JP2016196671A - ロール屑のリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属加工用ロールのロール屑を、溶融炉に投入する金属加工用ロール用原料として有効に再利用するためのロール屑のリサイクル方法を提供する。
【解決手段】鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨する際に発生し、油分及び水分を含有する研磨屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の研磨屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれかを含む第2の研磨屑とに分別して管理する研磨屑の分別管理工程と、第1及び第2の研磨屑を、それぞれ乾燥させて水分を除去する研磨屑の水分除去工程と、第1及び第2の研磨屑を、それぞれ溶剤によって洗浄し、油分を除去する研磨屑の油分除去工程と、前記第1及び第2の研磨屑を、それぞれ溶融炉に入れて、金属成分を回収する研磨屑の金属成分回収工程と、を有するロール屑のリサイクル方法が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、鋼材の熱間圧延用ロールや冷間圧延用ロールなどの鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールの研磨時や切削時に発生するロール屑(研磨屑、切削屑)から、油分を低減、除去し、または、更にロール屑から砥石成分を低減、除去して、金属加工用のロール原料もしくはステンレス原料としてリサイクルする方法に関する。
鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールは、表面状態を良好に維持するために定期的に研磨や切削を行う。その際に、ロール屑である研磨屑や切削屑が発生する。
研磨屑及び切削屑とも、鉄に加えて、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム等の貴重な金属を含有しているため、再利用することが望まれている。しかしながら、研磨屑及び切削屑とも、特殊な形状を有し、サイズも小さいため、金属屑としての取り扱いが容易ではなかった。例えば、研磨屑を後述の溶融炉に投入した場合、特殊な形状、サイズを有する研磨屑は、溶融炉から飛散しやすいという問題があった。
また、研磨屑及び切削屑を再利用する場合、最も一般的な従来技術としては、金属加工用ロール製造のための溶融炉(成分調整および精錬プロセス)に、合金鉄等の原料とともに投入する方法がある。しかしながら、研磨屑及び切削屑は、油分を含んでいるために、これらをそのまま、金属加工用ロールの原料の一部としてアーク炉または誘導炉などの溶融炉に投入した際には、これらに含まれた油分により発炎してしまい、作業安全上好ましくない。したがって、研磨屑及び切削屑を金属加工用ロールの原料として再利用するためには、研磨屑及び切削屑の取り扱いの容易性を向上させることや、研磨屑及び切削屑に含まれる油分を除去、または、低減することが求められる。
研磨屑や切削屑の取り扱いを容易にする技術、及び、金属屑から油分を分離(低減または除去)する技術としては、以下の特許文献1〜4に開示された技術が知られている。
特許文献1においては、鉄鋼製造プロセスではないが、アルミニウム等の研摩スラッジ(研磨屑ともいう。)に同一金属材料の切削屑を混合し、圧縮してブリケット化(塊成化、または成型化ともいう。)して、取り扱いを容易とすることが記載されている。
特許文献2においては、ロール切削屑に金属切削屑を混合し、圧縮することで塊成化し、取り扱いを容易にして鉄源として使用することが記載されている。また、特許文献2においては、油分が圧縮によって絞り出されて低減することについても記載されている。
特許文献3においては、鉄鋼製造プロセスではないが、水分および油分が付着したアルミダライ粉(切削屑の一種。)を粉砕した後、乾燥炉に投入し、アルミダライ粉に付着している水分および油分を、蒸発および熱分解して、低減することが記載されている。
金属切削屑ではないが、金属加工品(中間製品)から油脂を分離するため、溶剤(抽出剤ともいう)を利用した油分の分離除去技術も検討されている。例えば、特許文献4においては、金属加工した金属部品などの金属加工品から、加工時に塗布した油分もしくは防錆のため塗布した油分を分離するため、炭化水素系洗浄剤を金属加工品に噴射して脱脂洗浄を行うことが記載されている。また、特許文献4においては、脱脂洗浄の際に発生する脱脂洗浄廃液を蒸留設備で再生することが記載され、金属加工品を洗浄するための洗浄装置と、脱脂洗浄廃液を再生するための蒸留装置とを併せ持った真空脱脂洗浄設備が提案されている。
特開2003−277842号公報 特開2007−16256号公報 特開2009−144994号公報 特開平7−166385号公報
鉄と鋼、Vol.80(1994)No.7、pp.N386〜pp.N389
特許文献1においては、研磨スラッジをブリケット化することにより、研磨スラッジの取り扱い容易性は向上していると考えられる。しかしながら、特許文献1においては、研磨スラッジ及び切削屑に含まれる油分の分離、除去することについて記載はない。また、研磨時に混入する砥石成分についても検討されていない。通常、研磨スラッジ中の油分濃度は3〜15質量%もあり、記載されている圧縮だけでは、油分をある程度絞り出せたとしても、油分濃度を十分に低減することは困難であると考えられる。
特許文献2においては、ロール研削屑を塊成化することにより、ロール研削屑の取り扱い容易性は向上していると考えられる。特許文献2では、ロール屑を塊成化することにより水分が低減することが記載されているが、油分は水分ほどには低減されていないことも記載されている。具体的には、特許文献2の実施例では、油分は2.5質量%までにしか低減されておらず、特許文献2に記載の方法では、油分の低減に限界があり、溶融炉に投入する際に発炎、発煙等の発生を避けることができるまで十分に油分を低減できているとは言えない。
特許文献3においては、油分除去のために蒸発および熱分解を行っている。この方法を金属加工用ロールの研磨屑へ適用しようとした場合、金属加工用ロールの研磨屑は、微細な粒子で構成され、かつ、油分を3〜15質量%含むため、油分除去のための蒸発及び熱分解の最中に、金属加工用ロールの研磨屑のほとんどが酸化する。したがって、油分が除去された金属加工用ロールの研磨屑を金属加工用ロール原料として使用するには、油分除去後に研磨屑を還元するための還元工程を行う必要があり、その結果、設備費用や処理コストが高くなる。
特許文献4においては、油分が付着した金属加工品のみを対象として検討されており、金属加工用ロールの研磨屑のように水分や砥石成分なども付着している金属屑に対する、対応方法については検討されていない。
また、鉄鋼製造プロセスで使用される金属加工用ロールには多種の金属成分が含まれ、さらに、金属加工用ロールの種類ごとに、含まれる金属成分が様々に異なる(例えば、非特許文献1記載の熱間帯板圧延用作業ロールの材質毎成分を参照)。したがって、金属加工用ロールから発生する研磨屑及び切削屑に含まれる金属成分も、多種、多様となる。したがって、金属成分が多種、多様であることから、研磨屑及び切削屑に対して複雑な選別が必要とされるため、研磨屑及び切削屑を有効に再利用することは難しかった。また、サイズの大きい切削屑であっても、様々な金属成分を含む切削屑が混合している場合には、油分分離に加えて、切削屑を分離する技術は開示されていなかった。
従って、本発明の課題は、鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨または切削する際に発生し、油分が多く、且つ、細かいことから、取り扱い困難なロール屑を、溶融炉に投入する金属加工用ロール用原料として、安全に、且つ、低コストで有効に再利用するためのロール屑のリサイクル方法を提供することである。
先に述べたように、金属加工用ロールから発生する研磨屑及び切削屑に含まれる金属成分は、多種、多様である。しかしながら、研磨屑及び切削屑は、その小さなサイズから、含有成分ごとに細かく分別することは現実的ではない。したがって、本発明者は、金属加工用ロールから発生する研磨屑及び切削屑を金属加工用ロール原料として効率的に再利用するために、研磨屑及び切削屑を効果的に分別する方法を求めていた。
そのような状況の中、本発明者は、効果的な分別について鋭意検討した結果、鉄鋼製造プロセスで使用される金属加工用ロールは、金属成分であるFe、Cr、Ni、Moを基本的に含み、さらに、高価で貴重なW、Vのいずれか1つ以上の金属成分を含む金属加工用ロールと、W、Vのいずれの金属成分も含まない金属加工用ロールとに、大きく分けることができることを見出した。さらに、本発明者は、金属加工用ロールの中には、金属成分であるNb、Coを含む金属加工用ロールも存在するが、これらのロールは、W、Vのいずれか1つ以上の金属成分を含んでいることが多いことも見出した。
そこで、金属加工用ロール屑の1つである研磨屑を、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれも含まない研磨屑のグループ(αグループ)と、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれか1つ以上を含む研磨屑のグループ(βグループ)とに分けて収集して分別管理し、それぞれのグループにおいて、水分除去、油分除去を行って、油分を低減、除去した後、各グループの研磨屑を、鋼製造プロセスで使用する各金属加工用ロールを製造するための溶融炉に、合金鉄等の原料の一部として投入する、本発明を為すに至った。
また、本発明者は、分別された上記αグループの研磨屑については、ステンレス鋼の一種である、オーステナイト系ステンレスおよび二相ステンレス(オーステナイト・フェライト系)の主たる成分を含んでいることから、油分除去後のαグループの研磨屑は、これらのステンレス鋼を製造するための溶融炉に、原料の一部として投入することができることを見出した。
さらに、本発明者は、さらなる検討を重ね、金属加工用ロール屑の別の1つである切削屑も、研磨屑と同様に、αとβの2グループに分けて収集し、加えて粉砕を行い、破砕後の切削屑に、油分除去後の同じグループの研磨屑を混合することにより、切削屑に対して油分除去を行わなくても、原料の一部として溶融炉に投入することができることを見出した。
また、本発明者が、研磨屑及び切削屑を再利用する際の操業安全性を検討したところ、以下に詳述するように、溶融炉における発炎、発煙等の問題を避けるためには、溶融炉に投入する際、研磨屑及び切削屑を含む投入原材料に含まれる油分量を0.1質量%以下とすることが好ましいとの知見を得た。さらに、検討を続けたところ、本発明者は、鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールにおいて、ロール屑の発生量は、金属加工用ロールの生産量に対して1割程度であるため、金属加工用ロールの原料である合金鉄等の一部を代替する原料として、ロール屑(研磨屑、切削屑)を使用することを考えた場合、原料全体に対して最大1割程度使用することが合理的であることを導き出した。このような結果に基づいて、本発明者は、投入原料に含まれる合金鉄中の油分はゼロであることから、投入原料として用いられる研磨屑および切削屑中の油分濃度としては、1質量%以下であることが好ましいことを見出した。すなわち、本発明者は、以上のような独自の検討により、研磨屑及び切削屑を金属加工用ロールの原料として、安全に、有効に、且つ、低コストで再利用するために、研磨屑及び切削屑に含有される油分濃度を1%質量以下に低減することが好ましいという、独自の知見を有していた。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1)鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨する際に発生し、油分及び水分を含有する研磨屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の研磨屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれかを含む第2の研磨屑とに分別して管理する研磨屑の分別管理工程と、
分別された前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ乾燥させて水分を除去する研磨屑の水分除去工程と、
水分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶剤によって洗浄し、油分を除去する研磨屑の油分除去工程と、
油分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶融炉に入れて、金属成分を回収する研磨屑の金属成分回収工程と、
を有することを特徴とするロール屑のリサイクル方法。
(2)鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨する際に発生し、油分及び水分を含有する研磨屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の研磨屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれかを含む第2の研磨屑とに分別して管理する研磨屑の分別管理工程と、
分別された前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ乾燥して水分を除去する研磨屑の水分除去工程と、
水分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶剤によって洗浄し、油分を除去する研磨屑の油分除去工程と、
前記鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを切削する際に発生し、油分を含有する切削屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の切削屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、W、Vのいずれかを含む第2の切削屑とに分別して管理する切削屑の分別管理工程と、
分別された前記第1の切削屑と前記第2の切削屑とを、それぞれ破砕する切削屑の破砕工程と、
油分除去後の前記第1の研磨屑と、破砕後の前記第1の切削屑とを混合する第1の混合工程と、油分除去後の前記第2の研磨屑と、破砕後の前記第2の切削屑とを混合する第2の混合工程と、の少なくともいずれかを含む混合工程と、
前記第1の混合工程後の前記第1の研磨屑及び前記第1の切削屑、及び/又は、前記第2の混合工程後の前記第2の研磨屑及び前記第2の切削屑を、溶融炉に入れて、金属成分を回収する研磨屑及び切削屑の金属成分回収工程と、
を有することを特徴とするロール屑のリサイクル方法。
(3)前記油分除去工程と前記金属成分回収工程との間に、油分除去後の前記第1及び第2の研磨屑を成型する研磨屑の成型工程をさらに有することを特徴とする上記(1)に記載のロール屑のリサイクル方法。
(4)前記混合工程と前記金属成分回収工程との間に、混合後の前記第1の研磨屑及び前記第1の切削屑、又は、混合後の前記第2の研磨屑及び前記第2の切削屑を成形する成型工程をさらに有することを特徴とする上記(2)に記載のロール屑のリサイクル方法。
(5)前記破砕工程において、前記第1の切削屑及び前記第2の切削屑を大きさ5mm以上40mm以下に破砕することを特徴とする、上記(2)又は上記(4)に記載のロール屑のリサイクル方法。
(6)前記油分除去工程後、前記第1及び第2の研磨屑を、磁気を用いて、磁着物と非着磁物とにそれぞれ分離する研磨屑の磁選分離工程を更に有し、
分離後の前記磁着物を、その後の工程で使用することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のロール屑のリサイクル方法。
(7)前記金属成分回収工程において、
前記第1の研磨屑、又は、前記第1の研磨屑及び切削屑からは、金属加工用ロール原料またはステンレス原料としての金属成分が回収され、
前記第2の研磨屑は、又は、前記第2の研磨屑及び切削屑からは、金属加工用ロール原料としての金属成分が回収されることを特徴とする、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載のロール屑のリサイクル方法。
(8)前記油分除去工程において、油分濃度が1質量%以下になるまで油分を除去することを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載のロール屑のリサイクル方法。
(9)前記油分除去工程において、油分濃度を0.5質量%以下になるまで油分を除去することを特徴とする、上記(6)又は上記(7)に記載のロール屑のリサイクル方法。
本発明によれば、鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨または切削する際に発生し、油分が多く、且つ、細かいことから、取り扱い困難なロール屑を、溶融炉に投入する金属加工用ロール用原料として、安全に、且つ、低コストで有効に再利用することができる。
研磨屑に含まれる油分、砥石粉、水分、金属粉の形態を説明する図である。 本発明の第1の実施形態のロール屑のリサイクル方法のフローを説明するための図である。 本発明の実施形態で使用される油分分離装置を説明するための図である。 研磨屑中の残留油分濃度と、回収した磁着物中のAl濃度、または、非磁着量濃度との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態のロール屑のリサイクル方法のフローを説明するための図である。 切削屑の破砕後の大きさと嵩比重との関係を示した図である。
本発明の実施形態である鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールの加工時に発生するロール屑(研磨屑、切削屑)のリサイクル方法について、添付図面を参照しながら、説明する。
まず、以下の実施形態において用いられる研磨屑及び切削屑を説明する。鉄鋼製造プロセスで使用する金属加工用ロールは、表面状態を良好に維持するために定期的に切削や研磨を行う。具体的には、研磨とは、グラインダーなどの研磨機において砥石などを使用して、金属加工用ロールの表面を研磨することであり、研磨を行った際に、研磨屑が発生する。研磨用の油を使用して研磨を行うため、研磨屑中には、油分が3〜15質量%含まれ、砥石成分(主成分は、Al、SiO、SiC)を3〜15質量%含まれる場合がある。さらに、研磨屑は、直径500μm以下であることが多く、非常に細かい。
また、切削とは、荒削りの際に使用する旋盤機などで金属加工用ロールを加工成形することであり、切削を行った際に、切削屑が発生する。切削油を使用して切削を行うため、切削屑には油分が0.5〜2質量%含まれる場合がある。また、切削屑は、長細く、反っている状態、もしくは、カール状の状態になっていることが多い。そのため、切削屑の嵩比重は、0.1〜0.5g/cmと非常に小さい。
研磨屑及び切削屑に含まれる油分は、主に研磨用油、切削油であるが、その他にも、熱処理油、錆止め油、圧延油などの各種の加工油、潤滑油、グリースなどであってもよい。また、これら研磨屑及び切削屑は、多くの場合、屋外保管されており、雨水による水分が付着している。詳細には、図1に示されるように、研磨屑10においては、金属粉100および砥石粉110は油分120で覆われている。また、切削屑においても、砥石粉を含まないが、油分120及び水分130については研磨屑とほぼ同様の形態を有する。
(第1の実施形態)
次に、金属加工用ロールを研磨する際に発生した研磨屑を用いた第1の実施形態のロール屑のリサイクル方法を、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態のロール屑のリサイクル方法のフローを示した図である。図2に示すように、第1の実施形態のロール屑のリサイクル方法においては、分別管理工程と、水分除去工程と、油分除去工程と、金属成分回収工程とを順次行う。
(分別管理工程)
まず、分別管理工程においては、金属加工用ロールの研磨時に発生した研磨屑を、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれかの金属成分を含まない研磨屑のグループ(αグループ)と、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれか1つ以上の金属成分を含む研磨屑のグループ(βグループ)とに分けて収集する。
さらに、分別管理工程について、詳細に説明する。
前述したように、鉄鋼プロセスで使用される金属加工用ロールは、Fe、Cr、Ni、Moの他に、W、Vのいずれか1つ以上の金属成分を含む金属加工用ロールと、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれかの金属成分も含まない金属加工用ロールと、に大別することができる。金属加工用ロールの中には、Nb、Coを含む金属加工用ロールも存在するが、これらの金属加工用ロールは、W、Vのいずれかを含んでいる金属加工用ロールである場合が多い。
また、ステンレス鋼の一種に、オーステナイト系ステンレスおよび二相ステンレス(オーステナイト・フェライト系)があり、このステンレス鋼材の金属加工用ロールには、Fe、Cr、Niが含まれ、Moも含む場合がある。さらに、金属加工用ロールの中には、W、V、Nb、Coを少量含んでいる場合もあるが、その種類は少ない。
そこで、本実施形態においては、鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールの研磨屑を、αグループの研磨屑(Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vを含まないもの)と、βグループの研磨屑(Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれか1つ以上を含むもの)とに分別管理する。このようにすることで、βグループの研磨屑中に、高価な金属であるW、Vの金属成分を、薄めることなく高い含有率で保持することができるようになり、鉄鋼プロセスで使用される金属加工用ロールの原料として金属成分を効率的に回収することが可能となる。すなわち、αグループの研磨屑は、鉄鋼プロセスで使用される金属加工用ロールの原料またはステンレス鋼の原料として金属成分を効率的に回収することが可能となる。なお、金属加工用ロールの研磨屑の発生量は、金属加工用ロールの生産量に比べて約1/10と非常に少なく、ステンレスの生産量と比べるとさらに少ないため、上述の成分以外の金属成分が金属加工用ロールの原料等に少量混入していても、その原料から生産される金属加工用ロールまたはステンレス鋼には影響が少ない。したがって、第1の実施形態においては、上記αグループの研磨屑と、βグループの研磨屑との2つに分別するだけで良く、3つ以上のグループに細かく分別する必要はない。
また、上記αグループの研磨屑と、βグループの研磨屑との2つに分別するだけであるので、第1の実施形態の分別工程は、容易に実施が可能である。例えば、金属加工用ロールを加工または成型する工場においては、従来から回収ボックスが設置されていることが多いことから、金属加工用ロールを加工または成型する際に発生した研磨屑を、α、βグループの研磨屑ごとに回収する回収ボックスを設置しておくことで、α、βグループの研磨屑ごとに容易に回収することができる。また、金属加工用ロールの加工場に、研磨対象となる金属加工用ロールに応じてαグループの研磨屑を回収するための回収ラインとβグループの研磨屑を回収するための回収ラインとを設置し、分別を行ってもよく、方法は特に限定されるものではない。
(水分除去工程)
次に、水分除去工程について説明する。水分除去工程では、100〜120℃、常圧で、分別された各研磨屑から水分を乾燥除去する。乾燥除去の方法としては、例えば、熱風炉、ロータリーキルン等の乾燥機を用いて行うことができる。また、研磨屑の乾燥時間は、研磨屑の状態、用いる乾燥機等にもより異なるため、予め実験をして決定することが好ましいが、乾燥時間はおよそ15分から60分が妥当である。
(油分除去工程)
次に、油分除去工程について説明する。
研磨屑は、油分を3〜15質量%含んでいる。しかしながら、前述のとおり、研磨屑を溶融炉に投入する際は、研磨屑中の油分を1質量%以下に低減する必要がある。先に述べたように、安全操業性を鑑みると、研磨屑の油分濃度をほとんどゼロにすることが好ましい。
研磨屑の油分濃度をほとんどゼロにするためには、上記特許文献3のように、研磨屑を燃焼炉で焼却処理し、油分を燃焼させる方法が考えられる。しかしながら、この方法では、研磨屑中の金属成分はほとんど酸化されてしまうために、再度、還元する必要がある。そこで、本実施形態の油分除去工程においては、溶剤を用いて油分を除去する方法を用いる。この方法によれば、研磨屑中の金属成分がほとんど酸化されずに油分が除去されるため、還元をする必要はない。具体的には、例えば、各グループの研磨屑を、それぞれ沸点が30℃以上250℃未満の溶剤で洗浄し、研磨屑から油分を除去する。その後、研磨屑に付着した溶剤を揮発させるために、溶剤の沸点以上に加温し、研磨屑に付着した溶剤を研磨屑から除去する。溶剤としては、親油性溶剤が好ましく、具体的には、炭素数5から14のアルカン物質、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、灯油、シクロデカン、デセンなどがあげられる。また、溶剤の商品としては、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ダフニークリーナーSD3(出光興産株式会社製)などがあげられる。
また、各グループの研磨屑に対する溶剤の適切な添加量は、研磨屑の状態等により異なるため、予め実験をして決定することが好ましいが、おおよそ、研磨屑1kgに対して0.1kg〜1kgの溶剤を添加することが好ましい。また、研磨屑と溶剤との適切な接触時間は、研磨屑の状態等にもより異なるため、予め実験をして決定することが好ましいが、接触時間はおよそ3分から15分が妥当である。
本実施形態の油分分離工程は、既存の油分分離装置を用いて行うことができ、用いる装置については特に限定されるものではない。以下に、本実施形態の油分除去工程で使用される油分分離装置の一例を説明する。図3に示すように、油分分離装置20は、主に、油分分離槽25と、溶剤供給装置22と、油分分離槽25内の温度を調整する温度調整装置21と、油分分離槽25内の圧力を調整する圧力調整装置26と、を備える。油分分離装置20では、油分分離槽25に、分別した研磨屑55を入れた容器23を出し入れするため、バッチ処理が妥当である。
分別された研磨屑55は、容器23に収容される。容器23に入れた研磨屑55は、常圧で且つ溶剤の沸点以下の温度である油分分離槽25内に投入される。投入した後、溶剤供給装置の一例であるスプレーノズル22から溶剤56を、容器23内の研磨屑55に向けて噴射する。そして、研磨屑55と溶剤56とが接触することにより、研磨屑55に含まれている油分が溶剤56へと抽出され、研磨屑55から油分を分離除去することができる。油分分離除去終了後、油分分離槽25内を圧力調整装置26で減圧し、かつ、温度調整装置21により減圧下における溶剤56の沸点以上の温度にまで加温することで、容器23および容器23内の研磨屑55に残っている溶剤を揮発させ、残留する溶剤56を殆ど分離することができる。なお、溶剤56を噴射する際には、研磨屑55を入れた容器23に対して間欠的に振動を与え、油分の抽出を効率的に行ってもよい。
(金属回収工程)
次に、金属成分回収工程について説明する。
油分除去工程で油分を除去した各グループの研磨屑を、他の合金原料とともに、鉄鋼製造プロセスで使用する各金属加工用ロールを製造するための溶融炉(アーク炉、誘導加熱炉など)、または、ステンレス鋼を製造するための溶融炉(アーク炉、誘導加熱炉、転炉など)に投入し、研磨屑に含まれる金属成分を、各金属加工用ロールを製造するためにそれぞれ回収する。例えば、αグループの研磨屑については、ステンレス鋼の一種である、オーステナイト系ステンレスおよび二相ステンレス(オーステナイト・フェライト系)の主たる成分を含んでいることから、これらのステンレス鋼を製造するための溶融炉に、原料の一部として投入し、研磨屑に含まれる金属成分を、ステンレス鋼を製造するために回収してもよい。
(磁選分離工程)
また、研磨屑には、砥石成分が多く含まれている場合があり、砥石成分は溶融炉に投入した際にスラグ成分となるため、溶融炉に研磨屑を投入する際には、各グループの研磨屑に含まれている砥石成分をあらかじめ除去することが好ましい。したがって、第1の実施形態においては、油分除去工程の後に、砥石成分を分離する磁選分離工程を行ってもよい。
前述の図1にように、研磨屑においては、金属粉と砥石粉とは油分で覆われ、さらに油分が水分で覆われている。金属粉は、多くの場合磁性を有しているが、砥石成分は、Al、SiO,SiCが主成分であり、磁着性はほとんどない。したがって、砥石粉と金属粉とは固着してはいない。しかしながら、油分の粘性は水分より高く、粘性の高い油分が金属粉と砥石粉とを緩く結合させているため、金属粉と砥石粉とを分離することが難しい。加えて、金属粉と砥石粉との粒子径は500μm以下と小さいことが、油分に覆われた状態での両者の分離をさらに難しくしている。
そこで、水分除去工程で水分除去し、油分除去工程で油分除去した各グループの研磨屑に対して、磁選分離工程を行うことにより、金属加工用ロールの原料となる金属成分となる磁着物性を有する金属粉から、磁着性を有しない砥石粉を分離することができる。なお、磁選分離に使用する磁選機は、一般的な磁選分離装置を使うことができる。
油分と水分と除去した後の研磨屑の残留油分と、磁選分離により回収した磁着物(金属粉)中のAl濃度との関係、及び、研磨屑の残留油分と、磁選分離により研磨屑から分離された非磁着物(主に砥石粉)の分離率との関係を図4に示す。Al成分は、金属加工用ロールには含まれず、砥石にのみ含まれるため、磁着物中のAl濃度は、研磨屑中の非磁着物の分離率が大きくなるに従って、低下した。図4により、研磨屑中の残留油分が0.5質量%以下となると、磁着物中のAl濃度は急激に低下した。これは、図1に示したように、油分を除去する前の研磨屑においては、残留油分が砥石粉と金属粉とを緩く結合させているため、磁選分離を行ったとしても砥石粉と金属粉とに分離することは難しい。しかし、図4に示される結果から、研磨屑の油分濃度を0.5質量%以下にすると、磁選分離により砥石粉と金属粉とを容易に分離することが可能となることがわかる。すなわち、砥石粉を磁選粉により分離するには、油分を除去した後に行うことが好ましく、研磨屑の油分濃度を0.5質量%以下にした後に行うことがより好ましい。
なお、研磨屑の残留油分は、油分と水分とを除去した研磨屑に溶剤を接触させ、残留油分を溶剤で抽出した後、溶剤を揮発させ、残った量を残留油分とした。また、磁着物中のAl濃度は、磁着物を全量酸溶解した後、酸溶解液中のAl濃度をICP(Inductively Coupled Plasma)分析法にて分析し定量化した。さらに、油分を完全に除去した研磨屑を乳ばちですりつぶした後、ネオジム磁石で磁着物を回収し、ネオジム磁石で回収できなかった非磁着物の質量(A)を測定した。これに対して、研磨屑の油分を溶剤で抽出することで研磨屑中の油分の濃度を変化させ、各油分濃度の研磨屑を乳ばちですりつぶさない状態で、ネオジム磁石によって磁着物を分離し、ネオジム磁石で回収できなかった非磁着物の質量(B)を測定した。図4の非磁着物分離率は、Aに対するBの比率である。
(成型工程)
なお、水分、油分を分離した研磨屑は、微細な粒子からなるため、溶融炉に投入する際に、飛散しやすい。したがって、上記油分除去工程と上記金属成分回収工程との間に、各グループの研磨屑を成型する成型工程を行い、研磨屑の飛散を防止するようにしてもよい。各グループの研磨屑を成型することにより、研磨屑が飛散しにくくなり、金属成分をさらに有効に回収することができる。
成型方法としては、従来技術として、ベントナイトなどのバインダーを研磨屑に添加して、圧縮成型する方法もある。しかしながら、この方法は、添加したバインダーは溶融炉に投入した際にスラグ成分となるため、好ましい方法とは言えない。そこで、第1の実施形態の成型方法としては、バインダーを研磨屑に添加せず、油圧式の往復ピストン型圧縮機等を用いて、圧縮力のみを研磨屑に加える成型方法を用いることが好ましい。研磨屑を使用した圧縮成型においては、研磨屑の粒子径は500μm以下であるため、大きな圧縮力が必要となり、5MPa以上の圧縮力が必要となる。
(第2の実施形態)
次に、金属加工用ロールを研磨する際に発生した研磨屑と切削屑とを用いた第2の実施形態のロール屑のリサイクル方法を、図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態のロール屑のリサイクル方法のフローを示した図である。図5に示すように、第2の実施形態のロール屑のリサイクル方法においては、研磨屑及び切削屑の分別管理工程と、研磨屑の水分除去工程と、研磨屑の油分除去工程と、切削屑の粉砕工程と、混合工程と、金属成分回収工程とを順次行う。なお、研磨屑の分別管理工程から油分除去工程までの研磨屑に関する一連の工程と、切削屑の分別管理工程から粉砕工程までの切削屑に関する一連の工程とは、並行して行われてもよく、また、順次行われてもよく、どちらの一連の工程も、混合工程を行う前に完了していればよい。また、第2の実施形態において、研磨屑の分別工程から水分除去工程を介して油分除去工程に至る工程は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(切削屑の分別管理工程)
切削屑の分別管理工程においては、研磨屑と同様に、金属加工用ロールの切削時に発生した切削屑を、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれかを含まない切削屑のグループ(αグループ)と、Fe、Cr、Ni、Moを含み、且つ、W、Vのいずれか1つ以上含む切削屑のグループ(βグループ)とに分けて収集する。なお、金属加工用ロールの切削屑の発生量は、研磨屑と合わせても、金属加工用ロールの生産量に比べて約1/10と非常に少なく、ステンレスの生産量と比べるとさらに少ないため、上述の成分以外の金属成分が金属加工用ロールの原料等に少量混入していても、その原料から生産される金属加工用ロールまたはステンレス鋼には影響が少ない。したがって、第2の実施形態においても、上記αグループの切削屑と、βグループの切削屑との2つに分別するだけで良く、3つ以上のグループに細かく分別する必要はない。また、第1の実施形態と同様に、例えば、金属加工用ロールを加工または成型する際に発生した切削屑を、α、βグループの切削屑ごとに回収する回収ボックスを工場に設置しておくことで、α、βグループの切削屑ごとに容易に回収することができる。さらに、第1の実施形態と同様に、工場に分別のための回収ラインを設置してもよく、分別の方法は特に限定されるものではない。
(切削屑の粉砕工程)
次に、切削屑の破砕工程について説明する。
切削屑と研磨屑を混合して溶融炉へ投入する際には、ある大きさ以下に切断した切削屑を研磨屑と混合することによって、研磨屑が切削屑の間隙に入り、溶融炉への投入時に研磨屑が飛散しにくくなる。したがって、本実施形態においては、各グループの切削屑に対して粉砕を行う。金属加工用ロールを加工成形において切削を行った際に発生する切削屑は、長細く、反っている状態、もしくは、カールした状態になっていることが多く、そのため、切削屑の嵩比重は、0.1〜0.5g/cmと非常に小さい。そこで、切削屑は、その大きさを40mm以下にすることで、切削屑の嵩比重が平均で1.0g/cm以上となり、切削屑の空隙を小さくすることができ、研磨屑が切削屑の空隙に保持されやすくなる。さらに、切削屑の大きさを20mm以下にすることで、切削屑の嵩比重が平均で1.5g/cmとなり、切削屑の空隙をさらに小さくすることができ、研磨屑は切削屑の空隙にさらに保持されやすくなる。一方、切削屑の大きさが5mm以下になると、切削屑同士の絡み合いが少なくなり、研磨屑が切削屑間の空隙に保持されにくくなるため、溶融炉への投入の際に研磨屑が飛散しやすくなる。したがって、本実施形態の粉砕工程においては、各グループの切削屑の大きさを5mm以上40mm以下にすることが好ましく、5mm以上20mm以下がより好ましい。切削屑の粉砕は、ロータリーハンマークラッシャー、短軸クラッシャー、2軸クラッシャーなどの破砕機を用いることができる。切削屑を破砕した際の、破砕長さ(=篩いの目開き)と嵩比重の関係を図6に示す。これより、破砕長さ(大きさ)を小さくすることにより、嵩比重は大きくなるといえる。なお、切削屑の破砕後の大きさは、破砕後の切削屑を選別するために用いる篩の目開きで定義される。例えば、20mmの目開き長さをもつ篩でふるった際、篩下の切削屑を破砕後の大きさ20mmの切削屑と称する。なお、嵩比重は単位体積当りの質量であり、ロール屑の場合、前述の回収ボックスを用い、回収ボックス内のロール屑容量と質量から計算して求めることができる。
(混合工程)
次に混合工程について説明する。混合工程においては、粉砕した各グループの切削屑と、同じグループの研磨屑とを混合する。すなわち、αグループの切削屑を同じαグループの研磨屑に混合し、βグループの切削屑を同じβグループの研磨屑に混合する。なお、切削屑は、研磨屑に比べて油分が少ないことが多いため、油分を除去した研磨屑と混合することにより、原料の一部として溶融炉に投入することができる。したがって、本実施形態においては、切削屑に対して油分の除去を行う必要はない。
また、切削屑と研磨屑との適切な混合割合は、切削屑及び研磨屑の状態等により異なるため、研磨屑等に含まれる油分や金属成分を予め測定し、その測定結果と、生産しようとする金属加工用ロールの要求特性等に応じて決定することが好ましい。なお、おおよそ、切削屑と研磨屑との割合は、質量比にして5〜0.5対1とすることが好ましい。
(金属回収工程)
次に、金属成分回収工程について説明する。第1の実施形態と同様に、混合工程で油分除去した各グループの研磨屑と破砕した各グループの切削屑との各グループの混合物を、金属加工用ロールを製造するための溶融炉、または、ステンレス鋼を製造するための溶融炉に投入し、研磨屑及び切削屑に含まれる金属成分を金属加工用ロールを製造するためにそれぞれ回収する。例えば、αグループの研磨屑と切削屑と混合については、オーステナイト系ステンレスおよび二相ステンレス(オーステナイト・フェライト系)といったステンレス鋼を製造するための溶融炉に、原料の一部として投入し、研磨屑に含まれる金属成分を、ステンレス鋼を製造するために回収してもよい。
なお、金属加工用ロールの加工時に発生した切削屑と研磨屑の油分濃度は、それぞれ、0.5〜2質量%、3〜15質量%である。しかしながら、本実施形態においては、油分除去工程によって、研磨屑に含まれる油分濃度をほとんどゼロにすることができることから、研磨屑と切削屑との混合においても、切削屑と研磨屑との混合比率にもよるが、混合物に含まれる油分濃度が1質量%を下回ることができる。
なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、上記混合工程と上記金属成分回収工程との間に、研磨屑及び切削屑の混合物を成型する成型工程を行い、研磨屑の飛散をさらに防止するようにしてもよい。第2の実施形態の成型工程においては、切削屑と研磨屑とを混合し、圧縮成型をすることによって、切削屑が変形し、切削屑の間隙がより小さくなり、研磨屑を切削屑が挟むような形になることから、研磨屑は切削屑中で保持されやすくなる。また、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、研磨屑の油分除去工程の後に、砥石成分を分離する磁選分離工程を行ってもよい。
第1及び第2の実施形態によれば、鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールの切削及び研磨時に発生する研磨屑及び切削屑を金属加工用ロールの成分に基づき所定の2グループに分別管理し、さらに、水分および油分を除去し、それらを溶融炉に投入して貴重な金属成分を回収することにより、油分が多く、且つ、細かいことから、取り扱い困難な切削屑及び研磨屑を、溶融炉に投入する金属加工用ロール用原料として、安全に、且つ、低コストで有効に再利用することができる。
また、金属加工用ロールの切削及び研磨は、金属加工用ロール製造工場または金属加工を実施している金属加工工場で、行われることが多い。詳細には、金属加工用ロール製造工場(金属加工用ロールの供給メーカー)で切削が行われ、金属加工工場(金属加工用ロールのユーザー)で研磨が行われるため、切削屑と研磨屑とは、発生する場所が異なる。さらに、研磨屑及び切削屑の発生する製造工場及び金属加工工場と、研磨屑を再利用する金属加工用ロール製造工場又はステンレス製造工場とは、場所が異なる場合が多い。しかしながら、第1及び第2の実施形態によれば、切削屑及び研磨屑中のFe、Cr、Ni、Mo、W、Vなどの金属成分は、有効に使用できるようになることから、研磨屑及び切削屑の金属価値はより高く評価されるようになるため、上述の工場の間を運搬するコストも相対的に小さくなり、離れた工場間で、研磨屑及び切削屑が有効に再利用できるようになる。
以下、本発明について、実施例に基づき説明する。なお、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
熱延工程、冷延工程、厚板工程で使用した圧延ロールの成型時に発生するロール屑(研磨屑、切削屑)を、使用している圧延ロールの成分に基づき、研磨屑と切削屑のそれぞれにおいて、αグループ(Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vを含まないもの)と、βグループ(Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれか1つ以上を含むもの)とに分別管理した試料を用意した。また、比較のため、発生したロール屑をαグループとβグループに分別管理せずに、研磨屑と切削屑とだけに分けた試料も用意した。
その後、ロール屑の水分量を求めるため、ロール屑を110℃で乾燥し、ロール屑の質量を測定することにより、乾燥による質量差の初期質量に対する比を水分量とした。次に、ロール屑に残留した油分量を求めるため、ロール屑を溶剤に浸漬させ、ロール屑に付着している油分を溶剤で抽出した後、溶剤を揮発させ、残った量を油分量とした。次に、金属成分の濃度については、ロール屑を全量酸溶解した後、酸溶解液中の金属濃度をICP分析法にて分析し定量化した。
その結果、表1に示すように、比較例用試料の未分別研磨屑と実施例用試料の研磨屑(βグループ)、比較例用試料の未分別切削屑と実施例用試料の切削屑(βグループ)を比較すると、分別することにより、実施例用試料の研磨屑(βグループ)及び切削屑(βグループ)中のW+V(質量%−dry)が高濃度になっていることがわかる。一方で、比較例用試料の未分別研磨屑と実施例用試料の研磨屑(αグループ)、比較例用試料の未分別切削屑と実施例用試料の切削屑(αグループ)を比較すると、分別することにより、実施例用試料の研磨屑(αグループ)および切削屑(αグループ)中のW+V(質量%−dry)は、低濃度になっていることがわかる。
Figure 2016196671
表1に記載した研磨屑および切削屑を用い、下記の実施例1〜6および比較例1〜3で示す方法で、金属原料(成型体もしくは混合体)を作成し、その金属材料の成分および嵩比重を、表2に示した。さらに、得られた金属材料を金属加工用ロール用の原料として、通常原料の合金鉄と共に溶融炉に投入した。通常の合金鉄のみを溶融炉に投入した場合には、ほぼ全量、金属成分を溶融炉内に投入できるが(ほぼ全量、溶融炉内で溶融される)、本実施例で示すように、「合金鉄と、研磨屑」、または、「合金鉄と、切削屑と研磨屑との混合物もしくは成型体」を配合した金属原料を炉内に投入した場合は、微細なロール屑(特に研磨屑)は飛散しやすく、溶融炉上部に設置している集塵機に集塵ダストとして回収される。そこで、集塵ダスト中の金属成分量の変化から逆算して、ロール屑中の金属の内、ロール金属成分もしくはステンレス成分として、有効利用された(溶融炉内で溶融された)金属比率を推算した。
(実施例1)
分別管理で分別した表1記載の研磨屑(αグループ)を、上述の水分除去工程で、常圧、110℃、20分で乾燥し水分を除去した後、研磨屑1kgに対して0.3kgのn−ヘキサンとともに、常圧、常温の油分分離槽に投入し、5分間の油分分離を行った。研磨屑から油分を除去後、80℃でn−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた。
n−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた後の研磨屑中の水分、油分は、測定したところ、ともに0質量%であり、WおよびV含有率は0.2質量%と低かった。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:研磨屑=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ、溶融炉内に投入したところ、飛散量が多かったが、火炎はほとんど生じることなく、約30質量%の金属が金属加工用ロールの金属成分として使用することができた。
(実施例2)
実施例1でn−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた後の油分をほとんど含まない研磨屑を、油圧式の往復ピストン型圧縮機を用いて、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。
上記成型体においては、水分、油分の含有率はともに0質量%であり、WおよびV含有率は0.2質量%と低かった。また、成型体の嵩比重は、3.0g/cmと大きかった。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:上記成型体=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ、溶融炉に投入したところ、研磨屑がほとんど飛散することなく、また、火炎もほとんど生じることなく炉内へ投入でき、安全性及び有効性を確認することができた。さらに、上記成型体は、金属加工用ロールの金属成分として使用することができた。また、ステンレス鋼を製造するため、合金鉄およびスクラップ:上記成型体=30:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ、溶融炉(アーク電気炉)に投入したところ、研磨屑がほとんど飛散することなく、また、火災もほとんど生じることなく炉内へ投入でき、安全性及び有効性を確認することができた。さらに、上記成型体は、ステンレス鋼の金属成分として使用することができた。
(実施例3)
分別管理で分別した表1記載の実施例の切削屑(αグループ)を40mm以下の大きさになるように切断した。さらに、切断後の切削屑と、実施例1でn−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた後の油分をほとんど含まない研磨屑とを混合し、金属原料(混合物)を作成した。なお、研磨屑と切削屑との混合割合は、2:3(質量比)であった。
上記混合物中の水分は0.1質量%、油分は0.9質量%であり、油分目標値1質量%を下回った。上記混合物のWおよびV含有率は0.2質量%と低かった。また、上記混合物のAlとSi含有率は1.9質量%であり、実施例2の4.4質量%より低くなった。これは、研磨屑中の砥石成分が、砥石成分を含んでいない切削屑で希釈されたためである。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:混合物=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ、溶融炉に投入したところ、炉内へ投入した際に、投入原料全体の約4質量%は炉外へ飛散したが(飛散した原料のほとんどが研磨屑である)、投入原料全体の約96質量%は炉内へ投入でき、金属加工用ロールの金属成分として使用することができた。投入時に火炎は生じたが、操業上問題となることはなかった。
(実施例4)
実施例1でn-ヘキサンを研磨屑から蒸発させた後の油分をほとんど含まない研磨屑に、ネオジム磁石を近づけ、磁着分を磁着させ、回収した(磁選分離工程)。その後、回収した磁着分、及び残存する非非磁着分の質量を測定した。磁着分は、磁選分離前の研磨屑に対して92.7質量%あり、残りの7.3質量%は、非磁着分であった。磁着物中のAl濃度は0.4質量%であった。その後、分別管理で表2記載の切削屑(αグループ)を30mm以下の大きさになるように切断し、切断後の切削屑と磁着回収した研磨屑とを混合した。その混合物を油圧式のピストン型圧縮機に供給し、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。なお、研磨屑と切削屑との混合割合は、2:3(質量比)であった。
上記成型体中の水分は0.1質量%、油分は0.9質量%であり、油分目標値1質量%を下回った。上記成型体中のWおよびV含有率は0.2質量%と低かった。また、上記成型体中のAlとSi含有率は0.3質量%であり、実施例3の1.9質量%より低くなった。なお、金属加工用ロール中にはSiが0.2質量%含まれているが、AlとSiは、主に砥石成分のAlおよびSiO由来である。したがって、上記成型体中のAlとSiは、表1記載の研磨屑(αグループ)と比べて、低下していることから、AlおよびSiOは磁選分離工程により分離できたといえる。また、成型体の嵩比重は、2.8g/cmと大きかった。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:成型体=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ溶融炉に投入したところ、成型体の大きさも十分であることから、ほとんど飛散することなく炉内へ投入でき、金属加工用ロールの金属成分として使用する事ができた。投入時に火炎は生じたが、操業上問題となることはなかった。
(実施例5)
実施例1でn−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた後の油分をほとんど含まない研磨屑に、ネオジム磁石を近づけ、磁着分を磁着させ、回収した(磁選分離工程)。磁選分離前の研磨屑に対して磁着分は92.7質量%あり、残りの7.3質量%は、非磁着分であった。その後、磁着回収した研磨屑のみを用い、これを、油圧式のピストン型圧縮機に供給し、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。
上記成型体中の水分は0質量%、油分は0質量%であり、油分目標値1質量%を下回った。上記成型体中のWおよびV含有率は0.2質量%であり、低い値となった。また、上記成型体中のAlとSi含有率は0.3質量%であり、実施例3の1.9質量%より低くなった。なお、AlとSiは、主に砥石成分のAlおよびSiO由来である。したがって、上記成型体中のAlとSiは、表1記載の研磨屑(αグループ)と比べて、低下していることから、AlおよびSiOは磁選分離工程により分離できたといえる。また、成型体の嵩比重は、3.0g/cmと大きかった。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:成型体=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ溶融炉に投入したところ、成型体の大きさも十分であることから、飛散することなく、また、火炎を生じることもなく、炉内へ投入でき、金属加工用ロールの金属成分として使用する事ができた。
(実施例6)
分別管理で分別した表1記載の研磨屑(βグループ)を、上述の水分除去工程で、常圧、110℃、20分で乾燥し水分を除去した後、研磨屑1kgに対して0.3kgのn−ヘキサンとともに、常圧、常温の油分分離槽に投入し、5分間の油分分離を行った。研磨屑から油分を除去後、80℃でn−ヘキサンを研磨屑から蒸発させた。蒸発させた後の研磨屑に含まれる油分は、0.05質量%であった。この研磨屑に、ネオジム磁石を近づけ、磁着分を磁着させ、回収した(磁選分離工程)。磁選分離前の研磨屑に対して磁着分は90.5質量%あり、残りの9.5質量%は、非磁着分であった。その後、分別管理で分別した表2記載の切削屑(βグループ)を30mm以下の大きさになるように切断した。さらに、切断後の研削屑と、磁着回収した研磨屑とを混合した。その混合物を油圧式のピストン型圧縮機に供給し、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。なお、研磨屑と切削屑との混合割合は、2:3(質量比)であった。
上記成型体中の水分は0.2質量%、油分は0.6質量%であり、油分目標値1質量%を下回った。上記成型体中のWおよびV含有率は9.0質量%であり、十分高い値であった。また、上記成型体中のAlとSi含有率は0.3質量%と実施例3の1.9質量%より低くなった。なお、AlとSiは、主に砥石成分のAlおよびSiO由来である。したがって、上記成型体中のAlとSiは、表1記載の研磨屑(βグループ)と比べて、低下していることから、AlおよびSiOは磁選分離工程により分離できたといえる。また、成型体の嵩比重は、2.9g/cmと大きかった。金属加工用ロールを製造するため、合金鉄:成型体=9:1で配合し、これをホッパーに入れ溶融炉に投入したところ、成型体の大きさも十分であることから、ほとんど飛散することなく炉内へ投入でき、金属加工用ロールの金属成分として使用する事ができた。投入時に火炎は生じたが、操業上問題となることはなかった。
(比較例1)
分別管理していない表2記載の未分別研磨屑を、そのまま、油圧式のピストン型圧縮機に供給し、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。
上記成型体中の水分は5.2質量%、油分3.2質量%で、水分、油分ともに未分別研磨屑よりも低下するものの、油分目標値1質量%を上回った。上記成型体中のWおよびV含有率は、平均2.7質量%であったが、0.9〜5.1質量%の間で変動した。このように、WおよびV含有率の変動が大きいため、安定的にWおよびVを含む金属加工用ロール原料として使用することはできないと判断した。また、上記成型体中のAlとSi含有率は4.5質量%であった。また、成型体の嵩比重は、2.2g/cmであった。
(比較例2)
分別管理していない表2記載の未分別研磨屑と、100mm以下の大きさになるように裁断した分別管理していない表2記載の未分別切削屑とを混合し、金属原料を作成した。なお、研磨屑と切削屑との混合割合は、2:3(質量比)であった。
上記混合物(混合体)中の水分は4.2質量%、油分は3.9質量%であり、油分目標値1質量%を上回った。上記混合物中のWおよびV含有率は平均3.8質量%であったが、2.3〜5.9質量%間で大きく変動したため、安定的にWおよびVを含む金属加工用ロール原料として使用することはできないと判断した。また、上記混合物中のAlとSi含有率は2.3質量%含まれていた。また、混合物の嵩比重は、0.4g/cmであった。これは、切削屑の裁段後の大きさが100mmと大きいため、混合物中の空隙が大きくなったためと考えられる。合金鉄:混合体=9:1(質量比)で配合し、これをホッパーに入れ溶融炉に投入したところ、投入原料全体の約5質量%は炉外へ飛散し(飛散した原料のほとんどが研磨屑である)、投入原料全体の約95質量%は炉内へ投入でき、金属加工用ロールの金属成分としては使用することができたが、前述のように、混合物中のWおよびV含有率の変動が大きく、安定的にWおよびVを含む金属加工用ロール原料として使用することはできず、かつ、投入時に大きな火炎が生じ、操業時の安全性を確保できないと考えた。
(比較例3)
分別管理で分別した表2に記載の研磨屑(αグループ)を、110℃で乾燥した後、油分を分離せずに、ネオジム磁石を近づけ、磁着分を磁着させ回収した(磁選分離工程)。ほぼ全量が磁着分であり、非磁着分はほとんど存在せず、磁選分離前の研磨屑に対して1質量%以下であった。その後、磁着した研磨屑のみを用い、油圧式のピストン型圧縮機に供給し、50MPaの圧力で圧縮し、直径90mm、厚さ40mmの金属原料(成型体)を作成した。
上記成型体中の水分は0.2質量%、油分は4.3質量%であり、水分、油分ともに磁選分離工程前の研磨屑よりも低下するものの、油分目標値1質量%を上回った。上記成型体中のWおよびV含有率は0.2質量%と低く、金属加工用ロール原料として使用することはできないと判断した。また、上記成型体中のAlとSi含有率は4.2質量%含まれていた。これは、油分を分離せずに磁選分離を行ったため、油分が砥石粉と金属粉とを緩く結合させているため、磁選分離を行っても砥石粉を分離することができなかったため、砥石成分であるAlおよびSiOが残ってしまったためと考えられる。また、成型体の嵩比重は、1.8g/cmであった。
Figure 2016196671
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、55 研磨屑
20 油分分離装置
21 温度調整装置
22 溶剤供給装置
23 容器
25 油分分離層
26 圧力調整装置
56 溶剤
100 金属粉
110 砥石粉
120 油分
130 水分

Claims (9)

  1. 鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨する際に発生し、油分及び水分を含有する研磨屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の研磨屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれかを含む第2の研磨屑とに分別して管理する研磨屑の分別管理工程と、
    分別された前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ乾燥させて水分を除去する研磨屑の水分除去工程と、
    水分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶剤によって洗浄し、油分を除去する研磨屑の油分除去工程と、
    油分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶融炉に入れて、金属成分を回収する研磨屑の金属成分回収工程と、
    を有することを特徴とするロール屑のリサイクル方法。
  2. 鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを研磨する際に発生し、油分及び水分を含有する研磨屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の研磨屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、且つW、Vのいずれかを含む第2の研磨屑とに分別して管理する研磨屑の分別管理工程と、
    分別された前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ乾燥して水分を除去する研磨屑の水分除去工程と、
    水分除去後の前記第1の研磨屑と前記第2の研磨屑とを、それぞれ溶剤によって洗浄し、油分を除去する研磨屑の油分除去工程と、
    前記鉄鋼プロセスで使用する金属加工用ロールを切削する際に発生し、油分を含有する切削屑を、Fe、Cr、Ni、及びMoを含むが、W、Vのいずれも含まない第1の切削屑と、Fe、Cr、Ni、及びMoを含み、W、Vのいずれかを含む第2の切削屑とに分別して管理する切削屑の分別管理工程と、
    分別された前記第1の切削屑と前記第2の切削屑とを、それぞれ破砕する切削屑の破砕工程と、
    油分除去後の前記第1の研磨屑と、破砕後の前記第1の切削屑とを混合する第1の混合工程と、油分除去後の前記第2の研磨屑と、破砕後の前記第2の切削屑とを混合する第2の混合工程と、の少なくともいずれかを含む混合工程と、
    前記第1の混合工程後の前記第1の研磨屑及び前記第1の切削屑、及び/又は、前記第2の混合工程後の前記第2の研磨屑及び前記第2の切削屑を、溶融炉に入れて、金属成分を回収する研磨屑及び切削屑の金属成分回収工程と、
    を有することを特徴とするロール屑のリサイクル方法。
  3. 前記油分除去工程と前記金属成分回収工程との間に、油分除去後の前記第1及び第2の研磨屑を成型する研磨屑の成型工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のロール屑のリサイクル方法。
  4. 前記混合工程と前記金属成分回収工程との間に、混合後の前記第1の研磨屑及び前記第1の切削屑、又は、混合後の前記第2の研磨屑及び前記第2の切削屑を成形する成型工程をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のロール屑のリサイクル方法。
  5. 前記破砕工程において、前記第1の切削屑及び前記第2の切削屑を大きさ5mm以上40mm以下に破砕することを特徴とする、請求項2又は4に記載のロール屑のリサイクル方法。
  6. 前記油分除去工程後、前記第1及び第2の研磨屑を、磁気を用いて、磁着物と非着磁物とにそれぞれ分離する研磨屑の磁選分離工程を更に有し、
    分離後の前記磁着物を、その後の工程で使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のロール屑のリサイクル方法。
  7. 前記金属成分回収工程において、
    前記第1の研磨屑、又は、前記第1の研磨屑及び切削屑からは、金属加工用ロール原料又はステンレス原料としての金属成分が回収され、
    前記第2の研磨屑、又は、前記第2の研磨屑及び切削屑からは、金属加工用ロール原料としての金属成分が回収されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール屑のリサイクル方法。
  8. 前記油分除去工程において、油分濃度が1質量%以下になるまで油分を除去することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のロール屑のリサイクル方法。
  9. 前記油分除去工程において、油分濃度を0.5質量%以下になるまで油分を除去することを特徴とする、請求項6又は7に記載のロール屑のリサイクル方法。
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