、この場合には、警告器60を動作させ或いはLCD・LED表示器62を動作させて警告(警告音や警告表示)を通知することで、使用者に正規外の棒金が収納されていることを明確に通知すると共に、実行キー62aの操作を待ってロック機構36のロック状態を解除するため、高いセキュリティと利便性を確保することができる。
当該棒金管理システム10において、コントロール部40は、実行キー64aが操作されない状態でロック機構36のロック状態の解除が検知された場合には、警告を通知する(図9中のステップS20)。これにより、正規外の棒金を収納した棒金収納トレイ24が筐体22内に格納されてロックされた状態で、棒金収納トレイ24が不正な開操作を受けた場合に、警告を通知することで盗難等を未然に防止することができる。
当該棒金管理システム10において、正規外の種類であると判定された棒金を収納部26に収納した棒金収納トレイ24がロック機構36によってロックされた状態で、操作手段(実行キー64a又は取消復旧キー64b)が操作された場合に、警告器60による警告の通知を停止してロック機構36の解除操作待機状態となるか(図9中のステップS16,S17)、又は警告器60による警告の通知を停止し且つロック機構36のロック状態を解除するか(図9中のステップS12〜S14)、の設定を変更可能に構成してもよい。この設定変更は、例えば、操作パネル64を用いて行えばよい。これにより、当該棒金管理システム10の使用店舗や設置場所等の要求に応じた最適な制御手法での運用が可能となり、利便性と汎用性が向上する。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。