JP2016194360A - 断熱配管システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の断熱配管システム100は、樹脂配管200と、断熱繊維層400と、被覆層510とを含む。樹脂配管200は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。断熱繊維層400は、樹脂配管200の外周面を被覆する。被覆層510は、断熱繊維層400の表面を被覆する。ここで、樹脂配管200の線膨張係数をxとし、被覆層510の線膨張係数をyとすると、x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係が満たされている。
【選択図】図1
Description
さらに、特開平09−079480号公報(特許文献1)には、配管の外周にポリスチレンフォームの円筒部材を装着し、さらに当該円筒部材の外周に防湿性素材または防湿性塗膜を設けることが開示されている。
さらに、金属配管を用いた配管システムは、配管素材の特性に起因する易錆性の問題、および、重量物であることに起因する配管施工性ならびに建造物強度確保の問題がある。
本発明の断熱配管システムは、冷温水用配管と、断熱材と、被覆層とを含む。
冷温水用配管は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される。断熱材は、冷温水用配管の外周面を被覆する。被覆層は、断熱材の表面を被覆する。ここで、冷温水用配管の線膨張係数をxとし、被覆層の線膨張係数をyとすると、x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係が満たされている。
なお、冷温水用配管の線膨張係数xの範囲内の下限値は特に限定されないが、たとえば15×10−6/℃、好ましくは20×10−6/℃、さらに好ましくは30×10−6/℃である。
また、y/x比の範囲の下限側は0超であれば特に限定されないが、たとえば1超である。
被覆層の厚みは、30μm以上500μm以下であってよい。
被覆層の密度は、0.90g/cm3以上0.95g/cm3以下であってよい。
冷温水用配管は、軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層を含んでよい。この場合、第1層および第3層がポリオレフィン系樹脂を主成分として含み、第2層は、ポリオレフィン系樹脂に無機充填材を含む。
第1層および第3層の厚みは、0.5mm以上であってよい。
第1層および第3層の厚み内の範囲の上限値は特に限定されないが、耐クリープ性との両立を考慮するとたとえば10mmである。
断熱材の外周面から1%以上10%以下の厚み部分は、断熱材の平均密度よりも高い密度を有する層を構成していてよい。
断熱材は、ガラスウールで構成されてよい。
図1は、第1実施形態の断熱配管システムの一部切り欠き斜視図である。図2は、図1の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図である。
図1および図2に示す断熱配管システム100は、樹脂配管200と、断熱繊維層400と、被覆層510とを含む。断熱配管システム100は、図1に示すように、さらに化粧シート520および拘束部材530を含むことができる(これらの要素は図2においては省略)。
樹脂配管200は、冷水と温水とを逐次配水するための冷温水配管である。樹脂配管200の線膨張係数xは20×10−5/℃未満であってよい。線膨張係数xの範囲内の下限値は特に限定されないが、たとえば15×10−6/℃、好ましくは20×10−6/℃、さらに好ましくは30×10−6/℃である。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、後述するように、図示された樹脂配管200の外周面は複数の材料で被覆されるが、樹脂配管200を連結している継手の外周面も区別されることなく同様に被覆される。
断熱繊維層400は、樹脂配管200の外周面全体を被覆する。図1においては、1本の樹脂配管200に対して2個の断熱繊維層400が軸方向に継ぎ合わせられている。
さらに、たとえば、繊維の方向が主として樹脂配管200の外周面に沿っていてもよい。つまりこの場合、繊維の大部分が、軸方向に垂直な面で断熱繊維層400を切断した場合の断面視において周方向を向いている態様、軸を含む面で断熱繊維層400を切断した場合の断面視において軸方向を向いている態様か、およびそれらの組み合わせ態様であることにより、繊維の大部分が樹脂配管200の外周面に沿っている。当該周方向および当該軸方向(つまり樹脂配管200の外周面に沿う方向)からみて繊維方向がずれている繊維によって繊維同士の立体的な絡み合いが生じ、断熱繊維層400が空気を多く含むことができる。一方で、径方向を向いている繊維の相対量は少ないため、全体として、断熱繊維層400を構成する繊維の方向は主として樹脂配管200の外周面に沿うことになる。断熱繊維層400がこのように構成されている場合、断熱繊維層400が連続空間を有するにもかかわらず、仮に湿気または水が断熱繊維層400の外表面に接触したとしても、湿気または水の広がり方向は主として繊維方向である外周面方向に導かれ、それに対して径方向には広がりにくい。したがって、被覆している樹脂配管200表面に湿気または水が達しにくい。このため、断熱性維持効果に優れる。
被覆層510は、断熱繊維層400の表面全体を覆っている。これによって、断熱繊維層400の外周面側からの濡れを防止するとともに、湿気を含んだ空気の透過を抑制する。図1に示すように、被覆層510は、軸方向に継ぎ合わされた断熱繊維層400の継ぎ目Sも遮蔽する。これによって、継ぎ目Sを介した不所望の空気移動および熱移動も抑制することができる。
化粧シート520は、被覆シート510の表面全体を被覆する。これによって、外観良好性を得ることができる。化粧シート520は、金属膜を有することが好ましい。化粧シート520は、金属膜が基材の一方の面に積層された態様のものであってよい。この場合、基材が被覆シート510側となるように被覆されてもよいし、金属膜が被覆シート510側となるように被覆されてもよい。また、化粧シート520は、金属膜が基材の両方の面に積層されたサンドイッチ態様のものであってもよい。
化粧シート520は、より具体的には、アルミ箔とガラスクロスとを貼り合わせたアルミガラスクロス(ALGC)、アルミ箔とクラフト紙とを貼り合わせたアルミクラフト(ALK)、およびアルミ箔と割布とを貼り合わせたアルミ割布(ALW)が挙げられる。
断熱配管システム100は、以下のように施工されてよい。
樹脂配管200は、継手で適宜接続し、適当な位置で固定基礎に固定する。樹脂配管200の外周面には、断熱繊維層400を被覆する。断熱繊維層400としては、所定の長さに切断された環状に成形され、かつ、軸方向に厚肉を切断する1個所の切れ込みが入った非分割構造体を用いることができる。このような非分割構造のガラスウールを、切れ込み部分を押し広げて変形させ、樹脂配管200に外装することができる。
被覆層510を設けた後は、被覆層510の表面全体に化粧シート520を重ねて巻装し、その後、拘束部材530を巻装する。
以下、断熱繊維層の態様が異なる第2実施形態、樹脂配管の態様が異なる第3実施形態について説明する。これら他の実施形態においては、基本的に第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
図3は、第2実施形態の断熱配管システムの模式的断面図およびその一部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。図3に示す断熱配管システム100aは、樹脂配管200と、断熱繊維層400aと、被覆層510とを含む。なお、図示省略されているが、第1実施形態と同様に、さらに化粧シート520および拘束部材530を含むことができる。
断熱繊維層400aは、樹脂配管200側に位置するスキン層410と、複数の薄層430と、その間を埋める断熱層420と、被覆層510側に位置するスキン層490とを含む。
断熱繊維層400,400aは、たとえば以下のように製造することができる。まず、ガラスウールを熱プレスしてシート状に成形する(ステップ1)。そして、ガラスウールシートを何重にも同心円状に重ねる(好ましくは長尺のガラスウールシートを何重にも巻回する)ことにより、厚肉の筒状部材にする(ステップ2)。さらに、互いに重なったガラスウールシート同士を固定する(ステップ3)。ステップ3の固定では、熱により焼き固めてよいし、バインダ樹脂を用いて接着してもよい。バインダ樹脂を用いる場合は、耐吸水性のものであることが好ましい。
図4は、第3実施形態の断熱配管システムにおける樹脂配管の模式的断面図である。第3実施形態の断熱配管システムを構成する樹脂配管以外の要素としては、上記の第1実施形態、第2実施形態および後述の第4実施形態における要素が特に限定されることなく組み合わせられうる。
図4に示す樹脂配管200bは、軸心Oから外周への方向に、第1層210b、第2層220bおよび第3層230bがこの順番で積層されている。それぞれの層の間には、接着剤層などを介在させてもよいし、介在させなくてもよい。また、樹脂配管200bにおいては、さらに1または2以上の他の層が積層されていてもよい。
第1層210bおよび第3層230bは、後述の第2層220bのように無機充填材を含まない。内層である210bは、樹脂配管200bの内部を流れる流体に第2層220bに含まれる無機充填材が混入しないよう、第2層220bの内周面をコートする。また、第3層230bは、樹脂配管200bの外周面に第2層220bに含まれる無機充填材が露出しないよう、表面粗雑化を防止する。これによって、樹脂配管200bの外周面が平滑となる。たとえば、断熱繊維層400aがスキン層410を有する場合に(第2実施形態の図3参照)、スキン層410と樹脂配管200bの外周面との接触が良好となり、樹脂配管200bの外周表面に接触する空気が低減され、結露発生を抑制することができる。
第2層220bは、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂に無機充填材を含む複合コンパウンド樹脂で構成される。樹脂製の配管は本来的に金属配管に比べて線膨張係数が大きいため、配管内に冷温水が流れることによる熱伸縮が大きいが、第2層220bが無機充填材を含む樹脂であることで樹脂配管200bの熱伸縮が適度に抑制され、適度な寸法安定性が得られる。したがって、樹脂配管200bの良好な耐クリープ性が得られる。一方、樹脂配管200bの許容された分の熱伸縮には、被覆層510が同様に伸縮して追従し、保温性を維持する。この場合、断熱繊維層400の継ぎ目S(図1参照)における隙間またはひずみを好ましく防止することができる。このため、幅広い温度範囲で安定した保温効果を得ることができる。
第2層220bにおけるマトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂としては、第1層210bおよび第3層230bを構成する樹脂と同様の樹脂が用いられてよい。さらに好ましくは、第2層220bのマトリックス樹脂は、第1層210bおよび第3層230bを構成する樹脂と同一である。これによって、隣接する層が互いになじみやすく、界面剥離を効果的に抑制することができる。
第2層220bに含まれる無機充填材としては、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの無機繊維;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ粉末、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、ホウ酸アルミウイスカなどの無機物質が挙げられる。耐クリープ性をより良好に得る観点からは、繊維はガラス繊維などの無機繊維であることが好ましい。上記の繊維は、単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。
また、このような繊維に、マトリックス樹脂を保持させる方法としては、公知の方法が全て採用可能である。
さらに、第2層220bに無機繊維が含まれる場合、当該繊維は、ポリオレフィン収束剤により収束されたものであってもよい。ポリオレフィン収束剤は、繊維を収束させることができれば特に限定されないが、具体的にはポリオレフィンである。当該ポリオレフィンは、マトリックス樹脂と同様のものであってもよい。つまり、マトリックス樹脂がポリエチレンであれば、収束剤もポリエチレンであってよい。さらに、収束剤としての当該ポリオレフィンには、変性ポリオレフィンが含まれる。ポリオレフィン収束剤の具体例としては、マレイン酸変性ポリオレフィン、およびシラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。第2層220bに低線膨張係数を具備させる観点からは、ポリオレフィン収束剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、繊維がガラス繊維であることが好ましい。
繊維を良好に収束させる観点からは、ポリオレフィン収束剤のMFR(メルトマスフローレイト)は好ましくは0.01g/10分以上、好ましくは16g/10分以下である。上記MFRは、JIS K7210に基づいて、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定された値である。
さらに、第2層220bには相溶化剤が含まれてよい。相溶化剤としては、たとえば、変性ポリオレフィンおよび塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、たとえば、マレイン酸変性ポリオレフィンおよびシラン変性ポリオレフィンなどが挙げられる。相溶化剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。第2層220bに低線膨張係数を具備させる観点からは、相溶化剤はシラン変性ポリオレフィンであることが好ましく、さらに、無機充填材がガラス繊維であることが好ましい。
樹脂配管200bの各層の比率は、第1層210bの相対厚みを1とした場合、第2層220bの厚みは2以上6以下、好ましくは3以上5以下、第3層230bの相対厚みは0.5以上2以下であることが好ましい。各層の厚みをこのような比率とすることによって、第1層210bおよび第3層230bによる良好な表面平滑性および耐衝撃性を得るとともに、第2層220bによる良好な耐クリープ性を得ることができる。
樹脂配管200bは、第1層210bおよび第3層230bをそれぞれ製造するための樹脂組成物と、第2層220bを製造するための樹脂組成物とを調製し、成形機を用いて成形する。成形機としては特に限定されず、単軸押出機、二軸異方向パラレル押出機、二軸異方向コニカル押出機、及び二軸同方向押出機等が挙げられる。さらに、成形機を用いて成形する場合、賦形する金型および樹脂温度等も、特に限定されない。
上記第1実施形態から第3実施形態では断熱材が繊維で構成された態様を例示したが、本発明は、樹脂配管200と被覆層510との線膨張係数が特定の関係を満たす限り、断熱材はたとえば独立気泡型のものであってもよい。この場合、断熱材は第1実施形態のスキン層490および/または第2実施形態のスキン層410に相当するスキン層は含んでいてもいなくてもよいが、含んでいる場合、気泡を有しないソリッド層であってよい。独立気泡型の断熱材としては、ウレタン発泡樹脂、スチレン発泡樹脂などの発泡樹脂であってよい。
図2に示す断熱配管システム100を作成した。
樹脂配管として、図4に示す樹脂配管200bを用いたことを除いて、実施例1と同様に断熱配管システムを作成した。
樹脂配管の代わりに炭素鋼管を用いたことを除いて、実施例1と同様に断熱配管システムを作成した。
樹脂配管の線膨張係数xを次のようにして求めた。樹脂配管を1000mmの長さに切断し、60℃(Thot)に設定した恒温槽にて24時間養生した。養生後、多層配管の長さ(Lhot)を測定した。その後、同じ多層配管を、5℃(Tcool)に設定した恒温槽にて24時間養生し、多層配管の長さ(Lcool)を測定した。得られた値を下記の式1に代入し、線膨張係数を決定した。
本明細書において、断熱配管システム100が「断熱配管システム」に相当し、樹脂配管200,200bが「冷温水用配管」に相当し、第1層210bが「第1層」に相当し、第2層220bが「第2層」に相当し、第3層230bが「第3層」に相当し、断熱繊維層400,400aが「断熱材」に相当し、スキン層490が「高い密度を有する層」に相当し、被覆層510が「被覆層」に相当する。
200,200b 樹脂配管(冷温水用配管)
210b 第1層
220b 第2層
230b 第3層
400,400a 断熱繊維層(断熱材)
490 スキン層(高い密度を有する層)
510 被覆層
Claims (7)
- ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される冷温水用配管と、
前記冷温水用配管の外周面を被覆する断熱材と、
前記断熱材の表面を被覆する被覆層とを含み、
前記冷温水用配管の線膨張係数をxとし、前記被覆層の線膨張係数をyとすると、
x<20×10−5/℃、且つ、y/x<10の関係を満たす、断熱配管システム。 - 前記被覆層の厚みが30μm以上500μm以下である、請求項1に記載の断熱配管システム。
- 前記被覆層の密度が0.90g/cm3以上0.95g/cm3以下である、請求項1または2に記載の断熱配管システム。
- 前記冷温水用配管が、軸心から外周への方向に、第1層、第2層および第3層を含み、
前記第1層および前記第3層がポリオレフィン樹脂を主成分として含み、
前記第2層がポリオレフィン系樹脂に無機充填材を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の断熱配管システム。 - 前記第1層および前記第3層の厚みが0.5mm以上である、請求項4に記載の断熱配管システム。
- 前記断熱材の外周面から1%以上10%以下の厚み部分が、前記断熱材の平均密度よりも高い密度を有する層を構成している、請求項1から3のいずれか1項に記載の断熱配管システム。
- 前記断熱材がガラスウールで構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の断熱配管システム。
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