以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
図1に示すブロック図を用いて、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の構成について説明する。図1においては、2台のカメラ10が示されているが、両者とも同一の構成である。カメラ10は、画像処理及び制御部1、撮像部2、ストロボ3、記録部4、水圧検知部5、スイッチ部6、加速度検知部7、表示部8、時計部9、音波発信部11、音波受信部12等から構成される。
撮像部2は、撮影レンズ2a(図2(e)参照)、シャッタ等の露出制御部、撮像素子、この撮像素子の駆動及び読出回路等を含み、撮影レンズ2aによって形成された被写体像を撮像素子によって画像データに変換し、これを出力する。なお、本明細書においては、画像データは、撮像素子から出力される画像信号に限らず、画像処理及び制御部1によって処理された画像データ、および記録部4に記録されている画像データ等についても使用する。
画像処理及び制御部1は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)およびその周辺のハードウエア回路によって構成され、不図示のフラッシュROM等の記憶部に記憶されているプログラムに従ってカメラ10の全体のシーケンスを制御する。画像処理及び制御部1は、表示制御部1a、音波発信制御部1bを含む。
表示制御部1aは、撮像部2からの出力される画像データに基づいて被写体像を表示部8に、ライブビュー表示を行ったり、また、記録部4に記録されている画像データを読み出し、再生画像の表示を制御する。また、表示制御部1aは、音波受信部12によって受信され音波のパターン等を解析し、この解析結果に基づいて、表示部8に表示を行う。表示にあたっては、ライブビュー表示用の被写体像に、解析結果に基づく画像を合成して表示する。さらに、表示制御部1aは、加速度検知部7によって検出された加速度に基づいて、タップ操作がなされたことを判定した場合には、音波の解析に基づく画像を拡大して表示する。
音波発信制御部1bは、加速度検知部7によって検知された加速度に基づいて、カメラ10に印加された動きに応じて、音波発信部11から発信する音波のパターンを変更する。また、画像処理及び制御部1は、撮像部2から入力した画像データの画像処理、例えば、ホワイトバランス、色補正、ライブビュー表示用画像生成、動画画像生成、画像圧縮・画像伸張等の種々の画像処理を行なう。
記録部4は、カメラ本体に脱着自在な記録媒体、若しくは内蔵の記録媒体から構成される。記録部4には、撮像部2から出力され、画像処理及び制御部1によって画像処理された静止画や動画の画像データが、付随するデータと共に記録される。時計部9は、計時機能を有し、また日時情報を出力する。撮影時には、この日時情報が画像データと共に記録部4の記録媒体に記録される。
水圧検知部5は、水圧を検知し、検知結果を画像処理及び制御部1に出力する。この検知結果に基づいて、カメラ10が水中に存在するか否かを判定することができる。なお、水圧検知部5に代えて、水中での導電率の変化を利用して水中であることを検知する水中検知部等を設けてもよい。
スイッチ部6は、カメラ10の外装に配置されたレリーズ釦6a(図2(e)参照)、電源釦6b(図2(e)参照)、再生釦、メニュー釦等のメカ的な各種操作部材であり、スイッチ部6は、これらの操作部材に連動するスイッチ等の操作状態を判定し、この判定結果を画像処理及び制御部1に出力する。
加速度検知部7は、カメラ10の内部に配置された加速度センサとそのドライバ等から構成され、カメラ10に加えられた振動を検出する。振動の検出結果は、画像処理及び制御部1に出力され、除振動作に用いられる。また、水中でのコミュニケーションを図るために、撮影者が意図的にカメラ10を動かした際の動き(シェイク動作)の軌跡を検出する。また、加速度検知部5は、ユーザがカメラ10を叩く(タップ)した際に瞬間的に発生する加速度も検出可能である。このタップ操作に基づいて、カメラ10は撮影者からの指示を入力する。加速度検知部7の詳細な構成および作用については、図2を用いて後述する。
表示部8は、画像処理及び制御部1に接続されており、本体の背面等に配置された液晶や有機EL等のモニタを有し、ライブビュー表示や、撮影時のレックビュー表示や、記録部4に記録されている記録画像の表示や、メニュー画面等の制御画面を表示する。
ストロボ3は、カメラ10の本体正面の右上に配置された補助光源であり(図2(e)参照)、室内や水中等、光量が不足している環境の下で補助光によって露出を補う。水中のように、赤い波長が減衰する環境では、ストロボ3を発光させて撮影を行うことにより、本来の発色を引き出すことができる。
音波発信部11は、音波発信制御部1bからの制御信号に従ったパターンで音波を外部に出力する。ここで、音波発信部11は、搬送波信号を生成する回路と、送信したい信号(上述のパターンに応じた信号)を生成する回路と、搬送波と送信したい信号に基づいて振幅変調波を生成する変調回路と、振幅変調波を増幅する送信アンプと、増幅された振幅変調波で駆動される超音波トランスジューサ等のトランスジューサ等を有する。
音波受信部12は、外部から送信されてくる音波を受信し、電気信号に変換し、この変換した音波信号を画像処理及び制御部1に出力する。音波受信部12は、他のカメラ10から送信されてくる音波を受信し電気信号に変換する超音波トランスジューサ等のトランスジューサと、電気信号に変換された音波信号を増幅する受信アンプと、増幅された音波信号を一定のレベルまで増幅するALC機能を有するALC回路と、ALC回路からの信号を検波する復調回路と、必要な周波数成分を通過させるフィルタ回路等を有する。
なお、本実施形態において使用される音波は、水中通話機で利用できる8KHzを搬送波としてもよく、また、超音波を使用する場合には、魚群探知機等で用いられる50KHz程度でもよい。魚群探知機のように、反射を利用するものではないことから、出力は小さくても十分であり、また指向性を狭くする必要もない。
次に、加速度検知部7の構成およびその作用について、図2を用いて説明する。前述したように、加速度検知部7を構成する加速度センサの検知結果に基づいて、カメラ10に加えられた振動を検出すると共に、撮影者がシェイク動作を行ったか否か、および撮影者がタップ操作を行ったか否か等の動作を判定する。ここでシェイク動作は、撮影者がカメラ10を左右に振るような動作をいう。また、タップ操作は、撮影者がカメラ10の表面を叩く操作であり、叩いた際にカメラ10衝撃を与えるような動作をいう。さらに、撮像部2の撮影レンズ2aの光軸の方向に押し出すような動作を行ったか否かも、加速度センサの検知結果に基づいて判定する。
加速度検知部7の加速度センサは、図2(a)に示すように、チップ表面の固定金属部62a、62bと、架橋された金属部61から構成されており、例えばMEMSプロセス等によって製造される。金属部61は、4つの基点61aとこの基点61aによって保持されるH形状をした架橋部61bと、固定金属部62a、62bとはす向かいに対向する可動部61cとから構成される。加速度センサは、可動部61cと固定金属部62a、62bで構成されるコンデンサの静電容量を検知する。
カメラ10に振動が印加され、またシェイク動作やタップ操作等がなされると、重力の加わる方向が変化し、そのため可動部61cがたわんで変化し、コンデンサの静電容量が変化する。図2(a)中の矢印の方向に金属部61が移動すると、コンデンサの静電容量が変化することから、この変化量を求めることにより、矢印方向の加速度αを検知することができる。
カメラ10に振動等により力が印加され各方向に移動すると、加速度センサは、図2(b)(c)に示すような信号を出力する。すなわち、時刻t1にて、一方向に移動すると、図2(b)に示すように定常状態よりはプラス側にパルス状に信号が変化し、時刻t2にて、他方向に移動すると、図示するように定常状態よりはマイナス側にパルス状に信号が変化する。また、先に他方向に移動すると、図2(c)に示すように時刻t3においてマイナス側にパルス状に信号が変化し、時刻t4において一方向に移動すると、プラス側にパルス状に信号が変化する。
なお、図2(b)および(c)に図示した例は、タップ操作された場合の信号変化を示している。シェイク動作がなされた場合の信号波形の周波数は、図2(b)(c)に示す信号波形よりも、低周波であり、またピーク値が低くなる。従って、信号波形の周波数およびピーク値の大きさに基づいて、シェイク動作がなされたか、タップ操作がなされたかを判定することができる。
このように、加速度αがプラスであるかマイナスであるかに基づいて、どちらの方向にカメラ10が動いたか、また信号波形の周波数やピーク値等に基づいて、シェイク動作されたのか、タップ操作されたかが判定できる。また、本実施形態においては、上下方向に動いたか、左右(X方向)に動いたか、前後方向(Z方向)に動いたかを、検出できるようするために、カメラ10内に加速度センサを、図2(d)に示すように、3つの方向に沿ってそれぞれ配置している。
図2(d)は、カメラ10の正面側からみた透視斜視図であり、加速度センサ150x、150y、150zをカメラ10の本体内の3か所に配置し、XYZ軸の3方向の加速度(αx、αy、αz)を検出する例を示す。カメラ10の内部には、加速度センサ150x、150y、150zが配置されている。加速度センサ150xは、カメラ10の上部に幅方向(カメラの長手方向)の加速度αxを検出する向きに配置されている。加速度センサ150yは、上下方向の加速度αyを検出する向きに配置されている。加速度センサ150zは、カメラ10の厚さ方向(撮像部2の撮影レンズ2aの光軸方向と同じ方向)の加速度αzを検出する向きに配置されている。
また、本実施形態においては、図2(e)に示すように、音波受信部12を、カメラ10の正面側から見て、右側に配置している。すなわち、カメラ10の本体の中央部には、撮影レンズ2aを配置し、その右側の本体内には音波受信部12を、また左側の本体内には音波送信部11を配置している。図2(d)に示すように、通常、撮影者は右手20Rによってカメラ10の本体を把持することから、右手20Rによって音波受信部12が覆われないようにするために、音波受信部12を右側に配置している。右手20Rによってカメラ10の本体を把持すると、音波送信部11が右手20Rによって覆われるが、音波信号の送信時は、音波送信部11を右手20Rで覆わないように、右手20Rの位置をずらせばよい。
次に、図3を用いて、本実施形態に係わるカメラを用いてダイバー同士がコミュニケーションを図る場合について説明する。水中でダイバー20Aは、図3(a)に示すように、カメラ10aの表示部8aを観察しており、水中撮影に集中している。なお、カメラ10aおよび表示部8aの構成は図1に示したカメラ10および表示部8と同一である。一方、ダイバー20Bは、ダイバー20Aの友人またはインストラクターであり、別の場所に移動しようとして、ダイバー20Aに合図を送っている。
ダイバー20Bが合図を送った場合に、ダイバー20Aが気付かないまま移動すると、水の濁り具合等によっては、お互いを見失ってしまい事故を招くおそれがある。そこで、本実施形態においては、ダイバー20Bが有するカメラ10b(図1のカメラ10と同一)を、図3(a)に示すように振ると、ダイバー20Aのカメラ10aの表示部8aに表示を行うようにしている。
すなわち、ダイバー20Bがカメラ10bを振って合図すると(シェイク動作)、カメラ10b内の加速度検知部7がこの動作を検知し、画像処理部及び制御部1から音波発信部11に対して、音波を送信させる。音波の送信にあたっては、シェイク動作の速さ等、シェイク動作のパターンを判定し、この判定結果に基づいて、音波の送信パターンを変更する。
この音波は、ダイバー20Aの有するカメラ10aの音波受信部12によって受信され、表示制御部1aによって送信パターン等が解析され、この解析結果に基づいて表示部8に表示が行われる。表示部8における表示としては、撮像部2からの画像データに基づくライブビュー表示画像8a上に、上述の音波の送信パターンに応じて、図8(b)に示すように「注目」8bや、図8(c)に示すような「集合」8c等の文字表示を行う。
例えば、ダイバー20Bの方に注目してもらいたい場合に、ダイバー20Bがゆっくりカメラ10bを振ると、加速度検知部7の検知結果に基づいて動きを検知し、音波発信部11はパターン2の音波を送信し、これを受信したカメラ10aは「注目」8bを表示部8に表示する。また、ダイバー20Bがダイバー20Aに対して集合の合図を送る場合に、カメラ10bを速く振ると、音波発信部11はパターン1の音波を送信し、これを受信したカメラ10aは「集合」8cを表示部8に表示する。
また、水中では、表示部8に表示される文字が見え難い場合があることから、撮影者がタップ操作等を行うことにより、図3(d)に示すように、「集合」8d等の文字を拡大表示する。
次に、本実施形態における動作を、図4に示すカメラ制御のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、カメラ10の不図示のフラッシュROM等の記憶部に記憶されているプログラムに従って画像処理及び制御部1が実行する。
カメラ制御のフローでは、まず、電源がオンか否かの判定を行う(S11)。ここでは、パワーオフ状態で電源釦6bが操作されたか否かが判定される。この判定の結果、電源オンでなかった場合には、カメラ制御のフローを終了する。なお、カメラ制御のフローを終了しても、所定時間間隔で電源釦が操作されたか否かを判定し、電源釦が操作された場合には、ステップS11から次のステップS13に移行する。
ステップS11における判定の結果、電源オンの場合には、次に、撮影モードか否かの判定を行う(S13)。本実施形態においては、撮影モードがデフォルト値として設定されているので、モード変更がなされていない限り、撮影モードが設定されている。この判定の結果、撮影モードであった場合には、次に、ライブビュー表示を行う(S15)。ここでは、撮像部2から出力される画像データを、画像処理及び制御部1によって画像処理を行った後、被写体像を表示部8でライブビュー表示する。
ライブビュー表示を行うと、次に、水中か否かの判定を行う(S17)。ここでは、水圧検知部5の検出結果に基づいて、水中に有るか否かの判定を行う。この判定の結果、水中にある場合には、次に、音波受信部12をオンとする(S19)。ここでは、音波受信部12に電源を入れ、イネーブル状態にする。これによって、例えば、仲間のダイバーやインストラクター等から音波で情報が送信されてきた場合には、受信可能となる。なお、音波受信部12が受信可能状態となるのは、撮像部2に電源が投入されている場合であり、撮像部2に電源が投入されていない場合には、音波受信部12はイネーブル状態とはならない。撮像部2に電源が未投入状態で音波受信部12をオン状態とすると、エネルギが浪費されてしまうからであり、本実施形態においては省エネルギを図っている。
音波受信部12をオンとすると、次に、音波を受信したか否かの判定を行う(S21)。この判定の結果、音波を受信した場合には、次に、受信パターンに応じてライブビュー画像に合成を行う(S23)。ここでは、表示制御部1aによって音波のパターンを解析し、この解析結果に基づいて、例えば、音波パターン1であれば図3(b)に示すような、「集合」8bの文字の画像を生成し、音波パターン2であれば図3(c)に示すような「注目」8c等の文字の画像を生成する。そして、この生成した文字等の画像を、ライブビュー表示画像8aに重畳するように合成し、この合成した画像を表示部8に表示する。
ステップS23において合成画像を表示すると、またはステップS21における判定の結果、音波を受信していなかった場合には、次に、タップ操作がなされたか否かの判定を行う(S25)。図3(d)を用いて説明したように、水中で文字が小さく読み難い場合には、ダイバー20Aはタップ操作を行う。そこで、このステップでは、加速度検知部7によって検知された加速度に基づいて、タップ操作がなされたか否かの判定を行う。
ステップS25における判定の結果、タップ操作があった場合には、次に、拡大表示中であるか否かの判定を行う(S27)。ここでは、音波を解析した結果、表示している文字が、図3(d)に示すように拡大状態であるか否かの判定を行う。この判定の結果、現在拡大表示中でなければ、次に拡大表示を行う(S31)。ここでは、音波を解析した結果、表示する文字を図3(d)に示すように拡大し、この拡大した画像をライブビュー画像に重畳して表示する。
一方、ステップS27における判定の結果、拡大表示中であった場合には、縮小表示を行う(S29)。ここでは、拡大した文字のサイズを元のサイズに戻し、この文字の画像をライブビュー画像に重畳して表示する。
ステップS29において縮小表示、またはステップS31において拡大表示を行うと、またはステップS25における判定の結果、タップ操作がなされていない場合には、次に、シェイク動作が行われたか否かの判定を行う(S33)。シェイク動作は、前述したように、撮影者(ダイバー20B)がカメラ10bを左右に振る動作である。ステップS33においては、加速度検知部7によって検知された加速度に基づいて、シェイク動作がなされたか否かの判定を行う。
ステップS33における判定の結果、シェイク動作が行われた場合には、次に、左右にカメラ10bをフル動作が、秒1回以上であるか否かの判定を行う(S35)。本実施形態においては、音波を用いて、2種類の言葉、すなわち、「注目」と「集合」を送信するが、シェイク動作の速度に応じて、送信する言葉を変更している。このステップでは、秒1回以上の速度でカメラ10を振っているか否かの判定を行っている。なお、判定値は本実施形態のように、秒1回に限られず、他の値でもよいが、撮影者がシェイク動作を行う際に速いか遅いかを区別できる程度の値であればよい。
ステップS35における判定の結果、秒1回以上のシェイク動作であった場合には、音波パターン1を送信する(S37)。ここでは、音波発信制御部1bによって音波パターン1のパターンで音波発信部11に音波発信を行わせる。また、ステップS35における判定の結果、秒1回未満のシェイク動作であった場合には、音波パターン2を送信する(S39)。ここでは、音波発信制御部1bによって音波パターン2のパターンで音波発信部11に音波発信を行わせる。
ステップS33における判定の結果、シェイク動作が行われていなかった場合には、次に、レリーズか否かの判定を行う(S41)。ここでは、レリーズ釦6aが操作されたか否かを判定する。この判定の結果、レリーズでなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、レリーズであった場合には、撮影および記録を行う(S43)。ここでは、撮像部2から出力される画像データを画像処理した後、記録部4に記録する。画像データの記録を行うとステップS11に戻る。
ステップS13における判定の結果、撮影モードでなかった場合には、次に、再生モードであるか否かを判定する(S45)。ここでは、スイッチ部6の再生釦が操作されたか否かの判定を行う。この判定の結果、再生モードでなかった場合には、ステップS11に戻る。
一方、ステップS45における判定の結果、再生モードであった場合には、次に、撮影画像の再生を行う(S47)。ここでは、指定された画像の画像データを記録部4から読み出し、表示部8に再生表示する。この再生表示を行うと、ステップS11に戻る。
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、ライブビュー表示を行う表示部に、音波受信部における受信結果に基づく表示を重畳して表示するようにしている。このため、水中で撮影者が被写体に集中していても、簡単に分かりやすく情報伝達を行うことが可能である。
また、本実施形態においては、加速度検知部を有し、この検出結果に基づいて音波のパターンを変更して発信している。このため、2種類以上の情報を送信することができ、コミュニケーションを円滑に図ることができる。
さらに、本実施形態においては、加速度検知部によって検出された加速度に基づいて、タップ操作がなされたか否かを判定し、タップ操作がなされた場合には、受信結果に応じて行う表示(「注目」「集合」の文字等)を拡大するようにしている。このため、水中で文字が小さく読み難い場合に拡大して確実に読み取ることができる。
なお、本実施形態においては、カメラ10bを左右に振り、この動きを検知した場合に、音波を送信するようにしたが、左右に振る以外の動作、例えば、回転動作等、他の動作を検知するようにしても勿論かまわない。
また、本実施形態においては、パターン1、パターン2に対応して、「注目」「集合」の文字を表示していたが、これ以外の文字でもよく、また、記号や絵記号等の表示でもよい。画像処理及び制御部1と接続するように発音部を設け、パターンによって異なる音声を発生するように制御してもよい。さらに、発音部と共に、または発音部の代わりに振動部材を設け、カメラ10の本体を振動させるようにしてもよい。すなわち、パターン1やパターン2等の情報を受信した際に、これらのパターンに応じた振動によって撮影者に告知するようにしてもよい。また、ステップS25において、タップ操作を検知した場合に、拡大表示を行ったが、これに限らず、タップ操作以外の操作、例えば、ボタン操作でもよい。
次に、本発明の第2実施形態について図5ないし図7を用いて説明する。第1実施形態においては、撮影者が予め決められた動作を行うと、この動きをカメラ10が検出し、予め決められたパターンの音波を送信するようにしていた。このため、予め決められた動作によって決まる情報のみしか伝達することができない。これに対して、第2実施形態においては、カメラ10を用いて文字を書くように動かすことにより、この動きに基づいて文字を別のカメラ10に送信するようにしている。
本実施形態におけるカメラ10の電気的構成は、第1実施形態に係わる図1および図2に示したブロック図と同様であるので、詳しい説明は省略する。ただし、本実施形態においては、図示しない記憶部に文字のパターンを解析するための文字パターン情報が記憶されている。
図5(a)は、ダイバー20Bがカメラ10bを持ちながら、文字「A」を水中で描いている様子を示している。このときのカメラ10bの動きをカメラ10b内の加速度検知部7によって検出し、この動きから文字「A」が描かれたことを判定すると、音波発信部11は文字「A」に対応するパターンの音波を、ダイバー20Aが持つカメラ10aに送信する。カメラ10aは、文字「A」に対応するパターンの音波を受信すると、これを解析し、図5(b)に示すように、ライブビュー画像に「A」を重畳して表示する。
なお、カメラ10bを用いて水中で文字を描く場合に、その軌跡の内、一部分が文字を構成し、他の部分は文字を構成しない。例えば、文字「A」を描く場合には、図5(a)の破線部分の軌跡は、文字の部分ではない。そこで、本実施形態において、ダイバー20Bが文字を構成する部分を動かす場合には、図5(c)に示すようにレリーズ釦6aを押しながらカメラ10を動かし、文字を構成しない部分では図5(d)に示すようにレリーズ釦6aを押さない状態で動かすようにする。また、1文字を描くと、1文字分の動きが終了したことを他のカメラ10に伝達するために、カメラ10を前方に、言い換えると撮影レンズ2aの光軸方向に押し出すように動かすことにしている。
次に、本実施形態における動作を図6および図7に示すフローチャートを用いて説明する。図7に示すカメラ制御のフローは、図4に示したカメラ制御のフローにステップS51およびS53を追加したものであり、ステップS13に続くステップS15以下は記載を省略してある。
カメラ制御のフローに入り、電源がオンか否かを判定し(S11)、この判定の結果、電源がオンであった場合には、次に、撮影モードか否かを判定する(S13)。この判定の結果、撮影モードでなかった場合には、次に、再生モードか否かを判定する(S45)。この判定の結果、再生モードでなかった場合には、次に、文字発信モードであるか否かを判定する(S51)。文字発信モードは、図示しないメニュー画面において、選択できるモードであり、このステップにおいては、文字発信モードが選択されたか否かを判定する。
ステップS51における判定の結果、文字発信モードが選択されていない場合には、ステップS11に戻る。一方、文字発信モードが選択されていた場合には、文字発信を行う(S53)。ここでは、図5(a)を用いて説明したように、撮影者がカメラ10を水中(または空中)において文字を描くように動かし、この動きを検出して文字を判定する。そして、判定した文字に応じたパターンの音波を他のカメラ10に送信する。ステップS53の文字発信の詳しいフローについては、図7を用いて説明する。文字発信のサブルーチンを実行すると、ステップS11に戻る。
次に、ステップS53の文字発信のフローについて、図7を用いて説明する。文字発信のフローに入ると、まず、レリーズスイッチがオンか否かの判定を行う(S61)。ここでは、レリーズ釦6aに連動するレリーズスイッチがオンか否かを判定する。この判定の結果、レリーズスイッチがオンであった場合には、次に、軌跡判定を行う(S63)。前述したように、撮影者がレリーズ釦6aを押しながらカメラ10を動かしている場合には、文字の部分を描いており、このステップでは、音波発信制御部1bが加速度検知部7からの検知信号に基づいて、この文字の部分の軌跡を判定する。
軌跡判定を行うと、次に、所定時間、ここではレリーズスイッチがオンしてから5秒が経過したか否かを判定する(S65)。1文字を描くのに5秒程度あれば描けることから、ここでは1文字を描くに必要な時間が経過したか否かを判定する。なお、5秒は例示であり、これより長くても短くてもよい。この判定の結果、所定時間が経過していなかった場合にはステップS61に戻る。
一方、ステップS65における判定の結果、所定時間が経過した場合には、次に、1文字入力リセットを行う(S67)。ステップS65における判定の結果、所定時間を経過したことから、文字入力が行わなかったものとみなして、入力をリセットし、元のフローに戻る。
ステップS61における判定の結果、レリーズスイッチがオンでなかった場合には、次に、光軸方向に加速度があるか否かの判定を行う(S71)。前述したように、1文字の入力を終えると、カメラ10を押しだすので、このステップでは、撮影レンズ2aの光軸方向に加速度があるか否かを判定する。
ステップS71における判定の結果、光軸方向に加速度が有る場合には、次に、文字判定が可能であるか否かの判定を行う(S73)。ここでは、加速度検知部7によって検知された軌跡に基づいて、図示しない記憶部に記憶された文字パターン情報の中から一致する軌跡を検索し、一致する文字パターン情報がある場合に、文字判定可と判定する。
ステップS73における判定の結果、文字判定可であった場合には、次に文字に応じた音波を送信する(S75)。ここでは、音波発信制御部1bが、音波発信部11に対して、判定された文字に対応する音波のパターンを送信させる。一方、ステップS73における判定の結果、文字判定が不可であった場合には、警告を行う(S77)。ここでは、カメラ10の動きから文字が読み取れなかったことから、このことを表示部8に警告表示する。ステップS75またはS77における処理を行うと、元のフローに戻る。
ステップS71における判定の結果、光軸方向に加速度がなかった場合には、レリーズスイッチがオフしてから所定時間、ここでは5秒が経過したか否かを判定する(S81)。撮影者がカメラ10で1文字分の軌跡を描くとレリーズ釦6aから手を離してカメラ10を前に押し出す。このステップでは、レリーズ釦6aから手を離してから、カメラ10を前に押し出すことなく、所定時間が経過したか否かの判定を行う。なお、5秒は例示であり、これより長くても短くてもよい。この判定の結果、所定時間が経過していなかった場合にはステップS61に戻る。
ステップS81における判定の結果、所定時間が経過すると、次に、1文字入力のリセットを行う(S83)。ステップS81における判定の結果、所定時間を経過したことから、文字入力を行わなかったものとみなして、入力をリセットし、元のフローに戻る。
なお、ステップS75において、別のカメラ10に文字に応じた音波を送信すると、別のカメラ10では、ステップS23(図4参照)において、受信した音波のパターンに応じてライブビュー画像に表示合成を行う。ここでは、すなわち、音波のパターンから送信してきた文字を解析し、この解析した文字をライブビュー画像に重畳して表示する。文字を送信する場合には、1文字に限らず、複数の文字を送信し、コミュニケーションを図ることから、1文字を表示したら直ちに消去することなく、音波を受信するたびに、文字を追加し、複数文字を表示する。1連の文字を入力した場合のカメラ10の終了動作を、予め決めておけばよい。
このように本発明の第2実施形態においては、加速度検知部7によって検出された加速度に基づいて、カメラ10の動きに基づく文字を判定し、この文字に対応する音波のパターンを音波発信部11に送信させている。このため、文字の組み合わせにより、任意の情報を送信することができ、コミュニケーションを円滑に図ることができる。
また、本発明の第2実施形態においては、レリーズ釦6aを押しながらカメラ10を動かした場合のみ、文字判定を行うようにしている。このため、文字判定するにあたって文字の認識率を向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図8及び図9を用いて説明する。第1および第2実施形態においては、いずれもカメラ10の本体内に音波送信部11および音波受信部12を配置していた。しかし、音波での通信は水中で主として行うことから、カメラ10の本体に常に設けておかなくてもよい。そこで、第3実施形態においては、防水プロテクタ等、カメラ10を収納する装置に、音波送信部および音波受信部を備えるようにしている。
本実施形態におけるカメラ10は、図9(a)に示すように、防水プロテクタ30内に収納可能である。カメラ10の上部には、通信接点を有するアダプタ13が設けられている。また、防水プロテクタ30は水密構造を有しており、カメラ10を内部に収納した状態では、外部より水が内部に侵入することはない。
防水プロテクタ30は透明な筺体であり、その内部にはアダプタ13と嵌合し接点が接続可能な通信部29のコネクタが配置されている。また、防水プロテクタ30の内部であって、右前側には音波受信部12が配置され、また左前側には音波送信部11が配置されている。
また、防水プロテクタ30の内部であって背面側には、図9(b)に示すように、回路基板37が配置されている。回路基板37は、水圧検知部35、通信部29等の各回路ブロックの回路が搭載された基板である。なお、回路基板37は、カメラ10の背面側以外にも、空いている空間であれば、これ以外の場所でもよい。
防水プロテクタ30の外部であって背面側には、表示及びタッチパネル部38が配置されている。この表示及びタッチパネル部38は水密構造である。表示及びタッチパネル38のタッチパネル部は、いわゆる光検出方式であり、タッチパネルから投射した光の反射光を検出することにより、指等がタッチしたか否かの判定が可能である。表示及びタッチパネル部38は防水プロテクタ30の外部に配置することから、大型の表示パネルを配置することが可能となる。
図8に本実施形態の主として電気的構成を示す。カメラ10は、第1及び第2実施形態と略同様であるが、音波発信部11、音波受信部12および水圧検知部5は、防水プロテクタ30内に設けることから、カメラ10内には設けていない。また、防水プロテクタ30内の各ブロックと通信を行うために、通信部19を設けてある。
防水プロテクタ30内には、前述の通信部19と通信を行うための通信部29が設けられている。この通信部29は、前述のアダプタ13を介して通信接点が接続される。また、第1実施形態における水圧検知部5と同様の構成を有する水圧検知部35が設けられており、通信部19、29を介して、検知した水圧を画像処理及び制御部1に送信する。
また、防水プロテクタ30内には、第1実施形態と同様の構成を有する音波発信部31が設けられており、通信部19、29を介して音波発信制御部1bによって制御され、音波を発信する。また、音波受信部32が設けられており、音波を電気信号に変換し、通信部19、29を介して、画像処理及び制御部1に出力する。表示制御部1aは入力した音波信号に基づいて、表示用の画像を生成し、通信部19、29を介して、表示部38に出力する。
本実施形態においては、図4に示したフローチャートまたは図6及び図7に示したフローチャートのいずれも実行することができる。すなわち、音波による通信機能を防水プロテクタ30に配置し、通信部19、29を介してカメラ10と通信しながら、第1及び第2実施形態と同様の動作を実行することができる。
このように第3実施形態においては、防水プロテクタ30に音波発信部31と音波受信部32を配置し、水中にある際には、音波を用いて通信を行うことができる。このため、カメラ10を小型化することが可能である。
なお、本実施形態においては、表示部38は防水プロテクタ30に配置したが、防水プロテクタ30には表示部を設けず、カメラ10の表示部8を水中でも使用するようにしてもよい。また、本実施形態においては、カメラ10内の画像処理及び制御部1が、防水プロテクタ30内の各部材を制御したが、防水プロテクタ30内にも制御部を設け、この制御部によって、水中におけるコミュニケーションを図れるように通信を行うようにしてもよい。
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、音波受信部11によって変換された音波信号に基づいて、「注目」の文字等の表示画像を、被写体像と合成して表示部8に表示するようにしている。このため、水中撮影に集中している撮影者であってもこの表示画像に気付くことから、水中で撮影者が被写体に集中していても、簡単に分かりやすく情報伝達を行うことが可能である。
また、本発明の各実施形態においては、カメラ10に搭載された加速度検知部7によって、カメラ10の動きを検知し、この検知結果に基づいて発信する信号のパターンを変更するようにしている。このため、水中における特別な入力装置を設けなくても、情報を入力することができる。なお、本実施形態においては、音波を使用して送信したが、特別な入力装置を設ける必要がないという観点では、音波に限らず、無線等、他の方法を採用してもよい。
なお、本発明の各実施形態においては、情報伝達システムとして、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、水中における撮影が可能な機器であれば、本発明を適用することができる。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。