JP2016194621A - パターン形成方法及びレジストパターン微細化用組成物 - Google Patents

パターン形成方法及びレジストパターン微細化用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法で、微細かつ良好な形状のレジストパターンを、パターン種にあまり依存することなく形成できるパターン形成方法の提供を目的する。【解決手段】本発明は、有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程と、プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程と、プレパターン及び樹脂層の加熱により樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程と、樹脂層のうちの隣接部以外の部分を有機溶媒により除去する工程とを備えるパターン形成方法であって、樹脂層が酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する第1重合体とR−C(=O)OR’で表されRが炭素数1〜5の炭化水素基を表しR’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒とを含有する第1組成物から形成され、第1重合体の重量平均分子量が13,000以上150,000以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、パターン形成方法及びレジストパターン微細化用組成物に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるパターンの微細化が要求されている。上記要求に対し、酸の作用により現像液への溶解度が変化する重合体と感放射線性酸発生体とを含有するレジスト組成物を用いて形成したレジスト膜を露光し現像することによりパターンを形成する方法以外に、この形成されたパターンを元にして、さらに微細化を図る方法が検討されている。
そのような方法として、形成したパターン(プレパターン)に架橋層形成材料を作用させ、上記パターンを構成する樹脂と架橋層形成材料とを架橋させ、架橋層を形成する工程を含む技術が知られている(特開2008−310314号公報参照)。しかし、この技術は、パターン種に微細化の程度が依存するという不都合がある。加えて、架橋層を形成するものであるため、微細化のための操作が煩雑であるという不都合がある。そのため、より簡便な方法が求められており、そのような方法として、レジストパターンに被覆形成剤を塗布した後、加熱して上記レジストパターン表面に高分子量化を伴わないで、現像液に対して難溶な層を形成し、パターンを厚肉化する技術が検討されている(特開2013−117710号公報参照)。しかし、この技術は、より簡便に微細化を行う方法と考えられるものの、実際には、良好な形状の微細パターンを得ることは難しいと考えられ、市場の要求を満たすまでには至っていない。また、ネガ型のパターンの上に、酸の作用により極性が増大して有機溶剤を含む除去液に対する溶解性が減少する化合物を含有する組成物を用いて膜を形成し、パターンを厚肉化する技術が検討されている(特開2013−257435号公報参照)。しかしながら、この技術には良好な形状の微細パターンを得ることについて改善の余地がある。
特開2008−310314号公報 特開2013−117710号公報 特開2013−257435号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、簡便な方法で、微細かつ良好な形状のレジストパターンを、パターン種にあまり依存することなく形成できるパターン形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程(以下、「プレパターン形成工程」ともいう)と、上記プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程(以下、「樹脂層形成工程」ともいう)と、上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、上記樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに上記有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程(以下、「不溶難溶化工程」ともいう)と、上記樹脂層のうちの不溶化又は難溶化した隣接部以外の部分を上記有機溶媒により除去する工程(以下、「除去工程」ともいう)とを備えるパターン形成方法であって、上記樹脂層が、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第1重合体(以下、「重合体(I)」ともいう)と、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒(以下、「エステル系溶媒(i)」ともいう)とを含有する第1組成物(以下、「組成物(I)」ともいう)から形成され、上記第1重合体の重量平均分子量が13,000以上150,000以下であることを特徴とするパターン形成方法である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程と、上記プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程と、上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、上記樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに上記有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程と、上記樹脂層のうちの不溶化又は難溶化した隣接部以外の部分を上記有機溶媒により除去する工程とを備えるパターン形成方法であって、上記樹脂層が、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第1重合体と、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒とを含有する第1組成物から形成され、下記(i’)及び(ii’)からなる群より選ばれる少なくとも1種を満たすことを特徴とするパターン形成方法である。
(i’)上記第1重合体が塩基性基を有する
(ii’)上記第1組成物が塩基性化合物をさらに含有する
また、本発明には、レジストパターン微細化用組成物であって、重量平均分子量が13,000以上150,000以下であり、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル溶媒とを含有することを特徴とする組成物、レジストパターン微細化用組成物であって、塩基性基を有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒とを含有することを特徴とする組成物、レジストパターン微細化用組成物であって、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と、塩基性化合物とを含有することを特徴とする組成物、並びにレジストパターン微細化用組成物であって、塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しないことを特徴とする組成物も含まれる。
本発明のパターン形成方法及びレジストパターン微細化用組成物によれば、簡便な方法で、微細かつ良好な形状のレジストパターンを、パターン種にあまり依存することなく形成することができる。従って、これらは、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体加工分野等におけるパターン形成に好適に用いることができる。
本発明のパターン形成方法の一実施形態を示す概略図である。
<パターン形成方法>
以下、本発明のパターン形成方法について図1を用いて説明する。当該パターン形成方法は、プレパターン形成工程、樹脂層形成工程、不溶難溶化工程、及び除去工程を備える。当該パターン形成方法は、上記プレパターン形成工程後、上記樹脂層形成工程前に、上記プレパターンの少なくとも側面に、塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しない第2組成物(以下、「組成物(II)」ともいう)を接触させる工程(以下、「接触工程」ともいう)をさらに備えるとよい。当該パターン形成工程は、上記除去工程後、除去工程で用いた有機溶媒とは異なる有機溶媒によりリンスする工程(以下、「リンス工程」ともいう)をさらに備えるとよい。以下、各工程について説明する。
<プレパターン形成工程>
本工程は、有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程である。本工程により、図1の(A)に示すように、基板1上にプレパターン2を形成する。「有機溶媒に不溶又は難溶」とは、プレパターンの形状が実質的に保持される程度に有機溶媒への溶解性が小さいことを意味する。
上記有機溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
上記アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
上記エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジ脂肪族エーテル;
ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル等のジ芳香族エーテル;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の芳香族−脂肪族エーテル等が挙げられる。
上記ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチルアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等の脂肪族ケトン系溶媒;
アセトフェノン、プロピオフェノン、トリルメチルケトン等の脂肪族−芳香族ケトン系溶媒;
ベンゾフェノン、トリルフェニルケトン、ジトリルケトン等の芳香族ケトン系溶媒等が挙げられる。
上記アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
上記エステル系溶媒としては、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のモノエステル系溶媒;
ジ酢酸グリコール、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のジエステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールモノエーテルアセテート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中で、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましい。エーテル系溶媒としては、芳香族−脂肪族エーテル系溶媒がより好ましく、アニソールが特に好ましい。ケトン系溶媒としては、脂肪族ケトン系溶媒がより好ましく、メチルアミルケトンが特に好ましい。エステル系溶媒としては、モノエステル系溶媒がより好ましく、酢酸ブチルが特に好ましい。これらの有機溶媒は2種以上を併用してもよい。
上記プレパターンは、酸を含有することが好ましい。上記プレパターンが酸を含有することで、この酸がプレパターンから後述する樹脂層へ拡散して作用することができるので、当該パターン形成方法を、より効果的に行うことができる。
上記プレパターン形成工程は、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第2重合体(以下、「[a]重合体」ともいう)、感放射線性酸発生体(以下、「[b]酸発生体」ともいう)及び溶媒(以下、「[c]溶媒」ともいう)を含有するレジスト組成物でレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、並びに上記露光されたレジスト膜を上記有機溶媒を含有する現像液で現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)を備えることが好ましい。上記プレパターンは、上記各工程を備える方法により形成することで、上記露光工程における露光により[b]酸発生体から生じる酸を含有することができ、その結果、当該パターン方法をより効果的に行うことができる。以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程では、[a]重合体、[b]酸発生体及び[c]溶媒を含有するレジスト組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト組成物については後述する。
上記レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、ソフトベーク(SB)を行ってもよい。SBの温度としては、通常60℃以上であり、好ましくは80℃以上である。一方通常140℃以下であり、好ましくは120℃以下である。SBの時間としては、通常5秒以上であり、好ましくは10秒以上である。一方通常600秒以下であり、好ましくは300秒以下である。形成されるレジスト膜の膜厚としては10nm以上が好ましく、一方1,000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。
環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。さらに、レジスト膜からの酸発生体等の流出を防止するために、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
[露光工程]
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成したレジスト膜を露光する。上記露光は、フォトマスクを介して(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)放射線を照射することにより行われる。上記放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中で、遠紫外線及び電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)及び電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光及び電子線がさらに好ましい。
露光方法については、所望するレジストパターンの形状等により、適宜選択することができる。例えば所望の領域にアイソラインパターンマスクを介して露光を行うことにより、アイソトレンチパターンを形成できる。また、露光は2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、露光は連続して行うことが好ましい。複数回露光する場合、例えば所望の領域にラインアンドスペースパターンマスクを介して第1の露光を行い、続けて第1の露光を行った露光部に対してラインが交差するように第2の露光を行う。第1の露光部と第2の露光部とは直交することが好ましい。第1の露光部と第2の露光部の直交により、露光部で囲まれた未露光部において真円状のコンタクトホールパターンが形成しやすくなる。
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[b]酸発生体から発生した酸による[a]重合体等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差が生じる。PEBの温度としては、通常50℃以上であり、好ましくは80℃以上である。一方通常180℃以下であり、好ましくは130℃以下である。PEBの時間としては、通常5秒以上であり、好ましくは10秒以上である。一方、通常600秒以下であり、好ましくは300秒以下である。
[現像工程]
本工程では、上記露光されたレジスト膜を上記有機溶媒を含有する現像液で現像する。これにより、所定のレジストパターンが形成される。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
上記現像液が含有する有機溶媒としては、例えば上記プレパターン工程における有機溶媒として例示したものと同様の溶媒等が挙げられる。これらの中で、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エーテル系溶媒としては、芳香族含有エーテル系溶媒が好ましく、アニソールがより好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトン系溶媒が好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。
現像液中の有機溶媒の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量を上記範囲とすることで、露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。なお、有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては例えばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることができる。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
上記現像後のレジスト膜をリンス液により洗浄することが好ましい。このリンス液としても有機溶媒を使用することができ、発生したスカムを効率よく洗浄することができる。リンス液としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒等が好ましい。これらの中で、アルコール系溶媒及びエステル系溶媒が好ましく、炭素数6〜8の1価のアルコール系溶媒がより好ましい。炭素数6〜8の1価のアルコールとしては直鎖状、分岐状又は環状の1価のアルコールが挙げられ、例えば1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのうち、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、4−メチル−2−ペンタノールが好ましく、4−メチル−2−ペンタノールがより好ましい。
上記リンス液の各成分は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。含水率を上記範囲とすることで、良好な現像特性を得ることができる。なお、リンス液には界面活性剤を添加することもできる。
リンス液による洗浄処理の方法としては、例えば一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
本工程において形成されるプレパターンとしては、ラインアンドスペースパターン、ホールパターン等が挙げられる。
<レジスト組成物>
上記レジスト組成物は、[a]重合体、[b]酸発生体及び[c]溶媒を含有する。上記レジスト組成物は、[a]〜[c]成分以外にも、[d][a]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい重合体(以下、「[d]重合体」ともいう)及び[e]酸拡散制御体を含有していてもよく、これら以外のその他の成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[[a]重合体]
[a]重合体は、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する重合体である。上記[a]重合体は、上記性質を有する限り特に限定されないが、例えば酸解離性基を有する重合体(以下、「[a’]重合体」ともいう)等が挙げられる。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の酸性基の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。上記[a]重合体を[a’]重合体とすることで、当該パターン形成方法によれば、より良好な形状のパターンを形成することができる。
(構造単位(I))
上記[a’]重合体は、酸解離基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有することが好ましい。構造単位(I)としては、例えば下記式(1)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式(1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、1価の酸解離性基である。
上記Rで表される1価の酸解離性基としては下記式(i)で表される基が好ましい。
Figure 2016194621
上記式(i)中、Rp1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Rp2及びRp3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
上記Rp1で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらのうち、Rp1が炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基であり、Rp2及びRp3の基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成されるアダマンタン構造又はシクロアルカン構造を表すことが好ましい。
構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−4)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式(1−1)〜(1−4)中、Rは、上記式(1)と同義である。Rp1、Rp2及びRp3は、上記式(i)と同義である。nは、1〜4の整数である。
上記式(1)又は(1−1)〜(1−4)で表される構造単位としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
Figure 2016194621
上記式中、Rは、上記式(1)と同義である。
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が挙げられる。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[a]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、35モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、65モル%がより好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該パターン形成方法によれば、さらに良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
上記[a]重合体は、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位(II)を有することが好ましく、親水性官能基を有する構造単位(III)を有していてもよく、上記構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。
(構造単位(II))
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である。[a]重合体が構造単位(II)を有することで、プレパターンと基板との密着性が向上し、その結果、当該パターン形成方法によれば、より良好な形状のパターンを形成することができる。構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
Figure 2016194621
Figure 2016194621
Figure 2016194621
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(II)の含有割合の下限としては、[a]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、35モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、65モル%がより好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該パターン形成方法によって、さらに良好な形状のパターンを形成することができる。
(構造単位(III))
構造単位(III)は、親水性官能基を有する構造単位(III)である。[a]重合体が構造単位(III)を有することで、プレパターンと基板との密着性が向上し、その結果、当該パターン形成方法によれば、より良好な形状のパターンを形成することができる。
上記親水性官能基としては、例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、オキソ基(=O)、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの中で、ヒドロキシ基が好ましい。
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(III)の含有割合としては、[a]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%以上40モル%以下が好ましく、0モル%以上30モル%以下がより好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該パターン形成方法によれば、さらに良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
[a]重合体は、上記構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。上記その他の構造単位としては、例えば非酸解離性の脂環式炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。上記その他の構造単位の含有割合としては、[a]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%以上30モル%以下が好ましく、0モル%以上20モル%以下がより好ましい。
[a]重合体の含有量としては、上記レジスト組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
([a]重合体の合成方法)
[a]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより合成することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらのうち、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。これらのラジカル開始剤は、2種以上を用いてもよい。
重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を用いてもよい。
上記重合における反応温度としては、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、一方通常150℃以下であり、好ましくは120℃以下である。反応時間としては、通常1時間以上であり、一方通常48時間以下であり、好ましくは24時間以下である。
[a]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、1,000以上が好ましい。一方100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が特に好ましい。[a]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該パターン形成方法によれば、さらに良好な形状のパターンを形成することができる。
[a]重合体のMwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1以上3以下であり、好ましくは1以上2以下である。
重合体のMw及びMnは、GPCにより東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した値である。
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[[b]酸発生体]
[b]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。[a]重合体は、上記[b]酸発生体が発生した酸の作用により、その酸解離性基を解離させる等によって、有機溶媒への溶解度が減少する。その結果、有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成することができる。また、上記プレパターンは、[b]酸発生体から露光により発生した酸を含有することができる。その結果、当該パターン形成方法によれば、より効果的に微細かつ良好な形状のレジストパターンを形成することができる。上記レジスト組成物における[b]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[b]酸発生剤」とも称する)でも、重合体に組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[b]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)ヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
[b]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩がより好ましい。[b]酸発生剤は、1種又は2種以上を用いてもよい。
[b]酸発生体の含有量としては、[b]酸発生体が[b]酸発生剤である場合、[a]重合体100質量部に対して、通常0.1質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以上である。一方通常20質量部以下であり、好ましくは15質量部以下である。[b]酸発生剤の含有量が上記下限未満であると、上記レジスト組成物の感度及び現像性が低下する場合がある。一方、[b]酸発生剤の含有量が上記上限を超えると、放射線に対する透明性が低下し、所望のレジストパターンが得られ難くなる場合がある。
[[c]溶媒]
[c]溶媒としては、[a]重合体、[b]酸発生体及びその他の成分を溶解又は分散することができれば特に限定されず用いることができる。[c]溶媒としては、例えば上記プレパターン形成工程において有機溶媒として例示したものと同様の溶媒等が挙げられる。
[c]溶媒としては、これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、多価アルコールモノエーテルアセテート系溶媒、ラクトン系溶媒が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンがより好ましい。ケトン系溶媒としては、環状ケトン系溶媒が好ましく、シクロヘキサノンがより好ましい。
[[d]重合体]
[d]重合体は、[a]重合体よりフッ素原子含有率が高い重合体である。上記レジスト組成物が[d]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に[d]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表層に偏在化する傾向がある。結果として、液浸露光を行う場合、酸発生剤や酸拡散制御剤等の液浸媒体への溶出を抑制でき好ましい。また、この[d]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。なお、フッ素原子含有率(質量%)は、重合体の構造を13C−NMR、H−NMR、IRスペクトル等を測定することにより求め、算出することができる。
[d]重合体としては、[a]重合体よりフッ素原子含有率が高い限り特に限定されないが、フッ素化アルキル基を有することが好ましい。[d]重合体は、フッ素原子を構造中に含む単量体を少なくとも1種以上用いて重合することにより形成される。フッ素原子を構造中に含む単量体としては、主鎖にフッ素原子を含む単量体、側鎖にフッ素原子を含む単量体、主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体等が挙げられる。
主鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物等が挙げられる。
側鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばノルボルネン等の脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基であるもの、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基である単量体等が挙げられる。
主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリル酸、β−フルオロアクリル酸、α,β−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物の側鎖をフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基で置換した単量体、1種類以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素原子をフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換し、かつ側鎖がフルオロアルキル基又はその誘導基である単量体等が挙げられる。なお、この脂環式オレフィン化合物とは環の一部が二重結合である化合物を示す。
[d]重合体がフッ素原子を有する態様としては、下記式(F1)で表される構造単位(IV)を含むことが好ましい。
Figure 2016194621
上記式(F1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基である。kは、1〜3の整数である。但し、Rが複数の場合、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Aは、単結合又は(k+1)価の連結基である。
上記Aで表される(k+1)価の連結基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレタン基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、トリ(カルボニルオキシ)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、テトラ(カルボニルオキシ)エタンジイル基等が挙げられる。
構造単位(IV)を与える単量体としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル及び2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル及び2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
[d]重合体は、構造単位(IV)を2種以上有してもよい。構造単位(IV)の含有割合としては、[d]重合体における全構造単位に対して、通常5モル%以上であり、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。構造単位(IV)の含有割合が5モル%未満であると、70°以上の後退接触角を達成できなかったり、レジスト膜からの酸発生剤等の溶出を抑制できないおそれがある。
[d]重合体には、構造単位(IV)以外にも、現像液に対する溶解速度をコントロールするために酸解離性基を含む上記[a]重合体における構造単位(I)、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む上記[a]重合体における構造単位(II)、脂環式炭化水素基を含む構造単位等の他の構造単位を1種以上含有することができる。
上記脂環式炭化水素基を含む構造単位としては、例えば下記式(F2)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式(F2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。
上記Gで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等のシクロアルカン類に由来する脂環族環からなる炭化水素基が挙げられる。
上記他の構造単位の含有割合としては、[d]重合体を構成する全構造単位に対して、通常90モル%以下であり、80モル%以下が好ましい。
[d]重合体の含有量としては、[a]重合体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。一方、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。[d]重合体の含有量を上記範囲とすることで、形成されるレジスト膜表面の撥水性をより適度に高めることができる。
([d]重合体の合成方法)
[d]重合体の合成方法としては、例えば[a]重合体の合成方法と同様の方法に従って合成することができる。[d]重合体のMwとしては、1,000以上が好ましく、一方50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。[d]重合体のMwが1,000未満の場合、十分な前進接触角を得ることができない場合がある。
[[e]酸拡散制御体]
[e]酸拡散制御体は、露光により[b]酸発生体から発生する酸等のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、[e]酸拡散制御体は、これを含有するレジスト組成物の貯蔵安定性を向上させる効果も奏する。[e]酸拡散制御体のレジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[e]酸拡散制御剤」とも称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[e]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばN−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ペンチルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キナゾリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、2−キノキサリノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
[e]酸拡散制御剤としては、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(K1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(K2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式(K1)及び(K2)中、R〜R10は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子である。Z及びEは、OH、R−COO、R−SO 、R−N−SO−R又は下記式(K3)で表されるアニオンである。但し、Rは、アルキル基、アリール基又はアルカリール基である。Rは、フッ素原子を有していてもよいアルキル基である。
Figure 2016194621
上記式(K3)中、R11は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
[その他の成分]
上記レジスト組成物は、上記[a]〜[e]成分以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば界面活性剤、増感剤等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、一般的なレジスト組成物に用いられるものと同様のものを用いることができる。
(増感剤)
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を表すものであり、レジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、2種以上を併用してもよい。
[レジスト組成物の調製方法]
レジスト組成物は、例えば[a]重合体、[b]酸発生体、[c]溶媒及び好適成分を所定の割合で混合することにより調製できる。レジスト組成物の全固形分濃度としては、通常、1質量%以上50質量%以下であり、1質量%以上25質量%以下が好ましい。
上記プレパターン形成工程は、上述の方法以外にも、例えば上記レジスト組成物でレジスト膜を形成する工程と、上記レジスト膜を露光する工程とを行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ現像液で現像する工程と、現像したレジスト膜を全面露光する工程とを行うことによっても可能である。
<接触工程>
本工程は、上記プレパターンの少なくとも側面に、塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しない組成物(II)を接触させる工程である。当該パターン形成方法によれば、この接触工程を有することで、形成するパターンの形状をより良好なものにすることができる。これは例えば、上記プレパターンの少なくとも側面に組成物(II)を接触させることで、上記プレパターンに塩基性化合物が付着し、続く樹脂層形成工程及び不溶難溶化工程により形成される隣接部において、これを構成するカルボキシ基等の酸性基が、上記塩基性化合物によって、カルボキシレート基等のアニオン性基になる領域が生じ、上記隣接部が除去工程で用いる有機溶媒に対して、難溶の程度が高まるため等と考えられる。
上記組成物(II)が含有する塩基性化合物としては、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば後述する組成物(I)が含有する塩基性化合物として例示する化合物と同じもの等が挙げられる。
上記組成物(II)が含有する有機溶媒としては、例えば上記プレパターン形成工程において例示した有機溶媒と同様のもの等が挙げられる。
上記組成物(II)が含有しない酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体としては、例えば上記プレパターン形成工程における[a]重合体として例示したものと同様の重合体等が挙げられる。
上記組成物(II)は、上記塩基性化合物及び有機溶媒以外にもその他の成分を含有していてもよく、例えば界面活性剤等を含有していてもよい。
上記組成物(II)における塩基性化合物の含有量の下限としては、0.01質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましく、0.2質量%が特に好ましい。上記含有量の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、0.5質量%が特に好ましい。
上記組成物(II)を上記プレパターンの少なくとも側面に接触させる方法としては、例えばスピンコート等が挙げられる。
<樹脂層形成工程>
本工程は、上記プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程である。この樹脂層は、R−C(=O)OR’(式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基である。R’は炭素数1〜10の炭化水素基である。)で表されるエステル系溶媒と、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する重合体(I)とを含有する組成物(I)から形成される。本工程により、図1の(B)に示すように、プレパターン2の少なくとも側面に樹脂層3が形成される。この組成物(I)としては、組成物(I−A)及び組成物(I−B)の2つの態様が挙げられる。
[組成物(I−A)]
上記組成物(I−A)は、重合体(I)及びエステル系溶媒(i)を含有し、この重合体(I)のMwが13,000以上150,000以下である組成物である(この重合体(I)を以下、「重合体(I−A)」ともいう)。当該パターン形成方法によれば、組成物(I)として、Mwが上記特定範囲の重合体(I−A)を含有する組成物(I−A)を用いることで、微細かつ良好な形状のパターンを形成することができる。これは例えば、不溶難溶化工程において形成される隣接部が、除去工程で用いる有機溶媒に対して、より難溶となるため等と考えられる。また、組成物(I−A)は、これらの成分以外にも、例えば酸増殖体等の他の成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
(重合体(I−A))
上記重合体(I−A)としては、酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する限り特に限定されないが、例えば上記プレパターン形成工程において例示した[a]重合体と同様のもの等が挙げられる。上記重合体(I−A)としては、酸解離性基を有する重合体(以下、「重合体(I’−A)」ともいう)等が挙げられる。重合体(I’−A)としては、上記プレパターン形成工程において例示した[a’]重合体等が挙げられる。
上記重合体(I−A)は、上記酸解離性基の他、種々の基を有していてもよい。重合体(I−A)は、当該パターン形成方法において形成される樹脂層の溶解及び不溶化の調整の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシ基、オキソ基、ラクトン構造を有する基、環状カーボネート構造を有する基及びスルトン構造を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに有することが好ましい。また、重合体(I−A)は、上記基を含む構造単位を有することがさらに好ましい。
上記重合体(I−A)のMwは、13,000以上150,000以下である。重合体(I−A)のMwの下限としては、15,000が好ましく、17,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、23,000が特に好ましい。重合体(I−A)のMwの上限としては、100,000が好ましく、80,000がより好ましく、50,000がさらに好ましく、30,000が特に好ましい。上記Mwが13,000未満であると、当該パターン形成方法により形成されるパターンの形状が悪化する。また、上記Mwが150,000を超えると、上記組成物(I−A)の調製が困難となる。
(エステル系溶媒(i))
上記組成物(I)は、R−C(=O)OR’(式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基である。R’は炭素数1〜10の炭化水素基である。)で表されるエステル系溶媒(i)を含有する。エステル系溶媒(i)が、ヒドロキシル基、メトキシ基等の置換基を有さず、さらに環状エステル(ラクトン)ではないことによって、プレパターンの溶解を抑制することができ、微細かつ良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
Rで表される非置換の炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;
ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基などが挙げられる。
Rとしては、プレパターンの溶解がさらに抑制され、さらに微細かつ良好な形状のレジストパターンが得られることから、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R’で表される非置換の炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;
ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;
フェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
R’としては、プレパターンの溶解がさらに抑制され、さらに微細かつ良好な形状のレジストパターンが得られることから、アルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数3〜5のアルキル基がさらに好ましい。
エステル系溶媒(i)として特に好ましくは、酢酸エステルであり、酢酸ブチルがさらに好ましい。
(他の成分)
組成物(I−A)が含有してもよい他の成分としては、例えば酸増殖体、界面活性剤等が挙げられる。
(酸増殖体)
酸増殖体は、酸の不存在下では安定であるが、酸の存在下では、この酸の触媒反応によって分解してプロトン酸を生成する成分であり、生成したプロトン酸の量の増大に伴い分解反応が加速されるので、プロトン酸を増殖生成させることができる。上記組成物(I−A)に酸増殖体を含有させることで、後述する不溶難溶化工程において、例えばプレパターンから樹脂層に拡散される酸等に対し、この酸よりも多量の酸を生成させることができる。その結果、より効果的に樹脂層のプレパターンとの隣接部を不溶化又は難溶化させることができる。酸増殖体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「酸増殖剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
発生した酸の触媒作用による酸増殖体の分解を誘起させるためには、発生する酸の強度としては、酸解離定数(pKa)が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。pKaが3を超える弱い酸が発生した場合、酸増殖体の分解が進行しにくい傾向にある。発生する酸としては、有機スルホン酸が好ましく、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、2−チオフェンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及び2−ナフタレンスルホン酸がより好ましい。
上記酸増殖体としては、炭素環骨格を形成する炭素原子に直接又は2価の有機基を介して、下記式(E)で表されるスルホナート基が結合している化合物が好ましい。
Figure 2016194621
上記式(E)中、Rは、1価の有機基である。
上記Rで表される1価の有機基としては、例えば鎖状の有機基、脂環式構造を有する有機基、芳香環構造を有する有機基、複素環構造を有する有機基等が挙げられる。
上記鎖状の有機基としては、炭素数が好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の非置換のアルキル基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等の非置換のアシル基;ビニル基、アリル基等の非置換のアルケニル基;ビニルカルボニル基、アリルカルボニル基等の非置換のアルケニルカルボニル基;これらの基の置換体等が挙げられる。
上記脂環式構造を有する有機基としては、例えばシクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ炭化水素基、トリシクロ炭化水素基等の脂環式炭化水素基;これらの置換体等が挙げられる。
上記芳香環構造を有する有機基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル等のアラルキル基;これらの置換体等が挙げられる。
上記複素環構造を有する有機基としては、例えばフラン、ピロール、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール等のヘテロ原子を1つ含む5員環化合物及びその縮合環化合物;オキサゾール、ピラゾール等のヘテロ原子を2つ含む5員環化合物及びその縮合環化合物;ピラン、ピロン、クマリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン等のヘテロ原子を1つ含む6員環化合物及びその縮合環化合物;ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタラジン等のヘテロ原子を2つ含む6員環化合物及びその縮合環化合物等の複素環化合物から誘導された複素環基、これらの置換体等が挙げられる。
上記基の置換体を与える置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、オキシ炭化水素基、アミノ基、置換アミノ基等が挙げられる。
上記式(E)で表されるスルホナート基を有する化合物としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式中、Rは、上記式(E)と同義である。Rは、水素原子、鎖状の1価の有機基、脂環式構造を有する1価の有機基又は芳香環構造を有する1価の有機基である。Rは、鎖状の1価の有機基、脂環式構造を有する1価の有機基又は芳香環構造を有する1価の有機基である。Lは、単結合又は2価の有機基である。
上記R及びRで表される鎖状の有機基、脂環式構造を有する有機基及び芳香環構造を有する有機基としては、上記式(E)におけるRで表されるそれぞれの基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
としては、これらの中で、鎖状の有機基、脂環式構造を有する有機基及び芳香環構造を有する有機基が好ましい。
上記Rで表される鎖状の1価の有機基としては、フッ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子を有していてもよいシクロアルキル基が好ましい。これらの基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
上記Lで表される2価の有機基としては、下記式で表される基が好ましい。
Figure 2016194621
上記酸増殖剤としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016194621
Figure 2016194621
上記組成物(I−A)における酸増殖体の含有量としては、当該パターン形成方法により、より効果的にパターンの微細化を行う観点から、上記酸増殖体が酸増殖剤である場合、重合体(I)100質量部に対して、0質量部以上が好ましく、1質量部以上が好ましい。一方、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
組成物(I−A)としては、下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1種を満たすことが好ましい。
(i)上記重合体(I)が塩基性基を有する
(ii)上記組成物(I)が塩基性化合物をさらに有する
上記(i)及び(ii)については、後述する組成物(I−B)についての(i’)及び(ii’)と同じである。組成物(I−A)が上記(i)及び(ii)により塩基性を有することで、当該パターン形成方法によれば、さらに微細かつ良好な形状のパターンを形成することができる。
[組成物(I−B)]
組成物(I−B)は、重合体(I)及びエステル系溶媒(i)を含有し、下記(i’)及び(ii’)からなる群より選ばれる少なくとも1種を満たす組成物である。
(i’)上記重合体(I)が塩基性基を有する(この場合の重合体(I)を以下、「重合体(I−B)」ともいう)
(ii’)上記組成物(I)が塩基性化合物をさらに含有する
このように、組成物(I−B)は、重合体(I)及びエステル系溶媒(i)を含有し、かつ塩基性を有する組成物である。当該パターン形成方法によれば、組成物(I)として、塩基性を有する組成物(I−B)を用いることで、微細かつ良好な形状のパターンを形成することができる。これは例えば、不溶難溶化工程において形成される隣接部において、これを構成する重合体のカルボキシ基等の酸性基が、組成物(I−B)が有する塩基性によって、カルボキシレート基等のアニオン性基になるため、上記隣接部が除去工程で用いる有機溶媒に対して、より難溶となるため等と考えられる。
エステル系溶媒(i)については上述の通りである。上記重合体(I)のMwとしては、特に限定されないが、13,000以上150,000以下が好ましい。上記Mwを上記範囲とすることで、当該パターン形成方法によれば、さらに微細かつ良好な形状のパターンを形成することができる。
(重合体(I−B))
上記(i’)における重合体(I−B)は、塩基性基を有し、かつ酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する重合体である。この重合体(I−B)としては、酸解離性基及び塩基性基を有する重合体(以下、「重合体(I’−B)」ともいう)が好ましい。
上記酸解離性基としては、例えば上記レジスト組成物における[a’]重合体が有するものとして例示した基等が挙げられる。
上記塩基性基としては、塩基性を示す基であれば特に限定されないが、例えば下記式(a)で表される基(以下、「基(a)」ともいう)、下記式(b)で表される基(以下、「基(b)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016194621
上記式(b)中、Lは、単結合、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。LとRとが互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造を形成してもよい。
上記Lで表される炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロペンジイル基、ブチンジイル基等のアルキンジイル基などが挙げられる。
上記Lで表される炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等のシクロアルカンジイル基;
シクロプロペンジイル基、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、ノルボルネンジイル基等のシクロアルケンジイル基などが挙げられる。
上記R及びRで表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基及び炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記Lで表される2価の基として例示したものに1個の水素原子を加えてなる基等が挙げられる。上記R及びRとしては、水素原子、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
上記LとRとが互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造としては、例えばアザシクロプロパン構造、アザシクロブタン構造、アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、アザシクロオクタン構造、アザノルボルナン構造等が挙げられる。
上記基(b)としては、例えばアミノ基、アミノメチル基、メチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノ基、ジエチルアミノプロピル基、ピロリジン−1−イル基、ピロリジン−1−イルメチル基、ピペリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イルエチル基等が挙げられる。
上記基(a)及び基(b)の重合体(I−B)における結合位置は特に限定されず、主鎖、側鎖、末端及びこれらのうちの2種以上のいずれに結合してもよい。上記基(a)は、重合体(I−B)の末端に結合していることが好ましい。上記基(a)が末端に結合することで、重合体(I−B)への基(a)の導入量を低減させつつ、当該パターン形成方法による効果を発揮させることができる。また、基(a)は、この基(a)を有するラジカル重合開始剤を用いて重合を行うことにより、重合体(I−B)の末端に簡便に導入することができる。
(塩基性化合物)
上記塩基性化合物としては、塩基性を示す化合物であれば特に限定されないが、例えば下記式(X)で表される化合物(以下、「化合物(X)」ともいう)及び下記式(Y)で表される化合物(以下、「化合物(Y)」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
Figure 2016194621
上記式(X)中、Xは、1価のオニウムカチオンである。Yは、1価のカルボキシレートアニオン又は1価のスルホンアミドアニオンである。式(Y)中、Rは、非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基又は非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基若しくは非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造を表す。
上記Xで表される1価のオニウムカチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン等が挙げられる。
上記Yで表される1価のカルボキシレートアニオンとしては、例えばサリチレートアニオン等が挙げられる。
上記Yで表される1価のスルホンアミドアニオンとしては、例えばトリフルオロメチルスルホンアミドイオン等が挙げられる。
上記R、R及びRで表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基及び炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記式(i)のRp1、Rp2及びRp3として例示したそれぞれの基と同様の基等が挙げられる。
上記R及びRの基が互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造としては、例えば
アザシクロプロパン構造、アザシクロブタン構造、アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、アザシクロオクタン構造、アザシクロデカン構造、アザノルボルナン構造、アザアダマンタン構造等のアザシクロアルカン構造;
アザオキサシクロペンタン構造、アザオキサシクロヘキサン構造、アザオキサシクロオクタン構造、アザオキサノルボルナン構造等のアザオキサシクロアルカン構造;
ジアザシクロペンタン構造、ジアザシクロヘキサン構造、ジアザシクロオクタン構造、ジアザシクロデカン構造、ジアザノルボルナン構造等のジアザシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記化合物(X)としては、例えばトリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウムn−ブチルトリフルオロメチルスルホンアミド等が挙げられる。
上記化合物(Y)としては、例えばトリn−ペンチルアミン、トリn−オクチルアミン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等が挙げられる。
上記塩基性化合物の含有量の下限としては、重合体(I)100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、3質量部が特に好ましい。上記塩基性化合物の含有量の上限としては、重合体(I)100質量部に対して、30質量部が好ましく、20質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましく、12質量部が特に好ましい。上記塩基性化合物の含有量を上記範囲とすることで、得られるパターンの形状をさらに良好なものとすることができる。
上記プレパターンを構成する重合体が酸解離性基を有する場合、上記塩基性基及び上記塩基性化合物としては、その塩基性度が、上記酸解離性基の解離により生じる酸性基の共役塩基の塩基性度より大きいことが好ましい。上記塩基性基及び塩基性化合物として上記性質のものを用いることで、当該パターン形成方法によれば、より良好な形状のパターンを形成することができる。
<不溶難溶化工程>
本工程は、上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、上記樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに上記有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程である。本工程により、図1の(C)に示すように、樹脂層3のうちのプレパターンとの隣接部に、上記有機溶媒に不溶又は難溶の隣接部4が形成される。「高分子量化を伴わずに」とは、プレパターンを構成する重合体と樹脂層を構成する重合体との間の新たな共有結合の生成がないこと等により、これらの重合体それぞれの分子量が実質的に増大しないことを意味する。本工程において、上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、例えばプレパターンが含有している酸等が樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部に拡散し、この酸の作用により、隣接部に存在する重合体が上記有機溶媒に不溶化又は難溶化するもの等と考えられる。
上記加熱の方法としては、例えばホットプレート等を用いる加熱等が挙げられる。上記加熱の温度としては、50℃以上250℃以下が好ましい。上記加熱の時間としては、10秒以上10分以下が好ましい。上記加熱の雰囲気としては、空気中でも窒素、アルゴン等の不活性ガス中のいずれでも構わない。
<除去工程>
本工程は、上記樹脂層のうちの上記隣接部以外の部分を上記有機溶媒により除去する工程である。これにより、図1の(D)で示すように、微細化されたパターンを得ることができる。
上記除去のために用いられる有機溶媒としては、上記プレパターン及び上記隣接部を溶解させず、かつ上記組成物(I)を溶解するものであれば特に限定されず、例えば上記プレパターン形成工程において例示した有機溶媒のうちの1種又は2種以上を用いることができ、上記組成物(I)が含有する有機溶媒と同じものを用いることもできる。
<リンス工程>
本工程は除去工程で用いた有機溶媒とは異なる有機溶媒によりリンスする工程である。本工程で用いる有機溶媒としては、上記除去工程で用いた有機溶媒と異なるものであれば特に限定されず、例えば上記プレパターンにおいて例示した有機溶媒のうちの1種又は2種以上を用いることができる。これらの有機溶媒の中で、得られるパターンの形状をより良好にする観点から、上記除去工程で用いた有機溶媒よりも、極性が低い有機溶媒が好ましく用いられる。
当該パターン形成方法によれば、以上の工程を行うことで、微細かつ良好な形状のレジストパターンを簡便な方法で形成することができる。
<レジストパターン微細化用組成物>
当該レジストパターン微細化用組成物としては、以下の(A)〜(D)の態様が挙げられる。
組成物(A):R−C(=O)OR’(式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基である。R’は炭素数1〜10の炭化水素基である。)で表されるエステル系溶媒及びMwが13,000以上150,000以下であり、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有する。
組成物(B):R−C(=O)OR’(式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基である。R’は炭素数1〜10の炭化水素基である。)で表されるエステル系溶媒及び塩基性基を有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有する。
組成物(C):R−C(=O)OR’(式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基である。R’は炭素数1〜10の炭化水素基である。)で表されるエステル系溶媒、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体及び塩基性化合物を含有する。
組成物(D):塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しない。
上記組成物(B)及び組成物(C)が含有する重合体のMwとしては、13,000以上150,000以下が好ましい。
当該レジストパターン微細化用組成物について、組成物(A)は当該パターン形成方法における組成物(I−A)として、組成物(B)は当該パターン形成方法における上記(i’)を満たす組成物(I−B)として、組成物(C)は上記(ii’)を満たす組成物(I−B)として、組成物(D)は当該パターン形成方法における組成物(II)として上記説明をしている。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重合体の合成>
レジスト組成物の調製に用いる[a]重合体及び[d]重合体、並びにレジストパターン微細化用組成物の調製に用いる重合体(I)の合成に用いた単量体化合物及び重合開始剤を以下に示す。
Figure 2016194621
Figure 2016194621
[[a]重合体の合成]
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
上記化合物(M−1)40モル%、化合物(M−2)10モル%、化合物(M−3)40モル%、化合物(M−4)10モル%及び重合開始剤としての化合物(Z−1)5モル%を60gのメチルエチルケトンに溶解した単量体溶液を調製した。なお、各単量体化合物のモル%は、全単量体化合物に対する比率であり、重合開始剤のモル%は、全単量体化合物及び重合開始剤の合計モル数に対する比率である。また、単量体化合物の合計質量は30gになるように調整した。次に、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三口フラスコにメチルエチルケトン30gを仕込み、30分間窒素バージを行った後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら80℃になるように加熱した。次いで、上記調製した単量体溶液を三口フラスコ内に滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。その後、重合反応液を30℃以下になるまで冷却してから、この重合反応液を600gのメタノール中へ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を2回、120gずつのメタノールでスラリー状にして洗浄した後ろ別し、50℃で17時間乾燥して、白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収量23.3g、収率77.6%)。重合体(A−1)のMwは6,200、Mw/Mnは1.62であった。また13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)における(M−1)由来の構造単位:(M−2)由来の構造単位:(M−3)由来の構造単位:(M−4)由来の構造単位の含有割合は、それぞれ40.2:9.0:41.1:9.7(モル%)であった。
[[d]重合体の合成]
[合成例2](重合体(D−1)の合成)
上記化合物(M−5)70モル%、化合物(M−6)30モル%及び重合開始剤としての化合物(Z−2)8モル%を100gのメチルエチルケトンに溶解した単量体溶液を調製した。なお、各単量体化合物のモル%は、全単量体化合物に対する比率であり、重合開始剤のモル%は、全単量体化合物及び重合開始剤の合計モル数に対する比率である。また、単量体化合物の合計質量は50gになるように調整した。次に、100gのメチルエチルケトンを入れた500mL三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール/メチルエチルケトン/ヘキサン=2/1/8(質量比)の混合溶液825gを用いて洗浄した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで溶媒置換し、重合体(D−1)を含む溶液を得た(重合体の収量38.0g、収率76.0%)。重合体(D−1)のMwは7,000、Mw/Mnは1.40であった。また13C−NMR分析の結果、重合体(D−1)における(M−5)由来の構造単位:(M−6)由来の構造単位の含有割合は、70.2:29.8(モル%)であった。
Figure 2016194621
[重合体(I)の合成]
[合成例3〜10](重合体(I−1)〜(I−8)の合成)
下記表2に示す種類及び使用量の単量体化合物並びに重合開始剤を用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(I−1)〜(I−8)をそれぞれ合成した。各重合体のMw、Mw/Mn及び収率、並びに各重合体における各構造単位の含有割合について表2に合わせて示す。なお、表2の「−」は、該当する単量体化合物を用いなかったことを示す。
Figure 2016194621
<レジスト組成物の調製>
レジスト組成物の調製に用いた[a]重合体及び[d]重合体以外の[b]酸発生剤、[c]溶媒及び[e]酸拡散制御剤について以下に示す。
[[b]酸発生剤]
B−1:トリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−((3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)メトキシ)−2−オキソエタンスルホネート(下記式(B−1)で表される化合物)
Figure 2016194621
[[c]溶媒]
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:シクロヘキサノン
C−3:γ−ブチロラクトン
[[e]酸拡散制御剤]
E−1:tert−ペンチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(下記式(E−1)で表される化合物)
Figure 2016194621
[調製例1](レジスト組成物(J−1)の調製)
[a]重合体としての重合体(A−1)100質量部、[b]酸発生剤としての酸発生剤(B−1)7.8質量部、[c]溶媒としての溶媒(C−1)2,510質量部、溶媒(C−2)1,075質量部及び溶媒(C−3)30質量部、[d]重合体としての重合体(D−1)3質量部並びに[e]酸拡散制御剤としての酸拡散制御剤(E−1)0.8質量部を混合し、レジスト組成物(J−1)を調製した。
Figure 2016194621
<レジストパターン微細化用組成物の調製>
レジストパターン微細化用組成物の調製に用いた重合体(I)以外の[q]塩基性化合物及び[p]溶媒について以下に示す。
[[q]塩基性化合物]
Q−1:トリフェニルスルホニウムn−ブチルトリフルオロメチルスルホンアミド(下記式(Q−1)で表される化合物)
Q−2:トリフェニルスルホニウムサリチレート(下記式(Q−2)で表される化合物)
Q−3:トリオクチルアミン(下記式(Q−3)で表される化合物)
Q−4:4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(下記式(Q−4)で表される化合物)
Figure 2016194621
[[p]溶媒]
P−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
P−2:シクロヘキサノン
P−3:酢酸ブチル(nBA)
P−4:2−ヘプタノン(MAK)
[調製例2](レジストパターン微細化用組成物(S−1)の調製)
重合体(I)としての(I−1)100質量部、[q]塩基性化合物としての(Q−1)8質量部並びに[p]溶媒としての(P−3)2,724質量部及び(P−1)1,168質量部を混合し、レジストパターン微細化用組成物(S−1)を調製した。
[調製例3〜11](レジストパターン微細化用組成物(S−2)〜(S−10)の調製)
下記表4に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、調製例1と同様にして、パターン微細化用組成物(S−2)〜(S−10)をそれぞれ調製した。
Figure 2016194621
<パターンの形成>
[実施例1]
(プレパターンの形成)
12インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成剤(日産化学工業社の「ARC66」)を、塗布/現像装置(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK Lithius Pro i」)を用いてスピンコートした後、205℃で60秒間ベークして、膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜を形成した基板上に、塗布/現像装置(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を用いて、上記調製したレジスト組成物(J−1)をスピンコートし、80℃で60秒間ソフトベーク(SB)した後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚70nmのレジスト膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置(ニコン精機カンパニー社の「NSR−S610C」)を用い、開口数(NA)=1.3、クロスポールの光学条件にて、ホールパターンマスクを介して、50nmホール/125nmピッチのパターン及び50nmホール/1,000nmピッチのパターンが形成されるように縮小投影露光を行った。露光後、上記「CLEAN TRACK Lithius Pro i」のホットプレート上で、95℃で60秒間ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行った後、23℃で30秒間冷却させた。
次いで、現像液として酢酸n−ブチルを用い、25秒間パドル現像を行い、続いて、リンス液として4−メチル−2−ペンタノールを用い、7秒間リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、50nmホール/125nmピッチ及び50nmホール/1,000nmピッチのプレパターンを得た。
(パターン狭小化)
プレパターン上に塗布/現像装置(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を用いて、パターン微細化用組成物(S−1)をスピンコートし、120℃で60秒間加熱した後、23℃で30秒間冷却することによりプレパターン表面に樹脂層を形成した。
次いで、有機溶媒としての酢酸n−ブチルを用い、25秒間パドル法にて隣接部以外の部分の除去処理を行い、続いて、リンス液として4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)を用い、7秒間リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライを行った。
[実施例2〜8及び比較例1]
用いるレジストパターン微細化用組成物、加熱の温度及び時間を下記表5に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成した。表5の「−」は、接触工程を行わなかったことを示す。
[実施例9]
(接触工程)
実施例1と同様にして得られたプレパターン上に、[q]塩基性化合物としての(Q−4)の0.3質量%MIBC溶液を、上記「CLEAN TRACK ACT12」を用いてスピンコートした。
(パターン狭小化)
レジストパターン微細化用組成物として(S−9)を用いた以外は実施例1と同様の操作を、上記接触工程を経たプレパターンに対して施し、パターンを形成した。
[比較例2]
用いるレジストパターン微細化用組成物をS−11(特開2013−257435号公報に記載の組成物(II−6))とし、加熱の温度及び時間を下記表5に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてパターンを形成した。
[比較例3]
(パターン狭小化)
実施例1と同様にして得たプレパターン上に、ポリ−p−ヒドロキシスチレン樹脂(日本曹達社の「VP8000」5.5質量部、ヘキサメトキシメチルメラミン樹脂(共栄社化学社の「サイメル300」)3質量部及び1−ブタノール190質量部を混合して調製した組成物(S−11、特許4558064号の実施例10に記載の架橋層形成材料(B5))を、上記「CLEAN TRACK ACT12」を用いてスピンコートし、155℃で90秒間加熱した後、23℃で30秒間冷却させた。次に上記「CLEAN TRACK Lithius Pro i」にて、2.38質量%TMAH水溶液により60秒間パドル処理を行い、続いてリンス液として超純水を用い、リンス処理を行った後、さらに90℃で90秒間ベークを行うことにより、パターンを形成した。
<評価>
上記得られたパターンについて、ホールパターンの寸法縮小量及びパターン種依存性を下記方法により評価した。得られた評価結果を下記表5に合わせて示す。
[寸法縮小量]
上記形成した125nmピッチ及び1,000nmピッチのホールパターンを、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG4000」)を用いて観察し、プレパターンのホールサイズとパターン狭小化工程後のパターンのホールサイズとを測定し、その差を算出し、これを寸法縮小量(nm)とした。
[パターン種依存性]
上記寸法縮小量の評価において、125nmピッチのホールにおける寸法縮小量と、1,000nmピッチのホールにおける寸法縮小量との差を、パターン種依存性(nm)とした。パターン種依存性は、5nm未満である場合は「良好」と、5nm以上である場合は「不良」と評価した。
[エッチング耐性]
ドライエッチング装置(東京エレクトロン社の「Telius SCCM」)を用いて各レジストパターン微細化用組成物から形成された膜のエッチングレートを評価し、プレパターンとなるレジスト組成物から形成された膜より、エッチングレートが小さいものを「A」、同等のものを「B」、大きいものを「C」と評価した。
Figure 2016194621
表5の結果から明らかなように、実施例のパターン形成方法によれば、比較例3に示す従来のパターン形成方法に対して、寸法縮小量のパターン種依存性が小さく、様々なパターンが混在するレイアウトのパターン形成にも好適に用いることができる。また、比較例1及び比較例2のようにレジストパターン微細化用組成物が、R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒(i)を含まない場合、寸法縮小量が十分に得られない、またはパターン種依存性が劣化する。本実施例によれば、エステル系溶媒(i)が、ヒドロキシ基、メトキシ基等の置換基を有さず、さらに環状エステル(ラクトン)ではないことによって、プレパターンの溶解を抑制することができ、微細かつ良好な形状のレジストパターンを形成することができる。また、レジストパターン微細化用組成物の重合体が芳香族炭化水素基を含む構造単位を有するものは、パターンのエッチング耐性をより高めることができる。
本発明のパターン形成方法及びレジストパターン微細化用組成物によれば、簡便な方法で、微細かつ良好な形状のレジストパターンを、パターン種にあまり依存することなく形成することができる。従って、これらは、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体加工分野等におけるパターン形成に好適に用いることができる。
1 基板
2 プレパターン
3 樹脂層
4 隣接部

Claims (21)

  1. 有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程と、
    上記プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程と、
    上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、上記樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに上記有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程と、
    上記樹脂層のうちの不溶化又は難溶化した隣接部以外の部分を上記有機溶媒により除去する工程と
    を備えるパターン形成方法であって、
    上記樹脂層が、
    酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第1重合体と、
    R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と
    を含有する第1組成物から形成され、
    上記第1重合体の重量平均分子量が13,000以上150,000以下であることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1種を満たす請求項1に記載のパターン形成方法。
    (i)上記第1重合体が塩基性基を有する
    (ii)上記第1組成物が塩基性化合物をさらに含有する
  3. 有機溶媒に不溶又は難溶のプレパターンを形成する工程と、
    上記プレパターンの少なくとも側面に樹脂層を形成する工程と、
    上記プレパターン及び樹脂層の加熱により、上記樹脂層のうちのプレパターンとの隣接部を高分子量化を伴わずに上記有機溶媒に不溶化又は難溶化させる工程と、
    上記樹脂層のうちの不溶化又は難溶化した隣接部以外の部分を上記有機溶媒により除去する工程と
    を備えるパターン形成方法であって、
    上記樹脂層が、
    酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第1重合体と、
    R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と
    を含有する第1組成物から形成され、
    下記(i’)及び(ii’)からなる群より選ばれる少なくとも1種を満たすことを特徴とするパターン形成方法。
    (i’)上記第1重合体が塩基性基を有する
    (ii’)上記第1組成物が塩基性化合物をさらに含有する
  4. 上記第1重合体の重量平均分子量が13,000以上150,000以下である請求項3に記載のパターン形成方法。
  5. 上記プレパターンが酸を含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 上記プレパターン形成工程が、
    酸の作用により上記有機溶媒への溶解度が減少する第2重合体、感放射線性酸発生体及び溶媒を含有するレジスト組成物でレジスト膜を形成する工程、
    上記レジスト膜を露光する工程、並びに
    上記露光されたレジスト膜を上記有機溶媒を含有する現像液で現像する工程
    を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  7. 上記第1重合体が、酸解離性基を有する重合体である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  8. 上記塩基性基が、下記式(a)で表される基及び下記式(b)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
    Figure 2016194621
    (式(b)中、Lは、単結合、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。LとRとが互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造を形成してもよい。)
  9. 上記プレパターン形成工程後、上記樹脂層形成工程前に、
    上記プレパターンの少なくとも側面に、塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しない第2組成物を接触させる工程
    をさらに備える請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  10. 上記塩基性化合物が、下記式(X)で表される化合物及び下記式(Y)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2から請求項9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
    Figure 2016194621
    (式(X)中、Xは、1価のオニウムカチオンである。Yは、1価のカルボキシレートアニオン又は1価のスルホンアミドアニオンである。
    式(Y)中、Rは、非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基又は非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基若しくは非置換若しくはヒドロキシ置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の脂肪族複素環構造を表す。)
  11. 上記第1組成物が、酸増殖体をさらに含有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  12. 上記第1重合体が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、オキソ基、ラクトン構造を有する基、環状カーボネート構造を有する基及びスルトン構造を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種をさらに有する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  13. 上記プレパターンが、ラインアンドスペースパターン又はホールパターンである請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  14. 上記除去工程後、
    除去工程で用いた有機溶媒とは異なる有機溶媒によりリンスする工程
    をさらに備える請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  15. 上記エステル系溶媒が、酢酸エステルである請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  16. レジストパターン微細化用組成物であって、
    重量平均分子量が13,000以上150,000以下であり、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、
    R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と
    を含有することを特徴とする組成物。
  17. レジストパターン微細化用組成物であって、
    塩基性基を有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、
    R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と
    を含有することを特徴とする組成物。
  18. レジストパターン微細化用組成物であって、
    酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体と、
    R−C(=O)OR’で表され、Rが炭素数1〜5の炭化水素基を表し、R’が炭素数1〜10の炭化水素基を表すエステル系溶媒と、
    塩基性化合物と
    を含有することを特徴とする組成物。
  19. 上記重合体の重量平均分子量が13,000以上150,000以下である請求項17又は請求項18に記載の組成物。
  20. 上記エステル系溶媒が、酢酸エステルである請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
  21. レジストパターン微細化用組成物であって、
    塩基性化合物及び有機溶媒を含有し、酸の作用により有機溶媒への溶解度が減少する重合体を含有しないことを特徴とする組成物。
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