JP2016195987A - 複合酸化物触媒、それを用いたアクロレイン及びアクリル酸の製造方法 - Google Patents

複合酸化物触媒、それを用いたアクロレイン及びアクリル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オレフィンを原料として気相接触酸化する際に用いる複合酸化物触媒として、原料が触媒と接触する時間が短い条件下でも原料の転化率に優れ、且つ所望とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の選択率を高く維持し、収率の向上が可能となり、又、長期間安定的に気相接触酸化反応が可能となる強度に優れた複合酸化物触媒であることを目的とする。
【解決手段】オレフィンを気相接触酸化する際に用いる複合酸化物触媒であり、
該複合酸化物触媒が複数の特定元素の酸化物を含み、比表面積が5m/g〜25m/gであり、細孔容積が0.20ml/g〜0.50ml/gであり、かつ、細孔径分布において細孔径直径が0.1μm〜1.0μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの50%〜68%、及び細孔径直径が0.1μm未満に存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの27%〜50%である複合酸化物触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合酸化物触媒、該複合酸化物触媒を用いたアクロレイン及びアクリル酸の製造方法に関する。
従来、プロピレン等を酸素含有ガスと気相接触酸化反応によりアクロレイン及びアクリル酸を製造するために用いる触媒、また、イソブチレン又はターシャリーブタノール等を酸素含有ガスと気相接触酸化反応することによりメタクロレイン及びメタクリル酸を製造するために用いる触媒については種々提案されている。
それらは、主として触媒を構成する成分及びその比率の選択にかかわるものであるが、中には、触媒の物性の選択に関するものもある。
例えば、特許文献1には、プロピレンを原料とし、アクロレイン及びアクリル酸を製造するための触媒として、少なくともモリブデン、鉄およびビスマスを含有成分とし、比表面積、細孔径分布に特徴がある触媒が開示されている。特許文献2には、イソブチレン又はターシャリーブタノールを原料としてメタクロレインを製造する触媒として、少なくともモリブデン、ビスマス、セリウム、カリウム及び鉄を特定比率で含む触媒が記載されている。更に、特許文献3にはプロペンを原料とし、アクロレインを製造する触媒として、モリブデン、タングステン、コバルト、鉄、ビスマス、ケイ素及びカリウムを特定比率で含む触媒が記載されている。
特開昭63−200839号公報 国際公開第1995/035273号公報 特表2007−511565号公報
しかしながら、これら従前知られた複合酸化物触媒による気相接触酸化反応では、反応効率が十分ではなく、所望の酸化生成物を高収率で得るために、高温で気相接触酸化反応を行う、又は、反応時間を延長するために触媒層の体積を大きくする等の方策がとられていた。しかしながら、該方策では所望の酸化生成物を得る気相接触酸化反応以外の副反応が生じる場合があり、転化率の低下や、選択率の低下を引き起こし、結果として収率が低下するという問題があった。更に該複合酸化物触媒の強度も十分ではなく、触媒の粉化や割れが生じ、長期間にわたり、安定して効率よく気相接触酸化反応を行うことができないものであった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、オレフィンを原料として酸素含有ガスとの気相接触酸化反応により対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いる複合酸化物触媒として、原料が触媒と接触する時間が短い条件下でも原料の転化率に優れ、且つ所望とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の選択率を高く維持し、収率の向上が可能となる複合酸化物触媒であり、又、長期間安定的に気相接触酸化反応が可能となる強度に優れた複合酸化物触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、オレフィンの気相接触酸化反応に用いる複合酸化物触媒であって、特定元素の酸化物を含み、比表面積が特定範囲内であり、細孔容積が特定範囲内であり、細孔径直径が特定範囲にある細孔により占められる細孔容積が全細孔容積に対し特定範囲であることにより、該複合酸化物触媒をプロピレンの気相接触酸化反応に使用した場合、酸化反応時間が短い条件下でも原料の転化率に優れ、生成するアクロレイン及びアクロレインの選択率を高く維持することができ、収率の向上が可能となり、且つ、強度に優れた複合酸化物触媒とすることができ、長期間、気相接触酸化反応を行っても、差圧の上昇等の不具合が起こらず安定的な運転が可能となることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下である。
[1] オレフィンを酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いる複合酸化物触媒であり、
該複合酸化物触媒がモリブデンの酸化物、ビスマスの酸化物、コバルトの酸化物、ニッケルの酸化物、鉄の酸化物及びシリカを含み、比表面積が5m/g〜25m/gであり、細孔容積が0.20ml/g〜0.50ml/gであり、かつ、細孔径分布において細孔径直径が0.1μm〜1.0μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの50%〜68%、及び細孔径直径が0.1μm未満に存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの27%〜50%である複合酸化物触媒。
[2] 前記複合酸化物触媒が下記組成式(1)である[1]に記載の複合酸化物触媒。
MoBiCoNiFeSi (1)
(式中、Xはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0.1〜10、d=0.1〜10、e=0.05〜5、f=0〜2、g=0〜3、h=1〜48の範囲にあり、またiは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
[3] プロピレンを原料とし、該原料と酸素含有ガスを含む原料混合ガスを[1]又は[
2]に記載の複合酸化物触媒を用いて気相接触酸化するアクロレイン及びアクリル酸の製
造方法。
[4] プロピレンの空間速度が150h−1〜320h−1の範囲である[3]に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
[5] 前記原料混合ガス中のプロピレン含有量が7体積%〜12体積%の範囲である[
3]又は[4]に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
本発明の複合酸化物触媒を用いて、プロピレンの気相接触酸化を行うと、プロピレンの転化率に優れ、高選択率でアクロレイン及びアクリル酸を製造することができる。更に、複合酸化物触媒は、機械的強度が大きく、粉化が少ないことより、反応器に該複合酸化物触媒を充填し、気相接触酸化を開始した当初より、長期間にわたり、安定して効率よくアクロレイン、アクリル酸等の不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。
[複合酸化物触媒]
本発明の複合酸化物触媒はモリブデンの酸化物、ビスマスの酸化物、コバルトの酸化物
、ニッケルの酸化物、鉄の酸化物及びシリカを含む。該複合酸化物触媒の比表面積は5m/g〜25m/gである。比表面積は好ましくは7m/g〜20m/gであり、より好ましくは8m/g〜18m/gである。比表面積が大きすぎると、触媒の活性成分に覆われていない担体部分が多くなり、目的生成物の選択率が低くなり、収率が低下する場合があり、比表面積が小さすぎると触媒の活性成分の分散性が低下し、目的生成物の収率が低下する可能性がある。なお、ここでいう比表面積は複合酸化物触媒単位重量あたりの表面積であり、窒素吸着によるBET法により測定される。
更に該複合酸化物触媒の細孔容積は0.20ml/g〜0.50ml/gである。細孔容積は好ましくは0.21ml/g〜0.44ml/gであり、更に好ましくは0.22ml/g〜0.39ml/gである。細孔容積が大きすぎると触媒の密度が小さくなり触媒を取扱う際に高い粉化率となる場合があり、細孔容積が小さすぎると原料の反応する場が少なくなり転化率が低下し、低収率となる可能性がある。なお、細孔容積は水銀圧入法によるポロシメーターで測定される。
加えて、該複合酸化物触媒の細孔径直径が0.1μm〜1.0μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの50%〜68%であり、好ましくは51%〜67%であり、より好ましくは52%〜66%である。0.1μm〜1.0μmに存在する細孔により占められる細孔容積の割合が小さすぎると触媒の活性が低下し、原料の転化率が上昇しない場合があり、触媒の活性を補てんするために気相接触酸化反応温度を上昇させると、目的生成物の収率が低下する可能性がある。該割合が大きすぎると触媒の強度が低下し、粉化率が上昇する可能性がある。
更に加えて、該複合酸化物触媒の細孔径直径が0.1μm未満に存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの27%〜50%であり、好ましくは28%〜46%であり、より好ましくは29%〜42%である。0.1μm未満に存在する細孔により占められる細孔容積の割合が小さすぎると触媒の強度が低下し、粉化率が上昇する場合があり、大きすぎると生成した目的生成物が更に反応しやすくなり、選択率が低下し、収率が低下する場合がある。なお、細孔径分布は水銀圧入法によりポロシメーターで測定される。
更に本発明の複合酸化物触媒は下記組成式(1)で表されることが好ましい。
MoBiCoNiFeSi (1)
(式中、Xはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0.1〜10、d=0.1〜10、e=0.05〜5、f=0〜2、g=0〜3、h=1〜48の範囲にあり、またiは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
上記組成式(1)の複合酸化物触媒とすることで、より高収率でアクロレイン及びアクリル酸を製造することができる。
複合酸化物触媒は、該複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法が好ましい。例えば、モリブデン化合物、シリカ、更に鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物等を含む原料化合物水溶液、又は該原料化合物水溶液を更に乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、該触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物等を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有し、製造する方法で製造されたものが好ましい。
次に本発明に好適な複合酸化物触媒の製造方法について説明する。
本発明の複合酸化物触媒の製造にあたり、モリブデン(Mo)の供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
ビスマス(Bi)の供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられ、ビスマス添加量は、前記組成式(1)において、a=12のとき、b=0.5〜7となるように添加することが好ましく、より好ましくはb=0.7〜5.0、更に好ましくはb=1.0〜4.9となるように添加する。bが前記範囲内であることにより原料の転化率に優れ、高選択率で目的生成物を製造することができる複合酸化物触媒とすることができる。
コバルト(Co)の供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられ、コバルト添加量は、前記組成式(1)において、a=12のとき、c=0.1〜10となるように添加することが好ましく、より好ましくはc=0.5〜8.0、更に好ましくはc=1.0〜5.0となるように添加する。
ニッケル(Ni)の供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられ、ニッケル添加量は、前記組成式(1)において、a=12のとき、d=0.1〜10なるように添加することが好ましく、より好ましくはd=0.5〜8、更に好ましくはd=1〜5となるように添加する。
鉄(Fe)の供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられ、鉄添加量は、前記組成式(1)において、a=12のとき、e=0.05〜5となるように添加することが好ましく、より好ましくはe=0.1〜4、更に好ましくはe=0.3〜2となるように添加する。
ケイ素(Si)の供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられるが、容易に触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の分布を制御できることから、熱分解シリカであるヒュームドシリカが好ましい。
更に、ケイ素の供給源化合物を使用するに当たり、適度な比表面積を有する供給源化合物を選択することが重要である。該供給源化合物の比表面積は通常60m/g〜300m/gであることが好ましく、60m/g〜250m/gであることがより好ましく、60m/g〜200m/gであることが更に好ましく、60m/g〜190m/gであることが特に好ましい。適度な比表面積の供給源化合物を選択することにより、複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布を良好に制御することが可能となる。
ケイ素の添加量は、前記組成式(1)において、a=12のとき、h=1〜48となるように添加することが好ましく、より好ましくはh=5〜30、更に好ましくはh=10〜25となるように添加する。hが小さすぎると複合酸化物触媒の活性成分の分散性が低下する傾向にあり、hが大きすぎると複合酸化物触媒の活性成分の割合が少なくなり、十分な触媒性能が得られない可能性がある。
Xはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であれば特に限定されないが、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びセシウム(Cs)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ナトリウム(Na)及び/又はカリウム(K)であることが更に好ましい。Xを含むことで、目的生成物の選択性が向上することが可能となる。
Xの添加量は、前記組成式(1)において、a=12のときに、f=0〜2となるように添加されることが好ましいが、より好ましくはf=0.1〜1.5、更に好ましくはf=0.2〜1.2となるように添加する。fが小さすぎると、目的生成物の選択率が低下する傾向にあり、fが大きすぎると触媒の活性が低下する可能性がある。
Yはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であれば特に限定されないが、ホウ素(B)、リン(P)及び砒素(As)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ホウ素(B)であることが更に好ましい。
Yの添加量は、前記組成式(1)において、a=12のときに、g=0〜3となるように添加されることが好ましいが、より好ましくはg=0.1〜2.0、更に好ましくはg=0.2〜1.0となるように添加する。
上記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセテート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
また、X成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、ビスマス(Bi)とX成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。X成分の供給量は、前記組成式(1)において、a=12のときに、f=0〜2となるように供給される。
例えば、X成分としてナトリウム(Na)を用いた場合、ビスマス(Bi)とNaとを複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
カリウム(K)の供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。
ルビジウム(Rb)の供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等が挙げられる。
タリウム(Tl)の供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等が挙げられる。
ホウ素(B)の供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等が挙げられる。
リン(P)の供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等が挙げられる。
砒素(As)の供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等が挙げられる。
タングステン(W)の供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等が挙げられる。
本発明の複合酸化物触媒は、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を含む工程を経て製造されることが好ましい。各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合又は熟成処理、混合及び熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして
熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、この発明における一定時間とは、通常30分〜12時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
また、上記加熱とは、上記各成分元素の供給源化合物それぞれの酸化物及び/又は複合酸化物の形成、並びに/あるいは一体化により生じた複合化合物の酸化物及び/又は複合酸化物の形成、並びに/あるいは生成最終複合酸化物の形成のための熱処理をいう。そして、加熱は必ずしも1回とは限られない。即ち、この加熱は上記(イ)〜(ニ)で示される一体化の各段階で任意で行うことができ、また一体化後に必要に応じて追加して行ってもよい。この加熱温度は、通常200℃〜600℃の範囲である。
さらに、上記の一体化及び加熱においては、これら以外に、例えば、乾燥、粉砕等をその前後や途中に実施してもよい。
このようにして得られた粉体等は、押出成型、打錠成型、造粒成型等の成型方法により所望の形状に成型して触媒製品とされることが好ましい。
該成型法の条件等により、本発明の複合酸化物触媒の細孔容積の分布に影響を与える。
成型方法が押出成型の場合、押出圧力は10kgf〜25kgfが好ましく、15kgf〜20kgfがより好ましい。該押出圧力範囲内で押出成型を行うことにより、適度な比表面積を有する複合酸化物触媒とすることが可能となり、更に、良好な細孔径分布を有する複合酸化物触媒とすることができる。
また、成型方法が打錠成型の場合、打錠成型の圧力は15kgf〜35kgfが好ましく、20kgf〜25kgfがより好ましい。該圧力範囲内で打錠成型を行うことにより、適度な比表面積を有する複合酸化物触媒とすることが可能となり、更に、良好な細孔径分布を有する複合酸化物触媒とすることができる。
前記成型の際、製造される複合酸化物触媒の強度を上昇させ、触媒の粉化率を低減する効果があるものとして一般に知られているガラス繊維などの無機繊維、各種ウィスカーなどを粉体等に添加してもよい。また、触媒物性を再現よく制御するために、硝酸アンモニウム、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸など一般に粉体結合剤として知られている添加物を使用することもできる。
複合酸化物触媒の強度が低いと触媒を取扱う際、特に反応器に充填する際に触媒が粉化や割れが生じ、差圧(反応管入口と出口の圧力差)が大きくなる場合がある。差圧が大きくなると、プロピレン等の原料と酸素含有ガスを含む原料混合ガスを複合酸化物触媒が充填された反応器に送風するコンプレッサー等に多大な負荷がかかる。
又、気相接触酸化が進むにつれ、複合酸化物触媒の粉化が生じる場合には、時間と共に差圧が上昇することになり、コンプレッサーのフィード能力の限界を超え、原料混合ガスを反応管に送り込めなくなる場合がある。更には、粉化と共に、複合酸化物触媒の活性成分が剥離してしまう場合があり、必要とされる触媒性能が発現しなくなることもある。これらの理由で触媒の粉化率は2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。触媒の粉化を抑制するためにガラス繊維の添加や成型時の強度を上げることで対応可能だが、細孔容積に影響を与えて触媒性能が低下する可能性もあるので注意が必要である。なお粉化率とは、複合酸化物触媒を1mの高さより落下したときの微粒が生じた割合を表す。
複合酸化物触媒を製造する場合の各元素の供給源化合物とは、各元素のそれぞれについてのそれぞれの化合物のみを意味するのではなく、複数の元素を共に含む化合物(たとえばMoとPとについてのリンモリブデン酸アンモンなど)を包含するものである。
また、上記のようにして複合酸化物触媒を製造する場合、ケイ素成分の供給源化合物として、熱分解シリカが好ましく、ビスマス成分の供給源化合物として、(1)酸化ビスマスまたは次炭酸ビスマスのいずれか一方、(2)所要のNaの少なくとも一部を固溶した次炭酸ビスマス、(3)成分の少なくとも一部を含むBiとXとの複合炭酸塩化合物、あるいは(4)所要のNaおよびX成分のそれぞれ少なくとも一部を含むBiとNaとXとの複合炭酸塩化合物を組み合わせて用いることにより、容易に触媒比表面積、細孔容積、細孔径分布を制御した工業的に優れた触媒を製造できる。上記複合酸化物触媒を、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を含む工程を経て製造する場合、その一部としてモリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一つ、及びシリカを一部として含む原料塩水溶液を乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体粉末を製造する前工程を経た後、触媒前駆体粉末とビスマス化合物とを水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程を経て調製することが好ましい。
上記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは空気中で200℃〜400℃、好ましくは250℃〜350℃の温度域で短時間の熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。
得られたスラリーを充分に撹拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により所望の形状に賦形する。次に、このものを、好ましくは450℃〜650℃の温度条件にて30分〜10時間程度の最終熱処理に付す。
上記のケイ素の供給源化合物を用いる場合は、水等の媒体に該ケイ素の供給源化合物を添加して分散処理を施した分散液とすることが好ましい。該分散液とすることにより、複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布を良好に制御することが可能となる。
ケイ素の供給源化合物の分散液の調製方法は、例えば、ケイ素の供給源化合物を水等の媒体に添加・混合し、懸濁状態とした後に、媒体の流動、衝突、圧力差、超音波等の分散原理を利用し、ケイ素の供給源化合物を媒体中に微分散し、分散液とする方法が挙げられる。ケイ素の供給源化合物を媒体中に微分散し、分散液とする分散装置としては、例えばホモジナイザー、ホモミキサー、高剪断ブレンダー、ビーズミル、超音波分散装置が挙げられ、中でも、微分散したケイ素の供給源化合物の粒径分布がシャープとなることより、ホモジナイザー、ホモミキサーが好ましく、ホモジナイザーがより好ましい。
前記ケイ素の供給源化合物の体積平均粒径は0.05μm〜3μmが好ましく、0.05μm〜1μmがより好ましく、0.05μm〜0.5μmがさらに好ましく、0.05μ〜0.3μmがその中でも好ましく、0.05μm〜0.25μmが特に好ましい。該体積平均粒径が特定範囲内であることにより、複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布のなかでもとりわけ、細孔径分布を良好に制御することが可能となる。
前記ケイ素の供給源化合物における1μm以上の粒径の全体に対する割合は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.8%以下が特に好ましい。1μm以上の粒径の割合が特定範囲内であることにより、複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布のなかでもとりわけ、細孔径分布を良好に制御することが可能となる。
尚、前記ケイ素の供給源化合物の体積平均粒径はレーザー回折散乱式粒度分布測定法に
より測定することができ、体積基準50%径を体積平均粒径とした。ケイ素の供給源化合物を分散液で使用する場合は該分散液を測定サンプルとして、体積平均粒径を測定し、ケイ素の供給源化合物を固体で使用する場合はケイ素の供給源化合物を水に投入後、均一なケイ素の供給源化合物の濃度とした液をサンプルとして体積平均粒径を測定する。
前記ケイ素の供給源化合物の分散液中のケイ素の供給源化合物濃度は1重量%〜50重量%が好ましく、10重量%〜30重量%がより好ましい。1重量%より小さいと、水等の媒体量が多大となり、乾燥工程において経済的に不利となる場合がある。一方、50重量%より大きいと、分散液の流動性は極めて悪くなり他触媒成分との混合操作が困難となる場合がある。
触媒調製の際に、ケイ素源化合物の比表面積もしくはその使用量によって活性成分の高分散そして単位シリカ当たりの活性成分の含有量を増やすことによって高活性の触媒が得られる。さらに、上記比表面積をもつケイ素源化合物を使用することにより、0.1μm〜1.0μm範囲の細孔容積比が増加し、目的とする生成物の選択性の低下を抑制することができて高い転化率条件でも収率の向上が得られる。
以上のようにして、高い転化率条件で、かつ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。このようにして製造された複合酸化物触媒は、例えば、プロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を製造する反応に使用される。プロピレンからアクロレイン及びアクリル酸を製造する気相接触酸化反応は、原料混合ガス組成として5容量%〜15容量%のプロピレン、5容量%〜18容量%の分子状酸素、0〜40容量%の水蒸気及び20容量%〜70容量%の不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガスなどからなる混合ガスを前記のようにして製造した複合酸化物触媒上に300℃〜450℃の温度範囲及び常圧〜150kPaの圧力下、そして0.5秒〜4秒の接触時間で導入することによって遂行される。
上記、原料混合ガス中のプロピレンのより好ましい含有量は7体積%〜12体積%の範囲であり、かつ、プロピレンの空間速度は150h−1〜320h−1の範囲が好ましい。空間速度が低い条件、すなわち、プロピレンの負荷が低い条件では副生成物が多くなり、生成目的物の収率が低下する原因になる。又、空間速度が高い条件、すなわち、プロピレンの負荷が高い条件では転化率が98%より低くなって、原料であるプロピレンの未反応量が多くなり生産量及びコスト面から好ましくない。工業的な観点からプロピレン転化率は98.5%以上になることが好ましい。
尚、空間速度とは次式で示される値である。
・空間速度SV(h−1)=反応器に供給するオレフィンガスの体積流量(0℃、1気圧条件)/反応器に充填された複合金属酸化物触媒の体積(反応性の無い固形物は含まない)
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(1)比表面積の測定
複合酸化物触媒の比表面積は、窒素吸着によるBET1点法により触媒単位重量あたりの
表面積を測定した。複合酸化物触媒を250℃で15分間、窒素ガス送風状態で処理したサンプルを、測定装置:マックソーブHM Model-1201(株式会社マウンテック製)を用い
て、BET1 点法(吸着ガス:窒素)にて比表面積を測定した。
(2)細孔容積の測定及び細孔容積の割合の算出
複合酸化物触媒の細孔容積は、ポロシメーター(水銀圧入法)により複合酸化物触媒単位重量あたりの細孔直径と細孔容積及びその分布を測定した。複合酸化物触媒をオートポアIV 9520 型(マイクロメトリックス社製)を用いて、減圧下(50μmHg以下)で10分間処理をした後、水銀圧入退出曲線を測定し、細孔分布を求めた。
(3)複合酸化物触媒の粉化率の測定
複合酸化物触媒を目開き2.36mmの篩により篩別し、篩上のものを粉化率測定サンプルとした。アクリル製の高さ1mの円筒(φ66mm)の上部に漏斗(円錐上部口径150mm、円錐下部口径25mm)挿入し、円筒下部に受け皿を設置した。該粉化率測定サンプル約20gを精秤し、漏斗の円錐上部より投入し、該円筒を介して該受け皿に落下させた。落下した該粉化率測定サンプルを該受け皿より回収し、目開き2.36mmの篩により篩別した微粒の重量(粉化重量)を測定し、以下の式から触媒粉化率を算出した。
触媒粉化率(%)=(粉化重量/粉化率測定サンプル重量)×100
(4)シリカの体積平均粒径、粒径分布の測定
サンプルをレーザー回折散乱式粒度分布測定器であるWet unit LMS-20
00s、(株式会社セイシン企業製)により、シリカの体積基準粒径分布を測定した。又
、50%粒径を測定し、シリカの体積平均粒径とした。尚、湿式法により測定したものである。
(実施例1)
<複合酸化物触媒の調製>
容器に温水700mlを入れ、更にパラモリブデン酸アンモニウム110.2gを加えて溶解させ、溶液とした。次いで、該溶液にヒュームドシリカの水分散液448.9gを加えて、撹拌し、懸濁液とした(以下、「懸濁液A」と称する)。該ヒュームドシリカ水分散液は、ヒュームドシリカ5kg(比表面積92.6m/g)をイオン交換水22.5Lに加えてヒュームドシリカ懸濁液とした後に、該ヒュームドシリカ懸濁液を、ホモジナイザーであるULTRA-TURRAX T115KT(IKA社製)により、30分間分散処理を行い、
ヒュームドシリカ水分散液としたものである。尚、ヒュームドシリカ水分散液中のシリカの体積平均粒径は0.247μmであり、1μm以上の粒径の割合は0.75%であった。
別の容器に純水120mlを入れ、更に硝酸第二鉄15.1g、硝酸コバルト65.7g及び硝酸ニッケル52.5gを加えて、加温して溶解させた(以下、「溶液B」と称する)。溶液Bを懸濁液Aに添加し、均一になるように攪拌し、加熱乾燥し、固形物を得た。次いで該固形物を空気雰囲気で300℃、1時間熱処理した。
更に、別の容器に純水120ml、アンモニア水10mlを入れ、パラモリブデン酸アンモニウム16.1gを加えて溶解し、「溶液C」とした。次いで、溶液Cにホウ砂1.4g及び硝酸カリウム0.39gを加えて溶解し、「溶液D」とした。前記熱処理した固形物126gを溶液Dに添加し、均一になるように混合した。次いでNaを0.53%固溶した次炭酸ビスマス14.6gを加えて30分間混合した後、水分を除去するため加熱乾燥し、乾燥品を得た。該乾燥品を粉砕し、得られた粉体を、高さ方向の圧縮強度が20kgf〜25kgfとなるように円柱状に打錠成型し、成形品(外径:5mm、高さ3mm)とした。尚、該圧縮強度は木屋式強度測定機により測定したものである。該成形品を空気雰囲気下、515℃で焼成を2時間行って複合酸化物触媒を得た。上記のように調製した複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。
<プロピレンの気相接触酸化反応>
複合酸化物触媒を粉砕し、目開き2mmの篩により粗粒を除き、目開き1mmの篩により微粒を除いたものをプロピレンの気相接触酸化用の触媒として使用した。触媒12.4
mlを内径7.05mmのU字型反応管内に充填し、触媒層を形成した。該反応管を内径90mmのステンレス鋼製ナイターバス(熱媒温度360℃)に入れて加温を行った。プロピレン10%、スチーム10%、酸素17%、窒素63%の原料混合ガスを圧力70kPaで反応管内に導入し、触媒層との接触時間2.7秒にて通過させて、プロピレンの酸化反応を実施した。この時、プロピレンの空間速度は235h−1であった。結果は表2にまとめた。
プロピレンの酸化反応に加えて、触媒の粉化率についても表2記載した。
ここで、プロピレン転化率、アクロレイン選択率、アクリル酸選択率、アクロレイン収率、アクリル酸収率、合計収率の定義は、下記の通りである。
・プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
・アクロレイン選択率(モル%)=(生成したアクロレインのモル数/反応したプロピレンのモル数)×100
・アクリル酸選択率(モル%)=(生成したアクリル酸のモル数/反応したプロピレンのモル数)×100
・アクロレイン収率(モル%)=(生成したアクロレインのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
・アクリル酸収率(モル%)=(生成したアクリル酸のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
・合計収率(モル%)=アクロレイン収率(モル%)+アクリル酸収率(モル%)
(比較例1)
ケイ素の供給源化合物として、比表面積が56m/gであるヒュームドシリカを使用した以外は、実施例1と同様にして、複合酸化物触媒を得た。尚、ヒュームドシリカ水分散液中のシリカの体積平均粒径は0.244μmであり、1μm以上の粒径の割合は0%であった。複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。該複合酸化物触媒を用いて実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化反応を行った。それらの結果を触媒の粉化率と共に表2に示した。
(比較例2)
ケイ素の供給源化合物として、比表面積が398m/gであるヒュームドシリカを使用した以外は、実施例1と同様にして、複合酸化物触媒を得た。尚、ヒュームドシリカ水分散液中のシリカの体積平均粒径は0.188μmであり、1μm以上の粒径の割合は0%であった。複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。該複合酸化物触媒を用いて実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化反応を行った。それらの結果を触媒の粉化率と共に表2に示した。
(実施例2)
シリカの原子比を16.8とした以外は、実施例1と同様にして複合酸化物触媒を得た。複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。尚、ヒュームドシリカ水分散液中のシリカの体積平均粒径は0.247μmであり、1μm以上の粒径の割合は0.75%であった。該複合酸化物触媒を用いて実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化反応を行った。それらの結果を触媒の粉化率と共に表2に示した。
(比較例3)
ケイ素の供給源化合物として、比表面積が150m/gであるヒュームドシリカを使用し、成型を押出成型とした以外は、実施例2と同様にして、複合酸化物触媒を得た。
尚、ヒュームドシリカ水分散液中のシリカの体積平均粒径は0.229μmであり、1μm以上の粒径の割合は0%であった。
該押出成型では押出圧力を5kgf〜9kgfとし、φ4mmの円筒状に成型し、次いで水分を除去するため、120℃の乾燥機の中で一晩乾燥し、乾燥品とし、該乾燥品を長さ3mmのペレット状に切断し、成型品とした。複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。該複合酸化物触媒を用いて実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化反応を行った。それらの結果を触媒の粉化率と共に表2に示した。
(比較例4)
容器に温水710mlを入れ、更にパラモリブデン酸アンモニウム54.9gを加えて溶解させ、更に硝酸第二鉄8.2g、硝酸コバルト26.7g及び硝酸ニッケル40.0gを加えて、加温して溶解させ溶液とした(以下、「溶液A」と称する)。次いで、該溶液Aを攪拌しながらヒュームドシリカ(比表面積92.6m/g)73.6gを加えて、懸濁液とした(以下、「懸濁液B」と称する)。懸濁液Bを均一になるように攪拌し、加熱乾燥し、固形物を得た。次いで該固形物を空気雰囲気で300℃、1時間熱処理した。尚、ヒュームドシリカ粉末のシリカの体積平均粒径は33.939μmであり、1μm以上の粒径の割合は96.94%であった。
別の容器に純水120ml、アンモニア水10mlを入れ、パラモリブデン酸アンモニウム38.1gを加えて溶解し、次いで、ホウ砂1.28g及び硝酸カリウム0.33gを加えて溶解し、溶液とした(以下「溶液C」と称する)。前記熱処理した固形物84gを溶液Cに添加し、均一になるように混合した。次いでNaを0.53%固溶した次炭酸ビスマス40.0gを加えて30分間混合した後、水分を除去するため加熱乾燥し、乾燥品を得た。該乾燥品を粉砕し、得られた粉体を、高さ方向の圧縮強度が20kgf〜25kgfとなるように円柱状に打錠成型し、成形品(外径:5mm、高さ3mm)とした。尚、該圧縮強度は木屋式強度測定機により測定したものである。該成形品を空気雰囲気下、515℃で焼成を2時間行って複合酸化物触媒を得た。上記のように調製した複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積、細孔容積の割合、組成比は表1に示した。該複合酸化物触媒を用いて実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化反応を行った。それらの結果を触媒の粉化率と共に表2に示した。
Figure 2016195987
Figure 2016195987
本発明の複合酸化物触媒は実施例において示されているように、プロピレンの気相接触酸化反応に用いた場合、プロピレンの転化率に優れ、且つ所望とするアクロレイン及びアクリル酸の選択率が高く維持し、収率の向上が可能となっている。加えて、粉化率が小さいことより、長期間、気相接触酸化反応を行っても、差圧の上昇との不具合が起こらず安定的な運転が可能となる。

Claims (5)

  1. オレフィンを酸素含有ガスにより気相接触酸化して対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造する際に用いる複合酸化物触媒であり、
    該複合酸化物触媒がモリブデンの酸化物、ビスマスの酸化物、コバルトの酸化物、ニッケルの酸化物、鉄の酸化物及びシリカを含み、比表面積が5m/g〜25m/gであり、細孔容積が0.20ml/g〜0.50ml/gであり、かつ、細孔径分布において細孔径直径が0.1μm〜1.0μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの50%〜68%、及び細孔径直径が0.1μm未満に存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの27%〜50%である複合酸化物触媒。
  2. 前記複合酸化物触媒が下記組成式(1)である請求項1に記載の複合酸化物触媒。
    MoBiCoNiFeSi (1)
    (式中、Xはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0.1〜10、d=0.1〜10、e=0.05〜5、f=0〜2、g=0〜3、h=1〜48の範囲にあり、またiは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
  3. プロピレンを原料とし、該原料と酸素含有ガスを含む原料混合ガスを請求項1又は2に記載の複合酸化物触媒を用いて気相接触酸化するアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
  4. プロピレンの空間速度が150h−1〜320h−1の範囲である請求項3に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
  5. 前記原料混合ガス中のプロピレン含有量が7体積%〜12体積%の範囲である請求項3又は4に記載のアクロレイン及びアクリル酸の製造方法。
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