(第1の実施形態)
図1〜図5を参照して、運搬台車を具体化した第1の実施形態について説明する。ここで運搬台車10は、荷物などの移動に用いられるものであって、該運搬台車10の荷台11に積載された荷物を該運搬台車10で移動させることができるものである。
図1及び図2に示すように、運搬台車10は、荷物を載せることができる荷台11と、該荷台11を移動可能にする4つのキャスター16とを備える。また、運搬台車10は、該運搬台車10を移動させる力を荷台11に伝達させるハンドル80(図4参照)が取り付けられるようになっており、荷台11の2箇所にハンドル80が取り付けられる一対のハンドル取付部14,15をそれぞれ備えている。
荷台11は、略矩形形状の板状の部材からなり、荷物が載置される積載面110と、積載面110の反対側であって4つのキャスター16が配置される底面111とを備える。4つのキャスター16は、底面111の四隅又はその近傍にそれぞれ1つずつ配置されることで、荷台11を床面等の地面に対して移動可能に支持している。なお、荷台11は、樹脂、金属、及び木材の少なくとも一つを含み構成することができる。
荷台11は、積載面110の周囲に複数の側辺を備えている。荷台11は、複数の側辺のなかの一側辺である第1側辺を含む端面である連結側面11aと、第1側辺と隣接しない側辺である第2側辺を含む被連結側面11bと、2つの横側面11c,11dとを備える。本実施形態では、連結側面11aや被連結側面11bの長さは、各横側面11c,11dの長さよりも短くなっている。よって、横側面11c,11dに沿う方向を荷台11の長手方向、連結側面11aや被連結側面11bに沿う方向を荷台11の短手方向とする。なお、連結側面11aや被連結側面11bの長さ、及び、各横側面11c,11dの長さは、荷台11の形状に応じて調整可能なものであるから、全ての長さを略同じにしたり、連結側面11aや被連結側面11bの長さよりも各横側面11c,11dの長さを短くしたりすることもできる。
連結側面11aは、短手方向の長さのほぼ中央に連結用の連結凹部12を備える。また、被連結側面11bは、短手方向の長さのほぼ中央に被連結用の連結凸部13を備える。連結凹部12と連結凸部13とは、嵌合可能な形状に形成されており、連結凹部12と連結凸部13とが突き合わされることで連結凹部12の凹状に連結凸部13の凸状が嵌合するように構成されている。連結凹部12は、積載面110からみて連結側面11aが荷台11の中心方向に窪む形状に形成されている。連結凸部13は、積載面110からみて被連結側面11bが荷台11の中心方向に対して反対の外側方向へ突出する形状に形成されている。
連結凸部13は、積載面110を当該積載面110の上方から見たとき、その内側に被連結孔13aを備える。被連結孔13aは、積載面110側から底面111側に貫通する孔である。被連結孔13aは、連結凹部12と連結凸部13とが突き合わされたとき、連結凹部12の凹みが形成する空間に配置されることで、同空間に配置される連結器具20が係合できるようになっている。
図2に示すように、連結器具20は、荷台11の底面111を連結側面11aから被連結側面11bまで横断する態様に配置される。連結器具20は、円柱状の棒状部材より構成され、底面111のほぼ中央に対し、連結側面11a側に配置される連結部23と、被連結側面11b側に配置される操作部22と、連結部23と操作部22とをつなぐ連動部21とを備える。よって、連動部21は操作部22と連結部23とを機械的に接続させる。また、操作部22と、連結部23と、それらをつなぐ連動部21とは棒材からなる1部品として構成されている。
操作部22は、操作部22の少なくとも一部と被連結側面11bとが互いに対向するように、連結器具20のほぼ中央よりも被連結側面11b側に設けられている。操作部22は、連動部21のほぼ中央よりも被連結側面11b側端部に接続するとともに、荷台11の短手方向に延出する回動部22bと、回動部22bの先端に接続するとともに、荷台11の長手方向に延出する操作端22aとを備える。操作端22aは、その先端が連結凸部13に重ならないように、荷台11の被連結側面11bから離間する方向に突出されている。つまり、操作端22aは、荷台11の被連結側面11bのうち連結凸部13に重ならない位置に突出している。なお、操作端22aは、手による操作を容易にさせる形状であったり、操作用のハンドルが付けられたりしてもよいし、足による操作を容易にさせる形状であったり、操作用のペダルが付けられたりしてもよい。
連結部23は、連結部23の少なくとも一部と連結側面11aとが互いに対向するように、連結器具20のほぼ中央よりも連結側面11a側に設けられている。連結部23は、連動部21のほぼ中央よりも連結側面11a側端部に接続するとともに、荷台11の短手方向に延出する回動部23cと、回動部23cの先端に接続するとともに、荷台11の長手方向に延出する延長部23bとを備える。延長部23bは、その先端が、荷台11の連結側面11aから離間する方向に連結凹部12の形成する空間まで突出されている。延長部23bは、その先端に連結端23aを備えている。連結端23aは、延長部23bの先端から荷台11の積載面110の方向に向けて延出されているとともに、その先端が積載面110よりも上方に突出しない位置になっている。
連動部21は、荷台11の底面111を連結側面11aから被連結側面11bに向かう方向に軸を延出させている。詳述すると、連動部21の延出方向は、荷台11の長手方向に近い向きであるものの、操作部22の操作端22aを連結凸部13に重ならない位置に配置させ、連結部23の連結端23aを連結凹部12の形成する空間に配置させることができるようにその向きが調整されている。例えば、図2に示すように、連動部21は、被連結側面11b側の端部は、荷台11の短手方向の中央部に配置され、連結側面11a側の端部は、荷台11の短手方向の横側面11c側に配置されていることから、図において右下がりの傾きを有するかたちに配置される。なお、この傾きは、操作部22や連結部23の配置に併せて適宜調整されるものである。
また、連動部21は、保持具25や位置維持部30により荷台11の底面111に固定されている。保持具25や位置維持部30は、連動部21を軸中心に回動可能な態様で保持する。
上述のように、連動部21の両端にはそれぞれ、操作部22と連結部23とが設けられており、操作部22の回動部22bと連結部23の回動部23cとが荷台11の短手方向であって同一の方向に延出されている。例えば、同一の方向は、図2において横側面11dの方向である。
よって、連動部21が軸中心に回動されると、連動部21の軸を中心にした円を描くように、連動部21から延出された操作部22の回動部22bの先端が回動するとともに、連動部21から延出された連結部23の回動部23cの先端が回動する。なお、回動する大きさは、連動部21の軸中心からの距離に応じて定まる。
荷台11の底面111には操作部ガイド27が設けられている。操作部ガイド27は、被連結側面11bに向いて開口する孔部を備えている。そして、操作部22の操作端22aは、操作部ガイド27の孔部を荷台11の中央側から離間する方向に貫通する態様に配置されている。操作端22aは、操作部ガイド27の孔部を連結位置から連結位置より下がる位置にある解除位置までの範囲で移動可能になっている。
連結部23は、荷台11側から延出された延長部23bの先端に底面111から積載面110の方向に延出される連結端23aを備えている。連結端23aは、回動部23cの先端が底面111の緩衝部材26に当接する連結位置から、連結端23aの先端が荷台11の底面111の位置以下まで下がる解除位置までの間で回動が可能になっている。
つまり、操作部22の操作端22aが連結位置にあれば、連結部23の連結端23aも連結位置に配置される。また、操作部22の操作端22aが解除位置になると、連結部23の連結端23aも解除位置に配置されるようになる。
位置維持部30は、連結器具20の連結部23を荷台11の連結側面11aから離間方向に付勢して所定の離間位置に維持させる離間位置維持機能と、連結器具20の連結部23を連結位置に維持させるように連動部21の軸に回転力を付勢する連結位置維持機能とを備えている。
図3(a),(b)に示すように、位置維持部30は、荷台11の底面111に設けられた支持体34と、支持体34において荷台11の長手方向の各壁面にそれぞれ連動部21を貫通させるために形成された貫通孔とを備えている。また、位置維持部30は、支持体34の連結部23側の壁面内側において貫通孔を貫通する連動部21が同様に貫通する当たり止め部37を備えている。また、連動部21は、連動部21の軸の回動と同期して回動する腕部28が同軸に直交する方向に設けられている。そして、この腕部28は、位置維持部30の内側に配置されており、連結器具20の連結部23が離間位置PAにあるとき当たり止め部37に当接する位置に固定されている。よって、連結部23は、離間位置PAよりも荷台11の連結側面11aから離間する方向へ移動することができない。腕部28と支持体34の操作部22側壁との間には、圧縮されたコイル状の付与部材としてのばね31が、コイルの内部に連動部21を通す態様で配置されている。つまり、図3(a)に示すように、通常、ばね31の反発力によって腕部28が当たり止め部37に押し付けられることにより、連結部23が離間位置PAに維持される。一方、連結部23が、他の運搬台車の接触などにより荷台11の方向へ押されるとき、連動部21の腕部28が位置維持部30のばね31を押すことで、連結部23の位置が最長で連結凹部12に当接する位置である押し込み位置PBまで移動する。こうした、連結部23の位置移動により、連結部23に外部から加えられる荷台11の長手方向への衝撃が軽減されるようになる。よって、連結部23の変形などが抑えられるようになる。なお、ばね31の長さは離間位置PAから押し込み位置PBまでの長さよりも長く確保されており、連結部23は離間位置PAから押し込み位置PBまで確実に移動することができる。
腕部28は、連動部21から垂直方向に延出された先端部に、ばね31から延出された連結部23側の端部32が接続されている。このばね31は、巻き過ぎた状態で、連結部23側の端部32が腕部28に接続され、操作部22側の端部33が支持体34の壁部に固定されている。よって、ばね31の連結部23側の端部32は、腕部28の先端部を底面111方向へ付勢する。この付勢により腕部28に連動して連動部21が回動されることで操作部22及び連結部23がそれぞれ連結位置に配置されるようになる。一方、ばね31からの付勢とは逆方向(底面から離れる方向)に力が加えられることで、腕部28及び連動部21が回動されると、操作部22及び連結部23がそれぞれ解除位置に配置される。なお、付勢とは逆方向への力が消滅することで、底面111方向へのばね31からの付勢により腕部28が底面111方向へ回動される。そして、操作部22及び連結部23の位置が連結位置に戻されるとともに、その位置に維持される。
次に、図4及び図5を参照して、2台の運搬台車10の連結について説明する。ここで、2台の運搬台車10は同じ運搬台車であるが、説明の便宜上、一方の運搬台車を第1の運搬台車10A、他方の運搬台車を第2の運搬台車10Bとして説明する。
第1の運搬台車10Aの連結側面11aに、第2の運搬台車10Bの被連結側面11bが当接される態様で、第1の運搬台車10Aと第2の運搬台車10Bとが連結される。また、第1の運搬台車10Aは、被連結側面11b側のハンドル取付部14にハンドル80が設置され、第2の運搬台車10Bは、連結側面11a側のハンドル取付部15にハンドル80が設置される。このように、ハンドル80を設置させるハンドル取付部14,15が選択可能であることにより、連結された第1及び第2の運搬台車10A,10Bの2つの荷台11を、ハンドル80によって分割させることなく、広く利用させることができる。
また、連結された第1及び第2の運搬台車10A,10Bは、ハンドル80が取り付けられた位置から操作される。そこで、第1の運搬台車10Aを動かしたいとき、動かしたい第1の運搬台車10Aをハンドル80側から操作することによって、連結を解除させること、及び、その後に移動させることが続けて行えるようになる。
図5(a),(b)に示すように、第1及び第2の運搬台車10A,10Bが連結されると、第1の運搬台車10Aの連結凹部12に第2の運搬台車10Bの連結凸部13が嵌合される。これにより、第1及び第2の運搬台車10A,10Bの短手方向へのずれが抑制されて同短手方向への移動が一体化される。また、このとき、第1の運搬台車10Aの連結凹部12に設けられている連結部23の連結端23aが連結凸部13の被連結孔13aに入り込む。これにより、第1及び第2の運搬台車10A,10Bの長手方向へのずれが抑制されて同長手方向への移動が一体化される。すなわち、連結された第1及び第2の運搬台車10A,10Bは、長手方向への移動及び短手方向の移動がいずれも一体化される。
第1及び第2の運搬台車10A,10Bの連結は、第1の運搬台車10Aの操作部22が連結位置から解除位置に移動される操作に伴い連結部23の連結端23aが連結位置から解除位置に移動して被連結孔13aから抜け出ることによって解除される。すなわち、連結された2つの荷台11が広く利用されることにより、2つの荷台11の連結している部分の積載面110側が荷物に覆われていたとしても、被連結側面11bにある操作部22によって連結の解除操作が行えるようになる。また、連結されていない被連結側面11bにある操作部22は、積載面110側を荷物によって覆われるおそれが少ないことから、連結部の上に荷物が載置されているような場合であれ、連結を解除する操作が容易になる。
逆に、連結されていない第1及び第2の運搬台車10A,10Bを連結するとき、第1の運搬台車10Aの操作部22を連結位置から解除位置に移動させてから、その連結凹部12に第2の運搬台車10Bの連結凸部13を嵌合させる。そして、第1の運搬台車10Aの操作部22を解除位置から連結位置に移動させることで連結部23の連結端23aが第2の運搬台車10Bの連結凸部13の被連結孔13aに挿入される。これにより、第1及び第2の運搬台車10A,10Bが連結される。
以上説明したように、本実施形態の運搬台車によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)連結器具20の連結部23と操作部22とが荷台の積載面110よりも下方に設けられる。また、連結部23と操作部22とが、互いに隣接しない別々の側辺(連結側面11aと被連結側面11b)と対向するように設けられることになるため、連結部23から連動部21の長さの距離だけ離れた位置にある操作部22の操作によって連結部23に対して連結させる操作や連結を解除させる操作を行うことができるようになる。これにより、連結部23の上に荷物が載置されているような場合であれ、連結や連結を解除させる操作が容易になる。
(2)連結部23と操作部22とを離れた位置に配置させつつ、操作部22により連結部23を操作可能にすることができる。また、連結部23と操作部22と及びこれらをつなぐ連動部21からなる構成を容易にすることができる。
(3)連結を維持する連結位置に連結部23を維持することができる。また、連結などのために他の運搬台車が連結位置に維持された連結部23に接触したとしても連結部23が荷台11方向に押されるため、連結部23が他の運搬台車の接触に伴う衝撃を吸収することができるようになる。
(4)運搬台車10のハンドルを、運搬台車10を単体で利用するとき、また複数連結させて使用するときなど、必要に応じて適切な位置に取り付けることができるようになる。すなわち、連結可能な運搬台車10の利便性が高められるようになる。
(第2の実施形態)
図6〜図10を参照して、運搬台車を具体化した第2の実施形態について説明する。本実施形態は、荷台41及び連結器具50の形状が第1の実施形態の荷台11及び連結器具20の形状と相違している。そこで、以下では主に相違点について説明し、その他、同様な構成についてはその旨に言及し、詳細な説明を割愛する。
図6に示すように、運搬台車40は、荷物を載せることができる荷台41を備えている。また、運搬台車40は、ハンドル80(図9参照)が取り付けられる2組のハンドル取付部44,45を備えている。荷台41は、荷物が載置される積載面410と、積載面410の反対側であって4つのキャスター46が配置される底面411とを備える。また、荷台41は、積載面410の周囲に複数の側辺を備えている。荷台41は、複数の側辺のなかに、互いに隣接しない別々の側辺である第1側辺と第2側辺とを含む。また、荷台41は、第1側辺を含む端面である第1の連結側面41aと、第2側辺を含む端面である第2の連結側面41bと、これら2つの端面を繋ぐ2つの横側面41c,41dとを備える。さらに、運搬台車40は、他の運搬台車40との連結に用いられる連結器具50を備える。これらの構成のうち、荷台41の第1及び第2の連結側面41a,41bと、連結器具50とが、第1の実施形態の連結側面11a及び被連結側面11bと、連結器具20と相違する。一方、荷台41のその他の構成、及び、キャスター46は、第1の実施形態の荷台11、及び、キャスター16と同様の構成である。
荷台41の第1及び第2の連結側面41a,41bには、第1及び第2の凹部42,43がそれぞれ設けられている。積載面410からみて、第1の凹部42は、第1の連結側面41aが荷台41の中心方向に窪む形状とされ、第2の凹部43は、第2の連結側面41bが荷台41の中心方向に窪む形状とされている。第1及び第2の凹部42,43は、2つの運搬台車40の連結側面41a,41bが相互に突き合わされたとき、それらの間に連結器具50を配置させる空間を形成することができるようになっている。
図7に示すように、連結器具50は、荷台41の底面411を第1の連結側面41aから第2の連結側面41bまで横断する態様に配置される。連結器具50は、円柱状の棒状部材より構成され、第1の連結側面41a側に配置される第1の操作連結部52と、第2の連結側面41b側に配置される第2の操作連結部53と、第1及び第2の操作連結部52,53をつなぐ連動部51とを備える。よって、連動部51は、第1及び第2の操作連結部52,53を機械的に接続させる。また、第1及び第2の操作連結部52,53と、それらをつなぐ連動部51とは棒材からなる1部品として構成されている。
連動部51は、保持具55や位置維持部70により荷台41の底面411に固定されている。保持具55や位置維持部70は、連動部51を軸中心に回動可能な態様で保持する。また、位置維持部70は、連動部51に付勢力を付与する付与部材を備え、その付与部材の付勢力によって連動部51の軸を右及び左に所定の角度範囲で回転可能にしているとともに、連動部51に外力が加わらない場合、軸の角度を所定の角度に戻し、維持させるようになっている。
本実施形態では、連動部51は、荷台41の短手方向の中央に設けられている。また、第1及び第2の操作連結部52,53は、連動部51からみて同一の形状をしている。これにより、運搬台車40の左右の向きが入れ替わったとしても、第1及び第2の操作連結部52,53は同一の位置に配置される。これにより、運搬台車40の連結が運搬台車40の左右の向きによっては規制されない。
ところで連動部51は、一本の棒からなるため第1の連結側面41aから第2の連結側面41bまで同一の方向に回動する。よって、第1の連結側面41aからみると回転方向が右回りであるとき、第2の連結側面41bからみると回転方向が左回りになる。つまり、連動部51は、第1及び第2の操作連結部52,53の回転方向を逆にする。例えば、第1の操作連結部52が右回りになるとき、第2の操作連結部53は左回りになる。
また、第1及び第2の操作連結部52,53は、操作部としての機能も連結部としての機能も備えており、対向する他の第1又は第2の操作連結部52,53と連結可能な形状をしている。これらのことから以下では、第1の操作連結部52について詳細に説明し、第2の操作連結部53についての説明は割愛する。
図8(a),(b),(c)及び(d)に示すように、第1の操作連結部52、第1の連結側面41aを超えて延出された連動部51の先端に設けられている。第1の操作連結部52は、荷台41の短手方向に沿う方向に延びる形状を有しており、その延びる形状の中央部又はその近傍が連動部51の先端に接続されている。第1の操作連結部52は、荷台41からみて連動部51の右側(図8(a),(b)及び(d)において左側)に連結部60を備え、左側(図8(a),(b)及び(d)において右側)に被連結部を兼ねる操作部61を備えている。そして、第1の操作連結部52は対向する他の第1の操作連結部52との間でそれぞれの連結部60をそれぞれの操作部61に係合させることでそれら2つの第1の操作連結部52を連結させる構造となっている。
また、図8(d)に示すように、第1の操作連結部52が連結位置PSにあるとき、これに連動部51を介して配置される第2の操作連結部53は連結位置PSになる。一方、第1の操作連結部52が連結解除操作位置PRaにあるとき、これに連動部51を介して配置される第2の操作連結部53は被連結解除位置PRbになる。他方、第1の操作連結部52が被連結解除位置PRbにあるとき、これに連動部51を介して配置される第2の操作連結部53は連結解除操作位置PRaになる。つまり、第1の操作連結部52が連結解除操作位置PRaに操作されることで、第2の操作連結部53を被連結解除位置PRbに移動させることができる。これは、第1の操作連結部52と第2の操作連結部53との関係を入れ替えても同様である。
操作部61は、連動部51に直交する方向であって底面411から積載面410への方向に所定の長さで延出される延長部610と、延長部610の先端から荷台41の短手方向に所定の長さで延出される操作端611とを備えている。延長部610は、操作端611の下辺を連結部60の回動部600の上辺に揃えるものであり、その長さは、操作端611の棒材の直径と同じ長さである。操作端611は、連結を解除する操作の際、押下される部材であり、操作に必要な長さが確保される。運搬台車40においては、操作端611の長さとして、足先や手での操作が容易となる長さが確保される。
また、連結部60は、連動部51から荷台41の短手方向に所定の長さで延出される回動部600と、回動部600の先端から荷台41の長手方向に所定の長さで延出される延長部601と、延長部601の先端から積載面410の方向に所定の長さで延出される連結端602とを備えている。回動部600の長さは、操作部61の長さよりも短い長さである。延長部601の長さは、操作部61の棒材の直径と同じ長さであり、回動部600と連結端602との間に操作部61が配置されることを可能にしている。連結端602の長さは、少なくとも操作部61の直径以上である。連結端602は、操作部61の操作端611を係合させる(引っかける)態様になっているため、操作部61が上下方向へ多少振動したとしても係合が外れないような長さになっている。
次に、図9及び図10を参照して、2台の運搬台車40の連結について説明する。ここで、2台の運搬台車40は同じ運搬台車であるが、説明の便宜上、一方の運搬台車を第1の運搬台車40A、他方の運搬台車を第2の運搬台車40Bとして説明する。
第1の運搬台車40Aの第1の連結側面41aに、第2の運搬台車40Bの第2の連結側面41bが当接されるとともに、互いの連結器具50が係合されることで、第1の運搬台車40Aと第2の運搬台車40Bとが連結される。また、第1の運搬台車40Aは、第2の連結側面41b側のハンドル取付部44にハンドル80が設置され、第2の運搬台車40Bは、第1の連結側面41a側のハンドル取付部45にハンドル80が設置されてもよい。このように、2つのハンドル80が離れた位置に設置されることによって連結された第1及び第2の運搬台車40A,40Bの2つの荷台41を、広く利用させることができる。
また、連結された第1及び第2の運搬台車40A,40Bは、ハンドル80が取り付けられた位置から操作される。そこで、第1及び第2の運搬台車40A,40Bのいずれか一方を動かしたいとき、動かしたい方の運搬台車をハンドル80側から操作することによって、連結を解除させること、及び、その後に移動させることとが続けて行えるようになる。
また、第1の運搬台車40Aの第1の連結側面41aと、第2の運搬台車40Bの第2の連結側面41bとが当接することで、第1及び第2の運搬台車40A,40Bの短手方向へのずれが抑制されて同短手方向への移動が一体化される。さらに、第1の運搬台車40Aの連結器具50と、第2の運搬台車40Bの連結器具50とが係合(連結)されることで、第1及び第2の運搬台車40A,40Bの長手方向へのずれが抑制されて同長手方向への移動が一体化される。すなわち、連結された第1及び第2の運搬台車40A,40Bは、長手方向への移動及び短手方向の移動がいずれも一体化される。
図10(a)に示すように、第1及び第2の運搬台車40A,40Bは、それらの各連結器具50の操作連結部52,53がいずれも連結位置PSにあることで連結される。詳述すると、このとき、第1の運搬台車40Aの連結部60の連結端602に第2の運搬台車40Bの操作部61の操作端611が係止されるとともに、第2の運搬台車40Bの連結部60の連結端602に第1の運搬台車40Aの操作部61の操作端611も係止される。これにより、第1及び第2の運搬台車40A,40Bが相互に対向さあせる各操作連結部52,53において、向かい合う2組の連結部60と操作部61とがそれぞれ嵌合し、連結が確保される。
一方、図10(b)に示すように、第1及び第2の運搬台車40A,40Bは、第1の運搬台車40Aの操作連結部52が被連結解除位置PRbにあることで連結が解除される。詳述すると、このとき、第1の運搬台車40Aの連結部60の連結端602と第2の運搬台車40Bの操作部61の操作端611との間の係止が解除されるとともに、第2の運搬台車40Bの連結部60の連結端602と第1の運搬台車40Aの操作部61の操作端611との間の係止も解除される。また、第1の運搬台車40Aは、第2の連結側面41bにある第2の操作連結部53が連結解除操作位置PRaに移動されることで、これに連動部51を介して接続されている連結されている第1の操作連結部52が被連結解除位置PRbに移動される。
つまり、本実施形態においても、連結に用いられている第1の操作連結部52ではなく、対辺となる反対側の側面にある第2の操作連結部53が操作されて連結解除操作位置PRaとされることで、第1の操作連結部52による連結が解除されるようになる。
また、本実施形態では、第1及び第2の操作連結部52,53が連結及び解除操作の両用であるため、第1及び第2の操作連結部52,53のどちらであれ連結部に用いることができるとともに、操作部に用いることもできる。これにより、運搬台車40は、その連結に係る向きについての自由度の向上が図られるようになる。
以上説明したように、本実施形態の運搬台車によれば、第1の実施形態に記載した(1),(2),(4)の効果に加えて、以下に記すような効果が得られるようになる。
(5)操作連結部52,53は、他の運搬台車の操作連結部52,53を被連結部として連結するため、第1の運搬台車40Aの操作連結部52と、第2の運搬台車40Bの操作連結部53との連結により、複数の運搬台車が連結されるようになる。
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。また、以下の変更例を、技術的に矛盾しない範囲において互いに組み合わせて適用してもよい。
・上記各実施形態では、操作部22,61を操作することで運搬台車10,40を連結させることができる場合について例示した。しかしこれに限らず、一方の運搬台車の連結部を他方の運搬台車の被連結部に押し付けることで自動的に連結できるようにしてもよい。このとき、運搬台車にハンドルが設けられていれば、ハンドルを押すことで連結部を被連結部に押し付けて自動連結させることもできる。
・上記第2の実施形態では、連結した第1及び第2の運搬台車40A,40Bは第1及び第2の連結側面41a,41bを単に当接されているだけである場合について例示した。しかしこれに限らず、連結側面には、対向する連結側面と嵌合する凹凸などが設けられてもよい。
例えば、図11に示すように、第1の連結側面41aの短手方向における中央よりも右側には凹状の凹部91を設け、左側には凹部91の凹状に嵌合する凸状の凸部92を設けて嵌合部90としてもよい。そして、第1及び第2の運搬台車40C,40Dを連結させるとき、第1の連結側面41aの嵌合部90の凹部91と凸部92とが対向する第2の連結側面41bの嵌合部90の凸部92と凹部91とにそれぞれ嵌合するようにしてもよい。これにより、第1及び第2の運搬台車40C,40Dの短手方向へのずれがより抑制されるようになり、同短手方向への移動がより一体化されるようになる。
・上記第2の実施形態では、位置維持部70は、連結位置維持機能のみを備える場合について例示した。しかしこれに限らず、位置維持部は、荷台の長手方向に対しても基準位置を中心に前後に移動可能な構成とすることにより、離間位置維持機能を備えてもよい。
・上記第1の実施形態では、位置維持部30は、離間位置維持機能と連結位置維持機能とを備えている場合について例示した。しかしこれに限らず、位置維持部は、連結位置維持機能を有する一方、離間位置維持機能を有していなくてもよい。
・上記各実施形態では、荷台11,41は、板状の部材からなる場合について例示した。しかしこれに限らず、板状の部材は、複数の側辺に囲まれた多角形状の外形を有する構造体であれば、例えば、積載面を平面とする一方、底面には剛性を確保させる梁などが配置される構造の部材であってもよいし、荷物を載せることができるのであれば格子状や網状であってもよい。また、板状の部材は、厚みが厚かったり、逆に、薄かったり、又は、縁のあるバケット状やコンテナ状であったりしてもよい。また、板状の積載面には多少の凹凸などの加工がされていてもよい。
・上記各実施形態では、荷台11,41は、略矩形形状の板状の部材からなる場合について例示した。しかしこれに限らず、荷台の形状は、荷物が載置できる多角板形状であれば、例えば5角形以上の板形状であってもよい。
・上記第1の実施形態では、連結凹部12は荷台11の中心方向に窪む形状である場合について例示した。しかしこれに限らず、連結凹部は、積載面が残るかたちに、積載面よりも底面側を荷台の中心方向に窪む形状であり、この連結凹部に嵌る連結凸部は、積載面側が積載面よりも低い位置となるように、底面からの厚みを連結凹部の底面から載置面側への深さに対応する厚みを有する形状であればよい。また、連結凹部は、積載面側が積載面に覆われる態様で連結部の連結端を配置させる。よって、連結凹部に連結凸部が連結したとき、被連結孔に挿入した連結部の連結端が載置面側から見えないようになる。これにより、2台の運搬台車が連結したとき、連結している一方の運搬台車の操作部と他方の運搬台車の連結部とが載置面側からみなくなるため、連結部分の操作部や連結部を直接操作して連結を解除させようとすることが規制され、連結解除の操作を連結されていない側面から行うように誘導できるようになる。また、連結部は載置面で覆われているため、連結の解除操作が行われるとき、連結されていない連結側面にある連結部が操作部に誤認されて解除のために操作されることが抑止されるようになる。
・前記の例では、連結凹部の上部に積載面が残る場合について例示したが、これに限らず、連結凹部は積載面を残さない窪む形状であり、連結凸部の被連結孔を底面に開口して載置面側を底とする有底形状の穴からなる被連結穴としてもよい。これによっても、連結凹部に連結凸部が連結したとき、被連結穴に挿入された連結部の連結端が載置面側から見えないようになる。
・上記各実施形態では、連結器具20,50の棒状部材は円柱状である場合について例示したが、これに限らず、連結器具の棒状部材は、操作可能に構成されるのであれば、角柱状、丸管状、角管状、もしくは長板状などの部材より構成されていてもよい。
・上記第1の実施形態では、連結器具20は操作部22と、連結部23と、それらをつなぐ連動部21とを有する1部品として構成される場合について例示した。しかしこれに限らず、連結器具は、操作部、連結部及び連動部の少なくとも2つ以上を別部材として構成されていてもよい。例えば、操作部、連結部、及び連動部が別々の部材として構成され、連動部は、操作部と連結部との間での力の伝達をワイヤなどにより行ってもよく、操作部の操作を連結部へ伝達する構成であればよい。また、こうした構成は、操作部と連結部とを機械的に接続させる構成となる。
・上記第2の実施形態では、連結器具50は第1及び第2の操作連結部52,53と、それらをつなぐ連動部51とを有する1部品として構成される場合について例示した。しかしこれに限らず、連結器具は、各操作連結部及び連動部の少なくとも2つ以上を別部材として構成されていてもよい。例えば、各操作連結部及び連動部が別々の部材として構成され、2つの操作連結部の各々と連結部との間での力の伝達をワイヤなどにより行ってもよく、一方の操作連結部の操作を他方の操作連結部へ伝達する構成であればよい。また、こうした構成は、操作部と連結部とを機械的に接続させる構成となる。
・上記各実施形態では、操作部22や操作連結部52,53は、連結させる操作及び連結を解除する操作に用いられる場合について例示した。しかしこれに限らず、操作部や操作連結部は、連結させる操作のみに用いられてもよいし、連結を解除する操作のみに用いられてもよい。例えば、自動連結する場合、操作部や操作連結部を連結を解除する操作のみに用いるようにできる。また、解除方法を別に備える場合、操作部や操作連結部を連結する操作のみに用いるようにできる。
・上記各実施形態の運搬台車は、複数の態様で利用可能である。すなわち、運搬台車単体からなる平台車、運搬台車にハンドルの取り付けられた手押し台車、又は、複数の運搬台車が連結されてバックヤードなどで使用されるカートラックとしてなどの利用が可能である。このように、上記例示した運搬台車は、その利用場所、利用機会、利用目的などのそれぞれについて適用範囲の拡大が図られる。
・運搬台車としては、上記例示した構成に限定されるものではなく、同様な効果を奏するように構成されてなる運搬台車が含まれる。