<光学積層体>
図1は、本発明に係る光学積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示されるように本発明に係る光学積層体は、光学フィルム10と、粘着剤層20と、金属層30とをこの順に含み、基板40をさらに含んでいてもよい。この光学積層体は、基板40上に形成される金属層30の上に、光学フィルム10と、その少なくとも一方の面上に積層される粘着剤層20とを含む粘着剤層付光学フィルム1をその粘着剤層20を介して貼合したものであることができる。
粘着剤層20は通常、光学フィルム10の表面に直接積層される。また通常、粘着剤層付光学フィルム1は、その粘着剤層20が金属層30に直接接するように金属層30上に積層される。本発明によれば、かかる光学積層体において、金属層30の腐食を効果的に抑制することができる。以下、金属層30の腐食を抑制することができる性質を「耐金属腐食性」ともいう。
光学フィルム10は、単層構造の光学フィルムであってもよいし多層構造の光学フィルムであってもよい。粘着剤層20は、所定のイオン性化合物(D)を含む粘着剤組成物から構成される。この粘着剤組成物は通常、(メタ)アクリル系樹脂(A)をさらに含み、イソシアネート系架橋剤(B)及び/又はシラン化合物(C)をさらに含んでいてもよい。この粘着剤組成物は、さらに他の成分を含有していてもよい。本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリロイル」などについても同様である。
〔1〕光学フィルム
本発明に係る光学積層体が備える光学フィルム10は、粘着剤層付光学フィルム1を構成する光学部材であり、液晶表示装置等の画像表示装置に組み込まれ得る各種の光学フィルム(光学特性を有するフィルム)であることができる。光学フィルム10は、単層構造の光学フィルムであってもよいし多層構造の光学フィルムであってもよい。単層構造の光学フィルムの具体例は、偏光子のほか、位相差フィルム、輝度向上フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、拡散フィルム、集光フィルム等の光学機能性フィルムを含む。多層構造の光学フィルムの具体例は、偏光板、位相差板を含む。本明細書において偏光板とは、偏光子の少なくとも一方の面に樹脂フィルム又は樹脂層が積層されたものをいう。位相差板とは、位相差フィルムの少なくとも一方の面に樹脂フィルム又は樹脂層が積層されたものをいう。光学フィルム10は、好ましくは偏光板、偏光子、位相差板又は位相差フィルムであり、より好ましくは偏光板又は偏光子である。
〔1−1〕偏光板
図2及び図3は、偏光板の層構成の例を示す概略断面図である。図2に示される偏光板10aは、偏光子2の一方の面に第1樹脂フィルム3が積層貼合された片面保護偏光板であり、図3に示される偏光板10bは、偏光子2の他方の面に第2樹脂フィルム4がさらに積層貼合された両面保護偏光板である。第1,第2樹脂フィルム3,4は、図示しない接着剤層や粘着剤層を介して偏光子2に貼合することができる。偏光板10a,10bは、第1,第2樹脂フィルム3,4以外の他のフィルムや層を含んでいてもよい。
図2及び図3に示される偏光板10a,10bを光学フィルム10として用いた場合の光学積層体の層構成の例をそれぞれ図4及び図5に示す。図4に示される光学積層体5は、図2に示される偏光板10aを光学フィルム10として用いた例であり、図5に示される光学積層体6は、図3に示される偏光板10bを光学フィルム10として用いた例である。
偏光子2は、その吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有するフィルムであり、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたフィルムを用いることができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な単量体と酢酸ビニルとの共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
通常、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものを偏光子2の原反フィルムとして用いる。ポリビニルアルコール系樹脂は、公知の方法で製膜することができる。原反フィルムの厚みは、通常1〜150μmであり、延伸のしやすさなども考慮すれば、好ましくは10μm以上である。
偏光子2は、例えば、原反フィルムに対して、一軸延伸する工程、二色性色素でフィルムを染色してその二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液でフィルムを処理する工程、及び、フィルムを水洗する工程が施され、最後に乾燥されて製造される。偏光子2の厚みは、通常1〜30μmであり、粘着剤層付光学フィルム1の薄膜化の観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させてなる偏光子2は、1)原反フィルムとしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムの単独フィルムを用い、このフィルムに対して一軸延伸処理及び二色性色素の染色処理を施す方法のほか、2)基材フィルムにポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液(水溶液等)を塗工、乾燥させてポリビニルアルコール系樹脂層を有する基材フィルムを得た後、これを基材フィルムごと一軸延伸し、延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層に対して二色性色素の染色処理を施し、次いで基材フィルムを剥離除去する方法によっても得ることができる。基材フィルムとしては、後述する第1,第2樹脂フィルム3,4を構成し得る熱可塑性樹脂と同様の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などからなるフィルムである。上記2)の方法によれば、薄膜の偏光子2の作製が容易となり、例えば厚み7μm以下の偏光子2の作製も容易となる。
第1,第2樹脂フィルム3,4はそれぞれ独立して、透光性を有する、好ましくは光学的に透明な熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;セルロース系樹脂(セルロースエステル系樹脂等);ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等);ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリスルホン系樹脂、又はこれらの混合物、共重合物等からなるフィルムであることができる。中でも、第1,第2樹脂フィルム3,4はそれぞれ、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂からなる群より選択される樹脂で構成されることが好ましく、セルロース系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される樹脂で構成されることがより好ましい。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンやテトラシクロドデセン(別名:ジメタノオクタヒドロナフタレン)又はそれらの誘導体を代表例とする環状オレフィンを重合単位として含む樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体及びその水素添加物、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィン又はビニル基を有する芳香族化合物との共重合体、並びにこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性した変性(共)重合体等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体等のノルボルネン系単量体を用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
セルロース系樹脂は、好ましくはセルロースエステル系樹脂、すなわち、セルロースの部分又は完全エステル化物等のであり、例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステル等が挙げられる。中でも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する、上記セルロースエステル系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。ポリエステル系樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリシクロへキサンジメチルテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルナフタレートを含む。
ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリエステルである。中でも、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐候性及び耐酸性の観点から好ましく使用される。ポリカーボネートとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのようなビスフェノールから誘導されるポリカーボネートが例示される。
第1,第2樹脂フィルム3,4を構成し得る(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸エステル由来の構成単位を主体とする(例えばこれを50重量%以上含む)重合体であることができ、これに他の共重合成分が共重合されている共重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸エステル由来の構成単位を2種以上含んでいてもよい。メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸のC1〜C4アルキルエステルが挙げられる。
メタクリル酸エステルと共重合し得る共重合成分としては、アクリル酸エステルが挙げられる。アクリル酸エステルは、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート等のアクリル酸のC1〜C8アルキルエステルである。他の共重合成分の具体例は、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸類;スチレン、ハロゲン化スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニルシアン化合物;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミドなどの、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する、アクリル酸エステル以外の化合物を挙げることができる。分子内に重合性炭素−炭素二重結合を2個以上有する化合物を共重合成分として用いてもよい。共重合成分は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル樹脂は、フィルムの耐久性を高め得る点で、高分子主鎖に環構造を有していてもよい。環構造は、環状酸無水物構造、環状イミド構造、ラクトン環構造等の複素環構造が好ましい。環状酸無水物構造の具体例としては、無水グルタル酸構造、無水コハク酸構造が、環状イミド構造の具体例としては、グルタルイミド構造、コハクイミド構造が、ラクトン環構造の具体例としては、ブチロラクトン環構造、バレロラクトン環構造が、それぞれ挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、フィルムへの製膜性やフィルムの耐衝撃性等の観点から、アクリル系ゴム粒子を含有していてもよい。アクリル系ゴム粒子とは、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須成分とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものや、弾性重合体を1つの層とする多層構造のものが挙げられる。弾性重合体の例として、アルキルアクリレートを主成分とし、これに共重合可能な他のビニルモノマー及び架橋性モノマーを共重合させた架橋弾性共重合体が挙げられる。弾性重合体の主成分となるアルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート等のアクリル酸のC1〜C8アルキルエステルが挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは4以上である。
アクリル酸アルキルに共重合可能な他のビニルモノマーとしては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する化合物を挙げることができ、より具体的には、メチルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル、スチレンのような芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。架橋性モノマーとしては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する架橋性の化合物を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
アクリル系ゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上である。アクリル系ゴム粒子の含有量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、また、フィルムに表面処理を施す場合に表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下し得る。従って、アクリル系ゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、通常80重量部以下であり、好ましくは60重量部以下である。
第1,第2樹脂フィルム3,4は、本発明の技術分野における通常の添加剤を含有することができる。添加剤の具体例は、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤、分散剤、熱安定剤等を含む。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアノ(メタ)アクリレート化合物、ニッケル錯塩等が挙げられる。
第1,第2樹脂フィルム3,4はそれぞれ、延伸されていないフィルム、又は一軸若しくは二軸延伸されたフィルムのいずれであってもよい。二軸延伸は、2つの延伸方向に同時に延伸する同時二軸延伸でもよく、所定方向に延伸した後で他の方向に延伸する逐次二軸延伸であってもよい。第1樹脂フィルム3及び/又は第2樹脂フィルム4は、偏光子2を保護する役割を担う保護フィルムであってもよいし、後述する位相差フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。位相差フィルムは、光学異方性を示す光学フィルムである。例えば、上記熱可塑性樹脂からなるフィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、当該熱可塑性樹脂フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
第1樹脂フィルム3及び第2樹脂フィルム4は、同じ熱可塑性樹脂で構成されるフィルムであってもよいし、互いに異なる熱可塑性樹脂で構成されるフィルムであってもよい。第1樹脂フィルム3及び第2樹脂フィルム4は、厚み、添加剤の有無やその種類、位相差特性等において同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1樹脂フィルム3及び/又は第2樹脂フィルム4は、その外面(偏光子2とは反対側の表面)にハードコート層、防眩層、反射防止層、光拡散層、帯電防止層、防汚層、導電層等の表面処理層(コーティング層)を備えていてもよい。
第1樹脂フィルム3及び第2樹脂フィルム4の厚みはそれぞれ、通常1〜150μmであり、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜60μmである。当該厚みは、50μm以下、さらには30μm以下であってもよい。第1,第2樹脂フィルム3,4の厚みを小さくすることは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の薄膜化、ひいては粘着剤層付光学フィルム1又は光学積層体を含む液晶表示装置の薄膜化に有利となる。
特にスマートフォンやタブレット型端末といった中小型向けの偏光板では、薄膜化の要求から、第1樹脂フィルム3及び/又は第2樹脂フィルム4として厚み30μm以下の薄いものが用いられることが多いが、このような偏光板は、偏光子2の収縮力を抑える力が弱く、耐久性が不十分となりやすい。本発明によれば、このような偏光板を光学フィルム10として用いる場合であっても良好な耐久性を有する粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体を提供することができる。粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性とは、例えば高温環境下、高温高湿環境下、高温と低温とが繰り返される環境下などにおいて、粘着剤層20とこれに隣接する光学部材との界面での浮きや剥れ、粘着剤層20の発泡等の不具合を抑制できる性質をいう。
第1,第2樹脂フィルム3,4は、接着剤層や粘着剤層を介して偏光子2に貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることができる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらのヒドロキシル基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、偏光子2と第1,第2樹脂フィルム3,4とを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するために乾燥させる工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20〜45℃程度の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物及び光重合開始剤を含む硬化性組成物、光反応性樹脂を含む硬化性組成物、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含む硬化性組成物等を挙げることができる。好ましくは紫外線硬化性接着剤である。重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、光重合性モノマーに由来するオリゴマーを挙げることができる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカル等の活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。重合性化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤として、光硬化性エポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含む硬化性組成物や、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー及び光ラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物、又はこれらの硬化性組成物の混合物を好ましく用いることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合は、偏光子2と第1,第2樹脂フィルム3,4とを貼合した後、必要に応じて乾燥工程を行い、次いで活性エネルギー線を照射することによって活性エネルギー線硬化性接着剤を硬化させる硬化工程を行う。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する紫外線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
偏光子2と第1,第2樹脂フィルム3,4とを貼合するにあたっては、これらの少なくともいずれか一方の貼合面にケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面活性化処理を施すことができる。偏光子2の両面に樹脂フィルムが貼合される場合においてこれらの樹脂フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤あってもよいし異種の接着剤であってもよい。
偏光板10a,10bは、その他のフィルム又は層をさらに含むことができる。その具体例は、後述する位相差フィルムのほか、輝度向上フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、拡散フィルム、集光フィルム、粘着剤層20以外の粘着剤層、コーティング層、プロテクトフィルム等である。プロテクトフィルムは、偏光板等の光学フィルム10の表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるフィルムであり、粘着剤層付光学フィルム1を例えば金属層30上に貼合した後、剥離除去されるのが通例である。
プロテクトフィルムは通常、基材フィルムと、その上に積層される粘着剤層とで構成される。基材フィルムは、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂等で構成することができる。
〔1−2〕位相差板
位相差板に含まれる位相差フィルムは、上述のとおり、光学異方性を示す光学フィルムであり、第1,第2樹脂フィルム3,4に用いることができるものとして上で例示した熱可塑性樹脂のほか、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタクリレート系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニル系樹脂等からなる樹脂フィルムを1.01〜6倍程度に延伸することにより得られる延伸フィルムであることができる。中でも、ポリカーボネート系樹脂フィルムや環状オレフィン系樹脂フィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム又はセルロース系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸した延伸フィルムが好ましい。また本明細書においては、ゼロレタデーションフィルムも位相差フィルムに含まれる(ただし、保護フィルムとして用いることもできる。)。そのほか、一軸性位相差フィルム、広視野角位相差フィルム、低光弾性率位相差フィルム等と称されるフィルムも位相差フィルムとして適用可能である。
ゼロレタデーションフィルムとは、面内位相差値Re及び厚み方向位相差値Rthがともに−15〜15nmであるフィルムをいう。この位相差フィルムは、IPSモードの液晶表示装置に好適に用いられる。面内位相差値Re及び厚み方向位相差値Rthは、好ましくはともに−10〜10nmであり、より好ましくはともに−5〜5nmである。ここでいう面内位相差値Re及び厚み方向位相差値Rthは、波長590nmにおける値である。
面内位相差値Re及び厚み方向位相差値Rthは、それぞれ下記式:
Re=(nx−ny)×d
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d
で定義される。式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向(x軸方向)の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向(面内でx軸に直交するy軸方向)の屈折率であり、nzはフィルム厚み方向(フィルム面に垂直なz軸方向)の屈折率であり、dはフィルムの厚みである。
ゼロレタデーションフィルムには、例えば、セルロース系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂からなる樹脂フィルムを用いることができる。特に、位相差値の制御が容易で、入手も容易であることから、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
また、液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたフィルムや、無機層状化合物の塗布によって光学異方性を発現させたフィルムも、位相差フィルムとして用いることができる。このような位相差フィルムには、温度補償型位相差フィルムと称されるもの、また、JX日鉱日石エネルギー(株)から「NHフィルム」の商品名で販売されている棒状液晶が傾斜配向したフィルム、富士フイルム(株)から「WVフィルム」の商品名で販売されている円盤状液晶が傾斜配向したフィルム、住友化学(株)から「VACフィルム」の商品名で販売されている完全二軸配向型のフィルム、同じく住友化学(株)から「new VACフィルム」の商品名で販売されている二軸配向型のフィルム等がある。
位相差フィルムの少なくとも一方の面に積層される樹脂フィルムは、例えば上述の保護フィルムであることができる。
〔2〕粘着剤層
光学フィルム10と金属層30との間に配置される粘着剤層20は、所定のイオン性化合物(D)を含む粘着剤組成物から構成される。この粘着剤組成物は通常、(メタ)アクリル系樹脂(A)をさらに含み、イソシアネート系架橋剤(B)及び/又はシラン化合物(C)をさらに含んでいてもよい。
上記の粘着剤組成物で構成される粘着剤層20によれば、粘着剤層20及び金属層30を含む構成の光学積層体において金属層30の腐食を抑制することができ、また、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性を高めることができる。さらに、上記の粘着剤組成物で構成される粘着剤層20によれば、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体は、良好な光学耐久性(光学特性の劣化を抑制できる性質)を示すことができる。
粘着剤層20の厚みは、通常2〜40μmであり、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性や粘着剤層付光学フィルム1のリワーク性などの観点から、好ましくは5〜30μmであり、より好ましくは10〜25μmである。また、粘着剤層20の厚みが10μm以上であると、光学フィルム10の寸法変化に対する粘着剤層20の追随性が良好となり、25μm以下であるとリワーク性が良好となる。
粘着剤層20は、23〜80℃の温度範囲において0.1〜5MPaの貯蔵弾性率を示すものであることが好ましい。これにより、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性をより効果的に高めることができる。「23〜80℃の温度範囲において0.1〜5MPaの貯蔵弾性率を示す」とは、この範囲のいずれの温度においても、貯蔵弾性率が上記範囲内の値であることを意味する。貯蔵弾性率は通常、温度上昇に伴って漸減するので、23℃及び80℃における貯蔵弾性率がいずれも上記範囲に入っていれば、この範囲の温度において、上記範囲内の貯蔵弾性率を示すとみることができる。粘着剤層20の貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、例えば、REOMETRIC社製の粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDA II」を用いて測定することができる。
〔2−1〕(メタ)アクリル系樹脂(A)
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を主成分とする(好ましくは50重量%以上含む)重合体又は共重合体である。(メタ)アクリル系単量体は、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含み、好ましくはアルキル(メタ)アクリレートを含む。アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基は、炭素数が好ましくは1〜14、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、直鎖、分岐又は環状構造であり得る。アルキル(メタ)アクリレートとして、後述するアルキル基に置換基が導入された置換基含有アルキルアクリレートのような置換基含有アルキル(メタ)アクリレートを用いることもできる。アルキル(メタ)アクリレートは、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−及びi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、i−及びt−ブチル(メタ)アクリレート、n−及びi−ペンチルアクリレート、n−及びi−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−及びi−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−及びi−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−及びi−ノニル(メタ)アクリレート、n−及びi−デシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、n−及びi−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を含む。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、ホモポリマーのガラス転移温度Tgが0℃未満であるアルキルアクリレート(a1)由来の構成単位、及びホモポリマーのTgが0℃以上であるアルキルアクリレート(a2)由来の構成単位を含有することが好ましい。このことは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性を高めるうえで有利である。アルキルアクリレートのホモポリマーのTgは、例えばPOLYMER HANDBOOK(Wiley−Interscience)などの文献値を採用することができる。
アルキルアクリレート(a1)の具体例は、エチルアクリレート、n−及びi−プロピルアクリレート、n−及びi−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−及びi−へキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−及びi−オクチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−及びi−ノニルアクリレート、n−及びi−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート等のアルキル基の炭素数が2〜12程度のアルキルアクリレートを含む。アルキルアクリレート(a1)の他の具体例として、アルキル基の炭素数が2〜12程度のアルキルアクリレートにおけるアルキル基に置換基が導入された置換基含有アルキルアクリレートを挙げることもできる。置換基含有アルキルアクリレートの置換基は、アルキル基の水素原子を置換する基であり、その具体例はフェニル基、アルコキシ基、フェノキシ基を含む。置換基含有アルキルアクリレートとして、具体的には、2−メトキシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。アルキルアクリレート(a1)のアルキル基は、脂環式構造を有していてもよいが、好ましくは直鎖又は分岐構造のアルキル基である。
アルキルアクリレート(a1)は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、アルキルアクリレート(a1)は、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。粘着剤層付光学フィルム1が有する粘着剤層20の光学フィルム10への追従性、リワーク性の観点から、アルキルアクリレート(a1)は、n−ブチルアクリレートを含むことが好ましい。
アルキルアクリレート(a2)は、アルキルアクリレート(a1)以外のアルキルアクリレートである。アルキルアクリレート(a2)の具体例は、メチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレート等を含む。
アルキルアクリレート(a2)は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、耐金属腐食性及び耐久性の観点から、アルキルアクリレート(a2)は、メチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート等を含むことが好ましく、メチルアクリレートを含むことがより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)におけるアルキルアクリレート(a2)由来の構成単位の含有量は、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)を構成する全構成単位100重量部中、好ましくは10重量部以上であり、より好ましくは15重量部以上であり、さらに好ましくは20重量部以上であり、特に好ましくは25重量部以上である。また粘着剤層20の光学フィルム10への追従性及びリワーク性の観点から、アルキルアクリレート(a2)由来の構成単位の含有量は、好ましくは70重量部以下であり、より好ましくは60重量部以下であり、さらに好ましくは50重量部以下である。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、アルキルアクリレート(a1)及び(a2)以外の他の単量体に由来する構成単位を含有することができる。(メタ)アクリル系樹脂(A)は、当該他の単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。他の単量体の具体例を以下に示す。
1)極性官能基を有する単量体。
極性官能基を有する単量体としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換アミノ基、エポキシ基等の複素環基などの置換基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する単量体;アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,5−ジヒドロフラン等の複素環基を有する単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の置換もしくは無置換アミノ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する単量体が挙げられる。中でも、ヒドロキシ基を有する単量体が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂(A)と架橋剤との反応性の点で、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと合わせて上記のその他の極性官能基を有する単量体を含んでいてもよいが、粘着剤層20の外面に積層することができるセパレートフィルムの剥離力亢進を防ぐ観点から、アミノ基を有する単量体を実質的に含まないことが好ましい。また、ITOに対する耐腐食性を高める観点から、カルボキシル基を有する単量体を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、(メタ)アクリル系樹脂(A)を構成する全構成単位100重量部中、0.1重量部以下であることをいう。
2)アクリルアミド系単量体。
例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−(1−メチルエトキシメチル)アクリルアミド、N−(1−メチルプロポキシメチル)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)アクリルアミド〔別名:N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド〕、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチルエトキシメチル)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−エトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−プロポキシエチル)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルエトキシ)エチル〕アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルプロポキシ)エチル〕アクリルアミド、N−〔2−(2−メチルプロポキシ)エチル〕アクリルアミド〔別名:N−(2−イソブトキシエチル)アクリルアミド〕、N−(2−ブトキシエチル)アクリルアミド、N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル〕アクリルアミドなど。中でも、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)アクリルアミドが好ましく用いられる。
3)メタクリレート、すなわちメタクリル酸エステル。
例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリル酸の直鎖状アルキルエステル;イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、i−オクチルメタクリレート等のメタクリル酸の分枝状アルキルエステル;イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、シクロドデシルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸の脂環式アルキルエステル;2−メトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート等のメタクリル酸のアルコキシアルキルエステル;ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アラルキルエステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基を有するメタクリル酸のアルキルエステル;アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の置換もしくは無置換アミノ基を有するメタクリル酸のアルキルエステル;2−フェノキシエチルメタクリレート、2−(2−フェノキシエトキシ)エチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド変性ノニルフェノールエステル、2−(o−フェニルフェノキシ)エチルメタクリレート等のフェノキシエチル基を有するメタクリル酸のエステルなど。
4)メタクリルアミド系単量体。
例えば、上記1)に記載のアクリルアミド系単量体に対応するメタクリルアミド系単量体。
5)スチレン系単量体。
例えば、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン;アセチルスチレン;メトキシスチレン;ジビニルベンゼンなど。
6)ビニル系単量体。
例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等の含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルなど。
7)分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体。
例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体など。
上述のように、(メタ)アクリル系樹脂(A)は、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性及び耐金属腐食性の観点から、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加えて、極性官能基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。極性官能基を有する単量体は、極性官能基を有する(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましく、ヒドロキシル基を有する単量体であることがより好ましい。極性官能基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)を構成する全構成単位100重量部中、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.25〜5重量部であり、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
また、粘着剤層付光学フィルム1のリワーク性の観点からは、(メタ)アクリル系樹脂(A)は、メタクリレート(メタクリル酸エステル)、メタクリルアミド系単量体等のメタクリル系単量体に由来する構成単位の含有量が小さいことが好ましく、具体的には、当該構成単位の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)を構成する全構成単位100重量部中、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下であり、当該構成単位を実質的に含有しない(0.1重量部以下である)ことがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)における排出曲線上の重量平均分子量Mw1000〜250万の範囲において単一のピークを有することが好ましく、Mw1000〜250万の範囲において単一のピークを有し、かつアルキルアクリレート(a1)及び(a2)由来の構成単位を含有することがより好ましい。かかる(メタ)アクリル系樹脂(A)をベースポリマーとする粘着剤層20は、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性を高めるうえで有利である。上記Mwの範囲でのピーク数が2以上である場合、十分な耐久性を得ることができない傾向にある。
Mw1000〜250万の範囲におけるGPC排出曲線のピーク数を求めるにあたっては、実施例の項に記載のGPC測定条件に従って排出曲線を取得する。得られた排出曲線の上記範囲において「単一のピークを有する」とは、Mw1000〜250万の範囲において極大値を1つしか持たないことを意味する。本明細書では、GPC排出曲線において、S/N比が30以上のものをピークと定義する。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、GPCによる標準ポリスチレン換算のMwが50万〜250万の範囲にあることが好ましく、60万〜200万の範囲にあることがより好ましい。Mwが50万以上であると、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の向上に有利であり、粘着剤層付光学フィルム1のリワーク性も向上する傾向にある。また、Mwが250万以下であると、光学フィルム10の寸法変化に対する粘着剤層20の追随性が良好となる。重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnで表される分子量分布は、通常2〜10である。(メタ)アクリル系樹脂(A)のMw及びMnは、実施例の項に記載のGPC測定条件に従って求められる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、酢酸エチルに溶解させて濃度20重量%の溶液としたとき、25℃における粘度が、20Pa・s以下であることが好ましく、0.1〜7Pa・sであることがより好ましい。かかる範囲の粘度は、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性の向上や、粘着剤層付光学フィルム1のリワーク性に有利である。上記粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、示差走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度Tgが−60〜−10℃であることが好ましく、−55〜−15℃であることがより好ましい。かかる範囲のTgは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の向上に有利である。
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)に属する(メタ)アクリル系樹脂を2種以上含有していてもよい。また粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)とは異なる他の(メタ)アクリル系樹脂を含有していてもよい。ただし、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)の含有量は、すべての(メタ)アクリル系樹脂の合計中、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、粘着剤組成物は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系樹脂(A)のみを含有することが特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)や必要に応じて併用できる他の(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法によって製造することができる。(メタ)アクリル系樹脂の製造においては通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、(メタ)アクリル系樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部程度使用される。また、(メタ)アクリル系樹脂は、例えば紫外線等の活性エネルギー線によって重合を進行させる方法により製造してもよい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等を挙げることができる。熱重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)のようなアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドのような有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素のような無機過酸化物等を挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤等も、重合開始剤として使用し得る。
(メタ)アクリル系樹脂の製造方法としては、上に示した方法の中でも溶液重合法が好ましい。溶液重合法の一例は、用いる単量体及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下、熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは50〜80℃程度にて3〜15時間程度攪拌することである。反応を制御するために、単量体や熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などを用いることができる。
〔2−2〕イソシアネート系架橋剤(B)
粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(B)を含有することができる。イソシアネート系架橋剤(B)を架橋剤として用いることにより、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性を高めることができる。イソシアネート系架橋剤(B)は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系架橋剤(B)は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。またイソシアネート系架橋剤(B)は、これらイソシアネート化合物の多価アルコール化合物アダクト体(例えばグリセロールやトリメチロールプロパンのアダクト体)、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート化合物などの誘導体であってもよい。上記の中でも、特にトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はそれらのイソシアネート化合物の多価アルコール化合物アダクト体が好ましく、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐久性の観点から、キシリレンジイソシアネート又はその多価アルコール化合物アダクト体がより好ましい。
イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.08〜2.5重量部であり、より好ましくは0.1〜2重量部(例えば1重量部以下)である。イソシアネート系架橋剤(B)の含有量がこの範囲にあると、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の両立のうえで有利である。
粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤(B)とともに、これ以外の架橋剤、例えば、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、過酸化物等を併用し得るが、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性の観点から、粘着剤組成物は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(B)のみを含有し、特に過酸化物を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは、(メタ)アクリル系樹脂(A)100重量部に対する含有量が0.01重量部以下であることをいう。
〔2−3〕シラン化合物(C)
粘着剤組成物は、シラン化合物(C)を含有することができる。これにより粘着剤層20と、金属層30やガラス基板等との密着性を高めることができる。2種以上のシラン化合物(C)を使用してもよい。
シラン化合物(C)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シラン化合物(C)は、シリコーンオリゴマータイプのものを含むことができる。シリコーンオリゴマーの具体例を、モノマー同士の組み合わせの形で表記すると次のとおりである。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー
等のメルカプトプロピル基含有オリゴマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー
等のメルカプトメチル基含有オリゴマー;
3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の3−グリジドキシプロピル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー
等のメタクリロイルオキシプロピル基含有オリゴマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー
等のアクリロイルオキシプロピル基含有オリゴマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランオリゴマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランオリゴマー
等のビニル基含有オリゴマー;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のアミノ基含有のコポリマーなど。
粘着剤組成物におけるシラン化合物(C)の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.03〜5重量部であり、より好ましくは0.05〜2重量部であり、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。シラン化合物(C)の含有量が0.01重量部以上であると、粘着剤層20と、金属層30やガラス基板等との密着性向上効果が得られやすい。また含有量が10重量部以下であると、粘着剤層20からのシラン化合物(C)のブリードアウトを抑制することができる。
〔2−4〕イオン性化合物(D)
粘着剤組成物は、イオン性化合物(D)を含有する。1つの実施形態(第1実施形態)においてイオン性化合物(D)は、60℃の水100gに対する溶解度が6g以下である。イオン性化合物(D)の溶解度は、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.4g以下である。60℃の水100gに対する溶解度が6g以下であるイオン性化合物(D)を用いることにより、粘着剤層20に良好な帯電防止性能を付与することができるだけでなく、優れた耐金属腐食性と光学耐久性とを付与することができる。粘着剤組成物は、60℃の水100gに対する溶解度が6g以下であるイオン性化合物(D)を1種又は2種以上含有することができる。
60℃の水100gに対するイオン性化合物の溶解度は、次のようにして測定することができる。すなわち、精秤したイオン性化合物100mgと純水2mLとを混合した後、撹拌下に温度60℃で24時間保管する。次いで水層の一部(精秤量)をサンプリングし、これを、下記の液体クロマトグラフィー分析に用いる移動相又はこれを構成する液媒体で希釈した後、得られた測定サンプルに溶解しているイオン性化合物の重量濃度を定量し、この定量値から溶解度が求められる。当該定量には通常、液体クロマトグラフィー分析法が用いられる。具体的な測定条件は、後述する実施例の項の記載に従うことができる。ただし、液体クロマトグラフィー分析法による定量が困難な場合には、イオンクロマトグラフィー法(IC)、元素分析法、ICP発光法、電気泳動法などを用いてもよい。
イオン性化合物(D)のカチオンは、上記溶解度の観点から、有機カチオンであることが好ましい。有機カチオンの具体例は、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、テトラヒドロピリジニウムカチオン、ジヒドロピリジニウムカチオン、テトラヒドロピリミジウムカチオン、ジヒドロピリミジウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等を含む。有機カチオンは、好ましくは置換基を有する。例えば置換基の炭素数を調整することにより、イオン性化合物(D)の上記溶解度を制御することが可能である。置換基は、例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の炭化水素基である。炭化水素基は、例えば直鎖、分岐又は環状構造のアルキル基であり、好ましくは直鎖又は分岐構造のアルキル基である。
第1実施形態に係るイオン性化合物(D)が有するアニオンは、無機アニオン、有機アニオンのいずれであってもよい。無機アニオンの具体例は、クロライドアニオン〔Cl-〕、ブロマイドアニオン〔Br-〕、ヨーダイドアニオン〔I-〕、テトラクロロアルミネートアニオン〔AlCl4 -〕、ヘプタクロロジアルミネートアニオン〔Al2Cl7 -〕、テトラフルオロボレートアニオン〔BF4 -〕、ヘキサフルオロホスフェートアニオン〔PF6 -〕、パークロレートアニオン〔ClO4 -〕、ナイトレートアニオン〔NO3 -〕、ヘキサフルオロアーセネートアニオン〔AsF6 -〕、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン〔SbF6 -〕、ヘキサフルオロニオベートアニオン〔NbF6 -〕、ヘキサフルオロタンタレートアニオン〔TaF6 -〕、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン〔(FSO2)2N-〕、(ポリ)ハイドロフルオロフルオライドアニオン〔F(HF)n -〕(nは1〜3程度)等を含む。
有機アニオンの具体例は、アセテートアニオン〔CH3COO-〕、トリフルオロアセテートアニオン〔CF3COO-〕、メタンスルホネートアニオン〔CH3SO3 -〕、トリフルオロメタンスルホネートアニオン〔CF3SO3 -〕、p−トルエンスルホネートアニオン〔p−CH3C6H4SO3 -〕、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)2N-〕、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドアニオン〔(CF3SO2)3C-〕、ジメチルホスフィネートアニオン〔(CH3)2POO-〕、チオシアンアニオン〔SCN-〕、パーフルオロブタンスルホネートアニオン〔C4F9SO3 -〕、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン〔(C2F5SO2)2N-〕、パーフルオロブタノエートアニオン〔C3F7COO-〕、(トリフルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンカルボニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)(CF3CO)N-〕、パーフルオロプロパン−1,3−ジスルホネートアニオン〔-O3S(CF2)3SO3 -〕、カーボネートアニオン〔CO3 2-〕、テトラアリールボレートアニオン(例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン等)、ジシアナミドアニオン〔(CN)2N-〕、及び下記式(III):
で表されるイミドアニオン等を含む。中でも、フッ素原子を含むアニオンは、帯電防止性能に優れるイオン性化合物(D)を与えやすい傾向にあり、好ましい。とりわけ、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、上記式(III)で表されるイミドアニオン、又はテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンであるイオン性化合物(D)を用いることは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の帯電防止性能、耐金属腐食性及び光学耐久性の向上に有利である。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、上記式(IV)で表されるイミドアニオン等のフッ素原子含有イミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがより好ましく、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがさらに好ましい。
また、他の実施形態(第2実施形態)においてイオン性化合物(D)は、下記式(I):
で表されるイオン性化合物である。式中、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の炭化水素基を表し、R3はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜20の炭化水素基を表す。X-はフッ素原子含有イミドアニオンを表す。R1、R2、R3を構成し得る炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状構造であってよく、また、不飽和結合を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)を用いることにより、粘着剤層20に良好な帯電防止性能を付与することができるだけでなく、優れた耐金属腐食性と光学耐久性とを付与することができる。粘着剤組成物は、上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)を1種又は2種以上含有することができる。上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)は、耐金属腐食性及び光学耐久性などの観点から、60℃の水100gに対する溶解度が6g以下であることが好ましい。上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)の溶解度は、より好ましくは3g以下、さらに好ましくは1g以下、特に好ましくは0.4g以下である。
R1及びR2はそれぞれ独立して、好ましくは、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜16の直鎖、分岐又は環状構造のアルキル基である。R3は、好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜20の直鎖又は分岐構造のアルキル基である。R3の炭素数は、好ましくは4〜10であり、より好ましくは4〜8であり、さらに好ましくは4又は5である。
上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)のカチオンの具体例は、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、テトラヒドロピリジニウムカチオン、ジヒドロピリジニウムカチオン、テトラヒドロピリミジウムカチオン、ジヒドロピリミジウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン等を含む。これらのカチオンは、置換基を有していてもよい。置換基は、例えば、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜16の炭化水素基である。炭化水素基は、例えば直鎖、分岐又は環状構造のアルキル基であり、好ましくは直鎖又は分岐構造のアルキル基である。
偏光板の薄膜化の観点からは、図2に示される偏光板10aのように、偏光子2の片面のみに樹脂フィルムが配置される構成が有利である。この場合は通常、偏光子2の他方の面に粘着剤層20が直接貼合されて粘着剤層付光学フィルム1となる(図4参照)。このような構成の偏光板の場合、粘着剤層20に含有されるイオン性化合物によって高温高湿環境下で偏光板の光学性能を低下させる問題がとりわけ顕著となるが、上記式(I)で表されるイオン性化合物(D)を含有する粘着剤組成物(例えばピロリジニウムカチオンを有するイオン性化合物(D)を含有する粘着剤組成物)によれば、このような偏光板を光学フィルム10として用いる場合であっても良好な光学耐久性(光学特性の劣化を抑制できる性質)を有する粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体を提供することができる。
さらに他の実施形態(第3実施形態)においてイオン性化合物(D)は、下記式(II):
で表されるイオン性化合物である。上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)を用いることにより、粘着剤層20に良好な帯電防止性能を付与することができるだけでなく、優れた耐金属腐食性と光学耐久性とを付与することができる。粘着剤組成物は、上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)を1種又は2種以上含有することができる。上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)は、耐金属腐食性及び光学耐久性などの観点から、60℃の水100gに対する溶解度が6g以下であることが好ましい。上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)の溶解度は、より好ましくは3g以下、さらに好ましくは1g以下、特に好ましくは0.4g以下である。
上記式(II)中、R4は炭素数3〜16の直鎖又は分岐構造のアルキル基を表し、R5〜R9は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、カルボニル基、又はハロゲン原子を表し、隣り合う置換基同士で環を形成していてもよい。X-は上記式(I)におけるX-と同じ意味を表す。上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)は、60℃の水100gに対する溶解度が6g以下であるイオン性化合物となり得る好適な例でもある。
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、その具体例は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基を含む。
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、その具体例は、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基を含む。置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、その具体例は、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基を含む。
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、その具体例は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基を含む。
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む芳香族又は脂肪族の複素環が好ましく、その具体例は、例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基を含む。
上記置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、及び置換基を有してもよい複素環基の水素原子を置換し得る置換基の具体例は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基、t−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、t−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホンアミド基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリアルキルアンモニウム基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基を含む。
上記式(II)で表されるイオン性化合物(D)が有するN−置換ピリジニウムカチオンにおいてR4は、炭素数3〜16の直鎖又は分岐構造のアルキル基である。R5〜R9は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状構造のアルキル基、ヒドロキシル基、又はハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐構造のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1〜16の直鎖又は分岐構造のアルキル基である。
上記式(I)及び(II)におけるX-は、フッ素原子含有イミドアニオンを表す。アニオンがフッ素原子含有イミドアニオンであるイオン性化合物(D)を用いることは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の帯電防止性能、耐金属腐食性及び光学耐久性の向上に有利である。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、上記式(IV)で表されるイミドアニオン等のフッ素原子含有イミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがより好ましく、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがさらに好ましい。
上記式(I)又は(II)で表されるイオン性化合物(D)の好ましい例を挙げると、下記式(IV):
で表されるイオン性化合物である。上記式(IV)中、R4は炭素数3〜16の直鎖又は分岐構造のアルキル基であり、R5〜R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜16の直鎖又は分岐構造のアルキル基である。X1 -は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン又はビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンである。
粘着剤組成物におけるイオン性化合物(D)の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.2〜8重量部であり、さらに好ましくは0.3〜5重量部であり、特に好ましくは0.5〜3重量部である。イオン性化合物(D)の含有量が0.1重量部以上であることは、帯電防止性能の向上に有利であり、10重量部以下であることは粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性及び耐久性に有利である。
粘着剤組成物は、第1、第2及び/又は第3実施形態に係るイオン性化合物(D)とともに、これ以外の帯電防止剤を併用し得るが、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性等の観点から、粘着剤組成物は、帯電防止剤として第1、第2及び/又は第3実施形態に係るイオン性化合物(D)のみを含有することが好ましい。
〔2−5〕その他の成分
粘着剤組成物は、溶剤、架橋触媒、紫外線吸収剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、光散乱性微粒子等の添加剤を1種又は2種以上含有することができる。そのほか、粘着剤組成物に紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い粘着剤層とすることも有用である。架橋触媒としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、トリメチレンジアミン、ポリアミノ樹脂及びメラミン樹脂等のアミン系化合物を挙げることができる。
粘着剤組成物は、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の耐金属腐食性を高め得る防錆剤を含有することができる。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、その他のトリアゾール系化合物等のトリアゾール系化合物;ベンゾチアゾール系化合物、その他のチアゾール系化合物等のチアゾール系化合物;ベンジルイミダゾール系化合物、その他のイミダゾール系化合物等のイミダゾール系化合物;イミダゾリン系化合物;キノリン系化合物;ピリジン系化合物;ピリミジン系化合物;インドール系化合物;アミン系化合物;ウレア系化合物;ナトリウムベンゾエート;ベンジルメルカプト系化合物;ジ−sec−ブチルスルフィド;及びジフェニルスルホキサイドを挙げることができる。
ただし、本発明によれば、防錆剤を含有させずとも十分な耐金属腐食性を得ることができるため、防錆剤の含有量はできるだけ小さいことが好ましい。特に、粘着剤組成物は、防錆剤としてのトリアゾール系化合物を実質的に含まないことが好ましく、上記の化合物群から選択される防錆剤を実質的に含まないことがより好ましい。ここで実質的に含まないとは、(メタ)アクリル系樹脂(A)100重量部に対する含有量が0.01重量部以下であることをいう。
〔3〕金属層及び基板
金属層30は、例えば、アルミニウム、銅、銀、鉄、スズ、亜鉛、ニッケル、モリブデン、クロム、タングステン、鉛及びこれらから選択される2種以上の金属を含む合金からなる群より選択される1種以上を含む層であることができ、導電性の観点から、好ましくはアルミニウム、銅、銀及び金からなる群より選択される金属元素を含む層であり、導電性及びコストの観点から、より好ましくはアルミニウム元素を含む層であり、さらに好ましくはアルミニウム元素を主成分として含む層である。主成分として含むとは、金属層30を構成する金属成分が全金属成分の50重量%以上であることをいう。
金属層30は、例えばITO等の金属酸化物層であってもよいが、本発明に係る粘着剤層付光学フィルム1は、とりわけ金属単体や合金に対する耐腐食性が良好であることから、金属層30は、上記の金属元素からなる金属単体及び/又は上記の金属元素の2種以上を含有する合金を含むことが好ましい。ただし、光学積層体は、このような金属層30とともに、ITO等の金属酸化物からなる透明電極層を有していてもよい。
金属層30の形態(例えば厚み等)や調製方法は特に限定されず、金属箔であることができるほか、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、インクジェット印刷法、グラビア印刷法により形成されたものでもよいが、好ましくはスパッタリング法、インクジェット印刷法、グラビア印刷法により形成された金属層であり、より好ましくはスパッタリングにより形成された金属層である。スパッタリングで形成された金属層と金属箔とでは、前者の方が耐腐食性が悪い傾向にあるが、本発明に係る光学積層体によれば、スパッタリングで形成された金属層に対しても良好な耐金属腐食性を有する。金属層30の厚みは、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下である。また金属層30の厚みは、通常0.01μm以上である。さらに、金属層30が金属配線層の場合、その金属配線の線幅は通常10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。また金属配線の線幅は、通常0.5μm以上である。かかる薄膜の金属層30や細線の金属配線からなる金属層30に対しても、本発明に係る光学積層体は良好な耐金属腐食性を示す。
金属層30は、例えば、タッチ入力式液晶表示装置が有するタッチ入力素子の金属配線層(すなわち電極層)であることができる。この場合、金属層30は、所定の形状にパターニングされているのが通常である。パターニングされた金属層30上に粘着剤層20を積層する場合、粘着剤20は金属層30に接触していない部分を有していてもよい。金属層30は、上記金属又は合金を含む連続膜であってもよい。
図1に示されるように、例えば金属配線層である金属層30は通常、基板40上に形成され、この場合、本発明に係る光学積層体はこの基板40を含む。基板40上への金属層30の形成は、例えばスパッタリングにより行うことができる。基板40は、タッチ入力素子に含まれる液晶セルを構成する透明基板であることができる。基板40は、好ましくはガラス基板である。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。金属層30は、基板40の全面に形成されていてもよいし、その一部に形成されていてもよい。基板40上にパターニングされた金属層30が形成される場合など、基板40の表面の一部に金属層30が形成される場合には、粘着剤層20の一部は、例えばガラスからなる基板40と直接接触することになるが、本発明に係る光学積層体における粘着剤層20は、ガラスとの密着性にも優れているため、光学積層体、及びこれを備えた液晶表示装置は、そのような場合における耐久性にも優れる。
〔4〕光学積層体の構成及び製造方法
1つの実施形態において本発明に係る光学積層体は、図4及び図5に示されるように、粘着剤層付光学フィルム1と、その粘着剤層20側に積層される金属層30とを含む。図4及び図5に示される光学積層体5,6において、粘着剤層付光学フィルム1は、その粘着剤層20が金属層30に直接接するように金属層30上に積層されている。本発明によれば、このように粘着剤層20が金属層30に直接接するような構成の光学積層体においても、金属層30の腐食を効果的に抑制することができる。
図6は、本発明に係る光学積層体の層構成の他の一例を示す概略断面図である。他の実施形態において本発明に係る光学積層体は、図6に示される光学積層体7のように、粘着剤層付光学フィルム1の粘着剤層20が樹脂層50を介して金属層30に積層されている。粘着剤層20は、樹脂層50に直接接している。かかる光学積層体7においても、金属層30の腐食を効果的に抑制することができる。粘着剤層20と金属層30との間に配置される樹脂層50は、例えば、硬化性樹脂の硬化物層であってもよい。樹脂層50を形成し得る硬化性樹脂としては公知のものを用いることができ、例えば特開2009−217037号公報に記載のものが挙げられる。
上述のように金属層30は、金属配線層であってもよい。金属層30が金属配線層である場合の一例を図7に示す。図7に示される光学積層体において樹脂層50は省略されてもよい。
光学積層体は、例えば、基板40上に形成される金属層30の上に、光学フィルム10と、その少なくとも一方の面上に積層される粘着剤層20とを含む粘着剤層付光学フィルム1をその粘着剤層20を介して貼合することによって作製できる。
上述のように粘着剤層付光学フィルム1は、光学フィルム10とその少なくとも一方の面に積層される粘着剤層20とを含む(図1)。光学フィルム10の両面に粘着剤層20が積層されていてもよい。通常、粘着剤層20は光学フィルム10の表面に直接積層される。粘着剤層20を光学フィルム10の表面に設ける際には、光学フィルム10の貼合面及び/又は粘着剤層20の貼合面にプライマー層の形成や、表面活性化処理、例えばプラズマ処理、コロナ処理等を施すことが好ましく、コロナ処理を施すことがより好ましい。
光学フィルム10が図2に示されるような片面保護偏光板である場合、粘着剤層20は通常、偏光子面、すなわち、偏光子2における第1樹脂フィルム3とは反対側の面に、好ましくは直接、積層される。光学フィルム10が図3に示されるような両面保護偏光板である場合、粘着剤層20は、第1,第2樹脂フィルム3,4のいずれかの外面に積層してもよく、両方の外面に積層してもよい。
光学フィルム10と粘着剤層20の間には別途帯電防止層を設けてもよいが、本発明の粘着剤層20は粘着剤層単独で優れた帯電防止性を付与することができるため、光学積層体の薄膜化や積層体作製工程の簡略化の点で、光学フィルム10と粘着剤層20の間に帯電防止層を有さないことが好ましい。
粘着剤層付光学フィルム1は、粘着剤層20の外面に積層されるセパレートフィルム(剥離フィルム)を含んでいてもよい。このセパレートフィルムは通常、粘着剤層20の使用時(例えば金属層30上への積層時)に剥離除去される。セパレートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアレート等の各種樹脂からなるフィルムの粘着剤層20が形成される面に、シリコーン処理等の離型処理が施されたものであることができる。
粘着剤層付光学フィルム1は、上記粘着剤組成物を構成する各成分を溶剤に溶解又は分散して溶剤含有の粘着剤組成物とし、次いで、これを光学フィルム10の表面に塗布・乾燥して粘着剤層20を形成することによって得ることができる。また粘着剤層付光学フィルム1は、セパレートフィルムの離型処理面に上と同様にして粘着剤層20を形成し、この粘着剤層20を光学フィルム10の表面に積層(転写)することによっても得ることができる。
金属層30(又は上記樹脂層)上に粘着剤層付光学フィルム1をその粘着剤層20を介して貼合することにより光学積層体を得ることができる。粘着剤層付光学フィルム1と金属層30とを貼着して光学積層体を作製した後、何らかの不具合があった場合には、粘着剤層付光学フィルム1を金属層30から剥離し、別の粘着剤層付光学フィルム1を金属層30に貼り直す、いわゆるリワーク作業が必要となることがある。本発明に係る光学積層体は、粘着剤層付光学フィルム1を金属層30から剥離した後の金属層30の表面に曇りや糊残りなどが発生しにくく、リワーク性に優れている。本発明に係る光学積層体によれば、粘着剤層20を貼合する表面が金属層30ではなくガラス基板やITO層であるときにも良好なリワーク性を示すことができる。
<液晶表示装置>
本発明に係る液晶表示装置は、上記本発明に係る光学積層体を含むものである。本発明に係る液晶表示装置は、金属層30の腐食を抑制することができ、また、良好な耐久性を示す。
本発明に係る液晶表示装置は、好ましくはタッチパネル機能を有するタッチ入力式液晶表示装置である。タッチ入力式液晶表示装置は、液晶セルを含むタッチ入力素子と、バックライトとを備える。タッチパネルの構成は、アウトセル型、オンセル型、インセル型等、従来公知のいかなる方式であってもよく、またタッチパネルの動作方式は抵抗膜方式、静電容量方式(表面型静電容量方式、投影型静電容量方式)等、従来公知のいかなる方式であってもよい。本発明に係る光学積層体は、タッチ入力素子(液晶セル)の視認側に配置されてもよいし、バックライト側に配置されてもよいし、両方に配置されてもよい。液晶セルの駆動方式は、TN方式、VA方式、IPS方式、マルチドメイン方式、OCB方式等、従来公知のいかなる方式であってもよい。本発明に係る液晶表示装置において、光学積層体が有する基板40は、上記液晶セルに含まれる基板(典型的にはガラス基板)であることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下、使用量、含有量を表す部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
<製造例1:粘着剤層用(メタ)アクリル系樹脂(A−1)の製造>
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、表1に示す組成(表1の数値は重量部である。)の単量体を酢酸エチル81.8部と混合して得られた溶液を仕込んだ。反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、内温を60℃にした。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.12部を酢酸エチル10部に溶解させた溶液を添加した。1時間同温度で保持した後、内温を54〜56℃に保ちながら、添加速度17.3部/Hrで酢酸エチルを、重合体の濃度がほぼ35%となるように反応容器内へ連続的に加えた。酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまで内温を54〜56℃に保持した後、酢酸エチルを加えて重合体の濃度が20%となるように調整して、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)の酢酸エチル溶液を得た。(メタ)アクリル系樹脂(A−1)の重量平均分子量Mwは139万、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは5.32であった。ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の排出曲線において、Mw139万の成分は単一のピークを示し、Mw1000〜250万の範囲において他のピークは認められなかった。
<製造例2:粘着剤層用(メタ)アクリル系樹脂(A−2)の製造>
単量体の組成を、表1に示すとおりとしたこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系樹脂(A−2)の酢酸エチル溶液を得た(樹脂濃度:20%)。(メタ)アクリル系樹脂(A−2)の重量平均分子量Mwは141万、Mw/Mnは4.71であった。GPCの排出曲線において、Mw141万の成分は単一のピークを示し、Mw1000〜250万の範囲において他のピークは認められなかった。
<製造例3:粘着剤層用(メタ)アクリル系樹脂(A−3)の製造>
単量体の組成を、表1に示すとおりとしたこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系樹脂(A−3)の酢酸エチル溶液を得た(樹脂濃度:20%)。(メタ)アクリル系樹脂(A−3)の重量平均分子量Mwは75万、Mw/Mnは5.02であった。GPCの排出曲線において、Mw75万の成分は単一のピークを示し、Mw1000〜250万の範囲において他のピークは認められなかった。
上の製造例において、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel XL」を4本、及び昭和電工(株)製の「Shodex GPC KF−802」を1本の計5本を直列につないで配置し、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。GPCの排出曲線を得る際の条件もこれと同じとした。
ガラス転移温度Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の示差走査熱量計(DSC)「EXSTAR DSC6000」を用い、窒素雰囲気下、測定温度範囲−80〜50℃、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
各製造例における単量体の組成(表1の数値は重量部である。)、及びGPCの排出曲線上のMw1000〜250万の範囲におけるピーク数(表1において「GPCピーク数」と表記)を表1にまとめた。
表1の「単量体組成」の欄にある略称は、次のモノマーを意味する。
BA:ブチルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:−54℃)、
MA:メチルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:10℃)、
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度:−50℃)、
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、
AM:アクリルアミド、
M−90G:メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(EO 9mol)、新中村化学工業(株)から入手した商品名「M−90G」。
<実施例1〜9、比較例1>
(1)粘着剤組成物の調製
上記製造例で得られた(メタ)アクリル系樹脂の酢酸エチル溶液(樹脂濃度:20%)に、該溶液の固形分100部に対して、表2に示すイソシアネート系架橋剤(B)、シラン化合物(C)、及びイオン性化合物(D)をそれぞれ表2に示す量(重量部)混合し、さらに固形分濃度が14%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物を得た。表2に示す各配合成分の配合量は、使用した商品が溶剤等を含む場合は、そこに含まれる有効成分としての重量部数である。
表2において略称で示される各配合成分の詳細は次のとおりである。
(イソシアネート系架橋剤)
B−1:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、三井化学(株)から入手した商品名「タケネート D−110N」。
(シラン化合物)
C−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)から入手した商品名「KBM403」。
(イオン性化合物)
D−1:N−プロピルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
D−2:N−オクチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
D−3:N−デシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
D−4:N−ドデシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
D−5:N−ヘキサデシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
D−6:1−エチル−1−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
D−7:N−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド。
表2における「溶解度」は、60℃の水100gに対するイオン性化合物(D)の溶解度(g)である。当該溶解度は、次の手順に従って求めた。まず、精秤したイオン性化合物100mgと純水2mLとを混合した後、撹拌下に温度60℃で24時間保管した。入手したイオン性化合物が溶媒を含む場合には、減圧蒸留により溶剤を除去して乾固したイオン性化合物を得、これを精秤した。次いで水層の一部(精秤量)をサンプリングし、これをアセトニトリルで適度に希釈した後、得られた測定サンプルに溶解しているイオン性化合物の重量濃度を液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)の絶対検量線法によって定量した。LC/MSの測定条件は次のとおりである。定量結果に基づき、イオン性化合物(D)の溶解度を求めた。
分析装置 :Agilent Technologies LC/MS装置
1260型/6130型
分離カラム :Kinetex 2.6u C18 100A(3.0×100mm,2.7μm)
移動相 :0.05% TFA添加 水/アセトニトリルの混合溶媒のグラジエント法
移動相の流量 :0.5mL/min.
サンプル注入量 :2.5μL
オーブン温度 :40℃
UV検出波長 :254nm
MS検出条件 :エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Positive。
なお、イオン性化合物D−1〜D−5及びD−7についてはUV検出器(波長254nm)、イオン性化合物D−6については、MS検出器の選択イオン検出(SIM)モードによって定量を行った(モニタリング質量m/z=114)。
(2)粘着剤層の作製
上記(1)で調製した各粘着剤組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した商品名「PLR−382051」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(粘着剤シート)を作製した。
(3)粘着剤層付光学フィルム(P−1)の作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%、厚み60μmのポリビニルアルコールフィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレビニロン VF−PE♯6000」〕を、37℃の純水に浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)=0.04/1.5/100)に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウムとホウ酸とを含む水溶液(ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)=12/3.6/100)に56.5℃で浸漬した。フィルムを10℃の純水で洗浄した後、85℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚み約23μmの偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色及びホウ酸処理の工程で行い、トータルの延伸倍率は5.3倍であった。
得られた偏光子の片面に、厚み25μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製の商品名「KC2UA」〕を、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼合した。次に上記偏光子におけるトリアセチルセルロースフィルムとは反対側の面に、厚み23μmの環状ポリオレフィン系樹脂からなるゼロ位相差フィルム〔日本ゼオン(株)製の商品名「ZEONOR」〕を、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼り合わせ偏光板を作製した。次いで、ゼロ位相差フィルムにおける偏光子が接する面とは反対側の面に、密着性向上のためのコロナ放電処理を施した後、上記(2)で作製した粘着剤層のセパレートフィルムとは反対側の面(粘着剤層面)をラミネーターにより貼り合わせた後、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生し、粘着剤層付光学フィルム(P−1)を得た。
(4)粘着剤層付光学フィルム(P−2)の作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%、厚み30μmのポリビニルアルコールフィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレビニロン VF−PE♯3000」〕を、37℃の純水に浸漬した後、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)=0.04/1.5/100)に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウムとホウ酸とを含む水溶液(ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)=12/3.6/100)に56.5℃で浸漬した。フィルムを10℃の純水で洗浄した後、85℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚み約12μmの偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色及びホウ酸処理の工程で行い、トータルの延伸倍率は5.3倍であった。
得られた偏光子の片面に、厚み25μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製の商品名「KC2UA」〕を、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼り合わせて偏光板を作製した。次いで、偏光子の保護フィルムの貼合された面とは反対の面に、上記(2)で作製した粘着剤層のセパレートフィルムとは反対側の面(粘着剤層面)をラミネーターにより貼り合わせた後、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生し、粘着剤層付光学フィルム(P−2)を得た。
(5)粘着剤層付光学フィルムの耐金属腐食性評価
上記(3)で作製した粘着剤層付光学フィルム(P−1)を、20mm×50mmの大きさの試験片に裁断し、金属層付ガラス基板の金属層側に粘着剤層を介して貼着した。金属層付ガラス基板には、無アルカリガラス表面にスパッタリングによって厚み約500nmの金属アルミニウム層を積層させたガラス基板(ジオマテック社製)を使用した。得られた光学積層体を、温度60℃、相対湿度90%のオーブン中で500時間保管した後、粘着剤層付光学フィルムが貼着された部分の金属層の状態を観察し、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
4:金属層表面に発生した孔食の数が2個以下である、
3:金属層表面に発生した孔食の数が3個〜5個である、
2:金属層表面に発生した孔食の数が6個以上である、
1:金属層表面の全面に多数の孔食が発生し、かつ白濁も発生している。
(6)粘着剤層付光学フィルムの耐久性評価
上記(3)で作製した粘着剤層付光学フィルム(P−1)を、偏光板の延伸軸方向が長辺となるように200mm×150mmの大きさに裁断してセパレートフィルムを剥離し、露出した粘着剤層面をガラス基板に貼合した。得られたガラス基板が貼り付けられた試験片(ガラス基板が貼り付けられた粘着剤層付光学フィルム)を、オートクレーブ中、温度50℃、圧力5kg/cm2(490.3kPa)で、20分間加圧した。ガラス基板には、コーニング社製の無アルカリガラス 商品名「Eagle XG」を使用した。得られた光学積層体について、次の3種の耐久性試験を実施した。
〔耐久性試験〕
・温度85℃の乾燥条件下で750時間保持する耐熱試験、
・温度60℃、相対湿度90%の環境下で750時間保持する耐湿熱試験、
・温度85℃の乾燥条件下で30分保持し、次いで温度−40℃の乾燥条件下で30分保持する操作を1サイクルとし、これを400サイクル繰り返す耐ヒートショック(HS)試験。
各試験後の光学積層体を目視観察し、粘着剤層の浮き、剥れ、発泡等の外観変化の有無を目視で観察し、下記の評価基準に従って耐久性を評価した。結果を表3に示す。
4:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない、
3:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない、
2:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ、
1:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
(7)粘着剤層付光学フィルムのリワーク性評価
上記(3)で作製した粘着剤層付光学フィルム(P−1)を、25mm×150mmの大きさの試験片に裁断した。試験片からセパレーターを剥がし、その粘着剤面をガラス基板に貼り付けた。得られたガラス基板が貼り付けられた試験片(ガラス基板が貼り付けられた粘着剤層付光学フィルム)を、オートクレーブ中、温度50℃、圧力5kg/cm2(490.3kPa)で、20分間加圧した。次に、50℃のオーブン中で48時間保管し、さらに、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で、試験片から光学フィルムを粘着剤層とともに300mm/分の速度で180°方向に剥離した。剥離後のガラス基板表面の状態を観察し、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
4:ガラス基板の表面に曇り等が全く認められない、
3:ガラス基板の表面に曇り等がほとんど認められない、
2:ガラス基板の表面に曇り等が認められる、
1:ガラス基板の表面に粘着剤層の残りが認められる。
で表されるイミドアニオン等を含む。中でも、フッ素原子を含むアニオンは、帯電防止性能に優れるイオン性化合物(D)を与えやすい傾向にあり、好ましい。とりわけ、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、上記式(III)で表されるイミドアニオン、又はテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンであるイオン性化合物(D)を用いることは、粘着剤層付光学フィルム1及び光学積層体の帯電防止性能、耐金属腐食性及び光学耐久性の向上に有利である。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、上記式(III)で表されるイミドアニオン等のフッ素原子含有イミドアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがより好ましく、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンがさらに好ましい。