JP2016194360A - 断熱配管システム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷温水管の長期保温性に優れた樹脂配管の断熱配管システムを提供する。
【解決手段】本発明の断熱配管システム100は、樹脂配管200と、断熱繊維層400と、被覆層510とを含む。樹脂配管200は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。断熱繊維層400は、樹脂配管200の外周面を被覆する。被覆層510は、断熱繊維層400の表面を被覆する。ここで、樹脂配管200の線膨張係数をxとし、被覆層510の線膨張係数をyとすると、x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係が満たされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、配管システムに関する。より具体的には、本発明は、断熱配管システムに関する。
従来より、断熱性に優れた配管システムを構築可能な配管として、金属配管が広く用いられている。
さらに、特開平09−079480号公報(特許文献1)には、配管の外周にポリスチレンフォームの円筒部材を装着し、さらに当該円筒部材の外周に防湿性素材または防湿性塗膜を設けることが開示されている。
特開平09−079480号公報
金属配管に対して防水性フィルムで被覆しても、それぞれの素材の線膨張係数がかけ離れているため、配管内に逐次的な冷水および温水の排水を長時間行った場合に、金属配管と防水性フィルムとの相対的位置関係のずれが大きく、これによって保温性能が低下する。
さらに、金属配管を用いた配管システムは、配管素材の特性に起因する易錆性の問題、および、重量物であることに起因する配管施工性ならびに建造物強度確保の問題がある。
以上の問題に鑑み、本発明の目的は、冷温水管の長期保温性に優れた樹脂配管の断熱配管システムを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の発明を含む。
(1)
本発明の断熱配管システムは、冷温水用配管と、断熱材と、被覆層とを含む。
冷温水用配管は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。断熱材は、冷温水用配管の外周面を被覆する。被覆層は、断熱材の表面を被覆する。ここで、冷温水用配管の線膨張係数をxとし、被覆層の線膨張係数をyとすると、x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係が満たされている。
このように、冷温水用配管がポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されているため、金属管で問題となるような易錆性の問題、配管施工性および建造物強度確保の問題が回避される。さらに、冷温水用配管と被覆層との線膨張係数が近似するため、長期保温性に優れる。
なお、冷温水用配管の線膨張係数xの範囲内の下限値は特に限定されないが、たとえば15×10−6/℃、好ましくは20×10−6/℃、さらに好ましくは30×10−6/℃である。
また、y/x比の範囲の下限側は0超であれば特に限定されないが、たとえば1超である。
(2)
被覆層の厚みは、30μm以上500μm以下であってよい。
この構成によって、被覆層の強度と施工性とを両立させることができる。
(3)
被覆層の密度は、0.90g/cm以上0.95g/cm以下であってよい。
この構成によって、被覆層の強度と施工性とを両立させることができる。
(4)
冷温水用配管は、軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層を含んでよい。この場合、第1層および第3層がポリオレフィン系樹脂を主成分として含み、第2層は、ポリオレフィン系樹脂に無機充填材を含む。
この構成によって、長期保温性とともに良好な耐クリープ性も得ることができる。
(5)
第1層および第3層の厚みは、0.5mm以上であってよい。
この構成によって、良好な耐衝撃性能を得ることができる。
第1層および第3層の厚み内の範囲の上限値は特に限定されないが、耐クリープ性との両立を考慮するとたとえば10mmである。
(6)
断熱材の外周面から1%以上10%以下の厚み部分は、断熱材の平均密度よりも高い密度を有する層を構成していてよい。
この構成によって、断熱保持性と保温性とに優れる。
(7)
断熱材は、ガラスウールで構成されてよい。
この構成によって、断熱配管システムの延焼防止性に優れる。
第1実施形態の断熱配管システムの一部切り欠き斜視図である。 図1の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図である。 第2実施形態の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図である。 第3実施形態の断熱配管システムにおける樹脂配管の模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の断熱配管システムの一部切り欠き斜視図である。図2は、図1の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図である。
図1および図2に示す断熱配管システム100は、樹脂配管200と、断熱繊維層400と、被覆層510とを含む。断熱配管システム100は、図1に示すように、さらに化粧シート520および拘束部材530を含むことができる(これらの要素は図2においては省略)。
[樹脂配管200]
樹脂配管200は、冷水と温水とを逐次配水するための冷温水配管である。樹脂配管200の線膨張係数xは20×10−5/℃未満であってよい。線膨張係数xの範囲内の下限値は特に限定されないが、たとえば15×10−6/℃、好ましくは20×10−6/℃、さらに好ましくは30×10−6/℃である。
樹脂配管200の線膨張係数xは、次の方法でも求められる。管成形体を任意の長さに切断し、任意の温度(Thot)に設定した恒温槽にて2時間以上(たとえば24時間)養生する。養生後、管成形体の長さを測定する(Lhot)。その後、同じ管成形体を、Thotより低い任意の温度(Tcool)に設定した恒温槽にて2時間以上(たとえば24時間)養生し、管成形体の長さを測定する(Lcool)。得られた値を下記の式1に代入し、線膨張係数を決定する。
Figure 2016194360
樹脂配管200は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。これによって、配管自体が可撓性を有し、良好な耐震性が得られる。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。成形体の強度(たとえば耐衝撃性など)、または高温での伸び等を効果的に高める観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンから選択されることが好ましく、ポリエチレンであることがより好ましい。
さらに、ポリエチレン(PE)としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。ポリプロピレン(PP)としては、ホモPP、ブロックPP及びランダムPP等が挙げられる。ポリブテンとしては、ポリブテン−1等が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに対して、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン又は1−オクテン等のα−オレフィンを数モル%程度の割合で共重合させた共重合体であることが好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、樹脂配管200は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。樹脂配管200を構成する樹脂(多層構造である場合は、一部の層を構成する樹脂)は、複合コンパウンド樹脂であってもよい(後述)し、発泡樹脂であってもよい。
樹脂配管200は、図示されない継手によって接続されている。継手も、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましい。これによって、配管の連結部分も可撓性を有するため、たとえば、地震などによって、互いに連結される樹脂配管200それぞれの軸方向が互いにずれる力が加わったとしても、継手が撓んで双方の樹脂配管200のずれに追随することができる。したがって、断熱配管システム100全体として耐震性を得ることができる。
なお、後述するように、図示された樹脂配管200の外周面は複数の材料で被覆されるが、樹脂配管200を連結している継手の外周面も区別されることなく同様に被覆される。
[断熱繊維層400]
断熱繊維層400は、樹脂配管200の外周面全体を被覆する。図1においては、1本の樹脂配管200に対して2個の断熱繊維層400が軸方向に継ぎ合わせられている。
断熱繊維層400は、繊維で構成されているため、変形容易である点などで好ましい。このため、継手連結された樹脂配管200の表面形状(たとえば、樹脂配管200および/または継手の表面形状、樹脂配管200と継手との境界付近の表面形状)にひずみ、少々の段差または凹凸などの異形状が存在する場合であっても、当該異形状を吸収し、断熱配管システム100の表面へ接触しやすいため、断熱性が良好である。
断熱繊維層400は、繊維が立体的に絡み合うことで空気を多く含み比表面積が大きくなるように構成されているものであれば特に限定されない。
さらに、たとえば、繊維の方向が主として樹脂配管200の外周面に沿っていてもよい。つまりこの場合、繊維の大部分が、軸方向に垂直な面で断熱繊維層400を切断した場合の断面視において周方向を向いている態様、軸を含む面で断熱繊維層400を切断した場合の断面視において軸方向を向いている態様か、およびそれらの組み合わせ態様であることにより、繊維の大部分が樹脂配管200の外周面に沿っている。当該周方向および当該軸方向(つまり樹脂配管200の外周面に沿う方向)からみて繊維方向がずれている繊維によって繊維同士の立体的な絡み合いが生じ、断熱繊維層400が空気を多く含むことができる。一方で、径方向を向いている繊維の相対量は少ないため、全体として、断熱繊維層400を構成する繊維の方向は主として樹脂配管200の外周面に沿うことになる。断熱繊維層400がこのように構成されている場合、断熱繊維層400が連続空間を有するにもかかわらず、仮に湿気または水が断熱繊維層400の外表面に接触したとしても、湿気または水の広がり方向は主として繊維方向である外周面方向に導かれ、それに対して径方向には広がりにくい。したがって、被覆している樹脂配管200表面に湿気または水が達しにくい。このため、断熱性維持効果に優れる。
断熱繊維層400を構成する繊維としては特に限定されないが、たとえば、無機繊維は、延焼防止の観点から断熱繊維層400として好ましく採用される。無機繊維の具体例としては、ガラス繊維、セラミックス繊維、人造鉱物繊維などが挙げられる。繊維は、空気を多く含ませる点から不織状態であることが好ましい。
断熱繊維層400の平均密度は、たとえば20kg/m以上100kg/m以下、好ましくは45kg/m以上90kg/m以下である。これによって、良好な断熱効果を得ることができる。断熱繊維層400の厚さは、樹脂配管200外周半径の2%以上400%以下、好ましくは5%以上350%以下、さらに好ましくは15%以上135%以下であってよい。これによって、良好な断熱効果を得ることができる。
断熱繊維層400を構成する繊維の繊維径は特に限定されないが、たとえば5μm以上10μm以下である。上記下限値以上の適度な太さであることにより、繊維同士が立体的に絡まった形状を維持しやすく、上記上限値以下の適度な細さであることにより、空気相を効率よく形成しやすいため、好ましい断熱性を具備することができる。なお、繊維径は、断熱繊維層400を構成する繊維の断面の最大径の平均である。
断熱繊維層400を構成する繊維の繊維長は特に限定されないが、たとえば5mm超、好ましくは7mm以上、さらに好ましくは9mm以上である。これによって、繊維が絡みあった形状が崩れにくく、好ましく維持された断熱性を具備することができる。断熱繊維層を構成する繊維長の範囲に含まれる上限値は特に限定されないが、例えば20mm、好ましくは15mmであってよい。なお、繊維長は、断熱繊維層400を構成する繊維の長さの平均である。
断熱繊維層400は、被覆層510の内周表面に接触するスキン層490と、その他の部分を占める断熱層420とを含む。スキン層490は、断熱層420が直接的に被覆層510の内周表面に接触する場合と比べて、当該内周表面に接触する空気を減少させるように構成されていればよい。つまり、スキン層490は、断熱層420よりも比表面積が小さくなるように構成される。これによって、被覆層510の内周表面に接触する空気が低減され、当該内周表面での結露発生を抑制することができる。したがって、結露による断熱性の低下を防ぐことにより、断熱性を良好に保持することができる。
スキン層490は、断熱繊維層400の外周面から1%以上10%以下の厚み部分を構成していてよい。断熱繊維層400の厚み割合が1%以上であることは、断熱保持性が良好である点で好ましく、10%以下であることは、保温性が良好である点で好ましい。
スキン層490は、たとえば、断熱層420よりも繊維密度を大きくすること、バインダ樹脂を含有させること、または断熱層420よりも繊維密度を大きくし且つバインダ樹脂を含有させることによって具現化することができる。
スキン層490の繊維密度が断熱層420の繊維密度よりも大きい場合、断熱繊維層400の平均密度より大きいことが好ましい。この場合、たとえば、断熱繊維層400の平均密度の1.1倍以上3倍以下であってよく、または、22kg/m以上300kg/m以下、好ましくは26kg以上300kg/m以下、さらに好ましくは50kg/m以上300kg/m以下であってもよい。さらに好ましくは、スキン層490は、空気が透過しない程度に比表面積が小さく構成される。これによって、スキン層490の表面はより平滑となって被覆層510の内周表面に沿い易く、被覆層510の内周表面に接触する空気が極力排除され、結露発生をより好ましく抑制することができる。
また、スキン層490は繊維密度が高いため、仮に被覆層510の破損などにより湿気などの外気が被覆層内部へ接触した場合であっても、当該外気の配管への到達を防止することができる。さらに、前述のように繊維の大部分が周方向を向いている場合は、スキン層490において湿気または水の広がり方向が主として繊維方向である外周面方向に導かれることに対して、径方向にはより広がりにくくなる。したがって、被覆している樹脂配管表面に湿気または水がより一層達しにくい。このため、断熱性維持効果により一層優れる。
スキン層490にバインダ樹脂を含有させる場合、バインダ樹脂が繊維の表面をコーティングすることにより、繊維と繊維との間にバインダ樹脂が介在する。したがって、繊維と繊維との間隔が狭まることで比表面積が小さくなる。あるいは、バインダ樹脂は、スキン層490の表面が平滑となるように繊維が圧縮され比表面積が小さくなった状態を固定することで、スキン層490の表面の平滑性を安定的に維持する。バインダ樹脂としては特に限定されず、たとえば、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
スキン層490の厚みは、たとえば0.3mm以上7mmであってよい。0.3mm以上であることは、樹脂配管200の外周表面を十分に被覆できる点で好ましく、7mm以下であることは、断熱繊維層400全体としての断熱性能を良好に保つ点で好ましい。樹脂配管200の外表面付近の空気量自体を減少させ、空気に含まれる水分量を減少させることで結露の進行を効果的に抑制する観点から、スキン層490の厚みは、より好ましくは0.5mm以上6mm以下、さらに好ましくは1mm以上5mm以下である。
[被覆層510]
被覆層510は、断熱繊維層400の表面全体を覆っている。これによって、断熱繊維層400の外周面側からの濡れを防止するとともに、湿気を含んだ空気の透過を抑制する。図1に示すように、被覆層510は、軸方向に継ぎ合わされた断熱繊維層400の継ぎ目Sも遮蔽する。これによって、継ぎ目Sを介した不所望の空気移動および熱移動も抑制することができる。
被覆層510は、その線膨張係数yが、樹脂配管200の線膨張係数xとの間でy/x<10の関係が満たされるように設計される。これによって、樹脂配管200と被覆層510との線膨張係数が近似するため、樹脂配管200が長期にわたって冷温水を配水することで熱伸縮を繰り返したとしても、その熱伸縮に被覆層510が追随することで、断熱繊維層400の外周面側からの濡れ防止効果および湿気を含んだ空気の透過抑制効果を安定的に維持することができる。したがって、長期保温性に優れる。
被覆層150の線膨張係数yは、熱機械分析(TMA)装置を用いて、昇温速度5℃/min、測定範囲−20℃から120℃の条件で測定される。TMA装置としては、Seiko InstrumentsInc.社製「TMA/SS120C」等が挙げられる。
当該y/x比の下限側は0超であれば特に限定されないが、たとえば1超、樹脂配管200に耐クリープ性その他の機能を兼備させる場合等の点から好ましくは3以上であってよい。
被覆層510の厚みは、30μm以上500μm以下であってよい。30μm以上であることは、被覆層の強度を確保しやすい点で好ましく、500μm以下であることは、被覆層の施工性、特に現場での施工性が良好である点で好ましい。
被覆層510の素材は、非透水性の材質のものであればよい。具体的には、非発泡樹脂つまりソリッド樹脂であることが好ましい。断熱繊維層400の表面がこのような非透水性の被覆層510で被覆されることで、断熱繊維層400を防水し、濡れによる断熱性の低下を防止することができる。
被覆層510の素材の密度は0.90g/cm以上0.95g/cm以下であってよい。0.90g/cm以上であることは、被覆層の強度を確保しやすい点で好ましく、0.95g/cm以下の軽量であることは、施工性、特に現場での施工性が良好である点で好ましい。
さらに、樹脂配管200がポリオレフィン系樹脂製であるため、機械的特性を揃える観点から、被覆層510の素材もポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。被覆層510を構成してよいポリオレフィン系樹脂としては、樹脂配管200を構成する樹脂として上記に例示したものを特に限定することなく用いることができる。たとえば0.910/cm以上0.930/cm未満の低密度ポリエチレン(LDPE)は、柔らかくて樹脂配管200の熱伸縮に追従しやすい。なお、樹脂配管200を構成するポリオレフィン系樹脂と、被覆層510を構成するポリオレフィン系樹脂とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[化粧シート520、拘束部材530]
化粧シート520は、被覆シート510の表面全体を被覆する。これによって、外観良好性を得ることができる。化粧シート520は、金属膜を有することが好ましい。化粧シート520は、金属膜が基材の一方の面に積層された態様のものであってよい。この場合、基材が被覆シート510側となるように被覆されてもよいし、金属膜が被覆シート510側となるように被覆されてもよい。また、化粧シート520は、金属膜が基材の両方の面に積層されたサンドイッチ態様のものであってもよい。
化粧シート520は、より具体的には、アルミ箔とガラスクロスとを貼り合わせたアルミガラスクロス(ALGC)、アルミ箔とクラフト紙とを貼り合わせたアルミクラフト(ALK)、およびアルミ箔と割布とを貼り合わせたアルミ割布(ALW)が挙げられる。
化粧シート520の表面は、拘束部材530で被覆される。これによって、樹脂配管200に積層された断熱繊維層400、被覆層510および化粧シート520を安定的に拘束することができる。拘束部材530は化粧シート520の剥離も防止することができる。拘束部材530は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよいが、防火性の観点からは金属製であることが好ましい。拘束部材530は、断熱繊維層400および化粧シート520を拘束するとともに化粧シート表面を保護できる形状のものであれば特に限定されないが、本実施形態では、網目状シートが用いられる。
[施工]
断熱配管システム100は、以下のように施工されてよい。
樹脂配管200は、継手で適宜接続し、適当な位置で固定基礎に固定する。樹脂配管200の外周面には、断熱繊維層400を被覆する。断熱繊維層400としては、所定の長さに切断された環状に成形され、かつ、軸方向に厚肉を切断する1個所の切れ込みが入った非分割構造体を用いることができる。このような非分割構造のガラスウールを、切れ込み部分を押し広げて変形させ、樹脂配管200に外装することができる。
断熱繊維層400を樹脂配管200に外装した後、断熱繊維層400の表面を一体的に被覆層510で被覆する。被覆層510は、たとえば、樹脂シートの長尺体を巻回したロールから当該シートを供出しながら、被覆すべき当該表面に巻装することができる。特に断熱繊維層400の継ぎ目Sを完全に遮蔽するように樹脂シートを巻装する。
被覆層510を設けた後は、被覆層510の表面全体に化粧シート520を重ねて巻装し、その後、拘束部材530を巻装する。
[他の実施形態]
以下、断熱繊維層の態様が異なる第2実施形態、樹脂配管の態様が異なる第3実施形態について説明する。これら他の実施形態においては、基本的に第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。図3に示す断熱配管システム100aは、樹脂配管200と、断熱繊維層400aと、被覆層510とを含む。なお、図示省略されているが、第1実施形態と同様に、さらに化粧シート520および拘束部材530を含むことができる。
[断熱繊維層400a]
断熱繊維層400aは、樹脂配管200側に位置するスキン層410と、複数の薄層430と、その間を埋める断熱層420と、被覆層510側に位置するスキン層490とを含む。
スキン層410は、スキン層490と同様に、断熱層420が直接的に樹脂配管200の外周表面に接触する場合と比べて、当該外周表面に接触する空気を減少させるように構成されていればよい。つまり、スキン層410は、断熱層420よりも比表面積が小さくなるように構成される。これによって、樹脂配管200の外周表面に接触する空気が低減され、結露発生を抑制することができる。
好ましくは、スキン層410は、空気が透過しない程度に比表面積が小さく構成される。これによって、スキン層410の表面はより平滑となって樹脂配管200の外表面に沿い易く、樹脂配管200の外周表面に接触する空気が極力排除され、結露発生をより好ましく抑制することができる。
薄層430は、スキン層410と略同心円状に形成されている。薄層430は、スキン層410と同様に、断熱層420よりも比表面積が小さくなるように構成されている。これによって、断熱繊維層400aの内部において、比表面積の小さい層(薄層430)が径方向に何層も存在するため、空気を径方向に透過させにくい。したがって、樹脂配管200の外表面における結露の進行をさらに良好に抑制することができる。
薄層430は、断熱層420よりも繊維密度を大きくすること、バインダ樹脂を含有させること、または断熱層420よりも繊維密度を大きくし且つバインダ樹脂を含有させることによって具現化される。
薄層430の繊維密度が断熱層420の繊維密度より大きい場合、断熱繊維層400aの平均密度より大きいことが好ましい。この場合、たとえば、断熱繊維層400aの平均密度の1.1倍以上3倍以下であってよく、または、22kg/m以上300kg/m以下、好ましくは26kg以上300kg/m以下、さらに好ましくは50kg/m以上300kg/m以下であってもよい。さらに好ましくは、薄層430は、空気が透過しない程度に比表面積が小さく構成される。これによって、空気を径方向により一層透過させにくい。さらに、断熱繊維層400aの繊維の大部分が周方向を向いている場合は、薄層430において湿気または水の広がり方向が主として繊維方向である外周面方向に導かれることに対して、径方向にはより広がりにくくなる。したがって、被覆している樹脂配管表面に湿気または水がより一層達しにくい。したがって、樹脂配管200の外表面における結露の進行をより一層良好に抑制することができ、断熱性維持効果により一層優れる。
薄層430にバインダ樹脂を含有させる場合、バインダ樹脂が繊維の表面をコーティングすることにより、繊維と繊維との間にバインダ樹脂が介在する。したがって、繊維と繊維との間隔が狭まることで比表面積が小さくなる。あるいは、バインダ樹脂は、繊維が圧縮され比表面積が小さくなった状態を固定することで、薄層430における相対的に高い繊維密度を安定的に維持する。バインダ樹脂としては特に限定されず、たとえば、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
薄層430の厚みは、たとえば0.3mm以上7mmであってよい。0.3mm以上であることは、断熱繊維層400aの中を十分に仕切ることができる点で好ましく、7mm以下であることは、断熱繊維層400a全体としての断熱性能を良好に保つ点で好ましい。空気を径方向に透過させにくくする観点から、薄層430の厚みは、より好ましくは0.5mm以上6mm以下、さらに好ましくは1mm以上5mm以下である。
[断熱繊維層の製造]
断熱繊維層400,400aは、たとえば以下のように製造することができる。まず、ガラスウールを熱プレスしてシート状に成形する(ステップ1)。そして、ガラスウールシートを何重にも同心円状に重ねる(好ましくは長尺のガラスウールシートを何重にも巻回する)ことにより、厚肉の筒状部材にする(ステップ2)。さらに、互いに重なったガラスウールシート同士を固定する(ステップ3)。ステップ3の固定では、熱により焼き固めてよいし、バインダ樹脂を用いて接着してもよい。バインダ樹脂を用いる場合は、耐吸水性のものであることが好ましい。
ステップ2における筒状部材の最も外側および/または最も内側の表面となる部分に対する熱プレス時の加熱温度を上げるおよび/または加熱時間を長くすることによって、スキン層490および/またはスキン層410を形成することができる。これらスキン層の厚さをより厚くするには、加熱温度をより高く、および/または加熱時間をより長くすることで調整すればよい。
薄層430は、ステップ1の熱プレスの加熱温度を上げるおよび/または加熱時間を長くすることによって作成してもよいし;ステップ3でバインダ樹脂の量を増やすことによって作成してもよいし;ステップ1の熱プレス条件が異なる2種のガラスウールシート(つまり一方のガラスウールシートのほうが密度が高い)を重ね合わせ、重ね合わせた状態でステップ2の巻回を行うことによって作成してもよいし;ガラスウールシートと、別の材質(ガラスへの接着等の固定が可能な材質)の高密度シートとを重ね合わせ、重ね合わせた状態でステップ2の巻回を行うことによって作成してもよいし;これらの方法を任意に組み合わせて作成してもよい。
[第3実施形態]
図4は、第3実施形態の断熱配管システムにおける樹脂配管の模式的断面図である。第3実施形態の断熱配管システムを構成する樹脂配管以外の要素としては、上記の第1実施形態、第2実施形態および後述の第4実施形態における要素が特に限定されることなく組み合わせられうる。
[樹脂配管200b]
図4に示す樹脂配管200bは、軸心Oから外周への方向に、第1層210b、第2層220bおよび第3層230bがこの順番で積層されている。それぞれの層の間には、接着剤層などを介在させてもよいし、介在させなくてもよい。また、樹脂配管200bにおいては、さらに1または2以上の他の層が積層されていてもよい。
[第1層210b、第3層230b]
第1層210bおよび第3層230bは、後述の第2層220bのように無機充填材を含まない。内層である210bは、樹脂配管200bの内部を流れる流体に第2層220bに含まれる無機充填材が混入しないよう、第2層220bの内周面をコートする。また、第3層230bは、樹脂配管200bの外周面に第2層220bに含まれる無機充填材が露出しないよう、表面粗雑化を防止する。これによって、樹脂配管200bの外周面が平滑となる。たとえば、断熱繊維層400aがスキン層410を有する場合に(第2実施形態の図3参照)、スキン層410と樹脂配管200bの外周面との接触が良好となり、樹脂配管200bの外周表面に接触する空気が低減され、結露発生を抑制することができる。
第1層210bおよび第3層230bの厚みは、0.5mm以上であってよい。これによって、良好な表面平滑性および耐衝撃性能を得ることができる。第1層および第3層の厚みの範囲内の上限値は特に限定されないが、耐クリープ性との両立を考慮するとたとえば10mmである。
第1層210bおよび第3層230bは、いずれも熱可塑性樹脂で構成される。これによって、第2層220bの両面で機械的特性が揃うとともに、樹脂配管200bの製造効率も良い。第1層210bおよび第3層230bは、いずれもポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されてよい。ポリオレフィン系樹脂としては、第1実施形態の樹脂配管200を構成する樹脂として上記に例示したものを特に限定することなく用いることができる。第1層210bを構成する熱可塑性樹脂と第3層230bを構成する熱可塑性樹脂とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[第2層220b]
第2層220bは、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂に無機充填材を含む複合コンパウンド樹脂で構成される。樹脂製の配管は本来的に金属配管に比べて線膨張係数が大きいため、配管内に冷温水が流れることによる熱伸縮が大きいが、第2層220bが無機充填材を含む樹脂であることで樹脂配管200bの熱伸縮が適度に抑制され、適度な寸法安定性が得られる。したがって、樹脂配管200bの良好な耐クリープ性が得られる。一方、樹脂配管200bの許容された分の熱伸縮には、被覆層510が同様に伸縮して追従し、保温性を維持する。この場合、断熱繊維層400の継ぎ目S(図1参照)における隙間またはひずみを好ましく防止することができる。このため、幅広い温度範囲で安定した保温効果を得ることができる。
このように第2層220bを有することにより、樹脂配管200bの線膨張係数xはさらに小さい7.0×10−5/℃以下、好ましくは5.0×10−5/℃以下であってよい。
(第2層220bの材料−マトリックス樹脂)
第2層220bにおけるマトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、第1層210bおよび第3層230bを構成する樹脂と同様の樹脂が用いられてよい。さらに好ましくは、第2層220bのマトリックス樹脂は、第1層210bおよび第3層230bを構成する樹脂と同一である。これによって、隣接する層が互いになじみやすく、界面剥離を効果的に抑制することができる。
(第2層220bの材料−無機充填材)
第2層220bに含まれる無機充填材としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの無機繊維;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ粉末、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、ホウ酸アルミウイスカなどの無機物質が挙げられる。耐クリープ性をより良好に得る観点からは、繊維はガラス繊維などの無機繊維であることが好ましい。上記の繊維は、単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
また、このような繊維に、マトリックス樹脂を保持させる方法としては、公知の方法が全て採用可能である。
第2層220bに無機繊維が含まれる場合、当該繊維は表面処理されていてもかまわない。たとえば繊維がガラス繊維である場合、表面処理剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。この中でも、アミノシランが好ましい。
これら繊維が配される態様としては、連続繊維が長手方向に配される態様、長手方向に配された連続繊維と、当該連続繊維と交差する連続繊維とが配される態様、および有限長さの繊維が配される態様が挙げられる。
第2層220bに無機繊維が含まれる場合、当該繊維の繊維長は、断熱繊維層400,400a(第1実施形態の図2および第2実施形態の図3参照)を構成する繊維の繊維長より短い。これによって、成形性が良好であるとともに繊維の配向のコントロールがしやすい。好ましくは、第2層220bに含まれる繊維の繊維長は5mm以下である。繊維の繊維長をこの範囲内とすることにより、成形体の強度、剛性、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、剛性、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、繊維の繊維長は好ましくは3mm以下、好ましくは1mm以下である。上記繊維長範囲に含まれる下限値は特に限定されないが、強度および剛性の観点から例えば0.05mm、好ましくは0.1mmであってよい。なお、繊維長は、第2層220bに含まれる繊維の長さの平均である。
第2層220bに無機繊維が含まれる場合、当該繊維の繊維径は、断熱繊維層400,400a(第1実施形態の図2および第2実施形態の図3参照)を構成する繊維の繊維径より大きい。これによって、好ましい強度および剛性を具備することができる。好ましくは、第2層220bに含まれる繊維の繊維径は5μm以上50μm以下、より好ましくは12μm以上50μm以下であってよい。繊維の繊維径をこの範囲内とすることにより、成形体の強度、剛性、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、剛性、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、繊維の繊維径は好ましくは10μm以上20μm以下、さらに好ましくは12μm以上14μm以下であってもよい。なお、繊維径は、第2層220bに含まれる繊維の断面の最大径の平均である。
第2層220bに含まれる無機充填材の量は、第2層220bを製造するための樹脂組成物全体を100重量%として、10重量%以上60重量%未満である。無機充填材の量を上記下限値以上とすることにより、樹脂配管200bの良好な寸法安定性を得ることができる。無機充填材の量を上記上限値以下とすることにより、良好な成形性を得ることができ、さらに、第2層220bの破壊モードを延性的破壊へ遷移させ易くすることができる。したがって、第2層220bの脆性的破壊を生じにくくさせることができる。
(第2層の材料−ポリオレフィン収束剤)
さらに、第2層220bに無機繊維が含まれる場合、当該繊維は、ポリオレフィン収束剤により収束されたものであってもよい。ポリオレフィン収束剤は、繊維を収束させることができれば特に限定されないが、具体的にはポリオレフィンである。当該ポリオレフィンは、マトリックス樹脂と同様のものであってもよい。つまり、マトリックス樹脂がポリエチレンであれば、収束剤もポリエチレンであってよい。さらに、収束剤としての当該ポリオレフィンには、変性ポリオレフィンが含まれる。ポリオレフィン収束剤の具体例としては、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびシラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。第2層220bに低線膨張係数を具備させる観点からは、ポリオレフィン収束剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、繊維がガラス繊維であることが好ましい。
繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤の密度は、好ましくは0.85g/cm以上、好ましくは1.1g/cm以下である。
繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤のMFR(メルトマスフローレイト)は好ましくは0.01g/10分以上、好ましくは16g/10分以下である。上記MFRは、JIS K7210に基づいて、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
繊維をポリオレフィン収束剤により収束させる方法としては、どのような方法でもよい。マトリックス樹脂とポリオレフィン収束剤との合計100重量部に対する繊維の量は、好ましくは6重量部以上、より好ましくは12重量部以上、更に好ましくは19重量部以上、好ましくは533重量部以下、より好ましくは171重量部以下、更に好ましくは138重量部以下である。繊維の量を上記の範囲とすることによって、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。
(第2層の材料−相溶化剤)
さらに、第2層220bには相溶化剤が含まれてよい。相溶化剤としては、たとえば、変性ポリオレフィンおよび塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、たとえば、マレイン酸変性ポリオレフィンおよびシラン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。相溶化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。第2層220bに低線膨張係数を具備させる観点からは、相溶化剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、無機充填材がガラス繊維であることが好ましい。
なお、相溶化剤としての変性ポリオレフィンは、上述の収束剤としての変性ポリオレフィンとは区別される。第2層220bに含まれる相溶化剤の量は、第2層220bを製造するための樹脂組成物全体を100重量%として、0.5重量%以上20重量%以下、好ましくは1重量%以上10重量%以下である。相溶化剤の含有量をこのような範囲とすることによって、成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びが効果的に高くなる。成形体の強度、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、第2層220bに含まれる相溶化剤の量は、好ましくは2重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上9重量%以下である。
[層厚比率]
樹脂配管200bの各層の比率は、第1層210bの相対厚みを1とした場合、第2層220bの厚みは2以上6以下、好ましくは3以上5以下、第3層230bの相対厚みは0.5以上2以下であることが好ましい。各層の厚みをこのような比率とすることによって、第1層210bおよび第3層230bによる良好な表面平滑性および耐衝撃性を得るとともに、第2層220bによる良好な耐クリープ性を得ることができる。
[製造]
樹脂配管200bは、第1層210bおよび第3層230bをそれぞれ製造するための樹脂組成物と、第2層220bを製造するための樹脂組成物とを調製し、成形機を用いて成形する。成形機としては特に限定されず、単軸押出機、二軸異方向パラレル押出機、二軸異方向コニカル押出機、及び二軸同方向押出機等が挙げられる。さらに、成形機を用いて成形する場合、賦形する金型および樹脂温度等も、特に限定されない。
[第4実施形態]
上記第1実施形態から第3実施形態では断熱材が繊維で構成された態様を例示したが、本発明は、樹脂配管200と被覆層510との線膨張係数が特定の関係を満たす限り、断熱材はたとえば独立気泡型のものであってもよい。この場合、断熱材は第1実施形態のスキン層490および/または第2実施形態のスキン層410に相当するスキン層は含んでいてもいなくてもよいが、含んでいる場合、気泡を有しないソリッド層であってよい。独立気泡型の断熱材としては、ウレタン発泡樹脂、スチレン発泡樹脂などの発泡樹脂であってよい。
独立気泡型の断熱材は剛性が高く柔軟性に乏しいため、本発明の断熱配管システムを施工する場合、断熱材として、所定の長さに切断された環状に成形され、かつ、軸方向に二分割された分割構造体を用いることができる。このような分割構造の断熱材を、樹脂配管200表面に嵌め合わせて外装することができる。
[実施例1]
図2に示す断熱配管システム100を作成した。
樹脂配管200としては、高密度ポリエチレン(PE100相当、密度0.94g/cm)単層で構成される配管を用いた。23℃(常温)環境で、樹脂配管200の外表面を断熱繊維層400であるガラスウールを被覆した。ガラスウールの、平均密度は45kg/m、スキン層410は66kg/m(ガラスウールの最内周から5mmの厚み範囲内の平均密度)であった。ガラスウールの表面を、被覆層510である低密度ポリエチレンフィルムで巻回被覆(厚み60μm)した。
[実施例2]
樹脂配管として、図4に示す樹脂配管200bを用いたことを除いて、実施例1と同様に断熱配管システムを作成した。
樹脂配管200bは、第1層210bおよび第3層230bを製造するためにポリエチレン(PE100相当、密度0.94g/cm)を、第2層220bを製造するためにポリエチレン(PE100相当、密度0.94g/cm)をマトリックス樹脂としてガラス繊維(平均繊維長300μm平均繊維径13μm)20重量%と相溶化剤(シラン変性PE、密度0.94〜0.96g/cm)3重量%とを含ませた樹脂組成物を用い、共押出によって成形した。3つの層はそれぞれ別々のシングル押出機を使用して押出した。第1,3の層には40mm、第2の層には75mmのシングル押出機を使用した。押出温度は200℃とし、金型は専用三層金型を使用した。得られた樹脂配管200bの内径は51mm、外径は63mmであった。
[比較例1]
樹脂配管の代わりに炭素鋼管を用いたことを除いて、実施例1と同様に断熱配管システムを作成した。
(線膨張係数)
樹脂配管の線膨張係数xを次のようにして求めた。樹脂配管を1000mmの長さに切断し、60℃(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した。養生後、多層配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ多層配管を、5℃(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、多層配管の長さ(Lcool)を測定した。得られた値を下記の式1に代入し、線膨張係数を決定した。
Figure 2016194360
被覆層の線膨張係数yを、熱機械分析装置(Seiko InstrumentsInc.社製「TMA/SS120C」)を用いて、昇温速度5℃/min、測定範囲−20℃から120℃の条件で測定して求めた。
配管の線膨張係数x、被覆層の線膨張係数y、およびそれらの比について下記表1に示す。以下の表1において、「〜」で示される数値範囲には、両端の数値を含む。
Figure 2016194360
上記表1に示すように、実施例1および実施例2では、xおよびyが近似しているため、配管内に逐次的な冷水および温水の配水を長時間行っても保温性に優れる。一方、比較例1では、xおよびyがかけ離れているため、時間の経過により保温性が低下する。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
[実施形態における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本明細書において、断熱配管システム100が「断熱配管システム」に相当し、樹脂配管200,200bが「冷温水用配管」に相当し、第1層210bが「第1層」に相当し、第2層220bが「第2層」に相当し、第3層230bが「第3層」に相当し、断熱繊維層400,400aが「断熱材」に相当し、スキン層490が「高い密度を有する層」に相当し、被覆層510が「被覆層」に相当する。
100 断熱配管システム
200,200b 樹脂配管(冷温水用配管)
210b 第1層
220b 第2層
230b 第3層
400,400a 断熱繊維層(断熱材)
490 スキン層(高い密度を有する層)
510 被覆層

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される冷温水用配管と、
    前記冷温水用配管の外周面を被覆する断熱材と、
    前記断熱材の表面を被覆する被覆層とを含み、
    前記冷温水用配管の線膨張係数をxとし、前記被覆層の線膨張係数をyとすると、
    x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係を満たす、断熱配管システム。
  2. 前記被覆層の厚みが30μm以上500μm以下である、請求項1に記載の断熱配管システム。
  3. 前記被覆層の密度が0.90g/cm以上0.95g/cm以下である、請求項1または2に記載の断熱配管システム。
  4. 前記冷温水用配管が、軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層を含み、
    前記第1層および前記第3層がポリオレフィン樹脂を主成分として含み、
    前記第2層がポリオレフィン系樹脂に無機充填材を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の断熱配管システム。
  5. 前記第1層および前記第3層の厚みが0.5mm以上である、請求項4に記載の断熱配管システム。
  6. 前記断熱材の外周面から1%以上10%以下の厚み部分が、前記断熱材の平均密度よりも高い密度を有する層を構成している、請求項1から3のいずれか1項に記載の断熱配管システム。
  7. 前記断熱材がガラスウールで構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の断熱配管システム。
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